●死神は導かれる
その翠の眼で、どれだけの死を見ただろう。
その蒼い炎で、どれだけの罪を焼いただろう。
その銀の鎖で、どれだけの業を縛っただろう。
その手に握った大鎌で、どれだけのオブリビオンを葬ってきただろう。
雨が降る森を独り歩く青年はもう何もわからない。空を覆う木々の葉の傘から雫が落ちて、身に纏う黒衣を濡らしても、その冷たさすら感じられなかった。
感じられるものは、ただひとつ。
『助け……て……』
『痛い……苦しい……』
『望んでこうなったわけじゃない……のに
…………』
彼の耳に届くのは、どこかで傷つき嘆く『忌み子』たちの声。
「今、僕が助けに行こう……」
怨嗟とすら思える悲痛を頼りに、青年は寒々しい雨の森をひたすらに歩いてゆく。
「……きみたちを苦しめるものは……僕が全部……」
青年の足が、ぬかるんだ土から泥の水を跳ね上げる。
木々の隙間の向こうに、遠く堅牢な石城が、見えてきていた。
●同族殺し
巨大な城の上階。
その玉座に収まる女領主は、雨音を聞きながらジッと床を見下ろしていた。
視界に映るのは床の艶やかな石――ではなく階下の光景だ。ぽっかりと開いた大きな穴からは下にひろがるフロアの様子が隅々まで見渡せる。
そしてその階下には、貧しいボロで身を覆う者たちが、力なく床に横たわっていた。
「私たち……いつまで……」
「ここで……死んでゆくの
…………?」
口からかすかに零れる声には、絶望の色だけが滲む。囚われて久しいのか、みなその顔に生気はなく、虚ろな瞳で床石を引っ掻くばかりだった。
女領主は微笑み、肩を竦める。
「それでも構わないんじゃない? どのみち、あの村にあなたたちの居場所はないのだし……それとも雨風も凌げない小屋に家畜のように入れられて、ろくに食べることも叶わない生活に戻りたいのかしら?」
「そ、それは……」
「…………」
見透かしたような女の言葉に、虜囚たちは口を噤む。
――と、そのとき。
「グォォォォ!!!」
「ガァッ! グァァッ!!」
「? あの子たち、何を騒いでいるのかしら……」
城外の警戒に当たらせている乗騎竜たちの鳴き声が聞こえてきた。女領主は玉座の間を横切り、窓から城下の様子を確認する。
咆哮を続ける竜たちがこぞって顔を向けているのは、隣接する深い森だ。
森の境界から抜け出てきたのは――ただひとつの黒衣。
死神にも似た黒衣の男だ。
竜たちが威嚇するのも意に介さず、黒衣はその足を城へと向けて進めてくる。
女領主はそれをしばらく見つめて……やがて何かに気づいたように眉を上げて、端麗な顔になぜだか期待を覗かせた。
「……いいわ。せいぜい楽しいゲームにしましょう?」
同族殺し――と、女は黒衣をそう呼んだ。
●グリモアベースにて
「オブリビオンの領主を討つ好機だ」
集まった猟兵たちを見やると、プルート・アイスマインドはグリモアから映像を空間に投影する。
見えたのは、広大な森に囲まれた堅城だ。そこには強大なオブリビオンが座していて、周辺の地域を完全に支配してしまっていると、プルートは告げた。
「城の守りは堅く、おそらくはおまえたちの力をもってしても落とすことは困難だろう。
だが今は状況が変わっている。この城を『同族殺し』が襲撃することが予知できたのだ」
同族殺し――。
その名のとおり同族たるオブリビオンを殺して回る狂気のオブリビオンのことだ。
なぜ狂い、なぜ殺す、その一切が不明である『同族殺し』は、ダークセイヴァーのオブリビオンたちが何より忌み嫌う存在である。
「同族殺しが危険なオブリビオンであることに変わりはないが、これはチャンスでもある。
奴が城を襲撃すれば、必ず警備の網には混乱が生じるだろう。その隙に乗じることができれば一気に領主の喉元に迫ることができるはずだ」
狂えるオブリビオンの力を利用して、領主がいる玉座へ踏みこみ、葬る。
それが、プルートが猟兵たちに託したい仕事であった。
「領地を治めるオブリビオンは『リウ・メイファ』という女吸血鬼だ。人好きで享楽的なこいつは、普段は近隣の村から連れてきた人間で遊んで楽しんでいるらしいが……今はダンピールを囲っているらしい」
人を眺めるのに飽いて、対象を半鬼半人のダンピールに変えたのだろうか。
と猟兵たちは思ったが、プルートはかぶりを振った。
「城に連れていかれたくない一心で、人間たちは村の少数派だったダンピールを差し出したらしい。元々迫害を受けていた上に生贄として差し出されるとは悲惨な話だが……ダークセイヴァーではそれほど珍しくもない話かもしれん」
リウ・メイファは村人の懇願を笑顔で受け入れたらしい。彼女からすれば新たに村人を捕らえるのは簡単なことだし、戯れに了承するのも面白いと思ったのだろう。
救いのない話だった。人間から疎まれ、売られ、吸血鬼には命を弄ばれる――そんなダンピールたちの境遇を思えば、胸がぐっと締められるような感覚を覚える。
「城を襲う同族殺しについてだが、こちらは大鎌を持った黒衣の男だ。こいつは敵がいる限りはそちらへの攻撃に集中するだろう。だが殺すべきオブリビオンがいなくなれば、おそらくはおまえたちも攻撃対象となる。そのときは……奴を葬ってくれ」
同族殺しは強大なオブリビオンだが、領主と戦った後であれば激しく消耗しているだろう。
ならば倒すことも難しくはない。
そう言って話を締めくくると、プルートはグリモアの光で猟兵たちを包んだ。
グリモアベースから転移してゆく体が――やがて雨降りの森の冷たい空気を感じ取る。
峻厳とそびえる石城のほうからは、すでに乗騎竜たちの吠えたてる声が、聞こえていた。
星垣えん
ということで、ダークセイヴァーのシナリオでございます。
1章:オブリビオンとの集団戦。
城を守る竜たちとの戦闘です。
同族殺しが引き起こす混乱に乗じて、堅固な守りを突破しましょう。
2章:領主とのボス戦。
城の主たるオブリビオン『リウ・メイファ』との戦闘です。
猟兵・オブリビオン領主・同族殺しという三つ巴の状況ですが、ここで倒すべきはオブリビオン領主です。
3章:同族殺しとのボス戦。
狂えるオブリビオン『カイン・プロキオン』との戦闘です。
同族殺しの心はすでに完全な狂気に染まっており、まともな会話はできません。
その場で倒し、骸の海に還してやりましょう。
戦闘せずに言葉でもって彼を止めることもできるかもしれませんが、その道は困難です。
それでは、皆様からのプレイング、お待ちしております。
第1章 集団戦
『『暴虐の青風』カエルラマヌス』
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POW : 蹂躙する騎竜
戦闘中に食べた【犠牲者の血肉】の量と質に応じて【身を覆う青紫色の鱗が禍々しく輝き】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD : 飛躍する騎竜
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
WIZ : 邪悪な騎竜
自身の装備武器に【哀れな犠牲者の一部】を搭載し、破壊力を増加する。
👑11
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夜神・静流
◆心情
同族殺しとやらの存在は気にかかりますが、今は置いておきましょう。
領主を討つ好機。まずはここを突破しなければ。
◆行動
残像・ダッシュ・ジャンプ・早業技能を使って接近戦を挑みます。
敵が空中に逃れた場合は、早業・属性攻撃・破魔技能を使用して三ノ秘剣・千鳥による遠距離攻撃を。
「夜神の剣は魔を逃がさない。一匹残らず撃ち落とす」
モリオン・ヴァレー
吸血鬼同士の潰し合い……彼の進軍を利用しない手は無いわね
【グラビティ・チェーンソー】発動
指輪よりマルカジットを召喚
<暗視><情報収集><ハッキング>右目眼帯を取り霊力による視界を確保
同時に義眼とマルカジットを霊糸で繋ぎアクセス
<操縦><ダッシュ><追跡>全速力で行くわ
あなた達は『コレ』よりも速く走れるかしら?
カインへは攻撃を当てない様気を付けるわ
<オーラ防御>
衝突上等
元からの装甲と、あたしの重力の護りにこの速度
押し負けるつもりは毛頭ないわ
<ロープワーク><早業><部位破壊><2回攻撃>
脚が無ければ逃げる事も叶わないでしょう?
例え空中に逃げても、指先1つで動きを変えるこの刃から逃げ切れるかしら?
アンテロ・ヴィルスカ
同族殺しねぇ…猟兵の仕事を減らしてくれるなら楽なものだ
敵側に集中してくれるなら彼の邪魔はしないよ。
飛ぶ竜の死角から放つのは触れた者を凍結させる氷柱
素早く飛ばせるよう、小さめに生成して狙うのは翼だけ
【念動力】を伝せた銀鎖で追撃し、此方に注意を引きつけて僅かでも命中を上げる
黒剣は【武器改造】で禍々しい戦斧へ、地に落ちた竜の首は素早く刎ねていく
残酷?吸血鬼の様に長く痛めつける方が余程だよ
…件の彼も何処かでスパッとやっているんじゃないかな。
アドリブ等、歓迎
城門前に到着した猟兵たちが見たものは、『同族殺し』の大鎌によって四つ足の竜たちが千々に斬り飛ばされるところであった。
「邪魔だ……」
「グッギャアアアア!!」
飛びかかった竜――カエルラマヌスがまた一頭、首を飛ばされて絶命する。
「同族殺しねぇ……猟兵の仕事を減らしてくれるなら楽なものだ」
「ええ。彼の力を利用しない手は無いわね」
包囲されるのも厭わず敵群を突っ切る同族殺しの姿を見て、アンテロ・ヴィルスカが密やかに呟くと、モリオン・ヴァレーも小さく首を動かして同調を示した。
敵を殺しつづけるだけならば、こちらから手を出す理由はない。
夜神・静流は、同族殺しの戦いぶりから目線を切ると、愛刀『十六夜』の柄に手をかける。
「気にならないわけではないですが、領主を討つ好機を逃すわけにはいきませんからね」
「せいぜい潰しあいに便乗させてもらいましょう」
「ああ、そうしよう」
静流の言葉に、モリオンとアンテロは前を向いたまま頷く。
『ギアアアアア!!!』
三者の視界に映るは疾駆する乗騎竜。同族殺しに乱された門番たちは、しかし猟兵の存在を見逃すことなく、その鋭い黒爪をもって襲いかかってきていた。
「さて、まずどうする」
「あたしが」
黒き十字架をくるりと手元で回したアンテロに淡々と答えたモリオンが、左手中指に霊力を集める。するとその指を飾る輪から重装甲バイク『マルカジット』が顕現し、その座席に跨るやモリオンは右眼窩を覆う眼帯を取っ払う。
「あなた達は『コレ』よりも速く走れるかしら?」
霊力を捉える義眼とマルカジットを霊糸で繋ぐモリオン。ろくに操縦もできない宇宙バイクを自身の霊力視界とリンクさせ、コントロールを得ると、アクセルを全開に回す。
重火器をぶっ放したようにマルカジットが飛び出した。
「ギガガガァァァ!!?」
「ギギャアアア!!」
風を切り地面を抉る爆走――視覚と直結させた装甲バイクは一切の無駄なく疾走し、向かい合うカエルラマヌスの群れの真ん中に突っこんだ。
「グガガガ!」
「ギギャ! ッギャギャ!!」
当然、竜たちはマルカジットの突進を押し返すべく、その体をぶつけるのだが――。
「押し負けるつもりは毛頭ないわ」
マルカジットに纏わせた重力の層が、カエルラマヌスたちを寄せ付けない。
むしろじりじりとマルカジットの推力が押し勝ち、次々と敵群を弾き飛ばした。
「今、ですね」
すかさず行動に移ったのは静流。正面から挫かれたカエルラマヌスたちに、影すらも掴ませぬ速力で迫り、剥き出しの長い首に十六夜を斬りつける。
ちょうど鎧のない首の内側に真一文字を刻まれ、竜たちが悲鳴と鮮血をあげた。
惨禍を逃れた仲間が静流めがけて大爪を振り下ろすが、一撃は虚しく空を切る。華麗な跳躍で爪撃を避けた静流は高々とその身を舞わせ、降りざまにカエルラマヌスの紅い眼に十六夜の切っ先を突きこんだ。
「ギャギャガガ……!」
「ギィ! ギギィ!!」
眼窩を貫かれた仲間が倒れると、カエルラマヌスたちが甲高く鳴く。同時に静流の間合いから逃げるべく、こぞって地面を、大気を蹴り、中空へ上昇を開始した。
――だが、そんな安易な行動が通じる猟兵たちではなかった。
「つれないね。もう少し俺たちの相手をしてくれてもいいだろう?」
「ギギャギャギャ!?」
上へ上へと跳躍を続けたカエルラマヌスたちの体に、地面から飛んできた小さな氷柱が一つまたひとつ、楔のように突き刺さる。敵の一手をすぐさま怜悧な一手で封じたアンテロは柔らかくも冷淡な微笑みを浮かべた。
「それじゃ、降りてもらおうか」
アンテロが白銀のロザリオをかざし、それに連なる鎖を伸ばして上空の竜たちを地面へと叩き落とす。モリオンもその指から刃と化した霊糸を射出し、静流も両の足裏でしかと地を踏みしめ、納刀した十六夜の柄を握る。
「この刃から逃げ切れるかしら?」
「夜神の剣は魔を逃がさない。一匹残らず撃ち落とす」
モリオンの霊糸が網の目のようにひろがって、カエルラマヌスを趣味の悪いパーツ群へと変えて土の上に撒き散らせば、静流の放った一閃『三ノ秘剣・千鳥』は稲光のような激しい雷光を生み出しながら、竜たちを余さず雨に濡れた地面へと撃ち落とした。
「グギャ……」
「ギ、ギギギ……!」
「……死にきれないのかい?」
撃墜され、腹と顔をぬかるんだ泥で汚すカエルラマヌスたちの首へ、アンテロは黒き戦斧を振り下ろした。禍々しい断頭の刃は綺麗に竜たちの胴と首を断ち、刎ねられた頭部は「グェ」と小さく鳴いてそれきりオブジェのように動かなくなる。
ともすれば、目を瞑りたくなるような『処刑』かもしれない。
しかしアンテロは、顔色ひとつ変えることもない。
「吸血鬼の様に長く痛めつける方が、余程、残酷だからね」
そう零すアンテロの腕は、ためらいなく戦斧を振るう。青い竜たちの首のない骸が山を作ろうとも、その手が鈍ることはなかった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
アリス・セカンドカラー
*配信用シリアスモード
人の手はあまりにも小さく、掬い取るよりも零れ落とすものの方が多い。取り零す、それを罪と呼ぶならば――その重さは背負った者を押し潰すでしょう。
自己暗示による神憑り(催眠術、ドーピング)。
念動力由来の怪力でもって殴りかかり、パイロキネシス(念動力、属性攻撃、範囲攻撃)で焼き払い、グラビティプレス(念動力、怪力、属性攻撃、範囲攻撃、マヒ攻撃)で圧殺する。
受けたダメージはサイコヒーリング(念動力、医術、祈り)で癒す。そして、大食いな念動力の盗み攻撃でリソースを簒奪し自らのリソースに変換し継戦能力を維持する。
そして、際どく破れた衣装は視聴者を喜ばせ多額の資金を提供してくれるだろう。
「人の手はあまりにも小さく、掬い取るよりも零れ落とすものの方が多い。取り零す、それを罪と呼ぶならば――その重さは背負った者を押し潰すでしょう」
滔々と述べるアリスの精神が、刀のように研ぎ澄まされてゆく。
同時に、周囲には無数の撮影用ドローンが召喚されていた。飛翔したそれの画角に己がしっかり収まっているのを確認すると、アリスは敵群に突撃した。
「ギャギャ!」
「グガガッ!」
馬鹿な獲物がやってきた、と包囲する竜たち。
対して、アリスは拳を握った。
「うーん、ちょっと耳心地が悪いわね♡」
「グゲッ!?」
念動力をこめた強烈な殴打で、竜の一体を眠らせるアリス。
「ギギャアア!!!」
別の個体たちがアリスに噛みつこうと迫るが、それもアリスの念動力が生んだ炎に巻かれ、あえなく地面に落下する。
さらに、アリスはそこへ念動力の巨大な荷重を打ち下ろした。
「ギギギィィッ!?」
次々と重力に潰され、地べたに張りつく乗騎竜たち。
だが竜たちもやられるばかりではない。
「ギィィ!!」
アリスの背後に近づいていた竜が黒爪を振り下ろす。人間の頭蓋を取りつけた爪は禍々しく変形し、力任せにアリスの柔肌を引き裂き、鮮血を噴かせる。
だがアリスは平然と、微笑んでいた。
「服が破けてしまったわ♡」
傷を念動力で癒やすと、アリスはドローンへウインク。
その映像が送られてゆくのは――全国にいらっしゃる支援者の皆様。露になったアリスの白い背中を観賞した支援者たちから、多額の投げ銭がぶっこまれる。
で。
「懐が潤ったわ☆」
懐が潤ったらしい。
「あと武器とかも強くなったわ☆」
「グギャアー!?」
武器とかも強くなったらしい。
びちびち跳ねる触手さんがカエルラマヌスの体を引き裂いたし、たぶん本当だな!
成功
🔵🔵🔴
ジュリア・ホワイト
それぞれ深浅の違いはあれど、事情があるようだね
だが、ボクはボクで勝手に使命を果たさせてもらおう
「そうとも、ヒーローの使命をね。助けを求める声に応えて、世界を救うのさ!」
乗騎竜がいるのは城外か
なら話は早い
「屋内じゃ使えない大技で、一気に突破させてもらうよ。【そして、果てなき疾走の果てに】!」
列車の姿に変身し、正面から乗騎竜の群れに突撃、轢き殺していくとも
周りの猟兵を巻き込まないよう、汽笛を鳴らしてね!
狙いを選ぶ余裕があるなら、誰かを喰らおうとしてる竜を優先しようかな
「ボクの目の前でさらなる犠牲者を出せると思わないことだね!」
大体数が減ってきたら変身を解除して
残りを武器で排除かな
【アドリブ歓迎】
ミザール・クローヴン
……ふん、余所者を厄介払いしてまで安寧を求めたか
そちらは救うに値しない雑魚どもだが、城の方は別だ
弱ってるやつらは捨て置けん
だから全て破壊してやる
まずはそこの竜どもだ!
おれ様は貴様らのように群れるやつが嫌いなんだよ
片っ端からこの爪で引き裂いてやる!
跳ぶ寸前なら震脚で足元を揺らして
隙が出来れば連続で爪撃を叩き込む
なにかを食らう動作があるというなら先に顎を折ってやる
徹底して、破壊し尽くす
おい!そこの貴様!貴様だ同族殺し!
特別におれ様が手伝ってやる、先に行きたいならさっさと失せろ!
貴様の敵はこいつらでないだろう?
話を聞かなくとも、声だけはかけておく
だがな!間違えて攻撃が当たっても文句を言うなよ!
「……ふん、まだ中に入れていないのか」
城門前の様子を見て、ミザール・クローヴンが鼻を鳴らす。
同族殺しの姿は未だ城外にあった。警備の壁を築くカエルラマヌスたちはまだ十分な数があり、その数の力で敵を押しとどめている。
ミザールは、黄金の鉤爪『星の秤』をこすりあわせた。
「村の連中は救うに値しない雑魚どもだが、城にいる連中は捨て置けん」
「そうだね。それぞれ事情はあれど……ボクはボクでヒーローの使命を果たすだけさ!」
助けを求める声あらば、と快活に笑みさえ浮かべるのはジュリア・ホワイト。
二人の猟兵の意気を感じ取ったか、カエルラマヌスたちもぐるりと首を向けた。群れのうちの手すきの個体が別の群れを作り、黒き爪でミザールとジュリアへと襲いかかる。
――だが。
「まずは貴様らが相手か!」
「ギギギャッ!?」
黒爪を易々と弾き返し、逆に燦然と輝く黄金の巨爪。一体を八つ裂きにしてみせたミザールは、そのまま返す刀で横から飛んできた竜を叩き落とす。
「おれ様は貴様らのように群れるやつが嫌いなんだよ!」
「グゲッ!?」
「ガガッ……ギギィィ!?」
さながらちり紙でも破り捨てるように、カエルラマヌスたちを裂くミザール。竜たちも反撃するべく辺りに散乱した屍肉を貪りにかかるが、肉を食む前にミザールの爪が顎を掠め、骨から何から破砕してしまう。
「グギィ!?」
「食事するような暇が、あると思うのか?」
ミザールの眼光が竜たちを怯ませ、わずかばかりの沈黙を生む。
そこへ――耳をつんざくような、汽笛が響いた。
身をすくませる大音量にミザールもカエルラマヌスたちも、一斉にそちらへ顔を向ける。
そして一瞬、固まった。
皆が目撃したものは、列車――蒸気機関車だったからだ。
巨大にして重い鋼鉄の箱が恐ろしい速度で疾走し、まっすぐ向かってきているからだ。
「一気に突破させてもらうよ!」
そう告げた声はジュリアのものだ。列車はヤドリガミたるジュリアの元の姿であり、かつてあっただろう全盛期さながらに勇壮な走りを見せていた。
速度は落ちない。
むしろ増速したとすら思える勢いで、車体はカエルラマヌスたちを正面からぶち抜いた。
「グギャッ!?」
「ギゲゲゲッ!?」
圧倒的質量に激突された竜たちが、断末魔をあげて宙高く体を舞わせる。当然だが地面に落ちてきたときにはすでに絶命しているし、運悪く車輪に巻きこまれた個体は声すら発することなく骸の海に消えた。
「ボクの目の前でさらなる犠牲者を出せると思わないことだね!」
「無茶苦茶な奴だな……」
溌溂と言い放って走り去ってゆくジュリアを見送ると、ミザールは別の方向へ視線を向ける。
その先にいるのは――大立ち回りを演じる同族殺しだ。
「おい! そこの貴様! 貴様だ同族殺し!」
寄ってきた竜を斬り捨てて、叫ぶミザール。
「特別におれ様が手伝ってやる、先に行きたいならさっさと失せろ!」
「……僕は……」
同族殺しに、声が届いた様子は見られない。
しかしミザールの声は、同族殺しに殺到する何体かを自分に誘引していた。おかげで薄まった壁は同族殺しの進軍に耐えられず、押されてゆく。
「手のかかる奴だ……」
「ミザール君は妙なところで優しいようだね」
「おい、そんな馬鹿は二度と言うな」
さんざん竜を轢き殺してから合流したジュリアに、ミザールは猛犬のごとき視線をぶつけた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ジェイ・バグショット
同族殺しとは初めて会うが…興味はあるな。
オブリビオンを殺すオブリビオンの存在に些かの興味を示す
…竜の鱗は硬そうだ。
貫通力と鱗の防御が関係ない手段をとる
荊棘の王を複数呼び出し【早業】により速度アップ
多方面から輪を強襲させる
敵の攻撃からは輪を間に挟んだりなどして回避
首輪を付けてないとは、行儀が悪いんじゃねぇか?
ブラッド・ガイスト
自身の鮮血を少し使用し静かに【刻印】を発動
生み出された『黒い液体の生物』は雨のように敵の集団へ降り注ぐ。
意志を持つように自立して動く黒い粘液は触れた箇所から体内へ吸収されるとそのまま血液を貪り食い敵を殺す
硬い鱗もコイツが相手じゃ意味ねーだろ。
さて飼い主の顔でも拝みに行くか。
レイシィ・ローレル
他の猟兵との連携希望ですよぅ
えぇっと、なんだかたくさんいますですね?
それに動きを見てると、戦闘力を増すような
行動をいっぱいしているように感じるですよ
竜さん達に囲まれたら大変ですから
レイはUCを発動して音楽を奏でますよ!!
「元気に踊るですよぅ!」
楽器演奏と歌唱で踊りコさん達と守りを固めるですよ
守れる範囲は広くないですが
他の猟兵さん達のサポートができたら
レイはとっても嬉しいですよぅ!
レイはこの世界、あまり詳しくないですが
助けて、って言ってるヒト達がいるならむかえに行くですよぅ
ダンピールさん達だって、レイ達とおんなじ『ヒト』なんですから!
だから頑張ってサポートしますですよ!
アドリブ大歓迎ですよぅ!!
ディートヘルム・アモン
(アドリブ・連携歓迎)
同族殺し、そして虐げられたダンピールか…
いや。境遇を重ねたところでどうにもならんことは分かっている。まずは城の竜から狩りに行くか。
これ以上血肉を喰らわれ強くなられるのは避けたい、喰うことのできぬように竜の顎や頭を狙って攻撃する。
この数一体一体に時間はかけられん、【血統覚醒】で一気に攻勢をかける。
接近できるなら黒剣で切り落とし、剣が届かないなら[ポラール・リヒト]で撃ち抜く。
覚醒の恩恵で多少の傷は無視できる、<捨て身の一撃>を使ってでも敵を倒す。
考え立ち止まったままでは救うこともできん、何としても突破する…!
猟兵が助力した形になった同族殺しは、カエルラマヌスを斬っては進み、進んでは斬り、屍山を築きながら着実に城内へ進んでいる。
「あれが同族殺しか……」
狂気の進軍を続ける黒衣の姿を、ジェイ・バグショットは目前のカエルラマヌスをあしらいながら一瞥した。
オブリビオンを殺すオブリビオン、などという異質を見るのはジェイも初めてである。意識せずとも視線はそちらへ引き寄せられていた。
そしてそれは、ディートヘルム・アモンも同様だ。
「同族殺し、そして虐げられたダンピールか……」
再確認するように呟くディートヘルムの表情には些かの陰が覗く。ダンピールという出生ゆえに人々に疎まれるという境遇は、彼にとっては全く他人事ではなかった。
しかし、そこに何を重ねたところで、好転するものは何ひとつない。
ディートヘルムは瞑目し、頭に浮かぶすべてを胸の奥底へと沈めこむ。
すると、彼の耳元あたりに浮遊していた妖精――レイシィ・ローレルが明朗な声音で騒ぎ出した。
「えぇっと、なんだか竜さんがたくさんいますですね? それに、何だか散らばってるお肉を食べるたびに戦闘力が増してるように感じるですよ!」
「……まずは狩りと行くか」
敵を観察し、その報告をしたレイシィの横で、地を蹴るディートヘルム。
当然だが単なる吶喊ではない。己の内に宿る吸血鬼の血を揺り起こした彼の脚力は、尋常ならざる速度を生み出す。
雨降りの中に紅い眼光の軌跡だけを残して――ディートヘルムは敵群の只中に到達していた。
「ガガッ!?」
「ギアアアアアッ!!」
「遅い」
竜たちは反射的に喰いかかった。だが牙はその影を捉えることもできず、逆にディートヘルムの振るった黒剣が大きく開いた口蓋の継ぎ目を叩き斬る。
顎が動かなければ血肉を喰らうことはできない。
先んじて敵の強化行動を封じたディートヘルムの戦術は功を奏した。彼を囲むカエルラマヌスは反抗もままならず、地に並ぶ骸の列と化してゆく。
「わぁ、すごいですよぅ!」
「……それじゃ、こっちも仕事に入るとするか」
レイシィがパタパタと翅を動かして驚きを表現する一方で、ジェイは相変わらずの億劫そうな目つきのまま、鉄輪状の拷問器具『荊棘の王』を無数に宙へばらまいた。
すると、放たれた荊棘の王は竜たちを追尾。払い落とそうとする爪や尾を掻い潜り、首や脚に取りついて締め上げ、輪の内側にある棘でミシミシと肉を抉る。
「ギ……ギィィ!?」
「首輪を付けてないとは、行儀が悪いんじゃねぇか? 躾が必要だな」
苦悶にもがくカエルラマヌスたちを、路上のゴミのように見下ろすジェイ。その間も荊棘の王は周囲を飛び回り、次々に竜を捕えて絞首刑に処してゆく。
――だがしかし、やはり城を守る乗騎竜の数は厄介だった。
「ギガガァァ!!」
「……抜けてきたかよ」
脚を畳み倒れてゆく同胞たちの間から、1頭のカエルラマヌスが飛び出してきた。その口には人間の内臓が咥えられており、鱗を妖しく輝かせた竜は、ジェイの命を絶つべく彼の喉元へ喰らいつこうとする。
けれど、その牙がすぐそこへ迫ろうとも、ジェイは顔色ひとつ変えなかった。
つと、一帯に――賑やかな楽器の音色が鳴り響く。
「元気に踊るですよぅ!」
上空をくるくると旋回するのは、レイシィだ。
周囲を華やかに彩るのは燐光にも似た無数の花びら。レイシィはその美しき『踊りコ』たちとともに踊りながら翠色の竪琴を弾き鳴らし、伸びやかな歌声を響かせる。
奏でられた歌に乗るように、花びらの領域は拡大。
その場に立つジェイまでも取りこむと、迫りくる竜の黒爪を容易く弾き返していた。
「ギィッ!?」
「皆さんを傷つけることはさせないですよぅ!」
「だそうだ。悪いな」
ジェイが己の肌を傷つけ、体内の刻印を発動する。
そして肉体から染み出すのは――黒き液体生物だ。
中空へと跳ねあがったその黒液は竜たちの直上で停止……したと思えば、その直後には八方へ散って、雨粒のようにカエルラマヌスたちの青き鱗を侵食した。
文字通りの侵食だ。
黒液は鱗の上から竜の体内へ染みこんで、まるでそこに意志があるかのように、血を啜り肉を溶かして肉体の深奥まで喰い荒らしていた。
「グ……ゲゲッ……」
「ゴゴッ……」
「硬い鱗もコイツが相手じゃ意味ねーだろ」
ジェイの投げた声を聞くこともなく、カエルラマヌスはばたりばたりと息絶える。
それを見て敵群を蹴散らす好機と判断したディートヘルムは、城内へ向けて疾走を始めた。
「考え立ち止まったままでは救うこともできん。何としてでも突破する……!」
右手に黒剣を、左手に光線銃『ポラール・リヒト』を握り、ダンピールは行く手を阻む乗騎竜たちを薙ぎ払う。薄まった陣形はもはや壁の役を果たしていない。突っ切れば城への侵入は叶うはずだ。
レイシィも、彼の後ろを追った。
「レイはこの世界、あまり詳しくないですが、『助けて』って言ってるヒト達がいるならむかえに行くですよぅ。ダンピールさん達だって、レイ達とおんなじ『ヒト』なんですから!」
救える命があり、救いを求める声があるならば――。
レイシィは翅を羽ばたかせて、全力で、ディートヘルムの切り開いた道を飛ぶ。
カエルラマヌスたちの警備を切り抜けた猟兵たちは、その勢いのまま城内へ飛びこみ、領主が待つだろう上階へと駆けあがってゆくのだった。
成功
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第2章 ボス戦
『リウ・メイファ』
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POW : 殺戮遊戯
【炎で出来た騎馬軍団】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 鏡想遊戯
戦闘用の、自身と同じ強さの【相手が嫌う相手自身】と【相手の大切なヒトやモノ】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
WIZ : 追憶遊戯
戦場全体に、【出来る事なら忘れてしまいたい記憶】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
👑11
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猟兵たちが上階にたどり着くと、すでに女領主『リウ・メイファ』は同族殺し『カイン・プロキオン』と顔を突き合わせていた。
その顔に薄笑みを浮かべて。
その傍らに鉄製の足枷をはめたダンピールたちを並べて。
「張りきってるわね、同族殺し。そんなにこの子たちを助けたいのかしら?」
「……僕は……僕が……救う……」
「ここで助けたところで、何処にも居場所がないとしても?」
「…………救う!!!」
床を蹴ったカインが、メイファめがけてその鎌を振り下ろす。
響いたのは、大鎌の先が石にかちあたる硬質な音だ。メイファは優雅な跳躍でカインの一撃をかわすと、距離を離してふわりと着地して、やはりくすりと笑った。
「必死なものね? やっぱりあなたも思い出してしまうのかしら? ダンピールとして生を受けた絶望を」
「……僕は……」
石に刺さった鎌を引き抜いたカインが、メイファと正対して立つ。
その背に――枷に自由を奪われ、怯え竦むダンピールたちを庇うようにして。
「きみたちの苦しみは……僕が全部……!」
己が身を鎌で斬りつけると、カインの傷口から蒼き炎が噴きあがる。蒼炎は石の床を這ってひろがり、じわりじわりと城内の空間を侵食してゆく。
「会話もできないみたいね。まあ、それならそれでいいけれど」
対するメイファが、指で宙をくるりと撫ぜた。
途端、ぼうっと赤き炎が生まれる。赤炎はゆらゆらと彼女の周りを踊り、やがて壁から壁までの横一線にひろがり、カインの蒼炎に劣らぬ勢いでもって強まってゆく。
そうして一触即発の状況を作ると、メイファはカインを指差し、そして猟兵たちをも指差して、高らかに開戦を告げるのだった。
「さあ、熱いゲームを楽しみましょう」
アリス・セカンドカラー
追走遊戯を妄想反射鏡でハッキング♪【出来る事なら忘れてしまいたい記憶】をメイファちゃんに植え付けてあげる♡
と、いうわけでいつもの☆ハッキングした迷宮をパラサイトテンタクルに置き換えてーメイファちゃんをぬるぬるぐちょぐちょに♪で、メイファちゃんに濃厚なキスで気持ちよくなれるオクスリ(毒使い、ドーピング)を口移しするわ☆
で、メイファちゃんにまーら様タイプの触手を寄生(ハッキング)させてー、そのまま大食い/盗み攻撃で咥えこんで生命力吸収しながら女の子では味わえない快楽を教えてあげる♡ふふふ、たーっぷりと御奉仕しとげるから覚悟してね♪
忘れたくても忘れられない思い出にしてあげるから♡
「あなたの思い出は、いったいどんな色をしてるのかしらね?」
猟兵たちが戦意を見せるや否や、メイファはユーベルコードの行使。階層全体を不可思議な迷宮で包みこんだ。
壁はない。
代わりに空間を隔てるのは、各々の心に眠る情景――忘却の海に沈めたい記憶だ。
ダンピールたちは一様に顔を伏せ、耳を押さえた。
「や、やめて……」
「もう、私に思い出させないで
…………!」
「ふふっ、いいわよ? あなたたちのその顔」
縮こまって怯えるダンピールを見下ろして、メイファは満面の笑みである。
――が、その愉悦も長くは続かなかった。
「忘れてしまいたい記憶? じゃあそれをメイファちゃんに植えつけてあげるわ☆」
忌まわしき記憶の迷宮に、揚々と降り立つはアリス。
彼女がパチンと指を鳴らすと、辺りを囲っていた過去の光景がフッと、通電が切れたテレビの映像のように消える。そしてもう一度アリスが指を鳴らせば――。
「はい、いつもの☆」
迷宮はアリスの妄想によって、余さずヌルヌル触手素材へと様変わりしていた。
色々とひどすぎる改変――だがメイファは興味深そうに蠢く触手を観賞する。
「面白い模様替えね。で、これでどうするつもり?」
「もちろんこうするのよ♡」
「ンムッ?」
しゅるっと壁から伸びた触手がメイファの四肢を捕らえ、すかさず接近したアリスが躊躇ゼロで口づけした。そして自身の口に含んだ何かを、直接メイファの口内に送りこむ。
すると体が痺れ、熱くなる。
「これは……どういう趣向?」
面白そうに笑いながら、自身の体に視線を下ろすメイファ。その体にはアリスが口移しで送りこんだ何かのせいだろう、怪しい触手が生えていた。
そしてその触手にアリスは――。
「ふふふ、忘れたくても忘れられない思い出にしてあげる♡」
「あっ」
ぱくっと吸いついた。同時に念動力を応用したライフスティールで、みるみるメイファから生命力をも吸収してゆく。
しかし、それでも、メイファは微笑んでいた。
「こういうのも存外、楽しいものね。お嬢さん?」
「あら……意外と慣れっこ?」
惜しい。
と、何となく思うアリスだった。
成功
🔵🔵🔴
ジュリア・ホワイト
囚われたダンピール…
情報にあった今回の犠牲者だね
「彼らを戦闘に巻き込むわけには行かないけど、避難させるのを敵が見逃すはずもないか。まずはオブリビオンを排除するよ!」
持ち込んでいた石炭を食べて【圧力上げろ!機関出力、最大開放!】を発動
強化した身体能力でメイファに白兵戦を仕掛ける!
「ヒーロー、オーヴァードライブ参上!領主リウ・メイファ、キミを断罪しに来た!」
「彼らが迫害されているとしても、それはキミがここで彼らをいたぶり殺す事の免罪符にはならない!」
炎の騎馬隊?あいにく熱に強いのはこちらもでね!
全部切り払ってあげるよ!
「いかなる困難も乗り越え進む!その為の希望がヒーローさ!」
【アドリブ歓迎】
夜神・静流
◆心情
同族殺し……彼もまた、深い絶望と悲しみによって狂った犠牲者なのかもしれません。ですが、それについては今は考えまい。
まずはリウ・メイファ。あの吸血鬼を仕留める事のみを考えましょう。
悪しき魔物を討ち滅ぼす。それこそが私の使命であり、存在理由なのだから。
◆行動
後の先を取る。
見切り・第六感・早業・戦闘知識・カウンター技能を使い、炎の騎兵の突撃に合わせてカウンターを仕掛ける。
属性攻撃・範囲攻撃・破魔技能を用いて三ノ太刀・鳴神を放って迎え撃ち、メイファ諸共薙ぎ払いましょう。
「私が道を切り開きます。続いて下さい」
アドリブ・共闘歓迎。
「さあさあ。足りないわ? もっと私を楽しませて?」
「……消えろ……!」
炎を荒れ狂わせ、応酬を続けるメイファとカイン。
衝突する炎の熱気がその場を満たしてゆくのを感じながら、静流は獣同士が対したかのように戦う両者を――いや、己を傷つけつつ蒼炎を吐きつづけるカインを見ていた。
「同族殺し……彼もまた、深い絶望と悲しみによって狂った犠牲者なのかもしれません」
自己を顧みず戦う姿には、彼が背負う何かを感じ取ることができる。
しかし今は、と静流は十六夜に手を添えた。
「まずはリウ・メイファ。仕留めるとしましょう」
「そうだね。そうしよう」
並び立つジュリアが静流の言葉にひとつ頷き、ダンピールたちのほうを見やる。
「な、何が起きてるんだ……?」
「熱い……喉が焼けてしまいそう……!」
ダンピールたちは、炎に囲まれて身動きが取れなくなっていた。現状は無事だが、留まればどうなるかはわからないだろう。
だがメイファの眼が届くうちは、避難させるのも楽ではない。
そう判断したジュリアは荷物に詰めてきた石炭を手づかみで取り、口に放りこんだ。
「彼らを守るためにも、まずはオブリビオンを排除するよ!」
摂取した石炭が喉を落ち、内蔵されたボイラーに投下される。湧き上がる熱が四肢にエネルギーを送りこむと、その最大出力でもってジュリアはメイファに突進した。
瞬きするようなわずかな時間――。
それだけで、人の形を得た機関車の姿は、もう領主の懐にある。
「ヒーロー、オーヴァードライブ参上! 領主リウ・メイファ、キミを断罪しに来た!」
「! いつの間に近づかれたのかしら……」
ジュリアが啖呵を切りつつ振りぬいた剣『残虐動輪剣』が、咄嗟に避けようとしたメイファの細い脚を斬りつける。それでもメイファは顔色を崩さなかったが、ジュリアは構わず追撃の剣を振り下ろした。
「彼らが迫害されているとしても、それはキミがここで彼らをいたぶり殺す事の免罪符にはならない!」
「いたぶり殺すだなんて心外ね。私は何も死ぬのが見たいわけじゃないのよ?」
そう笑うなり、メイファが炎の隊列を放つ。触れればたちまち燃やし尽くされそうな熱の塊が、ジュリアへと殺到する。
しかし、ジュリアはその体を炙られながらも、迫る騎馬を斬り払った。
「あら……?」
「あいにく熱には強い体でね!」
動き回って浮きそうになった制帽を押さえ、不敵に笑い返してやるジュリア。
そしてそんな彼女の頭を飛び越えて、後ろから人影が飛び出してゆく。
「悪しき魔物は、討ち滅ぼします」
静流だ。
ただひとつ、討つべき存在へ目を留めて、静流は今にも愛刀『十六夜』を抜き放とうとしていた。それを抜かれてはまずいと察したメイファは、ジュリアに放たなかった残りの騎馬隊のすべてで静流を迎え撃つ。
「歓迎してあげるわ……熱くね!」
「歓迎ですか。構いませんよ」
騎馬隊の蹄が床を蹴った――その瞬間。
静流の十六夜は鞘から放たれていた。
刀身が露になるや十六夜は雷気を帯び、中空に華麗なる弧を描く。途端、刀は剣閃のごとき雷光を放出し、襲いくる炎の馬のことごとくを斬り伏せる。
そして、その一太刀はメイファの体をも、薙ぎ払っていた。
「くっ
……!?」
雷撃に裂かれた体が、たまらず揺れる。
彼女の余裕がわずか崩れたのを見て、静流はもう一度、十六夜を構えた。
「私が道を切り開きます。続いて下さい」
「もちろん! いかなる困難も乗り越え進む! その為の希望がヒーローさ!」
再び静流に並び立ったジュリアが、動輪と称する剣を握りなおした。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アンテロ・ヴィルスカ
あれが噂の同族殺し君?
なんだか猟兵の成れの果てにも似て思えるねぇ…炎、炎とお熱い事だ。
削り合ってくれる間に先ずはダンピール達を逃がそうか
UCを発動させ、俺自らが両者の間の壁になろう
…炎で出来ているからと言って、闇雲に解けぬ吹雪に突っ込んでしまって大丈夫かい?
その間にも【念動力】を銀鎖に伝せ、数人ずつ纏めて猟兵達の背後に引きずり込む
すまないが枷を外して、誘導して…と丁寧にやる気はないよ
どこに帰ればいいか?それは自分で解決しておくれ
逃し終われば極力二人の間には入らぬよう、死角から吸血鬼を狙い斬撃を見舞う
同族殺し君がこちらに掛かってくれば応戦するが……
君は後のお楽しみだ。
アドリブなど、ご自由に
ミザール・クローヴン
無策か、同族殺しめ何の策もなく突っ込んだのか!
会話できないどころか完全に理性がないのか奴は!
ええい!面倒な奴め!手を貸してやる!
他の猟兵がダンピール共を庇っていないなら
盾役となり爪を振るって被弾を防ぐ
誰かが庇っているなら戦闘の補助だ
炎の騎馬がなんだ
家族の姿が見えようが知ったことか
どんな景色が見えようがやることは変わらん
おれ様を阻むものは!何であろうとぶち壊す!
おれ様の爪は肉を裂くだけに留まらず、
貴様の高い鼻っ柱と傲慢不遜な精神をへし折る!
戦う気など起きないほどに徹底的に刮ぎ取ってやる!
行け!同族殺し!
言われずとも行くだろうが、お膳立てだけはしてやった!
あとは貴様の手で終わらせてやれ!!
「……消えろ……!」
「まったく。あっちからこっちから……騒がしいわね」
体に刻まれた傷を押さえながら、メイファは飛んできた蒼炎に赤炎をぶつける。猟兵と同族殺しを同時に相手取ることは予想以上に骨が折れることだった。
もし連携して攻められていたら、と彼女が思うほどには。
だが、狂えるオブリビオンには当然、連携などという思考はない。
「……消えろ……失せろ……!」
燃える激情に任せ、カインが大鎌でメイファに襲いかかる。
それを、アンテロは寒々しい眼差しで見ていた。
「なんだか猟兵の成れの果てにも似て思えるねぇ……炎、炎とお熱い事だ」
「呑気に言っている場合か! あの調子では同族殺しが勝手に死んでしまうぞ!」
アンテロに眦を吊り上げて叫んだのは、ミザールだ。
「面倒な奴め……完全に理性がないのか!」
苛立ちを口にしつつ、黄金の機械爪をかざすミザール。
横目にミザールを一瞥したアンテロは、かすかに口角を上げた。
「先ずはダンピールたちをこの場から逃がすとしようか」
「……そうだな」
ダンピールたちを見やる二人。
「おれ様が奴に仕掛ける間に、どうにかしてやれ」
「そうかい? では任せてしまおうかな」
「なら……善は急げというやつだ!」
告げた声を置き去りに、ミザールが疾走した。
「あら、相手をしてほしいの?」
ミザールを迎え撃つ赤炎の馬群。
燃え盛る炎がミザールの体を掠めて焦がす――が、ミザールは止まらない。
「これしきの炎がなんだ。おれ様を阻むものは! 何であろうとぶち壊す!」
行く手を阻む赤き馬たちを、振り回す黄金の爪を盾にして突っ切るミザール。馬群を蹴散らして進んだサイボーグは、瞬く間にメイファの眼前に躍り出ていた。
「貴様の鼻っ柱をへし折ってやる! もう戦う気など起きないほどにな!」
「なっ……!」
咄嗟に後ろへ跳ぼうとしたメイファを、ミザールの機械爪が捉える。獅子のごとき気合がこめられた一撃が削ったのは、肉体ではなくその傲慢な精神だ。
「これ、は……?」
文字通り『戦意』を削がれたメイファが、ぐらつく。
ミザールは首を振り向け、怒鳴るようにカインへと叫んだ。
「行け! 同族殺し! 言われずとも行くだろうがな!」
「……くらえ……!」
虚ろな繰り言を放ちながら、カインが追撃の大鎌を振り下ろす。
一方、その間にアンテロはダンピールたちへの接近に成功していた。
「死にたくはないだろう? すぐここを離れることだ」
「は……はい……」
「でも……どこへ……」
ダンピールたちは立ち上がったが、その顔には逡巡が覗く。
助かるには逃げねばならない。だが逃げられたとして帰るべき家も村もない。
行き場なきダンピールたちは茫然と立ち尽くした。
だがアンテロは肩を竦めるばかりだ。
「それは自分で解決しておくれ」
「そう、です……ね……」
俯くダンピールたち。
しかし彼らには、悲しみに暮れている時間もない。
炎馬が迫っていたからだ。メイファが放った攻撃の余波が、ダンピールたちを呑みこもうと近づいていた。
「ひっ
……!?」
「暴れ馬とは、困ったものだ」
身を竦めるダンピールたちの前に、壁のごとく立つアンテロ。
するとそのアンテロの体を、闇が溶けたような黒雪が覆う。雪は勢力をひろげ、炎の馬群は一斉にその吹雪の中へ突っこんだ。
「……おやおや、大丈夫かな?」
アンテロが笑むと同時、吹雪を抜け出た炎の騎馬が倒れた。黒い吹雪は炎馬の体を容赦なく侵食し、通過した騎馬をことごとく、ろくに辺りを照らせぬ小さき灯火に変えていたのだ。
同時に、アンテロは銀鎖を操り、ダンピールたちを後方へ引きずる。そうして彼らの安全が確保されたのを確かめると、アンテロは炎渦巻く戦場に目を向けた。
「さて、それじゃあ行こうか」
吸血鬼狩りの時間、と、アンテロは悠々と歩いてゆくのだった。
成功
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アルジェロ・ブルート
ダンピール囲ってンのって此奴かい。
俺ねぇ、吸血鬼嫌いなの。
特に女の吸血鬼が、ああ心底な。
【悪食双子の遊戯会】
良かったな、ゲームだってよお前達。
相手が吸血鬼ってんのは不満かもしれねぇが……ああ、杞憂だったな。悪い悪い。
俺が怪我しちゃ消えちまう、後でさんざ拗ねられんのも面倒だ。
適当に《逃げ》とこうか。
お前ら《Sangue》は持ってくか?
それとも《怪力》の儘千切んのか。
好きに遊んで構やしねェが、喰い残しはない様に。楽に死なせてやんなよな。
あっちでとっ捕まってるダンピールはどうすっかね。
いっくら俺の兄弟が皆ダンピールっつったって、余所のはどうでも良いんだけど。
ま、そこらへんは後々また話し合おうか。
ジェイ・バグショット
ハハ、ずいぶん美人なオブリビオンだな。
性格は悪そうだが。
醜悪な相手よりはマシかと嘲笑
輪に棘がぐるっと刺さっている拷問器具を複数使用。自動で敵を追尾し、捕らえると同時に棘が突き刺さりダメージを与える。
自動追尾を解除し自分で操ることで【早業】により速度アップ
多方面から輪を強襲させたり味方と敵の相手に割り込ませて助けたりと使い方は様々
同族殺しの目的は囚われたダンピの救出か?と内心思案
普段は誰がどうなろうと気にかけないが、ダークセイヴァーの事情は誰より知っていて囚われたダンピには少し同情
相変わらず、クソみたいな世界だな。
自分やダンピに危害が及びそうならUCの防御魔法で守ってやる
アズーロ、守ってくれ
モリオン・ヴァレー
ダンピール故の絶望、か
あたしもクリスタリアン故に狙われ、結果復讐に身を墜としたから彼の想いはなんとなく判ってしまう
復讐の果てに何もないという事も
迷宮を彩るは紅い炎
燃え盛る宇宙船に響く火を点けた女の嘲笑
既に滅んだあたしの故郷
家族も右目もその炎に奪われた
だけどその過去があるから今のあたしが居る
それを忘れる事なんて……
<暗視><情報収集>
造られた迷路なら不自然な霊力の流れが存在する筈
右目の霊力視界を元に辿れば出口へ辿り着けるわ
<殺気>熱いゲームをありがとう
【パイロ・ブラスト】発動
<クイックドロウ><属性攻撃><スナイパー>
あたしの故郷を焼いた銃、その炎の弾幕でお返しするわ
あなたは楽には、逝かせない
「ハハ、ずいぶん美人なオブリビオンだな。性格は悪そうだが。醜悪な相手よりはマシか」
メイファの端麗な顔を見るなり、ジェイは目元を動かさぬまま笑いを作る。
その笑みに潜ませた嘲りは確かにメイファにも伝わっただろう。だがメイファはそれに苛立つこともなく、ただじっとジェイの顔を見返した。
「あなたは随分と顔色が悪いわ。ちゃんと食事はしているの?」
「放っておけ」
一言。からかうようなメイファのちょっかいを切り捨てるジェイ。
そこへ、アルジェロ・ブルートが己の存在を誇示するように、横からぐいっと顔を出してきた。青い瞳をナイフのように細めて。
「俺ねぇ、吸血鬼嫌いなの。特に女の吸血鬼が、ああ心底な」
「残念ね。私はあなたたち人間が好きよ?」
「好き? そんな吸血鬼がいるものかよ」
吐き捨てたアルジェロが、灰色の髪を乱暴にかきあげて、おもむろに指を差す。
何を示すでもなく、ただ中空へと。
「ゲームがしたいんだろ? なら遊んでくれよ、こいつらと」
アルジェロの端正な顔が悦に歪んだ刹那――空間が割れ、まるで居室から飛び出すかのように二人のダンピールが召喚された。
少年と少女。
鏡映しの容姿を持つ二人は、アルジェロの弟と妹である。
「良かったな、お前達。あの女はゲームがしたいみたいだぞ?」
『ゲーム!』
『いいね!』
『『やろうよ、ゲームを!』』
アルジェロが耳元で囁いてやるなり、双子はその赤い瞳を爛々と光らせ、玩具を与えられた犬のようにメイファへと飛びかかった。
「その気になってくれて嬉しいけれど、ちょっとあなたたちは物騒ね」
双子を阻むべく、迷宮を作り出すメイファ。生じた壁が両者の空間を隔てると、双子はそこにぶち当たり、姿を消したメイファへと文句を喚いた。
『消えた!』
『いない!』
『『どこにいったの!?』』
「どこって言ってもなぁ……」
ぐるんと振り向いた双子の視線を受けて、答えに窮するアルジェロ。すっかり辺りは迷宮に変化していて、メイファの居所どころか出口すらもわからない。
どうしたものか、と少し考えこむアルジェロ。
すると――。
「ならこいつを追っていけ」
アルジェロと双子の目の前で、ジェイが鉄輪をばらまいた。外周を禍々しい棘で飾られたその拷問器具は一度がらんと床に落ちて音を立てたが、やがてひとりでに浮かび上がり、そのまま迷宮の通路をどこかへ向けて飛んでゆく。
「こいつは勝手に敵を追ってかじりつく。ついていけば奴のところにたどり着くだろ」
『場所がわかる!』
『待って待ってー!』
「お前ら、好きに遊んで構やしねェが、喰い残しはない様に。楽に死なせてやんなよな」
『『うん!!』』
鉄輪を無邪気に追ってゆく双子を、アルジェロはまるでピクニックに向かうのを送りだすように見送る。
一方、ジェイは放った鉄輪が猟犬のごとくメイファを捉えるのを待つ間、この場へともに駆けあがってきた同族殺しのことを考えていた。
(「目的はダンピの救出か?」)
メイファに食ってかかる様子を見れば、大方そうだろうとは思える。
ジェイはあまり人を気に掛けるほうではない。むしろ無関心だ。しかしことダークセイヴァーに関しては事情に通じている分、今回のダンピールたちには幾許かの同情も覚える。
安寧とも呼べぬ束の間を得るためだけに、犠牲になった者たち。
「相変わらず、クソみたいな世界だな」
ジェイは口に出してそう言わずにはいられなかった。
「ダンピールをどうするか、ってとこは後々話すってとこかね?」
「だろうな。後回しにするしかねぇだろ」
言葉を交わすアルジェロとジェイ――が、そのとき彼方から声が聞こえた。
それは双子の笑い声。鉄輪が床を抉る破壊音。
「見つけたみたいだな」
「ってことは、出口はあっちか」
たどり着く頃にはもう、領主は死体になっているだろうか。
そんなことを思いながら、二人は出口へ向けて歩き出した。
燃える。燃える。
生まれ育った宇宙船が、燃えてゆく。衰えることなくひろがるばかりの火勢は思い出ごと船のすべてを呑みこみ、家族をも連れ去り、それを見る自分の右眼さえも奪う。
そして耳に聞こえるのは、その地獄を生んだ女の嘲笑だけ。
「悪趣味な迷宮ね……」
己が過去を映し出す迷宮を見回して、モリオンは淡々と呟いた。
平気なわけではない。目にしたくはない記憶だ。だが彼女は、それまでその迷宮の中で無力に蹲ってきただろう人間やダンピールたちとは違い、立ち上がって前に進んでいる。
「ダンピール故の絶望、か」
同族殺しにかけたメイファの言葉を、モリオンはふと繰り返していた。
彼女もクリスタリアンであるがゆえの絶望を味わい、復讐者に身を堕とした。だから同族殺しの想いは、茫漠とだが判ってしまう。
そしてその先に、何もないということも。
――だが、その何もない場所に到達したからこそ、彼女はここにいた。
「過去があるから今のあたしが居る。それを忘れることなんて、あたしにはできない」
モリオンが右眼を使う。周囲の霊力の流れを分析して出口の方向に見当をつけると、モリオンは己を囲む過去の中を胸を張って突っ切ってゆく。
そうして、歩いて、走って――渦を巻く過去を抜けた先には。
「ぐっ
……!?」
『遊ぼう!』
『遊ぼうよ!』
『『ゲームをしよう!』』
ダンピールの少年少女に殴り飛ばされ、蹴り飛ばされて、床に這いつくばるメイファの姿があった。その顔は血に染まり、浮かんでいた領主の余裕はもうない。
「……あなたは……」
「いい姿ね」
こちらに気づいて見上げてきたメイファへ、そう言って、モリオンはマシンピストル『パイロ・バスター』の銃口を突きつけた。
「ま、待っ――」
「熱いゲームをありがとう」
メイファの嘆願を破って、炎の銃声が鳴り響く。
パイロ・バスターから猛然と連射された炎はメイファの体を包みこみ、焼き払う。
まるで己が故郷を焼いた炎のように燃え上がるそれを見下ろしながら、モリオンは消えゆくメイファの最期を見届けたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
ディートヘルム・アモン
(アドリブ・連携歓迎)
人との子を宿した母は一族の怒りを買い、邪神に捧げられかけたらしい。
だからお前は、お前達はこうなのだと。
貴種でも人でもなく、神にも怪物にもなりそこなった存在だと。
…母の一族と相対した際に告げられた事だが、確かに堪えた。
探せば同じダンピールは見つかるだろうが、厳密に言うなら俺と兄弟の同族はどこにもいないだろうということなのだから。
だとしても。生きている、此処にいる。それは確かなことだ。
それさえ分かっているなら充分だ。止まる理由にはならない。
領主と同族殺しの魂なら[ケーフィヒ]を通して見えるはずだ、それらを標に脱出する。
領主の心に何故、と疑念が浮かんだならUCで縛り切り伏せる。
崩壊する迷宮が、まるで砕かれたステンドグラスのように、彼の数多ある記憶を映し出す。
顔も知らぬ母。
自分を見る人々の、冷めた眼差し。
年月すら忘れるほど共に過ごした墓石たち。
それらが床に落ちて砕けてゆく中、ディートヘルムはただ、走っていた。
「人との子を宿した母は一族の怒りを買い、邪神に捧げられかけたらしい」
渦巻く記憶を見ながら、ふと口から零れ出たのは、誰かから聞かされた言葉。
それを真実と確かめる術はなかったが、ディートヘルムには受け止めるしかなかった言葉。
「だからお前は、お前達はこうなのだと。
貴種でも人でもなく、神にも怪物にもなりそこなった存在だと。
……母の一族に告げられた言葉は、確かに堪えた。探せば同じダンピールは見つかるだろうが、厳密に言うなら俺と兄弟の同族はどこにもいないだろうということなのだから」
今はもう、それを自分に言い放ったその誰かの顔も思い出せない。
だが、そのときに胸に疼いた悲しみと孤独は、きっと忘れることはない。
けれど、それが己の体に絡みついて、脚を引っ張ってこようとも、ディートヘルムの脚は止まったことはなく、迷宮内を駆けるその脚も止まりはしなかった。
右眼に埋まる義眼『ケーフィヒ』が、行く先に魂の明るみを示す。
誰に迎えられることなく世界に生まれ落ちてきたダンピールは、強く床を蹴った。
「俺が何であろうとも。生きている、此処にいる。それは確かなことだ。
それさえ分かっているなら充分だ。止まる理由にはならない」
消えゆく迷宮から、抜ける。
風景が元の姿を取り戻す中、ディートヘルムは炎に呑まれ消滅するメイファの姿を見た。どうやら戦いは終わっていたか、と高めたユーベルコードを抑える。
だが息をつく暇がないことは、すぐに理解した。
「僕がたすけるよ……僕が
…………」
黒衣の同族殺しがうわごとのように繰り返しながら、あてどなく大鎌を振っている。
「あとはお前を眠らせるだけ、か」
ディートヘルムは、そう言った。
成功
🔵🔵🔴
第3章 ボス戦
『カイン・プロキオン』
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POW : 焼キ尽クス焔
【自身を切り裂き、噴き出す血が変化した炎】が命中した対象を燃やす。放たれた【蒼の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD : 破滅ノ足音
【翡翠の魔眼が捕え、見据えた】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ : 魂喰ライ
【死神の鎖】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑8
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「誰も……苦しまないように……」
同族殺し――カイン・プロキオンが、大鎌を振り回す。
その黒衣はメイファの炎によって半分は焼け落ちて、炙られた肉体も痛ましいほどに赤く染まっている。だがその脚は折れず、膝は地につかない。
ぎらりとひらかれた翠色の眼が、隅に怯えるダンピールたちに向いた。
「きみたちを……蔑む者は……」
「ひっ……」
「こ、来ないで……!」
カインの眼差しを感じ取ったダンピールたちが、身を寄せ合って声を絞り出す。
その表情は、強大なオブリビオンを前にして、ただ震えるばかりだった。
しかしカインは怯えられても、何をすることもなかった。ただじっとダンピールたちを見つめて、それからしばらく茫然とすると、唐突に石突を床に叩きつける。
「すべて僕が……排除するから……!」
カインに刻まれた傷から血液が噴きあがり、蒼炎と化して立ち昇る。
強く、強く、今にも燃え尽きそうなほど。
そうして、命を火種にしたような豪炎を纏いながら、同族殺しは猟兵たちを見た。
「消えろ……みんな
…………!!」
掠れかすれに叫んで、カインが闘志を、いや殺意を燃やす。
ただ、願いに突き動かされるまま――狂えるオブリビオンは、猟兵たちに牙を剥いた。
アリス・セカンドカラー
『迷いと共に慈悲をもちて振るわれる刃』の想造。
彼はその手からどれだけのモノを取り零してきたのだろう?どれだけのモノを背負ってきたのだろう?だから、押し潰されたのだ狂気に染まるほどに。
だから、ここで終わらせましょう。自らを見失った者に慈悲を。
本来なら納得して逝ってもらうのが最善だ。だが、説得するには人生経験が足りぬ、かけるべき言葉が見当たらない。
故に、この刃を振るう。だが、本当にそれでいいのだろうか?
神懸かり(催眠術/ドーピング/怪力/封印を解く/早業/先制攻撃/第六感/野生の勘)モードで刃を振るい、喰らいヒール(念動力/医術/祈り)戦術。
取り零す、それを罪と呼ぶならば――背負いましょうその罪を
白い刀身が、炎の蒼き彩光を照らし返す。
その手に己の空想を具現化したアリスは、剥き出しの狂気を迸らせるカインを正視した。
「狂ったその貌の裏に、何があるのかしらね」
伝えるわけでもない言葉が、口から零れる。
彼はその手からどれだけのモノを取り零してきたのだろう?
彼はその背中にどれだけのモノを背負ってきたのだろう?
知る術はない。だがどちらも、多すぎたのだとアリスは思った。
だから、狂乱に落ちるまで、押し潰されたのだ。
「誰も彼も……消してやる……ッ!」
「ここで終わらせましょう。自らを見失った者に慈悲を」
カインの体から溢れ出した蒼炎が、アリスを喰い尽くすべく群がる。だがアリスは己が潜在能力を解放し、目視も叶わぬ速度で炎の海を掻い潜った。
その衣服に火の粉すらもかからぬまま、刃を振りかぶる。
「……悪いわね」
刃を振り下ろす瞬間、アリスは小さな声で告げた。
できることならば応急的に断ち切るのではなく、彼を狂気から解放して送ってやりたかった。
だがアリスはそのための言葉を持たない。
言葉を持てるには、彼女の人生はまだあまりにも短かった。
(「本当に、これで――」)
胸の内に迷いを抱きながら、しかし少女は刃を振るった。
カインの傷だらけの体めがけて。
「ぐっ……あッ……!」
「取り零す、それを罪と呼ぶならば――背負いましょう、その罪を」
刻まれた傷から血と炎を溢れさせるカイン。
轟々と燃える蒼を見つめるアリスの眼は、どこか、優しかった。
大成功
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ジュリア・ホワイト
キミもキミなりの正義に殉じて戦っていたのだろうね
いや、今も戦い続けているのか
「でも、もう休んでもいいんじゃないかな。その執念には敬意を払うけど、今のキミではそのうち、抱いていた正義すらも見失ってしまいそうだ」
【線路開通、発車準備よし!】でレールを撃ち出し攻撃を仕掛けていくよ
敵の鎖はこっちのレールを身代わりに防げるし
……裏を返せば相手もこっちのレールを防げるわけだけど
「なら、勝負を決めるのは攻撃速度だね。レールの上で加速する、ボクの攻撃について行けるかな?」
「彼らについては任せ給え、悪いようにはしないと約束するよ」
【アドリブ歓迎】
「倒れては……いられないッ……!」
「キミもキミなりの正義に殉じて戦っていたのだろうね……いや、今もか」
その身を斬られてなお、カインは傷を力に変えて蒼炎を吐く。そうまでして彼を突き動かすものは、きっと自分と同じなのだろう、とジュリアは思った。
「でも、もう休んでもいいんじゃないかな。その執念には敬意を払うけど、今のキミではそのうち、抱いていた正義すらも見失ってしまいそうだ」
届かぬと知っている言葉を投げながら、ジュリアが床に掌を置く。
すると彼女の手が接するそこから、踊る蛇のようにレールが飛び出した。異空間から呼びこまれたレールは真っすぐにカインを目指し、突き進む。
「あああああッッ
……!!」
カインが投げだすように振り出した腕から、鎖が伸びた。ジュリアが撃ちだしたレールはカインの鎖に絡めとられ、彼を貫く前に石床に落ちる。
攻撃は不発――だが、ジュリアはそこまで計算済みだ。
「なら、ここからは速さ勝負だね」
床に落ちたレールが石に食いこみ、一直線の道を作る。
ジュリアはそのレールにがっちりと足をセットすると、さながら撃ちだされる弾丸のように、カインめがけて発進した!
「レールの上で加速する、ボクの攻撃について行けるかな?」
「負け……るか……ッ!!」
高速で迫るジュリアを迎え撃つカインが、大鎌が構える。
しかし彼がその大鎌を振るう前にジュリアは横を走り抜けて、残虐動輪剣の一撃を彼の脇腹にくらわせていた。
「ぐがッ
……!!?」
「彼らについては任せ給え、悪いようにはしないと約束するよ」
剣の圧に体を折るカインへそう耳打ちして――ジュリアは迷いなく、斬りぬけていった。
大成功
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夜神・静流
◆心情
最早、討つしかないでしょう。魔を討つ事が私の使命である以上、戦わないという選択はありえない。
そして、彼の苦しみを終わらせる為にも。
「その妄執、私達が断ち切りましょう」
◆行動
真の姿および八ノ太刀・神威を解放。
防御に見切り・残像・呪詛耐性・オーラ防御技能を使用。
死神の鎌による攻撃を防ぎつつ、カウンター・破魔・属性攻撃・怪力・早業を駆使して光の剣で攻撃する。
敵のユーベルコードによって技を封じられた場合は、距離を取って破魔技能と霊符を使っての援護に移る。
戦闘後は祈り・破魔技能を使って同族殺しを弔う。
「彼の者の魂に安らかな眠りがあらん事を……」
アドリブ・共闘歓迎。
モリオン・ヴァレー
復讐の目標を急に失ったら、新しい戦う理由を作る
そうでないと、自分が壊れてしまうから
あたしも気付けなかったら、こうなっていたでしょうね……
【クリスタライズ】発動
<暗視><情報収集>
右目の霊力視界はそのままに
<忍び足><ダッシュ><目立たない>
透明なまま足音を消し移動
<投擲><地形の利用><だまし討ち>
針をあたしとは逆の地点に投げわざと音を立て意識と視線を逸らし、背後へ
<クイックドロウ><破魔><属性攻撃><暗殺>
破魔の銀の弾丸を撃ち込むわ
虚しいけれど、あなたのその想いは既に過去のモノ
止まった時の中で復讐の闇の中を彷徨うくらいなら
一時とはいえ、安らぎを
『同族』としての、せめてもの手向けを……
「まだ……まだ……僕は
……!!」
猟兵の攻撃を受け、徐々にその身が崩されようとも、カインは立ちつづけていた。
自身が何を望むかも、もう定かではないかもしれない。
だが胸を焦がし、四肢を動かす情念のまま、同族殺しは終わるのを拒んでいる。
そう思ったモリオンは、彼に向けた左眼を細めた。
「復讐が果たされたとしても、また新しい理由ができあがるだけ。自分が壊れないために。あたしも気付けなかったら、こうなっていたでしょうね……」
あの姿は、在ったかもしれない自分だ。
何を燃やし尽くしても飽かず、満たされない炎を秘めたまま浮浪するように生きつづける。
ただ復讐に囚われていたらと思うと、モリオンは身が竦むようだった。
「あれでは最早、討つしかないでしょう」
モリオンとともにカインを見ていた静流が、厳然と言い放つ。
魔を討つのが彼女の生業であり使命だ。もとよりオブリビオンを前にして剣を収めるなどということはありえない。
それに、彼は討ってやるべきだと、思った。
「そうね。やりましょう」
モリオンのユーベルコードが起動し、その身をうっすらと空間に溶かす。
「その妄執、私達が断ち切りましょう」
静流のユーベルコードが発動し、黒い長髪が色を失ってゆく。
同族殺しを軛から解き放つために――二人の猟兵は、力強く床を蹴った。
「邪魔をするなら……殺す
……!!」
接近する気配を機敏に感じ取ったカインが、大鎌を構えて迎え撃つ。
そこへ、静流は一直線に突っこんだ。
「当たりませんよ」
軌道を見切った静流がその手に光の剣を形成し、大鎌の刃を弾き返す。
八ノ太刀・神威――その肉体に神を下ろし、命すら削る強大な力を得ている静流には、相手がオブリビオンとはいえ単なる斬撃ならば防ぎきるのは容易なことだった。
「くっ……!」
「遅い」
カインの振り上げた刃を瞬時にかわし、カウンターの斬撃を容赦なく浴びせる静流。腹を真一文字に斬られたカインは深く膝を沈めた。
だが、それでも折れない。
「僕の前から……消えろ……!」
カインが突き出した腕から、生きているかのように鎖が飛び出す。銀色のそれは静流の腕を伝って体に巻きつき、秘めた力で静流の中にある神の力を鎮めてしまう。
元の漆黒を取り戻す、静流の髪。
しかし静流は、微動だにせず、祈りのような呟きを零した。
「彼の者の魂に安らかな眠りがあらん事を……」
「消えろッッ!!」
カインの大鎌が静流の首へ迫る――が。
刃が肌を裂く寸前、カインの足元から、何かが弾かれるような音が聞こえた。
「!!」
大鎌を翻し、咄嗟に音のほうを見下ろすカイン。
そこには何もなかった。あるのはただひとつ、きらりと細い光。
――針。
カインがそう認識した瞬間、焼けるような感覚が彼の背中から胸を貫いた。
「ぐ……がッ
……!?」
「悪いけど、不意打ちはあたしの得意分野なの」
胸から血を噴きながら、カインが振り返る。
そこにいたのは『朱殷の銃』を構えたモリオンだった。
その体を透明にした暗殺者は、静流が交戦する一方で完全に気配を殺して、まるで認識させぬままカインの背後に回りこんでいたのだ。
もう一発、銀の弾丸をこめて、モリオンはカインに銃口を向ける。
「虚しいけれど、あなたのその想いは既に過去のモノ。止まった時の中で、復讐の闇の中を彷徨うくらいなら、一時とはいえ安らぎを」
引き金に、指がかかる。
「『同族』としての、せめてもの手向けを……」
銃火。
一条の軌跡がカインの背中を突き抜けて、血飛沫のような蒼炎を溢れさせた。
大成功
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ディートヘルム・アモン
(アドリブ・連携歓迎)
囚われた彼らを領主は弄び、お前は救おうとした。
…だが。どちらにしても生者の道は生者が定めるものだ、過去の化身が干渉するものではない。
【降魔一身】、[ヴェルメ]の黒炎を宿した装甲の<オーラ防御>で蒼炎を打ち消しながら接近を試みる。
<捨て身の一撃>だろうが構わない。そうせねば覚悟か、執念か…彼の抱く想いにも肉にも迫ることはできんだろうからな…!
徒に傷つけることはしない。一撃に専心し…無駄な感傷と行動かもしれないが、苦しまないように、確実に。
還るべき所へ、骸の海の水底で眠るがいい。
「がはッ
……!!」
胸を押さえて倒れかけるカインが、大鎌を床に突いて伏せるのを避ける。
あくまで膝を折らない執念を目の当たりにしたディートヘルムは、それに決して負けてはならぬと、その手に黒炎『ヴェルメ』を灯す。
「囚われた彼らを領主は弄び、お前は救おうとした。……だが。どちらにしても生者の道は生者が定めるものだ。過去の化身が干渉するものではない」
「定め……定め……などッ!!」
ディートヘルムの言葉の一部分に反応し、カインが傷を覆っていた手を離した。
途端、蒼炎が濁流のように立ち昇る。
噴き出す血を炎と変じるカインの力は、傷ついてなお、いや傷ついたからこそ、よりその火勢を大きく、強くしている。
「……大したものだ」
その口から偽りなき称賛を零して、ディートヘルムがユーベルコードを発動する。
降魔一身(レゾナンツ)――剣の形を成していた黒炎を身を守る鎧へと変えて、ディートヘルムは蒼炎の嵐へ飛びこんだ。
鮮やかな蒼が、敵を喰らい尽くさんと迫ってくる。
そのすべてを、身に纏う黒炎をぶつけて防御し、駆けるディートヘルム。相殺しきれぬ蒼炎が彼の身を掠めるが、ダンピールは構わず突っこんだ。
「こちらとて相応のものを持たねば、覚悟か執念か……お前の想いにも肉にも迫ることはできんからな……!」
「……!!?」
炎の渦を突破し、姿を見せたディートヘルムに、カインが瞠目する。
どうやらこの男を斬る資格が、自分にはあったらしい。
そんなことを思いながら、ディートヘルムは黒炎の鎧の一部を剣に変形させ、一気に胴体を斬り下ろした。
「が……あ……ッ!!」
「還るべき所へ、骸の海の水底で眠るがいい」
一太刀。
それだけをくれてやると、ディートヘルムは手向けの言葉を送った。
大成功
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ジェイ・バグショット
まるで亡霊だな。
同族殺しの必死な姿に目を細める
もはや憐れみすら感じるが、この人物がオブリビオンになっても尚護ろうとしているものは何となく分かる気がした。
お前みたいな人間ばかりだったら、
このどうしようもない世界も少しはマシだったかもしれねぇな。
そこには期待も落胆もない
所詮過去は過去。
死人は死人のまま、何も生み出せはしない。
敵が別の相手をしている時に気配を消しての【騙し討ち】
殺戮ナイフによる素早い刺突
回避される方向を予測し拷問器具『荊棘の王』による追撃
メインの攻撃に合わせ、影のUDCテフルネプで搦手から捕縛
…まぁお前のおかげで救われた奴もいる。
化け物になってまでこの世に戻ってきて良かったな。
鳴神・裁
どの世界でも影朧は闇を抱える存在ということか。
ならば、その闇をこそ切り払おう。可変型百八式特殊霊装・草薙に破魔の霊力を籠めて構える。
縮地(残像/早業/先制攻撃)で一気呵成に斬り込んで強制改心剄による浄化属性攻撃を叩きこもう。あなたの執着、祓わせて頂きます。
焼キ尽クス焔は星辰体変異することですり抜けて回避するよ。
「風(ボク)を捉えることなど何者にも出来はしないさ」
その魂の道行きに幸いあれ
「……まだ動く……まだ動ける……まだ……」
その体はすでに、ぼろ布のように無惨だ。
なのに依然としてカインの両脚は立ち、腕は大鎌を握り、眼は対峙する敵を離さない。
刺し殺すような視線を血の気のない肌に受け、ジェイは眼を細めた。
「まるで亡霊だな」
自身を顧みず戦いつづける姿に、ジェイは憐憫すら覚える。
同時に彼が何を護るために、狂いながらも世界を彷徨っていたのかも漠然と知れた気がした。
だからこそ、虚しい。
「お前みたいな人間ばかりだったら、このどうしようもない世界も少しはマシだったかもしれねぇな」
「だが、今となってはあれは世界に置いておけない」
ジェイの乾いた言葉にそう返したのは、鳴神・裁だ。
艶やかな黒髪を翻し、凛然と立つ少女は、己が武装『可変型百八式特殊霊装・草薙』に破魔の霊力をこめる。
「この世界でも影朧は闇を抱える存在らしい。ならば、その闇をこそ切り払おう」
草薙を構えた裁のインラインスケートが、石の床を滑りだす。
車輪は火花を発するほどの勢いで回り、増速。
およそ目視の叶わぬ速力。裁は気まぐれな突風と化し、一瞬でカインの至近に迫った。
「あなたの執着、祓わせて頂きます」
「ぐがッ
……!?」
斬りつけた草薙から裁の霊力が浸透し、カインが悶え苦しむ。浄化の力が彼の内にある怒りや執着を溶かしているのだが、それは『同族殺し』にとっては命を削られるようなものだ。
狂気に陥るほどの思いがなくなれば、もはや空っぽの骸に過ぎない。
「消えろ……僕の前からッ……!」
であれば待つのは消滅――無意識の危機感は蒼炎となって、目前の裁を吹き飛ばさんと襲いかかる。
だが、炎は彼女を包むことなく、すり抜けて虚空へと消えた。
「風(ボク)を捉えることなど何者にも出来はしないさ」
飄々と軽やかに、裁はカインの横を抜けて背後に躍り出ている。
その肉体を実体なき身体、まさしく風のように掴めぬものに変じて攻撃をやり過ごした裁は、しかし追撃をしなかった。
必要がなかったからだ。
「過去は過去。死人は死人だ。おとなしく居場所に帰れ」
裁と入れ替わるように、カインの背後にジェイが接近する。意識の外からの仕掛けで、愛用の折りたたみナイフを背中に突き入れんとした。
だがカインも、魔眼でもってその行動は予見していた。強い跳躍で切っ先から体を逃がし、大鎌で首を刈り取るべく反転しようとする。
が、その前にジェイが放っておいた戦輪『荊棘の王』が、カインの背中を打っていた。
「うし……ろ……?」
「先読みは俺も得意でな」
ジェイの影から幾本もの何かが伸び、カインの体を縛りつける。
影に潜むUDC『テフルネプ』に囚われた敵へ、ジェイは次々と手枷や猿轡、ロープを巻きつけた。ユーベルコードを封じられたカインから蒼炎が消え、元に戻った血液が床を赤々と濡らす。
「僕の……ちから……!」
「……まぁ、色々言ったがお前のおかげで救われた奴もいる。化け物になってまでこの世に戻ってきて良かったな」
力を失ってゆくカインに、ジェイはそう言葉を添えてやった。
大成功
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ミザール・クローヴン
漸く貴様と戦えるな
それだけの傷を追いながら膝を地につけぬ気骨
おれ様の求める敵に相応しい!
手負いだからと容赦はしない
全力だ!おれ様と戦え同族殺し!
小細工なし、真っ向勝負だ!
黄金爪で思いっきり切り裂き、叩き、潰す!
暴力で圧倒することも、技でねじ伏せることも、おれ様にとって変わらない
貴様と言う敵を!好敵手と呼べる相手を!倒すための手段だ!
選ぶなど言わないぞ、全部使って倒してやる!
貴様の炎に焼かれてようが、おれ様だって負けない
貴様より先に膝をつかない
おれ様の爪で最後の一欠片、敵意を切り裂き!
貴様へおれ様の名と言葉を刻み込んでやる!
……あの人質どもについては任せろ
逝け、いずれ輪廻の果てで逢おう
「ぐ……う……ッ!」
カインの体じゅうの傷から、血が流れだしてゆく。
その痛ましい姿には、もはや他者を圧するほどの迫力はない。
しかしミザールはそれを見て黄金爪を収めることなく、むしろ突きつけた。
「漸く貴様と戦えるな。それだけの傷を追いながら膝を地につけぬ気骨。おれ様の求める敵に相応しい!」
「……」
自由も利かなくなってきた体を動かし、ミザールを見るカイン。
深い夜のようなミザールの瞳は、ぎらぎらと輝いていた。
「全力だ! おれ様と戦え同族殺し!」
真っ向――少年は床を蹴りつけ、振り上げた巨大爪を容赦なくカインに叩き下ろす。カインは掲げた大鎌の柄で受け止めるが、満身創痍の体は受けた衝撃で血を噴き上げた。
「おれ様の一撃を受け止めるか! だが脇ががら空きだな!」
「が……あッ!?」
ミザールが素早く姿勢を低め、腕を上げて開かれた脇腹を黄金爪で切り裂く。深く抉られた傷からは、さっき噴いたものとは比較にならない鮮血が零れる。
力任せの殴打から一転、的確に隙を突く抜け目ない一手だった。
「暴力も技もおれ様には変わらん! すべて貴様という敵を倒すための手段だ!」
「……僕は……倒れない……まだ……ッ!!」
今一度、カインの全身から蒼炎が迸る。
巨大な炎だった。傷ついた体に残る血液すべてを捧げたような、全身全霊の豪炎が向かい合うミザールを呑みこまんと奔る。
――が、ミザールは前進した。
「……!?」
「貴様より先に膝はつかない、貴様へおれ様の名と言葉を刻み込んでやる!」
その身を炎に焼かれるのも意に介さず、黄金の爪を払う。
刃は切り裂いた。
蒼炎の鎧を、その下の肉を、そしてその内で終わることなく燃えつづける敵意を。
「…………僕は……救えたの……か……」
螺子の止まった機械人形のように、カインが止まる。
「……あの人質どもについては任せろ。逝け、いずれ輪廻の果てで逢おう」
爪を収めたミザールが、踵を返す。
同時に力なく膝をつくカイン。
己の蒼炎で崩れゆくその体は、やがて灰となり、影も残さず世界から消えていった。
大成功
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最終結果:成功
完成日:2019年11月02日
宿敵
『リウ・メイファ』
を撃破!
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