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たのしいせっけんのくにと死の旋律

#アリスラビリンス


●不毛の大地と石鹸
 アリスラビリンス。そこは無数の不思議の国が繋がってできた複合世界。
 不思議の国はそれぞれ独特の雰囲気を持っているものだが、中には無味乾燥な場所もある。
 まだ、どのアリスも足を踏み入れていない、擬似生物たちの誰も入植していない、まっさらな世界。
 今回見つかった世界も、そんなまっさらな不思議の国のひとつであった。
 見渡す限り、草の1本も生えていない不毛の大地。
 そこへウサギ穴を通って初めてやってきた入植者は、虹色のシャボン玉を自在に操る石鹸の妖精。
 他には、すっかり表面が乾ききった土器(かわらけ)の姿をした、泥の妖精なんてのもいる。
 大きく透明な結晶でできた身体を持つのは塩の妖精。自在に天然塩や岩塩を操る事ができる。
 コッペパンの頭に食パンの胴、蒸しパンの手足を持ったパンの妖精という変わり種もいたりする。
 何の特色もないまっさらな世界を、どう色づけするかは猟兵たち次第だ。


「それでは、此度の依頼についてご説明いたしますわ」
 椀種・クルトン(憂き実・f00365)が皆の視線の高さでふわふわ飛んだまま説明を始める。
「皆様にはアリスラビリンスの不思議な国へお出向き願いまして、『1からの不思議な国作り』にあたっていただきます」
 今回、具体的な作業は妖精たちがする為、猟兵たちには、そんな妖精らが国作りという果てしない目標へ向かって頑張れるように、彼らのモチベーションを高めて欲しい。
「妖精さんが国作りのビジョンを描きやすくなるような、ドキドキする面白いお話を語って聞かせて差し上げてくださいませ」
 嬉々として例を挙げるクルトン。
「病床の当主の遺産を巡って家族が血で血を洗う白熱のバトルものや、遺産争いに翻弄されるメイドや愛人の子が異常な状況下でも挫けずに愛を貫く青春もの……あぁ、殺された当主を皮切りにどんどん被害者が増えていく謎が謎を呼ぶミステリーも素敵ですわねぇ♪」
 つまりは、妖精たちの国作りへのやる気を駆り立てるぐらい面白いものなら、内容は何でも構わないらしい。
 注意事項は未成年やドワーフの飲酒喫煙の禁止のみ。
「そうそう。お話を聞かせる為の小道具の持ち込みは自由ですけれど、国作りという性質上、素材の持ち込みは不可といたします。建材にしろ、食材や飲料水にしろ、入植者である妖精さん——愉快な仲間たちが生み出すもののみで賄ってくださいね」
 入植者の得意な生産が石鹸や塩といった人工物に偏っているものの、どんな国になるかは主導する猟兵たちのセンス次第な為、想像もつかない。
「どうぞ、まずは国作りをお楽しみくださいませ。オウガの出現まではまだ充分時間に余裕がございますので……」
 そこまで言って、はたと手を叩くクルトン。
「あぁ、申し伝えるのを忘れておりましたわ。今はまっさらな国ですが、運悪くオウガの侵入を許してしまいますの。皆様にはその討伐もお願いしたいのでございます」
 不思議な国の平和を脅かすのは、グランドピアノの姿をしたオウガ『人喰いピアノ』。
 人喰いピアノの使うユーベルコードをよく確かめた上で、しっかりとダメージを重ねて撃破して欲しい。
「それでは、皆様のご武運と不思議な国の発展をお祈りいたしております」
 クルトンはぺこりとお辞儀して、アリスラビリンスへ転送する猟兵たちを見送った。


雨都瑣枝
 ご覧くださりありがとうございます、雨都です。

●第1章について
 妖精たちへ面白いお話を聞かせてあげてください。
 実話でも捏造でも構いません。
 物語調でも最近あった面白エピソードでも形式も問いません。
 妖精たちが興味を持てるようなワクワクドキドキドロドロする楽しいお話をどうぞ。

●第2章
 第1章のお話をもとに、妖精たちとみんなでウォーゲームです。
 パンの妖精が生み出す様々な菓子パンを武器がわりに、美味しく楽しく戦って絆を深めます。
 パンを投げると見せかけて塩の塊や土器、石鹸をぶつけるフェイントも可。
 不思議の国へ活気や名物を生み出す為にも、みんなで楽しいウォーゲームをしましょう。

●第3章について
 人喰いピアノが1体出てきます。
 相手の使うユーベルコード をよくお確かめの上で対策を立てて撃破なさってください。

●第2章と第3章のプレイング受付開始について
 冒頭に事態の変転や敵さん登場シーンの文章を挟みます。
 それが載ったらプレイング受付開始となります。
(シナリオ進行のペース次第では、都合により受付開始を数日遅らせる可能性があります)

 皆様のプレイング、楽しみにお待ちいたしております。
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第1章 日常 『君だけのものがたり』

POW   :    手に汗握るバトルものを語ろう

SPD   :    爽やか青春物語をお披露目しよう

WIZ   :    謎が渦巻くミステリーをお届けしよう

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ノイシュ・ユコスティア
変わった妖精達だね。
よろしく、と握手。

話か…
僕は歴史物が好きなんだけど、史実を語るだけでは妖精達を引き込めないだろう。
感情を込めないとね。
うん、体験談を話そう。

「とある戦場で…」
(前略)
僕は弓矢を使っているんだけど、矢の攻撃が全く効かない敵と遭遇したんだ。
1人では逃げるしかないよね。
でも、そこで仲間が助けてくれたんだ。
仲間の魔法攻撃で、敵達を倒すことができた。

1人ではどうにもならないことも、協力し合うことでできるようになる。
仲間って大事…それをお互いにわかっていればね。

…あ、あれ?
いつの間にか教訓っぽくなってしまった。
つまらない話だったよね。

伝わったのなら何よりだけど…



●窮地の体験談
 不思議の国。
「よろしく」
 ノイシュ・ユコスティア(風の旅人・f12684)は、石鹸や土器、塩、パンの妖精1人1人へ丁寧に握手して回る傍ら、
(「変わった妖精達だね」)
 と、彼らの身体を構成する人工物に感嘆していた。
「よろしくね~」
 妖精たちは皆、楽しそうに手を叩いてノイシュの訪れを歓迎している。
(「話か……僕は歴史物が好きなんだけど、史実を語るだけでは妖精達を引き込めないだろうな。感情を込めないとね」)
 史実のエピソードで現代まで語り継がれている話はむしろ面白さが保証されている気もするが。
(「うん、体験談を話そう」)
 その控えめで穏やかな佇まいに違わず慎重な性格なのか、念には念を入れて考えるノイシュ。
「とある戦場で……」
 かつて、ぶんちょうさまを焼き鳥にしたら美味しそうだと言い放った彼の物語が始まる。
「僕は弓矢を使っているんだけど、矢の攻撃が全く効かない敵と遭遇したんだ。1人では逃げるしかないよね」
 今まで数多のオブリビオンと戦い、それを倒し退けてきた歴戦の猟兵ですら敵わない相手。
 もしかするとその敵とは、世界の存亡をかけた戦争で相対した強いオブリビオンかもしれない。
「でも、そこで仲間が助けてくれたんだ。仲間の魔法攻撃で、敵達を倒すことができた」
 逃げるしかないと聞いて、ピンチに陥ったのかと息を詰めた妖精たちが、続く言葉にホッと胸をなでおろす。
「1人ではどうにもならないことも、協力し合うことでできるようになる」
 恐らく、この時に限らず、ノイシュは仲間と共に手を取り合い立ち向かう事で多くの敵を倒してきたのだろう。
「仲間って大事……それをお互いにわかっていればね」
 しみじみと語る様からは、経験からくる含蓄が感じられた。
「……あ、あれ? いつの間にか教訓っぽくなってしまった。つまらない話だったよね」
 はっと我に返って照れるノイシュを、妖精たちの温かい拍手が包む。
「仲間と協力するのが大事なんだね!」
「敵を倒せてよかったね!」
「伝わったのなら何よりだけど……」
 妖精たちとの距離が少し縮まった気がして、照れ笑いするノイシュだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

リカルド・マスケラス
冒険モノでも話すっすかね。ダークセイヴァーっぽい世界観でのお話でも

旅人が道を歩いていると、野盗に襲われてしまうが、腕自慢の旅人は野盗をねじ伏せてしまう。
野盗の正体は美しい娘達で、近くの城の吸血鬼に遠くから連れさらわれたのだが、飽きられて捨てられたのだ。自分の村まで遠くて帰れず、吸血鬼の餌になる人間を探し、それを捧げることで再び庇護を得ようとしたのだった。
その吸血鬼に憤慨した旅人は吸血鬼の城に忍び、美しい娘に化けて吸血鬼を討つ。その後、旅人は娘達を村へ送る旅に出る。
そんな感じのお話で

「もしかしらここにもアリスが迷い込むかもしれないっす。旅人みたく、みんなでアリスをお家に帰してあげて欲しいっすね」



 続いて。
「冒険モノでも話すっすかね。ダークセイヴァーっぽい世界観でのお話でも」
 リカルド・マスケラス(ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160)は、宿主の頭をぽりぽり掻きつつ、言葉を纏めながら話し始めた。
「旅人が道を歩いていると、突然野盗に襲われてしまいました」
 しかし、腕自慢の旅人は野盗を返り討ちにしてねじ伏せます。
「すると、なんと野盗の正体は美しい娘たちでした」
「へえっ」
 妖精たちがわっと沸き立つ。
「娘たちは言います。『私たちはこの近くの城の吸血鬼に連れさらわれてしまったのですが、それもすぐに飽きられ、捨てられてしまいました。かといって、自分の村までは余りに遠くて帰れず」
「かわいそう……」
「仕方ないので吸血鬼の餌になる人間を探して、それを捧げることで再び庇護を得ようとしたのです』」
「たくましい!?」
 すっかり物語に引き込まれた妖精たちが、次々明らかになる事実へ一喜一憂してはツッコんでいる。
「その吸血鬼に憤慨した旅人は吸血鬼の城に忍び込み、美しい娘に化けて吸血鬼を見事討ち取りました」
 リカルドが語る展開へ合わせて、ぱちぱちと拍手も上がった。
「その後、旅人は娘たちを村へ送り届けるべく新たな旅に出ました。めでたしめでたし」
「娘さん、無事に帰れるんだね」
「よかったねー」
 楽しそうに感想を言い合う妖精たち。
「もしかしらここにもアリスが迷い込むかもしれないっす。旅人みたく、みんなでアリスをお家に帰してあげて欲しいっすね」
「「「はーい!」」」
 リカルドは妖精たちを優しく教え諭して、冒険活劇を締めくくった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『おかしなウォーゲーム』

POW   :    勇敢な兵士役として力闘する

SPD   :    有能な斥候役として奮闘する

WIZ   :    優秀な参謀役として敢闘する

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●新たな戦闘訓練
 猟兵たちが物語を披露したお陰で、妖精たちの国づくりのモチベーションはますます高まった。
「あのね、あのねっ」
 塩の妖精が楽しそうに提案する。
「きゅうけつきやオウガみたいな敵さんに負けないように、ボクらも強くなりたいの!」
 当然、強敵との死闘や冒険活劇の影響を受けたらしく、妖精たちは物語のような戦いごっこをしてみたくなったらしい。
「戦いの練習をしたいのー!」
 そう元気よく言ったパンの妖精は、丸い手から小さなちぎりパンやデニッシュ、テーブルロールを次々と生み出していく。
「せめて、勝てなくても追い返せるぐらいにはなりたいの」
 石鹸の妖精が、丸いバターロールを球がわりに振りかぶってみせた。
「ぼくもー!」
 塩の妖精は塩の結晶を散弾銃のようにバラバラと飛ばすつもりか懸命に砕いている。
「付き合ってくれる?」
 土器の妖精は、自分で生み出した薄いお茶碗を振りかぶる。
 ここは、木に何が実ってもおかしくない不思議の国。
 だから妖精たちとのウォーゲームも、普通の実弾では始まらない。
 多少質素ではあるけれど、美味しそうなふわふわのパンを構えて、さあ力の限りぶつけ合おう。
ノイシュ・ユコスティア
メリナ(f13268)と参加。

提案:
僕とメリナ、妖精と合わせて6人かな?
3人ずつに別れてウォーゲームをしないかい?
メリナと僕は別のチームで。

「よしっ、じゃあ楽しんでいこうか。」
戦いにおいて、どう攻撃すれば効率よく戦えるか、相手からの攻撃にはどう対応すればいいのかアドバイス。
必要に応じて指揮を取る。

「軽いパンをそのまま投げたら相手には届かないけど…」
パンを手で潰して小さく丸い形にする。
こうすれば遠くに飛ぶんだよ。
コントロールには自信があるよ。
あくまでゲームなのでムキにはならない。

あいたた…
メリナ、僕ばかり狙っていないか?
仕方ない、盾になるか。

「このパン、美味しそうだね。
1つもらっていいかな?」


メリナ・ローズベル
ノイシュ(f12684)と参加

「はじめまして、よろしくね」
妖精達に挨拶

食べ物を投げるのはどうなのよ…
この世界は何でもありなのかしら

ノイシュの提案通りに分かれてゲームする
妖精達には個々の特徴を活かした攻撃をおすすめするわ
どこを狙うのかって?まず手始めにあの人間のお兄さん(ノイシュ)を狙ってみるのはどうかしら

試しに色々投げてみるわ
あれ?うまく当たってくれない!
あなた達は上手ね

時には騙すことも必要よ
フェイントで塩を振り撒いて相手側の目眩ましをする
「今よ!一気に攻めるのよ!」

ゲームが終わったらシンフォニック・キュアでみんなを回復させる
ノイシュに「狙ってごめんね」と言えない不器用な私…



●おかしなウォーゲーム
 不思議の国へ新たな猟兵がやってきた。
「はじめまして、よろしくね」
 ノイシュの旅団員で戦友のメリナ・ローズベル(紅い花・f13268)である。
 絹のように癖ひとつない金髪や、そこへ咲いた紅い薔薇、純白の翼が美しいオラトリオの少女だ。
 その可愛らしい容姿は妖精よりも妖精らしい。
「よろしくねー!」
「よろしくー!」
 わっと彼女を取り囲む妖精たちの幻想的な姿とも親和性が高く、まるで一幅の絵のようだ。
「僕とメリナ、妖精と合わせて6人かな? じゃあ3人ずつに別れてウォーゲームをしないかい?」
 ノイシュはチームを2つに分けて、皆へ武器となるパンを配分した。
「メリナと僕は別のチームで」
「わかったわ」
 力強く頷きつつ、思わず苦笑いするメリナ。
「食べ物を投げるのはどうなのよ……この世界は何でもありなのかしら」
「何もない世界だからある意味清潔なのかもしれないね。雑菌もいないとか」
 ノイシュもつられて楽しそうに笑いながら、
「よしっ、じゃあ楽しんでいこうか」
 早速ミルクパンを両手で潰し始めた。
「パン、潰しちゃうのー?」
「そうだよ。軽いパンをそのまま投げても相手には届かないけど……」
 手で潰したパンを小さな球形に丸めてみせて、ノイシュは効率の良い戦い方を伝授する。
「こうすれば遠くに飛ぶんだよ」
 ぱこっ!
 固められたパンが空を切って、メリナの足に当たる。
「すごーい!」
 きゃっきゃとはしゃぐ石鹸の妖精とパンの妖精。
「くっ、みんな、反撃するわよ!」
 自分もパンを投げつける合間に、個々の特徴を活かした攻撃を薦めるメリナ。
「土器さんはお皿をフライングディスクみたいに投げたら、正面以外からの奇襲にも使えるわ!」
「うんっ!」
「塩さんはフェイントで塩を振り撒いて、相手側の目眩ましをお願い!」
「わかった!」
 パリーン!
 バラバラバラバラ……!
 乾いた皿と塩の塊がノイシュを襲う。
「あいたた……メリナ、僕ばかり狙っていないか?」
 両手で顔を庇いながら、ノイシュが抗議する。
 メリナはこっくりと頷いて、
「まず手始めにあの人間のお兄さんを狙ってみるのはどうかしら——ってみんなへアドバイスしたから」
 イイ笑顔で答えたものだ。
「今よ! 一気に攻めるのよ!」
「仕方ない、盾になるか」
 肩を竦めるノイシュだが、あくまでゲームと割り切っている故、ムキにならずに食パンをぺたぺたと薄く伸ばして構えた。
 パンを弾にしか使っていけないとは誰も言っていない為、盾がわりに用いるつもりなのだろう。
「あれ? うまく当たってくれない!」
 一方、メリナはメリナで重みのあるデニッシュパンを連投していたが、なかなか的——もといノイシュには当たらない。
「あなた達は上手ね」
「えへへ~」
「ありがと!」
 土器の妖精や塩の妖精が上手く弧を描いて投げているのを見て、真似をすれば、
 ぼんっ。
「やった!」
 何とかひとつ、デニッシュをノイシュの腕へぶつけることができた。
 その後。
 皆の腕が疲れてきたところで、色んなパン食べ放題の楽しい昼食会と相成った。
「このパン、美味しそうだね。1つもらっていいかな?」
「いいよー♪」
「いくらでも生み出せるから、好きなだけ食べてね!」
 ノイシュが旨そうに食パンに塩を振って食べる傍ら、
(「狙ってごめんね、と言いたいけど……」)
 不器用な自覚が十二分にあるメリナは、言葉が喉に引っかかって出てこないのを誤魔化すように、バターロールヘかぶりついた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リカルド・マスケラス
「とりあえず、腹ごしらえでもしとくっすかね? 何か作って欲しい料理とかあるっすかね?」
みたいな風に【戦場の料理人】でリクエストを受けた【料理】を作ってみる。特になければ、パンやパンを使った料理とかを中心に作る。美味しいパンや、色々な種類のパンを食べてもらえれば、もしかしたらパンの妖精の作れるパンの種類や性能が向上するかもしれない。クロワッサンならブーメランになるかもしれないし、ラスクだったら手裏剣になるかも
あとは塩の妖精もいるし塩釜焼きもいいかもっすね。作るのに卵白が必要なので今後も作るなら卵の生産も必要っすけど、攻撃のヒントにはなるっすかね?

食べたら適度に敵役になって稽古をつけるっすかね



 続いて、不思議の国へ料理人もとい炊き出し系ヒーローがやってきた。
「とりあえず、腹ごしらえでもしとくっすかね? 何か作って欲しい料理とかあるっすかね?」
 リカルド・マスケラス(ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160)である。
「料理……」
 顔を見合わせる妖精たち。
(「色々な種類の美味しいパンを振る舞えば、もしかしたらパンの妖精の作れるパンの種類や性能が向上するかもしれない」)
 クロワッサンならブーメランになるかもしれないし、ラスクだったら手裏剣になるかも——そんなリカルドの柔軟な発想に対して、妖精たちは、
「じゃあね、こんがり香ばしいトーストが食べたいの!」
「サンドイッチが食べたいのー!」
 リカルドが拍子抜けするぐらいに質素な好みであった。
「了解っす。んじゃトーストとサンドイッチ……それとデニッシュや食パンを一度パン粉に挽いて、クロワッサンやラスクに仕上げてみるっすかね」
 元々料理好きなのか、幾ら手順が増えようと気にせず腕まくりするリカルド。
「あとは塩の妖精もいるし塩釜焼きもいいかもっすね。作るのに卵白が必要なので今後も作るなら卵の生産も必要っすけど」
「らんぱくー?」
「えーと」
 すらすらと地面へ鶏の絵を描くリカルド。
「もし、こんな姿の妖精さんが来たら、こんなまあるい卵を生み出してもらうといいっすよ」
「へー!」
「うん、わかったー♪」
 そして、リカルドが腕によりをかけた、塩振りトースト、クリームクロワッサンにラスク、衣のみのカツサンドが完成。
「ありがとー!」
「香ばしくて美味しいね!」
 妖精たちが大喜びする中、
「それじゃ、食べ終わったら適度に敵役になって、稽古をつけるっすかね 」
 この後の運動を見越して精をつけねばと、自分もカツサンドを頬張るリカルドだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『人喰いピアノ』

POW   :    死の旋律
【見えない破壊音波】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    メメント・モリ
【自身が喰い殺したアリス】の霊を召喚する。これは【聞いた者の生命力を奪う童謡】や【生きているアリスに憑依し、操ること】で攻撃する能力を持つ。
WIZ   :    闇の幻想曲
【物悲しいピアノの曲を演奏すること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【臨死体験の白昼夢による精神攻撃】で攻撃する。
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●招かれざる客
「パンを硬く丸めたら遠くまで飛ぶ、覚えたよー」
「ボクもー!」
 おかしなウォーゲームで適度に運動をして。
「クロワッサンやラスク美味しかったねー♪」
「ねー!」
 美味しいパン食べ放題で腹も満たして。
 石鹸の妖精を始めとする愉快な仲間たちは気分一新、改めて不思議の国づくりへとりかかる。
 しかし。
「きゃーー!!」
 突然、絹を裂くような悲鳴が、無味乾燥な荒野に響き渡った。
 見ると、グランドピアノの形をしたオウガが、その巨大な歯で土器の妖精の身体をバリバリと噛み砕いていたのだ。
 大屋根の内側に生え揃った歯や前框にまではみ出した舌は、まさに人間のそれで非常に気味が悪く、突上棒のように赤い血を滴らせながら獲物を噛み砕く様は凄絶な光景である。
 このオウガ、名をそのまま『人喰いピアノ』という。
 愉快な仲間と不思議の国の平穏のため、猟兵たちは人喰いピアノへ戦いを挑む。
ミケ・ナーハ(サポート)
「私とイイコトしませんか♪」
「おしおきです♪」
「んんっ…汗かいちゃいました♪」

豊満な胸をはじめ、スタイル抜群で
ビキニや、くノ一装束など
露出度の高い格好です♪

『ミケ流誘惑術』『セクシーチャーム』の
【誘惑】が得意で、情報収集から戦闘まで色々します♪
自慢の胸を、むぎゅっと寄せて見せたり
むにゅっと押しつけて抱きついたり♪
嬉しそうに色っぽい声を漏らして甘えたり♪

武器は、サイクロンシューズを履いた美脚での蹴りと
【毒使い】として、マヒ毒を塗ったダガーと手裏剣です♪

【誘惑】の効かない敵は『マタタビ酔拳』
色っぽい声を漏らし、美脚で蹴り倒します♪
胸がぷるんと揺れ、こぼれそうです♪

敵の攻撃は【見切り】美しく回避を♪



●3本の脚を持つ敵
「私とイイコトしませんか♪」
 ミケ・ナーハ(にゃんにゃんシーフ・f08989)は、豊満な胸や尻を布地の小さなビキニへ無理やり押し込めた格好で、人喰いピアノへ誘惑を仕掛ける。
 あれだけ巨大な口と歯を持った相手である。
 果たして誘惑に応じてくれたところで何をされるのかという不安もあったが、とにかく土器の妖精を助ける為に奴の意識を逸らそうとした。
「いやぁん♪」
 何せ抱きつくにはあまりに大きな相手の為、自慢の巨乳を鍵盤の上て跳ねさせ、ポロロロロンと不規則ながら音を出す。
 ブァァァァァン!
 二つの胸に押された鍵盤が重低音を響かせた。
 もしもピアノに性感帯があるのなら鍵盤か足踏みペダルだろうと考えての策だが、そんな下心を抜きにしても、普通の楽器相手では絶対にしてはいけない『おっぱい演奏』は、見た目にもかなり楽しそうである。
 相手がオウガならではの暴挙といえよう。
 ——グワァッ!!
 常の10倍を誇るミケ流誘惑術に乗せられたのか、太い歯を剥き出しにして威嚇してくる人喰いピアノ。
 その時大屋根が開いたおかげで、土器の妖精は怪我こそしているものの奴の咀嚼を逃れ、殺されずに済んだ。
 同時に、人喰いピアノの口の中から飛び出してきたのは、奴が喰い殺したと思われるアリスの霊。
 アリスの霊はのっぺりとした無表情のまま、生命力を奪う童謡を歌い出す。
「はぁんっ♪」
 じわじわと体力を削られながらも、反撃に打って出るミケ。
「おしおきです♪」
 色っぽい声で言い放つや、サイクロンシューズを履いた美脚を振り抜き、鍵盤を下から蹴り上げた。
「んんっ……汗かいちゃいました♪」
 反動でぷるんと揺れた巨乳がビキニから零れそうになっているのはご愛嬌か。

成功 🔵​🔵​🔴​

リカルド・マスケラス
襲撃は分かってけど、ツメが甘かった
土器の妖精に猟兵並みの能力を与えれば怪我を治せるか?
「みんな、これからみんなに力を貸すんで、みんなも力を貸して欲しいっす」
【仮面憑きの舞闘会】で妖精達に自分の仮面の分体をかぶせ、戦闘力や技能を付与し、指揮する
土器
「怪我した所に土器を作って補填できるっすか?もうちょいの辛抱っすよ」
パン
「音は柔らかいものに遮られるっす。ふわふわパンで壁を作って支援っす」

「塩は清めの力があるっす。【破魔】の力で可愛そうなアリスの霊を清めてあげて欲しいっす」
石鹸
「石鹸に水の【属性攻撃】を混ぜて敵の口に投げるっす!泡でブクブクにして演奏を邪魔するっす!」
あとは訓練どおりに戦ってもらう



 一方。
「襲撃は分かってたけど、ツメが甘かった……」
 リカルド・マスケラスは、常日頃飄々としている彼には珍しく、沈鬱な面持ちで、土器の妖精の元へ駆け寄る。
(「土器の妖精に猟兵並みの能力を与えれば怪我を治せるか?」)
 そして、土器の妖精の周りへ集まって心配そうにしている他の妖精たちへ、努めて落ち着いた声音で語りかけた。
「みんな、これからみんなに力を貸すんで、みんなも力を貸して欲しいっす」
「う、うん!」
 力強く頷く彼らへ安心して、リカルドは仮面憑きの舞闘会を発動し、狐面の分体を召喚。
「怪我した所に土器を作って補填できるっすか? もうちょいの辛抱っすよ」
 まずは怪我をしている土器の妖精へ憑依させて、自らの身体能力を付与、自己回復に励ませる。
 次に狐面を取り憑かせるのはパンの妖精。
「音は柔らかいものに遮られるっす。ふわふわパンで壁を作って支援っす」
「はいっ!」
 ふわふわと柔らかく音を吸収しそうな厚切り食パンを何枚も並べさせて、人喰いピアノの演奏やアリス幽霊の歌へ備えさせた。
「塩は清めの力があるっす。破魔の力で可愛そうなアリスの霊を清めてあげて欲しいっす」
 塩の妖精も、狐面の憑依で得たリカルドの破魔の力を塩の結晶へ込めて、バラバラとアリスの霊へ向かって投げつけている。
「石鹸に水の属性攻撃を混ぜて、敵の口に投げるっす! 泡でブクブクにして演奏を邪魔するっす!」
「らじゃー!」
 石鹸の妖精は狐面の後押しもあってかやる気満々で、水を閉じ込めたシャボンを人喰いピアノの口目掛けて大噴射。
「ゴボッ、ゲボォッ!!?」
 人喰いピアノを激しく噎せさせる事に成功した。
 楽器にとって水をぶっかけられるなど、当然ながら致命傷である。故に人喰いピアノが受けた精神的ダメージもかなりのものと思われる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ノイシュ・ユコスティア
メリナ(f13268)と二人描写希望。

土器の妖精を見つけて
「ああ…助かったんだね。良かった。」
彼と、他の妖精達はメリナに任せる。
メリナ達のほうに敵を行かせないように布陣し、真の姿を覚醒。
背中に大きな鷹の翼が生える。

怒っているけど、冷静に対応。
相手が感情のない生き物なら心を乱すだけ損だ。

近づいたら喰われそう…
敵とは距離を取り戦う。

ユーベルコードを利用し、ロングボウで攻撃。
メリナが戻ってきたら礼を言い、上空へ。
重力を活かした射撃を行う。

まずはその目障りな舌を狙ってみよう。
敵が音楽を奏でてきたら、その音色を乱すように鍵盤に射撃。
ただの音なら心を揺さぶられない!

弱点をうまく突ければいい。


メリナ・ローズベル
ノイシュ(f12684)と参加

来るのが遅かったかしら…
でも、みんなが無事で良かったわ
土器の妖精にシンフォニック・キュア
妖精達に話をしてちょっと離れていてもらうわ
「大丈夫、私達でどうにかするから…ね?」

ノイシュと挟み撃ちよ
敵から離れたところに立つ
「ピアノなら燃やせるかしら
それとも電撃で破壊しましょうか」
属性攻撃、全力魔法で攻撃
炎、氷、雷のどれが一番効くか試したうえで、相手の弱点を探ってみる
わかったら、そこをノイシュと一緒に攻撃よ

霊が呼び出されたら、最優先で炎で攻撃する
「なんてかわいくないピアノなの?
もっと素敵なメロディーを聞かせてほしいわ」

体または心に傷を負った対象には回復を行う



●決着
「来るのが遅かったかしら……でも、みんなが無事で良かったわ」
 と、慌てて土器の妖精のところへ駆けつけるのは、メリナ・ローズベル。
 まずは澄んだ歌声を響かせて、土器の妖精の細かく砕かれた身体を治療した。
「大丈夫、私達でどうにかするから……ね?」
 そして、シャボン砲や塩ショットガン、食パンシールドで懸命に立ち向かっていた3妖精には、ちょっと離れた場所へ退がっているよう頼んだ。
「ああ……助かったんだね。良かった」
 ノイシュ・ユコスティアも、土器の妖精の傷跡がみるみるうちに金継ぎで繋がれていくのを見て、ホッと胸を撫で下ろした。
「それにしても、近づいたら喰われそう……」
 ノイシュは多少距離を取りながら、メリナと人喰いピアノを挟み討ちにできる位置で、真の姿へ覚醒。
 背中に大きな鷹の翼を生やした。
「相手が感情のない生き物なら心を乱すだけ損だ」
 怒りはあれど、あくまでも冷静にロングボウ【Lucht taistil gaoithe】を構えるノイシュ。
「まずはその目障りな舌から貫いてやる」
 風の精霊の加護を頼りに上空まで飛翔すると、重力に逆らわずほとんど真下へ向けて複数の矢を射かけた。
 ——ドスドスドスッ!
「ギャァアアアア!」
 大きな舌を何本も矢が貫いて、木の底板まで突き刺さるや、その激痛に耐えかねた人喰いピアノが絶叫する。
「ピアノなら燃やせるかしら。それとも電撃で破壊しましょうか」
 相手の弱点を探るべく、炎、氷、雷の魔法を全力で放つのはメリナ。
 ゴォオオオオォ……!!
 大きなグランドピアノが炎に包まれて燃え盛りながらひとりでに音楽を奏でるのは、物悲しくも空恐ろしい、妙な趣があった。
「ありがとうメリナ……ただの音なら心を揺さぶられない!」
 それでもメリナへ白昼夢を見せるわけにはいかないと、ノイシュは闇の幻想曲を乱すように鍵盤目掛けて射撃。
「なんてかわいくないピアノなの? もっと素敵なメロディーを聞かせてほしいわ」
 メリナもアリスの霊へ炎を放って燃やす傍ら、人喰いピアノの奏でる不協和音へ眉をしかめてみせた。
 ——パァン!!
 鍵盤と鍵盤の隙間を貫いた矢が致命傷となって、ついに人喰いピアノの動きが止まる。
「このまま火葬してしまいましょうか」
「そうだね」
 メリナはそう提案して、ようやく物言わぬグランドピアノに戻った遺体へ、炎を放ち続けた。
 かくて、ようやく不思議の国に平和が訪れた。
 妖精たちは様々なパンと塩窯焼きを主な糧に開拓を続け、石鹸と土器でできた質素な建物を増やして、国をますます発展させていく事だろう。
 クロワッサンのブーメランなどが飛び交うウォーゲームを娯楽として、きっと温かな笑いの絶えない国となるに違いない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年09月22日


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#アリスラビリンス


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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠守田・緋姫子です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト