エンパイアウォー㉞~決戦・第六天魔王~
●
「皆やったぞ!ついに敵本陣、魔空安土城を引きずり下ろすことに成功した!」
興奮冷めやらぬといった様相で猟兵たちへと語り掛けるのは、テオ・イェラキ(雄々しき蛮族・f00426)だ。
猟兵たちの活躍により首塚の一族を無事送り届けることに成功し、ついに儀式を成功させたのだ。
「安土城の兵たちに対応する必要は無い……十分な数の幕府軍が残っているからな。雑兵は彼らに任せ、皆は信長を討伐して欲しい」
テオによれば健在である幕府軍は安土城に配備されていた信長軍を抑え込むのに十分な数が到着しているという。
であるならば、あとは敵総大将、第六天魔王・織田信長のみだ。
「だが、当然信長は強大な敵だ、皆気を引き締めて臨んで欲しい」
テオの予知によれば、信長は秘術「魔軍転生」によって、配下の魔軍将を背後霊のように憑装させて戦うという。
その憑依の内容によって、信長は戦い方を変えてくるのだ。
「皆に対応してもらうのは、織田信長・信玄装―つまり奴が操るのはあの武田信玄の力だ」
今回猟兵たちに討伐してもらう信長は、魔軍転生の力により信玄の力を憑依させ戦う。
強力なオブリビオンである信長に対応する為には予知の中身からその戦い方を予測し、十分な準備をして臨む必要があるだろう。
「この大戦、勝利は近いと感じている……だが、ここで皆が欠けてはせっかくの勝利の宴も楽しめないものとなってしまうだろう。皆、是非とも気を付けて挑んでくれ」
テオは鼓舞するように猟兵たちの肩を叩き、戦場へと送り出した。
きみはる
●ご挨拶
お世話になります、きみはるです。
エンパイアウォーもついに佳境となりました。
勝利を目指し、皆で頑張りましょう。
●注意事項
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
第六天魔王『織田信長』は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
第1章 ボス戦
『第六天魔王『織田信長』信玄装』
|
POW : 風林火山
【渦巻く炎の刀】【黒曜石の全身甲冑】【嵐を呼ぶ樹木の翼】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD : 甲斐の虎
自身の身長の2倍の【白虎状態に変身した武田信玄】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ : 武田騎馬軍団
レベル×5本の【武田軍】属性の【騎馬武者】を放つ。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
メンカル・プルモーサ
…信長か…噂通り強大な相手だね…
…今回は信玄の力を借りて…信玄の力を借りる信長、と言うなんとも言えない言霊…
…武田の騎馬軍団の突撃は驚異…と言うのは開けた場所の話…
今は広いとは言え城の中…突撃ルートは予測できる…
…遅発連動術式【クロノス】により、踏んだらその箇所から凍り付く罠を突撃ルート各所に設置、馬の転倒を狙うよ…
…後続が転倒に巻き込まれれば良し、跳んで回避するようなら空中にいるところを氷の矢で狙い撃ち…これで対応…
…信長に対しては【空より降りたる静謐の魔剣】を斉射…に見せかけて270本のうち10本はタイミングをずらして、10本は死角に回り込む軌道で撃ち込むよ…
まずは1回、倒れて貰う…
●
「信長か……噂通り強大な相手だね……」
メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は迫り来る軍勢を眺め、一人愚痴る。
目の前の軍勢とは、信玄装を纏った第六天魔王・織田信長が放った武田軍属性の騎馬武者たちだ。
メンカルが通っていたのは魔空安土城の通路。
決して狭くはないものの、その通路いっぱいに犇めく騎馬兵が蹄の音を響かせながら駆け寄る様は、命の危険を感じさせるには十分な迫力を有していた。
「……武田の騎馬軍団の突撃は驚異……と言うのは開けた場所の話」
しかしメンカルはその光景を前にして尚、怯んではいなかった。
騎兵は開けた平野でこそ、その猛威を振るう。
直進しか出来ない騎兵など、唯の動く的だ。
「遅発連動術式『クロノス』発動……」
予知の内容から信長の戦法を予測していた彼女は、迫り来る武田騎馬兵を屠るべく、既に通路に罠を仕込んでいたのだ。
仕込まれていたのは術式の力を留め置き、罠として用いることが出来る遅発連動術式『クロノス』――込められていた術式は、『凍結』だ。
馬の嘶く声が通路に響く。
進軍に合わせ発動された術式が戦闘の騎馬の足を止めたのだ。
次々と後続がぶつかり、通路を覆うように生み出された氷の刃に貫かれていく。
大迫力のままに駆けていた騎馬武者たちは、一瞬にして肉塊と化した。
「信玄の騎馬兵を屠るなど、中々にやるでは無いか小娘」
己が初撃を無効化されたことに焦ることなく、信長はゆっくりと歩を進める。
いついかなる時も己を見失わず、焦らず……その威風堂々たる態度は、覇軍の総大将たるオーラを感じさせた。
「停滞せしの雫よ、集え、降れ。汝は氷雨、汝は凍刃。魔女が望むは数多の牙なる蒼の剣」
対し、メンカルが放つは通路を覆うほどの魔剣の群れ。
逸ること無く、気圧されること無く……冷静に、そして確実に降り注ぐ魔剣の雨――信長の背後を貫いたのは、通路を覆いつくすように放たれた魔剣とは別に背後を狙った奇襲の一撃だ。
「まずは1回、倒れて貰う……」
少女は手中の杖を握りしめる――加えた一撃に浮かれること無く、その眠たげな瞳を細めながら。
成功
🔵🔵🔴
ウィルバー・グリーズマン
……本当に虎だとは思いませんでしたね
乗り心地はどうです?
魔術で切り抜けましょう
[全力魔法]の『ミスチーフ』で転ばすのをメインに移動阻害を狙います
足止めの『マッドネスソーン』を信長の下に発動し続けて粘着化、『シャドウプラン』で建物内の影を移動し、逃げ続けます
『ブラスト』と『タイムクリエイト』を複合して、低速の水魔弾を周囲一帯に大量展開。魔弾はマッドネスソーンで粘着化
当たれば纏っている炎を消しつつ、動きを鈍らせられますね
攻撃されそうになれば、タイムクリエイトで低速化
『フラッシュボール』で目を眩ませます
『エアウォーク』で浮いて【エアカウンター】発動
渾身の[カウンター]パンチで信長をぶっ飛ばしましょう
フィオレッタ・アネリ
わ…全然スキがないカンジ…!
でもぜったい負けられないよね
足は速いけど小回りは効かなそう
信玄さんに乗ってこちらに向かってきたら
見切りでタイミングをあわせて
地面から《メリアデス》の樹の槍を
とつぜん何本も生やしてカウンター!
ちょっとでも怯ませられたら、その隙を突いて
目立たないように槍の周りに潜ませておいた蔦を絡め
全力魔法で強く縛り付けて…
あなたをここで倒さないと戦争が終わらないなら…
わたしの全力で行かせてもらうね
《ファヴォーニオ》、おねがい!
《春の祝福》で風の精霊魔術を増幅
普段の数十倍の真空の渦を作り出して
信長さんを信玄さんごと飲み込んで吹き飛ばしちゃう
※アドリブ・連携、歓迎です!
●
「新手か……行くぞ信玄」
第六天魔王・織田信長の呼びかけに対し力強い雄叫びで答えるのは、巨大な白虎へと化した武田信玄。
身に纏う重厚感溢れる鎧を物ともせず軽やかに信玄へと飛び乗った信長は刀を抜くと、猟兵たちへと飛び掛かった。
「本当に虎だとは思いませんでしたね……乗り心地はどうです?」
魔本『アルゴ・スタリオン』を手に皮肉めいた言葉を投げかけるウィルバー・グリーズマン(入れ替わった者・f18719)
牙を剥き床を蹴る信玄――その鋭い爪がウィルバーの身体を引き裂こうとしたその瞬間……彼は己が影の中へと消えていった。
「残念でしたね」
どこからともなく聞こえる彼の声には……神経を逆なでするような、愉悦の色が浮かんでいた。
苛立たし気に唸り声を挙げる信玄――その視線はもう一人立っていた少女へと向かう。
「わっ……全然スキがないカンジ!でもぜったい負けられないよね!」
信玄に跨る信長の迫力に気圧されながらも、フィオレッタ・アネリ(春の雛鳥・f18638)は気合を新たに身構える。
普段は柔らかな微笑みを浮かべるその口元は、強く結び引き締められていた。
信長に腹を蹴られた信玄が、雄叫びをあげながらフィオレッタへと牙を剥く。
その雄叫びにぎゅっと杖を握りしめるフィオレッタ。
その光景に気圧されても、彼女は決してその戦場から逃げ出さない。
「今っ!」
信玄の牙がフィオレッタを捕まえようとしたその直前――彼女は全力で後方へと飛び跳ねる。
彼女が立っていた場所から生み出されたのは、彼女の精霊魔法により生み出された植物の槍だ。
突如現れた鋭く尖った樹が、白き虎の足を紅く染めた。
「そのような小枝……甲斐の虎を止めるには無意味よ」
信長の言葉通り巨躯を誇る信玄が大きく足を振るえば、ぶちぶちとその槍は音を立てていく。
容易に引きちぎられるだろう――そう信長が予想した未来、しかしそれは“何も無ければ”訪れるものだ。
「僕の存在を忘れていませんか?」
そう背後から声をかけるのは、ゆっくりと信玄の巨大な影から現れたウィルバーだ。
彼が再び魔本をめくれば、宙へと生み出した水弾を信玄へと放つ。
その魔弾は信玄の動きを止めるべく放たれた粘着弾だ。
荒々しく雄叫びをあげる信玄――しかしその足を覆う半透明の液体が絡みつき、容易には離さない。
「あなたをここで倒さないと戦争が終わらないなら……」
自然を愛する少女は、動物の姿を取る信玄を傷つけることに躊躇いを覚える。
しかし戦わねばならない、この戦いには世界の命運がかかっているのだから。
ウィルバーの魔術により足を止められた信玄を、ゆっくりと蔦が覆う。
フィオレッタの精霊魔術により成長していく植物が、その巨躯を以ってしても逃げ出せないほどに強靭に、信玄の全身を雁字搦めに縛り上げていった。
「小娘ぇ!」
不利を悟った信長が苛立った雄叫びをあげる。
みるみるうちに身動きが取れなくなっていく信玄の背から飛び上がった信長は、眼下の少女を眺め、その野太刀を振り下ろした。
重く、鋭い一撃。
空気を裂くその一撃が直撃したのであれば、人間など容易く二つに斬り裂かれてしまうだろう
しかしその一撃は……魔術により風ににって飛び込んだウィルバーに遮られたのだった。
「どうぞ、全て返しますよ」
『エアカウンター』により宙に縫い留められる野太刀――次の瞬間、その刀は握りしめる信長ごと後方へと吹き飛ばされた。
「ファヴォーニオ、おねがい!」
重ねてフィオレッタが放つのは、『春の祝福』により強化された精霊魔法。
彼女の力を受けた精霊が荒れ狂う風を生み出し、ウィルバーにより吹き飛ばされた信長と縛り上げられた信玄を纏めて飲み込んでいった。
信長は吹き飛ばされる――魔術師が放つ風の拳によって――精霊が放つ風の刃によって。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
遠呂智・景明
虎がなぜ強いのか知ってるか?
ってのは異国のまんがの台詞だったか。
なら、虎の威を纏った魔王を斬れば、俺は虎より魔王より強い刀ってことにならァな!
さて、とはいえあのデカさの虎。
一筋縄ではいかねぇだろう。
真正面からの激突は愚策。
敵の攻撃は二本の刀で受け流しつつ、隙を見切ってかうんたぁだ。
その手足を削る。
動き回るのが厄介なら、動けなくすりゃあいい。
敵の動きが鈍り始めたら、反撃に転じ畳み掛ける。
黒鉄と大蛇切の連撃、多少の反撃は気にしねぇで攻め続ける。
が、いずれ限界は来るだろう。だがそれはお互い様。
その前に決めさせて貰おうか。
風林火陰山雷番外 風・林
その首、寄越せ。
レパル・リオン
ここまで追い詰めたのよ…負ける訳にはいかないわ!
白虎怪人シンゲンは確かに強そうだけど、なにも空は飛べないわよね!
あたしは、装備アイテム「ルーンストライカー」のパワーをフル解放!キック力強化!風の属性も宿して軽やかに大ジャンプ、そして壁をダッシュして攻撃をかわすわ!
走りながらノブナガ達に向かってパンチして火属性の衝撃波を飛ばすわ!これぞはやきこと風の如し、攻めること火の如しってやつよ〜!
ちょっとでもノブナガ達が隙を見せたら、そのままダッシュでシンゲンの腹の下に潜り込み、【竜咆拳】を叩き込んでその勢いのまま強化したキックもかましてやるわ!腹の肉引きちぎってやるうっ!
●
「虎の威を纏った魔王を斬れば、俺は虎より魔王より強い刀ってことにならァな!」
遠呂智・景明(いつか明けの景色を望むために・f00220)は吼える。
己を鼓舞するように、相手を威圧するように。
相手はあの甲斐の虎・武田信玄の力を纏った第六点魔王・織田信長。
この魔を断つことほど、刀としての自身の価値を証明できるチャンスは無い。
「ここまで追い詰めたのよ……負ける訳にはいかないわ!」
レパル・リオン(魔法猟兵イェーガー・レパル・f15574)もまた負けられないと自身に言い聞かせるように力強く宣言する。
二人の眼前にそびえ立つは、巨大な白虎と化した信玄に跨る信長。
両者はこれまでの猟兵たちとの戦いにより、共に少なくない傷を負っている。
しかし油断は決して出来ない――手負いの獣こそが、最も危険であるが故に。
「第六天魔王たる儂の首……そう易々と取れると思うな!」
信長の雄叫びと共に、信玄の唸り声があがる。
傷を受けて尚劣らぬ勢いのまま、信玄は猟兵たちへと牙をむいた。
「白虎怪人シンゲンは確かに強そうだけど、なにも空は飛べないわよね!」
レパルはその四肢にはめ込まれた腕輪――『ルーンストライカー』の力を解放する。
強化された強靭な脚力により飛び上がるレパル。
そのジャンプは今まさに飛び掛かろうとしていた信玄とそれに跨る信長らすら飛び超えた。
宙へ舞い、壁を蹴り上げて登っていくレパルを見上げる信長。
だがその足元には、決して目を離してはならない相手がいた。
「動き回るのが厄介なら、動けなくすりゃあいい……その手足、斬らせてもらう」
その声に反応し、反射的に爪を振るう信玄。
対し、景明はその両の手に其々握る二本の刀で以てその一撃を受け流す。
咄嗟の攻撃であろうとも、その白虎は下手に受ければ骨すらへし折るほどの膂力を持つ。
刃を寝かせ爪を滑らせ――しかして剣豪たる景明はその痛撃を見事受け流しきって見せた。
すれ違い様に滑らされる二刀。
血しぶき舞い散り、白虎の四肢は再び紅に染まる。
信玄の唸り声により足元へと注意を引かれる信長。
しかしその頭上には、壁を蹴り、天井を蹴り、信長へと四肢を振るうレパルの姿があった。
「これぞはやきこと風の如し、攻めること火の如しってやつよ~!」
レパルの言葉の通りその動きは風のように早く、そしてその拳は火のように苛烈だ。
しかし信長が頭上の迎撃に集中しようとも、足元では景明が刀を振るう。
景明は低く、より低く信玄の攻撃を避けると、すれ違い様に刀を振るい続けた。
上下からの攪乱により片方に集中することは許されず、信長と信玄は着実に傷を増やしていく。
執拗に加えられる足元への攻撃を嫌がり、嘶く馬のように両足を上げる信玄。
騎獣たる信玄の予想外の動きに体勢を崩す信長――戦いの中で、最も大きな“隙”がそこにはあった。
「腹の肉引きちぎってやるうっ!はあーっ……でりゃーっ!」
天井を蹴り瞬時にして信玄の下へと飛び出したレパル。
大きく振りかぶった彼女が放ったのは、『竜咆拳』――全力の正拳突きだ。
その白き獣へと打ち込まれた拳が空気を揺らす。
体勢を崩した信玄の下へとさらに深く潜り込んだ彼女は、続けざまに蹴り上げた。
響く轟音と共に粉砕される床。
その衝撃を以てして、彼女の数倍はあろう巨獣が宙へと浮かび上がる。
「ちぃ!」
大きく体勢を崩した信玄から飛び降りるように離れた信長。
その落下地点には、既に待ち構えている者がいた。
「その首、寄越せ」
景明が放つは『風林火陰山雷番外 風・林』
速く、唯々速く刀を抜くことだけに集中した一撃。
受け止めようと空中で体勢と立て直し、刀を構える信長。
だが全ては無意味――その一撃は、目にも止まらぬ神速故に。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
春日・釉乃
【SPD】
虎になった信玄公!?
しかも信長が乗ってるし…サムライエンパイアって自由だね!?
オーラ防御のある『鶴姫』を装着して出撃
相方の魅夜(f03522)を背後に隠して2人分の防御に専念
早業で盾受けの『シールドスレイヴ』を一斉発射して周囲を覆い尽くすように展開
これで相手の先手をどうにか凌ぐ
次に、『ヴァリアブル・エクシード・ブースター』を点火して空中戦ダッシュで残像を発生させつつ
騎乗している信長に向かってカウンターの鎧無視攻撃の一閃を仕掛ける
けれど実はだまし討ちであり――本命は魅夜のUCでの白虎の内部破壊なの
だって生命力を共有しているんだから…乗り物の信玄公を倒せば、信長の方も共倒れになるしね!
黒城・魅夜
釉乃(f00006)と共に
あなたたちは二人、けれどこちらも二人いるのです
釉乃の強靭な守備力なら初撃は何とかしのいでくれるはず
その直後に飛び出し、範囲攻撃・ロープワーク・なぎ払いで鎖を舞わせ、この身を護りつつ、被弾は覚悟と激痛耐性で耐え抜いて、間合いを詰めます
負った傷から噴き出した血は霧となり、あなたたちを包み込んで五感を鈍らせるでしょう
覚悟なさい、信長
――いいえ、信玄
そう、信長を狙ったと見えたのは残像
あなた方は生命力を共有しているが故に……どちらか一人が倒れればそれはお互いの死
私が狙ったのは信玄、あなたです
人は城、人は石垣、人は堀とやら
けれどいかに堅牢な城も、内側からは脆いものですね……
●
「儂は引かぬ……例えその道に勝利が無くとも、決して……」
その姿は正に満身創痍。
跨る白虎――武田信玄はその美しき白き毛並みを紅に染め、信玄に騎乗する信長自身が纏う自慢の南蛮鎧もまた一部が砕け、血に染まった肌が露出している。
しかし彼は魔空安土城の主にして、魔軍将を率いる総大将――第六天魔王・織田信長。
万に一つの勝ち目が無くとも、総大将としての責務を果たし、散りゆくその時まで戦い続ける。
その表情には悲壮の色は無く、唯々覚悟が浮かんでいた。
「あなたたちは二人、けれどこちらも二人いるのです」
鎖を持った少女、黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は傍らに立つ、春日・釉乃(蒼薔薇のPrince・f00006)へと視線を向けると、ゆっくりと身構える。
総大将然とした迫力の信長に対しても、彼女は一歩も引かない。
隣に立つ仲間を信頼しているが故に。
「虎になった信玄公!?しかも信長が乗ってるし…サムライエンパイアって自由だね!?」
魅夜とは対照的に軽口を叩く釉乃。
しかしその言葉とは違いその様相は臨戦態勢。
武者甲冑の形をした機械鎧――鶴姫へと身を包み、合口拵の太刀『白雲去来』を手に構えを取っていた。
「面白い、この信長の首、取って見せよ!」
取れるものなら取ってみろとばかりに、信玄を駆る信長。
最早防御等考えていないとばかりに、その突撃は全身全霊で放たれたものだ。
「魅夜はあたしが守護ってみせる!」
対し釉乃は仲間を守るべく、正面から受け止める構えだ。
素早く展開された遠隔操作兵装『シールドスレイヴ』を操ると、本来は広い範囲を守る為の九つの盾を前面に集中させる。
全力の信玄を止めるのは容易では無い。
吼える信玄はその巨体が誇る膂力で以て鋭い爪を振るい、盾を一つ、二つと砕いて見せた。
しかし盾の総数は九つ――信玄の腹を、顔を、肩を……その勢いを殺す為に面で押さえつける。
その盾ごと押し通らんとする信玄を止めるべく、フルスロットルで押し返す釉乃。
煩いくらいに機械鎧の駆動音を響せ、安土城の床を砕きながらも……彼女は眼前の巨獣の牙が仲間に届く前に止めて見せた。
「覚悟なさい、信長!」
抑え込まれた信玄の側面へと回り、魅夜が薙ぎ払うようにその手の鎖を振るう。
しかし迫り来る鈍器がその身を討とうとも、死を覚悟した信長は構わず刀を振るった。
舞い散る血飛沫――信長は落ち、魅夜はその身に傷を負う。
斬り裂かれた肩口を抑えながらも、負傷を覚悟していた魅夜は決して怯まない。
「はぁぁあああっ!」
気合いと共に機械鎧の背面から煙を吐き出しながら飛び立つ釉乃。
体勢を崩した信長へと追い打ちをかけるべく、残像を残すほどの速度で飛び上がった。
押さえつけていた盾を跳ね除け、信長を守ろうと信玄が大きく牙を剥く。
しかしそれこそが、二人が狙っていた隙だ。
「覚悟なさい……私が狙ったのは信玄、あなたです」
肩口から滴る鮮血に染まった右手を信玄の口へとねじ込む魅夜――その身を染めていた紅は、霧となって彼女を包んでいた。
その腕ごと喰いちぎらんと信玄が噛みつこうとしたその瞬間――血に染まった白虎はもがくように苦しみ出した。
「鮮血の屍衣を纏いし呪いの鋼、喰らい尽くせ汚濁の魂」
無手であったはずの右手を引き抜く魅夜――その掌には大量の鎖が握られていた。
彼女のユーベルコード、『血に霞みし世界に祝福を捧げよ硝子の心臓』により放たれた血の霧が、信玄の体内で鎖と化し、その全身を内側から斬り裂いたのだ。
じゃらじゃらと音を立てながら引き抜かれた鎖の金属音と共に、武田信玄はゆっくりとその巨躯を地面へと横たわらせた。
その背後には……血の池に織田信長が伏している。
警戒をしながらゆっくりと信長へと歩みを進める。
だが、もう動くことは無いと……二人は理解していた。
信玄に守られていた信長。
だが、生命力を共有していた二人は、片方の命が尽きればもう一人も倒れるのだと――故に守られた信長では無く、その騎獣である信玄を討つ。
それこそが、二人の狙いだったのだ。
「人は城、人は石垣、人は堀とやら……けれどいかに堅牢な城も、内側からは脆いものですね」
少女の語り掛けに対し、エンパイアに覇を唱えた将が残すは唯一言。
「で、あるか……」
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴