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エンパイアウォー㉞~臨命終時、大団円

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #オブリビオン・フォーミュラ #織田信長 #魔軍転生

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 ……エンパイアウォー、最終局面!
 並み居る魔軍将の敷いた悪鬼外道の布陣はその尽くを打ち砕かれ、将も討たれた。
 魔空安土城は戒められ地に落ちれども、巨悪はいまだその天守にあり。
 すなわち、第六天魔王・織田信長! まさに根源、オブリビオンフォーミュラたる男!
 己に配下たる魔軍将の力を"憑装"させ、億に一つの勝算を掴み取らんとする……!

「予兆を目の当たりにした者も多かろう。ここまで追い詰められながらなんたる胆力。
 ……と、敵を称賛しても話は始まらぬな。確実にとどめを刺さねばならぬということだ」
 グリモア猟兵、ムルヘルベル・アーキロギアは静かに言った。
「ここがいくさの大銀杏、あるいは最後の大一番。大詰め。最後の戦いである。
 オヌシらの働きで幕府軍は一切の犠牲を出すことなくここまで来れた。が――」
 ここで信長を討ちきれなければ、それは画竜点睛を欠くということ。
 疲弊した幕府軍は敗退し、結果的にこの世界には未曾有の危機が迫るだろう。
「各々、疲弊や思うところもあろう。だがあともう少しだけ奮戦してもらいたい。
 ……彼奴はこれまでの魔軍将や他の世界の強大なオブリビオン同様、強敵である。
 こちらの攻撃は必ず先を行かれ、それを潜り抜けてもなお五分とは言い難いが……」
 紛れもない死地。そこへ送り出すことに、少年めいた賢者が慣れることはない。
 己がただ言葉で激励するしかない無力さを歯噛みしつつ、ムルヘルベルは顔を上げた。
「だからこそ、それに挑むオヌシらの勇気に、ワガハイは転移を以て報いよう。
 彼奴はすでに滅ぼされた巨将"武田信玄"の力を憑装させ、オヌシらを迎え撃つはずだ」
 いずれのユーベルコードも手強い強大な力である。しかし。
「"平和というのは争いが無くなったことではなく、魂の力が生み出す美徳である"。
 ……とある神学者の言葉だ。争いを求める魔王に、オヌシらの魂の力を見せてやれ」
 本を閉じ、賢者は頷いた。そして、死地への転移が始まった。


唐揚げ
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 うつけです。以下はボスシナリオ恒例の注意書きとなります。

 第六天魔王『織田信長』は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。

 というわけで、第六天魔王です。最終決戦、いい響きですね!
 信長は三つの憑装を行いますが、本シナリオにおいては『武田信玄』が対象です。
 武田信玄はオブリビオン化が阻止されているので、人語を喋ったりはしません。
 多分なんか、そのパワーだけを汲み上げてるんでしょうね。さすが信長。
 なお完結を優先する関係上、採用数は普段よりも少なめになる可能性があります。
 プレイングの同時採用も同様に少なめとなりますので、その点ご了承ください。

 OP公開後、断章にてプレイングの受付期間などを改めて告知いたします。
 可能であればそちらの期間内にプレイング頂けると幸いです。ご迷惑おかけします。

 では前置きはこのあたりにして。
 皆さん、エンパイアウォー最後の戦いに挑みましょう!
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第1章 ボス戦 『第六天魔王『織田信長』信玄装』

POW   :    風林火山
【渦巻く炎の刀】【黒曜石の全身甲冑】【嵐を呼ぶ樹木の翼】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    甲斐の虎
自身の身長の2倍の【白虎状態に変身した武田信玄】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    武田騎馬軍団
レベル×5本の【武田軍】属性の【騎馬武者】を放つ。

イラスト:UMEn人

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 魔空安土城、天守閣。
 黒き大鎧を装備した精悍な顔つきの男が、うっそりと瞠目した。
 織田信長。歴史に名を残す大君にして天下統一を目指した男。
 いまやその身は、オブリビオンの太祖にして文字通りの魔王である。
「是非も無し。億に一つ、兆に一つ……たとえ儂の命脈、那由多の彼方にあろうとも」
 外套の裾が燃え上がる。それは魔王の苛烈さを示すかのごとく。
「ただ敵を討ち滅ぼすのみ。さあ信玄よ、我が身に憑装せよ。ここがいくさの大銀杏よ!」
 呵々大笑。その傲岸不遜に足るだけの力を彼奴は有している。
 世界を覆わんとする大禍を討つために。猟兵よ、死地へと飛び込め!

●プレイング受付期間
 【19/08/27 08:30】
 から、
 【19/08/28 23:59前後】
 まで。
 期間外に頂いたプレイングは他の方のものより採用優先度が下がります。
 ご了承をお願いいたします。
リア・ファル
【イ・ラプセル】
SPD
アドリブ共闘歓迎

この戦いを終わらせれば天下泰平ってね!
クロエさん、相手の連携を崩そう!

イルダーナを「操縦」し機動性を張り合いつつ、
グラビティアンカーで白虎の四肢を絡め取り、勢いを削ぐ
分断できずとも連携を崩し「時間稼ぎ」できれば上出来さ

隙ができたらUC【召喚詠唱・流星戦隊】を使用
対信玄装用オペレーション発動!

「ボクのアレンジ陣形を受けてもらおう……毘沙門天の加護ぞある!」

本機以外の全ての戦闘機を半円ドーム状に配置し、
転回攻撃!

「これぞボク流、改・車懸りの陣だ!」

最後は複製全機を盾にして、中央からイルダーナで飛翔!
クロエさんを魔術符で威力支援!
「クロエさん、トドメは任せた!」


クロエ・ウィンタース
【イ・ラプセル】
是非もなし、だろう?望むところだ
オブリビオンは全て斬る。そしてこの戦も終いだ

【SPD】アレンジ共闘歓迎
>行動
最初からUC【黒】を使用

白虎の対応はUCの身体速度向上で、信長と白虎の攻撃を【見切り】で避ける
返す刀で【カウンター】【2回攻撃】
喉、首、腹等肉の薄い所に妖刀を叩き込む
手数を重視し信長と白虎の注意を俺に引き付ける

リアの攻撃で隙が出来たら
足に妖気を溜め全力全速で白虎の顔面に【ジャンプ】で飛ぶ
妖刀を口にくわえ両手に「藍凪」「董嵐」を持ち白虎の眉間に突き込む
そのまま白虎の体を蹴り登り信長に斬りかかるぞ

リアの支援に「任せろ」と短く応える
あとはもてる力と妖気を刀に全て込め信長を斬る



●魔王滅殺:リア・ファル&クロエ・ウィンタース
 絶対先制。
 強大なるオブリビオンと猟兵の間に広がる、実力差という名の溝。
 身体能力・反射神経・判断力・知識力……そうしたあらゆる戦士としての差は、
 すなわち『敵が必ず先手を得る』という厳然たるアドバンテージとして現れる。
 猟兵たちはこれまでの戦争のなか、多くの名だたる敵に先手を打たれ、
 それを各々の状況判断と作戦、そして連携によって覆してきた。
(認めたくはないが……なるほど、これが第六天魔王の力量か……!)
 クロエは内心で歯噛みした。否、正しくは甲斐の虎も含めた二体の、だろうか。
 いまや挑みかかった信長は、巨大な白虎となった武田信玄に騎乗しているのだ!
「さあどうした! 他愛もないぞ猟兵、儂を討つのではないのかッ!」
「当然だ、オブリビオンは全て斬る! それがこの俺の……くっ!」
 意気は十分。されどユーベルコードの術式を練るよりも敵の動きは疾い。
 まさに弾丸じみた速度で白虎の四肢が魔空安土城を蹴り、クロエに飛びかかる!

「クロエさんっ、危ない!」
 そこでリアが割って入る。イルダーナによる横合いからの強烈なチャージだ。
 クロエに飛び込めば脇腹をまともに打たれる。そう判断した信長は拍車をかけた。
 獣と化した信玄は不服げに唸りながらもあるじの命に従い、強襲を断念。
 ガリガリガリ!! と四肢の爪で床を削り、90度直角ターンを決めたのである!
「その行儀の悪い脚、縛らせてもらうよ!」
「ほざけ、温いわッ!」
 ガギャンッ!! 射出されたグラビティアンカーは信長により両断破砕!
 ばらばらと錨鎖の破片が飛び交うなか、両者は再び数メートルの間合いを得た。

(なんという剣気。こうして間合いを取っても、"黒"の力を解放する隙がない)
 妖剣の柄を握りながら、クロエは脂汗を滲ませて敵を睨み見据える。
 一瞬でも彼女が妖剣開放にかまければ、その瞬間白虎は再び突撃するだろう。
 リアが止めてくれたとして、そこから己はあの攻撃を見切り避けられるだろうか。
 ……正直なところ、自信はない。やってやるという気概は十分だが。
 しかしそんな力量差に萎縮して戦意喪失するほど、クロエはヤワではない。
「クロエさん、いけそう?」
「……こういうときに云うならば、"是非もなし"だろう?」
 不敵に微笑み、リアを見返す。リアは驚きつつも、微笑んで頷き返した。
「強敵相手の死闘、望むところだ。この戦を終いとするためにも――」
 敵はこちらにユーベルコード発動の隙を許さない。それは確定的事実である。
 クロエひとりで挑んでいたならば、間違いなくすでに斃れていただろう。
 ……であれば、こちらもまた、仲間と最大限の連携を果たすべし。
 そして死中に活あり。見切れぬというならば己をさらなる死地に置くまで――!
「……リア、任せた」
「えっ? クロエさん、どういう――!?」
 リアは瞠目した。クロエは……あろうことか、自ら敵に突っ込んだのだ!

 絶対先制。なるほど、事前準備などという甘い考えは許されないというわけか。
 ならば重畳。どのみち避け得ぬならば"避ける努力をするまでもない"。
 胸据わって進もう。クロエは微笑んだまま風のように間合いを詰めていく!
「士(さむらい)の貌か。よかろう、ならばその首級貰ったッ!」
 信長の裂帛たる殺意が、ごうっ! とクロエに向かい風めいて吹き付ける。
 振り上げられる刀、猛然と床を駆ける信玄! 雄叫びはまさに猛虎!
「獲れるならば獲るがいい。ただし俺の首は、安くはないぞ!」
 クロエは速度を緩めず疾走、信長および信玄の脇腹めがけ妖剣を振るう。
 ――交錯! 信長の大刀は、身を深く沈めたクロエの背中を大きく裂いた……!
「ぬうっ!」
『グルルル……!!』
 だが此方も手応えあり! 黒鎧に剣閃ひとつ、続く先は白虎の鋼めいた毛並みだ!
 クロエの傷は重い。しかしこの程度で音を上げていては剣客は務まらぬ。
 痛みを意志の力でねじ伏せ、クロエは血を流しながらも不動のまま居合を構えた。
 敵は再び爪で強引にブレーキを踏み、180度反転して猛追してくる!
 手負いのこの身で二度目のカウンターを入れられるか。危ういところだ。
 だが"これでいい"。敵は己に釘付けになっている――!

「さっき見せたばっかりだっていうのに、警戒心薄すぎじゃないかな!」
「『!?』」
 その時である! 再び生成されたグラビティアンカーが四肢に絡みついた!
 信長に少なからぬ油断があったのは確かだろう。だがそれは実力あらばこそ。
「小癪な!!」
 即座に大刀がアンカーを切断する。だが一瞬――戦場においては致命的な隙!
「――征くぞ、"黒"!!」
 妖剣解放。すさまじい呪力が解き放たれ、クロエの白銀の毛並みが黒に染まる!
 その身に纏うのは、瞳の色と同じ赤黒く輝く禍々しい雷光である!
「武田信玄……覚悟ッ!」
 その妖気を両足に収束させたクロエは、爆発的速度で床を蹴った。
 残像すら生み出すほどの神速。白虎の前爪は虚しく空を切る! 翔んだのだ!
 信長は己の首が狙われるのを恐れ、大刀を受け太刀に構えた。
 しかしその予測は裏切られる。クロエは妖剣を『口に銜えて』いるのだから!
 代わりに両手に構えるは仕込み懐刀双(ふた)つ。すなわち藍凪、董嵐!
『グォルルルルルッ!?』
 双剣が白虎の眉間を叩き割った。煮えたぎるような熱血が噴き上がる!
 クロエは悶える白虎の体を足場に再跳躍、華麗なムーンサルトを決めた……!
「さあ、今度はボクらの連携を味わってもらうよ第六天魔王。そして!
 キミが従えていた、魔軍将の兵法――そのアレンジ陣形を受けてもらおう!」
 リアの周囲、およそ51機のイルダーナが放射状に風車めいて並んでいる!
 空中のクロエを真っ二つにしようと振るわれた大刀は、吶喊した一部隊が相殺!
「これは……謙信の車懸りの陣か!?」
「その改良版、対信玄装用オペレーション! 改・車懸りの陣さ!!」
 毘沙門天の加護ぞあり! 両断爆裂したイルダーナの炎の中から第二部隊参陣!
 信長は悪鬼の如きすさまじい斬撃でこれを次々に叩き切る。だが遅い、遅い!
「クロエさんっ、最後は任せたよ!」
「――ああ、任せろ」
 それこそがふたりの連携。クロエは再び微笑み、敵を睨み据えた。
 妖剣を両手に構え、大上段に。落下速度を載せた斬撃一閃――狙いは額だ!
「ぐ……おぉおおおっ!!」
 魔術符によって護りを妨げられた信長の額が袈裟懸けに斬られて血を噴き出す!
 一の太刀、成れり。負った傷の度合いは大きいが、それは敵も同様である!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 と

この世界の歴史に詳しい訳ではありませんがね……
部下に足元掬われるような間抜けは、大人しく骸の海に沈むがいいさ

『凍鳴蒼』から闇よりも尚昏い水を喚ぶ
炎に焼かれておきながら炎の刀を振るうとは、皮肉だな
自虐趣味でもあるのか?
魔力を昏い氷に変えて刀を凍らせるよう試みながら、
オルハさんが影を突けるよう敵の目を惹き付ける
嘲ける言葉もそのために

【侵蝕する昏冥】を使用、ルールは簡潔に
「後ろを向くな」よ
呪詛を纏った氷柱を展開、嵐への防壁も兼ねさせながら、狙い定めて敵に穿ち
彼女に合わせ俺も動く

距離は保ちながら、敵を挟んで彼女と対称に位置を取る
隙を見て、オルハさんと合わせ攻撃を


オルハ・オランシュ
ヨハン(f05367)と

第六天魔王だの那由多の彼方だの、大袈裟なことばっかり
……この世界の住人じゃないけど
私はこの世界が好きなんだよね
あなたには、消えてもらわないと

ヨハンが作ってくれたチャンスを無駄にはしない
隙を突くように急ぎ接敵、UCで防御力を強化
敵が攻撃力が強化していてもこれで少しは凌げるはず
可能な限り【見切り】、間に合わずとも【武器受け】で深手は避ける

敵が防御力を強化している可能性も視野に入れて
【鎧砕き】【鎧無視攻撃】の多段攻撃を繰り返す
ヨハンと狙いを合わせるように意識
攻撃が通りやすくなったと見受けられた、かつ
僅かでも敵が怯んだ時にはタイミングを合わせて連携攻撃



●魔王滅殺:ヨハン・グレイン&オルハ・オランシュ
「ぬううう……!!」
 斬撃により額をかち割られた信長は、苦悶しながら頭を振った。
 すでに騎乗していた信玄は消失し、手傷を負わせた猟兵たちもまた同様。
 ヒットアンドアウェイの戦術。実に忌々しい。だが……それもまた、面白い。
「けして油断せず、慢心することなく儂を討ちに来る。それでこそ我らの天敵よ。
 さあ、我が身はまだ此処に在るぞ! 姿を現せぃ、すでに気づいておるわ!!」
 稲妻のような大音声が、殺気張り詰める魔空を轟いた。そしてふたつの影あり。
「……そんな大声を出したって、いまさらあなたに怯えたりはしないよ」
「ええ。あいにくですが、これでもそれなりの修羅場を潜り抜けてますから」
 きっ、と眦を決したオルハ、そしてその傍らには闇を纏う少年ヨハン。
 いまだびりびりと残響する信長の覇気を前にして、背筋はしゃんと伸びている。
「ほお、若造にしてはいい面構えだ……この儂を前にして臆さぬか」
「第六天魔王だの那由多の彼方だの、大袈裟なことばっかり云う見掛け倒しには、
 いちいち臆してなんてあげない。あなたは、許されないことをしてきたんだから」
 オルハはこの世界の住人ではない。だが彼女は、この世界を好ましく思う。
 この世界に住む人々を、その文化を。だからこそ、許せないのだ。
 数々の非道な作戦を企てた魔軍将、そしてその頭目たるこの魔王を!
「俺はそこまで義憤だとか、堅苦しい感情があるわけではないんですがね。
 謀反を企てられるような間抜けは、さっさと骸の海に沈んでもらえませんか」
 対称的に沈着冷静なヨハンの皮肉に、信長は口が裂けんばかりに呵々大笑した。
「是非も無し。我らオブリビオンが、いわんやフォーミュラたるこの儂が、
 還れと言われて還るわけもなかろうが! さあ、いくさじゃいくさじゃ!」
 追い詰められてなお傲岸、不遜、それはまさに魔王の名に相応しい。
 強大なるオブリビオンフォーミュラを前に、ふたりは魔力を練り上げる――!

 見よ。燃え上がる外套はもはや鎧を、その身を覆うほどに燃え上がり、
 マグマめいて燃え盛る炎は、やがて大刀を中心に竜巻じみた猛威に変わる。
 焦げ付いた鎧はオブシディアンの堅牢な砦じみた硬度を得、背中にはみしみしと、
 ねじくれた樹木の翼が萌芽。おお、これこそまさに風林火山の体現なり!
「炎に焼かれて死んでおきながら、オブリビオンになってまで炎の刀ですか。
 まったく皮肉ですね……それとも、あんたには自虐趣味でもあるのか?」
 信長は、ヨハンの皮肉を意に介さぬ。悪鬼じみた笑みを浮かべて無造作に接敵。
 防御など一切考慮せず、燃え上がる刀を構え――振り下ろした!!
「ち……! 大物気取りの猪武者とは、いよいよ手に負えない!」
 壁のように逆巻く業火をかろうじて避けたヨハンは、術式を展開。
 指先からぽたぽたと滴り落ちる黒水が蛇めいて立ち上り、ぱきぱき凍りつく。
「呵々! 然様な氷なぞで、儂の裡に燃える炎を消せると思うてか!」
「その大口、こんな攻撃で無力化されるのがよほど怖いと見えますね」
 氷の大蛇が食らいつく。信長は嘲りの笑みを浮かべながらこれを一蹴焼灼。
 ずしん、ずしんと魔人めいた威圧感を放ちながらヨハンににじり寄る。
 こめかみを冷や汗が伝う。己の術式で、あの猛火も鎧も貫くことは出来はすまい。
 闇の刃を放ったところで、樹木の翼が放つ竜巻によって吹き飛ばされるだろう。
 つまりは蟷螂の斧、信長もそれをわかっているから甚振るように嘲るのだ。
「違うというなら、さっさと俺を消し炭にでもすればいい。さあ、どうした」
 間合いが徐々に縮まる。あと少し。もう少しだけ引き付ければ……!

「――小娘の不意打ちで、儂の力を奪える……と、思うておったか?」
「「!!」」
 信長は突如身を翻す。背後、伸びる影法師を貫こうとしていたオルハの方を!
「オルハさんッ!」
「……大丈夫、ヨハン!」
 信長は嗜虐の笑みを浮かべ、振り上げた刀を再び無造作に振り下ろした!
 ごおう――!! 虫一匹逃さぬすさまじい火炎の竜巻が城壁を焦がす!
 背後からヨハンが伸ばした氷の魔力も、樹木の翼に裂かれて散っていく!
「ハ! いじましい反抗よ。そのような小細工は――」
「……通じないって、思い込む。だからあなたは、脇が甘いんだよ」
「何ッ!?」
 おお……オルハは生きていた! 収束させた風を防壁のように纏うことで!
 痛々しくもその髪と肌はあちこちが焼けて焦げているが、だがまだ生きている!
 そしてウェイカトリアイナの鋒は、深々と影法師を貫いているではないか!
「ええい、生意気な小娘が!!」
「――"後ろを向くな"」
「!?」
 ヨハンだ。片手を伸ばし、指先から反動による血を垂れ流しながらも、
 はっきりと影を通じて術式を展開し、黒闇によって信長を縛り付けている。
 信長は瞬時に理解する。"この呪的拘束は破れる。だが手痛い"ということを。
 "侵蝕する昏冥(ダーク・イロウション)"。与えられた命令の代価は、苦痛だ。
「……第六天魔王たる儂を縛ろうてか、小僧がァッ!!」
 それが信長の逆鱗に触れた! 彼奴は怒りのままに嵐を起こしヨハンへ振り返る!
 その周囲を壁めいて氷柱が取り囲む。そして風に裂かれて乱れ飛ぶ!
 当然その嵐はオルハの身をも斬り裂くが、彼女には吸収した防御力がある。
 そして狙い定めるは黒曜石の狙い。背の翼が強く羽ばたき脚を進めさせた!
「ヨハンをやらせたりなんて、しない! あなたには、もう――」
 ガギン、ガギギンッ! 大刀攻撃を妨害するような痛烈な多段刺突!
「何一つ! その狙いも、企みも! 成就させないッ!」
「ほざけ! 儂はまだここに在る。いくさは終わらぬぞ!」
 樹木の翼が鬱陶しげに羽ばたき、蜂めいて食い下がるオルハを吹き飛ばす。
 一方炎の大刀は、飛び退るヨハンを飲み込もうと魔神の舌めいて左右を薙ぐ!
(下がり続ければ攻撃は避けられる。――けど、それでいいのか)
 オルハは。あの炎と嵐の先、果敢に鎧を貫かんとする想い人はそこにいる。
 それでいいのか。ヨハンは……奥歯を噛み締め、脚を止めた!
「呵々! 死ねぃ小僧ッ!!」
「――!!」
 炎を、嵐を、否……己が練り上げた闇を、成就する術式の幻影を見据える。
 集中、収束――詠唱! 練り上げた魔力は炎をも通さぬ氷の大壁に!
「何ぃ!?」
「聞こえますね、オルハ! 行きますよ!!」
 応答はない。だがわかる。彼女は合わせてくれる――心で理解できる。
 信長は思案した。はたしてどちらを倒すべきだ。この小娘か。目の前の小僧か。
 だが小娘を薙ぎ払おうとすれば、すなわち再びあの苦痛が己を襲うだろう。
 いやそもそも、こんな餓鬼どもを相手に、己が選ぶ立場になること自体が……!
「おぉのれがぁあああああ!!」
 激昂に煽られた炎が翼の起こす嵐と混ざり合い、竜巻と化した!
 オルハは、ヨハンは、肌が焦がされるのも恐れずそれぞれに最中へ飛び込み――!
「「貫いて、みせるッ!」」
 全魔力と膂力を込め、黒曜石の鎧を……おお、同時攻撃により貫いたのだ!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

白寂・魅蓮
織田信長と武田信玄…かの有名な二人を相手することになるとはね。
けど、僕達もここで負けるわけにはいかないんだ。
ここで倒して、戦いは終わりだ。魂の舞、見せてあげるよ…!

相手は必ず先制攻撃をしてくる…【見切り】【ダンス】で避けに徹して、まずは攻撃のチャンスを伺おう。
騎馬武者たちは白金魔糸を束ねた糸で捕まえて、盾にしたりして利用させてもらうとしよう。

白狼切と四葩扇を使った剣舞で攻撃を仕掛けて、相手との距離が縮まったら、わざと隙を晒す。
相手が大振りの攻撃を仕掛けたら、【焼魂の魔眼】を使ってダメージを狙おう。

信長、君の魂は今なお燃え続ける「紅蓮」だ
だから…君自身の炎で、その魂を焼き焦がす…!



●魔王滅殺:白寂・魅蓮
 ……そこは、まるで炎の大蛇がのたうち回ったような有様であった。
 床も、壁も天井も、すべてが焦げつき、未だに地獄の炎がちろちろと燃えている。
 その中心。半壊した鎧の破砕部と、額から滂沱のような血を流す男がひとり。
 第六天魔王、織田信長。オブリビオンフォーミュラにして魔空安土城の主。
 すでに二度……猟兵の襲撃を受け、手痛い負傷を受けたその顔は、渋面である。
 否、憤怒の形相。ふつふつと燃える炎が、散って去った熱波に呼応する。
「この儂が……こうまで追い詰められるとは。おのれ猟兵。おのれ徳川!!」
 ぎらつく双眸は獣の如く。されど……食いしばられた口元は、笑みに歪む。
「だが、是非も無し。それでこそのいくさよ。それでこその我が大舞台よ!
 儂は不滅。儂こそが永遠。始祖たる我が身は滅びようとも再び蘇り……!!」
 炯々と輝く両目は、まるで地獄の底で燃え上がる悪魔どもの炉のようだ。
 ……そして信長は、弾かれたように大きな通路の最奥を睨みつけた!
「来たか。忌々しき我らの天敵。儂を討とうと不遜にも来おったか!」
 背後に白虎の相貌を持つ猛将の幻影が揺らめく。だが響くのは獣の唸り声。
 否、もはや獣は二体か。第六天魔王もまた、獣じみた凝視で敵を睨むのだから。

 はたしてその凝視を受け、なお涼やかに微笑み現れたのはひとりの少年。
 悪しき熱気を払うように愛用の扇をひらりと舞わせ、魅蓮は魔王を見返した。
「もはや満身創痍、といった様子だね。だがさすがはかの第六天魔王だ。
 傷を負っても力が減じた様子はなし……いや、むしろ強まっているか」
 然り。いくら傷つこうと、織田信長の絶対先制が損なわれることはない。
 ましてや不意打ちなど悪手の限り。魅蓮が自ら姿を表したことがその証左である。
 現さざるを得なかった、というべきなのだ。それほどの知覚力。
「けど、僕たちもここで負けるわけにはいかないんだ。必ず、勝たねばならない。
 この平和を、この世界を、これ以上……死者たちに奪わせるつもりはないからね」
 ゆらり、ゆらり。歩く姿はふらつくようでもあり、しかして踊るようでもある。
「第六天魔王、織田信長。君をここで倒していくさは終わりだ。
 さあ、その力を僕に向けてくるがいい。魂の舞を見せてあげるよ……!」
「よう吠えた。ならば死ねィ!!」
 信長が両手を広げる。するとどこからかいくさの鬨の声!
 そして半透明のシルエットが無数に実体化していく。重なるのは馬のいななき!
 蹄の音も高らかに、大廊下を埋め尽くす五百以上の武田騎馬軍団!!
「この数は……かなり予想以上だね……!」
 少なからぬ恐怖がある。だがここはいくさ場、つまりは舞台の上である。
 魅蓮は自ら風のようにふわりと駆け出し、騎馬軍団に真っ向挑みかかった!

 ……無数の騎馬武者隊の最中を、魅蓮は文字通り踊りながらかいくぐる。
 しかし、数の差が圧倒的である。ましてやここは閉鎖空間、逃げ場は少ない。
 致命傷こそ避けているものの、魅蓮の体には一つまた一つと傷が増えていく。
 だが、普通に考えれば即死だ。なぜそれが生き延びられているのか?
 それは彼が手繰る"白金魔糸"にある。馬の四肢に絡みつくあの鋼糸だ!
「音に聞こえた猛虎の配下たち、その身を盾とするのはいささか心苦しいが……!」
 魔糸に絡め取られた騎馬武者を肉の盾とし、魅蓮は致命傷をかろうじて避ける。
 そして進む。怒涛の先へ。高々と笑う魔王の喉笛を斬り裂くために!
「――信長。君にも最期の舞を踊ってもらおうか!」
 左手に脇差・白狼切を、右手に舞扇・四葩扇を持ち、魅蓮は飛んだ。
 騎馬武者隊の刀が、槍が肌を斬り裂き肉を削ぐ。だがまだ戦える!
「勇ましきはよし! だが温いぞ、小僧!」
 織田信長はこれを見越していた。焦げ付いた大刀を構えて迎撃体勢!
 ああ、たしかにその膂力ならば、くるくると血を帯びて踊る魅蓮は両断可能だ。
 しかしそれこそが魅蓮の狙いだったのだ。魅蓮は……右目を、見開く!
「信長。君の魂はいまなお燃え続ける"紅蓮"そのものだ」
「ぬう……!?」
「だから、君自身の炎で。その魂を、灼き焦がすッ!」
「瞳術か……!? おのれ、小癪な!!」
 右目が金色に輝き、視線を伝って信長の魂を、その燃え上がる炎に火を付ける。
 おお、見よ。刀を振るう信長の体が、内側から轟々と燃え上がるさまを!
「――なんて禍々しい。だが、さすがは魔王だ。よく燃えているじゃないか」
 焼灼によって狂った斬撃を浴び、重傷に等しい刀傷を脇腹に受けながらも、
 魅蓮は不敵に笑う。見据える先、炎の柱は天井をも焦がすほどに猛々しく……!

苦戦 🔵​🔴​🔴​

月舘・夜彦
【華禱】
虎の威を借る必要も無いように思いますが
名のある武将二人が相手となれば他のオブリビオンとは比べ物にならないでしょうね
ならば、此方も二人で挑みましょう

視力・見切りにて攻撃手段を見極め倫太郎殿と情報を共有して連携して対処
攻撃は残像にて回避、回避が困難なものは武器受け
相手は強敵、防ぎ切れぬのは承知
刀が振るえれば良し、痛みは激痛耐性にて耐え抜けば良し
その覚悟を以て挑まねば、刃も届くはずも無し
……きっと、隣の彼も同じでしょう

炎の刀は倫太郎殿へ
攻撃に転じるのならば今が好機、その隙をカウンターで火華咲鬼剣舞

彼は私の前に立ち、いつも繋いでくれる
如何なる相手であっても変わらない
それが私達の戦い方


篝・倫太郎
【華禱】
これまで通り、2人で……だな

先制攻撃は夜彦とタイミング合わせて対応
見切りと残像で躱す
躱し切れなかった攻撃はオーラ防御で威力を緩和し
華焔刀で受け流し

最悪、左手はくれてやる覚悟で対応
華焔刀使えりゃ問題ねぇ

何が必要なのかなんざ
今更確認する必要もねぇ

炎の刀が夜彦狙いだった場合は
ダッシュで割り込み俺が受ける

先制攻撃が止むと同時に華焔刀と拘束術でカウンター

見なくても夜彦のタイミングは判る
合わせてくぜ

拘束術で攻撃も兼ねて向こうの攻撃を阻害
華焔刀でなぎ払い
刃先を返してフェイントも織り込んでの2回攻撃

敵の攻撃には先制攻撃と同一対応

夜彦の重くて速い、確実な攻撃を通す
それがいつだって俺の役割で
俺達のやり方だ



●魔王滅殺:月舘・夜彦&篝・倫太郎
 この戦争の中で――きっかけとなった寛永三方ヶ原の戦いも含め――彼と……、
 倫太郎とともに戦場を駆け抜けた回数は、一回や二回では済まないほどだ。
 実の兄をオブリビオンとして蘇らせようとする妄執の武者を斬り、
 無限めいて溢れる哀れな水晶屍人どもに安らかな最期をもたらし、
 兵たちを蒸し殺そうとする悪逆非道な渡来人の手先を滅殺せしめ、
 己の在り得たやもしれぬ可能性――鏡像めいた悪しき士を斬った。
 倫太郎の声は夜彦にとって、どんな白々とした剣よりも輝く光明であり、
 事実、その叫びに命を、心を救われたことも一度や二度では利かない。
 善き人だと思う。この剣を以てその道行きを切り拓けるならばこれ以上はない。
 ……共に戦えることを喜ばしいと思う。たとえこんな死線であれ。

 一方で、そんな夜彦の横顔を盗み見つつ、倫太郎もまた思索に耽った。
 不安はない。相手が第六天魔王、恐るべきオブリビオンフォーミュラであろうと、
 これまで通りにやれることを、やれるだけ、やってきたようになぞるだけだ。
 倫太郎をらしからぬ思考に飲み込んだのは、そんな夜彦のかんばせだった。
 その剣の冴えと同じく、夜彦は刀のようにまっすぐと、そう、実直な男である。
 裏を返せば――あの時のように――思いがけない陥穽に足を取られてしまう。
 実直で、質実剛健としていながら、どこか危ういところのある夜彦を、
 倫太郎は心の底から守ってやりたいと思っているし、これからもそうだろう。
 だからこそ己は前に出るのだ。そう、この死地にありても同じく。
 背中に彼がいると思えば、恐れなんて欠片も抱くはずはなかった。

 そんなふたりが目の当たりにしたのは、柱のように燃え上がる業火であった。
 その内側から、すさまじい怒気と、追い詰められた獣のような悪意を感じる。
「おおおおお……!! 儂はまだ滅びぬ。滅びては、おらぬッ!!」
 ばぁん!! と炎を弾き飛ばし姿を表したのは、織田信長。
 額にはばっさりと刀傷を帯び、大きな鎧の脇腹は砕けて傷が貫通している。
 さらに身体のあちこちには裂傷を帯び、内側から炎を噴き出していたのだ。
 一瞬、白虎めいた猛将――武田信玄――の幻影がその姿に重なり、獣が吠える。
 爆ぜた炎は大刀に収束し、背中からは大木じみた異形の翼が生え、
 欠損部分をグロテスクに接合した黒曜石の鎧が、赤熱し白煙をあげる。
「……ただでさえ堅強な武将が、虎の威を借りればああなりますか」
 夜彦は柳眉を顰め、追い詰められた信長のなお猛々しい殺意をぐっと堪えた。
 ちらりと視線を隣にやれば、倫太郎がそれを見返し小さく頷く。
「相手はふたり。だったらこっちもふたりだ。これまで通り」
 然り。これまで通り。これからも。この戦場も、護り、攻め、戦うのだ。
「猟兵……! 儂の首級が欲しいか! ならば奪ってみせぃ、此はいくさぞ!!」
 疾い! 風を逆巻かせ、猛然たる速度で信長がふたりの眼前に!
 裡なる炎を両目から迸らせ、さらに猛き炎纏う大刀を振り上げ、一閃した!
「ッチ! なんだこの重さ、ほんとに死にかけかよ……!!」
 咄嗟に飛び退ったが、倫太郎のオーラ障壁はあっさり破られ熱波が肌を焦がす。
 剣風の残滓が上腕部にばくりと傷を残し、もう少しで骨に届こうというほどだ。
 夜彦を見やる。あちらも手傷は負っているが、まだ戦えそうだ。
「倫太郎殿、注意してください!」
「息つく暇もねえってか、ったく!!」
 さらにひとつ、ふたつ! 雄叫びを上げながらの連斬はまるで猛獣の爪だ!
 大気すら焦がす高熱はそれ自体が驚異的。受け流すどころの話ではない。
 倫太郎は刀を両手持ちから利き腕の右手一本に切り替え、半身をずらす。
 最悪の場合、左腕を犠牲にカウンターをかける。夜彦をかばうことも辞さない。
 機だ。反撃のための機を得なければならない。覚悟ならばとうにしている!

(……そうとも。それは倫太郎殿も同じはず)
 すさまじい連斬をかわし、あるいはかろうじていなしながら夜彦は思う。
 痛みなど恐ろしくはない。道半ばで果てること、あるいは悪鬼に堕ちること、
 ただそれだけが恐ろしい。退くのではなく、進まねばならないのだ!
「――!!」
「小癪ッ!!」
 夜彦は刀を霞構えに握り、信長に斬りかかる――という殺気を放射した。
 敵はその"起こり"を動物的反射神経で察知、先の先を得て斬りかかる!
「させねぇ。それは、絶対にさせねぇ!」
 おお、倫太郎! 臓腑をも焦がすような猛威の前に立ち、左腕を差し出す!
 肉が、骨が断ち切られるぞっとするような苦痛。奥歯を噛み締めて耐える。
 完全切断の憂き目に合うより先に、羅刹の剛力を以て筋肉を"締め"刃を拘束。
 さらに自ら一歩踏み込むことで、刃が走るのを阻止する。刀が食い込む!
「……ッッ!! 大した剣だ、けどよ……縛めを、くれてやるぜ!」
「!?」
 ぎちり。信長の動きが止まった! それは災禍を縛る不可視の鎖!
「これ、は……!? おのれ、小賢しい……!」
 信長は全身に絡みついた鎖を、その圧倒的膂力を以て無理やり引きちぎる。
 だがそれ自体が悪手だ。倫太郎は超接近距離にいるのだから!
 しかし横薙ぎに振るった華焔刀は空を切る! 信長が翼で後方回避したのだ!
「――そうすると思ったさ」
 倫太郎は不敵に笑う。狙いすましたように手首を返し、片手抜刀二連。
 すなわち一刀目はフェイント! 遠投めいて伸ばした剣閃が鎧を断ち切った!
「ぐぅッ!?」
 捨て身の攻撃。信長は倒れ込むような姿勢の倫太郎を串刺しにしようとする。
 しかし、振り下ろされた剣は、がちん!! と受け止められた。
 そう、瑠璃色の炎を宿した、他ならぬ夜彦の剣によって……!
「もはや命脈は断たれたり。第六天魔王よ、その首級たしかに頂戴します」
 燃える両目に臆することなく、夜彦は凛とした眼光で悪を射竦めた。
「――これは私だけではない。彼が繋いでくれた、わたしたちの一撃。
 すなわち、この世界に生きる人々すべての意思が、今ここでお前を討つ……!」

 ……逆袈裟。両手持ちからの練り上げるような抜刀は花咲くが如く。
 信長は悪鬼の絶叫をあげる。その身を、瑠璃の炎が飲み込みなおも燃え上がる。
「……へ、やっぱ強いな、夜彦は……」
 踵を返しこちらへ歩み寄る美剣士を見上げながら、倫太郎は満足気に笑った。
 ……奥ゆかしく差し出された手を、倫太郎は右手で力強く握り返す。
 そう、戦いはまだ終わらない。ふたりの戦いは、まだ。決して終わらないのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​


 我が身を惜しく思ったことはない。城内に座し待ったのも戦略的判断ゆえ。
 いくさに斃れることも恐ろしいとは思わぬ。我が身は不滅なれば。
 然り。我が身は不滅。我こそ太祖。全ての妖怪と猛者たちの始原にして一である。

 我こそは第六天魔王、織田信長。
 猟兵よ、波旬たる我が名の意味を知るがいい。不死なる我が命脈を以て。
ロク・ザイオン
※ジャックと

(己は戦作法を解さない。
が、この世界で幾度も見た姿。
これが最後の一戦となるのなら、己は、それを守る)

ロク。
……この世界を守る、猟兵。

(相棒とともに騎乗。
騎獣の身に烙印、己の炎を分け与える)
あああァァアアア!!!
(【殺気】と【恐怖を与える】獣の咆哮を叩きつけ
武者の馬どもに、食われる立場を思い出させてやる。
狼狽えさせ、「烙禍」で脆く炭化させた床と炎の騎獣に慄いて、戦列が崩れてくれればいい。
隙を突いて【ダッシュ】で突破し
病どもの主に烙印刀、閃煌の二刀で【早業】の「烙禍」による【二回攻撃】)

……お前が。
何故笑うのか、わからない。
病だからか。
……ひとだったからか。


ジャガーノート・ジャック
◆ロクと

(ザザッ)
――ジャガーノート・ジャック。
お前を倒す為に参上した。

(ザザッ)
雑兵は本機が相手取ろう。
殺到する歴戦の騎馬武者の群れ――
それを超重装甲『Leopard』を盾に受ける。
無論押し寄せる大軍、易々と削られるだろう――が。
"FEED-BACK"。
敵の力と――ロク、君の力も借りるぞ。

情報解析完了、損耗修復・武装更新。
相手の騎馬を模倣、"Leopard"を鉄の騎獣と為しロクと本機を載せる。
(防具改造+操縦)
更にロクの"烙禍"の力を借り灼炎を追装。焔と地を灼く轍を以て奴までの道を切り開く――!
(力溜め+ダッシュ+早業)

征くぞ第六天魔王。
――最後まで嗤い傾くも、天魔たるが故、か。(ザザッ)



●魔王滅殺:ロク・ザイオン&ジャガーノート・ジャック
 魔空安土城は空間的に歪んだ居城である。この大広間がいい例だろう。
 でたらめな広さの空間に、今や500を超える武田騎馬軍団が轡を並べており、
 しかもそれでなお、まだ騎馬たちが駆け抜けるだけの余裕があるのだから。
「儂の首級を求め、強者どもが矢継ぎ早に来よるか。是非も無し、それがいくさだ。
 さあ、儂を討たんとする愚物どもよ。せいぜい名乗るがいい。この信長にな!」
 騎馬武者隊を率いる魔王は、大刀を軍配めいて掲げ朗々と言ってみせた。
 遥か彼方……その大音声がようやく届くほどの間合いを経て、対峙するふたり。
「……ロク。この世界を守る、猟兵」
 ロクの瞳は刃めいて鋭く冷たく、しかしてその奥に燃えるような怒りを宿し、
《――ジャガーノート・ジャック。お前を倒すために、参上した》
 ジャガーノートの黒い装甲とその煤けた声は、常と同じく怜悧にあった。
 騎馬隊のすさまじい敵意がふたりを打つ。だが両者、ともに一歩も退くことなし。
 信長は笑った。天敵であるがゆえ、ロクとジャガーノートの声はしっかと届き、
 そしてそこに秘められた敵意殺意、決断的な怒りと厳然たる侮蔑を読み取った。
 是非もなし。これこそがいくさの空気だ。魔王は傲岸と笑みを深める。

(……なぜ笑う)
 ロクは思う。
(追い詰められ、滅ぼされ、また蘇り、それを繰り返しなぜ笑う。わからない)
 彼女の知己にも、戦闘の高揚に酔いしれる狂人のような者は居なくはない。
 己にも、敵味方の悲鳴(うた)に酔いしれるどうしようもない獣性がある。
 忌まわしいが事実だ。血に酔いしれる獣の本性が、たしかにある。だからこそ。
(病だからか。……あるいはかつて、"ひと"だったからか)
 あの魔王の笑みは、そうしたものと同じようで、しかし何かが違う。
 単に血の温もりに酔った、獣の雄叫びのようなものとは異なる笑み……。
《――ロク。雑兵は本機が相手取ろう》
 相棒の内心の揺らぎを察知したか、傍らの鋼は揺らがぬ声音で言った。
 ザザッ、とノイズ混じりのその声は、今はロクにとっては好ましい歌だ。
《――君の力を貸してくれ。押し寄せる大軍を灼き尽くす、君の力を》
 ロクはそんな彼を見上げ、こくりと頷いた。そこに言葉は必要ないのだ。
 騎馬軍団が鬨の声をあげる。両者は弾かれるように正面を見た!
「さあ、我が兵よ。愚物どもを蹂躙し押し潰せッ!!」
 魔王来たる! ジャガーノートは即座に超重装甲"Leopard"を召喚展開!
《――征くぞ第六天魔王。最期まで嗤い傾(かぶ)くが天魔たる故ならば》
 ザザッ。ジャガーノートは身を低く構える。ロクもまた同様に。
「……お前が、そうやって嗤い、世界を侵すなら」
《――本機はそれを討つ。それが我らの任務(ミッション)であり……》
「おれは、病(おまえ)を灼く。おれたちは、人間だからだ!!」
 咆哮! 響き渡る蹄といななきの合唱に敗けぬ轟きを胸に、ふたりは駆け出した!

 おお、これほどまでの大軍を前に、たかが装甲一つで受けるのは愚の骨頂。
 ジャガーノート自身も確信していたように、鉄の壁は容易く矢衾にされ、
 刀で裂かれ、槍で突かれ、殺到する波濤によって踏み砕かれて散っていく。
 ジャガーノートも無事ではない。複合電子装甲は罅割れ、砕け、火花を散らし、
 されど鏃のように足を止めることなく力強く騎馬隊をかき分ける。
 そうはさせじと敵部隊はふたりを包囲し、八方から槍衾にせんとした!
《――その精強さ、膂力、そして波濤……すべて、利用させてもらう》
 がぎん!! 振り下ろされた矛は、しかして甲高い音とともに遮られた!
 何が起きた? ……あれだ。槍の森から立ち上がる雄々しき鉄の騎獣。あれが!
《――情報解析完了。損耗修復、武装更新。騎獣模倣……ロク、征くぞ》
「わかった、いこうジャック。……おーば!」
 Leopard再臨! 巨大な騎獣と化した鉄の塊に、ふたりは颯爽と飛び乗る!
「あああァァアアア!!!」
 鋼鉄騎獣がその四肢を以て周囲の騎馬隊を蹂躙するのに合わせ、ロクは咆哮。
 烙印から吹き上がった炎は騎獣を覆い、溢れ出した電子の砂嵐をも熱する!
 獣の咆哮。それは獲物を食い殺す狩りの始まりを告げる、おそろしの先触れ。
 なるほど騎馬軍団は精強無比。だが軍馬には本能的な獣の恐怖というものがある!
 ブルルルルッ! と泡を吹きながら狂乱する軍馬ども。敵の足並みが乱れた!
 思い出したのだ。己らは簒奪者ではなく被食者であるということを。
 その健脚をも喰らい尽くす捕食者の存在を。そこへ燃える鉄の蹄が振り来たる!
「ハッ! 我が騎馬隊を喰ろうてか! なんと欲張りな猪武者どもよ!」
 織田信長は大刀を振り上げ哄笑し、蹂躙される鮮烈へと自ら飛び込んだ。
「お前たちは、森の獣ですらない。燃えろ。燃えて、滅びろ!!」
 罅割れた声は灼炎武装に焦がされたかのごとく常よりも聞き苦しく、
 バチバチと溢れかえる電子の砂嵐をもすら歪ませる。それがノイズの呼び声だ。
 ジャガーノートは砂嵐の展開と維持、そして鋼鉄騎獣の制御と戦線突破に専念。
 矢面に立ったその身での直接戦闘はもはや不可能。だがそれでいい。
 騎獣とは敵将を討つための一刀を届けるために在る。我らもまた騎馬一体!
《――焔と地を灼く轍を以て、道を切り拓く。ロク、君が届かせろ》
「ああ! おれが! 灼き尽くすッ!!」
 それは獣の高揚でも狂乱でもない。人と、ヒトのたゆまぬ連携である。
 500あまりの騎馬を蹂躙した鋼鉄騎獣、風のように飛び込む魔王と接敵、衝突!
「嗤いながら燃えて、落ちろ!!」
「我が首級、安くはないぞ小娘ぇ! 呵々!!」
 交錯――斬撃は双方ともに到達。ロクの体からすさまじい量の血が溢れた!
 だがそれは敵も同様。二刀の剣閃が鎧をも貫通してその身を深く大きく斬り裂き、
 溢れ出した熱血は焼印に焼灼されて沸騰、以て魔王の五体を責め苛む!
 ジャガーノートは視た。食い下がるロクの猛攻を嗤いながら迎え撃つ魔王を。
 鋼鉄騎獣が燃える四肢を以てこれを砕く。おお、戦禍の中心はここにあり……!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

龍之・彌冶久
さあ、さあ。
いざ大一番と征こうか、第六天魔王殿。
爺孝行と思って老い耄れと一献付きおうてくれ。

炎刀に嵐呼ぶ樹翼――焔と颯と地。それらの脈を辿り先の先、その起こりを見定める。
後は"刻脈"を紡ぎ幾許かでもその刃の疾さに追いつこう。
(使用:属性攻撃)

何、僅かばかり凌げれば良い。
刃を研ぎ終える迄。

――万象を斬るに相応しき刃とは何か。

其れは










遍く脈を手繰り寄せ
一つに紡ぎ
更にそれを薄く薄く
研ぎ澄ましたものを
俺は善しとしよう。

逡巡を捨て須臾を超え瞬息の先を行き。
何より薄きその刃。
其れを真っ直ぐ、愚直な迄に振り下ろすその刃。

万物万象を"絶つ"。
これが全てを斬るに捧げたモノの一閃と知れ。



●魔王滅殺:龍之・彌冶久
「ははは! ハハハハハハッ!!」
 何がおかしいのか。そのすさまじい刀傷を受けた体で、熱血を噴き出して。
 周囲には滅ぼされた騎馬隊の残骸が転がる焼け野原、その中心でなぜ嗤う。
「猟兵! なんと猛々しき強者どもよ! 応、我がいくさの大一番ここにあり!
 異教の神どもなぞどうでもよい。猟兵、猟兵! これほどまでとはな! 呵々!」
 滅ぼされようとしているのにも嗤う。凄絶な一撃を受け魔王はなお嗤う。
 ……しかしてその笑みも、新たにやってきた、剽げた男の気配にふと止んだ。
「おう、おう。愉しそうでなのよりだぞ。俺も斬り甲斐があるというものだ」
 風のようにふらりと、陽の光のように暖かく、冬の冷気のように厳かに。
 貌(かお)には好々爺めいた笑みを浮かべ、底知れぬ気配を羽織り男が来た。
「さあ、さあ。ならばいざ、大一番と征こうか、第六天魔王殿」
「……ほう。貴様、人ではないな。神すらも我らの天敵と成り果てるか」
「呵々。魔王を名乗る男が異なことを。お前は天魔なのだろう? それが道理よ。
 天魔が残骸として在りて、神が天敵たり得ぬ理屈はあるまい。だがまあ――」
 彌冶久は構えた。それだけで、悪しき大気が洗い流されるようであった。
「それもこれも、どうでもいい。俺はただ、斬るべきものを斬りに来た。
 どら、第六天魔王波旬よ。爺孝行と思って、老いぼれと一献付き合おうてくれ」
 信長は応えぬ。代わりに、秘術を以て滅びた猛虎の力を引き出した。
 風――それは背中から萌芽した捻じれた樹木の翼として顕現す。
 火――それは憤怒と傲慢そのものを形にしたような焔の刀として。
 山――泰然自若たる護りは、堅牢なる黒曜石の鎧としてその身を包む。
 彌冶久は目を細めた。なるほど、それは確かに万軍をも超えし怒涛である。
 魔王を名乗る悪鬼のフォルムは異形に染まり、炯々たる眼光は天魔そのもの。
 ああ、"だからこそよい"。これこそ神たる我が身が斬るに値するもの。
「征くぞ、神(おろかもの)よ」
「来い、天魔(はんぱもの)よ」
 外道咆哮。風が渦を巻き、火の粉を散らして焼け野原を踏み越えた。
 数倍にまで膨れ上がって見える黒影を、しかして彌冶久は笑って迎え撃つ!
 捻じれた空間が激震し、罅割れた。おお、これこそまさに天地鳴動……!

 龍脈。
 万物万象を流れる大河のような淀みなき"流れ"であり、ひいては森羅そのもの。
 それは一時としてとどまることなく、されど当然のようにそこに在るもの。
 彌冶久はそれを司る。視、聴き、触れ、感じることが当たり前に出来る。
 ならば刻もまた同様なり。時間はまさに止まることなきものであり、
 しかれど"現在"が今この瞬間にも在るのだから。すなわち、刻脈である。
 血と肉を得た今の身において、それを自由自在に操ることは叶わぬが、
 少なくとも苛烈なる攻撃を"幾許か"視て、捌き、聴き、受け、触れ、躱すは可能。
 つまり怒涛の如き信長の撃ち込みを、彌冶久は負傷しつつも凌いだのだ!
「ぬうっ!?」
 魔王は瞠目した。これはありえぬことだ。夢想の彼方の幻だ。
 だが事実、目の前の神は――夥しい傷を負えど――まだ斃れてはいない。
「なあ天魔よ」
 神は云う。
「万象(すべて)を斬るに相応しき刃とはなんだと思う」
「何――」
「……其れは」
 おお、見よ。腰だめに構えた刃、極光の如くうねり渦を巻く神の刃を。
 それは刃であり流れである。束ねられた龍脈、万物の根源にして現在にして未来。
 天(あめ)
 地(つち)
 陰(いん)
 陽(よう)
 焔(えん)
 濔(みず)
 颯(かぜ)
 霆(てい)
 魄(はく)
 刻(とき)
 森羅万象、あまねく脈を手繰り寄せ、十を束ねて剣(いち)と成す。
 見るがいい。ここに在りしは、それを薄く薄く、蜉蝣の羽根よりなお薄く、
 そして鋼よりも研ぎ澄ませ、激流よりも鋭く細めた一刀なり。
「これが"それ"よ」
 神がそれを疑うことはない。
「此れが、俺が辿り着いた極致。遍くを断ち、そして絶つ刃よ」
 神はそれを出来ると信じる。
 刃と同じく済まされた心に逡巡はなく、
 振るうと決めた手と踏み込みは須臾を越え、
 狂乱した魔王の刃を瞬速の先を征く。
 弾指、刹那、六徳、虚空。肉ある不肖の身には清浄が関の山なれど。
 天魔を僭称せし者に、この刀刃を防げるはずもなし。
「――視・味・触・嗅・聴。その五感と魂を以て御覧じろ」
 城を、空間を、時を、悪しきを断ちし一刀成れり。
 その刃に銘はない。万物万象を断ち斬る刀刃に銘は不要ず。
 ならばその技もまた同様。ただそれは、"絶"とだけ呼ばれてここに生まれた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レイナ・オトゥール
【夜竜】
【POW】

・呼び方
ヴィリヤお姉さん
ティノ君


【精霊竜召喚】で風の竜の力を武具に纏わせます
信長の攻撃は「情報収集」と「第六感」を以って攻撃の予兆を感知し
晶竜「クリスティア」の「盾受け」で防ぎますね
炎の刀は防御面に風すなわち大気を司る竜の力で
真空断熱の要領で熱を防ぎつつ
「怪力」で押し飛ばされないように頑張ります!

攻撃を耐えた後は、仲間のガードに入れるように意識しながら
信長に「ダッシュ」体当たり気味に「シールドバッシュ」でよろけさせるのを狙い
僅かでも隙ができたら、反対の手に持った水竜「ウィル」の斧槍で
「衝撃波」を伴う「うぉーーりゃーー!」と渾身の横の「なぎ払い」にて巨大な風の刃を発生させ攻撃


ヴィリヤ・カヤラ
【夜竜】
【WIZ】

呼び方:
レイナちゃん
ティノさん

ここで頑張らないとだし、
大将首獲らないとね!
えっと、大将首って言い方で良いんだよね……?

先制攻撃は
『第六感』『見切り』『ダッシュ』で避けて
当たりそうな攻撃は『オーラ防御』と『激痛耐性』で耐えるね。

回避出来たら反撃は『高速詠唱』『属性攻撃』『全力魔法』で
【四精儀】の氷の突風を白虎または馬の足を狙って使うね。
信長のみなら信長狙いでいくね。
うまく足止め出来たら良いな。

あとは連携しながら攻撃していくね。
足止め兼攻撃の【四精儀】を使いながら、
鋼糸の刻旋を使って『敵を盾に』したりぶつけたり、
もし敵を鋼糸で縛れそうなら、
そのまま絞めて攻撃していくね。


ティノ・ミラーリア
【夜竜】
到着時点から『鎖』と『眷属』を展開し「世界知識」「情報収集」で周辺把握。
「第六感」で敵の攻撃を察知し『眷属』で視線を遮り自身を「物を隠す」「迷彩」し回避。
巡らせた『鎖』の「地形の利用」「拠点防御」、『眷属』の「かばう」で自身や仲間の防御。
信玄に騎乗した信長の巨体を『鎖』で遮り、刃に霞に自由自在の『操血』で妨害。

近距離は『処刑人の剣』、遠距離は『猟銃』を主に対応。
それぞれ「怪力、力溜め、鎧砕き」「呪殺弾、スナイパー、援護射撃、鎧砕き」
技術はそこそこにヴァンパイア由来の身体能力で戦う。

【影繋ぎ】
仲間を基点に、影は全部僕の領域だ…
巨体で駆ける敵の背後だろうと、そこに影があるのならどこへでも。



●魔王滅殺:夜の竜
 さながら蜘蛛の巣のように展開された無数の鎖が、一瞬にして引きちぎれる。
 ばらばらと砕け散った残骸もまた、恐るべき白虎の四肢に踏み砕かれて消滅した。
 すなわち、四肢で床を踏みしめ風のように駆け抜ける猛将・武田信玄に。
 その騎乗者……つまり満身創痍の織田信長めがけ、影のコウモリが羽ばたく。
 視界を遮ろうというかそけき努力は、燃え盛る刀の一閃に脆くも瓦解するのだ。
「僕の眷属が、こんなにたやすく……っ」
 歯噛みするティノ・ミラーリアの脳裏に、数秒後の未来が幻視される。
 己が白虎の爪に切り裂かれ、信長の大刀に首を刎ね飛ばされる死の未来。
 足を止めていては現実となってしまう。ティノは影をまとい素早く飛び退った。
「小賢しい餓鬼めが、消え失せぃッ!!」
「させない! ……ティノさんっ!」
 予想以上の踏み込みを以て死の未来を現実にせんとした凶刃に対し、
 ヴィリヤ・カヤラが己の身を呈して割り込む。斬撃到達。血が飛沫をあげた!
「ヴィリヤお姉さん! 大丈夫ですかっ!?」
「貴様もだ小娘、死ねぃ!!」
「……ッ!!」
 レイナ・オトゥールはすぐさま、晶竜クリスティアを盾に変形展開し防御。
 だが重い。これほどの遠距離まで到達した斬撃余波のなんたる重いことか!
 精霊竜の王への祈りを届けようにも、敵の猛攻がその一瞬すら許してくれない。
 これが絶対先制。ユーベルコード発動の猶予をも与えぬ魔王の苛烈さは凄絶!

 我が物顔で戦場を蹂躙する、白虎の大木じみた四肢に、再び鋼鉄が絡みつく。
 破魔の力を宿した鎖は膂力を以て引きちぎられるも、徐々に功を奏してはいる。
(まだ……足りない、反撃を叩き込むには……)
 ティノの第六感が危険を告げる。ヴィリヤは……大丈夫だ、まだ生きている。
 だが何かが危険だ。何か……恐ろしい物量が放たれようとしている!
「レイノ……ヴィリヤ……下がって!」
 ティノが警告を発するのと、信長が無数の騎馬軍団を召喚したのはほぼ同時。
 袈裟懸けに刃傷を受けたヴィリヤも、レイナも、かろうじて呑まれるのは避けた。
 だがその波濤! 信長を中心に八方へ殺到した騎馬隊はまさに猛威である!
「これが、憑装した第六天魔王の力……予想以上、だね!」
 矢を、剣を、あるいは槍を振るう無数の騎馬武者たちを黒剣で斬り裂くヴィリヤ。
 レイナは、そしてティノは無事か? この状況ではそれを察知することすら……。
「こっちです! あなたたちの相手は私ですよっ!」
「レイナちゃん……!?」
 その時である。レイナが自ら大声をあげ、敵の目を引きつけようとしたのだ!
 無謀! 騎馬隊の突撃ベクトルはレイナをめがける……妨害は不可!
 だがこれにより、信長の防御は拓けた。ヴィリヤは、ティノは状況判断する。
 ここでレイナをかばいに行くのは悪手。得られた好機を利用せねばなるまい!

「小賢しい雑魚どもめが……!!」
 その一方、持てるユーベルコードの全てを解き放つ第六天魔王の相貌に、
 オブリビオンフォーミュラたる威風と余裕はない。焦燥し、追い詰められていた。
 道理である。その身はおそらく空間をも断ち切るであろう斬撃の痕が刻まれ、
 身体のあちこちに帯びた裂傷からは、ふつふつと地獄めいた焔が噴き出すのだ。
 すなわち、敵は滅びに追い詰められつつある。ここが追い詰めるための好機。
 信長は信玄の頭を向け、この隙を突くであろうあのふたり――つまりヴィリヤとティノ――を迎撃しようとした。
 そこへがらがらと鎖が来る。先と異なるのは鋼を伝う真紅の"操血"である!
「ぬうっ!? これは魔性の血か、ええい忌々しい……!!」
 一瞬。わずか一瞬だが、その血の魔性によって信玄の足が止められた。
 ティノは全身に鎖を巻きつけ、己を錨のように縫い止め猛虎の暴威に抗う。
 あと少しでいい。足を止められさえすれば、反撃は叶う!
「ティノさん、ナイス! あとは私が……決めるっ!」
 ヴィリヤが床を蹴った! 信長は燃える大刀を振り上げこれを迎え撃つ!
 しかしてその焔、虚空から噴出した氷の突風によって勢いを減じさせられるのだ!
「大将首、もらった!!」
「儂の首級は、貴様らなどにくれてやれるほど安くはない……!!」
 がぎぃんっ! 黒剣と大刀が打ち合う。だがこれはヴィリヤのフェイントだ。
 本命は鋼糸。信長の四肢に、翼に絡みついた糸を、空中で思い切り……引く!
 ぎちぎちと音を立てて糸が食い込み、信長の全身から熱血が噴き上がる!
「ぬう、ううううう……ッ!!」
 渋面にいくつもの血管を浮かべ、ふつふつと脂汗を噴き出し耐える信長。
 一方、向こうに殺到した騎馬隊は、内側から立ち上る竜巻に吹き飛ばされている!
「追い詰められるのは、ここまでです! お返し、行きますよ!!」
 レイナ健在! 全身におびただしい傷を負っているが両足で確かに立っている!
 荒ぶる風の力を全身と武具に纏い、駆け抜ける様はまさに暴風の乙女の如し!
「うぉーー、りゃああああーっ!!!」
 ごうっ!! と吹き荒れる風の刃。その巨大な猛威を信長は受け止めようとした。
 だが、猛虎の影。体を表した少年が……ティノが、処刑人の剣を脇腹へ!
「影は全部僕の領域。あの一撃を、防がせたりなんて……しない」
「小僧……ッ!!」
 信長は歯噛みする。荒れ狂う焔を振るいティノを吹き飛ばしたとてもう遅い。
 三人の連携が、レイナの生み出した巨大な風刃を……その身へ、届かせた!

苦戦 🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

化野・風音
九十九曲様(f07883)に同行

……ヒトの身でありながら魔王と呼ばれる者
ふふ、ええ。悪くはありませんね。もちろん、生前ならばの話です

九十九曲様は大将首に集中してくださいな
露払いもメイドの仕事です

攻勢を受けるは覚悟の上
この傷も私の生の証ですから
【時間稼ぎ】でやすやすとは抜かせず、傷は【オーラ防御】で可能な限り止める所存
初音の扇で暴風を起こします
【衝撃波】と【範囲攻撃】で騎馬隊を阻止、転倒させて突撃を封じ九十九曲様の方へ抜けることもカバー
信長の移動を妨げられれば尚よいのですが
次いで≪外法・化野転写≫へ引きこみ敵の機動力を削ぎ、迷い路にて隊と信長との連携を絶ちます
信長への攻撃は【破魔】の霊符で援護


九十九曲・継宗
風音さん(f11615)と共に

織田信長
ええ、その名前はよく知っています
こういう場で無ければ、色々と話を聞いてみたいところでしたけどね

風音さんの事は心配ですが、ここまでお膳立てされたのですから
必ず仕留めてみせましょう

刀を鞘に納めたまま中腰に居合抜きの構え
ですが、今回のこれは【フェイント】
本命は私の腕に仕込まれた縛腕糸です
鉄糸を【早業】で振るい、敵が騎乗している虎の脚を絡めとります

将を射んと欲すれば先ず馬からと言いますしね
今回は馬では無く虎ですが、まずはその脚を奪います
倒すことはできなくても、バランスを崩して敵の攻撃が止まれば十分
その隙を廻転脚で加速した【一迅】で突きます

アドリブ等歓迎



●魔王滅殺:化野・風音&九十九曲・継宗
 よもや、肩を並べて共に戦う初めての相手が、あの第六天魔王とは。
 いや、まあ、以前にも戦場で共闘した経験はある。あるには、ある。
 ただ、あの時のことは、継宗としてはあまり思い出したくない。
 オブリビオンの戦いではあったし、彼女のあの不思議な力に助けられたし、
 感謝はしているが、それはそれとしてあまり思い出したくない。繊細である。
 ……とまあ、おちゃらけたことを考えていたのも、転移の瞬間まで。
 魔空安土城の死地の気配を感じた瞬間、継宗の表情は鋭く引き締まっていた。
「……風音さん。その」
「九十九曲様」
 何かを言いかけた継宗の言葉を、風音は艶やかな微笑みで制した。
「どうぞあなたは、大将首に集中してくださいな。露払いもメイドの仕事ですから」
「…………わかりました」
 継宗はもはや何も言えぬ。その身を慮っていることも、相手はお見通しだろう。
 その上でこうして機先を制されたならば、つまり口にするのは野暮というもの。
 今この時は、ふざけている場合ではない。敵は強大な第六天魔王なのだから。
 侍に、ひいては士道に憧れる者として、戦国の世を生きたかの武将に対し、
 思うところがないわけではない。問うてみたいことは山ほどある。
 それは風音とて同様。ヒトの身でありながら魔王と呼ばれる者は興味深い。
 ましてや天魔波旬を名乗る豪傑、さぞかしその欲望もすさまじいことだろう。
 ただしそれは、生前の織田信長の話だ。ここにいるのはただの残骸。過去である。

 ゆえに。
「……ええ、ええ。どれほど猛々しかろうと、強かろうと、所詮はそれまで。
 過去の残骸如きに、私や他の方々がその道を阻まれる謂われはございませんので」
 陽炎を揺らめかせ、凄絶なる有様の魔王が向こうの廊下にゆらりと現れた。
 空気が張り詰める。身構える継宗の前に、風音はするりと一歩踏み出す。
「どうか一つ、骸の海へお還りください。一夜の夢のように、痕もなく」
 女狐の微笑みに応えたのは、空間をも震わせる猛虎の恐るべき咆哮。
 そして、その雄叫びによって呼ばわれし、無数の騎馬軍団の鬨の声である……!

 敵の数、およそ500余! 対するこちらはたったのふたり!
 常識的に考えれば、戦闘と呼べるものすら成立しない物量差と言えよう。
「さあ我が兵よ、儂に続けぃ! あの愚か者どもを貪り尽くすのだ!!」
 猛虎・信玄とそれにまたがる信長を筆頭とし、騎馬軍団は大廊下を埋め尽くす。
 継宗は怖れた。あの軍馬と猛虎の爪と蹄に引き裂かれ、打ち砕かれる己を視た。
 恐怖がもたらした幻影を振り払い、ただ静かに腰だめに居合を構える。
 見据えるのは魔王ひとつ。その有様は刀傷おびただしくもはや死に体だ。
 だのにこの威圧感。これがオブリビオンフォーミュラというものか!
(――やはり、九十九曲様は、勇ましいお顔をなされますね)
 絡繰人形を振り返り、風音は心のなかで思う。視線は再び正面、怒涛の軍勢へ。
 歩くような、しかして疾走に等しい速度で自ら間合いを詰めていく。
 無謀だ。その身を矢衾にせんと、騎馬隊が弓弦を引き……鏃が、放たれた!
「狐の嫁入り、ひとつご覧に見せていれましょう」
 たおやかな仕草とともに、取り出したるは扇ひとつ。涼やかにそれを払う。
 するとどうだ。柔風はたちまち突風に変わり、突風はつむじとなって渦巻いて、
 矢の雨を飲み込みながらやがて嵐に生まれ変わって騎馬隊を迎え撃つ!
 魔空の城に雨風降る! 目も開けられぬ豪雨に打たれ、騎馬隊は足並みを崩した!
「小賢しい真似を! 妖術ごときで儂を止められはせぬわ!」
 だが先陣を切る信長と信玄は別である。大音声とともに猛威到来!
 風音を切り裂こうと、大上段に振り上げられた刀が、振り下ろされ……!
「――疾ッ!」
「ぬうっ!?」
 そこで継宗の鋭い呼気。次いで刃が届かぬはずの間合いで居合が振り抜かれた。
 だがおかしい。刃は抜かれていない。代わりに信長の腕に絡みついているのは!
「……糸、だと!?」
 然り。継宗の狙いはこれである。縛腕糸!
 鉤爪つきの鋼鉄糸は信長の刃を絡め取り、さらに信玄の四肢をも拘束。
 錨のように床にがっきと食い込んだ鉤爪が、その刃を振り下ろすことを許さぬ!
「風音さん、余計なお節介であれば失礼! しかれど、私は!」
 踏み込む。敵が糸の拘束を引きちぎる。継宗の接敵はまったく同時!
「――弱きを助け強きをくじく、侍でありますれば」
 すれ違いざまの言葉。継宗は風音の顔を見ない。見る余裕などない。
 けれども女は笑っていた。笑って、突き進む少年の背中を見届けていた。
「ええい小僧が、木偶め! 兵どもよ、こやつらを」
「それは叶いません」
「何……!?」
 風音の言葉通りだ。もはや騎馬隊は、雨風に立ち往生した時点で終わっている。
 もはやここに五百余の兵隊の姿はなく、今や屍人どもは無限の荒野に在った。
 この女、その姓を化野(あだしの)。現し世に骸を葬(おく)るなど造作もなし。
「将が討たれるのは決まって孤軍奮闘の末と決まっているでしょう?」
 艶やかな微笑み。ぴっ、と手向けのように破魔の霊符が放たれる。
 糸の拘束を脱した大刀が霊符を裂く。その時すでに猛虎の四肢も裂かれている。
 信長は見た。絡繰童子の両足が、床を車輪で削り火花を散らしているのを。
「――天魔降伏、仕る。斬り捨て御免ッ!」
 斬撃一迅。かくて天魔の首級、ごとり、ごろりと魔空の城に転がる。
 継宗は残心を切った上で野太い息を吐いた。……悪鬼滅殺、これにて一件落着である!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​


 国土など、世界など、支配したところで何も面白くはない。
 儂が求めるのは"いくさ"よ。敵を殲滅し蹂躙する戦争の高揚よ。
 全ては結果だ。儂にはただ、敵対する者どもの首級があればそれでよい。
 儂は国が欲しいのではない。ただ全てを、生きる者を貪り尽くしたいだけなのだ。

 ゆえにこそ我は波旬。六天を貪り天道に仇なす大魔なり。
出水宮・カガリ
ステラ(f04503)と

壁であるカガリが言うのもなんだが…
先に攻め落としてしまえば、どうということもないものだ

ステラと共にダッシュ(挑発・おびき寄せ)
風を纏う彼女はとても軽やかで――防御が薄く見えるだろう
だが、傍には【鉄門扉の盾】を構えるカガリもいるので、どう出るかな
もちろん攻撃からは守るぞ?(かばう・オーラ防御・盾受け)
嵐からでさえ、【隔絶の錠前】を施して守ってみせよう

ステラの太陽剣に気を惹かれている間に、カガリは【異装城壁】を
彼の足場諸共、この城を鎧として拝借するぞ(全力魔法)
黒曜の甲冑だろうと、炎の刀だろうと、翼だろうと
雑に砕くが、いいな?(【鉄血の明星】・鎧砕き、鎧無視攻撃、怪力)


ステラ・アルゲン
カガリ(f04556)と

攻撃は最大の防御だそうだ
戦闘が始まったら真っ先に信長の元へ【ダッシュ】
風【属性攻撃】で疾風の如く駆け、攻撃が先に来ると見せよう【存在感】
【太陽剣】のソルで【怪力】と【鎧砕き】の一撃を
敵のことだ、黒い鎧の能力で先に防御力を上げて完全に防ぐだろう
もし攻撃されたら【オーラ防御】を剣に施し【武器受け】でできるだけ流そう

この剣の力はこんなものじゃないぞ?
剣の【封印を解く】ことで【黒陽の星】を発動
【呪詛】が体を蝕むが引き換えに力が増すだろう
本命の攻撃はこちらだ
【全力魔法】で剣に力を注いで【2回攻撃】で二撃目を!

今回攻撃するのは私だけじゃない
カガリの攻撃にも気を付けておくことだな!



●魔王滅殺:出水宮・カガリ&ステラ・アルゲン
 第六天魔王、滅びを経て骸の海より再び蘇り。
 瘴気渦巻く魔空安土城の天守閣、はじめからそこに居たように忽然と、唐突に、
 燃えるような悪意を孕んだ天魔が再臨した。双眸がぎょろりと周囲を睥睨する。
「……是非もなし。儂は滅びぬ。未だ命脈は絶たれず。さて、如何にする猟兵よ」
 にぃい、と口元が笑む。過去の己が味わった苦痛辛酸など毛頭興味なし。
 いくさだ。生前にも、オブリビオンとなってからも例にない大いくさだ。
 昂ぶらずして武者に非ず。高鳴らずして将に非ず!
 さあ、猟兵よ。次はどうする。どう来る。どう儂に挑む?
「――呵々!」
 突如として魔王は哄笑した。直後、天守閣の衾が燃えるように両断!
 バツ字に裂かれた衾を突き飛ばし、韋駄天めいた勢いで銀影が飛び込む!
 吶喊である。魔王はこれを、呵呵と大笑しながら迎え撃つ――!

 絶対先制の矛盾のもとに、およそ不意打ち先駆けの類は一切通用しない。
 ステラ、そしてカガリの両名はそれを承知で、いや、"だからこそ"踏み込んだ。
 すなわち、自分たちは勇んで間合いに踏み込んだ愚か者だと敵に思い込ませ、
 過剰な防御あるいは迂闊なカウンターを引き出そう、というわけだ。
 剣の化身たるステラの攻勢と、門の化身たるカガリの守勢。
 これが完全な呼吸のもとに合わされば、およそ凌げぬ攻撃はない。
 晴明・謙信・富子、さらに弥助と秀吉。名だたる魔軍将を滅ぼしたふたりだ。
 絶対の自信があった。しかし魔王の猛威はその予想を超えていた!
「その意気やよし! だが儂にその手は通じぬぞ、猟兵ッ!!」
「……!!」
 すさまじい速度で振るわれた焔の刀を、隔絶の結界を展開したカガリが受ける。
 ざりざりざり! 衝撃は壁を通してその身を退け、脳を揺らすほどに強い!
「その隙、もらった! 信長、覚悟ッ!」
「たかが女の太刀筋など、ぬるいわ!!」
 がぎぃ!! ステラの突き出した太陽剣と黒曜石の大鎧が衝突する!
(まるで岩山を掘ったかのような、これは――!)
 ステラは柳眉を顰める。並の剣ならば刀身は破砕して散っていただろう。
 太陽剣の堅牢さ、そしてステラのしなやかな剣筋がこれを拒んだ。
 じいいん、と衝撃にしびれる手に力を込め、ステラは鎧を蹴って後方跳躍。
 めきめきと信長の背中から生えた樹木の翼が、風を起こしこれを追おうとする!
「そのような嵐など、焔すらも! カガリは決して通さない!」
「ええい、ちょこざいな! 化身ごときが鬱陶しいわ!」
 間に割って入ったカガリが猛威を受け止める。一つ、二つ! 三つ!!
 攻撃のたびに踏みしめた足が床を削りながら強制的に後退を余儀なくされ、
 跳躍反動を殺しきったステラがその脇を駆け抜けて再び挑んだ!
「カガリ、大丈夫か! 私はこの通り無事だ、安心してくれ!」
「こちらもだ、ステラ。カガリは……この程度の、攻撃では陥(お)ちないぞ!」
 がいん、がぎぃっ! 幾度斬り込もうと鎧には罅すら入ることなく、
 瞬きのうちに五の剣閃を以て繰り出される魔王の猛攻は、城壁を押し込む。
 仮に信長が剣勢を増していたとすれば、はたしてどうなっていたか。
 脳裏をよぎった不安を、ステラはかき消す。そんなことは思っても詮無きこと。
 なにより――隣に立つ城門は、悪鬼ごときに打ち砕けるものではないのだから!
「……これでも足りぬか。ならば我が身を捨ててでも!」
 そしてステラはさらに踏み込んだ。死地へ! 無謀に等しい吶喊である!
 魔王はこれを嘲笑い、あえて正面から受けた上で雲耀の太刀を大上段に構えた!
「ここまでだ、女。我が剣に討たれて燃え尽きる名誉に浴するがいい!」
「……く……ッ!」
 ステラは渋面を浮かべ――たと思った刹那、にやりと不敵に笑った。

 ――ガギンッッ!!

「ぬ、お……!? これは、貴様……化身! その姿は!?」
 魔王は瞠目した。己の太刀を真正面から受け止めたその異形に。
 めきめきと音を立て、壁が、床が、天井が、カガリを中心に剥がれていく。
 そう。今や城壁の化身は過言や比喩ではない。
 魔空安土城の一部そのものを喰らいて、"異装城壁"ここに誕生せり!
『どれほど天魔を名乗ろうと、お前は過去だ。そしてヒトだったものだ。
 これはヒトには至れぬ異装の城壁。さあ、どうした。カガリを砕いてみせろ!』
 拳――というにはあまりにも分厚すぎる鉄塊――を握りしめ、振り抜く。
 魔王は風の防壁を以てこれを受け止めた。はずだ。だが激甚たる衝撃と苦痛!
「がはあっ!!」
「攻撃は最大の防御、だそうだな。守るだけが私の門ではないよ、信長!」
 そして私の剣も同じように。ステラが呟いた言葉は、まるで口訣のよう。
 直後、太陽剣の封印が解かれる。魔力と命を喰らいて輝く黒陽の星が!
「なんだ、その輝きは……ッ!?」
『よもやステラの剣が、あんな柔いものだと思っていたのか』
 異形の拳再び! カガリは得意げに、勝ち誇るように朗々と云う。
『ならばその身で味わえ。その甲冑、雑に砕かせてもらうぞ!』
 ごがぁん――!! 衝撃に打ち負け、黒曜石の鎧に無数のヒビが走る。
 信長はたたらを踏んだ。そこへ、カガリを足場に跳躍したステラの影が降る!
「さあソルよ、我が魔力と命を食らって暴れるがいい。魔を討つために!」
 黒々と燃え上がるは禍々しくも雄々しき太陽の力。稲妻じみた速度の兜割り!
「ぐ、おおおおおおお……ッ!?」
 さらに斬り上げ! どちらも入った! 鎧が砕け、凄まじい量の熱血!
 これが猟兵の力。人の縁を渡り歩いた器物たちの、受け継いできた時の力。
 ただ喰らい、飲み込み、滅ぼすだけの残骸には到達できぬ陽の力である!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

宮入・マイ
【芋煮艇POW】っス!

信長ちゃんリターンズっス!
今回もマイちゃん頑張っちゃうっスよ〜!

まずは魅夜ちゃんの鎖を『サナダちゃん』で補強っス!
後はヒトツヒちゃんを抱えながら【怪力】で鎖にしがみついて嵐を凌ぐっス!
嵐が弱まったらアンノットちゃんにヒトツヒちゃんをパスするっス〜!

これで好き放題やられられるっス、ずんばらりんと炎の剣で刻んでマイちゃんを瀕死に追い込んで欲しいっス!
つまり…【竜頭代務】っス!
じゃあ、冷徹な感じのマイちゃん頑張ってっス〜。
言うこと聞かないと思うっスけど、みんな邪魔はしちゃダメっスよ〜。

きゃっきゃ。

あ、ヒトツヒちゃん、邪魔だったら信長ちゃんと一緒に燃やしちゃうって大丈夫っスから。


黒影・兵庫
【芋煮艇POW】で参戦します!
織田信長...俺一人ではとても敵いませんが、今は皆さんがいます!微力ながらも助力させていただきます!
嵐は黒城さんの鎖に宮入さんのサナダさんと俺の【皇糸虫】を【ロープワーク】で補強したうえ、鎖が抜けないよう粘着性の【蠢く水】を【念動力】で纏わせた強固なアンカーで耐えます!
炎の刀は【見切り】【第六感】【武器受け】で防御し、炎の渦は【衝撃波】で吹き飛ばします!
(攻撃をしのいだ後【教導姫の再動】発動)
せんせー!アンノットさんのメタルハートに乗せていただき、信長に突っ込んで、そのままホールドしてください!
抜け殻だから問題ないと思いますが、燃やされても絶対離しちゃだめですよ!


アンノット・リアルハート
【芋煮艇POW】
ヒトツヒさんの作戦を決めるには接近する必要があるわね
最初の嵐は魅夜さん達の作ってくれた鎖を掴んだり【継承のリボン】を絡ませつつ、【空中戦】の要領で風を流して耐えます
【カウンター】で相手の風が弱まったのを見極めたら【早業】で【メタルハート】に兵庫さんの先生、ヒトツヒさんと一緒に乗って信長へ【ダッシュ】
接近したらヒトツヒさんの舞に合わせて【カウンター】【早業】で信長【ノイギーア】で信長の手足を【串刺し】にして動けなくなるよう【時間稼ぎ】をします
信長が動けなくなった【継承のリボン】で信長の全身を拘束してヒトツヒさんが着火!
同時に私もUCを発動し信長に一撃を与えます


黒城・魅夜
【芋煮POW】
嵐の初撃は早業・範囲攻撃・スナイパーで周囲に鎖を撃ちこみアンカーと為して凌ぎましょう。
兵庫さんとマイさんの糸の強度も合わせたこの鎖、切れるものではありません。皆さんもこの鎖に捕まってください。

追撃は見切り・残像・第六感で致命傷を抑えながら覚悟と激痛耐性で受け切り、間合いに飛び込むことができたなら、アンノットさんと兵庫さんの先生さんに拘束されているあなたに向け、我が牙を撃ちこみます。
肉体と魂を共に穿ち抜く吸血の牙、受けてごらんなさい。

あとはただ、ヒトツヒさんの焔が再びあなたを燃やし尽くすのみ。

あなた自身が一番知っているはず。一たび生を得て、滅せぬものはないのです。
夢幻の如くに、ね


ヒトツヒ・シカリ
芋煮艇POWで参戦

目標「信長を釘付けにして焼く」

UCはマイに抱えられ凌ぎ、アンノットと相乗りで急接近

思へば
この世は常の住み家にあらず

歌唱ダンス誘惑パフォーマンスで敦盛を歌い舞う
高めた舞と歌と誘の効果
至れば舞に似る武があるように武の領域へ舞を高め
歌と舞と誘で回避、防御、そして信長の動きを惑わそうと2つの扇を持ち舞う

馴染み深い歌じゃろう
諦めを知らぬ貴方だからこそ再び焔での幕引きとさせて頂く

仲間達の拘束を確認し
舞いで近づき【火炎属性添付】使用
ウチ一人ではきっと何も出来んかった

嘗ての隆盛も
貴方一人で成した事ではなく
此度の終わりも
誰か一人で成す物ではない

燃え落ちろ野望
今は貴方の成せんかった太平じゃ



●魔王滅殺:最強の五人
 強大なるオブリビオンとの戦いは、概してもぐら叩きのような殲滅戦となる。
 幾度も復活する敵をその都度滅ぼし続け、完全に滅殺することで消散させるのだ。
 ただでさえ強力な敵が、倒したにも関わらず即座に再び現世に現れる。
 必然的に、滅却のために必要な戦力は十や二十では効かなくなるのが常である。
 ……ならば徒党を組んで総攻撃すればいいのかといえば、無論それは否。
 闇雲な攻撃は連携を損ない、結果として敵に付け入る隙を与えてしまう。
 場合によっては、単独少数での波状攻撃が功を奏することもある。
 尋常の戦略戦術では計り知れない。それがユーベルコード戦闘というものだ。
 そして敵はオブリビオンフォーミュラ。この世界で最強の存在である。
 挑むには、あまりにも多くのものが必要と言えよう。
 勇気。知略。機転。連携。信頼。忍耐。威力。俊敏。作戦、そして意地。
 彼らはたしかに、その全てを互いに補いあって巨悪に挑んだ。

「……来たわね。織田信長……なんてすさまじい覇気なの」
 アンノット・リアルハートは、彼方から近づく巨大な威圧感に顔を顰めた。
 おそらく敵は手負いだ。ここまで届くほどの熱波、その残滓が教えてくれている。
 だというのに、常人ならば狂死を免れないであろうこのプレッシャー。
 何か特殊なユーベルコードの効果によるものではない、根源的な存在力の差。
 彼女にとっては三度目となるオブリビオンフォーミュラとの戦いだが、
 そのたびに格の違いというものを思い知らされる。だが、臆してはならない。

「大軍を束ね、名だたる魔軍将を憑装するだけの大器の持ち主、ということですか。
 オブリビオンを賛美するつもりはありませんが、相応の力量は持つようですね」
 同じく多くの死線を潜り抜けた黒城・魅夜も、その点に異論はないようだ。
 残骸どもを滅する咎人殺しであるからこそ、不用意な油断は死に繋がる。
 それを彼女は、これまで滅してきた強敵どもとの戦いから十分に学んでいる。
 ゆえに増上慢はない。此方と彼方の力量差を把握した上で、冷静に挑むのみ。
 負けるつもりで戦いに挑むのは愚か者のすること。魅夜は歴戦の戦士である。

「……ウチひとりではきっと……いや、間違いなく死んでおったじゃろうな」
 五人の中で最年少の少年キマイラ、ヒトツヒ・シカリは顔を顰めて呟いた。
 それは確信に近い予測。なにせ彼は、先のふたりほどの場数を踏んでいない。
 絶対先制を約束された強敵相手に、如何に挑むか。そのノウハウが足りないのだ。
 ましてや、年若くその真の力を制御しきれぬ不肖の身ではなおさらのこと。
 では、なぜ彼はここに来たのか。……当然、仲間とともに敵を討つためである。
 不安はある。だが、負ける気はしない。だから、彼は不敵に笑っていた。

「俺ひとりでもそうだったと思います! けどいまはひとりじゃないですからね!
 皆さんの力を合わせれば、必ずやれますよ! せんせーもそう言ってますから!」
 と、黒影・兵庫が楽観的にも聞こえる明るい声で、ヒトツヒを激励した。
 単なる口からでまかせ、あるいは若者の向こう見ずなのかと言えば、それは否。
 なにせ兵庫は、此度の戦争において名だたる魔軍将の多くを滅殺している。
 無論、ひとりではない。同じ旅団の仲間たちと力を合わせた結果の勝利だ。
 相手がかの第六天魔王であろうと、いまの兵庫に恐れる理由はないのである。

「最終決戦だけあってみんなシリアスっス~! マイちゃんも頑張るっスよ~!
 ……あ、マイちゃんもなんかカッコいいこと言ったほうがよかったっス???」
 などと、いつものお気楽極楽マイペースなノリでおちゃらける宮入・マイ。
 四人は呆れたり、肩肘の無駄な力が削がれたり、スルーしていたりと様々だが、
 おそらくその誰もが気づいていないだろう。ともすればマイ自身すらも。
 ……先の魔軍将、安倍晴明との戦いで味わわされた、彼女らしからぬ辛酸。
 それは群体たるその身に、"宮入・マイ"という精神に確かに刻まれているのだ。
 だからこそ、これまで通りに。面白おかしく、天魔を滅ぼしてやろうではないか。

 五人が言葉なくして互いを見やり頷きあったその時、ついに天魔が姿を表した。
 黒曜石の鎧は無惨に砕け、背中から生えた樹木の翼は無理やりにねじ曲がり、
 手にした大刀は罅割れ折れている。とてもではないが戦えるとは思えない。
 だがそれは、見くびりが過ぎるというもの。敵はオブリビオンの太祖である。
「…………猟兵……く、呵々……いかにしても儂を滅ぼすつもりか。是非も無し。
 儂の前に立つことの意味、その身と命で以て知るがいい。我が天敵どもよ……!」
 邪眼が炯々と輝く。比喩ではない――信長の内なる炉の如き焔によって。
 体中の傷から噴き上がった炎は、全身の裂傷を焼灼によって無理やり接合し、
 黒曜石の鎧すらも断面を融解させ結合する。いわんや、樹木で構成された羽をや。
 砕けかけた存在核を、尽きず溢れ続ける欲望と戦意の炎によって繋ぎ止めるのだ。
 なんたるおぞましい姿。そして口元には、頬が裂けんばかりの凄笑。悪鬼である。
 相対距離数十メートルにも関わらず、五人に到達するほどの強烈な熱波。
 汗ばむ額を、誰ともなく無意識に拭い、その手の甲から汗が一滴こぼれて落ちた。
 ぴちょん、と水滴が床を跳ねた時……魔王が、轟然たる速度で一同に襲いかかる!

 信長は異形の翼を羽ばたかせ、すさまじき嵐を起こすことで一気に加速する。
 当然、その風は魔王に先んじて五人を襲う。つむじを描く見えない刃だ!
 それに対し、魅夜は突如として、自身が愛用する鉄の鎖を無造作に投げ放った!
 分厚い壁じみた風の前では、いかに強力な鈎鎖とて届くはずもなし。だがなぜ!
「兵庫さん、マイさん。手筈通りにお願いしま」
「りょーかいですよ! 宮入さん!」
「はいはーい、任せといてくださいっスー!」
 床にがっきと食い込んだ鎖めがけ、マイと兵庫は糸のようなものを放った。
 それは糸状の、しかし種類の異なる寄生虫である。蠢くさまは実に奇怪!
 うねうねと蠕動するそれらはDNAめいた螺旋を描く……魅夜の鉄鎖を中心に!
「来るわよ! ヒトツヒさん、準備はいい!?」
「お、おう! って言っても、ウチは抱えられるだけじゃが!」
 ヒトツヒはマイの片腕の中へと飛び込み、出来る限り身を縮こませる。
 逆巻く颶風が到達したのと、強固な鎖のアンカーが完成したのはほぼ同時!
「絶対に離さないでください。この鎖は何があっても千切れませんので」
 ごうううう……!! 竜巻じみた強風の中、一同は魅夜の言葉に従い鎖を掴む。
 ぎしぎしときしみながらも、複合強化された鉄鎖は暴風を確かに凌いでみせた!
 真空波じみた風の刃が各々の肌を斬り裂いているが、戦闘に支障はない!
「ハ! いじましき努力よな! ならばまとめて叩き斬ってくれようぞ!」
 悪鬼襲来! ぎらぎらと双眸を輝かせた信長が大焔刀の間合いに五人を捉える!
 いまや刀身は強烈な熱によって融けながら再構築され、その刃渡りは十尺以上!
 うねる焔の残滓も含めれば二十尺に届きかねぬ。極度の火力強化の結実か!
「アンノットちゃん、パスっス~!」
「え、ちょっ!? いま投げ……うわーっ!?」
 マイは無造作にアンノットめがけヒトツヒを投げた! 当然の悲鳴!
 兵庫は即座に状況判断し、鎖を蹴って破砕警棒を手に斬撃を迎え撃った!
「うおおおおお! 皆さんをやらせはしないですよ!!」
(兵庫さんひとりでは耐えきれませんね。ここは……仕方ありません)
 魅夜は一瞬あとの惨劇を第六感で予測し、同じように稲妻めいて踏み込んだ。
 魔剣来たる。回収した鉄鎖を複合障壁展開し受けるが……おお、溶解切断!
 魅夜がさらに一歩前に出たことで兵庫は直撃を避けるものの、衝撃波に煽られ、
 少年の体はスーパーボールめいて床と壁を跳ねながら吹き飛ばされた!
「ぐへっ!? げほ……っ、せんせー、あとは……頼みますっ!」
 だが初撃は凌いだ。斃れかけた兵庫の前に、長い金髪を持つ女が召喚される。
 全身に裂傷と火傷を帯びた兵庫へ頷くと、"せんせー"はアンノットの元へ。
「ヒトツヒさん、先生、私に捕まって! 隙を見て突っ込むわ!」
「う、うん! じゃがマイはどうするんじゃ!?」
「……あなたを無理やり投げ飛ばしたのは、おそらく――」
 アンノットは敵を睨んだ。彼女の予測通りの光景がそこにあった。

 魅夜は当初の作戦を半ば放棄し、続く焔刃をその身を犠牲に受けるつもりでいた。
 苦痛など欠片も恐ろしくはない。だが敗北するなどもっての他である。
 そこに己の命を賭けて機を得られるならば易いもの。くれてやるつもりもないが。
 そんな彼女の決断を裏切ったのは、手ぶらとなったマイの参陣である!
「魅夜ちゃんお見事っス! 選手交代っスよ、きゃっきゃ!」
「――では、おまかせいたします」
 魅夜は躊躇うことなく飛び退り、場違いに浮かれたマイと入れ替わる。
 信長はその判断を僅かに訝しんだ。だが死にに来るというなら是非も無し。
 この嘗めた面をした小娘を、真っ二つに斬り裂き焼滅してくれよう!
「いい顔っスね! さあ、どうぞマイちゃんをぶった斬ってくださ」
 ざうッ!! 言葉もろとも、その身を無慈悲な刃が両断する!
 さらに返す刀、逆袈裟! バツ字に裂かれた体を兜割りが六断……おお、おお!
 ばらばらと散るのは、血肉ではなく焼殺された寄生虫の死骸の山。
 然り。宮入・マイは人間ではない。虫で構成された群体そのものである。
 その奇怪さに顔を顰めつつも、魔王はもはや討ったものとして踏み出そうとした。
『……おや。不愉快だね。切って捨てるにはまだ早いよ』
「ぬうっ!?」
 見よ。崩れ果てたはずの蟲が、マイの体が、逆再生めいて再構成される!
 同一人物とは思えない冷徹な眼差しが魔王を見返す。これは一体!?
『ああ、悪いがおしゃべりを楽しむ性格ではないのでね。死んでくれるかな?』
 "宮入・マイ"はその手を伸ばし、腕を構成する蟲を殺到させ信長を、
「ちぃ、小賢しい! 中身が入れ替わろうが蟲は蟲よ! 死ねぃ!!」
 惨殺焼灼。半身が焦げて滅びる。だがまだ"宮入・マイ"は死んでいない。
 "竜頭代務(ルート・オン・ダイブ)"。そこにいるのはマイでありマイではない。
『所詮オブリビオンはオブリビオンか。蟲より先に気にする相手がいるだろうに』
 信長は冷徹な声に訝しみ、そして気づいた。生き残りどもを睨みつけた。
 そこへ! 機先を制したアンノットたちが最大戦速で突撃する!

 これだ。この一瞬こそが、五人が求めていた好機だったのだ。
 ヒトツヒを可能な限り無傷で生かしたのもこのため。すべてはそのために。
「これ以上、好きにはさせないわ! 織田信長!!」
 裂帛の気合を込めた、アンノットの一気呵成の刺突が破砕鎧ごとその身を貫く!
 さらに四肢にはリボンが絡まり、兵庫の先生――教導姫が羽交い締めにするのだ。
 当然、信長の裡なる焔がふたりを燃やす。だが食い込んだからには離さぬ!
 そして……おお、舞い踊るヒトツヒの双扇がその身に触れた瞬間!
「ぬ、おおおおおお……ッ!?」
 燃える。悪鬼の焔ではない。悪を浄化せしめる滅殺の焔によって、信長が!
「小僧、貴、様……! 貴様如きの、弱者、が……!!」
「ああ、ウチは弱い。他のみんなに比べればずっとずっと。じゃがな!」
 ヒトツヒは退かぬ。魂をも射すくめる悪鬼の凝視を真っ向から受け止めた!
「いかに過去の残骸とて覚えていよう。ウチが舞い踊ったあの歌を」
 かつて、燃え盛る寺の本尊にて、最期を悟った信長が舞ったという"それ"。
 悪鬼に堕した猛将を送るには、これ以上無い葬送の舞踊である。
「ほ、ざけ……! 儂は、第六天魔王なるぞ……! 天下を、統一せし……!!」
「その隆盛。あなたひとりで成したことではあるまい」
 炎はなおも燃える。
「ならば! 此度の終わりも、誰かひとりで成すものではない!」
 信長はなおも吠えようとした。その胸部を、深々と吸血鬼の牙が貫いた。
 悪夢の滴。ダンピールたるその証。肉体も魂をも穿ち破壊する滅殺の牙。
「あなた自身が一番知っているはずでしょう」
 咎人殺しは云う。
「ひとたび生を得手、滅せぬものはないのです――"夢幻の如く"に、ね」
 太平の世に、もはや布武すべき野望はない。盗るべき国はない。平穏だけがある。
 悪鬼は叫んだ。それは猟兵に対する怨嗟であり、憎悪であり、憤懣であり……。
 もはや捨て置かれた過去の慚愧であり、すなわち滅びるべきモノの断末魔。
 炎は何もかも飲み込む。燃え盛り、そして、今一度の滅びを……もたらしたのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​


 太平の世に戦乱は不要。ゆえに汝らことごとく滅び去るべしと彼奴らは云う。
 ふざけた話だ。その太平がいつまで続くと思い込んでいるのか。
 太陽はいずれ沈む。ならば平和などいつかは乱れてまた消えるのだ。
 ならば儂が乱世をくれてやろう。今来るか、後に来るかの違いに過ぎまい。
 貴様らが捨て去り見過ごしたモノが、貴様らを滅ぼし飲み込むのだ。
 そして覚えておくがいい、愚民よ。我らの天敵よ。

 いつかは、貴様らもそうなるということを。
二天堂・たま
元々強力なオブリビオンフォーミュラーが、他の有力なオブリビオンの力を借り受けるとは…。
どうあってもUCでの先制は取られてしまう。

ロープワークの要領でボビンケースの糸を投げ、即席の足止め用罠を敷く。
残像や逃げ足も駆使してUC:アルダワ流錬金術を発動する時間を稼ぎ、無機物を石油に変えて操作しよう。
ワタシのUCは自然界に存在する物にしか変えられない。しかし石油は八橋や相良油田に確かにある物だ。
ポシェット内の小物で火を点けてやれば、擬似的に炎の渦を操り武田軍の騎馬武者や信長を攻撃できる。
そういえば信長は本能寺で火に囲まれて生涯を閉じたのではなかったか?
二度目の生涯も、そろそろ終えてはくれんか。


ステラ・クロセ
この世界を愛し、共に生きる皆の為、
魔王討つべし!

騎馬軍団が走ってきたら自分からも突っこんでいき、【スライディング】で馬の足下に【勇気】をもって滑り込む。
敵中において囲まれたところで、UC【紅蓮の灼翼】で翼を広げ、一体を巻き込むように【なぎ払い】しながら上昇して囲みを突破するようにする。
上昇中に狙われたら【武器受け】。


反撃の機会を得たら、炎のサイキックエナジーを全力全開、刀を形成し滑空してダイブ。
スピードを活かして二刀流での【属性攻撃】【2回攻撃】で信長を斬りつける。
「アタシの魂炎が、アンタの野望を焼き尽くす!」

※アドリブ・連携など歓迎です!


霧島・絶奈
◆心情
信長公、貴方は孤高でありながら孤独ではないのですね
我々もそう在りたいものです
では、決着と参りましょう

◆行動
先制攻撃対策として、【オーラ防御】を展開しつつ回避
加えて【範囲攻撃】で【マヒ攻撃】の【衝撃波】を【二回攻撃】し、敵を足止めしつつ迎撃

併せて【罠使い】として持ち込んだ「網や鎖に重しを付けた罠」や「指向性地雷」を【衝撃波】に乗せて散布
足止めを図りつつ、反撃の足掛かりとしても利用

負傷は【生命力吸収】で回復

『DIABOLOS LANCER=Replica』に【範囲攻撃】の力を込め【二回攻撃】
一撃目は自分や味方の足元に打ち込み強化目的で使用
続く二撃目に【マヒ攻撃】を追加
本命の攻撃手段として運用



●魔王滅殺:銀雨の中に双焔燃えて
 魔空安土城は、その時空の歪みによって外観と内部の寸法が一致しない。
 つまり、五百を超える騎馬隊を召喚しても、広さを気にせず展開出来るのだ!
「信玄の力は我がもとにあり! 猟兵よ、この精強なる騎馬軍団にどう抗う?」
 第六天魔王は、まさにその二つ名に相応しい傲岸さで、金髪の少女を睥睨する。
 対する少女……ステラ・クロセは、サイキックエナジーの双剣を勇ましく構え、
 常人ならば震えを起こすような魔王の凝視に対し、真っ向から睨み返した!
「知れたこと。この世界を愛し、共に生きる皆と、この世界の人々のため!
 アタシはアンタを倒す。たとえ何度蘇っても必ずね。魔王討つべし!」
 年頃わずか14歳。されど、ステラも歴戦の経験を積んだ立派な猟兵である。
 相手がオブリビオンフォーミュラであろうと、恐れる気配すらない!
「よかろう……ならば死ぬがいい、小娘!」
「……!!」
 魔王が片腕を振り下ろすと同時、すさまじい鬨の声が城内の空間を揺るがした。
 響き渡る蹄の音、馬のいななき! 騎馬隊が縦列をなし迫るさまは怒涛の如し!
(大丈夫、やれる――勇気を持って飛び込むんだっ!)
 退くか? 避けるか? ステラの答えは、あえて敵陣に飛び込む……であった。
 無数の矢が雨のように降り注ぐ。双剣で切り払い、雄叫びを上げて疾走する!
 だがあまりにも数が多すぎる。ステラはしかし止まることなく、身を沈めた。
 スライディングだ! 床を滑り、騎馬隊とすれ違うことで掻い潜る考えか!

 しかし、精強なる武田騎馬軍団はステラの狙いをとっくに看破していた。
 ゆえに少女が速度を落とした瞬間、周囲の騎馬隊が槍衾にする腹積もりだった。
 だが、そうはならなかった。なぜか? 答えはふたりの猟兵の存在にある!
「滅び去った軍勢に、生命の輝きを奪わせはしない……っ!」
 霧島・絶奈。生命の輝きを尊び、過去の残骸どもを滅ぼし続ける聖女。
 銀色の髪をたなびかせ、颯爽と騎馬軍団の頭上を舞い裁定の黒剣を振るう。
 剣閃を追うように衝撃波が吹きすさび、槍を構えた騎馬隊を打ち払った!
 さらにその衝撃波に乗じ、絶奈は重し付きの投網を罠めいて投擲する。
 これらは鋭い騎馬軍団の刀によってあっさりと斬り捨てられるが、所詮は布石だ。
 勇ましく軍勢に飛び込んだステラの命を救うこと。それが狙いなのだから!
「ちぃ、小娘が次から次へと!」
「信長公。孤高でありながら孤独でないその在り様を、私はよいものだと思います。
 我々もそう在りたい――あなたが過去の残骸でなければなおよかったのに」
 魔王の凝視を跳ね返す銀色の瞳が、つかの間郷愁に耽るように翳った。
 しかし思案に耽るのは一瞬。着地した絶奈に騎馬軍団の生き残りが迫る!

 だが! 先陣を切った数騎の軍勢は、見えないなにかにつんのめって体勢を崩す!
 いつのまにやら、騎馬軍団の足元に糸の即席罠が張り巡らされていたのである!
「まったく、ただでさえ強力なオブリビオンフォーミュラが魔軍将を憑装するとは。
 これも所詮一度きりの手品のようなもの。だがどうやら、効果はあったようだな」
 ひょっこりと物陰から姿を表した、灰色の毛並みのケットシーがニッと笑う。
 その名は二天堂・たま。しかし生憎、誰何したところで返ってくる答えは違う。
 己の名を口に出そうとするとなぜかそれをさっぱり忘れてしまうたまは、
 そうした時に必ず、こう答えるのだ。
「ぬう!? いつの間に! 貴様……何者だ!」
「ワタシか? ワタシの名は……ふふん、"ケットシー"だ!」
 と。
 この糸の罠もすぐさま切り裂かれバラバラに解けてしまうが、それで重畳。
 己をめがけて降り注ぐ矢を猫らしい俊敏さでかわし、たまは戦場を駆ける!

 そして、ふたりの助けにより窮地を救われたステラは!?
「もっと遠く、もっと高く! もっと熱く! 燃え上がれ、アタシの灼翼よ!」
 その背から、サイキックエナジーの焔によって構成された紅蓮の翼を広げ、
 周囲の騎馬軍団を巻き込みながら螺旋上昇し、大きく、雄々しく姿を表した!
 突き出される槍は、その双剣によって受け止め切り払う。すなわち好機である!
「アタシの魂炎が、信長! アンタの野望を灼き尽くすっ!!」
「ほざけ! その程度の剣なぞ、他愛もないわ!」
 ガギン!! 滑空からの斬撃と、信長の大刀が撃ち合い火花を散らした!
 持てるサイキックエナジーをF1カーの燃料めいて噴出し、ステラは頭上を舞う。
 騎馬隊の生き残りは、これを撃ち落とそうと弓を構える……が、遅い!
「おいおい、まさかワタシが何の考えもなしにあんな糸を罠に使ったとでも?
 わかっておらんな。ならば見せてやろう。そうら、ちちんぷいっ! と、な!」
 ぽふん、とたまが肉球と打ち合わせると、突然騎馬隊の足元から炎が噴き出した!
 見れば、燃えているのは石油である。しかし一体いつの間に……!?
「……なるほど、私とあなたの罠を、ユーベルコードで石油に変換したのですね」
「そのとおり! キミは目ざといな。これぞアルダワ流錬金術よ!」
 切り裂かれた投網、そして糸の即席罠はこのための布石だったというわけだ。
 炎上による混乱に乗じて絶奈は包囲を抜け出し、信長へと疾駆する。
 幾度目かのステラの攻撃を受け流し、カウンターの斬撃を与えた魔王のもとへ!
「滅びし魔王よ、あなたに見せてあげましょう。生命の輝きを賛歌する力を!」
「その槍は一体……ぬおおおっ!!」
 突撃槍めいた光の矛を、鋭く二度刺突。一度目は足元に、二度目は信長へ!
 一度目の攻撃で起こりを見た信長は素早く二撃目を受け止めるが、そこで訝しんだ。
 突如として降り注ぐ、銀色の糸のような雨。それがもたらす不快感に。
 何かわからないが、これを放置していてはまずい。魔王は即座に状況判断。
 返す刀で絶奈を斬り伏せ重傷を与えるが、結果としてステラに好機を与えてしまう!
「もう逃げ場はない。喰らえぇっ!!」
 銀の雨がステラに力を与える。そしてついに、燃える光刃が、魔王を斬り裂いた!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

フランチェスカ・ヴァレンタイン
そろそろ敦盛を舞われる頃合いかと?
カーテンコールと参りましょうか…!

翼を広げ、バーニアを噴かし。樹木の翼で巻き起こる嵐にも”乗って”みせましょう
嵐の乱気流を逆用しての空中戦を、砲撃と斧槍でのヒット&アウェイによる不規則攻撃で
炎の刀に対しては、属性攻撃で各武装に絶対零度の概念を纏わせることで対抗を

砲撃と斧槍という攻撃手段を印象付けた上で、近接での反撃に合わせて被弾覚悟で仕掛けます

「重鳴り奏でる神音の響きを――どうぞ、召しあがれ…ッ!」
擦れ違いざま、零距離での曲芸じみたクロスカウンター(見切り+カウンター)の空中回し蹴りでUCを叩き込み、黒曜石の鎧など無関係に内部から蹴り砕いて差し上げましょう…!



●魔王滅殺:フランチェスカ・ヴァレンタイン
 ごうごうと、時空の捻じれた魔空安土城に恐ろしい嵐が吹き荒れる。
 ただでさえ風速が度を越えている上に、呪力を帯びたそれは物体をも斬り裂く。
 仮に鋼鉄の防御を得ていたとして、生きる者であれば臓腑が腐り死ぬだろう。
 無論、常人ならばの話だ。猟兵ならばそれに対抗することが出来る。
 ましてやそれが、同じように翼を広げ空を舞う戦乙女ならば!
「チィ、カトンボのようにちょこまかと! ここはいくさ場ぞ!」
「あら。このわたしを、踊り子かなにかと勘違いされては困りますわ?」
 フランチェスカは、己を絡め取ろうとする魔王の大刀を軽やかに躱し、
 猛烈な乱気流のなかで艶やかに微笑んでみせる。空中戦は彼女の十八番だ。
 いまや信長とフランチェスカは、あべこべに繋がった魔空安土城の内部を飛び、
 さながらドッグファイトめいて交錯しぶつかり合う様相を呈していた!
「それとも、戦場に女が立つなとでも? それこそ考えが中世的ですわね。
 ああ、けれど――とっくの昔に滅びたあなたでは、仕方がないのでしょうか!」
「ほざくがいい、死ねィッ!!」
 ガギンッ!! 炎渦巻く大刀とヴァルフレイア・ハルバードが打ち合う!
 軽口でもって魔王を挑発するフランチェスカだが、内心はシリアスそのものだ。
 打ち合うたびに、想像以上の魔王の膂力が、彼女の心胆を寒からしめている。
(まともに喰らえば終わりですわね。けれどだからこそ、賭けは成立するはず)
 一合を撃ち合っては離れ、遠距離から砲撃を行い信長の加速を妨害する。
 決して敵に一定以上間合いを踏み込ませぬ、華麗なまでのヒットアンドアウェイ。

 しかしいかにフランチェスカが、数多の戦場を生き延びてきた猟兵といえど、
 スタミナには限界がある。ましてや敵はオブリビオンフォーミュラである。
 一挙一動に細心の注意を払いながらの高速機動戦闘は、それ自体が重労働だ。
 薄氷を踏み走り続ける危険なドッグファイト。制限時間は残り少ない……!
「もうよいわ、儂も堪忍袋の緒が切れた。女よ、付き合うのは終いぞ!」
(ようやく食いついてくれましたわね。さあ、あとはここから……!)
 痺れを切らせた信長の攻撃に、フランチェスカは後退を――しない! なぜだ!?
 彼女はハルバードを振るい、必殺の一撃を繰り出そうと急加速する!
「それはこちらの台詞ですわ。カーテンコールと参りましょうか!」
 無謀である。敵はフランチェスカの攻撃をとっくに読んでいるからだ!
 たとえどれほど速度を載せようと、真正面からの攻撃は通用しない!
「大言壮語の報い、その身で味わうがいい! ぬうんッ!!」
 おお、炎渦巻く大刀が振るわれる。斧槍を弾き、フランチェスカの胴体を――!

 ……両断すると見えた鋒は、しかし脇腹を裂くに留まった。
「何ッ!?」
「く――ッ」
 血の走査線を虚空に描きながら、フランチェスカは加速する。
 ハルバードは最初から振るっていない。それ自体がフェイントだったのだ!
 では急速離脱からの砲撃を? それも否! すれ違いざまの曲芸飛行!
「重鳴り奏でる神音の響きを――どうぞ、召しあがれ……ッ!」
「ぐおっ!?」
 疾い! 殺人的Gを耐えながらの急速転換による強烈なトーキックだ!
 お返しのように鎧越しに脇腹を抉った襲撃は、以て破砕超振動を伝達する!
 信長の全身からびしびしと不穏な音が響き、魔王は喀血した!
「かはあっ!!」
「どれほど堅牢な鎧でも、わたしのヒールには紙屑同然でして……よッ!」
 悪あがきめいて振るわれた大刀をかろうじてかすり傷でかわしながら、
 フランチェスカは敵の負傷程度を睨む。手応えはあった。重いダメージだ。
「この、女狐め、がァ……!!」
 血涙を流す天魔に対し、戦乙女は妖艶に微笑む。挑発的に。
 それは、魔を討ち滅ぼす戦騎の必殺の笑みであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

清川・シャル
流石信長公。そう易々と倒れてはくれませんよね。
成程風林火山…そちらが炎ならこちらは、ブリザード。
氷と風の全力魔法で防御を兼ねた氷の竜巻を展開
風林火山の装甲を少しでも抑えられたら

見えない人形達をひっそりUCで呼び出します
大きさ?でっかいです。そして割と多めに出てきてもらいますね
目的は攻撃と拘束
人形達には刀を持たせます
一瞬でいいからお願いね
隙なんて出来ないかもだけど、そーちゃんをチェーンソーモードでフルスイング

手段はどれでもいい、出来るものを臨機応変に

敵攻撃には見切り、残像、氷の盾、オーラ防御、武器受け、第六感、野生の勘、その時に応じて使います

故郷は守ってみせる…!


カイム・クローバー
ボーナスステージ。俺は自分がどれだけ強くなったのか確かめたい。
酔狂な話だろ?だが、1ゲーム付き合って貰うぜ。

遠距離。近接の間合いを避け、銃弾を撃ちつつ【第六感】【見切り】で刀から放たれる炎を躱していく。あえて【残像】は使わない。
【挑発】は常に発動。何処狙ってやがる?指を一本立ててチョイチョイ。気位の高い性格だろ?自分を王と信じ疑わないなら小馬鹿にした挑発を。狙いは距離を信長自身に詰めさせる事。
【フェイント】【早業】で魔剣を現出。此処で初めて狙いを逸らす為に【残像】を置いてUCにてカウンター狙い。
【属性攻撃】【二回攻撃】【衝撃波】【範囲攻撃】。リスクのある賭けはこれで二回目だ。ま、悪くねぇけどな



●魔王滅殺:清川・シャル……
 第六天魔王・織田信長。おびただしい負傷を帯びてなお不屈。なお不遜。
 シャルとて強敵相手の戦いは初めてではない。
 これまでの二度の戦争では、数多くの幹部級オブリビオンや、
 銀河皇帝のようなその世界のオブリビオンフォーミュラを討ち果たしてきた。
 だからこそ、わかる。目の前の敵は、それと同等――ともすれば上だと。
「そうやすやすとは斃れてくれませんよね。ええ、解ってました!」
 ギュイイイイイ、ギャギギギギギッ!! ピンク色の金棒が唸りをあげる!
 高速回転する棘をまともに喰らい、しかし信長は、ぎらりとシャルを睨めつけた!
「……ッ!」
「この程度で儂は討てぬぞ。この首級は落とせぬぞ、猟兵!!」
 シャルは羅刹の反射神経をフル活用し、弾かれたように飛び退った。
 はずだ。だが燃える大刀は、彼女の躰にばっさりと剣閃を刻んでいる!
「く、うっ! 私だって、まだまだ! 斃れたりしませんよっ!」
「その意気やよし。小娘にしては見上げたものよ。だがあと何合耐えられる?」
 燃える大刀、さらに樹木の翼、そして黒曜石の鎧。
 いかなる打撃を受けたのか、信長の全身には岩のようなヒビが走り、
 いまもなお、煮えたぎる溶岩のような熱血をだくだくと噴き出している。
 彼奴が振るう大刀の炎は、すなわち信長自身の邪悪な生命力に由来するのだ。

「こうして生き延びているのは見事なもの。ゆえに問うてやろう、小娘よ。
 貴様はなぜ儂を討たんとする。義務感か? 名誉欲か? あるいはいくさ狂いか」
「……私は、私の故郷を守りたい。この世界を、守りたいだけです」
 攻撃の機会を伺いながら、シャルは決然とした面持ちで応える。
「これ以上、あなたみたいなオブリビオンに世界を乱させたりしないっ!」
「ハ。斯様に他世界の文化に染まっておいてよくもまあ。だが是非もなし。
 羅刹だろうて、故郷は惜しむか。儂はとうに失って久しい感情よなあ」
 オブリビオン……世界の規矩から現れる過去の残骸に、愛国心や郷愁はなし。
 いまの信長は、かつての生まれ故郷ですら喜んで灰燼にせしめるだろう。
 ぞっとするような笑みからそれを直感したシャルは、戦意をさらに高める。
 敗けられない。絶対に。だが、敵との力量差は予想以上に大きい……!
「よかろう。貴様はその骨肉をつま先まで滅尽滅相し、塵にしてくれようぞ。
 流れる風に乗り、せいぜい生まれ故郷を堪能するがいい。塵芥となってなあ!」
(私は認めない。絶対に、絶対に生き延びて、勝ってみせるんだから!)
 だが人形たちをけしかけるよりも先に、炎の刀がシャルを襲い――。

 BLAMN!!
「ぬん!!」
 突然の銃声! 信長はこれを巨大な篭手で無造作に弾いた。
 一体誰が? ……訝しむ魔王をよそに、シャルはその銃声だけで確信していた。
「――カイム?」
 然り。硝煙を立ち上らせる魔銃を構えるのは、誰であろう!
「ようシャル。ボーナスステージに間に合ったようでなによりだぜ」
 不敵な笑みをいなせに浮かべ、涼やかに敵意を受け流す銀髪の男。
 カイム・クローバー! その鋭い瞳が、魔王の双眸と交錯し睨み返す!
「こうして出てきておいて何だがな、あいにく俺は腕試しがしたくて来たのさ」
「……ほう? この儂を相手に、腕試しだと? 片腹痛し!」
「酔狂だと笑うかい? まあいいさ。だがせっかく間に合ったんだ」
 くるくると双魔銃をガンスピンし、カイムは床を蹴り魔王へ疾駆した!
「1ゲーム、付き合ってもらうぜノブナガ! このBlack Jackとなァ!」
 BLAMBLAMBLAMBLAM! 鋭い銃声が、禍々しき魔城の虚空を劈いた――!

「なあシャル! 思い出さねえか? あの銀河皇帝の跪く姿をよ!」
「カイムはカッコつけすぎ! ……まあ思い出すし、助かったけどっ!」
 便利屋とその婚約者は、背中合わせに戦場を駆けながら軽口を叩きあう。
 その周囲を暴風が取り囲み、ふたりは進退窮まった状態にあった。
 信長の翼が生み出した嵐に囚われた形だ。だが、ふたりに不安げな翳りはない。
「あの頃からもう半年か? 早いもんだ。腕試ししたくなる気持ちもわかるだろ?」
「……あれ本気だったの? ほんとにもう、カイムってば……」
 男の相変わらずな様子に嘆息しつつも、シャルは莞爾と微笑んだ。
「で、この状況、どうしよっか?」
「決まってるだろ。コンビネーションでぶち抜くだけだ!」
「「さあ、パーティの時間だぜ(よ)!」」
 その余裕、その陽気さこそが、第六天魔王にとってはこれ以上ない挑発となる。
 ふたりが弾かれたようにそれぞれ前に跳んだ瞬間、嵐の中から魔王が出現!
「ぬうっ!? バカな、儂の動きを読んだだと!?」
 ふたりをまとめて両断せしめる横薙ぎの斬撃は、まんまと避けられた!
 BLAMBLAMBLAMBLAM! 空中で身を翻したカイムがさらに弾丸を叩き込む!
「ヘイ、サムライ! こっちでダンスでも踊ろうや!」
「小賢しい、貴様から――」
「みんなお願い、行って!」
「!!!!」
 カイムの挑発は陽動! そこでシャルの操る不可視の人形たちが飛びかかる!
 しかし所詮は人形、振り上げた刀が黒曜石の鎧を貫くことはない――だが好機!
「そんなに燃えてたら暑いですよね? 少しは冷ましてあげます!」
「ぬううう……!!」
 シャルが全力を込めて放った氷の竜巻が、信長の四肢を凍りつかせた。
 カイムは迷わず踏み出す。腕を包む黒銀の炎から、禍々しき魔剣が現出……!
 信長は咄嗟に炎の消えた刀で迎撃するが、斬り裂いたのは――残像!?
「三味線引いてたのさ。すっかり慣れちまっただろ?」
 間合いに飛び込んだカイムはにやりと笑う。このために緩急をつけていたのだ。
 そして彼が神殺しの魔剣を構えたとき、信長の背後にはシャルがいる!
「あんたはラッキーだぜ、信長。なにせ死神と、羅刹姫に引導を渡されるんだ」
「そーちゃんの本当の威力、その体でしぃっかり味わってくださいね!」
 前からは魔剣が。背後からは桜色の金棒が、まったく同時に信長を襲う。
 風を起こそうが、火を噴き出そうが、鎧を固めようが無駄である。
 そうとも、これこそは終末をもたらす死神の一撃。
 そこに無双の鬼の攻撃が加わったとあれば耐えられるはずもなし。なによりも!
「「こいつで、フィナーレだ(です)!!」」
「お、おのれぇええッ!!」
 誰よりも息の合う連携は――魔王ですら、歯が立たないのだから!
 かくして魔王滅殺。ここにまたひとつ、天魔の最期は到来せり!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​


 オブリビオンフォーミュラとは、王であり将であり、始まりであり終わりである。
 儂こそがこの魔軍の長にして、最強、最大、そして最優の士である。
 そうとも、儂の命脈はもはや那由多の彼方。手繰り寄せるは難事であろう。
 だからこそよい。だからこそ面白い! いくさとはそういうものだ!
 ――さあ、猟兵よ。まだだ。まだ! まだ儂はここにあるぞ!
 信長の首級を求めるならば、徒党を組んでかかってくるがいい!
夏目・晴夜
このハレルヤの貴重な寿命を献上して差し上げる代わりに、
魔王様の命を頂戴いたします
対等な見返りを求めない私は少々優しすぎますね

まず白虎の足元や床を【衝撃波】や斬撃で狙って壊し、
縦横無尽に動きづらくしていきます
白虎が真正面から来るまではユーベルコードは発動せず、ひたすら粘る覚悟です

狙い通り正面から来たら『喰う幸福』を発動
高速移動で一気に上げた速度のままにスライディングし白虎の下に潜り込み、
その無防備な喉元や腹を呪詛の斬撃で切り裂きます

逃れようのない攻撃は妖刀で【武器受け】
しかし極力【第六感】や【カウンター】で避けたり流したりしたく
私は繊細ですからね。あんなデカい敵の攻撃は受け止めきれる気がしません



●魔王滅殺:夏目・晴夜
「……今、なんと申した?」
 信長は片眉を吊り上げた。訝しむように、あるいは睨め下ろすように。
 対する晴夜は、やれやれといった様子で頭を振り、言葉を繰り返す。
「ですから、このハレルヤの貴重な寿命を献上してさしあげる代わりにですね?」
「儂の命をよこせと、それはわかっておる。その先よ」
「ああ……繰り返せと言っておいて話を遮るとか能無しなんですかね」
 あっけらかんと臆しもせずに言いながら、晴夜はまた嘆息。
「"対等な見返りを求めない私は少々優しすぎますね、感謝してください"ですよ。
 どうですか? その空っぽの頭でも、きちんと私の言葉、わかりました?」
 ――びゅうっ!!
 と、魔王の放射した殺意と怒気が、突風のように晴夜の前髪をめくった。
 舌打ちしながら髪型を整える晴夜に、恐れをなした様子はない。
 信長は何も言わぬ。ただ、大刀を振り上げ、床に思い切り突き刺した。
 ずしん!! そして、猛虎の咆哮が響き渡る。武田信玄!
「伝わってないみたいですね。IQが20違うと会話が成り立たないってご存知です?」
「殺せぃ! この、愚か者をッ!!」
「なるほど、本当みたいですね」
 相手が誰であろうがどこまでも不遜。尊大。傲慢。これが晴夜だ!

 さて、とはいえ弾丸じみた勢いで突撃する白虎を相手に、晴夜は単独である。
 人形の優しく可愛いニッキーくんもいない。そして爪の攻撃は絶対に避けねばならない。
 突撃ができないギリギリの間合いを保ちつつ、晴夜は妖刀を振るい四肢を痛めつける。
 やがて怒り狂った信長はしびれを切らし、白虎に命令を下した!
「踏み潰せッ! この不遜なる愚か者をな!!」
「――それを待ってたんですよ」
 ゴアオオウウッ!!
 白虎は牙を剥いて咆哮し、床を砕きながら全力疾走した!
 晴夜は――バカな! 自ら真っ直ぐに突っ込んでいく! 正気か!?
 だが瞠目したのは信長も同様。晴夜の速度が予想以上に疾いからだ!
 残像すら生み出すほどの速度でスライディングした晴夜は猛虎の真下をくぐり、
 すれ違いざまに喉元、さらに腹部を呪詛の斬撃で切り刻み、そして抜ける!
「がはぁっ!?」
「いや助かりました。下の獣も上の獣も御しやすくてなによりです」
 晴夜はけろっとした顔で云う。寿命を代償とした高速移動は見事に功を奏した。
 生命力を共有する信長もまた血反吐を吐き苦しむ。実にいい光景だ。
「あんまり、人を嘗めないほうがいいですよ?」
 青筋を立てて憤怒する魔王に、あいも変わらず傲慢に言ってのける晴夜であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルベル・ノウフィル
疾如風、早業で
徐如林、彩花を念動力で戦場の地面に敷き詰める
不動如山、三分の一の鏡盾を構えて防御
難知如陰、オーラ防御を攻撃を受ける局所集中で防御
動如雷霆、念動力でトンネル掘りして足元をピンポイントに崩しつつ、同時に地面に伏せた彩花を一斉に襲い掛からせ
侵掠如火、痛悼の共鳴鏡刃を投げ

反撃UC:遊戯
人の手の温度を知っています、それを捧げましょう
そんな温かなものより僕は、貴方を滅ぼしたい
不足なら、僕が「友達が欲しい」と思っていたという記憶も捧げましょう
倒したい、倒したい、――勝利が得られるなら全て捧げても惜しくない!
捨て身の一撃・鎧無視攻撃

終わりでございます
お前も僕も、滅びても世はなべて事も無し――な?



●魔王滅殺:ルベル・ノウフィル
 昔の話だ。友達をこの手で斬り殺したことがある。
 何のことはない、友人だと思っていたのは自分だけだったのだ。
 主の命を奪うために、護衛である自分に親しげに近づいてきただけのこと。
 ただそれだけ。終わってみればそうだ。だが実際はそんな簡単な話ではない。

 なかった。過去形である。己の手で殺したのだ、当然と言えよう。
 だがもう、昔の話だ。乗り越えた過去だ。なにせ"二度斬った"のだから。
 己に友など必要なく、ただ過去の残骸を滅ぼすためにこの身はある。
 ならば記憶も同様。差し出すことに後悔はない。躊躇もない。恐れもない。
 ――なにせそれすら忘れてしまえる。噫、なんて便利な力なのだろう。

 ――本当に?
(本当でございますとも)
 戦場を無数の華のような札で覆い、彩に染めながら自問自答する。
 ――寂しいじゃないか。
(そんなことはございません)
 猛然と振るわれる炎の刃を、嵐を鏡の盾で防ぎながら、頭を振る。
 ――友達が欲しいんだ。
(いいえ、必要ありません)
 念動力を巧みに使い、攻撃を防ぎ、防ぎきれぬ刀傷でその身を削られ、
 足元を抉り、伏せた花々を解き放ち、雷霆のように走らせながら切って捨てる。
 ――寂しいんだ。寂しくて、誰かにいてほしくて、温もりが恋しくて。
(とんでもない。そんなもの、いっそ死霊の刃に変えてしまいましょうか)
 星守の杖が震える。見えない力がルベルに浸透し、少年は笑顔で記憶を抉った。
 この体が覚えている温もりを、恋しいと思ったその想いすらも杖に捧げる。
 見よ。無数の札が敷き詰められた地面と対になるかのように、
 天井を舞い散る無数の死霊の刃。颯爽と、一斉に、火のごとく敵を斬り裂く。
 ――友達が欲しい。ニセモノでもいい、誰かそばにいてほしい!
(ならば、その思いすらも捧げましょう)
 杖は震える。死霊たちは刃となりて渦巻く。もはや敵を見通すことも出来ぬほど。
「……はて?」
 ルベルは訝しんだ。戦闘中だというのに頬を拭って首を傾げる。
 血ではない。透明だ。……涙? なぜ? 別に苦痛を受けてもいないのに。
 体中は切り裂かれ傷だらけだが、こんな傷はなんら苦しくもない。
 この身にあるのは唯一つ。生命を奪い世界を冒し人々を脅かす邪悪を討つ。
 滅ぼしたい。倒したい。勝利したい。ただその飢えた希求の念だけ。
(ああ。きっと僕はまた、なにかを差し出したのですね)
 まあ、いいだろう。だってもうそれが何かを覚えていない。
 だからルベルは戦える。だからもっと多くのものを差し出せる。
「小僧! 貴様、どれほどのものを対価にしたッ!?」
「さあ? あいにく僕も覚えておりませぬので。さあ、滅びましょう。
 世はなべてこともなし。お前も僕も、どのみち世界には必要ございません」
「小僧ォオオオオオッ!!」
 悪鬼は吠える。いい気味だ。さあ、次は何を捧げてやればいいだろう。
 また頬に違和感を覚える。ならこの涙の暖かさを捧げてしまおうか。
「――惜しくないのでございますよ、僕は」
 浮かべた笑みは、触れれば壊れそうな硝子細工めいて、透明だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ゼイル・パックルード
もはや負け戦なれど、こういうのを敵ながら天晴れ、ってか?
とはいえ……それをうつけと笑えない空気は感じるね
人として生きてるうちにお目にかかりたかったね

まずは見……というよりは待ち
炎の刀は熱に強い鉄塊剣で武器受けする。
見切りも第六感も働かせて、敵の攻撃を受けきることに専念する。
信長からしたら、俺は敵の雑兵の一人。そんなのに時間はかけたくないだろう
より激しく攻めてきたら、それは攻撃の隙であり、おそらく防御よりも攻撃を重視してきたということだろう

多少の激痛には耐性がある
ダメージ受けるくらいは覚悟で、咄嗟の早業のカウンター狙いのUCを打ち込む
戦士の力を身体に宿したが、お前のその眼で俺の技を見切れるかい?



●魔王滅殺:ゼイル・パックルード
 オブリビオンフォーミュラは例外なく強力な存在である。
 その攻撃方法は多岐にわたるが、此度の敵はある意味でわかりやすい。
 つまり、斬撃だ。であれば、ゼイルにとってはその時点でアドバンテージがある。
 絶対先制を約束された状況は、裏を返せば後の先に専念できるということ。
 それらの理由から、ゼイルは自ら打ち込むことなくじっと敵を待ち続けた。
「……儂を前にして辛抱するか。なかなか堪忍袋の緒が丈夫な男よ」
 対峙してすでに5分。信長はあちこちにダメージを負っているが意気軒昂。
 足元に血溜まりを作り、脂汗を浮かべながらも、薄い笑みを浮かべていた。
「無駄口叩いている暇はあるのかね。残り時間も足りなさそうだぜ」
 一方のゼイルも同様。揺れる炎のような静かな笑みで微動だにしない。
 しかし楽なのかといえばそんなことはない。
 一流同士の立ち合いに於いては、こうした敵の動きを読む静寂こそが、
 極度の集中と忍耐を強いる、非常に体力と精神力を要する我慢比べとなる。
 いつどんな時からでも即座に動けるよう、全身の筋肉をスタンバイしたまま、
 神経を張り巡らせ続けるのだ。ゼイルが額に汗しているのも納得と言えよう。
 だが、攻めない。時折言葉を使って敵を刺激し、出方を伺う。それもまた戦いだ。

「……もはや負け戦なれど、いまだ諦観せず、されど悪あがきでもなし。
 こういうのを敵ながらあっぱれ……ってか? 俺の柄じゃあないがね」
 皮肉というわけでもなく、ゼイルは淡々と言った。
「出来るなら、あんたが人であるうちにお目にかかりたかったもんだ」
 そうすればさぞかし、血肉の通った心躍る殺し合いが出来たのだろう。
 大義名分はいくさの後からついてくるものだ。イデオロギーなどどうでもいい。
 確かな実力と、骨身の通った信念を持つ者との殺し合い。ああ、実にいい。
 オブリビオンだから世界を滅ぼすなんていうのよりは、よほど。
「――もったいないね、今のあんたは」
 それは心からの言葉であった。だからこそ、信長にとっては業腹だった。
 人であった頃よりもはるかに強大に、高次の存在に至ったはずなのだ。
 それをまるで、せっかくの利点を捨てたかのように心から惜しまれる。
 忌々しい。雑兵ごときが。激憤に応じて剣先の炎が燃え盛る。
「その大言壮語……己の身を以て後悔せい、小僧ッ!!」
 信長が踏み込んだ。ゼイルは高揚に目を見開き、これを迎え撃つ!

 背中の翼をはためかせ、嵐を起こしながらの疾走。すなわち電撃的速度。
 敵を必殺するための火力強化は、以て防御をおろそかにした捨て身として映る。
 正気ではない。普通は猛攻に対してどう防ぐかを考えるものだ。
 だが、ゼイルは違う。命などここに来た時点で半ば捨てたようなもの。
 ならば己の身を省みる必要なし。だからこそいくさは愉しいのだから――!

 ガァンッ!!

 大型車両同士が猛スピードで激突したような、すさまじい轟音であった。
 振るわれた剣を、ゼイルの鉄塊が受け止める。反動を利用してさらに二度。
 ゼイルはこれを見切り、受け、受け、受け続けた。信長は舌を巻く。
「小賢しいわァッ!!」
 全力にさらに膂力を上乗せした一撃。これだ、ゼイルはこれを待っていた!
(本当にもったいないね。死ってモンをあんたは忘れちまったわけだ)
 不滅のオブリビオンフォーミュラだからこそ、死への恐怖はない。
 だからこうして、己が一撃を受けるだけの隙を露呈してしまう。
 ゼイルは突如身を深くかがめた。敵からすれば姿を消したようなものである。
 そして足腰のバネを使い、すぐさま"浮上"する。視線が交錯した。
「――思い出させてやるよ、"死"ってモノをな」
 悪鬼は嗤った。悪鬼であるはずの魔王はそれに慄いた。
 邪刃一閃。殺気を込めた必殺の一撃は、黒曜石の鎧を断ち切り胴体を斬り裂いた!

成功 🔵​🔵​🔴​

アテナ・アイリス
華乃音(f03169)と一緒に。

さあ、久しぶりに一緒に依頼に行くわね。うふふっ、うれしいわ。

「ブーツ」の力で俊敏に動き回りながら、【武器受け・見切り・第六感・カウンター】を使って攻撃を躱し、どうしても受けざるを得ない攻撃は、【オーラ防御】と「アキレウスの鎧」のダメージ半減効果で攻撃を耐えきる。

耐えきって、華乃音のカウンターが決まった後に反撃するわよ。

UC『ランドグリーズ・ワルツ』をつかって、もう一人の自分を呼び出すわ。
二人で同時に、信長と信玄を攻撃するわ。金と銀、水と炎、光と闇の閃光となって、高速で攻撃するわよ。

後ろから見ててよ、わたしが強くなったところを。あとでちゃんと褒めてよね。


緋翠・華乃音
アテナ・アイリス(f16989)と共に

……さて、久々の共闘だな。
間違って俺を攻撃するなよ?

必ず先手を取られると分かっているのなら何かしらの策は立てられる。
――ユーベルコード。俺はそれを攻撃ではなく回避に使わせて貰う。
後の先――狙うは必撃のカウンター。
勿論それをユーベルコードに頼りきるつもりは一切無い。
常人よりも優れた視力、聴力、直感、今までに培ってきた膨大な戦闘経験全てをただ一撃を避ける為に消費しよう。
【見切り】は確実に攻撃を避け【スナイパー】は確実に攻撃を当てる為に。

So what more can I do?(これ以上、一体何が出来る?)



●魔王滅殺:アテナ・アイリス&緋翠・華乃音
 一心同体。
 猛虎・武田信玄に騎乗した織田信長の動きは、その一語に尽きた。
 憑装とは、おそらくそういうものなのだろう。根本的な一体化なのだろう。
 4、5メートルはありそうな巨大な白虎の質量は、それ自体が脅威であり。
 これにオブリビオンフォーミュラの攻防と判断力、戦略眼が合わさることで、
 いわば一種の兵器と化す。そして、この場は敵の本拠地である。
 時空のねじ曲がった魔空安土城は信長のホームグラウンドそのものであり、
 結果として縦横無尽の蹂躙と、驚異的な機動力を約束する。
「攻める隙が見当たらないな」
 華乃音の声音は淡々としていた。歴然たる事実を言葉にしたまでだからだ。
 そこへ白虎が到達する。分厚い鋼鉄の扉をも両断するであろう爪が振るわれた!
「そんな当たり前のこと言ったって状況は変わらないでしょう!?」
 相変わらずの華乃音の様子に、アテナは半ば八つ当たりめいて吠え返す。
 それ以上揶揄は続かない。二度、三度! 前足が爪を振るい襲いかかるからだ!
 そうとも、たしかに敵の猛攻は著しい。ふたりの予測をはるかに越えていた。
 なお悪いことに武田信玄はあくまで"騎獣でしか無い"ということだ。
「ふん、どうした猟兵、我らの天敵よ! 儂の首級を惜しむてか!」
 猛虎の背にまたがった織田信長は、満身創痍でありながら傲慢に言ってのけ、
 アテナと華乃音を追い詰めるように猛然と大刀を振るい、間隙を奪う。
 いかにふたりが歴戦であれ――だからこそ生き延びているのだが――これは骨だ。
 そもそもここまで凌ぎきっている時点で、ふたりは紛れもない一流と言えよう。

 しかしその猛攻は、裏を返せば敵にとって守勢に回る余裕がないということ。
 つまり、一瞬だ。一瞬の間隙さえあれば、攻勢は逆転する。滅びを与えられる。
「どうするっ? いっそわたしが盾になって――」
「そういう危なっかしい戦い方はよせ。俺の忠告を忘れたのか」
 大きく距離をとったふたりは短く言葉を交わす。どちらかというとぶつけあいか。
 いつかの湖でのひとときを思い起こし、アテナはふっと噴き出してしまった。
「……戦闘中だぞ」
「だって、華乃音が……ふふっ」
 笑いをこらえるアテナの片腕を掴み、華乃音が無理やり後方に跳躍する。

 バギャンッ!! ガラガラガラ……ズズンッ!

 一瞬あと、天井を突き破って出現した猛虎の爪がふたりの元いた場所を抉った。
「戦闘中だぞ」
「わかったわよ! ていうか、わかってたわよ!」
「信用できないな」
「恩を売ろうっていうなら筋違いなんだからね!」
 ぎゃあぎゃあとあれこれ言い返すアテナと、やれやれと受け流す華乃音。
 まだふたりはお互いのペースを失ってはいない。戦場ではいい傾向と言える。
「ハ! べらべらと喋っておる場合か? そら、そら! どうしたァ!!」
 だが魔王は容赦せぬ。爪が、剣が、さらに勢いを増してふたりを追い詰める!
「……いや、逆にそうする手もあるか」
「何? やっぱりわたしが」
「俺が征く」
 華乃音は無造作に前に出た。アテナは一瞬、その光景を夢かと疑った。
「間違って俺を攻撃するなよ。本懐は君に任せる」
 華乃音はそう言って、自ら猛虎と魔王めがけて突き進んだのだ……!

 視・聴・直感。あらゆる感覚と膨大な戦闘経験を、湯水の如くこの一瞬に使う。
 意識が研ぎ澄まされ、敵以外のすべてが暗黒に落ちて視界をクリアにした。
 絶対先制。何をしようとも敵が先手を得る矛盾。後手を強いられる屈辱。
 だがそれにも、やりようはある。華乃音の絶対回避ならばそれができる。
 ……あの時、湖での一時、アテナは自分をあっさり捕まえてみせた。
 それがインスピレーションを与えた。必要なのは覚悟と勇気だ。
(――いつか、あの思い出すらも灰になるのだろう)
 ならば、いま。それを覚えているこの時に命を賭けよう。
 華乃音は全神経を集中させた。すなわち、"猛虎の爪"を絶対に回避するために。
『ゴァウルルルルッ……!?』
 白虎は訝しんだ。獲物を抉り斬り裂くはずの爪が、空を切ったからだ。
 バキバキと虚しく床をかきむしる。目の前に居たはずの男はその真横に。
「これが、俺の武器だ」
 華乃音は淡々と言った。その瞳を、魔王の凝視がぎらりと睨めつけた。
「小賢しいわ、死ねィ!!」
 炯々と瞳を燃やして大刀を振りかぶる。そうとも、これは避けられない。
 だが、"それでいい"。裏を返せば、敵は華乃音に釘付けになったということだ!

「……ちょっと! 人に説教垂れておいて、何よそれはっ!!」
 大刀が到達したまさにその瞬間、激高するアテナが割って入った!
 ひとりではない、ふたりだ! もう一方は対称的な銀に黒の乙女!
 金と銀、水と炎、光と闇。双閃が、隙を晒した信長を猛虎もろとも打ちのめす!
「ぬうううう! おのれ女め、小賢しい!!」
「うるさいわね! ……させないわ。絶対に。それだけは!!」
 "後ろから見ててよ、わたしが強くなったところを。あとでちゃんと褒めてよね。"
 ……だなんて、得意げなことを言ってやるつもりだったのだ。
 それがこのザマか。許せない。許さない! 自分のために彼が犠牲になるなど!
「『わたしの目の前で、そんな光景は起こさせないっ!!』」
 乙女の叫びが重なる。そして激した二刀が、猛虎ごと魔王を斬り裂いた!
「がは……!!」
 そして天魔は見た。後方、傷つきながらも怜悧な面持ちで銃を構える男を。
 切り捨てるか。炎の刀と樹木の翼を生やして対応するか。駄目だ、遅い。
 対応策がない。それにしてもあの男、なんと焦げ付いた眼をしているのか。おお、
「――So what more can I do?」
 静かな問いかけ。答えは求めていない。そんなものは必要ない。
 BLAMN――無音の銃声がたしかに聞こえた。それは死神の宣誓。
 きっと彼女は怒るだろう。無茶をするなと自分を詰め寄るに違いない。
 ……それを、好ましく思っている自分に、浮かべかかった苦笑を押し殺す。
 いずれその思いも、約束も、何もかも裏切ってしまう自分だからこそ。
(あとに残るのは――)
 ……どさり。
 魔王が倒れ伏した時、そこに遺ったのは静寂だけだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​


 我は骸。肉を捨て、骨を棄て、人では到達できぬ域に至りし者。
 魔王の名は僭称に非ず。我は天道に、三千世界に仇なす過去なれば。
 影は払えぬ。闇は殺せぬ。我もまた同じく。我らもまた同様。
 何度滅ぼそうと、我というモノが終わることはない。

 何度でも。何度でもだ。
シーザー・ゴールドマン
天下布武を志していた頃の君が、エンパイアを滅ぼさんとする今の君を見たらどう思うだろうね?
まあ、どうであれ是非もなしだ。決着をつけようか。

衝撃波(×属性攻撃:炎×範囲攻撃)を床に放って戦場を火の海に。
同時に魔力で質量を持たせた複数の分身(残像)を流水の如き動きで展開。
炎と分身で信長を惑わし、彼の攻撃を直感と経験(第六感×見切り×戦闘知識)で見極めて回避あるいは受け流してUC発動までの時間を稼ぐ。

UC発動の準備が整ったら、『ウルクの黎明』を発動。
音速を優に超える深紅の閃光と化して信長に突貫。
すれ違い様の一撃で斬り裂きます。
(先制攻撃×見切り×怪力×鎧砕き×なぎ払い×空中戦×ウルクの黎明)



●魔王滅殺:シーザー・ゴールドマン
 オブリビオンは、例外なく世界を憎悪し生命を嫌悪する。
 過去にどういう人生をたどったか、どんな人格をしていたかは関係ない。
 すべて、皆、必ずそうする。そうなる。そういう"モノ"なのだ。
「これは酔狂で聞くのだがね、虚しくなったことはないのかな?」
 極限の緊張が張り詰めたなか、シーザーは世間話めいて問いかけた。
「天下布武を志していたかつての君が、いまの君をみたらどう思うだろうね。
 国を、世界を支配するのではなく、このエンパイアを滅ぼそうとする魔王の姿を」
「……情に訴えかける、などとたわけた考えなわけでもあるまい」
 魔王はうっそりと言う。シーザーはあるかなしかの笑みを浮かべるだけ。
 オブリビオン相手に説教など、狂った博愛主義者のようなことをこの男はしない。
 言葉通り、徹頭徹尾ただの酔狂で問うたまでのこと。
「ならば貴様にもわかっていよう? 儂の答えは」
「――"是非もなし"、か。ふふ、まあ、そうだろうな」
 シーザーは笑う。何がおかしいのか。魔王もまた、笑う。
 互いにくつくつと肩を揺らし、そしてどちらともなく言った。
「始めるとしよう」
「応」
 どろりと大気がゼラチンめいて濁る。あまりにも自然な殺意への移行。
 ここに人はいない。あるのはただ、対極した立場に身を置くふたりの"魔王"だ。

 そして前触れもなく、両者の対峙する床が燃え上がり、一面が火の海に変わった。
 シーザーの魔力によるものである。信長が訝しむこともない。
 さらにシーザーは余剰魔力を複数の分身とし、これをけしかける。
 なだらかな流水の如き挙動。信長は、無造作に大刀を一閃した。
 ごおう――炎を消し飛ばし、残像を軒並み切り払う剛剣である。
 生まれた空白はすぐさま炎に埋められ。シーザーはなるほど、と首肯する。
「天魔を名乗るだけはある」
「誹るか、儂を」
「とんでもない。――試しただけだよ」
 魔王の剣が燃えた。めきめきと音を立てて樹木の翼がねじくれ生える。
 はばたき。嵐を起こし炎を揺らしながら、魔王がすさまじい速度で飛来。
 シーザーはこの一撃を受け、激甚たる衝撃に床を削りながら後退する。
 その体から新たな残像が複数出現。数は倍! 再び魔王に襲いかかる!
「儂には通じぬぞ、小癪ッ!!」
 ひとつ、ふたつ、みっつ! 分身を切り払う稲妻の如き剣閃!
 そして四つ――しかしそれがシーザーを斬り捨てることはなかった。
(儂が目算を誤っただと?)
 魔王は瞠目した。シーザーは――炎の太刀の間合い、その一寸先にいた男は、
 ただ薄く笑った。それが両者を分かつ明確な差であった。
「では、こちらもお手並みを披露しよう。楽しみたまえ」
 消えた。否、そうと錯覚するほどの速度で、踏み込んだのだ。
 深紅の閃光は帯を流しながら魔王へ迫り、脇を抜け、はるか背後で停止する。
「……がはッ!!」
 信長は膝をついた。黒曜石の鎧をも断ち切るウルクの黎明!
「"魔王"を名乗るその重み、いまの君ははたして真に理解しているかどうか」
 振り向いた男の笑みは、まるで人の笑みをしていなかった。
 それはむしろ――お伽話の、魔王のように恐ろしい。

成功 🔵​🔵​🔴​

フェルト・フィルファーデン
ふふっ、最後まで諦めないその姿勢、わたしは好きよ?でもね……アナタの野望は叶わない。


隙を作る為虎の大きな体躯を利用するわ。
【フェイント第六感野生の勘】を併用し攻撃に備えつつ敵から一定の距離を取り逃げ腰なフリで【挑発】よ。
距離を詰めて来たら【早業二回攻撃薙ぎ払い】で予め床に切り込みを入れたその場所に誘導。足場を崩し隙を作るの。

その隙にUC発動。兵士を呼び出し共に戦うわ。
半数は盾と槍を構え共に来なさい。残り半数は後方から【援護射撃】を頼むわね。
わたしと騎士達が先陣を切るから【盾受けカウンター】で守りつつ突撃よ!
最後は【激痛耐性捨身の一撃】で確実に勝利を掴む。


……敵でなければ、話してみたかったわね。



●魔王滅殺:フェルト・フィルファーデン
 フェアリー。体長30cmにも満たない、小さく、可憐で、か弱い種族。
 多くの場合、その小さな体は人間社会で生きるには不都合になるものだ。
 だが役に立つこともある――巨大な敵を相手に逃げ回るときなどはまさにそう!
「あらあら、どうしたの? わたしはこっちよ! ふふっ!」
『ゴァウルルルルッ!!』
 ひらひらと舞い踊るように、そしてからかうような声音とともに、
 フェルトは魔空安土城の迷路じみた廊下を飛び、ひたすら逃げ続ける。
 猛虎・武田信玄は、正気を感じさせない形相でよだれを垂れ流し、
 哀れな獲物を追いかける肉食獣めいてフェルトを猛追する!
「ええい、塵芥のような矮小な存在が……儂を謀るかッ!」
 騎乗した織田信長も、決して攻撃を届かせないフェルトの振る舞いに苛立つ。
 武将としての戦略眼は、あれが間違いなく罠にかけるための誘いと見抜いている。
 見抜いては、いる。しかしそれで冷静に判断できるならば簡単な話だ。
 オブリビオンにとっての天敵が、ましてやあんな小さな小娘ごときが、
 この第六天魔王、フォーミュラたる己を嘲笑い、逃げ回り、惑わそうとする!
 そのふるまいが忌々しい。引き裂いて斬り裂いて殺し尽くさねばならぬ。
 生前の織田信長ならば、冷静に兵を指揮して包囲し対応したことだろう。
 だがここにいるのは、強大だがそれゆえに隙のある第六天魔王なのである……!

「……ええ、本当に残念。アナタはきっと立派で勇敢な将だったのでしょうに」
「『!?!?』」
 追い詰めたと思った先。襖を斬り裂き飛び込んだ大広間。
 頭上から聞こえてきた声に、信長と信玄は弾かれたように上を見た。
 ひらりと舞い降りたフェアリー……フェルトが、頭を振る。
「ぜひともお話してみたかったわ。本当に――残念でならないの」
 直後、ズシンッ!! 足場が砕け崩落する。あらかじめの切り込み!
「小娘、貴様ッ!!」
「けれどいまのアナタはもう違う。たとえ最期まで諦めないとしても!」
 悪鬼の形相を浮かべる信長めがけ、騎士たちが、兵士たちが槍を構える。
 白虎は悪あがきめいて爪を振るう。無駄だ。堅牢な盾は姫を傷つけさせぬ!
「アナタはもはやただの残骸。だから、この城で滅びてしまいなさい!」
「小娘がぁあああああっ!!」
 フェルトは表情を翳らせた。あれは影だ。ありえた己の未来だ。
 国の亡びを受け入れて心折れた己のイフの姿――。
 悲しむ姫からその姿を覆い隠すかのように、兵たちの槍が魔王を貫いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

神元・眞白
【WIZ/割と自由に】
こんにちわ大魔王。…ううん、こっちの話。鎧がとても素敵。
こんな場でなければゆっくり話をしたかったけど、残念。
立ち話もなんですから、後はお互いにやる事をやりましょう。

こちらは返しの動きが多い分、先に動いてもらえるなら重畳。
飛威、符雨、まずは待機。私が先導する分タイミングを見て躊躇せずに行って。
相手の騎馬隊の間に紛れる様に一旦割り込み。その後でリフレクション。
視界が開けたら散開。時間差で2人は攻撃を。飛威、ユーハブ。
2人から1つずつ武器を借りて、私もタイミングを見ながらリフレクションを合間に。
人形使いが人形を使わないといけない……っていうのは固定観念。飛威、アイハブ。



●魔王滅殺:神元・眞白
 無数の武田騎馬軍団が、時空のねじれた魔空安土城を駆け抜ける。
 響くのは精強無比な兵士たちの鬨の声、そして馬のいななきと蹄の音。
 対する眞白は、あろうことか戦術器たちよりも前に出ているではないか。
「飛威、符雨。もう一度言うけど、最初は待機していて」
 物言いたげな戦術器たちの視線に、眞白は無表情のまま頷く。
「私が先導するぶん、タイミングを見て躊躇せずに。思う存分やって」
 ……人形遣いでありながら、人形ではなく自分が前に出る。
 同じミレナリィドールとして戦術器たちを差別しない、眞白らしい戦法だ。
 しかし敵は五百以上。まず三体めがけ、無数の弓矢が飛来した!
「じゃあ、行ってくる」
 眞白は飛威と符雨の援護攻撃に矢の対応を任せ、躊躇せずに疾走する。
 流れ弾ならぬ流れ矢が体をかすめてボディを傷つけても気にしない。
 そして殺到する騎馬隊と衝突……剣が、槍が! その躰を切り裂こうと振るわれる!
「愚かな! 痴れ狂ったか小娘よ!」
 そのさまを第六天魔王は、はるか後方から見物し呵々大笑した。
 何を狙っていたのかはしらないが、あれは完全な自殺行為である。
 仮に無事だったとしても重傷は免れまい。なにせ武田騎馬軍団は精鋭揃いだ。
 そう、精鋭揃い……では、その騎馬隊をそのままお返ししたとしたら?
「何ッ!?」
 おお、見よ! 騎馬隊のど真ん中から、同じ数の騎馬隊が出現した!
 ミレナリオ・リフレクション。軍勢の只中で用いるという変則的対応である!
 軍勢と軍勢がぶつかり合い空白が生まれる。ボロボロになりながらも眞白は健在!
 そして同時に、待機していた戦術器たちによる一斉攻撃が降り注いだ!
「ちぃ……小賢しい!」
 信長はそのほとんどを大刀で迎撃。だがたしかにダメージは通っている。
 眞白は飛威と符雨からそれぞれの武器を受け取り、ふたたび信長めがけ走る。
「木偶人形ごときが! 小賢しいわ!!」
「人形が人間に反逆しちゃいけない、なんてのは固定観念でしょう」
 BRATATATATAT……! 捨て身で放たれる弾幕が、大鎧を貫通し信長を穿った。
 たとえ表情に現れずとも、眞白もまた必滅の決意を背負った猟兵なのである!

苦戦 🔵​🔴​🔴​

メンカル・プルモーサ
……さて…強敵だけに油断はならない…
…召喚されるのは騎馬軍団…とは言えここは屋内…
…騎馬の本領が発揮される突撃ルートは制限される…
なので、そのルートの床に遅発連動術式【クロノス】により『踏んだら』発動する拘束術式をしかけ、騎馬の転倒を狙うよ…
騎馬の弱点は急に止まれない、そして…転倒したら後続が巻き込まれる…
…跳んで回避しようとする馬は光の術式で撃ち落とす……

……騎馬を処理したら信長への対処……
【空より降りたる静謐の魔剣】を発動……軌道を操作出来る氷の魔剣召喚、全周囲から信長へと殺到…その中でいくつかの剣を『弾かれた』ふりの軌道を描かせ、再び信長へと襲いかからせるよ…



●魔王滅殺:メンカル・プルモーサ
 いかに魔空安土城が時空間的に"歪んだ"場所であれ、屋内は屋内である。
 仮にその騎馬軍団を完全に展開できたとしても、地形的な制限は確定される。
 歴戦の猟兵であり優れた科学者でもある"トリニティ・ウィッチ"からしてみれば、
 敵が取りうる突撃ルートを計算・予測することは赤子の手をひねるより容易い。
「……遅発連動術式、刻印完了。うん、準備はおっけー……」
 連なる大廊下、さらに無限めいて広がる大広間や天地が逆転した部屋など、
 周辺空間の突撃ルートはメンカルの支配下に置かれた。
 そして彼女が準備を終えたまさにその瞬間、ずしんと城内が揺れた。
「……来たか……」
 地震? 否である。それは、無数の騎馬隊が踏み鳴らすことで生まれた地響き。
 遠雷のように、やがて潮騒のように近づいてきたのは、五百以上の鬨の声。
 馬のいななき、蹄の音。すなわち、精強なる武田騎馬軍団の先触れである――!

「ハァハハハハハ! 次の相手は貴様か、小娘よ!」
 騎馬隊のはるか後方、超常的な力で浮遊する織田信長が呵々大笑した。
 あちこちにこれまでの戦闘による傷を帯びているが、なお意気軒昂。
 いやむしろ、負傷したことでさらにその戦意は高揚しているようにすら思える。
 さすがは戦国武将というべきか。あるいは、それが第六天魔王の歪みなのか。
 この"いくさ"こそが、その血を煮え立たせ生の実感を与えているらしい。
「たかがひとり、この武田騎馬軍団を前に如何とする? さあ見せてみよ!!」
「……どうして、私が敵の言うとおりにしなきゃいけないの……」
 メンカルの答えは短く、そして決別的だ。いちいち流儀に従う必要はない。
 そもそも魔女のやり方は、戦国武将のように派手派手しいスタイルでもない。
 敵が姿を現し襲いかかったときには、すでに布石は済んでいるのだから。
 そして狙い通り、戦闘の騎馬武者たちが術式を踏む。刻印が淡く輝く。
 不可視の拘束術式に前足を絡め取られた軍馬は、勢いそのままにつんのめる!
「なんだ? 何が起きた!?」
 がらがら、どたどたと音を立て、精強なる武田騎馬軍団が総崩れした!
 敵も即座に状況に対応し、斃れた先頭を跳躍することで乗り越えようとするが、
 それを座して見ているメンカルではない。無数の光弾をぶち当てるいい的だ!
「罠か!? だが、ユーベルコードで生み出した騎馬軍団を捕らえるなど……!」
「……私の"クロノス"は、ユーベルコードを封じる術式……つまり、特効ってこと」
「おのれ、小娘ぇ!!」
「――いまさら私を狙ったって、遅い」
 ぱきぱきとメンカルの周囲の水分が凝固し、250近い氷の魔剣を生み出した。
 それらはまったく別々の方向から、まったく別々の速度で飛来し、軍勢を、
 その奥に座する信長を包囲し、縦横無尽に飛び交い切り刻むのだ!
 信長は大刀を振り回しこれを迎撃する。メンカルはそれすらも見越していた。
 わざと弾かれたような軌道を描き、敵の死角から次々に斬りつけるのだ!
「がはっ! お、おのれ……!!」
「……たしかに強敵。けど、所詮はもう滅びた大昔の武将……」
 メンカルは静かに言う。メガネのレンズが、白く不穏に輝く。
「……知識は、技術は進歩し続ける。それを研究することが、私の生き甲斐だから」
 魔女の力は、多くの世界の人々が長い時間をかけて築き上げた技術そのもの。
 すなわち、生きる者が積み上げた時間の力。それが過去を圧倒するのだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​

有栖川・夏介
※アドリブ歓迎

臆せず、油断せず。気を引き締めて参ります。
処刑人の剣を握りしめて覚悟。

敵の攻撃を第六感で予測しつつ、見切りで回避。
回避が間に合わない場合は、剣で受けて力で押し返す。
それでも受けてしまう傷は耐えて、でも決して退かない。
「……倒れるわけにはいかないので」

敵の一瞬の隙をついて【血を欲す白薔薇の花】を発動。
信長にむけて花びらを放つ、と同時に駆けて信長との距離を詰める。
懐の匕首を取り出し、差し違える覚悟で捨て身の一撃。
狙うは急所。傷口をえぐる。
「さよならの時間です」



●魔王滅殺:有栖川・夏介
 猟兵はこれまでに二度、強大なオブリビオンフォーミュラを滅ぼしてきた。
 だが夏介個人がそれと相対するのは、今回の戦いが初めてのことである。
 強敵であることはひしひしと感じていた。転移後、それは皮膚感覚となる。
 城全体に立ち込める瘴気。常人ならば耐えられぬほどの威圧感。
 処刑人は臆することなく、油断することなく、改めて気を引き締め機を待つ。
 闇雲に徒党を組んで飛び込んだところで、それは逆に一網打尽にされてしまう。
 各々が最大の効率でユーベルコードを叩き込む、波状攻撃こそが功を奏す。
 十分に理解している。ようは、やることは魔軍将との戦いと同じなのだ。

 ……だがその眼の前に、五百を超える騎馬軍団が現れたとあっては、
 どれほど気を引き締めていたところで驚愕させられてしまう。
「これが憑装、他のオブリビオンの力を己のものとする秘術なのですね。
 ……いいでしょう。ならば、それを掻い潜って一撃を叩き込むのみです」
 無数の鬨の声と、蹄の音、そして泡を吹く馬のいななきが夏介を迎える。
 握りしめるのは処刑人の剣ただひとつ。それは絶望的な戦いだった。

 ……降り注ぐ矢、突き出される槍、そして振り下ろされる剣の群れ。
 これらを相手に己の第六感を研ぎ澄ませ、全反射神経で四方の動きを見切り、
 それでも避けきれない攻撃を受け止め押し返した夏介の奮戦は、見事。
 しかし数の差は圧倒的である。騎馬軍団と交戦するたびに傷は増え続け、
 信長の前に立った時、両者はともに同じ程度の重傷を帯びる有様だった。
「……見上げたものだ猟兵よ。それほどの傷でなお儂の前に立つか」
 あちこちに裂傷を負い、並のオブリビオンなら三度は滅びているだろう傷で、
 第六天魔王はその威風を保ったまま屹立している。
 対する夏介はどうか。全身いたるところに刀傷や槍や鏃による杙創まみれだ。
 立っているのも不思議な有様。それでも支えなしに、彼は立っている。
「問おう。何が貴様をそうさせる。意地か。矜持か。義務感か?」
「……仕事、ですから」
 夏介は苦痛すらも面に出すことなく、静かな声で言った。
「斃れるわけには、いかないんです。何があっても、誰が相手でも」
 それは強迫観念や妄執めいてすらいた。魔王はもはや何も問わぬ。
 大刀を構え、相対する。夏介は――己の剣を、無数の白薔薇に変化させた!
「薔薇だと? こざかしい。この程度で儂を討てると思うて――」
「……いませんよ」
 然り。大刀に薙ぎ払われたそれは布石。目眩ましに過ぎない。
 夏介はすでに懐の裡。手にした匕首を両手で握りしめ、倒れ込むように一歩。
 罅割れた鎧の一点を狙い、さらに一歩。魔王は何かを叫び、刀を振るった。
 ぞぶりと、恐ろしい大刀が夏介の脇腹を抉る。……さらに、一歩!
「がはっ!!」
「滅んでください。あなたはもう、さよならの時間です」
 刺し違える覚悟の一撃。匕首はたしかに魔王の肉体を貫いていた。
 未だ滅びは至らず。されど、その一撃はたしかな後押しとなる……!

苦戦 🔵​🔴​🔴​

蘭・七結
トモエさん/f02927

火炎宿す一閃を見切り躱し
巻き起こる嵐は黒鍵の刃にて薙ぎ払う

この戦へと幕を降ろすわ
嘆きも憂いも払ってみせましょう
柘榴石の輪に口付けを落とし
〝かみさまの言うとおり〟

早業で『彼岸』と『此岸』を抜刀
オーラ防御を纏い間合いを詰めて
第六感で周囲に警戒をしつつ
地形を利用しながら最短をゆくわ

黒曜の隔てを破るもの
あなたの放つ力を
あなたの持つ心を
ナユは信じているわ
ねえ、トモエさん
あなたの咲かせるお花
もう一度、みせてちょうだい

あなたを
あなたの世界を
ナユの愛するこの国を
護ってみせる

ナユが魅せるのは刀技だけではなくて
とっておきの毒、味わってちょうだい
猛毒を纏った双刀
捨て身の一撃にて双閃を降らせる


五条・巴
七結(f00421)と

君には白虎がいるのか
それなら僕はこの愛しいライオンと共に戦おう
「フェイント」をけしかける等してこちらに「おびきよせ」て交戦
さあ、僕を見て?
それから、君に向けたこの華を、受けとってほしい

Edelweissが扱うのはホローポイント弾
君と触れ合って華開く、美しい弾丸だろう?

おびき寄せたら「クイックドロウ」「2回攻撃」を利用して虎の目や肢体を狙い、瞬時に距離をとる
そして狙いはもう1つ
信長の硬い甲冑の隙を
虎に避けられたとしても、こちらが上手く行けばそれでいい
全て避けている暇なんて与えない
隙が作れたら後は七結が幕を下ろしてくれる
ああ、アンコールはいらないから安心して舞台を降りてくれ



●魔王滅殺:蘭・七結&五条・巴
 オブリビオンは、大抵の場合現世における記憶を保持しない。
 例外はあるかもしれぬ。だが骸の海から現世にコピーされた実体の記憶が、
 骸の海に戻ることはない。オブリビオンフォーミュラとてそれは同じだ。
 ……裏を返せば、"そういうモノ"として骸の海に生じた時点から、
 どれほど強大であろうと、オブリビオンは本質的に進化することもない。
 学習することも、反省することも、何かを理解することも、ない。
 己が死者であることを前提とする不滅は、はたして本当に不滅なのか。
 ……滂沱の血を全身の傷から流し、彷徨い歩く第六天魔王の姿を見れば、
 誰もがそんな感傷に浸ってしまうことだろう。もはや、敵は満身創痍である。

 ……だが目の前に立つふたりの男女に相対した時、魔王はぎしりと笑った。
「猟兵よ。我らの天敵よ。儂は嬉しいぞ。貴様らは儂を討たんと次々挑んでくる。
 つまりはいくさだ。これこそ儂の求めた乱世ぞ。愉快だ。実に愉快よなあ!」
 哄笑する魔王の全身……その傷口から地獄めいた炎が噴き出すと、
 大蛇のようにのたうつそれらは、やがて大刀を包み燃え渦巻く嵐となる。
 背中からは急速に成長した樹木の翼がめきめきと音を立て、異形の翼を形成し、
 罅割れた鎧は炎の熱によって融解し、互いをいびつに繋ぎ合わせてしまった。
 冷え切った鋼は、黒曜石――オブシディアンの深い黒を孕む。
「ねえ、トモエさん。あの人は、とても楽しそうだけれど――」
「……ああ。不思議だね。僕らの目には、ちっとも愉しそうに見えない」
 七結の言葉に、巴は表情を変えぬままに言う。がらんどうめいた魔王を見やり。
「あんなものに、僕の世界を奪われたくはないな」
「ええ。ナユの愛するこの国を、もう侵されたくはないわ」
 オブリビオンは過去の残骸。生者を、世界を憎む絶対敵である。例外はない。
 ……だからこそふたりの目には、魔王の有様は、空っぽに映ったのだろう。
「信長。あいにくだけれど、もう舞台の幕はとっくに降りているんだ。
 アンコールはいらない。だから、安心してこの舞台から降りてくれ」
「笑止! いくさは終わらぬ。儂は滅びぬ! この世界を破壊し尽くすまで!」
「――いいえ、いいえ。あなたは滅びるわ。ここでもう一度、そして永遠に」
 儚い呟きとともに、七結は柘榴石の輪に、そっと口づけを落とした。
 もはや言葉はなかった。互いに相容れぬ存在であり、必滅を願うのならば。
「滅ぼしましょう」
「滅ぼしてしまおう」
 ――もはや、その全力を以て戦い、滅ぼし合うほかにないのだ!

 しかして、あれほどの傷を受けてなお、第六天魔王はなお強大であった。
 あるいは追い詰められたことで昂ぶった高揚が、その実力をさらに引き出したか。
 翼の起こす嵐を後に引いて飛びかかり、燃え盛る大刀で壁ごと灼き尽くす。
 凄絶極まる速度の連撃の前に、七結がその双眸を染め上げる間隙すらもない。
 見切り、躱そうと願った程度で凌げるほど、魔王の剣は甘くはない。
 ましてやそこに、猛虎と化した武田信玄の爪と四肢が合わさればどうなるか。
『ゴァルルルルルッ!!』
「もはや正気も喪ったんだね。哀れな」
 巴は淡々と言い、その目を……あるいは四肢を狙い、銃弾の華を咲かせる。
 絶対先制。それは、敵が必ず先んじてユーベルコードを用いる悪魔的矛盾。
 宵の明星が照らし出す美しき半身を呼ばうには、一瞬の間隙が必要となる。
 つまり機動力において、巴は先を行かれた。銃弾で注意を惹きつけたなら、
 必然、電撃的速度で獣は飛びかかり、強靭な爪を以て巴の体を引き裂くのだ。
 BLAM、BLAM! 射撃反動に乗り巴は後方跳躍。遅れて血の華が虚空に裂く。
 やられた。胴体に爪撃一閃。巴はしかし表情を変えることなく着地した。
「僕を見てくれたね。なら、それで十分だ。君は、もう――」
「小賢しいわ! その首級、我が剣に斬られる栄誉に浴せ、猟兵ッ!!」
 猛然たる魔王の憤刃! だがそれを――がぎん!!
「ぬうっ!?」
 鮮明な猩々緋に双眸を染めた七結、その双刃ががっきと受け止めていた。
 彼岸。此岸。そう名付けられた二刀を以て、しっかりと。はっきりと。
 あまりにも疾い。削られた床を最短最速で踏み出した鬼の脚力である。
「"かみさま"――」
「この娘……羅刹か!? いや、違う! これは……ぬおおおっ!!」
 祈り乞うような声音。反面、七結の斬り込む速度、威力は異常に疾く重い。
 信長は守勢に回らざるを得ない。巴を仕留めに行くことが出来ない!
「……華を、見たいのかい。七結」
「ええ。トモエさん。あなたの咲かせる華を――見せて」
 BLAM、BLAM! 巴は何も言わず、己の愛銃のトリガを引いた。
 がぎ、がぎん! 受け太刀の隙間を通り抜けた弾丸はしかし鎧に阻まれる!
「何を小癪な――」
「"綺麗な薔薇には棘がある"と云う言葉を知っているかな」
 巴は謎めいて言った。
「けれど彼女の場合は、そうだね……"綺麗な華には、毒がある"だろうか」
 信長は訝しみ、そして瞠目した。薄く笑う七結の表情を見た。
 その双刀。ぽたり、ぽたりと滴るのは花の蜜。否……毒である。
 猛虎が吠える。その牙を通すまいと己の爪で以て鬼を斬り裂いた。
 だがもはや、止まらぬ。弾丸が致命打を防ぐ。そして七結は。
「――味わってちょうだい。存分に、滅びるその時まで」
 必滅の猛毒を帯びた双刃を、己の傷を憂うことも、厭うこともなく突き刺す。
 罅割れた鎧の結節点。弾丸の華がこじ開けた間隙に。えぐりこむ!
『ゴァル……ガァウッ!!?』
 なおも足掻く白虎めがけ、輝くようなたてがみのライオンが飛びかかった。
 では信長はどうか。何か罵詈雑言らしきものを呻きながら、よろめき、喘ぐ。
「……バカな……」
 土気色の肌で泡を吹く魔王が最期にこぼしたのは、あっけない一言だった。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​


 是非もなし。我が身が滅ぼされたならば、ふたたび立ち返りいくさを続けるのみ。
 儂が感じた痛みも、苦渋も、新たな儂にとってはなんの痛痒にもならぬ。
 天魔は滅びぬ。無駄だ、何もかも。何もかもな。
トゥール・ビヨン
アドリブ歓迎
パンデュールに搭乗し操縦して戦うよ

決着をつけよう、魔王・信長
キミを倒して、サムライエンパイアのみんなを守ってみせる!

白虎に騎乗した織田信長を倒すには、先ずあの武田信玄をどうにかしよう
こちらに向かってくる敵をドゥ・エギールでの武器受けでいなしながらフェイントを織り交ぜ隙をうかがう
一緒に戦っている仲間がいるなら彼らと協力して、ボクがかばいながら時間稼ぎを行い敵をひきつけるよ
仲間が上手く攻撃に移れたら、その隙を突いてシステム・パンデュールを機動
高速移動で白虎の背後に回り込み2回攻撃となぎ払い使いながら目にも止まらぬ斬撃で武田信玄を討つ!

将を射んと欲すれば先ず馬を射よ、これがボク達の力だ!


上崎・真鶴
敵が仕掛けてきたタイミングで金剛灼杵の光刃を長く伸ばし、突いたり薙ぎ払ったりすれば多少は意表を突いて足止めにならないかな
それを避けたり受けたりした敵の動きが少しでも中断されたら、その隙に【鉄壁】を使って炎の刀も嵐も受け止めるよ
あたし自身がまともにやり合うつもりなら、この程度じゃ時間稼ぎにならないかもしれないけれど、受け止めるだけならこれで十分
敵があたしを攻撃してる間に、他の誰かが攻撃してくれればいい
あたしは仲間の盾になって守ったり攻撃の機会を作ったりに専念しようと思う
後は【鉄壁】中で動けなくても、金剛灼杵の光刃を伸ばして牽制する位なら出来るかも

強い人は他に幾らでもいるし、多分その方が確実だよね


メイスン・ドットハック
【SPD】
さすがに第六天魔王は粘り強いのー
なら甲斐の虎ごと、撃ち抜く他なさそうじゃのー

先制攻撃に対し、電脳魔術で空間を【ハッキング】し、情報感知網を設置
入ってきた敵に対して【情報収集】を行い、それに対して攻撃に軌道計算をして行動を予測
その予測結果をもとにして、【視力】【第六感】を駆使して信長・信玄の攻撃の回避に徹する
避けるばかりではなく、リソースに余裕があれば、電脳地雷を設置して【足止め】を狙う

先制攻撃後は、UC【星の海を制覇せし船】を発動、大型宇宙戦艦を呼び出す
城内・狭い場所なので辺りの地形を破壊しながら、信長のバランスを崩す
その隙に戦艦の全火力を持って【一斉発射】攻撃する

アドリブ絡みOK


館野・敬輔
【POW】
アドリブ連携大歓迎

くっ…
信玄は三方ヶ原で復活を阻止したはずなのに!
不完全な蘇生なだけましか…

僕の取り得る戦術では風林火山を妨害するのは厳しい
強化後に接近して叩き斬るしかないな

予め何を重視して強化したかを「視力、情報収集、戦闘知識」で観察、見極める
攻撃力重視なら刀の軌道や信玄の動きに注視し、攻撃されたら「第六感、見切り、残像」で全力で回避
それ以外なら回避か「オーラ防御、武器受け」で黒剣で受け、軌道を逸らす

接近出来たら攻撃を掻い潜りつつ懐に飛び込み
密着状態から「2回攻撃、怪力、鎧砕き」+【憤怒の解放・両断剣】
右の青目を光らせ幻惑しながら斬る!

オブリビオン・フォーミュラよ
この地に沈め!



●魔王滅殺:輝くは炎と光
 エンパイアウォーに先立って争われた『寛永三方ヶ原の戦い』で、
 猟兵たちは武田信玄のオブリビオン化を阻止することに成功した。
 それは此度の戦争において大きなアドバンテージとなったのだが、
 どうやら織田信長の秘術『魔軍転生』は、不完全ながらその魂を呼ばうらしい。
 目の前の光景がその証明だ。風林火山を体現する信長の異形化!
「く……っ、これが"憑装"……なんて力だ、第六天魔王……!」
 対峙する青年、館野・敬輔は、オブリビオンフォーミュラの底知れぬ力を怖れた。
 絶対先制のルールのもとでは、そのユーベルコードを妨害することも不可能。
 現にいま、眼前の魔王は恐るべき力を手にしてその威風を増している。

「ハッ! 先ほどまでの威勢はどうした。儂を討つのではなかったか?」
「もちろんそうさせてもらうさ……これ以上、お前を好きにはしない」
 愛用の黒剣を構え、腰を落としながら、敬輔は接近手段を思案する。
 問題は信長が利き手に持つ、あの大刀――炎を纏う異形の刃だ。
 燃え盛る刃のリーチは、強化前に比して圧倒的に増大し、切れ味もおそらく同様。
 かといって遠間に逃げようとすれば、樹木の翼で猛加速してくるだろう。
 そもそも、剣技を主体とする敬輔のスタイルでは、遠距離戦は向いていない。
 つまり、こちらの間合いに踏み込むには、最低一度は敵の攻撃を許すことになる。
 受けるか、避けるか、あるいはいなすか……おそらく、どれも至難。
(仕損じれば命を落とす。仮に近づけたとして、今度はあの鎧か……)
 分厚いオブシディアンの鎧は、冷えた溶岩めいて黒々として堅牢だ。
 仮に信長が防御力を重視していなかったとしても、先ほどよりは明らかに上。
 魔王の攻撃を凌いだ上で、有効打を撃ち込めるか……正直、怪しいところだろう。
 となれば、ユーベルコードによる超強力な一撃を叩き込むしかない。
 ――そしてそのためには、30cmという超接近距離への踏み込みが必須となる。

 全神経を集中させ、己の持ちうる全ての力を使ってようやく一撃凌げるかどうか。
 もしも攻撃が二度来たとすれば……敬輔は頭を振って最悪の想像を振り払う。
(敗けられない。この戦いは、絶対に!)
 サムライエンパイアを救うための大一番。ここが最後の踏ん張りどころなのだ。
 敬輔が決死の覚悟を決めようとしたその時――魔王が、にやりと笑った。
「来ないのか。ならばこちらから参るぞ」
「――!!」
 颶風が吹いた。直後、嵐を伴い信長は眼前に瞬間移動している!
 いや、違う。そうと錯覚してしまうほどの驚異的踏み込みで間合いを縮めたのだ!
 疾すぎる。これがオブリビオンフォーミュラの力量だというのか!?

「……法力招来! 金剛灼杵よ、伸びて刺され!」
 そこで、突如として新たな若い少女の声! そして刃が大気を斬る風鳴り音!
 敬輔の真横をくぐる形で突き出されたのは、光の刃を伸ばした五鈷杵である!
「ぬうっ!? 小娘が、小賢しい……ッ!!」
 ガギンッ!! 光の刃は黒曜石の鎧を捉え、さらに吹き飛ばす。
 敬輔を両断しようと、大刀を両手持ちで振り上げていたのが災いした形だ。
 大きく間合いを離した信長と敬輔の間に、声の主である少女が割り込んだ。
「……君は?」
 青年がぽつりと漏らした誰何に、和装の少女は莞爾と笑って振り返る。
「上崎・真鶴! 頑丈さだけが取り柄の、通りすがりの猟兵だよ!」
 気っ風のいい口調で真鶴は言い、敬輔が年上らしいと気付くとはっと我に返る。
「っと……猟兵、です! ええと、はい」
 戦闘中だというのに雑にかしこまる様子に、敬輔は思わず噴き出しかけた。
 そして、ここが戦場だということを思い出し、ふたりして顔を引き締める。
「信長の攻撃はあたしが受け止める。だからその間に、あなたが」
「……いや、どうやら二対一で形勢逆転、とは行かないようだ」
 敬輔の深刻な面持ちを訝しむ真鶴。だが、すぐにその理由を理解した。
「是非も無し。ならば、儂もまた人馬一体……否、人"虎"一体にて相手しよう。
 ……信玄よ! 我が走狗となりて、城を駆けよ。儂の敵を引き裂く爪となれい!」
 信長の大音声に呼応するかのように、白虎のすさまじい咆哮が響き渡る。
 おお……あれが甲斐の虎の末路だというのか! それは正気を失った獣!
 十尺をゆうに超えるその巨体に、信長はひらりと跨り……悪鬼の笑みを浮かべた!

「……む」
 一方、魔空安土城のとある大広間。
 時空間のねじれにより無限のように広がったその中央に、ぽつんと少女がいる。
 彼女の名はメイスン・ドットハック。クリスタリアンの電脳魔術士だ。
 生粋のひきこもりにして面倒くさがり屋なメイスンだが、そこはそれ。
 なんやかや戦いに駆り出され、一応真面目に戦い続けている歴戦の猟兵である。
 さて、そんなメイスンだが、どうやら得意の電脳魔術で裏工作をしているらしい。
 周辺の空間そのものをハッキングすることなど、電脳魔術ならば容易である。
 ましてや、あの銀河帝国が生み出した"悪夢の機械"すら分析せしめたハッカー、
 そんな彼女の手にかかれば赤子の手をひねるよりも簡単、というやつだろう。
「さっそく反応ありじゃのー……でも猟兵の生体反応もあるんじゃが、はてー」
 もしや、すでに交戦中か? だとすれば厄介である。
 この移動速度から見て、敵はあの白虎召喚によって機動力を得ている。
 事前準備なしに、あの俊敏極まる甲斐の虎をいなすことは間違いなく至難の業。
 しかしすでに猟兵が戦っているならば、これを利用する手はない……か?

 ――バゴォンッ!!

 メイスンが思案している暇もなく、大広間に繋がる襖が盛大に爆ぜた!
 まず敬輔と真鶴が飛び込み、こけつまろびつといった体で全力疾走する。
 それを追ってエントリーしたのは、やはり織田信長! そして武田信玄だ!
「まだ考え中じゃろーが、もう少し待たんかこらー!」
「「えっ!?」」
 よもや先客がいると思っていなかったふたりは、きょとんとした顔で驚く。
 メイスンはそんな敬輔と真鶴にぶんぶんと首を横に振って、信長を指差した。
「そっちじゃそっち、信長ー! 粘り強いにもほどがあるじゃろーが!」
「面妖な……小娘ごときがぎゃあぎゃあと。引き裂いてくれるわ!」
「うげー、この手の輩は暑苦しくてマジで面倒じゃけー……」
 うんざりした様子で頭を振ると、メイスンはよっこらせと立ち上がった。
「こうなったら仕方ないのー、僕も手伝ってあげるけー」
「何かいい考えがあるの?」
 真鶴の問いかけに、メイスンはニヤリと笑う。
「とびっきりド派手なのがのー。そういうわけなので」
「「そういうわけなので?」」
「……まずは全力でエスケープじゃー! ぼけっとしてると置いてくけー!」
 は、疾い! メイスンはすたこらさっさと駆け出し逃走を始めた!
 呆気にとられていた敬輔と真鶴も、背後から近づく殺気に慌てて飛び出す!
「よしよし、予想通り逃げたら追ってきとるのー。上々、上々」
「っていきなり逃げるのはひどくよね! びっくりしたんだけど!」
「まーまー、三十六計逃げるに如かずともいうからのー、まずはデータ採取じゃ」
 そう。メイスンは空間をハッキングし、あらゆる情報を電子的に収集している。
 これにより、信長と信玄の攻撃パターン、思考、速度や威力を分析しているのだ!
「出来ればあとひとり、機動力で拮抗できる戦力がおればのー……」
 そんな希望的観測は、意外にもすぐさま叶えられることとなる!

 ……魔空安土城、大廊下!
 全力で逃走する三人を追って、信長と信玄は曲がり角からそこに出現した。
 直後、足元で電脳地雷が起爆する。KBAM!
「ええい小賢しい! ちょこまか逃げおって! 猟兵どもめ!!」
 魔王は焦れていた。だが追いつけばあの三人を細切れに出来るだろう。
 嗜虐の予感に悪鬼じみた形相でほくそ笑む……が、すぐさま怪訝な顔つきに。
「……そこかッ!!」
 ヒュカ――ガギンッ!!
 無造作に振り抜かれた大刀が、死角から飛来した薙刀めいた刃と交錯した!
 それを握るのは、2メートルをゆうに超える人型の鎧装兵器である!
『さすがは魔王・信長、カンがいいね!』
「絡繰ごときで儂の虚を突けると思うなよ? 捻り潰してくれる!」
『こりゃ手厳しい。だったらボクの"パンデュール"と勝負しようじゃないか!』
 ガギ、ガギ、ガギギギッ!!
 大廊下を並走しながら、超常鎧装と異形武将が高速のドッグファイトを刻む!
《敵機動力、予測数値ヲ120%凌駕。予測戦闘時間、残リ80秒》
(このままじゃ分が悪いか。けどパンデュール、ボクらならやれるさ)
 実のところ、この鎧装は自律するウォーマシンなどではない。
 その胸部にはコクピットが存在し、彼が……小さなフェアリーの騎兵、
 トゥール・ビヨンが騎乗して運用しているのだ。いわば一心同体である!
(いまの信長の振る舞いは、逃げ惑う獲物を追いかける獣の振る舞いだよ。
 つまりこの先に、戦っている猟兵たちがいるんだ。ボクらはその盾となろう!)
《了解。生体反応……検知。空間ニシタ電脳メッセージヲ確認》
(大当たり! ようし、そうと決まれば耐え抜くよ、パンデュール!)
《システム・パンデュール、スタンバイ。カウントダウンヲ開始シマス》
 ガギギギ! ギギギギギギギンッ!!
 DNA二重螺旋めいた軌道を描きながら、人虎と人機は刃で相食み疾走飛翔する。
 だが根本的な力量に差があるため、徐々に信長の攻撃が鎧装を圧倒していく!
「さあ、遊びはしまいぞ絡繰小僧。覚悟ッ!」
『――いまだ、パンデュール!』
 信長が止めの一撃を構えた瞬間、パンデュールは一気に最加速した!

 その瞬間、まずはじめに現れたのは、あろうことか超大型の宇宙戦艦だった。
 電脳魔術製自律型大型宇宙戦艦"暁"。メイスン自慢の一隻である。
「"星の海を制覇せし船(オール・オーシャン)"成功じゃー! ファイアー!!」
 ガガガガガガガ……!!
 壁を、床を、天井を砕いて現れた威容に、信長と信玄は姿勢を崩す。
 パンデュールとトゥールが全速離脱したのはこのためだったのだ!
「ぬうっ!?」
 さらに暁は全火力を解放、レーザー砲と広域破壊ミサイルを一斉射出する!
 信長は猛烈な嵐と炎の斬撃でこれらの尽くを迎撃するが、これは布石である。
「……小僧、小娘! 貴様らかァッ!」
 然り。爆炎に隠れて猛接近するふたり。敬輔、そして真鶴!
 怒り狂う信長の斬撃がそれを迎撃――しかけたところで、真鶴が踏み込む!
「言っただろ? あたしは、頑丈さが取り柄なんだ!」
 ――がぎん!!
「何ッ!?」
「……ッ、大した重さだね。けど、ご覧の通り耐えきれた……!!」
 その身を鋼鉄のような強度と化した真鶴は、己を壁として剣を受け止めた。
 信長は後退しようとする。出来ぬ! 真鶴ががっちりと剣を握りしめているからだ!
「あたしひとりじゃ、信長。あなたとやり合うことはできない。けれど――」
「……真鶴さん、ありがとう! あとは僕に任せてくれ!」
 敬輔、吶喊。その右目が激しく光、黒剣が不穏に唸った!
「オブリビオン・フォーミュラよ――地に、沈めッ!!」
 黒曜石の鎧をも断ち切る強烈な振り下ろし! 入った! 魔王は吐血する!
『ああ、ここで決着をつけようじゃないか。魔王! これが猟兵の力だ!』
 ほぼ同時、パンデュールと同調強化したトゥールもまた光の矢と化した。
 音速をも超えた必殺の一撃が、生命力を共有する信玄の胴体を叩き斬る!
「ば、バカな……!! お、おのれがぁああああッ!!」
 ダメ押しの全力砲火が、激高する魔王を飲み込んだ――!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

キギ・レインメーカー
浄雲ちゃんがやる気…もとい殺る気に満ちてるみたいだし全力でお手伝いしちゃうよ
【行動方針】
ナミルちゃんが囮になってる間に浄雲ちゃんの結界に誘導する準備を進めようか
虎にはトラバサミだよねってことで「レプリカンクラフト」で「仕掛け罠」を作製
エンパイアの「世界知識」を基に「迷彩」「目立たない」で目立つ罠と目立たない罠をそれぞれ作製
目立つものがあったら目立たない方はわかりづらいよねって事で「罠使い」で最適な場所に設置
本命の浄雲ちゃんの結界の糸も「迷彩」で一番目立たないように細工して3重の罠に仕立てあげるよ
後は「援護射撃」「挑発」で適当に誘導しようか
【その他】
「復讐猫」で参加 アドリブ、連携歓迎です


音羽・浄雲
※アドリブ歓迎です。
 【復讐猫】

 恨み煩った仇敵を前に、今にも噴出しそうな思いを呪詛と込め、詭り久秀を繰る。
 張り巡らせた蜘蛛糸は檻。中に籠めるは魔王と虎、そしてナミル。
「糸手繰る音羽八重垣虎籠みに八重垣つくるその八重垣をーー音羽縛法【八重垣】」
 友を囮として敵ごと籠める苦渋の決断。だが今はもう一人の友、キギの策を信じ、結界を誘導路へと成していく。
「我らが無念を晴らす時ぞ!音羽忍法【餓者髑髏】!」
 ナミルとキギによる陽動、そこへ音羽衆が奇襲をかける。
 織田に滅ぼされた千変万化の屍人の群が信長を討ち滅ぼさんと呪詛と共に躍り掛る。
「その首、貰い受ける!」
 戦場に紛れ、浄雲が、謀り長慶を、振るう。


ナミル・タグイール
【復讐猫】
白虎にゃ。でっかいにゃ!
じょううんが張り切ってるしナミルも頑張るにゃー

作戦は突撃にゃー!
ナミルが囮になってるうちに皆に罠作ってもらうにゃ
虎勝負するにゃ!こっちこいデスにゃ!
【呪詛】を体と斧に纏ってぱわーあっぷ
【野生の勘】で予想して避けながらザクザクするにゃ
イライラさせる【呪詛】で周り見えなくさせてやるにゃ!
やばくなったら浄雲の糸で隠れるように逃げるにゃ。でかい虎乗ってたら動きづらいはずにゃ!

凌げるだけ凌いだら皆のところに逃げ込むにゃ!
なにかすごい罠作っててデスにゃー!
動きが止めれたらUCの鉤爪で本体ごとザックリ【捨て身の一撃】しにいくにゃ
これで更に動きが止まるはずにゃ。みんちにゃ!



●魔王滅殺:音羽・浄雲&ナミル・タグイール&キギ・レインメーカー
 サムライエンパイアは、なぜか"我々"の知る日本とよく似た歴史を辿っている。
 無論、戦国武将であった織田信長の生涯も、おおよそはその通りだ。
 ……良きにつけ悪しきにつけ逸話の多い信長の戦いに、こんなものがある。

 天正伊賀の乱。

 次男・織田信雄の愚行をきっかけとする二度の戦乱は、多くの傷を遺した。
 散っていった忍たちの数は、闇に生きる彼らの在り様ゆえに今も不明のまま。
 そうして忘れ去られた忍たちのなかに、ひとりだけ生き延びた女がいた。
 かつて女が属していた傭兵集団の名を、"音羽衆"と云う――。

「……はぁ、はぁ……!!」
 魔空安土城、大廊下。壁に手を付きふらつく魔王の有様は、凄絶たるものだ。
 怒涛の攻撃によって黒曜石の鎧は見る影もなく罅割れ砕けている上に、
 自慢の大刀は刃こぼれし、クモの巣めいたヒビによって今にも崩れそうである。
 異形の翼はへし折れ、全身には激流に晒された岩のようなおびただしい裂傷。
 なによりも恐ろしいのは、その傷口からぼっ、ぼっ、と溢れる熱血であろう。
 信長の持つ底知れぬ欲望と戦意に呼応したそれは、溶岩あるいは焔に等しい。
 滅びの時が近づいている。それは、誰の目から見ても明らかであった。
「まだだ……儂はまだ滅びぬ……まだ……!!」
 双眸をぎらつかせ、口元には笑み。紛れもなくいくさ狂いの相である。
 愉快だ。ああ、これほどまでの強者たちとのいくさ、実に心地よい。
 だが、滅びなど認めぬ。我こそはオブリビオン・フォーミュラ。第六天魔王。
 那由多の彼方の命脈を手繰り寄せ、億に一つの勝算をつかみ取り、そして……。
「……そして、どうする。また、滅ぼすか」
 うっそりとした声が響いた。いつのまにか、そこに女がひとり。
 面(おもて)を覆うは禍々しい般若面。長く艷やかな髪はしずかにざわめく。
 ……女の名を、浄雲と云う。その姓を、音羽と云う。
「我らの郷(さと)を燃やしたように。また、多くの郷を、人を灼くのか。
 忍も、士も、無辜の民草をも灼くのか。その飽くなき妄執の焔でもって」
 滴るような声であった。まごうことなき、積み上げた憎悪の声である。
「是非も無し。天下布武などもはや不要。儂はこの国の全てを貪り、滅ぼす」
「……見下げ果てたものよ。織田信長。だが良し。そうでなくば甲斐がない」
 放つは殺意。面の下、ぎらつく双眸が、魔王を射殺さんばかりに睨みつけた。
「いまにも臓腑もろとも吹き出しそうなこの怨み。幾百滅ぼそうと足らぬ」
 信長は、笑う。復讐などとくだらぬものに取り憑かれた女を、その生を。
「どこの忍か知らぬが、貴様を生かした連中も哀れなものよ」
 ――彼女を遺して死んだ、仲間たちを。
「分不相応な喧嘩にあたら命を散らす、三流鼠しか遺せず死ぬとは!」
「…………」
「ハ、ハハ! ハハハハハハハッ!!」
「――……信長」
 浄雲は静かに言った。
「本当に哀れなのは、死ぬに死にきれぬ貴様よな。ああ、まったく」
 ぴしりと。ぶつかり合う殺意が大気を凝(こご)らせ、張り詰めさせた。
 信長は仕掛けようとする。だがそこで、両者に割って入る者らがいた!

「にゃー! 相手はそっちじゃないにゃ、ナミルが相手になるデスにゃ!」
 奇怪! 170cmを超える背丈の、しかし毛並みが豊かな黒縞猫!
 張り詰めた鉄火場の雰囲気にそぐわぬ、呑気な声音で高らかに叫べば、
 静かに激し憎悪を抑える浄雲の前に立ち、しゅっしゅとファイティングポーズだ!
「殺(や)る気に満ちてるのはいいけど、手順は守らなきゃね」
 同じくふわりと翼をはためかせ、キギが浄雲の隣に着地した。
 信長は、この雰囲気にそぐわぬ闖入者どもを訝しむ。忍の協力者か?
「だーからナミルを見るにゃー! へいへーい、魔王びびってるーにゃ!」
「……くだらぬ。それほど死にたければ、信玄よ――来たれ!!」
 大音声! 信長がふわりと跳躍した瞬間、白い風が渦を巻いて結実する。
 恐るべき咆哮をあげて顕現するは、甲斐の虎、武田信玄。身の丈は十五尺余!
「虎勝負するにゃ! さーさーいざ尋常に、デスにゃーん!」
 ナミルは即座に四足走行で間合いを詰め、騎乗した信長へ黄金の爪を振るう。
『ゴァルルルルッ!!』
「にゃっ!!」
 が、ぎぃん!! 猛虎の爪がこれを迎え撃つ。そこへ信長の大刀!
「どけぃ畜生風情め、我が覇道を阻むべからず!」
「おっことわりだにゃー! それともナミルと戦うの怖いにゃあ?」
「ほざくがいい……ッ!!」
 信長とて莫迦ではない。これが明らかな囮であることははっきりわかっている。
 だが、なぜだ? なぜこの、口も態度も軽い畜生から意識を逸らせない?
 何かがおかしい。だがこの女を。一秒でも疾く縊り殺さねば!!

 ……信長の奇妙な激昂は、その実、ナミルが帯びた呪詛によるものである。
 かかった呪いの数など、ナミルはいちいち覚えていないし気にしていない。
 きっとどこかで、苛立ちを増幅させ殺意を向けさせる呪いを浴びたのだろう。
 いつ? どこで? どうでもいい。いまは全力で彼奴の目を引きつけるときだ。
(じょううんは張り切ってるにゃ! ナミルが頑張らないでどーするにゃ!)
 いかな脳筋お気楽猫とて、通すべき筋とその執念の重さはわかるのである!
「さて、あとはこっちの仕掛け次第だけど……」
 キギは、試すように隣の浄雲を見やった。
「どうする? やっぱやめとく? 気が引けちゃう?
「……いえ」
 嘘だ。たしかに信長は憎い。百度殺そうが千度殺そうが足りないほどに。
 だがそのために、信頼する友を囮として敵ごと閉じ込めるなど。
 道義にもとる行いだ。だが、そう、そのために彼がいるのだ。
「……信じてよいのですね」
「まあね。浄雲ちゃんが本気出し、まあ友達のよしみってことで、さ」
 友達。その響きに、浄雲は薄く微笑み、頷いた。
 きりりと糸の結界がきしむ。手繰るは蜘蛛糸・詭(いつわ)り久秀。
 糸を編め。憎悪を、無念を、執念を、怒りを込めて八重垣に。
 十重二十重に重ねに重ね、繰りに繰り、必殺必滅の糸檻を編み上げるべし。

 ――ガギンッ!! ガガガガ、ズドンッ!!

「にゃああああ! さすがにもうこれ以上は限界にゃー!!」
 強烈な爪撃によりスーパーボールめいて吹き飛ばされたナミル。
 しなやかな体捌きでダメージを最小限に抑えるが、その負傷は著しい。
 彼女は斧を背負ったまま魔王に背を向け、一目散にふたりのもとへ駆け出す。
「にゃー! 準備おっけーデスにゃ!? すごい罠出来たにゃ!?」
「しーっ。大声で言ったら意味ないでしょ。けどまあ、月次に云うなら――」
 弾丸めいた速度で白虎が来たる。魔王が来る。キギはそれを見、笑った。
「……あとは仕掛けを御覧じろ、かな?」
 直後……ガギンッ!! 勢いつんのめった白虎が宙を舞う!
「ぬうっ!?」
 トラバサミだ! 前脚にがっきと噛み付く金属の縛め!
 信長はこれを断ち切り、罠を仕掛けたキギめがけ一気に落下する。
「おっと!」
「逃すか、惰弱ものめが!!」
 斬撃。重い! 避けそこねたキギの体から血が飛沫をあげて噴き出す!
「……っ、と、俺に食らいつくのもいいけどさ!」
 オラトリオはなおも笑う。
「そこ、もう"術中"だよ?」
「『!!』」
「――糸手繰る」
 信長は、信玄は、見た。なにもないはずの場所に静かに立つ女を。
 不可視化された糸の上に立つ忍を。寂寂とした声とともに仮面を外す浄雲を。
「音羽八重垣/虎籠みに/八重垣つくる、その八重垣を――」
「……貴様、女ァ!!」
 きりり。蜘蛛糸が、軋む。
「音羽縛法、"八重垣"。――我らが無念を晴らす時ぞ。音羽が兵者ども!!」
 次々と招来される骸骨の兵士たち。音羽衆の成れの果て。
 信長はその軍勢を、己と信玄を囲う糸の結界をもろともに引き裂こうとした。
 白虎もまた同様。だがそれより一瞬疾く、呪詛纏いし爪がぞぶりと臓腑を抉る。
「ごはっ」
「そゆわけでバイバーイ、にゃあ。みんちにゃ!」
 糸が、引き締まる! 人と虎を絡め取り、その四肢をぎちぎちと引き裂く!
 身動きの出来ぬ信長に餓者の髑髏たちが歩み寄り、おお、刃を、矛を!
「お、おおおお!! こ、殺せ!! いっそ殺せ、おのれが……が、がぼっ!!」
 なんたるすさまじい有様か。髑髏たちは決して安易な即死など許さぬ。
 可能な限り生きながらえる場所を、それでいて苦痛をもたらす場所を、抉る。
 突き刺す。斬る。かき混ぜる。磨り潰す。なんたる……なんたる!
「が、が、ごぼ、ぶ……」
 もはや筆舌に尽くしがたい有様となった信長の前に、死神が現れた。
「やはり、貴様は哀れだ、信長よ。――その首、貰い受ける」
 其は骸骨に非ず。ただ独り生き延び、憎悪に五臓六腑を灼き続けた女修羅。
 謀り長慶、一閃。苦痛と屈辱に瞠目した魔王の首が、ごとりと床を転がる。
「……これでまた、キルカウントプラス1、かな?」
「ざまーみろデスにゃ! にゃっにゃ!」
 女忍びは長い息を吐き、頭を振って――相貌を、再び復讐者のものとした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​


 手塩にかけた兵も、将も、みなことごとく滅びて失せた。
 国を蹂躙するはずだった軍は、今やこの身に憑依し意思もなく吠えるばかり。
 いくさの末路とはそんなものだ。だからこそ挑み蹂躙する甲斐があるのだ。
 愉快。愉快。勝とうが、負けようが、いくさとはそれだけで愉快よ。
薄荷・千夜子
【天ノ川】九十九君と参加

【SPD】
織田信長、必ずやここで止めましょう
共に戦ってくれる人の心強さ、負けるわけにはいきません!

「守りは任せてください!」
早業で[etolie montre]を盾形状に変化させオーラ防御と盾受けで騎乗した信長の攻撃を受けつつ勢いをつけ吹き飛ばしで次の一手への時間を稼ぎます
ある程度の負傷は覚悟の上!
UC【朔ノ手】を使用して早業で[操花術具:藤巡華簪]による藤の檻と[獣尾綜絡]の絡め糸に毒も付与して行動を阻害(罠使い、毒使いを使用)
「もう隙は与えません!それぞれの役割を……九十九君、一太刀任せましたよ!彗も援護を!」
九十九君の攻撃に合わせて[飛星流克]で援護射撃を


形代・九十九
【天ノ川】千夜子と参加
千夜子の作ってくれた隙は最大限に活かさねば。
上杉謙信よ、再びお前の技を借りよう。
そしてお前の宿敵との決着、此度はおれが代わりに着けさせて貰う。
この身は敵を討ち果たすまで絶えず廻り続ける車輪なり。
さあ、今一度廻れ……車懸かりの陣よッ!

【念動力】で強化した糸を【ロープワーク】にて編上げ、千夜子の盾を更に補強しながら初撃を【盾受け】で凌ぐ。
凌ぐと同時に偽・百鬼夜行を発動。
分身を使い、信玄の宿敵の『車懸かりの陣』を謙信との交戦経験による【学習力】で再現、入れ代わり立ち代わりの止まぬ攻撃こそ最大の防御。
負傷は【火炎耐性】と【激痛耐性】で我慢し、氷【属性攻撃】の斬撃で敵を切り刻む。



●魔王滅殺:薄荷・ &形代・九十九
 誰かと一緒に戦えるというのは、とても幸せなことだと千夜子は思う。
 ましてやその肩を並べる相手が、信頼に足る人物であればなおさらのこと。
 互いに出来ることに全力を尽くし、共通の目的のために支え合う。
 獣も人も、それは変わらない。異なるとすれば――そう、奴らだ。オブリビオン。
「ぬうんっ!!」
「九十九君、守りは任せてくださいっ!」
 恐るべき速度で弾丸めいて到達した信長が、大上段から大刀を振り下ろす。
 喰らえば両断即死は免れぬその斬撃を、千夜子は真正面から受けきってみせた。
 その秘密は、掌に忍ばせていた――今は盾状に変じる――懐中時計にある。
 "星見"の銘を与えられたそれは、展開してみればまるで掌サイズの夜空のよう。
 精緻な装飾が施されたその表面を、その瞳と同じ深碧のオーラが包み込む。
 ――バギャンッ!! と、衝撃伝搬により足元の床が放射状に裂けた。
「く、ううう……っ!」
 びりびりと全身を浸透する衝撃を、千夜子は奥歯を噛み締めて必死に耐える。
 ここで退いてはならない。後ろには必殺の一撃を仕掛けるべき彼がいるのだから。
 激甚たる一撃を耐えたのは見事。しかしそこからは彼女にとって誤算だった。
『ゴァルルルルッ!!』
「ッ!?」
 信玄である。狂える白虎と化した、十戸尺を超える身の丈に相応の爪撃。
 前脚でひとつ、ふたつ。重い。そして鋭い! オーラの障壁が砕け散る!
「そんな……!?」
「いじましき小娘よ。儂の刀をよう凌いだ。褒美にその首級、落としてくれよう!」
 たたらを踏んだ千夜子の首元めがけ、悪鬼じみた魔王の斬撃が――落ちる!!

 ……が、ぎぃんっ!!
「ぬうっ? これは……糸、か!?」
 信長は訝しんだ。然り。首級もろとも真っ二つに両断せしめたはずの星盾。
 それは重なり合い連なり合い、積層化した傀儡懸糸によって補強されている。
 人形操縦に用いる念糸の一種。ならば、誰の仕業かは問うまでもなし!
「……信長よ。そして死してなおその走狗として利用される、哀れな甲斐の虎よ」
 ぎち、ぎちぎち……今にもほつれてバラバラに解けそうな糸に念を込め、
 虚のように無情に思える相貌に、されど確かな激憤を込めて、九十九は云う。
「もはや命脈尽きたり。疾(と)く骸の海へ還り、己の末期を受け入れるがいい。
 ここは太平の世。お前が求める"いくさ"も、乱世も、誰も望んではいないッ!」
「く……呵々、笑止! 民草の願いなぞ知らぬわ。儂は儂として在るが儘在る!」
 炯々と両目をギラつかせ、信長がさらに膂力をかける。押し切ろうとする。
「……哀れな。お前はもはや、天下布武を目指した武将ですらない。
 同じ姿、同じ形をしただけの、目指すべき場所すら識らぬただの虚無だ……!」
 九十九は思う。おのれは、本当にこの世に生じるべきであったのかと。
 ヤドリガミとしての生はもとより、本来の木偶としても己は半端であった。
 造物者を呪いはすまい。死とは避け得ぬ運命であり、天命というものがある。
 だが――噫、ならば不完全のまま、なぜ不具たる己はいまここにある。
 それでも……孤独の果てに得たこの生命が、人のために在るというならば。
「その悪意、許しはすまい……討たせてもらうぞ、信長……!」
 ならば、この身はそのために。壊れようと、斬られようと躊躇はせぬ。
 九十九は決意し、無造作に踏み出そうとした。白虎の一撃をその身で受けようと。

 だが!
「……守りは、任せてくださいって言ったじゃないですか、九十九君っ!」
『グラァアアアウッ!?!?』
 ぱきぃん! と清らかな破砕音を響かせ、千夜子が敵を吹き飛ばした!
 萎えかけた戦意の再燃に呼応するかのごとく、その身をオーラの膜が包み込む。
「大丈夫です。あなたが無理をして、壊れたりする必要なんてないんですよ」
 振り向かずとも、肩を並べる仲間として、その意図を汲んだのだろう。
 半ば呆然とする九十九に対し、千夜子は優しげに微笑んでそう諭した。
「あなたも、私も。死なずに無事に戦いを終えるんです。そのために戦いましょう。
 各々の役割を、出来る形で。それは、我が身を犠牲にすることではありません」
「……そう、か」
 人形であるがゆえに、己の身の破砕を厭わぬ九十九は、ただそれだけ答えた。
 やはり、人は強い。そして眩しいばかりに輝いている。ああ、その光こそが。
「さあ、行きますよ! あなたの一太刀に、おまかせします!」
 千夜子は凛と敵を見据え、体勢を立て直すよりも先にユーベルコードを発動。
 美しい藤の花を飾った簪をするりと抜くと、やおらそれを床に突き刺した。
 ふわりと広がる茶色の髪と同じように、信長を囲う藤の檻が花開く!
「儂を絡め取るつもりか!? 猪口才な!」
「もはや逃れられません。隙も与えません! 出れるものならば出てみなさい!
 狩人として、術士として。獣の尾すら絡め取る我が結界は不壊不脱なれば!」
 然り。花の檻には見えない細さの仕込み糸が絡まり、毒を滴らせている。
 あざやかなまでの手口。"朔(さくら)ノ手"の銘は伊達ではない!

 ……九十九は瞑目し、あの恐るべき剣豪魔将との戦いを脳裏に思い描いた。
 無敵無限の陣形。今こそそれを以て、甲斐の虎を縛り釘付けにするべし!
「我が身を模した同胞たちよ、命の風車を廻り巡らすは今この時なり!」
『『『いざ! 偽りなれども数は多く。百鬼夜行、参るぞ天魔!』』』
 軽やかに現れた四十と四つの分身たちが、たちまち放射状に陣を成す!
「これは……車懸りの陣だと!? 小癪な!」
「ああそうとも。上杉謙信よ、いま再びお前の技を借りよう。そして!
 お前が成し得なかった宿敵との決着、此度はおれが――否、おれたちが!」
「ええ、私たちの手でつけます! ――彗、援護を! いきますよ!」
 信長は、信玄はもがいた。毒をものともせずに檻を切り裂こうとした。
 そこへ斬撃到達。抜けば玉散る氷の刃、防ごうと払おうと懸るは廻る車の如く!
 さらに飛星流克。文字通り"矢継ぎ早"の連打猛撃が雨のごとく!
「ぬうううう……!!」
『グル、グォオオッ!! ガ……ゴアアアッ!!』
 獣は呻いた。おそらくそれは、その身に刻まれた宿敵の残り香を感じたからか。
 これこそがふたりの連携。悪鬼、その輝かしき鏃と刃に成すすべなし!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

エルト・ドーントレス
アドリブ歓迎

POW

最後のダメ押しが必要なら手伝おうか
戦争なんて面倒事はさっさと終わらせるに限るしね

天守閣みたいな室内じゃブースターユニットは邪魔なだけ
リミッター解除したうえで分離、切りかかってくる相手に特攻させる
限界までチューンした高出力ブースター、爆発すればただで済むわけない

こちらの手番が来たなら、まずは敵の炎を封じる
スルーアの流体操作で周囲の空気を固定、酸素の供給を断つ
熱源消滅と同時にニグルで周囲を凍らせて動きを封じ、アウロラで機体出力を上げたうえでの格闘戦を仕掛ける

ガンブレードの長所は刃を突き立てた状態から内部に直接銃弾を撃ち込めること
三途の川の船賃変わりだ
全弾持っていけ



●魔王滅殺:エルト・ドーントレス
 忌々しい。ああ、そうとも、まったく忌々しい。
 身動きの出来ぬ檻に絡め取られ、ただただ矢と刀を浴びせられるなど。
 呼ばいし白虎は滅びに呑まれ、我が身も敗残兵の如く傷ついた。
 忌々しい。忌々しい! 信長のその怒りは、裡なる地獄めいた炉を燃やす。
 焔に照らされたかのごとく、両目は地獄の鬼のように炯々輝いて、
 背中からは捻じくれた樹木の翼が萌芽し、魔剣はいよいよごうごう焔を抱いた。
「……!!」
 信長は、弾かれたように彼方を見やる。すなわち、魔空安土城の外縁を。
 見よ! 音をも超えんとばかりにブースターを吹かし、彼方より飛来する鋼を!
『無様なもんだね、第六天魔王殿。そこまで落ちぶれてなお滅びないとは。
 後押しが必要ならいくらでも背中を押してやる。遠慮せずに滅びとけ』
 カメラアイが、全身のあちこちから漏れるオレンジ色の光がギン、と励起する。
 PSX-03R『レッキス』、その鎧装ならば魔王を相手取るには十分すぎる一品だ!
「からくり鎧を纏った程度で自惚れるでないわ、雑兵ごときがッ!」
 ごおおおう……!!
 樹木の翼をはためかせれば、魔王を中心に城を包まんばかりの嵐が逆巻いた。
 家々ですら地面から引きちぎり彼方に飛ばすであろう、暴嵐鷹風ここにあり。
 だがエルトは慣れた様子でこの風の迷宮じみた暴風域を直線突破する!
『あいにくだが、風の強さならもっと厄介な相手と戦ったことがあるんでね』
 先のキマイラフューチャーにおける、幹部怪人との戦いが脳裏をよぎる。
 それに比べればこの程度、涼風にも等しいと騎兵は言ってのけるのだ。
 ブースター最大出力、限界までチューンナップされたパーツが吶喊に応える。
 またたく間に両者の間合いは縮まり、魔王は燃える剣でそれを迎え撃つ。

 そう、迎え撃とうとしたのだ。狙いは過たずエルトを両断したことだろう。
『――飛んで火に入る夏の虫、になるのは御免だね!』
「なにっ!?」
 エルトは高出力ブースターを一瞬にして分離、蹴り出すことで加速させた!
 加速残滓で自由移動するレッキスに対し、噴射剤を放つブースターは遥かに疾い。
 すなわち、燃料たっぷりの亜音速の爆弾が、業火めがけ突っ込むのだ!
『大金かけて改造したんでね。爆発すれば――』
 ……KRA-TOOOOOOM!!
『……そら、ただじゃ済まない』
 盛大な爆炎。だが敵は健在。センサー類がそれを告げている。
 なによりも騎兵としてのカンが囁く。エルトは予備ブースターを再度点火!
「おのれがぁっ!!」
 悪鬼、吠える! 焔を刀で喰らいて、焼け焦げた魔王が姿を現した!
 電脳疑似精霊による流体操作――不全。それは裡なる焔で燃える魔剣だ。
 プランAを棄却したエルトは、焦ることなくニグルを起動、空気中の水分を氷結。
 信長の両足を固着させ、バチバチと雷光を纏いながら真っ直ぐに飛び込む!
『三途の川の船賃代わりだ、全弾持っていけ――!』
 双剣到達。まったく同時に、魔剣が相打ちめいて装甲を貫いた。
 エルトは血を吐きながらも、些かも揺らぐことなくトリガを引く。
 BLAMBLAMBLAM! BRATATATATATATATATATA!!
「が……ぐ、おおおおおっ!!」
 黒曜石の鎧、破砕! 弾丸に穿たれた信長は滂沱の血を噴き出し蹈鞴を踏む!
『面倒事はさっさと終わらせたいんだ。今日はいくらでもサービスするさ』
 男の声音は、どこまでも淡々と、そして飄々としていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルーナ・ユーディコット
最終決戦、持てる力を全て出し切ろう

私が勝ちの目を拾うには、接近戦に持ち込む必要がある
その為には刀を振るう打ち合いに持ち込むしかない
それも、敵が攻撃を重視した状態を維持してくるように立ち回りながら
ユーベルコードを使えるまでの時間を稼ぐ必要がある
余裕のある時間稼ぎができるとは到底思えない
捨身の覚悟は出来ている
どんな熱だろうと故郷を焼いた炎よりはヌルい

攻め手に使うは壊狼【流星】
賭けるのは、発動できるようになった直後の刹那
体から噴き出る炎と共に懐にタックルするように組み付き
信長の鎧を全力で熱する
そして身体強化を頼りに鎧ごと信長を貫く
黒曜石なら超高温まで熱せば何もしないより脆くなるはず

さあショウダウンだ



●魔王滅殺:ルーナ・ユーディコット
 故郷が焼ける風景を、夢に見なかった夜なんて一度もない。
 戦場に立つたび、憎悪を感じるたび、獣の衝動に身を任せるたび、
 蒼焔を纏うたび、臓腑を貫けるたび、斃れるたび……何度でも、何度でも。
 あの光景が、火の粉が散って"薪"の燃える音が、胸のむかつくような肉の臭いが。
 その熱さ、こみあげた吐瀉物の味。何もかも、何もかも覚えている。
 いいや、これはもはや、魂に、この全身に刻みつけられていると言ってもいい。
 ……焼け付いているのだ。まるで感光したフィルムのように。くっきりと。
 きっと一生消えはしない。洗い流して綺麗サッパリ落とすつもりもない。
 あの風景は、紛れもなく。今ここにいる私にとってのオリジンなのだから。

 ……大廊下の真ん中で、数メートルの間合いを挟んで両者は相対していた。
 かたや、腰を落とし全神経を張り詰めさせ、獣の毛を逆立たせたルーナ。
 かたや、あちこちに杙創と裂傷を負い、半身が焼け焦げた有様の魔王。
 明らかに負傷程度は敵のほうが重い。だが、その力は減じていない。
(……オブリビオンフォーミュラ、か)
 実のところ、それそのものと相対するのは此度の戦場が初めてである。
 幹部級、あるいは名だたる将と相対し討滅した経験のあるルーナだが、
 ことここに至って、それがなにゆえフォーミュラ(始原)と呼ばれるか理解した。
 圧だ。そう……あの禍々しき地獄の男のような、存在そのものの圧迫感。
 これほどまでに追い詰められてなお――否、だからこそ――それは強大である。
 まともにぶつかっては勝ちの目は拾えない。厳然たる力量差。
 脳裏に辛酸の記憶がちらつく。だが、それはもはや乗り越えた過去だ。
 精神をフラットにし、されど燃え上がる激情はそのままに、機を読む。
 すでにルーナがヒットアンドアウェイの戦術を仕掛けてから、ゆうに十分。
 敵はいい加減に焦れている。その相貌からも、ありありと読み取れた。

「……女よ」
 その魔王が、ふと言った。言葉で揺らして機を得ようてか。
「ひとつ問おう。貴様のその飽くなき戦意、儂に対する執念の在処や如何に?
 怨恨ではあるまい。名誉欲とも思えぬ。なぜそこまで儂を滅ぼそうとする」
「……理由なんて」
 ルーナは淡々と答えた。
「理由なんて、あえて告げる必要はない。私が戦う理由は、私の裡にある。
 あなたが誰であろうと、世界を脅かすならば、国を燃やすならば、私は戦う」
 原風景が脳裏をよぎる。
「……たとえ、この生命を燃やしてでも」
 信長は、くくっ、と喉を鳴らして嗤った。
「まるで獣よな。後先を考えずに獲物に食らいつくか」
「いいえ、違う」
 ルーナは答えた。淡々とではなく、はっきりと意思を込めて。
「――私は、人として戦い。人として生きる。獣になんか堕ちはしない」
 魔王は目を細めた。ならば、その大言壮語を叩き斬ってやろうと。
 ……一瞬の静寂。直後、嵐を逆巻かせ、天魔が轟然たる速度で踏み込む!

 ルーナは、前に出た。
 跳んだ、と言ってもいい。結果としてその判断は正解と言えよう。
 燃え盛る大刀は馬鹿げたリーチを有するが、裏を返せばインファイトに弱い。
 刃はルーナの体をなぞり、ぞぶりと肉を裂くが、臓腑にはとても届かぬ。
 肉が焦げる。ましてや彼女は前に進む。己から刃を引かせるのだ。
 想像を絶する苦痛である。だが、肉を焦がす焔など、どれほどのものか。
 覚えている。故郷が焼ける風景を。その熱を。恐怖を。絶望を。苦渋を。
「……私は、怖れない」
 魂に焼き付いている。
「私は恐れない。燃え尽きることを。斃れることを! 戦うことを!!」
 傷口から青い炎が噴き出す。焦がされた肉を無理やりに融かして接合し、
 大刀を己を鞘として封じ込め、なおも燃え上がりその身を動かす。
 薊の花めいた妖気を咲かせる刀にまとわりつき、魔王のそれを模すかのように。
「女、貴様――」
「私の知る焔の熱と。あなたの燃やす焔の熱。どちらが上か!」
 隆盛、到達。壊れゆく狼は、雄叫びめいた鬨の声とともに魔王に組み付く。
 そして妖剣をぞぶりと突き刺し、臓腑を、肉を、鎧を灼く。蒼き炎で!
「貴様! 死ぬ気か……が、ぐぅうう……ッ!?」
 死ぬ気? ああ、それもいいだろう。恐れはしない。だからこそ。
「――さあ、ショウダウンだ」
 この生命を燃やして、どちらが立っているか試してやる。
 執念の業火は、滅びの悪鬼を内側から燃やし、また一度の死へと追い込んでいく!

成功 🔵​🔵​🔴​

アルトリウス・セレスタイト
振るう刃、背負う劫火、纏う忠義も
今から悉く死に絶えるぞ

避け得ぬ先制含む自身へ届く攻撃は纏う原理――顕理輝光を最大限働かせ対処
超克で汲み上げた魔力を用い、励起と解放で一個体の持ち得る極限まで個体能力を引き上げ、天光と天冥で見切り、無現と虚影で往なし、躱す

攻めるは破天で
高速詠唱の手順を再帰で循環
絶理により制限を廃し生み出す魔弾を両の手足に収斂、圧縮
足・膝・肘・肩等からの解放を用いた魔力放出での瞬間加速と合わせて一足で接敵
討滅の死の原理も乗せた具現した死を打撃で叩き込む
騎馬武者の攻撃も明鏡で自身の攻撃に転化

骸の海の先に潰えるまで撃ち込むと宣言しよう


ユーフィ・バウム
※アドリブ、連携歓迎

貴方が力を借りる魔軍将がいれば、私も共に戦う仲間がいる
だから何も怖くはありません
参りますよ、第六天魔王!

武田信玄への騎乗は防ぐことはできませんが、
僅かの時間に培った【戦闘知識】、
天性の【野生の勘】をフル動員、攻める場所を【見切り】、
騎乗を終えた信長を攻撃

生命力を共有するなら、虎と化した信玄を狙い攻撃を入れ、
信長も消耗させます
【衝撃波】や【なぎ払い】で武器を振るい、
【ダッシュ】で絶えず動き、仲間と連携を心掛け攻めます
どんなに貴方たちが強くても、私たちは負けないっ

敵の攻撃は【覚悟】を持ち、【オーラ防御】で凌ぐ

敵陣の消耗が分かれば、間合いを詰め《戦士の手》
組んでの殴り合いで勝負っ


月宮・ユイ
アドリブ◎
*器に<呪詛>宿し呪詛/呪操る
[ステラ+ケイオス]剣槍:二刀流も

ここで笑えるとは流石は覇道を歩みし英雄
敵の強さを眩しく感じるなんて…本当に厄介な存在ね

城内で騎馬とは…
待ちでは轢き潰されるだけ、死地でも飛び込みましょう
<念動:オーラ>に
<生命力吸収の呪>宿す《不死鳥》の炎重ね纏う
方向転換は容易ではないはず
<第六感>併用全知覚強化<情報収集・学習・見切り>
カウンターも混ぜつつ躱し、受け流し
炎の噴射推進力に変え交差する様<早業>突破

接近後
炎の噴射力と速度に変え打ち合い、炎散し周囲を牽制
纏う力基に意思で体を操縦
傷は固定と回復で応急処置、意志尽きぬ限り止まらない。
どちらの刃が命に届くか勝負です



●魔王滅殺:滅びのさらなる先へと
 アルトリウス・セレスタイトは、己めがけ疾駆する軍勢を無表情に見ていた。
 武田騎馬軍団。精強無比で知られる軍馬と兵士の軍勢。招来されし骸たち。
 その数は五百をゆうに超え、非現実的な広さを有する広間を埋めるほど。
 兵士たちの鬨の声と、泡を吹く軍馬のいななきと、蹄の音が雨めいて混じり合う。
「駆けよ、駆けよ、駆けよ!! 儂に続け! 滅びても再び来たるべし!」
 その先陣を切る信長は、存在しているのが不思議なほどの傷を負っていた。
 それゆえにいくさ狂いの性を刺激されたか、呵々大笑し白虎を駆る。
 自我を奪われ猛獣に堕したかつての武将、甲斐の虎・武田信玄を。
「なるほど、お前はその逸話に見合った武勇を持つのだろう」
 アルトリウスは無表情だ。軍勢を恐れも、怒りも、避けも防ぎもしない。佇む。
「だが今から、その振るう刃、背負う業火、身に纏う忠義も何もかも――」
 藍色の瞳が、細まった。
「悉(ことごと)く、死に絶えるぞ」
 虎が、馬が、獣たちが一瞬、びくりと身をすくめたように思えた。
 藍色の瞳の奥、何か見てはならぬもの、知ってはならぬものを感じたかのように。
 ……だが波濤は止まらぬ。一度流れた土砂は止まらぬ。軍勢もまた同じ!
「恐れるなかれ! 儂こそは第六天魔王、織田信長よ! ハァハハハハハ!!」
 狂える主君の号令に応じ、騎馬軍団はたったひとりをめがけて突き進む!
 アルトリウスが身動ぎした。瞬間――その姿が、消えた。
「「「!?!?」」」
 兵士たちは瞠目した。はたして猟兵は何処に逃げ延びたのかと。
 否である。はじめから逃げてなどいない。超克せし淡青光は軍勢の只中にあり!
「――お前たちは、どれほど駆けようとどこへも辿り着くことはない」
 それは死神の囁きめいていた。直後、淡青光が手近な兵士を消滅させた。
 恐れをなした軍馬が踵を返し、これを槍衾にせんと包囲する。
 遅い。天光はそれを見通せり。振るわれた矛がアルトリウスを捉えるは非ず。
「俺だけにかかずらっている場合ではあるまい」
 全を知る男は言った。
「お前たちを滅ぼす者らが、ここに来るぞ」
 それは予言めいた。そして直後、囁きは現実となった。

 まずひとつ。軍勢を横合いから薙ぎ払ったのは、不死鳥めいて燃え盛る焔!
 それを振るうのは、剣槍型の武装を担いし乙女――月宮・ユイである!
「これほどの軍勢、強兵をも、世界を滅ぼすための走狗としか看做さないなど。
 兵器である私は許せない。許さない。だから、死地だろうと飛び込みましょう!」
 滂沱の軍勢を縫い進むかのように、焔を推進剤としてユイは駆け抜ける。
 抗う軍馬をその焔によって飲み込み、剣槍の矛によって兵士もろとも薙ぎ払い、
 己の身に秘めた呪詛を毒のようにばらまき、滅びた兵に新たな死をくれてやる。
 前・後・左・右、上・下も加えた全方向からの攻撃は察知、対応。
 完全強化された知覚は、一秒を千分の一にまで細分化して触(は)んでいる。
 どこから狙ってくるのか。どのようにして狙ってくるのか。誰が狙うのか。
 いつ。なぜ。何人が。何度。見える。わかる。聞こえる。感じる。避けられる。
 槍を躱し、降り注ぐ矢を避けて、振りかぶられた刀より先に双剣を振るう。
 いかに武田騎馬軍団が精強とて、瞬時に頭を巡らすことなど出来はしない。
 剣を振るい、槍を突けば、応報の斬撃や薙ぎ払いがこれを滅ぼすのだ。
「ええい、小娘ひとりに情けない! だが是非もなし! これがいくさよ!!」
 呵々大笑する信長を睨み返し、ユイは柳眉を顰めた。
「ここでなお笑えるとは。さすがは覇道を歩みし英雄――けれど!」
 がぎんっ!! 体刀と剣槍が打ち合い、両者は飛び離れる!
 その一方、淡青光は兵士たちを飲み、あるいは掻い潜りなおも明滅する!
「正直に言えば、私はその強さを眩しく思うわ。ええ、けれど、だからこそ。
 あなたが厄介な存在であるからこそ。第六天魔王、ここで滅ぼしてみせる!」
 がぎ、がぎんっ!! 焔と焔とがぶつかり合い、虎が吠える。
 吹き上がる炎は周囲をまとめた兵士たちを、その残滓だけで灼き尽くす。
 軍勢が滅びていく。不死鳥の炎と、尽きることなき淡青光によって!

『ゴァウルルルッ!!』
 そして、ついに猛虎が動いた。激甚たる両爪で床を削り駆け出した。
 鋼鉄をも斬り裂くその爪を以て、ユイを、なおも揺らめくアルトリウスを――。
「させませんっ!!」
 切り裂こうとした刹那、ユーフィ・バウムがその顎をしなやかに打った!
 小さな体をバネにして、真下から叩きのめすアッパーカットである!
『グルオォオウッ!?』
「ぬう……!!」
 生命力を共有する信長は、騎獣が攻撃されればダメージを受けざるを得ない。
 ユーフィの狙いはそこだ。無論、白虎とてこれを引き裂こうとする、が!
「その程度の攻撃、怖くはありません! あなたがどれだけ将を纏おうと!
 このわたしが恐れる理由はなにひとつない。さあ、まだまだ参りますよ!」
 ぎゃぎ、ぎ、ぎぎぎん!! 悪魔の銘を冠した刃が矢継ぎ早に振るわれる!
 猛虎の爪はそのたびに罅割れ、砕け、やがてユーフィの膂力が勝り始めた。
 騎乗した信長が大刀を振るおうとすれば、ユイの剣槍がこれを阻むのだ!
「これ以上、ちょこまかと動かせはしません。さあ、勝負っ!!」
『グ、ゥルルルルルゥ……ッ!!』
 おお、見よ。ユーフィはあろうことか虎の前脚を両手で掴んだのだ!
 がっぷり手四つで組み合い、三倍以上の身の丈の猛虎に膂力で拮抗する!
 ずしん!! 踏みしめた足場がクレーターめいて陥没しひび割れるほど!
「ええい、どけぃ小娘! ジャマだッ!!」
「いいえ、決して退きません。あなたはここで滅びるのですから!」
 ユーフィは溌剌として言った。そこに剣槍、来る! 斬撃一閃!
「そう、私たち猟兵は、必滅の意思が尽きぬ限り何があろうと止まらない。
 あなたたちを滅ぼし尽くすまで。オブリビオン! それが私の答えだ!」
「ぬう、ううううッ!!」
 ふたつ、みっつ! 猛攻に対し、信長は呻き……ついに、吹き飛んだ!
 ごろごろと床を転がり、魔王は即座に起立して周囲をみやった。
 あれほどの騎馬隊が、もはや一体たりとも残っていないことに気づいたのだ!
「莫迦な」
「言ったはずだ」
 背後から声がした。振り向いた瞬間、その顔面を蒼き拳が撃った。
「がぼ……ッ!?」
「お前たちはどこへ行くこともない。なぜならば、ここはもう"行き止まり"だ」
 アルトリウス。全知の理を纏い、天光を以て規矩を超克せしもの。
 生み出された魔弾はその四肢を覆い、撃ち込むたびに敵を滅ぼす光となる。
「何度でも蘇るがいい。そのたびにお前は思い知る」
 体を撃つ。撃つ。撃つ!
「お前たちに勝利などない。あるのはただ、滅びとその先の虚無だけだと」
 崩れかかった信長、その残骸に対し、残骸であったはずの男は拳を握った。
「――骸の海の先へ潰えるまで。俺たちは何度でも戦い続ける」
 決意と信念の一撃。存在核を砕かれた信長は、断末魔をあげて滅尽滅相す。
 ここに今一度の滅び、成れり。それはすなわち、猟兵たちの決意の勝利であった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​


 我は不滅。我は無敵。我は無双。我は無限。
 そうだ。そうとも。そうであるはずだ。
 だが……我が命脈は遠き彼方へ。手を伸ばしても届かぬはるか彼方へ。
 盤石の軍勢であった。蹂躙の一語であった。待っているのは勝利だけであった。
 ――はずだ。だが。おお。一体、どこでだ。
 どこで、我が覇道は潰えるさだめとなったのだ。
神酒坂・恭二郎
逆境の中で微塵も衰えぬ覇気に瞠目する。
同時に哀しみも覚えた。

「平和というのは争いが無くなったことではなく、魂の力が生み出す美徳である」
一つ息を吐く。
「そこに堕ちる前のあんたは分ってたと思うんだがね」
那由多の彼方の命脈を掴んでも、今の信長公に未来は作れない。
ここが散り時だ。

刀を霞に構え、防御主体で【見切り】に徹して【力を溜める】。
焔の刀、黒の鎧、樹木の翼。いずれも苛烈な強化だが、攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視しているか見極め攻略の糸口にしたい。
極限の劣勢に立たされるが無様は見せまい。
信長公の理解に僅か指先でも至れば、後は己の培った型を信じぬく【覚悟】だ。
それがだけ剣を導いてくれるだろう。



●魔王滅殺:神酒坂・恭二郎
 第六天魔王の諱に相応しい覇気。それを前にして、男は悲哀を浮かべた。
 スペース剣豪を名乗り、伊達と酔狂を愛する恭二郎にしてはらしくない顔だ。
「なあ、大将。おまえさん、こんな言葉を知ってるかい――」

 "平和というのは争いが無くなったことではなく、魂の力が生み出す美徳である"。

 転移の前、少年めいた賢者が語った箴言を、そのままに魔王に言ってみせた。
「誰が勝っただの、敗けただの、そんな話をしてるうちは平和なんかじゃあない。
 ……"そこ"に堕ちる前のあんたなら、わかってたと思うんだがね。残念だ」
「……ハ! 平和平穏など片腹痛し。儂が求むるのは、ただ乱世あるのみ」
 断定的な魔王の言葉に、恭二郎は威風への感嘆と新たな悲嘆を同時に零した。
 もったいない、というべきなのか。口惜しい、というべきなのか。
 仮に彼奴の言葉通り、那由多の彼方に在るような命脈を掴んだとして……つまり、
 猟兵を根こそぎ滅ぼし、勝利したとして。待っているのは世界の破滅だ。
 オブリビオンとは"そういうもの"であり、だからこそ猟兵の敵足り得る。
 たとえどれほど覇王の器を持っていようと、暴君に未来は作れない。
「あんたは現世にしがみつきすぎた。ここが散り時だぜ」
「笑止。儂は滅びぬ。それがオブリビオンフォーミュラなのだ」
「……わからんかね」
 スペース剣豪はぎらりと敵を睨めつけた。
「"これまでと同じように、滅ぼす"と言ってるんだよ。俺たちは」
 それは、二つの世界を救い、その戦いを魁として生き抜いた男の剣気。
 オブリビオンすら恐れさせるほどの、一流の戦士の戦意であった。

 対する魔王は、風林火山の名のもとに己を異形化させ強化する。
 捻じくれた樹木の翼と、それが巻き起こす嵐。
 渦を巻いて燃え上がる炎と、それを纏う大刀。
 そして山のごとく堅牢で不壊の、オブシディアンの鎧。
 恭二郎は全ての神経を張り詰めさせ、敵がどれを重視するかを見極めようとした。
 ……火力だ。敵は攻撃力にその力を注ぎ込み、恭二郎を斬るつもりでいる。
(恐ろしいねぇ。受け太刀は通じない、ってか)
 受ければその太刀ごと両断、そして燃え尽きて痕も残るまい。
 後の先を制する他になし。しくじれば即死、極限の劣勢と言えた。
 だからこそ、己のこの剣が魔王に通じるか試す価値があろうというもの。
 スペース剣豪は薄く笑う。ああ、この生命を死地においた心地は――癖になる。
「儂の手にかかる栄誉を味わい、冥府に堕ちよ! 猟兵ッ!!」
 迅雷の速度で魔王が来る! 予想通り狙いは首元!
 ならばあとは結果を御覧じろ。鍛え上げた剣だけが己を導く。
 恭二郎は散歩にでも出るかのような、リラックスした自然体で踏み込んだ。
 世界が鈍化して見える。すべてが動かぬ中で、恭二郎だけがぬるりと動く。
「一刀は万刀に化し――」
 星喰の怪物をも断ち切る一撃。今ここに再び。
「――万刀は一刀に帰す、ってね」
「…………!?!? 何……が、ぐはっ!?」
 魔王は困惑した。剣が、すでに己の鎧を――両断している!
 苦悶の絶叫。対するスペース剣豪は、涼やかな面持ちで残心を切る。
 秘奥未だ至らず。されど我が剣、たしかに死地を潜る道を我に齎したり。
「往生際が悪いぜ、大将」
 悶え苦しむ魔王を見る目は、刃のように鋭い。

成功 🔵​🔵​🔴​

レン・ランフォード
これが最後の戦い…織田信長、そのお命頂戴します!

まず煙幕弾で「目潰し」
実現符で三人三方に「ダッシュ」で分れ、
更に足音を録音したスマホを別方向に投げたりして
【数珠丸太郎】召喚の「時間を稼ぎ」ます

それでも来る攻撃は「第六感」に「野生の勘」も合わせて「見切り」回避
間に合わないなら「武器受け」、ダメージは「激痛耐性」と「気合」で耐えます

召喚したら「騎乗」して反撃開始
私は信長に手裏剣「投擲」とオーガスラッシャーで「なぎ払い」を
太郎は爪や牙で格闘戦「グラップル」です

また煙幕に紛れ狼には効かず虎に効く「毒を使い」ました
そう、マタタビです
白虎といえど猫科、酔っても狂っても多少のデバフになる筈です

アドリブ等歓迎


火守・かこ
戦が終わっちまうのは惜しいが、世の命運と天秤にかけちゃ仕方ねぇわな。
それじゃあ、決着を付けようじゃねぇか!

まずは風林火山で強化された力を削ぎ落とす。そのために奴の刀に宿った炎を利用させてもらおうか!
《火天の加護》で炎を刀から分離させ、背中に生えた樹木の翼に引火させる!
翼が燃えたら一気に火力を上げて爆発させ、爆発の勢いで翼をへし折る!
これで風林火山のうち「風」と「火」は封じられるはずだ!

さて残りの「山」は、真っ向から打ち砕く!
手にした《金砕棒》に爆発の残り火を纏わせて炎の金砕棒に。そしたら雷の如き勢いで突っ込み【地爆衝】を奴の鎧へと叩き込む!同時に金砕棒に纏った炎も爆発させて衝撃の二連打だ!


ツムギ・オーギュスト
近くで見るとすっごーく…ド迫力!
でもツムギちゃん、難易度高い方が燃える子ですゆえ!
いよいよ終幕、いっちょやってやりますか!

おっきな虎だし視点が高くなってるぶん死角ってのがありそうだよね、
ならば…前へ!<武器改造>、スピードスタイルの[ル・ソレイユ]で一気に接近!体勢を低くとって死角に入るよ!
虎の爪とか牙すぐ近くに見えるけど…なんの!速さ!それと<勇気>をもって躱してみせる!

準備が整ったら大一番!【魁は嵐のように】!
二つで一つの生命力なら両方同時に叩くまで!
兵隊ちゃんは合体して信玄ちゃんを!
あたしは<空中戦>スタイルの[ル・ソレイユ]で高く飛び上がって…
必殺の踵落とし、信長ちゃんに振り下ろーす!



●魔王滅殺:レン・ランフォード&火守・かこ&ツムギ・オーギュスト
 スペース剣豪の究極にして一の剣をその身に受けた魔王、されど敵は未だ健在!
「認めぬ……認めぬぞ、儂はまだ滅びぬ! 大いくさはまだ半ばよぉ!」
 よろめきながらも立ち上がり、悪鬼の如き形相で笑いながら吠えた。
 狂気だ。羅刹もかくや、乱世を求むる純然たる大敵の狂気がそこにある!
「城も、敵も、何もかも! 燃え尽きてしまえば同じ塵芥であろうが!」
 そして彼奴は、その燃え上がる大刀を床に突き刺し炎上させようとした。
 だが、その時である。突如として……大刀を纏う炎が、雲散霧消したのだ!?
「!? これは、一体……!?」
「おうおうおう! 火事と喧嘩は江戸の華たぁ云うけどよぉ!」
 いや、炎は消えていない。ずんずんと歩を進めるかこのもとに在る!
 火天の加護を帯びし妖狐にかかれば、悪鬼の業火とて支配できてしまうのだ!
「燃え尽きちまえば同じゴミだって? そいつぁ聞き捨てならねぇぜ!
 焼け焦げて滅びちまうのはてめぇで、塵芥に変わっちまうのもてめぇだからな!」
 我らは勝つ。勝って生き延び、この世界の未来を見届ける。
 この鉄火場にありて、かこの表情はさっぱりとして明るく爛々とする。
 ああそうとも、いくさが終わってしまうのは実に惜しい。それが正直なところ。
 されど己はオブリビオンに非ず。乱世と泰平、どちらが上か比べるまでもなし!

「わお! かこちゃん、相変わらず熱血~! そういうの、いいと思います!」
 かかっ、とブーツの音も高らかに、燃えるような赤い髪の少女がはにかんだ。
 かつて播磨国でかこと肩を並べた猟兵、ツムギである。莞爾とした笑顔!
「悪い大ボスをやっつけて、みんなで笑って大団円! 大変だよねぇ!
 でもツムギちゃん、難易度高いほうが燃える子ですゆえ!」
「おう、そうこなくちゃあな。なら一つ、あの時みてぇにやってやるか!」
「うん! いっちょやってやりましょう!」
 その声は謳うように。そのふるまいは文字通りに舞うが如く。
 かかっ! と再びブーツを鳴らして、ツムギは茶目っ気たっぷりにウィンクした!
「小賢しい小娘どもが……! 信玄よ、来たれ! 我が脚となり我が爪となれぃ!」
 激昂した信長は、大音声を轟かせ堕ちたる猛将をその身に憑装した!
 おお、見よ。白風とともに来たるは、獣と成り果てた甲斐の虎そのものである!
 身の丈は十尺をゆうに超え、どろどろとあげた雄叫びは空間を揺らすほど!
『グルルルルル……ゴァアアアアウッ!!』
「わお! こーして近くで見ると……すっごーく、ド迫力!」
「いいねえ、派手なのは大好きだぜ。かかってきな、武田信玄ッ!」
 猛虎、咆哮す。そして床をがりがりと削り、暴れ牛めいて一目散に――!

 ……稲妻のような速度で突っ込み、そのすさまじい爪を振るうと見えた。
 が、その時である! 突如、もうもうと立ち込める噴煙が辺りを包みこんだ!
「ぬうっ!? なんだ、小癪な! 搦め手を使いよるか!?」
「おっと? まだまだ血の気の多い野郎がいやがったか!」
「あたし女の子なんだけど! てかこれ、もしかしてステージ演出!?」
 三者三様、たじろぎ・笑い・冗談めかし……と、反応は様々である。
 裏を返せば、この煙幕はツムギ・かこどちらの仕掛けでもないということ。
 そしてそれを裏付けるかのように、煙のなかからさらに三つの声が響いてきた。
「行くよ、"私たち"!」
「"俺たち"の間違いだろォ? まァ乗ってやるぜ!」
「……うん、行こう……」
 どこか似ているようで、しかし調子も声音もてんでバラバラの少女たちの声。
 実のところ、それは本来ひとりの人間――つまり多重人格者の集まりである。
 主人格である蓮(レン)、野卑で粗雑な"錬"、そして寡黙な"れん"。
 これら三人が、実体化を可能とする符によって三人三方に飛び分かれたのだ!
「こちらかッ!?」
 ざうっ!! ぶすぶすと煙をあげる大刀がてんで見当違いの方を薙ぐ!
 信長が足音と思い込んだのは、レンが投げたスマートフォンの仕掛け罠だ!
 白虎は雄叫びをあげ、狂ったように左を、右を、前を後ろを爪で斬り裂く。
 近づき、あるいは離れ、三人の"レン"は暴虎の攻撃をきりきり舞いで躱し、
 ものの見事に魔王と白虎の目と耳を撹乱してみせたのだ!
「これならいける――錬、れん! あそこのふたりと協力を!」
「いちいち指図すんなよ、もともとそのつもりだァ!」
「……わかった……」
 ツムギとかこのもとへ、忍めいた機敏さでふたつの少女人格が現れた。
 そして四人は視線を交わし、頷きあう。すなわち――今が反撃の好機なり!

 ごひょうっ!!
 四人が合流したまさにその瞬間、樹木の翼が猛烈な風で煙を払った。
 吹きすさぶ嵐の中、まっすぐに駆けたのはかこ――ではない、ツムギだ!
「貴様から死にたいか! 是非もなし! 両断してくれよう!」
 ツムギは目の前に魔王を、雄叫びを上げる白虎を見、静かに思った。
 なんて牙だろう。なんて爪だろう。きっと自分なんて一撃で死ぬはずだ。
 けれども、チャンスは自分で掴むもの。危険に飛び込むことに意味がある。
 勇気を振り絞り、身を這うように深く沈めた。そのすぐ上を爪と刀が通り過ぎる!
「何ぃ!?」
「隙ありぃ! よぉーい、しょっと!」
 SMASH!! 腹の下に潜り込んだツムギの、激烈な蹴り上げが白虎を浮かせる!
「かこちゃん!」
「あいよぉ! 任せときなぁ!」
 そこへかこの参陣だ。ツムギはその肩を蹴り、さらに直上へ!
 くるくると跳躍したツムギと入れ替わりに、かこは金砕棒に炎を纏わせる!
「その鎧! 踊って楽しむにゃあちと無粋じゃねえか?」
「ぬう、おのれが……ッ!」
「どうら、脱げねえなら砕いてやらぁ。ぶっ潰れろ、おうりゃあああっ!!」
 KRAAAAAASH!! 地爆衝、炸裂! まともに撃たれた信長は血反吐を吐き捨てた!
 堅牢不壊の黒曜石鎧が罅割れ、そして砕ける。さらに炎の爆裂。KBAM!!
『グ、グォオオオ……!』
 しかし信玄の動きが鈍い。なぜか? それは先の煙幕にある。
「やはり白虎と言えど所詮は猫科。毒(またたび)は効いたようですね」
 不敵に笑いつつ、レンは脅威的な速度で両手の印を組む。口寄せの術!
「おいで、たろー! さあ信長、お命頂戴しますッ!」
 はたして白虎に劣れど巨体を誇る白い狼の霊、数珠丸太郎が顕現した。
 レンはその背に軽やかに飛び乗り、手裏剣を投擲し床を駆ける!
「ちぃい、忍め! 猪口才な真似を、儂がこの程度で!!」
「死ぬんだよ、てめぇはなッ!」
「……もう、ジャマ……」
 錬、そして"れん"の支援攻撃。風の速度で駆けたふたりは十字に交錯する!
 結節点はすなわち魔王と白虎であり、斬って裂かれたそこへ狼の牙が到達する!

 ……そんな丁々発止の在り様を、空中高く跳んだツムギは見下ろしていた。
 彼女の召喚したおもちゃの兵隊は、なおもあがこうとする魔王と虎を拘束している。
 そして生命力を共有しているというならば、とどめは両者同時にくれてやろう!
「それじゃあさくっと、いいとこはあたしが頂いちゃうよーっ!」
「おう、やってやんなぁツムギ!」
「お願いします! 信長の動きは私たちが!」
 ツムギは頷き、空中で体をひねり姿勢を変えた。
 ムーンサルトで勢いをつけ、落下速度をも載せた踵落とし。狙いは信長の脳天!
「これにて終幕――一件落着ぅっ!!」
「バカな……!? うおおおおおおおッ!!」
 KRAAAAASH!! 数々の攻撃で砕けかかっていた信長の五体が、罅割れ爆ぜた!
 断末魔をあげる白虎もまた同様に、乱世を求む魔王は再び亡びを味わったのだ!
「盛大に見送ってやったんだ、骸の海で歯噛みしとけ!」
「――ああ、なんとか倒せたんですね、よかった……」
 ふたつの人格が戻ったフィードバックでへたりこむレンを、ふたりは明るく笑う。
 それは、死闘を終えたばかりにしてはずいぶん朗らかな平穏だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


 なるほど。これが貴様らの強さか。猟兵。我らの天敵たる貴様らの。
 異なものよ。その見た目も、技も、動きも意思も何もかもてんでバラバラであるのに、
 こうも我が軍を、将を討ち滅ぼし、そして今以て儂を追い詰めるか。
 不思議なものだ。乱世を求むる儂を滅ぼす貴様らが、何よりも統率性がないとは。
 あるいは――これが、因果応報というものか。……是非も無し。
ミレニカ・ネセサリ
成る程魔王と
ブチのめせりゃわたくしの目指す美に近づけるってもんではなくって?

接敵するその瞬間まで【力溜め】しておきましょう
UCを使いつつ、バイクに乗りアクセルベタ踏みで突っ込みます
攻撃は【第六感】を働かせつつスチームシールドでの【盾受け】・【激痛耐性】で、
あえて致命傷となりうるもののみを流すよう防ぎますわ
負傷は【覚悟】の上です
嵐に対しては重さのあるバイクに掴まり飛ばされないよう

溜めた力による【怪力】とバイクでの勢いを乗せ、
【鎧砕き】とガントレットの爆発による【吹き飛ばし】で思いッきりブン殴ります
黒曜石の装甲を相手にする場合は、割りやすいよう斜めから殴りますわ
自然の石と同じ性質かはわかりませんが



●魔王滅殺:ミレニカ・ネセサリ
 第六天魔王、織田信長――ここに再臨せり。
「またしても滅ぼされたか。是非も無し。いくさとはそういうものよ」
 信長は己の手を握りしめ、開き、過去の己の敗北を淡々と受け入れた。
 そして、ニヤリと笑う。猟兵どもの気配は、まだ城内に無数に感じているからだ。
 実によい。これぞまさに乱世の大いくさ。求め餓えた渇望が満たされていく。
 たとえ何度滅びたとしても、その意志力は諦めというものを知るまい。

 ――だがその時!
 ゴォオウウッ、グオォオオオオウルルルルルッ!!
 さながら巨大なドラゴンの雄叫びめいた、モンスターバイクのエンジン音!
 見よ! でたらめに広い大廊下を爆走し、魔王めがけ疾走するあのフォルム!
 旧き金属によって鍛えられし魔導二輪を駆るのは、不敵に微笑む少女である!
「期待通りふてぶてしい面でいやがりますわね! 腕が鳴りますわ!」
 圧倒的殺意とプレッシャーを前にして、ミレニカは野卑な口調で吐き捨てる。
 そしてさらに笑みを浮かべ、おもいきりスロットルをひねりアクセルを開いた!
 なるほど、第六天魔王。他化自在天にありて天道に仇なすもの。
 僭称するには似合いの名だ。それをぶちのめしてこそ"美"は掴めよう!
「さあ、どうなさいます? 諦めたならとっとと轢殺されてくださいませ!」
 エンジン音にかき消されぬしなやかな大声に、信長はせきを切って呵々大笑した。
「笑止、笑止! 儂が? 諦める? それこそ異なことよなあ!」
 めき、めきめきめき……!
 その背中からは捻じくれた樹木の翼が生え、大刀は炎の竜巻を纏う。
 冷えた溶岩めいて鍛え上げられた黒曜石の鎧は、いかなる刃も通すまい。
「来やがりますわね――ならば! 真正面から挑むのみ!!」
 ごぉおおおうっ!! 家々をも地面から引き剥がす暴風が吹き荒れる!
 ミレニカはアクセルを決して衰えさせず、バイクにしがみついてこれを耐えた。
 ハンドルがブレかかる。まっすぐに最大戦速で進めればそれで十分だ!
「なおも来るか? 重畳!」
 魔王が羽ばたく。弾丸じみた速度でミレニカへと飛びかかった!
 先触れのように飛来した無数の炎を、魔導蒸気シールドが展開し防御する。
 しかし華奢な少女であろうが、溶岩弾じみた攻撃から護り切ることはできまい。
 さりとて、肌が焦げようが肉が焼かれようがミレニカは意に介さぬ!

 すべては覚悟の上だ。そして、その爆走こそが彼女の命を救った。
 もしも足を止めて待ち構える構えでいたならば、おそらく命はあるまい。
 全速力で敵めがけて駆け抜けたからこそ、結果としてその対応を強制し、
 それによって信長の攻撃種別を絞らせたのだ。死中に活ありとはこのことか!
「さあ! その鎧とわたくしの、この拳!」
 ガシュン――! 巨大なガントレットが蒸気を噴き出す!
「どちらが上か! どちらがより堅いか! どちらが相手を打ち砕くか!!
 勝負といきましょう、魔王! 思いッきり、全力でブン殴ってさしあげますわ!」
「呵々! 大言壮語を抱いて消えぃ、小娘ェッ!!」
 超スピードの両者が――今、交錯した!
「ぬうんっ!」
 炎を後に引き振るわれた大刀――がぎん! 魔王は瞠目する!
「わたくしがこれで折れると思って? お返しいたしますわ。"笑止"とね!」
 受け止めている。絶対に敵をぶちのめすという金剛の如き決意が。
 バイクの上で立ち上がったミレニカは、風の中で相手を睨めつけにやりと笑う。
「――さあ、わたくしの美の礎となりなさいッ!」

 ……KRAAAAAAAAAASHッ!!

「がぼ……ッ!!」
 ギャルルルル、ギャリリッ!!
 モンスターバイクが半ばスリップしながら停車。そこにミレニカが着地。
 一方の魔王。血反吐を吐きながら、ぐしゃん!! と床に落下し転がった!
 嵐の残滓に髪を煽られながらも勝ち誇る乙女の顔は、なるほど、たしかに美しい――。

成功 🔵​🔵​🔴​

クロト・ラトキエ
早駆けは掛けた鋼糸の巻取りで脚力を更に補い、
騎手の刃は中空とて体勢直し、返し刀ならナイフかフックでいなして。
虎の視線、足捌き…
将の体使い、腕の動き…
視る程糸口は増える故、
何れも見切り、回避を。

返す手で放つ鋼糸は虎の脚狙い。
重ね、引く2回攻撃。

王の威容。
迷わず挑めと心がさんざめくのは、
守護、平和、悪鬼討伐…
そんな“ついで”の為じゃない。
あの傲岸不遜、気に入らぬから…では無く、よく解るからこそ。
先達へ、敬意を。

左右と上、軌道は向こうも見切るか。
降りた先に既に虎迫るなら…
それは敢えてで、見せかけ。
未だ使わずいた軌道、股下を滑り乍の
――玖式。

かの賢者殿では無いですが…
将を射んと欲すれば、まず…なんてね



●魔王滅殺:クロト・ラトキエ
 きりきりと音を立て、巻き上げられた鋼糸がクロトの体を支える。
 四方八方に展開したそれは、敵の動きを阻む結界でありクロトの命綱だ。
 すなわち、目の前の敵――猛虎・武田信玄に騎乗した第六天魔王の、
 弾丸じみた疾走と爪撃を躱すための、重要な離脱用補助力である、
「ちょこまかと! 大道芸はいくさに不要ぞッ!!」
 苛立つ魔王はぶんと槍の如くに大刀を振り回し、糸ごとクロトを両断せんとする。
 クロトはまさしくサーカスの曲芸師めいて糸を巧みに遣い、空中で姿勢制御。
 初手の横薙ぎを躱し、返す刀で振り上げられた逆袈裟をナイフで受け、いなす。

 ギャギ、ギギギギ――カキンッ!!

 火花を散らし交錯した刃は軋み合いながらも飛び離れ、両者の間合いもまた同様。
 着地。その呼吸は些かも乱れていない。だがすでにこの攻防を五分は続けている。
 今のクロトは、信玄の、そして騎乗する信長の一挙一動をつぶさに観察……いや、
 身じろぎどころか筋肉の躍動、視線、足さばきをすら徹底的に観察していた。
 つまり、張り巡らせた糸のように、極限の緊張を続けているのである。
「優男よ、儂には解るぞ。その集中、続けるだけで青色吐息であろう?」
「さて? まあ僕もそこそこの歳ですからね、案外ガタがくるかもしれません」
 嗤笑する魔王の言葉に対し、クロトはそんなふうにおどけてみせた。
 挑発に激すれば、すなわち間隙を晒す。言葉のやりとりもまた攻防だ。
 一方、虎は十五尺はある身をたわませ、飛びかかる隙を狙っていた。
 全身これ筋肉。全力の跳躍疾走は、ともすれば音にすら届くだろう。

「……あなたは、なるほど、実に魔王を名乗るに相応しい威風を備えている」
 そこでふと、クロトが言った。それは疑いようもない事実であるゆえに。
 敵であれ――否、敵だからこそ、彼奴が放つプレッシャーは筆舌に尽くしがたい。
 超常の戦闘に慣れた、それも歴戦の猟兵だからこそ平静を保てるのだ。
 そこらの侍であれば、達人とて総身を震わせ土下座していることだろう。
「王の威風、偉容。僕は……私はそれを感じたからこそ、ここへ来ました」
 魔王は睨みつけた。だが信長が口を開くよりクロトが言った。
「世界の守護、平和を取り戻す、悪鬼を討伐する……違う、どれも違います。
 そんな、"ついで"のようなことのためじゃない。私が来たのは、そうじゃない」
 男は目を細める。死地にありて勝機を諦めぬ自我。その傲岸不遜。
 気に入らぬ? ――逆だ。"よくわかる"のだ。
 こうして強敵と相対し、飄々と振る舞うクロトだからこそ。
「先達(あなた)に、私は敬意を払いたくてここへ来たんですよ」
 それは、敵味方、猟兵とオブリビオン、過去と未来、そうしたあれこれを超えた、
 ひとりの人間、戦士、男としての、透き通った水のようなリスペクトである。

「……見上げたものよ。だがわかっていよう、もはや次の交錯で終わる」
「ええ。終わりです。幸いながら、"糸口"はもう十分得ましたので」
 魔王は鼻で笑い、虎に拍車をかけた。猛虎の双眸がぎらりと輝く。
「――殺せ。爪で引き裂き、牙でちぎり、血と肉で喉を潤せッ!」
『グゥルルル……ゴォアアアアウッ!!』
 巨体が、消えた! そうとしか思えぬほどで床を蹴ったのだ!
 あまりの疾さ。左か? 右か? 悪手だ。虎の爪はそれを許さぬ。
 ならば上。魔王の嗤笑。斜めに振りかぶった大刀に死角はない。
(ええ、そうでしょう。なにせ私も、たっぷりお見せしましたからね)
 クロトは……身をかがめ、地を蹴り! ……そのまま、真下を滑った!?
「何ィッ!?」
 驚愕! クロトは唯一つ、この直下への回避だけをもったいぶっていたのだ!
 真上から襲いかからんとした猛虎の腹下を潜り、踊るように体勢復帰!
 きりもみ回転の中、閃光めいて放たれる投擲ナイフ三つ。狙いは虎の影!
「かの賢者殿ではないですが、あえて言うならば――」
 玖式(ノイン)、完成。あれほどの勢いを得た虎は、影も形もなく消えた。
 信長は瞠目した。空中にいるクロトは、微笑みながら張り詰めた糸を引く。
「将を射んと欲すれば、まず……なんて、ね?」
 糸がきりりと締まる。その中心には空中に投げ出された魔王。
 肉を斬り裂く糸が四肢を絡め取った時――響いたのは、天魔の苦悶の雄叫びであった!

成功 🔵​🔵​🔴​

ロウガ・イスルギ
アドリブ・連携歓迎 UCはSPD使用

●甲斐の虎 使用されたら
「虎が相手と聞いて俺と同類かと思ったが・・・・・・どうやら違ったようだ。
生憎俺は男を乗せる趣味はない」

【2回攻撃】の初撃としてこちらの【先制攻撃】に見せかけた
【フェイント】で【残像】を産み出し敵の先制攻撃を受ける
残像が消えたら【2回攻撃】2撃目又は【カウンター】を使用し迎撃

上手く行ったなら煽りと挑発も兼ねて
「貴様の勝ちだ、そこに俺がいたなら、な。我が名はロウガ!
『朧牙』にして『朧我』!!」

以降はUCで捕縛や攻撃力を削る事に集中

「魔狼縛縄・・・・・・いや、憑虎縛縄!グレイプニルの名が伊達か、
その身で味わえ!骨の髄まで!」


セゲル・スヴェアボルグ
嵐程度であれば俺自身と武装の重さでどうとでもなる。
問題は炎の刀だな。
遠距離であれば問題なかろうが、近づかねば話にならん。
奴の頭上に斧でもぶん投げて、天井を落とすか。
その隙に盾受けしながら接近して、奴の一部を掴む。
掴んでしまえばこちらのもの。後は無理やり信玄を引きはがしてやればいい。
無論、その程度で無力化は出来んだろうが、戦力減は見込めるだろう。
引っこ抜いた信玄は……どうしたもんか。
喰らってパワーアップとか出来ればいいんだがな。
まぁ、それが出来なくとも相手のUCを封じることができれば、
あとは互いの力と技のぶつかり合いだ。
お前さんの刀と俺の槍、どちらが相手を叩き伏せるか、
一勝負しようじゃないか。


コルチェ・ウーパニャン
…ううん、ここはいくさの大かえで。
楓は七色、コルチェの色。
ナユタ分の一の破滅の可能性はゼロへ、皆でかえて!
信長さんから虹色の白星、もぎとっちゃうよ!

武田軍の弱点は信長さんが一番、分かってるはず!
コルチェはずかんで、予習済み!!

キケンのシールをピカリブラスターへ!
一斉発射のガオーーーン!で、セルフ三段撃ちっ!
ピカブラの余熱の熱波で、オーラ防御も!

ピカブラはどんな敵も、逃がさない。
ピカブラがオーバーヒートしても、シールがコゲコゲになっても、
撃ち漏らしの武田軍さんに蹴散らされて、
コルチェの髪が……光らないなんて、ことになっても!!
武田軍さんたちのスキマを縫って、信長さんの喉元へ……ガオーン!



●魔王滅殺:セゲル・スヴェアボルグ&……
「ほう」
 泰然自若と構える青の竜人は、目の前に広がった光景にただそれだけ漏らした。
 時空間の歪みにより、でたらめな広さを有する大広間。決戦の舞台。
 彼が相対する信長は、あろうことか猛虎と堕した信玄を召喚し騎乗し、
 さらに五百を超える騎馬隊まで生み出し、武田騎馬軍団を率いたのだ!
「興醒めだな、信長よ。お前さんも兵隊を従えて悦に入る小人物だったか?」
「ほざけ! いくさに流儀なぞなし。儂が蹂躙し、滅殺する。それだけのこと!」
 炯々と両目を光らせ、朗々と言ってのける魔王に、セゲルは苦笑した。
「その信念は見上げたものだ。が、俺ひとりにその数はいささか多勢に無勢だろう」
「仔細なし。もはや貴様らと遊ぶのもここまでだ。さあ、塵芥と――」
「仕方あるまいなあ!」
 魔王の口上を遮り、稲妻が轟くような大音声でセゲルが言った!
「おう、俺はあの数はちと面倒なのでな! 露払いを頼めんか、お前さんたち!」
 虚空に語りかけ……いや違う。そこにふたりの猟兵が現れたではないか!

「いいだろう。しかしなんだ、真似するわけじゃないが俺も少々がっかりだな。
 虎が相手と聞いて、てっきり俺と同類なのかと思ったが……どうやら違うらしい」
 白い毛並みに黒のトラ模様を持つキマイラの男、ロウガ・イスルギは言った。
 不躾にじろじろと見やる先は、信長をその背に騎乗させた武田信玄である。
「あいにく、俺は男を乗せる趣味はない。獣である前に"傭兵"なんでな」
 などと不敵に言い、愛用の銃火器の数々をがしゃりと構えてみせる。
「ここが戦の大一番……ううん、ここはいくさの大かえで。七色楓、コルチェの色!
 ナユタ分の一の破滅の可能性はゼロへ、皆でかえて! 虹色白星、もぎ取ろう!」
 言葉通り、きらきらぴかぴかと七色に光る髪を揺らし、人形少女が笑う。
 コルチェ・ウーパニャン。ロウガと同じく、セゲルの世話になる常連客だ。
 もっとも本人に、客とか店の概念はいまいち認識が薄いのだが……まあさておき。
「武田軍さん、やっつけちゃえばいいんだよね? うんうん、コルチェにおまかせ!
 スピーディにストレスフリーにやっつけて、みんなでソフトクリーム食べよ!」
「それはいいが、お前さんツケは……いやまあ、今は言うまい」
「ま、この状況じゃいいっこなしだな。さあ、始めるとしよう。向こうも待ってる」
 セゲルは腕組みをし、不動。どうやら本当に二人に任せるつもりらしい。
 対してコルチェ、ロウガのどちらにも、魔王に対する恐れらしいものがない。
 当然、そんな平然としたやりとりをされれば、魔王としては業腹である。
「よかろう! ならばもろともに、踏み潰し塵芥にしてくれるわァッ!!」
 怒れる魔王を最先頭に、鬨の声をあげて蹄を鳴らし、騎馬軍団が――来たる!

 対して最初に動いたのはロウガだ。キマイラらしい速度で広間を疾走!
「将が自ら矢面に立つ覚悟は見事。だが戦場じゃあ悪手もいいところだ!」
 然り。信長さえ狙い撃ちにしてしまえば話は済むのだ。
 全力疾走しながら間合いを詰め、先陣を切る信長に照準を合わせる。
 だがその時! 信長の背中からバキバキと音を立ててねじれた樹木の翼が生え、
 嵐の如き暴風を吹かせた! それを追い風に、白虎は倍近い速度で接近する!
『グルゥアアアッ!!』
 ブゥン――ッ、振り下ろされた爪は、狙い過たずロウガを……否!
「……残像、だと!?」
 然り! 爪が斬り裂いたのは、瞬時に飛び退ったロウガの残影に過ぎぬ!
 吹きすさぶ風の中、魔王の凝視を受けたロウガは不敵に笑ってみせた!
「さすがは第六天魔王、貴様の勝ちだ。――そこに俺がいたなら、な」
「おのれ、畜生風情がぁ!」
「はっ! 聞くがいい、我が名はロウガ! "朧牙"にして"朧我"なり!」
 白虎が詰め寄るよりも先に、空中で身を捩ったロウガは何かを投擲した。
 一見すればそれは、先端にフックがついたただのワイヤーである。
 だがその実、それは絡みつけば二度と解けぬ不可思議の縛めなのだ!
 がっちりと信玄を絡め取ったいま、猛虎は身じろぎしようが脱せない!
「魔狼縛縄……いや、憑虎縛縄か!」
 その銘をグラウプニル。神話に謳われし神の牙すら縛りし魔縄!
「グレイプニルの名が伊達か、その身で味わえ! 骨の髄までな!!」
「おぉのれがぁああああ!!」
 信長は激した。だが彼奴が羽ばたき突撃するより先に、飛来したものがある。
 ZAPZAPZAPZAP!! 雨のように降り注ぐのは、レトロフューチャーめいた光線だ!
「一斉発射、がおーーーん! これぞセルフ三段撃ちーっ!」
 などとハイテンションのコルチェ、その手にはいかにもな熱線銃。
 よく見れば、それに『キケン』と書かれた警戒色のシールが貼り付けられている。
 WARNING! DANGEROUS! キケン! 危険! といった具合である。とにかくアブナイ!
「てゆか、武田軍の弱点なんて信長さんは一番わかってるはずだよね?
 コルチェはずかんで予習済みなのに。もしかして忘れちゃったとか!?」
 然り。いかに精強無比の軍勢であろうと、史実をなぞればそれが弱点となる。
 長篠の戦い! 武田の騎馬隊を打ち破った革新的戦術! すなわち三段撃ち!
 キケンマークつきのオーバーロード光線銃による超乱射という、
 三段撃ちと呼ぶにはあまりにもストレートでシンプルすぎる戦術だが、
 オーバーヒートして熱波を放つほどの超連射は、どのみち騎馬軍団を圧倒する!
 信長はこの光線の雨を逃れようとした。しかし信玄は完全に締め上げられている!
 魔王は舌打ちし、白虎を放棄。ばさりと翼を以て飛翔し、再び嵐を――。

 ……KRAAAAAAASHッッ!!

「ぬうううっ!?」
「うおおっ!?」
「ひゃーーー!?」
 三者三様、驚いた! なにせ大広間の天井が突然崩落したからだ!
 よく見れば、そこには恐ろしく重そうな斧が楔めいて刺さっている!
 下降を止む無くされた魔王――その首根っこを、誰かががしりと掴んだ。
「おう! 翔んで逃げようなどとはいよいよみみっちい。見下げ果てたぞ!」
 セゲルである。この光線と風の嵐の中を悠然と歩んできたというのか!?
「貴様ッ」
「おっと、これはジャマだな」
 振るわれそうになった炎の刀をむんずと掴み、"炎だけを引き剥がす"。
 魔王は信じがたいものを見た。己の超常が……なんら、なんら通用しない!
「不思議か? 俺は不思議ではない。何もかも"我が手中"にあるゆえな。
 そら、王を名乗るならば、そんな炎だ風だに頼らず力と技で戦え!!」
 ごろごろと稲妻じみた大音声で言い、セゲルは魔王を無造作に投げ捨てた。
 騎馬軍団はもはやなく、猛虎は縛られ穿たれ消えたあと。
 魔王は屈辱と怒りに歯噛みし……悪鬼じみた咆哮を上げ、斬りかかる!
 セゲルはにやりと笑った。そして剛槍一閃――勝敗、二人の目から疑うまでもなし!
「ハッ! セゲル、大したもんだ! ひたすら豪快だな!」
「わー! がおーんするまえにやっつけちゃったー!」
 胴体を真っ二つにされた信長は、驚くふたりの前で塵めいて崩れて滅んだ。
 振り返ったセゲルは、巨槍を担ぎロウガとコルチェに笑いかける。
「お前さんたちも大したものだ。おかげで助かったぞ!」
 豪放磊落。疾風怒涛、天真爛漫。
 第六天魔王とて、この三人の前には型なしだったというわけだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


 何度でも、何度でも。儂は蘇りいくさを続けようぞ。
 何度でも、何度でも。どのようにして滅ぼされようと。
 それが我らだ。オブリビオンだ。我はその始原なり。

 ……かつての儂ならば、はたしてそこから何かを学んだのか。
コノハ・ライゼ
確かに、ココを欠いちゃあってヤツか
まあオレはアンタが美味いかどうかの方が大問題なワケだけど

風による炎の勢い、進路の変化に留意し
『第六感』も併せ攻撃の軌道『見切り』躱し、『カウンター』じみた動きで即座に距離つめ駆ける
躱しきれない攻撃は『オーラ防御』と『激痛耐性』で凌ぐヨ

詰めながら【黒涌】喚び、命中重視で影伝わせ『マヒ攻撃』乗せ仕掛けるネ
どんなモノにも影は出来るデショ?
足元、鎧の影、握ったその掌――逃しはしないヨ
ソレで傷ひとつ付けれりゃオレには十分
『2回攻撃』で「柘榴」振るい『スナイパー』で『傷口をえぐる』よう狙い刃を捻じ込んだげる
しっかり『生命力吸収』するまで
離さないからそのおつもりで、なんてネ


火狸・さつま
わわ、白い虎さん、だ
おっきーもふもふ…かわいい、ね

もふらせては…くんない、よね
わー、あぶ、ない!!
動き『見切り』何とか躱す
でも、大きい分、攻撃も大振り、だ、よ?
先制攻撃なんて、今までも何度も経験済
戦いで学び磨いた『第六感』!持って生まれた『野生の勘』!
それらも駆使して、『見切り』の精度を上げ、躱す第一に
幾重にも展開した『オーラ防御』でも防ぎつつ
例え攻撃受けようとも『激痛耐性』で凌ぐ
体動けば僥倖
『早業・カウンター』<雷火>の雷撃『範囲攻撃』
大きいと、その分、当たり易い、よね!
『2回攻撃』【封殺】
もふらしてくんない白虎さんにはお帰り頂きたい!

常に動き見切り躱し
隙を突き反撃狙う
動ける限り手を尽くす



●魔王滅殺:コノハ・ライゼ&火狸・さつま
「おっきーもふもふ……かわいい、白い虎さん――わぁああっ!?」
 ふらふら近づきかけたさつまは、反射的に飛び退り身を低くかがめた。
 はらり。前髪が一房、爪のあおりを受けて切り裂かれ、こぼれ落ちる。
 あまりにも迂闊というものだ。召喚された信玄に自ら近づくなど!
『グォルルルルッ!!』
「やれ、殺せ! 猟兵を狩ることが貴様の使命ぞ!」
 騎手である第六天魔王の号令のもと、五メートル近い巨体が床を削る。
 飛び退ったさつまにすさまじい速度で間合いを詰め、
 ひとつふたつと追い打ちをかけるのだ! 危険! 喰らえば即死は免れぬ!
「わあ! わーっ!!」
 しかしさつまもまた、動物的センスで日常を、戦闘を駆け抜ける妖狐である。
 瞬きよりもなお俊敏な爪を確実に避け、詰められれば同じだけ距離を取る。
 もはやそこに、無気力気味の見た目にそぐわぬ幼稚な妖狐はいない。
「俺、そんな攻撃、今まで何度も経験済みだ。そう簡単に、喰らわない!」
「ちょこまかと、畜生ごときが……!」
「畜生じゃ、ない! 悔しいなら、一発、当ててみせ、ろ!」
 びゅんっ! ごうっ!! 致命的な丁丁発止を二体の獣が交錯する!
 しかし、さつまは避けるのが精一杯で反撃に打って出る瞬間を見出だせぬ。
 いっそ負傷を覚悟で受けるか? どんな激痛であろうと凌げる気概がある。
 腹を決めようとしたその時――突如として、信長が明後日の方を見た。

 ――ブオンッ!!

 誰もいない方向を、信長はさつまを無視して大刀で薙いだのである。
 ……いや、誰も居ない? それは否。大刀の間合いのわずか外、男の影がある。
「アッハ、大したモンだことォ。これでもけっこう息潜めてたンだけどネ?」
 飄々と、へらりと笑うのは、さつまと同じ妖狐の男。
 その姿を見たさつまは、白虎の間合いから大きく飛び退り瞳を輝かせた。
「!! コノちゃん!!」
「アラたぬちゃん、ようやく気づいた? お邪魔しちゃったかネ」
 さつまはぶんぶんと首を横に振る。なつかれたものだとコノハは笑った。
 さりとて、ここは戦場である。いつものように朗らかにじゃれあうとは行かない。
「コノちゃん、大きな虎をもふりにきた?」
「え? いやいや、オレの目的はアッチ。あの美味そうなオジサンだヨ」
 つい、と細い指に示され、魔王はぎろりと燃えるような凝視で睨み返す。
 コノハはその威圧感をもへらりと笑って受け流し、さつまを一瞥する。
「たぬちゃんは虎。オレは美味しいゴハン。協力するのはドウ?」
「わかっ、た! ――俺なら、あの虎は、殺せる、から」
 大した自信だ。しかし身から放たれる鋭い獣じみた殺意はその証左。
 白虎に騎乗した信長が、めきめきと音を立てて翼と生やし刀に炎を纏う。
 共に二対二、数は同じ。ならば――あとは、互いの殺意が勝るか否か。

「じゃあ、俺……行く!」
 まずさつまが動いた。ゆるりとした普段からは想像もできない鋭さ。
 一瞬にして間合いを詰め、当然のように振るわれたカウンターの爪を、受けた!
 積層展開されたオーラをあっさり斬り裂いた爪は、無論その肉を引き裂く。
 ぞっとするような血の飛沫。だがさつまは意に介していない。
「その、図体。狙う必要、なくて……助かる」
 バチ、バチバチ――バチィッ!!
 カウンターの拳を通じてスタンガンじみた稲妻が叩き込まれ、白虎は慄いた。
「ええい、小賢しいッ!」
 しかしそこで騎乗者の信長が剣を振り上げる。人虎一体のコンビネーション!
 だが信長が振るおうとした刀は、再び彼方を――コノハめがけ返される!
「残ァん念、もう間合い読めてんだよネ」
 言葉通りだ。振るわれた剣先はコノハの頬を浅く裂いたのみ。
 間合いを見切った完璧な体運び。がら空きの信長めがけ、鋭くナイフを振るう。
「――!?」
 信長は訝しんだ。体が動かぬ。これは。……己の伸びた影法師を見る。
 炎に照らされ伸びた影。そこから現れた、狐のような黒いなにか。黒涌。
「イヤイヤされると傷ついちゃうなァ、せっかくだし味わわせてよ?」
 逆手に構えた柘榴の刃が、鎧の隙間からするりと魔王の肉体に食い込んだ。
「がッ……ぐおおおっ!? 貴様、儂の精髄、を……!!」
「離さないヨ? アッハ、やっぱ美味いジャン。まだまだ吸いたいネェ」
 ぐりぐりとナイフを刳りこみながら、コノハは妖しく舌なめずりする。
 敵が魔王であろうがなんだろうが、その生気こそが妖狐の甘露。
 ましてや"悪食"コノハとなれば、かの魔王の血肉はさぞかし美味であろう!
 生命力を共有する白虎も、あるじの苦しみに呻く。
 それを見下ろし、爪先までバチバチと白き雷を、狐火を纏わせて、さつまは言った。
「もふらしてくんない、白虎さん。とっとと、お帰り、願おうか」
 反撃など許さぬ。断末魔など許さぬ。
「――焼き尽くされ、て……消えてしま、え」
 封殺の一撃は、哀れな白虎を、その脳髄を沸騰させ灼き尽くした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

雷陣・通
(アドリブ、連携歓迎です)
最終局面、ここが決着だ!
行くぜ、織田信長
「雷陣・通、治に居て乱を鎮める武を以ってこの戦い決着せん」

右手を天に左手を地に
腰は落とし、足は猫の脚の如く
摺足にて近づくは天地陰陽の構え、絶対的攻撃スタイル
視線を相手の眼をにらみ、殺気を漲らせ、攻める姿勢を持って距離を詰める
おびき寄せるは黒曜石の全身甲冑及び、炎の刀
攻めの気勢をフェイントとし、誘引すれば
叩き込むは『手刀』
力量差は歴然、故に全力を持って、敵の攻撃に対してカウンターからの先制攻撃で後の先を取り
刀を!
鎧を!
嵐を!
断ち切る!

「ここだぁ!!」

二回攻撃の二回目、鎧無視攻撃をマヒ攻撃を合わせた一撃叩き込む!



●魔王滅殺:雷陣・通
 おびただしい負傷をしているとはいえ、相手は第六天魔王。
 真正面から、単独で挑むにはあまりにも危険すぎる敵である。
 しかし、その一対一、この真正面からの立ち合いこそが通の十八番。
 大廊下にて相対した両者は、空気を張り詰めさせて互いに出方を見ていた。
「……そういや、名乗りそびれてたっけな」
 大山鳴動するが如き、威風堂々とした四肢の運びとともに、少年は言う。
「俺は雷陣・通。治に居て、乱を鎮める武を以ってこの戦い決着せん。
 ――ここがいくさの大一番? ああ、そうだぜ。信長、お前が滅ぶ墓標だ!」
 右手は天に、左手は地に。腰を落とし、両足は猫脚めいて踵を浮かせる。
 丹田に術気を充足させ、あらゆる攻撃に移行可能な絶対的攻撃闘法。
 天地陰陽。視線は敵を捉え、すり足にて徐々に、徐々に間合いを詰めるのだ。
「小僧にしては見上げたものよ。よかろう、ならば――」
 異形化した信長は、その前のめりな殺意に免じ、己の炎を増した。
「どちらの鋒が先に届くか。比べてくれようではないか」
「……ああ、やってみせろよ第六天魔王。その全てを断ち切ってやる」
 絶対先制。それは、いかなる状況からでも敵が先んじる無慈悲な摂理。
 斯様な立ち合いにおいて、それは対手の厳然たる死として横たわる。
 通に手立てはない。後の先を得るよりも先に彼は両断されて死ぬだろう。

 ――そう。
 通が、その構え通り、前のめりに攻撃を挑んでいたならば。
「死ねィッ!!」
 信長が撃ち込んだ。燃え盛る炎の刃が、横薙ぎに稲妻じみて振るわれる!
 通は瞠目した。その時彼は――天地陰陽の構えを、解いたのだ!
 今度は信長が驚愕する番である。この童めいた歳で己を謀るとは。猟兵!!
 しかし剣速は異常。いかに受けに回ったとて通では耐えきれまい。
 ……耐えきれない、はずだ。はずなのだ。だが、通は!
「ここだぁ!!」
 手刀一閃! あろうことかその刀を――真っ向から、叩き折った!
「ぬうっ!?」
「せいッ!!」
 踏み込む。拳を握りしめ、みぞおちめがけた砲弾じみた正拳突き、刺さる!
 断末魔と血反吐を漏らし、鎧越しの衝撃を受けて吹き飛ぶ魔王!
 全身の気息を正し、どっと噴き出した汗とともに呼気を吐き出す。
「――第六天魔王、破れたり。取ってみせたぜ、後の先!!」
 溌剌たる声。立ち合いの詳細、誰が見ても明らかなり!

成功 🔵​🔵​🔴​

雨宮・いつき
放たれる騎馬武者は雷撃符で生み出した雷の壁を押し出す事で迎撃します
威力よりも【マヒ】【属性攻撃】を重点した【範囲攻撃】で騎馬の動きを止め、
続けて放つ魂縛符で騎馬と信長公の動きをさらに縛り、術を詠唱する隙を作り出します
【高速詠唱】にて放つのは禁術
騎馬武者達の装備をヤドリガミへ変え、信長公へ一斉攻撃を叩き込みます
三段撃ちが何するものぞ
雷の矢に氷の槍、そして爆撃にヤドリガミ達の突撃
四段の構えで挑ませて頂きます!

…甲斐の虎
言葉も無く、ただ徒に力を振るわされるその姿、見るに忍びなし
名高き武田の騎馬隊、その刀よ槍よ、鎧よ御旗よ
誇りと御大将への忠義があるならばこそ
第六天魔王波旬、その身で討ち果たしてみよ!


喜羽・紗羅
今度は武田騎馬軍団かよ……何でもありだな
(だからって、引く訳にはいかないでしょ!)

騎馬武者軍団の突撃は偽装バッグで応戦
直撃を貰わない様動き回りながら機関銃で弾幕を張る!
足の速さじゃかなわねえ、なら寄せ付けない事に全力を注ぐんだ
可能なら塹壕代わりに地形を利用してやり過ごすぜ
同じ様に追われてる仲間がいたら援護射撃だ

一旦敵が引いたら巫覡載霊――異形の甲冑を全身に纏い
いざ尋常に勝負だ! 太刀を変形させた薙刀の衝撃波で
騎馬軍団の足元を狙う。馬から転げ落ちりゃ如何様にも出来らあ!
目の前に堕ちてきたら鎧ごと抜いて一撃で仕留める

そうして信長へ間合いを詰めて
太刀の間合いの外から武器を落として二つ目で貫いてやる!


リミティア・スカイクラッド
『運命とは受け入れるべきものではなく、自ら選び創り出すものだ』
……ムルヘルベルさん流に引用するなら、こんなところでしょうか
死と敗北の運命に抗わんとする魔王
ならばリムも全力で挑みましょう。この身に流れる血と誇りに賭けて

精強なる武田騎馬軍団、その突撃は容易くリムを蹂躙するでしょう
しかし一度勢いに乗った騎兵は小回りが利かなくなるもの
まずは走りながら突撃を誘い、敵が勢いに乗ったところで
風神の靴で大気を蹴って一気に舞い上がり「空中戦」に移行
軍団の頭上を飛び越えて信長を射程に捉えます

宝石剣と魔女の刻印の「封印を解く」と
解き放たれる魔力の全てを【魔女の火葬】に
「高速詠唱」の「全力魔法」
これがあなたの終焉です



●魔王滅殺:騎馬軍団に相対した者たち
 ……BRATATATA! BRATATATATATA!!
「今度は武田騎馬軍団かよ、いよいよなんでもありだな!」
(だからって、退くわけにはいかないでしょ! いいから走って!!)
 多重人格者の少女、喜羽・紗羅――現在表層に出ているのは、その別人格である"鬼婆娑羅"――は、裡なる紗羅の声にへいへい、とぞんざいに応えた。
 偽装バッグ"アームドオリーブ"に仕込まれた短機関銃を掃射し、退路を確保。
 一時も脚を止めることなく、全力で大廊下を、あるいは部屋から部屋を駆ける。
 なぜか。……当然だ、今の紗羅/鬼婆娑羅は無数の騎馬軍団に追われている!
 その数、およそ五百! 根本的には平凡な少女である紗羅の武装では、
 この数の騎馬軍団を回避しつつ滅殺するような装備は存在しない。
 己に追いついた騎馬隊を短機関銃で怯ませ、塹壕代わりに地形を利用するのが精一杯。
 そして彼奴らは、寿命の尽きた者を追いかけ刈り取る死神のごとく、
 底冷えするような鬨の声と馬のいななきを上げ、蹄の音も高らかに猛追するのだ!
「くそっ! こうなったら信長をやっちまったほうが速いんじゃねえのか!?」
(それが出来たら苦労しないわよ! この数の敵をどう掻い潜るの!?)
「わかってるよ! 悪態だよ畜生め! ああくそガラじゃねえなあ!」
 無頼漢である鬼婆娑羅にとっては、逃げ回るしか無い状況は相当に堪えるようだ。
 だが何度目かに飛び込んだ大広間で、彼女らはひとりの味方と出会うことになる。

 時空間が歪んだことで無限めいた広さを持つその大広間には、少女がひとり。
 年頃はおそらく、見た限りでは紗羅よりひとつ下、といったところか。
 背丈は若干紗羅のほうが大きい。茶色の髪に、透き通るような青い瞳。
「あっ、悪ぃ! ひょっとして隠れてたか!? なら一緒に」
「"運命とは"」
「……ああ?」
 謎めいた少女の言葉に、慌てふためきかけた鬼婆娑羅は怪訝に誰何した。
「"運命とは受け入れるべきものではなく、自ら選び創り出すものだ"。
 ……ムルヘルベルさんの流儀に倣って引用するなら、こんなところでしょうか」
「アンタ、一体」
 少女は、そこで鬼婆娑羅/紗羅をしっかりと見返し、こくりと頷いた。
「リムはリミティア、リミティア・スカイクラッドです。隠れてはいません。
 待っていた、というべきでしょうか。なにせ、敵は必ず先制しますから」
 そこへ鬼婆娑羅……紗羅が転がり込んできた。そして鬨の声は近づいている。
「死と敗北の運命に抗わんとする魔王、そしてそれに従う精強なる騎馬軍団。
 相手にするにはその数も、練度も、あまりにも差がありますが――」
 青色の瞳の奥、凛としたプライドを讃えたリミティアは、瞬きした。
「それでも、リムも全力で挑みましょう。この身に流れる血と誇りに賭けて。
 ……リムは、あなたの協力を要請します。共同戦線は可能でしょうか」
 そこでようやく、鬼婆娑羅はにっと頼もしげに笑ってみせた。
「むしろこっちから頼みてぇところだ。頼りにしてるぜ!」
「はい。リムは持てる全ての力を発揮することを約束します」
 少女たちが頷きあった、その時――大広間に、波濤がなだれ込んだ!

「袋の鼠とはまさにこのことか! 是非もなし。女子供であろうが猟兵は猟兵よ。
 我が騎馬軍団ょ。あの者らを踏み潰し、引き裂き、槍衾にせよ! 殺せッ!!」
 軍勢の後方で叫んだ信長の号令のもと、騎馬軍団はふたりに狙いを定めた。
 身構える鬼婆娑羅の身を異形の甲冑が覆う。手にするは神意の薙刀。
「こうなったら突っ込むしかねえな。アンタはどうする?」
 問いかけに、リミティアは静かに答える。
「あの突撃がいかに疾く、容易くリムとあなたを蹂躙するとしても、ひとつだけ。
 ……騎兵には、小回りが利かないという弱点があります。そこを突きます」
「なるほどな。ようし、ならいざ尋常に――勝負と行くか!」
 ふたりは駆け出す。無論、殺到する騎馬軍団のもとへ!
 しかしてリミティアと紗羅は、その途中でY字を描くように二手に分かれたのだ!
「小賢しい! 潰せ、潰せぃ!!」
 信長は大刀を振り回し一喝する。騎馬隊もまた同じように二手に分かれようとした。
 だが。速い! リミティアの疾走は、その見た目から想像できぬほどに疾い!
 さらに大きくカーブを描いたその軌道は、突撃状態から追うには急角度すぎたのだ!
 では鬼婆娑羅のほうは? 彼女は疾走途中で踵を返して逆走した!
「そらそら、追っかけるのに夢中で足元がお留守だぜぇ!」
 這うほどに身を低く屈め、太刀を変形させた薙刀で足元を円形に払う。
 当然騎手は馬上から崩れ落ちる。そこへ狙い済ませた鎧通しの一撃!

「ええい、猿知恵を働かせおって! ならば儂自ら――ぬうっ!?」
 信長が参陣しようとしたその時、突如としてその周囲を雷の壁が覆った!
 さらに雷を貫き、符が複数。信長はこれを迎撃するために足止めせざるを得ない!
「あの小娘か? 否! 小癪な鼠め、姿を見せぃっ!」
「言われるまでもなく――ですが信長公、僕が返すのは言葉ではなく!」
 少年の声が真言を唱えた瞬間、放たれた符から不可視の波動が放たれた。
 途端、リミティアの急制動によって瓦解しつつある甲部隊と、
 鬼婆娑羅が蹴散らしている乙部隊。それぞれの得物がふわりと浮かび上がる!
「何ぃ!?」
 はたしてそれらは、まるで念動力に操られるかのように信長へ殺到した!
 奇怪である。だがそれは実のところ、武具たち自身によるあるじへの叛逆なのだ!
「名高き武田の騎馬隊、その刀と槍の誇りある叛刃です!
 第六天魔王波旬よ、これは僕の術ではない。器物たちの忠義に他なりません!」
 禁術・偽神創生(マリオネット・ハイヴ)。
 命なき無機物を、一時的にヤドリガミへと変生せしめる禁術中の禁術。
 魔王に操られた騎馬軍団は悪に堕ちれど、その武具までは堕落していない!
「ぬううう! くだらぬ、なんとくだらぬ……!」
「くだらぬと誹りますか。ならば信長公、あなたはやはり滅ぶべくして滅ぶのです」
 さらに雷の矢と氷の槍を放ち、陰陽師の少年、雨宮・いつきは決然と言う。
「さあ、空を仰いでごらんなさい。あなたを討ち滅ぼす力がそこにあります!」

 ……頭上!
 見よ、そこにはリミティアの姿あり。大気を蹴って羽乙女のように舞う!
 軍勢を、飛び交う矛を越えて睥睨する魔女の末裔は、己の武器の封印を解いた。
 刻印によって抑えられていた魔力が溢れ出し、血のように輝く宝石剣に収束する。
「第六天魔王、織田信長。リムは、あなたに魔女としての手向けを送りましょう。
 ――骸には火を。墓には花を。もはや、あなたの居場所はこの世界にありません」
 紅玉が輝く……生まれたるは、忘却の存在のみを滅却する勿忘草色の炎!
「お、おおおおおおおおッ!?」
 全身を"魔女の火葬"に包まれた信長を、意思ある器物たちが斬り裂き、貫く!
「莫迦な、儂が、斯様な亡びを……!」
「――遂げるんだよ、信長! お命頂戴するぜッ!!」
 そして武者たちのさなかから、鬼婆娑羅が飛び出した!
 裂帛の気合を込め、神意の太刀が、薙刀が――鎧を貫き、心の臓を貫く!!
「……これは運命が決めたのではなく、リムと皆さんが掴み取った結果です」
 魔王は敗北したのだ。猟兵たちの信念と、その底力に。
 かくして、天魔に今一度の死が訪れた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


 乱世を。いくさを。血みどろの戦いを!
 ――滅びを! 儂は求める。求め続ける!!
遠呂智・景明
アドリブ歓迎

お前の首を取ればこの戦が終わるんだろう?
名残惜しいが、ここでぶった斬る。

さて、やることはいつも通り単純明快。
あとはどうやってこの刃を届かせるか。
まずはあの翼、放ってきた風は流れを見切り、気流の弱いところを切り開きつつ進む。風に何かを載せてくるかもしれねぇが、多少の被弾は覚悟の上よ。
炎の刃は受け止める。謙信とさんざ打ち合ったんだ、今更その程度で逃げるかよ。
二刀で激しく打ち合い、炎を散らす。
さらに隙があれば反撃、翼ごと削る。
さあて本命。その甲冑は確かに堅牢。
されどやることはひとつ。
跳躍で1度距離をとりつつ一刀流に。
その鎧ごとてめぇを斬る。
俺は大蛇切 景明だ



●魔王滅殺:遠呂智・景明
 ――がぎん、がぎ、ぎ、ぎゃりんっ!!

 炎を抱いた大刀と、景明と同じ銘を持つ名刀が火花を散らしてぶつかり合う。
 信長はその背に生やした異形の翼を以て景明の頭上を飛び回り、あざ笑うのだ。
 羽ばたきのたびに猛烈な風が生まれ、戦場を蹂躙する。時間は敵の味方だ!
「他愛なし! 猟兵よ、貴様の剣の腕はその程度か!?」
 嗤笑する魔王の声にも応えず、景明は極限の集中を以て風を読んだ。
 その流れ。進むべき先。いかにして剣を、刃を届かせるかの道行きを。
 脳裏に蘇るは、魔軍将の一、十と二つの魔剣を振るう剣豪将軍との死闘。
(……死合ならさんざ味わったんだ。いまさら、炎の刀ひとつ恐れてられるか)
 風は景明を誘う。向かい風はそれに乗るなら追い風に変わり、
 すなわち護りであり矛となる。たとえ肌を切り裂かれようと意に介さず。
 景明が踏み込んだ。風に乗る! 黒髪をたなびかせ、赤い瞳をきらめかせて!
「小賢しいッ!」
 炎の刃、来たる。だが景明は、受け流すでもいなすでもなく、これを受けた。
 がぎんっ!! 火花を散らして刃と刃が交錯し、異常な膂力が押し通らんとする。
 肩口に食い込んだ刃が肉を割り、骨を軋ませ、血の飛沫が風に煽られ散った。
「う、おおおおお……ッ!!」
 だが景明の目は死んでいない。裂帛の気合を込め、刀を打ち返す!
「ぬうっ!?」
 さらに一撃! がぎん――!! 火花、否、刀を包む炎が激突により霧消!
「お前の首級を穫れば、このいくさは終わるんだろう!」
 斬撃――一閃! 羽ばたく異形の翼が、ざざんと竹のように断ち切られた!
「名残惜しいがよ! いい加減、信長! お前はここでぶった斬る!!」
 さらに一閃! だが黒曜石の鎧は、名刀の一撃を火花とともに拒んだ!
「笑止、笑止よ! 第六天魔王たる儂を貴様ごときが切って捨てるなど!」
 呵々大笑。魔王は風を吹き飛ばし、炯々と両目を光らせて斬りかかった。
 景明は――応じない。鋭く呼気を吸い、明鏡止水の心にて時を読む。
 一刀流、正眼の構え。雑技、雑念、もはや一切不要。
 周囲の風景が暗黒に溶け、見えるのはただ対手のみ。
 全身は力を抜き、まるで水のようによどみなく敵の斬撃を避けた。
「――いざや魅せよう、一刀繚乱」
 その身はヤドリガミ。百年の時を経て人の化身を得たりしもの。
 その本体は同じ銘を持つ手の中の剣。ならば一心同体を超えた無心同体なり。
 極限の業前を持つ剣士が、己の体と同じ剣を、思うがままに振るったらどうなるか?

 ――かちん。
「ごはッッ!!」
 納刀の音と同時、景明の背後で、斬撃を受けた信長が盛大に吐血した。
 残心。風の残滓を受けながら、器物の化身は寂寂とした声で言う。
「俺は大蛇切 景明。――"おれ"に、斬れないものなどないのさ」
 黒曜石の鎧、何するものぞ。
 その一刀、万物を斬りて天元にも至らん。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルバート・クィリスハール
へえ、コイツが総大将かあ。
強そうだなあ…きっと生きてたときも強かったんだろうなあ。
ああ、ムカつく。
強いヤツも、頭のいいヤツも、みんな嫌いだよ。大嫌いだ。
どうせアンタも、自分のやりたいことのためにヒトを殺してきたんだ。
だったらここで殺されろよ。
存在がムカつくんだよ。

先に虎は呼ばれる
重力と風で空中を高速で飛び回りながら詠唱してコードを使う
対価は呪縛
あーあー呪いの声が頭の中ぐるぐる回って反吐が出そうだ
でもこの炎熱で、腐毒で、呪詛で、おまえを殺すよ
“呪われてあれ”ってやつさ

その虎、アンタと一緒なんだろ、いのち
だったら一緒に死ねよ
一人で死ぬよりずっといいだろうがよ!



●魔王滅殺:アルバート・クィリスハール
 アルバートは、オブリビオンというモノを根本的に嫌う。
 そもそも好く理由がない。なにせ奴らは本来不要な世界のノイズなのだ。
 ノイズどもが我が物顔で世界を歩き、我が物顔で欲望のままに力を振るい、
 本来生きるべき人々を――もっともアルバートは人をすら嫌っているが――殺し、
 蹂躙し、簒奪し、貪食し、ああして大物ぶって構えてみせる。
 強いヤツは嫌いだ。誰かから奪うことを当然と思っているから。
 頭のいいヤツも嫌いだ。平気な顔で誰かを踏みにじるから。
 そういうヒトは、大嫌いだ。けど、オブリビオンよりは、こいつらよりはマシだ。
 なぜなら――。

「……ああ、ムカつく」
 白虎に騎乗し、すさまじき殺意を放射する巨悪を前に、アルバートは言った。
「オブリビオンの総大将、御大層な名前を名乗ってふんぞり返る瓦礫の山の王様。
 強そうだなあ。強いんだろう? きっと、生きてたときも同じたったんだろうさ」
 腹立たしい。苛立たしい。唾棄の感情が湧いてくる。湧いて湧いて尽きない。
「そうやって偉ぶって、誰かを踏みにじって、やりたいことをやってきたんだ。
 自分のやりたいことのために、アンタもヒトを殺してきたんだろ?」
 オブリビオンはそうする。"そういうモノ"であるがゆえに。
「義憤でもなく、私憤でもなく、ただ憎悪と怒りによって儂を狙うか。
 是非もなし。いかにもそのとおり、儂は儂として殺し、奪ってきたぞ」
「――だったら」
 アルバートの声が、ぞっとするほど冷たくなる。
「ここで殺されろよ。存在がムカつくんだよ。何もかも!!」
 ごぉう!! 猛烈な殺意に反応し、白虎が吠えた。そして駆ける!
「だから死ねよ。殺されろ。そして消えろ言ってんだよッ!!」
 アルバートは重力を操り、風を従え、猛禽めいて鋭く空中を飛ぶ。
 虎ならば届かないか? 否。猛虎ならばその跳躍で届かせることが出来る。
 だが、空中戦はアルバートのほうが上だ。たとえ爪がかすめたとしても、
 致命傷には至らない。そして、ごうごう渦巻く風の中、声が強まっていく。

 ――我は万霊、十の一。
『おお、おお。なんと哀れな』
 ――愾と憧にて立ちし者。
『ああ、ああ。実に憐れな』
 ――此は我が心像、我が表象。
『救われぬ者よ』
 ――忌避せし心裡の天上奈落。
『愚かな者よ』
 ――不浄黒天、焦がせや怨憎。招くは獄宴大融界!
『『『その憎悪すら、憐れで哀れで仕方がない』』』

「あー、あーあー、あーあーあーあー、あああああッ!!」
 反吐を吐き捨てるように叫んだ。ぐるぐる回る呪いの声をかき消すように。
 呪縛は晴れぬ。それがその炎熱を、腐毒を、呪詛を強める。その哀絶が。
「なあ、死ねよ。呪いも炎も毒もくれてやる。だから一緒に死ねよ。その虎と」
 いのちのつながりが見える。アルバートは獄宴の雫を解き放った。
「これは……!? 貴様、一体!」
「死ねよ」
 聴きたいのはそんな声じゃない。苦悶でもない。断末魔だ。それすらも鬱陶しい。
「ひとりで死ぬよりずっといいだろうがよ。呪われて、呪われて呪われて死ね!!」
 アルバートはオブリビオンを嫌う。ヒトを嫌う。ありとあらゆるものを嫌う。
 ……それでも、彼が誰よりも、何よりも憎んで怨んで止まないのは――。
「呪われて、死んじまえ!!」
 哀れみを受ける価値などない、自分自身に他ならない。

成功 🔵​🔵​🔴​

ネグル・ギュネス
敵対してなきゃ、嫌いじゃないんだがな
───引導を渡してやる、魔王信長!

先手を取られるのは覚悟の上
【迷彩】で攻撃の芯をずらしながら、【武器受け】で受け流し、《失っても、壊せ》を使用

そして【ダッシュ】と、敵を欺く数多の【残像】を放ち、多重影分身のように敵の視線や認識を欺きながら、敵に向かうて、【破魔】の【属性攻撃】を孕んだ刀で削りにかかる

貴様は守り専門って柄じゃないだろう?
さあ来いよ、いざ、尋常に勝負!

純粋なパワーでは不利
されど、半機の【封印を解く】ことにより、速度とパワーをオーバーブースト!
刀と脇差の二刀流により、その甲冑ごと叩き斬る


終わりにしよう、魔王
オレには守りたい世界が、未来があるんだ…!


フルール・トゥインクル
必ず先手を取られる……ムルヘルベルさんが言うのならそうなのでしょうね
強敵相手ですけど私と精霊さん達の力でもって対抗させていただくのです

召喚と騎乗を防げずとも、逆に躱しどちらかを打ち倒せばいいはずなのです
攻撃に向かってきてもじっと待機、ただ友繋ぎの輪のユーベルコードで勘を冴えわたらせておくのです
避けるのはほんの一撃だけ、高まった勘を頼りに宙を舞う木の葉のように

避けたらお返しと、精霊銃からマヒの力も込めた樹属性の魔力を連射するのです
狙いは織田信長本体に見せかけて、実際は白虎になった武田信玄へ
とっておきの誘導弾、急に曲がるのですよ
もちろん織田信長にも数発牽制を入れて、そのまま倒させていただくのです!



●魔王滅殺:ネグル・ギュネス&――
 自分は、自分でもどうしようもないぐらい不器用な人間だと思う。
 不器用で、変なところで生真面目で、そのくせ意地っ張りで。
 相棒だ、戦友だ、愛しきひとだと言っておいて、自分の情を優先する。
 ああ、きっと叱られるのだろう。莫迦だなんだと言われて呆れられるだろう。
 それでもいいと思ってしまう自分がいる。これは覚悟でも決意でもなんでもない。
 そう、ただの開き直りだ。わかっているのが、我ながらなおたちが悪い。
『ゴァウルルルルッ!!』
 猛虎が迫る。振るわれる爪を緩急のある動きで以て"芯"をずらし、
 それでも喰らうことがあれば――たとえば信長の大刀だ――これを受け流し、
 傷を帯びても意に介すことなく、風のようによどみなく、水のように激しく動く。
 動き続ける。……一方で、脳裏では余計な思索がずっとずっと続いていた。
(雑念だ。これじゃあ相棒に偉そうなことを言えやしないな)
 地獄じみた丁々発止のなか、他人ごとめいてネグルはぼんやり思う。
 そしてそのままに、自然な動作で、淀みも躊躇も動揺も当惑も一切なく、
「――引導を渡してやる、魔王信長」
 破滅をもたらす鈎を、反時計回りにぐるりと回した。
 そして、ヒトたる証、生身の部位はすべてが鋼に変わり、黒く染まる。
 純粋なる機械兵。何もかもを破壊し、破滅させる無慈悲なる戦士。
 ……自分は、自分でもどうしようもないぐらい不器用な人間だと思う。
 だから結局、こうするしかないのだ。"失っても、壊す"しか。
 ……これも結局、いいわけだ。ああ、そうとも。己自身で認めよう。
「貴様……その姿、そして覇気……何をした?」
『そっちこそ、守り専門ってガラじゃないだろう』
 俺は、揶揄されて当然のわがままな男だ。
『さあ来いよ。破滅を求めるならば、まず俺を破滅させてみせろ。
 出来ないならば俺が貴様を壊す。いざ――尋常に、勝負だッ!!』
 この自分勝手な戦いを、心の底から楽しんでしまっているのだから。

「……ネグル、さん」
 黒き疾風と化した男の猛攻を、猛追を、全てを破壊する暴虐を、
 ひとりの妖精が見ていた。緑色の瞳を、瞬かせ、大きく大きく見開いて。
 フルール・トゥインクル。ちいさな体に、とびっきりの愛おしさをひめたひと。
 その想いを向けるべき男は、いま、己の体を完全な鋼に変えていた。
 精霊たちが囁く。あれは破滅だと。形を得た破滅そのものだと。
 なるほどそのとおりなのだろう。振るう力は白虎を、信長を押し返し、
 互角から徐々に優勢へ、優勢が徐々に圧倒へと変わりつつあるのだから。
 傍から見ても解る。あれは、相当の"無理をしている"姿だ。
 なぜ。どうして。そんなことを。ひとりで。こんなところで。
 問いたいことはいくらでもある。口にしたい言葉は星の数よりも多かった。
 けれど。
「――ううんっ」
 フルールは首を振った。今自分がすべきことはなんだ。何のためにここへ来た。
 彼が黒き破滅となって闘うのは、その理由は誰だ。相対しているのは何者だ。
「オランジェ、リュミエール、オプスキュリテ! ネージュ、アングルナージュ!」
 精霊たちの名を呼ぶ。色とりどりの友人たちが、きらきら瞬き舞った。
「力を貸してほしいのです。一度だけ、一度だけ私に――」
 破滅を見た。天魔と争い、それを滅ぼそうとする黒い姿を見た。
「……ほんの一瞬だけ、どんな攻撃でも避けられる力を貸してほしいのです」
 そしてフルールは飛び出す。石粒さえも存在を許されぬ破滅の嵐の中へ。

「ぬ、おおおおお!! 貴様、貴様ごときが、儂を!」
『グゥウウウウ……ガァウルルルルッ!!』
 魔王が呻く。虎が吠える。ネグルは苦笑めいて小首をかしげた。
『"ごとき"か。ああ、そうだろう。魔王。お前にとっては誰もがそうだろう。
 だが俺は――オレには。守りたい世界が、未来がある。だから、信長!!』
 双手に構えるは二刀。狙いは脇腹、斜め上に肋骨をすり抜け臓腑を抉る。
 敵もまた必殺の構え。相打ち狙いか。知ったことか。ここで滅ぼす。
 さあ、刃をくれてやろう。この自分勝手な戦いをひとりで終わらせよう。
 そして破滅は、己の身を厭うことなくその刃を突き出し――。
「……とっておきの誘導弾、なのですよっ!」
「ぬううっ!?」
 信長の剣を、割って入ったフルールの弾丸が弾いた。好機!
 応報の剣が来ることはなく、破滅の双剣がその身を抉り、断末魔とともに滅ぼす。
『…………フルール』
 黒き破滅は、熱き男に戻った。視線が彼女を見る。
「……導くのが、私の仕事なのですっ」
 愛しきひとは、ただいたずらっぽく、そう笑ってみせた。
 何も言わず、ただ、笑ったのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


 ……命脈、我が手から零れ落ちる、か。
杜鬼・クロウ
灰色◆f00067
アドリブ◎

信玄の力借りた信長公は今まで以上に油断ならねェが、
連戦続きの灰色クンはバテてねェかよ?
ハ、上等
精々掻き回してヤろうや!
…往くぞ(黒外套翻し

嘗て覇を成し第六天魔王を名乗ったのも全て昔日の話
過去の遺物(しがらみ)はココで断つ

深呼吸
神経研ぎ澄まし集中
灰色の後ろへ
敵の先制は灰色の衝撃波に併せ風宿した剣で防御か見切り
戦力減らない攻撃は甘受
鎌鼬の様に刻む(武器受け・カウンター

【煉獄の魂呼び】召喚
軍団は禍鬼は棍棒で敵を蹴散らす
霆で支援

灰色ッ!お前の力借りるぜ!

灰色の拳を踏切台にし敵本陣へ跳ぶ
空中回転し勢いつけ信長へ渾身の一突き(部位破壊
うねる紅焔の玄が二度穿つ(2回攻撃・属性攻撃


壥・灰色
杜鬼◆f04599


バテていようがやることは変わらない
殴って壊す、それだけだ

杜鬼に頷くと意識は敵の先制攻撃へ向け
武田騎馬軍団を真っ向相手取る
衝撃を宿した拳で瀑布の如く寄せる敵の群れを薙ぎ倒し、一歩でも近く、信長に近づくべく背に杜鬼を庇って前進
傷を負うのは覚悟の上
攻撃の役割は、供行きの杜鬼に任せた
凌ぎきれる限界を超えたら、壊鍵『鏖殺式』、起動
敵勢の守勢も攻勢も、その渾身の侵徹撃杭の連射にて突き破って信長へ迫る
――最後の一打まで保てばいい
そのために来た

呼びかけに反応し、右拳に『衝撃』を集め
彼の足裏に、推進力として『衝撃』を付与、解放
その足にいささかのダメージをも与えず、彼の跳躍を助け、信長へ届ける



●魔王滅殺:杜鬼・クロウ&壥・灰色
 転移完了と同時に、ふたりはうっそりと瞼を開いた。
「……よォ、連戦続きの灰色クン」
 先に開目したクロウは、あちこちに癒えない生傷つきの灰色を横目に揶揄する。
「これから鉄火場だがよ、バテてねェか? ン?」
「バテていようが、やることは変わらない」
 対する灰色は、面白がるようなクロウに対し無表情でこう答える。
「殴って、壊す。それだけだ」
「ハッ!」
 灰色の表情は変わらない。だがそれでも、クロウはたしかにその声から感じた。
 並々ならぬ撃滅への執念、そして傷や疲労を押しのけて余りあるタフネスを。
「上等だ、せいぜいかき回してヤろうや!」
「応」
 灰色はクロウに頷き、そして自然に彼方へ頭を巡らせる。
 今まさに、天守閣から無造作にその広間へ入場した、圧倒的存在感を漲らす敵を。

「ほう……"この儂"の最初の相手は、貴様らか」
 どうやら再生をはたしたばかりと見える信長は、妖気を漂わせながら笑う。
 両目は炯々と輝き、それはまるで体の内側で地獄の炎が燃えているかのようだ。
「こうして実際に相対してみると、アレだな。なァ、灰色クン?」
「ああ」
 端的に頷いたあと、灰色はクロウが濁した言葉を継いだ。
「覇道を成した天魔の王も、過去の遺物(しがらみ)となればこのザマだ」
 クロウは愉快げにニヤリと笑う。魔王は……歯を剥く獰猛な憤笑を浮かべた。
「こともあろうに、儂を"このざま"などと誹るか。是非も無し」
 大きく両手を広げ、信長は豪雷のごとき大音声を轟かせた!
「精強なる武田騎馬軍団よ! この無礼者どもをまとめて轢き殺せィッ!!」
 応報するは鬨の声! そして遠雷のように轟く蹄の音、馬のいななき!
「往くぞ」
「ああ、征こう」
 ばさりと黒外套を翻し。ばちばちと魔術式の蒼雷を纏い。
 両雄、500を軽く超える悪夢の波濤に、臆することなくまっすぐ突き進んだ。

 始めは歩くように。やがて前のめりに駆け出す。先手を取ったのは灰色だ。
 弓弦を引いて放たれた矢の雨。対し、灰色は無造作に目の前の空間を殴りつけた。
 ドウッ!! と大気がたわみ、衝撃を伝搬させ見えない盾とする。
 空気圧の層によって矢は不可思議に軌道をそらされ左右後方に散っていく。
 騎馬隊が到達する。先鋒は馬上槍を三方から同時に突き出した。
 灰色は左手で敵右方の槍をいなし、右手で残る二騎を空間ごと殴り飛ばす。
 BOOOM……衝撃波が馬もろとも兵士を吹き飛ばした。肩と脇腹を槍がかすめる。
 止まらぬ。左手でいなした槍を脇に絡め取り、敵右方の騎馬を吹き飛ばす。
 これを盾に第二陣の槍を防ぎ、さらに前へ。
 前へ。脚も、拳も、ただ信長へ近づくために突き出す。繰り出す。撃ち込む。
 傷は負う。当然だ。その程度のことはリスクとして勘定してすらいない。
 そもそも灰色は、最初から覚悟している。己は防御であり、盾であり、破城槌と。
 攻撃を防ぎ、吹き飛ばし、以て護りとなす。城壁を打ち破る衝角となる。
 それこそが"壊鍵"。いかなる城をも打ち崩す、巨人(ギガース)の如き撃力。
 灰色の名を示す髪が、赤き血のまだらに汚れてもなお。彼は、進む。

 対するその背後、クロウはどうか。
 彼はただ深く息を吸い、長く細く吐く。ただそれだけを繰り返している。
 呼吸のたびに瞑想は深まり、五感は鋭敏に、第六感が研ぎ澄まされていく。
 降り注ぐ矢の風鳴り音、突き出される槍のしなり、振るわれる剣の狙い。
 泡を吹く軍馬たちの筋肉の躍動。鬨の声を上げる兵士たちの高揚と狂乱と忠義。
 すべて読み取れる。つぶさに。一秒が十倍にも、百倍にも引き伸ばされていく。
 そんな中で、クロウは、すべての対応を灰色に任せ、ただ続いた。
 見える。その体が傷つき流れる血が。
 聞こえる。槍が、矢が、刀が、その身を削る音が。
 酸鼻なるいくさの匂いは鼻孔をつんざいて余りあり、
 敵の殺意も、それを打ち砕く灰色の撃力も、空気のうねりも肌で感じる。
 己の脳内物質がもたらす高揚、酩酊、そして苦渋を舌で転がす。
 業腹だ。敵が戦友を傷つけることが、任せねばならぬことが。
 だが、そうすると決めた。その傷のツケを敵に払わせるのだと。
 そのために己は殿を務め、練り上げた一撃を魔王に撃ち込むのだと。
 届く攻撃は黒魔剣で払い、剣風を以て踏み込みすぎた愚者を鼬のように斬る。
 ただ続く。されど脚は、その瞳は前へ。怒涛の先に君臨する魔王へ。
 やがてそうして、ふたりはついに――波濤を、超えた!

 だが騎馬隊は、たかが突撃一度で獲物を逃しはしない!
「囲えぃ! 槍衾にせよ!!」
 魔王の号令に応じ、一気反転した騎馬隊がふたりを十重二十重に取り囲む!
「遅いぜ――黄泉の門ならとっくに拓かれてらァ!」
 クロウは黒魔剣を逆手に握りしめ、床へと振り下ろして叫び、
「準備運動は十分だ。全て、叩き潰す」
 灰色はもはや動くのが不思議な有様で、しかし決然と言った。
「混淆解放(リベルタ・オムニス)ッ!!」
「鏖殺式(カラミティ)、起動」
 地に突き立てられた魔剣を中心に禍々しい黄泉の魔法陣が広がり、
 それを覆うように、放射状に衝撃波が吹き抜ける。術式、二重同時起動。

 ――ズンッ!! ガガガガガガッ!!

 まるで地下岩盤を打ち砕くドリルのような破砕音。それは連続撃力の賜物。
 チェーンパンチめいた速度で振るわれる侵徹撃杭(マーシレス・マグナム)が、
 大気を斬り裂いて四方八方へ飛び、攻め込んだ騎馬隊を破砕抹殺する音である!
 そして同時、招来されし毒の尾を持つ殺戮者――禍鬼が、赤錆色の棍棒を振るう。
 颶風を追って雷鳴が届き、ZZZZZTTTT……!! 神の鞭めいて敵を薙ぎ払った!
「小賢しいわァッ!」
 魔王見参! 配下の屍を切り払い、大刀がクロウめがけ襲いかかる!
 当然のように飛来した侵徹撃杭を叩き斬り、魔王の剣と黒魔剣が激突!
 KRAAAASH!! 衝撃波を放ちながら、両者は数メートル互いに後退する!
「灰色ッ!!」
「応――」
「お前の力、借りるぜ!」
「……応ッ!」
 灰色はズシン!! と両足で床を踏みしめ、全ての衝撃を右腕に伝搬。
 両足を揃えて跳躍したクロウの足裏めがけ、その最後の一打を撃ち込む。
 ドウン――!! クロウを弾丸のように、否、雷のように放つ衝撃、装填。
 一方で音の壁を突き破り飛翔したクロウは、外套を翼めいて翻し空中回転。
「ぬううっ!?」
 衝撃残滓により護りを固められぬ信長めがけ、渾身の刺突を叩き込んだ!
 ガギィッ!! 全衝撃を一点に集中させた一撃は、鎧を蜘蛛の巣めいて破砕!
「――おまけだ。釣りはいらねェよ」
 そして、再回転。一瞬、視界の端に滂沱の血を流す灰色が見えた。
(届かせろ)
 瞳がそう言っているように見えた。クロウは笑い、当然だと心のなかで応えた。
 ふたりの意と衝撃と信念を込めた刃が、紅焔に燃える。横薙ぎの斬撃。
「がはぁあああ……ッ!!」
 入った。真一文字に切り裂かれた信長が、華のように鮮やかな焔に包まれた!

 ――着地。両雄、互いに向き合うように、斃れることなく屹立する。
 男たちの影法師を、めらめらと燃える魔王の焔が伸ばしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

バンリ・ガリャンテ
【nostalgia】
威風のあるお姿に惚れ惚れしちまうよ。こんなのって初めてなの。その命に触れ、穿いてみせる。
「REMEMBAR ME」唱え突撃するハムさんの巨体に隠れダッシュで追従。
ソラスティさんが奴の気を引きその身を盾にして下さってる。明確な隙なぞはなかろうが皆さんと共にありお護り頂くこの五体で何としても機を掴む。
死角からジャンプ。虎に騎乗していようと肉薄し、2回攻撃の一振り目に鎧無視攻撃の地獄炎衝撃波。二撃目は捨て身の鎧砕き。心の臓にゃ届かんかしら。ならば覆いを、刀を、翼をその一つを確実に砕く。
一度の捨て身で終われはしねえ。猛攻を見切り武器受けし生命力吸収で食い下がる!


ソラスティベル・グラスラン
【nostalgia】の皆さんと一緒です!

この世界を巡る戦乱も、彼で最後…!
皆さん参りましょう!【勇気】を信じて!

皆さんはわたしたちの後ろに!マナセさん、一緒にお願いします!
盾を構え【盾受け・オーラ防御】で仲間への先制攻撃を防御
【見切り】受け流し【気合】で耐える!

耐えきればすぐさまリヴェンティアさんの召喚ハムさんに颯爽と騎乗
今こそ【勇気】の御旗を掲げ、正面から突撃です!
猛将の如く大斧を振り回し果敢に攻め、【存在感】を放ち敵の気を惹きます
貴方が勝利の鍵です―――バンリさん!

戦国の大英雄、『織田信長』さん
今を生きる一人の『勇者』として…!
この世界の『魔王』である貴方を、在るべき過去に還しますっ!!


マナセ・ブランチフラワー
【nostalgia】の皆さんと一緒に
織田信長。常々噂には聞いていましたが……確かに一筋縄ではいかなさそうです
だとして、やることは変わりませんが

ソラスティベルと共に【オーラ防御】を展開、先制攻撃から皆さんを守ります
無傷といかないのは【覚悟】の上、怪我は【激痛耐性】で耐えますよ

初撃を凌いだら、リヴェンティアのハムスターに乗せていただきましょう。わあ、ふかふか
後は【生まれながらの光】で皆さんの傷を癒しつつ、必要であればまた壁役を努めます
それと、リヴェンティアが攻撃を受けないよう警戒はしておきますね

さあ、後はみんなで一発決めてやりましょうか


ネロ・バロック
【nostalgia】で参加

ティアが召喚した巨大チンチラに騎乗して
信長の野郎に目にもの見せてやるぜ!

チームワークで先手対策だ
マナセやソラの防御壁を頼りにチンチラを操縦しながら突っ込んでいく
俺と同じユーベルコードを使うってんならどういう技かも予測がつくか?
技の癖を読んで【見切り】【残像】【フェイント】で捌けるか試すぜ
攻撃は二刀を持って生命力を吸収する連撃と鎧すら砕く一撃を食らわせてやる
敵の守りに隙が出きたら必殺の唯我独尊斬りをお見舞いしてやらァ
可能ならバンリ達と一緒に攻撃を合わせたいところだぜ

「おっさんの時代は終わったんだよ!これからは俺たち(猟兵)が世作りしてやっから大人しく成仏しやがれ!」


リヴェンティア・モーヴェマーレ
【nostalgia】の皆さんと5人で参加

はい!皆さん、頑張りまショー!

UCで私達が乗れる位の大きさのハムスターとチンチラを召喚デス!
この子達に馬鎧的な物とサイドミサイルを搭載させておきますネ

ソラさんの防御壁がより厚くなるよう盾をオーラ防御でコーティング
拠点防御で防御力増し増しデス

私は攻撃を受けないように目立たないように戦闘は見える範囲内で物陰に移動

前線を走るバンリさん、ネロさんの邪魔はさせません!
先程搭載させたミサイルを騎馬武者達に範囲魔法を乗せて全力攻撃デス

自身が見つかって危なくなった際にはマナセさんに救援要請デス
す、スミマセン…お手数お掛けします…(ぺこ



●魔王滅殺:懐旧の五人
 燃えている。
 第六天魔王・織田信長。その人が、紅蓮の焔に包まれて、火柱となっている。
 おそらくは先駆者である猟兵たちによる、攻撃の成果なのだろう。
「……決着、ついちゃってる気持ち?」
 意気揚々と転移したリヴェンティア・モーヴェマーレは、おずおず言った。
 杞憂……いや、希望的観測というべきか。疑問形であるあたりからして、
 おそらくリヴェンティア自身も、本当にそうであるとは思っていないのだろう。
「……いえ。なるほど、常々噂に聞いていましたが……これはたしかに、
 一筋縄ではいかなさそうですね。どのみち、やることは変わりませんか」
 表情を引き締めたマナセ・ブランチフラワーが、頭を振ってそう答える。
 ……そうとも、あの程度で信長が滅びるわけない。皮膚感覚としてそれがわかる。
 なにせ、あの火柱を中心に、すさまじい殺意と威圧感が放射されているのだ。
「ハン! いいじゃねェか、退屈しねぇで済むぜ! 目にもの見せてやるよ!」
「ですがこの闘気、すさまじい……! これが、この戦争最後の相手なのですね!」
 いつものように野卑で尊大に言ってのけるネロ・バロックと、
 緊張を保ちつつも、勝利を信じて明るく言うソラスティベル・グラスラン。
 そんな一同の警戒を肯定するように、火柱が――内側から、爆ぜた。
「……あれだけの焔に包まれて、またずいぶんと威厳のあるお姿なもんだ。
 敵だってのに惚れ惚れしちまうよ。……穿いてみせるさ、あの太い命をな」
 堂々たる姿を見、バンリ・ガリャンテは感嘆のようにも、減らず口のようにも、
 どちらともとれる言葉をこぼした。なにせ、こんな気持ちは初めてのことだ。
 これが、幹部級オブリビオン――否、フォーミュラを相手にするということか。

 ……そして、全身からぶすぶすと煙を上げる魔王が、ぎょろりと目を開いた。
 高熱により泡立ち煮え立ちかけていた白目は濁り、いよいよ悪魔じみている。
 あちこちの肌は焼け焦げ、肉が見えていたが、戦力が減少した様子はない。
 否、むしろ――その消耗に応じ、闘気が高まっているようにすら見える。
「……是非も、なし」
 寂寂と、しかし不思議と腹に響く声で、第六天魔王が言った。
「我が命脈、未だ尽きず……。それでもなお、猟兵よ、儂の首級求めるならば」
 ぞわり。濡れた絹布のように、重たく張り付く殺意が大広間を支配する。
「来るがいい。我が軍勢を滅ぼし、波濤を切り開き、儂のもとへ!!」
 直後……おお! 見よ! 信長を中心に無から召喚される無数の屍者たちを!
 熱病に浮かされたように、泡を吹きながら蹄を打ち鳴らす軍馬の群れ!
 それを駆るのは、武田菱を勇ましく掲げた武者鎧姿の騎兵たち……すなわち!
「あれが武田騎馬軍団ですか。すさまじい数ですね……ですが、やりましょう」
「ええ! 皆さん、参りましょう! 勇気を信じてッ!」
 マナセとソラスティベルは互いに視線をかわし、頷きあい、最前線に立つ。
「はい! 全員の力を合わせて、頑張りまショー! この子たちも頑張る気持ち!」
 リヴェンティアは、自慢の相棒たちとともに、えいえいおーと腕を掲げた。
「おう! チームワークってやつを見せてやらぁ、こちとら経験済みだ!
 ま、キマイラフューチャーのときとはメンツが違うがよ。いけるな? 全員!」
「言われるまでもねえさ。俺の腕の見せどころってやつだぁね!」
 バンリの力強い言葉に、ネロは不敵に笑う。
 そうとも、彼らはここへ、信長に臣従を誓いに来たわけではない。
 負けるために来たわけでもない。その威風に恐れおののき屈するためでもない。
「勝つぞォ!」
「もちろんデス!」
「大英雄をも越える、勇者として!」
「この戦いを終わらせるために、ですね」
「へっ、最後らしく派手に盛大に、だ!」
 全員の力を合わせ、巨悪を討ち滅ぼすためにやってきたのだ――!

 武田騎馬軍団! それは、憑装されし武田信玄が誇る精強無比の配下たち。
 第六天魔王の尖兵となりし今、それはユーベルコードによって召喚される軍勢。
 時空間のねじ曲がった魔空安土城は、彼奴らにとってのホームグラウンドである!
 そして荒ぶる騎兵たちは、まず魁として無数の矢を引き、放った!
 天井を埋め尽くすほどの、黒い雲じみた鏃の群れ。はたして五人はどうする!?
「マナセさん、一緒にお願いします!」
「ええ。無傷といかないのは覚悟の上――それでも」
 マナセは聖痕の刻まれた両手を、ソラスティベルは竜翼を模した小盾を掲げる。
 魔力を集中させ、オーラとなし斥力障壁を展開。五人を包み込む半透明の被膜!
 ――カカカカカカカカッ!
 飛来した鏃は、魔力の障壁に突き刺さる。突き刺さる、突き刺さる!
「く、ぅうううう……っ!」
「先触れでこの威力、ですか……!」
 バチバチと火花めいてスパークを散らす鏃の雨をしのいだ両者。
 三人はその背後、敵の先手を受け流し突撃する攻撃役だ。
「それじゃあ、さっそくハムちゃんとチンチラちゃんを召喚――」
「! いや、その暇はなさそうだ! 来るぞ!」
 バンリの鋭い警戒の声に、リヴェンティアは表情を変え、作戦を変更した。
 ユーベルコードによる騎獣の召喚を挟むタイミングがない。敵の猛攻は疾すぎる!
 歯噛みしながらも、魔力障壁を自らのオーラでさらにコーティング。
「……構えとけよ。万が一の時は自分で守るしかねえぞォ!」
 ネロが喝破する。そこへ、矢を放ち終えた騎馬隊の一気呵成の突撃、到達!!

 ――ガシャアアンッ!!

 まるでガラスのように砕けれ割れた魔力の残滓が、風に煽られて荒れ狂う。
 然り、風である。一体それはどこから? ――騎馬隊の向こう側、信長からだ!
「笑止! その程度で儂と我が配下を防ごうなどと! 片腹痛いわ!!」
 背中からねじくれた樹木の翼を生やした信長は、呵々大笑し暴風を巻き起こす。
 嵐が五人の動きを遮り、そこへ騎馬隊の槍と刀が無数に降り注いだ。危険だ!
「どっ、どどどどうしようデス!?」
「リヴェンティアは下がってろ! 騎獣がいねえと作戦がオシャカだ!」
「ええ、守りはわたしたちが引き受けました! 何があろうと全力で凌ぎます!」
 ネロ、そしてソラスティベルは、それぞれの得物を振り回し第一陣を薙ぎ払う。
 波濤のような攻撃はそれでもなお四人を斬り裂くが、マナセがその傷を癒やす。
「……! なら、今度こそデス! カラくん、ランラン!」
 隠れる暇もない。覚悟したリヴェンティアはユーベルコードを発動。
 味方の被弾を犠牲とし、一瞬の隙を得たことで、もふっとした小動物……いや、
 一同を背中に乗せて走るぐらいはできる大きさの騎獣が現れた!
「バンリ、行けますか?」
「任せとけ――嗚呼、"思い出した"からな」
 バンリの桜色の瞳が輝き、その髪は瞳と同じ色に染まって風に流れる。
 わかる。己の体がどのように燃え上がり、何をなすべきか、出来るのかが。
 いのちを糧に燃える地獄の焔を揺らめかし、バンリは騎獣に跳躍した!
「よォし! ソラ、突っ込むぞ!」
「はいっ! 先頭はわたしが努めます。勇気の御旗は我らのもとにあり!」
 同じく跳躍騎乗したソラスティベル、ネロが先頭を行き疾走開始。
 次々になだれ込んでくる騎馬隊を大斧で薙ぎ払い、振り回し、鬨の声をあげる!
 大将首だ! 兵士の誰かが言った。敵の狙いが橙色の乙女へ集中する!

 そして、戦局は騎馬軍団と四名の騎乗対決へと移行する。
 数と連携で勝る敵に対し、四人はその若さと連携、そして個々の力で対するのだ。
「オラオラオラぁ! 他愛もねえなァ、なんたら軍団ってのもよォ!」
 魔剣を馬上槍よろしく振り回すネロが、勝気の強い口調で宣言した。
 が、その直後、瞠目する。焔を逆巻かせ高速で飛来する信長その人の姿に!
「よくぞ吠えた小僧、ならば儂自ら相手してくれようぞッ!」
「上等だァ、かかってきやがれクソジジイ――ぐぉッ!?」
 ガギィ!! 魔剣激突、疾い! 燃え盛る大刀のその膂力たるや!
 騎獣から落下しかかるネロ。そこへ信長が断頭の一撃を振り下ろす!
「――ハ。まァそう来るよな? わかってんだよ!」
 ザンッ!! 大刀は空を切る。ネロが落着しかけたのはフェイントだったのだ!
「ぬうっ」
「もらったァ!」
 がら空きの胴へ魔剣一閃。だが姿勢が災いしたか、黒曜石の守りは剣を弾く!
「チッ!」
「その機、逃しません! 勇気ある一撃を受けなさい、織田信長公っ!!」
 機会狙うソラスティベルの斧撃――ガギン!! 大刀が膂力で拮抗した!
 雷鳴もたらす斧の稲妻と焔が混じり合い、ばちばちと大気を焦がしていく。
 二度。三度。スピードと嵐のなかで、ふたりは信長相手に一糸乱れぬ攻防だ!
「ぬるい。そして見えたぞ、貴様らの隙ッ!」
「「!!」」
 だが信長が一歩上か。大車輪じみた一回転斬撃、ふたりの体に刃が食い込んだ!
 血が大量に溢れ飛沫を散らすが、その傷は光り輝き即座に回復していく。
 信長は睨みつけた。やや後方、聖痕を光らせ尊大に笑うマナセを。
「おや、僕を睨んでいていいのですか? 油断していると――」
「? ……ぬうっ!?」
 KBAMKBAM!! 空中の信長、そして騎兵隊の生き残りを吹き飛ばしたのは、ミサイル!
 リヴェンティアがあらかじめ仕込んでおいた兵装だ。魔王は後退を余儀なくされる!
「ほらね、こうやって一矢報いられるんですよ」
「ええい……者ども! 小娘を探せ! 其奴の首を穫れィ!!」
 朗々たる一喝。残る騎兵隊が――物陰に潜むリヴェンティアをめがけた!
「ひえっ、見つかっちゃった気持ち!? け、けど怖くないデス!」
 そうだ。こちらに敵の目が向くということは、信長が手薄になるということ。
「ふっふっふ、それにデスね――本当に探すべきは、私ではないのデスよ!」
 そこで魔王は気づいた。――五人目の小娘は、一体どこにいる? と。

「此処だよ」
 声がした。背後! 死角から跳躍しアドバンテージを得たというのか!?
「貴――」
「悪いが、頂きだね」
 ザシュッ! 地獄の炎を纏うルーンソード、一閃! 片翼が斬られ堕ちた!
「ぐううっ!?」
「もう一発だ!」
 さらに捨て身の一撃、狙いは胸部めがけた刺突! 黒曜石の鎧には……否!
 鋒からビシビシと鎧が罅割れ、一度は縫合された部分が砕けかかる!
「おのれが! 小賢しいわァッ!!」
「バンリ!!」
 ネロの叫びもむなしく、応報の一撃が、燃え盛る焔の剣がバンリを斬る。
 だが、そこから溢れるのは血ではなく焔。同じほどに燃え上がる地獄の焔だ。
「――まだだ。一度きりの捨て身じゃ終われねぇ!」
 バンリは食い下がる。刳りこまれた刀を押さえつけ、焔を喰らう!
 そして得た活力を刃に乗せ、再びの刺突――KRAAAAAASH!!
「! 鎧が!」
 リヴェンティアは見た。信長の護りが砕け散るのを!
「小娘、貴様から殺し……」
「させませんッ!!」
 ソラスティベルのインターラプト! 斧が大刀の攻撃を弾いた!
 ふらついて落下するバンリを抱きとめ、ソラスティベルは莞爾と笑う。
「お見事した、バンリさん。あなたこそが勝利の鍵。それに見合う勇気でしたよ!」
 力なく笑うバンリの体は、マナセの光が暖かく癒やす。そして、ネロ!
「よォ、おっさんの時代は終わったんだよ! これからはなァ――」
 手には二刀。狙う先は仲間が砕いた歪の先。心の臓腑!
「やっちゃえゴー、の気持ち!」
「とどめはおまかせしますよ、ネロ」
「わたしたちの勇気をあなたの刃に!」
「……頼むよ、団長さん」
 唯我独尊。不敵なる少年は、背中にかかる声に笑みを深めた。
「俺たち猟兵が、若者が世を作ってやっから、おとなしく成仏――しやがれェ!!」
 魔王は防ごうとする。遅い。そして必殺の一撃が、胸部を爆ぜさせた!
「がは――ッ!!」
 吐血。刺突点を中心に魔王の全身が罅割れ、裡なる邪焔が迸る。
「こんな、餓鬼どもに、儂が……ッ!!」
 断末魔――魔王は己の憎悪に呑まれ、微塵も遺さぬ滅したのだ!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​


 いくさだ。大いくさを。我が最期の舞台はこの程度で終わってはならぬ。
ジャスパー・ドゥルジー
最初の一撃を耐えきることに注力
全神経を研ぎ澄ませ軌道を逸らす
ま、俺のちゃちなナイフで塞ぎきれるわきゃねえわな
致命傷さえ避けられればいい
あとは【激痛耐性】で無理矢理踏み留まる
ーーは、今のは良かったぜ
なかなか良い、胸にズドンと来た
でもこの程度じゃ倒れねえんだな、これが

傷口から自分の血肉を貪り【ジャバウォックの詩】
炎を纏い己の翼【かたわれ】で空中から飛びかかる
あんな鎧や炎で強化されたら狙えるのは一箇所しかねえな
操った炎を顔面目がけて叩き付ける
裏をかけるなんてハナから思っちゃいねえ
真っ向からスピード勝負だ

一撃でも喰らわせりゃ上々
あとは文字通り斬るなり焼くなり好きにしろよ
俺には最高のご褒美ってやつだ



●魔王滅殺:ジャスパー・ドゥルジー
 痛みは心地いい。戦場で得られるものならばなおいい。
 ジャスパーは、悪魔の角と尾を持つ異形の被食者にして捕食者はそう考える。
 だから燃える剣を、捻じくれた樹木の翼を、黒曜石の鎧纏う魔王を前にしても、
 その小悪魔じみたニヤニヤとした笑みは、剥がれることはなかった。
 己が持つ五感、さらにはそれから外れた第六感。
 ありとあらゆる全神経を針よりも細く研ぎ澄ませ、待つ。敵の一撃。
 然り。絶対先制は覆せぬルール、猟兵はそれに先んじることは不可能なのだ。
 ならばいい。だからいい。傷は己にとって最高の褒美で、極上の甘露だ。
 どこを抉る。首か。胴か。それとも腕か脚か。縦に斬るか横に斬るか。

 答えは、"その全て"であった。
 すなわち、一瞬としか思えぬほどの、強烈なる速度の多段攻撃。
 ジャスパーは嗤った。ああ、この魔王はなるほど、覇王と呼ぶに相応しい。
(そこまでご馳走してくれるなんてよ、太っ腹じゃねえか――)
 だから彼は、嗤ったまま、致命的一撃だけを防いで残りを受けたのだ。
 血が、飛沫をあげる。滂沱のような鮮血が溢れ、床に飛び散る。
 "ちゃちなナイフ"で凌げたのはただ一打。首を断ち切る横薙ぎの刃。
 腕を、脚を、あるいは胴体を裂こうとした連撃は、身を躱すことで防いだ。
 ……両断を、である。傷そのものはおびただしく肉を裂いていた。
「――は」
 重傷の体で、意味不明に笑う男を、魔王は訝しんだ。
 傷は焼け焦げ骨にまで届こうかというのに、何を笑うのか。
「いまのは、よかったぜ。なかなかいい……胸にズドンと来た」
「貴様、何を――」
 悪魔が顔を上げた。その笑みは人外じみていた。
「でも、"この程度"じゃ斃れねえんだな、これが」

 そして牙を剥くような笑みで、悪魔じみた男は躊躇なくかぶりついた。
 何を? 血肉をだ。信長のではない。己の血。傷から溢れる血と肉を、喰った。
「物狂いか」
 魔王の眉を顰めた言葉に、オウガブラッドの殺人鬼はくひ、と喉を鳴らす。
「イカれてるって? 上等だ。褒め言葉だよ」
 流れた血をオイルめいて薪とし、焔が燃え上がる。黒い焔が。
 途端にその身は悪魔の翼を以て舞い上がり、魔王の頭上を取った。
「天魔を名乗る儂を、魔として越えるとでも言うか!」
「さてね。スピード勝負でもしてみようや――!」
 瞬間、悪魔の姿がブレた。魔王ですらも捉えきれぬ超高速。
 血を糧に燃え上がる黒炎が、驚愕した魔王の顔面を――打ち据える!!

 返す刀で裂かれた腹を、臓物がこぼれそうな傷を、焔で焼きながら悪魔は笑う。
「ああ、最高だ。最高の魔王だよ、アンタは」
 それは、どこまでも人の道を外れたものの笑みである。

成功 🔵​🔵​🔴​

斬崎・霞架
【SPD】

あれが織田信長ですか。
いえ、誰であれ関係ありませんね。敵なら斃す。
…強敵なら尚更だ。

エンクローチを解放、更にネクロシスから【呪殺弾】を撃ち牽制。
目的は遠距離での動きの制限、加えて接近戦を選択させる事。
相手は戦闘力も強化されている。パワーもスピードも向こうが上の可能性が高い。
…なら、あちらに動いて貰う。

敵の攻撃を誘い、寸前で【見切り】回避…が避けきれるなど思っていない。
【オーラ防御】【激痛耐性】で命を削られながらでも耐える。
…生命力を共有しているならば、どちらにも攻撃すれば威力は倍だ。
(【カウンター】でユベコを放つ)

“うつけ”も“獣”も、纏めて死ね。
…死ぬまで、何度でも殺してやる。



●魔王滅殺:斬崎・霞架
 戦争の動向。世界の破滅。オブリビオンの跳梁跋扈。
 ……どうでもいいと言ってしまえば、語弊はある。もちろん勝つのがいい。
 オブリビオンどもは滅びるべきであるし、それがいい気になるのは気に食わない。
 が、このサムライエンパイアの進退に特別興味や思い入れがあるのかと言えば、
 実際のところ、霞架にとってそれは二の次、三の次であった。

 敵だ。
 倒すべき敵。それは強ければ強いほどいい。強大であればあるほど、いい。
 越えるべき価値がある。討つべき意味がある。掴み取る勝利の重みが増す。
 敗北の可能性など考えない。敗けてしまうかも、なんてのは後ろ向きな発想だ。
 勝つ。
 ただそのためだけに闘う。そのために。オブリビオンフォーミュラ、なるほど。
 強大なのだろう。恐ろしいのだろう。あの男のように。あるいはそれ以上に。

 だから霞架はここへきた。この、時空がねじ曲がり闘志渦巻く魔空安土城に。
 そして目の前に、いま、顔の半分以上をケロイド状に火傷した魔王がいる。
「信玄ょ、獣となりて儂に従え。儂の手となり足となり、愚か者を引き裂けぃ!」
 ごう――と、猛虎の咆哮が木霊し、一陣白い風が吹いた。
 直後、信長は、十尺をゆうに超える巨大な白虎に跨っている。
 なんたる威風。頭上から見下ろすその双眸は、まさに覇者の瞳だ。
 すべてを得て、そして失い、頂点と挫折を味わい尽くした帝王の目だ。
 にこりと、その睥睨を霞架は穏やかな微笑みで受け流した。
「――哀れなものですね」
 その一言だけで、覇王を激させるには余りあった。

 かくして、全身の筋肉をたわませた猛獣が、霞架へと弾丸めいて迫る。
 巨体はそれすなわち運動力の証左だ。床を削り……否、砕いて巨影が迫る。
 途端、霞架が片腕に装備した手甲から、おぞましい量の触手が溢れた。
 それは大型の拳銃型呪術器と接続(コネクト)され、禍々しき弾丸を放つ。
 生きとし生けるものを呪い殺す、負の想念に満ちた弾丸である。
 ドウ、ドウドウ――! 弾丸が空間すらも汚染しながら幾条も迸る。
 信玄はこれを機敏に回避する。そうだろう、パワーもスピードもあちらが上。
 遠間の戦いを嫌い、むしろ向こうから突っ込んでくるのだろう。
 それでいい。こちらが動く手間が省けるというものだ。
「死ねィッ!!」
 魔王が歯を剥き、激甚たる速度を乗せて大刀を振るった。狙いは首。
 さらに猛虎が咆哮し、質量を載せた前脚による爪撃を放つ。右、左。
 手甲を盾めいてかざし、弾丸として凝縮するはずだった呪詛をオーラとなす。
 それでも防ぎきれぬ爪は、ざくり、ぞぶりと霞架の胴体胸から下を割いた。
 血が、飛沫く。呪詛の壁が崩壊――しない。凝縮した。
(生命力を共有しているのならば、いっそ手間が省けますよ)
 そんな嘲笑めいた表情で、霞架は強敵をにたりと見つめた。
(貴様)
 魔王は瞠目した。霞架は目を細め、呟いた。
「――"うつけ"も、"獣"も、まとめて死ね」
 そして、彼を中心に、呪わしき負念が、ドーム状に膨れて爆ぜた。

 それはまるで、放射能で汚染されて崩壊した大地のようであった。
 魔空の城は黒く淀み、汚れ、二度と消えることのない呪いで永久に穢された。
 その只中。傷だらけで、呪いまみれで、それでも屹然と立つ男がひとり。
「どうしました。もう来ないのですか?」
 彼方。呪いに吹き飛ばされ、黒く蛆虫めいた呪詛に灼かれる敵を見やる。
 魔王は呻く。虎も呻く。呪いはその生命を、存在を脅かす。
「不滅なのでしょう。無敵なのでしょう? ええ、それでこそです」
 再び表情が消える。
「死ぬまで、何度でも殺してやれるんだから」
 その瞳は、満たされぬ餓鬼のように無限に闇を孕んでいた。

成功 🔵​🔵​🔴​

リーオ・ヘクスマキナ
ウヘー、これが魔王かぁ……確かに恐ろしい。邪神もかくや、って気分だね
けど、負けるのは駄目だ。多くの犠牲が出るし、この世界のキレイな物も失われる
何より、あの旅館が失われるのは凄く困るんだ。依頼の後、彼処の温泉入るのって凄く気持ち良いんだ。ご飯も美味しいし、赤頭巾さんもあの場所を気に入ってるしね


戦闘開始直後、【武器改造】で弾頭を煙幕弾に変更したザ・デスペラードで煙幕を形成
信長の視界を撹乱し、嵐を呼ばれる前にザ・デスペラードの弾丸を撃ち切ったギターケースに三角帽子を乗せ、それを変わり身として投擲
先制攻撃をやり過ごしたら、ギリギリまで銃弾に魔力を充填。UCを発射する


だから……魔王、此処で撃/討つべし!



●魔王滅殺:リーオ・ヘクスマキナ
 第六天魔王と謳われた男の見た目は、凄絶たる有様であった。
 威風をたたえた相貌はその半分以上が焼け焦げ、ケロイド状に爛れている。
 全身のあちこちには、おそらく高濃度の呪詛と思しき穢れた傷跡。
 しかして、両目は炯々と燃え、次なる敵を求めて城内を徘徊している。
 いかに隠れて凌ぐか、などという考えは毛頭ない。挑んでくるならばこれを殺す。
 そうでなければいくさと言えぬ。然り、己はいくさをしているのだ。
「さあ、次はどこから来る猟兵よ。どのようにしてくる。どう儂を殺す」
 自然と口元に笑みが浮かぶ。嗚呼、このいくさを、乱世を、世に、国に。
 何もかもを滅ぼすいくさを永遠に! 渇望は己の滅びすらも意に介さぬほど。
 ――その時、突如として魔王は、もうもうと立ち込める煙に包まれた。

 その威風堂々たる姿を見た時、リーオが抱いたのは、はっきり言えば恐怖だ。
 なにせ第六天魔王と名乗るに相応しきプレッシャーと邪気がそこにあった。
 一体オブリビオン・フォーミュラとはなんなのか。
 これまでの戦争における対峙にリーオは赴かなかったからこそ、理解した。
 それは、異物なのだ。この世界に、否、あらゆる世界に在ってはならぬ化け物。
 ともすれば邪神もかくやであろう。いや、しかし、だとしても。
(けど、それでも、敗けるのは駄目だ。それだけは、駄目だ)
 猟兵の敗北は、すなわち世界の敗北である。おそらく乱世が訪れよう。
 オブリビオンは凱歌をあげ、生命は駆逐され今まで以上の被害が出るだろう。
 この世界の"キレイなもの"が失われ、そして――そうだ、花の涯にあるあの宿も。
 それはなにより駄目だ。とても困る。あそこは居心地がいい。"お気に入り"だ。
「だから――魔王、ここで討たせてもらうよ!」
 煙幕弾を叩き込んだリーオは、噴煙に紛れザ・デスペラードをフルファイア!
 魔術弾が放たれる。それこそ機関銃めいて! BRATATATATATATATATATA!!
「ぬうううっ!!」
 信長はめきめきと背中に樹木の翼を生やし、これを吹き払おうとする。
 リーオは、その前に変わり身を生み出し、それで凌ごうとする……が!
「そこかッ!!」
「!!」
 ざう――!! 燃え上がる大刀が、飛び退るリーオに先んじて虚空を薙いだ!
(気配だけで気づかれた? まったく、これだから……!)
 それでも撹乱は出来ていたようだ。傷は臓物までは届いていない。
 だが肉を裂かれた。だくだくと溢れる血が足元を汚す。しかし、隙あり!
「灰すら遺さず消え去るがいいよ、魔王――撃つべし!!」
 全魔力を叩き込んだ、広域殲滅用重魔術弾が――砲声をあげた!
 KA-BOOOOOM――ねじれた空間が歪曲し、収束し、そして虚無に包まれる。
 リーオは崩れかかる体を支えた。魔王は……仕留めそこねたか。だが手応えあり。
 ガラス状に削り取られたクレーターに、滂沱の血が残っているからだ。
「……恐れるがいいさ、魔王。きっと君は、こわぁい女将に首を獲られるからね」
 その言葉は、図らずして現実となるであろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヌル・リリファ
◆アドリブなど歓迎です

先制攻撃は【盾受け】【見切り】を駆使してできるかぎりさけつつ、【属性攻撃】で強化したルーンソードで致命傷はそらす。【火炎耐性】もあるし、UCつかうまでの時間はかせいでみせるよ。

つかえるようになったらUC起動。
被弾はある程度覚悟してふところにとびこんで甲冑をガラスみたいなもろい物質に変化させる。

できたら距離をとられるまえに【怪力】で、ルーンソードをふって甲冑を破壊しながら【捨て身の一撃】をいれる。

貴方のほんのすこしの可能性をつかみとろうとする姿勢には共感するところもあるけど。
わたしはマスターの人形だから。世界をほろぼさせるわけにはいかないから。
そのめは絶対につみとるよ。


千桜・エリシャ
やっと…やっと大将首のお出ましですのね!
信長公、あなたの御首が欲しくて
ここまで駆け抜けたと申しても過言ではありませんわ
さあ、ともに愉しみましょう?
――あなたの首が落ちるまで

まあ、まあ!
あの武田の騎馬軍団の力を
この目で拝見できる日がくるなんて
ギリギリまで引きつけてから見切って避けて
機を見てカウンター
噂に名高い統率と馬捌きですが
走れない馬はただのお荷物でしてよ
地獄の花を馬の足元に乱れ咲かせ転ばせて
将棋倒しのように次々と騎馬軍団の足を掬っていきますわ

混乱に乗じて隙をつき
死角から信長公に近付いて
御首をいただきましょう

傍若無人で苛烈な魔王様
あなたには亡き夫の面影を少しだけ見たかしら
ふふ、ただの戯言ですわ


霑国・永一
さて本腰を入れるとしようか。魔王に虎、搦手なしに強そうだ

先制攻撃に対し、騎乗状態から飛び掛かる瞬間を見計らって飛び退いて回避、攻撃自体もダガーで急所だけは避けるよう流しつつ、距離を再び取るように動く。
距離を取ってもすぐに迫ると思われるので、ユーベルコードを使う余裕が出来るまでは回避の瞬間に全力を注ぐ

先制攻撃後は狂気の転移を発動
近くに来ている猟兵たちの元へ転移と同時に信長の武装と体力・意識を盗む
以降も信長の近くで回避兼ねて狂気の転移を繰り返し、武装と体力・意識を削り続けて有利に働くように動く
「いやぁ悪いね。俺は純粋に戦うタイプじゃあないんだ。盗みの方が得意なのさぁ。ああ、最後には命も盗むから」



●魔王滅殺:霑国・永一&……
「ふうん、なるほどねぇ」
 薄く笑う盗人の視界には、いま、土砂崩れじみた波濤と怒涛があった。
 武田騎馬軍団による一斉突撃、そして包囲による徹底的な蹂躙滅殺劇である。
 さて、一体どこの誰が、この五百を越えて余りある精強無比の軍勢に挑んだか。
 耳をすませれば、包囲の中からは雷のように轟く猛虎の雄叫びも聞こえた。
 つまりあそこには、信長と信玄もいる。戦列に加わっているのだろう。
 その上で生き延びている"誰か"――となれば、永一の知る限りたったひとりだ。
「はは。いいね。余計に本腰を入れたくなってきたよ」
 へらへらと笑う盗人の姿は、まるで怒号に紛れるようにして消えていた。

 ……一方、騎馬軍団の包囲中枢!
「まあ、まあ! まだ来てくださるのね。ええ、ええ、嬉しいわ!」
 四方八方を取り囲まれ、槍を突き出され、刀を振り下ろされ、矢を撃たれ。
 あちこちに傷を負いながら、それを一切気に留めることもなく、
 謳うように、踊るように、胡蝶と桜を舞って刀振るう羅刹がそこにいた。
 千桜・エリシャ。桜色の瞳にぬばたまの髪、敵味方問わぬ血に染まるさまは妖艶。
 しかしてその表情たるや、今まさに渡り合う魔王のそれと似通っていた。

 すなわち、歓喜である。一点の曇りもない、それゆえに致命的に狂った歓喜。
 終わることなき殺意に抱かれ、潰えることのない敵と舞い続ける。
 これが幸福でなくてなんと云う? 傷がもたらす痛みすらもいとおしい。
「さあ、まだですわ。まだ、まだ! せっかくの晴れ舞台なんですもの!」
 この戦争に、懐旧や、故郷を滅ぼそうとする敵への義憤がなかったとは言わぬ。
 たしかにそれはあった。いかにも、それは刀振るう意気になったとも。
 けれど、ただ、それよりももっと、もっとずっと、欲しくて欲しくて、
 欲しくて欲しくて欲しくてたまらないものが、ひとつだけあったのだ。
「やっと。やっとここまで来ましたの。ようやくここまで駆け抜けましたの!
 だからさあ、楽しみましょう。愉しみましょう? 信長公、あなたの――」
 ……御首が。
 すとんと、ごろりと落ちる、その時まで。
「ほざけ小娘! 儂は第六天魔王なるぞ!!」
 轟雷の如き名乗り。次いで、燃え盛る大刀が嵐めいて振り下ろされた。
 猛虎の疾走スピードを加味したそれは、誇張なく神速のそれ。
 逃げ場はない。それらはすべて、騎馬軍団によって包囲されているし、
 そもそも余剰空間のいたるところから刀が、槍が、矢が来ていた。

 だからエリシャは、一つとて避けることなく、ただ刀を振るった。
 咲き誇るように円を描いて。直後、それらは――信長の剣を除いて――砕け、
 ばらばらと鋼が散る中、エリシャは信長の剣と撃ち合った。火花が散った。
 無傷ではない。乳白色の肌はあちこちが裂け、和装もずたずただ。
 流れ出る血は布を染め上げ、あらわになる肌もまた傷つき血に濡れている。
 だが、その痛みもまた心地よい。戦場に、いくさ場にいると教えてくれている。
 がぎん、がいん。打ち合う。撃ち合う――するりと刃が滑り込んできた。
「あら――」
 エリシャはそんな声を漏らした。どうやら自分の首が飛ばされるらしい。
 夢見心地で、まあそれもいいかと鬼の娘が思った時――がぎん、と二つ音がした。

 それは、刃を阻むように投擲されたダガーと、もう一つ。
 交錯するように振るわれた、どこかで見覚えのあるルーンソードだ。
「おやぁ。格好つけようとしたら、お見合いになっちゃったねぇ」
 などと薄く笑いながらどこからか現れたのは、見知った顔の泥棒。
 ではもう一つ。ルーンソードのほうは? 見返したのは、空色の瞳である。
「べつにいい。防げるのにこしたことはないから」
 あどけなくて、しかしどこかガラスのように壊れそうな声の人形少女。
 ヌル・リリファ。それが桜色の瞳を見返し、目を瞬かせた。
「……じゃま、だった?」
 そこでエリシャは、己がどうやら"そういう顔"をしているらしいと気づいた。
 泥棒が喉を鳴らして笑う。愉快げに。忌々しい笑みを。
「女将さんは物好きだからねぇ。っと、本人の前じゃ失言だったかな」
 永一さん! とエリシャが怒るより先に、ヌルが言った。
「――くるよ」
 然り。その言葉通り、距離を離した猛虎が、雄叫びとともに迫ってきた。

 三者はそれぞれの方向に飛び退る。
「者どもッ! その小娘どもを殺せィッ!」
 信長は檄を飛ばした。騎馬隊の狙いはヌルとエリシャに絞られる。
 では彼方。泥棒を追いかけたのが猛虎。永一はおやぁ、と首を傾げた。
「俺みたいな小物を狙うのかい? らしくないね魔王様」
 魔王は応えぬ。だが、覇王としての直感がはっきりと告げていた。
 この男、放っておけば確実に寝首をかく。そういう類の輩に違いないと。
 ゆえに全力を以て殺す。猛虎が唸る。爪を振るう。大刀が振ってくる。
 永一はそれを躱す。跳ぶ。届きかけたそれをかろうじていなす。血が飛沫く。
 やがて両者の追いかけっこは、渦を巻く波濤の向こうへ消えた。

「……あの方ったら、また私をからかっているわね」
「からかわれているの? どうして?」
「……いいえ、なんでもありませんわ」
 きょとんとした様子のヌルの問いかけに、エリシャは頭を振った。
 至極の立ち会いを、横から殴り込んで獲物を掠め取ってしまう。いかにも泥棒だ。
 だがここは鉄火場だ。永一の悪ふざけに付き合っているような暇はない。
「そろそろ、お馬さんたちにはご退場願いましょうか」
「うん。殺さなきゃいけない敵は、あっちだものね」
 一度退いた波濤が再び来るより先に、エリシャはその刀を地面に突き立てる。
 するとどうだ、床には次々に華が咲く――黒ずんで、罅割れた手(はな)が。
 地獄に咲く花は、きっとこんな――死霊たちの黒い手のようなのだろう。
 うごめくそれらは、生者を引きずり込むように軍馬たちを絡め取った。
「ごきげんよう」
 羅刹が言った。
「あなたたちに、興味はないから」
 人形が言った。
 ともに、精強なる兵士たちを、まるで草か何かのように切り払う。
 波濤はもはやない。あるのはただ、転ばされ首を飛ばされ死にゆく犠牲者だけ。
 少女たちの歩みは、誰にも止められない。その姿は美しくしなやかゆえに。
 羅刹と人形は、どこまでも戦いに最適化された生命であるがゆえに。

 ざうっ!!
 爪が幾度目かに床を削る。永一はぱらぱらと一房散った髪を鬱陶しげに払う。
「困るんだよねぇ、一応これでもそこそこ髪の手入れを」
『ゴァウルルルルッ!!』
「聞いちゃないか」
 ざう、ざうざうっ!! ガリガリガリガリ!!
 爪が振るわれるたびに永一は傷ついていた。だが急所と脚部だけは無傷。
 そのように流している。でなければこの回避劇を続けることが出来ぬ。
「ええい、いい加減に死ねィ、鼠がァ……!!」
「――ああ、いい頃合いみたいだねぇ」
 永一は言った。瞬間、その姿が霞のようにかき消えた。
「ぬ……う!?」
 信長はよろめいた。然り、よろめいたのだ。虎が白目を剥いている。
 傾きかけた猛虎は、ぶるぶると頭を振って体勢を取り戻す。
 だがそれだけではない。剣を纏っていた地獄めいた焔が、あっさり消えている。

 そして泥棒は、駆けつけたふたりの前にひょっこりと現れた。
「あら永一さん、鬼ごっこにはもう飽きましたの?」
「本物の鬼が来たんじゃ、続ける意味がないからねぇ」
「……おにごっこ、していたの?」
 諧謔的なふたりの会話に、やはり無垢なヌルは首を傾げた。
 やや毒気を抜かれたエリシャに対し、永一はそうさ、と答えて肩をすくめる。
「けどねぇ、ほら、女将さんは知ってるけど、俺は純粋に闘うタイプじゃない。
 盗みのほうが得意なのさぁ。だから――ほら、あとはよろしく頼みたいんだよ」
 その背後から信長と信玄が猛進――してきて、また虎が体勢を崩した。
 永一はいない。信長のやや斜め後方に再出現している。狂気の転移。
「よくわからないけれど、殺していいなら、殺すね」
「ええ。ヌルさん。私もお手伝いいたしますわ」
 エリシャはあの男のことを忘れることにした。どう反応しようが業腹だ。
 ただ、わかる。永一のあの転移は、それ自体が信長と信玄の気勢を削ぐ。
 であればたやすい。正面から挑むのをヌルに任せ、エリシャは血と闇に紛れた。
「ぬううう、小癪な……!!」
 それでもなお、血にまみれてなお戦意をむき出す魔王を見て、ヌルは言った。
「あなたの、ほんのすこしの可能性をつかみとろうとする姿勢には、
 共感するところもあるよ。でも、わたしはマスターの人形で、あなたは敵だから」
「小娘ェ!!」
「――だから、そのめは、絶対につみとるよ」
 無造作に踏み込む。焔なき刀の速度、狙い、軌道は空色の瞳に全て映る。
 ルーンソードが撃ち合う。弾く。傷を負いながらも懐に入り込む。
「わたしには、こんなこともできるから」
 ひたりと、鎧に指先が触れた。瞬間、黒曜石の守りは失われた。
「――そして、こわすことは、もっと得意」
 ほぼ同時に、ルーンソードの刺突。鎧はあっさりと砕けて刃を通した。
「ごぼ……ッ!?」
 臓腑をえぐられ、信長は吐血した。騎乗する虎はもはや意識を保っていない。
 彼方で泥棒が薄く笑う。そして信長は、ぞっとするような殺意に振り向いた。
 傍若無人で苛烈な魔王。ああ、その姿、いつかの彼を思い出す。
 面影が重なる。我が妻よと囁く、己に酔いしれ狂ったあの男。
「――ふふ。あなたの御首、いつまで愛でてあげようかしら」
 死神の笑み。信長の視界はぐらつき、ごとり、と床に斃れた。そして転がる。
 驚愕の表情のまま足元に転がってきたそれを、エリシャはいとおしげに拾った。
 指先が、見開かれたままの瞼を閉じさせた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​


 ――儂は、死ぬのか?
才堂・紅葉
【芋煮艇SPD】

「最後の大金星。逃す手はないわね」
覇気に呑まれぬよう不敵な笑みを返す。やせ我慢も気合の内だ。
生半な相手ではないので最大火力で行こう。

先制攻撃は【野生の勘、戦闘知識、見切り】で引き付けて避け、六尺棒と【怪力】で凌ぎたい。
「借りますね、バルディートさん」
UCを発動し、彼の背に掌を当て【生命力吸収】で攻撃。
吸収したエナジーで真の姿の【封印を解き】、背中の紋章を強く輝かせる。
後は味方の援護を信じ懐に飛び込み、彼由来の黒炎を【属性攻撃】で纏わせた超重力の【グラップル】で八連撃狙い。
「ハイペリア重殺術……」
更に反動をねじ伏せ、【二回攻撃】の駄目押しの一撃を【気合】で放ちたい。
「九頭竜!!」


バルディート・ラーガ
【芋煮艇SPD】
さアて、いよいよ本丸。気イ引き締めていきやしょうぜ。
初っぱなの攻撃は陽動に任せ、あっしは「迷彩」で隠れて回避。
虎はでけエが範囲攻撃じゃアなし、躱すのはそこまで難しかねエはず。
凌ぎきったら手筈通りの動きへ。紅葉嬢へ、生命力をお渡ししやしょう。

ちいとばかしグラつきやすが、そこは堪えながら「ダッシュ」。
【四つ影の蛇使い】でもって腕を四つ蛇へ。更に尻尾も駆使して
走る虎……信玄公の足元低めを狙い、絡め取りながらかぶりつき。
失った生命力を、繋がった虎と信長公からまとめて奪いつつ
虎野郎の足止めにも助太刀しやしょう。
トドメのでけエ一撃は、お願い致しやしたよう。


数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
【芋煮艇SPD】

待ちに待った本丸さ、
気合入れていかないとね!
とは言っても、アタシがやるのは陽動、囮。
言わば信長を『おびき寄せ』る餌さ。
カブに『騎乗』し、『操縦』テクで狭い空間を駆け回り。
『マヒ攻撃』の『援護射撃』で、高機動戦を持ち掛ける!
後ろに誰か乗っけてりゃもっと良いだろうね。

そうして、信長に『コミュ力』でふと問いかけるよ。
「アンタ、骸の海にいたんだろ?長い間さ。
……その長い時間は、『なんどきだったかい?』」ってね。

【時縛る糸】はあくまで単体の対象を縛るUCさ、
恐らくコントロールを失った虎が暴れまわる。
ま、統率を外れた獣なら御しやすいだろ?
後は思い切りやってやれ!


ルエリラ・ルエラ
【芋煮艇SPD】
芋煮艇1の美少女私が世界を救いに来たよ。

バルディートが気が付かれないように私も囮と陽動やるね。
私は『メカ・シャーク号』に乗って『私の戦闘服で』<オーラ防御>しながら〈見切り〉で回避しつつ多喜とは別方向に<おびき寄せ>て誘導するよ。
追いつかれたら『ワイヤーフック』や『私のブーツ』を使って脱出して<空中戦>
そのまま空中から走り回ってる多喜のカブに乗り込んで<援護射撃>しながら、高軌道戦闘継続だね。
初手をやり過ごしたら、【ドライ】をギリギリ外すように連射。この矢は、外れようがどこまでも追尾するから、油断したところをタイミングを見計らって後方から一気に貫くよ。
あとは皆に任せるね。



●魔王滅殺:芋煮艇の四人
『ゴァルルルルルッ!!』
 ズドッ、ズドッ、ズドッ……ざうッッ!!
 五メートルはあろうかという巨体は、いわば全身が筋肉であり駆動機関だ。
 そしてこの世ならざる存在である猛虎――つまり獣に堕した武田信玄――は、
 ほぼ無尽蔵の体力を持つ。ようは、息切れだの些末な問題に煩わされない。
 結果としてその速度は弾丸を越えて稲妻じみたものとなり、魔空安土城を走る。
 いまそんな巨獣ときりきりまいの追いかけっこを繰り広げるのは、ふたりの猟兵。
 数宮・多喜とルエリラ・ルエラの二名だ。
「っと! いまのは少しまずかったねぇ、危うくカブがオシャカになるとこだ!」
 すぐ後ろを空間ごと薙ぎ払う強烈な爪をかろうじて避けた多喜は、タフに笑う。
「こちらも危なかったよ。けど、おかげであっちは食いついてくれてるね」
 然り。信長は怒りを剥き出しにし、己をあざ笑うように逃げるふたりを追う。
「さあどうした! 儂を相手に逃げ回るが関の山か? 所詮は女よな!」
 などと罵声を浴びせ、まるで獲物をもてあそぶ肉食獣のように歯を剥くのだ。
「やだやだ、これだから中世の人間ってやつは。今どきそんなのありえないよ?」
「戦国時代の武将ならむしろ妥当だけどね。それに信長は男色が好みとか――」
『グルァアアウウッ!!』
「「おっと!」」
 ざんっ!! 再びの爪。ふたりはそれぞれのマシンを急加速させた。
 互いに軽口を叩いてはいるが、実際のところそれは強がりもいいところだ。
 一瞬でも速度を緩めれば間違いなく爪と牙の餌食になる上、
 時折敵は襖や壁、はては天井や床を突き破ってショートカットしてくる。
 こうして後ろから姿を見せて追跡してきているならば、まだ楽なほうだ。
「そろそろ手筈通りにいこうか」
「あいよ! ちょうど分かれ道だね!」
 十字路にさしかかった瞬間、ルエリラと多喜は別方向に散開。
 どちらを追うべきか? ……青髪のあの女だ。身のこなしから見ておそらく射手。
 信長の意を汲んだ白虎がルエリラのほうに急加速し、いよいよ引き裂こうとする!
「こっちに食いつくと……思っていたよ!」
 先読みしていたルエリラは、メカ・シャーク号を犠牲に跳躍脱出。
 ワイヤーフックを射出し、ギリギリのところにいた多喜のカブに騎乗した!
「ぬうっ、小癪な!!」
「鬼さんこちら、手のなる方へってねぇ! そらそら、ついてきなぁ!」
 多喜はアクセルを全開にして走る。猛虎は先ほど以上の速度でふたりを追う!
「あとはどこまで逃げられるか……かね」
「やれるだけやってみるさ。芋煮挺一の美少女だからね」
「え、それ本気で言ってんのかい?」
「え?」
「え?」
 なにそれ怖い。

 ……一方、ふたりが信長を惹きつけたカーチェイスの開始地点!
「ふう……どうやら行ってくれたみたいでさぁね」
 じわり、と何もない場所が歪み、迷彩を解いたバルディート・ラーガが現れた。
 そのすぐそばには、六尺棒を手に倒れ伏す才堂・紅葉の姿。
「……紅葉嬢、もう起きていいでやすよ」
「ええ……それにしても、効いたわね」
 頭を振りながら、紅葉は立ち上がる。無傷ではない。負傷は胴体を裂いていた。
 しかし致命傷をかろうじて躱した彼女は、あえて死んだふりをして魔王を欺いた。
 そして頃合いを見計らっていたのだ。多喜とルエリラが任務を果たす時を。
「じきにあのおふたりはここへ戻ってくる。そうですよね?」
「あと数分もしねェでしょうな。ここからが本番でさァ」
 然り。三人は最初、わざと正面からぶつかって突撃を誘発した。
 バルディートは最初から迷彩を施して、攻撃と逃走の混乱に乗じていたのだ。
 全てはこのために。無論、魔王の知覚力はずば抜けている。
 それでも囮が惹きつけられたのは、彼女らが天才的なセンスを持つからだろう。
「最後の大金星、逃す手はないわね」
「でさァね。気ィ引き締めていきましょうや」
 バルディートはうなずき、紅葉を促した……生命力吸収行為を、だ。
 ドクン――! 紅葉のハイペリアの紋章が輝き、その生命力を吸収する。
「ぐ……ッ」
「……大丈夫ですか?」
 ぐらついたバルディートは、頭を振りつつ無事をアピールした。
 オブリビオンフォーミュラ相手の極限の戦闘において、生命力を譲渡する。
 非常に危険な行為だが、やる価値はあるはずだ。その腕が四つ影の蛇に変じる。
「さァて――来やすぜ、紅葉嬢!」
「ええ。バルディートさんから借りた力、使わせてもらいます!」
 ふたりが身構えたその時――目の前の壁が、KRAAAAASH!! 崩壊した!!

「ぬうっ!?」
 ふたりを追ってきた信長は、破砕した壁の向こうの光景に瞠目した。
 仕留めたはずの女と、最初から姿を見せていない蛇が一匹。伏兵か。
「忌々しい……!! まとめて轢き潰してくれるわ!!」
 然り。彼奴の威力ならば、大刀でまるごと敵を切り裂けることだろう。
 だがこの時こそが、四人の待ち望んでいた好機でもあるのだ!
「逃さないよ」
 シュパッ! ルエリラが光り輝く魔力の矢を放つ!
 信長はこれを篭手で弾いた。だがそこで、妙な手応えに眉根を顰める。
 今の一撃、わざわざ弾かないでも外れていた? この期に及んでなぜ――。
「……二段構えかッ!!」
 がぎぃん!! 背後からU字を描いて襲いかかっていた矢が叩き落される!
 追尾の矢(ドライ)。それははずれようとどこまでも敵を追いかける魔力の矢。
 しかし不意打ちは見抜かれた。だが、ルエリラは薄く笑っている。
 何を笑っている。訝しむ信長に多喜が云う。
「アンタ、骸の海に居たんだろ? 一体、その長い時間は"なんどきだったかい"?」
 ただそれだけだ。だが、それこそが多喜のサイキックのトリガーである。
 ぴたりと信長の主観時間が静止する。――"時縛る糸(クロノスタシス)"!!
「小賢しいッ!!」
 だが魔王もかくや! 覇気により超常的高速を吹き飛ばしたのだ!
 思念波が作用したのはいいところ一秒、いや二秒といったところか。
 だが、それでいい。多喜もまた笑う。"それだけあれば十分"だからだ。

 まずその一秒の間に、狂える獣・信玄はコントロールを失った。
 たった一秒。そこにすでに、バルディートの蛇が喰らいついていたのだ!
「こちとら腹減りなモンで、ちィとばかし食わせていただきますよう!」
『グロゥルルルッ!?』
 生命力が。吸われる。四つ蛇がその強靭なる体力を吸う!
 そして時間が動き出した信長の視界に、突如として見慣れぬ赤い女が現れた。
 それが、倒れ伏していたはずのあの女――紅葉だと気づくのにコンマ一秒。
「せいッ!!」
 脅威的速度の八連撃、これを凌ぐのにコンマ八秒。
 黒炎がまとわりつく。わずかにだが四肢の動きを鈍らせる。全ては布石!
「――ハイペリア重殺術」
 騎士格闘技はこの八打を布石として完成する。残る九の一撃こそが本懐。
 ここまでの布石はそのために。すべてはこの一撃を通すために。
「おもいっきりやってやれ!」
「あとは、任せるよ」
「トドメをくれちまってやりなせエ」
 魔王は吠えた。それは最期を認めぬ獣の悪あがき。
「――九頭竜ッッ!!!」
 KRAAAAAAAAAAAAAASHッッ!!
 超過重力を込めた踵落としが、さながら八岐大蛇を両断したスサノオの一撃めいて、魔王を両断し黒炎で灼き尽くした!
 衝撃が安土城をたわませる。これが、連携によって得られたトドメの一撃だ!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


 どこだ。儂はどこで敗けた? 一体何が敗因だったのだ?
ヘンリエッタ・モリアーティ
【断命】
礼儀正しく名乗ってやることもないわね
――さあ、絶やして殺すぞ
鳴宮がけん制の発砲をしたなら、それに合わせて私は飛び出します
使うのは「永縁刀「紫衣紗」」折れたりもしない
折れてやるかよ、魔王ごときが笑わせる!!

もちろん負傷するでしょうね。相手は「私用」に騎馬軍団を合わせてくる
――いいトリガー。いけ、灯理
我がつがいの作戦通りに行ったのなら、Arseneの戦化粧を待ちます
とっておきを頂戴よ、確実に仕留めてやる――【燻狂う神鳴嵐】
さあ、戦場一帯全部「止まった」なら灯理と一緒に刀を握って
虎を蹴散らせ、鳴宮ッ!!Arsene、ガイドを任せるッ!!
地獄がどれほど温かったか教えてやるよ――絶えて死ね!


鳴宮・匡
【断命】


名乗る必要はないだろ?
「敵」なら是非もなく殺すのが、兵士の流儀なんでね

まずは呼び出された騎馬の脚を削ぐ
鎧坂の仕掛けに掛からなかったやつをメインに
脚を狙って掃射、隊伍を崩させる
何せ数が多い
次々に来るだろう、順次対処していくよ

虎の足も取られてくれりゃいいが、そううまくも行かないだろう
常に信長たちから目を切らず
いつ何時切先を向けられても対応できるよう覚悟しておく

強化を受けてから反攻へ移る
ずっと観察し続けてたんだ
もういい加減、お前の動きにも慣れてきた
雷に一瞬でも脚を取られたなら
そこが終着だぜ、甲斐の虎
【千篇万禍】――鉄の災禍はお前の命が潰えるまで止まない

……仕事はしたぜ
あとは任せるよ、二人とも


鎧坂・灯理
【断命】
あれがサムライエンパイアの織田信長か
敵軍の首魁、オブリビオンフォーミュラ
まあいいさ、やることは変わらん
殺すだけだ

まずは騎馬隊か
突っ込んでくる足下に『ジャーニム』を張り、念力で固定
引っかけて転ばせる。先頭が転べば後ろもつんのめるだろ
伴侶殿が突っ込むから、私はその援護
虎は任せましたよ鳴宮殿
Arsene殿、頼りにしてます

ああ、伴侶殿が怪我をした
私の大事な人 愛する人が
ああ許せない許さない――故にUCは発動する
さあ焼き焦がせ、我が慕情 ほむらの鳥よ
近寄る過去全て焼尽し 伴侶殿を護れ

全てが止まれば私も傍らへ
邪魔だ木偶共 行こう伴侶殿
指揮通り撃ち払い伴侶殿の刀を握る
さあ 絶え果てろ、信長
――永遠に


ヴィクティム・ウィンターミュート
【断命】

【ハッキング】でサイバネオーバーロード
【ドーピング】で強化薬摂取
匡の銃撃後、ヘンリエッタが前に出る
それで先制攻撃が凌げるといいが…念のため【ダッシュ】【早業】【見切り】【第六感】で
回避できるように準備はしておく

──本当は、もう限界なんだ
ニューロンは限界まで酷使されて
サイバネも半ばイカれてる
肉体も精神も死にかけだ
攻めに回るには、俺は足手まといになる

それでも
勝利まで止まってられないから
俺が今切れる、唯一の手札を使う
封印解除──『Dedicate』
身体を毒で浸し──3人に最高の戦化粧を施す
さぁArsene
苦痛を悟られるな
何でもないように、シニカルに笑え
プラン通りに指揮をしろ
──必ず、勝つぞ



●愚か者
 総出撃数、およそ76回。
 鬼を殺した。士を殺した。悪魔を殺した。虫を殺した。小者を殺した。
 仮面を剥ぎ、悪女を捻り潰し、剣豪を滅ぼし、簒奪者を嘲笑い、永劫者を殺し。
 殺し、殺し、殺し、殺し、殺し、殺し、殺し、殺し、殺し続けてきた。
 サムライエンパイアの至るところを回り、至る敵を倒し、至る企みを潰した。
 戦った。ただひたすらに。疲れ果てても、その疲れを忘れるために戦った。
 なあ、チューマ。
 自分で言うのもなんだが――俺は、だいぶうまくやったんじゃないか?
 光のように駆け抜けて、風のように姿を現し、影のように消えてきた。
 とことんだ。とことんやってきた。
 勝利のために。
 勝つために。
 価値を証明するために。
 主役を輝かせるために。
 ――俺が、俺であるために。

 なあ、チューマ。
 俺はやれるだけのことを、やったのさ。

 視界が明滅する。
 コンバッドドラッグで喪失しかけた意識を覚醒――させられない。
 薬物耐性がついちまってる。薬物を通すための薬物を脳に叩き込む。
 意識にキックを入れて、焼け付いたサイバネのモーターを血脂で駆動させ、
 駆ける。駆ける。駆ける。駆ける。駆ける。
 戦場を。何のために? ――決まってるさ、生きるためだ。
 だったら最初から、こんなところに居なければいいんじゃないか?
 とっくにニューロンは限界を迎えて、正直意識も、記憶もまともにつながらない。
 四肢と言わずあちこちはろくに感覚がしないし、代替サイバネも機能停止してる。
 なあ、最初からこんなことをしなけりゃ、いらぬ苦労だったんじゃないか。
 だって、俺がやらなくたって、もっと多くの主役たちがいるじゃないか。
 俺が行かなくたって、どこかの誰かが、きっとクールに終わらせたはずさ。
 要らなかったんだ。
 無意味だったんだ。
 ただの、自殺だ。
(バカを言えよ)
 視界にゆらめくイマジナリーフレンド――過去の己の姿をした――に云う。
 きっと傍から見れば、俺はいつものようにシニカルな笑みを浮かべて、
 迫りくる刀を、爪を、槍を、矢を、騎馬隊を軽やかに駆け抜けて、
 ああ、おそらくスラング混じりの、チルな台詞を言っているはずだ。
 ……何の意味もなかった? 他に誰かがいる?
(バカを言えよ)
 ヴィクティム・ウィンターミュートは嗤った。
(俺以上の端役なんざ、どこを探したっているものか)
 イマジナリーフレンドは肩をすくめ、哀れみを込めた眼差しで言った。
 ――お前は結局、主役であることを諦められないだけじゃないか。
(バカを――)
 意識が途切れた。ドラッグを叩き込んでも、すぐには戻らなかった。

●魔王滅殺:黒幕、不退転者、人でなし
 怒涛となって突っ込んできた騎馬隊は、鎧坂・灯理が仕掛けた罠にかかり、
 あっさりと瓦解した。だがそれは先陣だけの話だ。
 さすがは精強無比の武田騎馬軍団、などと称賛するような趣味は彼女にないが、
 斃れた先鋒を跳躍して越えて、さらに突撃を続けるのには恐れ入った。
「まったく、これだから"奴ら"は嫌いだ」
 嫌悪感を剥き出しにして、灯理は吐き捨てた。
 さっさと死んで滅びればいいものを、ゴキブリめいて予想を越えてくる。
 だから厭なんだ。なぜそうまでして固執する。なぜそうまでして食い下がる?
 お前たちは穢れだ。膿だ。誰が頼んだわけでもない、誰も望まない邪魔者だ。
 塵芥だ。クズだ。不要だ。ノイズだ。消えろ、消えろ、消えろ、消えろ。
「――まあいいさ」
 思考を切り替えて、灯理は常のように軽く言った。すでに備えはしている。
「任せましたよ、鳴宮殿」
「ああ」
 鳴宮・匡は端的に応えた。そのときにはすでに無音の銃声が劈いている。

 BLAM、BLAM、BLAM。極低音化された銃声は、この波濤の中では無に等しい。
 とにかく弾丸は精密、正確に第二陣の脚を穿ち、無駄にタフな連中を斃れさせた。
 もちろんその後続は、やはり同じように前衛を飛び越えて迫る。
 BLAM、BLAM、BLAM。同じように淡々と、出来るから当たり前に処理していく。
 その合間に、灯理は再び念動力の罠を仕掛け、第四陣、第五陣を罠にかける。
 まるで屠殺場のような、確実で、規則的で、機械的で、無駄のない作業だ。
 作業に落とし込んでしまえば、こんなものは簡単だ。なんてことはない。
(――仕事にしちまえば、楽だ。他のことは全部どうでもよくなる)
 BLAM、BLAM、BLAM。
(だけど、それじゃダメだ。見ていても、視なきゃダメなんだ)
 鋭敏な感覚器は全てを捉える。音も、匂いも、感触も何もかも。
 だがそこに心が備わっていないなら、それは本当にただの機械だ。
 否、機械以下か。おそらくはもっとおぞましい、本当にどうしようもないものだ。
 それは、厭だ。そうなってしまうことだけは厭だ。
 そのために己が何をしているのかを視て、感じて、考えて、受け止めることは、
 とてつもなく恐ろしく、困難で、一秒一秒の流れすらまとわりつくようだ。
 それでも、そうしなければ、自分は人でなし"ですら"なくなってしまう。
 だから、撃つ。機械的に、確実に、規則的に、しかし心を殺すことなく。
 それは、ただ心を殺すよりもずっと難しく、苦しい作業でもあった。

 弾丸と念糸が騎馬隊を鏖殺するその最中を、痩せぎすの女がひとり。
 手にはどこか不穏な気配を纏う黒刀。光を一切反射しない不気味な刃。
 永縁刀"紫衣紗"。魔術回路を宿したそれは、いかなる堅牢も叩き斬る。
 簡単だ。すっと、豆腐か何かを斬るようなものだ。少し"ちょい"とやるだけだ。
 折れる? ……ああ、たしかにそうだ。物質としてある以上いつかは朽ちる。
 いつかどこかで、あるいは何かで、そうして折れて砕けるかもしれない。
(けど、折れたりはしない)
 ヘンリエッタ・モリアーティは、自らの思念を断定的にひねる潰した。
(折れてやるものか)
 くだらない。この"私"が、敵を前に折れる? ありえない話だ。
 折れてなどやるものか。どれほど恐ろしく、威圧的に、悪魔的に来たとして。
「折れてなどやるものかよ!」
 笑う。歯を剥きながら、軍勢とともに来た魔王を睨みつけて、笑う。言い放つ。
「魔王ごときが、笑わせる!! 折れるものなら、折ってみせろよ!」
 呵呵と大笑する。そこへ騎馬隊が来る。その間を影が駆け抜けた。
 Arsene。騎馬隊の最中を駆け抜けている。駆け抜けて仕事をしている。
 握りしめたガラスのナイフで、きっと糸も弾丸も届かぬモノを斬っている。
 だからヘンリエッタは、魔王だけを見る。己を狙って来たる刀も槍も矢も識らぬ。
 虎は静止しない。弾丸を寄せ付けない。ゆえに魔王は、槍は、剣は、矢は、
 無造作に突き進む犯罪王に到達し――その身を、叩き斬った。
「莫迦め」
 魔王は嗤った。
「莫迦ね」
 女も嗤った。
「起こしてはならぬものを、起こしてしまったくせに」
 続いた言葉の意味は、燃え盛る焔の鳥の羽ばたきと怪鳥音が識らせてくれた。

 〈焦恋の熾熱〉。
 それは、不退転を決めた、ひどく傲慢で、利己主義で、そして慇懃無礼で、
 おまけに尖りきっていて、無愛想で、残忍で無慈悲な女にはそぐわぬ名である。
 恋の熾火など。まるで生娘のようなことを云う。
 熱が焦がすなど。まるで乙女のようなことを云う。
 だがそれは本来、腐すようなものではないはずだ。
 なにせ古今東西、東西南北、ありとあらゆる物語はそれを至上のものと謳う。
 人間賛歌であり、
 ヒトが持つ最高の感情であり、
 この世でもっとも美しく、
 この世でもっとも激しく、
 何にも代えられぬものと云うではないか。
 何が悪い?
 この恋の、愛の想いを、愛する者にぶつけて。
 愛する者を害した塵芥どもを、この熱で焼き払って。
 素晴らしいのだろう。尊いのだろう。美しいのだろう。かけがえないのだろう。
 そうだ。そうとも。我が伴侶。我が愛する人。噫、ハティ。噫、我が愛。
「それは、許さない」
 許す理由がない。
「許さない」
 許す必要もない。
「貴様ら塵芥ども――皆、過去は、骸は、焼尽焼相消え果てろ!!」
 ここに燃えるは女の慕情。ここに燃やすは愛の感情。
 それは形をなして翼を得て、高く遠く鳴いて戦場を駆け抜ける。
 抑えきれない心術。
 抑える必要のない心術。
 焼き焦がす。騎馬隊を。魔王を、虎を。灼き尽くす焼き尽くす燃き尽くす。
 我が伴侶を傷つけた。全ての過去を骸を塵芥を焼き尽くす。
(征け、灯理)
 伴侶は言った。笑っていた。噫、我が愛よ、傷ついてなお美しきひと。
 彼女と私は対等だ。この愛はきっと、いや絶対に、その胸にも燃えている。
 ならば、この慕情の熱、過去ごときに消せるものかよ。

「――?」
 匡は、一瞬だけ眉をぴくりと動かした。
 来るはずのものがない。下るはずの号令がない。
 ヴィクティムの指示が来ない。Arseneは何も言わない。
 それは秒にして千の一。匡でなければ知覚理解できぬほどの刹那。
 常ならばハッカーは、その千分の一の狂いすら嫌っていたが、だからこそ。
 それが来ないことは、おかしい。ズレるはずがない。
『待たせたな、主役ども!!』
 そこへ声がした。血まみれで、シニカルに笑うカウボーイが姿を見せた。
『とっておきをくれてやる。なあに、大丈夫。お前らならやれる!』
 匡は訝しんだ。
『必ず、勝ってくれ!』
 そして理解した。
『――端役を踏み越えてでも、な』
 指示はくだされた。三人は途方も無い力を得た。そして指示に従った。
 匡もまた同じく。心を殺すように、しかし心を殺すことなく、淡々と。
(あの莫迦)
 匡は理解した。
『――プラン通りに、勝とうぜ』
 ヴィクティムは、とうに限界を超えている。

 ともあれ戦化粧は、血に塗れたやせぎすの女を彩った。
 暴れ狂うほむらの鳥の下、斃れたはずの女が逆再生めいて立ち上がる。
「貴様は、なんだ」
 魔王は当惑した。そして猛虎とともに滅ぼそうとした。
「なんだと思う」
 女は言った。笑っていた。
「わからないでしょう。――だから教えてあげる」
 笑ったまま、双眸を燃やしていた。
「君は私を怒らせたのよ」
 怒りに。尽きぬほどの憤怒に。
 己を傷つけたことに。
 我がつがいを怒らせたことに。
 我が前に立ったことに。
 存在していることに。
 まだ生きていることに。
 何もかもに対して憤怒した。
「――お仕置きよ」
 そして暗雲が立ち込めて、豪雨のように音もなく、隙間なく雷が堕ちた。
 魔王は、虎は、敵は。城は。何もかもが、停止した。

 匡は、理解していた。
『いいぞ、いまだ匡! ふたりは信長を仕留めろッ!!』
 その声の意味。聞こえている。感じている。そのシニカルな笑みの裏側を。
(馬鹿野郎)
 言葉にならぬ声は、凪の海にひととき沈める。
『見えてるんだろう? お前なら』
「――ああ、見えてるさ」
 BLAM。一瞬でも動きを止めたならば、もはやそれで十分。
 観察は済んだ。どこを射抜けばいいのかも知っている。だからそうする。
 銃撃は、鉄の災禍は過たずその四肢を貫き、地に伏せせしめた。
 銃は人が生み出した力だ。獣を、暗闇を、同じ人を退けるための力。
「そこが終着だぜ」
『そうさ。ここが"おしまい"』
「――おしまいにしよう」
 凪の海は目を伏せた。蒼が消えた。
「仕事はしたぜ。あとは任せるよ、ふたりとも」
 凪の海にひととき沈めたものが浮かび上がる。
「……莫迦野郎」
 それは、敵に向けた言葉だったのだろうか。

 そして配下を、虎を、何もかもを剥ぎ取られた魔王がそこにいた。
「なぜだ」
 理解が出来ぬ。どこで己の覇道は潰えた。なぜ。
「知ったことかよ」
 鋭い瞳の女が言った。
「地獄がどれほど温かったか、教えてやるよ」
 痩せぎすの女が言った。
 ふたり、握りしめるは一振りの刀。振り上げるは首を狙い。
「――絶えて、死ねッ!!」
「永遠に」
 魔王は何かを言おうとして、首を伐られてそれすら許されなかった。
 かくて大悪誅伐。またひとときの滅びがここに来たる。
 もはや動くものは何もない。敵は全て死に絶えた。

 主役たちをからかいながらも凱歌をあげる、端役の声もなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


 過去を否定し、過去を滅殺し、過去を踏み越えて。
 それで? 貴様らには何が遺る。貴様らとていつかは過去になる。
 儂を見ろ。儂のざまを見ろ。そして忘れるな。

 貴様らも、いつかこうなるのだ。
灰炭・炎火
織田信長、あーし知ってるよ。
第六天魔王……魔王! すっごい強いの!
けど、アナタを倒せば終わりやんね。
……ぜーったいに、負けへんよ!

●戦闘
対策、本人はしていません。
いつもの調子で殴って倒しに行き、いつもなら倒せるはずの攻撃を放ち、先手を取られて普通にやられます

(え、嘘、あーし、終わり?)
(負けちゃうの?)
(やられちゃうの? ここで?)
(……やだ。やだ、やだやだやだ!)
(絶対…………やだっ!)

意識が消える中、無自覚にニャメの重斧に全力を込めて。
「持ちうる怪力」を代償に、ユーベルコードを発動

巨躯の“輝く者”を召喚し、怒りの咆哮をあげながら、損傷に構わず攻撃します。



●魔王滅殺:灰炭・炎火
 敵は強大なるオブリビオンフォーミュラ。
 サムライエンパイアにはびこるオブリビオンの全ての始原であり、最強であり、
 此度の戦禍の黒幕であり、巨悪であり、つまりは倒すに易くない難物である。
 絶対先制の法則は敵に最優の立場を提供し、猟兵に最悪を提供する。
 かすめ、掻い潜り、飛び越え、滅ぼすには易くない手が必要となる。
 ここまでの戦士たちは、皆程度がことなれどそれを成してきた。為してきた。
 斃れたとしても。立っていたとしても。滅ぼしたとしても出来なかったとしても。
 それらはすべて、敵を倒すために必要な一手となったはずだ。
 では、それがなければどうなるか?
 こうなるのだ。

「くだらぬ」
 魔王は吐き捨てた。剣に残る血すらも厭うようであった。
「くだらぬ。惰弱! 猟兵。我らの天敵、我が野望の大敵、我が宿敵が!」
 激昂している。それに応じて、剣を包む焔も燃え上がる。
「斯様に愚か。斯様に弱いとは。儂を嘗めておるのかッ!!」
 一喝に、びりびりと空間が揺れた。だがその原因が応じることはない。
 応じることが、出来ない。
(――あれ?)
 炎火はそこでようやく、自分がどうなったかを思い出した。
 魔王信長。いくら炎火でもその名を聞いたことぐらいはある。
 それがオブリビオンとなり、サムライエンパイアを侵略している。
 見過ごせぬ。根城を捉えたというならばこれを叩き潰す理由はなし。
 なに、易きこと。なにせ己には、この誰にも扱えぬ重斧があるではないか。
 敗けることなど無い。これまで同様、叩き潰し、捻り潰してやるのだ。

 愚かとは、こういうことを云う。
 向こう見ずとは、まさにこのさまを云う。
 因果応報とは、こういうことを云うのだ。
(あーし、敗けたの?)
 斃れている。自分の体を、骨まで斬り裂く斬撃が通っている。
 臓腑が断たれている。その切断面すら焼けて焦げて修復は出来ない。
 即死だ。即死であるはずの傷だ。なぜ生きているのか不思議なほどだ。
(やられて、斃れて――あーし、終わるの?)
 死。
 生きとし生けるものが逃れられぬ現象。過去になる儀式。
 死神だの悪魔だの、地獄の鬼だの戯画化されたようなものはいない。
 だから、迫りくる"冷たさ"に対し、それを忌むことすらできない。
 ただ、自分の中から、"いのち"と定義されたものが失くなっていく。
 それを味わう。一秒が千分の、万分の一に希釈され、倍の重みを以て。
 死ぬのだ。
 ここで自分は、死ぬ。
 理解した途端、炎火はぞっとするような気持ちになった。
(やだ)
 無駄だ。
(やだ、やだ、やだ!)
 声は届かない。そしてあいにく、それは自業自得である。
(やだやだやだ! やだっ!!)
 死は厳粛だ。正しくはそれですらない。現象でしかない。死ねば死ぬのだ。
 いのちが消えていく。自分という意識が希薄化し希釈され無限に延びていく。
 自己が、なくなる。その恐ろしさを炎火は生まれて初めて味わった。
(絶対――)
 最期の灯火が燃えた。
(絶対、やだっ!!)
 それを幸福と云うべきかどうか、それはその者の死生観に依るだろう。
 結論から言えば、炎火は死ななかった。失われるはずのいのちは保たれた。
 傷は最低限に塞がれ、血は止まり、しかし意識は消えた。
 ここで死ねれば、あるいは彼女は幸せだったのかもしれない。
 解き放たれたものとその代償は、あまりに大きすぎたのだから。

 かけはなれた偉大な一者。
 あるいは、唯一輝く者。
 太陽の化身、あまねく神々の王、月と雷と嵐を司る者、かつて近くにありし遠き者。
 ニャメとは"それ"であり、重斧の真価はそこにある。
「……なんだ?」
 魔王は訝しんだ。倒れ伏した妖精――正しくはそれが握りしめた斧――から、
 なにかとてつもなく恐ろしいものが生まれつつあった。
 それは光であり、しかし人であり、焔であり、力であり、すなわち滅びであった。
「貴様は! なんだ!!」
 魔王は言った。生まれつつある"もの"は、揺らめきながら起き上がる。
 魔王は瞬時に理解した。これは、あってはならぬものだと。
 あっては己が滅ぶもの。解き放ってはならぬもの。
「おのれが――!!」
 獄炎が吠えた。それは赤ん坊の産声であり、泣き声であり、咆哮である。
 魔王にとって僥倖だったのは、それがまだ途上であったことだろう。
 結果として、"それ"との戦いは、城の一部を崩落させる程度で済んだ。
 ただ、魔王の心に、恐怖を叩き込んだのは確かである。

 倒れ伏す妖精はそれを知らない。
 それが幸福か否か、それはいつか、妖精自身が決めることだろう――。

失敗 🔴​🔴​🔴​

マレーク・グランシャール
【神竜】篝(f20484)と
※他絡み×

信玄装による先制はダメージこそ来ないものの先に強化されてしまうのが厄介だ
しかし俺には女神の加護がある

初手に【碧血竜槍】を信長めがけ槍投げ
木の翼に変化していれば破壊して飛行手段を断つ
甲冑や刀ならば槍を弾くだろうが、こちらが攻撃体勢を整えるための目眩ましになる

【邪竜降臨】で自らを邪竜に変化させたら篝を乗せて特攻
敵の攻撃は篝のUCが吸収、俺の戦闘力へと変えてくれる
刀も甲冑も篝の退魔水晶の輝きが効果を弱めるはず
狙いは信長の強化されていない生身の頭部
牙で砕き、目を潰し、首ごと喰らってやる

篝、しっかり捕まっていろ、俺から離れるな
篝を狙う攻撃は【泉照焔】で見切って回避


照宮・篝
【神竜】まる(f09171)と
※他絡み×

私はまだ、猟兵としてはまるに遠く及ばない…
それでも、まるが求めてくれるなら

今はまだ仄かな灯りでも、私は泉照(よみてらす)
いかなる闇も照らし出そう
【退魔水晶】を掲げて、力を込めて、この場に陰が無くなるほどの輝きを
まるが邪竜に姿を変えたら、その背に乗って【遍泉照】を
昏き海より来るものを、薪としてくべて
この身を焔として、あいするものを導き照らそう

まるはいつも、泉照焔を肌身離さずあいしてくれた
私が生じた焔。まるがあいしてくれたように、私もあいしたい
大丈夫だ、たとえ死ぬことになっても離さない
泉照の真の輝きを、ここに示そう…!



●魔王滅殺:マレーク・グランシャール&照宮・篝
 めきめきと音を立てて、人にはありえぬはずの翼が背から伸びる。
 捻じくれながら伸びるそれは、まさに"生える"という表現が適切であろう。
 なにせそれは、節くれだった樹木であり、不気味なほど強靭であった。
 同じように刀は焔を纏い、その鎧は冷えた溶岩めいた黒曜石に変わる。
「儂を恐れよ。第六天魔王たる我を畏れよ。我が身は不滅、不死、不壊。
 我こそはオブリビオンフォーミュラ。天道に仇なす天魔の王なり!!」
 朗々たる名乗りは稲妻に似る。一方、それと対峙する男に恐れはなかった。
 そもそもマレーク、喜怒哀楽の表現を顔に出すことが滅多にない。
 勘違いされがちだが、表に出ないだけで感受性はむしろ豊かな男である。
 ゆえに、世俗にまみれた者ならば、いっそ噴き出してしまいそうなことも、
 心の底から、腹の底から信じて、せめて言葉だけはと口にする。そういう男だ。

「嗚呼、なんて恐ろしい、なんて強壮な――」
 一方で篝は、その魅力的に過ぎる相貌を恐ろしさと悲しさに強張らせ、呟いた。
 オブリビオンフォーミュラ。強大、唯一、世界を侵掠する過去の骸の根源。
 猟兵として至らぬ身――だと彼女自身は悲観する――である己が相対するには、
 その存在格はあまりにも巨(おお)きすぎるのだ。
「……けれど」
 篝は隣を見た。隣に立つ、恐れひとつなく対峙する男を見た。
 まる。私を求めてくれるひと。女神と呼んでくれるひと。
 ならば己はそれに応えよう。女神として、この仄かな灯りを照らし出そう。
 我は泉照(よみてらす)。いかなる闇をも照らし出すもの。
 広く、多く、あまねくすべてを照らさんとするもの。希望の灯火。
 ……だが灯火とは、裏を返せば"か細くうつろなもの"でもある。
 ともすれば、それは照らし出した者を、滅びすら許さぬ呪いの焔であるかもしれない。

 女神は、剣のカタチをした水晶を、闇を払うかのように掲げた。
 邪を払う輝き。それは、なべてを焼き尽くす忌まわしき焔を退ける。
 しかして天魔はそのねじれた翼を広げ、嵐を起こし空を舞おうとした。
「まる。私の竜。どうか、行って」
「ああ」
 マレークは女神の囁きにただそう応え、天魔に一撃の槍を擲った。
 碧血竜槍。その凶暴さに反し、竜人が擲った時、それは狙い過たず獲物を貫く。
 魔王を? 否である。そこにはなおも堅固なる鎧の守りがある。
 その背に延びた翼を貫くのだ。めきめきと音を立て、捻じれた翼は折れた!
「ぬうっ!!」
 片翼。だがそれでも、天魔が身を崩すには、つまり隙を晒すには十分だ。
 ふらりと飛行経路が揺らぎつつも、魔王は小癪と叫び疾駆し、剣を振るう。
 輝きが焔を退ける。竜は前に立ち、横薙ぎの一撃から女神を守った。
「まる!」
「仔細ない。――俺には、女神(おまえ)の加護がある」
 男は背中で応え、さらに一歩。傷が男を抉る。輝きの中に血が飛び散った。
 だがそれでいい。この血こそが己の封印を解き放つための鍵なのだ。
 見よ。輝きに伸ばされた影法師が、ぐんぐんと伸びていく。
 ……竜である。ひどくおぞましく、暴力的な姿をした竜が、そこに在った。
 ぐる、と邪竜が唸った。篝は頷き、ひらりとその背に飛び乗る。
「は! いかに見た目を変えようと、天魔たる儂に敵うかよ!」
 魔王は三度剣を振るった。その時同時に、女神は純然たる光となった。
「……こ、れ、は……!?」
 走らない。振るおうとした剣が、光そのものに圧されている。
 一方で輝く焔を背負う邪竜は、むしろその光を糧にしたとばかりに羽ばたき、
 傷をしゅうしゅうと修復しながら、魔王の頭上を悠々と舞った。

 篝。女神よ。俺を守ってくれるものよ。
 どうか離れてくれるな。この背に捕まり、そして俺を照らしてくれ。
 マレークは願う。その祈りは邪竜の咆哮となって大気を唸らせた。
 希望の灯火に忌まわしき五体が照らされるさまは、神々しくも恐ろしくある。
 少なくとも敵にとってはそうだろう。悪しき焔も、鎧の堅強も効かず、
 ただ爪で削がれ、牙で抉られ、それを防ぐ他にないのだから。
 マレークは誓う。俺を守るこの焔を、俺は必ず守ってみせると。
 それは神に言わせれば、"あい"であった。己だけに注がれる想い。
 だから女神も決めた。そうしてくれたように、己も同じだけ返したいと。
 たとえ、そう――。
(まる。たとえ死ぬことになっても、決して離さない。導き照らし出そう)
 それはたしかに希望の灯火である。邪悪を退け竜を導く焔である。
 だが、光が影を払うのだとしたら。それは影すらも許さぬ無慈悲ではなかろうか。
 猛る竜とそれを照らす焔は、力強く、しかしどこか危うくも見えた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

草間・半蔵
アドリブ◎
あれは、人で魔王だという
人でありながら人ならざるものであるアイツと戦えば
オレはオレを知れるのか

巨大な虎が出ようが怯まない
真っ直ぐ立つと
襲いかかる虎に向かって駆ける
でかい虎だ
その上に乗っている信長はさらに高みにいる
いくらオレの刀が大きくても
きっと簡単に届かない
それならば確実に襲われる今
この時がむしろいい
多少傷ついても気にせずに
野生の勘も働かせ
横へ逃げるのではなく前へ
体の小ささを生かし虎の、信玄の懐に
下へ潜りこむ
そのまま刀を跳ね上げて【獄炎転臨鍵・心法】
心を燃やして
血が出ているならその血も燃やして
鎧を砕く一撃を
さあ一太刀くれてやったぞ!



●魔王滅殺:草間・半蔵
 オブリビオンは過去の残骸――つまり"かつて在ったモノ"の成れの果てである。
 であれば、今こうして第六天魔王を名乗り、フォーミュラとして君臨する魔王も、
 在りし日はひとりの人間であり、生きる者であり、意思があったはずなのだ。
 だがもはや、今ここに在るそれは、人ではない。
 人の見た目、人の言葉を持つが、人の範疇にある存在ではない。
 かつての織田信長が僭称したその名は、皮肉にも現実となったのだ。

 それはとても己と似ていると、半蔵は思う。
 人として育てられた自分。
 人でない羅刹としての己。
 たとえオブリビオンとて、かつての存在が人に由来していたならば、
 対峙することでなにか得られるものでもあるのではないだろうか。
「なあ、教えてくれ」
 わずか11歳の少年は、ぐるぐると唸る虎の猛威にも恐れず、直截に問うた。
「……何?」
「信長。お前はなぜ、"魔王"となったんだ」
 きっとそこには相応の理由があったはずだ。
 信念があったはずだ。
 少年はそう思った。だから問うたのだ。
「笑止」
 だが、魔王に成り果てた残骸は嗤った。
「儂は儂よ。"なった"のではない、"そうである"のだ。それが織田信長よ。
 それがオブリビオンであり、儂こそその太祖であり、始原なのだ。理由などない」
「…………そうか」
 半蔵は理解した。ここにいるのは、人でありながら人でないものでは、ない。
 人であった過去すらも"忘却"した、過去に在ったものの"残骸"なのだと。
「なら、オレが倒す」
 少年はまだ知らない。
「誰が願ったわけでもない。オレが、オレとして決めたから」
 その思いのままに生きることこそ、人間らしさであるということを。

 対して、全身の筋肉をたわませた猛虎が、咆哮とともに弾けた。
 弾けるように、駆けた。
 一方で少年もまた、そこへ駆けた。
 どのみち敵が先制するというならば、いっそ前に出る。
 斃さねばならぬ敵だ。ならば一瞬でも疾いほうがいい。
 己の身に備わった、羅刹としてのカンを鋭敏に働かせ、敵が取るだろう手を読む。
 虎はどうくる。おそらく前脚で己を引き裂き牙で殺すだろう。
 跳んで逃げれば、信長の大刀がその身を斬り裂くだろう。
「――!!」
 交錯の直前、半蔵は判断に迫られた。横に跳ぶか、上に跳ぶか。
 答えは――どちらでもない。前に踏み込んだのだ!
「笑止ッ!!」
 虎が前脚を振りかぶった。魔王はダメ押しの刀を振るった。
 それらはたしかに少年を斬り裂いたが、だが臓腑には届かない。
「廻れ――」
 虎の腹の下。少年は毬のように身を丸めて滑り込んだ。
「骨肉の枷、呪血の転輪!」
 血が煮え立つ。焔が廻る。瞳を大きく見開く!
「鍵を回すのは……オレだッ!!」
 血が熱い。地獄の炎もまた同様。けれど何よりも熱く昂ぶるのは。
(オレが、倒すんだ。この敵を! コイツを倒すんだ!!)
 義憤という名の、心を燃やす感情だ!
「ぐ――がはッ!?」
 魔王は血を吐いた。虎はもんどり打って転がった。
 生命力を共有しているがゆえ、激甚たるダメージは本体にも伝搬するのだ。
 虎の臓腑がばらまかれ、血の中から少年が立ち上がる。
「どうだ、魔王。オレはお前に一太刀くれてやったぞ」
 魔王は憎々しげに少年を睨む。
「人間のオレが、魔王を斬り裂いてみせたぞ!」
 向こう見ずな若さは、時として運命をも動かす熱になる。

成功 🔵​🔵​🔴​

リル・ルリ
■櫻宵/f02768
アドリブ歓迎

終わった過去が未来を害するなんて
させない
邪魔をするな

傷も痛みも過去を越えてここにいる
今を生きる君を、未来も
守ってみせる
仕上げだよ


櫻の桜花に這わせる水泡のオーラ防御を拡げ先制攻撃を受ける
騎馬兵の数に驚くもそれも過去
兵団包むよう響かせる歌唱には蕩け惑わす誘惑をこめ絡めとり
「薇の歌」で巻き戻す
仕損じれば櫻が…だから僕は!
僕の全てかけて歌う
当たり前
何度だって歌う
風林火山も何もかも
君を害するものは《なにもない》

そのための僕
櫻の為の道を開く
大蛇の動きも利用して
受けた攻撃は爆ぜる泡でカウンター
櫻には鼓舞の歌声を送り前へ進めるよう
邪を斬れるよう背を押す

過去の妄念を祓っておいで


誘名・櫻宵
🌸リル/f10762
アドリブ歓迎

威厳に威圧も流石ね
でもリルとなら大丈夫

水泡に重ねる桜花のオーラ防御
歌で制しきれなければ彼抱え空中戦で見切り躱す
リィ歌える?

蛇華

喚ぶは化身
八岐大蛇
なぎ潰し噛み殺し巨躯を矛に盾とし信長へ
怪力で振るう刀には衝撃波と破魔こめて思い切りなぎ払い斬り祓う
風林火山、その鎧炎に翼ごと
見切り躱せば咄嗟の一撃、生命力吸収の呪こめ傷口抉る2回攻撃
リルの歌が力をくれて魔を打ち消してくれる

怨嗟に囚われるのではなく
飽き死んだように生きるのではなく
栄光に溺れるでもなく

魔を斬り祓い
私は私の今を生きる
この世界で愛しい人と共に

打ち合い斬りあうはやはり楽しいけど
違う

首を頂戴
私達の明日の為に
守る為に



●魔王滅殺:リル・ルリ&誘名・櫻宵
 生まれ故郷を舞台にした戦争というのは、やはり"違う"ものだ。
 これまでの戦争と何も変わらないはずなのに、多くのことが変わった。
 何よりも最たるのは、やはり――櫻宵の"こころ"だろう。
 過去を乗り越えたとはとてもじゃないけどまだ言い切れなくて、
 振り払えない因果も、思いも、悔いもいくらだってあって。
 かけられた呪いはいまもじくじくと傷を痛めているけれど。
「威厳も、威圧感も、さすがね」
「けどダメだ。終わった過去が未来を害するなんて、あっちゃいけない」
「ええ。傷も痛みも、全部全部乗り越えてこそだものね」
「そうだよ。僕がさせない。僕が守る。だから、ねえ、櫻――」
「大丈夫よ、リィ。あなたとなら、あたしは大丈夫」
「うん」
「歌える?」
「唄うよ」
 愛するひとが隣にいるなら、あの魔王にだって挑める気がした。

 ふたりの交わした言葉は、その想いからすればあまりにも少ない。
 なにせいま、デタラメに広い空間を覆うように、無数の騎馬軍団が来ている。
 なんという数、なんという練度。だがそれらは滅びたモノだ。
 驚きがある。少なからぬ恐怖がある。けれども逃げたいとは思えない。
 降り注ぐ矢は、桜花とそれを包む水の泡が受け止め、そして弾けていく。
 じきに刃は到達するだろう。だがそれよりも早く、深く、届くものがある。
「――揺蕩う泡沫は夢 紡ぐ歌は泡沫――」
 ゆらりと、巻き戻すのは時の秒針。きりりと音を立てて。
 あったはずはなかったことになり、現は夢に、弾けた泡はぷかりと。
 昼は夜になり、眠りの世界が世界を染める。すなわち。
「――何も、なかった」
 歌声は生み出された屍者たちを蕩けさせ、そして、その通りにした。
「……儂の兵を、消し去っただと」
 傲然と構えていた信長は、その光景に瞬時に激した。
「おのれがぁぁあ……!!」
 怒り狂う炎は剣に絡みつき、その威は翼から嵐となって放たれる。
 忌々しい。この忌々しい歌を、絶やさなければ。
 歌などくだらぬ。乱世には必要なし。いくさには必要なし!!

「だったら、あたしの大蛇ちゃんと遊んで頂戴な?」
 龍は嗤った。するとそこに、あるはずのないものが創造された。
 桜と暴風を纏う八岐大蛇。神話に謳われし酩酊の龍は語られたままに荒ぶる。
「くだらぬわッ!! この程度の化身などッ!!」
 ぞぶり、ぞぶりと、燃え盛る炎が八岐の首を次々に叩き斬る。
 ぎろり。炯々と燃え上がる両目が睨みつけるのは、巨体を駆け上がる櫻宵。
「させない。その炎も、翼も、何もかもなかった」
「惰弱な歌ごときで儂を縛るなァ!!」
 一喝。見えない束縛を、きりりと巻き戻される時すらもねじ伏せる意志力!
 これがフォーミュラか。これが最強の将であるということか。
「……ッッ」
 フィードバックによって頭を揺さぶられ、血の涙を流しながらリルは、しかし。
「何も、なかった!!」
「黙れッ!!」
「だまらない」
 血反吐を吐くように、唄う。
「黙ってやるもんか。僕は歌だ。歌が僕だ。僕には唄うことしか出来ない、けど!」
 ――唄うことが、出来るのだ。

 愛するひとが、戦っている。
 剣を振るうわけでも、魔術を放つわけでもない。
 ただ歌って、それでも傷ついて血を流して戦っている。
 ぐるぐると煮えたぎる怒りがある。正気を塗り替えそうな憎悪がある。
 それでは、いけない。それらはたしかに力だが、力だけでは因果は斬れぬ。
 陰と陽とは相反しながらも同居し合う。侵されることなく在り続ける。
 世界とはそうあるのだ。その理を以て法を則するのが術士なのだ。
 怨嗟を御せ。この怒りをも力に変えよ。逃避ではなく、前に進むため。
 目を見開く。面白いぐらいに世界はクリアだ。歌声がそうしてくれる。
 だから見える。魔王の動き、視線、狙い、斬るべき場所。

 ――がぎ、がぎ、がぎぎぎぎっ!!

「ぬうっ!?」
 魔王は圧された。圧されたのだ! 数合の打ち合いは圧倒された!
 手応えが高揚を伝える。脳を浸し蕩かせるそれに、受け入れつつしかし抗う。
「違うのよ。違うの。斬るっていうのは、そういうことじゃない」
 清廉に。潔白に。陰と陽を断つには、陰と陽を識らねばならぬ。
 この燃える憎悪は陰だ。であれば陽はどこにある。
「櫻――!」
「嗚呼」
 ……はじめから、そこにいてくれたじゃないか。
「さよなら、魔王様」
 進むべき道を、断って斬るべき陰と陽を分かつ。滅びよと律令のごとく命ずる。
「私たちの明日のために――」
「僕たちが生きるために」
「「過去(あなた/そいつ)を、祓う!」」
 剣が薙いだ。それは太極を律する則(みことのり)
「莫迦な――」
 かくして、陰(かこ)は陽(いま)から切り放された。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


 我が命脈何処に。我が勝利は何処に!
 ……有り得ぬ。有り得ぬ!
水衛・巽
こんな形でお会いしたくはなかった、信玄公
人は石垣という言葉を掲げた人物のこんな姿を見たくはなかった

貴方もだ、信長公
できればオブリビオンだなんて人類の敵ではなく
偉大なる先駆者にお会いしたかった
本当に残念です

無傷で帰還する気など毛頭ありません
第六感と戦闘知識で騎馬武者の来襲方向を見極め
霊符・縛をばらまき多少なりとも遅延できれば

負傷は生命力吸収で可能な限り相殺し覚悟で意識を保つ
鎧無視と鎧砕きで防御力低下を図ったうえで信長へ七星七縛符

……縛っただけで何もできぬと嗤うのは少し早いですよ
力押しばかりが戦ではないことなど貴方なら十分承知のはず
私は勝利のための捨て石なんですから



●魔王滅殺:水衛・巽
 ……偉業を成した人は、その偉業に見合うだけの器があるはずだ。
 ましてや、家柄を、血族を隆興させた者は、なおさらにそうであるべきだ。
 邪悪に墜ちてしまってはいけない。たとえそれが我欲にまみれた行いであれ、
 それは"人間"の範疇に収まっているべきではないか。
 血を受け継ぎ、次に遺すのは、人のやることだ。
 であれば、それを背負って立つ者は、相応の存在でなければならない。
 そうでなくば――己の背負うべき家柄(もの)が、ひどく無価値に見えてしまう。

「……残念です」
 矢と、符と、刀と、槍と、波濤と、怒涛と。
 あらゆるものが荒れ狂い、あとには屍と血だけが転がる。
「残念でならない」
 ぽつり、ぽつりとつぶやく巽自身も、全身におびただしい傷を負っていた。
 当然だ。荒ぶる騎馬軍団の只中を、たった独りで乗り越えてきたのである。
 今も立っているのが不思議なほど。立たせているのは覚悟と決意。
 そして、慚愧。敵に対しての。己に対しての。
「信玄公。あなたは、人は石垣という言葉を掲げられたではないですか」
 対峙する魔王――それに憑装する意識体――は、ただ獣の唸りのみをあげた。
 ああ。もはや人ですらないのか。甲斐の虎は、さながら高慢が過ぎた高官の如く、
 獣と成り果ててしまったのか。その哀れさは、筆舌に尽くしがたい。
「あなたもだ、信長公」
 魔王は峻厳とした面持ちである。
「オブリビオンだなんて、人類の敵ではなく、偉大な先駆者として――」
「くだらぬ」
 きっぱりと。どろどろと轟く稲妻めいた声が遮った。
「儂は貴様を識らぬ。識ったところでどうでもよい。"そういうもの"だからだ。
 ……それを貴様はべらべらと。魔王たる儂を、人の価値観と尺で測るとは」
「……あなたはかつて、人であったのでしょう」
「識らぬと言った」
 魔王は表情を変えない。
「儂はオブリビオン・フォーミュラ。第六天魔王にして天道に仇なすもの。
 すなわち、織田信長である。貴様の慚愧も、勝手な畏敬も、識ったことではない」
「…………」
 理解していたはずだ。十分に。だが巽は真の意味で思い知った。
 これがオブリビオンなのだ。これが残骸になるということなのだ。
 これが、世界の敵になるということなのだ。

 巽は言葉を納めた。代わりに、己が腰に佩く宝刀を握りしめた。
 宝刀。我が家に、水衛の血筋に伝わりし一品。己が継ぐ者たる証。
「…………」
 途絶えかけた意識をつなぐ。呼吸を整える。魔王の殺意の狙う先を読む。
「――ふッ!」
 奔った。だが魔王の剣はそれよりもなお疾かった。
 巽はばっさりと胸部を裂かれ、しかし目を細めた。
 居合を抜いた時、彼が放ったのは斬撃だけではない。
「……これは」
 七星七縛符。信長の体を、その鎧のみを斬り裂いた亀裂に、護符が刺さっている。
 だがそれが、魔王を害することはない。決して。
「くだらぬ。符で儂を祓えると? 儂は第六天魔――」
「力押しばかりが、戦でないことを……」
 斃れかけた巽が言った。
「あなたなら、ご存知でしょう」
「――……」
「何も出来ぬと嗤うのは……少しばかり、早い」
 魔王は断首の剣を振り上げる。巽は自嘲的な笑みを浮かべた。
「私は、勝利のための捨て石なんですから」
 高貴なる家を継ぐ者の言葉にしては、あまりに謙遜の過ぎる言葉だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

鷲生・嵯泉
抗えない衝動に身を任せる
貴様に、其の配下に滅ぼされた祖国の為に
復讐果たす為の牙と化し、必ずや討ち斃してくれる

戦闘知識と第六感の判断を以って攻撃の先読みをし
見切りを使って致命傷だけは避ける様に努める
脚と剣振るう腕さえ残れば、後はどうなろうと構わん
激痛耐性と覚悟で痛みを捻じ伏せ前へと進む
貴様なんぞの前で膝は屈さん
意志にて起つ身を砕けるものなら砕いてみるがいい
――刀鬼立断
鎧砕きの捨て身の一撃、怪力をも乗せて素っ首叩き落としてくれる

貴様の首を手土産に向かえるならば
あの世へ逝くのも悪くは無かろう
――護る為ではなく、討つ為の刃をもって
使える総てを使い果たしてでも
必ずや貴様の存在を此の世界から消してくれよう



●魔王滅殺:鷲生・嵯泉
「その介錯、待ったをかけさせてもらおう」
 ……巽の首を斬ろうとした魔王は、煮えたぎるような声に睨み返した。
 左目を眼帯で覆った金髪の男が、周囲に陽炎をどよもしながら歩いてくる。
「見知った顔を斬られるのは寝覚めが悪い。その剣、振り下ろすならば私に降ろせ」
 魔王が従う道理はない。ない、が――。
「さもなくば、その前に私がお前を斬るぞ」
 凄絶なる嵯泉の言葉には、おそらく捨て身でそうする迫力があった。

 何もかもを、奪われたのだ。
 国を。配下を。守るべきものを、生き甲斐を、全て。
 代わりに託されたのは遺志。生きてくれ、繰り返すなという、遺志。
 そのために生きてきた。そして目の前に仇敵たる大悪がいる。
 抗えない衝動。抗わず受け入れる。その炎に己の心をくべる。
「貴様は私を知るまい。言ったところで私の国も知るまい。ゆえに問わぬ。
 ひとつだけ言おう――私は、貴様の首を斬る。復讐を果たすために」
 そのための牙として、己を研ぎ澄まさせる。
「護るためではなく、討つための刃を以て」
 もはや我が身にわだかまるは、ただ憎悪の一念のみ。
 嵯泉はいま、ただ一振りの刃となりて悪鬼の前に立つ。

 応じるように、魔王の剣が燃え上がる。
 捻じくれた翼が生え、両目はなおも炯々と輝いた。
「よかろう。ならば儂を恨む者よ、手向けをくれてやる」
 悪鬼が嗤う。
「憎むべき仇に斬られ、貴様の仲間のもとへ逝け」
 迅雷の如き剣。しかして嵯泉の隻眼はそれを見切った。
 無論避けることは出来ぬ。片腕を盾めいてかざしこれを防ぐ。傷が燃える。
「ぬうっ」
 魔王は引き戻そうとした。男の筋肉と執念がそれをさせぬ。
 ならばと押し切ろうとする。屈し曲がりかけた膝が……まっすぐと立つ。
「何」
「貴様なんぞの前で、膝は屈さん」
 燃えるような声であった。
「意志にて起つ身を砕けるものならば、砕いてみるがいい」
「貴様……!!」
「――間合いだぞ」
 ひそやかな声。信長は己の首が両断される冷たさを幻視した。
 だが嵯泉の狙いは首などと甘いものではない。その生命、存在の滅び。
 命などくれてやろう。死した者らにこの男の最期を手向けと出来るならば。
「この世界から消え果てろ、魔王」
 刃を振りかぶる。燃える刃は――戻せぬ。引けぬ。押すことも。
 だが信長は嗤った。いかに男が研ぎ澄まされたとて、己には鎧がある。
 ならば黒曜石の守りを硬め、それを弾いてくれようではないかと。

 ――だが。
 鎧に刻まれた亀裂が、そこに叩き込まれた符が。それをさせぬ。
「莫迦な」
「貴様は人を嘗めている」
 復讐鬼が言った。
「魔王をも絶ち切る我が刃――受けるがいい」
 巽による縛符が、その守りを固めることを封じている。
 信長は何かを叫ぼうとし――その表情のまま、ばっさりと両断された。
「…………是非も無し」
 納刀。響くのは、真っ二つとなった屍がどうと斃れる音だけ。
 嵯泉はしばし目を瞑った。
 それは、去ってしまった同胞たちへの、弔いの静謐であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​


 ――儂が、滅ぶ? 不死不滅であるはずの、我が。
 いくさが、終わると、いうのか。
隠・イド
f12822/耀子様

勿論、仰せのままに
肉体を武器へと変化させ耀子へと憑装

憑装より先に攻撃を受けるようなら肉体を盾に
炎に包まれようとも、それは受けの太刀に等しく
一撃にて滅びぬ限り武器として支障なし

転身するのは先の戦で見せた大太刀の形
されど固定観念には囚われず
『刀剣』の類であれば扱えるというのが彼女の異能なれば
その適正と戦況に合わせ、形状は柔軟に

斬りつけると同時に『喰らう』
持ち手の魂、敵の魂
すべてのリソースを『斬撃』へと転換

敵のユーベルコード、或いは概念さえも斬る
一点特化、防御は度返しの極端な調整

では遠慮なく貰っていきましょう

結果、彼女がどうなろうと預かり知らぬ
私はただ武器として、ここに在る


花剣・耀子
f14583/イドくん

イドくん、手を貸して頂戴。
――使われなさい、オロチ。

目の前でひとがたが斬り捨てられても仔細ない。
《オロチ》を抜いて前を見る。
動力が己の魂だということは承知の上。
意志を強く、強く持て。
此処で魂を喰い潰される気はないけれど、
第六天魔王に負ける気だって更々ないのよ。

征きましょう。

《オロチ》のかたちが揺らぐなら、その都度に魂を焼べて打ち直すわ。
再構築。最適化。いまは、あたしのための剣。
目の前のすべてを斬り果たすために、もっと鋭く。

いかに魔王が強化されていようと、其処に在るなら斬れるもの。
風林火山を呑み込む嵐を放ちましょう。

あたしは遣い手。これが生業。
剣を以て過去を祓いに来たのよ。



●魔王滅殺:隠・イド&花剣・耀子
 迅雷の如き剣であった。
 身構えることも、対策することも、何も許さぬ凄絶なる一撃。
 斬り裂いた虚空をも焼け付かせ、焦げ付かせるほどの一撃であった。
 魔王の、全霊を込めた、必殺の剣。
 ――イドは、その一太刀の前に、あっさりと両断され果てた。
「ふ、は、はは、はははははは!!」
 信長は呵々大笑する。
「他愛なし! 猟兵恐るるに足りず! 我が命脈、この手に――」
「イドくん」
 守られたはずの女は、守ってくれたはずの男――その屍を前に、静かに言った。
「手を貸して頂戴」
 痴れ狂ったか。魔王はその物言いを、怜悧な女を見て嗤笑する。
「聞こえているわね」
 目の前の現実を受け入れられないとは。哀れな。だが是非もなし。
 ならば我が剣を以て、貴様もその男と同じように――。

「――"オロチ"」
 担い手は銘を呼んだ。
「命じるわ。あたしに、使われなさい」

 ――御意。

「ぬうっ!?」
 魔王は飛び退った。風を巻いて距離を取る。何かがおかしい。

 ――仰せのままに。耀子様。我が身はあなた様のための器なれば。

 見よ。両断され斃れたはずの屍が、喋っている。
 その実、それは屍ではない。異形兵器はこの程度で滅びはしない。
 真っ二つにされた"それ"はどろりと濁り、融けて崩れ、あるじに侍る。
 担い手が片手を差し出せば、まるでその指先に誓いの指輪をはめ込むように、
 あるいは騎士が臣従の誓いを口づけするように、"それ"は凝(こご)った。

 剣である。
 少なくとも、それを何の武器であるかと問われたら、そう呼ぶべきだろう。
 異形の大太刀。魂を喰らいて駆動する装置。化外を喰うための化外。
「……異なことを。貴様、武具のために"我ら"を使うたか!」
『"異なことを"とは、それはこちらの台詞だ』
 異形の兵器が囀った。
『俺はアンタらとは違う。このお方に振るわれる、ただの武器だ』
 憐れむように。崇高なる使命を識らぬ者を嗤った。
『さあ耀子様。どうぞ私めに――』
「ええ。貪りなさい、オロチ。あたしの魂を」
 兵器は高揚した。啜る魂の味に……それだけではない。
 花剣・耀子! 嗚呼、噫! この少女の、我が担い手のなんと気高きこと!
 それでこそだ。そうでなくば。それがいいのだ!
 魂が伝える。気高く堅き言葉の裏、己を失うまいとする意志の強さを。
 強く在ろうとする健気さを。恐れを。震えを。悲しみを。喪失の悔いを。
 ああ、ああ、ああ! 矛盾している。悔いて恐れながら恐れまいとしている。
 だからいい。それがいい! どうか、我があるじよ、ああどうか!
『仰せのまま、存分に貪らせていただきます。どうか、そのままで在りますよう』
「余計なお世話よ」
 ……耀子は瞑目し、目を開く。ただ敵だけを見据える。
 魔王は、翼をはためかせ嵐を起こした。耀子は無造作にそれを"斬った"。
「おのれがッ!!」
 魔王が来る。憎悪の炎を逆巻かせ、ヒトのかたちを斬った剣を。
 耀子は瞬時に確信する。あれは、今の己では受けきれぬ。

 では、魂を焼べよう。
 器は貪食し、蚕食し、高揚の震えとともに歓喜の唸りを上げ、変異した。
 より分厚く、より堅く、しかして軽く、しなやかで、鋭き剣へ。
 がぎん――衝撃、拮抗。在りえぬはずの受け太刀は成立した。
「征きましょう」
『御意に』
「儂の踏み込みを、真正面から弾くだと……ッ!!」
 少女は踏み出した。器は従った。そして、目に見えるものを、斬った。
 届かぬはずの太刀は颶風を起こして魔王を飲み込み、炎を、翼を剥ぎ取る。
「ぬう、おおお……!! 儂の憑装を、上回るなどと……!!」
 無論、それは並大抵のことではない。耀子は魂を焼べ続けている。
 器に慈悲はない。必要ないからだ。それでいい。でなくば困る。
 己は担い手であり、しもべは武器であり、そう在ればこそ斬れるものもある。
「過去よ、覚えておきなさい」
 担い手は言った。
「あたしは遣い手――剣を以て、お前を祓いに来た者よ」
 魂を貪る器は悦んだ。新たな同族を喰らう予感に。

 そして、異形の大太刀は、鎧もろとも魔王を断ち切った。
 残心もなく意識を失った少女を、ヒトガタを得た化け物が抱きとめた。
 ――その口は、あるかなしかの笑みを浮かべていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


 認めぬ。認めぬぞ。認めぬぞ!!
 儂は死なぬ。滅びぬ。そう成ったはずなのだ!!

 猟兵。
 天敵め。
 忌まわしき者どもめ!!
祇条・結月
秀吉や弥助からのダメージは残ってるけど
……負けて帰るつもりはないよ
皆の居場所を、守りたいんだ

この距離でも信長の圧力は伝わってくるけど
目は逸らさないで、真向から当たる【覚悟】で
挙動を見落とさないように【見切り】に集中して、追いきれなくても【第六感】を働かせて最小限で食い止める

【激痛耐性】で動きが鈍るのを堪えて、虎の巨体で信長の攻撃や白虎の全力の攻撃を受けにくいように、死角に潜り込むように動き回ってして苦無の【投擲】で急所を狙ってく

……狙いは、業を煮やして重量で押し倒しを狙ってくること
下敷きになるつもりで咎人の鍵を突き立てて逃がさない

この体勢からじゃ、躱しようがないでしょ
銀の鍵の光で、削りきる



●魔王滅殺:祇条・結月
 ……思い返してみれば。
 世界の存亡を賭けた戦争に、ここまで身を投じるのは初めてのことか。
 今までの戦いが易かったとは言うまい。だが、回数の問題だ。
 日野富子。
 安倍晴明。
 上杉謙信。
 弥助アレキサンダー。
 豊臣秀吉。
 並み居る魔軍将と戦い、滅ぼし、鬼を殺し謎を解き厄災(あかご)を殺し。
 屍人を滅ぼし天使を滅ぼし陣を破り、連戦に継ぐ連戦を越えてきた。
 猟兵に覚醒めたとはいえ、結月は根本的に、平凡な男子学生だ。
 そのプレッシャー、継続的戦闘がもたらす損耗と疲労、慣れるはずがない。
 ダメージは、その心身に確かに重くのしかかっている。

 正直なところ、躍動する白虎の動きは捉えるだけでも精一杯だ。
 すでに幾度となく振るわれた爪は己をかすめ、骨に届きかけている。
 血が失われるたびに四肢から力が抜け、痛みが意識を刈り取ろうとする。
 もうやめてしまえ、諦めろ、ほかはいくらでもいると自分(だれか)が囁く。
(厭だ)
 少年は心の声をはねのけた。
(敗けたくない。敗けて帰るつもりもないんだ)
 誰かの居場所を。
 皆の居場所を。
 ――この世界を。
「守りたいんだ……ッ!」
「小賢しい! 死ねィッ!!」
 けなげな少年の思いすらも命とともに刈り取らんと、魔剣来る!

 だが、わずかに数寸。
 命を奪うには僅かに数寸、それは足りなかった。
 なぜだ? 魔王は訝しんだ。その答えは、結月の擲った苦無にある。
 逃走しながらも楔のように撃ち込んだそれが、白虎の踏み込みを僅かに留まらせていた。
 だから、斬首するはずのそれは、首ではなくやや下の鎖骨付近を断ったのだ。
 それも骨には届いていない。奇跡的なまでのずらしであった。
「……小僧め。よかろう、ならばより惨たらしく殺してくれるわ!!」
 激昂した魔王は、猛虎に全力を以て殺すよう命じた。
 白虎はその意志を受けて咆哮し、己の五体全て――つまりその巨体で、
 結月を押しつぶし、喉笛を噛みちぎらんと全力疾走した。

 結月は、逃げない。立ち止まり、傷を抑えながら咎人の鍵を構えた。
 チャンスは一度。秒の十、あるいは百分の一。
 仄かに光を纏う。この世ならざる時空へ繋がる曙光を。
『ゴァウルルルルッ!!』
 破滅が来た。結月は自ら倒れ込み、重量の衝突をコンマゼロ秒遅らせる。
 そして、虎の腹を! 光の刃で抉り、穿いたのだ!
「ぬううっ!?」
「この体勢からじゃ、躱しようも、防ぎようもないでしょ……ッ!」
 光が虎を削ぐ。猛虎はそれを押しつぶして爪を届かせようとする。
 目前に迫る死に抗うように、光はなおも強まる!
『グルル、ゥルルルルル……!!』
「――敗けて……たまる、かッ!」
 時空をも裂く光が溢れ、床に亀裂を走らせ、三者を闇へと飲み込んだ。
 それは、少年が命を賭けても貫きたい、意地の見せた一撃だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

非在・究子
か、甲斐の虎って……虎じゃねーか。さ、猿に続いて、か……ど、動物ランドか?

た、武田の兵を、召喚しての、先制攻撃、には、まず、武田兵への、【ハッキング】による、干渉、妨害で、動きを、乱す。
乱れた所に、あえて、突貫して、かく乱。
ぎ、ギリギリまで、引きつけた、所で、ボムを、使って、数を減らして、UCを使う。
ま、魔砲少女モードに、変身したら、飛行能力を最大限に、使って、急上昇で、武田兵を、振り切って、反転からの逆落としで、速度と、斥力障壁を盾に、一気に、信長に、突貫する、ぞ。
魔砲は、タメ撃ちモードで、ギリギリまで、チャージ。斥力障壁を、纏った、体当たり、からの、ゼロ距離射撃を、ぶつけて、やる。


マルコ・トリガー
アドリブ連携歓迎

フーン、信長と信玄か
このボクが武者震いするなんてね
まあ、やれるだけやるさ

大きな虎への騎乗か
力は強大だけど小回りは効くのかな
最初は敵の行動を注視して回避に専念だ
自分の【第六感】を信じて【フェイント】をかけて移動しつつ先制攻撃を【見切り】たい
その後は【竜飛鳳舞】で立体的に移動、【2回攻撃】で牽制しつつ移動速度や攻撃範囲を頭に叩き込んで反撃の機会を伺うんだ
ボクの体力が尽きる前に一撃ぐらいは浴びせたい
いけると思ったらギリギリまで【おびき寄せ】て【スライディング】で背後に回って【零距離射撃】だ
牽制でばら撒いておいた【誘導弾】で追撃も忘れない
可能なら移動力を削ぐために虎を狙って攻撃したい


テイク・ミハイヤー
エンパイアでの戦争もこれでひと段落、って台詞は終わってからだな。
武田信玄の戦術で武田信玄に乗って武田信玄の軍団を用いて来る織田信長を倒すには……。

SPD。分かってるともさ。俺はスーパーヒーローじゃねぇ、俺一人の大活躍で大ボスを倒そうなんざ狙ってないってね。
だったらどうする?決まってる、後に続くスーパーヒーローの為にやれる事をやるだけだ!

UC。加速迎撃、来いよ白虎形態!騎乗の利ってのを活かして見せろ!
俺は織田信長を狙わない、俺が折るのはその乗騎・武田信玄の牙と爪だ!
ほら来たぜオブリビオンフォーミュラ、お前を倒すスーパーヒーローがさぁ!

アドリブ共闘大歓迎。


天元銀河・こくう
同じネコ族として、この戦場はどうにも捨て置けんな!
かの魔王と憑依の虎
ともどもギャフンと言わせてくれるわ!

武田騎馬軍団は
出現を確認しだいレガリアスシューズを駆使して距離をおく
「迷彩・スライディング」で極力敵の的にならんように動く


――ま、わたしには大した戦闘能力がないのでな
では、なぜこんな戦場くんだりまでやって来たかって?

そんなもの
貴様らに冥土の土産を持たせてやるために決まっている!

インカムマイク型サウンドウェポンで
【サウンド・オブ・パワー】を展開!
渾身のハードコア・パンクを歌いあげ
同戦場の猟兵たちの戦闘力を底上げだ!

我が『歌声』の力
心ゆくまで堪能していくが良いぞ、第六天魔王!

※連携アドリブ大歓迎




 結論から言えば、エンパイアウォーは猟兵と幕府軍の勝利に終わった。
 第六天魔王・織田信長は討たれ、サムライエンパイアは滅亡の危機を除けたのだ。

 ……と、結末を言葉にするだけならば簡単な話。
 そのために流された血、味わった苦痛、繰り返された死闘は筆舌に尽くしがたい。
 それでも、その物語を締めくくるに相応しい言葉があるとすれば、それは――。

●魔王、滅殺:臨命終時(いのちをもっておわりにのぞむ)大団円
 ――グシャンッ!!
「うおっ、なんだぁ!?」
 突然崩落した天井と、そこから降ってきた巨大な質量。
 もうもうと立ち込める土煙を前に、テイク・ミハイヤーは慄いた。
 衝撃の程度もあるが、それよりも――そこから放たれる、凄絶な殺気にだ。
「……まさか、マジかよ」
 いるのだ。おそらく、あそこに。己が滅ぼすために目指した敵。
 魔空安土城のあるじ。乱世を求めいくさに耽溺する悪の中の悪。太祖。天魔。
 ――第六天魔王、織田信長! それ以外にこのプレッシャーはありえない!
「ヤバい。いや戦いに来たけどこんないきなりは――やべぇ!!」
 直後、土煙の中から、遠雷のように鬨の声が響いてくるのが聞こえた。
 間違いない。武田騎馬軍団の召喚! 己が動けぬ代わりに配下を放つか。
 おそらくはこちらの気配に気づいたのだ。そのためだけに無数の騎馬隊を、

「ボケッとしているな、貴様!」
「おわぁっ!?」
 そこへ突如として、聞き覚えのある声がしたかと思うと、
 テイクは己の体が、誰かに高速でその場から引っ張られたことを理解した
「まったく……見知った顔がいると思えばなんと無警戒な!」
 耳をぴこぴこと揺らしつつ、意外なパワーでテイクを引っ張り出したのは、
 以前とある――すこぶるへんてこな――依頼で同道することになった少女、
 バーチャルキャラクターの天元銀河・こくうであった。
「相手はかの魔王だぞ! おまけに恐ろしい存在を憑装させていてだな」
「いやそれはわかってるって!」
「だったらさっさと逃げないか! でないと――そら、来たぞ!」
 こくうに言われ、尻もちをついていたテイクはそちらを見た。
「――ヤベぇ」
 精強なる武田騎馬軍団。その数およそ五百以上! 否、総数はもはや……。
「わかったか。わかったな? とにかく逃げるぞ! まずは距離を取る!」
「異議なし!」
「走れ!!」
 こくうがレガリアスシューズで疾走するあとを、テイクは必死に追った!

 とはいえ、敵はあの名高い騎馬隊である。それが五百以上だ。
 時空間のねじ曲がった魔空安土城は、すなわち敵にとっての本拠地である。
 廊下を走り、部屋を横断し、広間を抜けてふたりは走りに走ったが、
 いよいよその差は縮まり、放たれる矢がふたりを掠めつつあった!
「無理じゃね? 無理だよな! これぼ……俺には無理だって!!」
「ええい、騒ぐならわたしの配信中にしろ! いやされると困るが!」
「配信してんの!?」
「するかこんな状況で!!」
 などと言い争う体力すら惜しい。こくうは己の身の未熟を内心で嘆いた。
 だがそれでも、この戦場を捨て置くわけにはいかない理由があったのだ。
「むう、せめて奴らの脚をどうにかして止められれば――む」
 ぴくん、とこくうの耳が跳ねた。
「おい貴様」
「なんだよ!?」
「逆走するぞ!」
「はぁっ!?」
 なんと! こくうはテイクの手を引いて、騎馬隊のほうへ反転した! なぜ!?
 だがその理由は――突如、騎馬軍団の足並みが乱れたことで明らかとなる。

 びくり! と、軍馬たちがなにかに怯えたように痙攣し、首を振り、
 突如として騎手の意思に反して暴れ、泡を吹き、ついには騎手を振り落とす。
 まるで発狂したかのようだ。あるいは脳みそをかきむしられているかのような。
「ぐ、ぐひ、ぐひひひ」
 その状況にそぐわぬ汚らしい笑い声! 緑髪の少女の名は、非在・究子!
「ど、動物相手の、ハ、ハッキングなんて、か、簡単だぞ」
 然り。彼女は、かつてあるゲームの登場人物だったバーチャルキャラクター。
 そして電脳魔術士である彼女にかかれば、騎馬軍団へのハッキングは容易!
 とはいえ、それはユーベルコードの無効化にはならない。徐々に足並みが整う。
「そ、それにしても、あ、あいつら……つ、突っ込んだんだ、な」
 こくうが反転したのは、究子の電脳魔術の気配を感知したからである。
 それをちらっとでも見てしまった以上、放っておくのは寝覚めが悪い。
「ま、まあ、もともと、そ、そのつもりだったから……な!」
 うんうんと自分を納得させた究子は、あえて騎馬隊のもとへ突っ込んだ!
「て、ていくざっと、ゆー、ふぃ、ふぃーんど!!」
 ぺーい。投げたのは……ボムだ! シューティングゲームっぽいボム!
 それは空中で……KA-BOOOOOM!! 盛大に爆発して全てを吹っ飛ばす!
 いくらゲームめいたアイテムでも、そもそもそのゲームが元の電脳存在、
 しかも電脳魔術を使う猟兵がぶん投げれば、現実に作用するアイテムとなる!
 数を減らした騎馬隊を見、究子は頷いた。そしてユーベルコードを――。
(あ、やばい)
 陰キャとしての危機感覚が危険を識らせた。究子は咄嗟に飛び退る。
 するとそこへ、すさまじい勢いで飛びかかってきた白虎が墜ちてきたのだ!
『グァルルルルルルッ!!』
「か、甲斐の虎――って、本物の虎じゃ、ねーか!」
 再召喚された武田信玄! ということは、それにまたがるのは……!
「嘗めた真似をしおって……小娘! 貴様から斬り殺してくれる!!」
「あ、アタシかよ! さ、猿の次は、と、虎乗り回すとか、ど、動物ランドか!」
「ふざけた口を利きおって、死ねィッ!!」
 魔王は有無を言わさず飛び込んだ。が、そこへ――BLAM! 銃声!
「ぬうっ!?」
 反射的にそれ――熱線を斬り裂いた魔王は、新たな闖入者を睨んだ。
「フーン、いまのも反応するか。絶対先制ってホントなんだね」
 ヤドリガミの少年猟兵、マルコ・トリガーだ。銃の化身たるガンナー!
 平静を装って対峙してはいるものの、その実震えを押し殺すのに必死だった。
(武者震いを起こさせるなんて、さすがは魔王ってとこかな)
 内心でそう強がり、己の本体たる銃を握り直しながら、マルコは敵を睨む。
 いまのは不意打ちではない。そもそも命中させられる算段がなかった。
 絶対先制。あの幹部級怪人と同じく――否、それ以上の反応速度か。
「遊ぶならボクと遊ぼうよ。ほら、怖いの?」
「……よかろう。大言壮語の報いは受けてもらうぞ!!」
 虎が吠える。マルコは――第六感に信じ、フェイントをかけた上で横っ飛び!
 突進は避けた。しかし猛虎は爪でガリガリと床を引っ掻いて反転する!
 危険だ。立体移動して避ける隙がない!

 ……その時である!
 突如として殺気張り詰める城内に、場違いなハードコア・パンクが響いた!
「な、なんだこ、これ、よ、陽キャサウンド、すぎるだろ」
「っ……!」
 訝しむ究子、対するマルコは……己が攻撃を避けていることを理解した。
 その歌を聞いた途端、思った以上に体が軽くなったのだ。これはもしや!
「――正直に云うと、わたしは大した戦闘力もないものでな!」
 こくう! 小さな体で精一杯に胸を反らし、インカムマイクで叫ぶ!
「それでも来たのは、オブリビオン! 貴様らに冥土の土産をもたせるためだ!!」
 歌声に込められたものは――そう、勇気。
「あとはネコ族としての信念的なやつだな!」
 なんか余計な台詞があった気がしたが、とにかく彼女が勇気を振り絞ったのは事実。
 同じように勇気を以てここへ来た猟兵ならば、歌声に共感しないはずはないのだ!
「……フーン、耳障りかと思ったけど、思ったより悪くないね」
「そ、そうだ、な。て、テンション上がってきた、ぞ」
 身体の軽さに意気揚々とするふたりを、そしてこくうを、否、猟兵を魔王は睨む。
「殺せ、信玄! ひとりたりとも逃すなァッ!」
「させると思う? そんなわけないでしょ!」
 マルコが機先を制した! 鋭角的軌道で空中を連続跳躍し、さらに銃撃!
 クイックドロウめいた早業だ。虎の突進を制し、魔王の斬撃を封じる!
「こ、こうなったら、ア、アタシも本気、だ! ……ちょ、ちょっと、
 アレな音声とか、な、流れるけど、き、気にするな、よ!」
 妙なことを言いつつ、究子はユーベルコード発動。一気に魔砲少女姿に変身!
『ラジカル・エクステンション! 魔砲の力でなんでも壊決!
 ラジカルQ子、ただ今、惨状っ☆』
「…………貴様そういう趣味か?」
「それはちょっとボクも理解できないかな」
「ほ、ほっとけって、い、言っただろ!!」
 キャンセルできない仕様らしい。恥ずかしがりつつ究子は空を舞う!
 マルコと魔砲少女Q子の連続砲撃! 今度は信長がそれを避ける番だ!
「ええい、ふざけた連中め! 忌々しいッ!」
「シリアスをご希望かい? だったら俺が相手になるぜ!」
 そこで姿を現したテイク! 丸腰でちょいちょいと挑発してみせる!
「かかってこいよ魔王! 俺みたいなガキ相手にビビるか!?」
 魔王は激した。そして猛虎が突撃するが――ああ!
 見よ! テイクは素早い早業で、その牙と爪を叩き折ったのだ!
「何ぃ!?」
「へっ、驚いてる場合かよ。ほら――来るぜ!」
 空を指差すテイク。見上げる魔王。己に向けられた二つの砲口。
 歌声は響く。ヒーローに憧れる少年はにやりと嗤った。
「お前を滅ぼす――スーパーヒーローがな!!」
 そして魔王を、ふたつの閃光が包み込んだのだ!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年09月01日


挿絵イラスト