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狂い奏でよ、紫電と狂笑の舞踏曲を

#ダークセイヴァー #同族殺し


●グリモアベースにて
「同族殺し、か……これはチャンスだな」
 傍らに丸盾のグリモアを浮かべつつ、右手を顎に当てて思慮にふけるグリモア猟兵館野・敬輔の姿を見た猟兵らが、ごく自然に集まってくる。
「ああ、皆ありがとう。ダークセイヴァーの片隅で『同族殺し』と呼ばれるオブリビオンに狙われるオブリビオン領主の存在を把握した。皆にはこの戦いに介入し、オブリビオン領主を討ち取ってもらいたい。頼めるだろうか」
 顎から手を離し皆に一礼する敬輔の姿に、猟兵らはそれぞれの想いを胸に頷いた。

「場所はダークセイヴァーの片隅にある小さな洋館だ」
 洋館の前に転送するが、中への突入は考えなくていい、と告げる敬輔。
「転送された後、同族殺しが館の入り口を守る配下を襲撃している状況に出くわすはずだ。まずは同族殺しに便乗して配下を殲滅させてくれ」
 領主を厳重に守るのはダンピールの少女達だが、既にオブリビオンと化し、領主に絶対服従を誓っている。彼女らは領主を必死に守ろうとするだろう。配下を全て殲滅させたら、領主は外に出てくるはずだ。
「領主は、殺戮の快楽に憑りつかれた黒髪の女吸血鬼だ。今までは時折領民を捕らえ、殺してきたが、どうやらそれだけでは満足できなくなってきたらしい」
 さほど遠くないうちに猟兵が狙われるか、それとも同族に刃を向けるようになったか……いずれにせよグリモアの予知にかかったことは疑いない。
「どちらも本来なら今の僕らの実力で討伐するのは難しい。だからこそ……同族殺しを最大限利用するつもりでかかってくれ」
 あえて感情を排した声で告げる敬輔に、猟兵らは再度頷いた。

「領主を襲撃する同族殺しだが、赤い刀と深緑の槍を携えたヴァンパイアのようだな」
 黒い僧服のような衣装を纏い、腰まで伸びる銀髪を頭上で結わえているそのオブリビオンは、狂っていなくても常軌を逸した戦闘狂らしい。
「配下や領主を相手にしつつ、同族殺しもまとめて葬ろうと考える者もいるだろうが、それは控えてほしい。繰り返すが配下も領主も今の僕らの実力では討伐は難しい相手だ」
 同族殺しの力を借りてようやく討伐が叶う相手だということは忘れるな。敬輔は念押しするかのように強く警告した。
「ただ、同族殺しも戦闘狂だからな……領主を葬った後、その刃は皆に向く可能性が高い」
 だからこそ、最後には同族殺しも討伐対象となる。狂った原因を探った上で説得による連戦回避をする道もなくはないが、それこそ透明な細い糸を探して手繰り寄せるような話になるだろう。
「同族殺しも討ち取るのが最善手だろうが……撃破か説得かの判断は皆に任せるな」
 ちなみに説得する場合でも狂った理由以外は詮索するな、と敬輔は付け加えた。

「正直、かなり危険な状況だ。だが同時に千載一遇のチャンスでもある」
 ――どうか皆、無事で帰ってきてほしい。
 敬輔は目を閉じ祈りを込めて丸盾のグリモアを展開し、転送ゲートを形成して猟兵らを送り出した。


北瀬沙希
 北瀬沙希(きたせ・さき)と申します。
 よろしくお願い致します。

 ダークセイヴァーの片隅で、「同族殺し」と呼ばれるオブリビオンが別のオブリビオン領主を襲撃するようです。
 猟兵の皆様には、この好機に乗じてオブリビオン領主を討ち取って頂きます。

 ……最終的には、同族殺しも討ち取って頂きますが。

●本シナリオの構造
 集団戦→ボス戦→ボス戦です。

 1章と2章では「同族殺し」が参戦します。外観は立ち絵参照。
 猟兵側から手出しをしない限り、配下・領主を優先して攻撃します。

 3章は「同族殺し」との対決になります。
 撃破が前提となっておりますが、思うところがあれば説得を試みても構いません。
 ただし説得の成功率は極めて低い上、説得が通った場合の結末は「同族殺しの消滅」であることは先に明言しておきます。
 また、OPに記した通り、「狂った理由以外の詮索」はNGです。

●プレイング受付開始日時について
 各章の冒頭に導入文を追加した後、受付開始日時を北瀬のマスターページ及びTwitterで告知致します。それ以前に送られたプレイングは全て流しますのでご注意ください。
 また、「サポート」「おまかせ」で送られたプレイングに関しては採用基準を設けております。お手数ですがマスターページで基準をご確認頂けると幸いです。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『混血の落とし子』

POW   :    落とし子の牙
【自らの血液で作られた矢】が命中した対象に対し、高威力高命中の【牙による噛み付き攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    血の盟約
【主人である吸血鬼に自らの血を捧げる】事で【黒き祝福を受けた決戦モード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    落とし子への祝福
【邪悪な黒き光】が命中した対象を高速治療するが、自身は疲労する。更に疲労すれば、複数同時の高速治療も可能。
👑11
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●館を守りし落とし子
 転送された猟兵がまず目にしたものは、グリモア猟兵の言通りの光景。
 すなわち、既に『同族殺し』が館を襲撃している状況だった。

「忌み嫌われし同族殺しが、何の用だ!!」
 館の扉を守護するように立ちはだかる6人のダンピール……混血の落とし子たちが、己の血液で生み出せし矢を襲撃者に射かけ、黒き光で治癒を図る。
「用があるのは我を貶めたあの女だけだ! 汝らに用はない!」
 一方、銀髪のヴァンパイアが、目前の落とし子に赤き刀を縦横無尽に繰り出し、左手から迫る落とし子に深緑の槍を突き出している。おそらく彼女が『同族殺し』だろう。
「我の邪魔をする者は、全て斬る! 斬って斬って斬り尽くす!!」
『同族殺し』は赤き瞳に狂気を宿し、目の前の落とし子を十字に斬って捨てようとするが、落とし子もそれだけでは倒れない。
「ご主人様に仇なす者は、決して通さない……!」
 主人への忠誠を胸に、落とし子達も忌み嫌われし存在を排除すべく果敢に挑む。

 いずれにせよ、『同族殺し』が暴れている今が、落とし子を排除する絶好の機会。
 猟兵らは目配せし、配下の落とし子らに得物を向けた。
黒羽・烈火
化け物同士が勝手に争ってくれる・・・いいね、こういうのは大好きだ。願わくば、弾丸の消費だけでこの場を切り抜けたいが・・・。

そう静かに独り言ちながら隠れる場所を探す。アサルトウェポンの狙撃銃を取り出し、効果がありそうならサプレッサーもつける。
狙撃は慎重に、何回か撃ったら移動し、どちらにも自分の位置をなるべくつかませない。狙撃は、都会の鼠のように脅えながらやるくらいが丁度いい。

目標は落とし子、ここで同族殺し様に死なれちゃ元も子もない。なるべく奴さんが楽に勝てるように支援してあげなくちゃぁね・・・。



●狙撃で『同族殺し』を支援セヨ
 黒羽・烈火(重装甲擲弾猟兵兼黒死病大隊大隊長(社員一名)・f21983)は、転送されるなり狙撃に適した潜伏場所を探し始めた。
(「化け物同士が勝手に争ってくれる……いいね、こういうのは大好きだ」)
 願わくば弾丸の消費だけでこの場を切り抜けたい。烈火はそう静かに独り言ちながら数か所ほど潜伏場所の目星をつけ、そのうちのひとつ、戦場から100m程離れた茂みに身を隠す。本当はもっと距離を取りたかったが、館の入り口を見通せて距離も取れる場所が思いのほか見当たらなかったのだ。
 烈火は狙撃銃を取り出して素早く組み立て、銃口にサプレッサーも取り付ける。この距離だと抑音効果があるかどうかは未知数だが、無いよりはマシだろう。
(「ここで『同族殺し』様に死なれちゃ元も子もない。なるべく奴さんが楽に勝てるように支援してあげなくちゃぁね……」)
 深呼吸を繰り返し狙撃銃を構え、『同族殺し』が斬りつけていない落とし子を狙い、引き金を引く。弾丸は狙い違わず落とし子の左肩を撃ち抜き、怯ませた。
「我の邪魔をするな! さっさと退け!!」
 突然落とし子が姿勢を崩したことに気づいた『同族殺し』が、間髪入れずに槍を突き出し、その胸を貫く。
「この、災厄が……!!」
 胸を貫かれた落とし子は、呪詛の台詞を投げかけ消滅した。

 その後、烈火は落とし子にも『同族殺し』にも居場所を掴ませないよう、数発撃つごとに移動、新たな狙撃ポイントに潜伏し、再び引き金を引く。
(「狙撃は、都会の鼠のように怯えながらやるくらいがちょうどいい……ってね」)
 だが、落とし子のひとりが烈火の居場所を突き止めたか、自らの血で生成した矢を放った時には流石に烈火も肝を冷やした。左腕を掠めた程度で済み、追撃を受けなかったのは幸運だっただろう。

 狙撃を続けつつ、ふと烈火の脳裏に不安が過る。

 ――領主が現れても、ユーベルコードを使わずに狙撃だけで対峙できるのだろうか?

 今は縦横無尽に刀を振り回している『同族殺し』に落とし子の攻撃が集中しているため、その援護に徹すれば良い。
 だが、領主は落とし子より強力な存在。『同族殺し』と対峙しながらも烈火の存在に気づく可能性はゼロではない。落とし子ですら潜伏していた烈火に気づき、血の矢を放ってきたくらいだ。彼女らが絶対服従する領主が狙撃手の存在に気づかないとは考えづらいだろう。

(「今後、弾丸だけに頼るのは厳しいかもしれないね……さてどうするか」)
 領主を引き摺りだした時の事を頭の片隅で思案しつつ、烈火は落とし子らの戦意を削ぐように狙撃を続けた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ガルディエ・ワールレイド
(遠くに見える同族殺しを確認して)
俺もヴァンパイアの血は引いてるし、何より彼奴等への怨みが有る。
もしかしたら、俺もあんな風になっていた可能性が有ったんだろうか。

……考えても仕方ねぇか。今は眼前の敵を倒すのみだ。


◆戦闘
武装は《怪力/2回攻撃》を活かす魔槍斧ジレイザと魔剣レギアの二刀流
近接攻撃と、《属性攻撃》を上乗せして強化した【竜神の裁き】を織り交ぜて戦闘
《武器受け》を軸に立ち回り
間合いに複数の敵がいれば《なぎ払い》

【落とし子の牙】対策
矢の起動を《見切る》事と、《念動力》で反らす事を組み合わせて回避
万が一喰らってしまった場合は、仕方ねぇから、近づいてくる相手に相打ち上等で《捨て身の一撃》だ



●同族殺しは「己の過去の可能性」か
 遠くに見える『同族殺し』を目にし、ガルディエ・ワールレイド(黒竜の騎士・f11085)は想いを馳せていた。
(「俺もヴァンパイアの血は引いているし、何より彼奴等への恨みがある」)
 この場で彼奴等を討ち取るのに何ら躊躇いを持っていないガルディエだが、一方で『同族殺し』の憤怒を目にした彼の脳裏に、ある「ひとつの可能性」が過る。
(「もしかしたら……の話だが」)

 ――俺もあんな風になっていた可能性が有ったんだろうか。

 ガルディエは極寒の辺境にて半魔半人として生を受け、それでも故郷の民に大切に育てられた身。しかしその故郷を滅ぼしたのは己のルーツの一部たるヴァンパイア。彼奴らへの怨みは猟兵となった今でも決して消えぬ。
 一方、ガルディエの目の前で暴れる『同族殺し』は、明確に何らかの怨みを以てこの館の領主を狙っている。その想いの根底にあるのは、おそらく未だ怨み消えぬ己と同じなのではないだろうか。

 ――もし、俺も理性を捨て憤怒の炎に身を焦がすことを選んだら。
 ――騎士の心を捨て、身の危険すら顧みぬ復讐者になるのだろうか?

(「……考えても仕方ねぇか」)
 過る可能性を消し去る為に大きく息をついて首を横に振り、ガルディエは魔槍斧ジレイザと魔剣レギアを手に戦場へ赴く。
 ――今は眼前の敵を倒すのみ。

「汝らでは我を止めることは叶わぬ!」
 等しく身体の随所に銃弾らしきものを喰らっている落とし子達に、『同族殺し』は狂気を撒きながらも右手の赤き刀を無造作に突き、肩を激しく抉る。
 その濃き狂気に紛れ落とし子に接近したガルディエは、右手の魔槍斧ジレイザを無造作に、だが確と力と殺意を籠めて真横に一閃。己に秘められた異端の神の力である赤い雷で全ての落とし子を打ち据えつつ、薙ぎ払った。
「っ!? 猟兵か……!!」
「通らせてもらうぜ」
 ガルディエはさらに左手の魔剣レギアを手近な落とし子に大上段から叩き付けるが、怪力を以て叩き付けたその一撃は魔剣に叩きつけられた血の矢で威力を軽減され、落とし子にたたらを踏ませるに留まる。しかし目前に迫った『同族殺し』に対しては致命的な隙となった。
「我の刃に沈むがいい!!」
 赤き刃を避けることができなかった落とし子は十字に斬り伏せられ絶命、消滅した。

 別の落とし子が至近距離から撃ち出した血の矢を、ギリギリ見切り念動力で捻じ曲げてその軌道を逸らしつつ、ガルディエは思う。
(「確かに配下も強い……俺たちだけでは押し通ることもできないだろう」)
 現状、ガルディエら猟兵の介入でやや『同族殺し』優位に進んでいるが、『同族殺し』は狂い怒るあまりに猟兵の事を気にも留めていない。だが迂闊に手を出せばその刃は直ぐに猟兵に向くだろう。

『同族殺し』を利用するか、それとも意識的に共闘するか。
 ――その選択の果ては、後に続く猟兵の手にかかっている。

成功 🔵​🔵​🔴​

鈴木・志乃
嫌な予感がする
同族殺しで得する相手なんてそんなにいるのか?
この世界で何が起きてる……!

UC発動
祈り、破魔の全力魔法を光の鎖に籠めて念動力で操り全員なぎ払うぞ
もしくは一人縛り上げてぶんぶん振り回す
衝撃波で色々とぶかもだけど慈悲はない
祈りでその光を少しでも打ち破れりゃいいんだけどねっ

オーラ防御展開
近寄られたらマイクで爆音歌唱して吹っ飛ばすわ
第六感で動きを見切り鎖で早業武器受けからのカウンター決めるよ
太もも、足狙ってスッ転ばせられれば上々!

……邪神召喚の為の捧げ物、でなければ良いんだけど!!
本当、何一つ安心できない状況ですねぇ!!



●それは世界に起こりし異変か
 鈴木・志乃(ブラック・f12101)は、脳裏から嫌な予感がどうしても拭えずにいる。
(「同族殺しで得する相手なんてそんなにいるのか?」)
 突き止めるには情報が足りないが、限りある土地や人民を巡ってオブリビオン同士で争いが起こるのは珍しいことではないだろう。人類を玩具や道具として見下すことの多いヴァンパイアなら尚更ではないだろうか?
 どのような論理や理由が存在しようと、眼前でオブリビオン同士の諍いが起きており、グリモア猟兵からそれに乗じて双方の排除を依頼されているのは、事実。
(「この世界で何が起きている……!?」)
 嫌な予感が拭えぬまま、志乃は己の身体を邪な感情を強制浄化する神霊体に変えつつ、館の入口へと駆け出した。

 志乃は館に辿り着くなり、祈りと魔を打ち砕く力を込めた光の鎖で手近な落とし子を縛り上げる。光の鎖でまとめて薙ぎ払うのは『同族殺し』が接敵している状況故控えた。巻き込んだら敵視されかねない。
「色々飛ぶかもしれないけど、慈悲はないからね!」
 念動力も併用して志乃は光の鎖を振り回し、残りの落とし子だけを狙い、縛り上げられていた落とし子をぶつける。結果、落とし子は2人とも転倒した。
「なんて乱暴……!!」
「ハハハッ、隙だらけだ!!」
 光の鎖を目にした『同族殺し』がちらりと志乃を見るが、すぐさま興味を失ったように落とし子に視線を戻し、倒れた落とし子に深緑の槍を突き出す。
「回復を……!」
「させない!」
 落とし子のひとりが傷を癒すべく邪悪な黒き光を生み出すが、志乃の祈りを込めた光の鎖がそれを払い、霧散させる。その間に別の落とし子が志乃に接近するが、魔改造したマイクを通して大音量の歌声をぶつけ、吹き飛ばした。
「ハハハ、退け退け退け!!」
 志乃が光を払ったため傷を癒されなかった落とし子が、『同族殺し』の槍に滅多刺しにされ、消滅した。

 残った3人の落とし子に光の鎖を叩きつけ破魔の力で打ち据えながら、志乃は叫ぶ。
「どちらかが邪神召喚の為の捧げ物、でなければ良いんだけど!」
「ご主人様が信じるのは力だけよ!」
 主人に魅了され盲従する落とし子からあがるは、否定の叫び。
「奪われし我が信ずるモノは、我が力のみ!!」
 落とし子を斬り伏せながら叫ぶ『同族殺し』。それは戦に狂いし果ての結論か、それとも……?
 いずれにせよ、この戦いの敗者が邪神召喚の贄にされるようなことはなさそうだ。内心胸をなで下ろす志乃だが、それで嫌な予感が拭い切れるわけではない。
「本当、何一つ安心できない状況ですねぇ!!」
 落とし子らの足を狙って光の鎖を叩きつけ転倒させつつ、志乃は不安を叫ぶように吐き出した。

 ――未だ領主残りし状況では、安心はできないのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ラウラ・クラリモンド
「さて、この『同族殺し』方の実力はどれほどなのでしょうか。」『同族殺し』の戦闘を観察しつつ、『混血の落とし子』達に攻撃を仕掛けます。
【WIZ】で攻撃します。
【フェイント】や【カウンター】を織り交ぜながら、【属性攻撃】の【全力魔法】の【鎧無視攻撃】の【死女の恋】で『混血の落とし子』達を纏めて【範囲攻撃】で【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】で、ダメージの軽減を試みます。(『同族殺し』を範囲攻撃に巻き込まないように注意します。)
「可哀想ですが、オブリビオン化した方は骸の海へ帰ってもらいますね。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。



●『同族殺し』の実力は如何なるものか
 ラウラ・クラリモンド(ダンピールのマジックナイト・f06253)が転送された時には、館の入り口を守りし落とし子の数は3人にまで減っていた。このまま双方が協力……いや、お互い「利用」し続けていれば、落とし子を全滅させることは十分可能だろう。
 しかし、ラウラの興味は落とし子にではなく『同族殺し』のほうにある。赤き瞳に狂気を湛え、ただ同族を狩るためだけに赤き刀と深緑の槍を振るい続ける彼女に、ラウラは如何なる想いを抱いているのだろうか?

(「さて、この『同族殺し』方の実力はどれほどなのでしょうか」)
『同族殺し』の動きを観察しつつその実力を見極めながら、ラウラは火刀デイジーと氷剣ヴァイオレットを大量の薔薇の花びらに変換、落とし子へと放つ。火と氷、相反する両属性を帯びた薔薇の花びらは、ラウラの意に従い『同族殺し』を避け、3体の落とし子のみに殺到した。
「こ、れは……うああっ」
「ああ……っ、熱い!」
「熱いのに冷たい……どうしてっ!」
 猛攻を続ける『同族殺し』に気を取られていた落とし子に、死角から浴びせられる大量の薔薇の花びら。それは冷気と熱気の寒暖差で落とし子らの身体に強烈な負担を与えつつ幻の快楽を流し込んで動きを止めた。
「幻の快楽を得て、紅き闇に落ちなさい」
「こ、の……!」
 それでも落とし子の1体が気力を振り絞り、ラウラに自らの血で生成した矢を撃ち出すが、ラウラは残像を囮にどうにか回避する。隙を狙うように『同族殺し』が槍を突き出すも、立て続けに放たれた血の矢で手元が狂わされたか、致命的な一撃にはならなかった。

 目の前の落とし子らは、一見するとラウラと同じダンピール。しかし既にその精神は魅了されて徹底的に歪められ、領主オブリビオンへの絶対的な服従を刷り込まれている。既にオブリビオンへと変わり果てた以上、助ける術はない。
「可愛そうですが、オブリビオン化した方は骸の海へ還ってもらいますね」
 ラウラが再度放った薔薇の花びらの吹雪が、黒き光で自らを癒そうとしていた落とし子の1体に集中して張り付き、黒き光による癒しをほぼ無意味なものとする勢いで幻の快楽を断続的に流し込む。
「……!!」
 幻に抗えず、傷も癒せず、雷に打たれショックを受けたかのように棒立ちになる落とし子に、『同族殺し』の刃が迫る。
「我のためにそのまま闇に堕ちろ……!!」
「ああ……っ!!」
 落とし子は棒立ちになったまま、『同族殺し』の赤き刀に残虐に斬り裂かれ、消滅した。

 やはり、『同族殺し』は単独でも強い。現状、猟兵の介入でかなり消耗は抑えられている状態だが、消耗を無視すれば猟兵が介入せずとも単独で落とし子を全て蹴散らしていた可能性は高いだろう。
 だが、『同族殺し』が『同族殺し』の道へと歩み出した理由は、未だつかめていない。

 残る落とし子は、あと2体。
『同族殺し』の消耗をかなり抑えた状態で、館前の攻防は最終局面へと移る。

成功 🔵​🔵​🔴​

秋穂・紗織
色んな意味で、とても酷い騒ぎ
元より殺戮に酔った領主と、戦いに狂った同族殺し
この機を逃す理由などないのでしょう
少しでも、ヒトが笑う為に
罪咎に悪逆、消す為に


館の入り口にいるダンピールには、少しでも孤立している対象を狙っていきましょう
高威力、高速化、治癒と連携されては厄介な技を持つのですから

側面から一気にダッシュで近づき、そのまま斬撃とフェイント
早業で逆手に持ち替えての間合いを変化させ、爆発的な速度と反射を騙し手で幻惑しましょう

動きが乱れれば、見切りで隙を捉え、2回攻撃+先制攻撃で持ち手や構えを変えつつの九連の斬撃を二度
刃と舞うように、斬閃を織り重ねるように

忌むべき罪の血と魂を斬り祓い、散らすように


シン・コーエン
『同族殺し』か、どのような理屈で発生するのだろう?
気になるので、彼女を少し離れて援護するような形で戦いつつ、話しかけてみる。

UC:渦旋光輪で260個の光輪を作成、一度に狙うのは3人以下にして、敵配下1人当たり90個弱の光輪を撃ち込み、回復できない様、確実に斃していく。「すまんな。だが手は抜かない。」
『同族殺し』を巻き込みそうな時は、攻撃目標を別の相手に変える。

敵配下の攻撃は【第六感・見切り】で読んで回避し、避けられない攻撃は【武器受け・オーラ防御】で身体への直撃を防ぐ。

『同族殺し』には「大事なものを領主に奪われたのか?なら憎むのは判るような気がする。」と肯定するような言い方で相手の反応を見る。



●禁忌を犯すことは、罪か咎か
「色んな意味で、とても酷い騒ぎ」
 遠くから『同族殺し』の暴れ振りを眺めつつ、秋穂・紗織(木花吐息・f18825)はふんわりと笑う。
 この戦いは、元より殺戮に酔った領主と戦いに狂った『同族殺し』との争い。猟兵の立場から見れば、双方がオブリビオンである以上、お互い潰し合えばそれで良し、何れかが生き残れば狩ると言うだけの話だ。そもそも、猟兵を誘い出し狩る為に罪なき民を利用するオブリビオンもいるのだから、猟兵がオブリビオンを狩る為にオブリビオン同士の対立を利用しても、文句こそ言われど控える理由はない。
 一方、状況を最大限利用し漁夫の利を得ようとする動きに嫌悪感を示す者もいることだろう。正々堂々とした戦ではない、卑怯者のやることだ……と。

 ――だからこそ、紗織はこの戦いを「色んな意味で酷い騒ぎ」と称したのだろうか。

 しかし、2体の強力なオブリビオンを討ち取る、絶好の機会であることを疑う余地はない。
(「……この機を逃す理由など、ないのでしょう」)
 紗織は双方の存在を消し去るために、二刀を手に扉の前で孤立しそうな落とし子の側面へと回り込み、機会を伺う。

 ――少しでも、ヒトが笑う為に。
 ――罪咎に悪逆、消す為に。

 一方、シン・コーエン(灼閃の・f13886)はある疑問を抱いてこの地に立っていた。
(「『同族殺し』か……どのような理屈で発生するのだろう?」)
 ダークセイヴァーの各地に現れている、オブリビオンを狩るオブリビオン『同族殺し』の存在。同族からも忌み嫌われる存在にあえて身を堕とすその理屈と理由は、各地で共闘・撃破した猟兵達の報告から判明しているだけでも様々だ。

 ――ある領主はヒトを愛したが故に放逐され、狂った。
 ――ある領主はお膳立ての上で貶められ大切なモノを奪われ、復讐者と化した。

 狂った理由が定かではない『同族殺し』の存在も、他のグリモア猟兵によって何件か把握されている。ならば、目の前の『同族殺し』は、如何なる理由を以て狂い、『同族殺し』へと変貌したのか?
(「気になるな……後で少し話しかけてみよう」)
 シンはちらりと『同族殺し』に視線を向けながら、風と光の複合属性を兼ね備える光の輪を作成した。

 シンが作成した260個の光輪のうち、130個は『同族殺し』を巻き込まぬ様落とし子に撃ち込むタイミングと間合いを調整し、その上で回復の隙を与えぬように断続的に撃ち込む。
「あああああっ……ご主人様、力を!!」
 断続的な攻撃に回復を諦め、血を捧げて決戦モードへと変化した落とし子が、『同族殺し』を無視し爆発的なスピードでシンに迫る。
「すまんな。だが手は抜かない」
 シンは光輪を呼び戻しつつ落とし子の動きを見切り、時には纏うオーラで防ぎ、再度呼び戻した光輪を一斉に撃ち込む。
「ああっ、前が……!」
 光輪に目を眩まされ風で動きを止められた落とし子の背後から、深緑の槍を水平に構えた『同族殺し』が迫る。
「汝の主人も我が狩ってやろう!! 散れ!!」
『同族殺し』の槍は、落とし子の背中から胸を貫き、確実にその存在を葬り去った。

 一方、シンが作成した残りの光輪は、扉を死守する落とし子へ一斉に叩きつけるように撃ち込まれる。
「あああっ!?」
 光の暴風雨の如く落とし子に叩きつけられる光輪を囮にするかのように紗織が一気に駆け抜け、落とし子の側面から距離を詰めて脇腹目がけて右手の天峰白雪を一閃。
「……っ!?」
 不意の一撃に狼狽える落とし子に、紗織はさらに左手の鍔なき月韻咎刃を幻惑するかの如く閃かせ、脇腹の傷をさらに深く抉る。
「ご主人様、私に力を……慈悲を!」
 落とし子が主に血を捧げ決戦モードへと変化し、爆発的にスピードと反応速度を上げても、紗織は慌てずその隙を見切り、舞う構え。

 ――さあ、刃を奏でて響かせて。
 ――罪を消し切るまで舞い踊りましょう。

 時に順手に時に逆手に、得物を変幻自在に持ち替えて落とし子を翻弄する、紗織。
 彼女はさらに落とし子の動きを見切りつつ構えを目まぐるしく変化させ、九の斬撃を二度奏でた。

 ――己の命すら糧とし、刃奏でて罪咎を消し。
 ――忌むべき罪の血と魂を斬り祓い、散らすように。

「――――っ!!」
 紗織の命を削って舞われた十八の斬撃を一手に引き受けた落とし子は、声なき悲鳴を上げながら斬り伏せられ、消滅した。

 ――かくして、館の扉を守護せし落とし子は、全て掃討された。

●『同族殺し』の真意は如何に
「なあ」
 落とし子が全て撃滅され、立ち尽くす『同族殺し』に声をかける、シン。聞くなら今だ。
「あなたは大事なものを領主に奪われたのか?」

 ――ピクリ。

『同族殺し』の肩が、一瞬小さく震える。当たりなのだろうか。
「……なら、憎むのは判るような気がする」
 シンはあえて想いを肯定するかのような物言いをし、『同族殺し』のさらなる反応を伺う。
「我、は……」
『同族殺し』が一瞬理性を取り戻したかのように反応し、何か口にしようとした、その時。

 ――キイッ。

 軋んだ音を立てながら開かれる、館の入り口の扉。
 その奥から姿を現したのは……黒髪の女性ヴァンパイア。

「あら、外が騒がしいと思ったら、あなただったの」
「汝、は…………汝は!!」

 扉から姿を現した女性の姿を認めた『同族殺し』から、狂笑とともに強烈な殺気が噴き出す。
 お前こそが我の獲物だ、と声なき叫びを上げるように。

 紗織とシンは直感的に理解した。
 ――彼女こそが、『同族殺し』の真の狙いである領主だと。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『『夜霧の赫き紫電』ジェーン・ザ・リッパー』

POW   :    闇の刃―ダークネス・ストライク―
【魔力で精製した複数本の闇の投げナイフ】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【の周辺をナイフが弾けて闇の霧として漂い】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD   :    赫の刃―魔剣【ブラッディ・ダンス】―
全身を【羽より放出する闇の力が込められた霧】で覆い、自身の【赫き短刀に血を吸わせたいという殺戮衝動】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
WIZ   :    毒の刃―ヴァイパーズ・ファング―
【羽から闇の霧を拡散し感覚を同調させ操る事】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【レベル×1本の麻痺毒が塗られたナイフ】で攻撃する。
👑11
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●快楽に酔いし領主と『同族殺し』の邂逅
「あら、まさかあなたがここに来るとはね」
 目の前の『同族殺し』を出迎える黒髪の女は、妖艶な、しかし嘲るような笑みを浮かべていた。
「まさか、あの時の事を根に持っているのかしら」
 けらけらと笑いながら、黒髪の女――ジェーン・ザ・リッパーは事無げに告げる。

 ――あなたの獲物を悉く私が掻っ攫ったことを。
 ――そして、あなたに「獲物すら狩れない」領主であると烙印を押したことを。

 大きく目を見開く『同族殺し』を前に、ジェーンは愉快そうに告げる。
「私がこの地を支配するためにあなたを利用し、貶める……痛快だったわ」
「汝は……我から何もかも奪った!! 徹底的に!! 何もかも!!」
「ええ、そうよ」

 ――私自身の快楽のために、あなたを踏み台にしたのよ。

 ジェーンはけらけらと乾いた声で笑い、『同族殺し』を嘲る。
 どうやら、『同族殺し』が同族殺しとなった理由の一端は、ジェーンの奸計に落ち領主失格の烙印を押された上、追放されたことにあるようだ。
 ――それ以外の理由が隠れている可能性も、ゼロではないが。

「でもね、いい加減ニンゲンだけを狩るのも飽きて来たのよ。粗方狩り尽くした、ということもあるけど」
「!!」

『粗方』という言葉に反応し、さらに敵意を強める『同族殺し』。

「だからね……私はもっと強い輩を狩りたいわ」
「我は汝を狩る……狩り尽くす……!!」
「ええ、だから私と一緒に遊びましょう? ……そこの猟兵どももね」

 事無げに告げるジェーンの赤い瞳の奥に宿りしは、殺戮と言う名の快楽に澱んだ闇。既に彼女は歪んだ悦びを見出し始めているのだろう。
 このまま放置しておいたら第2の『同族殺し』を生み出すか、それとも猟兵と「遊ぶ」ために悪辣非道な手に及ぶか。いずれにせよ、同士討ちだけを狙ってよい状況ではなさそうだ。

「大方、私の大切な落とし子たちを滅ぼしたのは、あなたでしょう?」
「汝に繋がる者は全て殺す……狩る……!!」
「せめて飼い主として仇は取らないと、ね?」

 ジェーンは愉快そうな笑みを浮かべふたふりの赫き刃を逆手に持ち。
『同族殺し』は狂笑を浮かべ、赤き刀と深緑の槍を手にする。

「さあ、演舞を始めましょう……『同族殺し』ダエナさん?」
「汝は殺す……斬り刻む!!」
「せめてこの演舞を彩る程度の抵抗はしてほしいわね? ……そこの猟兵どもも」

 ここに殺戮と言う名の舞台は整い、狂いし舞踏曲の幕が上がる。
 主演女優は果たしてジェーンか、それとも『同族殺し』か。
 ――はたまた、主演不在の舞台となるのか。

 猟兵達よ、ジェーンは猟兵達を侮っている。
 今は『同族殺し』との舞踏に乗じ、ジェーン・ザ・リッパーを撃破せよ。
ラウラ・クラリモンド
「あなたが卑怯なことをしたことだけは、分かりました。」ジェーン・ザ・リッパーの方を向いて言います。
【POW】で攻撃します。
【フェイント】や【カウンター】を織り交ぜながら、【属性攻撃】の【全力魔法】の【鎧無視攻撃】の【悪夢の聖夜】で『『夜霧の赫き紫電』ジェーン・ザ・リッパー』を何処に移動しても巻き込めるように【範囲攻撃】で【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】で、ダメージの軽減を試みます。(今回も『同族殺し』を範囲攻撃に巻き込まないように注意します。)
「まずは、卑怯なあなたに骸の海へ帰ってもらいますね。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。



●卑怯な領主を骸の海へ叩き込め
 ラウラ・クラリモンドは、ジェーンとダエナの対話を聞き、ふつふつと怒りを滾らせていた。ジェーンの口から明らかにされた『同族殺し』誕生の経緯は、ジェーンの歪んだ欲を満たすためだけに仕組まれたことだったからだ。
 もっとも、貶められたダエナにも非があるのかもしれないが、貶められたことでダエナは正気を失い、執拗にジェーンを追い続けたのは確かなようだ。その執念の源はどこにあるのだろうか?

 ラウラはジェーンの方を向き、言葉の端々に怒りを滲ませて言い放つ。
「あなたが卑怯なことをしたことだけは、わかりました」
「卑怯? 卑怯かしら?」
 ダエナの赤き刀を両手の赫の刃を交差させ受け止めつつ、首を横に傾けながら屈託ない笑みを浮かべるジェーン。
「この世界は私たちヴァンパイアのような強き者が正当な対価を得るのよ?」

 ――私はそれを望んで手に入れただけじゃない?

 悪びれる様子もなく、さも当然と言わんばかりに言ってのける、ジェーン。そこに罪悪感はカケラもなく、ただ勝者の権利を主張するだけ。
 ヴァンパイアにとって、領民は一つの駒にすぎぬ。ましてや、ジェーンのような殺戮に狂ったヴァンパイアであれば、駒を斬ろうが突こうが叩こうが潰そうが、如何なる扱いをしても心が痛むことはない。駒は駒であり、ヒトではないのだから。
「汝は我から全てを奪った!! 何もかも……何もかも!!」
 だが、ジェーンが『同族殺し』ダエナから駒を横取りするために不当に貶めたのは、ダエナの態度を見ても明確だろう。ならば、ラウラの成すことはダエナを支援することか。

「まずは、卑怯なあなたに骸の海へ帰ってもらいますね」
 ラウラは己の裡で魔力を練り上げ、ジェーンがどこに移動しても巻き込めるよう悪夢の刃を研ぎ始める。
「あなたたちが卑怯と思うだけでしょう?」
「汝はここで我に葬られるがいい!!」
 真正面から深緑の槍を突き出し、ジェーンの左脇腹を抉るダエナ。ジェーンはマントの裏側から投げナイフを抜き、立て続けにラウラとダエナに投げつける。
「ぐっ……!」
 ダエナの左腕にナイフが突き立ち、ラウラにも何本かナイフが飛ぶが、残像を駆使してなんとか避けるが、ナイフが弾けて落下した場所には闇の霧が立ち込め始めていた。
 ジェーンはすぐさま闇の霧が立ち込める場に走り、霧の力で己を強化しようとする。
「させません。永劫の悪夢に落ちよ!」
 それは許さぬ。ラウラは悪夢の刃をジェーンの背中に集中させ、一気に斬り刻んだ。
「ぐ、あ……っ!! 卑怯、よ……!」
「これくらい、まだかわいいものではないでしょうか?」
 ラウラを睨むジェーンに、ラウラは背を見せたあなたが悪いと言わんばかりにジェーンを睨み返した。

成功 🔵​🔵​🔴​

シン・コーエン
ジェーンに「人間狩りを躊躇っていたダエナを唾棄し、彼女が護っていた人間達を狩り、自分の功績にして領地を乗っ取ったか?ダエナには親しい人間がいたと思うが、お前には見つけられたか?」と聞く。

大筋を肯定すれば「そうか・・・ダエナ、お前の復讐を手伝ってやる。」と言って【足裏からの衝撃波・ダッシュ・ジャンプ】で加速して宙に浮き、【空中浮遊・念動力・空中戦・残像】による変幻自在な動きで空中に多数の分身を作りつつ相手に接近。

相手の攻撃は【第六感・見切り・武器受け・オーラ防御】で避けるか受けて、UC発動しつつ【2回攻撃・衝撃波・光の属性攻撃】でジェーンの右手を完全に斬り落とす!

「止めはダエナ、お前に任せる。」



●護る理由と奪いし理由が交錯する時
 明らかにされたジェーンの所業に怒りを覚えていたのは、シン・コーエンも同じ。故に灼星剣を真横に構えつつ、痛烈な言葉でジェーンを問い詰める。
「人間狩りを躊躇っていたダエナを唾棄し、彼女が護っていた人間たちを狩り、自分の功績にして領地を乗っ取ったか?」
「乗っ取ったのはその通りね。でも、彼女は領民を本当の意味で護っていたわけではないわよ?」
「どういうことだ?」
 思わず問い返すシンに、ジェーンはけらけらと笑いながら理由を明かす。
「だって、彼女が護っていた理由は、自分でおいしい餌を独り占めするためだもの」

 ――私はその餌を横取りして、美味しくいただいただけよ?

「……っ!!」
 明かされた事実に、シンは言葉を失う。ダエナにとっての「大事なもの」は、己の狂いし部分を満たすための「餌」と同義だったのか?
「あの戦闘狂が人間を守る? 笑わせないでよ。狩り立てることに至上の喜びを感じるこの女が、人間のような弱い存在を守る意味はないじゃない?」
「貴様も同じだろう……殺戮に酔う貴様も!」
 笑いながら嘲るように明かすジェーンに、ダエナが至近距離から投げられたナイフを赤き刀で弾きながら糾弾。
(「確かに領主の言も一理あるが……何かおかしい」)
 シンはジェーンが『粗方狩り尽くした』と口にした時、ダエナの敵意が急激に高まったことを思い出し、奇妙な違和感を抱く。

 ――ダエナの敵意の高まりは「餌」を狩られた怒りによるものだけだろうか?
 ――そう言えば、「大事なものを領主に奪われたのか」と問うた時、わずかに反応したのは何故だ?

 シンは慎重に考え、あるひとつの推測を導き出した。
 ――ダエナは「追放された地」にいた「あるヒト」に拘っているのではないだろうか、と。

 己の推論を確かめるべく、ジェーンにさらなる質問を投げかけるシン。
「ダエナには親しい人間がいたと思うが、お前には見つけられたか?」
「さあ? いるかどうかもわからない餌を探すほど私は優しくないわよ?」
 首を傾げつつ、闇の投げナイフをシンとダエナに投げつけるジェーン。
「そうか……」
 投げナイフを灼星剣を振るって叩き落とし、弾けて地面に落下したナイフが闇の霧と化すのも気にせず、シンはただ、冷淡に呟く。

「……ダエナ、お前の復讐を手伝ってやる」
 ――それは、シンがダエナの復讐を肯定した証。

 シンは飛び上がると同時に足裏から衝撃波を噴出、加速して宙に浮き、念動力も併用して空中を変幻自在に移動しながら多数の分身を作りつつジェーンに接近。ジェーンは分身に幻惑され、ナイフを投げる対象を定められない。
「灼光の刃よ、全てを両断せよ!」
 シンは惑うジェーンの右腕に灼星剣を叩きつけ、肘から先を一気に切断。
「あああああああーーーーっ!!」
 腕を切り落とされたジェーンの絶叫が、周囲に木霊した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒羽・烈火
こんなナリだが、吸血鬼を見たのは初めてだ。私の実父か実母がこんな性格の悪そうな種族だったかと思うと頭が痛くなるな。えぇ?

UC≪死神よ、私を護り賜え≫を使用。私は猟兵としては新人だ、命を削らなきゃ化け物とは戦えない。どんなロクデナシかは知らないが、親の遺伝に頼らせてもらうよ。
武器は刀を使用。吸血鬼の≪力(POW)≫と≪速度(SPD)≫で叩き切る。
少しばかり傷付いても、私の愛刀は斬った奴の≪生命力を吸収≫してくれる。それに……吸血鬼の味が気になってたんだ、少し≪吸血≫もさせてもらおうかな?

まぁ、今宵はこの主演たる同族殺し様の為の夜なんだ。私は余り出しゃばるつもりは無い。モブFを全力で演じるだけさ。



●群衆は群衆らしく、殺戮劇を引き立てる
(「こんなナリだが、吸血鬼を見たのは初めてだ」)
 黒羽・烈火はジェーン・ザ・リッパーの姿を見るなり、顔をしかめ指でこめかみを押さえ、心の中で怒号を漏らす。
(「私の実父か実母がこんな性格の悪そうな種族だったかと思うと頭が痛くなるな、えぇ?」)
 烈火が純粋なヴァンパイアを見るのは今日が初めてなのだが……嗚呼目の前の女領主のなんと性悪なことか。ますます頭が痛くなる。

 もっとも、烈火にとってジェーンの性格はどうでも良いことでもあった。烈火の最優先事項は『同族殺し』ダエナが主演を演じれるような舞台を全力で整えることなのだから。
(「今宵はこの主演たる『同族殺し』様の為の夜なんだ」)
 烈火は声に出さずくすりと笑う。

 ――『同族殺し』に惨めにやられる役こそが、この性悪な女領主には相応しいだろう。

 では、烈火自身や他の猟兵の配役は?
(「私はあまり出しゃばるつもりは無い。群衆の役を全力で演じるだけさ」)
 おそらくそれは、他の猟兵も異論はないだろう。少なくとも今のところはダエナの復讐を否定している者はいない。それならば、烈火も他の猟兵もこの演舞(ころしあい)を彩る舞台装置に徹すればいいだけの話。

 一方、烈火は猟兵としてはまだまだ新人の域。命を削らなければ目の前の化け物とは戦えないだろう。
「どんなロクデナシかは知らないが、親の遺伝に頼らせてもらうよ」
 烈火は己の血に秘められた力を解放し、真紅の瞳を湛え始祖に先祖返りした純粋なヴァンパイアへと変身。そのままジェーンを両断するかのような勢いで刀を無造作に大上段から振り下ろす。
「同族……違うわね、半端者かしら」
 ジェーンもとっさに投げナイフを手にし烈火の刀を受けるが、その膂力に押し込まれそうになり、端正な顔を顰めた。
「私に気を取られていて良いのかな?」
 烈火が刀を押し込みながらも不敵に笑い、一瞬だけ視線を逸らす。
 ――その先にいたのは、赤き刀を腰だめに構え突撃するダエナ。
「ちっ!」
 ジェーンは無理やり烈火の刀を払い、ダエナに投げナイフを投げつけるも、ダエナ自身の突撃速度は衰えない。
「汝の血をこの刀に……!」
「がっ!?」
 ダエナの刀を腰に受けながらも、ジェーンは再度斬りかかる烈火の頬や腕を投げナイフで切り裂いた。
(「吸血鬼の味が気になるが……さすがに隙はないな」)
 隙あらばジェーンの血を吸血しようと考えていた烈火だが、激しい演舞の最中ではさすがに難しい。代わりに刀片手に再度斬りかかり、刀に血を吸わせる。
「くぅっ……半端者と同族殺しが!」
 体内の血液を奪われ、ジェーンは端正な顔立ちをさらに顰めながら喚く。その表情からは徐々に余裕が奪われつつあった。

成功 🔵​🔵​🔴​

秋穂・紗織
領主も同族殺しも放置していいものではないとだけは判る
どちらも、より凄惨な道へと転がり、殺戮の舞踏と血の旋律は加速するのでしょうから

飛翔されというのは剣士にとって厄介なこと
まずは簡単に短剣で斬られないように、ダッシュ+フェイントで緩急をつけつつ駆け回り、相手を惑わしましょう

どんなに速くても、攻撃の瞬間は隙が出来る筈

その瞬間を見切り、先制攻撃+早業で、刃の届かない距離にいたとしても斬風を吹かせ、舞わせましょう
深手や痛打よりも、体勢を崩し、隙を作り
次へと繋げ、『同族殺し』のダエナが一撃を与えるように

「……この領主の命で、その憎悪が止まればいいのですが」

復讐の止め方は判らないけれど
無念は晴らして欲しい



●殺戮を舞い、無念を晴らせ
 秋穂・紗織も、女領主と『同族殺し』が抱える事情はどうでも良い。
 だが、たったひとつの「どうでも良くない」ことは、理解している。
(「領主も『同族殺し』も、放置していいものではないとだけは判ります」)

 ――放っておけば、どちらもより凄惨な道へと転がり、
 ――殺戮の舞踏と血の旋律は加速するのでしょうから。

 主役と脇役による殺戮の舞踏は、いまだ続いている。
 だからこそ紗織は、之より敵討の旋律を奏で、脇役を葬る手を差し伸べよう。

 心を決めた紗織のような剣士にとって、空高く飛翔されるのは極めて厄介なこと。自由に空翔け斬り結べる者は、地に足つける者に対して絶対的優位に立てるから。
 故に紗織はその優位を潰すべく、時に素早く駆け、時にふわりと軽やかに舞い、緩急つけてジェーンを幻惑する。
「くっ……どこまで猟兵は私の邪魔をするつもりかしら。先に殺してやるわ」
 手にする両の赤き刃が血を欲する強烈な欲望に心を委ねたジェーンは、瞳も刃も、そして心も殺戮衝動に侵された状態で、紗織を斬ろうと高速飛翔で接近しようとする。
 しかし、完全な静止状態からの攻撃は、どんなに早く動けても一瞬隙が生じる。そして、従えた旋風を纏った紗織は、ジェーンが動き出す一瞬を見逃さなかった。

 ――風のように走り、渡り。
 ――あなたへと届くこの刃を。

 ジェーンが動き始める頃合いを見切った紗織が天峰白雪を下から上に斬り上げるように振り生み出した、鎌鼬のごとき斬風が空浮くジェーンを巻き込む。
「この程度で……っ!」
 斬風に吹き上げられバランスを崩すも、傷は浅くさほどの痛手にはなっていない。この程度かと紗織を侮ったジェーンは、反撃のために斬風を切り裂き、赤き刃に血を吸わせようとして……異変に気付き背後を振り向いた。
「……っ!!」
「汝を狩る……狩る……!!」
 いつの間にか、ダエナが深緑の槍を構え、緋色のオーラを全身に纏って突撃、空翔けるジェーンに槍ごと体当たりするかのようなランスチャージを敢行していた。斬風でバランスを崩しているジェーンに避ける術はない。
(「猟兵が、最初から動きを止めるつもりで……!!」)
「ぐ、ぐぅ……っ!!」
 背後から腹部を槍で深々と貫かれたジェーンのうめき声とともにダエナが纏う緋色のオーラが脈打つようにうねり、槍がジェーンから生命力を奪いダエナの傷を癒して行く。
「禁忌に触れた同族殺しが……どこまで私を馬鹿にすればすむ!!」
「汝を狩るまでこの手は止まらぬ!!」
 狂気に目を爛々と光らせたダエナが槍を引き抜くと、ジェーンは大きくよろめき、地面に落下した。

 おそらく、あと少しで成し遂げられるであろう復讐劇を前に、紗織は思う。

「……この領主の命で、その憎悪が止まればいいのですが」

 紗織には復讐の止め方は分からない。
 だが、ひとつだけ願えることが、ある。

 ――ダエナは、無念を晴らしてほしい。

 禁忌に手を染めしオブリビオンの復讐劇は、最終幕へ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ガルディエ・ワールレイド
オブリビオン同士の勢力争いか……と、思ったが同族殺しの反応はそれだけじゃ無ぇのか。
もしかして、同族殺しは此処の領民を気にかけてたのか……?

……いや、今はジェーン討伐に集中だ。こいつも油断出来ない敵だ

◆戦闘
通常攻撃と【竜撃】を織り交ぜて戦闘

《怪力/2回攻撃》を活かす魔槍斧ジレイザと魔剣レギアの二刀流
《武器受け》や《オーラ防御》で守りを
《属性攻撃》の赤い雷を武器に付与

【闇の刃―ダークネス・ストライク―】対策
闇の霧が漂う地形に、敵が立っていた場合、【竜撃】を食らわして、地形から吹き飛ばしを狙う

吹き飛ばす時、狙えるならば同族殺しの方向へやる
甘いんだろうが、少しだけ同族殺しに止めは任せて良いと思ってる



●『同族殺し』は復讐を、猟兵は討伐を
 ガルディエ・ワールレイドは魔槍斧ジレイザと魔剣レギアを手に、満身創痍のジェーンを目前にある思いを抱いていた。
(「オブリビオン同士の勢力争いか……と、思ったが、同族殺しの反応はそれだけじゃ無ぇのか」)
 どうやらまだ隠された事情があると踏み、ガルディエはあえて声に出して問いかける。
「もしかして、『同族殺し』は此処の領民を気にかけてたのか……?」
「この戦闘狂が弱い人間のことなんて気にもしないわよ。あくまでも餌よ、餌」
 槍に貫かれた腹部を左手で押さえながら、吐き捨てるように呟くジェーン。
(「だが、その領民の中に親しくしていた人間がいたようだが……」)
 別の猟兵が『同族殺し』に投げかけた問いのことを思い出し、首を捻ろうとしたその時、闇の投げナイフがガルディエの首筋めがけて放たれる。咄嗟に魔剣レギアで払うも落下途中で弾け、闇の霧が薄く立ち込め始めた。
(「知りたいことはまだあるが、今はジェーン討伐に集中だ」)
 ガルディエは得物を構え直し、ジェーンと対峙する。かなり深手を負っているとはいえ、いまだ戦意は萎えず、油断できない敵なのだから。

 ジェーンは左手だけで投げナイフを数本同時に飛ばし、ダエナとガルディエ、両方を狙う。ダエナは己の身で受けるに任せているが、ガルディエはその都度得物で払って直撃を避ける。だが払い落とした投げナイフは空中で弾け、その都度闇の霧を生み出す。
「ここまで追いつめてくれるとはね……! ダエナも猟兵も!!」
 ジェーンは翼を羽ばたかせて空を翔け、己の力を高めるために自ら闇の霧に身を突っ込む。
「まとめて処分してやるわ……!!」
 闇の霧から力を得たジェーンは、得物を赫き短刀に持ち替え、ガルディエの首を掻っ切ろうとするが、ガルディエに赤い雷と念動力を纏った魔槍斧ジレイザを一気に振り下ろされ、闇の霧を散らされ吹き飛ばされた。
「消し飛びな!!」
「……っ!!」
 しかもガルディエは魔槍斧を振り下ろす向きと念動力の加え方を少しだけ工夫し、ジェーンを『同族殺し』ダエナのいる方角に吹き飛ばしている。
「止めは任せても良いぜ、『同族殺し』ダエナ」

 ――俺もヴァンパイアに反逆する身だ。
 ――少し甘いが、ダエナの願いは果たさせてやりてぇからな。

 ガルディエの想いを受け取ったか、はたまた想いが成就する喜びか。歓喜の咆哮をあげたダエナは両の得物を構え直し、吹き飛ばされたジェーンを見据える。
「我から全てを奪いし女狐よ!!」
 ダエナの赤き刀が最後の意地で突き出された赫き短刀を折りながらジェーンの左肩を貫き。
「狩られる痛みを存分に味わいながら逝け……!!」
 続けざまに突き出された左手の深緑の槍が、ジェーンの胸部に深々と突き立った。

「ダエナ、覚えておきなさい……!! 禁忌を犯した報いは必ず訪れるわ……っ!!」
 断末魔の呪いを吐き捨て、消滅するジェーン。

 ――『同族殺し』ダエナが主演を演じた復讐劇の幕は、今ここに降ろされた。

 その時、唐突に白き光が広がる。
 不思議と恐怖を感じぬその光に包まれた猟兵らが、光の中で見たものは……。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『狂笑戦姫ダエナ』

POW   :    不死者殺しのクルースニクと絶死槍バルドル
【どちらか片方の武器による必殺の一撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【もう片方の武器による致命の一撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    追想の果て
戦闘用の、自身と同じ強さの【嘗て共に戦った灼滅者】と【嘗て戦ったダークネス】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
WIZ   :    夢の狭間
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【無数の光の鎖】が出現してそれを180秒封じる。
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●【重要】敵ユーベルコード変更のお知らせ
 ボス敵「狂笑戦姫ダエナ」の【SPD】のユーベルコードを、本シナリオでは以下のデータに変更させていただきます。
 なお、この措置は本シナリオ限定となります。ご注意願います。

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●生命喰らいし紅蓮の盾(SPD)
 全身を【緋色のオーラ】で覆い、自身が敵から受けた【負傷】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
==============================
 
●断章:『同族殺し』ダエナの真実
 昔々、この地はダエナというヴァンパイアが支配していました。
 ダエナは領民を争いに駆り立て、その後自ら領民を狩ることで虚栄心を満たしていました。

 ダエナがこの地に流れ着き、領民を煽ろうとしたとき、ひとりの青年が立ちはだかります。
 青年は彼女が領民を戦に巻き込むのを止めるべく、1対1での勝負を希望します。

 たかが人間。ダエナはそう侮り、軽率に青年との勝負を受けました。
 しかし勝負の行方は意外な方向に。なんと、青年の拳にダエナ自身が屈服させられてしまったのです。

 青年は人間なのか猟兵なのか、それともオブリビオンなのか。それは最早確かめようがありません。
 ただ、青年との出会いを境に、ダエナはぴたりと人間狩りをやめてしまいました。

 他のヴァンパイア領主には「いずれ狩るために領民を鍛えている」と説明し、ダエナは事あるごとに青年と1対1の演舞を――いや、闘舞を楽しみます。
 実際、領民は青年の手で鍛えられていたため、他のヴァンパイアに疑われることはありませんでした。

 そんな時、この地にやって来たのが、ジェーン・ザ・リッパーでした。
 ジェーンは「ダエナが領民を鍛えている」と聞き、全て横取りし狩り尽くすつもりでやって来たのです。

 ジェーンは事あるごとにダエナの行動を妨害する一方、他のヴァンパイアを味方につけ、ダエナが「人間狩りをするつもりがなく、領主不適格である」との虚言を広めます。
 やがて、ダエナは領主たる資格を奪われ、この地を追放され、遠く離れた地へ捨てられました。

 全てを失い、青年とも引き離され、ジェーンに強い恨みを抱いたダエナは……『同族殺し』という禁忌へと足を踏み入れ、執拗にジェーンを追い続けたのです。

 ――そして、想いは今、遂げられたのです。

●コワレタココロハ、コワレハテテ
『同族殺し』ダエナは、自らを貶めたジェーンへの復讐を遂げた。
 そして、思いもよらぬ形でダエナが『同族殺し』へと変貌した真実が明らかにされた。

 ――真実を映し出した光が、止む。

 これで彼女の本懐は遂げられた。
 その場にいた誰もがそう思った。

 ――しかし、1度壊れた心は、本懐を遂げても戻らなかった。

「クックック……」
 呆然と立ち尽くしていたダエナが、突然低い声で嗤い出す。
「次は汝ら……汝ら猟兵を狩る番だ」
 そしてダエナは突然笑いを止めたかと思うと、唐突に赤き刀を猟兵らに突き付けた。

 ――その顔に浮かぶのは、戦狂いに満ちた笑み。

「汝らを狩り、領民を狩り尽くし、そしていずれ世界を狩り尽くす!」

 猟兵に敵意を向けるダエナだが、その目からは涙が零れ落ちている。
 その涙は、もはやかの青年と逢うことすら叶わぬことへの悲嘆の涙なのだろうか?

 ジェーンとの戦いで、ダエナはかなり消耗している。
 さらに狂気を深めたとは言え、今なら彼女を討ち取ることは困難ではないはず。

 赤き刀・不死者殺しクルースニクと深緑の槍・絶死槍バルドルを手に。
 さらに全身にいのちを求めるかのようにうねる緋色のオーラを纏い。

「狂笑戦姫ダエナ」はコワレタ笑みを浮かべ、猟兵へと襲いかかる。

 さあ、猟兵たちよ。決断の時が来た。

 ここでダエナを強大なオブリビオンとして討ち取るか。
 それとも、彼女の真実に寄り添った上で討ち取るか。

 ――結末は、猟兵自身の手に委ねよう。
ラウラ・クラリモンド
「とうとう、あなたと戦うことになるのですね。」と『狂笑戦姫ダエナ』に言います。「あなたと青年が心から楽しんだ闘舞には及ばないかもしれませんが。」
【SPD】で攻撃します。
【フェイント】や【カウンター】を織り交ぜながら、【生命力吸収】と【吸血】付きの【属性攻撃】の【全力魔法】の【鎧無視攻撃】の【シザーズ・クロス】で『狂笑戦姫ダエナ』を何処に移動しても巻き込めるように【範囲攻撃】で【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】で、ダメージの軽減を試みます。
「正々堂々、正面から戦いましょう。どちらの生命力吸収能力が上か比べてみるのもいいかもしれませんね。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。



●戦うときは正々堂々
「とうとう、あなたと戦うことになるのですね」
 ダエナにかけるラウラ・クラリモンドの声音は、期待に満ちたそれ。おそらくこの時を待ち望んでいたのだろう。
 一方、目の前のダエナは完全に戦の空気に酔い、戦の狂気に目をぎらつかせながらもラウラを睨み、声高に叫ぶ。
「我は汝を……汝ら猟兵を斬る! 叩く!」
 ――猟兵を戦に駆り立てるべく、挑発するかのように。
「汝らも斬れ! 戦え!! 戦いに狂え!!」
 ――その目端から涙を流しながら。
 それに対し、首肯しながら静かにダエナに話しかける、ラウラ。
「あなたと青年が心から楽しんだ闘舞には及ばないかもしれませんが、正々堂々正面から戦いましょう」
「あの者の代わりは誰にもできぬ……できぬ!!」
 もはや悲鳴に近い声音で、それでいて譫言のように言の葉を紡ぎ出し、ダエナは得物を構える。それに応じるようにラウラも得物を構えた。

 ダエナは緋色のオーラを纏って不死者殺しクルースニクと絶死槍バルドルを手に。
 ラウラは火刀『デイジー』と氷剣『ヴァイオレット』を両の手に。

 ――ラウラが望みし対決の幕が、切って落とされた。

 ダエナがラウラに先んじて不死者殺しクルースニクを鋭く突き出す。落とし子やジェーンとの戦いで消耗したにも関わらず、その動きはいまだ衰えを知らない。ラウラは咄嗟に残像を囮にして避けた。
「どちらの生命力吸収能力が上か比べてみるのもいいかもしれませんね。」
 対するラウラは、ダエナがどこにいてもデイジーとヴァイオレットの刃に捉えられるよう注意を払いつつ、時にヴァイオレットの氷とデイジーの炎で幻惑しながら、僧服らしき衣装の隙間から幾度も切りつけ、ダエナの生命力を奪う。
 しかし、ダエナは負傷に応じてその力を増す緋色のオーラを纏った状態。落とし子とジェーンとの戦いで負った傷がそのまま力となる。それ故に軽いように見える刀の一振りが「重く」なっており、一太刀斬りつけらればごっそり生命力を奪われる状態。ラウラもこれまで観察してきた記憶を頼りに、防御の薄そうな部位を狙い何度も斬りつけ生命力を奪うが、一撃の重さの違いから少しずつ押され始めていた。

 やがて、ラウラが一瞬気を抜いた隙を突かれ、絶死槍バルドルが真正面から突き出される。
「か……は……っ!!」
 蓄積した疲労から避けられなかったラウラは、胸にその一撃を受けその場へ崩れ落ちた。
「ははは、楽しかったぞ……楽しかったぞ!!」
 ひと時の勝利を確信したダエナの高笑いが響く。しかし、ラウラに止めは刺さず、目端からはいまだ涙がとめどなく零れ落ちていた。

(負けはしましたが、後悔はありませんね)
 お互い望んで正面からぶつかった結果だから、ラウラの胸中に後悔の二文字はない。
 目の前のダエナにちらりと知己の面影を感じながら、ラウラの意識は闇へと沈んでいった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

秋穂・紗織
結局、憎悪と殺意に飲まれてしまいましたか
今や鏡を見なさい
そこにあるのはジェーンと同じ殺戮に酔う吸血鬼の姿
壊れ、狂い、元にあった思いも残骸

禁忌に身を投げてまで、遂げ、果たされた想いは何処に

「ダエナ。貴女がどんなに強くても、心のない者に負けはしない。……それは、先程までの貴女が示したことですよ」

故に此処で終止符を
まだ名残のある裡に

【見切り】で動作を読みつつ、【フェイント】を織り交ぜて、避ける事を主体に
常に槍での攻撃を誘う為、槍持つの側面へと回り込み
槍の刺突に合わせ、【早業】での連続斬撃で穂先を弾き、姿勢を崩させ、【2回攻撃】と【カウンター】で更なる斬撃をダエナへと
一太刀で決まらずとも、重ねるのみ



●壊れし想いに心は在るのか?
「……結局、憎悪と殺意に呑まれてしまいましたか」
 完全に心が壊れたダエナを目の当たりにし、秋穂・紗織は深い深いため息をつく。
「壊れ、狂い、元にあった想いも……今や残骸です」
 紗織の目の前にあるのは、先に葬ったジェーンの写し鏡がごとく、殺戮に、戦に酔い、狂う吸血鬼の姿。

 ――禁忌に身を投げてまで遂げ、果たされた思いは、今や何処に?

「貴女がどんなに強くても、心のない者に負けはしない」
 それは、先ほどまでの貴女が示したことだと紗織が静かに諭すも、すでにダエナは聞く耳を持たない。
「汝も猟兵であれば戦え……戦って狂え!」
 目端から涙を零しながら、緋色のオーラを纏い、戦いを強いるダエナに、紗織は大きくため息をついて天峰白雪を構えた。

 ダエナの刀と槍を無策に受ければごっそり生命力を奪われるのは、すでに別の猟兵が証明している。
 故に紗織はダエナの動作を見切りながら避けることに主眼を置きつつ、機会あらば絶死槍バルドルを手にする左側面へと回り込む。
「汝の動きは見切った!」
 ダエナは誘われているとも知らずに絶死槍バルドルを紗織の真正面に突き出すも、紗織はそれに合わせるように天峰白雪を振り高速の斬撃を舞い、槍の穂先を弾き飛ばす。
「ぬっ!?」
 姿勢を崩すダエナに、天峰白雪を輝かせた紗織のさらなる斬撃の舞いが集中。それは一振りが九振りに、まるで斬撃そのものが詠を奏でているかのような、見る者をも魅了する舞。

 ――詠うならば、奏でる刃を響かせて。
 ――心失くした吸血鬼に、心在る者の強さを示して。

「ぐあぁ……我は……我は戦に狂うことこそが本望!」
 左腕に斬撃を集中され、それでもなお衰えを知らぬ緋色のオーラと共に、ダエナも槍で舞い続ける。
 再び斬撃の刀舞を舞いながら、ふと紗織の脳裏にある疑問が過った。

 ――果たして、ダエナは本当に心をなくしたのであろうか?

 紗織が斬り結びつつダエナの顔をよく見ると、常に目端から涙を流している。
 一体、その涙は一体誰に手向けたものなのだろうか?

 ――ダエナのコワレタ心の奥底には、まだ青年に対する感情が残っている?

 青年と2度と逢えぬ絶望が、今のダエナを突き動かしているのか?
 想いが壊れ砕けようとも、その欠片がダエナを狂わせ、戦に駆り立てているのだろうか?

 紗織にはダエナの胸中はわからないし、突き止める気もない。
 今、できることは……終わらせることだけだから。

 だから紗織は、ダエナにこう告げるのみ。
「ここで終止符を、打ちましょう」

 ――まだ、名残のあるうちに。

 紗織は三度ダエナの左側面から天峰白雪で斬りかかり、巧みに絶死槍バルドルを誘い込むと連続の斬撃で弾いてダエナの姿勢を崩し、一の太刀を九の太刀に増しながら槍持つ左腕を白き斬撃の乱舞で立て続けに斬り刻む。
「ぐぅ……っ!! 我は……我は……!!」
 槍持つ腕に力が入らぬほどにまで徹底的に斬り刻まれ、それでも尚ダエナは戦いの歓喜に身を浸すかのように狂った笑いを浮かべ続けていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ガルディエ・ワールレイド
お前は確かに強い……だが、それだけでは足りない
既に知ってる筈だ
他の領民を争いから避ける為、領主に1対1の戦いを挑んだような、本当の気高い強さを
憎しみに囚われた今のお前では、件の青年には遠く及ばないだろう。それがお前の求めたものか?

本当の強さを取り戻せるかどうかは自分次第だ
納得出来る最期の戦いを選べ


◆戦闘
【存在証明】で攻撃力を上昇
武装は《2回攻撃/怪力》を活かす魔槍斧ジレイザと魔剣レギアの二刀流
攻撃命中時に《生命力吸収》

似たような間合いの相手だ
間合いを《見切り》起点となる初撃を《武器受け》で弾く
特に敵ユーベルコードの初撃に注意
万が一食らった時は、二撃目に対して《捨て身の一撃》で相打ちを狙う



●本当の強さは何処に沈んだのか?
「お前は確かに強い……だが、それだけでは足りない」
 ガルディエ・ワールレイドは新たにダエナの前に立ちながら、静かに語り始める。
「ダエナ、お前はすでに知っているはずだ。」

 ――他の領民を争いから避ける為、1対1の戦いを挑んだような、本当の気高い強さを。

「汝の言葉は聞きたくない……ここで狩られろ!!」
 ダエナは目端から涙を流し、ガルディエの言葉を遮りながら不死者殺しクルースニクと絶死槍バルドルを構え、ただ我武者羅にガルディエに突撃。
 止む無くガルディエは人間としての意思とヴァンパイアの血脈による魔力、己の内にある異端神の力で自身の攻撃力を強化しながら魔槍斧ジレイザをダエナの胴に容赦なく叩きつけるように振るい、ダエナの動きをけん制する。
 もともとガルディエとダエナは、槍斧と剣、刀と槍の組み合わせと、取るべき間合いがよく似た者同士だ。ゆえにガルディアは双方の間合いを確実に見切り、刀と槍による致命的な二撃の初撃を確実に弾くよう、注力することになった。

 ダエナと斬り結びながらも、ガルディエは言葉を尽くすことをやめない。
「憎しみに囚われた今のお前では、件の青年には遠く及ばないだろう」
「黙れ……」
「それがお前の求めたものか?」
「黙れ!! 汝ら猟兵に……あの者の何がわかる!!」
 叫びながら突き出された絶死槍バルドルを、ガルディエは魔槍斧ジレイザで弾き、続いて振り下ろされる不死者殺しクルースニクを魔剣レギアで逸らしながら、声をかけ続ける。
 ――もう1度、ダエナに『同族殺し』へと堕ちた時の強い想いを思い出してもらうために。
「本当の強さを取り戻せるかどうかは自分次第だ」
「我は……我はもう狩り尽くすしかない……ないのだ!!」
 本性に囚われ、誇りすら見失ったかのように喚くダエナを、ガルディエは静かに諭す。
「それなら、お前が納得できる最期の戦いを選べ」

 ――もう、俺たちはお前を倒し、骸の海に還すことしかできないからな。

 ガルディエの諭しに言語にならぬ叫びで否と伝えながら、ダエナは我武者羅に得物を振るい続ける。ガルディエも武器で弾き、逸らし続けるが、不死者殺しクルースニクによる必殺の一撃を魔槍斧ジレイザで弾いた際、わずかによろめいてしまう。その隙を突くかのように、絶死槍バルドルがガルディエの心の臓を狙い突き出された。
(「避けられぬか……ならば!」)
 ガルディエは絶死槍バルドルの槍先をわずかに見切って心の臓への直撃を避け、さらに相打ち覚悟で魔剣レギアを突き出す。
「ぐっ……!!」
 逸らされた絶死槍バルドルはガルディエの右脇を貫き、鎧を一部破損させながらもガルディエに呻き声を零させるにとどまったが。
「ぐあああああああああ!!」
 魔剣レギアはダエナの右肩を深々と貫き、絶叫を誘発していた。

「汝は、汝は……我を、我の狩りを邪魔するのか!!」
「まだ……狂ったままか」
 左腕を血に染め、涙を零しながら罵り続けるダエナを見て、ガルディエは深い息をつく。

 だが、ダエナの声音には、ある意思が滲み始めていた。
 ――どうしようもない絶望を終わらせてほしいという、心の叫びが。

 ガルディエの、そしてここまで積み重ねてきた猟兵らの言葉は、確かにダエナに届いていたのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

シン・コーエン
(ダエナに)「青年に会ってみたかったな。狩りを続ければ、青年が再び立ちはだかってくれると思っているのか?しかしそれでは犠牲者が出る、それは許さん。」と戦いを挑む。

剣を収納し、拳と腕に【オーラ防御】集中。
青年同様、拳でダエナに挑む。

ダエナの攻撃は、UC:刹那の閃きに【第六感・見切り】を合わせて紙一重で躱し、躱しきれない時は【オーラ防御と纏った腕による武器受け】で弾く。

攻撃は【フェイントを交えた2回攻撃】による拳の連撃で、かつての闘舞を再現する。
最後に【風の属性攻撃を収束した暴風・衝撃波・念動力による衝撃・鎧無視攻撃】を拳に宿して全力の一撃を撃ち込む!

倒れたダエナに「楽しかったな。」と声を掛ける。


黒羽・烈火
悲劇だね。ったく、もしかしたら人とオブリビオンが仲良くやってたかもしれなにのに。バカな登場人物のせいで歯車が狂いに狂っている。そしてバカを討っても物語は終わらない・・・。嗚呼、本当に悲劇だな。糞ッタレ。

私はこういった交渉事は苦手なんだ。もし、他の猟兵が剣を抜かずに奴さんを討とうとするなら、私は手を出さない。加減が出来ないんだ。煙草でも吸いながら、成り行きを見守るよ。
そして、保険になろう。交渉が失敗しても、最初から戦うのでも、私は容赦なく斬る。傷付くほどに強くなるなら、全力の一太刀で仕留めればいいんだ。吸血鬼の力で・・・ね。

ま、全てが終わったら念仏でも送るよ。願わくば、あの世でお幸せにね。



●見守ることを選んだ者
「悲劇だね」
 白昼夢を目にした後、黒羽・烈火は舌打ちしながら心境を吐露する。
「ったく、もしかしたら人とオブリビオンが仲良くやっていたかもしれないのに」

 ――どこかで歯車が狂いに狂っている。

 再度舌打ちしながら、烈火は吐き捨てる。
「ジェーンというバカな登場人物のせいで、狂いに狂ったんだろうな」
 そして、この物語は『バカな登場人物』を討っても終わらず、むしろ更なる悲劇の幕が上がったに過ぎなかった。それがまた、烈火を苛立たせている。

 ふと、烈火の横を通り過ぎる、別の猟兵の姿が目に入る。どうやら何も得物を手にしていないようだが、交渉でもするつもりなのだろうか? グリモア猟兵は説得による連戦回避という手段もなくはないと言っていたが、心壊れ狂った以上、説得がうまく行く可能性は極めて低いはずだ。

 ――だが、もし一縷の望みに賭けるのであれば。

「望みに賭けて交渉するなら……私は手を出さないさ」
 もともと烈火は剣などを抜かずにダエナと対峙する者がいれば見守ると決めていた。なんせ交渉は苦手だし、手加減もできない。
 故に、烈火は事の成り行きを見守ることに決め。煙草に火をつけた。

●あえて拳で挑む者
 一方、ダエナの前に徒手空拳で現れたのは、シン・コーエン。ジェーン撃破まで手にしていた灼星剣を収め拳を握り込んだ姿で、シンはダエナの前に立ちはだかるかのように身を晒す。
「汝、何を……」
 得物を手にする様子すらないシンを見て、動揺するダエナ。

 動揺している?
 狂っているはずの、ダエナが?

 ダエナの動揺を察したか、シンはさらに言葉を重ねる。
「狩りを続ければ、青年が再び立ちはだかってくれると思っているのか?」
「!!」
 ダエナはさらに動揺し、不死者殺しクルースニクを取り落としそうになる。
「ああ…………」

 ――我は確かに、もう1度あの者と逢えることを期待している!!

 ダエナは戸惑うように瞳を虚空に彷徨わせ、声なき叫びをあげる。
 だが、シンにはそれを許せぬ事情があった。
「しかしそれでは犠牲者が出る、それは許さん」
「汝、は……」
「ああ、この拳で戦う。来い」
 シンは両の拳と腕に、本来防御に利用する赤きオーラを集中させて纏わせ、格闘の構えを取る。
「汝は、我を……」

 ――止めて、くれるのか。

 ああ、とダエナに一度だけうなずき。
 シンは拳をぐっと握り込み、風となってダエナに接敵した。

●それは可能性のひとつか、それとも夢物語か
 煙草を手にしながら、烈火は事の成り行きを見守る。
(「説得は説得でも、拳による説得ね……」)
 まあ、武器を持っていないことに変わりはないから手出しはしないと静観を決め込んだ烈火の脳裏に、ふとひとつの可能性が過る。

 ダエナと青年、そして領民の関係は、圧政強いるヴァンパイアの多いこの世界で、共存の可能性を示した一筋の光になったのではないか、と。

(「人とオブリビオンが仲良くなる。このクソッタレな世界では夢物語かもしれん」)

 果たして、青年はそれを望んでいたのだろうか。
 それとも……将来皆の力でダエナを討つべく、あえてダエナに下ったフリをし続けていたのだろうか。

 今となっては、真相はわからない。
 ただ、青年と引き離されたのが、ダエナにとっての悲劇の始まりだったのは……確かだろう。

 烈火の目の前では、シンとダエナの目まぐるしい闘舞が繰り広げられている。
 万が一、シンが地に伏すようなことがあれば、その時は烈火に流れる血の力を借りて吸血鬼に変身し、高周波アヤカシブレード『屍山血河』で一思いに斬り捨てるつもりだ。

 ――自分は、ダエナを野放しにしないための「万が一の保険」だ。
 ――傷つく程に強くなるなら、その前に一太刀で斬り捨ててやる。

 それこそが、自分ができるダエナへの手向け。
 烈火は自分の出番が来ぬよう祈りながら、成り行きを見守る。

●闘舞と悲劇の幕を下ろせ
 シンが拳で挑んだ真意は「かつて青年とダエナが楽しんだ闘舞の再現」にあった。
 もっとも、シンに細かい格闘の技術や素養があるとは言えないため、念動力や衝撃波の力も借りた粗削りなものだが、それでもダエナの気を引くには十分な効果があった。

「はは、ははは! これだ、我が求めていたのはこれ……!!」
 緋色のオーラを纏い感極まったかのように叫ぶダエナの左手から絶死槍バルドルが落下し、地面に転がる。すでに左手も左腕も激しく痛めつけられたため使い物にならない。
「汝には感謝する!」
「ああ、もっと楽しもう!」
 ダエナが振るう不死者殺しクルースニクの軌道を、シンはダエナの動きや視線、気配、思考を読み切ることで予想し、さらに間合いを見切ることで常に紙一重でかわし続け。それでも間に合わなければオーラを纏った拳ではじき返す。
 シンが十分止めきったら、拳をわざと空振りさせてフェイントをかけ、ダエナが避けたらすかさずもう片方の拳を腹に叩き込み、連打へと持ち込む。
(「ダエナの傷がかなり嵩んでいる以上、刀で無暗に斬られるわけにはいかないな」)
 ダエナが纏う緋色のオーラには生命力を奪う効果もある。しかも負傷によりその威力が増すのであれば……致命傷に近い今の状況で生命力を奪われたらシンが瀕死になりかねないからだ。だからシンは刀を振るわせぬよう連打を止めなかった。

 十分な連打を浴びせたシンは、いったんダエナから離れる。
 すでにダエナの足元はふらついているが、瞳からは狂気の光がかなり拭いさられていた。

 ――ならば、この一撃で決める。

「終わらせてやるぞ、ダエナ!」
 拳に暴風を凝縮して宿し、衝撃波と念動力でさらに威力を増したシンの拳が、ダエナの腹に吸い込まれる。
「が…………は…………っ!!」
 止めともいえる一撃を腹に受け、不死者殺しクルースニクをも手放して仰向けに倒れる、ダエナ。

 ――勝負は、決したのだ。

●終演
「我、は……」
 仰向けに倒れたまま、尊大ながらも落ち着いた口調で話す、ダエナ。瞳からも戦の狂気はすっかりと消え去っていた。
「楽しかったな、ダエナ」
 シンは拳のオーラはそのままに、見下ろしながら満足げな表情を浮かべ、ダエナを労う。
「ああ……」

 ――オレも楽しかった。

 それを最後に、ダエナの身体は消滅する。
 消滅間際、ダエナは満足げな笑みを浮かべ、シンを穏やかな瞳で見つめていた。

(「おそらく……『オレ』と呼ぶのが本来のダエナなんだろうな」)
 一人称が変わったことに気づいたシンは、彼女が狂気から完全に解き放たれたのかと思案する。
 本当に解き放たれたか否かは定かではないが、今は解き放たれた……そう思いたかった。

 一方烈火は、ダエナがいた場所をじっと見つめながら、口の中で小さく念仏を唱えていた。
(「願わくば、あの世でお幸せにね」)
 縁が切れていない以上、別の過去をもとにまた蘇ってくる可能性はあるが、それでも願わずにはいられない。

 ――今はただ、静かに休んでほしい。

 ……と。

 こうして、全てを奪われ、禁忌に手を染めた「狂笑戦姫ダエナ」は、本懐を遂げ骸の海へと還って行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年09月30日


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#ダークセイヴァー
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#同族殺し


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はモリオン・ヴァレーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠白石・明日香です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト