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とあるペンギンフリークエージェントの護衛譚

#UDCアース #南極遺跡

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 南極大陸にUDCの遺跡発見ーー。
 その報告を聞いたポール・ペンターは、溜まっていた書類を放り出すと勢いよく立ち上がった。
「南極大陸にUDCの遺跡? それは本当かいサラ!?」
「ええポール。複数の遺跡が確認されていて、既に何人か調査に入ったわ」
 メガネ美人の秘書の声を聞くやいなや。ポールは小躍りしそうな勢いで、ペンギンの気ぐるみに包まれた腕を振り回した。
「それは良かった! ……もとい。大変じゃないか。是非! 早速! 今すぐに! 野生のペンギンに会いに……じゃなくて、調査に行かなければ! UDCエージェントとして!」
「それはいいけれどポール。溜まった書類を片付けて頂戴。もう2ヶ月分溜まってるのよ」
「そんなことに構っちゃいられないよ! サラ、早く本部への申請書を出しておくれ」
「その2ヶ月分の書類を処理したら、申請書をあげるわ」
 冷酷無比なサラの宣告に、ポールは思わず天を仰いだ。
「マイガッ! 君には血も涙も無いのかい!?」
「私の血は先々月に、涙は先月枯れ果てたわポール。早くしないと、ペンギンの群れが近い遺跡にほかのエージェントが……」
「終わったよサラ! さあ書類をおくれ!」
 サラが言い終わるのが早いか。処理を神速で終わらせたポールが、書類の束をサラに差し出す。
 呆れた様子のサラが申請書類を渡すが早いか。やはり神速で必要事項を記入したポールは、ペンギン柄のスリッパをパタパタ言わせながらドアへ駆け寄った。
「ちょっとポール待ちなさい! この書類間違って……」
「お土産にペンギンの写真、たくさん撮ってくるからさ。待っててねペンギンちゃーん!」
「この○○ペンギンフリーク!」
 サラが投げつける書類の束を閉じたドアで受けながら、ポールは事務局へと急いだ。


「……ちなみに、ポール様の私服はほとんど全てペンギンの気ぐるみで、部屋にはペンギングッズがあふれているのだとか」
 割とどうでもいい情報を困惑気味に伝えたアカネ・リアーブル(とびはねうさぎ・f05355)は、気を取り直すと猟兵達に向かい合った。
「という訳でして。UDCからポール様の護衛と調査の手伝いを依頼されました。皆様のお力をお貸しくださいませ」
 何事もなかったかのように微笑んだアカネは、集まった猟兵達に南極大陸の地図を示した。
 南極大陸で複数のUDCの遺跡が発見され、調査隊が組まれることになったのだ。
 UDCエージェントだけではオブリビオンに襲撃された時に全滅する危険性が極めて高いため、調査を行うエージェントの護衛を猟兵達に依頼してきたのだ。
 護衛対象はポール・ペンター。31才の天才的生物学者だが、ペンギン愛をこじらせる変人として知られている。
「ポール様はまず、ペンギンの群れに近い場所にある遺跡の入り口を探索されるそうです。良い機会です。皆様はポール様の護衛をしながら、野生のペンギンと遊ぶのも良いかと思います」
 相手は野生のペンギンのため、不用意にモフるのは良くないが写真を撮ったりするのはいいだろう。無論、遺跡の入り口を探すのも忘れないで欲しい。
 遺跡の入り口から中に入ると、そこがメインの調査場所になる。ポールが調査している間、オブリビオンの出現が予知されている。
 ポールは調査に熱中しているため、周囲が見えていない。彼を守りながら戦うといいだろう。
 その後、遺跡のボスが現れる。ここでの目的は調査内容を無事に持ち帰ること。
 そのため、ボスは戦って倒しても良いし放置して撤退戦を仕掛けても良い。
 判断は現場の猟兵達に委ねられた。
「今まで謎に包まれていたUDCに関する重要な手がかりです。どうか無事に調査を終えて、無事に帰って来て下さいませ。そしてデータを今後に繋げて参りましょう」
 頷く猟兵たちを見渡したアカネは、頼もしそうに頷くとグリモアを発動させた。


三ノ木咲紀
 オープニングを読んでくださいまして、ありがとうございます。
 マスターの三ノ木咲紀です。
 今回は南極大陸に発見された遺跡を調査するエージェントの護衛をお願いします。

 護衛対象はポール・ペンター。
 彼は宇宙服のようなデザインの耐冷耐狂装甲服「ヒートアーマー」を着用しています。
 胸元にペンギンのワッペンを付けたのが、最大限の譲歩のようです。
 鈍重で窮屈なので戦闘はできません。
 ペンギンだいすき。

 第一章は冒険です。
 遺跡の入り口を探して下さい。
 野生のペンギンがたくさんいるので、一緒に写真を撮ったりできます。

 第二章は集団戦です。
 遺跡を調査中のポールを護衛しながらの戦闘になるかと思われます。
 なお、ポールの生死は判定に影響しません。

 第三章はボス戦です。
 調査終了後に襲いかかってきます。
 このボスは倒しても、放置して撤退しても構いません。
 詳細とプレイング募集の日程は、各章の冒頭に出させていただきます。

 第一章のプレイングは、

「9月6日(金)朝8:30から9月8日(日)朝8時30分まで」

 受付させていただきます。
 期間外のプレイングは流れてしまう可能性が高いです。
 ご協力よろしくお願いします。

 それでは、よろしくお願いします。
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第1章 冒険 『南極遺跡調査』

POW   :    荷運びやUDC職員の護衛を行い、調査の安全を確保する

SPD   :    先行偵察や後方の警戒を行い、危険に備える

WIZ   :    UDC職員と共に遺跡周辺を調査し、入口となる場所を探す

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 南極の基地を出発した猟兵達は、極寒の中遺跡へ向けて歩き出した。
 目指すポイントは、コウテイペンギン達の繁殖地。海岸から160キロも離れた場所にある繁殖地では、コウテイペンギンの赤ちゃん達がクレイシと呼ばれる保育園でひとかたまりになっていた。

 まだ小さな、白っぽいフカフカな羽毛に包まれたコウテイペンギンの赤ちゃん達が、餌を取りに行った親鳥達の帰りを皆で待っている。
 近寄ってくる猟兵達に、一羽の赤ちゃんペンギンが顔を上げる。
 天敵の全くいない、南極大陸の奥地で生まれたコウテイペンギンの赤ちゃん達は、警戒心というものを持たないのか。
 一羽がよたよたとした足取りで猟兵達の方へと近寄ると、他のペンギンたちも何か何かとぺちぺちと歩み寄ってくる。
 周囲にいた黒い体の大人ペンギンもまた、猟兵達の方へと歩み寄る。

 無垢な目で猟兵たちを見上げる、白い羽毛のペンギンの赤ちゃん。その足の下には、UDCの遺跡があるのだ。
 遺跡からオブリビオンが溢れ出したら、このペンギン達の命はないだろう。
 愛らしいもふもふ達を守るため、猟兵達は調査を開始した。
※ 補足

 南極には「南極条約」という条約があるので、猟兵の皆様方もこちらをお守り下さい。


・群れを乱さない
・餌を与えない
・触らない
・接近して驚かさない
・観察や撮影をする際は5メートル以上距離を取ること


 ですが、ペンギンの方から近寄ってくるのは例外です。
 ペンギンの意思です。仕方ありません。仕方ありませんとも。
鈴木・志乃
真 面 目 に 仕 事 し て 下 さ い ね ?

……どうも、シノ・スズキと申します
本当のペンギン好きなら、ペンギンの生態系を脅かす行動なんてとりませんよねぇ?(ピキピキ)

UC発動
右手を代償にそこら辺調べて回ります
第六感も頼りに仕組みを見切っていこう
ついでにサボり魔なポールを引きずり戻せるように気を張っておく

仮にも何があるか分からない危険地帯なんだから
もうちょっと考えた行動とってもらわないと困るんですけどねぇ(イライラ)

あ、今回の行動によってはポールさんの上司にかけあって
移動とか移籍とかも考えてもらった方が良いかもしれない!名案!(ポンと手を打ち)

ペンギンは目で愛でるに留める
いいね?



 銀灰色のふかふか毛並みの赤ちゃんペンギンが、キョトンと首を傾げながらよちよち近寄ってくる。
「ペ、ペンギンだペンギンの赤ちゃん! 夢じゃないよね本物だよね!」
 そんな天国の光景に思わず挙動不審に踊り回り、思わず手を伸ばすポールの背中に、鈴木・志乃(ブラック・f12101)は額に青筋を立てながら低い声で迫った。
「真 面 目 に 仕 事 し て 下 さ い ね ?」
「……ハ、ハイ」
 ゆっくりと振り返るポールに、志乃はなおも迫った。仕事を忘れて条約を忘れてペンギンの海へダイブしかねないポールを、笑顔の怒りを振りまいて止める。
 志乃の目線に、ポールは伸ばした手を名残惜しそうに引っ込める。でも何枚か写真を撮影するポールを確認した志乃は周囲を見渡した。
 雪と氷に覆われた南極大陸。南半球にあるため今の季節は春だが、気温は昼間でもマイナス5度。厳重な防寒服がなければとても来ることができない。
 調査を始めたポールを視界の端で確認しながら、志乃はユーベルコードを発動させた。
「想いよ、伝われ、浮かび上がれ」
 詠唱と同時に、右手がオーロラのような光となって消える。周囲の残留思念の存在を志乃へ伝える光で周囲を照らしていく。
 何か異変がないか。注意深く意識しながら第六感を働かせる志乃は、クレイシの近くにある氷山で手を止めた。
 小高い丘のようになっている氷山に、何か大きな思念があった。
 ペンギンに似てなくもない姿の怪物が、外をうろついているのだ。
 もっとよく見ようと意識を凝らした志乃の視界に、ポールがいた。
 自分の調査で、こちらの丘が怪しい。そう目算を立てたのは良いのだが、クレイシのかわいいペンギンたちの姿に理性のタガを外しかけたのだろう。
 カメラを手に腹ばいになって、器用な匍匐前進で撮影しながらペンギンの群れへと突進していく。
 5メートルのデッドラインを割り込もうとするポールのカメラの前に、志乃は思い切り立ちふさがった。
「そこに立ったら撮影できない……」
「本当のペンギン好きなら、ペンギンの生態系を脅かす行動なんてとりませんよねぇ?」
 ピキピキと青筋を立てる志乃の姿に、ポールはいじけたように両手の人差し指同士を突き合わせた。
「と、取らないよ何言ってるのかなハハハ! この辺にUDCの痕跡があったから調査をしていたんだよホラ!」
 ポールが指差した先を掘り返すと、そこに何かの文様が刻まれていた。何の意匠なのかは分からないが、ここで発見したということはなにかの意味があるのだろう。
 この文様が何を意味するのか。【朝焼け】の手を文様へ向けようとした時、ポールが手を出した。
「これとか、UDCの研究施設で時々見かける文様でね……」
「危ない!」
 不用意に出そうとした手を、志乃が引っ張る。ポールの指先が文様に触れた瞬間、分厚い氷がぼろりと崩れた。
 直径10センチほどの大きさに空いた穴は真っ黒な虚空に続いていて、今の所そこからは何の気配も感じられない。
 この穴にペンギンが落ちたら大変だ。注意しながら穴を塞ぎ、雪と氷で覆ったポールと志乃は、体重をかけてもへこまなくなった穴にホッと息を吐き出した。
 尻餅をついて心臓をバクバクさせるポールに、志乃は腰に手を当てた。
「仮にも何があるか分からない危険地帯なんだから、もうちょっと考えた行動とってもらわないと困るんですけどねぇ」
「ご、ごめんよ。つい」
 しょぼんとした様子のポールに、志乃は大きなため息をついた。UDCの遺跡があると分かっている場所だ。何かあってからでは遅いのだ。
「あ、今回の行動によってはポールさんの上司にかけあって、移動とか移籍とかも考えてもらった方が良いかもしれない! 名案!」
「そ、それは困る! もっと気をつけるから、ね!」
 ポンと手を打ち連絡しようとする志乃を、ポールが指を組んで拝み倒す。その様子に通信機をしまった志乃は、言い含めるように言った。ここでペンギンを傷つけたり、遺跡のトラップでポール自身が傷ついたりしては、それこそ取り返しがつかない。言うべきことは言うべきなのだ。
「ペンギンは目で愛でるに留める。いいね?」
「は、はい……」
 叱られた子犬のように体を縮めるポールに、志乃は大きくうなずいた。

成功 🔵​🔵​🔴​

榎木・葵桜
ペンギン天国…!
うわー、条約とかなかったら思いっきりもふもふするのに!
でも、私よりポールさんの方が居ても立ってもいられないかぁ
ポールさん、落ち着いて、ほら、遺跡調査がんばろー?

【WIZ】
ペンギンと遺跡の入り口はもしかしたら関係あるかもしれないよね
ペンギンの動き方を観察して【情報収集】を試みるよ
例えば一羽だけ別行動してる子がいないか、いる場合は何をしているのか気にしながら観察してみるね
ポールさんはペンギンの生態も詳しそうだから、行動の意味とか聞いてみたいな
【第六感】も駆使していい情報得られるように頑張ってみる!

必要に応じて【影の追跡者の召喚】
もし別行動してるペンギンが居たら、追跡してみるね



 もふもふの群れを目の前にした榎木・葵桜(桜舞・f06218)は、その愛らしさに目を輝かせた。
「ペンギン天国……! うわー、条約とかなかったら思いっきりもふもふするのに!」
 柔らかな毛並みの赤ちゃんペンギンは、触ったらきっとものすごくもふもふだろう。もふもふを前に思わず頬が緩む葵桜は、叱られてしょぼんとしながらもペンギンの写真を撮るポールを振り返った。
 調査の合間にペンギン撮影欲を満たすポールの肩を、葵桜はぽむ、と叩いた。
「ポールさん、落ち着いて、ほら、遺跡調査がんばろー? UDCが現われたら、このペンギン達もただじゃいられないんだから!」
「……そ、そうだね! ペンギン達を守れるのは僕たちだけなんだ!」
 そのことに思い至ったポールは、気をとりなすと立ち上がった。
 大人しく周囲の調査を始めるポールを見守りながら、葵桜もまた調査を開始する。今回発見されたUDCの遺跡は、コウテイペンギンの繁殖地にほど近い。これに何か意味があるのだろうか。
 もふもふの群れが足元に近寄ってくる。その愛らしさに頬を緩めながらも葵桜は調査を開始した。
 ペンギンの群れの動きを注意深く観察する。どんな動きをしているのか、その動きに何か意味があるのか。
 一羽だけ別行動してる子がいないか、いる場合は何をしているのか。
 気にしながら観察していた葵桜は、ふと興味深いことに気がついた。
 ここのクレイシのペンギン達は、どの子も皆人懐っこい。元々天敵がいないという理由で南極大陸の奥地まで移動するのだ。敵として認識していないだけかも知れないが、それにしても猟兵達に対して好奇心全開にして近寄ってくるのはおかしくはないか。
「ねえポールさん。ペンギンの赤ちゃんって、こんなに人懐っこいのかな?」
「元々天敵がいないからね。撮影中に寄ってきて、カメラを占拠されるっていうパラダイス……もといハプニングもしょっちゅうさ。それにペンギンは集団で行動することで危険を察知して生き延びてきたから、最初の一羽の後をついていくことで安全を確保しているんだ。二足歩行の人間は、大きいペンギンとして認識されているのかもね」
「そうなんだ。……あれ?」
 立て板に水とばかりに喋りだすポールに少し圧倒された葵桜は、ふと気配を感じて振り返った。
 一羽のペンギンが、誰もいない空間に向けてよちよち歩き出している。一羽に続いて他のペンギンも、何もいない空間に向かって歩き出したようだ。
 その様子に不安を覚えた葵桜は、【影の追跡者の召喚】を放った。
 召喚された影の追跡者は、音もなくペンギン達の後をついていく。視界を影の追跡者と共有した葵桜は、丘の先にいる丸みを帯びた影に眉をひそめた。
 シルエットは丸みを帯びながらも縦に細長く、遠目にはペンギンのように見えなくもない。だが、ペンギンとは明らかに違っている。もっとよく観察しようと眼をこらすが、現れた異形はあまりの寒さに耐えかねたようにふいに姿を消す。
 いなくなった影にきょとんとする赤ちゃんペンギンの許へ向かった葵桜は、異形が消えた場所を調査した。
 そこには、複雑な文様が描かれていた。ポール達が発見したのと同じ文様が彫られた氷から、異形の何かが飛び出し、外気の寒さにまた戻った。
 そうとしか考えられなかった。
「この文様、なんだろう……?」
 嫌な予感を感じた葵桜は、ペンギン達を先導してクレイシに戻すと仲間たちに報告した。

成功 🔵​🔵​🔴​




 次回プレイング受付は、9月13日(金)朝8:30から9月16日(月・祝)の朝8時30分までとさせていただきます。
 期間外のプレイングは流れる可能性が高いです。すみませんがよろしくお願いします。
アイシャ・ソルラフィス
尚くん(f01298)と一緒に参加。

わわっ! 尚くん! ペンギンさんだよ! ペンギンさんっ!!
かわいーっ♪ ねぇポールさん。一羽くらい連れて帰っちゃダメかなぁ?
ダメ? やっぱり?

【動物と話す】の技能を持っているので、断腸の想いで、だんちょーの想いで! ペンギンさんから5メートルの距離を保ったまま(…もっと近寄りたいのに…/涙)、ペンギンさんとの会話を試みます。

ポールさんと尚くんに通訳して、会話内容の意見を交わしつつ、なにかおかしな会話がなかったか話し合ってみたいと思ってます。

尚くん! ペンギンさんとの会話中は、周囲の警戒をよろしくね~♪


日野・尚人
あーちゃん(f06524)と参加

ああ、ペンギンだな・・・って、ダメだからな!
おっさんも分かってるだろうけど本っ当にダメだからな!
(ポールさんの拗らせっぷりに気づけばいつの間にやらおっさん呼ばわり)



あーもう、分かったよ。
あーちゃんがペンギンに話を聞くって言ってるからちょっとくらいは大目に見る。
通訳ありとはいえペンギンと会話出来るんだ。
その分、調査の方も気合入れてしっかり頼むぜ?

周囲への警戒なら任せとけって♪
<先制攻撃><見切り><ダッシュ><早業><武器受け>は常に意識しておく。
何かあった時に即反応出来なきゃ守るものも守れないからな。

あ、変な文様を何処かで見掛けなかったか聞いてみてくれよ?




 クレイシでひとかたまりになっているペンギン達の姿に、アイシャ・ソルラフィス(隣ん家の尚くんを毎朝起こす当番終身名誉顧問(願望)・f06524)は目を輝かせた。
 ふわもこな毛に覆われた丸みを帯びた体を時折動かしながら、隣のペンギンと話をするように羽をぱたつかせる。
 その様子に目を輝かせたアイシャは、二羽のペンギンを指差しながら隣の日野・尚人(あーちゃんの早朝襲撃に断固抵抗する会終身(?)会長・f01298)の袖を引っ張った。
「わわっ! 尚くん! ペンギンさんだよ! ペンギンさんっ!! かわいーっ♪」
「ああ、ペンギンだな……って、ダメだからな!」
 ついフラフラとクレイシに引き寄せられるアイシャの腕を掴んだ尚人は、やはりペンギンの重力に逆らえないポールに指を突きつけた。
「おっさんも分かってるだろうけど、本っ当にダメだからな!」
「分かってるさナオト。ペンギンは見るだけ。見るだけで、ぼかぁ幸せだなぁ」
 鋭い声で制止されたポールは、年下におっさん呼びされたことにも気付かずぎくりと肩を強張らせると尚人を振り返る。アメリカンに肩を竦めながらも滂沱の涙を流すポールの目を、アイシャは上目遣いで覗き込んだ。
「ねぇポールさん。一羽くらい連れて帰っちゃダメかなぁ?」
「もちろん! こんな可愛いペンギンが毎日でむかえてくれるなんて天国……」
 欲求のままに両手を上げるポールは、ギロリと睨む複数の視線に、しおしおと肩を落とした。
「……だけど、天国は外から眺めるのが一番さ」
「ダメ? やっぱり?」
 がっくりと肩を落としたポールを、別の猟兵が引きずって探索へと連れて行く。
 その背中を見送るアイシャの姿に、尚人は頭を掻きながらため息をついた。
「あーもう、分かったよ。あーちゃんがペンギンに話を聞くって言ってるからちょっとくらいは大目に見る」
「ホント?」
 目をキラキラさせたアイシャが、尚人の目を覗き込む。その視線に少し照れながら、尚人はクレイシの方を見ながら親指を立てた。
「通訳ありとはいえペンギンと会話出来るんだ。その分、調査の方も気合入れてしっかり頼むぜ?」
「任せて!」
 親指を立て返したアイシャは、クレイシの方へ近づくと視線を合わせるようにしゃがみこんだ。
 ペンギンを連れて帰れない。自分から触ってはいけない。
 ペンギンと会話してはいけいない、という条約は無いが、群れを乱さないというのはある。
 これは物理的に遮って群れの進行を妨げないという意味なのか、群れの秩序を乱してはいけないということなのか。
 だが、会話してはいけいない、という条文が無い以上言葉に気をつければ大丈夫。
 だから! 触るのは諦めたんだから断腸の想いで、だんちょーの想いで! アイシャはペンギンに話しかけた。
「ペンギンさんペンギンさん! ちょっとお話しませんか?」
 アイシャの呼びかけに、三羽の赤ちゃんペンギンが顔を上げた。何か何かと周囲を見渡すと、アイシャの存在に気づいたのかぺちぺちと歩み寄ってくる。
『なに? なに?』
『おおきいペンさんは、どこのこのママペンさん?』
『おなかすいたー』
 口々に言いながら無防備にアイシャに近寄った赤ちゃんペンギンは、アイシャの足にすり寄ると好奇心いっぱいに見上げてくる。
 服越しでも感じるふわもこな感触に、感激の笑みを浮かべたアイシャは思わず至近距離の赤ちゃんペンギンを撮影する。
 ペンギンの方から近寄ってきたのだ。南極条約には違反しない。思いっきりぎゅってしたい衝動を我慢しながら、アイシャは赤ちゃんペンギンに尋ねた。
「ね、ねえ。最近この辺でおかしなこととかない? 変な動物が出てくるとか」
『へんなどうぶつ?』
『おおきいペンさんも、へんなどうぶつ?』
『パパペンさんとママペンさんは声でわかるけど、よそのパパペンさんとママペンさんはわかんない』
 口々に言い合うペンギンの言葉を、通訳して尚人に話す。
 アイシャの通訳に頷いた尚人は、油断なく周囲を警戒する。
 何かあった時に即反応出来なきゃ守るものも守れない。そんな思いでコンバットナイフを握り締めた尚人は、視界の端に見えた異形に氷を蹴った。
「アイシャ!」
 鋭く声を掛けた尚人は、氷を蹴りながら矢のように駆け抜ける。
 ふいに現れた、丸みを帯びた異形の姿。先制攻撃を仕掛けるべくダッシュした尚人は、早業を駆使して異形に斬りつけた。
 だが、距離があり遮蔽物もない氷の大地では駆け寄る尚人の姿は異形の者にも認識が容易だ。尚人のコンバットナイフが異形のいた場所を裂いた時、既にそこに異形の姿はなかった。
 消えた異形の足元を調査する。そこには魔法陣があった。
 仲間が見たという、複雑な意匠の魔法陣。これが何を意味するかは分からなかったが、異形の出現と無関係ではあり得ないだろう。
「アイシャ。変な文様を何処かで見掛けなかったか、聞いてみてくれよ」
「う、うん」
 赤ちゃんペンギンを守るように警戒したアイシャは、振り返ると赤ちゃんペンギンに尋ねた。
「ねえ、氷の上でへんな模様を見なかった?」
『へんなもよう?』
『たまにみるよ』
『そこから、よそのパパペンさんやママペンさんがかえってくるの』
『ついていった子たちはね、かえってこないの』
『あのもようが海なのかな?』
 口々に言い合う赤ちゃんペンギン達に、アイシャは表情を強張らせた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

月山・カムイ
……寒い、さすがは南極といったところですか
ちゃんと着込んでないと、死ねますね

しかしペンギンですか、初めてみました(十分に離れた位置からスマホのカメラで撮影しつつ)
彼らの安寧の為にも、遺跡をしっかり調べないと、ですねぇ

無空跳躍を利用しつつ、上空からの遺跡全体像の確認や他から何かが近寄って来ていないかの偵察を行う
なお、跳んでる間は非常に寒いが我慢しましょう

基本的に目視での確認となりますが、双眼鏡位は用意したほうがいいですね
なんでしたら、遺跡内部の先行偵察なんかも行えますが、如何しましょうか?
虎穴に入らずんば虎子を得ず、ともいいますし

そんな具合に、縦横無尽に偵察を行う


水貝・雁之助
んー、南極条約がなければ直接話を聞くんだけどねえ
まあ、保護する為にも其の辺は厳守しないと仕方ないよねえ

あ、職員さんなんだし、しっかりと公私の分別は付けないと、だよ?
やらかして巻き込まれたらペンギンもひとたまりもないんだしね?

ありゃ僕を大きなペンギンか何かと勘違いしたのかな?
危ないから近付いちゃ駄目なんだなー


UCで悉平太郎を呼びだし襲撃の可能性に備えつつ南極という『地形の利用』を
自分が行い『拠点防御』のしやすい場所を作るとしたら何処の辺りに建てて
いくか、部下等を住まわせる場所、使役する邪神の眷属を住まわせる場所等を
何処に作成するかを南極の地形を実際に目にして分析しながら考察

遺跡の入口を探索する




 時は少し遡る。
 ポールをペンギン達から引き剥がして遺跡の入り口の捜索を始めた水貝・雁之助(おにぎり大将放浪記・f06042)は、名残惜しそうにペンギンのクレイシを振り返った。
「んー、南極条約がなければ直接話を聞くんだけどねえ。まあ、保護する為にも其の辺は厳守しないと仕方ないよねえ」
「あぁぁペンギンとお話……。そんなことができるのかい?」
「あ、職員さんなんだし、しっかりと公私の分別は付けないと、だよ? やらかして巻き込まれたらペンギンもひとたまりもないんだしね?」
「ハイ。ガンバリマス」
 雁之助に引きずられながら遺跡探索を始めたポールに、雁之助はしっかりと釘を刺す。こくこく頷くポールと一緒に場所を移動した雁之助は、吹き付ける風の冷たさに体を竦める月山・カムイ(絶影・f01363)と合流した。
「……寒い、さすがは南極といったところですか。ちゃんと着込んでないと、死ねますね」
 ここは世界で一番寒い大陸の、更に内陸部。強力な防寒具がなければすぐに凍死してしまうのだ。
 支給されたコートの襟元を合わせたカムイは、振り返った先にいる赤ちゃんペンギン達が作るクレイシを振り返ると思わず目元を緩ませた。
 十分に離れた位置から、スマホのカメラで撮影。ペンギンの姿を収めたスマホをしまったカムイは、雁之助とポールと共に周辺の状況を確認した。
「しかしペンギンですか、初めてみました。彼らの安寧の為にも、遺跡をしっかり調べないと、ですねぇ」
「本当にそうだね。じゃあ作戦を立てようか」
 現在発見された、怪しい文様は三箇所。正確な位置を地図に落とし込むと、緩く弧を描いているのが分かった。
 周辺の地形と合わせて、雁之助は頭をフル回転させる。
 もし自分が敵だったら。南極という地形を利用して拠点防御しやすいのはどこだろうか。
 何処の辺りに建てていくだろうか。
 部下等を住まわせる場所は? 使役する邪神の眷属を住まわせる場所は?
 様々な条件を照らし合わせた雁之助は、わずかに窪地になっているポイントを指差した。
「僕だったら、ここに拠点を置くんだな。周囲より低くて雪が積もりやすいけどそれがカムフラージュになるし、強烈な風をしのぎやすいし。拠点があるならきっと地下。それしか考えられないんだな。それに、例の文様が円を描いているなら、ここが中心点なんだよ」
「そうだね。あの文様は複数組み合わせて、中央の何かを封印するためによく使われているからね」
 肯定するポールに、カムイは頷いた。
「よし、じゃあ俺が偵察に行ってくる。この中心地から何が出てくるか分からない。雁之助はペンギン達を守れるように拠点防御を頼む」
「了解したんだなー」
 頷く雁之助に頷き返したカムイは、軽くしゃがんで反動をつけると【無空跳躍】を発動させた。
 宙を蹴り、上空を駆ける。遮蔽物のない上空は風が強く、体感温度は底なしに下がっていく。
 凍えるような風を受けながらも、カムイは上空から周囲の地形を確認した。
 遺跡のような、大きな建物や洞窟の入り口は確認できない。だがこの地下には何かあるのだ。少なくとも大きな空洞が。
 吹き付ける風をいなしながら宙を駆けるカムイは、広く周囲を見渡した。大外から何かが近寄ってくる可能性も考えたが、今の所地平線は白く煙るばかりで異変は感じられない。
 ならば地下か。そう判断したカムイは、周囲への警戒をしつつ双眼鏡で地上を覗き込んだ。
 双眼鏡から覗き込む限りでは、窪地は雪に覆われて何も変わった様子は確認できない。
 上空からの目視では限界を感じたカムイは、中心地点付近に降り立つと警戒しながら雪を払った。
 そこには、複雑な意匠の魔法陣が描かれていた。
 仲間が発見した魔法陣よりも大きな図形が、氷の上に描かれわずかな光を放っている。
 これが遺跡の入り口か、もしくは大きな手がかりに違いない。一旦仲間と合流して再確認した方がいいだろう。そう判断したカムイが跳躍しようと足に力を込めた瞬間、足元が崩れた。
 氷が割れるような高い音を立てた魔法陣は、全体にヒビが入った瞬間一息に割れた。
 飛び退いて安全を確保したカムイは、現れた遺跡の入り口に息を呑んだ。
 覗き込んだ先は、緑に覆われていた。
 直径十メートルほどの大きさに空いた穴の奥からは生温かい風が吹き上げてきて、外気の冷たさに冷やされていく。
 突然開いた遺跡の入り口に、異形の影が躍り出た。
 大きくジャンプして氷原に降り立った異形の影は、ペンギンとは似ても似つかない姿をしていた。
 象の鼻のような脚(?)を持った、逆立ちしたネズミのような姿をした異形は、警戒するカムイには目もくれず、ペンギンのクレイシの方へと近づいていく。
 同時に、大きな鳴き声が響いた。
 どこから声を出しているのか。グオ、ともガア、ともつかない鳴き声を上げながら、雁之助の拠点防御の方へと近づいていく。
 同時に、防壁の向こう側から愛らしい鳴き声が聞こえてくる。
 親ペンギンが帰ってきたと勘違いしたのだろう。嫌な状況に、カムイは駆け出した。


 危険なエリアからペンギン達を守るように氷で防壁を築いていた雁之助は、聞こえてくる鳴き声に振り返った。
 この鳴き声は、聞いたことがある。嫌な予感に周囲の警戒に当たらせていた悉平太郎を呼び戻した雁之助は、背中を撫でると防壁を指差した。
「あの向こうに敵がいるかもなんだな! カムイと合流して警戒を頼むんだな!」
 ひと吠えで了解を伝えた悉平太郎は、氷を蹴ると一足飛びに氷の防壁の向こう側へと消えていく。
 悉平太郎の背中を見送った雁之助は、足元に感じるふわもこの団体に思わず一歩下がった。
 クレイシにいた赤ちゃんペンギン達が、防壁の向こう側から聞こえてくる親ペンギンの鳴き声に向かっているのだ。
『パパペンさんおかえりー!』
『おなかすいたー』
『ごはんーごはんー』
『さみしかったー』
「わわ! 待って! あの声は君たちのパパペンさんやママペンさんじゃないよ! 危ないから近付いちゃ駄目なんだなー」
 慌てて押し留めようとする雁之助だったが、南極条約のためこちらから触ることはできない。
 雁之助の体をよじ登って拠点防御の壁を乗り越えようとするペンギンの赤ちゃんに、必死の説得を試みる。
 足元を埋め尽くすふわもこの塊を感じながら赤ちゃんペンギン達を何とか説得した雁之助は、駆けつけた仲間の力も借りて拠点防御の範囲を赤ちゃんペンギン達が容易に乗り越えられないものに強化する。
 これでしばらくは持つ。そう判断した雁之助は、拠点防御を乗り越えると戦場へと駆けつけた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ミツオトビミミゾウハナアルキ』

POW   :    ハナアルキ達のパレード
自身からレベルm半径内の無機物を【ナゾベーム等の多様な種類の鼻行類達の大群】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
SPD   :    空を駆けるは巨大なる象の耳
【耳が巨大化した高速飛行形態】に変形し、自身の【防御力】を代償に、自身の【飛行速度と反応速度】を強化する。
WIZ   :    幾多の命魅了せしは蜜放ちし尾の香り
【尻尾の花】から【あらゆる命を魅了し洗脳する香り】を放ち、【其の抗いがたい香り】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 突如開いた空洞から現れた異形の存在は、ミツオトビミミゾウハナアルキと呼ばれるオブリビオンだった。
 ミツオトビミミゾウハナアルキは、親ペンギンに似た声で赤ちゃんペンギンを呼ぶ。
 それに呼応するように異形に近づこうとする赤ちゃんペンギン達を拠点防御の氷壁で守った猟兵達は、氷原へと躍り出た。
 顕になった遺跡の入り口から、次々に現れる異形の存在。
 赤ちゃんペンギン達がこちらへ来ないと悟ったミツオトビミミゾウハナアルキは、猟兵たちへ敵意を剥き出しにすると襲いかかってきた。
 ここでこの異形を全滅できなければ、ペンギンのクレイシは全滅してしまうだろう。
 襲い来るミツオトビミミゾウハナアルキの群れを前に、猟兵達はそれぞれの得物を構えた。


 次回プレイングは9月20日(金)朝8:30~9月22日(日)朝8:30までとさせていただきます。
 ロスタイムもありますが、期間外のプレイングは流れる可能性が高いです。
 よろしくお願いします。
暁・碧(サポート)
『今日も頑張ってこー』
妖狐の剣豪 × 妖剣士
年齢 16歳 女
外見 143.8cm 赤い瞳 白い髪 色白の肌
特徴 胸が小さい 八重歯 長髪 マイペース
口調 女性的(私、~くん、~さん、だね、だよ、だよね、なのかな? )
怒った時は おこ(私、あなた、呼び捨て、だね、だよ、だよね、なのかな? )



鈴木・志乃
ミツオトビミミゾウハry
言いにくいな名前!!!

UC発動
【祈り、破魔、歌唱、全力魔法、衝撃波、なぎ払い、オーラ防御】
ポオオオオオオオオル!!!
寝ぼけてんじゃなあああああい!!!
ペンギンが好きなんじゃなかったのかお前ぇぇええええ!!!

ゾウなのかハナなのかなんなのか分からんやつに
お前の感情もってかれてんじゃねぇよっ!!

此方に致命的な攻撃は第六感で見切り光の鎖を念動力で操り早業武器受けからのカウンターなぎ払い
ロープワークでその鼻縛り上げてやろうか(真顔)

しかし危ないな名前に反して攻撃がなかなかに酷い性能だ
一瞬でも意識もってかれたらやられる……っ




 敵意も顕に襲い来るオブリビオンの姿に、ポールは目を見開き叫んだ。
「あれは、ミツオトビミミゾウハナアルキ!」
「ミツオトビミミゾウハ……言いにくいな名前!!! こいつはなんだ?」
 聞き慣れない長い名前に、鈴木・志乃(ブラック・f12101)は思わず聞き返した。
「ミツオトビミミゾウハナアルキです! かつて邪神の遊び場と呼ばれた、伝説のハイアイアイ島の交配実験で生まれたと言われる鼻行類のキメラで……」
 解説を始めたポールは、風に乗って漂ってくる甘い花の香りに目をトロンとさせた。
「ペ……ペンギン達が! ペンギン達が呼んでる! 彼らの周囲は温帯並にあったかいから、南極条約はノーカンだって」
「え? ち、ちょっと!」
 目の前にいる丸みを帯びたシルエットのハナアルキ達に向けて、ポールがフラフラと歩き出す。鈍重なスーツの足をペンギンのように動かしながらまっすぐにハナアルキ達へと駆け寄っていくポールを止めようと、手を伸ばした時だった。
 同時に感じる、甘い匂い。ハナアルキの花状になった尻尾から流れてくる甘い匂いに、志乃の脳裏もくらりと揺すられる。
 心を侵食するような甘い香り。目の前にいる異形の魔物が耐え難いほど尊く、美しいもののように思えてきてならない。
 動きを止め、ポールの背中を見送った志乃を現実へと引き戻したのは、皮肉にも洗脳の香りそのものに対する疑問だった。

『This is what we are. ワタシハワタシ。イマノ ワタシハ ホントウノ ワタシ?』

「ーー否!」

 両手を握り締めた志乃は、拳を開くと両頬を叩く。痛みで晴れる視界と思考に、志乃は大きく息を吸った。
「ポオオオオオオオオル!!!」
 空気をビリビリと響かせる志乃の叫びに、一目散にハナアルキ達の方へと歩み寄っていたポールの足が止まる。
「寝ぼけてんじゃなあああああい!!! ペンギンが好きなんじゃなかったのかお前ぇぇええええ!!!」
 呪詛を祈りに変え、味方には癒しとなる叫びが南極の空に響き渡る。志乃の叫びに足を止めたポールは、戸惑ったように志乃とハナアルキを見比べる。
「え……そういえば、ペンギンの鼻はこんなに長く……」
「危ない!」
 正気に戻ったポールの腕に、鞭のようにしなるハナアルキの尻尾の花が迫る。強引に引き寄せようとするハナアルキの尻尾の花に、光の鎖が巻き付いた。
 念動力で操作された志乃の光の鎖がハナアルキを怯ませる。その後ろから現れたハナアルキが、ポールを捕らえようと大きな鼻をしならせジャンプする。
 舌打ちした志乃が氷を蹴る。ハナアルキの甘い香りに囚われた一瞬分だけ間に合わない。
 逃げるポールの背中にハナアルキの牙がかかる寸前、炎が駆けた。
「焼き尽くせ――!!」
 氷を蹴り駆けつけた暁・碧(妖狐の女子高生・f00059)が放つ【蒼炎の朱雀】が、ハナアルキを包み込み焼き尽くす。
 蒼い朱雀が広げた大きな羽はそのまま宙を駆け、ポールを捕らえようと迫るハナアルキ達を飲み込んでいく。
「可愛いペンギンさん達を、連れて行かせやしないんだから!」
 怒りと共に氷を蹴った碧は、宝刀・天羽々斬を抜刀するとまだ残るハナアルキに斬りかかる。
 一撃とも思える素早い2回攻撃で敵を沈めた碧に、ハナアルキ達のパレードが迫った。
 周囲は何もない氷原。変換できる無機物は少なく、召喚された多様な種類の鼻行類達の数は多くない。だが見たこともない奇妙な姿の逆立ちする生物達は、牙で尻尾で碧に迫る。
 襲い来る牙を、鞭のような尻尾を第六感で避けた碧は、避けそこねた一撃にも怯まず宝刀・天羽々斬を握り締めた。
「おもしろ動物大集合は、お呼びじゃないんだからね!」
 振るわれる一撃がハナアルキ達を薙ぎ払い、できた隙に再び【蒼炎の朱雀】を叩き込む。
 増え続けるナゾベーム等の多様な種類の鼻行類達を、その都度朱雀が焼き尽くす。
 拮抗する戦況に、志乃はポールを思い切り引き寄せた。
 尻餅をつきながらも、まだハナアルキの方へ向かおうとするポールの胸ぐらを掴んだ志乃は、ポールの魂に向けて叫んだ。
「ゾウなのかハナなのかなんなのか分からんやつに、お前の感情もってかれてんじゃねぇよっ!!」
 祈りを込めた志乃の叫びに、ポールはハッとした様子で立ち上がった。志乃と同じく自分の頬を叩こうとするが、宇宙服のようなヘルメットに阻まれて鈍い音を立てる。
 だが気分は変わったのだろう。改めてハナアルキ達を見たポールは、ゆっくり後ずさるとシノの背中に語りかけた。
「……シノの言う通りだ。あんなのはペンギンじゃない! ここは頼んだ!」
「もちろん!」
 後方へ退避するポールに振り返りもせず答えた志乃は、襲い来るハナアルキ達の攻撃を武器受けで受け止めながらカウンターを仕掛ける。
 志乃が放った光の鎖が、ハナアルキの鼻に巻き付く。ロープワークで縛り上げる勢いそのままに光の鎖を引き寄せた志乃の動きに、ハナアルキが勢いよく転倒する。
 そこへ一撃。ハナアルキを倒した志乃は、続く動きでハナアルキ達になぎ払いを仕掛けた。
 攻撃を第六感で避けた志乃は、真顔でハナアルキ達を睨みつける。
 戦列に戻った碧とアイコンタクト。頷きあった二人は、次から次へと湧いて出るハナアルキの大群を迎え撃った。
 碧が広範囲に攻撃を仕掛け、召喚されたナベゾーム達ごと焼き尽くし、炎を抜けた個体を志乃が各個撃破する。
 時折漂ってくる甘い香りは、頭を振って追い払う。時折手を止めてしまっても、仲間がフォローしてくれる。
「しかし危ないな。名前に反して攻撃がなかなかに酷い性能だ。一瞬でも意識もってかれたらやられる……っ」
 だが心は自由だ、どこにでも行ける。志乃達は自由に生きていける!
 心に刻まれた詠唱を心の支えに、志乃はユーベルコードを放った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アイシャ・ソルラフィス
引き続き尚くん(f01298)と一緒に参加。
WIZで行動予定

ちょっとちょっと!
推定、あなたについていった赤ちゃんペンギンさんたちは何処へやったの?!
返答次第じゃ容赦しないんだからね!

まずポールさんはボクの後ろにいてもらって
『守護の祈り』で尚くんの戦闘力を強化しつつ
【香り攻撃】は、ボクの《全力魔法》《属性攻撃》による風属性魔法で、ボク、尚くん、ポールさんを3人とも防御します
尚くんは、ボクたちの方にハナアルキが来ないようにしてね

もしもハナアルキが尚くんを突破してボクたちの方に来たら、ボクが『エレメンタル・ファンタジア』で迎撃するので、尚くんはボクの予期せぬ『嵐の中の犠牲者』にご注意ください


日野・尚人
あーちゃん(f06524)と行動【WIZ】

ちびペンギンたちを呼び集めてた目的は分からないけどそこまでだ!
もふもふを守る・・・じゃなかった。
遺跡を調査するために蹴散らさせてもらうぜ!

まずは≪トリニティ・エンハンス(防御力)≫を発動!
逆巻く風の防護壁でヤバそうな花の香りを防ぐ。

接敵する前に<先制攻撃>でハンドガン(魔力で操った<誘導弾>)を連射!
リロードは<早業>!
その後は<2回攻撃><フェイント><零距離射撃>で斬撃と銃撃の近接格闘!
化物の攻撃は<見切り><武器受け>で往なして<カウンター>!

あーちゃんとおっさん(ポール)のピンチには<ダッシュ>で駆け寄り<かばう>!
ん?何か・・・嫌な予感、が?




 こちらに退避してくるポールと合流したアイシャ・ソルラフィス(隣ん家の尚くんを毎
朝起こす当番終身名誉顧問(願望)・f06524)は、戦線を抜けて襲い来るハナアルキ達との間に割って入った。
 ポールを守護するようにハナアルキとの間に立ちふさがったアイシャは、放たれる尻尾の花の甘い香りに眉を潜めた。
 嗅いでいるだけでくらくらするような、甘い蜜の香り。飛びそうになる意識を叱咤するように、アイシャは風の魔法を詠唱した。
 同時に風が吹き荒れた。アイシャが放つ全力風属性魔法が甘い香りを拡散させ、同時にハナアルキ達を薙ぎ払う。
 吹きすさぶ風は体感気温を思い切り下げるが、厳重な防寒着と根性でなんとか凌ぐ。
 風で吹き飛ばされる甘い香りに意識をはっきりと保ったアイシャは、同じくポールを守るように展開していた日野・尚人(あーちゃんの早朝襲撃に断固抵抗する会終身(?)会長・f01298)を振り返った。
「ポールさんは任せて。尚くんは、ボクたちの方にハナアルキが来ないようにしてね」
「了解!」
 大きく頷いた尚人は、【トリニティ・エンハンス】を詠唱した。
 自らの周囲に風の魔法を纏い、甘い香りを吹き飛ばす。風の鎧を纏った尚人は、アイシャの風魔法の合間を縫って迫るハナアルキに、銃弾を放った。
「ちびペンギンたちを呼び集めてた目的は分からないけど、そこまでだ!」
 ハンドガンから誘導弾を発射した尚人は、で纏った風の防御魔法で甘い香りを防御しながら、なおもハンドガンを連射した。
「もふもふを守る……じゃなかった。遺跡を調査するために蹴散らさせてもらうぜ!」
 決意を新たに叫んだ尚人は、連射で軽くなるハンドガンを早業でリロードし、なお連射。ハナアルキ達の体に次々に風穴を開けていく。
 それでも抜けてきたハナアルキが、鋭い牙で尚人を襲う。
 ハンドガンから右手を離した尚人は、咄嗟に構えたコンバットナイフで牙を受け止めると、左手のハンドガンをハナアルキに向けた。
 直後に放つ零距離射撃。蜂の巣になって崩れるハナアルキを振り払った尚人は、なおも襲い来るハナアルキにコンバットナイフを振り抜く。
 その時、鋭い声が響いた。
「尚人!」
 アイシャの声に振り返った尚人は、防衛ラインを抜けてポールとアイシャに襲いかかろうとするハナアルキに氷を蹴った。
「あーちゃん! おっさん!」
 叫びと共にダッシュした尚人のコンバットナイフが、ハナアルキを切り裂く。隙を作り潜り込んだ尚人は、二人を守るように立つと改めて得物を構えた。
「二人はやらせねぇ! 俺が相手だ!」
 二人を庇い立つ尚人の姿に、ハナアルキ達は再び声を上げた。
 グオ、ともグア、ともつかない太い声が戦場に響き、それに呼応した赤ちゃんペンギンの愛らしい鳴き声が再び騒ぎ出す。
 その声に、アイシャはふつふつと湧き上がる不安に上ずった声を上げた。
「ちょっとちょっと! 推定、あなたについていった赤ちゃんペンギンさんたちは何処へやったの?! 返答次第じゃ容赦しないんだからね!」
 アイシャの叫びに、ハナアルキ達は答えない。ついていった赤ちゃんペンギン達がどうなったのか。今は知る術はない。
 ハナアルキ達の巣で生きていてくれることを願う気持ちを嘲笑うかのように、アイシャは一頭のハナアルキの牙に目を見開いた。
 そのハナアルキの牙に、銀灰色の毛皮が引っかかっている。外気の冷たさに凍りついているが、血のような赤も見て取れた。
 白い世界の鮮やかな赤に、アイシャは目の前が真っ赤になった。
 親ペンギンと間違えて近づき、あの甘い香りに囚われてしまった赤ちゃんペンギン達。この酷寒の地で育てた赤ちゃんペンギンを失った親ペンギン達の心痛はいかほどだろう。
 もしこれが、南極の自然の厳しさ故の悲劇ならばまだ許せた。ナンキョクオオトウゾクカモメなどの天敵に襲われるのも仕方がない。
 だが、こいつらは違う。何らかの力で現れた過去の残滓。自然に生まれたものではないし、生きるために食べるという訳でもないのだ。
 アイシャは怒りの中でユーベルコードを詠唱した。
 気配を背中で感じた尚人は、迫る圧に恐る恐る振り返った。
「ん? 何か……嫌な予感、が?」
「あなた達……絶対に許さない!」
 叫んだアイシャは【エレメンタル・ファンタジア】を発動させた。
 威力を重視し、暴走を恐れずに放たれる氷の嵐が【嵐の中の犠牲者】となり尚人を吹き飛ばす。
 暴風に弾かれて宙を舞った尚人は、怒りに顔を曇らせるアイシャの姿に何があったか概ねを察した。
 嵐に乗り宙を舞った尚人は、上空でハンドガンを構えるとハナアルキへ向けて銃弾を発射した。
 今まで幾度かふっとばされてきた気がするが、今度ばかりはこの状況に感謝だ。
「俺もあんた達を許さねぇ!」
 暴風と共にハナアルキを蹴り飛ばしながら着地した尚人は、風の勢いを背にコンバットナイフを振り抜いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

月山・カムイ
鼻行類が出てくるとは、予想外過ぎるのですけど?
ハイアイアイ群島と共に滅びた……というフィクション上の生物でしたっけか
遺跡と思しき中の様子を鑑みると、この寒さにやられそうですがソレまでにペンギンが巻き込まれると困りますね
残念ですが、駆除すると致しましょうか

出てくる鼻行類や、パレードにより増やされた大群を射程範囲内に入る端から、斬り捨てていく
使用するユーベルコードの利点として、攻撃対象を選べるので、ペンギンや猟兵達への誤射をしないよう選んで戦う
高速飛行する個体は動きを見切りカウンターで切り捨てる

しかし、遺跡内は暖かかったですがまさか、地球空洞説なんかに繋がりませんよね?
少しだけ不安そうに呟く


榎木・葵桜
親ペンギンのフリだなんて何だか嫌な感じ
あなた達が何考えてるかは知らないけど、思うようにはさせないよ
赤ちゃんペンギン達の安全確保はもちろんだけど
ポールさんにも手出しはさせないんだから!

【サモニング・ガイスト】使用
田中さんと一緒に、ポールさんの守りを中心に動くね

【戦闘知識】【情報収集】【第六感】を駆使して
敵の攻撃の【見切り】を頑張ってみる

基本は見切って攻撃を受け流すつもりだけど
万一の場合は、【激痛耐性】【呪詛耐性】活用して、身体を張ってかばうね

守りの手が足りてるようなら
田中さんや他の仲間におまかせして
私は、敵の数を減らすことに集中するね
近接なら【なぎ払い】、遠距離なら【衝撃波】で攻撃仕掛けていくよ




 ほうほうの体で逃げてきたポールを追いかけるハナアルキを【無響剣舞・絶影】で倒した月山・カムイ(絶影・f01363)は、なおもポールを追って戦線を回り込んでくるハナアルキの姿に驚きの声を上げた。
「鼻行類が出てくるとは、予想外過ぎるのですけど?」
「僕も予想外だよ。彼らは熱帯から亜熱帯に生息していたと言われている生物だからね」
「ハイアイアイ群島と共に滅びた……というフィクション上の生物でしたっけか。遺跡と思しき中の様子を鑑みると、この寒さにやられそうですが……」
 カムイの問いに、ポールは頷いた。
「連中はオブリビオン。体質が変わっていてもおかしくはないし、それにさっき間近で見た時、ハナアルキの周囲があったかかったんだよ」
「あったかかった……?」
 首を傾げるカムイに、ポールは頷いた。
「そう。このマイナス40度の極寒の世界の外気から守るような、結界のようなものを纏っているとしか思えない。それに見て」
 ポールが指差したのは、戦線の奥にある遺跡の入口だった。
 ぽっかりと口をあけた穴からは熱気が漂っているように見えた。陽炎のようにゆらめく暖気は南極の大気を温め、氷を徐々に溶かしている。
 まるで、遺跡内部の熱気が外に漏れ出しているかのような光景にカムイは少しだけ不安そうに呟いた。
「遺跡内は暖かかったですがまさか、地球空洞説なんかに繋がりませんよね?」
「それは実際、中に入ってみないと……」
「危ない!」
 話をするポールの耳に、少女の声が響いた。
 ハナアルキの一体が仕掛ける死角からの奇襲が、ポールを襲う。
 牙を剥くハナアルキの胴が、古代の戦士の槍に貫かれる。
 同時にカムイの絶影がハナアルキを切り裂く。
 物言わぬ霧となって消えていくハナアルキを見送った榎木・葵桜(桜舞・f06218)は、【サモニング・ガイスト】で召喚した田中さんの霊を労うように軽く叩いた。
「ありがと、田中さん! ポールさんの護衛、お願いするね」
 葵桜の声に、田中さんはポールを守るように迫るハナアルキの大群と対峙した。
 ハナアルキ達は相変わらず、親ペンギンのマネをしながら最終防衛ラインへと迫っている。
 拠点防御により築かれた氷壁の向こう側からは、赤ちゃんペンギン達の声がまだ聞こえてくる。親を求める切なる鳴き声に、葵桜は眉を顰めた。
「親ペンギンのフリだなんて、何だか嫌な感じ」
 ハナアルキ達が何故ペンギンを狙うのか。詳しい理由はまだ分からない。だが、連れ去られたペンギン達が愛情を持って育てられるとは到底思えない。
 地下は亜熱帯か温帯並に暑いのだという。もふもふの毛皮を持った赤ちゃんペンギン達がその気候に耐えられるとも思えなかった。
「あなた達が何考えてるかは知らないけど、思うようにはさせないよ!」
 決意も新たに薙刀を手にした葵桜は、迫りくるハナアルキの群れをなぎ払った。
 同時に放たれる田中さんの炎が、ハナアルキ達を焼き尽くす。炎を割って現れたハナアルキが、尻尾の花から甘い香りを放った。
 今まで何回か見てきた、人を魅了する甘い香りだ。塊状になった香りを直接吸ってしまうと危険だが、それを避ければまだ大丈夫。戦闘知識と第六感を駆使して回避を試みるが、相手は目に見えない甘い香り。避けるといっても限界があった。
 甘い香りが葵桜を襲う。直撃こそ避けたが、甘い香りは葵桜の理性を奪い、ハナアルキへの攻撃の意思を阻害させる。
 一瞬動きを止めた葵桜の脇を、ハナアルキが抜けようと迫る。ポールへ迫る牙を見た葵桜は、反射的に身を躍らせた。
 ポールを守るという意思の力で割って入った葵桜の肩に、ハナアルキの牙が食い込む。襲う激痛を耐え抜いた葵桜は、田中さんが串刺しにしたハナアルキから逃れると胡蝶楽刀を振り抜いた。
 消えるハナアルキの向こう側から、新手が現れる。迫るハナアルキの姿が、ふいに消えた。
「大丈夫か?」
 葵桜を庇うように前に出たカムイが、絶影を振り抜きハナアルキを倒す。その背中に頷いた葵桜は、改めて胡蝶楽刀を手に立ち上がった。
「大丈夫! 赤ちゃんペンギン達の安全確保はもちろんだけど、ポールさんにも手出しはさせないんだから!」
 甘い香りから逃れた葵桜は、迫るハナアルキへ衝撃波を放つ。
 その姿に頼もしそうに頷いたカムイは、迫るハナアルキに絶影を構えた。
「音も無く――――その身に刻め」
 詠唱と同時に、ハナアルキ達が切り裂かれた。
 絶影から放たれる秒間数千万にも及ぶ斬撃が、迫るハナアルキを無数の破片へと変えていく。
 それはまるで、刀身のブリザードのようだった。四方八方、全身に襲う鋭い刃の嵐がハナアルキ達の退路を断ち、細切れの破片へと変えていく。
 斬撃の嵐が弱まった一瞬の隙を突いたハナアルキが、ナゾベーム等の多様な種類の鼻行類達の大群を召喚した。
 有機物はおろか、無機物さえあまりない南極大陸だ。周囲の雪や氷を変換して鼻行類達を召喚するが、数はそう多くない。
 だが、敵意を剥き出しにしながら迫る鼻行類達は、どれもおぞましくも興味深い姿をしている。よく見てみたいところではあるが、そんなことをしてはペンギン達に累が及ぶ。
「残念ですが、駆除すると致しましょうか」
 再び絶影を握り締めたカムイは、【無響剣舞・絶影】を放つ。
 召喚されたナベゾーム達をも切り裂く斬撃は、まるで刀身の壁のように敵の大群を物言わぬ破片へと変えていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

中村・裕美(サポート)
副人格・シルヴァーナ
『貴方はどんな血を流すのかしら』
多重人格者の殺人鬼× 竜騎士
外見 赤の瞳 白の髪
特徴 長髪 のんびり 社交的 惨殺ナイフを愛用 実は胸が大きい
口調 シルヴァーナ(わたくし、~さん、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)

裕美のもう一つの人格で社交性と近接戦闘特化。柔らかな物腰や【優雅なるご令嬢】で情報収集や対人系は得意な方。
戦闘では【残像】が残るような優雅ステップで敵に近づき、惨殺ナイフによる【部位破壊】で急所や腱を狙い、更に【傷口をえぐる】。その容赦の無さで敵に【恐怖を与える】、ちょっぴり猟奇的かもしれないが、そこはご愛嬌
槍を使うことがあれば、相手を【串刺し】にします


水貝・雁之助
邪神によって歪んだ形で生まれた君達には同情しなくもないけど・・・積みもない
犠牲は出させはしないよ

守る為の戦いの厄介さを思い知らせてあげるから覚悟しておくんだね

調査の際に把握しておいた『地形を利用』
南極という雪の多い土地柄を活かし匂い対策として雪を巻き込み敵にぶちまける
様に、又大振りの攻撃で匂いを散らす様にしながらUCで攻撃

敵へのダメージを与える事は他の猟兵に任せておき自分はUCによる有利な地形
への書き換え、洗脳の妨害等を優先
敵がペンギン達の所に行かない様に『拠点防御』をしっかり行ったり攻撃によって
敵を弾き他の敵の攻撃の射線に誘導する等『敵を盾にする』様に動く守りの戦いを
徹底して動いていく



 猟兵達の猛攻で、無数にいるかと思われたハナアルキ達は確実にその数を減らしていった。
 残されたハナアルキは、耳を巨大化させると大きく震わせた。
 氷を蹴っていた鼻が、宙に浮く。拠点防御の氷壁を超えて赤ちゃんペンギン達の許へ飛んでいこうとするハナアルキ達の前に、一人のシャーマンズゴーストが立ちはだかった。
「この先へは行かせないんだな」
 腕を組み、氷壁の上で腕を組んだ水貝・雁之助(おにぎり大将放浪記・f06042)は、一列になって飛ぶハナアルキ達にペイントブギを向けた。
 調査と戦闘で時間が過ぎ、過酷な南極は比較的穏やかな時が過ぎ去ろうとしている。
 地形の調査時にそのことを突き止めた雁之助は、例え敵が飛んだとしてもここを通るしかないという氷壁の上空を割り出したのだ。
 目の前に迫るハナアルキ達は、元々南方の生物。何らかの結界を纏っているようだが、体感気温の低さと吹き荒ぶ強風に動きが鈍い。
「邪神によって歪んだ形で生まれた君達には同情しなくもないけど……。罪もないペンギン達に犠牲は出させはしないよ」
 ペイントブギを振り上げた雁之助は、迫るハナアルキに向けて鮮やかなペンキを放った。
 防御力を犠牲に空を飛んでいたハナアルキ達は、突然視界を塞ぐペンキに思わず地上へ落下する。
 落ちてくるハナアルキを、待ち受ける影があった。
「あぁ……見たこともない……生き物が、空から……落ちてくるとか。南極って、怖い」
 陰にこもった声でハナアルキを待ち受けていた中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)は、落ちてくるハナアルキが態勢を整えようとするのを見計らったかのように惨殺ナイフを手に駆け寄った。
 同時に攻撃。【切裂姫】により更に加速した裕美の惨殺ナイフ『principessa di tagliatore』が閃いた時、人格が切り替わった。
 「シルヴァーナ」というお嬢様風猟奇的少女に切り替わった瞬間、攻撃が加速する。
「さぁ、わたくし達に立ち塞がる者は、すべて切り裂いて差し上げますわ」
 残像が残るほどの素早さで、落ちてくるハナアルキの傷口をえぐり、急所や腱を断ち切っていく。
 残ったハナアルキは、よろりと立ち上がると尻尾の花から甘い香りを漂わせた。
 人を酔わせる香りが、シルヴァーナへ迫る。甘い香りに包まれる寸前、雪と氷が周囲を白く染め上げた。
「守る為の戦いの厄介さを、思い知らせてあげるから覚悟しておくんだね」
 声と共に氷壁を滑り降りた雁之助は、その勢いを利用して巻き上げた雪や氷をハナアルキへとぶちまける。
 大ぶりの攻撃はハナアルキに命中こそしなかったが、目に鮮やかなペンキは氷原に花を咲かせるように色を生み出す。
 なおもペンギン達の許へ向かおうとするハナアルキ達の行動を阻害するように、雁之助はペイントブギを振るう。
 自らが作り上げた拠点防御の氷壁を利用し、弾き飛ばした敵はシルヴァーナの攻撃の射線に入るよう誘導する。
 横滑りしながら弾かれたハナアルキは、待ち構えていたシルヴァーナの惨殺ナイフ『principessa di tagliatore』によって的確に急所を狙われ、細切れにされる。
 積極的な攻撃こそしないものの、ハナアルキを決して氷壁の向こう側へ行かせないという雁之助の決意と、戦いそのものを楽しむシルヴァーナ。
 二人の圧に恐怖を覚えたのだろう。残されたハナアルキは遺跡の入り口へ退避するように慌ててジャンプする。
 そこを見逃す雁之助ではなかった。
「行かせないよ!」
 ペイントの上に回り込んだ雁之助は、先行するハナアルキの牙をペイントブギで受け止めると、そのまま後続のハナアルキに叩きつける。
 バランスを崩した二体のハナアルキに、槍が迫った。
「スカイフォール!」
 シルヴァーナの命に応じたドラゴンランス「覇空竜スカイフォール」が、次の瞬間竜騎士の槍へと変化する。
 重なった二体のハナアルキの心臓を狙って、槍が迸る。
「ミツオトビミミゾウハナアルキの串刺し。滅多に見られない光景ではなくて?」
 二体まとめて串刺しにされたハナアルキ達が、力を失い地に落ちる。
 静かになった氷原に、赤ちゃんペンギン達の歓声が響いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『翠翁』

POW   :    縺ソ繧薙↑縺ゥ縺薙∈?
【意識】を向けた対象に、【対象の内部を植物に変えること】でダメージを与える。命中率が高い。
SPD   :    蝸壼他縲∝履蜻シ縲∝履蜻シ窶補?輔?
自身からレベルm半径内の無機物を【土壌に、猟兵を問答無用で植物】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
WIZ   :    縲主卸荳悶?繧ィ繝シ繝?Ν繝ッ繧、繧ケ縲
全身を【エーデルワイス】で覆い、自身の【周囲にある植物の数】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠フォルティナ・シエロです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ミツオトビミミゾウハナアルキの群れを倒した猟兵達は、遺跡内部へと足を踏み入れた。
 遺跡の中は、緑の森に覆われていた。
 ハナアルキ達が纏っていた結界が、遺跡内部を覆っているのだろう。高さ二〇メートルはありそうな巨大な空間全体を包む結界は光と熱を放ち、空間の気温を保っているようだった。
 地下深くへ続く通路もその先の大空洞も、ジャングルと化していた。
 ミツオトビミミゾウハナアルキ達がいたであろう気候が保たれ、分厚い防寒着を着ていては暑くてたまらない。
 大振りな枝葉を茂らせる植生をまじまじと見たポールは、ヘルメットを外して汗を拭きながらも熱心に遺跡内部を調査して回った。
 唸りながらも調査を進め、いくつものサンプルと調査結果をバッグの中に収めていったポールは、ついにバテたように倒れ込んだ。
「マイ……ガッ! 寒さに、対策はしてきたけど、まさか暑いとはね」
 遺跡内部の気温は35度。熱中症の症状を起こすポールの対狂気用スーツを脱がせて、とにかく体温を下げ水分を補給させる。心配そうに覗き込む猟兵達に、ポールは調査結果を語った。
「ここは、邪神によって作られた空洞だよ。南極大陸の奥地に封じられた翠翁と呼ばれる邪神が、少しずつ勢力を拡大しながら南極大陸を内部から緑化しているんだ。いわゆるテラフォーミングだね」
 その過程でミツオトビミミゾウハナアルキ達も召喚されて、手足として使われていた。そうとしか考えられない。
 地上の様子を伺って、地上の気候やそこに生きる生き物を調査して、このテラフォーミングを南極大陸全体に行き渡らせる機会を狙っているのだ。
「……翠翁が遺跡と地上を繋げるまでもう、そんなに時間はないはずだ」
 ペンギンが目の前にいなければ、UDCの中でも優秀な生物学者だ。ポールが理路整然と語った時、遠くから咆哮が響いた。

 何かが来る。巨大な何かが。

 身構える猟兵達に、ポールは調査結果を記録したタブレットと採集したサンプルの入ったリュックサックを手渡した。
「行ってくれ猟兵の皆。ここまで守ってくれてありがとう。スーツを着られない今、僕は足手まとい以外の何物でもない。翠翁がテラフォーミングを実行するまで、わずかだが時間はある。このデータを持ち帰れば、この遺跡を封じる手段も解析されるはずだ」
 猟兵がタブレットを受け取った時、空気をビリビリと震わせるような咆哮が遺跡内部に響く。
 遺跡を調査するという目的は達成された。このまま調査結果を持ち帰れば、猟兵達の任務は完了する。
 熱中症のため対狂気用スーツを脱いだポールは、そのままにしておけばほどなく邪神の狂気に冒されるだろう。
 幸いまだ距離があるため、邪神を放置して今すぐ撤退すればポールが助かる可能性は高いが、ハナアルキの残党が襲ってくる危険性も捨てきれない。
 だがこの場でポールを守りながら戦うのは、あまりにも分が悪い。ポールは何らかの対策を講じなければ、ほどなく狂気に冒されるだろう。
 ポールの生存は成功判定の中に含まれない。そのために研究結果を持ち帰れなければ本末転倒だ。

 咆哮が響き、邪神が近づく。
 猟兵達は決断を迫られた。


※ 第三章のプレイングは、9月27日(金)朝8時半から9月28日(土)朝8時半までの間にお送り下さい。
  募集期間が短くて申し訳ありません。
  例によって平日夜の執筆が難しいため、ご協力よろしくお願いします。


× 対狂気用スーツ
⚪ ヒートアーマー

お詫びして訂正します。
日野・尚人
あーちゃん(f06524)と行動

バカ野郎!
あんたを見殺しにして任務成功とかないだろ!
調査結果もあんたも無事に送り届ける!
みんな(他の猟兵たち)、悪いけど邪神の方は暫く任せた!

おっさん(ポール)を担いだらあーちゃんとUC発動!
急いで離脱するために文字どおり飛ばすぞ!
風圧諸々は魔力障壁(<オーラ防御>+<かばう>)で防ぐけど・・・
ある程度は我慢してくれよ、おっさん?

ハナアルキが現れても戦闘は回避。
難しければ<先制攻撃>の<誘導弾>で象耳を<部位破壊>!
高速飛行での追撃は厄介だしな。
あーちゃん、サポート頼む!
この期に及んで水臭いことは言いっこなしだぜ、ポール!
俺たちは一緒に冒険(調査)した仲間だろ?


アイシャ・ソルラフィス
最後も尚くん(f01298)と一緒に参加

(猟兵のみんなに向かって…)
みなさん、すみません!
ボクと尚くんはポールさんを連れて撤退します!

ボクと尚くんの合体ユーベルコード『愛はすべてに打ち勝つ』の飛翔能力で、
尚くんがポールさんを背負って、
ボクが調査結果が入ったリュックを背負って、
ボクの空飛ぶ杖〈イルミンスール〉にヒートアーマーをひっかけて、
地上まで飛んで逃げます

なお飛行速度は、ポールさんの耐えられる速度で飛ぶ尚くんに合わせます

敵から逃げ切れなかったら、必要ならポールさんにヒートアーマーを無理矢理着せて、使える技能はすべて使い、『愛はすべてに打ち勝つ』の能力も使って、全力でポールさんを守ります



 研究成果を猟兵に預けたポールは、安心したように大きく息を吐くとゆっくり目を閉じた。
 自分の役目は終わった。そう言わんばかりに眠ってしまいそうなポールの胸倉を掴んで立たせた日野・尚人(あーちゃんの早朝襲撃に断固抵抗する会終身(?)会長・f01298)は、驚いて目を開けるポールを怒鳴りつけた。
「バカ野郎! あんたを見殺しにして任務成功とかないだろ!」
「目的を見間違えたらいけないよナオト。調査結果を持ち帰るのが君たち猟兵の任務だよ」
「調査結果もあんたも無事に送り届ける! それこそが任務成功だろう!」
 尚人の剣幕に、ポールは驚いたように目を見開く。何も言えないポールを放した尚人は、その場にいる猟兵達を見渡した。
「みんな、悪いけど邪神の方は暫く任せた!」
「みなさん、すみません! ボクと尚くんはポールさんを連れて撤退します!」
 尚人の隣に立ったアイシャ・ソルラフィス(隣ん家の尚くんを毎朝起こす当番終身名誉顧問(願望)・f06524)は、戦闘準備を整える猟兵達を見渡した。
 その時、翠翁の咆哮が響いた。
 翠翁の声は空気を、周囲の森をビリビリと震わせる。近づく強敵に顔を上げた猟兵達は、力強く頷くと二人に向けて親指を立てた。
 この状況で二人の猟兵が戦線を離れるのは、大きな戦力ダウンに繋がる。だが、誰一人として反対する猟兵はいない。
 感動したように泣くポールを担ぎ上げた尚人は、反対側の手をアイシャに差し出した。
 握るアイシャの手を、強く握り顔を見合わせると頷きあう。
「俺たちのとっておき、あいつ等に見せてやろうぜ! な、あーちゃん!」
「うん♪ ボクと尚くんとなら、誰にも負けないんだから!」
 呼吸を整えた二人は、同時に大きく息を吸う。体中にオーラを纏わせた二人は、同時にユーベルコードの名を唱えた。
「「オムニア・ウィンキト・アモル」」
 【愛は全てに勝つ】。その名の通り宙に浮いた尚人は、ポールを落とさないようにしっかりと固定すると飛翔を開始した。
 空飛ぶ杖・イルミンスールに横座りしたアイシャは、調査結果を入れたリュックを改めて背負うと杖の先端にヒートアーマーを引っ掛けて先を行く尚人を追いかけた。
 鬱蒼と茂る木々の枝を避けながら、飛行を続ける。翠翁は仲間が倒してくれると信じているが、ポールの状態は予断を許さない。
 一刻も早く治療を受けさせるために文字通り飛ばす尚人に、ポールは襲う風圧に苦しそうなうめき声を上げる。
 オーラ防御とかばうを合わせてポールを庇うが、風圧やすれ違う枝葉を完全に無かったことにはできない。
「ある程度は我慢してくれよ、おっさん?」
「……」
 風圧で喋れないので親指を立てるポールに親指を立て返した尚人に、アイシャは鋭い声を掛けた。
「尚くん、上!」
 アイシャの警告に反射的に身を翻した尚人は、木陰から襲い来るハナアルキに思わず舌打ちした。
 どこに潜んでいたのか。翠翁に触発されたように襲い来るハナアルキを回避しながら飛ぶが、これらもさすがに全部の回避は難しい。
 グオ、ともグア、ともつかない声を口々に上げながら迫るハナアルキの鼻が、尚人に襲いかかる。回避が間に合わずに身構えた時、ハナアルキの姿が消えた。
「ポールさんも尚くんも、絶対守るんだから!」
 決意と同時に放った魔法が、ハナアルキを灰へと還す。ユーベルコードの効果で威力を増した攻撃で敵を次々に攻撃するアイシャに、尚人は頼もしそうに頷いた。
「あーちゃん、サポート頼む!」
「任せて! まずは最初の広場まで急ごう!」
 頷き返したアイシャは、襲い来るハナアルキに全力魔法を放った。
 同時になぎ払い、ハナアルキを追い払う。
 やがて地上への抜け穴近くまでたどり着いた尚人は、ユーベルコードを解除すると広場へ降り立った。
 同時にアイシャも広場へ降りる。イルミンスールの先端に取り付けたヒートアーマーを外したアイシャは、へたり込むポールに手渡した。
「暑いだろうけど、もうちょっとだけ頑張ってね。ここは35度だけど、地上はマイナス40度。これ着ないと死んじゃうから」
「アイシャも急いで!」
 ヒートアーマーを着込むポールと、同じく防寒着を着込むアイシャの前に立った尚人は、なお追撃を仕掛けてくるハナアルキに先制攻撃を仕掛けた。
 ハンドガンから放たれる誘導弾が、ハナアルキの象耳を破壊する。
 怯みながらもなお攻撃を仕掛けてくるハナアルキに思わず舌打ちする尚人と、防寒着のファスナーを急いで上げて戦線に復帰するアイシャ。
 二人の背中に、ヒートアーマーを着込んだポールは頭を下げた。
「ありがとう、ナオト。ありがとうアイシャ。二人が、いや猟兵みんながいてくれなかったら、僕はとうに死んでいたよ」
「この期に及んで水臭いことは言いっこなしだぜ、ポール! 俺たちは一緒に冒険(調査)した仲間だろ?」
「そうそう! ポールさんはペンギン好き同士だしね。全力で守るよ!」
 微笑んだアイシャは、全力魔法を放つとハナアルキの前衛を焼き払う。
 防寒着を着終わった尚人は、アイシャに手を差し出す。
 手をつないだ二人は、再び【愛はすべてに打ち勝つ】を詠唱すると、ポールを担いでその場を離脱した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

榎木・葵桜
翠翁との戦いに集中
ポールさんはアイシャさん達におまかせ

必要なもののために何かを切り捨てることは確かにあるって思う
でも、今回は絶対二兎追える、追ってみせるし、全部掴んでみせる
ポールさんもペンギンさん達も調査結果も諦めないよ

真の姿開放(外見変わらず)

できるだけ前に出て
敵の意識を私に向けさせる
同時にUCで動きを封じることも意識するね

【戦闘知識】【第六感】を活用
敵の動きを観察して【情報収集】し
隙とタイミング見計らって【桜花捕縛】を仕掛けるよ

動きを鈍らせたら
【なぎ払い】と【衝撃波】での【2回攻撃】で敵の体力を削るよ

敵からの攻撃は【見切り】【武器受け】【激痛耐性】【呪詛耐性】で対応するね

*連携・アドリブ可


水貝・雁之助
相変わらず邪神は厄介だねえ
ま、絶対に此れ以上の被害は出させないけど、ね?

撤退するポール達の援護をしつつペンギン達の『拠点防御』の為に戦う

飛翔能力は敵の体躯が巨大で小回りが効かなさそうなら敵の攻撃の際に其の体躯を
利用して自身を囮に地面に引き付けギリギリで回避、地面に叩きつけられる様に
誘導
小回りが効くようなら逆に木々を利用し『罠使い』の即席の罠を造り敵の動きを
阻害したり攻撃を木々を盾にしたりしながら『地形を利用』し敵の拠点、敵の
力を増す植物という一種の『敵を盾にする』様に戦う

UCは敵に攻撃しつつ敵の力を増す植物を減らし自分達に有為な地形に書き換える事を留意

其の際、盾にしやすそうな木等は残す様に注意



 高速で去っていく二人の背中を見送った榎木・葵桜(桜舞・f06218)は、近づく咆哮に振り返ると真の姿を開放した。
 外見こそ変わらないが、そこから溢れるオーラの量が桁違いに上がる。湧き上がってくる力に目を閉じた葵桜は、精神を集中させると桜舞花を開いた。
 研ぎ澄まされた感覚が、アイシャ達が敵の襲撃を受けていることを知覚させる。だが、葵桜は動かなかった。
 今は翠翁との戦いに集中すべき時。ポールはアイシャ達に任せるのだ。
 戦いの支度を整える葵桜の隣に、水貝・雁之助(おにぎり大将放浪記・f06042)がペイントブギを握りしめた時、翠翁が現れた。
 怒りも顕に現れた翠翁は、体長10メートルはあろうかという巨躯を誇っていた。
 緑色の朽ちた恐竜のような姿の翠翁は、踏みしめる足元から緑の草花を茂らせながら猟兵達に近づいてくる。
 猟兵達を威圧するように咆哮を放つ翠翁に、葵桜は一歩前へ出た。
「こっちだよ翠翁。テラフォーミングなんて、絶対させないから!」
 決意も新たに踏み出す足に、体重を移して舞を舞う。
 一手一手を大切に。実家に伝わる神楽を舞った葵桜の桜舞花から、桜吹雪が召喚される。無数の花びらは翠翁の巨躯を包むように捕縛し、空へ飛び立とうとする直前の翠翁のユーベルコードを封じた。
 地上に叩きつけられ、桜吹雪の捕縛を解こうともがく翠翁に、【グラフィティスプラッシュ】が放たれた。
 ペイントブギを大きく振り抜いた雁之助の塗料が、翠翁を塗りつぶす。
 予想外の大ダメージに、翠翁は大きく体を振ると猟兵達をなぎ払った。存外素早い動きで繰り出される攻撃を回避しながら、雁之助は再び【グラフティスプラッシュ】を放った。
 無理な態勢から放たれる攻撃は空を切り、地形を塗りつぶす。
 翠翁の出現に勢いを増す植物たちが、塗料で極彩色に塗りつぶされる。
 そこへ葵桜のなぎ払いが放たれ、翠翁を切り裂いていく。
 勢いを弱める植物には構わず、葵桜のユーベルコードを振り払った翠翁は地を蹴り異形の言葉を吐いた。
「縲主卸荳悶?繧ィ繝シ繝?Ν繝ッ繧、繧ケ縲」
 意味はおろか発音さえ聞き取れない声を上げた翠翁は、再び体をエーデルワイスで覆うと、低空を飛翔しながら雁之助に向けて体当たりを仕掛けた。
 生い茂る森の中の巨大な体は小回りが効かない。迫る巨躯をギリギリまで引きつけた雁之助は、攻撃を回避し巨木の幹へ激突させる。
 そこへ、再び葵桜の【桜花捕縛】が放たれた。
 態勢を崩した翠翁の体を、再び桜の花びらが覆う。
 桜とエーデルワイス。ピンクと白の花の競演はこの世のものとは思えないほど美しいが、見惚れている暇はなかった。
 体を起こした翠翁は、怒り狂ったように咆哮による衝撃波を放った。
 木々を盾にして辛うじて回避した雁之助は、衝撃波で折れて倒れる木を避けながら再びユーベルコードを放った。
「一撃で木を倒すなんてね。相変わらず邪神は厄介だねえ。ま、絶対に此れ以上の被害は出させないけど、ね?」
 ペイントブギから放たれる雁之助のユーベルコードもまた、周囲の木々を倒して地形を変える。
 桜舞花を構え、呪詛耐性と激痛耐性で咆哮をやり過ごした葵桜は、舞扇を構えると攻撃直後の隙を狙って攻撃を繰り出した。
 衝撃波には衝撃波を。なぎ払い、2回攻撃を併用しつつ体力を削る葵桜に、翠翁は立ち上がると突進を仕掛けた。
 襲う圧力に、振り返らずに駆け出す。葵桜を追って駆ける翠翁は、ふいに叫び声を上げながら動きを止めた。
 先回りした雁之助が仕掛けた罠が、翠翁の動きを止める。ジャングルという地形を利用した罠に足を止めた翠翁に、雁之助と葵桜の連撃が叩き込まれる。
 罠を食い破った翠翁は、ふいに頭を上げた。
 静かになった戦場に、ハナアルキ達の鳴き声が響く。
 グオ、ともグア、ともつかない鳴き声を上げながら一方向へ集まるハナアルキ達に、翠翁は再びユーベルコードを詠唱した。
 全身がエーデルワイスで覆われる。ハナアルキ達の許へ向かおうとする翠翁を、桜吹雪が再び包み込んだ。
 飛翔能力を失った翠翁が、憎々しげに葵桜を睨む。その視線を受けた葵桜は、ハナアルキ達の方を振り返ると舞扇を構えた。
「必要なもののために何かを切り捨てることは、確かにあるって思う。でも、今回は絶対二兎追える、追ってみせるし、全部掴んでみせる」
 捕縛された翠翁に、衝撃波を叩き込む。絶対にここで足止めをするのだという意思も新たに放たれる攻撃に、翠翁は首を巡らせる。
「ポールさんもペンギンさん達も調査結果も諦めないよ! あなたの相手は私だから!」
 決意も新たに叫ぶ葵桜に、翠翁は爪を振り上げる。鋭い爪が葵桜を捕らえる寸前、雁之助は葵桜の腕を思い切り引っ張った。
「こっち!」
 雁之助に導かれて回避する動きに合わせて、爪が迫る。二人を追う翠翁の爪が、巨木に突き刺さった。
 巨木を盾にした雁之助は、敵の戦力を削ぐべく周囲をペイントで塗りつぶす。周囲の地形を有利な形へ変えた雁之助は、葵桜のユーベルコードを振りほどく翠翁にペイントブギを突きつけた。
「ペンギン達の拠点は、必ず守る。翠翁、お前はここで森に還れ!」
 守りを固める雁之助に、翠翁の咆哮が響いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​


※プレイングは10月3日(木)朝8:30~10月5日(土)12:00頃まで募集させていただきます。
推葉・リア(サポート)
色んなゲームで推しキャラを育成して愛でるのが好きな妖狐

基本的に人がいいので命や心を大事に動き相手の心に寄り添おうとする、それが敵であっても(倒すときはしっかりと倒す)
あと結構関係のないことも考えたりもしてたりもするがやるときはやる

★戦闘
各ゲームの推しキャラ達の召喚と狐火を使う、基本的には推しキャラ達が戦い自分は後衛やサポートに回ることが多い、活躍する推しキャラを見るのが何よりも好き、また推しキャラが動きやすいように自分を囮にすることもある
UC『星色ライド』『夜色チェイサー』は基本戦闘では使用しない

★冒険
推しキャラやペットの鴉やインコ達と協力して動く、演技もしたり騙したりもする

過剰なエログロNG


ルビィ・リオネッタ(サポート)
小さな体を生かして戦闘や調査をするわ。気配を消して潜入が得意よ。暗視や聞き耳で先に気配を察知して、先制攻撃や情報収集するスタイルね。回避や逃げ足、鍵開けなんかも任せて頂戴♪

素早い攻撃や鎧の間を突くのが通じないなら、マヒに毒、目潰しのどれかが効けば上等ね。ダンスや演奏を活かして、舞うようにリズムに乗って攻撃!小さいからって油断したら蜂のように刺されるわよ♪
「避けられるかしら♪」「…やるわね」「きゃあっ!?」

戦うからには楽しむけど、戦闘狂でも無いし体力もないもの。無用な戦いは避けるのが盗賊や暗殺者のやりかたね。
本当は平和に生きたいわ。ただ楽しく花を見て歌って踊って過ごせたら…どんなに素敵かしらね。


月山・カムイ
さて、と
彼は彼らに任せてアレの退治と参りますか……では、参る

翠翁に向かって、無造作に歩を進めてその異様を見上げる

どうせテラフォーミングを行うなら、月辺りで行うべきでしょう
ここはお前の世界ではなく、氷に閉ざされた世界であるべきだ
だから、ここで喰らい尽くす

ブラッドガイストで殺戮捕食態と化した絶影を手に、猛然と斬りかかる
体内を植物に変える呪いには呪詛耐性で対抗、例え変えられたとしてもその痛みを無視して、捨て身の気迫で斬りかかる
先に戦った猟兵達のお陰でヤツの動きを読むに支障なし
正確に全ての攻撃を見切り、その一撃一撃で無数のカウンターで切り返し
顎を開いた絶影を手に、全てを暗いつくし骸の海へ還そう




 戦場から立ち去るポール達の背中を見送った月山・カムイ(絶影・f01363)は、改めて翠翁と向き合うと絶影を鞘走らせた。
「さて、と。彼は彼らに任せてアレの退治と参りますか。……では、参る」
 呼吸を整え目を閉じる。その目が再び開かれた時、その目には深い色が宿っていた。
 無造作とも言える歩調で、翠翁に歩み寄る。戦闘で積み重ねられたダメージにも威厳を保ち続ける翠翁の異様を見上げたカムイは、口元を三日月形に歪めた。
「どうせテラフォーミングを行うなら、月辺りで行うべきでしょう」
 カムイの声が聞こえたのか。ぴくりと頭を上げた翠翁は、ゆっくりとカムイに向かい合った。
 カムイと翠翁の視線が合う。邪神と呼ばれた古代の竜の視線を真正面から受け止めたカムイは、表情を崩すことなく続けた。
「ここはお前の世界ではなく、氷に閉ざされた世界であるべきだ。だから、ここで喰らい尽くす」
 絶影の柄を握る手から、血が溢れ出す。自身の血を大小に【ブラッド・ガイスト】を発動させたカムイは、禍々しい姿に変化した愛刀を構えた。
 歯ぎしりの音が響く。絶影・殺戮捕食態が響かせる鳴り止まない音は、翠翁の血肉を求めているようだ。
 その声に答えるように地面を蹴ったカムイは、勢いを殺すことなく翠翁へと斬りかかった。
 翠翁の緑の巨体を、黒い旋風のように猛然と斬りつける。二撃、三撃と繰り出される斬撃は、まるで翠翁を食らいつくスカのようにその肉体を削り取っていく。
 その痛みに咆哮を上げた翠翁は、カムイに意識を向けた。
 距離を取った翠翁の目から、得体のしれない圧が放たれる。同時に感じる体内の激痛に、カムイは歯を食いしばる。
 体内の組織を強制的に変性させられる痛みを、呪詛耐性で凌ぐ。
 歩みを止めたカムイの前に、鬼火が走った。
「こういうドラゴンみたいな敵って、ゲームじゃよく見かけるよね。ボス敵として不足なし!」
 ワクワクした様子で狐火を46個生み出した推葉・リア(推しに囲まれた色鮮やかな日々・f09767)は、狐火を巧みに操作すると翠翁へと放った。
 合体させ、いくつかの塊にした鬼火が翠翁の身体を焼く。
 焼かれる痛みに咆哮を上げた翠翁が更に距離を取ろうとするのを、背後に回らせた鬼火が迎撃する。
「私の十八番よ! さぁ燃えちゃって!」
 リアの声に呼応するように走る鬼火が、翠翁を包み込む。炎から逃れようと再び咆哮を上げた翠翁の全身が、エーデルワイスで覆われた。
 白い花を鎧のように纏った翠翁の巨体が、ふわりと宙に浮く。周囲にある植物の数だけ戦闘力を増強させるが、今までの戦闘で開けた地形とそれを焼き払う狐火の効果で思ったほどの効果は上げられない。
 空を飛び攻撃を仕掛けようとする翠翁が、ふいに動きを止めた。
 リアの狐火と呼吸を合わせて飛び出したルビィ・リオネッタ(小さな暗殺蝶・f01944)は、焼けてもろくなった翠翁の巨体の内側へと侵入した。
 フェアリーの小さな体と飛翔能力を活かして翠翁に気付かれることなく近づいたルビィは、フェアリーアックスを振りかぶると大きく振り抜いた。
「避けられるかしら♪」
 ルビィの声と同時に振り抜かれる攻撃に、翠翁の焼かれた傷口が大きく広がる。
 思わぬ攻撃に身悶えする翠翁の動きを読むかのようにその場を離れたルビィは、蝶のように舞いながらその場を離れる。
 隙を伺い翠翁の周囲を舞うルビィは、小柄な身体と機動力を活かして何度となく攻撃を仕掛けた。
「蝶のように舞い、蜂のように刺す。これが私の真骨頂!」
 翠翁の身体を舞台に踊るルビィの攻撃は、巨躯を誇る翠翁には捉えきれない。
 幾度か攻撃を仕掛けたルビィの目が、ある一点を捉えた。
 翠翁の喉元。より神経に近い箇所が、度重なる猟兵達の攻撃でもろくなっている。
 弱点を見定めたルビィは、蜂のように鋭い動きで翠翁へと突き進む。
 次の瞬間。
 地面を破壊するような一撃が、翠翁の喉元に放たれた。
 神経を破壊され、麻痺したように動きを止めた翠翁の巨体が大きくのけぞる。倒れる衝撃に巻き込まれないようにその場を離れたルビィは、ギロリとする視線に思わず体が凍りついた。
「きゃあっ!?」
 翠翁の鋭い眼光が、ルビィを捉える。同時に内部を植物化させられる激痛に動きを止めさせられたルビィに、翠翁のブレスが放たれようとする。
 だが、その攻撃が放たれることはなかった。
 体内を植物と変化させられる激痛に適応し、これを無視したカムイは、仲間の危機に捨て身の気迫で斬りかかった。
 麻痺から開放された翠翁は、足元のカムイに敵意の目を向ける。蹄で踏みつけようとする攻撃を読んだかのように、カムイは身体を翻した。
 仲間猟兵達の戦いのお陰で、翠翁の動きのパターンは把握した。連続で繰り出される攻撃をすべて見切ったカムイは、お返しとばかりにカウンターで斬り返す。
 翠翁の足を蹴り、大きくジャンプする。
 殺戮捕食形態と化し、禍々しい顎を開いた絶影が翠翁の首を両断するように喰らい尽くした。
 断末魔の咆哮を上げた翠翁の全身が、灰の色に染まっていく。
「全てを喰らいつくし、骸の海へ還そう。ーーさらばだ」
 大量の灰と化し、宙に消えた翠翁を背負い着地したカムイは、未だに血肉を求める絶影を鞘に収めると仲間の許へと歩んだ。

 その後、結界の効力を失った大空洞は南極大陸の極寒の大気に晒され、全て凍りついた。
 天井を支えるように生えた樹木もすべて凍りつき、大空洞を支える柱としてその場に残り続けるのだという。
 猟兵達とポールが持ち帰った資料を元に厳重に封印された大空洞の近くでは、ペンギン達のクレイシから溢れる賑やかな声で満ちていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年10月05日


挿絵イラスト