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氷獄

#UDCアース #南極遺跡 #血反吐

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#南極遺跡
#血反吐


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「これが『ヒートアーマー』?随分な重量だな。たしかに頑丈そうではあるが……。武装は?」
「積めません」
「は?」
 UDC研究員、陣野・怜香は露骨に嫌な顔をした。
 怜香はUDC組織に所属する研究員の一人である。彼女は南極大陸で発見されたという古代遺跡の調査に向かう任務に向け、準備を整えている真っ最中であった。
「自衛用の武器もなしに怪物どもの巣窟に乗り込めとでも言うつもりか。上は何を考えてるんだ……。それともテイのいい厄介払いか?勘弁してくれ。息子だって来年中学生になる大事な時期だっていうのに」
 怜香は宇宙服めいた特殊装甲服に袖を通す。なるほど。装甲は分厚く、重量のぶんはたしかに堅牢そうだ。身を守る、という一点に関してはある程度信頼ができそうだと彼女は思った。
「まあまあ。猟兵の方々が護衛についてくれるっていう話ですから……」
「……なるほど。そういうことか。自分で武器を持つな、というのは憤懣やるかたないが……それなら致し方あるまい。頼らせてもらうとしよう」
 短くため息をついてから、怜香はヒートアーマー装着時の動作を確かめた。

「仕事の時間だ、お前たち」
 グリモア猟兵、イリス・シキモリ(f13325)は猟兵たちに告げる。
「お前たちには今から南極に向かってもらう。寒冷地仕様の装備を準備しておけ」
 いきなりである。イリスは端末に地図を表示し、資料を示した。
「場所はUDCアース。この世界の南極において、化け物どもがつくったと思われる古代遺跡群が発見されているという話は既にお前たちの知るところだろう」
 イリスは南極大陸の地図の一部をクローズアップし、画面をタップ。赤い光点を地図上にマークする。
「今回はその調査任務……いや、護衛任務だな。お前たちにはUDC組織の研究者に同行してもらう。同行者はジンノ・レイカ博士。UDC怪物の生態研究と、対UDC戦闘用兵器開発の専門家だ」
 更にイリスは画面に同行者のデータを提示する。陣野・怜香。39歳。女性。UDC組織所属の研究者。今回は彼女が主として調査を担当する。
「彼女は調査を可能な限り安全に行うためにヒートアーマーという特殊な装甲服を装備している。多少の危険なら耐えられるだろうな。ただ、戦闘能力は皆無だ。ヘタを打てば死ぬぞ」
 そうならないように上手く護衛してくれ、と、イリスは言い添えた。
「彼女と合流したらまずは調査対象の遺跡の進入路を探せ。その後、遺跡内に潜り実地調査を行なってもらう。……当然だが、内部にはばけものどもが潜んでいることだろう。陣野博士を守りつつ調査を行い、そしてデータを持ち帰れ」
 また、イリスは最後に「最優先事項は調査データである」と付け加える。……最悪の場合、博士を見捨ててでも。言外に意味を含ませながら。
「では、任務については理解したな。準備が整い次第送る。万全を期すがいい」


無限宇宙人 カノー星人
 ごきげんよう、イェーガー。カノー星人です。
 我々カノー星人の新たな侵略作戦を開始いたしました。
 ぜひ、お楽しみください。

 この度も、あなた方と共に旅路をゆけることに感謝いたします。
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第1章 冒険 『南極遺跡調査』

POW   :    荷運びやUDC職員の護衛を行い、調査の安全を確保する

SPD   :    先行偵察や後方の警戒を行い、危険に備える

WIZ   :    UDC職員と共に遺跡周辺を調査し、入口となる場所を探す

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 極地探索仕様氷上装甲車『ポーラ・ペンタ』、車内。猟兵たちとUDC研究員は小さな家ほどもある巨大な車内の休憩スペースに集まり、顔合わせを行う。
「地獄へようこそ、猟兵の諸君」
 陣野・怜香は猟兵たちの顔を眺めながら、意地悪そうに笑みを浮かべてみせた。
「ああ、この車か。無理を言って組織に出させたんだ。とりあえず一週間分の食料と燃料は積んであるぞ。最低限の生活スペースもある。まさか南極でテントを張ってビバークするわけにもいくまい?」
 外は沸かした湯も一瞬で凍りつく厳しい氷点下の世界だ。休養を取るための拠点がわりとして、彼女はこの車を用意させていた。
「では、作戦開始といこう。人数はどれくらいいる?この拠点の安全確保、周囲の偵察や後方の警戒。それから私と一緒に遺跡探しと分担して仕事を請け負ってもらいたい。……幸い、今は吹雪も止んでいる。活動に支障はないはずだ」
 ゆくぞ諸君。短く号令をかけると、陣野博士はヒートアーマーの装着を開始した。
メルノ・ネッケル
南極……極寒の地。舐めてかかれば凍死がオチやね、しっかり準備していかへんと。
肌を出すのはマズい、帽子にグローブにブーツ、ダウンにズボン……あとは雪目対策のサングラス。素直にUDC組織から借りとこか。

あとは『フォックスファイア』の展開で、暖を取りつつ進む。うちだけで49個は多いし、必要なら周りに幾らか狐火貸すで!

さて、何はともあれまずは遺跡への進入路を探さんと始まらへん。
広域偵察ならこいつの出番や、「トオミドローン」!博士の側から極力離れず、周辺の探索といこか!
拠点で休めるとはいえ長時間の探索はキツい、方針を立てんとな。
ドローンで雪の積もり方が不自然な所に目星をつけて、そこを調べてみよか。


神羅・アマミ
突然南極に放り込まれて遺跡調査してこいとは、確かに体の良い厄介払いと思われても仕方ないのー。
じゃが、今回の任務はメンタルこそが重要!
最初から気を病んでおったら、己の職責を全うすること能わず!

てなわけで、コーヒーなどを差し入れつつ、博士と楽しいティータイムに突入。
「へへ…お姉さんもこんな辺境に送り込まれて大変ですね?」「でも、それはお姉さんの確かな実力と信頼に裏打ちされているんですよ?」
などとおべっかを使い擦り寄る。
どう反応されようが、まずは奮起してもらわないことには始まらぬからのー。

なお、偵察任務にはコード『操演』で召喚した蜘蛛型ドローン・オクタビアスくんに先行して向かってもらいました。
雑!


聖護院・カプラ
UDCアースには「地獄に仏」というスラングがあるそうですね。

どうも、聖護院カプラです。
太陽に照らされない第五宇宙の”黒い空”期間のような寒さがありますね。
調査に適した能力がない為に、私は『ポーラ・ペンタ』の上に座禅を組み『功徳』を常時発動しておきます。

集団戦に出てくるUDC程度であれば『功徳』の光に当てられた時点で即身成仏は免れませんし、
少々離れた位置に調査に出られた猟兵が何らかの機材トラブルに巻き込まれたとしても、光を頼りに『ポーラ・ペンタ』へ戻りやすくなるでしょう。

拠点防衛は慣れておりますので、お任せあれ。
そして調査に出られる方のご無事をお祈りしています。



「天気は快晴。湿度ゼロ。ははは。景色だけは美しい」
 潜水艦のような氷上装甲車の小窓から青く晴れた外の景色を覗き、怜香は振り返った。
「では、早速探索開始といこうか。全員、準備を……」
「まあまあ。ちょいと待つのじゃ」
 号令を遮ったのは、神羅・アマミ(f00889)である。生活スペースの給湯エリアで淹れたコーヒーを盆に乗せ、アマミは完璧な営業スマイルで笑いかける。
「調査の前に身体をあっためてくのがよかろう。へへ。今回の任務はメンタルこそが重要!最初から気を病んでおったら、己の職責を全うすること能わず、ということじゃよ」
 出鼻を挫かれた怜香はすこし逡巡し、
「一理ある」
 と頷いて席に着いた。
「それええな。じゃあうちもご相伴あずかろか」
 ぴょいと顔を出したメルノ・ネッケル(f09332)が先だって席につく。アマミは保存食の中からようかんを見つけると、お茶請けとして切り分けてテーブルに出した。
「いや、しかし南極か……うちも来るのははじめてやな。舐めてかかれば凍死がオチやね」
「まったくだ。こんな環境にいきなり放り込まれれば気分が悪くもなる」
「そりゃあ突然南極に放り込まれて遺跡調査してこいとは、確かにそーなっても仕方ないのー」
 っちうわけで、景気付けのお茶会を企画したのじゃよ、とアマミはドヤ顔を披露。ようかんを一切れつまむ。
「へへ……お姉さんもこんな辺境に送り込まれて大変ですね?」
 そして即座に転身!揉み手をしながらあからさまなご機嫌取りに入る!
「よせよせ。『お姉さん』なんて。私ももう来年で40のババアだぞ」
「えー、ぜんぜんそんな風には見えへんわ。化粧品何つこうてはる?」
 これにメルノも乗っかった。2人がかりで褒め殺す!
「それにー、こんな場所の調査を任されるなんて!今回の案件はー、相当お姉さんの確かな実力と信頼に裏打ちされているんですよ?」
 アマミは更におべっかで擦り寄った!
「あっははは……見え透いた世辞でも言われてみれば悪い気はしないものだな。わかった、わかった。気分良く仕事をしよう。ああ、そうだ。化粧品の話はさておき、保湿クリームを1ガロンほど持ってきている。南極の空気の乾燥度は半端じゃないぞ。特に女子は朝晩塗っておけ」
 くい、とマグカップを口元で傾け、怜香はコーヒーを飲み干した。そして席を立ち、ヒートアーマーの装着を開始する。
「じゃ、うちも行くで」
 メルノは肌を晒さぬようにしっかりと防寒対策。露出皆無の重装備で怜香のヒートアーマーに並ぶ。
「妾はオクタビアスくんを先行させておくぞー」
 一方アマミはユーベルコード【操演】を起動。蜘蛛の姿をとる自律型ドローンを車外に呼び出し、斥候役を言いつけた。
 
 ひやりとした、などという表現ではあまりにも生ぬるい。あまねく命を否定するかのごとき極寒。吹き荒ぶ氷点下の風の中へと、2人が進み出る。
「お出かけですか」
 聖護院・カプラ(f00436)は、氷上装甲車『ポーラ・ペンタ』の車上に結跏趺坐を組んだ状態でブッダスタチューめいて鎮座ましましていた。
「ああ、あんたも見張りご苦労様」
「団長さーん!おつかれさまでーす!」
 ヒートアーマーのヘルメット越しに怜香がそれを見上げ、メルノが手を振ってみせる。カプラはゆっくりと頷いた。
「この世界には『地獄に仏』というスラングがあるそうですね」
「コトワザだな」
「せやね」
「はい。どうも、聖護院カプラです」
 カプラは南極にあっても輝く太陽の光を照り返し、強大な存在感を醸し出していた。
「しかしこのサウスポールという場所は凄まじい低音地帯です。太陽に照らされない第五宇宙の”黒い空”期間のような寒さがありますね」
「そうか、あんたは宇宙の世界の出身だったな」
 ほんの僅か、羨むような色が怜香の声に混じった。一拍の沈黙を挟んでそれを消し、彼女はカプラの姿を仰ぐ。
「ただ、そのような世界に生まれただけのことです。私自身は単なる仏門の帰依者に過ぎません」
「……そうか。そうだな。ええと、それで、あんたは」
「拠点防衛は慣れておりますので、お任せあれ。そして調査に出られるあなたがたのご無事をお祈りしています」
「あれだけ存在感のある人や。遠くから見てもわかるやろ?」
「はい。少々離れた位置に調査に出られた方々が何らかの機材トラブルなど巻き込まれ道を見失うようなことがあったとしても、【功徳】の光を頼りにここへ戻りやすくなるでしょう」
「……なるほど。なら、灯台役を任せるとしよう」
「ほな、行こか。さっきから……えーっと、オクタビアスくん?あれが待ちくたびれとるからな」
 メルノが指した先では、アマミの呼んだ蜘蛛型ドローンが指示を待っていた。
『では行くぞ!探索開始じゃぜー!』
 通信機越しにアマミが声を届ける。
「無人探査機とは用意がいい」
「うちも用意しとるのがあるんよ」
 更にメルノはトオミドローンを飛ばした。敵と遭遇する危険も否定しきれない今回の探索任務においては、無人機の利用による人的被害リスクの軽減は得策であるといえる。
「さすが猟兵どの。頼りになる」
「うんうん。頼ってもらえるんは嬉しいからな」
『うむ!どんどん妾たちを頼りにしてよいからのー!』
「では、お気をつけて。無理はなさらず」
 カプラに見送られながら2人は雪の大地に足を踏み出した。静かな駆動音とともにオクタビアスくんとトオミドローンが先行する。メルノはそこで重ねてユーベルコードを起動した。【フォックスファイア】。超常の火がいくつも灯り、暖をとるとともに周囲の雪や障害になる氷などを溶かす。
「さて、鬼が出るか蛇が出るか……」
 そうして、2人と1機のドローンは遺跡の進入経路を探して極寒の大地へと踏み出した。
 
 ――。
「む……」
 遠く、風の音に混じり。青空と氷雪の向こうより、唸るような“何か”の声が聞こえた――ような、気がして。
「私の勘違いであればいいのですが……嫌な予感がしますね」
 カプラは、静かに呟いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

草野・千秋
なんでこんな所、極寒の地南極に遺跡が?

それはともかく怜香さん
必ずあなたを無事に守り通してみせます
ヒートアーマーだけでは心もとない
日本にはかわいい息子さんも待ってるんですよね?
武器を手に取り敵の血で手を汚すのは猟兵の定め
それが猟兵たる僕らの誓いなのですから

防寒対策もしっかりしないとですね
拠点で暖を取れるようなものは色々と持ってきました
怜香さんは一般人ですし他の方も生身の方もいるでしょうから

戦闘知識、情報収集、第六感で
周囲にオブリビオンの気配がないか
十分に気をつけ、警戒する
機材ですとかの運搬があるのでしたら
僕の怪力が役立ちそうでしょうか?
僕の力でしたらガンガンこき使って下さい!


黒川・闇慈
「南極の遺跡ですか……古代の南極は今よりずっと温暖だったという説もあるそうですが……さて、遺跡を作ったのは何者なのでしょうねえ?クックック」

【行動】
wizで行動です。
私は遺跡の調査に向かいましょうか。
調査にあたり、まずは炎獄砲軍を使用して炎を呼び出します。炎を私の側に待機させておけば熱源や明かりになって行動もしやすいでしょう。
南極の遺跡ですからあちこち氷ついているかもしれません。氷ついた場所を炎の熱で溶かしつつ、入り口を探索するといたしましょう。

「鬼が出るか蛇が出るか……鬼や蛇ではすまないレベルかもしれませんが。クックック」

【連携・組み合わせ・アドリブ歓迎】



 前日の調査により彼女たちは遺跡のあるとおぼしきおおよその位置を把握し、その付近へと『ポーラ・ペンタ』を移動させていた。南極大陸内陸部の山脈沿い。山肌に張り付くようにして、その遺跡は顔を見せていた。しかして門前払いをするようにその周囲は厚く氷雪に覆われており、進入路を見つけるのは一見して困難であった。
「なんでこんな所……極寒の南極に遺跡が?」
 草野・千秋(f01504)は氷雪を踏みしめながら首を傾げる。凄まじい氷点下の世界においても、しかしてサイボーグである彼の活動には支障なく普段通りに活動できる。足元は多少不確かではあるが。
「……古代の南極は今よりずっと温暖だったという説もあるそうですが……さて、遺跡を作ったのは何者なのでしょうねえ?クックック」
 黒川・闇慈(f00672)は傍らに熱源を浮かべ、周囲の気温を維持しながらゆっくりと進む。
「ひとつの説を話そう」
 ヒートアーマーの内側より、怜香が口を開く。
「そもそも、この星の支配者は誰だと思う?」
「人類ではないのですか?」
「今はな。否、そうとも言い切れないが」
「ククク……なるほど。おっしゃりたいことはわかりました」
 闇慈は得心のいった様子で頷いた。
「そう。……そもそも、我々アンダーグラウンド・ディフェンス・コープの対UDC作戦行動やユーベルコードを繰る猟兵の活動が表立って始まったのはごく最近に過ぎない」
「……それ以前は、邪神たちの天下だった、ということでしょうか」
「クク。……つまりあなたはこう言いたいわけです。『かつてはこの星そのものが邪神たちの支配下だった』と」
「そうだ。『たまたま南極にあった』んじゃない。本来地球全土に分布していたUDCや奉仕種族どもの築いた文明がなんらかの原因によって弱体化し、人類によって淘汰されていたが、人類の活動圏外である南極までは滅ぼしきれなかった。その結果、たまたま南極で見つかったように思われている……と私は考えている」
 ヒートアーマーの駆動音。怜香は歩みを進める。
「草野くん。地形浸透探査ソナーを発電機に繋いでくれ」
「わかりました」
 体力のある千秋に運搬を任せていた機材を準備するように怜香は指示する。
「黒川くんは周囲の警戒を頼む。言うなればここはもう店前だからな。いつお出迎えがきてもおかしくはないぞ」
「承知しました。……鬼が出るか蛇が出るか……鬼や蛇ではすまないレベルかもしれませんが。クックック」
 闇慈はユーベルコードを既に起動している。【炎獄砲軍】。爆発性をもつ炎の塊を浮かべ、周囲の気配を探った。
「大丈夫ですよ、怜香さん。必ずあなたを無事に守り通してみせます」
 発電機を回しながら、千秋は頷いた。
「武器を手に取り敵の血で手を汚すのは猟兵の定め。それが猟兵たる僕らの誓いなのですから」
「……それは頼もしいことだ」
 怜香は肩を竦めながら、ソナーの電源を入れる。
「しかしね、猟兵くん。私は見ての通りプライドばかり高い女だ」
 人類の可聴音域の外にある超音波を地形内部へと浸透させ、反響音を拾う。ソナーのモニターへと、遺跡内に存在する空間がおぼろげに映し出された。
「自分の手で決着をつけたい奴だっている。護られたい奴ばかりじゃないのさ、人間は……ああ、黒川くん。その火の玉、君のいる場所から見て10時……いや10時15分の方向。そう、そっちだ。そこにやってくれ」
「ええ、いいですよ……」
「あー、待て!地味にやってくれよ。刺激して中を崩したり中のものを出したりしないように頼む」
「クックック……かしこまりました」
 闇慈の炎弾がゆっくりと山肌の氷塊へと寄り、進入路を開くべくして氷を溶かし始める。
 進捗はだいぶ順調だ。次のステップへと進むまで、多くの時間はかからないだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ウィーリィ・チゥシャン
こういう寒い時は暖かいスープ料理が食べたくなるんだよなー。
片栗粉でとろみをつけて冷めにくくしたやつ。
あとクリームシチューもいいな。鶏肉とタマネギがとろっとろにほぐれるまで煮込んだの。

あ、まだ幻覚の類は見てないからな?

さておき。
防寒装備に身を包み、UDC職員の護衛として同行。
今回の敵はオブリビオンだけじゃない。この環境そのものだからな。
言ってしまえば、ここは敵地の真っただ中。
敵の襲撃だけじゃなく雪崩や氷壁が崩れたりといった自然現象にも注意。
有事の際には鉄鍋の『盾受け』で職員を『かばう』事で危険から守る。
脅威の排除には『飢龍炎牙』を使用。



「こういう寒い時は暖かいスープ料理が食べたくなるんだよなー。片栗粉でとろみをつけて冷めにくくしたやつ」
 防寒装備に身を包んだウィーリィ・チゥシャン(f04298)は氷雪を踏みしめながら呟く。
「同感だ。私もカレーが食べたい。息子が好きでな」
 この地では望むべくもないが。怜香は緩く首を振った。
「あー……いいな。あとクリームシチューもいいな。鶏肉とタマネギがとろっとろにほぐれるまで煮込んだの」
「……そのくらいにしておこう。食べ物の話ばかりでは腹が減る」
 さておき。
 遺跡の進入路を開く作業はほぼ完了しつつあった。怜香とウィーリィは侵入前の最終確認として入り口付近の様子を調べに来たのである。
「博士、周りの状況はどうだ?」
 この極寒の地では、オブリビオンの襲撃だけではなく環境そのものが敵だとも言える。自然の脅威はいつ牙を剥くかわからないのだ。
「計器で観測している限りでは問題ない。山肌にはあまり雪がないだろう?雪崩の心配はないし、天気図的には少なくとも今日明日中は吹雪くこともないはずだ」
 ヒートアーマー越しに端末を操作しながら怜香が進む。
「間も無く進入路に到着するぞ」
「ああ」
 猟兵たちのユーベルコードによって氷の層が溶かされ、そして露わになった遺跡の入り口が顔を見せる。アステカやマヤの古代文明遺跡に似たようで、しかし決してそうではない奇怪な装飾を刻んだ石造りの建物のようであった。
「では、調査を……」
 怜香が一歩踏み出す。
 しかし、その時である。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおんんんんん」
 声が、響いた。
「危ねえっ!」
 内部から激しい勢いで“なにか”が現れる!それは肉体を欠損した獣の骨格のように見えた。接近に気付いたウィーリィはすぐさま前に飛び出し、襲い来る怪物の進む道を鉄鍋を盾がわりに遮る!
「おおおおおおおおおおおお」
「早速お出迎えというわけか!」
「気が早いお客さんだぜ!」
 【飢龍炎牙】!ウィーリィはすぐさまユーベルコードを起動し、炎を放つ!龍の姿をとる炎はたちまちオブリビオンを飲み込み、そして黒焦げの炭へと変えた。
 ……後続は来ないようだ。敵の気配はない。怜香は肩をすくめて息を吐き出した。
「想定していたより随分元気らしい。一旦退くぞ。我々2人ではこれ以上は危険だ」
「ああ、こりゃしっかり備えをしてこないと骨が折れそうだな」
 ウィーリィは頷き、警戒しながら怜香とともに元来た道を引き返して拠点へと向かう。
 ……ここからが、遺跡調査の本番だ。十分に準備を整えて、戦いに備えよう。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『朽ちた化石竜』

POW   :    骨融合
無機物と合体し、自身の身長の2倍のロボに変形する。特に【仲間も含めた複数の骨】と合体した時に最大の効果を発揮する。
SPD   :    骨化
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【骨の怪物】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
WIZ   :    鉄骨
全身を【超硬度な金属】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 墓場のようであった。
 絨毯めいて足元を埋め尽くし、そこらじゅうに散らばる骨。石造りの通路の中を、凄まじい低音の風が吹き抜けてゆく。
 猟兵たちとともに遺跡内へと侵入を果たした陣野博士は、ヒートアーマーに背負うように接続した大型のライトで内部を照らしながら進む。
「……ここは、一体」
 通路の先、ややひらけた空間へと出た陣野博士はライトの照らした先の光景に息を飲む。
 照らし出された遺跡の壁面には、精密な筆致で絵巻めいた意匠が刻み付けられていた。
 そこに描かれていたのは、ヒトの姿であった。否、人類のそれではない。建造物を描いたとおぼしき図の側に刻まれた姿は、四肢を持つおおよそ人類と酷似したものであったが、しかして描写されし絵画の“それ”は人類の似姿をしていながら、そのいびつなシルエットは魚類や海棲哺乳類に類する特徴を備えた異形の姿であったのだ。壁画に描かれたヒトガタの異形は、それぞれの手に恐竜めいた生き物や人間らしきものを掴み、それを喰らっていた。
「ペリシテの悪夢とでもいうつもりか……?」
 怜香は頭を抑えながら荒く息を吐く。音がする。声がする。遺跡の奥より、この地へと踏み込んだ者たちを呼ぶ声がする。
 ぱき。
 あまりにもおぞましい感情に襲われ、怜香はふらつきながら一歩壁画から遠ざかる。ヒートアーマーの足底が化石骨を踏み砕いた。
 その時である。
「おおおお」
「おおおおんんんん」
「るおおおおおおおおおおお」
 かち、かち、かち。
 遺跡の中の、更に奥まった空間より。
 骨の鳴る音が響く。呻くような声が聞こえる。
「いかん。敵か……!皆、任せるぞ。私は……職務を、果たさなければ」
 そうして。
 呪わしき極地の底から、その闇の一端が姿を見せる。
神羅・アマミ
レイカ博士が己の職責を全うしようというなれば、彼女を死守することこれ盾キャラとして最大の誉れ!
貴様らの第二指末節骨一本とて彼女に触れさせはせぬぞー!

敵がワラワラと集団で襲いかかってくるのであれば、敢えて合体を誘い、その上で動きを阻害することが一網打尽の必勝パターンに繋がるやもしれぬ。
真の姿・象兵形態へと覚醒し、コード『曇天』を発動!
妾が放つ無数の矢、アマレンドラの咆哮と地響きによって一箇所に集まろうとする骨を尽く砕き、蹴散らしてやれば、そのもたつきが大きな隙となりトドメを刺すチャンスも生まれよう。

しかし、46億年の地球史を根底から覆しかねぬ壁画!
なにかとてつもない危機が間近に迫っておるのか!?


聖護院・カプラ
陣野さんの様子、具合があまりいいように見えませんが……。
『旧約聖書』、いえ。
『サムエル記』に関する物を見た所為でありましょうか。

この不安、その苦痛を取り除く役目を担いたい所ですが、現地の方がそうはさせてくれないようです。
『朽ちた化石竜』に説法を唱えるには些か数が多い。これでは最後の持ち看板は2時間待ちです。

そこで私は『鉄骨』化して手が付けられなくなってしまった化石竜を、
複数体『円相光』にて動きを止め、肋骨をパズルのように組み立てようと思います。
彼らは動こうにも彼ら自身の骨パズルで身動きは取れない筈。

どうかそのまま、貴方達自身で隣人を愛する素晴らしさを思い出していただきたい。
260万年分の愛を。


草野・千秋
散らばる骨に不気味な風
なんておぞましい光景なんでしょう
(サイボーグのはずなのに寒気でぶるり)
ヒトであってヒトではない者達
人間を……喰らっている?
――邪悪が今ここに迫って来ています
決して油断はならない
必ず守り通してみせる!変身!

戦闘開始と同時にUC発動
防御力を強化
攻撃よりも怜香さんをかばうのを優先
戦闘知識、第六感で敵が
怜香さんをどこから攻撃するのか察知を試みる

攻勢に転ずる場合は
2回攻撃、スナイパー、範囲攻撃、一斉発射を使用
着実に敵体力を削る
敵勢力が少なくなってきたら
攻撃を接近戦に切り替え、怪力と2回攻撃使用

敵からの攻撃は戦闘知識、第六感でかわし
激痛耐性、盾受けで耐える



「おおおおおおおおおんんんんん」
「ううううううううううううううう」
「るううううろおおおおおお」
「……声帯もないのにどこから声を出してるんだか」
 がちがちと骨の触れ合う音を立てながら、亡骸のような竜骨の群れが押し寄せる。怜香はふらつく足取りで光源を設置し、周囲の状況を携行したカメラで記録作業を開始した。
「陣野さんの様子、具合があまりいいように見えませんが……」
 聖護院・カプラ(f00436)は怜香のバイタルサインをスキャンし、身体的な異常はないことを確認するも気にかける。
「あの壁画……『旧約聖書』、いえ。『サムエル記』に関する物を見た所為でありましょうか」
「46億年の地球史を根底から覆しかねぬ壁画じゃからな」
 神羅・アマミ(f00889)は異常な壁画を一瞥してから、竜骸の群れへと向き直る。
「なんておぞましい光景なんでしょう……」
 草野・千秋(f01504)は薄ら寒い感覚をおぼえながらも戦闘態勢をとる。
「それにあの壁画の怪物……人間を……喰らっている?」
「そのようじゃな。しかもアレじゃぞー。絵の縮尺からすると、クソデカいぞあれ」
「なるほど。このようなものを目にすれば陣野さんも気が滅入るのは必至。その不安、その苦痛を取り除く役目を担いたい所ですが……」
「やっとる場合ではないな!迎え撃つぞー!」
「ええ、行きましょう!必ず守り通してみせる!変身!」
 猟兵たちはそれぞれにユーベルコードを起動する!
「おおおおおおおおお」
「ああああううううううう」
 化石竜たちは足元の骨片を踏み砕きながら前進!更にユーベルコードだ。【骨融合】により周囲に散らばる骸のかけらや、仲間の竜骨を巻き込んで合体!巨大な骨塊がゴーレムめいて起き上がる!それも一体や二体ではない!
「では行きましょう!」
 千秋――変身したダムナーティオーは素早く地を蹴り走り出した。化石竜の進路を遮るように前へと飛び出し、対UDC戦闘用銃火器を構える。すぐさまトリガー!吐き出される弾丸が合体化石竜を叩き、その進行を押し留める!
「おおおおおおおおおお」
 しかして進む合体化石竜は攻撃を加えるダムナーティオーを進行の妨げととらえ、接近とともに拳を振り下ろす。千秋は片腕に盾を展開し、それを受け止めた。衝撃に身体が軋むも、正義の心は挫けない。【Judgement you only】。決意がその身体を支えた。
「必ず守ってみせます!」
「よーし、妾も手をこまねいてはおられんな!レイカ博士が己の職責を全うしようというなれば、彼女を死守することこれ盾キャラとして最大の誉れ!貴様らの第二指末節骨一本とて彼女に触れさせはせぬぞー!」
 続いて対抗したのはアマミである!彼女は真の姿のひとつ、象兵形態へと覚醒した。それに伴い、空間を裂いて遺跡内へと巨象アマレンドラが突入する!響き渡るのは歌声とどこの国のものとも知れぬ民族楽器の演奏である!
「よォしゆくぞアマレンドラ!合体などしたのが運の尽き!そのまま一網打尽じゃ!」
「ぱおーん」
 アマミはすぐさま跳んで象の上へと騎乗!続けて素早く弓を射る!【曇天】!
「か弱き貴様らがこの場で生き残る術はないと心得よ!」
「おおおおおおおおおおおおおお」
 矢の雨に怯む骨塊!
「死ねーッッ!!」
「ぱおーん」
 一気呵成!アマミの号令とともに戦象アマレンドラが吠えたけりながら激突!粉砕ッ!衝突に砕け散った骨片がばらばらと降り注ぐ!
「おおおおおおおおお」
「なるほど、徳は足りていないようですね」
 カプラは冷静に状況を見た。そしてゆっくりと進み出る。
「しかし、説法を唱えるには些か数が多い。これでは最後の持ち看板は2時間待ちです」
「大人しく最後尾待ちする連中にも見えねーしの!」
「然り……おや?」
「あれはなんでしょう?」
 がァんッ!新たにやってきた化石竜を叩くダムナーティオーの拳に硬質な手応え。アマレンドラの破壊力を恐れたか!【鉄骨】と化した化石竜たちは防御を固めたのだ!
「なるほど」
 しかして、それは絶対的な防御力を得るかわりに身動きのとれなくなる完全防御形態である。カプラはそこへ進み出ると、鉄骨化した骨塊に触れ、素早く知恵の輪めいて組み替え始めた!
「おおおおおおおおおん」
「あああああああおおおおお」
「恐れることはありません」
 カプラは穏やかに徳高く【円相光】の後光を放ちながらパズルのように化石竜たちの骨を組み上げてゆく。……これでは、鉄骨化を解いたとしても身動き一つとれまい!
「どうかそのまま、貴方達自身で隣人を愛する素晴らしさを思い出していただきたい」
「おおおおおおおお」
 もがく骨塊!しかして、鉄骨化を解いて尚複雑に骨同士が絡み合った状態ではただ呻くことしかできない。
「260万年分の愛を」
 カプラは静かに頭を下げた。
 
 一方。
 陣野博士は荒く息を吐き出しながら記録を残す。
 撮影機材で壁画を撮り、持参した保管用ボックスへと骨片や剥がれた石材のかけらを放り込む。
 完全に無防備な状態でこそあるが、彼女の安全は猟兵たちの活躍により守られている。故に、彼女はこの遺跡のデータを取り続けることへと集中できているのだ。
「間違いない……この遺跡は、『父祖』の祠だ。ペリシテの悪夢。旧約聖書。サムエル記にも名を残すかの神性の眷属に間違いない。……生き延びていたのだ、ここで。この地の底で。何万年もの時を超えて。それこそ、この星そのものが氷雪に覆われていたその時から」
 指先の震えが止まらない。陣野博士は歯を嚙み鳴らす。息子のために止めた煙草が急激に恋しくなる。否、だめだ。紫煙の毒は肉の味を落とす。私は食卓に上がった贄だ。早く父なる神へこの身を捧げなくては。
「ああああああああッ!!!」
 かぶりを振る。揺らいだ思考の間隙に入り込んだ“なにか”を振り払う。ヒートアーマーの腕のコンソールを叩いた。念のためにとアーマーの内側に仕込んでいた鎮静剤をインジェクターで経皮摂取し精神の安寧を図った。
「クソ、まずいな……そうだろうとは思っていたが、普通じゃないぞ、ここは!」
 しかして、まだ職務は完遂していない。
「オイオイオイ、だいじょーぶか博士!なにかとてつもない危機が間近に迫っておるのか!?」
「ぱおーん」
 猟兵たちの呼びかける声が、彼女の意識をここに留めた。
「……いや、大丈夫だ。そのまま敵の対処を頼む!」
「わかりました。しかし陣野さん、あなたの身の安全もまた第一です。無理を押すのはいい行いではありません」
「わかっている!だが、私は科学者だ!」
「であれば、あなたをお守りするのが僕たちの使命です!」
「重ねて言う。任せたぞ!」
 息を吐き出しながら、陣野怜香は己の矜持を示す。
 そして、奥の空間より更なる唸り声が響き渡った。……敵の増援だ!
 不可解な“なにか”が目覚めつつある極寒の地の底において、彼女の調査活動と猟兵たちの戦いは続く!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

黒川・闇慈
「ほう、骨の竜……いえ、ここはUDCアースですし、恐竜でしょうか。興味深いですねえ。クックック」

【行動】
wizで対抗です。
さて、相手は骨格を金属に変えるようですね。南極でその選択をした愚かさを教えて差し上げましょう。
全力魔法、高速詠唱、属性攻撃、範囲攻撃の技能をもって炎獄砲軍を使用します。
炎を一斉に発射し相手の全身を焼き尽くします。金属に変身されてもそのまま攻撃続行です。
強度が無敵だろうと、金属は金属。炎で炙れば温度は上がり続けます。さて、金属化を解除した後は南極の低温が待っているのですが、急激な温度変化に骨格は耐えられるのでしょうかね?

【連携・組み合わせ・アドリブ歓迎】


メルノ・ネッケル
……こりゃあ感想に困るとんでもない絵やな、気分のええもんやあらへん。
こんなもん見せつけられたからには、しっかりデータを持ち帰らんと。

こちらこそ調査は任せたで、博士。
それじゃあ、うちも職務を果たすとしよか……!

向こうの手口は合体による巨大化。しかも仲間同士でくっつくとさらに強くなると来とる。
周りは無機物だらけの洞窟、相手を選ばなければ合体先には困らんやろうけど……強さが増すんなら、お仲間との合体を選ぶやろうな。

ならば【先制攻撃】!向こうが動き出す前に叩き、少しでも頭数を減らす!
行くで、『狐の嫁入り』!
化石竜の群れの方へ走りながら跳躍……せっかく戻って来たのに悪いけど、もっぺん土に還って貰おか!


ウィーリィ・チゥシャン
恐竜の骨が合体して巨大ロボに!
男のロマンが今ここに!

いや、敵だけどさ。あいつ。

怜香さんを【かばう】形で前に出て敵を食い止める。
敵の攻撃は鉄鍋の【盾受け】で凌ぎ、大包丁の【二回攻撃】で敵にダメージを与えながら骨格の中心部を探す。
合体ロボの弱点は合体により増加した自重。
だから要となる部分を破壊すれば自重により奴はバランスを崩すはず!
見つけたら、そこを狙って【料理の鉄刃】の【鎧砕き】で【部位破壊】!

さすがにこいつの骨じゃ出汁は取れそうにないな。



 「私は大丈夫だ……頼むぞ、皆!」
「こちらこそ調査は任せたで、博士」
 メルノ・ネッケル(f09332)は怜香を庇うように前に立ち、双銃を抜き放ちながら背中越しに声をかける。
「クク……呑まれぬようお気をつけください」
 黒川・闇慈(f00672)もまた並び立った。メイガスアンプリファイア。魔杖を手に迫り来る敵群を見据える。
「安心してくれ。敵は俺たちが引き受けるぜ!」
 ウィーリィ・チゥシャン(f04298)が飛び出した。その手には大包丁。先手を打つ!振りかざし、正面の化石竜へと切りかかった!
「おおおおおおおおおおおおおおお」
「ああああああああああんんんん」
 がぁんッ!激突の衝撃音!しかしてウィーリィの手に返るのは強かな反動である!【鉄骨】!敵は先んじて防御を固め、猟兵たちの出方を伺おうとしていたのだ。
「固え、ッ……!」
 刃が通らない!まるで料理を始めたての頃に誤って叩き当時使っていた包丁の刃をこぼれさせた殺人ダンジョン海老の殻のようだ。
「こりゃ煮ても焼いても食えなさそうだな!」
「クックック……では、ここは私にお任せください」
「策があるんやな?」
「勿論」
 ぼう。音を立てて火が灯る。闇慈のユーベルコードだ。【炎獄砲軍】!燃え上がる紅蓮が鉄骨化した化石竜たちを襲う!
「骨の竜……いえ、ここはUDCアースですし、恐竜でしょうか。興味深いですねえ。クックック……しかし、身体を鉄にするとは。南極でその選択をした愚かさを教えて差し上げましょう」
「おおおおおおおおおおおお」
 業火!赤く燃える炎が暗い遺跡内を照らし出す。
「強度が無敵だろうと、金属は金属。炎で炙れば温度は上がり続けます」
 道理である!物質は高温になることで熱膨張あるいは熱収縮を引き起こす。ここで闇慈はユーベルコードを止めた。それは即ち。
「そして、ここは極寒の南極。加熱が止まればすぐさま氷点下に戻ることでしょう。……クックック」
「温度差やな!」
「なるほど!」
 急激な温度変化は熱膨張あるいは収縮からの急激な変質を引き起こす!いかな強靭な金属であろうとそこに生まれるすさまじい熱応力が内部からひずみを作り出し、物体を破滅へと導くのである!
「おおおおおおおおおおおおおお」
 このままでは順に炙られ砕けるだけだ。化石竜たちはたまらず鉄骨化を解いた!すぐさま次の手を打つ。骨片の山をかき集めながら、化石竜たちはロボットめいた巨大なヒトガタを組み上げた!【骨融合】!
「でけえ!恐竜の骨が合体して巨大ロボに!すっげえな……男のロマンが今ここに、って感じだぜ!」
「感心しとる場合ちゃうで!せっかく合体したとこ悪いけど、もっぺん土に還って貰わな!」
「あ、うん。敵だけどさ、あいつ」
 ウィーリィはあらためて大包丁を構え直し、巨大な骨塊に対峙した。
「しかしこいつら、なんで人型になっとるんやろな?」
 メルノは合体した敵が動き出す前に先制して仕掛けた。骨の散らばる地面を蹴立ててメルノは跳躍。更に空中で身を捻り射撃姿勢!即座にトリガー!両腕がこちらを捉えるよりも先に閃光と弾丸が疾る!R &Bとアサルトリボルバーの二挺撃ち!【狐の嫁入り】!機先を制した弾丸は暴風雨めいて襲いかかる!
「おおおおおおおおおお」
「なんや、意外に脆いんやな!」
「クックック、あれだけやりましたからね?」
 弾着!弾着!弾着!弾丸と閃光に穿たれ、合体化石竜の腕がばらばらと砕け散る!
「おおおおおああああああああ」
 しかし、その身体を構成する骨片はそれこそ無尽蔵にあるのだ。竜骸の塊はそこらに散らばった骨のかけらを新たな腕として再構築!
「させるかあッ!!」
 だが、ここでウィーリィが飛び込んだ!走る!駆ける!つま先部分を蹴立て、大腿部分を掴み上がって更に上方へ。アクロバティックに身体を捻り、鋭く瞳を光らせて敵の中枢を探る!
「こいつの弱点は合体により増加した自重だ……!身体を支えている部分があるはずだぜ!」
「おおおおおおおおおおお」
 生命のカタチを模している以上、必ずそれと同じ弱点が存在する。そして、料理人であるウィーリィは言ってしまえば解体のプロフェッショナルだ。……その目は、骨格の中心となる部分――すなわち脊椎を見る!
「ここだ、ッ!!」
 【料理の鉄刃】ッ!閃く大包丁の一振りが中枢を叩き折るッ!
「おおおおおおおおおおおおああああああああああああああああ」
 そして、一際大きい悲鳴。断末魔めいた唸り声。声帯もない骸の塊であるというのに、全身をただの破片としながら、その声がおぞましくも響き渡った。
「さすがにこいつの骨じゃ、出汁は取れそうにないな」
 かちり。音を鳴らしてウィーリィは包丁を収める。
 そして――短い静寂。極寒の風が洞窟内を吹き抜けた。もはや、動く敵の姿はない。
「……ウィーリィくん。今、なんて言った?」
 揺れる頭蓋を抑えながら、陣野博士はウィーリィに問う。
「え?……いや、こいつらの骨じゃ……出汁なんか……」
「それだ。……それだ、ウィーリィくん!それなんだ!ここは……この場所は、そうなんだ!」
「どないしたんや、博士!?」
 突如として声を上げた陣野博士のただならぬ様子に、メルノは声をかける。
「こいつらは……この骨の塊は、“食べかす”なんだ!ここに、ここに祀られ、そして今も息衝く大いなる災いの眷属!その食餌の“残飯”だったんだ……そして、ここは……」
 震える瞳。
 陣野博士の視線は、遺跡の奥の暗闇へと向けられた。
「……クク。我々はまんまと皿の上に上がってしまった、ということですね?」
 闇慈は、むしろそれを面白がるかのように笑い――遠く響く、その声を耳にした。
「なんだ……!?」
「まさか……あのとんでもない絵の、あれが来るんか!?」
「ああ……来る。来る!来る!だめだ、だめだ!来てしまう!ペリシテの悪夢!父なるもの!かの“眠れる邪神”の眷属!」

 そして。

 咆哮。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『海零』

POW   :    縺薙?譏溘?逕滓擂謌代i縺ョ繧ゅ?縺ァ縺ゅk縲
単純で重い【巨体や、別次元から召喚した大量の水】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    陦ィ螻、縺ョ蝪オ闃・蜈ア繧√
【額や掌】から【強烈なサイキックエナジー】を放ち、【心身の両方への衝撃】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    窶晏卸荳匁峅縺上?∵オキ髮カ窶
【念力や別次元から生じさせた津波】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を海に変え】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠フォルティナ・シエロです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『縺薙?譏溘?逕滓擂謌代i縺ョ繧ゅ?縺ァ縺ゅk縲』
 “それ”は、ヒトによく似たカタチをしていた。
『陦ィ螻、縺ョ蝪オ闃・蜈ア繧√』
 しかしてそれは、明らかにヒトではなかった。
『窶晏卸荳匁峅縺上?∵オキ髮カ窶』
 身の丈はおおよそ10メートルもあろうか。
 遺跡の奥から身を乗り出したその巨躯は、おぞましく唸る声をような漏らしながら、猟兵たちを見た。
「……だめだ。あれは、だめだ。戦っては、いけない。……逃げろ。逃げるんだ!機材を持って逃げろ、皆!ポーラ・ペンタまでたどり着けばきっと逃げ切れる!私はいい。足手纏いだ!記録データとサンプルの保管ボックスを持って、行け!UDCにこれを届けろ!」
 陣野博士は歯を嚙み鳴らし、自身にインジェクターから鎮静剤を再度投与する。無理矢理正気を保とうとしながら、猟兵たちへと喚き散らし吠えるように命令する。

 敵は強大だ。
 猟兵たちよ。君たちの任務は、この場所で収集したデータをUDCへと届けることである。この調査活動の成功の可否に、博士の生死は問われていない。
 君たちは逃げてもいいし――君たち自身の危険を伴うきわめて愚かしい選択肢であるとしても、それを承知の上でというのであれば。
 立ち向かっても、いい。
草野・千秋
UDCの眷属、恐ろしい邪悪
無理して戦って怜香さんの心身に危険が及んでは元も子もないです
……僕だって本当は怖い
おぞましい悪には慣れてるはずなのに
日本まで必ず無事で送り届けると約束したのです
博士の生死が問われてなくっても
絶対に助けてみせる!
猟兵の矜持にかけて!

【血反吐】
UCで味方を癒しつつ逃走戦
先程と同じように怜香さんをかばうのを最優先とします
攻撃は盾受け、激痛耐性で耐え凌ぐ
あなたを護るためなら、この鋼の身など惜しくはない!
時間稼ぎ、戦闘知識で常に可能な限り敵との距離を離れさせる
やむを得ず攻勢に転ずる場合は徹底して遠距離戦
スナイパー、一斉射撃、2回攻撃を使用
人間はお前のような邪悪に屈しない!


聖護院・カプラ
確かに聞き入れました。
私はこのオブリビオンを骸の海へ還します。

どうされましたか?
『ポーラ・ペンタ』まで逃げれば確実に脱出できるのでしょう。

陣野さん、来年中学生になる息子さんがいらっしゃるそうですね。
彼を見守る事は大事(だいじ)なことです。
過去の神格は大事(おおごと)ですが。なに、育児に勝るモノではありませんよ。
お行きなさい。……皆さん、お任せしました。

……”本物”の神格を相手にするのは流石に堪えますね。
経年による徳エネルギーの差が半端ではありません。
単純な戦闘力であれば戦争の首魁に匹敵するやもしれませんね。

ですが、心の奥から聞こえてきた祈りが【大願成就】を叶える力となりましょう。
―――いざ。


メルノ・ネッケル
……あぁ、ありゃあヤバいわ。恐怖か狂気か、何かが自分を蝕んでくのが肌で感じられる。
でもな、博士。うち、まだ保湿クリームのお礼しとらへん。
だから、勝手に恩を返させてぇな。

呼吸を整えろ、【勇気】を振り絞れ、銃を構えろ、前を向け。
……行くで、戦闘開始やっ!!

仕掛けるは【先制攻撃】、『クイックドロウ』の出番!
一発でどうこうなる相手やないけど、嚆矢は必要。向こうの意識をこっちに向けて、博士が狙われる危険を少しでも下げんと!

後はエナジーを回避しつつ銃撃を続けて行くしかあらへん。掌と額、その二つから放たれるなら多少は【見切り】やすい。
当たるなら当たるで自分自身を【鼓舞】し、心までは持って行かせへん……!


黒川・闇慈
「さて、邪神の皿の上で踊るとしましょうか。クックック」

【行動】
wizで対抗です。
敵は強大ですし、博士が巻き込まれる前に短期決戦と参りましょうか。
高速詠唱の技能で迅速に超アストラル体へ変身します。
防御に費やす手数も惜しいので、津波や念力はダメージ軽減効果と覚悟、激痛耐性の技能で耐えるといたしましょう。
全力魔法の技能でアストラルレーザーを発射。邪神にキツい一撃をお見舞いしましょうか。

「あなたの狂気と私の魔術、どちらが勝るか試してみようじゃないですか。クックック」

【連携・組み合わせ・アドリブ歓迎】


神羅・アマミ
げに恐ろしき怪物かな!
彼奴の巨躯はもとより、唸り声一つ耳にするだけで常人は正気なぞ保てまい!
博士を…博士だけは無事に生還させてみせる!

そして奴が大量の水を操るというのなら、妾は真の姿・レーザーシャーク形態にて乗りこなして見せよう!
化物には化物を!災害には災害をぶつけんだよお!
際限なく巨大化していく鮫!鉄砲水を巻き上げる竜巻!これで少なくとも条件は五分!
威力を相殺し攻撃を食い止めて見せようぞ!

然して怪獣大決戦を余所目に、妾自身は博士を担いで少しでも遠くにトンズラじゃな。
無論採取したデータは希少じゃろうが、それ以上に貴重な人材を使い捨てるようではUDCという組織もこの先生きのこることはできまい。


ウィーリィ・チゥシャン
そうだな。確かにあいつと戦っちゃいけない。
敵は強大だ。文字通り次元が違う。
そして、俺達の任務はデータを持ち帰る事。
けどさ。
「あんたにはカレーが好きな息子がいるんだろ?」
だから博士を仲間に任せ、俺はこの場で奴を足止めする。

【トリニティ・エンハンス】で状態異常力を強化し、炎を纏わせた大包丁の【属性攻撃】を【二回攻撃】で奴の巨体に繰り出してダメージを与えていく。
そして敢えて奴に別次元からの水を召喚させ、それに合わせてこっちも水の【属性攻撃】にシフトし、極寒の冷気を利用して大量の水を凍りつかせる事で奴を氷に封じ込める。
邪神の眷属のシャーベット、一丁上がり!



「確かに聞き入れました」
 聖護院・カプラ(f00436)は静かに頷く。
「ああ、なら早く逃げろ。データは全て渡す。猟兵の能力であれば間に合うはず……」
「はい。ですので、私はこのオブリビオンを骸の海へ還します」
「は?」
 カプラは怜香を庇うようにして、前へと進み出た。
「どうされましたか?……『ポーラ・ペンタ』まで逃げれば確実に脱出できるのでしょう」
「やめろ……やめろ!“あんなもの”と戦って無事で済むわけがない!」
「……あぁ、わかるで。ありゃあヤバいわ」
 メルノ・ネッケル(f09332)は双銃を抜き放ち、構えながら怯えを隠すように笑んだ。その身を蝕む恐怖や、おぞましき化生の放つ圧倒的なプレッシャー。精神を犯そうとする狂気をその肌で感じながら――それでも、笑った。
「なら、逃げろと……」
「でもな、博士。うち、まだ保湿クリームのお礼しとらへん」
「うむ。妾もじゃ!」
 神羅・アマミ(f00889)もまた、戦闘態勢を整えた。
「そうだな。確かにあいつと戦っちゃいけない。……敵は強大だ。文字通り次元が違う」
 そう言いながら、ウィーリィ・チゥシャン(f04298)は刃を抜く。
「それならどうして武器を構えるんだ!早く逃げ……」
「あんたには、カレーが好きな息子がいるんだろ?」
 ウィーリィは背中越しに語る。
「陣野さん。子供には、親が必要だとは思いませんか」
 カプラは進み、大いなる化身へと挑む。
「我々の身を案じてくださるのは嬉しく思います。しかし、それでご自分を蔑ろにしてしまうことは決していい行いではありません」
「……しかし」
「僕たちは、あなたを日本まで必ず無事で送り届けると約束したのです」
 草野・千秋(f01504)が陣野博士の手をとった。
「うむ。無事に生還させてみせるぞ!」
 アマミは更にユーベルコードを起動しながら背後を振り返り、撤退経路を確かめる。
「お行きなさい」
「はい、任せてください!」
 2人の猟兵が護衛につくかたちだ。不承不承ではあるものの、陣野博士は撤退を開始した。
「お子さんを見守る事は大事(だいじ)なことです。過去の神格は大事(おおごと)ですが……なに、育児に勝るモノではありませんよ」
「さすが団長さん、いつもながらええこと言うわ」
 じわりと額に浮かぶ汗を拭いながら、メルノは迫りつつある邪神の眷属――かつて古代ペリシテにおいて神格として祀られ、現代においては『ヒトガタ』『ニンゲン』の名のUMAとして知られるその異形を見据えた。
 感情の窺い知れぬ奇怪な相貌。しかしてこちらの精神を見通すかのようなおぞましき視線。そこに在るだけで、“それ”は尋常の生命の埒外にあるものであると声高に主張する。
 圧倒的なプレッシャーに負けないように、メルノは短く息を吐き出した。勇気を振り絞って、前を抜く。銃を構える。
「さて……皆様。準備はよろしいですか?」
 その隣に立つ黒川・闇慈(f00672)は、ハナから逃げる気など持ち合わせてはいない。既に全力の戦闘態勢を整えていた。
「それでは、邪神の皿の上で踊るとしましょうか。クックック」
「ああ!三枚におろして盛り付けてやるぜ!」
「あはは……大きくでたやんか!ええな、それ!」
「なるほど妖神グルメですか」
 猟兵たちはユーベルコードを起動する。その双眸に火を灯す。誰一人として、犠牲を選ぶ者はいなかった。……そして、決意と共に彼らは立ち向かう!
「……行くで、戦闘開始やっ!!」
 【クイックドロウ】が先陣を切る!メルノは戦いの嚆矢めいて引鉄を引く!熱線が迸り、邪神の肌を灼いた!
『陦ィ螻、』
 不快感、であろうか。
 甲高く響く奇怪な音と共に、邪神の瞳がメルノへと向けられた。
「せや、こっちを見ろ……!こっちに集中しろ!」
『【陦ィ螻、縺ョ蝪オ闃・蜈ア繧√】』
 激震。
 その咆哮とともに、空気が揺らぐ。揺れる空気が遺跡の中で激しく反響した。邪神の身体からサイキックエナジーの塊が放たれる。額。両の掌。邪神の身体が光った。
「ぐあ……!」
 メルノは躱しきれずに衝撃を受ける。跳ねた身体が骨片の転がる地面の上に叩きつけられた。同時に、不可視の触手に舐られるような感覚をおぼえる。邪悪の意志が彼女の精神に入り込もうとしているのだ。
「ッ……ま、けるか!」
 裂帛。メルノは立ち上がりながら声を響かせ、自身を鼓舞する。心までは持っては行かせない!もう一度立ち上がり、見上げた視線で射抜くように邪神を見る!
「……”本物”の神格を相手にするのは流石に堪えますね」
「クックック……ええ。凄まじい出力です」
「はい。単純な戦闘力であれば戦争の首魁に匹敵するやもしれませんね。経年による徳エネルギーの差が半端ではありません」
 ここに在る邪神は、永きに渡って祀られ続けてきた本物の神格だ。崇め奉れ積み重ねられた年月は、その存在に確かな徳を内包させている。しかして、そうでありながら邪神とは即ち業の塊でもある。天文学的な数値の総量をもつ徳と業を共に備えた邪神は、いかなカプラといえど太刀打ちするにはあまりにも厳しい仏学的エネルギーを纏っていた。
『【縺薙?譏溘?逕滓擂謌代i縺ョ繧ゅ?縺ァ縺ゅk縲】』
 そうしてその力の差を図ってか、次に邪神が狙ったのはカプラである。振り上げた腕を、――ゆっくりと、降ろす。叩きつけるように。叩き潰すように、カプラの頭上へとめがけて。
「……南無大宇宙輪廻流転 銀河阿弥陀仏大慈大悲……」
 カプラは静かに合掌し、静かにギャラクシー経文を唱える。邪神へと対抗すべく徳を高めているのだ。
「な――ーにが邪神じゃオラァ!!」
『縺ョ繧ゅ?』
 しかし、その腕へとめがけて凄まじい勢いで飛び込み激突する姿がある!……おお、見よ!それは鮫である!
「化物には化物を!災害には災害をぶつけんだよお!」
 アマミだ!【奈落】!それは彼女の戦闘形態のひとつであるレーザーシャーク騎乗態を、劣勢であればあるほどに強化する技能である。凄まじい咆哮とともに襲いかかる邪神の圧倒的なパワーは大きな逆境として、彼女の召喚した嵐纏うシャークトルネードに膨大な力を与えている。激突!その牙を振り払わんと邪神が吼える。際限なく巨大化していく鮫!鉄砲水を巻き上げる竜巻!さながら怪獣大決戦!
「よし、じゃーとんずらこかしてもらうぞ」
「おわっ」
 敵がレーザーシャークへと大立ち回りと繰り広げている内にアマミはヒートアーマーごと陣野博士を担ぎ上げる!
「あの、ちょっとそれは乱暴では」
「いーからお主も手伝え!博士の安全が最優先じゃろーが。ほい、録画機材とサンプルケース」
「米俵みたいに持つんじゃない!」
「まーまー博士!これも滅多にない体験と思って」
「ええと……とにかく、行きましょう!しんがりは僕が務めます」
 誤魔化すようにアマミはニヤァとわざとらしく営業スマイル。ちょっと釈然としないながらもその後ろを千秋が守りつつ続く。
「アマミ、そっちは任せたぜ!」
 そして、ここでウィーリィが跳んだ。【トリニティエンハンス】!手にした刃に炎を纏わせ、骨片ごと床面を蹴立てながら跳躍!
『縺薙?譏溘?』
 轟音!邪神の腕は攻防の末に鮫嵐を叩き伏せていた。次なる獲物を狙い、向かい来るウィーリィの姿へと視線を向ける!
「ククク……いけませんねえ。こちらにも気を回して下さらないと?」
 だが、そこへ突然の閃光!アストラルレーザー!【アストラル・ハイ】によって星幽体化した闇慈の襲撃である。死角からの奇襲、それも強力に増幅させた全力の一撃である。さしもの邪神もとうとう上体が揺らいだ!
『【窶晏卸荳匁峅縺上?∵オキ……』
「余所見してんじゃねえッ!!」
 視線を巡らせ闇慈へと反撃に展示用とした邪神の胸元に二条の裂傷が走るッ!ウィーリィの刃がここに届いたのだ!
『ア繧√』
 悲鳴。
 それは間違いなく、悲鳴である。穿たれた傷跡に、邪神は悲鳴をあげた!
「神というからには期待したというのに……その程度ですか?クク……さあ、こちらを見なさい。あなたの狂気と私の魔術、どちらが勝るか試してみようじゃないですか。クックック……」
 闇慈は再びその身にアストラルレーザーの光を灯す。
『【窶晏卸荳匁峅縺上?∵オキ髮カ窶】!』
 挑発に乗るように、邪神は咆哮する。応じて、虚空より波が来る。旧約聖書に残された洪水のように、かつて世界を押し流したかの如く巨大な水のうねりが遺跡の深部から溢れ出すように迫った!
「く……」
 それは決して単なる鉄砲水などではない。おぞましき邪悪の意志に染まったユーベルコードによる攻撃だ!闇慈は対抗し最大出力のアストラルレーザーを放射!押し迫る津波の層を貫いて、邪神を灼く!しかし凄まじい質量で迫り来る水塊を躱すことはできない。たちまち濯ぎ洗いの洗濯物めいて水流の中へ飲み込まれる!
「こいつを待ってたんだ、ッ!!」
 だが、そこで水中から飛び出したのはウィーリィである!トリニティエンハンスの力を反転させ、水へと干渉する力を得たウィーリィはその刃に冷気を纏った!咆哮と共にユーベルコードを最大出力で放射する!走る冷気が水を凍て付かせ、邪神の身体へと纏わった!
「邪神の眷属のシャーベット、一丁上がり!」
「……いや、まだや!」
『、縺ョ蝪オ闃』
 豪腕!振るわれた両腕がその身を戒める氷を砕く。邪神は更に腰から下を封じる氷塊を引き剥がそうともがいた!
「なんつー無茶苦茶な奴や……。『戦うな』なんて、博士が言っとったのも納得やな」
 ダメージから復帰したメルノが呼吸を整えながら視線をあげる。胸の内で数字を数えた。ひとつ、ふたつ……。
「ククク……短期決戦といきたかったところですが、なるほど、これはしぶとい」
 アストラル体を維持したまま、津波のダメージに持ち堪えた闇慈がもう一度光を灯す。
「けど……負けられねえよなあ!」
 ウィーリィは額の汗を拭って、震える指先でもう一度大包丁の柄を握った。
「では」
 そこへ、カプラが進み出る。
 重ねたギャラクシー読経により強力に徳を高めたカプラはまさに神仏めいて輝いていた。
「その祈り、私が叶えましょう」
 【大願成就】。
 聖護院・カプラという猟兵は、常に他者のために戦場に立つ。
 であるが故に、彼が最も力を発揮するのは……人の願いと祈りを叶えようとする、その時だ。
 臨界まで高められた徳エネルギーを全身に滾らせながら、カプラは飛んだ。
「……飛びましたね。ククク、面白い」
「ああなったときの団長さんは無敵やからな」
「なら、畳み掛けるぜ!ここで決着だ!」
 カプラに続いて猟兵たちが武具を構える!アストラルレーザーの閃光が迸った。大包丁が唸りをあげる。カウントナイン。集中を高めたメルノは邪神のサイキックエナジーの出所である額と掌を急所と看破し、閃光と弾丸を放った!
「悔い改めなさい」
 そして――激突!
 
 
「……やっぱり、僕は戻ります!」
「いーや!お主はここにおらんとだめじゃ。ここになんかあったとき、妾だけじゃー護りきれるかわからん」
 遺跡の外。ポーラ・ペンタ搭乗口の前にて。
 遺跡の中へ戻り加勢に向かうと主張する千秋の前にアマミは立ちはだかる。
「……本当に、馬鹿ばかりだ」
 陣野博士は、目を伏せて小さく息を吐き出した。
「博士」
「わかっている。……だが」
「いーや。必要なことじゃぜ。無論採取したデータは希少じゃろうが、それ以上に貴重な人材を使い捨てるようではUDCという組織もこの先生きのこることはできまい?」
「それを言うなら、君たち猟兵だって……」
「……待ってください。遺跡の方から、何か来ます!」
「!」
 千秋が接近するなにかに気づいた。敵か。味方か。走る緊張。千秋は戦闘態勢を取り、見えた姿を識別する。
「おおーい!」
 彼らの耳に届くその声は……ウィーリィの元気な呼びかけだ!
 果たして、それは猟兵たちであった!
「おお、戻ってきおったか!」
「皆さん、よくご無事で……」
「いやー……しかし、ひっどい目にあったわ」
「ククク……しかし、貴重な体験だったのでは?」
「なにごとも受け止め方ですよ」
 彼らは皆疲弊しきった様子であったが――その表情は、実に清々しいものであった。
「お前たち……あ、“あれ”は!?」
「はい。撃退しました」
 カプラが頷く。
「な?やるとおもっとったんじゃよ~」
 アマミはドヤ顔をした。
「こ、この……この……!」
 博士が拳を震わせる。そうして何秒か言葉を詰まらせた、後。
「う……う、っ。馬鹿な、やつらめ……!うぐ……」
 蹲って、とうとう泣き出してしまった。
「……あー。団長さん、泣かした」
 メルノはカプラをつつく。
「まあまあ!ともかくは大団円、ってことにしようぜ!」
「ククク……。結果は重畳の至り、というところでもありますしねぇ」
 ウィーリィと闇慈がポーラ・ペンタの車内へと入っていった。
「はい。今回の調査はたいへんにいい旅でした」
 カプラも頷いてそれに続く。
「おーし!そんじゃーこんな寒いとこからはとっとと引き上げるぞー!景気付けに一曲どうじゃ?」
 アマミは車内のオーディオ機材に手をつけると、再生用のデータを選び始めた。
「それなら僕が一曲歌いましょうか」
 千秋が貨物エリアに保管していた自分の荷物の中からギターを回収してやってきた。
「なら、ジャンルはロックでたのむ。ハードでゴキゲンなやつがいい」
 割りとすぐに泣き止んだ陣野博士が、それに注文をつけた。
 
 ――そうして。
 猟兵たちの南極調査のひとつが、ここに終わりを告げる。
 極地探索仕様氷上装甲車ポーラ・ペンタは氷雪の上に轍を残し、陣野博士と猟兵たちを帰路へつかせるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年09月30日


挿絵イラスト