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滅びより逃れて

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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●逃亡者たち
 そこは、ダークセイヴァーの暗い空の下。
 雨夜だというのに、最低限のカンテラの灯りのみで、ぜいぜいと息を切らしながら人々が歩いている。数十……いや、百人はいるだろうか。
「お母さん……疲れた……」
「頑張って……」
 その隊列は細く長く伸び切りつつも、飢えた人々は俯いて歩き通す。
「村長。この速さじゃ体力のない奴は付いてこられねえ」
「倒れたら馬車に乗せるわ。領主は私たちが逃げたことにすぐに気付く。今はこの速さで行くしかない」
 馬車を引いている村長は、己自身もやせ細った女の身で、必死に力を絞り出して歩いている。馬車に乗っているのは、必要な物資と歩く力のない者たちばかりだ。
「生贄を差し出せば見逃してもらえるんだ……帰ろう……俺が生贄になるよ」
「馬鹿かお前! 生贄になった奴らがどうなったのか、見ただろう! あの亡者の群れに加わるくらいなら、自決した方がましだ!」
「騒がないで! 今は歩くのよ!」
 それは、殺戮の領主の支配地から逃れようとしている一団だった。
 何年も掛けて隠れ住める土地を割り出し、その為の物資を貯蓄し、そして村丸ごとの大脱走を図ったのだ。
(「でも、余りにも……皆が飢え、弱っている。このままじゃ……」)
 やがて差し向けられた斥候の亡者に見つかり、邪魔をされている内に大規模な敵の本隊が追い付いてくるだろう。待ち受けるのは、凄惨な死のみ。
 領主は人間を自らの使役する亡者の列に加えるべく生かしているにすぎないのだから。
(「ああ……お願い……」)
 もはや、奇跡的に見つからぬことを祈る以外にない。
 だが死の影は、すぐ後ろまで迫っていると、誰もが知っているのだった……。

●ペイジャの依頼
「というわけだ……あの世界は酷いモンだね」
 唾棄するかのような表情でグリモア猟兵、ペイジャ・レーンは語る。その背後に映るのは、ダークセイヴァーの暗い空だ。
「ダークセイヴァーのある土地で、領民の一部が新天地を求めて大脱走を決行する。理由は簡単だ。元の領主の土地にいれば、生贄にされて殺されるだけだからさ」
 領主のオブリビオンは悪しき死霊術の使い手で、亡者の大群を使役しているという。その為の生贄というわけだ。
「つまり生贄が無念を抱いて死ねば死ぬほど、奴の手勢は強大になる。ただし殺し切るとそれまでだから、領民の数を維持しつつ計画的に屠殺を行っているってワケさ」
 亡者生産のための人間牧場というわけか。いや、牧場主は、まともな人間であれば家畜に敬意を払うし愛情を以て接する。命を頂く代わりに、種の庇護も約束する。
 だがそいつは……。
「喜びな。今回の仕事はサービス精神満載だよ。逃亡者たちをオブリビオンの支配下にない新天地へ追っ払ったら、追っ手の亡者を蹴散らして、クソ野郎を思う存分足蹴にするってだけだ。金払ってもいい娯楽がタダで楽しめる。そうだろ?」
 素直に「大変な作戦な上に一文の得にもならないが、人助けしよう」と、言えばいいのに。と、一部の猟兵は苦笑する。
 ペイジャは鼻息を吹いて、こちらを睨み据えて。

「作戦は三段階で進行する。まず、逃亡中の連中だが、疲れきっていて追っ手を自力で振り切るだけの力は残っていない。とりあえずこいつらを助けて、戦場外へ追っ払う。ふん、難民なんざ、闘うには足手まといだからね」
 斥候として遅滞戦闘を仕掛けて来る亡者の撃退、人々の輸送能力を向上する工夫を施す、その精神を鼓舞したり体を癒したり食事を届ける……方法は様々だが、護衛しつつ彼らを領地の境まで送り出すのだ。後は護衛なしでも自力で安全圏まで脱することが出来るという。
「二段階目。ここからが本番だよ。領主は逃亡者たちへの追っ手として、亡者の大群をけしかけて来る。こいつらを領地の境で迎撃するのさ。アンタ達が負ければ、難民どものケツに喰いつかれちまうから、残らず成仏させてやりな」
 亡者たちは、殺された生贄たちがオブリビオンと化した成れの果て。様々な苦悩の感情が混ざり合い、説得などは通じぬ怨霊と成り果てている。撃破することが鎮魂だ。
「亡者の大群を蹴散らせば、自分の手勢を失った領主が復讐に出て来るよ。死を司る闇の賢者と呼ばれ、彷徨う亡者達を飼い慣らす、梟の姿をした化け物だ。生贄を凄惨に殺して、私腹を肥やして来たクズさ。確実に始末しな」
 ペイジャは、唾棄するようにそう言い終える。

「さあ、猟兵。あの絶望の世界に生き延びている希望を絶やさせるな。今は過去に勝つ。それを見せつけてやりな!」
 ペイジャはそう語り、グリモアを起動した。
 開いた門の向こうに広がるのは、絶望の空と大地だ。


白石小梅
 今回はダークセイヴァーの事件となります。

●経緯
 亡者を使役する領主に支配された地で、人々は幾度も生贄を要求され、殺戮されるがままになっていました。その一部が意を決して領地からの逃亡を決意し、逃走を開始します。しかしその歩みは遅く、このままでは追っ手に捕まることは確実。彼らを逃し、領主の追っ手を撃破しましょう。

●第一章
 霧雨の降る夜に荒れ地を進む人々を護衛しつつ、領地からの脱出を援護します。遅滞戦闘を仕掛けて来る敵斥候から人々を護衛する、何らかの方法で人々の移動を助ける、鼓舞したり癒したりといった援護をするなど出来ます。領地の境まで辿り着いたらゴールとなります。

●第二章
 亡者の大群が逃げた人々を追撃すべくやってきます。領地の境でこれを迎撃し、蹴散らしましょう。亡者たちはオブリビオンに殺された人々がオブリビオンと化してしまったもので、もはや助けることは出来ません。安らかに眠らせてあげましょう。

●第三章
 亡者を指揮していた領主が怒り狂って攻撃して来ます。これを撃破して、人々に平和をもたらしましょう。
 なお領主が撃破されたとしても、元々の領地では別のオブリビオンが台頭して圧政を始めるでしょうから、人々を新天地へ逃がしたことは無駄にはなりません。
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第1章 冒険 『反逆者の手引き』

POW   :    護衛として付く、見回りをする。

SPD   :    馬車を改造する、人々を運ぶ。

WIZ   :    安全な新天地を探す、人々を宥める。

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●灯された希望
 人々は息を詰まらせながら、雨夜の荒野を進む。
 誰しもが飢え、誰しもが渇いている。
 新天地まで運ぶべき物資を飲み食いすることは許されない。
 辿り着けたとして、そこで物資が尽きては飢え死にの運命が待っているだけだから。
 馬車の幌に落ちた水滴をかき集めて飲むことが出来る程度。
「……最後にここで腹いっぱい飲み食いして、死のう」
「馬鹿言わないで。歩くのよ!」
「でも、俺ぁ、もう……」
 一人の男が、やせ細った躰をふらりと揺らして、倒れ込む。
 もう、終わりだ。
 そう、誰もが思ったその時。
 倒れかかった男の体を受け止めて、それは現れた。
 一瞬、亡者の追撃かと身を強張らせた人々は、現れた猟兵たちの纏う世界の加護に警戒心を解かれ、へなへなと腰を落とす。
 そして猟兵たちは、援助を申し出る。
「助けて……くれるの? ありがたいけど……」
 村長の瞳は、不安に揺れている。口ごもった語尾は「道連れになって死ぬだけだぞ」という忠告だ。
 だがもはや手段もなく、彼らは援助を受け入れる。
 この逃避行の行く末は、猟兵たちにゆだねられる……。
ビビ・カラット
生きやすい世界は沢山あるわ
大丈夫、あなたたちは毎晩暖かいベッドで眠れるようになる、私はそれを知っている。
だから頑張って、ほらほらついていらっしゃい!

生まれながらの光をもって、歩みの遅い負傷者、老人、子供を優先に癒しながら進むわ
我ながら目立つわよね、敵を引きつけてしまうようならローブでも羽織ろうかしら

まあ私も体力はない方なんだけど
どうせこの後追っ手を相手取るのだもの
限界まで癒して回ったら、最後尾の人を追い立てながら疲れない速度でゆっくりついていくわ

後ろを振り返っている人は…大事な人を遺してきた人もいるのよね
彼らは…、連れてはいけないけれど、絶対に解放する。
夢で会えるようになるわ、そうでしょう?


ニレッド・アロウン
【POW】
しかし、この霧雨の中、進まなくてはいけないというのも視界が悪くて大変ではありますし、斥候もいて面倒ですね……

とりあえず【炎の魔力】を纏って体温を下げないように注意しつつ、背部の翼を駆使して空を飛んで警戒しておきます。幸い、眼帯を着けていても【視力】は大丈夫ですし、夜でも【暗視】で見えてはおりますからね。

敵の斥候を発見したら、高所と霧雨という視界の悪さを生かした奇襲で仕留めていきましょう。【トリニティ・エンハイス】で攻撃力は増しておりますので、確実とはいわなくても重症くらいは狙えるでしょう。狙えるなら、きっちり捕縛して情報を搾り取りたいですが……

※アドリブ・他者との協力歓迎です。


大神・零児
まずは蝋を持ち込み、馬車の車軸とその軸受けの隙間に塗り込む。滑りが良くなり少しは負担が減るはずだ。
それから、馬車用に簡単な電動アシストシステムを組んで取り付けるだけの状態にして持ち込み、合流したら取り付ける。車軸の回転で発電し、その電力で小型のアシストモーターを動かす仕組みだ。改造で増やす積載量の計算もしておき、必要なモーター出力と電力もカバーできるようにしておく。

あとは運搬可能な積載量の増加。
予め馬車の構造を予測して構造計算し、素早く積載量を増やせる改造方法を探しておく。
移動に必要な力はアシストモーターで、できるだけ力のロスがないように車輪も効率のいいものに改造。

必要な工具も最低限用意。


ファルネーゼ・アトラス
領主様へのお仕置きはまた後程
今は何よりも、苦しんでおられる人々を少しでも癒さなければ
さあエチカ、少しでも力になれるよう頑張りましょう!

辛い旅の途中、怪我をされた方もいらっしゃるかも知れません
ファルはその様な方々を【シンフォニック・キュア】で癒します
絶望する人々の心に少しでも希望が芽生えるよう、心を込めて希望の歌を歌います
皆様の治療が終り次第食事の配給もお手伝い致しますね
あたたかいお料理は元気の源です!
勿論人々への『鼓舞』だけでなく、お馬さんも元気付けてあげたいです
きっと、この子もとても疲れていると思いますから

人は誰しも生きる権利があります
それは、何者の手によっても侵されるべきではありませんもの




「さて。隊列が伸び切っているな。全員を一度まとめよう。小休止するんだ」
 大神・零児が言う。人々はその提案にほっとしつつも、同時に、足を止めることへの不安でいっぱいになっている。
「この霧雨の中を進まなくてはいけないというのも視界が悪くて大変ですし、斥候もいて面倒です。皆さんを守るためにも、もう少し固まった方がよいでしょう」
 ニレッド・アロウンはそう言って皆の不安を和らげる。動ける者が後ろを気にして速度が遅くなっては、本末転倒だと。
「ここは藪になっていて見えにくいですし、隊列を整えるにはちょうどいいですね。さあ皆さん、お食事ですよ! エチカ、少しでも力になれるよう頑張りましょう!」
 そこにファルネーゼ・アトラスが持ってきたのは、スープとパン。久方ぶりの食事を見て、人々はハッと目の色を変え、それに群がり始める。ふわふわとした毛並みの精霊・エチカが、にこにこしながらその周囲を飛び回って。
「怪我をしている人は、ご飯を食べながらでいいから、こっちまで来て。治してあげるからね。大丈夫、生きやすい世界は沢山あるわ」
 ビビ・カラットは足をすりむいたり、挫いたりして歩みの遅い者たちを集め、その患部へと手をかざす。【生まれながらの光】が漏れ出でて、その痛みを包み込むように取り払っていく。
「アンタ達は……一体……」
「猟兵っていうのよ。今はそれだけ覚えておけばいいわ」
 驚愕に目を丸くする老人の肩を叩き、ビビは唇に手を当てた。細かく事情を説明する暇はない。彼らは猟兵の庇護下に入ったが、安全圏に脱したわけではなく、より速く移動するために一時的な小休止をしているにすぎないのだ。
「あたたかいお料理は元気の源です! よく噛んでお食べください。さあ、出発の準備が整うまでの間は、少し歌でも聞いて安らいでくださいね」
 ファルネーゼは、肩にエチカを乗せて小さな声で歌い始める。絶望の中に灯る希望を歌う清らかな歌声は、ビビの柔らかな光に乗って共に人々を癒す。
「あ、お馬さんも元気付けてあげたいです。きっと、この子もとても疲れていると思いますから」
 一曲終えたファルネーゼがそう言い出し、ビビはなるほど、と手を叩いた。
「歩き通しで足とか痛めてそうね。さあ、こっちいらっしゃい。治してあげる」
 そうしてその席には馬たちも加わり、彼らはほんの僅かに得られた安らぎの時間に、涙を零して食事にむしゃぶりつくのだった。

「……どのような感じです?」
 その光景を背に、二レットが小声で零児に尋ねる。馬車の車輪を弄っていた彼は、舌を打った。
「何年使ったんだか分らんくらい酷いもんだな」
「急ぎましょう。休む分、足を速めなければなりません。そっちの機械は?」
「UDCアースの電動アシストモーターだ。車輪を交換してこいつを取り付ければ、馬の負担は減って、速度は上昇する。問題は、規格が全く異なることだな」
 事前に予測を立て、組んで来た取付案の図はいくつも用意してある。このどれかが上手くはまれば、短時間の内に改造も可能であるはずだ。
「しかし、機構を改造するわけですから、ある程度はかかりますね。なら私は、周囲を飛んで警戒を行います」
「頼む。可能な限り急ぐ」
 そして零児は持ってきた工具を取り出して、孤独な闘いを始めるのだった。

 零児は雨の中、悪戦苦闘しながら馬車を改良して。
 ビビとファルネーゼは周囲を優しく照らして歌い、人々を癒す。
 その光景から離れ、二レットは暗闇の中を舞う。
(「炎の魔力を纏っているおかげで、それほど寒くはありませんが……視界は悪いですね。休んでいる今は、むしろ有利でしょうか」)
 彼女は眼帯越しに、己の技能で目を開きながら空より大地を睨む。暗視の力を限界まで使い、その視線を這わせていると……。
(「……! 蒼い灯! あれは、まさか」)
 人々が安らいでいる現場に近づきつつある蒼い灯り。
 彼女は刃を構えると、それに向けて急降下していった。

「……」
 ビビとファルネーゼが、ふっと首を向ける。猟兵たちだけが捉えた、微かな闘いの気配に。
 そこに、急いで零児が馬車を引いてきて。
「モーターをつけて、蝋を車軸と軸受けの隙間に塗り込んでおいた。これで大分、楽に動くようになったはずだ」
 急ぎで語られるのは、結果だけ。彼もわかっているのだ。敵が、側まで来ていることを。
 だが、その気配を人々に気取られれば、彼らは不安に思うに違いない。
「よし、じゃあ出発ね! 大丈夫。あなたたちは毎晩暖かいベッドで眠れるようになる、私はそれを知っている。だから頑張って、ほらほら立ち上がるのよ!」
 ビビが、努めて明るく人々を立ち上がらせる。人々は疲れてはいるものの、幾分か気持ちを立て直して整然と歩み始めた。
 零児とすれ違いざま、ファルネーゼが小声で尋ねて。
「ニレット様は?」
「敵は少数の斥候。猟兵が負けることはない。追い付いて来るはずだ」
 彼女はほんの一瞬、救援に向かうべきかを天秤に掛け、息を吐く。
「領主様へのお仕置きはまた後程……今は何よりも、苦しんでおられる人々を救わなければなりませんね。人が誰しも持つ生きる権利を、侵させるわけにはいきませんもの」
 それが使命だと己に言い聞かせ、零児とファルネーゼは隊列に加わる。
 その最後尾で、遠くの故郷を見つめている女性の肩に、ビビがそっと手を乗せた。
「大丈夫。彼らは……連れてはいけないけれど、私たちが絶対に解放する。夢で会えるようになるわ」
 女性は半信半疑の視線をビビに向けていたが、やがて己を納得させるように頷いた。
(「後ろを振り返っている人は……大事な人を遺してきた人もいるのよね」)
 やるせなさを感じつつも、ビビは最後尾を励ましながら藪を後にする。

 人々の隊列は、再び進み始める。
 その足取りは、以前よりも早く、そして少しばかり強くなって。
 敵の斥候を駆逐してニレットがその列に戻ったのは、それからしばらくしてのことだった……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

草野・千秋
生贄だなんて、虫酸が走りますね……
人の命を玩具にしていい理由なんて、ない
【WIZ】
聞き耳をそばだてつつも
怪しい敵の存在を警戒
安全な新天地を求めどこまでも
お付き合いしますよ
ほんの慰みに歌でも歌いますか
これはUDCアースの歌です
(みんなのうたに出てきそうな優しい歌を歌う)
歌を愛する気持ちに世界の隔たりはないはずですから
ですから……皆さん、気を強くもって
あなたがたを助けるのが猟兵ですから
(そっと笑って警戒を解こうと)


サザレ・ヘリオドール
傷付いた方達をヘリオドールの祝福で癒しつつ、少しでも早く村の人達が追っ手から逃れられるように支援を

馬車を使うなら、その利を活かせるように整備された街道や平原等、馬車が進みやすいところを進む方が効率的かも
森の木の根っこに引っ掛かったり、岩場や湿地で足止めされたら……折角先行している有利が活かせません

それに、平原なんかは追っ手に見つかりやすいかもしれませんが、逆に考えれば……こちらも追っ手を見つけやすい
場合によっては、敵の追跡を撒くために渡り終わった橋を落として、敵を足止めしたりと策を用いることもできるかも

更に途中で森の街道に入ったりすれば、敵の目を欺けるかも

仲間や村人の意見も聞き、最良の手を


霹靂神・霆
オブリビオンである以上、自身も亡者と変わらんくせにのぅ。
それとも亡者仲間が欲しいのかの?
だとしても、必死で生きる者達を過去にはさせてやれんのじゃよ。

※技能【怪力】常時使用

さて、妾は人の子等の護衛でもするのじゃよ。
疲れた者は遠慮無く言うと善い。妾が運んでやるからの?
雨で馬車が泥濘に足を取られる様ならいったん持ち上げて泥濘から脱してやろう。馬も疲れておるなら一緒に引いてやるからのぅ、頑張るのじゃよー!

敵の斥候は殴打。
数が多いならグラウンドクラッシャーで土と泥を掘り返し、亡者共を生き埋めにしてやるかの。
…いや、生きてはおらなんだか。
ではそのまま土に還るが善い。
救うのが間に合わんで、済まんのぅ。


ロク・ザイオン
(道の先が籔や岩で塞がれようと、烙禍の印を叩きつければ炭化し崩して平らに出来る。歩きよくできる。
森番は馬車の先を行こう。)

(おれのみにくい声は耳障りに遠くまで届く。獣避けや危機を知らせるには向くが。ひとを癒やす言葉は、できないから。
ひとりでいい。
……声が嫌でないなら、誰かとともに仕事をするのも構わない)

…………危険から逃がすのも。森番の努めだ。
あねごはそう仰る。

(新たな地で健やかな営みが育まれることを、森番は望む。)


フェルト・ユメノアール
こんなに大勢の人たちから笑顔を奪うなんて
ここの領主は人でなしだね!いや、本当に人じゃないのかもしれないけど
とにかく、ボクはこんなやり方認めないよ!

こういう状況なら……
ボクは手札からスペシャルゲストをご招待!カモン!SPタンブルタイガー!
タンブルタイガーに体力のない子供、老人を優先して乗せて一緒に移動!
それプラス、ソリか台車を引いてそっちにも何人か乗ってもらうよ
乗っている人には休憩と食事をとってもらって体力が少しでも戻ったら他の人と交代
これで少しは進むのが早くなるかな?

みんなしっかり!ボクたちが絶対守るから、もう少しだけ頑張ろう!
と常に明るく努めみんなを励ましながら領地からの脱出を目指す




 人々の列が、荒野を進んでいく。
 先ほどの小休止や食事、馬車の改造のおかげか、しっかりした足取りを取り戻して。
(「生贄だなんて、虫酸が走りますね……人の命を玩具にしていい理由なんて、ない」)
 草野・千秋は進む人々の横顔を見詰めつつ、少し足を庇っている老人に手を貸した。
「すまないね……」
「いえ。安全な新天地を求め、どこまでもお付き合いしますよ。ほんの慰みに歌でも歌いますか。これはUDCアースというところの歌です」
 そう言って、彼は素朴で優しい歌を歌い始めた……その時。
 千秋はびくっと顔を上げた。
 隊列の先頭から、微かに悲鳴が聞こえたのだ。

 霹靂神・霆は、即座に列先頭へ走り込む。
 死んだ姿のまま甦ったが如く、血塗れの姿をした亡者が二体、先頭集団に走り寄って来る。
「ふむ……亡者は生者を新たな亡者とせんと望むか。領主とて、オブリビオンである以上、自身も亡者と変わらんくせにのぅ……!」
 目を走らせれば、人々はまだ誰も傷つけられてはいない。襲撃によるパニックで、将棋倒しを起こしているのだ。
 霆は、一足飛びに亡者に肉薄すると、その頭上から渾身の拳を振り下ろした。
 一体の亡者は直撃を受けて弾けるように消滅し、もう一体はその衝撃に引きずり込まれるように、足を取られる。
 霆が振り返った時には、別方向から駆け付けたロク・ザイオンが、残る一体を突き刺していた。
「とどめ……刺した。他には、いない」
 俯いて報告するロクの言葉に、老婆は頷いて。
「うむ。亡者たちよ、必死で生きる者達を過去にはさせてやれんのじゃよ。そのまま土に還るが善い。救うのが間に合わんで、済まんのぅ」
 だが幸い、誰も死なせないままに最初の襲撃を乗り切ったようだ。
 そこへ走ってきた千秋が、状況を見てほっと息を漏らして。
「襲撃は、片付きましたか……ありがとうございます。僕は、怪我をした人を癒しますね」
 再び、その優し気な歌声が響き始め、将棋倒しになった人々の打撲や捻挫を癒し始める。
「歌を愛する気持ちに世界の隔たりはありません。ですから……皆さん、気を強くもって。あなたがたを助けるのが、僕たち猟兵ですから」
 続いて、フェルト・ユメノアールとサザレ・ヘリオドールも駆けつけて来くる。フェルトは、ショックで青ざめた人々の状態を見るなり、憤慨した。
「こんなに……大勢の人たちから笑顔を奪うなんて! ここの領主は人でなしだね! いや、本当に人じゃないのかもしれないけど、とにかく、ボクはこんなやり方認めない!」
 震えるほどの怒りには、皆、共感している。だが。
「……このまま荒れ地を歩いていては狙い撃ちに合うだけです。馬車を使うなら、その利を活かせるよう整備された街道のような、馬車が進みやすいところを進む方が効率的かも。木の根っこに引っ掛かったり、岩場や湿地で足止めされたら……折角先行している有利が活かせません」
 サザレが、他の道はないのかと提案する。しかしダークセイヴァーで、整備された街道などはそう多くはない。
 考えが行き詰まり掛けた、その時。
 ロクが言った。濁った声音で、ぽつりと。
「逆に、森を行けばいい。森番は、そう思う……」
 その提案に、霆が、ふむ、と、顔を上げて。
「よいかもな。なんせわしらがいるのじゃ。足止めされねばよいわけであろう?」
 サザレもまた、その問いの意味に気付く。そして、利点にも。
「なるほど……敵には今、ここにいると気付かれましたし、森道に入れば目を欺けるかもしれません。あちらの森に入りましょう。抜ければ、近道になるはずです」
 難しい顔をして聞いていたフェルトが、とりあえずの方針決定にほっと一息ついて。
「決まった? 決まりだよね! よし、こういう状況なら……!」
 彼女は、己のデッキから一枚のカードを取り出して。
「ボクは手札からスペシャルゲストをご招待! カモン! SPタンブルタイガー!」
 現れるのは、赤いマフラーを巻いた、巨大な白虎。
「じゃあ、出発!」
 フェルトは明るく叫び、暗い森を指差した。

 そして。
 森の中を、人々の隊列は進んでいく。
 その後方では、森を物ともせずに白虎が歩んでいた。その後ろに、荷車をくっつけて。
「タンブルタイガーは強いからね。体力のない子供やご老人は、どんどん乗って! 台車にも、乗れるからね! あ、乗っている人には休憩と食事をとってもらって、体力が少しでも戻ったら他の人と交代するようにしてくれる?」
 フェルトの頼みに、千秋は微笑んで頷く。
「了解です。足場の悪い森の中でも、これでどうにか進めますね」
「うん! さあ、みんなしっかり! 前の方でも、仲間が頑張ってる! ボクたちが絶対守るから、もう少しだけ頑張ろうね!」
 その更に後ろ……殿では、サザレが一人、その杖を輝かせて木を切り倒していた。
(「敵の足を遅らせる為に歩んだ道を潰すのは、行軍の常道。策を用いるなんて柄ではありませんが……これで少しでも、追跡を撒けるならば」)
 彼女の視線の先は、森道が斬り倒された木で塞がっている。亡者たちと言えどもそう簡単には追い付いては来られないはずだ。
 一方、隊列の先頭を走るのは、ロクだった。その目が道をふさぐ岩を見つけ、彼女は剣の烙印を岩に叩きつけて炭化させていく。
(「道が塞がれていようと、烙禍の印を叩きつければ崩して行ける。森番が馬車の先を行けば、森の中も進めるはずだ」)
 振り返れば、崩れた道に馬車の車輪が取られた際には、霆が気合と共に馬車を押し進めていた。
「馬も疲れておるなら一緒に引いてやるからのぅ! 頑張るのじゃよー!」
 サザレが後ろを崩して敵を妨害し、ロクは前を崩して隊列を導く。その隊列の中で、三人の番犬が人々の歩みを助ける。それが布陣だ。
(「おれのみにくい声で、ひとを癒やす言葉は、できないから……ひとりでいい。そう思っていたけど……」)
 別に、誰かとともに仕事をするのを拒むわけではない。
「……危険から逃がすのも。森番の努めだ。新たな地で健やかな営みが育まれることを、森番は望む」
 独り言ちたロクは、その身がふっと森を抜けたのを感じた。
 最初の襲撃以来、襲われることのないままに、隊列は抜け道を踏破したのだ。
 森を抜けた人々は、安堵のため息を漏らしながら喜び合う。

 目的地の領地境までは、あともう少しだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

ガルディエ・ワールレイド
【POW】
護衛につくぜ。遅滞戦闘をしかけて来るっていう奴は絶対に仕留める

ドラゴンランスが変化した小型ドラゴンを活用
高く飛んで逆に見つかるとまずいから多用はできねぇが、
大きな木の近くとかの飛んでも目立たない場所は見張りに使う
戦った敵が逃げようとした時も見失わないように追いかけさせるぜ

戦闘では【血統覚醒】
これを一般人に見られるとパニックになるかもしれねぇから、ローブを用意して自分を隠した上で後ろ姿しか見られないようにする。

それと、敵の斥候と戦ったり追ったりする時にちらりと真紅の瞳を見せてヴァンパイアの振りをする
「誰を相手にしているか理解しているのか?」
判断を迷えばその隙に殺したり追いついたりだ。


ガウナガルム・カール
【POW】護衛として付く、見回りをする。
支配…いけにえ…ふざけるな。
悪いやつは、みんなのこさず殺す。

敵は"たいぐん"らしいな。それなら、ひろい攻撃のほうが良いだろう。
【人狼咆哮】で、たくさん敵をたおす。…ただ、オレの攻撃は、なかまもきずつける。
出来るだけ、列の後ろへ行こう。"しんがり"…というやつか。

もしオレが止められなくても、ばしゃの近くにいるなかまが、きっと止めてくれるだろう。
だけどもし、なんみんが危険になったら…【捨て身の一撃】で、"たて"になる。

殺されるだけ…使われるだけの人生なんて、クソ食らえ、だ。
オレたちが、自由にしてやる。…ぜったいに、お前たちを逃がす。


ヴィゴ・ストーム
自ら救済の道を切り開こうと奮い立つ皆さんの勇気を後押しさせて頂きます。

【POW】
僕は避難民の隊列の護衛を務めます。
追い縋る敵を撃退する為、殿に控えつつ
僕達が守りますから安心して、前だけを見て進んでください
と、皆さんに声をかけて励ましてあげたいと思います。
敵に急襲されないように背後からの気配などには弛まず警戒しておきます。

交戦時は長剣を用い、またライオンライドを使用して
避難民の皆さんに累が及ばないように敵の目を引きつけながら、
皆さんを勇気付けられるように堂々と戦うように心懸けます。

不安と恐怖の奥底に煌めく希望の灯を守る為に、精一杯頑張ります!


ロア・ネコンティ
【共闘OK】
【WIZ】人々の体力回復と周囲の警戒

闇ばかりの世界で抗う事を決めた人々の心は尊く守るべきもの。そしてそれを踏み躙る奴らが僕は大嫌いだ。

【カムパネルラ】で領民達の体力の回復をします。
いっぺんに使うと目立つ上僕が戦えなくなってしまうので、エレメンタルロッドに魔力を込めて一人ずつ、少しずつ回復させます。最初に馬車内の方々に、次にお子さんと年長者、最後に村長さんと馬車を引く馬にも。皆不安だと思うので大丈夫、必ず守ると励ましながら周ります。

並行して【暗視・聞き耳】で周囲の警戒もします。敵の斥候を見つけた場合は領民達に不安を与えないように、手早くタガーで【早業 ・2回攻撃】をして葬ります。




 森を抜けたものの、もはや向かう方角は割られただろう。
 敵の本隊は今頃、全速で森を回り込んでいるはずだ。
「あと少しです! 森道で傷を負った人はこちらに!」
 だがロア・ネコンティに従う人々の目には、逃げ切れるかもしれないという希望がある。
(「これが……闇ばかりの世界で抗う事を決めた人々の心。それを踏み躙る奴が僕は……大嫌いだ」)
 その時、亡者の鳴き声が遥か遠方より響き渡った。
 どこからかもわからぬ咆哮に、人々は途端に恐慌状態に陥る。
「追っ手か! クソッ!」
 ガルディエ・ワールレイドが側の木に跳び登った。肩に乗せていた小竜が、彼方の蒼い灯に気づいて鳴く。
「荒れ地の向こうに……二体だ! まだ遠いし数も少ないが……見つかったぞ!」
 荒野に響く、梟の鳴き声にも似た呻きを聞いて、ヴィゴ・ストームは悟る。
「追い縋って来ましたか。恐らく、小回りの利く少数の斥候を呼び集めてこちらを足止めする気でしょう」
「支配……いけにえ……ふざけるな。オレは、しんがりにつく。オレたちが……ぜったいに、お前たちを逃がす」
 ガウナガルム・カールが怒りに燃えて牙を剥く。
 不器用な宣言を聞いたロアが、パッと隊列に振り返って。
「蠍の火よ……灯れ!」
 呪文と共に、怯えていた人々に優しい光が降り注いだ。それは人々の微かな傷を全て癒し、方角を指し示す星の如く瞬いて。
「そちらの二人が殿に着き、僕たち二人が横を守ります! さあ、慌てず急いで……出発です!」
 殿に向かうのは、ガルディエとガウナガルム。ロアとヴィゴは、二人と頷き合うと隊列の中腹につく。
 人々は走り出し、亡者たちが追い縋る。
 ……逃避行は、最後の局面を迎えていた。

 殿に着いたガルディエとガウナガルムは、追いかけて来る蒼い灯を睨む。
 先ほどの二体にもう二体が合流し、今は四体。血塗れの不死者が、駆けてくる。
 二人の視線は、一瞬交わって。
「……オレなら、ひろく攻撃できる。だが、オレの攻撃は、なかまもきずつける。だから、オレが討ちもらした分を、たのむ……!」
 言うなり、ガウナガルムは後ろへ身を翻した。人狼としての力を抱きかかえるように身を縮ませて、走り込む。
「殺されるだけ……使われるだけの人生なんて、クソ食らえ、だ。だから……もう眠れッ!」
 息を吸い込み、渾身で放つは【人狼咆哮】。
 喰らい付こうとした二体の亡者が、凄まじい咆哮と力の奔流の中に消し飛んだ。
(「悪いやつは、みんなのこさず殺す……許せ」)
 残る二体も、爆風に当てられたが如く吹き飛ぶ。
 そこに、小竜をドラゴンランスへと変えて、ガルディエが待ち構えていた。
「亡者、か。弱き者よ。誰を相手にしているか理解しているのか?」
 ローブの向こうに隠れた瞳が真紅に輝き、その身に吸血鬼の力が漲って。
 その槍が、紅い軌跡を帯びて振るわれる。
「っと……すまねえな。判断する間はなかったか……安らかに眠れよ」
 ガルディエがローブを目深に被りなおして振り返ると、紅いシャワーの如く二体の亡者は砕け散った……。

 一方、隊列の中程ではロアが駆け抜けていた。脇から迫る亡者の足首に、彼のダガーが閃いて。
 転んだ亡者の上から、黄金の獅子がその頭を押し潰す。
(「不安と恐怖の奥底に煌めく、希望の灯を守る為に……!」)
 獅子の上に跨るのは、ヴィゴ。その長剣が振るわれれば、もう一体の亡者の首も舞うように飛んで。
「自ら救済の道を切り開こうと奮い立つ皆さんの勇気こそ、希望の灯! 微力ながら後押しさせて頂きます! さあ、走って! もう少しです!」
 彼は長剣を高く掲げて人々に吠える。
 もはや、目的地は目の前。
 領地を仕切るための粗末な柵を押し倒して、先頭集団は遂に領主の支配域を脱する。
「助かった!」
「先に行くよ!」
「ありがとう……! ありがとう!」
 人々が感謝を叫びながら外界へと脱していく中、村長が馬車を先に行かせて、足を止めた。
「猟兵さんたちも! 早く!」
「僕たちのことは気にしないで。さあ」
「ええ。アレに追い付かれないうちに」
 ロアとヴィゴが指したのは、地平線。そこにはもう、無数の鬼火が迫っていた。
「……!」
 村長は言葉を詰まらせる中、人々は雪崩を打って外界へと逃げ延びて行く。
「何してんだ、行け!」
「逃げろ。自由になれ……!」
 追いついてきたガルディエとガウナガルムも彼女に背を向け、迫り来る蒼い灯に向き直る。
 敵地に残る者に、隠れ里の位置情報は伝えられない。
 つまり……恐らくこれが、今生の別れなのだ。
「……忘れないわ! 幸運を!」
 村長はそう言って駆け出していった。

 そして荒れ地の領地境に、猟兵たちだけが残される。
 向こうから迫るのは、無尽の蒼い灯……新天地へ行った仲間に追い縋る、怨霊の群れだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『残影』

POW   :    怨恨の炎
レベル×1個の【復讐に燃える炎の魂】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
SPD   :    同化への意思
【憐憫】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【異形の肉塊】から、高命中力の【絡みつく傷だらけの手】を飛ばす。
WIZ   :    潰えた希望の果て
【悲観に満ちた絶叫】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●残された影の群れ
 逃亡者たちが、駆けて行く。
 一人一人、後ろを振り返りながら。
 先導してくれた者たちが追って来ないことを知り、ある者は涙し、ある者は叫び、ある者は祈る。
 だが、彼らは猟兵を知らない。
 彼方世界を飛び回り、過去より来たる怨霊を狩る者たちのことを。

 亡者たちは追い縋る。
 足音もなく、浮かぶように。
 虚ろな目で、新天地へ羽ばたいていった仲間たちの背を睨みながら。
 それは生贄となり、現世に焼き付けられた影。
 亡者と化して時が経ち、領主の使用人たる身分を得た者たち。
 豪奢な衣服をはためかせ、白んだ顔で猟兵たちを睨み据える。
 彼らは知っている。もうすでに、オブリビオンであるがゆえに。
『何故……』
 ぽつりと、青ざめた唇から漏れる言葉。
『私たちのことは……』
 浮かび上がる、無数の鬼火。
『助けてくれなかったの』
 恨みと共に蒼く燃え上がり、硝子を擦るような奇声と共に、亡者たちは襲い掛かって来た……。
サザレ・ヘリオドール
助けが間に合わなかったのは……弁明しようのない事実です
それでも……それでも!

これ以上の犠牲を出さないために、あなた達を討ち、暴虐の限りを尽くす領主を排除するのが私たちの仕事

せめて、あなた達をこの場で倒し……これ以上の罪を負わなくて済むようにするのが、私の思い付く最大の慈悲です

おこがましいとは思いますけどね

私は後方から、ヘリオドールの祝福で仲間を癒して、誰も倒れずに
敵をひとりたりと通さないように、戦線を支えますね

負傷者が多ければ、全力魔法で更なる効果を狙い、仲間の危機なら一旦前に出て、敵をメイスでぶん殴って気絶攻撃を狙って

ここであなた達に討たれる訳には……いきません
逃げ延びた人達の平穏のためにも


大神・零児
第一段階:「全身の毛が白銀色となり、妖刀から血のような色のオーラが立ち上る」

無双の意識は俺の意識そのものを使用する。ゆえに視界で俺の姿を捉えていようがいまいが、俺の行動そのものを認識する事は第六感以上の感覚の持ち主でないと無理だ。

恨みも明確な敵意。敵意や相手の攻撃しようとする意識は、相手の持つ武器や飛ばしてくる物、言葉などにも載る。それらや敵本人を自分の体の外へ広げた【自身からレベルm半径を覆う自分の意識】【それを用いた対象全員の意識に触れる感覚】【その感覚により敵意を可視化し回避する意識】で捉え、回避する。敵が攻撃しようと意識したその瞬間を捉えた時には、瞬時に俺の体は最適な行動をしている。


ガウナガルム・カール
さっきのヤツらとは、ちがう。強さも…悲しさも。
……いや、ただの敵、だ。じゃまをするなら、殺すだけ。

うでを切って、ツメを強くする([ブラッド・ガイスト])。
敵のこうげきは、当たっても気にしない。血が出るほど、[刻印(ドライバー)]は強くなる。
だが、危なそうなやつは、[第六感],[見切り]でよける。

亡者の数が、少し多い…か。動きを止めた方が、良さそうだ。
[恐怖を与える],[傷口をえぐる]で、動ようさせる。
…もし、【絡みつく傷だらけの手】につかまったら…そのまま、[捨て身の一撃]だ。

……お前達も、ぎせい者…だったな…。
だが、オブリビオンは、助けられない。
悪い領主は、必ず殺すから…今はただ、消えろ。


フェルト・ユメノアール
みんな行っちゃったね
でも、ここからが本番だよ
2度とこんな事が起きないように領主を倒さなきゃいけないんだから!

亡者が相手ならボクはスペルカード、【無人造の機兵】を発動!
自分のレベルと同数の機兵トークンをバトルエリアに召喚する!
さらに、機兵トークンの効果発動!
18体の機兵トークンをリリースして、1体に能力を集中!
……機械は感情がない。だから【同化への意思】の効果は無効になる!
いっけぇ!機兵トークン!
ボクも機兵を盾にして一気に敵に接近
『カウンターと投擲』を利用した連携攻撃で一気に亡者たちを蹴散らすよ

亡者撃破時には
助けられなくて、ごめんね
と少し悲しそうに呟く




 亡者たちが、一斉に迫り来る。身構えた猟兵たちから、我先に跳び出すのは、大神・零児。
「垣間見ろ! 第六感の、その先を!」
 瞬間、その毛並みは白銀に輝き、抜き放った妖刀からは血色の闘気が立ち上った。彼の意識領域は解放され、その内の動き全てを己の体のように知覚する。
(「……ここに在る全てが、今は俺の意識そのもの。視界で俺の姿を捉えていようがいまいが、俺を捕える事は第六感以上の感覚の持ち主でないと不可能だ……!」)
 掴みかかろうとする手を、零児は舞うように潜り抜ける。閃いた妖刀が、その度に敵の身を裂いて。
(「……! 来る!」)
 その時、亡者たちの背後に浮かんだ血色の肉塊から、無尽の腕が飛び出した。紅色の筋が入った腕は、網のように広がりながら零児の逃げ道を塞ぐ。
「なるほどな。捉えられぬ相手を捕えるのには、良い戦略だ。だが、刀を忘れているぞ……!」
 妖刀を一閃させ、迫る手から文字通り道を切り拓く零児。
 掴みかかって来る爪で傷を負いつつも、超人的な感覚を駆使して彼は亡者の群れの中を踊る……。

 激しく争う亡者と零児から目をそらし、フェルト・ユメノアールは後ろを見ていた。地平線に消えて行くカンテラの紅い灯を。
「みんな……行っちゃったね」
 だが向き直った彼女の目には、力が宿っている。
「でも、ここからが本番だよ。二度とこんな事が起きないように領主を倒さなきゃいけないんだから!」
 一方、希望を背負った猟兵の姿を追い求める亡者たちを見ていたサザレ・ヘリオドールは、目を伏せていた。
「助けが間に合わなかったのは……弁明しようのない事実です。それでも……それでも!」
 その隣に立ったガウナガルム・カールは、勢いを増す亡者たちの力を睨んで。
「さっきのヤツらとは、ちがう。強さも…悲しさも……いや、考えるのは、そこじゃない。これは、ただの敵、だ。じゃまをするなら、殺すだけ」
 その言葉を受けて、サザレも迷いを振り切る。
「ええ……これ以上の犠牲を出さないために、あなた達を討ち、暴虐の限りを尽くす領主を排除するのが私たちの仕事……!」
 心を決めて、猟兵たちは身構える。

「行くよ!」
 フェルトが取り出すのは、彼女愛用のスペルカード。
「ボクは手札からスペルカード【無人造の機兵】を発動! 自分の力のレベルに応じた機兵トークンをバトルエリアに召喚する!」
 現れるのは二十体近い機兵の群れ。押し寄せる亡者の数には遠く及ばない、が……。
「さらに、機兵トークンの効果発動! 一体を残して機兵トークンをリリースし、能力を集中する!」
 機兵たちは時計の歯車が鳴るような音と共に巨大な一体に組み上がっていく。向かってきた亡者たちが、一撃でその巨体に吹き飛ばされて。
「……機械は感情がない。だから【同化への意思】の効果は無効になる! いっけぇ! 機兵トークン!」
 鐘の音にも似た咆哮と共に、巨体の機兵は亡者たちを薙ぎ払いながら進んでいく。
 その後ろにつきながら、ガウナガルムは静かにその爪で己の腕を裂いた。
「亡者の数が、多い……か。動きを止めた方が、良さそうだ。オレ自身の血をだいしょうに……な」
 跳び出したガウナガルムは、瞬時にその爪を振るった。目を掠める気配に亡者たちが気付いた時には、その手や足が宙に舞い、その脇腹を切り裂いていく。例え、追いすがる手が皮膚を裂いても。
(「この程度……気にはしない。血が出るほどに、オレの【刻印】は強くなる!」)
 走り抜けながら、ガウナガルムは零児とすれ違った。二人の刃は瞬間的に交わり、亡者の首が飛ぶ。二人の戦士は、戦場での一瞬の交錯を経て、再び敵の群れの中に滑り込む。
 一方、フェルトは暴れ狂う機兵の肩に乗りながら、押し寄せる亡者の額を投げナイフで射貫く。
「助けられなくて……ごめんね」
 圧倒的な猟兵たちの力に、亡者たちは縋り付くことも叶わぬと思われた、その時。
 悍ましい金切り声が響き渡った。物理的な斬撃が周囲を劈き、同じ亡者たちの身さえ切り裂きながら、同士討ちさえ構うことなく連鎖する。
「……!」
 猟兵たちの咄嗟の防御も突き破り、その身にも紅い筋が迸る。
 だが。
「あなた達をこの場で倒し……これ以上の罪を負わなくて済むようにするのが、私の思い付く最大の慈悲。おこがましいとは思いますけど……」
 仲間たちの後ろで、静かに杖を掲げる者が一人。サザレは、静かに祈りを捧げながらその杖を掲げる。
「私達は討たれる訳にはいきません。生き延びた人たちの平穏のためにも……あなた達を討ちます!」
 その杖が光を放ち、一瞬で仲間たちの傷を癒していく。猟兵たちは一気にその勢いを取り戻して。
「お前達も、ぎせい者……だったな。だが、オブリビオンは、助けられない。悪い領主は、必ず殺すから……今はただ、消えろ」
「威力の低い範囲攻撃の連続で、道連れ狙いか。つくづく亡者だが、その程度で俺を倒せはしない」
「よし、みんな改めて行こう! 逃げて行ったみんなを、守るんだ! 機兵、突っ込め!」
「ええ、敵は一人たりと通しはしません」
 それぞれの決意に合わせ、サザレは飛び込んで来た亡者をその杖で叩きのめす。

 その心に灯った決意の炎は、もう消えはしない。
 猟兵たちは次々と亡者を打ち倒しながら、その波をかき分けて行くのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

ファルネーゼ・アトラス
貴人方を助けられなかった事、悔しく思います
ファルも、圧政に苦しむ全ての人々を救いたかった
ええ、言い訳にしか聞こえぬでしょう
けれど…それでも構いません
助けられなかった人々を踏み台にしてでも
今度こそ、助けられる命を救うのです

――せめて、今度こそ安らかにお休みになられますよう

皆様の回復の為に【シンフォニック・キュア】を使用致します
少しでも長く、多くの方々が傷を癒して立っていてくれますよう
高らかに「鎮魂」の歌を歌い続けましょう
絶望に彩られた悲痛な絶叫に、希望が負けぬよう
歌い続ける事で皆様への鼓舞にもなるならば、声が嗄れる事すら厭いません
痛みだって幾らでも我慢出来ます
誰かが倒れる姿等、見たくはありません


アイリ・フラジャイル
■連携可
遅くなってゴメン!
ここから一歩たりとも、絶対に前へは進ませない!
局地魔導兵装リゾルバー:拠点防衛形態を召喚
正面に防盾、その左右に25㎜蒸気機関砲を装備
二連装蒸気機関砲の水平射で味方の援護を主に
防衛ラインを抜けて来る亡者は片っ端から撃ち落とすわ
多少の攻撃は防盾で受け切る!

世界知識を予め学習して状況を把握、相手の手の内を想定する
憐憫の感情を与えようとするなら皆を鼓舞して気持ちで乗り切る!
残念だけど、アンタ達はもう此処にはいないのよ
怯まないで、過去に喰われたら未来が無くなる
アタシ達が守り抜くものは、失われた時間じゃない!

火を放たれたら火炎耐性である程度凌ぐ
機関砲攻撃には火の属性攻撃を付与する


ガルディエ・ワールレイド
「お前らを助けられなかった事には謝り様も無ぇ。だが、それでも。生きている奴らを救うために、お前らは此処で倒す!」

【竜神の裁き】を主体に戦うぜ
【属性攻撃】を乗せたユーベルコードの雷で敵を範囲攻撃が基本だ

仲間との連携を重視して、基本は前衛だ
(前衛過多なら少し下がって竜神の裁き中心で攻撃しつつ、いざという時に前衛穴埋めを出来るポジションへ)

武装は、【怪力】を活かしたハルバードと長剣の二刀流。
「竜神の裁き」と「武器のどちらか(その時々で振るい易い方)」で【2回攻撃】が基本だ。
肉塊は【武器受け】で防ぐし、攻撃全般に対して【オーラ防御】
感情に訴えてくる行動には【気合】だ
味方に通ってヤバそうなのは【かばう】


ニレッド・アロウン
「……あいにくですが、私は救われた側なのでその言葉に対して答えることはできませんねー」
【POW】

・さて、相手は亡霊の群れですね。少なくともオブリビオンとなっている以上、説得は困難なものとして行動します。群れの一部から味方を守るため最前線に立ち、【無敵城塞】を発動します。
・いくらほぼ無敵になるとはいえ、動けないのはデメリットが大きすぎます。【オーラ防御】で一定範囲の攻撃を防げるようにしつつ、相手の攻撃に合わせて【無敵城塞】の解除と発動を連続で行っていきます。流石に何度もすると私も疲れますので、疲労に合わせて水晶鋏で攻撃を受け流しつつ盾役として行動していきます。解除できないなら、そのまま棒立ちで。




 亡者たちの数は無数にして、薙ぎ払うには易い。
 だからこそ躊躇うものがある。
『私たちに……』
 伸ばされた片手は陶器のように白く、紡がれる言葉は虚ろ。
『助けは、なかった……』
 にじり寄る亡者たちがファルネーゼ・アトラスを一歩下がらせたのは、その力の威圧からではない。
「貴人方を助けられなかった事……悔しく思います。ファルも、圧政に苦しむ全ての人々を救いたかった……言い訳にしか聞こえぬでしょうが……」
 せめてその爪をこの身に喰い込ませたら、少しは無念が晴れるのだろうか。いや……無為なことだ。
 惑いつつ俯いたファルネーゼの首を、白んだ腕がくっと掴む。
『ねえ……』
「お前らを助けられなかった事には謝り様も無ぇ……だが、それでも。生きている奴らを救うために、お前らは此処で倒す!」
 その腕が首に力を掛ける寸前、紅い電撃が迸る。陶器人形の腕が捥げるように千切れ飛び、周囲の亡者が吹き飛ばされて。
 けほっと一息ついたファルネーゼの前に飛び降りるのは、ガルディエ・ワールレイド。
 腕を落とされた亡者たちは、絶叫と共に鬼火を解き放って二人へ群がらせた。
「やらせないわよ! コール・リゾルブ!」
 そして今度は、二人を覆うように機関砲を形どったガジェットが展開する。その防盾が火焔を受け止め、アイリ・フラジャイルが座席に飛び降りて。
「みんな、怯まないで! 過去に喰われたら未来が無くなる。アタシ達が守り抜くものは、失われた時間じゃない!」
 亡者たちは呻きながら砲台へと群がろうとするが、それはニレッド・アロウンがその鋏を大きく開いて受け止めた。己の闘気を全開に、力と力でせめぎ合いながら。
「……あいにくですが、私は救われた側なのでこの問いに対して答えることはできませんねー。やるべきことをやるのみです」
 ニレッドは、気迫と共に亡者たちを押し返す。
『みんな……死んで……同じに……』
 尤も、亡者たちはすでに四人を圧しつつ、彼方へ逃げて行くカンテラの灯りを睨んでいた。猟兵たちを圧し潰して、逃げる希望を喰らい潰さんと。
 身構える仲間たちの中で、ファルネーゼが決意と共に顔を上げた。
「構いません……助けられなかった人々を踏み台にしてでも、今度こそ、助けられる命を救うのです。せめて、この方たちが今度こそ安らかにお休みになられますよう……ファルは、歌います」
 うねる嘆きの海の中で、四人の猟兵は頷き合う。
 囚われた魂を、解き放つために。

「少しでも長く、皆さまが立っていてくれますよう、高らかに鎮魂を歌いましょう。絶望に彩られた悲痛な絶叫に、希望が負けぬように……!」
 ファルネーゼの透き通るような声が響き始める。それを背に、ガルディエはにやりと笑って。
「頼もしいぜ。さあ、怨霊ども。この雷は半端じゃねぇぜ……冥土の土産話にしてくれや!」
 先ほどの紅い雷……【竜神の裁き】が、再び鳴り響いた。竜の姿を焼き付かせる一瞬の閃光が、海を割るように敵を薙ぎ払う。
「斬り込むぜ! 後ろは任せたからな!」
 雄叫びと共に、ガルディエは割れた敵群の中へ飛び込んでいく。尋常でない膂力で振るわれる長剣が敵の腕を薙ぎ斬り、ハルバードがその首をへし折る。剣槍の二刀流で、強引に亡者を掻き分けて。
 だが強引な攻めに、正面からぶつかり合う義理は敵にはない。無数の鬼火が、その身を覆うべく迫りくる。
「やれやれ、ちょっと強引過ぎですよー」
 その翼を翻し、ガルディエの前に出るのはニレッド。開いていた大鋏を、盾のように閉じながら。
「相手は亡霊の群れ。少なくともオブリビオンとなっている以上、説得は不可能。この技を出している間、私は動けませんからね? 露払いを頼みますよー」
 裂帛の気合と共に、ニレッドの体は輝きながら超硬化する。鬼火の炎も、掴みかかる腕も、まるで寄せ付けぬ【無敵城塞】として。
「ああ! 盾は頼むぜ!」
 連携して敵を遊撃する二人。
 その後ろでは、機関砲が唸りを上げていた。
「局地魔導兵装リゾルバー、拠点防衛形態……! 二連装の25mm蒸気機関砲よ! 防衛ラインを抜けて来る亡者は片っ端から撃ち落とすわ! 多少の攻撃は防盾で受け切るから、構わず攻めて!」
 アイリの言葉に合わせて、機関砲が重く吼える。その頬を悲痛な絶叫が斬り裂くも、交互に火を噴く銃口は亡者たちを次々と撃ち抜いていく。
 圧倒的な攻めに巻き込まれるように消えて行く亡者たち。だが、蒼い火焔や肌を裂く悲鳴は僅かずつ隙を突いて猟兵たちの身を傷つける。
 しかし。
「歌い続ける事がファルの闘い。この声が皆様への鼓舞にもなるならば、嗄れる事すら厭いません」
 ファルネーゼの澄んだ声に、傷は開いた側から塞がっていく。
「残念だけど、アンタ達はもう此処にはいないのよ!」
「ああ! このまま押し切るぜ! あるべき所へ、帰んな!」
「ちょっと疲れてきましたけどね、まだまだ頑張りますよー」
「ええ。痛みなんて、幾らでも我慢できます……!」
 この闇から嘆きが途絶え、静けさを取り戻すまでそう長くは掛からないだろう。
 しとつく霧雨の中、猟兵たちは闘いの熱に身を預けながら、戦場を鎮めて行くのだった……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

シャルロット・ルイゾン
グウェンドリン様(f00712)と同行いたします

ええ、わたくしたちは、あなた様方には間に合いませんでした。
けれど、ご安心くださいませ。
あなた様の二度目は美しく幸福に葬って差し上げます。

咎力封じで可能な限り攻撃力は削りましょう
負傷した相手には傷口をえぐって
生命力吸収でわたくしも力尽きぬ様

フェイントを駆使しながら
近付きすぎるものはなぎ払いますわ

同化への意思へは矜持で対抗致します
わたくしは敬意をもって命を刈る者
憐憫の情は礼を欠くものですから、生憎と持ち合わせておりませんの

ええ、グウェンドリン様。

グウェンドリン様のブレードの刺さった相手の首をギロチンで刎ねます
もう苦しまなくてよろしいのですよ。


グウェンドリン・グレンジャー
シャルロット(f02543)と、同行……
元、は……命を、落とした、一般人……なの、よね
でも……先に往く、ため、倒す
皆を、エクソダス……させる…

ブラッド・ガイストを使用
「全部、食べ……て、やる……」
刻印から全ての武器を展開

既に仲間が攻撃した個体に、傷口をえぐって2回攻撃
生命力吸収も使う
あまりに味方に近寄ってくるならMórríganで羽ばたいて吹き飛ばし

怨恨の炎はEbony Featherを飛ばして、自分に届く前に燃焼させる
同化への意思へは、倒すという意思で対抗
潰えた希望の果ては空中戦技能で飛んで回避

「シャルロット……同時に、たたみ、かけ……よう」
私は捨て身の一撃で残った奴にブレードを突き刺す




 激しい戦闘によって、亡者たちは次々と倒れて行く。
 その耐久力は限りなく低く、しかし、呪う力は強い。単に『敵』としての性質だけを語れば、そういう類のものなのだろう。
「元、は……命を、落とした、一般人……だも、のね。でも……先に往く、ため、倒す」
 凄まじい勢いの戦場の横腹に、佇む二人の影。
 生きる為に怪物を取り込んだ娘、グウェンドリン・グレンジャー。
 そして、人形を操る魔法人形シャルロット・ルイゾンと、その傀儡。
 そこに。
『どうして……』
 戦場を睥睨していた二人の前に、影のように亡者たちは湧き出でる。
『間に合わなかったの……』
 シャルロットは、穢れのない瞳でうろんな瞳を見返して。
「ええ、わたくしたちは、あなた様方には間に合いませんでした。けれど、ご安心くださいませ。あなた様の二度目は美しく幸福に葬って差し上げます」
「皆を、エクソダス……させる……それ、で……いい、よね?」
 頷いた二人に、亡者たちは襲い掛かる。救いを求める、嗚咽のような呻きと共に。

「全部、食べ……て、やる……」
 グウェンドリンの背から広がるのは、黒い翼……いや、それを模した刃の如き怪物だった。
 己の血を喰いながら、敵をも喰らうUDCを展開し、少女は亡者の群れの中へ突っ込んでいく。縋り付いてくる腕を切り裂き、敵の命を啜って。
 敵の一部は、距離を取りながら異形の肉塊を浮かべて、無数の腕を伸ばしてくる。だがそこへ、輝く拘束具が飛んで、ひとりでに敵を縛り上げる。
「押さえますわ。わたくしは敬意をもって命を刈る者。憐憫の情は礼を欠くものですから、生憎と持ち合わせておりませんの。今ですわ、グウェンドリン様」
「まか、せて……」
 連携しながらグウェンドリンは伸びた翼で敵の首を飛ばし、翼を撃ち放って敵を撃ち抜く。
「シャルロット……同時に、たたみ、かけ……よう」
 主戦場で討ち漏らした敵を片付けながら、グウェンドリンはそのブレードを振るった。伸ばして来た手に肩を抉られながら、構わずその身を叩きつけて押し倒す。
「ええ、グウェンドリン様」
 身悶えしながら腕を伸ばす亡者の頭上に、シャルロットが佇んでいた。その首を、抱えるギロチンにそっと掛けて。
『殺、して……』
 亡者の呟きは、殺してほしいという願いか、殺してやるという呪いか。その答えを聞く前に、シャルロットの抱えたギロチンが、落ちる。
「もう……苦しまなくてよろしいのですよ」
 主戦場の脇で、澄んだ瞳の二人の娘は、過去を狩り取り続ける。
 その嘆きと闇が、灼熱の戦場から、漏れて行くことのないように……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ヴィゴ・ストーム
あなた達全てを救えないのは、僕の力が足りない所為です。

過去に関わることが出来ないから、今出来ることに力を尽くします。
怨恨の炎は長剣で受けて斬り払い、カウンター攻撃を試みます。
どんな辛い記憶があろうと、憐憫の情を抱けるほど僕は強くない。
せめて安らかな眠りを齎せたらと必死で立ち向かっているんです。
だから、悲痛を訴える絶叫には無敵城塞を発動し、受け止めて誠意を示します。
あなた達が向かうのは希望溢れる新天地ではないけれど、
冥府の道の入口まできちんと導いてみせますから。

それから、あなた達のこと、忘れずにいると約束します。
運良く魔手を逃れた皆さんだって、あなた達の苦鳴を、寂寥をきっと知ってるはずですから。


ビビ・カラット
【SPD・共闘歓迎】
さっきは絶対なんて言ってみたけれど
わたし、攻撃するの苦手なのよね
だからできるだけ仲間から離れずに
必要なら回復も心がけながら補助に徹するわ

仲間の門出よ、せめて静かに見送ってあげましょう?
なんて、強がっても此方の感情は筒抜けでしょうから気は抜かず

だってどうしたって憐憫を感じずにはいられないもの
かわいそうだし、憐れだわ…だからわたしを狙うでしょう?

――わたしに気安く触れないで!
うまく惹きつけたら、咎力封じの力で絡みついてくる傷だらけの手に枷を科すわ
何の傷なのかは考えず、顔だって見ない、余計なことは考えない
疲れはてて余裕がないのよ…強そうなあなた、力を貸すから共闘しましょ?


ロア・ネコンティ
【共闘OK】
【SPD】囮として駆け回る。

憐れみはしない。彼らは他人を助ける為に自らを捧げた勇敢な人達だ。今迫っているのは領主に歪ませられた残骸。本当の彼らとは関係ない。囚われた魂を葬らなけば。

群れに横から突っ込み、鋼糸で縛って【敵を盾にする】で攻撃をふせぐ。片手にタガーを持ち【シーブズ・ギャンビット】で敵の首、もしくは正中線を【早業・2回攻撃】させ動きを鈍らせる。多少の時間稼ぎと囮になるだろうか。

彼らをもう助けられないとしても、最期に「あなたを踏み躙った元凶は僕達が屠ります」と伝える。




 息を切らしながらビビ・カラットが肩を抱いている。
「仲間の門出よ、せめて静かに見送ってあげましょう?」
 そう語り掛ける彼女へ返るのは、憎悪に彩られた無数の唸り声。
『寂しい……みんな……』
『あなたも……一緒に……』
 ビビは、頭を振った。強がったところで、此方の感情は筒抜け。反射を意志では抑えられぬように、人は想いを消すことはできない。
「可哀想ね……どうしたって憐憫を感じずにはいられない。憐れだわ……あまりにも」
 そう口にする彼女に向けて、血に濡れた手が無数に伸びて来る。
 だが、それが間近に迫った時、ビビは口の端を僅かに持ち上げた。
「そうね。憐憫を露わに感じている……わたしを狙うわよね? でも、気安く触れはしないわよ!」
 待ち構えていたのは、その瞬間。輝きが走り、無数の腕を枷が縛り上げる。怒りの唸りが亡者たちの口から漏れるよりも先に、立ち上った縄が彼らを縛り上げて。
「今よ……!」
 その叫びと共に、亡者の首が飛んだ。縛り上げられた亡者たちを刈り取るように、長剣が閃いて。
「あなた達を救えないのは、僕の力が足りない所為です。過去には、関わることは出来ないから……だから僕は、今出来ることに力を尽くします!」
 それは、ヴィゴ・ストーム。騎士として、仲間を守り敵を鎮める為に、その長剣が闇を裂く。
 その時、一体の亡者が彼の後ろに回り込み、その首の腕を伸ばした。
「……!」
 だが彼が振り返った時、小さな影が彼と亡者の間を抜けるように跳ぶ。
「憐れみはしない。彼らは他人を助ける為に自らを捧げた勇敢な人達だった」
 着地したのは、ロア・ネコンティ。彼がダガーをしまうと、一拍遅れて亡者の首が大地に落ちる。二人の戦士はほんの一瞬、視線を交わして。
「そうですね……どんな辛い記憶があろうと、憐憫の情を抱けるほど僕は強くない」
「ええ。今迫っているのは領主に歪ませられた残骸。本当の彼らとは関係ない。囚われた魂を葬らなけば」
 二人の背に、ビビがため息を預けて語る。
「二人とも、強そうね。わたし、疲れはてて余裕がないのよ……力を貸すから共闘しましょ?」
 三人は息を合わせて頷き合った。

 ヴィゴが、敵の群れに突進する。その一方で。
「あなたは少し無茶しすぎです……! 囮は僕が引き継ぎますから、敵の拘束をお願いします」
 ロアは、亡者の群れに滑り込みながらそう叫んだ。
「ええ。さっきは絶対に解放するなんて言ってみたけれど、本当はわたし、攻撃するの苦手なのよね」
 ビビは疲れた笑みを浮かべると、それに応じて。
「だから、何も見ない、腕の傷も、その顔も。余計なことは考えない……徹するわ。任せて」
 大きく息を吸い込みながら、彼女は再び呪縛を舞わせる。伸びる手が輝く枷に閉じられて、亡者の体は次々と縄に絡め取られて行く。ロアは縛られた敵を足場に跳び回りながら、ダガーを閃かせるたびに敵の首を薙いでいく。
『助けて……私たち、も……』
 伸びて来た手は、ロアの上着を掴んだ。だがその身は、いつの間にかその亡者の背後に回っていて。
「もう……助けられないとしても。あなたを踏み躙った元凶は僕達が屠ります……必ず」
 そして短剣が、一閃する。
 だがその時、悍ましい絶叫が耳を劈き、そのまま硝子の破片を飛ばすようにして周囲を裂いた。
「……!」
 ロアとビビは咄嗟に目を閉じて急所を守る。しかし身を裂くはずの衝撃は、いつまでも届かない。
「すみません。仲間を倒れさせるわけには、いかない。皆、せめて安らかな眠りを齎せたらと必死で立ち向かっているんです。僕も含めて」
 二人の前に、両手を広げていたのは、ヴィゴ。その身を無敵の城塞と化し、悲痛を訴える絶叫の前に身一つで立ち塞がって。
「だからせめて、その想いは僕が誠意をもって受け止めます。あなた達が向かうのは、希望溢れる新天地ではないけれど……冥府の道の入口まで、僕たちがきちんと導いてみせます!」
 折り重なる絶叫を全て受け止め、ヴィゴは気合と共に走り出す。これから斬る者たちのことを、決して忘れないと、誓いを立てながら。
(「やれやれ、憐憫の情は抱かないんじゃなかったのかな……」)
 熱く剣を振るうヴィゴの脇を、僅かに苦笑いを浮かべてロアが続く。ビビもまた、微笑んで呪縛を飛ばして。
 亡者の群れは蒼い炎に包まれながら消失し、潮が引くようにその数を減じて行く。
 方々で仲間たちがその群れを蹴散らし、もはや流れは決まった。
 決着は、近い……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

コーディリア・アレキサンダ
……こういうのなら、ボクも彼らの役に立てそうだ
喜んでキミたちに立ち塞がらせてもらうよ


ボクの中の悪魔たち「悲観の叫び」に対抗する術を挙げろ
――純潔の歌い手からの献策を確認

全智の書を起動
悪魔「純潔の歌い手」の能力により、叫びと逆位相の音をぶつけて叫びの無効化を狙うよ
その間の攻撃は……きっと他の猟兵が何とかしてくれる、さ

キミたちの悲哀を、ボクは摘み取る
叫びすら許さないボクを赦すな


「……間に合わなくて、ごめんね」

また今度、ちゃんと謝るよ。いつかかボクがそっちに行ったとき


草野・千秋
これが、大切な命を玩具にされた……、
(きゅっと目を瞑り)(つらい)
助けてあげられなくて、ごめんなさい
今せめてもの救いを

なんて言っても遅すぎますけれども
今やれることを早くしましょう

【POW】
ヴァリアブル・ウェポンで一気にたたみかける
楽に天にのぼれるように
2回攻撃なども駆使
仲間が傷ついたら
盾受けでガード




 凄まじい数で押し寄せて来ていた亡者の群れも、もはや荒野にまばらに残るのみ。
 ほぼ全ての戦場で、猟兵たちは彼らを殲滅しつつある。
 指揮官がいるわけでもなく、ただ生者に縋り付く亡者の哀しさと言うべきか、戦略というようなものはない。
「ほぼ片付きつつあるけど……こういうのなら、ボクも彼らの役に立てそうだ。喜んでキミたちに立ち塞がらせてもらうよ」
 各戦場からあぶれて寄り集まった亡者の群れの前に、コーディリア・アレキサンダは静かに佇んでいた。
『助けて……ねえ……』
『私たち、も……』
 そっと手帳を開くコーディリアの隣に、草野・千秋が歩みを進めて。
「これが、大切な命を玩具にされた……」
 その言葉は詰まるように止まり、彼は目を閉じる。瞑目するように。
「もう……何もかも、遅すぎますけれども。今やれることを早くしましょう。終わらせるんです」
「そうだね。もう彼らの残りも……これだけだ」
 二人は静かに身構えて、迫る亡者と向かい合う。
 決着の時だった。

「助けてあげられなくて、ごめんなさい。今、せめてもの救いを……」
 呟いた千秋に、怒りと共に無数の腕が迫る。彼はその腕を大きく広げて、まるでその全てを受け入れるように身を晒し……無数の銃声が、迫る腕を全て蹴散らした。
 その背後で肉塊を操っていた亡者たちの額に、びっと紅い穴が開いて。
「楽に天に昇れるように……一気に畳み掛けます」
 静かに語りながら、千秋はその身の内蔵兵器を解き放つ。【ヴァリアブル・ウェポン】で、彼は迫る敵を次々と撃ち抜きながら歩を進めて。
 その背後で、コーディリアは己の手帳に目を落としながら、誰へともなく呟く。
「ボクの中の悪魔たち。あの【悲観の叫び】に対抗する術を挙げろ。仲間たちの闘いで、いやというほど見たはずだ」
 起動するのは【全智の書】。彼女の身に宿る力は、その問いに対する答えを返す。冷酷、かつ冷徹に。
「なるほど、ね」
 千秋が撃ち進む後ろで、コーディリアは顔を上げる。その向こうで、亡者たちがその声に魔力を宿しながら、金切り声を発した。
「来ますか……!」
 盾を構えた千秋は、自分の後ろから響いた耳鳴りに似た音に振り返った。
「大丈夫。事象観測、測定は共に完了。ボクの悪魔の力で全てを再現し、あの叫びと逆位相の音をぶつけたのさ。さあ、撃つんだ」
 コーディリアは、その影に紅く光る目を輝かせながら、甲高い音を放つ。それは、敵の放つ絶叫とぶつかりながら、間に立つ千秋を守っていた。
 サイボーグは静かに頷くと、全武装を解き放って跳躍する。
「キミたちの悲哀を、ボクは摘み取る。叫びすら許さないボクを赦すな」
 コーディリアの呟きの中、最後に残っていた亡者たちもその頭を撃ち砕かれて崩れ落ちる。
「……」
 間に合わなかったことを最後に詫びたのは、千秋かコーディリアか、その双方か。
 銃声が止み、叫びが絶えた時。
 戦場に、静けさが戻る。
 白み始めた空の下、荒野に立っていたのは、猟兵たちだけだった……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『不服従の賢王』

POW   :    贄の叫び
自身が戦闘で瀕死になると【墓場の亡者 】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD   :    闇の嘆き
自身の装備武器を無数の【黒百合 】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    葬られる孤独
【死の恐怖 】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【有象無象の蛇のかたまり】から、高命中力の【恐れを喰らう蛇】を飛ばす。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠揺歌語・なびきです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●死を囀る領主
 夜が明けつつある。
 青々と荒野を濡らした鬼火は絶え、希望の灯火は地平の彼方に解き放たれた。
 恨みを残した者たちは、もう苦しむことはなく。
 生き延びた者たちは、苦難の道を逞しく拓き、日々を刻むだろう。
 長々と降り続いた霧雨が止み、灰色の空は僅かに白む。
 やがて、寒々しく厳しい、ダークセイヴァーの朝が来る。
 だがその時、鉄紺の空を甲高い嘶きが裂いた。
 長く、高く、朝を拒むように伸びる、ホォーゥ、ホォーウ、という梟の声が。
 顔を上げた猟兵たちの頭上を、巨大な影が通り過ぎる。
 それは、荒れ地の全てに届く不気味な鳴き声を上げながら、暗く問いかける。
『どこへ消えた……恐怖に震えながら生贄の時を待つ生者どもは。絶望と苦痛で肥え太らせた亡者どもは。どこへ……』
 長い鳴き声の合間合間に、頭の中に響く老人の声。
 嫌悪と怒りに身構える猟兵たちの前に、巨大な梟の背が舞い降る。
『お前たちか。私のしもべ……私の生贄を……解き放ったのは』
 その首がぐるりと回り、無機質な仮面の目が、紅く光って。
『我は【不服従の賢王】。不遜なる者どもよ。血と油に濡れ、我が食卓に並んで胃の腑に落ちるがよい……』
 甲高い絶叫と共に、先ほどの亡者たちよりもずっと暗い、影か闇にしか見えぬ【墓場の亡者】が立ち上った。
 それは、従者としての役割さえ終えて、賢王に喰われた亡者たちの成れの果て。
『この者どものようにな……!』
 けたたましい囀りは、嗤いか、怒りか、絶望か……生贄たちを喰らい、肥え太った【不服従の賢王】がその翼を広げ、最後の闘いが、始まった。
大神・零児
真の姿、第一段階の「全身の毛が白銀色となり、妖刀から血のような色のオーラが立ち上る」姿に加えて、第二段階「さらに、妖刀から血が滴り落ち、黒剣「黒鞘」が黒光りし、瞳が紅くなる」

黒風鎧装でさらに強化しつつ、「第六感」で敵の動きを感知し、素早い動きによる「残像」で回避行動。
回避できない攻撃で逸らせられるものは黒剣「黒鞘」で「武器受け」しながら逸らし、逸らすことのできないものは妖刀「魂喰」のオーラで「オーラ防御」。

攻撃時は「第六感」による瞬間予測で敵の動きを「追跡」し、「残像」でかく乱しつつ、間合いに入った瞬間に妖刀「魂喰」と黒剣「黒鞘」の二刀流による「フェイント」を織り交ぜ「2回攻撃」を叩き込む。


ヴィゴ・ストーム
悍ましい欲を呈する傲慢さ、賢王などと名乗るに相応しくありません。
これまで踏み躙ってきた生命の重みを身を以て知るべきです。

猟兵の皆さんと連携を取るように、フォロー出来るように頑張ります。
物理的な攻撃は長剣で受けて斬り払い、カウンターを狙います。
仲間を庇う際は無敵城塞を使用して負傷しないように、借りを感じさせないように。
剣持つ盾として振る舞うように心掛けます。

攻勢に転じる隙があればデュエリスト・ロウを使用。
ルールは「声を出してはならない」と宣言します。
居丈高な物言いも耳障りな哄笑も、これ以上聞きたくありませんから。


ニレッド・アロウン
【POW】
「いや、あなたの都合とか、私は知らんですよ。てか、そいつ出されたところで、私には火葬してくれって意味しか分からないですよ」っと、適当な軽口を叩いて敵を挑発します。

此方に向かって来ずとも、【トリニティ・エンハンス】で攻撃力上昇を選択し、【炎の魔力】が【全力魔法】で大幅に強めていきます。
そのまま背後の翼を強く羽ばたかせて、突撃します。水晶鋏を二つに分離して【属性攻撃】による【二回攻撃】を仕掛けます。相手の攻撃には【殺気】を感じ取り、【第六感】と【オーラ防御】で凌ぎます。

「……とっととくたばりなさい。お前のような奴がいるから、私のような奴まで生えてくるんですよ」

※アドリブ・他者との協力歓迎



 嘲笑にも悲鳴にも聞こえる響きを裂くように、三人の猟兵がその影へ踊りかかって。
「不愉快だ。死ね」
 大神・零児の瞳が、紅く輝く。まるで無念が乗り移ったかのようにその妖刀からは血が滴り、黒剣『黒鞘』が鈍く輝きながら一閃する。
「悍ましい欲を呈する傲慢さ、賢王などと名乗るに相応しくありません……これまで踏み躙ってきた生命の重みを身を以て知るべきです……!」
 身を退いた賢王に、横から翻るのはヴィゴ・ストームの長剣。決闘を表すかのように飛んだ手袋を払いのけ、賢王はその巨体に似合わず落ち葉のように身を捻って二人の剣を避ける。
『不遜な。我がしもべを放っておきながら』
「……あなたの都合とか、私は知らんですよ」
 だがその頭上に、飛翔したニレッド・アロウンが巨大な水晶鋏を構えていた。
『むっ……』
 賢王は即座に羽ばたいたが、紅が数滴、荒野に散る。くるくると着地した賢王の周囲に、ふわりふわりと裂けた羽毛が後から落ちて。
『虫けらが……』
 どす黒い殺気をその身から滲ませながら、梟は振り返る。甲高い叫びと共に、三体の【墓場の亡者】を立ち上らせて。
「あなたはもう、口をつぐみなさい。その居丈高な物言いも、耳障りな哄笑も、これ以上聞きたくありません。でなければ、その翼を引き裂いてくれましょう」
 ヴィゴが、長剣を突き立てて宣言する。
 賢王はげらげらと喉を鳴らしながら、亡者たちを解き放った。

 溶け掛けた黒い影の如き三体の亡者が、金切り声をあげながら突っ込んで来る。
「べらべらとよく喋る……てか、そいつ出されたところで、私には火葬してくれって意味しか分からないですよ」
 ニレッドはそれを鼻で笑ってその鋏を二本の刃へ分離する。その手元からゆっくりと火焔を帯びていく刃で、挑発的に賢王を指して、亡者の腕を斬り飛ばす。だが斬られた腕は、綻びるように黒百合の花びらへと姿を変えた。
「……! 煩わしいですね」
 花吹雪が鋭い斬撃をもってニレッドに襲い掛かる。火焔の鋏がそれを焼き散らす一方……。
 もう一体の亡者は、その腕を黒い蛇の群れと化し、鞭の如く零児に叩きつける。彼はそれを黒剣『黒鞘』で受け止めて。
「この力……そこそこ強力な使い魔か。己が攻めもせずに小手調べとはな。舐められたものだ」
 凄まじい力で黒い蛇に締め上げられる刀。だが、零児はふっと息を吐くと、その身に漆黒の旋風を走らせる。その腕の筋肉が音を立てるかのように力を増し、彼は小さな雄叫びと共にそれを引き千切った。
 しゅーっと息を吐くような悲鳴と共に、黒い亡者がよろめく。
 ニレッドと零児はすぐさま距離を縮めて、お互いの前にあった影の胸倉に火焔の鋏と、黒い刃を突き立てた。残る一刃でその首を刎ね飛ばすと、亡者は溶けるように消えていく。
「二人とも、私に構わず攻めてください!」
 そう言ったのは、長剣を翻してもう一体と打ち合っていたヴィゴ。
 二人はそのままの勢いで闘いの傍らを走り抜け、賢王へと肉薄して。
「この程度か……虫けらはお前だということを、思い知らせてやる。頭の悪い鳥が」
「……とっととくたばりなさい。お前のような奴がいるから、私のような奴まで生えてくるんですよ」
 華麗な連撃で斬り交わったニレッドと零児。賢王は舌打ちしながらその隙間を潜り抜け、掠めた刃に羽が散る。
『無礼な……そのしゃれこうべを、我が食卓の飾りとしてくれる』
 その時、猟兵たちはにやりと口元を歪めた。
 着地した賢王が、骨の軋むような音を立てて膝を付いたのを目にして。
『……? なんだ? 躰が』
「ようやく制約を破りましたね。皆さんが、上手く挑発してくれて助かりました」
 残る亡者が襲い掛かって来る瞬間、ヴィゴがその首を斬り伏せる。その手に、先ほど投げつけた手袋を拾い上げて。
『まさか……呪いか。貴様、よく、も……ッ!』
 瞬間、賢王の翼の付け根が内側から引き裂かれた。鮮血が迸り、梟は甲高い悲鳴と共に荒れ地を転げ落ちる。
「……馬鹿が自分から策に嵌まったか」
「ま、痛快でしたけど」
 零児とニレッドは、顔を見合わせて口の端を歪ませる。【デュエリスト・ロウ】は、指定されたルールを破った者に罰を与える能力だ。
 ヴィゴが宣言していたルールは……『口をつぐめ』だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

シャルロット・ルイゾン
グウェンドリン様(f00712)とタッグ。

より良い生活を求める人間たちはなんともいじらしいものですのに
おわかりにならないのですね。

攻撃はなるべく見ておくようにいたします。
フェイントと第六感を駆使して可能な限り見切り、隙があればカウンターを狙いますわ。
ミレナリオ・リフレクションで相殺を試み、消耗はなるべく控えたいですわね。
グウェンドリン様、そちらへ向かっておりますわ。お気をつけて。

こちらからの攻撃の際にはVierge de ferで串刺しにして2回攻撃をしながら生命力吸収を。

死は果ての幸福ですのに、あなた様はご存知ないのですね。


グウェンドリン・グレンジャー
シャルロット(f02543)とタッグ。

(真の姿はより大きな翼と頭から羽根が生えた姿。瞳孔は赤く。)

目には、目を……鳥には、鳥を……
私、は、あんまり、幸せとかわかんない、けど……お前が悪いものだって、ことは、わかる。
(降魔化身法の影響で、目から涙のように血を流す)

黒い翼状のブレードを広げ、恐怖を与える技能で威嚇
隙をついて捨て身の一撃を叩き込んで、生命力吸収で追加ダメージを狙う

わかった……迎え撃つ
私は、あえて避けない
攻撃を受ければ、それがどんなものなのか、分かる
ここで戦う皆の、利益になる



 片羽を深く抉られ、賢王は怒りに唸る。
『虫けらが……我に……傷を』
 静かにその様子を見つめていたのは、シャルロット・ルイゾンとグウェンドリン・グレンジャー。
「より良い生活を求める人間たちはなんともいじらしいものですのに、おわかりにならないのですね」
 心からの嫌悪に、賢王は傍らに立った二人を睨みつけた。
 グウェンドリンはその瞳孔を緋に染めながら、血涙の如く一対の紅をその頬に流して。
「目には、目を……鳥には、鳥を……私、は、あんまり、幸せとかわかんない、けど……お前が悪いものだって、ことは、わかる」
 その黒い翼を大きく広げながら、魔女と賢王は睨み合う。
「行きますわよ。グウェンドリン様」
 シャルロットの宣言と共に、二人の闘いは始まった。

『家畜如きが……我に触れるな』
 賢王は黒い影を再び召喚する。奴の呪縛という胃の腑に落ちて、溶けかかった亡者の影を。
「死は果ての幸福ですのに、あなた様はご存知ないのですね。そんな風に、死を穢して」
 シャルロットが囁きながら、その手で円を描く。誘うようにその指が握られると、間に鏡を挟んだように、全く同じ黒い影が立ち上った。
『……!』
「使い魔に消耗する気はありませんの。ご自分を顧みて、解き放たれなさい」
 亡者の影に、それを写し取った闇がぶつかり合う。【ミレナリオ・リフレクション】を用いて敵の技を相殺しながら、シャルロットは操る人形を開いた。鋼鉄の処女の如く、内側に無数の針の付いた人形を。
 それを避けた賢王は、身を翻して向きを変える。
「グウェンドリン様、そちらに向かいますわ」
「わかった……迎え撃つ」
 無数の悪魔を宿した少女が、飛翔する。その翼が蛇のように伸びあがり、空中で賢王の羽を毟って。
『すでに呪われた身か、汚らわしい……』
 賢王は雄叫びと共に周囲に黒百合の花びらを浮かべていく。
「グウェンドリン様、斬撃です。お気をつけて」
 周囲を覆う花吹雪にシャルロットが警告を放つも、グウェンドリンの澄んだ瞳は揺らがない。その翼刃で身を覆って。
「私は、避けない。攻撃を受ければ、それがどんなものなのか、分かる……ここで戦う皆の、利益になる」
 賢王の咆哮と共に、その斬撃が周囲を呑み込み、黒い球体の如く全周を削いでいく。だがグウェンドリンは全身を僅かずつ刻んでいく黒球の中を、構わずに羽ばたいて。
「悪しき者は、呪われた者が、穿つ……」
 そしてその翼が、賢王を貫いた。
 捨て身の一撃に悲鳴を上げた賢王の後ろに、人形と共に佇むのは、シャルロット。
「畏まりましたわ、グウェンドリン様。根競べ、ですわね」
 ハッと気付いた賢王が身をかわす間もなく、針だらけの人形がその顔面に喰らい付く。絶叫と共に花吹雪は速度を増して二人の身を切り刻んでいくが、その翼と人形から吸収される生命力が、彼女たちの傷を同時に塞いでいき……。
『やめろ……! 放せぇえ……ッ!』
 甲高い叫びが轟き、閃光と共に花びらは散った。

 ……全身に無数の紅を走らせつつも、二人の少女が起き上がる。
 その足元にはべっとりと血の跡が残っていた。二人のものでは無い、血の跡が。
 二人は頷き合い、その視線は点々と続く血の跡を追う。
 逃げた梟を、磔にしなければならない故に……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

サザレ・ヘリオドール
大体、自分で賢王とか名乗る奴は自信過剰なんですよね
その無駄に肥え太った自信……ぶち壊しましょうか

そろそろダイエットしないと、飛べなくなりますよ?

全身が太陽のように光輝く真の姿を晒し、ヘリオドールの祝福で後方から仲間を癒すことに専念

深手の方が多いなら、全力魔法で回復力アップを狙って

敵が狙ってくるようなら、急降下してきたタイミングを狙って、メイスでぶん殴って気絶攻撃を叩き込んでみます

さて、次はあなたが……恐怖に震えながら絶望と苦痛で肥え太る番ですね
苦痛の元はいっぱいありますから、お残ししたら、「めっ!」ですよ?

足りないなら、仲間がたくさん用意してくれます
お代わりいっぱいで嬉しいですね(満面の笑顔)


ガウナガルム・カール
お前のぎせいに、なったヤツらは、みんな自由になった。
これ以上お前には、何もさせない。今ここで死ね…!

ふん…"ただの亡者"を、相手するひまはない。
[カウンター],[第六感],[見切り],[範囲攻撃]…
こんなヤツら、技能だけで十分だ。仲間に合わせて、はやくたおす。

お前は、簡単に死ねると、思うなよ…。
[だまし討ち]で、領主の動きを止めてから、[鎧無視攻撃],[捨て身の一撃],[2回攻撃]を使いながら、【グラウンドクラッシャー】でこうげきする。
そのあとは、[傷口をえぐる]で、もっと痛くしてやる…!

コイツを殺しても、おしまいにはならない。
別の悪い領主が、また出てくるなら…コイツがいた領地に向かおう。


コーディリア・アレキサンダ
「不遜――なのはどちらなのか、辞書を引いて調べてみるといい」

負けたらボクらも死ぬのだろうけど……そんなことを怖がっている時期はもう過ぎたんだ
ボクは、ボク自身よりも助けを求める誰かに手が届かなかった時のほうが、怖い
だから――

「圧制者。ボクらはキミの、その不遜な心を破りに来たんだ」

向かってくるのなら叩き落せばいい
飛んでいるのなら撃ち落とせばいい

《喰らい、犯すもの》を放って敵の移動行動を阻害しよう
足から潰すのは基本だし、彼なら亡者が壁になってもそれを飛び越えて襲い掛かることができる
恐怖よりも勝る、ボクの敵意を受け取れ


「明けない夜はない。――さあ、夜明けの時間だよ」



 ひい、ひい……という、高く掠れた声が聞こえる。
 荒野に血を滴らせて、巨大な梟が着地する。
『不遜な……猿が』
「不遜、か。それがどちらなのか、辞書を引いて調べてみるといい」
 片脚を引きずる梟の前に立ちふさがっているのは、コーディリア・アレキサンダ。顔を上げれば、梟を囲むように二人の影が立っていて。
「大体、自分で賢王とか名乗る奴は自信過剰なんですよね。その無駄に肥え太った自信……ぶち壊しましょうか」
 サザレ・ヘリオドールが、その細腕にメイスを握りしめ。
「ああ。お前のぎせいに、なったヤツらは、みんな自由になった。これ以上お前には、何もさせない……」
 ガウナガルム・カールは、その爪を構える。
 賢王は、よく回る首で囲む三人をぐるりとねめつけて。
『その臓腑から魂を引きずり出して喰らってくれる……!』
 取り繕った外面を捨て去り、賢王は残忍な鳥の本性も露わに高く吠える。

 呼び出された黒い影が、向かってくる。
「ふん……"ただの亡者"を長々相手するひまはない。技能だけで十分だ、お前たちはやつへ行け……!」
 そのマスクの奥から狼の唸りを発して、ガウナガルムが黒い影とぶつかり合った。
「負けたらボクらも死ぬのだろうけど……そんなことを怖がっている時期はもう過ぎたんだ」
 賢王はその爪をむき出しに、コーディリアに飛び掛かる。肩口を裂かれながらも、彼女はメモ帳をパラパラと開き、該当のページを突き出して。
「ボクは、ボク自身よりも助けを求める誰かに手が届かなかった時のほうが、怖い。だから……」
 その体が光り輝き、彼女はその身に宿る悪魔を呼び覚ます。
「圧制者。ボクらはキミの、その不遜な心を破る」
 それは目の紅い、翼持つ猟犬の姿になって、賢王に踊りかかった。悍ましい牙と爪が賢王の羽を引き毟り、格闘する。
『小癪な……それもまた、誰かへの【死の恐怖】である』
 瞬間、賢王の広げた翼から牙を剥いた無数の蛇が迸った。それは猟犬を押し戻し、亡者を打ち倒したガウナガルムと、悪魔を指揮していたコーディリアに、うねる波の如く一斉に飛び掛った。
「ちっ……へびか。厄介な」
「小癪なのは、どっちだろうね……」
 喰らい付く無数の牙。賢王はケタケタと高く笑って逃げを打つ。
 と、そこに。
「遅いですね。そろそろダイエットしないと、飛べなくなりますよ?」
 その後頭部を、メイスが直撃した。賢王が情けない叫びをあげて滑落する中、サザレは己の身に宿る輝きを呼び起こす。
「次はあなたが、恐怖に震えながら絶望と苦痛で肥え太る番です。足りないなら、仲間がたくさん用意してくれますからね……! さあ、等しく降り注ぐ太陽よ。闇に抗う者達に……再び立ち上がる力と勇気を与え給え!」
 その身が、超新星の如く閃光を放ち、荒野を照らす太陽と化した。真の力を解き放ち、彼女が放ったヘリオドールの祝福は、その祝詞を受けた二人の傷を瞬く間に癒し、蛇の群れを威圧する。
「今です!」
「ああ。簡単に死ねると、思うなよ……」
 蛇を引き裂き、泥に顔を埋めた賢王の前にガウナガルムが跳躍する。慌てた賢王は、羽ばたいて逃れようとして。
「飛んでいるのなら撃ち落とせばいい。逃げるなら……足を潰せばいい」
 その細脚に、猟犬が喰らい付いているのに気付いた。
「明けない夜はない……さあ、夜明けの時間だ。恐怖よりも勝る、ボクの敵意を受け取れ」
 悪魔はにやりと笑みを浮かべて、梟の足を噛み折った。
『ギャア、ァア!』
 猟犬をぶら下げながら、賢王は悲鳴を上げる。その後ろに、己の爪に渾身の力を込めながら跳躍する、狼の存在を忘れたまま。
『……ッ!』
「簡単には、ころさない。だが、お前が死ぬのは、今、ここだ……!」
 息を詰めた賢王に、ガウナガルムの爪が突き刺さった。二人はそのまま大地へと激突し、隕石の如く土煙と破片が舞い上がる。
 目を庇ったコーディリアとサザレがその穴を覗き込むと、ガウナガルムが二人の腕を掴んだ。
「ふかでは与えた……逃げ切れないはずだ。追おう」
 彼を引き上げながら、二人は姿を消した賢王を探す。
「逃げた、とはね。あの状況からよく……本当にしぶといお爺さんだ」
「でも、他にも仲間……彼の苦痛の元はいっぱいあります。お代わりは、いっぱいですよ」
 にんまりと笑うサザレにコーディリアは困ったように微笑み返す。
 ぽっかりと開いた穴の底では、血に塗れ引き裂かれた梟の片羽がひくついていた……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

フェルト・ユメノアール
悪いけど、ボクたちに必要なのは喜びと笑顔!
恐怖も悲しみもいらないよ!

ボクは手札から、このユニットを召喚する!
傀儡の王よ!数多の運命を束ね、希望の未来を紡ぎ出せ!
現れろ!SPフォーチュンマリオネッター!
そして、フォーチュンマリオネッターの効果発動!
このカードは攻撃できない代わりに敵ユニットに対して有効な効果を持つ傀儡トークンを召喚する!

光り輝く武具を身に着けた剣士の姿に変わった傀儡と連携して賢王を攻撃
少しでも敵の攻撃を分散させられるように左右に分かれ
『トリックスターを投擲』した隙にSPDを生かして一気に接近
近づけば範囲攻撃は使いにくいはず!
そのまま距離を取らせず、動く隙を与えないように連撃する


ビビ・カラット
【共闘歓迎】
このわたしを、アナタの醜い、血肉にすると?
亡者の嘆きが聞こえるようね
醜い化け物が偉そうに、死んでもごめんだわ

まずは生まれながらの光で連戦する仲間の傷を治療するわ
特に先刻の二人はどれだけ無茶したか知っているもの、お礼を込めて
援軍の目印にもなると良いのだけれどね

光が亡者まで呼び寄せないよう、孤立しないように気を付けながら
仲間を癒して回ることを第一に
賢王と名乗るからには鳥頭でも多少知恵があるのでしょう
回復役を狙ってくる様であれば咎力封じで応じられるかしら

闇が深いせいかしら
(いつもよりわたし…)
戦場で流石に口にはしないけれど
少し見惚れるような足取りで、戦場の皆を支援するわ


ファルネーゼ・アトラス
不遜なのは一体どちらでしょう?
ファルには、人々を弄ぶ貴方の方がそうとしか思えません
貴方が絶望と苦痛を人々に与え続けると云うならば
猟兵は人々へ希望と幸福を――この世に生を享けた喜びの為に、貴方を倒します
エチカ、最後の一踏ん張りですよ!

戦う猟兵達へと齎すは【生まれながらの光】
特に体力の危ない方から、叶うならば複数人同時に回復
大丈夫…どんなに疲れようと、手を止める事は致しません
『死の恐怖』を、誰にも与えてなるものですか
叫びも、嘆きも、全て受け止めて
その上で――生きる人々を助けたいから

…戦闘が終ったならば、一つ我儘を良いです?
自己満足ですが…亡くなった人々に、花をお供えしたいのです
――どうか、安らかに


ガルディエ・ワールレイド
「恐怖に抗う力を持ってんのが人間だ。あいつらは自分達の意思で生贄って立場に抗った。俺達はその手助けを少しするだけだ」

攻撃は主に【竜神気】使用
敵が空を飛んでいる場合は竜神気で地面に引きずり降ろせないか試すぜ

武装は【2回攻撃】【怪力】を活かしたハルバードと長剣の二刀流
武器の間合いに入るなら、近接攻撃も仕掛けるぜ
特に武器の間合いギリギリを飛ぶ時は【串刺し】を狙う
攻撃が当たれば【生命力吸収】

防御は受けられるなら【武器受け】を使うし、全般的には【オーラ防御】
味方に通ってヤバそうな攻撃は【かばう】

贄の叫び対策)基本は近接戦闘の流れと同様
葬られる孤独対策)恐怖心には【気合】だし、蛇が来たら【なぎ払い】を試す



『我の喰らう生贄は……どこだ……恐怖と、絶望は……』
 片羽を失い、荒野に点々と血の跡をひきずりつつ、化け物は歩む。
 が。
「もういねえよ。あいつらは自分達の意思で生贄って立場に抗った。俺達は少しばかりその手助けをしただけだ」
 霧雨の変じた朝靄の中、ガルディエ・ワールレイドが、魔槍をゆらりと持ち上げて、立ち上がる。
 その隣では、フェルト・ユメノアールが顔の涙のマークをピッと撫でて。
「悪いけど、ボクたちに必要なのは喜びと笑顔! 恐怖も悲しみもいらないよ!」
 そこに駆けつけてきたビビ・カラットと、ファルネーゼ・アトラスが、状況を見て頷き合う。
「貴方の餌食となった亡者の嘆きが聞こえるようね……醜い化け物が偉そうに」
「貴方が絶望と苦痛を人々に与え続けると云うならば、猟兵は人々へ希望と幸福を……。この世に生を享けた喜びの為に、貴方を倒します……!」
 身構えた四人。
 賢王は逃げる先もなくし、わなわなと震え始め……悲鳴のような声で空をつんざいた。
 賢さの外面を落とし、不服従の獣と化して。

「……来る! ボクは手札から、このユニットを召喚する! 傀儡の王よ! 数多の運命を束ね、希望の未来を紡ぎ出せ! 現れろ、SPフォーチュンマリオネッター!」
 フェルトが召喚するのは、巨大な人形遣い。流れるような指の動きで、巨大な傀儡を剣士の形へ組み上げて行く。
「請け負った仕事は、最後まで果たさなけりゃな。逃げて行ったあいつらの、後始末だ!」
 長柄の魔槍と長剣を抜き放ち、ガルディエは走る。重武装を、その剛力で片手に収めながら。
 だがその時には、戦場の全周に黒百合の花びらが舞っていた。
「……!」
 賢王の咆哮と共に、花吹雪が舞い踊る。身を裂く花吹雪は凄まじい勢いで加速し始め、荒野に一つ、また一つと血の雫を落として。
「進めない……! マリオネッター、一旦、ボクを護って!」
「クソッ。前が見えねえ。奴はどこだ……!」
『不遜な者どもが……全員、血の滴るひき肉にして、喰らってくれる……!』
 黒い花吹雪は荒野を呑む闇の球と化し、恨みに歪んだ声が響く。
 だがその時、闇を二重の光が裂いた。
「このわたしを、わたしたちを、アナタの醜い血肉にすると? 死んでもごめんだわ。これ以上、仲間のことを、傷つけさせもしない」
「不遜なのは一体どちらでしょう? ファルには、人々を弄ぶ貴方の方がそうとしか思えません。エチカ、最後の一踏ん張りですよ!」
 それは、ビビとファルネーゼの【生まれながらの光】。背を押すように放たれた光は、後光のようにフェルトとガルディエの身を覆い、刻まれる傷を癒し始める。同時に、眩しさに目を覆う梟の姿も露わにして。
『小癪な……貴様らから蛇の餌にしてくれる……!』
 だが梟は、失った片羽から蛇の群れを迸らせた。それは触手のように唸り、鞭のように歪みながら伸び上がる。
「ハッ。こうはっきり照らしてくれりゃこっちのもんだ」
 その時、ガルディエが跳躍した。その斧槍を捩じるように蛇の群れを受け止め、長剣でそれを削ぎ落す。瞬間、一発の投げナイフが、賢王の目を貫いた。フェルトの投げた、トリックスターが。
「ボクから目を逸らしたのは愚策だよ! 道化は意表を突くものだもの!」
『ギャア、ァアアッ!』
 賢王は目を押さえながら転げまわり、全周の花びらを再び回転させて見えぬ戦場を丸ごと切り刻む。
 だが闇を裂く光は、すでに中へ飛び込んだ二人を癒し切っていた。
「複数人同時回復……行きます! 大丈夫……どんなに疲れようと、手を止める事は致しません。叫びも、嘆きも、全て受け止めて……生きる人々を助けたいから!」
 ファルネーゼは、従えた精霊エチカを杖に変えて掲げ。
(「闇が深いせいかしら……いつもよりわたし……ふふっ、こんなこと、戦場で流石に口には出来ないわね。さあ、行くわ。戦場の全員を、呼び寄せるくらいに……!」)
 ビビは、先ほどから共に闘う者たちの顔を思い浮かべ、少し見惚れるように微笑んで。
 二人の力は一気に高ぶり、その輝きを増していく。
 切り刻まれる側から癒されていく中で、ガルディエが吼える。
「悪ぃな! 俺の間合いで好き勝手はさせねえ! 景気よく行かせてもらうぜ!」
 その【竜神気】が賢王の胸倉を打ち据え、吹き飛ばした。賢王は血反吐を吐きながら転がり、ひいひいと息を切らしながら起き上がると、そのまま猟兵たちから離れて走り始める。
「なっ……おい、待て!」
 舞い散る花吹雪で足を止め、逃走する賢王。
 だがその鼻づらは、堅い手触りにぶつかって止まった。
『……?』
 木か金属のような手応えに、顔をしかめた賢王が残った片目を凝らす。
 そこに浮かび上がるのは、輝く剣を握りしめた傀儡と、それを操る人形遣い。
「……存在も忘れてた? 思い出させてあげるよ! このカードの効果は、自身が攻撃できない代わりに敵ユニットに対して有効な効果を持つ傀儡トークンを召喚すること! 行け、フォーチュンマリオネッター!」
 フェルトの号令で、傀儡が梟に剣を突き立てる。
 梟は悲鳴と血飛沫を上げながら、押し倒されて行った……。

 四人が息を切らしながらそこに追いついた時。最後の抵抗で崩された傀儡が転がっていた。賢王の姿は、ない。
 戦闘力のない人形遣いが困った様に首を傾げるのを、フェルトがカードへ戻して。
「よくやったよ、マリオネッター。でも、まだライフが残ってるなんてしぶといなぁ」
「いや、残ってる血から見ると、致命傷だ……奴はもう終わりだぜ」
「もう長くはないってことね。大人しく死んでくれるといいけど」
 ガルディエとビビは、ため息を落とすように顔を見合わせる。
 ファルネーゼは、道中で摘んだ花を、そっと胸元に抱いて。
(「闘いの終わるまでもう少しです……そうしたらどうか。安らかに」)
 猟兵たちは、敵を追う。
 その指が花を供えるまで、もう少しだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロア・ネコンティ
【共闘OK】
【WIZ】動きを鈍らせ、魔法で撃つ

こいつを滅すれば逃亡者達は新しい生活が始められる。絶望は希望に、今は過去に勝てるって証明するんだ。

【ジャンプ・ダッシュ・スライディング】を駆使して賢王の懐へ。飛ばれると厄介なので、鋼糸を括り付ける。羽をもぐ勢いで【だまし討ち・2回攻撃】をしタガーで斬りつける。途中で墓場の亡者が邪魔してきたら【敵を盾にする】で賢王を盾にし防ぐ。狙い撃ちされたら【武器受け・激痛耐性】で耐える。僕には死の恐怖が無い。ある程度動きが鈍ったら後ろへさがり【エレメンタル・ファンタジア】【属性攻撃・範囲攻撃・全力魔法・マヒ攻撃】で2体纏めて雷の魔法を落とす。


ルベル・ノウフィル
wiz
金平糖の雨を降らせ、味方を回復いたしましょう
星守の杯使用

死を恐れることはありません
僕にとっての死とは、生からの解放
恐れる気持ち、悲しむ気持ち、全てのしがらみはその瞬間に消える
ならば、それは恐怖にあらず
救いなのです

余裕あれば妖刀を手に懐へ走りひと太刀加えましょう
僕は恐れません
貴方は?

そして、味方の方々の中に敵の攻撃に晒される方がいれば躊躇なく庇いましょう
欲張りすぎかも知れませんが、僕は欲張りなワンワンでございますゆえ

戦闘後は夜空に向けて杯を返し、やはり金平糖を降らせましょう
味方を癒すと共に
この世界に星が煌きますように
此処は僕の故郷の世界でございますゆえに、感慨もひとしおと


アイリ・フラジャイル
■連携・アドリブ歓迎

何が賢王よ。健忘症の間違いじゃないの?
この様を見て正しいなんて言うなら、
その傲慢をブチ壊してあげるわ!

己と仲間を鼓舞して最後の戦いに臨む
レンジャー・リベンジャーでリゾルバーを変形・搭乗
対悪魔殲滅形態で前衛を担当する
両腕の機関砲で仲間の援護射撃をしつつ
出てくる敵の装甲をブチ抜いて確実に攻撃を通させる
攻撃はリゾルバーの本体を盾にして受け流す
墓場の亡者が賢王と同じ動きをするなら、
右腕と左腕でそれぞれを狙って防御を崩す

このトーチカがただの置き物だと思って?
ガジェット開放、チェンジ・リベンジャー!
アンタが倒れるまで、撃つのを止めない!

この絶望だって、いつか終わらせて見せるわ。


大神・零児
真の姿第三段階「第二段階の状態からさらに白銀の狼の姿に。妖刀「魂喰」と黒剣「黒鞘」は第二段階の状態のまま自分のまわりを浮遊し、意のままに動かすことができる」


「自身ノ命ガ惜シイカ」
「クズガ、総攻撃デ消シ去ッテヤル」
(「」は二重三重と声が重なっている感じ)

「第六感」で敵の進路を予測し妖剣解放の高速移動で「追跡」して先回りし続ける

「残像」と「フェイント」を駆使し衝撃波を放ちつつ「2回攻撃」で「生命力吸収」

反撃には黒剣「黒鞘」の「武器受け」で逸らす、妖刀「魂喰」のオーラで「オーラ防御」、高速移動と「残像」で回避

逃げようとしたら即座に先回りし「殺気」を放ち高速移動の加速度をのせ喰らい付き「生命力吸収」



 空が青白く、緋の色が地平を焼き始めている。
 漂っていた水分は朝霞となり、さまよう巨大な亡霊のように揺らめく。
 姿を消した賢王を追い、猟兵たちは霧中を走る。
「自身ノ命ガ惜シイカ……クズガ」
 長引く戦闘の中、姿を狼へと変えつつある大神・零児は大地に爪を立てて低く吠えた。白銀の毛並みも露わに歯をむき出す彼に、ルベル・ノウフィルがくすりと微笑んで。
「そのお姿でも、意志はおありの様子。安心しました。さて、あの梟さんは、ご本人が死を恐れて逃げてしまったのでしょうか?」
 首を傾げる彼のところへ、足を踏みならすようにアイリ・フラジャイルが走って来る。その反対から、ロア・ネコンティも姿を現して。
「自分が何したか、すっかり忘れて逃げたっての? 何が賢王よ。健忘症の間違いじゃないの?」
「奴を滅すれば、逃亡者たちは新しい生活を始められる……探しましょう。とどめを刺すんです」
「アア……血ノ臭イハマダ近イ」
 四人が頷き合って、散ろうとしたその時だった。
「……! お下がりください」
 ルベルが声を上げた瞬間、蛇の群れが霧の中から迸った。
 彼の妖刀が蛇塊を払う中、鳥の咆哮が耳をつんざき、巨大な影が霧を破る。
 捥げた片羽からうねる蛇を生やし、赤黒く汚れたケープから血を滴らせ、割れた嘴から甲高い悲鳴を上げる影が。
 かつて賢王と言われた梟は地獄の獣と化し、そして最後の闘いが始まった……。

 金切り声をあげながら、賢王は腕のように伸びる蛇の群れを振り回す。
 ロアがその攻撃を潜るように肉薄していく。
「遂に現れたな、愚王。死の間際に言葉も忘れたか。お前を討って、僕は証明する」
 その眼前で跳躍しフェイントをかけると、ロアはぐるぐると回転しながら賢王の背にダガーを突き立てた。
「絶望は希望に。今は過去に勝てるってことを……!」
 悲鳴を上げて、賢王は黒い影を召喚した。しかし、今や呪力にも乱れが生じ、現れた【墓場の亡者】は、溶けかかったように姿を崩していて。
「コンナ鈍重ナ亡者デ俺ノ相手ガ務マルカ。自分カラ姿ヲ見セタナラ、手間ガ省ケル……!」
 鈍く重なるような声を発しながら、白銀の人狼……零児がその周囲に剣を浮かべて走る。彼はそのまま亡者をアイリの方向へ蹴りつけると、その黒い刃を回転させて、梟の脇腹を薙ぎ斬った。
「あっ、ちょっと! ああもう! 良いわよ、コイツはアタシが相手してやるわ!」
 腰のリボンを伸ばして身を覆うように、アイリは巨大な人型兵器を纏う。唸り声を上げて迫る亡者を、機関砲と化した腕で殴りつけて。
「レンジャー・リベンジャー……対悪魔殲滅形態! こんな絶望、終わらせて見せる!」
 ゼロ距離で炸裂する火花。唸りを上げる銃砲に押し倒される亡者の影。
 だが、猫と狼に翻弄されながらも、巨大な梟はがむしゃらに蛇を振り回しながら黒百合の花びらを展開する。化け物が咆哮した瞬間、それは鋭さを帯びて周囲を切り刻んだ。
「……死を恐れることはありませんよ、賢王さん。僕にとっての死とは、生からの解放。恐れる気持ち、悲しむ気持ち、全てのしがらみはその瞬間に消える。ならば、それは恐怖にあらず。救いなのです」
 ため息を落とすように、ルベルは語る。その指が空を招くように折れれば、空からは無数の金平糖が舞い降りる。
「僕は死を恐れません。では、貴方は?」
 綺羅星の如く降り注ぐ金平糖に触れた瞬間、ロアや零児の傷は優し気な甘さと共に塞がっていく。
 もはや賢王の魔術を防ぐ手立ては、仲間たちによって割れているのだ。鋭い黒花の中も、癒しながら進めばよいのだと。
「最後ノ足掻キモコンナモノカ。総攻撃デ消シ去ッテヤル……行クゾ」
 銀狼は、遠吠えするように刃を呼んだ。妖刀『魂喰』と黒剣『黒鞘』を回転させ、つむじ風を纏うように零児は突撃する。賢王は蛇の群れを巨大な手のように広げ、大地を揺らすような勢いで彼を叩き潰した。
「……残像ダ。磔ニナルガイイ……!」
 だが狼は、いつの間にかその背後に回っていた。その二刀が宙を舞い、梟の両肩を貫いて地面へ串刺しにする。
 そして、血を吐きながらもがく梟の頭上で、魔術の印を組んでいるのは、ロア。その両手に、弾けるほどの稲妻を濃縮して。
「僕には、死の恐怖なんて無い。この魔法が暴走し、この命を焼いたとしても、お前のことは許さない。……アイリさん、合わせられますか! 全力で行きます!」
「このトーチカがただの置き物に見える? ガジェット開放、チェンジ・リベンジャー! そいつが倒れるまで、撃つのを止めない! その傲慢をブチ壊してあげるわ!」
 亡者を蹴散らしたアイリは、すでに人型ガジェットの腰を沈め、機関砲を回転させていた。
『……ヒィッ!』
 血走った賢王の目が、恐怖に歪んだ瞬間。
 轟雷と火砲が迸り、すでにボロ雑巾のようになっていた梟は、紅く羽を散らして砕け散る。
 響いた甲高い断末魔は、早朝の鶏声の如く猟兵たちに冒険の終幕を告げるのだった……。

 陽光が荒野に筋を描き、朝霧を蒸発していく。
 闘いは終わり、長い一夜は明けた。
「……終わりましたね。此処は僕の故郷の世界でございますゆえに、感慨もひとしおです。この世界にも、星が煌きますように……」
 味方を癒すために、どこかにいる人々に希望が届くようにと、ルベルが荒野に金平糖を降らせる。
 ある者は、死んでいった者たちの為に荒野へ花を供え。
 ある者は、朝焼けを眺めながら明けた夜を想う。
 またある者は、未だ圧政から解放されぬ遠き地を睨み据え、ある者は旅立って行った人々の姿を荒野に描く。

「村長……あの人達は」
 森深き山間の地で、逃げ伸びた人々は同じ朝日を見ていた。
「きっと……勝ったのよ」
 追っ手は来なかった。空を舞う領主の巨大な影も。
 あの亡者の群れを率いる怪物に、勝てる者などいるはずがない。
「更に森の奥へ行くわ。誰にも見つからない隠れ里を作るために。大丈夫……きっといつか、会える。きっとよ……」
 この物語は、こうして幕を閉じる。
 先のことは、誰にも分りはしない。
 滅びの淵に立ったこの世界は、未だ救われたわけではないのだから。
 だが人々は心に確かな希望を灯して、歩を進めて行く。
 それだけは、事実だった……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年01月16日
宿敵 『不服従の賢王』 を撃破!


挿絵イラスト