●崩壊する絆
どうして。あんなに楽しかったのに。
大学に入ってからサークルの皆はずっと仲良くしてくれたし、
皆と過ごす時間は、慣れない環境に飛び込んだ私にとってかけがえのないもの――
――だったのに。
刃を心の臓に突き立てられ、絶命するその犠牲者の表情は――
裏切られた事による憎悪に彩られていた。
「――ねぇ、楽しかった? 私達との友情ごっこ」
●その絆は策謀の糸
「戦争も終盤、夏も終わりだが――UDCアースでちょっと仕事をしてきて貰うぜェ」
霧島・クロト(機巧魔術の凍滅機人・f02330)は集まった猟兵を見渡すと、説明に入り始めた。
「今回は遊園地の廃墟――そこで肝試しを行ってる大学生のサークルの連中を使った、『邪神降臨儀式』の妨害をしてきて貰うぜ」
「はっきり言うな……俺らが守らなきゃいけない対象はこの集団の中の2人だけだ」
クロトは言う。この肝試し自体が邪教徒によって仕組まれていた物だと。
「このサークルグループの内、護衛対象が2名。そして儀式の中核を執り行う邪教徒が1名。残りは全員――」
街を往く獣人と呼ばれるUDCが『用意』した存在なのだと。
「……そもそも、このサークル自体が邪神に贄を捧げる為の『虚飾』だったって訳さ」
クロトは顔写真と資料を並べていく。
『萩島衣織』。比較的纏め役を押し付けられることが多く、気弱な女性。
『加瀬川鼓太郎』。ムードメーカーを務める男性。今回の肝試しを先導した発端。
『溝渕康太』。スポーツ男子。メンバーの中では日焼けが良く目立つ。
『芹沢卯月』。ゆるい雰囲気を持った能天気な女性。比較的流されやすい。
『井口謙介』。気は優しくて力持ち。一般の範疇なら丈夫そうなガタイの男性。
『東海林江里菜』。楽しい事を積極的に提案する女性。先導役になりがち。
今回、儀式に巻き込まれたサークルのメンバーは、この6名。
「俺の予知した段階では、もう既にこいつらは廃墟の中で分断された上で『街を往く獣人』に襲撃されている――。恐らく儀式に必要な条件を満たす為にな」
だが、とクロトは念を押す。この内の護衛すべき対象、邪教徒は誰だか分からなかったというのだ。
「……相手の演技尻に乗っかるようで悪いが、一先ず廃墟にいる全員を救出する方向でいくぞ。恐らく護衛対象でなければ――特に『街を往く獣人』だった場合、不意打ちを狙ってくる可能性もあるが、気を付けてくれ」
「半年かけて築き上げた友情や信頼が――全部『嘘』だったとか、信じたくねェ筈だ。でも、だからこそ。そこからより深い悲劇が起きねぇように……頼んだぜ」
転送準備を始めるクロトの表情は、どこか……彼らの行く末を案じるようだった。
逢坂灰斗
なつのおわりの、きもだめし。 逢坂灰斗です。
今回は『肝試しに仕組まれた邪神降臨儀式』を妨害して頂きます。
【MSより】
・第2章のみ、6回に分けて返却が行われます。
護衛対象は通常ランダムになりますが、希望が有る場合は名前を書いておいて下さい。
・UDCとして不意打ちを仕掛けてくる可能性がある対象は、名前にヒントがあります。共通点を探してみて下さい。
(※特に分からなくても問題はありませんが)
・なお、チームや団体で参加される方は迷子防止の為【一緒に参加される相手】か【一緒に参加するグループ名】を必ずご記述ください。
では、お目に止まりましたら、宜しくお願いします。
第1章 冒険
『遊園地の廃墟』
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POW : 遊園地の中を、捜し回る。足を使って、情報を掴め。
SPD : 廃墟となった遊園地の施設を、捜していく。時には鍵を開けたり、手先の器用さも求められるだろう。
WIZ : 遊園地の地図から、効率的に捜していく。時には、残された地図と変わっているかもしれない。
👑11
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●寂れた時計盤
猟兵達が転送されたのはちょうど廃墟の中心――
かつて『営業していた』頃には中央広場のように機能していた場所だった。
敷地内はここを中心に、まるで時計のようにエリアが振り分けられており、
邪教徒は『演技』を含めた何らかの意図を以て、
自分達をこの敷地内で分断、そしてそれぞれを孤立させているようだ。
だが――猟兵達にはまだ、真に助け出すべき『生贄』の2人は分からない。
告げられた言葉通り、『全員』を救出することが、近道かも知れない。
【MSより】
・特にこの時点では「不意打ち」は発生しませんが、
この先での判断材料は入手出来るかも知れません。
(※他の人のリプレイも2章でのヒントになるかも)
・提示されたヒントと6人の『名前』は良く見てみてくださいね
(※執筆開始は8/30からです。)
エスタシュ・ロックドア
守るべきは六人の内、二人のみか
邪教徒の奴、難儀でけったいなことしやがるぜ
とにかく、守るにしろ倒すにしろ、見つけねぇと始まんねぇな
『大鴉一唱』発動
「久しぶりの出番だぜ野郎共」
子分の烏三十七羽を遊園地内に放ち、探らせる
普通のカラスを装わせてな
「探索対象に気取られねぇようにしろよ
様子を伺っておかしい所がねぇかも確認しておけ
下手するとお前らが殺られるかもしれねぇからな
何か見つけたらすぐ俺んとこ戻って来い
【動物と話す】で聴いちゃる」
したら、発見現場に直行かぁね
フリント担いで【ダッシュ】で行くぜ
障害物がありゃ【怪力】で押し通る
さて、鬼が出るか蛇が出るか
鬼は今から向かうんだがな
●十二支と方角
廃墟でも、まだ中央広場は比較的拓けていた。
かつて待ち合わせ場所として機能していたそこに、どかっとエスタシュ・ロックドア(碧眼の大鴉・f01818)は鎮座していた。
「守るべきは六人の内、二人のみか……邪教徒の奴、難儀でけったいなことしやがるぜ」
だが、予知では辿り着けなかった以上――この先は現地で猟兵達が見極めなければならない事なのだ。
とにかく、守るにしろ倒すにしろ、見つけねぇと始まんねぇな、と若干の悪態を付きながらも彼は獄卒として彼らを呼び招く。
「――久しぶりの出番だぜ、野郎共」
「『あ、じゃあ駄賃はあとでファ●チキでお願いするッス!!』」
「久々に出てきた第一声がそれか!!! とにかく行って来い!!」
……一応地獄の烏の筈なのだが、そんな気の抜けるやり取りの後、烏は廃墟に散っていった。
数刻後――烏が3羽、それぞれバラバラの方角から帰還する。彼らは彼らの情報を統合したかと思うと――こんな事を話し始めたのだ。
「『兄貴兄貴。兄貴って『十二支』って知ってるッスよね』」
「なんだよ藪から棒に。今は人探しの――」
ふとエスタが『廃園』となる前のこの場所の地図を見遣る。
――綺麗な時計の如く割り振りされたそれに、妙な既視感を覚えるが。何故今『十二支』?
「『……それに出てきそうな獣が3匹混じってるッス』」
「それは何処にだ?」
その問いかけに、地獄の烏達は突如井戸端会議でも始めるかのように喧々諤々とした後――こう結論付ける。
「『兄貴達もたまーに、『12時の方角』って言ったりするッスよね? それッス。その名前を関した方角にその獣が。ご丁寧に『人間としての名前』もそれに揃えてるッスよ。……たぶんちょっと隠してる奴も居るッスけど』」
エスタは頭を捻りながらも『護衛候補』の6人の名前を見遣る。
「――つーことは、その獣の名前が入ってる奴は『ハズレ』と」
もう既に怪しい人物が1名浮上したものの――鬼は金棒でなく、無骨な鉄塊剣を担いで歩みを進める。
「さて、鬼が出るか蛇が出るか……鬼は今から向かうんだがな」
成功
🔵🔵🔴
寧宮・澪
さーて、探しましょねー……。
迷子の皆さん、どこでしょかー……。
【猫の召喚】、使用ー……入り口から、あちこちに猫さんばらまきましてー……。
残された地図を電脳空間に取り込みー……これをもとにしつつ、駆け回ってもらいましょー……。
五感共有できますし、辺りを見ながら、地図を埋めましょね……。
いない場所は×マークして、塞がってるとこ、逆に新しく繋がったとこ……情報集めて、地図に記載して、いきましょー。
遊園地なら、ぐるりと一周できる用に、作られてそうですがー……廃墟、ですしね。
必要なら、猟兵の皆さんに共有しますー。
6人、見つけたら、猫さんについててもらってー……お迎えに、向かいますよー……。
●不在の時刻
「さーて、探しましょねー……。迷子の皆さん、どこでしょかー……」
どこか浮世離れしたかのような雰囲気をした少女――寧宮・澪(澪標・f04690)は、まるで夢遊病かのように、園内を猫をばら撒きながら捜索していく。
傍目から見れば心配になりそうな光景ではあるが……彼女は確かにその目を園内に広げていた。
この猫達は、彼女の目であり、『端末』でもあるからだ。
南に向かった猫は、本来の入り口は鍵で施錠され、少しズレた位置の鉄柵が人ひとり通れるほどに『歪んでいる』のを見つけた。
そして近くには――男性の靴らしき物が『片方だけ』。
「たぶん……一人だけ外に助けを呼ぼうとしたんですかね……。嘘には見えません、が――ここは近くに誰かいそうです……ねー。気を付けて、探しましょー……」
猫達は次々に捜索をしていく。その結果割り出されたのは――
「えっと、元の入り口が真南に、あるから……こう、ですねぇ」
ばってんが、地図上のエリアに軽やかに付けられていく。
「いないのは……『12時、4時から6時……あとは9時と、11時……』ですねぇ、ここの猫さんは他のとこに向かって貰いましょー」
傍目から見るとほわほわしたままの澪だが、共有用のメモをさらさらと書き留めていく。
たとえ『2人』だけだとしても、生贄にされる前に救わねばならない。
猫の手は確かに、廃墟の中に広がっていった――
成功
🔵🔵🔴
死之宮・謡
アドリブ&絡み歓迎
はぁ…下らないな…ヒトも邪教徒もUDCも…
理解出来んよ…裏切りも、哀しみも…何で、他人を信じたんだ?
…何で、高々半年で、偽りに絶望できるほど人を信頼できるんだ?
まぁだからさ?如何でも良いんだ…私は、唯オブリビオンを狩るだけ…
作戦には乗るがね…その方が確実だろう?
取り合えず、何処かに居る学生連中を探せば良いんだろう?
来い、【七血人】共…何時も通り探索だよ?
まぁ、キチンと仕事をすればこの後の御愉しみにも連れて行ってあげるからさ?探して来てくれよ…
ふぅ…遊園地跡、ねぇ…まぁ何でも良いさ…適当に散歩でもして報告を待つさ…
●演技に沿わぬ獣人の群れ
「はぁ……下らないな……ヒトも邪教徒もUDCも……理解出来んよ……裏切りも、哀しみも……何で、他人を信じたんだ?」
元来、孤高たる強者の死之宮・謡(原初と終末の悪意・f13193)には『彼ら』の行動には理解を示しづらかったのかもしれない。
「……何で、高々半年で、偽りに絶望できるほど人を信頼できるんだ?」
其程までに――『護衛対象』である2人には、『偽り』であっても、大切な場所だったのだろう、と。思うのが自然かもしれない。けれど、彼女は『知っている』。その程度の繋がりなど、浅はかで、脆いものなのだと。
「まぁだからさ?如何でも良いんだ……」
そう、彼女は最初から。『邪神』にしか、狙いを定めていない。
作戦には同意を示していた彼女は――ここに到着したと同時、駒たる『七血人』を、廃墟内に散開させていたのだ。
暇潰しの如く、もはや人気も賑わいも無くなった町並みを歩んでいく謡だが、その元に先程放った『七血人』達が戻ってくる。
――その報告を聞いた彼女は片眉をぴくりとさせた。
「ふむ……道中で交戦はしたが、一方向だけ明らかに『やる気のない』獣人が混じっていた?」
それは何処だと、謡が問うと、殺戮者達はすっと指を指す。
「――8時の方角か。そういえば……要護衛者でない者には『邪教徒』が混じっていたな? ……そういうことかもしれないなぁ……」
謡はこのくだらない茶番を仕掛けた邪教徒の顔を想像し、口角を釣り上げる。
「ああ、安心しろ――キチンと仕事をすればこの後の御愉しみにも連れて行ってあげるからさ?」
七血人達は、自らの主が――この果てに降臨するであろう邪神に既に狙いを定めている事に感づいた。
その歩みは確かに退屈なものから少しづつ確実に……『邪神』(りょうり)を楽しみにする者のソレに変わりつつあったのだから――
成功
🔵🔵🔴
三池・悠仁
肝試しか~
夏の終りにゃよくある事なんだろうけど
邪神はいらないんだよ!
なんなのこの世界?!何でナチュラルに邪神とか居るの!?おかしいよね!
元ただすと猟兵の存在が普通じゃないけどね!
……はい、って事で
探そう、まだ生きてる人が居るなら探して助けなきゃだな
園内案内板みたいなのあるだろうから、もしくは地図とかあるか?
それを元に遊園地の中を探してく
隠れたり逃げてるなら視界がきく広場方面は避けるよな、そこまで冷静ならだけども…
あとは物陰とかも気を付けながら探していくな
一応不意打ちをされた場合の事等考えて
【リアライズ・バロック】を発動させる
怖いだろう!不意打ちとか攻撃されたら恐怖しかないわ!
鏡島・嵐
判定:【WIZ】
……酷ぇ話だよな。
人を騙す奴のやり口なんて大抵そんなもんだ……って言葉で片付けるのは簡単だけど、それでも実際に巻き込まれる方は堪ったもんじゃねえと思う。
ともかく、寝覚めの悪ぃ結末にならねえようにしてえな。
ちょっと思う所があるので、〈忍び足〉で〈目立たない〉ように行動しながら、廃墟の全体図を直に足を使って探ってみる。
見つかると拙そうな場所では《いと麗しき災禍の指環》で姿を隠しつつ移動したり、状況を観察して手がかりを掴めねえか試す。
とりあえず確実に欲しい情報は少ない労力で安全に外へ逃げられそうな経路の有無かな。
もし今のうちに逃げ道を作れそうなら出来る範囲でやっておいてもいいかもな。
●逃さぬ『網』
「肝試しか~夏の終りにゃよくある事なんだろうけど――邪神はいらないんだよ!」
中央広場に三池・悠仁(幻想世界の迷子・f20144)の絶叫が響く。
……幸いにも見つかっては居ないが、彼の言うことは最もである。
彼の出身は何処かは判明してすら居ないが、普通に考えて邪神などナチュラルに存在している世界など願い下げだろう。
「……まぁ、おれ達猟兵も大概普通じゃないんだけどな」
その横で苦笑するのは鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)。
(けれど、……実際に巻き込まれる側は溜まったもんじゃないだろうな)
猟兵ならばこういう事態に巻き込まれても大丈夫だろうが、探す『彼ら』は一般人だ。悠仁も想定するであろう嫌な『結末』に辿り着くこともあり得るだろう。
おっかなびっくりなアリスの彼を励まそうと手を繋ぐのは、……戦うのは怖いけれど、それでも気持ちを汲み取るように。
「……まぁ、確かに酷い話だし、邪神がいらねぇってのも最もだよな。けどさ――」
握る手を確かに強めて。真っ直ぐに彼を見据える。
「寝覚めの悪い結末には、したくねぇよな」
そうして、嵐は二人を覆い隠す――【いと麗しき災禍の指環】が齎す闇の帳にて。
隠密として非常に効果的だった策を携えながらも、二人は地図を頼りに直接の偵察を始めたのだが……。
「――なぁ、触りだけで回ってみたけどさ」
「ああ、確かにこれはそうかもなぁ……」
二人は顔を見合わせる。
『護衛対象は、それぞれ逆の方向に逃げさせられたのではないか』、と。
「さっきやる気のないトコって話があっただろ? 逆の所が2箇所あるよな……?」
震える声を押し殺しながら、悠仁は嵐に尋ねる。それは彼も感づいていたようで。
「妙に、警戒の手厚い所――だな。まるでそこの2人は『絶対逃すつもり』は無いって感じだ」
警戒網の手厚さが違うらしいのは、バロックレギオンの様子を見ても明確だった。
「逆に逃げても、偽の『友達』に裏切らせられるように、この人数、なのか……?」
廃墟の侵入経路の方も確認したが、どうやらそちらの方角に『護衛対象』が逃げ込んだらしく、
「――こりゃ、本当に『獣人』を片付けてから、UDC組織の人達に迎えに来て貰った方が良さそうだな……」
『護衛対象』というのは間違いではなさそうだと、透明な2人は嘆息する。
情報を得ることは出来たが――逃げ道を作り出すことはまだまだ時間が掛かりそうだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
芦谷・いろは
肝試しですか~、楽しそうですね。
でもとりあえず、対象の方々を探さないといけないですよね
中央広場ならば案内板みたいものがあるでしょうから、それを見ながら探してみようかなと思います
《失せ物探し》の要領で人探せないですかね?
息遣いとか声とかに《聞き耳》をたてる方が確実でしょうか?
あとは《第六感》を頼りに、探索してみようかなと思います。
何処かの物陰や廃墟の瓦礫の中等を探していきますね~
「誰か居ませんか~?」
居たら声出してください~。助けれなくなっちゃいますよ~
一応動きに違和感があったり
怪しい動きする人には
【影の追跡者の召喚】しておきますか?
居ないと思うんですが、念のため
●それは演技か幸運か
「肝試しですか~、楽しそうですね~」
そこで楽しそうと言えてしまうのが芦谷・いろは(傀儡使い・f04958)が彼女たる所以だろうか。
少し廃墟には不釣り合いなその調子で、ぬいぐるみを連れた少女は軽やかに。
事前に案内板と地図で確認した情報などを頼りに、『いる』であろうエリアに踏み込んで捜索をしていく。
「屋内――に逃げ込むよりは、路地裏とか、その辺りの死角を巧く使ってるんですかね……さっきから見張りの網もウロウロしてますし……」
『カン』ほどこういう時に頼りになるものは無い。実際、彼女はその網を巧く潜り抜けながら――
「誰か居ませんか~?」
……救助者のみを探り当てようと苦心している最中なのだが。
しかし、その苦心が実を結んだのかは定かではないが――
一人、見覚えのある顔が視界に入る。だが、妙だ。
声掛けに気付いていない――のではなく、『気付いているのに無視した』ように見えた。
「――んー? あれは鼓太郎さんですかね……妙な気がします」
そのまま息を潜め、【影の追跡者の召喚】に追わせたいろはだが……。
やはり先程の態度に反した、不自然なものを感じ取る。追い込まれては居るものの、何故か彼に全て都合良く事が進んでいる。打ち合わせでもされているかのように。
(なんというか、獣人達も積極的に傷をつけるつもりがなさそうですねー。茶番を見てる気がします)
彼女の勘は正しいのか。真相は――もう少ししてから判明することになる。
成功
🔵🔵🔴
黒川・闇慈
「遊園地の廃墟で肝試しですか……夏の大学生という感じですねえ。クックック」
【行動】
wizで行動します。
さて、広い遊園地を探すのも大変ですし、ここは空から探すとしましょうか。
カース・ブーストを使用し、呪力高励起体に変身。上空を飛行して空から学生達を探しましょう。
空から見つかればよし、見つからないのであれば、それはそれで「空から見えない屋内の廃墟にいる」ということがわかるでしょう。
「しかしこうして探しても四人は救出対象ではないのですよねえ……ままなりませんねえ。クックック」
【連携・組み合わせ・アドリブ歓迎】
●廃墟に満ちる『蜘蛛糸』
「遊園地の廃墟で肝試しですか……夏の大学生という感じですねえ。クックック」
その頃、一人空からその目を広げるようにして、廃墟を探索していた黒川・闇慈(魔術の探求者・f00672)だったが、奇妙な感覚を覚える。
「……おや、これは……蜘蛛の糸でしょうか」
屋外から目を向ければ彼らの居場所の特定は容易なのでは――と考えてのその行動であったが、それは思わぬ副産物を齎した。
「彼ら事態は物陰や屋内を巧く使って逃げ回っているようですが……それに呼応して、『蜘蛛の巣』のような感覚がだんだん強くなりつつあります……これが『呼ばれようとしている』邪神の影響なのでしょうかねぇ」
そのへばりつくような奇妙な感覚の濃さは2箇所から。
対角線上に沿うように――正に『被害者』の感じ取っている感情を『餌』とするかのように、それは『成長』している。
「しかしこうして探しても四人は救出対象ではないのですよねえ……ままなりませんねえ。クックック」
この蜘蛛の糸を齎すものが完全な形で顕現すれば――それはより不幸を齎すだろう。
くつくつと笑いながらも彼は降下していく。
……その行き先で待ち受けているのは、『護衛対象』か『獣人』か。はたまた――
成功
🔵🔵🔴
第2章 集団戦
『街を往く獣人』
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POW : 俺達はどこまでも本気になれる
【獣の本能 】に覚醒して【魔獣形態】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD : 俺達は何人にだってなれる
レベル×1体の、【胸元 】に1と刻印された戦闘用【の『街を往く獣人』】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ : 俺達はどこにだって隠れられる
無敵の【何にでも変身できるようになる腕輪 】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
👑11
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【MSより】
・この章は9/6夜までプレイングを受け付けます(公平性の為)
・事前に連絡した通り、この章は必ず『6回』に分けて返却されます。
・正体看破のヒントは第1章のリプレイに混ぜておきましたので、考えてみて下さい。
・正体が『獣人』であった場合、不意打ちを仕掛けてきますが、
正解ならば『知っていた』『分かっていた』ていで迎撃をすることも出来ます。
・正体が『邪教徒』の場合不意打ちはしてきませんが……?
(※でも現段階では殺さないようにお願いします。殺そうとすると高確率で逃亡します)
・プレイングの際、護衛希望の対象がいれば2人まで記入して下さい。
(※なるべくどちらかに振り分けます。未記載の場合はランダムに振り分けます)
黒川・闇慈
「さて、獣を狩り出すとしましょうか。猟兵らしく、ね。クックック」
【行動】
さて、どうも救出対象はそれぞれ対角線に配置されるような位置に逃げているようです。
となれば、対角線上に誰も存在していない10時方向と3時方向にいるのは獣人か邪教徒だと思うのですよねえ。このどちらかに向かいましょうか。
対象を発見したら警戒したまま声をかけましょう。
奇襲してくるようであれば高速詠唱の技能をもって超アストラル体に高速変身します。変身を見破っていたことを告げて、相手の変身能力が完璧でないという疑念を抱かせ、弱体化した所を全力魔法の技能でアストラルレーザーを発射し仕留めましょう。
【アドリブ歓迎】
●『井口謙介』の場合
ふうわりと、空より黒川・闇慈(魔術の探求者・f00672)は廃墟に舞い降りる。
「――さて、獣を狩り出すとしましょうか。猟兵らしく、ね。クックック」
獣人達の警戒網自体は然程強力という程では無い。神秘が紡ぎ出す理力はあっさりと獣人を撃ち貫き、彼の捜索が為の道行きは盤石とも言えた。
「……あんた、あのケモノ頭の連中の敵……なんだな?」
「おや、貴方は――『井口謙介』さんですかね」
そうだ、と肯首する青年を見て、彼は道行きを案内するかのように振る舞う。
「突然の事で困惑しておられるでしょうが――まず、皆様と合流しましょう」
先導しようと闇慈が振り向いた瞬間を狙い――謙介という『犬の獣人』は、その腕を振り下ろした、が。
……彼には、傷すらまともに『付いていない』。
「――ああ、分かっていますよ。貴方は『犬』ですからね?」
不意打ちすらも意に介さず。その身の阻害を解き、『爪』を振り下ろした獣人に、闇慈は淡々と告げる。
「……なんで分かった」
「ククク。いえ、単純な消去法ですよ。貴方の反対側には『誰も逃げていません』から」
他の猟兵からの情報で、『保護対象』は『対角線上』であろうことは分かっていた。ならば『反対側』に誰も居ない方向に居るものは怪しいのだと。
「それに――無敵と言えども、星幽の彼方へとこの身を置いた私に、『ソレ』が通用するとでも?」
「……俺が、人間の振りすら出来ていない、だと?」
謙介の腕輪の輝きがくすんでいくのを認めながら、彼は最後の仕上げに移る。
「――尻尾を出した『標的』は、狩り出される物なのですよ」
追尾する光は虚飾を焼き、骸の海へと還す。
そこに最初から『井口謙介』という人物は居なかったかのように。
……これで、偽りはまず1つ、剥がれた。
成功
🔵🔵🔴
死之宮・謡
アドリブ歓迎
8時の方角に推定邪教徒、ねぇ…まぁ面白そうだしそっちに行ってみようかな?
何故、この方法で生け贄を捧げようとしたのか…もっと手っ取り早い方法なんて幾らでもあると言うのに、ね…
(さっき呼んだ【七血人】達は好きに遊ばせ()て)
まぁさ?正直な話、この程度の連中が幾ら足掻こうがあんまり意味無いよね?
呪いの大爆発(呪詛・属性攻撃・全力魔法)に毒ガス(毒使い)を乗せて「2回攻撃」して「なぎ払い」
その後、獣人共の群れに突っ込み、ストライフでひたすらに斬り殺す…
最後は【緋天斬波】で一掃
邪神…誰だろうな…見たことない奴だと愉しいな…
●『萩島衣織』の場合
「何故、この方法で生け贄を捧げようとしたのか……もっと手っ取り早い方法なんて幾らでもあると言うのに、ね……」
邪教徒達の手法に頭を捻りながらも、死之宮・謡(原初と終末の悪意・f13193)が向かうのは8時の方角。
そこには七血人が齎した通り、やる気のない、筋書きをなぞるような獣人の群れが徘徊していた。
「まぁ、さ? 正直な話――この程度の連中が幾ら足掻こうが、あんまり意味無いよね?」
『この程度』。その言葉に火を付けられたか、獣人は一斉に黒服の女に向けて殺到する。だが――力量は明白であった。
「そうやって単純に飛びかかるだけなら、獣人でなくても出来るだろう?」
群れとなって襲来した『ケモノ』の群れを悪意の籠もりし呪詛の爆裂が歓待する。
拓かれた道行きを、まるで準備運動かのように謡が進んでいくと、その先に見えたのは――
本当にやる気なさそうに『萩島衣織』に襲いかかる『獣人』の姿。
少しは全力で演技しろよ――とも言いたげな顔になった謡だが、一切手心を加える事はない。
魔剣の一振りがダメ押しとばかりに、廃墟の残骸ごと、獣人を圧し切った。
「た、たすかり、まし、た……」
その様子を見たからなのか、安堵したからなのか、衣織はぺたりと地に座り込んでしまった。
力が抜けたようにへたり込む眼の前の女性に、半ば呆れるように謡は手を差し出す。
「……ほら、立て。そんな風にへたり込んだままだと……また襲われてしまうぞ?」
「は、はいぃ!?」
ぴょんと飛び上がるように立ち上がった彼女を連れて、謡も他の猟兵との集合場所へ向けて、衣織と先導していく。
(さて、何処までが――この女の『ふり』なんだろうねぇ)
謡は確信を得ていた。余りにもこの方角の獣人を相手取るのは手緩かった。ならば、『殺す必要が全く無い』か、『殺してはならない』と密約すら透けて見えるだろう。
「邪神……誰だろうな……見たことない奴だと愉しいな……」
彼女の好奇は既にこの先に向けられている。
――頭にはてなマークを浮かべたような衣織は、その『意味』を果たして理解していたのだろうか。
成功
🔵🔵🔴
寧宮・澪
6時の入り口から逃げようとした方は、近くの7時方向の方でしょねー……。
で、逆に逃げた、とのことですしー……1時方向の方がもう一人でしょかー……。
卯月さんが卯、鼓太郎さんが寅ー……謙介さんが戌……。
蜘蛛の巣からー……糸、織………伊織さんも、敵っぽい、ですねー。
まー、ひとまず、1時か7時の方に行って、護衛する、という感じでー……。
一応、不意打ち警戒しておきましょー……【Call:ElectroLegion】、使用ー……。
いっぱい、呼んでおきましたー……廃墟ですし、どこか崩れても、一瞬の盾にはなる、かとー。
襲われたら、応戦しましょうねー……襲われなければ、護衛していきます、よー……。
●『溝渕康太』の場合
猫の見つけた片方のみの靴を拾い上げて、寧宮・澪(澪標・f04690)は電子の地図に更なる情報を加えていく。
「ここの周辺とー……あと反対方向の『1時』ですかねー……『護衛対象』はー」
ささっと他の猟兵に共有情報を飛ばしながらも、彼女はこの靴の持ち主だろう『彼』を見つけんと、その周辺を探知していたが――
件の彼はあっさり見つかった。なにせ、廃墟をほぼ片方素足で駆け回っていたのだから、既に足は相応に負傷しているようだったから。
片足の痛みを庇うように逃げ回る日焼けの青年が、澪の視界に入る。
「あの人は――片靴が無いですね……と、いうことはー……」
助けを呼びに行こうとした彼こそが――溝渕康太であろうと。
ただ、それを許さぬとばかりに執拗に追いかけ回すのが『獣人』の群れ。
「群れなら、群れ、ですよー……れぎおーん」
琥珀金の輝きが波のように。きらきらと。
突然の闖入者に獣人達はその無敵さを信ずるように突き進んでいく。
けれども、崩されても、こちらは250もの数を誇る『群れ』なのだ。
彼女の意のままに手足は包囲を寸断し、康太へ向けて道を築き上げる。
「助けに、きましたー……『溝渕康太』さん、ですねー……?」
「あ、ああ……。なんでこんなコトになってるかさっぱりだが……」
「私が、あなた達を保護してくれる人に……掛け合いますから――」
状況を呑み込め兼ねている日焼けの彼に、ほわほわと間延びした声は現実を突きつけ。
「――側を、不用意に、離れないで、くださいねー……」
脱げたであろう片方の靴を、康太に差し出しながら。澪は告げる。
あからさまに、狙いの片方が『自分』であるかのような再びの包囲に、彼は息を呑んだ。
成功
🔵🔵🔴
エスタシュ・ロックドア
獣人は、
加瀬川“虎”太郎
芹沢“卯”月
井口“犬”介
ってとこかぁね
邪教徒は8時、申の方角にいる奴
ま、俺ぁ頭が悪ぃからよ
違ぇかもしれねぇな!
行先は適当に、バランス良さげな場所でお任せ
対象を見つけたら【かばう】
さて、お迎えに上がったぜ
獣人は『鋭晶黒羽』で全方位攻撃
それでも寄って来たタフな奴ぁフリントで迎撃
【怪力】で振るって【なぎ払い】【吹き飛ばし】たとこで、
黒羽を叩き込む
見つけた対象が獣人だったら、
不意打ちを【第六感】で察知して【カウンター】
振り向きざまに裏拳かまそうか
邪教徒なら儀式の進行でなんか悪さしそうだな
おいチョロチョロすんな、ってかばうふりして【グラップル】
地面に伏せて大人しくしてもらおうか
●『芹沢卯月』の場合
獣人に囲まれ、逃げ場を失いかけていた卯月が見たものは――
「――さて、お迎えに上がったぜ」
正しく、地獄よりの迎えと形容するに相応しいエスタシュ・ロックドア(碧眼の大鴉・f01818)の姿。
『獣人』が牙を剥くように飛びかかるのを、彼がすっと手を制する。
するとその集団を刻み付けるのは地獄より生まれし『鴉羽』。
軌道がまるで黒い線のみを残すかのように、切り刻み、完全に到達し切る前にそれは集団を塵へと返す。
「鬼の道行きにしちゃあ、『まだ』有情な方だ。通してくれるとありがたいねぇ」
不敵に笑いながらも、金棒――いや、鉄塊剣なのだが、構えて最後の『勧告』をしたエスタを無視するように突貫してきた『ケモノ』は。
鈍重なその振り払うような軌道に弾き飛ばされ、激突した先の残骸で物言わぬままに、果てた。
そんな様子をのんきに「おおー」と言いながら此方に近寄ってくる卯月に鬼は流石に溜息をつく。
――非常時に、こんな呑気に褒めてる場合でもなかろうに、と。
「えー……友達も待ってるから俺に付いてきてくれるよな?」
「じゃあ、すぐに、行きましょお? 衣織ちゃんとか、きっと腰抜かしてますよぉ」
終始マイペース。流されやすいとは効いていたが――これは話半分で動いているのでは?
「おい、チョロチョロすん――」
不用意な行動を制するかのように見せかけ、エスタは彼女を遮るが――
それに裏拳が『乗った』。
普通の女子であれば、それは余りにも暴力的であろう対処だが。
――卯月の頭には、兎耳が生えていたのだから。
「『獣人』は、加瀬川“虎”太郎 芹沢“卯”月 井口“犬”介――ってこったろ? 兎のお嬢さん」
組み敷きながらも彼女に問いかけるように、鬼は告げる。けれども、下の彼女に動揺など見られない。
「あは、バレてましたかぁ。でも、きっと……手遅れ、ですよぉ」
兎の獣人はゆるりと微笑む。もう、最低限の仕事は『終えた』のだとばかりに。
「――人間の感情は、積み重ねれば『一瞬』で噴き上げられ、ますからぁ」
ゆるゆるとした言動と裏腹に――
彼女は既に『種』は撒かれたとばかりに言葉を告げ。骸の海に返っていった。
「……『感情』ねぇ」
特定の感情を糧とする類の邪神なのだろうか、エスタは顎を擦りながらも、一路集合場所へ向かう。
……くだらない悪意の『種明かし』は直ぐそこまで来ているのだから。
成功
🔵🔵🔴
芦谷・いろは
どうしましょうか?
正直誰かはハズレくじひかないとですし?
う~??
私このまま《加瀬川鼓太郎》さん追いかけられればいいなって思ったりです
ハズレなのは判ってるんですけどね
でも誰かひかないといけないのと、肝試しやってるわけじゃないですか
《恐怖を与え》てみたいじゃないですか、お化け役の人にも涼を感じてもらわないと
【傀儡の宴】を持っていきますね
大漁にワラワラしてる方が楽しそうですかね?
あやつり人形さんにも《武器受け》して頂いたりして、頑張ってもらいますね
●『加瀬川鼓太郎』の場合
「――獣人(ハズレ)、なのは分かってるんですけどね」
でも誰かは引かないといけないじゃないですかーと、芦谷・いろは(傀儡使い・f04958)は言いながらも、件の彼の後を追う。
6人のうちハズレは4人。うち獣人は3人。必ず誰かは向かわねばならないのだから、と。
「あと肝試しやってるわけじゃないですか――」
脅かして、みたくなりますよねぇ、といたずらっぽく彼女は微笑んだ。
――お化け役にも涼を感じて貰わないと。
「確か……この辺りですよねぇ、うーん、隠れちゃったんでしょうか」
獣人を百鬼夜行の如きぬいぐるみの群れで粉砕しながらも、鼓太郎を追いかけ続けていたいろはだったが、突如居なくなった彼に少し警戒しつつも、くるくると右往左往する。
――当然その背を狙おうとしていたのも、鼓太郎。
その獰猛な包囲の牙は彼女に向かおうとしていた……のだが。
視界に突如、顔面の半分から綿を噴出させているぬいぐるみが、現れたのだ。
不意打ちをしようとして不意を突かれた獣人は派手に転倒し、その正体を彼女に知らしめる。
振り向いた彼女は、知っていた、とばかりに恐怖の外堀を埋め始める。
「やっぱり、お化け役の人でしたかー……可笑しいとは思ってたんですけどね」
その場のノリなのか、幽鬼のようにゆらりと微笑むいろはに、鼓太郎は背中をぞくりとさせる。
「わ、わかってたって言うのか……」
そりゃー、私に気付いてて『無視』でもされたら、と愚痴りながらも彼女は続ける。
だから『遊び』ましょう、と。
「でもでも、遊びのフリした『儀式』とかそーいうのじゃなくてですね」
虎の獣人を追い詰めるように、ぬいぐるみはじり、じりと迫りくる。
心なしか、見た目がホラーチックな個体が多いのは……気のせいかも知れないが。
「――本当に『遊び』、ですよ? こわい、こわい 本当の『遊び』」
――絶叫が、廃墟から響き渡った。
成功
🔵🔵🔴
三池・悠仁
一部のハズレは判る
判るけど、アタリが判るほど頭良い訳じゃないんだよ~
俺の頭の悪さに泣きたい……
と、とりあえず誰かを保護すればいいよな
保護対象が女性ならそんな手荒な事起こらないよね!って希望を持ちつつ
見つけたのが男性だったら、諦めよう。
不意打ちされたらその時考える!って事で
だ、大丈夫。多分!
いざって時は逃げよう《ダッシュ》で
地図は確認してるし、誰か居そうな方向へ
攻撃されたら【リアライズ・バロック】を使用
ただでさえこの場所怖いのに、これ以上怖くしないでくれ!本当に
邪神とかも獣人とかなんなんだよここ!
廃墟ってだけ雰囲気満点なのにっ
鏡島・嵐
判定:【SPD】
希望する相手=1時or7時の方向の人物
(重複する仲間が多い場合はランダムで可)
……うーん、皆の推測とおれの読みが正しければ、この方向にいる人は「当たり」の筈なんだけどなぁ。
やっぱ、祖母ちゃんにこういう時に使えそうな占いでも習っとけばよかったかなぁ。……いや、流石にそんな都合よくはいかねーか。
ともかく、迷い込んだ人を見つけたら〈コミュ力〉を働かせて落ち着かせる。
不意打ちは可能なら〈第六感〉や〈オーラ防御〉でダメージを減らす。大打撃を受けることだけは避けてえ。
どの道護衛する人の所にはたっぷり追手がかかってるから、《我が涅槃に到れ獣》でクゥを召喚。護衛する人の安全確保に努める。
●『東海林江里菜』の場合
「……うーん、皆の推測とおれの読みが正しければ、この方向にいる人は「当たり」の筈なんだけどなぁ」
鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)は頭をがしゃがしゃと掻きながらも三池・悠仁(幻想世界の迷子・f20144)を連れたまま1時の方角にやって来ていた。
「一部のハズレは判る。判る……けど、アタリが判るほど頭良い訳じゃないんだよ~!」
「そりゃ最もだよな、……祖母ちゃんにこういう時に使えそうな占いでも習っとけばよかったかなぁ」
悠仁の叫びに苦笑しながらも嵐もそんな『都合良さそうな』事を考えてみる。
――まぁ、そんな都合の良い持ち合わせが無いからこそ、今はこうして情報から推測するしか無いのだが。
実際に包囲網は尋常でない手厚さで、『アタリ』であることを否が応でも二人に痛感させる。
「ただでさえこの場所怖いのに、これ以上怖くしないでくれ! 本当に邪神とかも獣人とかなんなんだよここ!」
「気持ちは分かるけどさ……急いで見つけねぇと、もっと大変なコトになるぞ!」
ガタガタ震えながらもレギオンを発生させまくるアリスの彼の手を握りながらも、嵐は二人で包囲を駆け抜ける。その先に居たのは――
「え、えっと――貴方達が助け?」
廃墟の物陰に身を隠していた『東海林江里菜』の姿。
「そう、一応……な。急いで此処を抜け出そう」
不意打ちもして来ない彼女を見遣りながら、嵐は心強い『援軍』を呼ぶ。
その煌めく焔の毛並みが彼らの前に座した時、悠仁の声が上がる。
「やばい、見つかった!!急いで抜け出さねぇと!!」
その言葉を受けて嵐は二人もクゥの背中に乗せ、その黄金のライオンは獣人の波を掻き分けるように――飛び上がった。
「なんだこれ、さっきから迎撃してるけれど――キリがない、さっきから『増えてる』!?」
「き、君達も大丈夫なの!? この人数振り切れんの!?」
「だ……大丈夫だから! 行くぞ、クゥ。しっかり捕まっててくれ二人とも!!」
悠仁のレギオンに迎撃を全て任せる形になりながらも、3人は包囲網を粉砕し、脱出する。
これにて『護衛されるべき』人間は全て救出された。
だが――
けたり。けたり、と。
救出された3人のうち1人が、奇妙に笑った。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第3章 ボス戦
『『絆弄ぶ災厄』クラーク』
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POW : 万物斬り裂く蜘蛛の牢獄
戦場全体に、【オブリビオン以外を斬り裂く蜘蛛の糸】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
SPD : 正邪反転せし鋏と毒
【正の感情を反転させる伸縮自在の魔鋏】が命中した対象に対し、高威力高命中の【秘めた欲望を解き放たせる毒液】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ : 悪しき想念の糸紬ぎ
全身を【触れた者の負の感情を増幅させる蜘蛛の糸】で覆い、自身が敵から受けた【攻撃の回数と負の感情】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
👑11
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●『感情』の芽吹きの果てに
3人が、無事に猟兵達の手引によって、保護された。
UDC組織からの連絡によると、まもなく彼らもこの廃墟に到達するらしい。
友人の正体が、人間ですらなかったコトに当惑しながらも、無事を一時ながらも喜び合う彼女達を制するように――悪意に満ちた笑い声が響いた。
「そうですねぇ、……ホント余計なこと、されちゃいました」
手駒まで使って半年わざわざ時間を掛けたのに――と、笑ったのは紛れもなく、『萩島衣織』だった。
「全部――嘘だったのか?」
「私に優しくしてくれたのも」
「俺らの纏め役を流れで引き受けてたのも」
「全部、私の、『計画』だったんですよ? なのに。最後で」
とんだ邪魔が入っちゃいましたねぇ、と衣織は笑う。
「私や『彼ら』を恨んで、死んでくれれば、ちょうど良かったのに」
悪感情は、一瞬でも芽吹けばそれが膨れ上がるのも時間の問題だ。
現に、二人の表情は絶望、憎悪、困惑、様々な色を混ぜ込んだかのような彩りを示していて。
それににんまりと満足気に笑った彼女は最後の仕上げとばかりに――自らの喉首を掻き切った。
「――あははは、おいでくださいませ! わたくし達は貴方様に『感情』という供物を与える『奴隷』でありますが故!!」
正体を表した衣織の態度に、猟兵達、そして江里菜と康介はその『糸』の集束する果てを呆然と見遣っていた。
……呆気なく、彼らの本当の思いは、『裏切り』より生まれた一時の感情に食い潰された。
それを糧とし、現れた蜘蛛糸の繰り手もまた――『負の感情』を好み、紡ぐ者であった。
黒川・闇慈
「ふむ、やはり蜘蛛ですか……上に人型の体があるとは思いませんでしたが……クックック」
【行動】
wizで対抗です。
さて、あまり悠長に何度も攻撃していては面倒なことになりそうですねえ。ここは一撃を重視しましょうか。
属性攻撃、全力魔法、高速詠唱の技能を活用し炎獄砲軍を使用します。
全ての炎を一つに合体させて発射しましょう。本体も纏っている糸も、まとめて焼き尽くして差し上げましょう。
「面倒な手順を踏んで顕現したところ申し訳ないのですが、骸の海へお帰りいただきましょうか。クックック」
【連携・組み合わせ・アドリブ歓迎】
寧宮・澪
感じた友情や親愛が、本当だからこそ……生まれた負の感情、ですかー……。
何とも、迂遠で……効果的、ですねー。
実際、十分な糧になったようですしー……。
そういうのが、好きか嫌いか、といえばー……うーん、好きじゃない、ですねー。
さて、【Resonance】、使用ー……。
吸収されても、傷ついてもー……回復したら、いいですよねー……。
いくらでも治しますよー……。いっぱい、歌いましょねー……。
触れられないよう、回避したり、オーラ防御したりして、ですねー……相手を、強化しないように、注意しましょー……。
護衛対象のお二人は、攻撃行かないよう、気をつけましょー……万が一、攻撃飛んだら、庇いましょねー……。
●ヒトを敷く者の意図
「感じた友情や親愛が、本当だからこそ……生まれた負の感情、ですかー……」
寧宮・澪(澪標・f04690)は此処までに踏まれたであろう衣織曰くの『計画』を思案する。
普通ならばこんな手順など踏む労力の方がかかる筈だが、この蜘蛛に『仕える』邪教徒ならば、極上の贄を用意する為にも厭わないといった風体なのだろう。
現に、彼らが抱いたものは、眼前の存在を降ろす程に効果的だったのだ。
「ふむ、やはり蜘蛛ですか……上に人型の体があるとは思いませんでしたが……クックック」
黒川・闇慈(魔術の探求者・f00672)は収束したその結果にやはり、と言ったように笑うが、『絆弄ぶ災厄』クラークは敷くべき者共は気にかけぬといったようで。
「我が風体など些事。それにそのような事など最早気に掛ける暇など無かろう――」
糸が、紡ぎ上げられた悪意の様に、収束する。
「――貴様らも、我が下に集う喜びを知ることになるだろうからな」
戦場と変じた広間に蜘蛛糸が紡がれていく。
「そういうのが、好きか嫌いか、といえばー……うーん、好きじゃない、ですねー」
糧の出土元と『されてしまった』二人を庇うように、澪は立ち回る。
彼女の口許から漏れる歌声は猟兵達を即座に癒していくも、蜘蛛糸が齎す悪意と生命を啜る呪は、悠長な時間さえ許してはくれぬ。
(――やはり、あまり数を稼ぐのも、稼がれるのも宜しくなさそうですねぇ)
くつくつと笑いながらも闇慈は即座に焔を1つに纏め上げ集束させていく。
……ここで最も大事なのは『一撃』。瞬間火力だと。
「面白い――我が糸を焼き払おうというか」
「ええ、面倒な手順を踏んで顕現したところ申し訳ないのですが、骸の海へお帰りいただきましょうか。クックック」
術の行使を妨害しようと乱れ飛ぶ糸を見遣りながらも、彼はギリギリまで、なおかつ最速の『最大火力』を練り上げる。
「ですけれどー……焼き払わないと、時間が本当に掛かってしまいますしー……」
澪は盾として受け続けている上で実感していた。
時間をかければかけるほど、向こうが有利なのだと。だから、後は。
「では、一瞬ですよ」
豪炎が廃墟を煌々と照らす。さながら全てを断ち切るかのように。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
エスタシュ・ロックドア
……ま、衣織はこの世界の法じゃ裁けねぇだろーし
十王サマがたに任せるわ、UDCアースにいるかは知らねぇがな
問題は江里菜と康介
何も考えずに敵をぶった切りに行きたいんだが、そうもいかねぇ
生贄を狙ってくる恐れは十分にあるな
2人を【かばう】ぜ
安心しろよ、俺ぁ裏切らねぇ
んなことしたら舌抜かれっちまうからな
『群青業火』発動
【範囲攻撃】で周囲に業火を撒いて牽制、壁にする
もちろん味方と護衛対象周りは消火して燃やさないようにな
迷路を作ってきたら好都合、
逃げ場がねぇのは敵の方だ
こっちに向かってきたら至近距離から業火を浴びせるぜ
それから鉄塊剣フリントを業火で赤くなるまで過熱
【怪力】で振るって叩っ斬る
●慈悲無き糸は地獄に垂れぬ
蜘蛛糸に巻かれながらも、狂ったように笑い続ける邪教徒を見て、エスタシュ・ロックドア(碧眼の大鴉・f01818)は嘆息する。
(……ま、衣織はこの世界の法じゃ裁けねぇだろーし。十王サマがたに任せるわ)
UDCアースの地獄に果たして『十王』は居るのだろうか、そんな事は知る由もないだろう。
だが、彼の目下の心配事は――『巻き込まれた』二人だ。
なにせ、軽い人間不信にも近い状況だろう。半年と言えども、紡がれた思いを一瞬で壊されて『餌』にされてしまったのだから。そんな彼らに対し、
「安心しろよ、俺ぁ裏切らねぇ――んなことしたら舌抜かれっちまうからな」
飛び出したとは言え、彼のルーツは地獄の獄卒。……そんな事でもしたら手酷い仕置が待っているだろう事は想像に難くないだろうし、今更、舌まで地獄にする訳にはいかないだろう。
「だから、今は後ろに居な。……危ねぇからよ」
「――我が織り上げる『惨禍』は地獄にも勝るとも劣らぬものよ」
「そう言えるのは……お前が『ほんもの』を知らないからじゃ、ねぇか?」
群青の焔は煌々と燃え盛る。それは悪を断じ、拒むかのように。
だが、織り手はそれで止まることを良しとしなかった。急速に織り上がるは悪意の洞。今を斬り刻む、牢獄。
それを前にしても――エスタは笑う。なにせ牢獄の囚人を管理するのが獄卒なのだから。
「ああ、自分から収監されてくれたってか。それは好都合って奴だ」
鬼の携える鉄塊剣は、地獄の熱を帯び、道行きを照らすかのように、業火が燃え盛る。
――逃げ場を潰したのは、蜘蛛の方だったのだ。
「地獄に垂れる蜘蛛の糸ってのは、お釈迦様が垂らしてくれるモンだって話じゃねぇか」
赤熱するフリントが、斬り裂いた悪意を焼き焦がしながらも、エスタは告げる。
「それじゃあ、お釈迦様でもない奴の糸を燃やすのが――俺の仕事って訳だな」
成功
🔵🔵🔴
芦谷・いろは
肝試しはもう御終いなんですね~
ちょっとつまらないですね
もう少し、いろはとしては遊んで居たかったのですが
仕方ないですから、蜘蛛さんと遊ぶしかなさそうです
さぁさぁ【傀儡の宴】でレッツパーティーですよ
《第六感》を駆使して相手の攻撃タイミングを外させる様に《フェイント》をかけながら
攻撃をしていきますね
味方の攻撃やヌイグルミさん達に紛れて、相手の死角に回り込んで《暗殺》とか出来ればいいんですけど
そこまで上手く立ち回る事出来ますかね?
危なくなったらあやつり人形で《武器受け》して凌ぎますね
出来るだけ一般人さんは下がっててくださいね
巻き込まれたら大怪我しちゃいますよ?
●次なる遊びは
業炎が糸を焼き焦がす匂いが満ちる中でも、芦谷・いろは(傀儡使い・f04958)は調子を崩すことはない。
「肝試しはもう御終いなんですね~ ……ちょっとつまらないですね」
もう少し遊んでいたかったのに、とぼやきながら、彼女は煙を吹き上げている蜘蛛の方を見遣る。
「仕方ないですから、蜘蛛さんと遊ぶしかなさそうです」
いろはのその言葉に、邪神はせせら笑う。
「我が隷属の糸に敷かれる存在が――『遊ぶ』だと?」
「はい、遊ぶんですよ?」
その言葉に集うように、ぬいぐるみ達は集い始める。肝試しは『おしまい』故に、その見た目も平時と変わらぬ愛らしい姿に戻っているものの。
「――この子達との、楽しいパーティの時間です」
その統率は、紛れもなく『本物』だった。彼女と『彼ら』の間には見えぬが、確かな『繋がり』を持って、彼らは紡ぎ手を見た目に反した暴力的な攻めで嬲り続ける。
「そこまでの喜びがあるならば、『裏返せば』さぞや素晴らしい負の熱情が生まれるであろう!!」
その間隙を縫うように鋏の凶手はいろはに向かうが、そうやって『釣り出す』のが最大の目的。
「そこまで、わたしは『遊ばれる』つもりはありませんよぅ?」
自らをぬいぐるみ達にキャッチボールさせるような形で、『作った死角』へと回り込み。
「――おにさん、とりましたから」
ヒトガタの符が、独りでに刃となり、まるで首を刎ねようとするかの勢いで蜘蛛を斬り刻む。
千切られた糸が、主の苦悶の影とともに、廃墟に影を落とし始めていた。
成功
🔵🔵🔴
三池・悠仁
裏切りとか嘘とかそんなのどうでもいい
今俺としては目の前に生きてる人が居て、それを守らなきゃならないんで
さっさと退場してくれ蜘蛛野郎!
ってか1体でいいんですよね?
なんかやり損ねた他の獣人とかいないですよね?!
【グラフィティスプラッシュ】
を使用していくな
蜘蛛……蜘蛛かぁ…こう恐怖ってより嫌悪の方が先立っちゃっうんだよな
とりあえず塗りつぶしちゃえば良いよな
うん、さくっと塗りつぶしていこう!
きっと塗れば少しは嫌悪も……薄れないよな~蜘蛛だし……
出来るだけ保護対象の人の前に立って庇うつもりで頑張ってくな
鏡島・嵐
判定:【WIZ】
恨みつらみを集めたところでロクなモンになるわけねえってのに……こんなんが望んでたことだっていうのかよ……!
怖ぇ……けど、ここは踏ん張らねーと……!
他の味方を〈援護射撃〉〈鼓舞〉で支援。同時に敵に〈目潰し〉や〈武器落とし〉を〈フェイント〉を織り交ぜつつ仕掛けて行動を阻害する。
敵が何かユーベルコードを使って来たら《逆転結界・魔鏡幻像》で効果を打ち消す。攻撃はともかく、戦闘力増強とかは看過ごせねえからな。
もし残り二人の生存者に危害が及びそうなら、それも身体を張ってでも防ぐ。
終わったら、二人をケアしねぇとな。
あんまり意味無ぇかもだけど〈コミュ力〉とかで気にし過ぎないように慰める。
●悪意を薄れさせる色
「恨みつらみを集めたところでロクなモンになるわけねえってのに……こんなんが望んでたことだっていうのかよ……!」
鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)の言葉と同時、三池・悠仁(幻想世界の迷子・f20144)もその邪神に対し真っ先に嫌悪感を覚えた。
蜘蛛である以上、その筋の苦手は避けられぬものだろうが、おそらくそれだけではないだろう。
「と、取り敢えず……やり損ねた他の獣人とかいない……よな!?」
「そんなものは『いない』に決まっているだろう? 全ては我の糧となるのだから」
その言葉に、二人は周囲を見回す。乾いた笑いのまま血を流す衣織もそうだが、獣人達も、広場に到達しようとしていた全てが、糸に呑み込まれて、消えていっていたのだから。
(怖ぇ……けど、ここは踏ん張らねーと……!)
ちらと後ろを振り向くと、そこにいるのは自分よりも術を持たない二人の姿。自分達が去るなら、彼らの生命はここで閉ざされるだろう。
……二人の覚悟は、既に定まっていた。
「悠仁、大丈夫か!?」
「大丈夫――っていうか、恐怖よりも嫌悪、って感じなんだよなぁ……!」
塗料で邪神と渡り合う悠仁を援護するかのように、嵐のパチンコは行動を少しづつ少しづつ、狭めていく。
「でも、取り敢えず……塗りつぶしちゃえば良いよな!」
バケツから飛び出すのは明るい色彩。そこに陰鬱さは無く、正しく悪感情を束ねあげようとする者の領地を、奪い取るような鮮やかな世界。
「我が動きをその程度で戒めたと――思うなッ!!」
邪神の叫びとともに糸が再び、その自らの身体へ巻き付かんとしていた……だが。
それは、嵐も『見ていた』。なにせ一番最初の交戦でも同じ事をしていたのだ。実利を解さぬ訳ではない。ならば、時間を稼がれる前に――『その鏡をぶつけてしまえば良い』だけ。
「鏡の彼方の庭園、白と赤の王国、映る容はもう一つの世界。彼方と此方は触れ合うこと能わず」
悪意の糸が紡がれるのが『ソレ』ならば、コレが紡ぐのはその逆理。
悪意ではなく、思いの糸。彼らが抱えていた筈の、純粋なもの。
「――幻遊び(あそび)はお終いだ。趣味の悪い、な」
糸が対消滅して、霧散する。織り手も困惑は隠しきれないが、それを待ってくれる者は、最早居ない。
「裏切りとか嘘とかそんなのどうでもいい!! 今俺としては、目の前に生きてる人が居て、それを守らなきゃならない――」
悠仁が振りかぶるのは、鮮烈な黄緑の色彩。――希望の、色。
色に斬り裂かれるように、絆を贄とし、弄び続けた『災厄』は、塵へと帰っていく。
心で立ち続けた二人は、それを見届けると同時に――ぺたんと地面にへたり込んだ。
――廃墟は静寂と一瞬だけ取り戻した。
その後、最早壊れたとしか言いようのない『萩島衣織』を連れて、組織のエージェント達の一部が先に此処を離れていった。
悠仁はふと、『巻き込まれた』二人の方を見た。
ここまでの記憶は、組織にきっと『益のないもの』として、処理されてしまうだろう。
けれども、不自然に空いた空白は埋まらない。
それを案じた嵐は、彼らにそっと寄り添うように廃墟を後にする。
……『忘れた』彼らは、どのような道を歩むのだろうか。
願わくば、二度と、猟兵達と道が交わることのない――
――平穏で、普遍な、日常を。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴