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エンパイアウォー㉞~逢魔が魔王の刻

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #オブリビオン・フォーミュラ #織田信長 #魔軍転生 #血反吐


「まずは汝らを褒めてつかわす」
 グリモア猟兵、ロア・メギドレクス(f00398)は頷いた。
「よくぞここまで辿り着いた。……うむ。遂に出たぞ。オブリビオンフォーミュラ。サムライエンパイアを脅かす敵の首魁、第六天魔王織田信長だ」
 ロアは資料を示しながら、猟兵たちに視線を向ける。
「魔空安土城。島原の戦場に行け。そして、信長を討ち、この戦いに汝らの手で決着をつけるのだ」
 ロアの手の中で、グリモアは既に輝いている。準備が整い次第、すぐにでも転送を行う腹積もりだ。
 ロアは説明を続ける。
「汝らの活躍のお陰で、幕府軍はほとんど損害を被ることなく魔空安土城へと到達することができた。うむ、敵の軍勢は全て幕府軍の兵士たちが引き受ける故、汝らは信長との戦いに集中するがいい」
 そこまで言ってからロアは一度言葉を切り、資料を示す。
「……これまで幾度かの戦乱に挑んできた汝らであればわかるであろ。当然、オブリビオンフォーミュラである信長は凄まじい強敵だ」
 更に、ロアは信長の背後に浮かんだ影を指した。
「『魔軍転生』。これは、奴の配下であるところの魔将の力を己が身に憑装させることで、その力を行使する技術だ。……此度、汝に相手取ってもらう信長は『信玄装』。甲斐の虎と呼ばれた最強の魔将、武田信玄の力を行使する形態だ。シンプルに強いぞ」
 ロアは説明を重ねる。
「当然ながら敵は数多の戦いを超えてきた歴戦の魔王だ。戦いの勘、というべきか。戦場の空気を掴むことにかけては誰にも負けぬ。うむ、つまりは敵は必ず先手を打ってくるということだ。敵の攻撃を掻い潜り、奴に攻撃を叩き込め」
 ――やること自体は、シンプルだ。戦って、勝て。その一言に尽きる。
「即ち、これは決戦である!余は、汝らならば必ずやこの戦いに勝利し、サムライエンパイアの泰平と平穏を取り戻してくれるものだと心と信じている。余の……否、サムライエンパイアに生きるあまねく人々の平和を願う想いを裏切るでないぞ!余は汝らに命じ、乞い、願う!必ず勝て。そして、勝利の栄華とともに凱旋せよ!」
 咆哮めいたロアの号令とともに、そのグリモアは輝く!


無限宇宙人 カノー星人
 ごきげんよう、イェーガー。決戦の時はきました。我々カノー星人も更に力を高めて侵略活動を進めてまいります。
 よろしくお願いいたします。

 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 第六天魔王『織田信長』は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
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第1章 ボス戦 『第六天魔王『織田信長』信玄装』

POW   :    風林火山
【渦巻く炎の刀】【黒曜石の全身甲冑】【嵐を呼ぶ樹木の翼】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    甲斐の虎
自身の身長の2倍の【白虎状態に変身した武田信玄】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    武田騎馬軍団
レベル×5本の【武田軍】属性の【騎馬武者】を放つ。
👑11
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イリーツァ・ウーツェ
【POW】
先制攻撃。この場合は先んじて強化してくるのか。
成程。嘸かし強いのだろうな。
ならば死を前提として動けば良い。

炎の刀?燃える鉄の何するものぞ。
黒曜石の甲冑?中身は人間だろうが。
嵐を呼ぶ翼?樹木ならば握り潰すまで。

怪力任せに拳で殴る。尾で打つ。
杖で突く。脚で蹴る。牙で噛み千切る。
爪で裂く。角で折る。翼で砕く。
防御など知らん、死ねば其の度強く成って蘇るぞ。
只全力で貴様の腕を、足を、腹を、胸を、頭を破壊する。
貴様を赤い頭陀袋にするまで、私は何度でも蘇る。
何度も食らえば見切るも容易く成ろう。

人虎如きが図に乗るなよ。
私は貴様の部下が下した蜥蜴とは違う。
――恐れ敬え、竜とは我ぞ。


御鏡・十兵衛
サムライエンパイア最強のおぶりびおんに、最強の魔軍将が憑依……何とも豪華な組み合わせよ。
勝ち筋は薄かろうが――是非もなし。某の剣が通じるか、一手試させていただくでござる。

3種の内何を強化するにせよ、奴の攻撃法は基本的に刀とその炎が主でござろう。であれば、奇をてらう必要はない。
奴の攻撃の意を見切り、炎の刀を受け流すのみ。加えて、属性攻撃の応用にて水を纏わせれば、熱された水で火傷はするかもしれぬが、直接炎に焼かれることは防げる。

そして反撃の一手、眼を閉じ、感覚を研ぎ澄ませて見抜くは、鎧の厚みが薄くなるであろう関節部の位置。奴の炎の刀よりも早く、正確に、全力の一刀にて断ち斬るでござる。



 轟音。
 障子戸がまとめて吹き飛び、魔空安土城天守へ猟兵たちが飛び込んだ。
「よくぞここまで辿り着いた」
 そこにおいて猟兵たちを待ち受ける者こそ、サムライエンパイアを脅かすオブリビオンフォーミュラ、第六天魔王・織田信長その人である。
「褒美をとらそう。死に方を選ばせてやる」
 威迫!本拠たる安土城へと攻め込まれ、喉元へと刃を突きつけられた負け戦であっても、“魔王”の威厳は健在だ。ゆらりと立ち上がり、視線を向ける。それだけで圧倒的なプレッシャーが猟兵たちを襲った!
「成程。貴様は嘸かし強いのだろうな」
 イリーツァ・ウーツェ(f14324)は、相対し、信長の姿を睨め付ける。
「何者だ。名乗れ」
「イリーツァ・ウーツェ。――恐れ敬え、竜とは我ぞ」
 イリーツァの背に、竜翼が広がる。
「竜。なるほど、面白いではないか」
 信長は腕を掲げる。頭上の空間、その虚空に門を開いた。周囲の空間に漂う信長傘下の亡霊たちが魔王を礼讃するかのように叫ぶ!
『魔軍転生!』
「龍虎相打つ、といこうではないか」
『虎よ!虎よ!虎よ!』
 虚空に開いた穴から飛び出すように、虎の貌もつ武将の魂が飛び出した!
『牙!キバ!武田騎馬!憑装!信玄!』
『六天魔王・信長!信玄装!』
「ぐろろろろろおおおおおお!!」
 配下である魔将の力を我が物として行使する。それが織田信長の力、憑装である!響き渡る虎の咆哮!亡者たちが礼讃する声を浴びながら、信長は戦国最強と謳われし武田信玄の力を背負った!
「サムライエンパイア最強のおぶりびおんに、最強の魔軍将が憑依……何とも豪華な組み合わせよ」
 御鏡・十兵衛(f18659)は余りの威容に冷や汗を浮かべながら――しかして、昂ぶる。
 “あれ”に某の剣はいかほど通じるのだろうか。
「貴様もだ。名乗れ」
「御鏡・十兵衛……水鏡、御鏡・十兵衛!織田信長、某の剣が通じるか、一手試させていただくでござる」
「笑止」
 信長は一歩踏み出した。手にせし銘刀、自らが名を与えし剣『へし切長谷部』に炎を纏う。甲冑は黒曜の石に覆われ、そして更に翼を背負う!【風林火山】!
「『試す』などという腹積もりでこの儂を斬れると思うのであれば、あまりにも無礼千万。万死に値す」
「む……!」
「ならば、打ち砕く!」
 イリーツァが前に出る。真正面からの激突だ。信長は正々堂々それに応えた。燃ゆるへし切長谷部がイリーツァを焼き潰しながら切り伏せる!
「これで終いではなかろうな?」
「あ、ァ……当たり、前、だ!」
 一撃で致命的なダメージを負ったイリーツァは、しかしてその相貌に未だ火を灯す。
「もはや死に体のようだが?」
「……ああ、そうだな。だが」
 信長は、とどめを刺すべくして剣をかざす。
「蘇りが、お前たちだけの業だと思うな」
 業火!口の端を吊り上げ、獣のように笑うイリーツァの身体が突如燃え上がる!
「なに……?」
「燃える鉄の何するものぞ」
 炎の中から伸びた腕が、信長の腕を掴む。
「それも、中身は人間だろうが」
 もう片方の腕が、甲冑の腹に触れた。
「その翼も――握り潰すまで」
 【回帰竜転・再構成】!炎の中から蘇ったイリーツァが、信長に襲いかかる!
「笑止!」
 信長はそれを力任せに引き剥がした!甲冑と翼の一部を持っていかれるも、そのままイリーツァの身体を放る。イリーツァは安土城の壁に穴を開けながら激突!
「斯様な奇術ごときでこの儂を殺(ト)れると思うたか!」
「然らば、真正面より挑ませてもらうでござる!」
 決死!瞳を上げ、十兵衛は止水の刃を構えて信長のもとへ向かう!
「「――是非もなし!」」
 信長が剣を薙いだ!炎とともにへし切長谷部の剣閃が走る!
 十兵衛は揺らめく炎の先にある刀身の道筋を見出そうとする。否、見出せねば死ぬ!
「は……ッ!」
 十兵衛は瞑目し、呼気をひとつ吐き出した。それと同時の止水の刃を走らせる。凪いだ水面のように心を鎮め、九死の内にある一生へと至る道を探る――刀身には氣を纏わせて。炎の剣を受け止め、力の向かう先を流すように滑らせる!
「ほう」
「――我が心、不動の水鏡なれば」
 直撃ではあらねど、炎の余波が十兵衛の肌を灼く。皮膚を焦がす熱気を浴びながら、しかして十兵衛は剣を走らせた。
 【不波】。渾身の一刀が、信長の甲冑を裂いた。
「ぬ……ッ!」
 滲む緋色。信長は僅かに後ずさる。
「思うておったよりやるようだな。……儂に傷をつけるとは。褒めてやろう」
「おおおおおおッ!!」
 そこへ横合いから激突する咆哮!態勢を立て直したイリーツァである!
「まだやる気か!」
「貴様を赤い頭陀袋にするまで、私は何度でも蘇る」
 イリーツァは拳を叩きつける!信長はそれをいなし、膝蹴りを返す!歯を食いしばりながら更にイリーツァは仕掛ける。尾が鞭のように走り、爪が、角が、翼が、牙が。イリーツァのもつあらゆる武器が信長を攻め立てる!
「があああるううううう」
 信長はそれを迎え撃つ。その背で信玄の憑霊が唸った。炎の剣が。樹木の翼が。信長自身の双腕が。イリーツァと交錯しあい、幾度もぶつかり合う!その度、互いに傷が刻まれていった。
「人虎如きが図に乗るなよ。私は貴様の部下が下した蜥蜴とは違う」
「コルテスの蛇神か。あれも貴重であった。……して、貴様は」
「そうだ。……竜とは、我ぞ!」
「そうであったな!」
 衝ッ!!信長は裂帛の気合とともに、イリーツァを吹き飛ばす!今度は壁に激突する程度では済まない。ぶち抜いた穴から天守の外へ放り出される。
「いかん!」
 十兵衛は咄嗟に走り出し、イリーツァを追った。彼も竜人であるゆえ、飛べないことはないのであろうが、あれだけ派手に戦いの傷を抱えては満足に翼を動かせるかどうか――彼女は一度だけ振り返り、信長を一瞥するとすぐさま天守を飛び出した。
 
「ぐ……、ッ。ははは、なるほど。猟兵とは、あれほどのものか。……あれらが儂の手にあれば、天下も取れたであろうな」
 信長は天守に空いた大穴の先を視線で追い、思いの外痛みを訴える傷口を抑えながら静かにひとりごちた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
藍ちゃんくんなのでっす!
放たれてしまった騎馬軍団は止めようがありませんが、全力で時間を稼ぐのでっす!
お馬さん相手に動物と話すとかどうでっしょかー!?
歌唱コミュ力誘惑言いくるめ挑発存在感おびき寄せフル活用なのでっす!
初撃を凌いだ、或いは騎馬軍団到達まで僅かでも間があるのなら全力でダンス&パフォーマンス!
すごい勢いで突撃してくるお馬さんたちが踊りだしたら事故間違いなしなのでっす!
馬から降りたところで武者さんたちもシャルウィ―ダンスなのでしてー。
相手の数と勢いがあればあるほど効果は抜群ではないでっしょかー!
ではでは魔王様、藍ちゃんくんと敦盛と洒落込むのでっす!


アララギ・イチイ
※アドリブ推奨

ふむ……(悪巧み)……信長ー、野球しようぜぇー♪

先制攻撃に対応で、敵の刀を【見切り】、【早業】でバトルアックスを取り出して【武器受け】してみるわぁ
又、シールドシステムを自分の周囲に浮遊させて、光学【迷彩】で隠蔽、敵の攻撃に合わせて【念動力】で操作して、【盾受け】の用意もしておくわぁ

で、上記の【時間稼ぎ】している間に【選択UC】よぉ
うん、発動したシリアスな雰囲気が吹っ飛んで野球勝負になっちゃうんだけどねぇ(
私(投手役)は【捨て身の一撃(肉体が壊れてもいい的な)】感じの全力でボールを【投擲】、渾身のストレートを投げるわぁ
試合結果とかはMSさんにお任せするわねぇ



「次は誰だ」
「藍ちゃんくんでっすよー!」
 紫・藍(f01052)は飛び込んだ!
「私でぇす!」
 そして同時に障子戸をぶち破って上がり込んできたのはアララギ・イチイ(f05751)である!
「傾奇者どもか。面白い。楽しませてくれるのだろうな?」
 信長は既に武具を構えていた!【風林火山】!へし切長谷部を炎が包む!鎧と翼を纏いながら、信長の背で虎が吼える!続けざまに【武田騎馬軍団】の突撃だ!
『はあッ!』
『信玄公のために!』
「わぁっ!いきなりクライマックスかしらぁ!?」
「わーっ!タイム!タイムでっす!」
「待ったなし!!」
「「わーっ!!」」
 スラップスティックに盤面の空気を転換しながら現れた2人は慌ただしく信長のユーベルコードに対抗!まずは飛び出した騎馬軍団に藍ちゃんくんが対応する!
「はい!はい!はーい!おうまさーんのみなっさーん!」
 ぱ!ぱ!ぱ!藍ちゃんくんはフラメンコめいた手拍子!武田騎馬軍団の視線を独り占め!更に動物とおしゃべりできる藍ちゃんくんは騎馬軍団の馬たちをダンスに誘う!
『グアーッ馬から落馬!』
『グアーッ馬が踊る!』
 藍ちゃんくんに釣られて陣形を崩した騎馬軍団は派手に転倒と激突を繰り返し軍団としてのテイが崩れるに至る!
「あれはなかなか愉快ではないか。貴様はどうだ?」
 信長は炎の剣を携えながらイチイへと迫った。
「ただの傾奇者と思って侮っちゃぁイヤよぉ」
 イチイはバトルアクスをかざして燃え上がるへし切長谷部を受け止める。想像以上の衝撃にイチイは膝を屈しながら燃え滾る炎の熱に苦悶する!
「おおっといけなーい!」
『グアーッ!』
 【藍ちゃんくんと愉快な観客達!】!藍ちゃんくんの見事なダンスは落馬した騎馬軍団も巻き込んでステップを刻む!そうして踊らされる騎馬兵はひょいとすっ飛んで信長に横合いから激突!
「笑止!」
 信長は冷徹に騎馬武者を叩き斬る!しかしてそこにできる一瞬の隙にイチイは信長の間合いから逃れた!
「ぐーっど!助かったわぁ」
「傾奇者の女形風情が、味な真似を!」
「藍ちゃんくんはー!『カブキモノ』じゃーなくって藍ちゃんくんなのでっす!」
「賢しいッ!」
 信長の視線が藍ちゃんくんへと向いたその時である!
「信長ー、野球しようぜぇー♪」
「野球だと?」
 【模倣世界・熱血プロ野球~猟兵編~】!イチイのユーベルコードである!それは一種の固有結界に敵を引きずりこむ能力といえた。硝子が砕けるように安土城天守の空間が破壊され、再構成される空間は――おお、見よ!ベースボール・グラウンドである!
『ただいまより、エンパイアイェーガーズ対、織田ドリフターズの試合を開始いたします』
 高らかにウグイス嬢のアナウンスが響き渡る!マウンドに立つはイチイ!バッターボックスには信長!そして客席には織田信長傘下の亡霊たちと藍ちゃんくんを据えてここに野球対決が開始された!
「さぁ、ひと勝負いきましょぉ?」
 イチイはボールを握りしめた。
「は。くだらぬ」
 信長はベースボール用のメットをかぶる。へし切長谷部を鞘へと収め、バッターボックスにて対峙した。
「ふれーっ!ふれーっ!猟兵!」
 藍ちゃんくんは客席でポンポンを振ってチアダンス!
「渡来人の言うておった『くりいぐ』とかいう児戯であろう」
「遊びと侮ってるならぁ……後悔するわよぉ!」
 ピッチャーイチイ、投げた!
『ストライーッ!』
 信長はこれを見送り!硬い表情のまま、視線だけでキャッチャーミットへ収まるボールを追う。
「さあ、どうかしらぁ?」
「ふん……。次の球を投げるがいい」
「ええ」
 キャッチャーからボールを返されたイチイは再び球を構える。そもそも野球というスポーツが正式に成立したのは現代地球の歴史においてせいぜい19世紀。歴史に照らし合わせれば、サムライエンパイアに野球というスポーツは存在しない。すなわち信長は野球をしたことがない筈なのだ。
「がんばれがんばれ猟兵!」
 だが、彼女は油断なく二球目を放つ!渾身の一球!全身に力を漲らせ、投げ放たれたボールが疾る!藍ちゃんくんの応援する声が響く中、風切りの音!
「たわけがァッ!」
 しかして信長はへし切長谷部をバットがわりに、豪速で振り抜いた!カァンッ!!小気味好い金属音!
「がおおおおおおおおん!!!」
 信長の背後で妙に興奮した信玄霊が唸る!!すっ飛んだボールは高く飛び、客席に飛び込んだ!ホームランボール!猛虎打線炸裂ッ!!
「そんな……!?」
『うおおお――――!』
 信長傘下の亡霊たちが客席で盛り上がる!割れんばかりの歓声!
「この儂を誰だと思うておった。……儂は尾張の“大うつけ”よ!」
 天下人への道を開いた将としての信長の強さとは、固定概念に囚われぬ柔軟な思考と最適解を導き出す対応力にある。それは即ち、非シリアス空間においても適性をもち、空気に飲まれることなく対処できるということなのだ!
「くっ……!」
 ベースボール・グラウンドが崩れ去り、もとの天守へと空間が再構成される。膝を屈したイチイを信長は一瞥し、そして藍ちゃんくんへと視線を向ける。
「ではでは魔王様、藍ちゃんくんと……」
「次はなんだ?くく。敦盛でも舞ってやろうか?」
「むむ……!読まれていたとは!」
 信長は不敵に笑みながら猟兵たちを見下ろした。
 オブリビオンフォーミュラ、織田信長……その実力は強大だ!戦いは、まだ終わらない!

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

ビードット・ワイワイ
アドリブ可
見たり見たり見たり、汝の破滅を見たり
必定なりし敗北が覆らぬは分かっておろう
それが読めぬ将なりか?
取るべき術が分からぬか?
例え敦盛舞おうとも変わらぬ運命此処にあり
ここが汝の破滅なり

拳に纏うは氷の属性攻撃
叩きつけるは床面。凍らせ
滑らせ足場を奪え
我が無限軌道は氷であろうと
難なく進む。ダッシュし見せるはこの逃げ足。誘導弾を放ちて機動力奪わん

呼び出すは有翼怨獣 マガタチ
数多の鳥獣の怨念合わさり一つとならん。自由に空舞い生を食らう
敵に放つは殺された怨み
その身に受ければ只ではすまず
呪われよう
その鉤爪容易く掴もう
最後にその身を犠牲に放つは
呪われし音による攻撃、呪界音叉
その身を削りて抗うがよい


郁芽・瑞莉
この場に立てるのは、
徳川方の武士や首塚の一族の方々のお力添えあってこそ。
我ら猟兵の力の全て、受けて貰いますよ!

相手の攻撃は戦いでの情報収集、
戦闘知識に第六感を合わせて見切り。
ドーピングで身体機能を向上。
ダッシュ・ジャンプ・スライディングを用いたフェイント、
残像に迷彩と体の位置を誤認させつつ回避。
回避が難しい時は武器で受けて流して。
カウンターで一撃目は信玄虎にランスチャージ、
刺さった薙刀にて踏み台に。
早業の空中浮遊、衝撃波の反動からの捨て身の一撃!
肉を切らせて骨を切るように信長の一撃が致命となる前に
鎧の間に突き刺して内に溜めていた破魔の剣の力と、
外から集めていた力――UCを開放し傷を抉ります!



「この場に立てるのは、徳川方の武士や首塚の一族の方々のお力添えあってこそ……」
「竹千代めの血筋はよくやっているようだな。結構なことだ」
 信長は郁芽・瑞莉(f00305)に対峙する。
「見たり見たり見たり、汝の破滅を見たり」
「ああ。とうに知っておる」
 ビードット・ワイワイ(f02622)もまたそこに並び、信長との戦いに臨む。
「必定なりし敗北が覆らぬは分かっておろう」
「然り」
「例え敦盛舞おうとも変わらぬ運命此処にあり」
「お前の言う通りだ。これはとうに負け戦。儂の破滅も知っておる」
「ならば」
「だが、それでも儂は武士だ」
「最後まで戦って死のうという侍の矜持ですか……!でしたら、我ら猟兵の力の全て、受けて貰いますよ!」
「よい。だが、簡単に殺れると思うでない!ゆくぞ信玄ッ!」
「があああうううううう!」
【甲斐の虎】!信長の背後に控えていた信玄が巨大な虎へと姿を変える!信長はその背に騎乗。信玄虎が床板を蹴り、走り出す!
「ロードルーイン。纏うは零度」
 ビードットは即座に体内の機構を励起した。叩きつけた拳から放たれる冷気が床面を這うように満ちて行き、瞬く間に凍結させる!
「がうッ!?」
 ず、ッ!信玄虎の踏み込んだ前脚が凍結した床面に滑った!
「向こうだ。信玄」
 しかし信長は信玄虎の背を叩き、壁を指す。唸る信玄虎!勢いよく滑るように凍結床面を移動した信玄虎は爪を立て壁に取り付く!即ち、壁を走る!
「どちらから死にたい」
「死にません!」
 強壮効果のある薬草をこれでもかと練り込んだ丸薬を飲み下し、瑞莉は接近する信玄虎を見据える。信長は馬上でそうするように剣を構えた。へし切長谷部!壁を蹴って駆ける信玄虎が吼える!牙と剣の応酬!
「くッ!」
 瑞莉はこれを素早く躱す!残像を残すほどの速度で信玄虎の下をくぐり抜けるように回避し即座に身を捻る。その手には禍ノ生七祇!構え直して突貫!
「甘いわッ!!」
 信玄虎の上で振り返る信長が刃を振り抜いた!がきんッ!!薙刀と剣の刀身同士がぶつかり合い交錯する!しかし押し負けた!弾かれた薙刀が反対側の壁に突き刺さる。
「滅びの時既に来たれり」
「む……ッ!」
 横合いから信長に叩きつけられたのはビードットの放った誘導式弾頭の爆発!信玄虎が怯む。そこに生じた間隙へ、瑞莉は十束剣を引き抜き突き込みにゆく!
「力を、束ねて……ッ!!」
 【神氣収束 虹極撃】!輝く剣が、信長の甲冑に突き刺さり割り砕く!
「ぐ……ぬぅ……が、これしきッ!!」
「があああうううううううう!!」
 だが、それを致命傷へと至らせるより先に信長はへし切長谷部を薙いだ!カウンター!斬閃を刻まれ態勢を崩された瑞莉へ、信玄虎が更に前蹴りめいて前脚を叩きつける追撃!瑞莉は衝撃に宙を舞い、床板の上へ落とされた。
「くう……ッ!」
「はァ……はァ……」
 しかし、信長にも少なくないダメージが積み重なってきている。流石のオブリビオンフォーミュラにも、ここにきて僅かに疲労の色が見え始めた。
「……奴はどこだ」
 故に、信長らビードットの姿を見失う。訝しむように、信玄虎が唸った。
「ここだ」
 響く不吉な声。それとともに、安土城の天守が破壊される!半壊し崩れ落ちる壁。その向こうに広がる昏い色の空には、破滅が在った。
「あれは……」
「ロードルーイン、怪しき巨獣。その巨体は安らぎ奪う」
 【実行仮想破滅・蹂躙するは完成された個】。
《KkKkKKklLlLlllLLlL》
 有翼怨獣マガタチ。ビードットのユーベルコードによって呼び出された、翼持つ悪しき獣である。
「これは数多の怨念交わりて生まれし獣。殺された怨み放ち呪い殺す翼」
 マガタチは甲高く吠える。その巨体にさしもの信長も息を呑んだ。
「かの翼は滅びもたらせし者。有象無象の区別なく、あまねく命を呪いし破滅」
 ビードットは素早く機動すると半壊した天守の床板に着地し、瑞莉を立たせる。
「破滅への楔は既に打たれた。故に、我らは一時退くべし」
「……わかりました。下がりましょう」
《KkKKkkKlLlLLlllL》
「ははははは!愉快な見世物ではないか。面白い。狩るぞ、信玄よ!」
 信長の興味はマガタチへと向いた。それを尻目に2人の猟兵は一旦後退する。
 半壊した天守を飛び出した信長は信玄虎とともに屋根瓦を駆け、跳躍しマガタチに激突――鳥獣の悲鳴めいた声と、虎の咆哮が闇の中に響いた。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

ヘンリエッタ・モリアーティ
【覇潰】
こんにちは、織田信長。
魔王様でしたっけ?ブディズムにはあまり詳しくなくて
ただの「竜」です。よろしくどうぞ
Arseneのシステム起動で猛毒がかかっているのを確認出来たら
灯理を切り裂きます
【実行犯】ね
あは、驚いちゃいますよね――大事なつがいなんです、だからこうしてる
サディスト?やだなあ
こうしたほうが「ドラマチック」で魅せられるでしょ?

フォン・ヘルダーで武田信玄を切り刻みます
サイコロステーキにしてあげるわ、子猫ちゃん
「応龍」を使った行動パターン予測・解析で連続攻撃
鳴宮の狙撃は絶対当たる
だからダメ押しだまし討ちで信長には私からも二本サービス
人間五十年でしょ?じゃァ、終わッとけよ――ド阿呆が。


ヴィクティム・ウィンターミュート
【覇潰】

──状況を開始する
第六天魔王を地に墜とせ

まずは先制攻撃の対処
信玄に騎乗すること向上する戦闘能力…機動性に任せて仕掛けてくるだろうな
騎乗を確認後
【ハッキング】で自己サイバネをオール限界突破
【ドーピング】でコンバット・ドラッグ摂取
UC起動『VenomDancer』
ヘイトを俺が一手に引き受け、機動力を最大に向上

信長の攻撃を機動力で避けつつ
猛毒のパルスを信玄と信長"両方"にかけ、鈍化は信玄のみにかける
生命力を共有してるなら、どっちにも猛毒をかければ…かなり削れるだろうな
俺の役目は攻撃を引き受け、弱らせ続けること

ヘンリエッタ、鎧坂!信玄をぶっ殺せ!
匡──第六天魔王の覇道に、風穴を空けてやれ


鳴宮・匡
【覇潰】
鎧坂、ヘンリエッタ、ヴィクティムと

魔王なんてご大層な綽名だな
……ま、どうでもいいさ
なんであれ、「生きている」なら殺せるものだ

騎乗……ということは突撃が主な戦術かな
初手がこちらへ向かってくるようなら見切って回避
基本は直線的な動きになるだろうからな
動きの先を予測して引き潰されないように留意

ヴィクティムが引き付けている間に
十分に相手の動きを観察しておく
鈍化が効けば速度も相応に落ちるだろうから
その分もしっかり計算に入れておくよ

託されたものに応えられないようじゃ、
こいつらと肩を並べる資格なんてない
だからこの一撃は「絶対に」外さない

【千篇万禍】――その心臓、貰っていくぜ
そのまま沈みな、骸の海に


鎧坂・灯理
【覇潰】
Arsene殿/f01172 ハティ/f07026 鳴宮殿/f01612

あれがサムライエンパイアの織田信長か
人のなりをしているだけで安心するな
知った構造は殺しやすい

鎧坂、了解――任せろ。

念動力で飛び回り、攻撃を避けつつ役割を実行
ハティが私の片腕を落とす
痛覚は脳髄ハックで鈍化、念動力で止血
さあ代償は払った、UCを発動
仰々しい信長の鎧を怪物へと変えて、騎乗する虎へと食らいつかせよう
吸収した生命力で腕を再生する

Arsene殿の毒は必ず刺さる
ハティが虎をサイコロに変える
鳴宮殿が鎧を失った信長を撃ち殺す
私は私の役割を必ず果たす
我が《覚悟》を見るがいい

我々こそ貴様の終わりだ
くたばれオブリビオン!!



 ざ、ッ。
 床板を踏みしめる足音が響く。半ば崩れ落ちた安土城天守へ、猟兵たちが踏み込んだ。
「あれがサムライエンパイアの織田信長か……人のなりをしているだけで安心するな」
 鎧坂・灯理(f14037)は、眼前に立つ“魔王”の姿を見る。
「こんにちは、織田信長。魔王様でしたっけ?ブディズムにはあまり詳しくなくて」
 ヘンリエッタ・モリアーティ(f07026)は薄ら笑みさえ浮かべながら、信長へと相対する。
「次から次へとよくも来る。……く、く。いいだろう。相手をしてやる。名乗るがいい」
 崩れた壁の外。星明かりの下で瓦屋根を踏みしめながら信長は猟兵たちへと視線を返した。
「ただの『竜』です。よろしくどうぞ」
「魔王なんてご大層な綽名だな」
 鳴宮・匡(f01612)は、手の中で銃把の感触を確かめた。
「……ま、どうでもいいさ。なんであれ、『生きている』なら殺せるものだ」
「ああ。知った構造は殺しやすい」
「油断をするなよ──状況を開始する。第六天魔王を地に墜とせ」
 ヴィクティム・ウィンターミュート(f01172)もまた戦闘の準備を整えた。【鎧坂探偵社】より来た以上4名は此度、作戦コード『覇潰』にてこの戦場に立つ。
「完全破壊――狙うは大将首。目標は織田信長」
「鎧坂、了解――任せろ」
「ああ。痕跡すら残さねえ」
「オーケー。……灰は灰に、塵は塵に、ってね」
「元いた地獄にも帰らせん。必ず、滅ぼす」
「……気に入らぬな。『勝つのが当然』。貴様らはそういう顔をしている」
 信長は双眸を光らせながら、猟兵たちを睨め付けた。
「がああああううううううう」
 信玄虎が咆哮。先手を打った信長は信玄虎へと騎乗し、駆ける!瞬く間に間合いを詰める!
「くるぞ。機動力に任せて仕掛けてくるはずだ!」
 ヴィクティムは電子デバイスを起動しフィジカル/リアクションエンハンサーを賦活!全身のサイバネ義体にフル稼働を命令しつつ、更にコンバット・ドラッグを摂取した。限界値をおおいに突破した過剰出力に安全装置が電脳内でアラートメッセージを連打!ヴィクティムは全て無視し、信長の突撃に備える!
「基本は直線的な動きになるはず――」
 また、匡は此方へと向かう信玄虎の動きを見定める。攻撃の手が此方へ向かうのであれば、その軌道を見切って躱す腹積もりだ。咆哮が響く!信玄虎は先ず匡めがけて襲いかかった!だが、十全に虎の動きを見切っていた匡にその爪は届かない。最小限の動作で躱し――
「大した曲芸であるな」
 騎乗する信長が居合めいた速さで放ったへし切長谷部の剣筋の追撃を受ける!二段構えッ!
「ッ!」
 匡は常人であればおおよそ不可能な柔軟性と反射神経で辛くもそれを回避!胸元を浅く裂かれるも、支障が出るほどのダメージには至らせない!幾多の戦場を越え、卓越した見切りの技術を持つ彼でなければ重篤な致命傷を受けていたであろう。続けて信長と信玄虎は屋根瓦を蹴立て更に疾駆!凄まじいパワーと速度!道を阻もうとするヴィクティムを振り切り虎は走る!
「ち、ッ!抜けられた!」
「があああうううううう!!」
「弾除けを用意しておれば安全とでも思うたか!」
 咆哮!虎の爪牙がヘンリエッタへ迫る!
「失礼、伴侶殿!」
 PSY!素早く駆け寄った灯理はヘンリエッタの肩を引っ掴みながら念動力をフル稼動!サイキック出力を上昇させ、高速で空中に逃れる!
「あは、ごめんなさいね。助かったわ」
「面白い小細工を使う!」
 かくして虎の爪は空を切る。屋根瓦へと着地する信玄虎は態勢を立て直し、そして信長はへし切長谷部を片手に――
「いいや、小細工はこれからだ!」
 【Extend Code『VenomDancer』】!ヴィクティムは右腕のサイバネアームに内蔵した攻性プログラムを起動し、人体にきわめて有害な電磁パルスを放射!
「ぐる……!」
「む……!」
 不可視のパルスウェイブが信長と信玄虎に届き、その身体を蝕んだ。更にヴィクティムは念入りに別プログラムをマルチタスク起動。信玄虎へと向け、神経系を麻痺させ行動を鈍化させる電子毒を流し込む!
「触れずして毒を盛るとは……!面妖な技を!」
「お前はもう時代遅れなのさ!」
 信長と信玄虎はこの小細工を仕掛けた敵へと視線を向け、目標を定める!ヴィクティムはそれを予期し回避機動の構えをとった!同時に声を投げかける!
「ヘンリエッタ、鎧坂!手筈通りだ、信玄をぶっ殺せ!」
「Arsene殿はうまくやったようだな」
「ふふ。それじゃあ次はこちらの番ね。始めましょうか」
 信長の注意が反れたタイミングで、灯理とヘンリエッタは瓦屋根の上へと降り立つ。そして、瞳が輝いた。
「ああ。任せる、伴侶殿」
「あは――じゃあ、実行しましょう?」
 ヘンリエッタは双剣を抜き放つ。フォン・ヘルター。夜の闇に黒く輝いた。
 【:外付魔術:暴食の牙】。【実行犯】。
 閃く黒が、灯理の片腕の手首から先を落とす。
「ぐ、ッ……」
「あは」
 必要な代償であるが、だからと言って痛覚は黙ってくれない。灯理は自身の手で脳内の神経伝達を鈍らせ痛みを緩和。更に念動力を用いて強引に切断面の血管を縛るように固定し、止血をかけた。
「……ほう?」
 信長は闇の中に散る血の赤を目端に捉え、警戒する。ここまでの戦いの中で、猟兵たちの力は理解できてきた。奇天烈な技や戦術を用いる猟兵もいる。自傷や同士討ちのように見えてもそれは次の一手に繋げる何かであろうと信長は類推し、注意を怠らない。
「あは、驚いちゃいますよね――大事なつがいなんです、だからこうしてる」
「ああ、そうだとも……!さぁ、代償は支払った」
 2人が、屋根瓦を蹴立てた。
 ヘンリエッタは素早く駆け、その両手に黒刃を握りながら踊るように信玄虎へと襲いかかる。反撃態勢をとろうとした信長と信玄虎であったが、両者は有毒のパルスに身体を蝕まれ動作が鈍っている。対応が遅れた!斬閃!フォン・ヘルターが激しく舞い、鈍った信玄虎を半ば一方的に斬りつける!
「サイコロステーキにしてあげるわ、子猫ちゃん」
「があああるうううううううう」
「細切れにもなれば喰いやすいだろう。……馳走してやる」
 灯理の双眸が輝く。片手を代償として捧げ得たちからが、魔術回路を通した術式を成し信長へとまとわる!
「なに……!伴天連の妖術か!」
 不可視の呪詛めいた術式に晒され、信長の鎧は瞬く間に異形へと変貌!無数の牙を備えた怪物の口腔となり、己が騎乗する信玄虎へと牙を突き立て始めた!
「ぐおおおおおおお」
「さあ、たっぷり食え。私は私の役割を必ず果たす……我が《覚悟》を見るがいい」
「なかなか面白い見世物をするではないか……!」
 信長は怪物化した甲冑を叩き、黙らせようとした。しかし止まらぬ牙の群は貪欲に信玄虎へと噛み跡をつける。黒刃と牙に双方から攻め立てられながら信玄虎は呻く!信長は舌打ちしながら剣を振り上げた。術者を斬れば止まるかと推測。蝕む毒に耐えながら、信長はヘンリエッタと灯理を斬り伏せるべくその刃を薙ごうとし――
「今だ、匡──第六天魔王の覇道に、風穴を空けてやれ!」
「ああ!」
 匡が静かに息を吐き出しながら、その信長めがけて引き金を引くッ!
 ここに彼らの作戦は成る。
 ヴィクティムが毒で敵を抑え込み、ヘンリエッタと灯理が信玄虎を無力化。そして、匡が信長を撃つ。……作戦の最終段階へと、彼らは辿り着いたのだ!
「我々こそ貴様の終わりだ……くたばれオブリビオン!!撃て、成宮殿!」
 そして、これを叩き込むこの一瞬のために、匡はこの戦場に立っていた!故に――この一撃は絶対に、外さない!
「【千篇万禍】――その心臓、貰っていくぜ」
 銃声!怪物化したが故に本来の装甲を失った甲冑を貫いて、放たれた弾丸が信長の心臓を捉えたッ!
「グア……!」
 命中ッ!信長の胸で弾丸が爆ぜ、くぐもった呻き声が洩れる!
「私からもサービスよ!」
 信玄虎を手酷く痛めつけたヘンリエッタはダメ押しとばかりに虎の頭部を踏みつけ跳躍!更に斬撃を見舞った!
「人間五十年でしょ?じゃァ、終わッとけよ――ド阿呆が」
「ああ。そのまま沈みな、骸の海に」
「むううううッ!」
 ここにきてとうとう耐えきれなくなった信玄虎は爆発四散!巻き込まれて滅ぶ寸前で生命力の共有を絶った信長は後方へと飛び、屋根瓦の上へ降り立った!
 即ち……まだ、死んでいない!
「……はは、ははははは!楽しませてくれるわ、猟兵ども。儂をここまで追い詰めるとはな。実に天晴れよ!」
 だが、既に信長の身体に累積したダメージは許容量を超えている。このまま待っていれば、それだけで彼は骸の海へと還るだろう。
 ……しかし、それは魔王の矜持が許しはしない!
「おおおおおおおッ!!」
 咆哮!満身創痍と言っていいほどの状態でありながら、それでいて尚信長は強力なプレッシャーを放つ!
「こっちはそろそろ限界だ。一度退いた方がいい」
 限界を超過して稼働するサイバネ義体の悲鳴をとうとう無視できなくなり、ヴィクティムは首を横に振る。
「残念ね。とどめを刺すところまでいけなかったわ」
「いや、十分でしょう、伴侶殿。……これだけやったんです。あれも長くは持ちません。成宮殿。あなたの技も見事でしたよ」
 ユーベルコードで信長の鎧に生やした牙を経由し吸収した生体エネルギーを糧に再生させた手を振りながら、灯理は後退を開始する。
「やるべきことをやっただけさ。……それじゃあ、一時撤退だ!」
 作戦コード【覇潰】は、とどめにこそ至らなかったが、十分な戦果を得た。信長が倒れるまで、残された時間はわずかだろう。
 ……だが、それでも最後の時まで信長は立ち続ける。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

ジニア・ドグダラ
なるほど、武田、ですか『ならば長篠の、戦を』

【第六感】にて彼らの行動を察知、ワイヤーフックで天井や壁に高速移動し、騎馬軍団の猛攻を回避しましょう。次に安土城の地形を探索者としての勘である程度把握、彼らを狭い廊下などに誘導します。

信長や武者達から、敵意や殺意は十分に受けています。【高速詠唱】で全員に種子島と槍を持った死霊兵士を呼び出し、三人一組で行動させます。
武田軍ならば、よく効くでしょう。三段撃ち、です。
このような狭い廊下、避けることも出来ず、味方の死体や騎馬で身動きが取れないでしょう?
弾が切れれば槍衾で、騎馬に対し対策します。

信長に対しては、死霊拳銃での攻撃で【呪詛】で行動を縛りましょうか。


黒川・闇慈
「信玄と信長の共闘とは……歴史好きがみたら卒倒ものの光景ですねえ。私はどうでもよいですが。クックック」

【行動】
wizで対抗します。
先制攻撃への対処としてブラックシェードとホワイトカーテンの防御魔術を起動。覚悟と激痛耐性の技能も活かし詠唱完了まで耐えましょう。
高速詠唱の技能でカース・ブーストを迅速に使用。変身完了と同時に飛行し、上空に退避します。騎馬軍団である以上、上空への攻撃手段は少ないでしょう。
呪詛、全力魔法の技能で怨念火砲から呪力砲撃を発射。信長を上空から狙い撃ちにしましょうか。

「これが武田の騎馬軍団でなく、信長自身の鉄砲隊だったら話も違ったでしょうに。クックック」

【アドリブ歓迎】


アルトリウス・セレスタイト
部下の芸を借り受けるか。器用なものだ

避け得ぬ先制は纏う原理――顕理輝光を全力で運用し対処
『天光』『天護』で攻撃を確実に捕捉
『超克』で”外”から汲み上げた魔力を用い『励起』『解放』で個体能力を一個の生物の極限まで引き上げ、『無現』『虚影』で捌きつつ行動

攻撃は天位での強化からの打撃戦
最大限干渉力を強化した原理を運用し迫る

『絶理』で物理法則の制限を脱し、『天光』『天冥』で目標の動きを逃すことなく見切る
『解放』による魔力放出も戦闘機動に活用
『再帰』で無現循環させた『討滅』の死の原理を撃ち込み、一打で仕留めに



 既に趨勢は決した。
 軍勢の大半を失い自身も致命的なまでにダメージの累積したオブリビオンフォーミュラ、織田信長は荒く息を吐き出しながら、しかしてそれでも双眸に灯した火を消すことなく猟兵たちを待ち受ける。
「もう終わりです、六天魔王」
 ジニア・ドグダラ(f01191)は天守に上がり、信長のその姿を見る。
「行き止まりだ。お前の道に先はない」
 アルトリウス・セレスタイト(f01410)もまた戦闘の準備を整えた。
「く、はは。……知っておる。儂は負けた。わかっておる」
「なら――」
「だからといってそう簡単に首をくれてはやれぬ。……欲しければ、奪いとるがいい」
 信長は再び信玄霊を呼び出し、背負う。戦場に満ちる空気が再び熱を帯びた。
「信玄と信長の共闘とは……歴史好きがみたら卒倒ものの光景ですねえ。私はどうでもよいですが。クックック」
 黒川・闇慈(f00672)は体内の魔術式を稼動させる。
「能書きはいらぬ。退屈でかなわぬからな」
 信長は抜いた刀の先をまっすぐ前へと伸ばした。陣の指揮を執るように、そして叫ぶ。
「潰せい!」
【武田騎馬軍団】!虚空に穴が開く。鬨の声とともに穴を通って現れるのは武田軍の誇る騎馬武者の群れだ!
「なるほど、武田、ですか」
 ジニアはその姿を見るや、すぐさま床面を蹴って城の中へと逃れた。伸ばしたワイヤーフックで天井や壁を引っ掛け、収縮を繰り返して高速機動!
「追えッ!1人も逃すでないぞ!」
「「「おおッ!」」」
 信長の指揮のもと、騎馬武者の群れは城内へと向かった!続けて放たれる第二第三の騎馬軍団が猟兵たちへ迫る!
「部下の芸を借り受けるか。器用なものだ」
 アルトリウスは瞳を輝かせ、迫り来る騎馬の群れを見据えた。更に全身に纏う“原理”の力を励起し、敵の接近に備える。
「クックック。甘く見ていると足元を掬われますよ?」
 闇慈もまた防御術式を組み上げ、防壁を構築する。防御術式を織り込んだブラックシェードと防壁術符ホワイトカーテンによる十重二十重の障壁魔法で闇慈は衝突に備えた。
「私は覚悟を決めました。多少の傷は耐えますとも?」
「そうか」
「はははははッ!そうか、耐え切れると思うておるかッ!!」
 哄笑!騎馬武者の一体から馬を奪い取った信長である!その手に刃を握り締めながら信長は騎馬軍団と共に2人を急襲!
「む……」
「クックック……これはこれは!」
 馬上槍が狙う!アルトリウスは身に纏う“原理”の力を最大限に解放し、自身の身体能力を極限まで引き上げた。槍衾のように襲い来る騎馬軍団の攻撃をいなし、躱し、捌いて逃れる。一方闇慈はそこまで器用ではない。であるが故に、槍のひとつひとつが彼を狙い襲いくるのを丁寧に防壁魔術で止める困難な戦いを強いられていた。しかして彼は全てを止めきれぬことまで見越している。そのための覚悟だ。防ぎ切れなかった槍の穂先に肩口を斬られながらも、闇慈は視線を反らすことなく詠唱を開始した。
「はあッ!!」
 斬閃!とどめの一撃とばかりに騎馬軍団と共に突入した信長の剣が唸る!
「クク……紙一重、といったところですか!」
 だが、闇慈はそれを躱す!【カース・ブースト】の起動まで、彼は時間を得ることに成功していた。呪力高励起体――漆黒の魔力に満ちた姿へと変わった彼は、黒い靄のような軌跡を残しながら空中へと逃れる!
「いい加減に諦めたらどうだ」
 アルトリウスは“死”を放つ。信長の騎乗していた馬にその力が命中し、即死した。屍と化した馬に見切りをつけ、飛び降りた信長は同時に剣を振り下ろす!
「たわけが。人間もどきにくれてやる首など持ち合わせておらぬわ」
「もらおうなどとは思わない。奪わせてもらう」
 打撃ッ!アルトリウスは振り下ろされる剣筋を紙一重に躱しつつ、信長の土手っ腹めがけて拳を放つ。しかし信長は巧みに打点をずらし直撃を回避。ダメージを最小限に抑えた。
「クックック……こちらを忘れていただいては困りますね!」
 しかし、そこへ上方から黒い呪力砲弾が飛来!信長の鎧の表面で黒が爆ぜる!カース・ブーストで飛行能力を得た闇慈である。怨念火砲。巨大な十字架めいた火砲を構え、空中より爆撃をかけるように闇慈は更に信長へ仕掛ける!
「賢しいッ!」
「騎馬では届かないでしょうね。これが武田の軍団でなく、信長さん。あなた自身の鉄砲隊だったら話も違ったでしょうに。クックック……」
「ぬう……!憑装が逆に仇となったか!」
「余所見をしないことだ」
 呪力砲撃の合間を縫って、接近したアルトリウスが信長の甲冑に拳を叩き込んだ。
 
 一方、城内へと逃れたジニアは安土城の内部を走り、時を稼ぐ。走りながら、彼女は詠唱し反撃の一手を既に打っていた。【死兵到来】!この地に満ちる念から、ジニアは死者を呼び出し兵として操る。
「では、ここは長篠の、戦を」
 招聘した兵士たちの手には火縄銃が握られている。3人1組で動くようにジニアは死兵たちへと伝え、戦線を構築した。それにやや遅れて通路を走る馬の足音。武田騎馬軍団の到来だ!
「武田軍ならば、よく効くでしょう。三段撃ち、です」
「グアーッ鉄砲!!」
 ジニアが敵の群れを通路に誘い込んだのはこれが狙いであった。躱すことの困難な狭い通路の中を、死兵たちは迎撃する。火縄銃の弾が次々と撃たれ、騎馬軍団の兵たちを落とす!歴史書にも語られる信長の戦術を拝借したかたちだ。作戦はうまくいった。あとは抑えておくだけであれば死兵たちだけでも大丈夫だろう。ジニアは戦闘の継続を命じると、火縄の銃声が響く中再び天守を目指した。
 
「逃さんッ!!」
「クックック……流石はオブリビオンフォーミュラ、といったところですか」
 屋根瓦を蹴って空中に飛び出した信長が闇慈へと迫る。しかして空中での機動力においてはユーベルコードを起動した闇慈の方が上手だ。危ういところではあったが、闇慈は信長の剣を躱す。
「……仕留める」
 そこへアルトリウスが信長へと追い縋るように迫る。【天位】。ユーベルコードによって強化された彼の速度であれば、そこに追いつくのは決して困難なことではない。その手の中に“原理”の力を宿し、青白く輝くその拳を信長に叩き込んだ!
「ぬう……!」
 その拳に撃墜されるように撃ち落とされる信長!轟音と共に瓦を砕きながら安土城の屋根上に落ちる!
「フン……いかなる妖術か仕掛けか知らぬが、小賢しい真似を」
 しかして、信長は立った。
「斯様な小細工で儂が死ぬとでも思うたか。……儂は天下にこの名を轟かせし第六天魔王であるぞ!」
 信長は死に抗う。その存在に死と破滅の“原理”を打ち込まれながらも、その命運をねじ伏せんばかりに咆哮する!死は既に見えている。滅びもとうに理解している。もはや満身創痍だ。あと一押しで滅び去ってしまう程に信長は傷ついている。だが、まだだ。この名にかけてまだ死なぬ。残る気力が信長を戦場に立たせ続ける。
「では、真っ当に死んでもらいましょう」
 その背後で銃声が鳴った。死霊拳銃。戦場に舞い戻ったジニアの手に握られたその銃の銃口から、呪詛を纏う術式弾頭が放たれる。数多の命を奪ってきた信長へ、死者の念と呪詛は強力に作用する。弾丸を受けた信長はたちまち死霊たちにまとわりつかれ、その身を蝕まれた!
「木っ端どもがッ!!儂の道に仇なすでないッ!!」
 しかして一喝!強靭な意志が威迫とともに死霊の群れを吹き飛ばす!
「どうした、どうした猟兵どもッ!貴様らの力はこの程度か!この程度の気迫でこの儂の首を獲れると本気で思うてはおるまいな!」
 屋根瓦を踏みしめながら、信長は叫ぶ。
 効いていないのではない。ダメージは間違いなく通っている。全身に刻まれた傷は致命傷どころの騒ぎではない。ただ、オブリビオンフォーミュラとして魔王を名乗るその矜持だけがその身体を支えている。
 その姿はもはや見るも無惨な敗残の将そのものであったが――その双眸には未だ苛烈な炎が灯っていた。
 戦いは、まだ終わらない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

才堂・紅葉
「ったく、参るわね。こっちが悪役みたいじゃない」
六尺棒を構え対峙する。
リーチを活かし、突進に合せての打撃で牽制するのが定石。
「まぁ、無理よね!」
先制攻撃を【野生の勘、戦闘知識】で横っ飛びに回避。
無傷は難しいが、避け切れない分は【激痛耐性】で我慢だ。
【オーラ防御、見切り】で凌いで粘りつつ、三節にした棒で乗り手への反撃をはかる。

勝機は相手の攻撃に対する【学習力】での見切り。
根元に踏み込んで三節に重ねた棒で【怪力】の【気合】受けをし、押し切られる前に含んだ毒霧で白虎の【目つぶし】を狙う。
僅かでも怯めば、白虎の下に潜りこみ、真の姿で打ち上げの掌打。
【鎧無視攻撃】の“徹し”の一撃で信長公を狙いたい。


アリシア・マクリントック
そちらの戦力が騎馬武者ならこちらも馬です!文字通りの騎馬戦と参りましょう!変身!

シュンバーに乗り、和洋二刀流でお相手します。馬上戦闘はまだ不慣れですが、シュンバーと一緒ならきっと大丈夫です。ちょっと重いですが頑張ってくださいね!
敵の数が多いですから、体力を消耗しにくいよう敵の攻撃は受け止めるのではなく受け流しますに。
本来の用途とは逆ですが、鳳刀『暁』を防御に使い、凰剣『ルシファー』で鎧の隙間を突いて攻撃します。
未来へ向かう私達にとって過去の残滓でしかない貴方達は乗り越えるべき壁。ですが、それは過程に過ぎません。未熟な私が真に未来を切り開くだけの力を得るための試練となってもらいます!


ティオレンシア・シーディア
【血反吐】
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

…へぇ、黒曜石の鎧、ねぇ。これも縁ってやつなのかしらぁ?
その御大層なフルプレート、この子(オブシディアン)でブチ貫いてあげるわぁ。

…とはいえ、あたし接近戦も大物喰いも得意じゃないし。正面からかかってもずんばらされて終わりよねぇ。なんとか斬りこむ隙を作らないと。
煙幕・閃光手榴弾・各種ルーンにグレネード、手持ちの札を洗い浚いデコイにして特攻。○捨て身の○零距離射撃で●滅殺を叩き込むわぁ。
どのみちチャンスは一発限り、出たとこ勝負の大博打。相討ち上等、刺し違えられたら万々歳、ねぇ。

…ねぇ、知ってる?黒曜石って、堅くて鋭いけれど…衝撃には、そこまで強くないのよぉ?


ステラ・クロセ
第六天魔王の侵略活動をアタシは許さない。
この地に生きる全ての人のため、アタシは戦うよ!

いくつかの手があるけど、攻撃は炎の刀だけなら、受け止めて耐える。
アタシも炎のサイキックエナジーでできた刀で炎を噴出しながら【武器受け】していく。
押し込まれそうなら【スライディング】で股下をくぐってやり過ごす。

凌げたらUC【焔轟熱風剣】で反撃にいく。
【勇気】を全開、炎も全開、接近して斬り結ぶ。望むは真っ向勝負。
一撃じゃだめなら何度でも焔轟熱風剣を連発して超接近戦を挑む。
「アタシの炎で、アンタの炎を焼き焦がしてやる!」

※血反吐・連携など歓迎です!



「ったく、参るわね。こっちが悪役みたいじゃない」
 才堂・紅葉(f08859)は、満身創痍の信長を前に零す。
「降伏するおつもりは……ございませんでしょうね」
 アリシア・マクリントック(f01607)はベルト状態のセイバークロスに手をかけながら、信長の姿を見据えた。
「愚かなことを言うな、小娘ども。敵を慮るほど余裕と言いたいか?」
 嘲るように信長は笑う。
「まさか。手負いの獣の恐ろしさくらい、こっちだって知ってるわぁ」
 ティオレンシア・シーディア(f04145)は猛禽めいた鋭く視線を信長へ向ける。その手の中で45口径コルトSSAカスタム・オブシディアンが音を鳴らした。
「そして、第六天魔王の侵略活動をアタシは許さない!この地に生きる全ての人のため、アタシは戦うよ!」
 Now or never。そして、ステラ・クロセ(f12371)は剣を抜く。
「く、は」
 信長は笑う。
「であらば、全霊を賭けて儂に楯突くがいい。儂もまた全てを賭して貴様らを屠ろう」
 【風林火山】。ひびの入ったへし切長谷部が今また炎を纏う。甲冑と翼を信長は纏った。
 【甲斐の虎】。血みどろの虎が虚空より現れ、信長はそれに騎乗する。
 【武田騎馬軍団】。そして現れる兵の群れ。ユーベルコードの大盤振舞いであった。
「決着をつけるぞ!」
「やりたい放題やってくれるわね……!迎え撃つわよ!」
 紅葉は六尺棒を構え、敵の突撃に備える!
「はいはい。それじゃあ決戦、といきましょうねぇ」
 かちり。ティオレンシアは撃鉄を起こす。
「……それにしても、あの鎧。黒曜石、ねぇ。これも縁ってやつなのかしらぁ?」
 手の中で鈍く輝きを放つ彼女の銃も、黒曜《オブシディアン》の名を冠する。ちょっとした奇縁に、ティオレンシアは笑った。
「わかった!みんなで力をあわせてやっつけよう!」
 ステラは構えた剣に火を灯す。真っ向勝負の構えを取った。
「シュンバー!」
 アリシアは高らかに声をあげ、愛馬シュンバーを呼ぶ。蹄の音を鳴らし駆け付けるシュンバー!アリシアは颯爽とそれに騎乗すると、セイバークロスを起動させる!
「あちらの戦力が騎馬武者なら、こちらも馬で勝負です!皆さん、騎馬隊は私が引き受けました。文字通りの騎馬戦と参りましょう!」
「ほう。女だてらに馬を駆るか。……面白い。兵ども、相手をしてやれ!」
『『『おおッ!!』』』
 シュンバーと共に迫るアリシアの姿へ、騎馬軍団が武具を構えて押し寄せる!
「女と思って甘く見ると、大怪我になりますよ!……変身!」
 アリシアは馬上にてその姿を変えた!白と青に彩られた清廉なる騎士の様相!そしてアリシアは二振りの刃を引き抜く!
『なに!?』『変身だと!?』
「お相手致します、武田騎馬軍団の皆様!」
 交錯!先頭の騎馬武者へとアリシアは激突する。先手を取って仕掛けた騎馬武者の打刀、アリシアは刀で受け、その軌道を反らすように力の先を流す。態勢を崩したところへもう一方の剣で一閃!甲冑の隙間を貫くように刃を突き入れる!
『グアーッ負け戦!』
「次!」
 落馬しながら武田武者は爆散し骸の海へと還る。アリシアはすぐさま次の敵へと向かった!
『次は俺だ!』
『続きます!』
『いくら猟兵でも、我ら武田騎馬軍団のこれだけの戦力の前にはひとたまりもあるまい!』
 アリシアのもとへは次々と兵士たちが押し寄せる!しかし、彼女は一歩も退かず怯みもしない。まっすぐに視線を返しながら、アリシアは更に剣を構えた!
「未来へ向かう私達にとって過去の残滓でしかない貴方達は乗り越えるべき壁。ですが、それは過程に過ぎません」
『なに……!』
『我々が『過程』だと……!』
 武田軍団はその言葉にいきり立つ。アリシアは真正面からそれに対峙し、そして更に斬り込んでいく!
「はい。未熟な私が真に未来を切り開くだけの力を得るための試練となってもらいます!」
『やってみろッ!!』
 
「フン……この儂を『過程』扱いとは。大きく出たではないか。なあッ!!」
 急襲!!信玄虎に跨る信長が狂気めいた双眸を輝かせながら屋根瓦を砕き駆ける!
「くッ……!」
 紅葉は六尺棒の長いリーチを武器に牽制!信玄虎の激突に合わせ棒を突き出し、打撃によるカウンターを試みる!
「がああううううううううう!」
「まぁ、無理よね!」
 だが、虎の威は止まらない!
 旋風!暴風めいたプレッシャーと共に押し寄せる虎の威迫!更に燃ゆる長谷部の刀身が紅葉に迫る!
「なら……ッ!アタシが止める、ッ!」
 割って入るステラ!燃え上がるへし切長谷部へと炎の剣を叩きつけ、剣筋を押しとどめる!
「無茶よ!」
 紅葉は横飛びに回避を試みながらも、圧倒的な力から繰り出される激しい熱を帯びた剣圧に押され瓦屋根に上を転げる!
「く、ッ……!」
 すぐさま態勢を立て直す紅葉の目の前でステラは信長のあまりにも強烈な力の前に押し込まれそうになっていた。
「どうした。威勢の良さは口ばかりか!」
「この……!」
「はぁい、ちょっとお邪魔するわねぇ」
 ざ、ッ!素早くステップを刻み信長の側面へと回り込んだティオレンシアはダガー投擲!
「賢しいッ!」
 裂帛!プレッシャーを放ちながら信長は剣を振り抜きダガーを叩き落とす。その隙にステラはスライディング機動!信玄虎の股下を潜るように信長の下を通り抜け離脱!態勢を立て直した!
「むう!」
「余所見してるんじゃないわよッ!」
 じゃら、ッ!鎖の涼やかな音が鳴る!信長の横面に硬いものがブツけられた。紅葉の六尺棒――否、連結を緩めた三節棍だ!
「が、……ッ!」
 衝撃に信長が揺らいだ。猟兵たちはその瞬間を見逃さない!
「ここから……決めるッ!」
 【ハイペリア重殺術・墜天】。紅葉の双眸が輝くと共に、その背中で花に似た文様が青く光った。《ハイペリアの紋章》と彼女が呼ぶそれが輝くとき、才堂・紅葉はその身に秘めた力を最大限に発揮する。
「がああああああああッ!」
「やらせないッ!」
 迎え撃たんとする信玄虎の爪牙を躱し、紅葉は身を低くしながら信玄虎の下へ潜り込む。そして素早く鋭く、上へと向けて鮮烈な掌打を打ち込んだ!
「ぐおおお!!」
 苦悶めいて呻く信玄虎!その身体を貫いた衝撃は騎乗する信長までも“徹る”!
「ええい、ッ!然らばッ!」
 衝撃に手の先を痺れさせながら信長は逃れるように信玄虎から降り、再び炎の剣を構え直す。
「勝負だ、第六天魔王!」
 そこへステラが飛び込んだ!燃ゆる剣に意志を込め、放つ必殺の一撃は【焔轟熱風剣】!
「小癪なァッ!!」
「勇気も、炎も……全っ開、だあッ!!」
 炎と炎が!剣と剣が交錯する!ステラの剣筋より生まれる熱風が信長を打ち、信長の振るう刃がステラを灼く!へし切長谷部の刃は容赦なくステラの肌を裂きながら焼き潰し、ステラの剣は信長へと更なる傷を刻む!
「アタシの炎で、アンタの炎を焼き焦がしてやる!」
 歯を食いしばり、ステラは立ち向かい続ける。真の強さとは、相手を下すことではない。痛みや苦しみ、恐怖に脅かされながらも、それでも前に進むため、勇気を持って立ち向かい続けることだ。
「ぬるいわッ!斯様な戯れ言、本能寺でも焼いてから吐くがいい!」
 互いに放つ炎がお互いを喰らい合うように燃え上がり、業火の嵐が渦巻いた!しかし、ステラは次第に押し負ける。地獄めいて肌を灼く炎が彼女の体力を奪いつつあった。
「ちょっと眩しくなるわよぉ。お下がりなさい」
「は、はい……!」
 その交錯の中へ、ティオレンシアの声と共になにかが投げ込まれた。――フラッシュグレネード!凄まじい閃光と轟音が戦場に満ちた!
「ぬお……!小癪な!」
「小癪で結構よぉ。天下人が相手ですもの?できることはなんでもするわぁ」
 信長の視野は白一色に塗りつぶされる!ティオレンシアは更に油断なくスモークグレネードのピンを抜き、煙幕を焚いた。この隙にステラは一時後退し体力の回復に努める。
「おのれ……!」
 霞む視界。更に煙幕により閉ざされた周囲の状況に信長は歯噛みする。しかし、ここまでお膳立てしたからには仕掛けてくる筈だ。信長は短く息を吐き出し、猟兵の気配を探る――後ろか!
「そこだッ!」
 信長は振り向きざまに剣を振り抜いた!手応え!硝子の割れるような音!
「ごめんなさいねぇ。そっちじゃないのよぉ」
 ――しかして、ティオレンシアが姿を見せたのは信長の側面である!砕かれたのはルーン魔術で構築した間に合わせのデコイだ!
「不覚……!」
「ねぇ、知ってる?黒曜石って、堅くて鋭いけれど……衝撃には、そこまで強くないのよぉ?」
【滅殺】!捨て身の覚悟と共にゼロ距離に至ったティオレンシアは、信長の鎧に突きつけたオブシディアンの銃口を炸裂させる!爆轟めいた衝撃とともに信長の鎧が砕け散った!
「ぐお……ッ!よ、よくもやってくれる……!だが……、報いは、受けてもらうぞ!」
 反撃!信長はティオレンシアが離脱するよりも先に剣を振り抜く!炎の刃を袈裟懸けに落とし、ティオレンシアを灼いた!
「そう――相討ち上等よぉ。これで、いいわぁ」
 しかして、口の端に笑みすら乗せながら。ティオレンシアは膝をつく。もとより捨て身の覚悟だ。
「ならばそのまま死ぬが――」
「させないッ!!」
 ティオレンシアへととどめを刺そうと剣を振り上げた信長を、六尺棒の一撃が襲う!ここで割って入ったのは紅葉だ!虚を突かれた信長は打突の衝撃に怯む!
 紅葉は更に屋根瓦を蹴立て間合いを詰める。その背でハイペリアの紋章が光った。踏み込みとともに放つ掌底の一撃!その腕には重力を操る力が宿る。打突の衝撃に加わる超重力がその威力を極大に引き上げた!
「なん、……とッ!!」
 苦悶する信長!その全身から骨格や筋組織の砕ける音が響き渡る!
「行って、シュンバー!」
 蹄の音!更に武田軍団との戦いを制したアリシアが駆け付ける!馬上より飛び立った彼女はふた振りの剣を手に、信長へと急襲!
「今度こそ……終わりだよ、信長!焔轟、熱風剣ッ!!」
 そして、ステラが再び剣に炎を灯した!傷だらけの身体を引きずり、それでもなお双眸に勇気の火を燃やしながら刃を放つ!
「ぐおおおおおおおおおッ!!」
 そして。
「は、はは、はははははは!見事、見事であった。猟兵どもよ、よくぞ、よくここまで戦った!は、ははは!よいな。戦場で、戦い抜いて、討ち死にするとは、よいものであるな。は、はは。寝込みを焼き殺されるより、随分と良い気分だ!」
 猟兵たちのその力を一身に受け続けた信長の身体はとうとう崩壊を始める。全身の傷口から炎が吹き出し、瞬く間に炎上。炎の塊となった信長は、そのまま安土城の瓦屋根の上に倒れる。
「良い――良い戦であった。褒めてつかわす」
 その言葉を最後に、オブリビオンフォーミュラ、第六天魔王・織田信長は滅んだ。
「……大仕事、だったわねぇ」
 傷を負ったティオレンシアは、信長の消滅を確認するとその場にごろりと横になる。
「大丈夫?だいぶやられたみたいね」
 紅葉がそれを覗き込み、傷の具合を確認した。見事にやられたものだ。これはひどい、と眉間にしわを寄せる。
「あ、アタシももー限界……」
 いっとう激しく信長と切り結んでいたステラも緊張の糸がぷつりと切れ、もう立ち上がれない。
「では、お二人は私が運びましょう。シュンバーにはちょっと苦労をかけますけど……」
 アリシアは愛馬の首を撫でながら、これからのことを考えた。
 
 ――こうして、猟兵たちは信長との戦いを終え、戦場よりそれぞれの場所へと帰還を始める。
 いつしか明けた空は朝焼けの色に染まり、サムライエンパイアを照らす太陽の光が燦々と輝いていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月28日


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト