エンパイアウォー㊴~忠義の心、斯くやあらん
「さあ皆! お仕事の時間だよ!!」
グリモアベースに意味も無く設置された扉――その先に通路も何も無い本当に演出のためだけの扉を開いて水色の髪のミレナリィドール――小澄・彩(Dear my master・f12718)ことあーやがこの場へと入室する。
「集まってくれてさんきゅーでした! 早速簡単なブリーフィング始めるよ!」
その勢いのまま手に持っていた資料を猟兵たちに配る。相手の容姿、使用するユーベルコード……事細かに描かれたそれを行き渡らせていく。
「今回の相手はオブリビオン・フォーミュラ『織田信長』……その中でも「魔軍転生」って秘術を使って『豊臣秀吉』の力を憑依したヤツと戦ってもらうよ」
敵の御大将を討つ。その言葉を発した彼女は表情を少し引き締める。
「もちろんこれはとっても危険な任務。覚悟が無いなら参加するなーなんてことは言わないけど準備はしっかりと! 例のごとくこっちに対して先制攻撃を行ってくるから対応を忘れないようにね」
そんな忠告をした後にはまたゆるりと笑顔に戻る。厳しい話はこれで終わり、といわんばかりに発する音を変えて、また口を開く。
「……でもだからって慎重になり過ぎないように! 自分の力、信じてね!」
それから……と続けてざっと資料の説明をした後、改めて集まってもらった猟兵たちを見渡す。ここまで戦ってきた猟兵の猛者たち。何を思ってるだろうとその顔をうかがいながらも、彼女の笑顔は崩れない。
「ちなみに、もちろん僕は皆のこと信じてる。……だからね、怪我もするだろうし無茶もすると思うけど!」
大きく息を吸い込む。たくさんの、思いを込めて。
「――絶対帰ってきてね! Dear my master!!」
しゅみる
ゆえ氏です。始めましての方も過去別の作品に参加してくださった方もどうぞよろしくお願いします。
今回はオブリビオン・フォーミュラ、この戦の御大将である第六天魔王『織田信長』との戦いになります。
その実力は言わずもがな。苦戦も致し方なしの強敵であり、それに準じた負傷描写が行われる可能性があることをご了承ください。
アドリブに関してやその他の事項に関してはマスターページに記載されているものもありますのでよろしければご参照ください。
――その結末、未来を信じるものなれば。
それでは改めまして、よろしくお願いします。
=============================
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
=============================
第六天魔王『織田信長』は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
=============================
第1章 ボス戦
『第六天魔王『織田信長』秀吉装』
|
POW : 黒槍殲撃
【秀吉を融合させた鋼鎧から無数の黒槍】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 黒粘剣戟術
【秀吉の黒粘液で全身から刀まで全てを覆い】、自身や対象の摩擦抵抗を極限まで減らす。
WIZ : シャドウクローニング
レベル×5体の、小型の戦闘用【豊臣秀吉(フェンフェンだけで意思疎通可)】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
ヘザー・デストリュクシオン
勝ち負けとかどうでもよくて、ただ壊しあって死にたかったから猟兵になったの。
でも、わたしが死んだら悲しんでくれるんだろうなって人ができたから。
だから勝って、生きて帰るの。
首元のリボンを解いて素早さを上げて、ダッシュやジャンプ、スライディングで素早く立ち回って回避しながら攻撃するの。
摩擦抵抗を減らしたからって攻撃が当たらないわけじゃない。
たくさん攻撃すればその内動けなくなるでしょ?
できるだけ回避するけど死なない程度のケガは気にしないの。
あなた強いのね!楽しくなってきちゃったの!
動けなくなるまで付き合ってあげるの。
わたしは生きる覚悟をしたから死ぬまでは付き合わないけど、あなたの死は看取ってあげるの。
「――兎が一匹、紛れ込んだか」
瞳を開き、ゆらりと玉座から立ち上がる男が一人。
圧倒的な実力で裏づけされた自信。そして強者特有の圧を撒き散らしながら彼は一人の猟兵の前に立つ。
「ただ一言兎って表現されるのは気に入らないの。わたしにはヘザー・デストリュクシオンって名前があるの」
それに対峙するのはヘザー・デストリュクシオン(白猫兎の破壊者・f16748)。兎と猫の特徴をその体に持つキマイラが男――信長へと視線を固める。
「その破天荒な気概は良しとするが……はてさて、どれほどのものか」
その視線に答えるように口を開く信長は不満げとも、余裕があるとも見て取れる表情でヘザーを見つめる。ただ、間違いなくあるのは強者の余裕。命を懸けた一戦を前にして一歩も譲らぬ胆力がそこには確かにあった。
「敗北をプレゼントしてあげるの」
口を開く信長に対してヘザーはまた返す。
「勝ち負けとかどうでもよくて、ただ壊しあって死にたかったから猟兵になったの。でも、わたしが死んだら悲しんでくれるんだろうなって人ができたから。だから勝って、生きて帰るの」
「理由が出来たから負けないと? それで戦が勝てるなら苦労しないのだろうな……否、苦労してこなかったのだろうな」
そんな受け答えをしつつ信長は笑う。この戦でなめさせられてきた苦い思い。蘇るそれをわずらわしく思いながらゆっくりと刀を抜く。
それに対応するようにヘザーも首もとのリボンを音を立てながら引き抜く。それは彼女にとっての重石の一つ。手を離し、風に舞うリボンを見送りながら彼女は低くその体を構えて。
「動けなくなるまで付き合ってあげるの」
「笑止。その慢心を砕いてやろう」
その言葉が最後、二人の間で戦いが始まる。
先手はいただいたといわんばかりに全身のバネを使って動き出すヘザー。ダッシュ、ジャンプ、スライディング。緩急を含めた不規則な軌道で惑わずべしと動き回る。
対して信長は待ちの姿勢。ユーベルコードで黒粘液を全身へとまといつつも、ヘザーの動きを目で追いながらも隙の無い構えで相手を待つ。
「摩擦抵抗を減らしたからって攻撃が当たらないわけじゃない。たくさん攻撃して叩き潰してあげるの」
そう呟きながら、取ったといわんばかりに彼女は信長の背へと己の爪を伸ばす。
「どうやら貴様は大きな勘違いをしているようだ」
――そして、その呟きを否定するように、その一撃は放たれた。
ただ一閃、その刃は鋭く振るわれた。光にも似た到達速度。ユーベルコードと技量によって放たれたそれは不意打ちだと思われた一撃を容易に打ち砕く。
「――!?」
ヘザーは戦いの中過敏になっていた本能でその一撃を避ける……否、致命傷は避ける。そこに残るは大きな大きな刀傷。とめどなく流れていく血を抑えながら一歩、また一歩と下がっていくだろう。
「引くがいい未熟な兎よ。客人はお前だけではないのだから」
余裕綽々と言ったその言動にヘザーは歯噛みを覚える――が、この手傷と相手の状態。そして自分のもっとも大切な目的を思い浮かべて彼女は下がっていく。
自分の事を思ってくれるであろう相手を、悲しめないために。
失敗
🔴🔴🔴
フィーア・ストリッツ
憑依術……興味深いですが、脅威度は大幅に上昇していますね
「フィーアです。それでも退くわけには参りませんので」
―戦闘を開始します
・先制対策
広範囲破壊攻撃
流石に狙いが的確ですが…
「発生の起点は鎧ですね。ならば」
即座にアームマシンガンを発砲し
敵の鎧を一部分だけでも破壊するのを狙います
(技能:【クイックドロウ】【鎧砕き】)
鎧のない所=攻撃のこない所ですので
生まれた攻撃の隙間に飛び込んで初撃を回避しましょう
・反撃
【ヴァリアブル・ウェポン】を起動
先程までの鎧砕き狙いの粘着榴弾モードから、対人殺傷用の高速徹甲弾モードにチェンジ
どちらかが力尽きるまで撃って撃って撃ちまくります
「お覚悟を」
【アドリブ歓迎】
エスタシュ・ロックドア
★
とうとう会えたなぁ信長、と秀吉?
御噂はかねがね伺ってらぁ
は、流石は天下に名を轟かせた武将
とんでもねぇ圧だ
だがこっちも引けねぇな
地獄から鬼が迎えに来たぜ第六天魔王
六道最下地獄道まで直行便でお届けしてやる
敵UCは鉄塊剣フリントを盾にしのぎながら接近するぜ
【怪力】でフリントをぶん回して【なぎ払い】したりな
それでも刺さったら業火を迸らせつつ【激痛耐性】で耐える
四肢を斬り飛ばされようと、
地獄の業火がある限り俺を止めるこたぁできないぜ
『群青業火』発動だ
接近できたら業火をフリントに纏わせ過熱つつ斬りかかって【吹き飛ばし】
敵の更なる攻撃にゃ【カウンター】
黒槍ひっつかんで投げ返してやろうか
「……ふむ。次なる猟兵は何を見せてくれるか」
男は敵の気配のする方向へと顔を向ける。まだお互いの射程の先、そこには一組の男女がこちらに向かうのが見えて。
「憑依術……興味深いですが、脅威度は大幅に上昇していますね」
「とうとう会えたなぁ信長、と秀吉? 御噂はかねがね伺ってらぁ」
フィーア・ストリッツ(サキエルの眼差し・f05578)とエスタシュ・ロックドア(碧眼の大鴉・f01818)は信長の姿が見えればそれぞれがそれぞれ、反応を示す。敵の御大将。その圧を体中に受けながらもその歩みは止まることはない。
「おい、嬢ちゃん。今からやろうとしてることはスタミナ勝負だ。ビビんなよ?」
「フィーアです。退くわけには参りませんので、覚悟は出来ています」
「よっしゃ上等! 初動は任せな!」
わずかな言葉を交わしながらエスタシュが速度を上げる。鉄塊にもにた己の両手剣、その質量を盾にしながら一歩相手の間合いに踏み込む。
「ずいぶんな挨拶だな」
その行動を見て信長も黙っているわけではない。彼が攻撃の手段として使うのは無数の黒い槍、槍、槍……鎧から生み出されたそれを、無慈悲にも放っていく。
「おいおいやっぱトンでもねぇな。――まぁこっちも引けないんでね!」
数本の槍を剣の腹で受け横を飛び去ろうとする槍を凪ぎ、叩き落す。圧倒的に手数は足りていない、が、そこは気合と根性。『スタミナ勝負』と豪語したのは自分だ。槍の一本や二本、甘んじて受け止めながらその距離をつめる。
「援護感謝します――戦闘開始」
その梅雨払いで出来た隙間にフィーアが動く。アームマシンガンを起動し狙いを定める。すばやい所作から放つそれは粘着爆弾。黒い槍の起点となるそれを砕くために無数に放たれていく。
それに対して信長は己の持つ刀で払いにかかる。一つ二つ、その切っ先で叩き落していく、のだが。
「おいおい、剣で打ち合う相手はこっちだろ?」
うねり、すべてを飲み込むかのような大剣の一撃がそれを許さない。圧倒的な質量を、わざとらしく防御を誘うために大きく振るう。
その一撃にはもはや防ぐ以外の手は無い。悪態をつきながら刀が振るわれ、武器同士が火花を散らすころ、撃ち続けられていた粘着爆弾も信長の右半身へと着弾する。
「攻撃効果……鎧の損傷を確認」
「上出来だな。さぁて、こっからだ……!」
そこから巻き起こるのは『殴り合い』だった。
エスタシュが、ユーベルコードで威力の増したその大剣を叩きつける。火花を散らし、時には体を引き裂き、引き裂かれる。
フィーアが、己の持つ描きすべてを叩きつける。対人用の徹甲弾。最低限の動きをしつつも火力偏重だと叩きつけていく。
己の持つ重火力で勝利をつかむ――猟兵にその道が見えたときまた、信長が動く。再び出現する無数の黒い槍。火力には火力で答えようといわんばかりに、再びほとばしらせて。
それを見たフィーアは自分から見て左へと回り込む。鎧が損傷し槍の弾幕の甘い場所へ。急所を貰わないとわかればここで決めるといわんばかりに己の持つ武装すべてに火を噴かせていく。
対するエスタシュは手に持つ肉厚の大剣を盾にしつつもその半身は誘うかのようにさらけ出した。そして手を伸ばす。相手の放つ、その槍の一本に。
「引けねぇって、言ってんだろ!」
槍はその手を貫いてしまった――が、それでも確かに握られていた。ノン無い麻薬によって痛みの届かない彼はその槍の切っ先を裏拳の要領で叩きつける。自分の体を犠牲にしたカウンターは、信長の意表をつき体制を崩していく。
「――お覚悟を」
それを好機と見たフィーアはその攻勢をさらに鋭く変える。ばら撒き当て、援護するように撃っていたそれを急所へ、殺傷するためのものへと変える。
「そぉら! 地獄から鬼が迎えに来たぜ第六天魔王。六道最下地獄道まで直行便でお届けしてやる――!」
そして、その隙を作った男も止まらない。体中から噴出す群青色の炎が彼を満たす。その体に、四肢に、そして武器に。意思を持つ火となった彼は、何の容赦も無くその刃を振るう。
――二つの炎が交錯する。凶弾となったそれは、確かにオブリビオンを貫いた。凶刃となったそれは、確かにオブリビオンを溶断した。
「――撃破数、1」
小さいながらも確かに響いたフィーアのその一言で、猟兵の二人は傷を抱えながらもその勝利を実感していくだろう。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
泉・星流
「年貢の納め時…って、納められる立場の方か…」
先制攻撃が来たら
「そっちが『無数の黒槍』なら…こっちは『無敵の魔法の箒』だっ!!」
無尽蔵に飛来すると思われる黒槍に、『魔法の箒』を創造して風属性(速度&風圧)か地属性(硬度上昇)付与
大半は自分を中心に旋回させて黒槍を撃墜、十数本程は近くで扇風機のように回転させ、旋回する箒を抜けてきた黒槍を弾く
武器『BSG』や【オーラ防御】も活用
【スナイパー・掃除・範囲攻撃・属性攻撃・念動力】
箒の何本かは光属性付与(速度&【破魔】)飛来する黒槍の合間を縫って信長(と鋼鎧)を攻撃
「今だっ!!」
【破魔】で秀吉と鋼鎧を分離出来たら、防御に使った箒も使い一気に攻勢に転じる
田丸・多摩
【SPD】
・対先制
敵は先んじて全身と刀に粘液を纏い、摩擦を減らす……先制攻撃としては「だから何やねん」と思わないではないが、ともかく。
刀まで覆われ滑りやすくなっているなら、スキル【騎乗】【運転】を利して、宇宙バイクの後輪を浮かせつつタイヤを回転させ、そのタイヤで刀を迎撃することで滑らせ、太刀筋をずらす。
・反撃
バイクの排気による【目潰し】、念力による【マヒ攻撃】によって動きを鈍らせた上で【ゴッドスピードライド】による突撃体当たり。
狙うは肩のトゲトゲあたり。敢えてバイクで刺さりに行く。そうすれば、摩擦によって滑ってしまうことなく衝撃を十全に伝えることができるはず。
「特攻(ぶっこみ)、行くぜぇ!?」
「……これまた、騒がしい客が来たようだ」
こだまする排気音――本来この世界で聞くことのない音が辺りを満たす。発生源はもちろん世界を超えて戦う猟兵たち。
「振り落とされんなよ?」
「分かってる!」
その発生源たる宇宙バイクには二人の人影があった。
一人は田丸・多摩(謎の裏方お姐さん・f09034)。宇宙バイクを現在進行形で操るお姉さん。ドワーフだがその体格に似合わない質量のバイクを駆り、今戦いの場へと赴いた。
一人は泉・星流(人間のマジックナイト・f11303)。宇宙バイクへと同乗する箒を片手に持った少年。既に無数の箒を周囲に展開させて並走させておりそこからはその幼さを感じさせないだろう。
「騎馬による突撃……室内でよくやる」
信長はそう漏らしながらも迎撃を開始する。体中に粘液をまとい、さらに黒い槍を展開。突撃しに来るそれに向けては、先んじて黒い槍を放っていく。
「そっちが『無数の黒槍』なら…こっちは『無敵の魔法の箒』だっ!!」
それに答えたのは流星だった。並走していた箒を前へ。属性付与によってその硬度を増した箒を回転させて盾にしていく。
もちろんそれ単体で槍を防げるものではない――が、その数は無数。突撃するという今現在、防ぐ方向が決まっているということも大きく働き、飛来する槍をことごとく落としていく。
「ならば、こちらはどうだ?」
箒によって出来た道をかける騎馬は止められない――それを理解した信長は刀を構える。放たれるのは神速の一閃。技量とユーベルコードによって発生した摩擦をなくす粘液によって可能になったそれはまともに受ければ鉄の塊すら切り裂く一撃。
「しゃらくせぇ!」
だがそんな一撃を前にしても多摩は怯まない。臆することなくバイクを滑らせ相手へと背を向ける。そして同乗者に寄るように言いながらバイクの後輪を持ち上げて信長へと叩きつける。
交錯する刀とタイヤ。その結果は明らかであるはずだったが、そこに多摩の一工夫が加わることによって結果は逆転していく。
多摩は掲げた後輪を回転したまま叩きつけていた。摩擦のほぼ無い信長の刀はそれによって大きく上へとそらされていく。
「チィッ!」
さらに排気ガスでの目潰しのおまけつき。悪態をつきながら一歩下がる信長。そこへと猟兵たちは追撃を重ねる。
「流星! 右に旋回!」
「はいっ!」
同乗者である彼も一緒に体を傾けること最短距離で車体を信長へと向けなおす。十分な速度、そして覚悟を持って彼女はまた突撃を開始する。
「特攻(ぶっこみ)、行くぜぇ!?」
信長もそれに対して黙って見ているわけではない。払いで駄目であったとしても力が一点に集まる突きならば? そう考え迎撃のために構えていく。
それに答えるかのように宇宙バイクは今度は前輪が上げられる。その質量を再び叩きつけようと、構えるように。
「逃げんなよ!」
「――笑止!」
豪胆さと鋭さがぶつかり合う。そんな再びの交錯は信長の思い通りにことが進む。騎手への被害はかろうじでなかったものの、バイクは刀に貫かれその動きを止めていく。その損傷は先ほどまでと同じように走ることは不可能だ、と素人目でも分かるほどであり、その結果に信長はほくそ笑む。
――だが、信長が思い道理であるこの事態も、多摩は想定内であった。
大型バイクほどの大質量。容易にとめられるものではない――そして、とめたとしても必ず隙が出来る。
『駆け巡れ……僕の変幻自在の箒達……』
返すようにしてやったり、と笑う多摩の後方から声が発せられる。いつの間にかにバイクから降りていた流星の声。流れる箒を制御するために響かせるそれによって動きの止まった信長に狙いを定めていく。
「――チェックメイト、です」
最後に宣言でもあり号令でもある一言が辺りへと響く。
流星かのように瞬きながら飛翔する箒たち。それは確かに信長の体へと叩き込まれていき確かな手傷を与えていった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
富波・壱子
★
最初から戦闘用の人格へと切り替わった状態で参加
武器は刀の二刀流を選択
任務了解。これより戦闘行動を開始します
敵の先制攻撃は【第六感】【見切り】【残像】で回避。回避し切れない攻撃は【武器受け】で防御します
大量の豊臣秀吉全てを相手にし続けるわけにもいきません。先制攻撃を凌いだらユーベルコードを発動
瞬間移動によって豊臣秀吉の群れを飛び越え直接織田信長へと肉薄し、両手の刀による【捨て身の一撃】【2回攻撃】を繰り出します
敵戦力が強大であっても、恐怖も高揚もありません
例え標的がただの雑兵でも、敵の大将でも、私のすべきことは一つ
戦って、殺します
「――標的を捕捉しました。これより攻撃を開始します」
飛ぶように駆ける彼女、富波・壱子(夢見る未如孵・f01342)は待ち構える相手へと正面から向かっていく。それはあたかも、誘うかのように。
そしてその待ち構える相手、信長も答えるように動いていくだろう。己のユーベルコードを発動し、小型戦闘用秀吉を前へ。その数は無数とも言える数。小さな軍となって彼女の前に立ちふさがる。
「たとえ敵戦力が強大であっても、標的がただの雑兵でも、敵の大将でも……」
ぼそりと彼女は呟く。それはいかなる敵においても果たすべき役割は変わらないという覚悟の表れ。戦って、殺す。なすべきことを自覚した彼女はそれを果たすために突き進んでいく。
――乱戦が、始まった。
小さな軍隊が猛威を振るう中彼女は突き進む。殺気を感じては避け、自分の感覚を信じては避け、邪魔するものは薙ぎ払う。無数に補充されていく軍隊だがその中でも一歩も引かず、壱子は突き進む。
優勢、といえるだろう。相手との距離は次第に縮まっていき彼女の間合いまで後三歩――そんな時、信長側が動いた。
行動を変え、数瞬溜めて隊列を正確に整え、なおかつ壱子の癖を理解した配置へと変える。突撃から今までのデータから考えられた一手が彼女を襲おうとしていた。
だが壱子は焦らない。むしろ勝機を見つけ出していた。相手が決まったと思うこのタイミング、そこに隙があるのだと彼女は理解して。
彼女は跳んだ。
視線を向けた先。討ち果たすべき敵のその背後へとショートワープ。振るうべく構えられていた刀は確かに相手の首へと向かう。
小さな軍隊は確かに振り切った。信長の背後も取った――そんな状況だが油断など出来たものではないと壱子は内心呟く。その視線の先では首を回し、眼光をこちらへと向ける信長が居たのだから。
無限にも感じる一瞬、殺気を向け、そして向けられるこの瞬間だがそれでも彼女は焦らない。警鐘を鳴らす本能を理性で制御してただ最短の、必殺の一撃を振るう。
相手の刀が壱子の右肩へと到達し、深々と突き刺さり赤い花を咲かせていく。
だが、それでも。
「――私のすべきことは一つ」
彼女の振るう二刀は、今確かに信長の首を捉え切り落とした。
成功
🔵🔵🔴
ガルディエ・ワールレイド
★
信長と秀吉……この世界の歴史知識に疎い俺でも知ってる黄金タッグだな
まさしく最終決戦に相応しい強敵だ
お互い悔いなくやろうぜ?
・基本
武装は魔術戦用の長杖『赫々と煌めくモノ』
常時《オーラ防御》を展開
・対先制
摩擦抵抗が極限まで減ってるってことは物理攻撃は効かねぇし、滑るような高速移動をしてくる可能性も有るか
だが敵自身も足の踏ん張りが効かねぇ筈だ
自分を中心としてドーム型の《念動力》を展開
敵自身の特性を逆手に取って意図せぬ方向へ滑らようとするぜ
・反撃
《属性攻撃/全力魔法/範囲攻撃》による赤い雷撃を主力とし、ある程度近づかれたら【竜神咆哮】使用
雷撃による感電や念動力の飽和攻撃で敵の回避力を制する
フェイルシア・インパーサ
★【アドリブ連携歓迎致します】
私の剣がどこまで届くはわかりませんが、
この国、そしてこの世界、貴殿にお渡しするわけにはいきません!
●先制攻撃対策:POW
相手と自分の位置及び周辺の障害物を【情報取集】して
黒槍が向かってくる方角を予測し、動きを【見切り】回避
避けきれないものは【なぎ払い】ます
【高速詠唱】で【悠久に咲き輝く愛すべき造花】を狙いますが
間に合わない場合は【学習力】で槍の速度や攻撃間隔を把握し
さらに【見切り】【なぎ払い】
もしも途中でダメージを受けてしまうようであれば
【激痛耐性】で我慢しましょう
【悠久に咲き輝く愛すべき造花】を放てるようになれば
自分に向かう黒槍と信長公をまとめて一網打尽にします
「――では、お願いいたします」
「おうよ。役目はきっちりと果たさせてもらうぜ」
新たに信長に近づく影は二つ。戦略のすり合わせが終わり共に前に出始める。
「私の剣がどこまで届くはわかりませんが、この国、そしてこの世界、貴殿にお渡しするわけにはいきません!」
その言葉と共に前に出るのはフェイルシア・インパーサ(騎士姫の造花・f04276)。剣を片手に、その言葉にたがわぬために前を向いて。
「信長と秀吉……この世界の歴史知識に疎い俺でも知ってる黄金タッグだな。まさしく最終決戦に相応しい強敵だ。お互い悔いなくやろうぜ?」
そう言葉を相手に向けるのはガルディエ・ワールレイド(黒竜の騎士・f11085)。今ここでは杖を持ち、敵を見据えて。
「……ふむ」
そんな二人に信長は疑問に思う。方や装備が、方や体格が明らかなインファイターであるのにこちらへと向かってこない。一定の距離を保ちながら攻撃を誘うような――もしくは、罠に誘うかのような行動に違和感を覚えて。
「……まぁよかろう。わしの力と猟兵の策。どちらが上回るかというだけ」
言葉と共に信長は黒い粘液を纏い、同じく黒い槍を放つ。近距離戦への対策。遠距離への執拗な攻撃とこの姿の鉄板の攻撃を放って行く。
「ガルディエさん、こちらですわ!」
「おうよ!」
フェイルシアの言葉に従ってガルディエは共に動く。
フェイルシアが行うのは黒槍の弾道予想と行動の決定。この場を指揮しつつ支配する役目。
代わってガルディエは率先して槍を往なす前衛の役目。オーラ防御、そして念動力を駆使し、梅雨払いをなす。
距離を放ち、自分たちから刀の間合いに入らない――それが彼らの作戦の一つ。
実際にそれは功を成し、黒槍へと安定した対処が可能となっていた。
フェイルシアの対応が安定し、もう少しで反撃に転じられる――そう感じられたとき、それはさせぬと信長が動く。
飛び交う槍を盾にその距離を一気につめる。摩擦という概念を可能な限り排除した神速の太刀。これまで幾度も敵をほふってきたそれをまた、敵となる猟兵へと向ける。
「さぁて……ここは踏ん張りどころだな」
それに答えるかのようにガルディエは前に出る。念動力を集中。飛来する槍よりも、駆け抜ける強敵に目を据えて。
――交錯する。刀と目に見えない力、それでも確かに。
「くそったれ……ただの踏み込みであの速度かよ」
そしてガルディエは押されていた。本来であれば摩擦が無く踏ん張りが利かないであろう相手を受け流す手はずだったがそれが行えない――制御された黒い粘液は足の裏へとついておらず想定が外れていた。
「ガルディエさん!」
「あわてんな!」
その事態にフェイルシアは声を上げるが彼は焦らない。自分の策が破られる、それは想定していないわけではなかった。そしていま、隣にはフェイルシアが居る。
――まだ手はある。
思考をめぐらせながらの何度目かの打ち合いの末、念動力は破られる。眼前に迫る刀。それを前に彼は、さらに前に踏み出した。
振るわれる刀。引き裂かれる肉――オーラ防御をしているといえどもその傷は簡単に浅くはなってくれない。なんとか致命傷は避けながらも大きなダメージを負いながら彼は進む。
「一人じゃ流石にやる気にはなんねぇが……二人なら、まっ生きては帰れるだろ」
そういいながら彼は信長へと組み付いた。溢れる血で黒い粘液を流し、念動力でも固定する、決死のホールド。
「フェイルシア! 俺ごとでいい、やれ!」
「ッ――はいっ!」
ガルディエの言葉に彼女は答える。迷ってる暇は無い。今無駄にしてはいけないのは彼のその覚悟なのだから。
「最果てより想う……かつて栄えた理想郷、朽ちて変わらぬ我が忠誠! 受け継がれし騎士の奥義、今こそその身に焼き付けなさい!!」
花弁が舞う。それは蝶の羽ばたきのように見える微風から言葉が紡がれるごとに嵐へと変化していって。
「おっと――ついでだ。これももってきな」
さらにガルディエの言葉を追って雷撃が嵐の中に現れる。それは確かに、己と組み付いた相手を狙って。
――花の嵐が、雷撃が着弾する。
劈くような轟音とこげ跡から出る煙。一瞬辺りを覆ったそれは決着の瞬間を曇らせ結果だけを示した。
倒れ伏す信長。
へたり込むガルディエ。
心配そうに駆け寄るフェイルシアにガルディエは手を上げて答える。
それはこの場の戦いが収束したこと――すなわち、猟兵たちが勝利したことを表していた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴