逆転発想! お前がそうめんになるんだよっ!
高さ、およそ20m、全長約1000m超を誇る巨大なウォータースライダー。
通年型海洋リゾートホテル宇宙船『アクア・アイランド』の目玉施設だ。
グネグネと入り組んだコース、高速で滑走する直線コース、左右に大きく揺れる∪字コースなどなど、奇想天外な各種コースを滑り落ちてゆくのは爽快の一言に尽きる。
しかし、その受付には、何故か『逆流しそうめん大会』の立て看板が……!?
「ねぇみんなっ! 流しそうめんをしようよっ! ただし流れるのはみんなねっ!」
グリモア猟兵の蛇塚・レモン(黄金に輝く白き蛇神オロチヒメの愛娘・f05152)が、スペースシップワールドで出回っているARホログラム広告を、グリモアベースへ集まってくれた猟兵たちへ提示してみせた。
「この通年型海洋リゾートホテル宇宙船『アクア・アイランド』の目玉施設をまるごと使った流しそうめん大会が開催されるんだよっ! でも、コースに直接そうめんを流すのは、色々と問題があるっていうから、代案としてみんなが流れることになったんだよっ!」
なるほど、全く分からねぇ!!
レモンの説明によれば、ルールは3つ。
『参加者はお箸やフォークを持ち込んでゴムボートに乗船したままコースを滑走する』
『コースの至る箇所に飛行型岡持ちドローンが待機しており、破壊してはならない』
『参加者はドローンの中のそうめんを獲得して、振り落とされずにゴールすること』
無理では?
「無理じゃないよっ! 猟兵のみんなの知恵と勇気があれば、大量のそうめんをゲットできるはずだからっ! 主催者からは、3つのルールを守れば手段は問わないって、ここに書いてあるから、作戦を立てて是非挑戦してほしいなっ!」
つまり、馬鹿正直に箸やフォークで岡持ちドローンの中のそうめんを掬う必要はない、という意味なのだろう。百戦錬磨の猟兵ならではの確保方法を編み出してもらいたい。
なお、獲得したそうめんは、プールサイドで堪能できる。
各種薬味も揃っているので、気軽に係員へ申し出てほしい。
「あたいは基本、みんなの応援するつもりだけど、声を掛けてもらえばご一緒させてもらおうかなっ? あ、でも……、そうめんゲットの貢献は出来ないかも……。あたい、絶叫系アトラクション、苦手なんだよね……。怖くて泣いちゃうかも……」
目線を逸らすグリモア猟兵は、早速、猟兵たちを転送してゆくのだった。
七転 十五起
このシナリオは【日常】の章のみでオブリビオンとの戦闘が発生しないため、獲得EXP・WPが少なめとなります。
七転十五起、なぎてんはねおきです。
そしてネタ依頼です、繰り返します、ネタ依頼です。
面白カッコよくそうめんを堪能していただければ幸いです。
ユーベルコードや技能を駆使して、そうめんを大量獲得しましょう!
👑までの達成数が少なめのなので、誰かとお誘い合わせの際にはなるべく同時にプレイングを送信していただきますようお願い致します。迷子防止にお相手様の名前の明記も併せてお願い致します。
レモンにお声を掛けていただけた場合、原則は付添いとしてレモンを描写します。
(描写の主役はお客様のキャラクターです)
オープニングでも言及している通り、そうめんゲットの戦力にはカウントできませんのでご了承くださいませ。
それでは、まさかの逆そうめん流し、楽しんでくださいませ!
第1章 日常
『猟兵達の夏休み』
|
POW : 海で思いっきり遊ぶ
SPD : 釣りや素潜りに勤しむ
WIZ : 砂浜でセンスを発揮する
|
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
これはまた、面白そうなイベントですねぇ。
『素麺の容器』は決まっていない様ですし、零れ辛い『バケツ状の器』にしますぅ。
『ゴムボート』は軽めの物を選んだ上でロープで四隅を結び、一点で支えられる様にしておきますねぇ。
開始後、『岡持ち』に近づいたら【指定UC】を使用、流されない様ボートごと水面から浮き上がり、『素麺』を回収して水面に降りますぅ。
『コースアウト』関連のルールは有りませんし、『軽めのゴムボート+素麺』の重さなら、或る程度まで[怪力]で支えられるでしょう。
以降繰返し、持てなくなりそうなら、後はゴールに専念しますぅ。
無事にゴール出来ましたら、ゆっくりといただきますねぇ。
通年型海洋リゾートホテル宇宙船『アクア・アイランド』の目玉施設、高さ約20m、全長約1000m超を誇る巨大なウォータースライダー。
そのコース全体を使っての逆・流しそうめん大会がいよいよ開催された。
まず一番乗りでやってきたのは夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)だ。
「これはまた、面白そうなイベントですねぇ」
牛柄の水着から零れそうな夢ヶ枝の豊満な肉体が、歩く度に上下に揺れる。
その圧倒的な迫力に、係員も思わず息を呑む。
「そうめんの容器は規定はないんですよねぇ?」
夢ヶ枝の問い掛けに、係員はハッと我に返って回答した。
「アッハイ! 自由な物を使用していただいて構いません!」
「でしたら、これで大丈夫でしょうかぁ?」
夢ヶ枝が抱えていたバケツを差し出した。正確にはバケツのように大きい透明のプラスティック製容器だ。
「これなら零れづらいですねぇ。それと、ゴムボートは此方で持参したので、これを使っていいでしょうかぁ?」
なんと夢ヶ枝はゴムボートも自分専用の物を持ち込んできた。畳まれている状態なので、今から膨らませるのだろう。
確かに、ルールにはゴムボートの種類について何も言及されていなかった。
挑戦者の扱いやすいゴムボートを持ち込むことは違反でないし、むしろ戦術的に正解だ。
「……ど、どうぞ! ポンプ、使いますか?」
「ありがとうございますぅ。お借りしますぅ」
夢ヶ枝がポンプを踏む度、彼女の豊満な部位がバウンドするのを、係員は目のやり場に困り、両眼を瞑るほかなかった。
「それでは、行ってきますよぉ」
ゴムボートの四隅をロープで結わって固定することで、一点で支えられる様に調整しておく。
かなり事前に研究をしてきたようだ。何が何でもそうめんを獲得しようという気迫が違う。
夢ヶ枝はスライダーへそっと前にゴムボートを滑らせてゆっくりと進みだした。
最初はなだらかな下り坂、しかし徐々に加速してゆくゴムボート。
「これは思っていたよりも疾いですぅ~!」
身体が浮き上がるようなスリルを味わいながら、夢ヶ枝はキャッキャとはしゃぐ余裕を見せる。
トンネルを抜けて最初のカーブ差し掛かると、視えてきたのは空飛ぶ5台の岡持ちドローン!
ここで夢ヶ枝が動いた。
「《大いなる豊饒の女神》の使徒の名に於いて、その証たる衣を此処に」
ユーベルコード『豊乳女神の加護・白翼衣(チチガミサマノカゴ・ハクヨクノコロモ)』を発動!
全身を体型と美貌を引き立たせる乳白色のオーラで覆い、自身の発育の良さと変換可能な余剰カロリーに比例した戦闘力増強を図る。
更に、このユーベルコードの最大の特徴は、飛翔能力を得ることである。
「えいっ! ロープで結わえてますから、ボートごと空を飛ぶことが出来ますぅ」
まさかのゴムボート・フライ・ハイ!
軽めのゴムボートを括ったロープを脚で引っ掛けて飛び上がった夢ヶ枝は、空を飛びながら片手でおかもちの中のそうめんんを回収し、もう片方のバケツ型容器に移し替えてゆく。
そのまま他の4つの岡持ちドローンの中身を回収すると、静かにゴムボートを着水させて再び滑走し始めた。
「コースアウトについてもルールに有りませんでしたし、この程度の重さなら、私の怪力で充分支えられますぅ」
まさに頭脳プレイ。創意工夫でドローンからそうめんを総取りしてゆく!
滑走しては宙に浮いて岡持ちドローンを追い掛けてはコースに戻って着水、このルーティンを繰り返すこと約5分。
「そろそろいっぱいでしょうか……?」
容器には並々と溜め込まれたそうめんが、コースに揺られて溢れ出しそうになっていた。
「では、そろそろゴールに専念しますぅ」
そうめんが零れないように最新の注意を払いながら、最後の急斜面で水飛沫を上げながら夢ヶ枝はゴールしていった。
完走後は、プールサイドでそうめんに舌鼓。
「ちゅるちゅるで美味しいですねぇ」
先程のユーベルコードはカロリーを消費するので、自然と夢ヶ枝は空腹になってしまう。
だが、その空腹もスパイスとなって、そうめんの味を引き立てる。
「一汗かいた後の、そうめんとお出汁の味は格別ですぅ」
夢ヶ枝は幸せそうに大量のそうめんを延々と啜って満足気に笑みを浮かべるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
フーカ・シャークライト
フカカカカ! オレだぜ! フーカちゃんだ!
ゴムボートなんかよりオレが泳いだ方がよっぽど速ぇってのに、七面倒なルールだぜ!
だったら、コブンザメ共を呼んでボートの推進力代わりにするぜ!
ドローンの破壊が禁止ってのも面倒だが、ドローンならハッキングが有効なはずだな!?
フカカカカカカカ! これでそうめん大量ゲットだぜ!!
◆行動
ユーベルコード『シャークビット』を使用し、小判鮫型のメカの吸盤部分をゴムボートにくっつけることでボートの推進力として利用するとともに、ボートの進行方向をコントロールする。
【ハッキング】を使用して岡持ちドローンを操作し、ドローンごと中のそうめんをいただく。
次の挑戦者は、裸と見紛うような装いのウォーマシン、フーカ・シャークライト(ウォーマシンの鎧装騎兵・f21308)の登場だ。
「フカカカカ! オレだぜ! フーカちゃんだ! ゴムボートなんかよりオレが泳いだ方がよっぽど速ぇってのに、七面倒なルールだぜ!」
係員の背中をバシバシ叩きながらフカカカカと高笑い。
「だったら、コブンザメ共を呼んでボートの推進力代わりにするぜ! 行け! コブンザメ共ッ!」
早速フーカはユーベルコード『シャークビット』を発動させると、係員が用意したゴムボートに引っ付いてゆく。小型メカサメの吸盤でくっついているのだ。
「これでこのゴムボートは加速もさることながら、移動する方向も自在だぜ! つまり、水流に逆らって泳ぐことも可能!」
これはドローンの中身を回収する際に非常に有効なギミックになり得るだろう。
だが、フーカは自分で言ったこのギミックを自ら却下した。
「だが! フーカちゃんはスピードを求める! 最速でこのコースを駆け巡ってやるぜ! 勿論、そうめんは総取りだぜ!」
そう宣言してフーカはコブンザメが取り付いたゴムボートに乗り込んだ。
コブンザメからブースターが噴射されるとまさにロケットスタート!
最初のなだらかな下りを1秒あまりで駆け下りてゆく!
「フカカカカ! いいぞ、最速はこのフーカちゃんだ! む、早速、岡持ちドローンを発見! みていろ!?」
空中に浮かぶARキーボードを激しくタップし始めるフーカ。
岡持ちドローンはなんとスルー!
「フカカカカ! やはりセキュリティが甘いぜ! ドローンひとつひとつにプロテクトを掛けておくべきだったな?」
コースアウトギリギリのラインを最大速度で突っ切ってゆくフーカは、一切ドローンの中身に目もくれずにARキーボードを懸命にタイピング!
「よし、これで、ジ・エンドだぜ!」
ターンッとカッコよくエンターキーをフーカが押した瞬間、異変が起き始めた。
岡持ちドローンたちが次第にフーカの後ろを追従し始め、その数を徐々に増やし始めているではないか!
「フカカカカ! 全てのドローンをハッキング成功だぜ! 取り逃したドローンもフーカちゃんのもとに自動で追尾してくる! これでそうめん総取り確定! あとは最速で翔け抜けるぜ!」
コブンザメをスラスターとして機能させ、左右のコース取りを完璧に行ってゆくフーカ。
スパイラル、左右に揺れるハーフパイプコース、そして、最後の急斜面の加速!
「いっけぇぇぇぇっ!」
フーカは此処ぞとばかりにコブンザメの推進力を最大化!
すると、
どうなったか?
「ちょっ、うわぁぁぁぁっ!?」
最後の急斜面で加速したフーカは、コースアウトしてそのまま空へ飛んでプールを飛び超えていった。
着水こそ出来なかったが最速で飛び出したおかげてK点超えをマーク、別の記録でフーカは栄冠に輝いた。
「いや、ジャンプの飛距離を競ってたわけじゃねぇんだけど!?」
趣旨が変わってしまったが、総取りしたそうめんを心ゆくまで堪能するフーカの顔は、満面の笑みを湛えていた。
「フカカカカ! 夏はそうめんが美味いぜ!!」
大成功
🔵🔵🔵
法月・フェリス
【海賊船】
たくさん遊んで、お腹いっぱいそうめんを食べようね。ちゃんとおつゆと薬味も持ってきたよ。
なおナナ君がそうめんを回収したドローンは一時的に制御をハッキングして、ぼくが責任を持って元の場所に返します。
志蓮が連れてきた祈里君をゴムボートの一番後ろで捕まえておく。
ちゃんとぎゅうしてるから安心してね。
『空中戦』で鍛えた姿勢制御で完璧にバランスを取るよ。
『Virtual net goggle』でドローンの位置、そうめんの置かれ方、加速度、ブルース君のテンションを加味してタイミングと取り方を演算し、志蓮とアリサ君にそれを伝える。
やることは多いけど、どれもぼくにしたら一瞬の作業。涼しいスリルを楽しもう
チャンネル・セブン
【海賊船】
フフフ、これは楽しくなって来マシタね!
(ボートの縁に片足を乗せて、サングラスをくいっくいっ)
「アハハハハハハッ!」
スピード!スリル!最高ですネ!
「ナナちゃんにお任せデスヨ!」
大きな釣り竿で飛んで行ったアリサをフィッシオンですヨ!
「さぁ、この調子デ次も行きまショウ!キャッチアンドリリースですヨ!」
ソウメンは回収して、アリサをもう一度ポーンと
飛ばしておいたドローンで記念撮影デスね!
ぶいっ!
アドリブも歓迎デスよ!
朝日奈・祈里
【海賊船】
水色のフレアの効いたワンピースタイプの水着
星が描かれてるんだ
初めてのウォータースライダーだ!
…は?この水流に、不安定なゴムボートを流すのか?曲がりくねってるぞ?傾斜から計算して…
待て!落ち着け!非合理的だ!
液体とはそもそも(略
あ゛ー!嫌ー!
手足をばたつかせ必死の抵抗虚しく…
ちゃ、ちゃんとぎゅうしててな…
志蓮とアリサに両手を伸ばし
触れてくれてるフェリスの3人に身体強化の魔法をかける
動体視力と反応速度のアップ
オーダー:ピンクの素麺
頼んだぞ
滑り出せばぎゃあぎゃあ喚く
志蓮へ触れている手をフェリスの腕にしがみつかせ
志蓮は足蹴にして魔法を流し続けよう
待て落ち着け!ぎゃあ
終われば楽しくて
もう一回!
ブルース・カルカロドン
【海賊船】
ボクはゴムボートの操縦をするとしよう。
ボートの前方で寝そべり、両胸ビレの先をボートの両脇の外に出す。下半身をタコ足に変え、内の四本で手摺を掴んで身体を固定。
「ハッシン!」
カーブの際、胸ビレをUCでジェットエネルギーにしてその噴射でボートを操縦する。
転覆しそうになったら、背ビレをジェットエネルギーにして抑えつける。
「これでコースアウトとテンプクだけはゼッタイにシナイ」
結果として加速するし、背後から悲鳴が聞こえるけど、大丈夫だ。
ボクは仲間の力を信じ、ジェットエネルギーを噴射する!
あ、でも、誰かが落ちたら、余ってるタコ足を伸ばして拾いにかかるよ。頼れる仲間にもミスはあるからね。仕方ないね。
アリサ・マーキュリー
【海賊船】
ひぇぇこのスライダー結構高っ、怖っ。
しかも長い…。
うぅ、これに乗るのか…意外と狭いし。
っては?加そkひやぁぁあぁぁ!!!!速い速い止めて止めて!!!
何やってんのバカなの!?そんな信頼いらないからぁ!
祈里とフェリスの補助を得て、見切って居合の要領で力一杯跳んで素麺ごとドローンをゲットする
えぇ…、この速さじゃ無理だって…いややるけどぉ…、うぅ、信じるからね?
…取ったけど、これ、この後どうすればいいんだろ。
何も考えてなかあぁぁぁぁ…!(落下)…ぁぁ?あ、ありがとう二人とも…助かった…!
これで取り敢えずそうめんを食べることは出来るよ…はぁ、疲れた。
あとはシレンに期待かな。
法月・志蓮
【海賊船】
基本は名前呼び。フェリスはフェリと呼ぶ
全長1kmのウォータースライダーとはまたデカいな!あとうるせえぞクソガキ。これも経験だ経験
テンション高めに笑いながら祈里を小脇に抱えて連行し、ゴムボートにぺいっと捨てる
さて。全員が食える分くらいは取りたいなー、っと
ゴムボートの脇の方で動体視力を活かして見切り、早業で近場のそうめんを取るスタンダードな攻略法
祈里の強化とフェリの指示があるし、これでも割りといけるだろ
……そう思っていた時期もありました
ブルース!このゴムボートにシートベルト無えんだよ!危ないしそうめん取りづれえ!!
と、文句を言いながらフェリとついでに他の連中を時折支えつつ頑張って取る
君は……『しゃにむにー』という旅団を知っているだろうか?
猟兵向け多目的遊戯船、海賊幽霊船『シャニムニー』を根城とする旅団である。
だが実情はワニを殴ったり、セミファイナルごっこをしたり、今頃になって夏休みの宿題に追われていたりと、愉快な毎日を過ごしているメンバーが集う旅団だ。
そんな『しゃにむにー』から、今回、6名が参戦してくれたぞ!
参加メンバー、入場ッ!
「たくさん遊んで、お腹いっぱいそうめんを食べようね。ちゃんとおつゆと薬味も持ってきたよ」
ウェディング風水着は実在したッ!
妖艶な美ボディに研鑽を重ね、黒い花嫁姿が降臨したッ!
新妻ッ! 法月・フェリス(ムーンドロップ・スポッチャー・f02380)だーッ!!
「フフフ、これは楽しくなって来マシタね!」
自身の配信チャンネル『7チャンネル』を知らしめたい!!
ボートの縁に片足を乗せて、サングラスをくいっくいっと上げて余裕綽々ッ!
レイヤードビキニとマゼンダピンクのツインテール!
チャンネル・セブン(バーチャルキャラクターのスターライダー・f03821)だッ!
「ぼくさま、初めてのウォータースライダーだ!」
勢いよく飛び出したのは、水色のフレアの効いたワンピースタイプの星柄水着!
特に理由はないッ! 天才が凄いのは当たりまえ!!
朝日奈・祈里(天才魔法使い・f21545)が来てくれたーッ!
「ボクは素麺ヲ取ルノハ無理ダガ、ボートの舵取リハ、任セテクレ」
デカァァァァァいッ説明不要!
285.3cm! サメ! バイオモンスターの力持ち、ブルース・カルカロドン(全米が恐怖した史上最強のモンスター・f21590)ッ!!
「ひぇぇこのスライダー結構高っ、怖っ! しかも長い……って、こんな不安定なものに乗るのか……。意外と狭いし……」
H&F社のオリジナルサマードリンクを飲み終えた彼女に死角はない……筈ッ!
アリサ・マーキュリー(God's in his heaven・f01846)、ハイビスカス柄のブルーの水着で参戦だッ!
「って、シレンはどこ?」
アリサが周りを見渡すが、何処にもいない……ッッ!
どーやら、もう1名は到着が遅れている様ですが、到着次第ッ皆様にご紹介致しますッッ!
「待ってくれ! どうして俺だけ階段で移動なんだ……!? ゼェゼェ……!」
若き新婚が帰ってきたッ! どこへ行っていたンだッ、フェリスの旦那ッッ!
仲間達は君を待っていたッッッ! 白いパーカーにアクアブルーの水着、そして鍛え上げたシックスパックが爽やか系男気MAX! 法月・志蓮(スナイプ・シューター・f02407)の登場だーッ!!
……という事で、ここからは平常のテンションで進行してゆこう。
ちなみに、志蓮だけ高さ約20mの施設を階段で駆け上がってきたかというと、単純にエレベーターが満員だったからである。
「地の文=サンはお疲れ様だ!」
「祈里君は一体誰と話しているのかな?」
虚空へ向けて声を掛けた朝日奈にフェリスが苦笑い。
「翼の君……じゃなかった、リズ、天才の会話は時に次元を超える……」
「いやそれアウトだからね?」
フェリスの冷静なツッコミで朝日奈は我に返る。
「ぼくさまは正気に戻った」
正気に戻ったそうです。
だが、そのおかげで、朝日奈の天才的頭脳がウォータースライダーがどういうものかを一瞬で把握してしまった。
「……待て? この水流に、不安定なゴムボートを流すのか? 曲がりくねってるぞ? 傾斜から計算して……!? 待て! 落ち着け! こんなものは非合理的だ! 液体とはそもそも」
「うるせえぞクソガキ。これも経験だ経験! てか、全長1kmのウォータースライダーとはまたデカいなー! みんな、楽しんでいこうー!」
テンション高めに笑いながら祈里を小脇に抱えて連行した志蓮。
泣き叫ぶ朝日奈が暴れる!
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! 嫌゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
天才、大号泣である。手足をばたつかせ必死の抵抗!
しかし志蓮、容赦なく朝日奈をゴムボートへシューッ!
それをサメが無慈悲にタコ足でキャッチしてゴムボートへINッ!
超ッエキサイティン!!
「もう何でも『アリ』デスネ! ナナちゃんも超ッエキサイティンッデス!」
「えっと、私も泣いていい? 高い怖い長い怖い……」
アリサは顔が真っ青だ。素麺どころではなくなってきている。
ブルースは会話に入りたそうにこっちを見ている。
ここでフェリスが他の5人へ向けて提案を行った。
「ねえ、ここはチームワークで素麺ゲットしていこう。ぼくは観測手にして電脳魔術士。このウォータースライダーに配置されているドローンの位置、そうめんの置かれ方、加速度、ブルース君のテンションを加味してタイミングと取り方を演算し、志蓮とアリサ君にそれを伝えようと思ってるよ」
「なら、俺はフェリの指示に従ってそうめんゲットといくか。ゴムボートの脇の方で動体視力を活かして見切り、早業で近場のそうめんを取るスタンダードな攻略法ってところだな」
「それなら、ぼくさまにいい考えがある」
朝日奈がゴムボートの上で震えながら声を張り上げた。
「ぼくさまの強化魔術で、リズと黒髪の少年を強化する。これで動体視力と反応速度をアップできる。ただ、2人には対価を支払ってほしい」
朝日奈は両手を前に差し出すように開いて、フェリスと志蓮に懇願した。
「ちゃ、ちゃんとぎゅうしててな……?」
普段は生意気な態度ばかりの朝日奈、このときばかりは上目遣いで弱々しく2人に庇護を求めた。
日頃の態度とのギャップでズキュンッと心が動かされた法月夫妻、まるで我が子を守るように朝日奈を挟み、ゴムボートの一番後ろへ座らせた。
「ちゃんとぎゅうしてるから安心してね」
「しっかり捕まってろよ、祈里?」
「それと、もうひとつ。黒髪の少年よ……」
朝日奈は志蓮へ視線を向けて瞳を潤ませた。
「……スナイパーの技能を活かしてピンクの素麺を取って。頼んだぞ?」
「色付きそうめんは任せろ確実に取るわ」
志蓮は食い気味に承諾した。
「ボクはゴムボートの操縦ヲスルトシヨウ」
ブルースはゴムボートの前で寝そべり、両胸ビレの先をボートの両脇の外に出す。頭と胸元だけはみ出ているので、サメ型の船首がゴムボートへ付属したみたいでとてもイカつい。
更に、尾ひれを8本のタコの足へ変化させると、4本をゴムボートの手すりに固定してみせた。
巨大サメがゴムボートの前方に横たわったため、残りスペースが窮屈になってしまった。
やむなく、セブンとアリサは空いたスペースに潜り込むと、本当に寿司詰め状態だ。
「ナナちゃんは、ドローンを釣り竿でフィッシングですヨ!」
「それじゃあ、私は見切って居合の要領で力一杯跳んで素麺ごとドローンをゲットすればいいの? というか落ちない?」
「落ちたら、すかさず釣り上げますネ!」
「あ、ありがとう……」
釣り竿で人間が釣り上げられるかは甚だ疑問だが、仲間を信じるほかないアリサはセブンへ笑顔で頷く。
「ナナ君がそうめんを回収したドローンは一時的に制御をハッキングして、ぼくが責任を持って元の場所に返そう。即興にしてはなかなか噛み合ってるんじゃないかな?」
「まぁ、祈里の強化とフェリの指示があるし、これでも割りといけるだろ。さて。全員が食える分くらいは取りたいなー、っと」
志蓮はブルースへ出発の合図を出した。
すると、ブルースの胸ビレが突如、ジェットエネルギーに変異!
それを推進力として、ゴムボートは一気にロケットスタートを切った!
「ハッシン!」
前に進むと、フェリスはARキーボードを出現させて高速演算を開始した。
「さぁ、涼しいスリルを楽しもう」
――前略、むにーの皆さん。
――俺たちの作戦が絶対に上手くいくなんて、思っていた時期もありました。
――実際はどうかって?
――ご覧の有様だよ!!!
志蓮は内心で来れなかった旅団メンバーへ独白していた。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
「てめぇクソガキ! 俺を足蹴にすんじゃねぇ、狭いんだから落ちるだろ!」
「こ゛わ゛い゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!」
フェリスの腕にしがみつき、志蓮の顔面をげしげしと幼女特有の柔らかな足裏で蹴りつける朝日奈は、初めてのウォータースライダーに恐怖していた。
泣き叫びながらも朝日奈は強化魔術を怠らず、フェリスに触れるほど、志蓮を蹴飛ばすほど無意識で魔力を流し込んでゆくのだ。さすが天才と呼ばれるだけの技量は持ち合わせているということか。
だが、朝日奈が泣き叫ぶ直接の原因を生んでいるのは、前方のサメことブルースだった。
「加速! 加速ーッ! 胸ビレのジェット出力ヲ調整! コーナリングは正確ニ! 転覆シソウニナッタラ、背ビレをジェット化シテ抑エツケル! これでコースアウトとテンプクだけはゼッタイにシナイ! ボクは仲間ノチカラヲ信ジル!」
あろうことか、テンション上がりすぎてコース内を全速力で滑走してゆくブルース!
「ブルース! このゴムボートにシートベルト無えんだよ! 危ないしそうめん取りづれえ!!」
これではそうめんが取れない!
だが加速することこそ、ブルースは正しいと考える。
悲鳴が聞こえるけど、それでも彼は仲間を信じて更に加速する。
「アハハハハハハッ! スピード! スリル! 最高ですネ!」
「っては? 加そkひやぁぁあぁぁ!!!! 速い速い止めて止めて!!! 何やってんのバカなの!? そんな信頼いらないからぁ!」
恐慌状態に陥ったアリサはブルースの後頭部を殴打! 割とガチで!!
「アバッ!?」
ブルースは血を吐いて気絶してしまった。
「……」
サメは水面に顔を付けたままコースを滑走している。
メンバーは一斉にアリサを見詰める。
「えっ、待って? 私のせい!? 止めてって言ったけど本当に舵取り役が止まったらきゃあっ!?」
左右に揺れるゴムボートにしがみつきながら、涙目で狼狽えるアリサ。
何を思ったのか、再び拳を振り上げるアリサ!
彼女は錯乱している!
「ちょっと起きてよぉ!?(ドスッ)ごめんなさい!(ドスッ)私が殴ったのが悪かったからぁ!(ドスッ)このままだと素麺ひとつも取れずに帰還することになるじゃない!? ねぇ、起きなさいよっ!(ドスッ)」
先程よりも腰が入ったアリサのがブルースの後頭部を何度も強打!
「アバッアバッ!? アババババーッ!?」
ブルースは再起動!
胸ビレをユーベルコード『ジェットミューテーション』で軌道修正!
ゴムボートの態勢が戻った!
「よかった! むにーの空間では割と死んでもすぐ復活するけど、外ではそうはいかないからね。気を付けないと」
フェリスの言葉に、メンバーはなんとも言えない顔をしてしまう。
「それよりも岡持ちドローンが前方から3つ……来るよ、志蓮!」
電脳魔術を『Virtual net goggle』によって行使、このウォータースライダー全域のドローンの配置はすでに全て彼女の手中に落ちている。
「よし! まずは3つゲットだ! ってだから蹴るんじゃねぇよ祈里!?」
「こ゛め゛ん゛な゛さ゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!?」
志蓮が岡持ちの扉を開けて中のそうめんを容器ごとまるごと引っこ抜いて回収。
箸を持てとルールにあれど、実際に箸を使う必要はない。
故に志蓮は中の容器ごと回収すると、持ち込んだバケツに中身を移した。
強化魔術、さまさまである。
「次は2時の方向、数4、距離50m!」
フェリスのナビに今度は志蓮はアリサへ向かって叫んだ。
「頼む、そっち側は俺の手が届かない! アリス、ジャンプしてドローンを引き摺り降ろすんだ!」
「えぇ……、この速さじゃ無理だって……いや、やるけどぉ……! うぅ、信じるからね?」
アリサは志蓮に言われるがまま、手近な岡持ちドローンへ飛び付いた!
破壊してはNGなので、身長にドローンへしがみつくとゴムボートに飛び移ろうとして……置いてゆかれた。
「ええっ!? なんでっ!?」
ボートの速度のほうが、アリサが飛び移った速度よりも単純に早かったのだ。
岡持ちドローンは揚力が有り、勢いよくしがみついて落下させようとしても若干のタイムラグが発生する。
故に、ゴムボートから落ちる。
「ちょっと待って下さいよぉ!」
アリサはそのまま岡持ちドローンを上に掲げたまま身ひとつで滑走!
「仕方がないなぁ」
フェリスはアリサが持つ岡持ちドローンをハッキング、揚力用ファンの出力を上げ、推進力に応用! これによりなんとかゴムボートに追い付き、必死にアリサは這い上がってきた。
「か……監視カメラがないですし、これはセーフ! ルール的にセーフです!」
何とかアリサは自分用のそうめんを確保することに成功した。
一方、セブンは釣り竿でドローンを引っ掛けてはゴムボートに手繰り寄せ、中身を抜いては志蓮に手渡してドローンをリリースしていた。
「さぁ、この調子デ次も行きまショウ! キャッチアンドリリースですヨ!」
「ドローン返却、そして次は螺旋状のコースに連続して5つ! あと10秒後に遭遇!」
素早くARキーボードをタイピングするフェリス!
この程度の演算は、彼女にとって一瞬のことである。
「みんな、行くぞ!」
志蓮がアリサとセブンに声を掛ける。
直後、ゴムボートは上から下へ螺旋階段状のコースへ突入!
ミキサーめいて遠心力に引っ張られながらも、しゃにむにーのメンバーは奮戦!
「そこだァッ!!」
幼女に足蹴にされているからこそ反応速度が向上するという、傍から見たら誤解されない状況でのパワーアップで、2個の岡持ちドローンからそうめんを回収してみせる志蓮。
「それっ! オカモチごと一本釣りですヨ!」
もうそれはユーベルコードにするべきなんじゃないかな、なんて邪推すべきな巧みさで釣り竿を操り、ドローンごとそうめんを回収するのはセブン!
残り1体の岡持ちドローンが彼らの前へ出現した時、泣きじゃくっていた朝日奈が突如、目を輝かせ始めた。
「あれは……! ピンクのそうめん!!」
彼女が指差した岡持ちドローンの塗装は、あからさまにピンクだった。
中身が透けて見える仕様になっており、中のそうめん全部がピンクだった。
「おいマジか? レアであるピンクのそうめんだけを使ったそうめんとか、贅沢にもほどがあるだろう?」
なんていう無駄な選別作業なんだろう。
志蓮でなくても、目の前の存在の意義に首を傾げざるを得ない。
だが、朝日奈にとっては夢の塊が向こうから飛来してきた絶好のチャンス、逃すわけにはいかない!
「あれを……絶対逃すなっ!!」
「任せ、っておいいいっブルース! 今加速するときじゃねぇ!?」
「ピンクドローン、速イ……速度ヲ上ゲナイト!」
確かに、他のドローンよりも無駄に機敏な動きで空中を駆け巡っている。
「ちょっと……、この速度で飛び付くなんて無理ぃ……!」
アリサは完全に怖気付いてしまう。
ここで志蓮が動いた。
「祈里! 俺に魔力を回せ! 絶対にとってやる!」
「やるのだ、黒髪の少年! この天才が命じる!」
朝日奈が踏み付けるように志蓮へ魔力供給すれば、彼はドローンの軌道がゆっくりになって視えてくる。
「捉えた、そこだ!」
志蓮が手を伸ばそうと立ち上がった瞬間、彼は叫んだ。
「フェリ! 今こそ『手をつなぐ』ときだ! 俺に力を貸してくれ!」
差し出された手に光る結婚指輪!
フェリはノータイムで夫の手を取った!
空中戦で鍛えた姿勢制御の賜物か、激しく揺れるゴムボートでもフェリだけは全く姿勢が崩れることがなかった。
「志蓮、負けないで……!」
「うおお……っ!! 妻の愛を楽しんでいない対象物の動きを6分の1になるユーベルコードっぽい何がで! 俺は! ピンクそうめんを、獲る!!」
オカモチ開ける! そうめんキャッチ! バケツに注ぎ、器を返却!
妻の愛と志蓮の脳内物質が多量分泌された結果、明鏡止水の境地で目的を果たすことに成功した!
「やった……! フェリ、祈里! 俺は、やったぞ……!」
「でかした! でかしたけど速い怖いあ゛あ゛あ゛あ゛!?」
また恐怖がぶり返して泣きじゃくる朝日奈を、フェリは母親のごとく優しく手を繋いであやし始める。
「大丈夫、もうすぐ終わるからね。ぼくやみんなが付いてるから」
「う゛う゛う゛う゛う゛う゛リ゛ス゛う゛う゛う゛!!」
「……そんなやり取りを見せ付けられたら、私も動くしかないじゃないですか!」
アリサが覚悟を決めた数瞬、フェリスが怪訝な表情で声を上げた。
「なんか、デカいのが来るよ?」
2倍の大きさのオカモチドローンが彼らの目の前に出現する。
なんだか『ボーナス重点な』と書かれた毛書体が怪しさ満載である。
「私が行きます……! この加速度なら……大丈夫!」
アリサも仲間を信じ、意を決してゴムボートを蹴って跳躍!
巨大ドローンへしがみついた!
「……取ったけど、これ、この後どうすればいいんだろって、何も考えてなかあぁぁぁぁ……!」
ドローンの積載量がオーバーしたのか、アリサもろとも真っ逆さまに落下してゆく!
このままでは真下のプールに叩き付けられて大惨事になってしまう!
だが、アリサに差し伸べられる釣り竿と……タコの触腕!
「ナナちゃんにお任せデスヨ! この釣り竿で飛んでいったアリサをフィッシオンですヨ!」
「頼レル仲間ニモ、ミスはアルカラネ。仕方ナイネ」
セブンとブルースの機転により、アリサの命は救助された!
「あ、ありがとう二人とも……助かった……!」
「ソウメン回収完了ですネ! それでは、いってらっしゃいですヨ、アリサ!」
「え、ちょ、うそぉぉぉ!?」
アリサの水着に付いたままの釣り針をセブンは振るうと、アリサをルアーのように放り投げてドローンの回収に向かわせる。
南無三!
そのままコースはクライマックスの直滑降ゾーンへ突入。
ほぼ垂直で落ちるゴムボートにしがみつく面々!
ブルースは転覆防止に背ビレをジェットエネルギーに変換!
胸元を釣り針で連結されたアリサは水着を抑えたまま勢いよくコースから射出され、真顔かつキレイなフォームでゴムボートの真上を滑空していた。
「待て! 落ち着け! 落ちる! ぎゃぁっ!!」
朝日奈の悲鳴とともに、大量の水飛沫をかき分けるゴムボート!
そして、その真上からアリサがドボンッと更に水飛沫を上げて着水するのだった。
「これで取り敢えずそうめんを食べることは出来るよ……はぁ、疲れた」
胸元の刻印付近に引っかかった釣り針を外すのに悪戦闘苦闘しながらアリサは言葉を零した。
だが、彼女の言う通り、全員分が食べるには充分すぎるそうめんを獲得することが出来た。
「早速、おつゆと薬味で食べようね」
フェリスが全員分の器にめんつゆを注ぎ、ゴマやネギやワサビなどの各種薬味を用意した。
「1kmって最初は長いと思っていたが、ドタバタ騒ぎで一瞬だったなー!」
ずぶ濡れの志蓮が大笑いしながらスライダーのコースを見上げていた。
「なぁ、もう1回! 食べ終わったらもう1回だ!」
終わってみれば、楽しさが勝った朝日奈。
ウォータースライダー初体験は大成功である。
「ソウメン、食ベル! ヒレジャ無理ダケド、タコノ腕ガアル!」
「サメじゃなくてもはやタコじゃねーか!」
ブルースがタコ足を生やしてそうめんをすする様に朝日奈のツッコミが冴え渡る。
「はーい! ナナちゃん、実は最初から最後まで『グッドナイス・ブレイヴァー』で配信していましたデスヨ! 公開して30分も経たずに再生回数がミリオン突破デス!」
撮影用ドローンを手元に呼び寄せたセブンは破顔した。今も動画再生数がうなぎのぼり、急上昇ランキング堂々の1位なんだとか。
「皆さん! 記念に写真を撮りましょうデス! あのドローンへ向かってー! ハイ、チーズ!! デス!!」
6人がそうめんを頬張りながらポーズを取ると、ドローンがこの瞬間を撮影して画像テータとして切り取った。
こうして、しゃにむにーメンバーの今年の夏の思い出が、またひとつ増えた。
大成功
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ウルフシャ・オーゲツ
大人気!
夏には素麺。
流すことでさらに涼しく!
流れるのはこちらとな?
レモンちゃんが見ておる、気合いを入れねば。
ドローンを破壊してはいけない、ならばまるごと回収してしまえば……!
レギュレーション違反じゃと!?
かくなるうえは困ったときのとりあえず超奥義!
流れる素麺特化型のうち召喚じゃあ!
きっとゴムボートでバランスをとってサーフィンができるようなうちが現れるに違いない!
コースを縦横無尽に飛び回り得意の箸捌きでソーメンを根こそぎゲットするのじゃ!
そしてきっとレモンちゃんからうるふしゃちゃんかっこいーとなって……
む?
レモンちゃんのことを考えておったら対レモンちゃん特化型のうちに!?
※NG無し何事もOKです
「なんか大人気!?」
猟兵達は大はしゃぎする巨大ウォータースライダーを真下から眺めるのはウルフシャ・オーゲツ(しょしんしゃ・f00046)だ。
和柄のビキニが、チョコレート色の仮初の肌とマッチしており、その豊満な肉体をより強調して彼女の魅力を最大限に引き出していた。
「夏には素麺。流すことでさらに涼しく! じゃが、流れるのはこちらとな?」
「ウルフシャちゃん、頑張ってねっ!」
傍らには、このイベントへ誘った張本人のグリモア猟兵であり、ウルフシャの親友である蛇塚・レモンがシンデレラモチーフの白のビキニと青の透け感あるロングパレオを纏って声援を送る。
レモンは念動力で空が跳べるくせして、絶叫系アトラクションは苦手なのだという。
曰く、自分の意志に因らないチカラで素早く動かされるのが嫌なんだとか。
そんなわけで、親友の声援を受けたウルフシャに気合が漲る。
「レモンちゃんが見ておる、気合いを入れねば」
だが、どうやって回収するか?
ウルフシャは知恵を振り絞り、ポンと両手を叩いて叫んだ。
「ドローンを破壊してはいけない、ならばまるごと回収してしまえば……!」
だが、それを聞いた係員がすぐにウルフシャのもとへ飛んできた。
「何っ!? レギュレーション違反じゃと!?」
聞けば、飛び付く猟兵が後を絶たず、怪我のもとになりかねないので、急遽、ルールが追加されたのだとか。
「ウルフシャちゃん、どうするの……?」
心配するレモンの視線に気まずさを感じながら、ウルフシャは考え込む。
「ぐぬぬ、かくなるうえは困ったときのとりあえず超奥義! 流れる素麺特化型のうち召喚じゃあ!」
説明しよう!
ウルフシャのユーベルコード『新しいウルフシャはきっとうまくやるでしょう(ミンナアタラシイウルフシャヨ)』は、本体である年季の入ったお菓子箱を取り巻く仮初の身体を、その時の状況に応じた最適・最強の姿へと召喚することで有利に事を運べるのだ。今回は『なみのりウルフシャ』となった仮初の肉体が召喚され、姿が変化してゆく!
「これがゴムボートでバランスをとってサーフィンができるようなうちじゃあ! レモンちゃん、行ってくるぞ!」
「いってらっしゃいっ!」
レモンが手を振って親友の背を見送る。
ウルフシャはいよいよ、高さ約20mまで登り、全長1,000mの旅路に出発だ!
さぁ、ウルフシャ、ゴムボートをサーフボード代わりにして二本の足でバランスを取ってゆく。
まずは緩やかな下り坂で徐々に加速、そして最初の難関、右へ大きく曲がるフックカーブだ!
そこに岡持ちドローンが待ち受けている!
「ふしゃぁ!!」
気合一閃、ウルフシャのフードファイター技能をフルに活用した美しい箸捌きが岡持ちドローンの中身をかっさらってゆく!
美しいっ! 美しすぎる!
まるでスノーボードのハーフパイプ競技を観戦しているようだ!
カーブでワンエイティーターンを決めながらドローンを攻略してゆくウルフシャ。
「うむ! なかなか美味じゃな!!」
なんと、もうその場で食べている!!
まさかのキャッチ&イートだ!!
よく見れば、その片手には、めんつゆの入った器を持っているぞ!
高速ターンでめんつゆがこぼれないとは、さすが流しそうめん特化型の仮初の肉体!
このウォータースライダーは今、ウルフシャの庭と化した!
螺旋階段状の連続コーナーを突破し、チュルチュルとすすり終えたウルフシャはそろそろフィナーレを迎える!
地上が近くなってきたおかげで、レモンの声援も聞こえてきた!
「きゃーっ! ウルフシャちゃん、かっこいい~っ!!」
「ふしゃッ!?」
親友の歓声が耳に入ると、思わずドキッとしてしまったウルフシャ。
(レモンちゃんがうちを見てるじゃと……!? これはレモンちゃんにカッコいいところを見せる絶好の機会じゃあ!)
そう思った瞬間、ユーベルコードが自然と発動して仮初の肉体が変化!
「しまったのじゃあ!? レモンちゃんの事を考えたら、対レモンちゃん特化型のうちに!? ってうぎゃああああ!?」
最後の直滑降でバランスを崩したウルフシャ、盛大にゴムボートから大股開きですっ転ぶと、そのままの姿勢で高速スピンしながらプールへドボンッ!
(あああああ! かっこ悪いフィニュッシュになってしまったのじゃあ……レモンちゃん、がっかりするじゃろうか?)
気落ちしながらプールサイドへ這い上がるウルフシャのもとに、レモンが駆け足でウルフシャの元へやってきた。
「ウルフシャちゃん、大丈夫!? 怪我してないっ!?」
その手の中には、怪我の応急処置が出来る簡易キットが握られていた。
ウルフシャはポカンと口を開けたままレモンの顔を見詰めていた。
「え……レモンちゃん、うちを心配してくれて……?」
「当然だよっ! 親友が怪我したら嫌だもんっ!!」
薄っすら目尻に涙を湛えるレモンの様子に、ウルフシャの胸の奥が温かくなる。
そのまま、ウルフシャはひと目を気にすることなくレモンを優しくハグをした。
「えっ、待って、ウルフシャちゃんっ!?」
唐突の出来事に慌てるレモンの金髪を、ウルフシャのチョコレート色の右手が優しくゆっくり漉いてゆく。
「大丈夫じゃあ、レモンちゃん。うちはこの通り、ピンピンしておるぞ。……心配掛けて、すまんかったな?」
「……うん、よかった」
この後、ウルフシャとレモンは親友同士で終日デートを満喫したのだった。
かくして、今日の猟兵たちの夏の思い出は、いつまでも色褪せることなく記憶に残るだろう。
大成功
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