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花も茨も踏み越えて

#アリスラビリンス


 わいわいがやがや。わいわいがやがや。
 華やかな目抜き通りは、今日も賑やかさに溢れている。
 漂う香りは食欲を刺激し、ガラス越しの商品は目を惹いて。
 わいわいがやがや。わいわいがやがや。
 今日は何する? 今日はあれする?
 お茶会、買い物、世間話にetc。
 遊んで、遊んで、また遊び。
 今日も楽しく愉快にと、彼らは楽しみ笑って過ごす。
 ここは未だオウガの手が及ばぬ、美しき地獄とは無縁な不思議の国。
 ――であった。
 茨がその国を覆い尽くさんとするまでは。

「茨に呑み込まれた国。それではぁ、ヒトも住めませんねぇ」
 事態の状況とは一転、間延びして話すはハーバニー・キーテセラ(時渡りの兎・f00548)。
 その頭にゆらりゆらりと揺れるは、時計うさぎな方々の自前とは異なる作り物。
「ということでぇ、そんな時こそぉ、皆さんの出番なのですよぉ」
 にこり笑って語るは詳細。
 彼女に曰く、元々、この不思議の国は珍しくもオウガの手が未だ伸びてはいない国であったそうな。
 だが、最近になって不思議な茨……それこそ、オブリビオンの末端であろうものが伸び始めたのだと言う。
 そして、それは瞬く間にと勢力を伸ばし、住人である愉快な仲間達をも呑み込んで、国を呑み込んだらしい。
「その元凶はもう判明していますぅ」
 それはいばら姫なる存在。
 もしかすれば、生まれの世界にも似たような名前の登場人物を想像した者も居るかもしれない。
 だが、この存在はそれに近しくも、全く別の存在。世界に仇名す存在である。
「いばら姫の伸ばした茨の蔦が不思議の国全体に伸びぃ、今やその中は迷宮の様になっていますぅ」
 それは明確なる障害。
 それを乗り越え、踏破して、その中央にあるであろう、いばら姫を討つことが依頼の趣旨だ。
「ですがぁ、当然ながらそこに至るまでの妨害も考えられますのでぇ、お気をつけてぇ~」
 茨自体が意思持つように襲ってくることもあれば、その迷宮に潜む他のオブリビオン達が襲ってくることもあるだろう。
 だがしかし。
「そこは元々愉快な仲間さん達の国ですよぉ。まだぁ、抵抗を示してぇ、私達に協力してくれる方達もある筈ですぅ」
 ――全てが全て敵と言う訳ではないのだ。
 童話の住人そのものとも言える存在。その国の住人である者達が、茨の迷宮を進む中でも、助力を求めれば猟兵の手助けをしてくれることだろう。
 ただ、彼らも強いという訳ではない。
 その中央にあるいばら姫との戦いの中では逆に足手まといとなりかねないため、あくまでも迷宮攻略のためと割り切る必要性はある。
 単独でか、はたまた、協力を得ながらか。如何に進み、戦うかは猟兵達の手へと委ねられるところだ。
「それとですねぇ、もし、このいばら姫を討てたのならぁ、ちょっとだけぇ、国の復興を手伝ってあげて欲しいのですよぉ」
 国の復興自体は愉快な仲間達が主導で行うが、猟兵の手があれば、もっと速やかに復興も行えるはずだ。
 そして、その中でちょっと自分達の趣味――どんなお店があればだとか、名物があればだとか、そういった街作りへの提案や作業をしてみるのも一興であろう。
「復興のことまで考えるのは取らぬ狸のなんとやらなのかもしれませんが、それでも、今迄数多の苦難を乗り越えた皆さんであれば、きっとと信じています」
 翳す鍵は銀色。開く扉は別世界への扉。
 再びににこりとハーバニーは微笑んで、猟兵達を見送るのだ。
「それでは、ここまでの案内はハーバニー・キーテセラ。皆さんの旅路の良きを願って」
 ――いってらっしゃいませ。


ゆうそう
 オープニングへ目を通して頂き、ありがとうございます。
 ゆうそうと申します。

 エンパイアウォーも終幕が見えた今日この頃、この度は別世界での依頼となります。
 既に不思議の国全体へと伸び切った茨の迷宮。
 1章にて集団戦を突破しながら、迷宮の踏破を。
 2章にて元凶の討伐を。
 3章にて国の復興手伝いを。
 という流れとなっております。
 なお、迷宮を進むに当たって、集団戦の最中においても茨が襲い掛かってくることもあります。
 集団戦の敵への対応のみではなく、その防御策も考えておいた方が万全かもしれませんね。
 また、愉快な仲間達は各所に存在し、それぞれがそれぞれにオブリビオンへ抵抗もしています。
 1章の内であれば、助力を求めたならば戦闘の援護などもしてくれますので、どうするかは皆さん次第です。

 3章に関しては日常シナリオとなります。
 能力別に指定された行動指針以外の行動でも構いませんので、ご自由にどうぞ。
 また、ハーバニーも居ますので、1人での参加はちょっと……という方はお気軽にご利用ください。

 それでは、皆さんのプレイング・活躍を心よりお待ちしております。
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第1章 集団戦 『黄金花』

POW   :    金色の誘惑
【めしべ】から【いい香りがする魔力】を放ち、【魔力を浴びた者を黄金に変える事】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    金色の誘惑
【めしべ】から【いい香りがする魔力】を放ち、【魔力を浴びた者を黄金に変える】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    金色の誘惑
【めしべ】から【いい香りがする魔力】を放ち、【魔力を浴びた者を黄金に変える】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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エーカ・ライスフェルト
「知的遊戯なら自信はあるけど、実物大の迷宮は苦手ね。途中で足がつってしまうわ」

だから最初から【理力全開】を使って、【念動力】で飛翔し茨を躱して奥へ進みます
扉っぽい茨があれば【念動力】で押し広げ、それでも無理なら火の【属性攻撃】で焼いた上で【念動力】を使う
延焼しそうになったら水の【属性攻撃】で消火作業を試みます

『黄金花』に遭遇したら、【念動力】で力任せに抑え込み、火の【属性攻撃】を浴びせようとします
「おとぎの世界にダークファンタジーは似合わないわ。大人しく燃えて灰になりなさい」
「金、ね。私にとっては口座の数値の方が重要よ? もっとも……オブリビオンの首の方がもっと魅力的だけどね」

お一人様万歳!!



 カツリ、コツリ。
 茨の世界に響くは街の名残たる石畳を叩く音。
 音の正体に目を向ければ、そこに花開くは桃色の花。
 エーカ・ライスフェルト(ウィザード・f06511)が歩を進める度、靡いた髪がふわりふわり。
「知的遊戯なら自信はあるけど、実物大の迷宮は苦手ね」
 ――コツッ。
 止めた脚。描く脚線美を擦り撫で、表情に浮かぶは辟易と。
 見渡す先はまさしく茨の道。先行きは遠く、ゴールは何処か。
「――途中で足が攣ってしまいそうだわ」
 だから、彼女は歩くのをやめた。
 ――纏うは、その身に秘めし莫大なる力。
 しかし、それは進むことを止めるということではないのだ。
 地を蹴らずして、音を立てずして、ふわりと浮かび上がるはエーカが身体。
 それは力の発現を示すもの。
「フォース・フルパワー」
 解き放つ言葉に気負いなどあろう筈もない。
 鳥が空を飛び、魚が水中を泳ぐように、彼女もまた身に纏う念動力をもって動くだけなのだから。
 ぐんっと世界が後ろに流れ、零れる念動力の燐光は星明り。
 ここは宇宙とは無縁である筈なのに、まるで宇宙船が宙を往くかのような光景が彼女の眼には映っていた。

「――邪魔よ」
 突き進むエーカの進路を阻むようにと迫るは蠢く茨。
 しなり、空気裂く音を残して彼女が身を捉えんと迫る。
 だが、それに容易くと掴まる彼女であろう筈もなし。
 零れる燐光は炎と変じ、盾となり、迫る脅威を片端から燃やし尽くさんと喰らい合っていた。
 燃ゆる茨、裂かれる炎。ぶつかり合う力と力は周囲を照らす。
 不意に、煌きが見えた。
 それは蠢く茨でもなく、零れる燐光でもなく。
「ここの世界観はどうなってるのかしらね」
 ――それは悪趣味とも取れる金色の像。そして、その中央にて咲くは黄金の花。
 茨をいなす中、エーカはそれを一目見て理解したのだ。
 その黄金の花の悪辣さを。周囲を彩る金色の正体のなんたるかを。
 顰められた眉に、柳眉が僅かと歪む。
「道すがら、誰も居ない訳だわ」
 その金色の像の正体――愉快な仲間達と称される者達の末路。
 何がどうなって、そのようになったか。その実際のところは、エーカには分からない。
 だが、誰もが、どれもが、黄金の花を求めるように手を伸ばし、視線を向け、そして、物言わぬ躰を晒すを見れば、見当も付こうというものであった。
 ――視線の先で、黄金の花が手招きするように花弁を震わせた。
 ふわりと零れるは芳醇なる香。求めさせんと欲掻き立てる悪意の香。
 見えず、触れず、密やかにと、茨の猛威の影にそれは忍び寄るのだ。
 だが。

「おとぎの世界にダークファンタジーは似合わないわ」

 ――エーカを今迄の虜にされた者達と同じに思うは愚か。
 零れる燐光は茨に抗するのみではなく、空気を燃やし、香りをすら殺すのだ。
 そして、見えず、密やかにと行使される力はエーカの力も同じ。
 その身より零れる燐光はあくまでも副次的な効果の産物にすぎず、その本領は念動力こそにあるのだから。
 迫る茨を押しのけ、伸ばすは形なき念動の腕。
 それは容易くと黄金の花へと手を伸ばし、その花弁を、茎をと掴み取る。
「金、ね。私にとっては口座の数値の方が重要よ?」
 ――ブツッ。
 まるで花の断末魔。
 響いた音は単純で、ヒトが花を手折るかのように、エーカも黄金の花を手折った。ただそれだけのこと。
 そして、鑑賞に値しない花を取り置く必要性などはない。
 だからこそのとどめの声。
「――もっとも……オブリビオンの首の方がもっと魅力的だけどね。大人しく燃えて、灰になりなさい」
 はらりはらりと零れたは花弁か、はたまた名残の火の粉か。
 茨と共に燃え尽きた黄金の花。それを尻目に、彼女は再びとその身を滑らせる。
 茨の森の最奥。その場所を目指して。
 後ろは、振り返らなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

エドガー・ブライトマン
ひとに迷惑をかける茨とはね
許せないな、なあそう思うだろ?レディ!?
昨日また私の記憶を食ったろう!?

…なんていう戯れはさておき
いばら姫なんてのは、私の左腕のひとりだけで間に合ってるのさ

愉快な仲間の諸君をみかければ、協力を申し込もう
私の名はエドガー!通りすがりの王子様さ
よければ、私と共に迷宮に付き合ってもらえないか?
必ずや、キミらの平穏を取り戻す力となるよ

私のレイピアは、ひとを助けるためにあるのだ
“Jの勇躍”でオブリビオンに立ち向かう

愉快な仲間の諸君は、私の視覚から襲い掛かる茨の迎撃を頼む
その代わり、身を挺してもキミらを守ろう
決して私の傍を離れるなよ

力を合わせれば、突破できない迷宮など存在しないさ



 走る。奔る。戦場の音を目指して。石畳を蹴り、茨の波を越えて。
「ひとに迷惑をかける茨とはね」
 靡くは金糸。翻るは豪奢なるマント。奔るは剣閃。
 名残の彩を世界に刻み、彼は威風堂々とその身を晒すのだ。
 遅れて、刎ねた茨が地に落ちた。
「許せないな、なあ、そう思うだろ? レディ!?」
 語り掛けるは茨。されど、周囲に蠢く茨に非ず。
 それは己の左腕にありし、狂気なるモノ。
 同意するように、同じにするなと言うように、淑女はその身を蠢かす。
 直後、するりと何かが抜け落ちたような、馴染みの感覚。
「――また、私の記憶を食ったろう!?」
 その原因に心当たりなど腐る程。
 追求するようにと己の淑女に声かければ、素知らぬとばかりに淑女は動かず。
 更にと追及することも出来るが、その結果は恐らく彼女の機嫌を損ねるだろうことは明白。
 それで痛みを得るのは、棘に刺されるのは自分なのだ。
 致し方なしと矛先修め、今はそれよりと彼は周囲を見渡した。
 そこに広がるのは。
「あ、あんたはいったい……?」
 ―― 己の乱入せし戦場。
 嗚呼、誰だと誰何の声あらば、堂々と己の名を叫ぼう。

「私の名はエドガー! 通りすがりの王子様さ」

 そう、その名をエドガー・ブライトマン(“運命”・f21503)。
 茨の迷宮を越えんとし、戦いの音聞きつけ馳せ参じた猟兵が1人である!
「お、王子様?」
「そうさ、ポット君達。私が迷宮に挑もうとしてみれば、戦いの音が聞こえるじゃないか」
「だから、駆け付けてくれた? 本当に?」
「その通り!」
 こう見えて、レイピアの扱いには自信があってね、と笑う顔の頼もしさ。
 そして、それは登場と同時の剣戟が何よりも物語っていた。
 ポット君と呼ばれた、ポット型の愉快な仲間を始め、燭台や食器型の愉快な仲間達。その全てが無傷とはいかず、茨に倒れた者達すらあったというのに。
「――よければ、私と共に迷宮に付き合ってもらえないか? 必ずや、キミらの平穏を取り戻す力となるよ」
「俺達だけじゃ……悔しいけれど、これ以上は進めなかった。だから!」
「ああ、大丈夫さ。共に行こう」
 差し伸べられたエドガーの手。それを掴む手はポット達にはなかったけれど、それでも、確かに心が結び付いた瞬間であった。
「だが、その前に――」
 しかし、この迷宮に潜む脅威は茨のみではない。
 ふわりと鼻腔を擽るは芳しき。
「――この脅威を共に乗り越えるとしようか」
 茨の脅威に混じって、黄金なる花が咲き誇る。

「いつの間に……!」
「あれは私が引き受けよう。ただ、茨の方は……お願い出来るかな?」
 その黄金の登場は、茨の中において明らかに異質。
 それ故、その危険を即座に理解したエドガーは背後を気にせずと奔るのだ。
 早期に討たねば、被害は甚大なるものとなると思考して。
 だが、1つへ集中するということは、他が疎かとなるということ。
 走る彼の視界の外。殺到せんとするは茨の鞭。
「――任せとけ!」
 だからこそ、彼らはそれを阻むのだ。王子の花道を妨げさせんとするのだ!
 注ぎ口から熱湯は迸り、燭台に灯る炎は逆巻く。
 それは茨とぶつかり、圧し合い、確かな時間を稼ぎ出す。
「ハハ、見事じゃないか。ならば、私も負けていられないな!」
 さあ、どなたもこなたもご照覧あれ。
 ここに魅せるはJなる勇躍、剣の舞。
 踊り手はエドガーにして、憐れなるパートナーは咲き誇らんとする黄金の花。
 そして、2つの黄金が交差して。

「知っているかい? 私のレイピアは、ひとを助けるためにあるんだよ」
 だから、ここで誰一人とてその掌か零す気などはない。

 ――黄金の花から香りが零れるよりも早く、革命の刃はその花弁を斬り落としたのだ
 だが、まだ舞踊は終わらない。0時の鐘は未だ鳴らないのだから。
 踊る様に、踊る様に、踊る様に。くるり、はらり、ひらり。
 迫る茨の中、時折生じる黄金の中、エドガーは愉快な仲間達と共に踊り進む。
「いばら姫なんてのは、私の左腕のひとりだけで間に合ってるのさ」
 茨の迷宮。その最奥にあるであろう元凶を目指して。

成功 🔵​🔵​🔴​

ボアネル・ゼブダイ
アドリブ連携OK

いばら姫…眠れる森か
まさに童話の世界だな
とは言え、無辜の人々を襲うというのであれば我々が討たねばなるまい

UCを発動
氷結属性の薔薇を投げつけ黄金花を凍らせたら
即座に黒剣グルーラングで花を切り落とし
めしべからの攻撃を防ぐ
襲ってくる茨も同様に氷結させて切り落として無力化し
迷宮の奥を目指す

ふむ…黄金に変える魔力か
まるでミダス王のようではないか
これでは100年どころか永遠の眠りになってしまいそうだな

愉快な仲間達には敵の魔力に触れない遠距離からの援護を頼んだり
または迷宮に抜け道などの情報が無いか聞き取る

援護は歓迎するが危険だと判断したらすぐに退避しろ
ここは我々の領分で、君達の仕事はまだ先だ



 茨の這う街並みは異質。
 ともすれば、それはまるで童話の世界の様でもあるか。
「いばら姫……眠れる森か。まさに童話の世界だな」
 その世界を歩むはボアネル・ゼブダイ(Livin' On A Prayer・f07146)。
 既にその手へは宝剣が握られ、迷宮へと足を踏み入れてより後、幾度かの交戦を経ていることが窺えた。
 故に、迷宮を進むその脚に油断はない。
「――とは言え、無辜の人々を圧そうというもであれば、我々が討たねばなるまい」
 世を闇が覆い隠さんと言うのであれば、その闇を祓う光こそが猟兵たる存在。
 祈りを、希望を遍く救済の光とせんと、彼はまた1歩とその脚を進めるのである。

 香りが広がる。
 それは蕩けるように甘く。
 香りが広がる。
 それは蜜のように絡みつく。
「まるで、熟し過ぎた果物のようだな」
 茨を数多と切り裂き、歩んだ先の袋小路。そこにその光景は広がっていた。
 迷宮の一角を占拠するかのようにと咲き誇るは黄金。
 漂う香りは重く、甘く、まるで蜂蜜の中に直接飛び込んでしまったかのよう。

 ――くらりと視界が揺れた。

 見れば、その黄金の花へと集う虫かの様にとヒトビトの姿。
 それはきっと愉快な仲間達と呼ばれる者達であり、この世界の住人であろう者達。
 見守るボアネルの視界の中、幽鬼のようにとふらりふらり。彼らは花へ手を伸ばさんと必死に空気をかき混ぜる。

 ――再びと、くらり視界が揺れた。

 気付けば、ボアネルの脚がまるで違う意思をもっているかのようにと1歩前へ。
 そこで、彼は気付けた。この香りは悪意あるものであると。
 それは精神への打撃を与える手管を持つが故の気付きであり、狂気すら耐えうる心を持つが故に。
 1度気付いてしまえば、その香りが彼の心に入り込むことは最早ない。しかし、その彼をして一瞬とは言え心に入り込む香りは、それを持たぬ者達であるならば、虜となるのも致し方ないことだろう。
 ――その視界の先で変化があった。
 それは、幽鬼のようにと歩み進めていた者達の身体の一部の変化。
 白磁の陶器たる食器達の身体が、体毛覆われた獣人達の身体が、はっきりと黄金の色をと宿していたのだ。
 だが、彼らは気付かない。気付かないままに、誘われるように、更に更にとその歩みを黄金の花の方へと。

「爆ぜろ」

 だから、ボアネルは惑う余地もなしと力を解き放つ。
 それは凝縮された冷気の生み出した芸術。茨の迷宮に這うそれとは異なる、氷の薔薇。
 投擲され、黄金の花へと違うことなく突き刺さったそれは凍てつく風へとその身を変じ、黄金を、茨をと氷の彫像へと変えていった。
 同時、吹き抜ける風は甘く重い空気を払い、精気なき瞳に生気を取り戻させるのであった。
「ふむ……黄金に変える魔力か。まるでミダス王のようではないか」
「――こ……ここは? 私達は、いったい……?」
「正気を取り戻したか。身体は動くか? 自分が何者であるかもわかるか?」
「え、ええ。私達は……そうだ、この迷宮をどうにかしようと思って、それで……あの花に……あの花は!?」
「大丈夫そうだな」
 ざわめく彼らを落ち着かせ、ボアネルは事の始終を語る。
 それは花の魔力のことであり、それに住人達が囚われ掛けていたことであり、その脅威は去ったこと。そして。
「――私はこの迷宮の奥に用があるのだが、土地勘のある者はないか」
「それなら、任せて下さい。ここが茨に覆われる前、私の家がここにはあったのですから」
 胸張り応えるはライオンの如き鬣を持つ獣人の1人。力一杯と胸叩き、勇ましくと前へと1歩。
「ああ、助かる」
「いえ、命を助けて頂いたのです、これぐらいは!」
「気を張ってくれるな。だが、君達は危ないと思えばすぐに退避しろ」
「な、何故ですか!? 共に戦うことぐらいなら!」
 茨程度ならば、確かにその通りなのだろう。
 だが、単純にこれから控える脅威を思えば、彼らが足手まといとなる可能性もある。
 しかし、それ以上に。
「戦いは我々の領分で、君達の仕事はまだ先だ」
 ――ボアネルは彼らに傷付いてほしくなどなかったのだ。
 戦うと言うことは誰かの命を奪うということであり、自分の命が奪われる可能性を秘めるもの。
 その手に誰かの命の重さを負うよりも、彼らには明日を作るためにこそ、その手を使って欲しかったのだ。
 そして、その言葉の意味を理解出来ぬ程、彼らもまた愚かではなかった。
 顔に浮かぶは、己の国だと言うのに戦いを任せてしまうことへの苦悩。そして、感謝。それが不承不承の頷きの意思表示となって、ボアネルへと示されたのだ。
「そんな顔をしないでくれ。これが終わった後こそが、なにより大変で、忙しいのだからな」
「――分かりました」
 再びと表情を変えた時、そこにあるのは精悍なる顔つき。
 それへと鷹揚にボアネルは頷きを返し、今度こそとその足を迷宮の更なる奥へと進める。
 その視線の先に、道先案内人たる者の姿を納めながら。

成功 🔵​🔵​🔴​

オリヴィア・ローゼンタール
地はいばらとあざみを生えさせ……とは言え、主のそれではなく魔物の悪意によるものならば刈り取らねばなりません

【トリニティ・エンハンス】で聖槍に炎の魔力を纏い攻撃力強化
植物の魔物が相手なら火が定石ですね

協力してくださる愉快な仲間達を【オーラ防御】で護る
【コミュ力】【威厳】で指示を出す
ご協力ありがとうございます
では、体力に自信のある方は私と共に前衛を、目や耳の良い方は周囲を警戒してください
決して無理はなさらないように

【呪詛耐性】で香りの魔力に抵抗
自身はそのまま吶喊し、炎を纏った聖槍で【なぎ払う】
仲間達には近寄らず投擲による援護を指示

自身の【視力】や仲間達の警戒で荊の襲撃を【見切り】、斬り払って迎撃



 茨の生み出した迷宮を、炎が一筋の軌跡を描きながらと駆け抜ける。
 しかし、それは直線描く軌跡ではなく、払うようにと時に弧描き、円描く。
 炎の残照に照らされて、銀の糸が舞っていた。
「陣形、立て直しを! 目や耳の良い方は周囲を引続き警戒して下さい!」
 オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)の凛とした声は、戦場の音支配する中でも良く響く。
 指示を出す間も手は止まらず、滑らかに描かれた炎の軌跡が、1つ2つと茨の鞭を焼き切り、刎ねた。
「体力に自信のある方は私と共に前へ! 打って出ます!」
「応さ!」
 そして、己は一番槍の誉も見事とばかりに前へ、前へ。
 応えた声もオリヴィアの戦意が燃え広がったかのようにと、力強く。
 猟兵たるオリヴィアと迷宮に足を踏み入れた愉快な仲間達。それは1つの連合であった。

「ご協力、ありがとうございます」
「いやいや、あっしらにとってもあんたのような人が手伝ってくれるってんなら、百人力さ」
 迷宮に足を踏み入れたオリヴィアは茨を越え、迷路を進み、奥へ奥へ。
 そこで出会ったのが彼ら――ケットシーのようでありながら、その実、種族としては異なる猫人のような者達。
 彼らもまた、国を覆う茨の原因を突き止めるべくと茨の迷宮へと足を踏み入れていたのだ。
 そして、正確に記すとするならば、茨に襲われていた彼らをオリヴィアが偶然にも助け出した結果が現在の同道と言うべきか。
「地はいばらとあざみを生えさせ……とは言え、これが悪意によるものならば、刈り取らねばなりません」
「なんだい? そのいばらとあざみをなんたらってのは」
「私の信ずる教えの一節ですよ」
「へぇ……戦えるだけでなく、博識なんだねぇ」
 それは、かつてヒトが罪を犯したがために、呪いの象徴として生じたとされる植物。
 ならば、眼前にて蔓延るモノはなんであろうか。
 猫人達が罪を犯したとでも言うのだろうか。否、否である。
 ならば、これは取り除かねばならない。彼らに罪などないのだから。
「……どうしたんだ?」
「いえ、なんでもありませんよ」
 知らず、茨を見るオリヴィアの瞳は鋭く、剣呑なる光を宿していたようだ。
 猫人は沈黙したオリヴィアを気遣うようにと、気まずそうにと。
「そうかい? それならいいだけれどよ」
「すいません。少し、考え事を」
「はははっ。謝ることじゃあないが、こんな獣の胃の中みたいな場所でも考え事ができるとは、大したもんだ」
「いえ、皆さんの方こそ……――」
 不意の沈黙。
 ざわりざわりとオリヴィアの中の勘がさざめく。この先に、何かがある、と。
 それは茨か。いや、違う、これは――。
「お、おい、どうしたって――」
「――皆さん、下がって!」
 するりと動いた聖槍の閃き。炎が後を追うように、空間へとその軌跡を描き出す。
 何もない筈の空間。焼いた痕跡はなく、斬った痕跡もない。だが、確かに何かを払ったのだと、彼女の経験が告げていた。
 目を凝らす、目を凝らす、目を凝らす。茨の迷宮が奥にある闇の中を見通さんと。
 そして、そこに彼女はそれを見た。
 それは目もくらむ程の輝き。黄金なる花。
 茨の迷宮。その中に咲くそれはともすれば、迷宮へと挑んだ勇者が持ち帰るかのような宝にも似て。
 だが、この世界は童話のようであっても、そこにある悪意は童話のように優しきモノではない。
「対応は先程の通り。ですが、あれには近づかないように!」
「お、応!」
 それを彼女は知るからこそ、その動きは迅速であった。
 踏み込む脚の衝撃は地を響かせ、踏み込む身体の動きに風が生まれる。

 ――どろりと絡みつくような、甘い、甘い空気。

 心に何かが絡みつき、纏わりつくような感覚。
 しかし、彼女はそれに囚われない。心守る祈りが、邪悪祓う聖炎が、その身を守るが故に。
 だが、猫人達に近づかないようにと伝えて、それは正解であった。
 近付けば、恐らくはこれの虜となっていたことだろう。
 彼女の接近を防ぐかのように、茨が今になって蠢き、揺らいだ。
「させるかよってんだ!」
 見聞きに努める者、その指示に従い対応する者。
 オリヴィアの指示――見聞きに努め、警戒し、力ある者が対応する。それを守った猫人がその蠢きを妨げるのだ。
 石が飛び、矢が飛び、ガスリガスリと茨を打つ。
 オリヴィアが捉えた視界の端で、猫人が笑っていた。オリヴィアもまた、笑っていた。
「この道は我らが歩む道。退きなさい!」
 故に、聖槍の刃が、聖炎の灯火が、悪意ある黄金の身を穿ち、滅するのは当然の帰結。
 黄金は塵へと還り、オリヴィアの動き遅れて吹き抜けた風に溶け消えていく。
 最奥へと至るまで、まだ数多と障害はあるだろうが、彼女らの進撃を止められる者などない。
 そう思わせるだけの一瞬の攻防が、ここにはあったのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

キリカ・リクサール
茨の迷路か
国一つを飲み込むとは豪快な話だな
とは言え、巻き込まれた者達には笑い話にすらなるまい

UCを発動
黒豹がもつ優れた感覚器官をフルに使い
風の音、敵の匂い、そういった痕跡から出口を追跡する

出てこい…狙うべき獲物を探し出せ

敵に対してはシルコン・シジョンによる遠距離からの銃撃でめしべを重点的に狙って倒す
別に襲ってくる茨には黒豹による爪牙やナガクニで対応
カウンターも使い効率的に処理していく

浴びた者を黄金にする魔力か…
恐ろしいが、近づかなければいい的だな

愉快な仲間達に対しては迷宮の出口を知っているか情報収集して
戦闘には巻き込まないように気を付ける

戦いは我々の領分だ
彼らには今しばらく待機していてもらおう



 足取りはまるで平原を歩くかのように。
「茨の迷路か。国一つを飲み込むとは豪快な話だな」
 茨這い、捲り上がった石畳を避け、茨に呑み込まれた家々を注意深くと観察する。
 それは染み付いた動き。
 キリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)が。今に至るまでに獲得した経験から来るもの。
 そして、彼女に染み付いているのは経験だけではない。技術もまた同じくして。
「――とは言え、巻き込まれた者達には笑い話にすらなるまい」
 状況クリア。
 進むに問題なしと判断し、彼女は歩を進める。
 その動きに淀みというものはなく、奏でる足音もなければ、纏う衣服が衣擦れを歌うこともなし。
 ただ1つ、独白気味に零した言葉だけが、茨の迷宮に静かに溶け消えた。
 それに反応した訳ではないだろうが、茨はぞろりと蠢き、音を立てる。

 ――張り詰める緊張感。

 だが、茨蠢くとも、それが襲ってくるような兆しはない。
 むしろ、どこか遠く、キリカより離れた地へと伸びるかのように、集まるかのように。
「出てこい」
 それが何の兆候であるのかは分からない。
 だからこそ、彼女は知覚を広げるための手段を講じるのだ。
 その手段――呼び声にと応え、現れたのは粘液の身体を持つ黒豹。ヒトのそれよりも鋭き感覚を持つ異形なる。
 それは従順なる従者のようにとキリカへ頭を垂れ、その主人たる彼女の命を待つのみ。
「――狙うべき獲物を探し出せ」
 だから、彼女は命令をくれてやるのだ。敵を探せ、と。

「も、もう駄目だー!」
「大馬鹿! 諦めんじゃないよ!」
 泣きわめく声に喝入れる声。それは双子の小さな鼠の声。
 彼ら、彼女らは伸びた茨を解決せんと乗り出した愉快な仲間達、その集団であった。
 だが、今や茨に打たれ、黄金となり、壊滅寸前。
 だからこその泣き言であり、その弱気を嗜める喝の声であったのだ。
 しかし、弱気も、強気も、無機質な者達の前では無意味。
 四方から迫る茨が、仲間を黄金と変えた何かが、彼らへと迫った。
 その時。

「浴びた者を黄金にする魔力か……恐ろしいが、近づかなければいい的だな」
「……へ?」

 ――木霊するは、ヒトの手により生み出されし機銃の歌声。
 それは勇ましく世界を塗りつぶし、己の歌声に聞き惚れたものを天上へと案内するのだ。
 歌声響き終わって息つけば、其処に残るのは茨と黄金の残骸ばかり。
「無事か?」
「……え、え?」
 残骸踏み砕き、現れたはキリカが姿。
 唐突なる窮地からの脱出は、その変化に追いつけぬ鼠の双子の目を白黒とさせるばかり。
「無事か?」
「……あ、はい!」
 2度目の確認。それでようやくと思考が追い付き始めたのだろう、勝気に喝入れていた鼠が応と返した。
「なら、いい。お前達は、ここの住人でいいのか?」
「そうだよ。僕らはこの国の愉快な仲間達! ……だったんだけどね」
「いつの間にか茨が生えてきて、あたしらの国は乗っ取られちまった。取り返そうとしたら、この有り様さ」
 仲間失い、万策尽きて、己の無力にと肩を落とす2匹。
 その一部始終――先行した黒豹を介し、戦闘の様子を少しばかりだが把握していたキリカ。それ故、生き残ってしまった2匹の姿に少しだけ、ズキリと心の古傷が痛んだ。
 それは小さな小さな揺らぎ。もしかすれば、馴染み深い者であったならば、もしかしたら拾えたのかもしれない。それぐらいに小さな揺らぎ。
 だが、ここにはその者はない。それ故に、その揺らぎはすぐにと凪へと戻っていった。
「なら、都合がいい。私はこの元凶を突き止めるためにと、ここへ来たんだ」
「そうなの?」
「ああ」
 信じていいのか、信じるべきなのか。揺らぐ2匹の心が見えるかのよう。
 しかし、先程の窮地を救ったという場面が効いたのだろう。2匹は意を決したようにとキリカへと伝えるのだ。
「……あたしらの力じゃ、もうこれ以上は進めない。だから、ここから先はあんたに託すよ」
 それは茨の先、這い出る元凶の居場所を伝えんとするもの。最初に茨が確認された場所を教えんと。

 ――不意に、響くは脳裏の警鐘。見えたは己であって己ではない者の視界。

 引き抜く刃。銘を鹿島永国。
 その鋭さはまさに彼女にとっての爪であり、振り向きざまにと振るったそれが脅威を断つ。
「まだ残党があったか」
「だ、大丈夫なの?」
 新たなる脅威の出現へ、不安を顔にと滲ませる2匹。
 視界の先に広がるの茨の波と波間に見える黄金の飛沫。確かに、その数は多い。
「ああ、安心するといい」
 ――だが、所詮はその程度だ。
 背後にと隠して2匹に語るは、背中の告げる歴戦の風格。足元で黒豹が威嚇するように唸る。

「戦いは我々の領分だ。そこでしばらく仕事ぶりでも見ているといい」

 その言葉に熱はなく、ただ役割を全うせんとするプロフェッショナルとしての冷静なる矜持だけが宿っていた。
 その言葉を証明するように、キリカという壁を波は1度も越えることはなく、全てが残骸へと還るのも遠くない未来の出来事。
 そして、彼女が2匹の鼠より得た出口への道を進むのも、また。

成功 🔵​🔵​🔴​

イリス・ローゼンベルグ
「ああ……まったくもって迷惑だわ」
「こんな事をしてくれて……私が誤解されたらどうしましょう」
そんな事を考え、いばら姫にイラつきながら迷宮を進む

この迷宮を作っているのがいばら姫なら茨の伸びている先に本体がいるはず
敵の襲撃に備え【茨の触手】を自身の周囲に展開、警戒をしながら茨の蔓を辿って迷宮を進行
戦闘になった場合は【毒使い】【マヒ攻撃】を使った毒の触手で敵を【串刺し】にして攻撃
敵の攻撃は触手で【武器受け】をしてガード
ダメージをある程度負ったら【薔薇は散らず】を発動、体の再生を行う
ふふっ、どちらの茨が強いか分からせてあげるわ



「ああ……まったくもって迷惑だわ」
 踏み荒らす足音は荒々しく。
「こんな事をしてくれて……私が誤解されたどうしましょう」
 零す声音は刺々しく。
 茨の迷宮を進むは、花咲く少女――イリス・ローゼンベルグ(悪を喰らう蠱惑の薔薇・f18867)。
 その声に、動作にと示されるものは苛立ちであり、怒りだ。
 それもその筈、彼女の身体を構成するは薔薇の因子。
 そうであるが故に、茨をもって悪行を為さんとする者の存在が疎ましくて仕方なかったのだ。
「ああ……まったくもって迷惑だわ」
 再びの言葉は蔑みの眼差しと共に。踏み出した脚が、千切れ果てた茨を踏みつぶした。
 周囲へと目を向けてみれば、それは戦いの痕。
 千切れた茨がその身に通う樹液を血のようにと零し、ぶちまけ、あちらこちらにその身を晒す。
 いや、正確を期すならば、それはもう一方的な惨劇の痕と言うべきか。
 その下手人は言うまでもないことだろう。
 花の如くと可憐なる少女、その手によってだ。
 埃を払うように、衣服払って2度3度。
「ああ……まったくもって迷惑だわ」
 三度目は嘆息と共に。
 止めた脚。視界の先で、迷宮の茨が蠢いていた。

 空気裂く速度で茨がしなる。
 その太さは大人の腕程もあり、僅かと触れればイリスの身体は容易く裂けると思わせるもの。
 だが、それを受け止めるは小振りなるナイフ。
 巧みに、小刻みに、逸らすようにと受け止め、流し、彼女はその身に一つとて茨を到達させはしない。
「あら、駄目じゃない。ちゃんと狙わないと」
 鈴なる声で、クツリクツリと押し殺したように嗤う声。それは明確なる嘲笑であり、挑発。
 目がある訳ではないだろう。耳がある訳ではないだろう。
 なのに、明らかなる敵意が茨を通してイリスへと伝わるのが分かる。
 それはもしかすれば、共通する因子を持つものとしての共鳴のようなものであったのかもしれない。

 ――茨はその数を増し、勢いを増し、圧し潰さんと。

 だからこそ、その一手も彼女には読めていた。

 ――茨に抗するは茨。

 ぞろりと伸び出でるは茨の触手。
 それが盾となり、剣となり、攻め来る茨を防ぎ、叩き潰す。
 驚いたように、警戒するようにと茨の攻勢が止まった。
「1度見せてあげていたじゃない。もう、忘れたの? それとも、さっきのとはまた違うのかしら」
 思い返せば、ただの少女がナイフ1本で茨の群れを惨劇と処せるであろうか。
 否ではないが、誰彼にもと出来るものでもない。
 迷宮の茨と対し、伸びる茨の触手。その根の先を見れば、あるのはイリスが身体。
 そう、これこそが絡繰りのタネ。
 薔薇の因子持つ彼女の本当の武器こそが、この茨の触手であったのだ。
「まあ、いいわ。それなら、ふふっ、どちらの茨が強いか、もう1度分からせてあげる」
 花が咲く、花が咲く。伸びたる茨に、少女の身体に。
 はらり零れるようにと花弁彩るはイリスの体躯。
 慌てたようにと茨が攻め来るが、もう遅い。
 既に、あちらこちらの方々へと這わせていたイリスの触手が一斉にとその身を晒し、迫る茨を喰い荒らすのだから。
 そして、喰らって、喰らって、喰らって、周囲に樹木の青臭い香りが充満する中で、ふと、混じったは芳しき。
「――?」
 緑散る中に生じた金色。それは千切れた茨を糧として、散った命を糧として、急速にと生じたのだ
 香りは魅惑。香りは猛毒。鼻腔擽るそれは心蕩かし、金色の誘惑の中に敵対するものを沈める悪辣な罠。

「何かと思えば、その程度?」

 ――ただし、それが普通の相手であったならば。
 ここにあるのはイリス・ローゼンベルグ。薔薇の化身にして、悪を喰らう蠱惑の薔薇。
 金色の花の香りが如きに、薔薇の香りを、己の心を塗りつぶされる筈もなし。
「――なら、期待外れね」
 腕の代わり、脚の代わり、動かかぬ彼女の意志を運ぶ触手が、くしゃりと音を奏でた。

「それじゃあ、先に進みましょうか」
 歩を進めるは茨の根本。己と異なる茨の根元。
 思考するは、如何にしてやろうか。ただそれだけ。
 背後に広がるは戦いの痕。彼女がそれを振り返ろう筈もなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
いばら姫…騎士の御伽噺ではないですが、御伽噺ということで調べたことがありましたね(●世界知識)

話の中の茨は選ばれた者以外の侵入を拒み、時を止めて姫を守護するものでしたが…
この茨はそんな生易しいものでは無さそうですね

土地勘のある住人に茨の解決をお約束し、道案内の協力を要請
茨の迷路を●怪力で振るう剣で●なぎ払い踏破し、遠距離から●スナイパー技能でUCで黄金花を焼き払い、いばら姫を目指します
必要以上に周囲を焼かないよう、消火剤封入弾の放つタイミングには細心の注意を払わなくては…

襲い来る茨はセンサーでの●情報収集で動体を●見切り、協力者を●かばいつつ●盾受け●武器受け
傷一つ負わせないことをお約束します



 騎士は進む、茨の中を。
 ただし、その歩みはその深奥に眠る姫を起こすためのものではない。
「いばら姫……騎士の御伽噺ではないですが、御伽噺ということで調べたことがありましたね」
「へぇ……他の世界には、こんな風なお話があるの?」
「ええ、その話の中の茨は選ばれた者以外の侵入を拒み、時を止めて姫を守護するものでした」
 知り得る物語を語るは白銀、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)。
 その出自は星海の世界であり、そこでも遠い昔には御伽噺が語られる時もあったのだろうか。それとも、他の世界で得た情報だったのか。
 どちらにせよ、自身の中に眠る情報の中から近似のものを探し出し、当てはめ、語るのだ。
 それに相槌を打つは、喋る鴉。女性の声音を嘴よりと零し、興味深げに耳を傾けている。
 その正体は、この世界に住まう愉快な仲間達の1人。
 茨の迷宮の中、脅威から隠れていた彼女はトリテレイアとの偶然の出会いを経て、彼の要請を叶えんと同道しているのだ。彼の肩を止まり木としながら。
「なら、この茨も誰かを守るものなのかしら」
「ある意味では、そうなのでしょうね。とはいえ――」
 抜き払うは刃。煌くは白刃。
「――この茨は物語のものほど、生易しいものでは無さそうですね」
 トリテレイアの眼前で、蠢く茨が壁の如くと立ちはだかるのであった。

「右! 右から来てるわよ!」
「ありがとうございます。大丈夫ですよ」
「そんな余裕を見せてる場合!?」
 茨は網となり、鏃となり、鞭となり。
 トリテレイアの身を絡め、貫き、打たんと四方よりと迫りくる。
 逃げ場などはなく、それは無力な鴉にとっては悪夢以外の何者でもないことであろう。
 ガーガーと喚く声を気にも留めず、トリテレイアは己のスペックをただ活かすのみ。
 それは定められた機能を十全と発揮した怪力であり、それを更にと活かし、機能以上の結果を齎す彼自身の経験による技量。
 網と来れば断ち払い、鏃と来れば銃撃で穿ち、鞭と来れば鉄壁なる盾でもって受ける。
 白銀の輝きに、瑕疵の1つもありはしないのだ。
「わ、わ、わ! アナタ、すごいのね!」
「お褒め頂き、恐縮です」
 泣いた鴉がなんとやら。
 眼前でもって繰り広げられる戦いに、それでもなおと無傷を誇るその姿に、鴉は喝采を高らかに。
 だが、それに驕り昂るトリテレイアでもなし。ただただ変らぬ調子でもって、返事をするのみだ。
 そして、その傍らでも彼の動きは止まらず。
 モニターは、センサーは茨の動きを捉え続け、処理し続ける。
 再びと振るった刃が迫るそれへと喰い込み、止まらぬ腕の怪力が力づくにと引き千切った。
「――む」
 不意に響いた警告音。
 それは茨を前にしても発せられなかった脅威を示すモノ。
 いったい何に反応したのか。
 戦いの手は休めず、しかし、放置は出来ぬとリソースの幾つかを解析に回し、その原因を究明せんとトリテレイアは意識を奔らせるのだ。
 それは機械の身体持つが故の思考分割。種族としてヒトならざるが故にの利点。
「見つけました」
「何? 何を見つけたの?」
 センサーに感知される空気内へと混じる異物の存在。そして、それの元凶たる黄金を。
 だが、それを刃で討とうとも、接近はその異物の濃度濃い場所へと赴かねばならない。それは、共にと来てくれた鴉を殺すようなもの。

 ――轟と逆巻くは炎。

 だからこそ、彼は近付くを選ばずして、遠方より討つを選んだ。
 放たれたそれは着弾と共に燃ゆる弾頭。それは決して騎士としての作法ではないのだろうが、それでもと。
「傷一つ負わせないと約束しましたからね」
「そうだけれど、ちょっとびっくりしたわ!」
「炎はやり過ぎでしたか」
 喋り合う姿はまるで軽口の様。
 驚いたという鴉の声も、そこに硬さはもうありはしない。守り通してくれるという信頼だけがそこにはあった。
 傷一つ負わせない。それは同道するを依頼した時の約束。

 ――傷一つ負わせないことをお約束します。

 その言葉は誓いだ。騎士として守ると誓ったのならば、それを違わぬことこそを優先すべき。
 遠くでぱちりぱちりと火花が散って、炎の色の中で黄金は急速に黒へと変わっていく。否、黄金だけではない。茨諸共とだ。
 最早、警告の声は聞こえない。
 ただ、再びと歩き出すトリテレイアの足音と軽やかに案内する鴉の声だけが響いていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

リュカ・エンキアンサス
茨、に、茨姫…
うん。なんだか昔聞いた御伽噺みたいだね
あれに出てくるお城も、茨に覆われて人が住めなくなったんだっけ
人が住めない国なんて、国じゃないから、
…それじゃあ今日も、出来る限り頑張ろうか

黄金花は、色が目立つから倒しやすそうだから
視界に入り次第銃で撃つ
踏破時は最初はゆっくり、無理せずに。
黄金花の魔力の範囲を慎重に見極めて、
その範囲には入らないようにして撃つ
もし、愉快な仲間の人が苦戦しているようなら援護射撃
逆に、茨は助けてもらえるとありがたい
難しそうなら、自分でダガーで切り落とす
ある程度黄金花の行動範囲が知れたなら、
なるべく早業で黄金花と茨に掴まらないように、後半は一気に駆け抜けたい



 タタッと小気味良く響くは銃火の旋律。
 吐かれた吐息の先で、はらりと散るは茨に咲いた黄金色。
 結果を目視し、リュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)も、息整えるようにそっと一息。
「目立つお蔭で倒しやすくはあるね」
 手にした灯り木の残弾を確認し、まだ大丈夫か、と零す声。
 一息がてらにぐるり辺りを見回せば、そこには茨の壁、迷宮。
「茨、に、茨姫……うん。なんだか昔聞いた御伽噺みたいだね」
 広がる光景は確かに御伽噺の世界なのだろう。
 件の御伽噺に竜は出てこないけれど、それでも空想の産物たるお話は彼にとって好ましいものではあるのだろう。
 それはきっと誰かの世界の生み出した景色で、自分の見る世界とは違う景色だからこそ。
 そんないつかの御伽噺と似た世界に足を踏み入れたことに、少しばかりと心は浮かぶ。
 だが。
「あれに出てくるお城も、茨に覆われて人が済めなくなったんだっけ」
 ――目の前に広がるのはやはり現実であり、戦士としての側面がその浮かんだ心をすぐ様と引き戻すのだ。
 この世界は物語と似て非なるもの。
「人が住めない国なんて、国じゃないから」
 そこには確かに住まう人が居て、生活があったのだ。
 ならば、茨を払い、元あるものを取り戻すことこそがリュカの役目であろう。
「……それじゃあ今日も、出来る限り頑張ろうか」
 リュカは気負うこともなくと灯り木を担ぎ直し、再びとその歩を茨の奥へと進めるのだ。
 これが物語なのだとすれば、彼は茨姫を起こすための王子様ではないけれど、茨に包まれて眠る国を起こす王子様なのであろう。
 愚にもつかない考えに、少しだけ口元が綻んだ。

 ゆっくりゆっくり、慎重に。
 数多の戦場を生き抜いてきた勘が、経験が、リュカの安全を担保する。
「――! ――!!」
 不意に、遠くより聞こえるはナニカの声。
 争うような、焦燥感に包まれているような。
 枝分かれする迷宮。その道の流れからすれば、それは無理にと進まなくても良い方向なのだろう。
 天秤が揺れる。
 それは己の安全の確保と人命と。
「――! たすけて! ――!」
 そこだけは、いやにはっきりと聞こえた。罠などでもあろう筈もない、戦場で数多と聞いたような声。
 たすけて。たすけて。たすけて。
 そして、天秤は傾いた。
 助けを求むる声あらば、それを放って等おけない。
 心の底で静かに燃ゆるものを持つが故に。

「誰か! 皆を助けて!」
 倒れた仲間。黄金に誘われいく仲間。
 その中でただ1人、デフォルメされた熊のぬいぐるみが奮闘していた。
 それはその姿に似合わぬ力でもって、黄金に近づこうとする仲間を抑え、茨にとその身を打たれながらも耐え続けている。
 叩いた茨の棘が布を裂き、もこりと溢れる綿の白。
 それでも彼は仲間がそれ以上の犠牲とならぬようにと、その身を盾に抑え続けるのだ。
「誰か!」
「――聞こえたよ」
 助けを求める声に応えるは銃弾の吐息。
 リュカが迷宮に足を踏み入れてから幾度目かのそれは、その幾度と同じように茨を蹴散らしていく。
 ボタンの眼を瞬かせたぬいぐるみ。
 その前に流れるは星空を映したかのようなマフラー。それはまるで願い叶える流れ星のように。
「君の願い。その重さに負けない強さを」
 引き金引いた指に込めるは祈りと願い。
 ぬいぐるみの願いが助力を求めるものであるのなら、その原因たる悲劇を取り除こう。
 グッと引かれた指先。吐き出された弾丸は、たったの1発。
 だが、それで十分だ。
 空気を裂き、茨の隙間を縫い、黄金となりゆく者達を避け、そのたった1発は見事と金色の花を散らすのだから。
 そして、銃声を目覚めの音として、黄金にまどろむ者達が目を覚ました。
「あれ、俺達、なにしてんだ?」
「皆、目が覚めたんだね!」
「うん。感動の対面もいいけど、こっちも手伝ってほしいかな」
 武骨なる短剣を指揮棒のようにと動き巡らせ、銃火の旋律を奏でるはリュカ。
 目覚めた者達と協力し、茨は速やかにと駆逐されていく。
 安全圏を確保するのに、そう時間はかからなかった。

「この先に、抜け道が?」
「そう! 茨の出てきた場所に通じるそこが塞がれそうだったから、頑張ってたんだけれど……」
 結果は忸怩たる。と、どんよりなぬいぐるみ。
 リュカは応急処置的にぬいぐるみの綿を詰め直し、縫い直しながら相槌を打ち続ける。
 だが、その甲斐はあった。
 迷宮をぐるぐると周りよりも、進むべき場所を明確とするその情報は有益と言えるものだろう。
「それ、教えて貰えたりするかな?」
「うん! 任せてよ!」
 一も二もない返答は、命救われた恩義に報いるためと。
 そして、道標を得たリュカは着実なる1歩を再びと迷宮へ刻み始めるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

いばら姫、ねぇ…
王子様が迎えに来るまで寝ててくれたら楽だったんだけど、そんな感じでもなさそうねぇ…

一応エオロー(結界)のルーンを仕込んで呪詛や狂気に○耐性はあるけど、この迷宮長居してもいいことなさそうだし。愉快な仲間にも協力をお願いして、さっさと突破しちゃいましょ。
用意するルーンはペオース・エイワズ・ラド。
「正しい選択」で「前進」して「探索」するわぁ。
黄金花は見つけ次第伐採。
グレネードの〇投擲やカノ(火)のルーン刻んだ焼夷弾の炎○属性攻撃で焼却処分しちゃいましょ。
茨はイサ(氷)やニイド(束縛)で妨害して、対処は愉快な仲間にお願いしようかしらねぇ。



「いばら姫、ねぇ……」
 その声の持ち主、ティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)が零す声は蜜のように甘い響き。
 しかし、茨の迷宮の中において、それには嘆息という苦みも少しばかり混じっていた。
 それもその筈、何者かの意思介入する迷宮において、正しい道を選び続けるということは、脅威と相対し続けることを意味する。
 それに遅れを取る訳ではないが、何度もと邪魔が入れば辟易もしようというものであろう。
「王子様が迎えに来るまで、寝ててくれたら楽だったんだけどぉ」
 やれやれと肩を竦めて見せれば、その視界の先で再びと蠢き始めた茨の壁。
「――そんな感じでもなさそうねぇ」
 本当に、困った話だ。

 爆炎が黄金と茨とを赤に染め上げる。
 それは確かにと脅威となり得る茨を吹き飛ばし、金色の齎す金粉を燃やし、何もかもをと消し炭へと変えるのだ。
 だが。
「当たってやる訳も、ないでしょぉ?」
 ――爆炎の名残たる煙を突き抜け、茨は後から後からと迫りくる。金色の花は正しき道遮るようにと群れ広がる。
 それらの様子はまるで死兵を思わせるかの様。
「ほんっと、奥に居るのは厄介なお姫様よねぇ」
 躱し、撃ち落とし、斬り捨て、己の宿す技量を十全にと活用しながら、彼女はその身の無傷を見せつけるのだ。
「おい、こっちから何か凄い音がしたぞ!」
「誰かが戦ってるのか?」
「新手……という訳でもなさそうねぇ」
 飛び交う茨の向こう、金粉届かぬ先、新たにと姿を見せたのは小人達――愉快な仲間達の一団。
 それらは手に手にと粗末な、しかし確かな武器を持ち、目の前に広がる戦いに、刻まれた余波の痕に目を奪われていた。
「ちょっとぉ、いいかいしらぁ?」
「な、女!?」
「茨の元凶を突き止めたいのだけれどぉ、協力しなぁい?」
 小人の集団が手にする武器には、茨の汁が付着していた。
 彼らの通った道は偶然か必然か、ティオレンシアが切り拓いてきた道そのもの。
 そこにある脅威の大半はティオレンシアが受け持つ形となっていたため、その脅威度は低かったことだろう。
 だが、それでもその証は幾度かの交戦を経たことを示し、それでもなおとここまで辿り着いたことを示すものであった。
 それを即座に理解したが故、彼女はその交渉を持ち掛けたのだ。
「お、おう。それは儂らも同じところだが」
「なら、交渉も成立ねぇ。道は拓くから、それを更にと広げて頂戴」
「それはいいが、あんたまさか1人で……」
 話す間もと迫りくる脅威。
 それでもなおと踊る黒曜の動きを射止めるものはなし。
 だが、ここに来てティオレンシアの動きは変わった。躱し、捌く動きから、攻め、切り拓くためのそれへと。

 ぐんと沈み込む身体。重心は前へと傾き、身体はそれへと引っ張られるように。
 1歩、2歩、3歩……駆け抜ける脚が躍動する度にと速度はあがり、瞬く間にとトップギア。
 低く、地を這うかのように駆ける姿はまるで黒豹のよう。
 突如として切り替わった速度に、最早茨もその影を貫くのみ。

「I、N……」
 だが、勿論とそれだけでは終わらない。
 過ぎ去りし時に残すは置き土産。
 ばらりと零した真なる文字。それはティオレンシアの影貫いた茨を戒める言の葉。
 凍れる時が茨の身を戒め、動き封じられたそれを伐採するは小人たちの役目。
「すげぇ……なんなんだ、あれ」
 隔絶した技量は理解すらも及ばない。だが、任された仕事だけはと小人たちも武器を振るう。
 それを振り返ることもなく、彼女が目指すは先へ先へ。

 ――踏み込んだ脚に絡みつく空気。

 それは精神に作用するものであったのだろう。
 ギシリギシリと、ティオレンシアの纏う加護が悲鳴を上げる。
「……長居してもいいことなさそうだわぁ」
 だから、燃やし尽くそう。
 刻まれた言葉は原初の炎。何もかもを燃やし尽くすそれは弾倉の中で解き放たれる時を待ちわびる。

「そこを、どきなさぁい」

 ――ガチン。
 落ちる撃鉄。
 愛用の銃口より吐き出されるは赤。金色に染まる空気を払うようにと、それは再び世界を染め上げる。
 そして、燃ゆる景色の向こうに、目指すべき深奥の景色が垣間見えた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『いばら姫』

POW   :    死体の森の眠れる美女
戦場全体に、【UCを無力化し、侵入者を攻撃する茨】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
SPD   :    千荊万棘フォレスト
【UCを無力化する広大な茨の森】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    カニバリズムローズ
【周囲の地形が広大な茨の森】に変形し、自身の【森に侵入した者の生き血(敵へのダメージ)】を代償に、自身の【森の、UCを無力化し、侵入者を攻撃する茨】を強化する。
👑11
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 森の深奥。
 そこは迷宮に用意された唯一の出口にして、猟兵達の目的地。
 そして、不思議の国の住人からすれば、国を呑み込んだ元凶が発生した場所。

 ――茨に包まれ、瞳を閉じた少女が1人。

 祈りを捧げるかのようにと組まれた両の手は嫋やかに。
 纏う緑のドレスは幾重にも重なり、広がり、淑やかに。

 ――閉じられていた瞼が開く。

「王子様……という訳ではないようですね」
 口元はにこりと淑女のそれ。猟兵達を歓迎するかのように弧を描いている。
 だが、声を発した筈なのに、その口が開かれた様子はない。
 ならば、その声音はいったいどこから?
「ですが、私は、私達は歓迎します」
 ざわりざわり。ガチリガチリ。
 響いた声は無数と重なり、不協和音を奏であげる。
 声の発生源は、音の発生源は、少女から伸びる茨に咲いた薔薇の花。
 その花弁の中に生じた、無数の口、無数の牙。
「だって、皆さん、とっても美味しそうなんですもの!」
 猟兵達は理解し、不思議の国の住人達は戦慄する。
 嗚呼、あれはお姫様などではない、と。
 茨が、迷宮が、世界が牙を剥く。
ボアネル・ゼブダイ
アドリブ連携歓迎

この荊にはUCでの攻撃は行わない方が賢明という訳か
であれば、私自身を強化すれば問題ないだろう

人工血液セットから吸血
UCを発動し特殊攻撃力を上げ
さらにドーピングで身体感覚も向上させる
フランマ・スフリスを装備し噴き上げる炎で茨を焼き刃で斬り落として迷路を攻略

薔薇と血の匂いか
フッ、今の私と同じとは皮肉なものだな

ドーピングによって強化された身体感覚で
敵の匂いや吹き抜ける風の流れを感じ取り
さらには第六感も研ぎ澄ませて一つだけの出口を目指す
敵に辿り着いたら炎を纏った斬撃で薔薇達に範囲攻撃を行い
返す刃で本体も切り裂く

随分と口数の多い姫君だが
レディであるならばその口を噤むことも覚えなくてはな


オリヴィア・ローゼンタール
この土地そのものが武器、ということですか

【属性攻撃】【破魔】で聖槍に聖なる炎を纏う
全身を炎の【オーラ防御】で包み、茨が触れる端から燃やしていく
ユーベルコードを封じようと、我が身の内より燃え盛る炎を消すこと能わず

襲い来る茨を強化された【視力】で【見切り】聖槍で斬り払う(カウンター・なぎ払い)
囀る薔薇を灼熱したガントレットで握り潰し、グリーブで踏み潰しながら迷宮を踏破する

本体を見つけたら【怪力】で聖槍を振るい斬り打ち穿ち、怒涛の勢いで攻める
すべてのユーベルコードを封じ続けるのは難しい筈
ダメージや苛立ちで集中力が途切れた瞬間を狙ってコードの使用を試みる
【全力魔法】【紅炎灼滅砲】で周囲一帯を焼き払う


トリテレイア・ゼロナイン
(肩に留まった鴉に礼を言って後はお任せくださいと下がらせつつ)
鉄の騎士に美味しそうとは随分と悪食な姫君ですね
花壇の飾りくらいにしかならないでしょうに

……悪食は兎も角、世界を喰らう暴食はいただけません
再度の眠りについて頂きます

私のUCは追加装備や機能がいつの間にかUCの力を帯びた物ですが、それを封じるとは…
ですが、私は戦闘機械。UCなど手札の一つに過ぎません
使えないUC…各種ユニットや妖精ロボ格納庫、隠し腕、格納銃器など全てパージ(●防具改造)

自身を●ハッキングしリミッター解除
●怪力での●武器受け●盾受けで茨を引き千切り
軽くなった躯体でスラスターを吹かし●スライディングし接近
剣で刺し貫きます



 流れ広がる茨は濁流の如く。
「どうぞ、私の身の内/森へ。美味しく食んで差し上げますわ」
 抗するようにと飛んだ力の幾つかが、茨に触れて弾けて消えた。
 驚愕。
 猟兵達を貫いたのは、まさしくそれであろう。
 ユーベルコード――数多の戦場を共に駆け、数多の難敵難事を潜り抜けてきたそれが、泡沫の如くと弾けて消えたのだから。
 だが、その驚愕の時ですら茨の濁流は我関せずとその勢力を広げるのだ。
 そして、呑み込まれるは――。

 広がる、広がる、茨の森。
 それは踏破してきた茨の迷宮とは似て非なるもの。
 茨の迷宮が意思持たぬ無機質なる石壁だったとするのならば、これはまさしく意思持つ肉壁。
 つまるところ、取り込まれた猟兵達の目の前に広がる茨の森とはいばら姫が体内を示すモノ。
 そして、その広さは優にして森1個分を越えるだろうものであり、それがあの姿に押し込められていたというのだ。
「先に下がらせておいて正解でしたね」
 トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)が搭載したセンサーの幾つかは沈黙を示す。
 それは、それらがユーベルコードに由来したものだからか。はたまた、いばら姫の体内であるが故に、ジャミングが働いているからか。
 理解出来ない状況。把握しきれない状況。
 しかし、ただ1つだけ。
 ――先に下がってもらっておいて、正解でしたね。
 分かるのは同道した鴉を先に下がらせておいて、間違いはなかったということ。
 そのことだけには安堵を零しつつ、彼は共にとこの世界に入りこんだ仲間を見る。
「……駄目ですね。結果はあまり芳しくないようです」
「ふむ。この茨には、ユーベルコードに依った攻撃は行わない方が賢明という訳か」
 トリテレイアの視界の先、そこに見える人影は2つ。
 1人は輝く穂先より轟炎を撃ち出せし、オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)。
 その結果は、眉根を顰める彼女の表情が示すとおり、芳しくはないもの。
 呑み込まれる時にと起きた現象が焼き直されるかのように、戦艦の装甲すら打ち抜く炎は茨の壁へと触れると共に弾けて消えたのだ。
 その結果を吟味するはもう1人、ボアネル・ゼブダイ(Livin' On A Prayer・f07146)。
 口元に手を当て、ふむと思案。
 その思考の先、それが自分達にとって不利を告げるものであろうと、彼は左右されることなくと告げるのだ。
 現実から目を逸らすのではなく、その現実を受け止めた上で何をすべきか。何が出来るのか、と。
 かのいばら姫と対峙したは猟兵幾人。されど、ここにあるのは3名のみ。
 それは呑み込まれたのがこの3名だけだったのか。はたまた違う場所に落ちたのか。それは3人には分からない。
 だが、この場を打開するにあたって、協力が必要となることだけは理解出来ていた。
「しかし、飲み込む直前、彼女……と言っていいのかは知りませんが、美味しく食んで差し上げると言っていましたね」
「ああ、そういえば、そのようにも言っていたな。それがどうかしたか?」
「いえ、鉄の騎士に美味しそうとは随分と悪食な姫君もあったものだなと。花壇の飾りくらいにしかならないでしょうに」
「ふふっ、トリテレイアさんは、そのまま吐き出されるのかもしれませんね」
「フッ、とんでもないものを呑み込んだものだ」
「ですが、私達とて負けてはいられません」
「ああ、何をその体内に呑み込んだのか、それを教えてやらねばな」
 視線合わせるオリヴィアとボアネル。
 その口元にゆるりと描かれたは微笑み示す弧であったが、瞳に燃ゆるものは炎。
 静かなる闘志が解き放たれる時をまつかのように、ピリと空気を引き締める。
「では、悪食の因果応報を姫君に。世界を喰らう暴食の前に、再度の眠りについて頂きましょう」
 ユーベルコードによる打撃を封じられるという不利。
 そして、いばら姫はその体内が故に地の利もあることは明白。まして、彼らには目指すべきゴールの方角さえもが不明なのだ。
 だが、それでも彼らが折れることはない。
 何故ならば、彼らは猟兵であり、同時に、己の信念を胸にと宿す者達なのだから。
 それを示すかのように、その踏み出した1歩に迷いなどあろう筈もなかった。

 からりと足元に当たった白は、いったいどれほどの時を経た物なのか。
 だが、それも次の瞬間には無残と砕け、塵へと還る。
「分かってはいましたが、この土地そのものが武器ということですか」
 揺らめくは炎。穂先に、身にと纏う輝き。
 飛び退り、躱した先に落ちた茨をオリヴィアは返す刃で貫き、内より燃やす。
 槍の穂先が茨を穿ったは僅かな時間。
 しかし、それでも確かにその脅威が茨の内へと封じ込められた、確かな瞬間。
 その僅かな隙を目掛けて、世界は彼女を圧し潰さんと殺到するのだ。
 それを押し返すは薔薇と血の香。
「フッ、今の私と同じとは皮肉なものだな」
 ボアネルはトロリと喉を落ちた感触は忘れない。そして、それがあるからこそと力を振るえる己の忌まわしきも。
 燃える、燃える、燃える。生命の滴を糧として、燃料として、その力は際限なくと。
 轟轟と吹き上げる炎は己が正義を高らかと示すかのようにその身を燃やし、触れる端からと茨を黒へと染め上げるのだ。
 黄金と炎。奇しくも同じ要素を持ちえる2人に隙は無し。
 そして、それは白銀の騎士も同じく。
「使えないのであれば、ないも同じ。ならば――」
 削ぎ落す、削ぎ落す、削ぎ落す。
 武器を、機能を、重さを。
 その果てに得たるは速さ。世界が敵であろうと、何者にも囚われぬ。
 トリテレイアの背後で彗星が尾を引き、その身を運ぶ。
 喰らい付かんとする茨は、ただただその影を追うばかり。
「何か抵抗があるかと思えば、皆さんでしたか」
 不意に響いた声は少女のそれ。
 しかし、それはこの世界においては絶対であり、ぴたりと茨の動きが止まった。
「わざわざの出迎えとは痛み入るな、レディ」
「こちらがお招きしたのですもの。当然ですよ、ジェントル」
 血と薔薇の香は同じくして違うもの。
 だからこそ、ひと時の平穏の裏で鬩ぎ合うようにと互いを塗りつぶす。
「では、そのまま帰りの道も教えて頂けるとありがたいのですが」
「そういう訳にも参りません。折角の招待なんですもの、晩餐の宴を皆も楽しみとしているのですから」
「それは貴方達の、でしょう」
「ええ、勿論」
 オリヴィアの問いにと応えるように響くは牙噛み鳴らす音。
 向けた視線の先、そこには茨に咲き誇る異形の薔薇が姿。
 その時、轟と響いたは空気をかき混ぜ、突き進む流星の響き。
 それは白銀の色をした――。
 言葉交わすも刃交わすと変わりなし。
 時を稼ぎ、意識を逸らし、おめおめと姿を晒した者を討つための手段。
 その時を突くようにと、奔ったはトリテレイア。
「その御首、獲らせて頂きます」
 重さを捨てたが故に、彼の速度はこの中において抜きんでており、それは必殺を期するに余りあるもの。
 そして、刃は姫君の胸を貫いた。
「――!」
「ふふふっ、どうして驚かれているのでしょう?」
 ――筈であった。
 トリテレイアの刃は確かにいばら姫の胸を貫き、その先へと刃先を覗かせている。
 だがしかし、平然と語るはいばら姫。
 身体は、はらりはらりと解け、地に落ちたるは茨の残骸。
「偽物……ですか」
「その通りです」
 センサーが十全に生きていれば、普段の彼であれば、それは見抜けたことであっただろう。
 だが、この世界においてそれは叶わず、討ち取ったは偽物の首のみ。
「では、これより晩餐を始めさせて頂きます」
 茨は全て地に落ちて、いばら姫の身体は最初からなかったかのよう。
 しかし、声だけは無数と響くを続ける。
「ですが、ええ、ご安心を。その血肉をもって、外で歓迎させて頂いている皆さんも、同じところに送って差し上げますので」
 それが終わりの、そして、始まりの挨拶。つまるところ、いただきます、と彼女は言ったのだ。
 一斉に薔薇は牙を打ち鳴らし、茨と共に降り注ぐ。
 それは窮地だ。
 敵の数は数多。討てども討てども尽きる様子はない。
 普段であれば状況を打開せんと振るうユーベルコードも数多と封じられ、決め手となるものはなし。
 ただ、滅びるだけを、喰われるだけを待つが運命なのか。
 
「まだ、まだいけますね?」
「ええ、未だ我が身の内より燃え盛る炎を消すことは能わず、です」
「勿論だとも。それに、あの姫君が長々と話してくれたお蔭で大凡の見当は付いた」

 ――否、否、否。侮るな。
 ユーベルコードは確かに猟兵たるを示す最たるもの。
 されど、猟兵の力はそれにのみ依るものではない。
 各々に刻まれた経験が、力が、その全てが彼らなのだ。
 誰もの眼は死なず、得物を握る手に力は十全。
「見当、ですか?」
 頭上過る茨を刃が断つ。
「あれがここに出てきたのは、やはり意味があったのだよ」
「ふむ。その意味とは?」
 入れ替わる様に、互いの背後から迫る薔薇を燃やす。
「あれが出てきた瞬間、微かにと空気が動いたのだよ。何処かへと向かってな」
 それは香りの鬩ぎ合いの最中のこと。
 ふわりと違うどこかへと抜けた空気の動き。
 それをボアネルは見逃さなかった。研ぎ澄まされた第六感が、見逃すを許さなかった。
 そして、その先を探り、探り、見つけた1つの光明。それはとても小さな。
「それは……外へと繋がる出口ということですか」
「ならば、そこをこじ開けることができれば」
 出口と言うにはあまりにも小さな光は、この森の、迷宮の主の悪辣さを示すかのよう。
 だが、猟兵達ならば、その狭き門をこじ開けることも不可能ではない。
「随分と口数の多い姫君のようだが、レディであるならばその口を噤むことも覚えなくてはな」
 沈黙を保ち、姿を見せなければ、それはきっと見つからなかったであろう瑕疵。
 濁流のような敵意の中、猟兵達の動きは加速する。

 流星は奔る、敵意の宙を。
 トリテレイアが軌跡を尾と残しながら目指す先は、ボアネルにより示された光明。
 後を追う2人の姿はない。その姿は遠く、彼方。
 加速して、加速して、加速して。迷宮を打ち抜くに相応しいだけの弾丸に。
 だが、まだ加速は足らない。
 ユーベルコードとして生み出された迷宮の壁は、茨達のように容易くと破壊できるものではないのだ。
 だから。
「猛き炎よ、我が掌中に集い、万象を灰燼と化す破壊の奔流となれ――!」
 ――足らない推力を、オリヴィアが放つ破壊の奔流で補うのだ。
 スラスターをカット。慣性がトリテレイアの身体を前へと押し出す中、背負うは大楯。オリヴィアのそれを防ぎ、受け止めるための。
 しかし、いばら姫とてそれを放置する訳もない。それを考えぬ猟兵達でもない。
「貴様らの血はもう随分と吸わせてもらったな。ならば――」
 荘厳なる炎は異端の血を啜る程に、その身をより一層と猛きものへと変えるのだ。
 それは茨達の樹液であろうとも、オブリビオンであるならば。
 轟と燃え猛る炎が敵意を呑み込み、更に更にと燃え上がり、不落の壁へとその身を変える。
 最早、守りの心配など不要。
 故にこそ、オリヴィアもまた己の力の全てを込めて、打開の一手に全霊を尽くすのみ。
「オオォォォォォォォッ!!」
 吼える声は燃ゆる想い。
 茨を避け、空間を奔り、その魂は確かにトリテレイアの背中へと。
「ぐっ! ぬぅ……!!」
 己の意思とは無縁の加速。それは普段のそれとは異なる圧をトリテレイアへと掛ける。
 だが、それは仲間達の想いだ。背中を押す力だ。
 ならば。
「――貫かせてもらいます!」
 その想いに応えずして、何が騎士であろうか!
 ぶれそうになる身体を懸命に操縦し、暴れ馬を乗りこなすかのように騎乗し、彼は飛ぶ。
 そして、今度こそ、その刃は届くのだ。真なる光明へと。

 ――衝撃が世界を揺るがす。

 突き立った刃の先、零れだした光が森を照らし出し、白の中へと全てを呑み込んでいく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

UCを無力化する広大な茨の森か
恐ろしい能力だが…だったら森に入らなければいい

森の範囲外でUCを発動
ドローンを全機融合させて小型の戦闘ヘリに変形
森の上空を突っ切る形で敵の元へと走る
途中で襲ってくる茨はオーヴァル・レイによるビーム砲で焼き切る

『猟兵』より『猟犬』へ
そのまま上空で待機、『いばら姫』への攻撃を開始したら援護しろ

敵目標を確認したらそのままヘリから降下
地形利用で茨や木々を踏みつけクッション代わりにして
ダッシュでいばら姫に近づき装備銃器で攻撃
さらにドローン達による一斉射撃で追い討ちをかける

お前がいばら姫ならば私達は糸車の針と言ったところか
だが、お前に次の目覚めは永遠に来ない


エーカ・ライスフェルト
「王子様に助けてもらえなかったお姫様かしら。それともふりをしているだけの魔物? いずれにせよオブリビオンなのだから仕留めてあげるわ」

しかし強烈な罠を使いそうな敵ね。こういうときは先手必勝よ
【ウィザード・ミサイル】で使える最大数の矢を、最初に全て撃ち込むわ
「【炎】属性は相変わらず熱いわね」
炎が通常の森へ延焼しそうなら、【水】の【属性攻撃】で消化を試みる

後は、焦げて(多分破壊しやすくなっている)茨を【念動力】で掴んで引きちぎっていく
「どこまで我慢できるかしら。本体が直接来るなら相手をしてあげるわよ?」

まあ来ても逃げるけどね。UCを使えない状況で勝てる相手じゃないから。前衛猟兵と交代できれば最高ね


リュカ・エンキアンサス
※アドリブ、他の方との連携も歓迎です

…ん。あれはあの、気のいいぬいぐるみさんには荷が重いだろう
ていうか俺も、顔には出さないけれども若干引いてるので
その喋ってる何かに気づいた瞬間に、もう撃ってる

茨の花を、一つ一つ順番に磨り潰すように撃ち尽す
一輪だって、逃しはしない
こちらの生き血を吸ってくるというなら、
なるべく、自分や、他の猟兵に近い、攻撃してくる敵を優先して、援護射撃
UCで殲滅していって、とにかく、敵を強化させないようにしたい
それでも無傷というわけにも行かないだろうから、UCに頼りすぎず、地道に削っていけたらいいね

…花は、喋らないからこそ、綺麗なんだと俺は思う
悪いけど…、黙ってもらうよ



 いばら姫より敵意が溢れた瞬間、間髪入れずと奔ったは銃火。そして、焔の鉄槌。
 それは凡百のオブリビオンであったのなら、それだけでも殲滅か、ないしは損害を与える得るだけの、十二分すぎる火力。
「あら、随分とお手の早い方がいらっしゃるのですね」
 しかし。
「どうぞ、私の身の内/森へ。美味しく食んで差し上げますわ」
 いばら姫より溢れた茨がその身を盾とするかのように。
 それは弾丸にこそ、その身を削られようとも、焔は意に介せず。
 その広がる勢いのままに、溢れる濁流のようにと手を伸ばすのだ。
 瞬間に猟兵達の身を貫いたのは驚愕。ユーベルコードを無効化するその茨の存在への。
 だからこそ、僅かに、だが確実に、その反応を遅らせた前衛は茨の海にと呑み込まれる。
 それだけに飽き足らず、更にその手は後衛をも呑み込まんと。
「こっちだ。乗れ」
 ――するより早く、空気を掻き乱すローターの音。
 差し伸べる声音は平坦。しかし、伸びる手は懸命。
 それでも足らぬ。だから、その足らぬを埋めるは念動力の架け橋。
「ありがとう、助かったよ」
「いや、私だけではお前までは助けられなかった。礼なら、彼女にも」
「これ以上の戦力を欠けさせたくなかっただけだし、要らないわよ」
「それでも、ありがとう」
「――そ」
 バタバタと響く音の中、それでも会話の声は明瞭に。
 小型ヘリの中にあるは、その主たるキリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)。そして、先んじて銃火をいばら姫へと見舞ったリュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)。
 リュカと同じくと先んじて炎の矢を鉄槌とばかりに見舞ったエーカ・ライスフェルト(ウィザード・f06511)は、その身宿す念動の力にてヘリの外で宙を浮く。
「しかし、炎が掻き消されていたようだが……あれは、エーカのユーベルコードで間違いなかったな?」
「そうね、その通りよ」
「だけど、俺の銃弾は効果もあったみたいだ。止めきれはしなかったけれど」
「それにユーベルコードは?」
「込めていない」
「なら、ユーベルコードを無力化。ないしは、軽減する力を持っているといったところかしら」
 眼下ではいばら姫より伸びた茨の広がりは止まっているようにも見える。
 だが、だからといって安全であるとは限らない。
 それを示すかのように、伸びた茨は迷宮を進んだ時と同じように、その身を蠢かせているのだ。それは何時襲い掛かってくるとも知れないものであった。
「自分から国を茨で覆うなんて、王子様に助けてもらえなかったお姫様かしら。それとも、ふりをしているだけの魔物?」
「魔物の類かもね。牙の生えた薔薇は……あんまりだね」
 それは思わずと引き金を引いてしまう程に。
 ――助けたぬいぐるみさん達が無事ならいいけれど。
 零す独白は、小さく、小さく。
「しかし、ユーベルコードを無力化する広大な茨の森、か。恐ろしい能力だな」
「あら、怖気づいた?」
「まさか。能力が割れたのなら、その対処をすればいいだけだ」
 幸いにも、この場に残ったのは空を往く能力を持つ者と遠方からの射撃に秀でた者達ばかりなのだから。
 キリカの表情は無表情のままであったが、僅かと不敵さが滲んで見えた。

 地に蠢いていた茨が槍の如くと天を衝く。
 それは森の外にて悠々と空を飛ぶ猟兵達に対する対空砲火。
 だが、それだけではない。茨の先に見えるは、牙生やす薔薇の。
「まあ、そうだよね」
 思わずと零れるはリュカの嘆息。
 空に逃げたからと、それを放置する敵でもないだろうことは予想に容易い。
 だが、あんまり薔薇は見たくはなかったな、と。
 その嘆息をそのまま引き継いだかのように、零れる灯り木の吐息。
 それは伸び攻める茨を、その先に咲く薔薇をと穿ち、浮かぶ足場への到達を許さない。
「――おや?」
 穿たれ、散った薔薇の花。地に枯れ落ちる茨。それに覚えた僅かな違和感。
「何? 何か分かったの?」
「いや、今、何か引っかかったような」
「そう……気付きは大事よ。時間ぐらい稼いであげるから、しっかり考えなさい」
 言って、渦巻く念動力。
 例え、ユーベルコードを封じられようとも、彼女には、エーカにはそれがある。
 その身に宿した、彼女の誇る絶大無比なる。
 伸びる、伸びる、茨が伸びる。薔薇がその身を食わせろと嗤う。
 嗚呼、なんたる傲慢か。エーカを前にして、自分が捕食者の側だと信じ切るなどと。
「炎属性は相変わらず熱いわね」
 それは一つの意趣返し。
 初手に放った炎の矢は効果を発揮しなかった。だから――今度は念動力で作ったそれを喰わせてやろう。
 熱そうと言いつつ、どこまでも涼し気な顔をして、彼女は背後にずらりと並んだ矢に号令を下すのだ。
 燃やせ、と。

 ――激突、激突、激突。

 伸びる茨と薔薇。迎え撃つ炎の矢。
 ぶつかり、弾け、貫き、砕け。
 いばら姫が誇るは地の利から生じる圧倒的な物量。
 エーカが誇るは己の能力から生じる圧倒的な物量。
 互いに誇るそれは、拮抗をその場へと生み出し、敵意を惹きつけるに十分すぎる役割を果たすのだ。
 ――ああ、そうか。
 それは自身のものを含めた数多の衝突を見逃さず、余さず糧としたからこその。
「……薔薇……薔薇だ。あれが司令塔であり、生命線なんだ」
 リュカの瞳が見抜いたもの。第六感に囁かれた気付きを、明確と形にしたもの。
 茨のみを穿てばそれは枯れず、再びと地より伸び来る。
 だが、薔薇を穿たれた茨はそこから命を失うかのようにと枯れていく。
 では、向かい来る全ての薔薇を撃てたならば。
 しかし、それは言うに易いが行うに難し。蛇の如くと常に蠢く茨の中から、それだけを射抜く技量が如何ほどにいるものか。

 ――それでも、やらなければならない。

 瞳閉じ、吸い込んだ息。止め、息吐くと同時に開いた眼。
 その輝きは凪いだ水面の様に静か。
「願いの重さに、負けない強さを」
 これを見逃すは数多の悲劇を生み出す元凶となることは明白。
 ならば、その凶星を砕くは、己が役目。
 背中に負う命は重く、しかし、指先にはその重さに負けぬ強さを。

 ――パン。と渇いた音1つ。同時、はらり舞い散る薔薇一輪。

「一輪だって、逃しはしない」
 断続的に吐き出される弾丸の全てが薔薇を1発で仕留めた訳ではない。外れた弾もある。しかし、それでも次には、次には。
 散って、枯れて、散って、枯れて。
「……花は、喋らないからこそ、綺麗なんだと俺は思う。悪いけど……、黙ってもらうよ」
「へぇ、やるじゃないの」
 それは時間を稼いだだけの意味があったというものだ。
 ならば、己も収穫に回るとしよう。
「どこまで我慢できるかしら」
 エーカは炎の矢を形なき腕として、枯れいく茨を端から掴む。
「本体が直接来るなら、相手をしてあげるわよ?」
 そして、引き裂くは茨の蔦。生気失った茨は容易くと裂け、最早回収も修復も意味をなさぬ程に。
 2人の行動は、確実に敵の戦力を削ぎ落し、明らかな脅威として敵の意識を更に更にと惹きつけていく。

「派手にやってくれているな」
 地に潜み、茨の中を往くはキリカ。
 幸いにも茨の森に取り込まれる様子はなく、敵意が襲い掛かる様子もない。
 その上空では伸びる茨が炎に巻かれ、銃弾に枯らされ行く。
 つまるところ、彼らは敵意惹きつける役割を担っていたのだ。
 そして、蠢く茨を、天へと伸びる茨をやり過ごし、辿り着くスタート地点。
 それは溢れる茨に上空への退避を余儀なくとされた場所。
 視界の先には、いばら姫の姿。
 ――3、2、1……。
 影より飛び出したと同時、発砲。
「まあ! まさか、他にもここまで戻ってきてくださる方がいるなんて!」
「お前に会いに来た訳じゃない」
「それは連れないことですね。私は、私達は、こんなにも貴方達を求めているのに」
「食い物としてだろう」
「皆さん、同じように言われますのね。ですが、ええ、その通りなのですが」
 待ち受けるは千荊万棘。
 茨の盾が、薔薇の牙が、銃弾を受け止め、地へと弾くのみ。
 まさしく攻防一体。
 それを突破し、いばら姫の本体へと損害を与えるのは容易き事ではないだろう。
 しかし、ここで足を止めるは上空にて抗う仲間達への裏切りだ。
 それになにより、何のためにキリカは猟兵として戦う道を選んだの。
 その原点を思えばこそ、彼女に諦めの二文字はない。
 時に伸び来る茨を足場として、時に銃撃の反動をもすら利用して、躱し、狙い、走る。
 時折といばら姫の意識が逸れるのは、他にも、ということなのだろう。
 視界の先でちらりと黒曜の彩が見えた。
「やはり猟兵はしぶとさも折り紙つきということですか」
「しぶとさだけだと、思っているのか?」
「――!」
 躱し、狙い、走る。その内にと零しておいた卵の形。しかし、それがただの卵である筈もない。
 鮮やかな蒼のそれより放たれるは、粒子の奔流。
 迎え撃つは茨の壁――否、はらりと散った薔薇の花。茨の壁は枯れ落ち、障子紙の如く。
 そして。
「ぎぃっ!?」
 ――いばら姫より溢れ出る苦悶の声。それと同調するかのようにと、零れだす光。
 世界は白に染め上がり、彩が再びと戻った時にあったのは、茨の波に呑み込まれた筈の猟兵達の健在なる姿。
 キリカが粒子の奔流はいばら姫を直撃した。
 それが契機となったのか、それともただの偶然か。それは理解の及ぶところではない。
 だが、これは紛うことなき機会。
「お前がいばら姫ならば、私達は糸車の針と言ったところか」
 手にした銃火器の無慈悲なる光は、針の光にも似て。
「――だが、お前に次の目覚めは永遠に来ない」
 銃声が茨の森に木霊する。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

UCを無効化する茨って…また面倒なもの持ち出してきたわねぇ。
…けど、お生憎様。その程度で打つ手がなくなるほど、あたしの手札は薄くないのよぉ?

UCを無効化するって言っても茨は茨、結局は植物でしょ?
なら、火に弱いのは変わらないわよねぇ?
刻むルーンはカノ(炎)・ソーン(茨)・アンサズ(言葉)。
向かってくる茨を片っ端から焼夷手榴弾の○投擲と火炎〇属性攻撃の弾丸で焼却処分してくわぁ。
大元を見つけたら●射殺で炎の○呪殺弾を叩き込むわねぇ。

最終的に火の向かう先は、大元のあなた。この茨はあなたから生えてるんだもの、当然でしょ?
茨は茨でも消えず燃え盛る炎の茨、堪能してちょうだいな?



 1歩の違い。
 それが今の彼女を健在たらしめるもの。
「ユーベルコードを無効化する茨って……また面倒なもの持ち出してきたわねぇ」
 茨が波と広がって、抗する力が泡と消える。
 他の猟兵達に比して僅かと送れて合流したからこそ、彼女はその光景を目撃することが出来ていた。
 そして、その1歩の差があったからこそ、抵抗することも。
 刻み込む真なる文字は3つ。
「K、Th、A」
 燃ゆる茨。言の葉の力持て。
 共にと解き放つはヒトの生み出した脅威。炎広げる、焼夷の手榴弾。
 それは互いにと効果を相乗しあい、向かい来る茨の波への確かなる壁となるのだ。
「な、なんじゃぁ!?」
「それぇ、茨も炎もどっちも触らないでねぇ」
「儂らでは、触れる間もありゃせんよ」
「でしょうねぇ。だからぁ、ここから先はあたし達の仕事場よぉ」
「下がれ、というのか」
 背後に付き従う小人の集団。それは迷宮を踏破するに協力を重ねた者達。
 その力は迷宮の茨ぐらいであれば、なんとかと言ったところだが、ことこの状況においては足手まとい以外の何者でもない。
 それをティオレンシアは敢えてと言葉にはしない。
 しかし、守られたという事実が何よりも物語っていたのだ。
「分かった。だが、あんたも無理をするんじゃあないぞ? この国は本来なら、あんたとは無縁で――」
「――ふふっ、それ以上は無粋よぉ」
 命を懸ける必要などない。
 その言葉は彼女の芯に隠れた聡明さが先回りし、封殺する。
「そうか、感謝する」
 だから、彼らもそれ以上は何も言わなかった。
 炎の壁が持続する間にと、来た道を退避していくことで言葉と変えたのだ。
「さて、と……王子様でもないけれどぉ、お姫様の顔でも見にいきましょうかぁ」
 そして、消えた炎の壁と同時、黒曜は茨の中で舞い踊る。

 空を爆炎が染め上げ、枯れ落ちるは茨。
 だが、ティオレンシアに驚きはない。
 それはきっと、他の猟兵達が引き起こしたことだろうと予想を付けるが故に。
「派手にやってるわねぇ」
 誘蛾灯に引かれる虫のように、茨が天へ、天へと伸びていく。その先にある脅威を排除せんとするために。
 しかし、それは彼女にとって好都合というものだ。
 こちらに来ないのなら、その分と軽やかに進めるのだから。
 残骸踏みしめ、影も残さず、黒豹の如くと彼女は往く。そして、その視界に――見敵必殺。
 顔を見るとは言ったが、まじまじと見る必要性などない。
 間髪入れずと抜き放つクイックドロウの冴えわたり。
 激しさはない。むしろ、どこまでも静かな所作は、流れるようにリボルバーの銃口から弾丸を吐き出させるのだ。

 ――茨と銃弾ぶつかり、散らすは火花。

「まあ! 御自分の方から来てくださるなんて!」
「――ええ、歓迎の祝砲。受け取ってくれたかしらぁ」
 銃弾に込めたのは焔の言葉。
 それは撃ち込まれた瞬間にと確かに効果を発揮していた。
 打ち込まれた弾丸を基点として、それは燃え上がり、燃え広がり、茨を伝っていばら姫の下へと。
「茨は茨でも、消えず燃え裂かる炎の茨、堪能してちょうだいな?」
 撃てば防がれる可能性も考慮しての二段構え。
 だが。
「ふふふっ、険のある贈り物ですのね?」
「――チッ」
 ――それを防いだは燃ゆる茨の斬り落とし。
 自らの意思でもって茨を落とし、彼女は己の身を守ったのだ。
 だが、相手の茨の1つを減らせたのなら、とも思えば、ずるり伸びる茨の触手。
 そう容易くはいかないようでもあり、思わずと飛び出た舌打ち一つ。
 殺到する茨と薔薇を回避するようにと飛び退り、隠れ潜む影の中。
「あら、追いかけっこ――と、新しいお客様?」
 追撃はない。会話を聞くに、他の猟兵達がこの場へと辿り着いたのだろう。
 それを利用し、ティレオレンシアは一呼吸を挟む。
 焔の呪いは切り離した以上、効果がない訳でもないだろう。今しがた新たに現れた猟兵と協力すれば、効果もあがるかもしれない。
 だが、切り離されれば同じこと。他に何か手は――。

 ――不意に脳裏を駆けるは爆炎の空。枯れ落ちる茨。

「そうねぇ。あたしの前に立ったんだもの、ね」
 細められた瞳の中、怜悧なる輝きが宿った。

 躱し、狙い、走る。
 猟兵の動きを妨げぬよう、いばら姫の意識を少しでも剥がすよう。ただし、惹きつけすぎないように。
 チャンスはそう多くもないことだろう。それを息潜めて窺うのだ。
 そして、それは遠くない時に訪れる。
 それは鮮やかな蒼の奔流が放たれた時。いばら姫が守りを固めんとしたその時。

「その瞬間を、逃がす訳がないでしょぉ?」

 漂う硝煙の香り。舞うは薬莢。
 カランと地に落ちたその音と共に、舞い散るは花弁。
 ティオレンシアが誇る技量。それを凝縮したその一手は、守りとした茨を散らすに十分過ぎる業。
 視線の先で、蒼の粒子がいばら姫を直撃するを見た。
 そして――。

成功 🔵​🔵​🔴​

エドガー・ブライトマン
[SPD]
――いいや、王子様さ
私の名はエドガー!やあ、キミに逢いにきたよ

悪いが、キミを姫と呼ぶ気はないんだ
私の茨姫は、左腕にいるからね
ハハ、レディもマネするなって言ってるぜ

行動を共にしていたポット君らとは暫しのお別れ済みだ
ここから先は、危険なのが解りきっている

私にはいくらか《激痛耐性》がある
迫る茨は多少痛かろうが、怖気づかないよ。左腕の茨にいつも迫られてるしね

負傷も気に留めず、茨のキミに剣を向ける
もし、僅かでもUCを無効化する茨にスキが出来たなら
――“Eの献身”

左手の手袋を外して、キミの手を取ろう
私の茨姫は少々お転婆でね、キミと遊びたがっているらしい

……あれ、私はどうしてここにいるんだっけ?


イリス・ローゼンベルグ
「あなたがこの事件の元凶ですね」
「沢山の人を傷付けるその所業、許す事はできません」
と優等生モード、人間に擬態した状態でいばら姫と対峙

まずは拳銃を取り出し、その場から動かずにいばら姫を攻撃
こちらに伸びる茨はナイフで【武器受け】をして対処
もちろんこの行動は敵を油断させ【だまし討ち】をする為の布石
敵がこちらに気を取られている隙に足元から【狂乱の触葬】を伸ばし
地中から敵の死角、複数方向から【毒使い】【マヒ攻撃】の付加された猛毒の触手で【串刺し】攻撃を行う

その後は奇襲攻撃に合わせて本体の擬態も解除し、地中と地上の両方から一気に攻め立てる
「残念だったわね、私の茨はあなたみたいに甘くはないのよ」



 響いた銃声に倒れ伏すはいばら姫。
 胸に咲いた薔薇から零れた雫が茨を濡らし、地を濡らす。
 これで元凶の討伐は済んだのか。
「ふふっ、ふふふふふっ」
 ――否。
 動かぬ少女の身体を包み、薔薇と茨が繭となる。
 そして、種子が芽吹くようにと繭が割れ、現れたのは大きな大きな薔薇の花。
 しかし、それは異形なる――。
「やっぱり駄目ね。王子様も、食べ物も、どちらも待っているだけでは」
 捻じくれ曲がった童話の末路。
 お姫様は異形になり果てて、王子様も食べ物も、どれもが等しく同じに見えて。
 それでも、彼女は見果てぬ王子様の夢を見る。
 彼女の食むものが、食んできたものがなんであったのかなどと知りもせず。
「やあ、キミに逢いにきたよ」
「あなたがこの事件の元凶ですね」
 だから、この物語に終止符を打とう。
 大輪の薔薇の前にと歩みを進めるは、エドガー・ブライトマン(“運命”・f21503)とイリス・ローゼンベルグ(悪を喰らう蠱惑の薔薇・f18867)の2人。
 形は異なれど、共に同じ因子――茨をその身に秘めし者達。
「随分と大きな花を咲かせたものだね。どうだい、レディもあれくらい大きな薔薇を咲かせて……いや、やっぱりよそう」
 想像するのは大きな薔薇を腕に咲かせた自分の姿。
 嗚呼、あまり優雅ではなさそうだ。
「沢山の人を傷つけるその所業、許す事はできません」
 被る皮は優等生のそれ。
 その身に秘める想いを露とも零さずに、イリスはいばら姫を弾劾するのだ。
「なんだか、似た香りのする方々ね」
「おや、キミと一緒にしないでくれないかい? レディが機嫌を損ねてしまう」
「そう? 特に、そちらのお嬢さんなんて、特に。ええと、彼女がレディ?」
「……いいえ、違います」
「ハハ、それこそ彼女に失礼と言うもの……イタタッ」
「あら、残念だわ。似た香りのお友達が増えるかと思ったのに」
 心底残念そうにと薔薇は言葉を紡ぎ出す。
「――でも、お友達ではないのなら、食べてしまうしかないわね」
「なんでも食欲に直結させるのはどうかと思いますよ」
「だって、食べて優雅に咲き誇らないと、王子様と会った時に悲しませてしまうじゃない?」
 それが契機。
 大輪の薔薇は茨を生み出して、ガチリガチリと牙を鳴らして嗤うのだ。
 そして、茨の先には小さな化生の薔薇の花。
 さあ、お食事の時間だ。

 撃ちぬく弾丸は薔薇を散らし、宙描く剣閃は茨を断つ。
 弾丸の主は不動にして、剣閃の主は蝶のようにと舞う。
「さっきまでに、あれほど茨を枯らされていたというのに、無尽蔵ですか」
「流石はいばら姫の名前を語るだけはあるというものだね。」
 愚痴零すようなイリスに、名は体を表すなのかな、と語り掛けるはエドガー。
 青の瞳は、伸び来る茨を見ながらして、まるで見透かすようにとイリスを見るようでもあった。
 それを素知らぬと受け流し、イリスは引き続きと弾丸を叩き込むだけ。
 ぞろりと、また茨が動いていた。
「どうされました? 動かずして、1人舞うのみとして、いつまでも持つものではありませんよ?」
「ダンスのお誘いかい? だが、生憎ともう連れはあってね」
 指し示すは左腕の茨。蝕み宿る、淑女の姿。
「私も、ダンスはあまり得意ではありませんので」
 茨の地にて不動貫く少女の姿。それは凛と咲く花のようでもあり。
「そうですか。であれば、テンポを速めさせて頂きましょう」
 蠢く茨の数が増す。
 攻勢への意思が増す。
 それはつまり。
「――足元が疎かよ」
 ――脚を掬うには十分過ぎる意思の傾き。
 待っていた。待っていたのだ。この時を。この瞬間を。
 秘して、伏して、隠し通した被り物の下の敵意。
 そろりと、茨が動いた。
 しかし、それはいばら姫のそれではなく。
「さあ、踊り狂いなさい」
 ――イリス・ローゼンベルグが茨の触手。
 伸びる根元はイリスが足元。脚ある筈の場所は茨と変じ、地深くへと至るそれは、いばら姫の茨へと触れることなく彼女を捉えたのだ。
 刺し穿ち、貫き穿ち、薔薇の花弁を無残と引き千切る。
「いっ、ぎぃっ!?」
「嗚呼、いい悲鳴ね」
 慌て、それの対処をせんとするがもう遅い。
 それよりも早くと彼が動く故に。
「痛みは、慣れていてね」
 戻らんとする茨の中へとその身を躍らせて、奔る刃の軌跡を描く。
 棘がその身に触れようとも、茨から齎される痛みならば誰よりも慣れている。
 ならば、エドガーに動きを止める理由はない。
 それに、だ。エドガーがそうやって稼ぎ出した時間あらば、それで最早十二分。
「あ、あぁ?」
 ぐらりぐらりと風もないのに揺れる花。
 茨の蔦は力なくと垂れ始め、小さき薔薇達は萎れるかのように。
 それは毒の回り始めた証拠。イリスの茨を介して齎した毒による。
 穿つ茨はその数を増し、ヤドリギを思わせるかのようにと薔薇の花に巻き付き締めあげていく。
 それはまるで、捕食されているかのような。
「たす、たすけ……おう……ま」
「私を呼んだかい?」
「おう……じ、さま?」
「そうさ。だけれど、キミのではないけれどね」
 なにせ、彼にはもう先約があるのだ。左腕に宿す茨姫の存在が。
「さて、私の茨姫は少々お転婆でね。キミと遊びたがっているらしい」
 ――お手をどうぞ、お姫様。
 それは差し伸べる手の様にも見えて、その実、促しであったのだろう。
 淑女に、そこへ遊び相手が存在すると教えるための。
 茨が、茨が、茨が。
 薔薇が、薔薇が、薔薇が。
 交わり、絡み、咲き誇る。

 触れられた花弁の先から絡みつくダレカの茨。
 足元から這いあがり、絡みつくダレカの茨。
「嗚呼、今度は私が食べられる――」
 番なのね。その言葉は言葉にならず。
「残念だったわね。私の茨は、あなたみたいに甘くはないのよ」
 ――なんだ、やっぱり貴女達からは私と似た香り。
 それがいばら姫の最後の思考。
 くしゃりと、存外に軽い音を響かせて、彼女の視界は黒に染まった。

「これでこの事件も解決かしらね」
 もう、この世界で蠢く茨は2種類だけ。
 その内の1つ、イリスは少女の姿を戻しつつ、崩れいく茨の世界を見つめる。
「……あれ、私はどうしてここにいるんだっけ?」
 残る1つの茨も、気付けば左腕に収まって。
 嗚呼、だけれど、エドガーの記憶は虫食いだらけ。
「あ、お嬢さん。これはいったいどういう状況だい?」
「……放っておいて、いいかしら」
 仰ぐように見上げた視界には、もう薔薇の姿も、茨の姿も、残ってはいなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『お店屋さんごっこ』

POW   :    美味しい食べ物屋さん

SPD   :    素敵な雑貨屋さん

WIZ   :    物じゃなく居心地のいい空間を提供

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

 とんてんかんてん、槌を打つ。
 とんてんかんてん、杭を打つ。

 小人やぬいぐるみ、獣人達は重きを振るい、道を直し、建物を直す。

 ぱたぱたぱたぱた、東へ駆ける。
 ぱたぱたぱたぱた、西へ駆ける。

 鴉や鼠と言った動物達が町中駆け巡り、配達物をあちらこちらへ。

 ことことことこと、美味しい香り。
 ことことことこと、さあ召し上がれ。

 お喋り食器達が露店に精出し、ヒトビトをもてなす。
 誰も彼もが笑っていた。それは在りし日の明るさを取り戻したかのように。
 国中から響く音は、活気に満ち満ちていた。
 それもこれも、猟兵達の活躍によって不思議の国から茨が消え去ったからこそだ。
 だが、そこに刻まれた傷痕というのは、すぐに消えるものではない。
 ならば、それぞれがそれぞれの世界に戻るまで、まだ僅かと時間もある。それを手伝うなりしても、悪くはない事だろう。
 勿論、敢えて手伝わずとも修復は進むのだ。復興の途中の活気を眺め見て、露天を楽しむなりしても良いだろう。
 街作りに参加するも、街を見て回るも、敢えてそれ以外の道を選ぶも自由だ。
 この世界に逗留出来る時間をどう過ごすかは、それぞれに一任されていた。
リュカ・エンキアンサス
お疲れさまでした
黄金花のときに手伝ってくれたぬいぐるみを探して、軽く声をかける
あの時は助かった
お礼といっては何だけれど、何か食べたいものはある?なんていって
露天を適当に回るのに付き合ってもらったり、
もし、修復で人手が足りなさそうなところがあればついでに手伝ったりする
それなりに手先は器用なほうだから、なんでも手伝えるよ
…料理以外
俺は味がわからないから、料理も雑なんだ
(平気で砂糖や唐辛子を山盛り入れたりする。試食しても平気)
自覚はあるので、料理関係で意見を求められたら
ハーバニーさんに助けを求めておこう
俺よりはましだろう。たぶん
助けてもらったら勿論お礼を言って
そんな感じでのんびり過ごせたらいい



 とっとことっとこ。
 小さな歩幅。
 すたり、すたり。
 歩調を合わせ。
 復興の最中な街並みを景色として、1人と1体――リュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)と熊のぬいぐるみは共に歩く。
「一緒に歩いていてだけれど、お仕事を離れて大丈夫だった?」
「ううん。僕も休憩しようと思っていたから、大丈夫だよ」
「それならいいんだけれど」
「うんうん! それに、リュカ君が傷を縫ってくれたお蔭で、調子もいいしね!」
「ああ、無事そうで良かったよ」
 とっとこ歩く熊のぬいぐるみ。その身体に走った縫い目の痕。
 それはリュカにとって記憶に新しく、その熊のぬいぐるみが茨の迷宮で知り合った存在であることを示すモノ。
 共にあったのは迷宮を踏破するまでの期間ではあったけれど、それでも共にと目的を達した存在なのだ。
 ならば、共にとその労をねぎらうのも悪くはない事だろう。
 そう考えたが故の、この同道だ。
 そして、そんな彼らが目指すべき場所は。
「何か食べたいものはある?」
「そうだねぇ、どれがいいかなぁ?」
「色々あるみたいだし……歩き回りながらでも決めようか」
「さんせーい!」
 ――お腹の虫が誘惑される、食べ物露店の数多ある。
 肉団子のスープにサンドイッチ、ハンバーガー、アイスクリームetc……。
 匂いに彩に、種々多様。
 どれがいいやら、あれがいいやら。
 言葉交わして、脚動かし、そして、遂に決めたるその1つ。
「サンドイッチに具材はお好み、自由だって!」
「……そこがいいの?」
「うん!」
「じゃあ、そこにしようか」
 それはきっと、熊のぬいぐるみからの気遣いなのだろう。
 好みはきっとそれぞれで、自分の好きが相手の好きとは限らない。それ故に、中身を自由に選べるのなら、と。
 ただ。
「ねえねえ、それ、唐辛子……そんなに?」
「え? ……ああ、これは辛いんだ」
 ――銃器扱い、バイク繰り、野営に裁縫、器用にこなす。その万能とも思える手先の器用さにも、少しだけ手が届かないところがあったのだ。
 それは料理。
 リュカは甘い辛いが分からない。だからこそ、料理の目的はお腹を満たすに限局されやすい。
 パンに挟まれたのはベーコン、レタスに唐辛子の山盛り。残念ながら、BLTには僅かに届かなかったようだ。
 訝しむような視線が熊のぬいぐるみからリュカへと。
 さて、どうしたものか。素直に味が分からないと言ってもいいのかもしれないが、それでは気を遣わせてしまいかねない。
 そんな折、リュカの視界の片隅でぴょんと跳ねた兎耳。
「あ、ハーバニーさん」
「はぁ~い、どなたかお呼びにぃ……あらぁ、リュカさん?」
「丁度良かった。今、時間は?」
「配達のお手伝いも終わったところですしぃ、ありますよぉ~」
「なら、なお良かった」
 こっそりと依頼するは助力。訝しまれない程度に、ちゃんとしたサンドイッチを作れるように、と。
 きっと、味の分からない自分よりはマシなものが作れるだろうから。
「……辛いの、お好きなんですぅ?」
「いや、そういう訳じゃないよ。俺は味が分からないから
「あ~……それで」
「だから、助けて貰えると嬉しいかな」
「ええ、ええ。勿論ですよぉ。というかぁ、赤色までは、惜しかった気もしますねぇ」
 熊のぬいぐるみに聞こえない様、こっそりこっそり。
 とは言えだ。ハーバニーもそこまでの技量がある訳でもない。それ故、唐辛子の山をちょちょいと除けて、代わりにトマトをちょいちょいと。
 改めて出来上がりを見てみれば、なるほどこれが、とリュカも頷く。
 これでようやくお腹の虫も無聊を得られることだろう。
「あ、さっきのはやっぱり冗談だったんだね」
「ん……まあ、そんな感じかな」
「うふふ~」
 サンドイッチ出来れば、あとはせ~ので頂きます。
 ただ、その前に。

「それじゃあ、お疲れさまでした」
「おつかれさまでしたー!」
「お疲れ様ですよぉ」

 ――互いに騒動の労いを。
 それは静かに不思議の国の空へと響いて広がり、これから訪れる和やかな時を示すようでもあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ボアネル・ゼブダイ
アドリブ連携OK

悪は去ったか
残った人々も、この活気を見る限りはもう大丈夫だろう

…とは言え、未だ傷を負った者もいるだろうし
作業中に何らかの事故が起こりうる可能性もある
手ごろな露天の一角か病院を借りて、無料の診療所を開くとしよう
私のUCと医術の知識にグリッグスの鞄も使えば医者として彼らの手助けもできるだろうからな

心配するな、この程度ならすぐに治る

後は炊き出しだな
食糧袋から味噌と豚肉と芋煮を準備
作るのはスタンダードな仙台風芋煮だ
疲れた体には良いだろう
その他にも様々な料理で腕を振るい復興を手伝う者達を労おう

我々の戦いは終わったが君達にとって本当の闘いはこれからだ
ここがより良い国になるように頑張ってくれ


キリカ・リクサール
アドリブ歓迎

中々しぶとい敵ではあったが倒せたか
さて…戦いも終わったことだし、少しばかりこの国を見て回ってみるか
手伝えることもあるだろうからな

露店を見て買い物をしながら、復興する街の様子を眺め
自分にも手伝えることがあれば積極的に手を貸す
他の猟兵達の手伝いをするのも良いだろう

茨に覆われていた時はわからなかったが
活気があって美しい街だな
今度は平和な時に赴きたいものだ

可能であれば作戦中に出会った鼠の双子達の安否も確認しようか
無事であれば、ここを去る前に挨拶ぐらいはしておいても良いだろう

あれだけの事があっても、皆が立ち上がろうとしている
良い場所だな、ここは
もし今度来た時は、君達がここを案内してくれ



「ああ、やはりボアネルだったか」
「……その声、キリカか」
 茨の脅威過ぎ去りし町。
 しかし、脅威は過ぎ去っても、未だと傷痕は其処此処に残るもの。
 それは町への被害でもあるし、住人達に刻まれた傷でもある。
 だからこそ、ボアネル・ゼブダイ(Livin' On A Prayer・f07146)は住人を助けるためにと露店の一角に診療所を開いていたのだ。
 そして、復興する町の手伝い――配達をと手伝っていたキリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)がそれを見つけたのも、偶然ではないことだろう。
「キリカ、キリカ! この人、知り合い?」
「知り合いだから名前を言い合ってんだろう!」
「元気なのはいいが、あまり騒がない方がいい。診療所のようだからな」
「は~い、ごめんなさい」
「おっと、すまねぇ」
 キリカの傍からひょっこりと顔を見せたのは鼠の双子。
 背中に小さな籠しょって、でも中は空っぽ配達帰り。キリカと一緒に配達帰り。
「その鼠達は?」
「茨の迷宮で縁があってな」
「助けて貰ったんだ/貰っちまってな」
「なるほど。それは良かったな」
 語る言葉の異口同音。それは双子だからこそか。
 それに、良かったな、と返すボアネルの表情は静か。しかし、その赤の瞳には確かに柔らかな光が宿っていた。
 どの世界であれ、そこに住まう無辜の人々に幸あるならば、それこそが彼にとっては良きことなのだから。
「さて、私は少し野暮用が出来た。ここからはお前達で頑張るんだ」
「え~、寂しくなるよ!」
「大馬鹿! これは本来、あたしらだけでやるもんだろ! 寂しくなるのは否定しねぇけどよ」
「懐かれているな」
「どうなんだろうな」
 賑やかな双子。それにキリカとボアネルの口元へと自然に緩やかな弧が浮かんでいた。

 元気でね。元気でなぁ。達者でな。
 今一度のお別れに、手を振り、見送り、診療所へと静けさが戻る。
「茨に覆われていた時は分からなかったが、活気があって美しい町だな」
 ふいに零したキリカの言葉。
 配達がてら、双子の案内がてら、見て回った町の様子。それは人々の生命に溢れていて、眩いばかりに。
 だからこそ、荒れる前の様子も見たかった、と。
「残った人々も、この活気を見る限りはもう大丈夫だろう」
 診療所に来る人々は当然の様に傷病人だ。
 だが、それでも彼らの顔には生命力があった。輝きがあった。
 それはきっと、これからを立ち直るための力となることだろう。
 だからこそ、ボアネルは、大丈夫だろう、と太鼓判を押す。
 そして。
「心配するな。彼らならば、すぐに取り戻すさ」
 ――キリカの遠き目が見る平和の町。それはすぐそこにあると語るのだ。
 その言葉は、診療所に訪れた者達にかけ続けた言葉と似たもの。

 ――心配するな、この程度ならすぐに治る。

 魔法のような手際の良さ。まさに魔法のような暖かい力。
 言葉の通り、見る見る間にと住人達の怪我を癒していく様が、住人達にとってどれほど頼もしかったことか。
 彼の存在もまた、住人達の復興を後押しする確かな力となっていたことは、語るまでもない。
 そのボアネルの言葉は、確かな実感として響き、キリカの耳へと届いたのだ。
「あれだけの事があっても、皆が立ち上がろうとしている。良い場所だな、ここは」
「フッ……そうだな」
 遠き目は現在を改めて見、現在へと差し伸べる手は止まることはない。
「さて、ここも一段落着いたことだ。次へと移ろう」
「……? 何をするつもりだ?」
「――炊き出しだ」
 宣告は堂々と。

 香り漂うは味噌の味。
 ぐつぐつと煮込まれたそれの中には豚肉、里芋、人参、牛蒡etc……。
 数多の風味が絡み合い、混ざり合い、味も香りも最上級。
 それはもう、ヒトビトの関心を集めるなということが無理であろうと言える程に。
「炊き出しと言い出すから何かと思えば、芋煮か」
「疲れた体にはぴったりだろう」
 それを手際よくと作る姿のボアネル。
 とある世界、とある国のレシピを用いたそれを作る姿は、何故だか堂に入っていた。
 匂いに釣られて出来上がった列を捌きながら、それがなんだか可笑しくて、キリカも思わずと吹き出しそうになるのも致し方ない事。
「こっちにも1杯おくれ!」
「こっちもこっちも!」
「ああ、ああ、待つんだ。順番を守って、量はまだある。だろう?」
「任せておけ。材料もまだある」
「だそうだ」
 しかし、労働とはお腹の空くものだ。
 ハラペコな住人達は並びながらも、まだかまだかと期待の眼差し。
 ああ、これは。
「オブリビオン以上のしぶとい強敵になりそうだ」
「全員の腹の虫、見事に倒してみせなければな」
 ――ある種の戦いだ。
 だが、こういう戦いも悪くはないことだろう。
 大鍋の底が見えるのはまだまだ先の事。それまで2人の戦いは続く。

「我々の戦いは終わったが、君達にとって本当の闘いはこれからだ。ここがより良い国になるように頑張ってくれ」

 願いと祈りを込めて、さあ、召し上がれ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール
ハーバニーさんとご一緒させていただきます

このところ戦争も含めて戦い詰めでしたし、今日はちょっとお休みで、お店を楽しませてもらいましょう
いつもお世話になっています、こうやってゆっくりとお話しするのは初めてですね
こちら、そこのお店で売っていた果物のジュースです、甘くて美味しいですよ

迷宮の踏破を手伝っていただいた愉快な仲間たちを見かけたら、軽く手を振って挨拶をしておきます

私は変身した姿を除けばいつもシスター服なので、素敵なお召し物をたくさんお持ちのハーバニーさんに似合いそうなものを見繕っていただきたく……

(アドリブ歓迎)



 戦い、戦い、また戦い。
 だから、その合間にほんの少しだけ、僅かにでも気の緩む時があっても、それは決して悪いことではないだろう。
 それは見送る者、見送られる者に関わらずだ。
「このところ、戦争も含めて戦い詰めでしたし、今日はちょっとお休みということで」
「そうですねぇ。ここ最近は特に激動でしたからねぇ。偶には緊張の糸も緩めねばですよぉ」
 まだ傷痕残る街並みを歩き、揺らめくは修道服の裾と兎耳。
 それはオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)とハーバニーの姿。
 ともすれば、修道服姿の女性にバニーガール姿の女性という取り合わせに、人の目も集まろうというものだが、そこはそれ。猟兵ならばこそ、その姿に違和感を持たれることはない。まして、ここは不思議な国。変った服装、風体は数多と言えるだろう。
 ならば、そこに集まる視線は何か。
 決まっている。
 清楚なる花が1輪あらば、愛でたくもなろうというものだ。
 チラリチラリと向けられる視線をいざ知らず、オリヴィアは歩を進めるのだ。
「いつもお世話になっていますが、こうやってゆっくりとお話するのは初めてですね」
「お世話になっている、と言うのであればぁ、こちらの言葉ですがぁ、うふふ~、そうですねぇ。なかなか、こうした時間と言うのはぁ、ありませんでしたからねぇ」
 であればこそ、折角の日常に暖めたきは親交か。
 他愛ない。否、だからこそ、非日常の中で輝く日常の一頁。
「こっちの世界にも、果物ジュースなんてあるんんですね」
 その折、はたと目に入ったは露店に踊る文字。
 それは甘く冷たい飲み物で、歩きながらで喉の渇きを訴える身体には欲して止まないものだ。
「不思議の国の果物だなんてぇ、どんな果物なんでしょうねぇ~」
「飲んでみたら、身体が小さくなってしまったり?」
「あはは~、あり得そうですよぉ」
「ふふふっ、試しに飲んでみます? 少なくとも、冷たくて甘いのは間違いないようですし」
「いいですねぇ~」
 女三人寄ればなんとやら。だが、それはたった2人でもだ。
 面舵一杯、歩む先の進路を変えて。目指すはジュース屋、果物屋。
「あ、本当に甘いですよ」
「ちっちゃくなったりしてませんかぁ?」
「大きくもなったりしてないようですね」
 くすりくすりと笑い合い、今暫しだけは忘れる戦士の顔。
 オリヴィアのその横顔は、まるで町娘のそれのようでもあった。

「いらっしゃ……おや、あんたは」
「アナタは、あの時の?」
 飲み物片手にぶらりぶらりと来れば、次はウィンドウショッピングに花が咲く。
 オリヴィアの纏う衣服は戦いのためのそれでもあり、祈りのためのそれでもある。
 だが、それ以外の服装というのはあまり手持ちにはない様子。
 そのため、折角だからと足を運んだ先は露店の中の小さな衣料品店。
 そこで出会うは、茨の迷宮を共にと歩んだ猫人の姿。
 どうやら、そこは彼女のお店なのだろう。数は少ないがゆっくり見ていっとくれ、と愛嬌のある笑顔と共に先を促すのだ。
 それに小さく礼交わし、オリヴィアとハーバニーは服の見繕い。
「何か、この修道服以外にも似合いそうなものを見繕って頂けたらと」
「むむむっ。スタイル良しですしぃ、何を着ても似合いそうな気はするのですがぁ」
「そう言われると照れますが、何かこれというものがあれば」
「では、バニ――」
「――いえ、それも悪くはないのかもしれませんが、それ以外で」
「え~……というのは冗談としてぇ、そうですねぇ」
 カチャリと鳴らすハンガーの音。
 衣服の中を探り、探り、じゃじゃんと見つけたその服は。
「清楚さを前面に押し出したぁ、レースブラウスにハイウェストなロングスカートの合わせとかどうでしょぉ~」
「いやいや、分かっちゃいねぇ。ここは不思議の国だぜ? そこの正統派って言やぁ、エプロンドレスだろぉ!」
 ハーバニーの見せた服装に、見守っていた猫人も参戦し、喧々諤々。賑やかなことこの上なし。
 こっちですよぉ。いや、こっちだ。
 はて、これを諫めるのは、はたまた決めるのは自分なのだろうか。
 ふぅと溜息交じりの息一つ。しかし、オリヴィアのその顔に浮かんでいたのは笑み。
 この賑やかさも、日常の証。猟兵達の取り戻した平和そのものだと言えよう。
 だから。

「折角選んでくれたのですから、よくよくその衣装を見せて下さいね」

 ――それに混じるのも悪くはない。
 論争の輪へと向けて、オリヴィアは1歩と踏み出すのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
(一章で出会った鴉に一番被害の甚大な場所を教えてもらい、新しい建物や道を作る為に被害を受けた箇所をUCも併用しハンマーのように振るう大盾で破壊解体しながら)

生産活動は苦手とは言え、まるで建築機械になったような気分ですね
とはいえ、新しい街作りに貢献する礎となれるのは嬉しいものです
更地にした後はこの地に住まう人々の好みの街が作れますよ

(鴉に街作りに好みを反映させないのかと問われ苦笑し)
…私が口を出すとオウガに備えた城塞都市になってしまいます
それは余りにもこの地に無粋という物です

ああ、ハーバニー様。どうされましたか?
「パージして放置された装備を見て住人達が困惑している」?

…すぐに回収に向かいます!



 突貫、突貫。
 どっかん、どっかん。
 急ピッチで進むは解体作業。
 茨によって虫食い穴だらけな建物を叩いて、潰して、壊して、解体。
「アナタ! アナタ、やっぱりすごいのね! 建物があっという間に!」
 囀る鴉を肩に乗せ、今日も今日とてトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は得物を振るう。
 その気迫は戦場でのそれもかくやと言うもの。
 ただし、それは戦うためにではない。新たな礎を生み出すために。
 だからだろうか、物を壊すという行為でありながら、その白銀に宿る緑へはどこか穏やかさも感じられていた。
「生産活動は苦手だからこそ、こういったことぐらいは」
「いいえ、いいえ! すごいことはすごいって認めてあげないと!」
 トリテレイアに掛かればあっという間とは言え、他の住人がなそうと思えば1人ではどれ程の時間を要すことだろうか。
 それ故に、鴉の褒め言葉は、すごいという言葉は、あながちの間違いではないのだ。
 手を止め、トリテレイアは己が成した功績をとふと眺める。
 そこんはもう建物の形はなく、あるのは瓦礫の山ばかり。
「まるで建築機械になったような気分ですね」
 それはもしかすれば、照れ隠しでもあったのか。
 明滅する緑の光はしぱしぱと瞬く瞳のようでもあり、頬を掻くような仕草はどこまでも人間臭さがあった。
「だけれど、そのお陰で新しい建物や施設がすぐに作れるわ!」
 見守る先で、不思議の国の住人達が瓦礫撤去をし始めるを見守る。
 肩では相も変わらずと鴉がカァー、カァーと囀りを零していた。
「なら、少しでも役に立っていると言えますね」
「少しどころではなく、勿論よ! それにだって、そもそもとして、アナタ達がいなかったら、あたし達の今はないんだからね!」
「それは皆さんの活躍もあったからこそで――」
「良いから、素直に褒められる!」
「――では、素直に褒め言葉を受け取っておきましょう」
「そう、それで宜しい」
 1匹で姦し騒がしな鴉に思わずと押し切られたトリテレイアの言葉。
 それに鴉はようやくと満足げに頷きを返すのだ。
「ところで、鴉さ――」
「レヴィよ」
「――レヴィ様はお仕事の方は良いのですか?」
「様……ああ、うん、大丈夫よ。今は羽休めだもの」
 彼女に曰く、配達の帰り道に見慣れた白銀があったから舞い降りてきたのだ、と。
 それがピンポイントで肩であった辺り、彼女からの信頼がそこはかとなくと感じられるものであった。
「ところで、アナタは国造りに口を出さないの?」
 国の再建において、各々の嗜好を多少なら入れ込んでも良いと、最初に言われていた。
 それは1つの権利でもあり、住人達も恩人達がそれを望むのならと受け入れだろうことが予想されるもの。
 だが。
「……私が口を出すと、オウガに備えた城塞都市になってしまいます」
 ――それは無粋というものなのだろうとトリテレイアは考える。
 この国を再建するに当たっての権利はあるのかもしれない。
 しかし、それでもやはり、この国は住人達のものなのだ。
 だからこそ、言葉を変え、そこに真意を潜めて彼は語るのだ。
 勿論、そこにはカラーが合わないという、ある意味の本音も含んでいたのだろうけれど。
「あははっ! それは確かに、この国の色とは遠いわね!」
「でしょう?」
 交わす言葉の和やかさ。
 さて、活動を再開しようかとした、その時。
「トリテレイアさんはいらっしゃいますかぁ~?」
 ――響いた声は間延びして。人波の向こうにぴょこんと突き出た兎耳。
「おや、あれはハーバニー様?」
「知り合い?」
「ええ、私と同業の方ですよ」
「あ、発見ですよぉ~」
「駆けて来られたようですが、どうされましたか?」
 人波躱し、瓦礫越え、ぴょんと飛び出たハーバニー。
 目的の人物――トリテレイアを見つけてほっと一息といった様子。
「ええとですねぇ、住人さん達からのお困りな話がありましてぇ」
「困った話。ふむ、なんでしょう。私で良ければ力となりますが」
「それがですねぇ、茨が消え去った跡地にですねぇ、なにやら機械装備の山がでしてぇ。捨てていいやらぁ、リサイクルしたらいいやらとぉ、住人さん達も扱いに困っているようなのですよぉ」
「機械装備の山? それは大変……あ」
「心当たり、ありそうですねぇ」
 聞いた言葉の顔面蒼白。白くならぬ顔の代わりに、緑の明滅は早く早く。
 あ、と思わず声も漏れれば、トリテレイアには心当たりの山ばかり。
 特に、この地で機械装備に身を包み、戦ったのは――。
「……すぐに回収に向かいます!」
 言葉の全てを聴くよりも早く、噴射したスラスターの勢いは流星の如く。
 さっと飛び退く鴉を目の端に留めながら、謝辞を残して加速、加速、加速。
 悲しいかな、身体はいつもに増して軽かった。
 到着した先で平謝りと共にパーツを回収し、追いついた鴉に急な加速を怒られ謝るのは、そう遠くない未来の話。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エドガー・ブライトマン
へえ、この国はさっきまで悪い茨に包まれていたのかい?
それは大変だ!――でも、この様子だともう決着はついたらしいね
ウン、よかった。国は平和であることが一番だ

やあ、ポットのかたちをしたキミ!ポット君って呼んでもいいかい?
なんだかキミには見覚えがある気がするよ。不思議だなあ……
あ、私の名はエドガー。通りすがりの王子様さ

不思議な既視感のあるポット君と、もうすこし話をしたいな
キミは店か何かをやっているのかい?
それならば、とても立派なことだよ
店のひとつひとつが人々を楽しませ、賑わせる
私は、賑やかな国を見るのが好きだ

これも何かの縁だろう
人手が必要なら、何か手伝うぜ?
こういうの、慣れてはないけど

王子様だからさ



「へえ、この国はさっきまで悪い茨に包まれていたのかい?」
 それは大変だったね。と、零すはエドガー・ブライトマン(“運命”・f21503)。
 本来であれば、エドガーこそ当事者であったであろうに、それをまるで覚えていないかのように。
 その違和感は、なにより話し相手――ポットの形をした愉快な仲間が感じることでもあった。
「忘れる……にしては早すぎるよな。どうしちまったんだ?」
「どうしたって、何がだい?」
「ああ、いや、なんでもないよ」
「そうかい?」
 何か込み入った事情があるのかもしれない。
 そう判断したポットはそれ以上を敢えては言わなかった。
 だからこそ、エドガーもまた、それ以上は言わなかった。
 ただ、エドガーの左腕――そこに在る茨のみが、静かに身動きをした。それだけであった。
「――ああ、でも、大変だったみたいだけれど、この様子ならもう大丈夫そうだね」
 目を細め、ぐるりと見渡すその景色。
 まだまだ町に刻まれた傷痕は癒されたというには程遠い。
 しかし、其処此処に響く声や物音は明るく、未来の明るさをも感じさせてくれるかのような活気に満ちていた。
「ウン、よかった。国は平和であることが一番だ」
 それは、まるでなによりもそうだと実感しているかのように。
 細められた眼差しが見据えるのは、現在であったのだろうか。それとも。
「どうしたん――」
「――ところで、キミにはなんだか既視感というか、親近感と言うか、不思議な感覚がするよ」
 その姿がまるで儚い夢幻のようにも見えたから、思わずとポットは声を掛けようとしたのだ。
 だが、その言葉も途中で遮られる。
 それは故意によるものではないのだろうけれど、それでも、まるで手の中からすり抜けていく何かのようにと覚えた儚さはするりと逃げていく。
 後に残ったのは溌溂とした、いつかに目にした王子様の姿だけ。
「――ああ、だろうな」
「なら、ポット君って呼んでもいいかい?」
「いいぜ」
「ありがとう。あ、私の名は――」
「――エドガー。通りすがりの王子様、だろ?」
「――! ハハ、私も存外に有名になったらしい!」
 相手が自分を知っている。それが意味する所を理解せぬエドガーではなかった。
 だけれど、自身の掌から零れ落ちた自分を知っていてくれるヒトがいるのだという事実は、なんだかエドガーの心の内を擽って、思わずとその口元に笑みを零させたのだ。
 それが好意的に言葉を返してくれるからこそ、猶更に。
 それは、彼が間違いなくとその者の前では弱きを助け、悪を挫く、通りすがりの王子様であれたことを証明してくれることだから。
「と、色々と話をありがとう。ところで、ここは何かのお店をやっているのかい?」
「どういたしましてだ。……って、なんだ。知らずにここに居たのか」
「ああ、キミになんだか不思議な既視感を感じてね。それで足を向けさせてもらったんだ」
「はははっ、王子様に見初められるとは、ここも捨てたもんじゃないな」
 此処とは、露店の並ぶその片隅。ポットの営む料理店の出張所。
 本来ならお店を構えていたところだが、そこは茨へ虫食いとされて、今は炊き出し、青空料理店だ。
「そうか。キミはコックだったのか。とても立派なことだね」
 ――勿論、なんであれ職種に貴賤などないが。
「ありがとよ。なら、少し食べていくかい?」
「ああ、勿論だとも」
 ポットの店に限らず、そのひとつひとつが人々を楽しませ、賑わせる。
 その活気があるからこそ、民があるからこそ国は生きるのだ。
 受け取り、一口飲んだスープの暖かさ。それは体に染み入り、広がっていく。
「私は――」
「ん?」
「――私は、賑やかな国を見るのが好きだ」
 その暖かさは、この国の暖かさなのだろう。
 それを感じたからこそ、エドガーは静かに、独白するようにと内面を零したのだ。
 そこに浮かぶ表情は儚さではない。確かな、上に立つ者としての存在感がそこにはあった。
 とは言え。
「美味しいものを御馳走になってしまった。これも何かの縁だろう。人手が必要なら、何か手伝うぜ?」
 ――それも保ったのは数瞬のこと。
 再びとポットが視線を向けた時には、浮かぶは自信家の顔。楽し気な顔。
「あんた、こういう仕事したことあんのかよ」
「いや、慣れない仕事だな!」
「それなのに手伝うって?」
「ああ、勿論」
 何故ならそれは。

「――王子様だからさ」

 そこに込められた意味は様々とあるのだろう。
 だが、その答えはエドガーの中にだけ、ひっそりと仕舞われたもの。
 ただ語れるのは、その後に広がる騒動と、それでも賑やかな店員の声響く料理屋での一幕。それだけである。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

そういえばあたし、この世界での仕事はいくつかこなしてきたけれど。
「オウガに襲われていたけど撃退して平和になった世界」は初めてかしらねぇ。
せっかくだし、ちょっと色々見ていきましょ。

…そういえば、手伝ってくれた小人さんたちにお礼言っておかないとねぇ。
露天冷やかしながら探してみましょうか。

あたし一人だと囲まれて物量に押し潰されたかもしれないもの。
あなたたちのおかげで道中後ろを気にしなくてよかったわぁ。ありがとう、助かったわぁ。

かくして悪しき茨は刈り払われ、なべて世は事もなし。めでたしめでたし…なぁんて。
ちょっと気取りすぎだったかしらぁ?



「こういう世界もあるのねぇ」
 とんてんかんてんという音の響きを耳にしながら、ティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)は街を往く。
 その視界の先には露天であったり、修復中の街並みであったりだ。
 だが、なによりもその言葉の意味。
「この世界での仕事は幾つかこなしてきたけれど、オウガに襲われてもそれを撃退して平和になった世界は初めてだわぁ」
 そう、アリスラビリンスの世界において、オウガが不思議の国を支配していることは珍しくない。むしろ、多いぐらいであるのかもしれない。
 しかし、この世界はそうではなかったのだ。
 猟兵の手によって救われたからとは言え、元の平穏を取り戻したというのは珍しいと言えるのかもしれない。
 少なくとも、ティオレンシアにとって、その出来事は初めてであったのだ。
 だからだろうか。
「せっかくだし、ちょっと色々みていきましょ」
 ――ほんの少しだけでも、この世界に対して興味を持てたのは。
 そして、それからは食道楽。物見遊山。
 風の吹くまま、気の向くままにと足運び、露店覗いてみてはあれこれと。
 食べ物屋に装飾屋、遊ぶところあれば、未だ改装中の立札もあり。
「なんとも混沌としているものよねぇ」
 だからこその活気なのだと言えるのかもしれないけれど。
「あら、あれ――」
 一頻りと見て回り、休めた足の先にえいさほいさと動く集団。
 その集団の背丈は小さく、しかし、ガッチリとした体つきはどこかで見たことあるような。
「――そういえば、手伝ってくれた小人さんたちにお礼言っておかないとねぇ」
 常に浮かぶ微笑みに、今は少しばかりの悪戯心が垣間見えていた。

「いよっし、今日はここの整地じゃぞ! 心して掛かれよ!」
「応さ。さっさと終わらせて、次の現場に行くぞ!」
 小人の風体とは打って変わった野太い声。
 それは力に満ちていて、それを示すように振るう鶴嘴、槌に鋸。その動きにふらつきはない。
「やっぱり、力持ちなのねぇ」
「当然よ! って、誰だ!」
 野太く響いた声に混じるは蜜の甘さ。
 先程までにはあり得なかったその響き。突然のそれに振り返るとそこには。
「はぁい」
 軽く手を振る黒曜の。
 その姿は、小人たちには忘れようにも忘れられぬもの。
「おぉ、あんたじゃったか! 茨が消えたから大丈夫だろうとは思っておったが、こうして姿が見れて、一安心じゃわい!」
「あらぁ、心配を掛けてたのねぇ」
「儂らの代わりにと残ってくれたのじゃ。当然じゃろう?」
 お礼がてらに驚かせようかとも思えば、思わぬ言葉に意表を突かれ。
 気付けば、どやどやと周囲に小人の群れの出来上がり。
 その圧――どちらかと言えば、暑苦しさ――は茨に負けずとも劣らずなものであった。
「代わりにと言うのならぁ、あなた達もでしょぉ?」
「うむ?」
「もし、あたし一人だったら、囲まれて物量に圧し潰されてたかもしれないものぉ」
 それは冗談ともつかない言葉に聞こえたのかもしれない。
 小人達からは、まさか、といった雰囲気が流れる。
 だが、それはティオレンシアのまごうことなき本音。
「あなたたちのおかげで道中の後ろを気にしなくてよかったわぁ」
 ――ありがとう。助かったわぁ。
 その言葉を聞き、それがそうなのだと小人達の心に響く。
「は、ははっ……過分な言葉じゃな」
「でも、本当よぉ」
 思わずと目頭の熱くなったを隠すかのように、小人の掌が自身の眼を覆う。
 稀人に全てを任せる。それは彼らにとっての負い目でもあった。
 それが、心に刺さった棘が、ティオレンシアの言葉に融けていく。
 ともすれば、それもまた茨の齎した傷痕であったのかもしれない。
 だが、今や、それも癒されたのだ。
「かくして悪しき茨の影響はは刈り払われ、なべて世は事もなし。めでたしめでたし」
 それはまるで物語の締めのように。
 そっと零された言葉は風に乗って、溶け消える。
「――なぁんて。ちょっと気取りすぎだったかしらぁ?」
 だが、花も茨も踏み越えて、手にした平和の尊さは消えることはない。
 これからも、まだ見ぬ未来へと続いていくのだ。
 しかし、今はひとまず。

「よっしゃ! 今日は祝宴だ! 一仕事終えたらたらふく飲むぞ!」
「あんたも、折角だから参加していきな! 武勇伝を聞かせとくれよ!」
「あらぁ、これは重大な役目よねぇ」

 ――ひと時の休息を楽しむとしよう。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年09月10日


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#アリスラビリンス


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアララギ・イチイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト