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死に至る病

#ダークセイヴァー #同族殺し


●忌まわしき同族殺し
 死に至る病は、絶望だという――。
 不老不死となった吸血鬼すら、絶望は自己の存在の否定となり、肉体は不滅であっても魂が死を迎える。
 精神的な死というのは、意味の喪失と停滞をもたらす。
 吸血鬼の多くはすでにそうかもしれない。
 しかし、忌まわしき同族殺しは死して疫病の如き存在となったのだ。

「……ふうん、例の同族殺しが館に向かっているわけね」

 辺境にある館の主、リウ・メイファは配下からの報告を受け、気怠げに言葉を転がした。
 同族殺し、吸血鬼でありながら吸血鬼を殺そうという妄念に陥った忌むべき病――。
 何がきっかけであろうが、そうなってしまったら吸血鬼として死んだも同然なのだ。
 同族殺しは人間を糧とすることへの興味よりも、同族を殺すことにすべてを傾ける。
 元より生命維持の活動は吸血鬼にとっては無意味だが、その行為はまったくもってさらに意味がないのだ。
 ゆえに、“魂が死んだ”と表現される。

「顔を失って、おのれと失ったということよね。同族とは思えない。怖気が走るわ」

 リウ・メイファは、その秀麗な顔に蔑みの色を浮かべた。
 だとしても、魅力は失われない。
 吸血鬼とは、美しくあらねばならない。
 その哲学を、守って美容に専念してきた結果である。
 美容方法いついては、ここで述べずともよいだろう。

「ヤミイロシチョウども、館を守りなさい。ああそれと、吸血鬼を狩ろうっていう目障りな連中も近づけないように」

 メイファが言うと、館の周囲に不気味な蝶の群れが舞った。

●顔なきモノ
 カエセ、カエセ……。

 “悲しき妄執者”サイカは、もはや自分が何者かもわからぬ。
 あの館には、美しい吸血鬼の領主がいる。
 そう知った。
 なら、その美しい顔を奪えばいいのではないか?
 彼は、そう考える。
 “美しい顔”と言うくらいなら、“顔”を持っているはずだから。
 それだけが理由、それだけが思い。
 深い狂気とは、そういうものだ。
 本当は、おのれの顔を探していたはずだが、すでにそのおのれを失っている。
 だから、吸血鬼の顔なら、なんでもいい――。
 それでも、この思いだけは失っていない。

 カエセ……。

●吸血鬼同士の戦い
「よう、集まってくれたな」

 グリモワベースに集まった猟兵たちに、堂崎・獣明(整備係・f15021)は挨拶をする。
 続いて、今回依頼に応じた猟兵たちを送り込むダークセイヴァーの状況を解説した。

「同族を狙う吸血鬼……同族殺しってのが現れたそうだ。ダークセイヴァーの吸血鬼の中じゃ、禁忌の存在らしい。顔を失って、可笑しくなったこのサイカってのがそうらしい」

 グリモワが、予兆として現れた顔のない吸血の姿を写す。
 顔に当たる部分に、ぽっかりと虚空が広がっている。

「こいつはもう、おかしくなっている。吸血の話も、こっち側の声もまともには聞かないだろう。だが、こいつはチャンスでもある」

 獣明は、説明する。
 これは、強力な吸血鬼リウ・メイファを倒す機会でもあると。

「三つ巴ってことになるが、この乱戦に乗じればリウ・メイファの館に乗り込めるはずだぜ。その前に、あのヤミイロシチョウを追い払わねえとならないが」

 つまり、顔を失った同族殺しと館の主であるリウ・メイファが事を構えているスキに乗り込む、ということだ。

「乗り込んだから、同族殺しは後回しだ。まずは、メイファを倒すことに専念してくれ。それじゃ、頼んだぜ」


丹藤武敏
 どうも、丹藤です。
 今回は、ダークセイヴァーで行われる同族殺しと吸血姫の戦いに乗じて館に乗り込無糖物となっております。
 オープニングで書いたとおり、まずはヤミイロシチョウとの集団戦、そののち館の主であるリウ・メイファと交戦することになります。
 同族殺しのサイカとは、第3章で対峙することになります。
 それでは、どーんといらっしゃってください!
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第1章 集団戦 『病の先触れ『ヤミイロシチョウ』』

POW   :    其は貴賎問わず等しく与えられるもの
【蝶が擬態した髑髏の爪】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    いずれ来る時に悔いること無き様
【不治の病に罹る未来を相手に予期させるため】【不吉と忌み嫌われる姿を目前に晒すことで「】【身体的苦痛」「不自由」「愛別離苦」の心象】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    死の訪れに備えせよ
【自身や親しい存在の病や死への恐怖】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【死病を運ぶ髑髏の霊】から、高命中力の【体力を奪う毒の鱗粉や感染力の強い病原体】を飛ばす。
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シャーロット・ゴッドチャイルド
「なるほど・・・そういうことかー。」

腰に下げたお気に入りのポーチから取り出した精霊術の教科書を見ながら、ひとりうなづくシャーロット。
彼女が見ているページは、炎の精霊との契約・召喚に関する項目だった。

「・・・あれは・・・ちょうちょ・・・?」

死の病をもたらす蝶の大群に、まがまがしい邪念のようなものを感じる。

「・・・このちょうちょ・・・ほっておけないよ!」

炎の精霊を召喚する術式を頭の中で思い浮かべながら、ルーンと詠唱を素早く構築する。(高速詠唱)

エレメンタル・ファンタジア・・・!

突如、巻き起こった炎の竜巻を必死に制御しようと試みるシャーロット。
(UC、全力魔法)

「・・・思ったよりも、むずかしい!」


バジル・サラザール
一匹一匹は綺麗な蝶だけど、集まると恐ろしい見た目と攻撃をしてくるのね。主の好みかしら。

毒を以て毒を制す。「毒使い」「属性攻撃」を生かした「ポイズン・スピア」で弱っていそうな集団を優先して攻撃するわ。
後衛から全体をよく見て、状況を把握、他の人にしっかり伝えましょう。
気を強く持って目の前の戦いに集中、恐怖をなるべく意識しないようにしましょう。
もし霊が召喚されたら「ポイズン・スピア」で霊や病原体を相殺、それでも逃したら頑張って「野生の勘」を利用しつつ回避したり、「毒耐性」で耐えたりするわ。

毒を以て毒を制す。同族殺しが現れたこの機会利用させてもらうわ。

アドリブ、連携歓迎


バンシィ・ルフェイ
WIZ判定

・行動
敵UCの恐怖を笑い飛ばし反撃する

・セリフ
はんっ。(鼻で笑う)
やがて来るものとして当たり前に死を見据えている年寄りに対して、
恐怖で縛ろうとはおこがましいね。
親しい存在(もの)も皆あの世で待ってるぐらいだ、
既にこの身は半ば冥界に属していると知りな!

・(UC使用)
せめてもの他向けに花を捧げてやろうかねぇ……
冥界の彼岸に咲く特別なリコリスの花びらさ、
そのまま一緒に彼岸の淵に沈むんだね。



 館の門前を、ひらひらと死をまとって、ヤミイロシチョウの群れが舞う。
 美しい、とは程遠い。
 暗く、毒々しい鱗粉を巻き、死の気配を漂わせている。
 舞い降りた先で、疫病すら引き起こし、死の亡骸に卵を産み付けるという。
 その群れが、同族殺しとともに現われた猟兵たちへ向けて舞う。
 まるで、いずれ来る死を見せつけるように――。

「なるほど……そういうことかー」

 しかし、シャーロット・ゴッドチャイルド(人間の聖者・f23202)は、まだその接近に気づいていなかった。
 まだ6歳の女の子である。
 死とは程遠い生命力と可能性が溢れ、恐れることもなかった。
 お気に入りのポーチから取り出したのは、精霊術の教科書である。

「……あれは……ちょうちょ……?」

 死の病をもたらす蝶の大群が、死病を運ぶ髑髏の霊を見せる。

「……このちょうちょ……ほっておけないよ!」

 先程開いていた、炎の精霊を召喚する術式を思い浮かべ、実践とばかりに高速詠唱をする。
 ユーベルコード【エレメンタル。ファンタジア】が発動、炎が突如巻き起こって、竜巻となって死の蝶を巻き込んだ。

「……思ったよりも、むずかしい!」

 シャーロットの想像以上に威力が出てしまい、制御するのがやっとだ。

「一匹一匹は綺麗な蝶だけど、集まると恐ろしい見た目と攻撃をしてくるのね。主の好みかしら」

 炎に焼け落ちながらも、なおも毒を振りまこうとするヤミイロシチョウの習性に関心を示したのは、半身半蛇のキマイラ、バジル・サラザール(猛毒系女史・f01544)である。

「とはいえ、恐怖に飲まれたらあの蝶の餌食になりかねないわ」

 その危険性を、後続の猟兵にも伝える。

「はんっ」

 一方、フェアリーのバンシィ・ルフェイ(告死・f00238)は鼻で笑い飛ばした。

「やがて来るものとして当たり前に死を見据えている年寄りに対して、恐怖で縛ろうとはおこがましいね」

 一見すると妖精のように愛らしいのだが、その年齢は百に届き、老成している。
 いつかお迎えがくる、そういう達観が彼女にはあった。

「親しい存在も皆あの世で待ってるぐらいだ、既にこの身は半ば冥界に属していると知りな!」

 バンシィのユーベルコード【冥府の花園(リコリスガーデン)】は、彼女が持つ武器を冥界に咲く無数のリコリスの花びらに変え、埋め尽くすもの。
 病の蝶は、死の花弁に触れて落ちていく。

「冥界の彼岸に咲く特別なリコリスの花びらさ、そのまま一緒に彼岸の淵に沈むんだね」

 弱々しく翅を動かす蝶たちに、憐れむように言う。

「死を振りまく蝶には、冥界の死を。参考にさせてもらいましょう」

 蛇の半身をうねらせ、バジルはユーベルコード【ポイズン・スピア】を発動させる。髑髏の霊から濃密な死が振りまかれるが、バジルに毒は通用しない。

「毒をもって毒を制す。同族殺しが現れたこの機会利用させてもらうわ」

 毒の槍が、かすめただけで病原体をも死滅させていく。
 ヤミイロシチョウの群れが、散らされていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

緋翠・華乃音
――蝶とは、還る魂の象徴である。

常は静謐に鎖された瑠璃の瞳も、その蝶を見れば憐憫が深く過る。
……死は確かに平等だ。
けれど俺は、死に場所すらも選べないような無様な生き方はしていない。
例え明日この命が終わるとしても、何も後悔は無い。

さて、病と死を運ぶ憐れな蝶よ。
往き着く先へ君たちを連れていく事は出来ないが、せめてこの場で還してやろう。

相手取るは瑠璃の蝶の群れ。
羽ばたく度に焔の鱗粉が零れ、対峙する何もかもを燃やし尽くす。
それはさながら葬送の火のように。
自分たちの魂も連れて往って欲しいと、哭くように。

それでもなお、死を与えようと髑髏が蠢くのなら。
送り火に包まれた世界の中、手ずから武器を手に取って。



「――蝶とは、還る魂の象徴である」

 周囲に死蝶が舞う中、緋翠・華乃音(終ノ蝶・f03169)が呟く。
 彼の引き連れた、瑠璃の翅をした蝶も現れる。

「常は静謐に鎖された瑠璃の瞳も、その蝶を見れば憐憫が深く過る。……死は確かに平等だ」

 ヤミイロシチョウは、死を運ぶ。
 だが、死は平等。いつしか誰にでも訪れるもの。
 ヤミイロシチョウも、その例外ではない――。
 華乃音のユーベルコード【瑠璃ノ星焔(スターフレイム・オブ・ラピスラズリ)】が発動した、発動してしまった。

「さて、病と死を運ぶ憐れな蝶よ。往き着く先へ君たちを連れていく事は出来ないが、せめてこの場で還してやろう」

 詩を編むように囁くと、瑠璃の翅から炎の鱗粉が零れ、儚く燃え落ちていく。
 まるで闇の中を照らす篝火のよう。葬送の火のように。
 自分たちの魂も連れて往って欲しいと、哭くように。
 死滅する蝶たちにすら、澄んだ哀れみが向けられる。

「それでもなお、死を与えようと髑髏が蠢くのなら――」

 送り火に包まれた世界の中で、華乃音は手ずから武器を手に取った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

零落・一六八
涼さん(f01922)と
なにやら涼さんの因縁浅からぬ相手っていうか弟がいるみたいですけど
まぁボクからしたらよく知らない人なんで
いつも通りただ倒すだけですね!
まっかせてくださいよ!
野太刀でまとめて【なぎ払う】
【第六感】と【視力】で手薄な所から道を開きながら
がんがん進んでいきましょう
【見切り】とUCで避けつつ
細かく飛んでくる蝶には苦無を【投擲】して対応
【だまし討ち】でフェイントかけつつ
多少の傷は気にせず【生命吸収】で回復
涼さんが勝手に合わせてくれると思うので
ボクは気にせずやりたい放題暴れさせてもらいます!
ただ涼さんの作ってくれた隙は取りこぼしませんよ
ある程度援護も予測しながら突破します

アドリブ可


彩花・涼
一六八(f00429)と
あの子が、弟が此処にいるのか…
いや、まずは目の前の敵に専念しよう
よろしく頼むぞ、一六八

館の主へ至る敵を蹴散らしていくぞ
黒華・改と黒爪を持ち【スナイパー】で撃ちつつ
【2回攻撃】で黒華・改で斬りつけ【生命力吸収】して
敵の体力を奪っていく
数が多いならUCで此方も蝶が擬態した弾丸で撃ち抜こう
敵からの攻撃は黒爪で【武器受け】して防ぐ
一六八の動きに合わせ必要なら【援護射撃】するぞ

この程度の敵に阻まれている暇はない
さっさと道を開けてもらおうか

※アドリブOK



 この濃密な死に覆われた中に、彩花・涼(黒蝶・f01922)は佇んでいた。
 一見すると、小柄な少年のようでもあるが、涼は故郷を守るために戦ったが、滅びてしまったという過去がある。

「あの子が、弟が此処にいるのか……」

 死の蝶が舞い、猟兵たちと同族殺しが戦端を開いた中で、ふといなくなった弟のことが脳裏をよぎった。

「いや、まずは目の前の敵に専念しよう。よろしく頼むぞ、一六八――」
「まっかせてくださいよ!」

 零落・一六八(水槽の中の夢・f00429)が涼に答えた。
 
(なにやら涼さんの因縁浅からぬ相手っていうか弟がいるみたいですけど。まぁボクからしたらよく知らない人なんで)

 内心ではそう思いつつも、まずはこのヤミイロシチョウの群れを追い払わねばならない。

「……いつも通りただ倒すだけですね!」
「ああ、館の主へ至るまで、敵を蹴散らしていくぞ」

 構えるのはサブウェポンの銃・黒爪と黒い刀身の黒華・改である。
 蝶を斬りつけ、黒爪による驚異的な精密射撃で撃ち落としている。
 そしてまた、涼自身も蝶を使う。
 ユーベルコード【黒蝶の賛美歌】によって、黒蝶が弾丸へと変わり、ヤミイロシチョウを散らしていく。

「この程度の敵に阻まれている暇はない。さっさと道を開けてもらおうか」
「というわけだ、蝶々はここでご退場さ」

 一六八は、背負った野太刀を構えた。
 これで蝶の群れを薙ぎ払おうというのである。
 ひらひら舞うヤミイロシチョウを大きな野太刀で斬り払うというのは至難の業であるが、一六八には優れた第六感と視力があった。
 風が凪いだ中で、動きが定まらぬヤミイロシチョウをユーベルコード【消失錯視(イナイイナイバア)】で躱すと、一閃して撃ち落とした。
 皆、きれいに翅を斬られていた。

「よっと! 逃さないっての」

 その一閃を逃れた蝶に対しては、苦無を放って仕留める。
 羽ばたいて邪魔をすることはないだろう。

「片づいたようだな」
「みたいですね。じゃあ、行きましょうか涼さん」

 フフンと不敵に笑い、一六八は言った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『リウ・メイファ』

POW   :    殺戮遊戯
【炎で出来た騎馬軍団】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    鏡想遊戯
戦闘用の、自身と同じ強さの【相手が嫌う相手自身】と【相手の大切なヒトやモノ】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
WIZ   :    追憶遊戯
戦場全体に、【出来る事なら忘れてしまいたい記憶】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
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 館への門は開いている。突破していくと、この館の主が待ち受けていた。
 妖艶にして耽美、薔薇のように赤く可憐な唇と、死の気配。
 そしてまた、顔のない男もやってきている。

「ちょうど、同族殺しと一緒にやってくるとはねえ。狂った男よりは、そちらの活きのいいあなたたちのほうが殺し甲斐があるわ」 

 館の主、リウ・メイファは、やってきた猟兵たちを妖しい瞳に映した。
シャーロット・ゴッドチャイルド
「あなたがヴァンパイヤ?」

かつての記憶がよみがえる。
幼くして遭遇したオブリビオンの強襲、焼ける村、その後の捕らわれの生活。
・・・でも、ここでムキになっちゃダメだ。
私はこの人を倒すためにここに来たんだから・・・!

すばやく右の指ですばやくルーンを構築し、短い詠唱を行う。(高速詠唱)
今まで何度も練習した呪文・・・これなら目をつぶってもできる!

ホーリー・ボルト!

まばゆく光る無数の魔法の矢が、敵に襲い掛かる。(Lv×5=145本)
(全力魔法、属性攻撃)

「もう、泣いているだけの私じゃない・・・私は貴方を倒します!」

勇気を振り絞って叫ぶシャーロット。



「なら、さっそく心の旅をしてくるといいわ」

 リウ・メイファの瞳が、妖しい色を発する。
 精神に作用し、周囲を迷宮のように見せるユーベルコードだ。
 できるなら、忘れてしまいたい光景、それが迷いの幻影となる。

「あなたが、ヴァンパイア……?」

 シャーロット・ゴッドチャイルドが問う。
 記憶が、暗い闇から甦り始める。

「そうよ、思い出しなさい。あなたの記憶の中にある、その光景を……」
「もう終わったことだし、自分でケリをつけたことだから。どうということはないんだがね……」

 バンシィ・ルフェイにも、触れられたくはない記憶というものはある。
 かといって、触れられて取り乱すほど若くはない。
 ただ、無遠慮に触れるものは許しはしない。

「シャーロット、大丈夫かい?」
「うん、大丈夫。もう平気だから……」
「ならよかった。ただ、あいつは許しちゃおけないね」

 迷宮の幻影の中、過去という逃れられない檻の中で、バンシィは相手を見据える。
 その体は浮遊すると、徐々に光の蝶に包まれる。

「ワタシの過去を嗤ったものは決して逃さない。必ず冥府へ送ってやろう、わたしはそう決めたのだから」

 ひらひらと光の蝶が散っていく。バンシィの真の姿が現れる。

「ああ、そこに居ましたね。根源(ルート)が結びついていませんが、今ここにいるあなただけでも冥府へ送り永遠の責め苦を受けさせましょう」
「あなた、まさか『死者の書』を……!?」

 リウ・メイファは、バンシィが真の姿を表わす前に気がつくべきだったのだ。真の姿とともに現れた死者の書が、リウ・メイファの項をひとりでに開く。

「冥府の王よ、罪人の名をもってその罪を裁き給え!
死者の審判!」

 たちまち、冥界の波動がメイファに向けて押し寄せる。

「ぐううう、せめてその子だけでも迷宮の中に……!」

 リウ・メイファは、シャーロットをさらに奥に引き込もうと幻影を構築する。
 かつての記憶。幼くして刻まれてしまったもの。
 強襲、焼ける村、捕らわれの日々……。
 忌まわしい記憶。思い出すだけで絶望と怒りが湧き上がる記憶。
 ぶんぶんと首を振って、その光景に立ち向かう。
 
「……でも、ここでムキになっちゃダメだ。私はこの人を倒すためにここに来たんだから……!」

 この館に乗り込んだのは、感情を発露させるためではない。
 泣いたり、怒ったりはまた後でてきることだ。

「もう、泣いているだけの私じゃない……私は貴方を倒します!」

 今まで、何度でも練習した魔法を高速詠唱する。
 目をつぶっていても、間違えずに唱えられる。

「……ホーリー・ボルト!」

 まばゆく光る無数の魔法の矢が、迷宮の主となったリウ・メイファに降り注ぐ。

「ちいいいいっ!」
「もう、泣いているだけの私じゃない……私は貴方を倒します!」

 憎しみを露わにするメイファに、シャーロットは勇気を振り絞って叫んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

バジル・サラザール
私達だけならまだしも、同族も来てるのに、随分と余裕みたいね。

主に「毒使い」の技能を生かした「バジリスク・ブラッド」で強化したポーションや記憶消去銃などで攻撃するわ。
敵の攻撃は「野生の勘」等を利用しつつ、回避や防御、相殺をしましょう。ポーションで消火できたりしないかしら。
余裕があれば顔のない男を相手の攻撃に巻き込みましょう。
あと、リウ・メイファと顔のない男が戦ってこちらにヘイトが向いていないようならあまり攻撃をせず、お互いの消耗を狙うわ。

余裕なのかそもそも死を恐れていないのか分からないけど、そんなことじゃやられるだけよ。恐れる者としての強さも味わいなさい。

アドリブ、連携歓迎


バンシィ・ルフェイ
WIZ判定

記憶の迷宮をゆっくりと抜けながら呟く
「もう終わったことだし、自分でケリをつけたことだから
どうということは無いんだがね……」

(浮遊しながら体が徐々に光の蝶に包まれ)
「だが、ワタシの過去を嗤ったものは決して逃さない。
必ず冥府へ送ってやろう、わたしはそう決めたのだから」
(蝶が消えると、真の姿を露わにしたバンシィが現れる)

「ああ、そこに居ましたね。
根源(ルート)が結びついていませんが、今ここにいるあなただけでも
冥府へ送り永遠の責め苦を受けさせましょう」

(死者の書を取り出すと自動で広がり「リゥ・メイファ」の名が
記された頁を示す)
「冥府の王よ、罪人の名をもってその罪を裁き給え!
死者の審判!」



 シャルロッテの無数の【ホーリー・ボルト】が降り注ぎ、バンシィの【死者の審判】が冥界の波動によって幻影の迷宮を崩していく。

「私たちだけならまだしも、同族も来てるのに、ずいぶんと余裕みたいね」
「こちらを心配しているつもり? そのうち、あいつも来るでしょうけどね……」」

 目を細めていうバジル・サラザールに、メイファは余裕を見せていた。

「お互い、決着を早めたほうがよさそうね」
「余計な心だと言っているのよ……!」

 メイファが発動させたのは、ユーベルコード【殺戮遊戯】である。燃える馬の群れが出現し、激しく嘶いてその馬蹄を向けた。
 猛然と突進してくるが、バジルは蛇の動きで、するりと抜けてしまう。
 すれ違いざま、ユーベルコード【バジリスク・ブラッド】の毒によって消化を試みた。
 けたたましい鳴き声を上げて苦しみ、炎の馬が消えていく。

「試しにやってみたのだけれど、効果はあったようね」
 毒のポーションも、液体であり消化作用はあったようだ。

「カエセ……」

 とうとう、館に顔のない男が乗り込んできた。
 顔に当たる部分は、虚空の闇が広がっている。

「きたようですね。“顔のない男”です」

 気配を察したバンシィ告げた。
 “顔”という個人を識別するものが欠落しているのだ、罪人として審判を加えるのには、過去と罪状が必要であろう。
 こうなる前には、名はあったろう。
 だが、顔がない以上、その名前が正しいかどうかすら判別できない。
 しかし、個人を持たぬということはリウ・メイファに対しても特定の感情を持っていないことでもある。
 美しい顔をしている、顔がある吸血鬼だから、襲いかかる――。
 その行動は、ただそれだけのものなのだ。

「あなたの相手は、向こうよね」

 バジルは、同族殺しを誘い、リウ・メイファへの攻撃を誘導する。
 やはり、顔を狙う相手をそう簡単には変えないようだ。

「その男ではなくとも、あなたには罪がある」

 バンシィの死者の書から発せられた波動は、メイファの足を止めた。
 すでにメイファなら、罪状は判明し、下されている。

「しまった……!? 気を取られすぎたか!」
「カエセ……!」

 対処をしている隙に、顔のない男の刃がメイファに振るわれた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

彩花・涼
一六八(f00429)と
こちらに意識を向けてくれるなら好都合だが…
もう来てしまっているな
だが、まずは目の前の敵からだ

黒鳥を持ち一六八の後衛から【スナイパー】【クイックドロウ】【部位破壊】で敵の足を狙って撃つ
バランスを崩したところを一六八に攻撃してもらうぞ
一六八が攻撃をくらいそうなら【援護射撃】で敵の攻撃妨害を行う
こちらに攻撃が来たら【武器受け】で攻撃を受け流す
敵がUCを使用したらこちらもUCを使用して、相殺させつつ回避する

同族殺し…お前の相手は後でたっぷりとしてやる
その為に来たのだから…

アドリブOK


零落・一六八
涼さん(f01922)と
さてと、本命いく前にさくっと倒しちゃいましょうか!
なんかもう弟さん突撃して来ちゃってるっぽいですし
野太刀で涼さんの援護と相手の攻撃を【見切り】 タイミングを合わせてUCで両断します
【だまし討ち】でフェイントかけ
攻撃がきたら【なぎ払い】【咄嗟の一撃】入れていきましょう
【怪力】【捨て身の一撃】で重いの一発叩き込んでやりますよ!
涼さんの援護があるんで
そうくると思っていました
細かいことは気にせずさっさと倒すことを考えましょう
【激痛耐性】で万が一攻撃を食らっても気にせずに突っ込みます
むしろ血で目潰しするぐらいのノリで
急所に叩きこめる隙ができたら見逃さずすかさず攻撃
アドリブ可


緋薙・冬香
さて遅れながら参戦っと
それにしても…赤い、炎使いのヴァンパイアとかどこまで私と被っているわけ?
「触れると火傷する毒の花って感じかしら?」
……まぁ私も他人のこと言えないか
それじゃ、毒の花同士ってことにして
遊戯というならアブナイ遊びにも付き合ってくれるんでしょうね?(挑発

血統覚醒からのスカイステッパーで撹乱作戦
空から『魅せる脚』で仕掛けるわ
「炎のように激しく蹴り倒してあげる!」
飛び蹴り、回り蹴りなどなど一気呵成に畳み掛ける!

炎で出来た騎馬軍団が出てきたら足を止めて深呼吸
見切りからの2回攻撃の蹴りでなぎ払ってあげる
「私、薙ぎ払うのは得意なのよ?」
緋薙って名前だしね!
さぁもう少し付き合ってもらうわ!



「遅れながら参戦っと」

 緋薙・冬香(針入り水晶・f05538)であった。
 彼女は、この依頼のときからリウ・メイファに共通点を見出していた。
 ダンピールであること、ヴァンパイアであること、赤の装い、そして火を使うこと。
 
「あなた、なんのつもり?」
「触れると火傷する毒の花って感じかしら?」
「ふん、よく言う」
「毒の花同士ってことにして。遊戯というならアブナイ遊びにも付き合ってくれるんでしょうね?」
「そっちこそ、てこれるかしら?」

 ふたりが艶やかな視線を交わす。
 するとメイファがその炎の馬の背に華麗に立ち乗り、切れ上がった足を魅せつつ、加速して蹴り下ろす。
 一方、冬香も飛び上がってこれを躱し、奇跡のようにすらりとした美脚で応酬する。
 ユーベルコード【魅せる脚(トウカ・ザ・アーツ)】、必殺の蹴り、蹴り、蹴り、蹴り、蹴り……。
 炎の馬たちも冬香を馬蹄にかけようと蹴りかかる。
 だが、冬香の蹴り技は、これを上回る妖刀のごとき斬れ味を見せる。連続の回し蹴りが、燃え上がる馬首を蹴り落とした。

「私、薙ぎ払うのは得意なのよ?」
「ふん、なかなかやる」

 美女ふたり、数合蹴り合ったのちに間合いをとって泰然とする。

「さてと、本命いく前にさくっと倒しちゃいましょうか! なんかもう弟さん突撃して来ちゃってるっぽいですし」

 彩花・涼と零落・一六八は、リウ・メイファ、猟兵、同族殺しの三つ巴となろうとする中で、戦いの判断を下していくことになる。

(もう来てしまっているな……)

 顔のない同族殺しの気配を、涼はほんの一瞬だけ視線で探った。

(同族殺し……お前の相手は後でたっぷりとしてやる
その為に来たのだから……)

 そう心の中でつぶやき、視線を正面に向ける。

「だが、まずは目の前の敵からだ」

 野太刀を構える一六八の後衛から黒鳥を構え、メイファの足を狙って撃つ。確実に、その部位を狙っていくという戦場での戦い方だ。
 狙い違わず、メイファの芸術品のような足を吹き飛ばした。

「ぐう……!? よくも! これを狙って足技を……!」

 片足となっても、器用に立ち続ける。
 吸血鬼というのは、それほどしぶといのだ。

「ボクが行くと思ってました? 残念!」

 野太刀を構えたのは、あくまでも涼の攻撃を本命とするため。
 さらには怒りに我を忘れたメイファが向かってくるのを待ち構えるためである。

「涼さんの援護があるんで、そうくると思っていました」

 メイファは、丹頂鶴のように片足で立ちつつ、炎の馬を向かわせた。
 だが、一六八のユーベルコードは【斬釘截鉄(クギヲキリテツヲタツ)】、野太刀をそのまま力の限り薙ぎ払った。
 炎の馬が、たちまちして両断される。
 そして涼のユーベルコード【黒蝶の賛美歌(コクチョウノサンビカ)】によって、黒蝶が弾丸となって舞う。
 
「お前も蝶を……!!」

 驚愕は、一瞬。そしてメイファの胸は真紅に染まる。
 美しき吸血の最期であった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『悲しき妄執者『サイカ』』

POW   :    狂乱の黒刃
【傷つけた相手の血】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【漆黒で強靭な刃】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD   :    黒き影刃の挽歌
【 自身の影から漆黒の刃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    暴食の黒き影
対象のユーベルコードに対し【 影で出来た怪物】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑8
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

「俺は、誰だ……?」

 顔を失ったその男は問う。
 もはや、誰でもない。
 顔を求めて、この館へ乗り込み、奪うべき顔を持った吸血鬼は倒された。

「顔を、カエセ。……カエセ!」

 混濁する記憶、ひさしい者、縁ある者が顔を覚えているのかもしれない。
 だが、その記憶すら、無謀となった今は曖昧模糊なものでしかない。
 同族を殺し損ねた同族殺しは、猟兵たちに刃を向ける。

「お前は、誰だ? 俺の顔を知るのか……?」
バジル・サラザール
私は何も知らないけど……知ってても知らなくても止まってくれそうにないわね。

もう一度「毒使い」と「バジリスク・ブラッド」で強化したポーションやウィザードロッドなどで攻撃。棒として使ったり、毒を射出したり、臨機応変に戦うわ。
敵の攻撃は「野生の勘」等で、回避や防御、相殺ね。
勿論無傷で倒すのがベストだけど、今の状態の私の血、代償にされたらどうなるか、正直興味はあるわね。まあ、血も顔も奪うものじゃないのよ。

何か事情があったんでしょうね、同情はするけど、私に治療はできないわ。利用しておいてなんだけどね。やるせないけど、私にできることをやりましょう。

アドリブ、連携歓迎


シャーロット・ゴッドチャイルド
「どうして、誰かから何かを奪おうとするの・・・?」

幼いシャーロットにはわからなかった。
だが、少なくとも、誰かから何かを奪おうとすることは、悪いことだ、そう思った。

「誰かから何かを奪って、それが貴方の何かを救うとして、それでも、奪われた人の悲しい気持ちはなおらないんだよ!」

精いっぱいの言葉をひねり出す。幼い彼女にはそれが精いっぱいだった。



「光の精霊さん、力を貸して!」

高速でルーンと術式を構成し、光り輝く魔法の矢を放つ。

ホーリー・ボルト!

「私にできることは、貴方を倒すことだけだから・・・!」

(優しさ、高速詠唱、属性攻撃、全力魔法)


バンシィ・ルフェイ
※真の姿継続中

WIZ判定

・行動
「冥王の兜(ハデスヘルム)」を使用して姿を消して近付く
相手にUC使用する姿を見せないことで「●暴食の黒き影」に対処し
首や心臓などの急所に直接触れた状態からドレインタッチで消耗させる
(呪詛、生命力吸収技能使用)

・セリフ
幾ら顔を奪ったとしてもあなたの記憶は戻りません
あなたという存在は
その「顔の欠落」こそが根幹となっているのですから……

せめてこれ以上苦しまぬように骸の海へと還りなさい
「告死の魔女」の名においてわたしが送ってあげましょう



「私は何も知らないけど……知ってても知らなくても止まってくれそうにないわね」

 目の前の敵は、狂気そのもの。事情を話そうが聞きはすまいとバジル・サラザールは判断した。
 ユーベルコード【バジリスク・ブラッド】によって毒による攻撃の構えを取る。
 顔のない男は、バジルがの血で強化した漆黒の刃を向ける。
 ユーベルコード【狂乱の黒刃】の発動であった。
 相手の血を宿し、殺傷力を増すという技である。
 おのれを見失った男が、狂ったように刃を振り回す。
 バジルは、巧みにそれを躱して距離をとっていく。

「カ、カ、カエ……」

 どうしたことか、顔のない男が動きが鈍った。

「私の血、代償にされたらどうなるか興味があったのよ」

 その流れる血も、猛毒であった。

「何か事情があったんでしょうね、同情はするけど、私に治療はできないわ。利用しておいてなんだけどね。やるせないけど、私にできることをやりましょう」

 しかし、顔のない男は毒が回ろうが、なおも奪おうとする。
 誰でもいい、誰かの顔を――。

「どうして、誰かから何かを奪おうとするの……?」

 無垢な問いである。
 だが、返ってくる声は答えになっていない。

「カエセ……」

 その答えの意味は、シャーロット・ゴッドチャイルドにはわからない。
 しかし、誰かから何かを奪おうとすることは、悪いことだ、そう思った。
 たとえ、奪われたのだと思いこんでいたとしても。

「誰かから何かを奪って、それが貴方の何かを救うとして、それでも、奪われた人の悲しい気持ちはなおらないんだよ!」

 シャーロットの悲しみが声を響かせた。
 だが、顔のない男は聞こうとはしない。

「いくら顔を奪ったとしてもあなたの記憶は戻りません」

 バンシィ・ルフェイは言う。
 その真の姿こそ、彼女の本当の顔であろう。

「あなたという存在は、その“顔の欠落”こそが根幹となっているのですから……」

 表情というものを失ったがゆえに、結果として感情も喪失したのかもしれない。
 もはや、おのれが何を思い、何を感じるのかもない。自己を失うとはそういうことなのだ。
 その事実は、シャーロットをも悲しませた。

「じゃあ、やっぱりこの人は……」

 幼い心に痛みを覚えるシャーロットに、バンシィはただ無言で頷いた。

「光の精霊さん、力を貸して!」

 意を決し、ユーベルコード【ホーリーボルト】を放つシャーロット。
 その光の魔法を顔のない男はおのれの影からおぞましい怪物を染み出させて相殺しようとする。
 しかし、その影は【冥王の兜(ハデスヘルム)】のドレインタッチで枯れ果ててしまう。
 シャーロットの光が、顔のない男を貫いた。

「ゴ、ゴオオオオオオオオ……」

 光は、顔のない男の影を照らした。
 わずかに甦ったのは、その知性であろうか?
 姿を消していたバンシィが、その背後から触れる。

「せめてこれ以上苦しまぬように骸の海へと還りなさい。“告死の魔女”の名においてわたしが送ってあげましょう」

 一挙に、“死”の概念が、顔のない男を覆っていく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

火土金水・明
「残念ながら、私もあなたのことは知りません。ただ、あなたの狂気が更に進行して、一般人の顔でも構わないと思い込んだら困りますから、ここで終わらせてもらいます。」
【WIZ】で攻撃です。
【先制攻撃】で【高速詠唱】した【属性攻撃】の【全力魔法】の【破魔】属性の【フレイムランス】で『悲しき妄執者『サイカ』』を【フェイント】を掛けつつ【範囲攻撃】でどこに動いても狙えるようにして【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「残念ながら、オブリビオンは『骸の海』へ帰ってください。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。



「残念ながら、私もあなたのことは知りません」
「知ラ、ナイ……?

 重苦しいダークセイヴァー空気を破るかのように、現われたのは火土金水・明(人間のウィザード・f01561)であった。

「ただ、あなたの狂気が更に進行して、一般人の顔でも構わないと思い込んだら困りますから、ここで終わらせてもらいます」

 同族殺しとて、すでにヴァンパイア以外にも災いをもたらす存在となっている。
 明もこれを看過することはできない。

「カエ……セ……!」

 もはや、聞く耳をもたぬとばかりに襲いかかってくる。
 正気と呼べるものは、欠片も残っていないのだ。
 しかし、襲いかかる前に明は先に高速詠唱を終えていた。

「残念ながら、オブリビオンは『骸の海』へ帰ってください」

 ユーベルコード【フレイムランス】が発動し、255本もの炎の槍が顔のない男に向かって発射される。
 影の怪物がその槍を飲み込み、相殺しようとする。
 しかし、防ぎきることはできない。その影ごと炎上し、炎が闇を燃やしていく。

成功 🔵​🔵​🔴​

緋薙・冬香
縁もゆかりもない間柄だけど
袖振り合うも他生の縁って言うしね
だから答えてあげましょう
「あなたの顔なんて知らないわ。冬の香りがもたらすのはあなたの終わりよ」

『人の『闇』を狩る者』を使うわ
サイカの攻撃が範囲内無差別攻撃だと言うなら
先に撃たせてソレをブラインドにして
スライディングかスカイステッパーで一気に間合いを詰めるわ
もちろん私も無傷とはいかないでしょうけど
隙を突くならこれを突破するのがベストなはず
肉薄したら死角からナールで暗殺の一撃
「生きるのに必要なのは妄執じゃなくて希望って言うの」
さようなら、悲しい人
骸の海で静かに揺蕩う過去に戻りなさい



 燃える、顔のない男が燃えていく。

「カエセ、顔ヲ……」
「あなたの顔なんて知らないわ。冬の香りがもたらすのはあなたの終わりよ」

 緋薙・冬香の答えは冷酷ですらあった。
 しかし、縁もゆかりもない同族殺しに、袖擦り合うも他生の縁として答えたいささかの慈悲ではあったのだ。

「カ・エ・セ……!!」

 顔のない男が、咆吼とともにその影から漆黒の刃を放つ。
 無差別に、周囲を薙ぎ払う。
 しかし、無差別ならばこそ対処のしようがあった。
 影から屹立する刃を影に、冬香は野生の豹を思わせる俊敏さとしなやかさでこれを躱して距離を詰めていく。

「生きるのに必要なのは妄執じゃなくて希望って言うの」

 さっと素早いスライディングによって視界から消える。

「ドコ、ダ……?」

 ユーベルコード【人の『闇』を狩る者(ウラカギョウ・ハリノヒトサシ)】、顔のない男が探す、その背後に音もなく舞い降りる。
 鎧通しナールを、その首筋に打ち込んでいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

零落・一六八
涼さん(f01922)と
とうとうメインディッシュのお出ましですね!
さーて、涼さん、思う存分やっちまってください!
ってことで今回はサポートに徹します
お膳立ては任せてくださいよ!
【毒使い】で毒を塗った苦無を【投擲】しながら
狙うのは足や手、動きを制限させるような攻撃を放ちます
【時間稼ぎ】しつつ【だまし討ち】や【咄嗟の一撃】を入れていきましょう
敵の動きを絶妙に邪魔しつつ
涼さんが攻撃を入れやすいように動きます

戦闘が終わったら
まぁ色々と思うことがあるでしょうし
涼さんの中で色々あるでしょうし、何も言わずに待ちましょうか
名前を呼ばれお礼を言われたら
「どーいたしまして!」っと笑って【手をつなぐ】

アドリブ可


彩花・涼
一六八(f00429)と
お前の顔は…私にもわからない
守りたかったが、奪われてしまったから…
だからこそ、お前は私の過去から滲み出た妄執なんだ
お前を失った悲しみから生み出してしまった
すまない…だが、もうゆっくり眠ってくれ

一六八、今回は私も前に出るぞ
黒華・改と黒爪を手に持ち
銃で相手の動きを牽制しながら剣で【2回攻撃】
【生命力吸収】で斬りつけ体力を奪う
相手がUCで武器を強化してきても
真の姿を開放してUCを使用し真正面から迎え撃つ

愛していたよ愁(しゅう)…
弟を守れない姉ですまなかった

一六八は付き合ってくれてありがとう
お前のおかげで、私はお前と一緒に進んでいける

※アドリブOK



「お前の顔は……私にもわからない。守りたかったが、奪われてしまったから……」

 彩花・涼は悲しみとともに言った。
 顔のない男、サイカ。元の顔を知っていたかもしれない。
 だが、それももう過去の彼方へと旅立った記憶。
 躯の海に沈んで、オブリビオンとなって染み出してきたものだ。

「カエセ……」

 幾度となく致命傷を受け、震えながらも、顔を取り戻そうとする。
 だというのに、サイカは「カエセ」としか言わない。
 人と人との関係は、お互いに個性を知ることによって結ばれる。
 顔のない男は、その個性を失ったのだ。

「だからこそ、お前は私の過去から滲み出た妄執なんだ」

すまない…だが、もうゆっくり眠ってくれ

「とうとうメインディッシュのお出ましですね! さーて、涼さん、思う存分やっちまってください!」

 零落・一六八は、ここからはサポートに徹するつもりだ。
 あの顔のない男は、涼に関わりがある相手。
 弟だと言っていたから。
 毒を塗った苦無を放ち、牽制する。
 ユーベルコード【ブラッド・ガイスト】の効果で、自身の血液を大小として殺戮捕食態となった苦無は、その狂乱の刃を食い止めた。

「一六八、今回は私も前に出るぞ」

 サポートする一六八にそう告げて、涼は黒華・改と黒爪を構えた。
 ユーベルコード【黒蝶の鎮魂歌(コクチョウノレクイエム)】によって漆黒の蝶が顔のない男を覆う。

「愛していたよ愁……。弟を守れない姉ですまなかった」

 本人すら記憶していないであろうをその名を告げ、涼はとどめを放った。

「ネエ……さ……」

 最後に言い残し、同族殺しのサイカとして死んだ。
 心に過る風は、虚無。悲しみの闇だ。
 涼は、何も言わずに待つ一六八に歩み寄る。
 そうして待ってくれる者の、なんとありがたいことだろうか。

「一六八は付き合ってくれてありがとう。お前のおかげで、私はお前と一緒に進んでいける」
「どーいたしまして!」

 明るく言って、一六八は涼の手を取った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年10月31日
宿敵 『リウ・メイファ』 『悲しき妄執者『サイカ』』 を撃破!


タグの編集

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🔒
#ダークセイヴァー
🔒
#同族殺し


30




種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はシン・バントラインです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は彩花・涼です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト