エンパイアウォー㉛~海を綺麗にしましょう
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つい先日まで巨大鉄甲船が行き交い、物々しい雰囲気であった瀬戸内海。だが今はいつもどおりの静かな波が打ち寄せており戦いがあったことなど嘘のようであった。
「これで漁に出られるな」
信長軍の動きを恐れて引っ込んでいた漁師たちもそぞろに海へと出ていた。どんな戦乱の世でさえ、魚を取るのが彼らの生き方である。その彼らも船の上では暇なこともある。これはその暇つぶしに語られたもの。
「しっかし、あの船凄かったな」
「ああ、何でも大昔の金持ちが作って、海賊の幽霊が動かしていたそうだ」
「へぇ。……しかしもったいないねえ。遠くから見ても形の分かる船だ、色々使い手あったろうに」
「そだな。まあ俺達にとっちゃ、魚の住処増えるからそれでも良いけどな」
「ははは、違いねえ」
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「巨大鉄甲船のサルベージが必要です」
自動・販売機(何の変哲もないただの自動販売機・f14256)がなんか言い始めた。
「日野富子の主導した巨大鉄甲船と怨霊による作戦は完全に阻止されました。ですがオブリビオンと怨霊がいなくなった後も船は沈んだままとなっています」
自販機の胸になんか矢印が円を描いているマークが浮かぶ。
「この船の生産コストを試算すると多額な経済損失が発生すると思われます。ユーベルコード等による引き上げが完了すれば、その損失の幾分かを補填できると考えられます」
いやまあ確かにこの世界の金を使って作られたものではあるし。
「引き上げられた船の用途もいくつか想定が出来ます。この場合徳川幕府の所属となるでしょう」
まあ猟兵がもらっても大変ではあるし。
「そして何より海洋への不法投棄は問題です。……それでは良い一日を」
もしかしてこの機械それが言いたかっただけじゃないのか。
西灰三
いつもお世話になっています。
西灰三です。
今回はエンパイア・ウォーのボーナスシナリオをお送りします。
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このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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このシナリオに成功すると鉄甲船を一隻引き上げる事ができます。(用途は戦争終了後幕府が協議の上決定するようです)
それでは皆様のプレイングをお待ちしています。
第1章 冒険
『巨大鉄甲船引き上げ作戦』
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POW : 重量のある船体部分などを中心に、力任せで引き上げる
SPD : 海底を探索し、飛び散った価値のある破片などを探し出して引き上げる
WIZ : 海底の状況や海流なども計算し、最適な引き上げ計画を立てて実行する
👑11
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アーク・ハインド
「……アーク・ハインド海賊団、今回の任務はあの船の死を略奪することっす。」
「正直、戦争には興味がなかった、敵の舟にも興味はなかった、でも……これは、見捨てられない。自分と同じ末路をたどる船は少なければ少ないほどいい。」
UCを使用して海賊団を召喚、細かい指示は船長に任せるものの自身も積極的に動いて船の引き上げを手伝います。
その際損傷のひどい部分を技能:見切りで確認して補強させたり属性攻撃で浸水した区画の水を雷や炎や氷などその場に適した属性を扱い排水を行います。
「あんたはまだ海を走れるっす、絶対走れるようにしてやるっす。だから、絶対あきらめるんじゃないっすよ…!」
アストレア・ゼノ
◆SPD/アドリブ歓迎
鉄甲船と言えばつい先日乗り込んだ船じゃないか
あれを私達で引き揚げろって?
随分骨の折れる仕事になりそうだな
船の沈んでいる場所まで【水泳】で潜りながら
頑丈な場所に見当を付けて【ロープワーク】で鎖を通そう
手持ちの霊薬【ルサルカの涙】を飲んでおけば、
水中での作業も問題なくこなせるはずだ
お次は【竜言語・騎竜召喚】でドラゴンを呼び、
しっかりと鎖を銜えさせてその【怪力】で一気に船を引き揚げよう
なぁに、空の上まで持ち上げろって訳じゃない
海面まで引き揚げてしまえば、
後は浮力の助けを得ながら陸地に向かって引っ張って行けば良い
折角だ、陸地を目指しながらドラゴンの背から海の景色を楽しもうか
祓月・清十郎
確かに不法投棄は良くないでござる。拙者これでもマイバッグを常に持ち歩く位には環境意識の高いネコ
お魚さん達には悪いでござるが、早速取り掛かるでござるよ
主に召喚したネコ達に頑張って貰うでござる。
付近の海流について情報収集してもらったり、海に潜って鉄甲船の船体に引き上げ用のロープ括り付けてもらったり。この際ここに来るまで乗ってきた船の操縦も任せるでござる
手持無沙汰な拙者は徐に太公望。釣り上げた魚を色々料理するでござる
腹が減っては戦ができぬ、猟兵の皆もこれ食べて精をつけるでござる。と言うか絶対精がつくでござる(ドーピング)
鯨より大きな獲物でござるが、きっと釣り上げることが出来る筈でござる
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いくつかの船が連結して瀬戸内海を行く。その先頭の船には沢山のケットシーが乗り込んでオールを掻いている。
「……この辺りか」
あるポイントに差し掛かった所でアーク・ハインド(沈没船・f03433)は身を乗り出し海面を見る、そこには船の内装らしきものの残骸が浮かんでいた。
「ついこないだ乗り込んで沈めた船だけど……こう改めて見るとちょいとアレだね?」
アストレア・ゼノ(眩き槍の騎士・f01276)の隣で白い小竜がぎゃうぎゃうと鳴いている。前回は戦闘だったので海を楽しむ余裕がなかったのだろう。
「ゴミが沢山浮いているのでござる。……やはり不法投棄は良くないでござるな」
「あのグリモア猟兵も言ってたけどそういう問題かい?」
「そういう問題でござる。拙者これでもマイバッグを常に持ち歩く位には環境意識の高いネコでござるよ」
祓月・清十郎(異邦ねこ・f16538)とアストレアがそんなやり取りをしている隣でアークが物憂げに腕を組んでいる。
「そうだ。そんな問題じゃない」
瞑目していた彼女から不意に言葉が漏れた事に反応してアストレアと清十郎は彼女を見る。瞼を開けてアークは次の言葉を紡ぐ。
「……正直、戦争には興味がなかった。敵の船にも興味はなかった。でも……これは見捨てられない」
アストレアと清十郎は、彼女が猟兵であることより多くの事を知らない。ただ、彼女が船乗りの、或いは海賊の衣装を身にまとっているのは分かる。その彼女にとって船が特別な意味を持つことくらいまでは。
「自分と同じ末路をたどる船は少なければ少ないほどいい」
そこまで聞いたことで二人は察する。このサルベージは彼女にとって自身と同じ存在の蘇生にも等しいのだと。
「成程、これは失礼したでござる。それでは早速取り掛かるとするでござる。……始めるでござるよ!」
「「「にゃーっ!」」」
彼らは清十郎が呼んだ釣り仲間、釣りに関する事に長けた者たちである。今回は大物を釣り上げるということで集まって来てもらったのだ。
「はい、じゃあこれを渡してくれ」
「かたじけない」
アストレアから清十郎の手を介して渡されたのは長く太い鎖である。その元は彼女の呼んだ幻竜に繋がっている。
「それとこれもだ。飲めば水中で呼吸が要らなくなる」
「確かに受け取った」
ルサルカの涙を渡されたケットシー達が海の中に潜っていく、そして残された清十郎は釣りを始めた。
「……なあ、あんたは」
「釣りでござるが? ……気持ちは分かるが少し落ち着くでござる。気負いは余計な力を使うだけでござるよ」
「自分は今回の任務であの船の死を略奪するために来たっす。……落ち着いてなんて」
「海の男がこれくらいの事で取り乱すのでござるか?」
「………」
「刺し身でござる、これでも食べてしばし落ち付くでござるよ。精が付くでござる」
二人がそんな会話をしていると、海の中からケットシーが一匹、鎖が全部かかったとアストレアに合図を投げる。
「……よし、ちゃんとかかってるな」
アストレアは空中で鎖の張りを確認して、竜の首を撫でる。
「よし、引き上げろ!」
鎖が軋みを上げジリジリと竜の体が空中へと持ち上がっていく。しかしその速度はゆっくりだ。
「そろそろでござるな」
「……そうっすね。アーク・ハインド海賊団! 略奪の時間っす!」
彼女の喚び出すのは記憶の中にある往時の船員達、彼らはケットシー達に変わって海に飛び込み、彼女もまたその後を追う。
「海賊共! この船を海の中から持ち上げるっす!」
「「「オウッ!」」」
下からの助力を経た船は浮かぶ速度を上げていく。アークの考える彼らはこの程度で折れたりはしない荒くれだ。そして船が水面にまで上がってくると、窓や亀裂から海水が漏れ出していく。
「よし、乗り込んで排水に当たるっすよ!」
船の中に入り込み水をかき出していけば、重量は軽くなりアストレアの竜が岸にこの船を近づける速度が上がっていく。
「もう少しだ、頑張れ。……やれやれ、これは想像以上に骨の折れる仕事だ」
意外と周りを見る余裕もない彼女は竜を叱咤する。その下ではアーク達が必至の排水作業をしている。
「あんたはまだ海を走れるっす、絶対走れるようにしてやるっす。だから、絶対あきらめるんじゃないっすよ……!」
アークはこの鉄甲船に語りかける様に腕を動かしている。この船が風を孕み、海を走るまで後少しだ。
大成功
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イリーツァ・ウーツェ
なんだ。もう、水からは上がっているのか。
で、あれば。水抜きをすれば良いだけのこと。
杖の力で水を操り、外へと排出させる。
後は修復だが……金属だけでは如何にも成らんか。
なれば、このUCで「損傷」とい概念を消し去ろう。
大きさからみて多少時間は要ろうが、四半刻はかかるまい。
そら、まだ貴様には役目が有るそうだ。
確と働いてくるがいい。
人間の役に立つ為、生まれたのだろう。
で、あれば。最後までそう在れよ。
ディスターブ・オフィディアン
第一人格で行動
心情:
渡来人やグリードオーシャンの事を考えれば、この船には使いでがある
ま、使えなければ売って金にすればよかろう
「で、ここまで引き上げがすんでいるならばあともう一息か」
よし、では運搬を手伝うか
まずはロープワークを駆使して、帆を張り直す
あとはユーベルコードで風属性の矢を生み、陸へと向かう風となす
ケリュケイオンを掲げ呪文を唱え己の魔力を高めて全力魔法、もちろん帆は破らないようにな
世界知識で周辺の風や潮を読み、流れに逆らわぬように船を運搬していこう
もし地場の漁師がいれば風や潮の読み方はあらかじめ聞いておこう
「この世界の海の果て。そこに至るためにも、この船は沈んだままにしておけん」
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「……ここまで引き上げが済んでいるのならばあともう一息か」
まだ海から上がって間もなく、濡れた甲板の上でディスターブ・オフィディアン(真実を 暴く/葬る モノ・f00053)はかかった鎖を目で辿った。上空から引っ張られる力によって船はゆっくりと港に近づいてはいるが、このままでは日が暮れてしまいそうだ。
「大体の水は抜いておいた、後は風を受けられれば早く付くだろう」
水を操る杖を持ったイリーツァ・ウーツェ(盾の竜・f14324)がくいと顎を上げる。その視線の先には戦いの中で傷んだ帆柱が立っている。
「確かに帆を張れば容易く港に着くであろう、しかし耐えられるか?」
「なれば、この様にすればいい」
ディスターブに問われたイリーツァは帆柱に手を触れると、そこを中心に罅が埋まり破れていた帆も再生していく。
「……成程、ならばオレは帆をかけ直してくるとしよう。そっちは?」
「船の穴を直してくる、再び水が入ってきては手間だからな」
イリーツァはそれだけ言うと船内に入っていく、既に中では色々な者たちが右往左往しているので、その手伝いをするのだろう。残されたディスターブは、さてと一息ついてからするすると帆柱を登り、解けた縄を締め直し帆を広げていく。
「こんなものだろう、後は、と」
二匹の蛇が絡み合った杖を取り出したディスターブは、そこから空気の奔流を放つ。それはうねりとなって風となり、帆にぶつかって散っていく。しかしそれがもたらした力は船全体を動かす大きな力となる。
「この世界の海の果て。そこに至るためにも、この船は沈んだままにしておけん」
この船をまだ見ぬ世界に行くためのものとするのにも、或いは金に変え戦の傷を癒やすにしても。どちらにせよ人の手の届く所に置かねばならぬ。
(「そら、まだ貴様には役目があるそうだ」)
窓から見える港の姿が大きくなるのを見て取ったイリーツァは船に内心で語りかける。それは彼にとっては『運ぶもの』に対する想いなのかも知れない。
(「元は人間の役に立つ為、生まれたのだろう。で、あれば。最後までそう在れよ」)
そして船は港にたどり着く、思いの外に傷の少ない船体を見た役人と船大工たちからは小さく声が漏れる。猟兵達は彼らに船を引き渡すと、いつもの場所へと帰還する。
「……確と働いてくるがいい」
イリーツァはそれだけを言葉にし、他の猟兵と同じ様に港を後にする。彼らの去った後、港に係留された鉄甲船はちゃぷちゃぷと波の上で寝息を立てていた。
大成功
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