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日々に衝撞

#UDCアース

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#UDCアース


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 衝動は、時として唐突にあふれて、爆ぜる。

 ──邪神とやらが、復活しそうだそうで。
 白之・万色(真白彩・f05308)が、それはもう大層興味がなさそうに呟いた。
 場所はUDCアース。これまで依頼をこなしてきたものであれば、類似の話は間々聞いているかもしれない。
 邪神復活の兆しである。
「今回の邪神復活に関与しているひと達は、とある学校の関係者みたいですね」
 教師だと思います、生徒ではない。
 万色はそう言って、スケッチブックに学校を描きこんだ。
 ただ、その教師が誰なのか、何人が徒党を組んでいるのかはわかっていないようで、スケッチブックに描かれた学校の傍らには、黒塗りの人影と『?』の文字が描かれている。
「それともうひとつ。邪神復活の関係者は教師かもしれませんが、儀式の場所は校外みたいです。校外となると正直範囲が広すぎます。儀式の場所を絞る手がかりが欲しいですね」
 適当に教師をとっ捕まえて脅して回るとか。
 学校に忍び込んで荷物や机をあさるとか。
 それなりに物騒なことを口走りながら、万色はばしんとスケッチブックを閉じた。
「生徒に聞いてみてもいいでしょうし、まあ方法は任せますよ」
 今回情報を集める場所は高等学校だが、この学校は小中高大一貫教育を行っている学校である。
 高等学校に通う生徒以外の年齢のものが校内を歩いていたとしても、さほどおかしくはないだろう。
 もちろん、学校関係者や業者を装うという方法もあるし、いっそ見つからないように学校に潜入し、情報収集を試みるというのもひとつの手。
 一通り話し終えた万色は、掌を広げ、グリモアを動かした。
 宝石の瞳を閉じた真白の少年は、現地への道筋を描きだす。
「僕は、邪神復活なんて面倒臭すぎてやる気が起こらないんですけど」
 ──世界に不満があって、ぶち壊したくなる気持ちはわからなくもないですね。


小藤みわ
●一章のまとめ
 高等学校に潜入して情報収集です、どうやって潜入し、どういった情報収集をするかを記載してください。
 邪神復活の儀式が行われる場所を特定する情報が得られれば成功。
 ※『邪神復活を企てている面々を探る』のでもOK。

●冒険章
 【POW】【SPD】【WIZ】に示されている行動は一例です。
 それ以外の行動も自由に考えていただいて構いません。
 キャラクターらしい行動を存分に詰め込んであげてください。
 今後の展開を読む必要もなく、行動をしていれば何かしらの物語発展に繋がると思います。

●2章目以降
 各章の始まりには少しオープニングをはさむ予定です。
 物語の進み方次第では不要になるかもしれませんが、その際も一行でも文章をはさみます。
 プレイング開始の参考までに。

 どうぞ、ご縁があること願って。
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第1章 冒険 『潜入!秘密の学園生活!』

POW   :    学校でトラブルを起こしたり首を突っ込んだりして情報を炙り出してみる

SPD   :    邪神の手がかりになりそうな場所や物品などを歩き回って探してみる

WIZ   :    学校関係者(生徒や教師などなど)に扮して人から情報を集めてみる

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

茜谷・ひびき
あまり褒められた手段じゃないだろうが、校庭とかの雑草に『ブレイズフレイム』で火を付けて騒ぎを起こす。
火を付けたら火災ベルとかも作動させてなるべく派手になるようにする。
延焼分も含めて俺が調整出来るから、雑草以外に燃え移らないように細心の注意は払うぜ。消火活動にも合わせて適当に火は消すぞ。

それで生徒や先生が外に集まってきたら校内に入る。残ってる人に見られても年齢的に不自然ではないはずだ。
不審がられたら【コミュ力】で話しかけて乗り切るぞ。その際にちょっと話を聞いてもみるかな、「最近こんな事件が起こってないか、怪しいやつがいないか」とか。
それと不審な動きをしてるヤツがいないか【野生の勘】でも探る。


ノボディ・ジョンドゥ
POWで判定するよ!

「ハイホー♪ハイホー♪
お城で働く魔法使い♪
皆に隠れて悪巧み♪
お城の外で悪巧み♪
ハイホー♪ハイホー♪
昔の神様お呼び出し♪
皆に隠れてお呼び出し♪
いったい何処でお呼び出し♪
ハイホー♪ハイホー♪
知ってる良い子は誰かな誰かな♪
知ってる悪い子は誰かな誰かな♪
ハイホー♪ハイホー♪」

お城=高校
魔法使い=邪神関係者
悪巧み=儀式
昔の神様=邪神
上の暗示をして
歌って踊って騒ぎを起こすよ!
[歌唱][パフォーマンス][誘惑]込み!

警戒する人はそもそもそれ自体怪しいよね!
話をしに来てくれる学生さんがいたら話を聞くよ!
先生さんでも話しは聞くよ!

怪しい動きをしてる人がいたら
他の人が追ってくれると嬉しいな!


チガヤ・シフレット
邪神復活を企むとか、面白い奴らじゃないか。
まぁ、ほっとくわけにもいかないから、きちっと見つけて企てを潰してやるとしよう。

【SPD】
いきなり暴れるわけにはいかないしな。サクッと潜入してうろうろしてみようか。大学生っぽく見える感じの服装なら大丈夫だろう?

怪しそうなところ、教室やら職員の部屋やら入れそうなところに入り込んで物色と調査と行くか。
なんか企むやつらは地下とかにいるもんだが、さすがに学校にはないか?
あとは、あんまり人が立ち入らなそうなところとか重点的に探してみるか。
何が出て来るかねぇ?



己の身体から焔が堕ちて枯草を焼いた。
 色の薄い冬空に、昇る煙はよく映える。

 辿り着いた高等学校は、言ってしまえば、ごく有り触れた平生の場であった。
 硝子窓がはまったベージュの校舎。
 廊下には、賑やかな生徒達の声。
 朝には霜が降りたらしい、今では露をのせた花壇のシクラメンが、小さく風に揺れている。
 ──火事?!
 そして、緩やかな平生は一転する。
 茜谷・ひびき(火々喰らい・f08050)が自ら作動させた火炎ベルで騒ぎは一気に広がった。
 ひびきが校庭に落とした焔に、急げ、燃え広がるぞと怒声を響かせているのは教師だろうか。
 実際の所、ひびきが自在に操る焔は、無駄に燃え広がることなどないのだが。
(「あまり褒められた手段じゃないだろうが……」)
 ひびきは思う。
 けれど、躊躇も伴うであるからこそ、焔の効果は抜群だった。
 人が集まる量と速度は勿論、責任者となる教師達が集まらざるを得ないのだ。
 そして何よりこの、焔を消し止める時間が教師達にとって致命傷となったこと──これを、ひびきは後に知る。
「杉下先生だけで何とかなりませんか?!」
「いや、一人じゃ責任取れませんよ……!」
「何でこんな時にッ!」
(「……三人だけか」)
 それにも関わらず、出てきた教師の数は片手に満たない。
 長身の女と堅いの良い男、それから杉下と呼ばれた、繊細な体型で眼鏡の男。
 野生の勘が、少し触れる。
 ひびきは三人とすれ違いながら、校内に足を踏み入れた。
 生徒たちにそれとなく声をかけながらも、彼の漆黒の瞳は勘が働いたものから逸れない。

 ──あれは、きっと。

「ハイホー♪ ハイホー♪」
 消化活動に合わせてひびきが焔を弱めたと同時、ノボディ・ジョンドゥ(ワンダーランドのエキストラ・f10782)がぽんと校庭へ躍り出た。
 小さな、小さな、愛らしい『誰でもない誰か』は、かろやかに跳ね。
 みるみる内に、ざわつきを楽しげな笑みに采っていく。
「お城で働く魔法使い♪ 皆に隠れて悪巧み♪ お城の外で悪巧み♪」
 ハイホー♪ ハイホー♪
 昔の神様お呼び出し♪
 皆に隠れてお呼び出し♪
 いったい何処でお呼び出し♪
 ハイホー♪ ハイホー♪
 知ってる良い子は誰かな誰かな♪
 知ってる悪い子は誰かな誰かな♪
 ハイホー♪ ハイホー♪
 ──それは、聞くものが聞けば実に不穏なうたであった。
 少なからずとも同じ猟兵達には、ノボディが猟兵であること、これが炙り出しであることは十分に伝わっただろう。
 可愛いと弾む観客の声に、ノボディは愛らしく手を振ってみせ──同時にくいと身体を引かれた。
「……あなたも何か聞いたの? だったら危ないよ、そんな歌……」
 ノボディの顔を覗き込んだのは、見るからに大人しそうな、三つ編みの女生徒だった。

 私ね、プールの近くで話しているのを聞いちゃったの。
 化学の杉下先生と、音楽の三浦先生だったと思う。
 全部ぶち壊してやるんだって……。
 すごく、怖い声だった……。

(「なるほど、プールねぇ」)
 一階の空き教室を探索してたチガヤ・シフレット(サイボーグのガジェッティア・f04538)は、耳に届いた声に首肯した。
 確かに冬の今ならプール周りは人気が薄いかもしれない。
 あまり人が立ち入らない場所を重点的に探そうと考えていたチガヤの策は、当たっていたということだ。
(「きちっと見つけて企てを潰してやるとしようか」)
 目つきも人相も悪い顔つきがにぃと緩む。
 実に悪い顔である。
(「邪神復活を企むとか、面白い奴らじゃないか。まぁ、ほっとくわけにもいかないけどな」)
 身なりもしかりと大学生らしい装いを選んだチガヤは、怪しまれることもなく悠々とプールに足を運んだ。
 高く結い上げたピンクの髪がぱらりと風に揺れた先、プール周りを固めたコンクリート路には、真新しい土が付いている。
 土を辿り、辿り、行き着いた先は更衣室。
 更衣室の扉の鍵──はなんやかんやで抉じ開ける。
「なんか企むやつらは地下とかにいるもんだが、さすがに学校には……げっ、あった」
 冗談交じりに簀を退けると、チガヤの瞳に四方の蓋が飛び込んだ。
 蓋が開ければ其処は小さな収納庫で、中から出てきたものは──。
「祭具かな」
 ただ一つ、小さな祭具が転がっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

備傘・剱
WIZで判定

ま、なんだ、出入りの業者に扮して彼方此方で話を聞いてみるかな

教科書取り扱いの本屋って名目なら、なんとかなると思うがな

教師ってのは、この他、先生って言われてる分、煽てれば色々と漏らすもんさ
特に、学校関係者でも出入りの業者に本音を漏らす事は、よくある事だ
なんせ、同僚でもない、ましてや、内部に出入りしてても他の人にばれにくいからな
世間話をするって名目なら、口も軽くなるってもんさ

…教師って案外、ストレスの塊だからな
愚痴の中にも、沢山の情報が混じってるもんだぜ

それにしても、学校と邪神復活、よく聞く取り合わせだが、何か、因果関係でもあるのかねぇ
物騒を通り越して因果な世の中なもんだなぁ
全く、よ



「放火ですかねぇ?」
 備傘・剱はひとりの女教師の傍に立つと、校庭の焼け跡を眺めながら呟いた。
 焔は随分と消し止められ、程なくしてすべてが消えるだろう。
 消火時間の割に燃え広がっていないのは猟兵の手に依るのだろうが、剱はさも教師の功績を讃えるかのように労った。
「あなた、何かの業者さん?」
「えぇ、教科書の関係でちょっと」
「アポなしだったの、残念ですが今日は無理ですよ」
「この対応がありますしね、先生は大変だなぁ本当」
 『先生』と告げたのも意図的だ。
 人は煽てれば色々と漏らす、特に追い詰められた今なら尚のこと。
「本当、どいつもこいつも馬鹿猿ばっかり……」
 女教師の丁寧な口調に鋭い毒が滑りこむ。
 哀しいかな、剱の思う通り、ストレスの塊である。
「低知能の癖にトラブルと見下すことだけは一人前、冗談じゃ……ああ、電話だわ」
「先生は仕事も多いから。息つく間もないですねぇ」
 火の後始末があるうえ電話が鳴り、思わず舌打ちをした女教師へ剱は言う。
 理解は人の気持ちを緩める。
 女教師の瞳が緩んだのを、剱は見逃さなかった。
「もしもし。解ってるわよ。……駅でしょ、こっちも色々あったのよ。一つ足りないくらい、そっちでなんとかしてよッ!」
 結果、剱の近くで電話を始めた彼女が紡ぐ駅名を、心内で反芻する。
 それは、この近辺を通る鉄道の、始発駅の名前だった。
 この教師は関係者のひとりなのだろう。学校と邪神復活、よく聞く取り合わせだが、何の因果か。
 ──全く、よ。
 物騒を通り越して因果な世の中なもんだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

坂上・半
あー……とりあえず、この世界は初めてだな
あんま目立たねーようにしねーと
武器は隠したほうが良いのか?
コスプレ?

へー
仮装、ね

まぁ、面倒がないならいいや

刀だけ隠す袋貸してくれ

【八艘跳び】は基本使う気ねーけど面倒くさい絡まれごとに遭ったらコンクリートの柱?
あ、電柱な、了解
電柱や壁を足場に跳ねて逃げるぜ

とりあえずパルクールやってるっていえばいいって聞いた

こちらに好意的に接触してくるのがいたら聞き込み
触ってくる相手には見切りで間合いを取る
囲まれたら【敵を盾にする】要領で身代わり作る

あん?
なに驚いてんだよ

そういや、俺みたいな変わった格好してたり、がっこの先公が変な場所でうろついてたみたいな話知らねーか?


エン・ジャッカル
関与しているのは教師という可能性というだけで何人いるかは不明ということは、最悪教師全員だったという可能性もなくはないでしょうね…。であれば、まずは学生服を盗んで生徒に扮して、お喋り好きな生徒を探して情報収集をしてみましょう。…19歳でも学生に見えますかね…?

それはともかく、まずはお喋り好きな生徒が最優先で、もし居なかった場合は警備室に潜入して受付簿や防犯カメラの記録を確認してみるしかないですね。これは見つかるリスクが高いので、最悪拝借する手も考える必要がありますね。

もし、怪しいと思われる人物が浮かんできた場合は、潜入を向こうから気付かれる可能性を下げるために仲間たちへ情報を共通させましょう。


榎木・葵桜
えへへ、久しぶりに学校らしい学校♪
私は、女子高生として学校内の情報聞き込みするね(WIZ)

学校で邪神復活ってさ、何だか学校七不思議っぽくてちょっとわくわくする!
【情報収集】するのは、七不思議っぽい噂話にしようかなって

噂話は男子高生より女子高生っぽいよね
その辺【コミュ力】も大事かな
楽しんでいこうと思うよ♪

そいえば、七不思議って、学校の歴史の長さとかとはあんまり関係なくって
結構学校のトレンドが反映されてたりがよくあるって思ってる

私の【第六感】的には、「最近広がり始めた不思議話」が関係ありそうだなーって
七不思議っぽいのかもしれないし、恋のおまじないっぽいのかもしれないし
その辺を探ってみようと思うよ!


空廼・柩
【WIZ】
…ホント何処でも復活するなぁ、邪神
何、俺達を過労死させたい訳?
はー…早く黒幕取っ捕まえて寝てやる

UDC組織の力を借りれば学校への潜入も容易でしょ
高校なら…まあ、生徒で誤魔化せる…?
眼鏡あるし、目立たないし
先ずは食堂辺りが人が集まり易いかな
飯を手にコミュ力を用いて生徒に会話を試みる
…ご、ごめん
転校してきたばかりで分からない事も多くて
最近、何か話題になっている事とかあるかな?
…不穏な噂は特に聞き逃さない様にしないと
もし不審な教師がいたら【影纏い】を使うのも手かな
今は兎に角、情報が欲しい

有益でも無益でも何でも良い
得られた情報は全て、他の猟兵達と共有
俺が分からなかった事も分かるかも知れないし



「パルクールやってる」
「パルクール?! なにそれ?!」
「パルクールすげー!」
「おまえやべーな!」
 坂上・半(羅刹の妖剣士・f06254)は気がつけば生徒達に囲まれていた。
 遡ること数分前である。
 あんま目立たねーようにしねーとと半は思っていたし、刀だけは袋で隠していたし、基本的に跳ねるつもりもなかった。
 焔を消し止めにきた堅いの良い教師に「小等部の生徒か」と問われなければ。
 また、その教師が眺めていたメモが風に飛ばされなければ。
 だがどの何方も有って、半は跳ねた。
 逃げる序でにメモを取る。
『客は儀式の邪魔、外に出す』
 ──つまり儀式の場所は、客がいる場所ということだ。
 宙を跳ねた分はすべてパルクールで包んで処理して、パルクール、パルクールと眼をきらきらさせる生徒達に半は問う。
「そういや、俺みたいな変わった格好してたり、がっこの先公が変な場所でうろついてたみたいな話知らねーか?」
 変わった格好だという自覚はちゃんとある。
「うん? なんかあったっけ?」
「あー、あれじゃね。電車マニアの竹本が、電車の車両庫付近で捕まったやつ!」

 あの始発駅だよね。
 小さい駅だけどさ、車両がいっぱい止まっててさ。
 竹本、侵入禁止のところまで踏み込んで、警察にめちゃくちゃ怒られたんだよな。
 そうそう。
 車両が詳しく見たかったとかなんとか、言ってたんだっけ?

 エン・ジャッカル(風来の旅人・f04461)は金の双眸を細めて頷いた。
 矢継ぎ早に騒動があったお陰で、生徒達は随分と浮き足立っている。
 エンが狙いを定めていた、お喋り好きな生徒なら尚更だ。
 誰かに話したくて堪らないという様子が見て取れた。
(「19歳でも学生に見えるみたいですね……」)
 内心では安堵の息を零しながら、エンは話の続きに耳を傾ける。
「でもさあ、竹本ってなんでクビじゃないの?」
「ほら、加藤がかばったんでしょ!」
「ま? あいつらあやしくね?」
「いやさすがに加藤も竹本はナイでしょ!」
「教頭が揉み消したって聞いたけど?」
 次から次へと生徒達の話は止まらない。
 エンは相槌を打ちながら、当初の予定を思い返す。
 怪しいと思われる人物が浮かべば、仲間達と情報を共通させたいと考えていた。
 猟兵の潜入を気づかれないようにするためだ。
 故に話を聞きながら、人物の相関図を頭に思い描いていたのだが。
 ──噂の人物が、あまりに多い。
 話を聞かせてくれた生徒達に会釈して、エンは輪から抜け出した。
 次の行動に出たのは、密かに拝借した警備室の受付簿や防犯カメラの記録を確認したいという点もあるけれど。
(「……最悪の予想が当たってしまったかもしれませんね」)
 瞳を閉じ、考察する。
 次に眼を開く時、生徒達の話を聞いていた時の、穏やかな色はとうに無い。

 ──最悪、それは、関係者が教師全員だったという可能性。

「最近先生みんなおかしいけどさ、三浦が一番やばいよね」
 榎木・葵桜(桜舞・f06218)が、女子生徒達の囁きに耳を寄せる。
 音楽を担当する三浦という女教師の話をする時、なぜか生徒達は声を潜めるらしい。
 深い意味はないのだろうが、彼女を語る内容がオカルトめいている点はあるかもしれない。
(「本当に七不思議みたいだなあ♪」)
 邪神復活は、何だか学校七不思議みたいでわくわくする。
 葵桜の耳許にひそひそ声が落ちる度に、葵桜の表情が思わず緩んだ。
 弱い冬陽では薄暗さを覚える階段の踊り場。
 葵桜は其処でたむろしていた女子生徒達に声かけた。
 難なく輪に入り込めたのは、葵桜の持ち前のふんわりさと、楽しそうな笑みの力が大きい。
 事実、葵桜は楽しかった。
 久しぶりに学校らしい学校だったから。
「三浦先生ってそんなに怖いのかな」
「こわすぎ! 三浦、変な人形みたいなの、いっぱい持ってんだよ!」
「生贄代わりとか言ってなかった?」
「今日さ、村野が三浦と電話してるの聞いちゃったんだけど」
「あれすごかったよね、村野が『祭具なんてどこにもない、忘れたのは勘違いじゃないか』とか言ってて」
「やばすぎるー!」
 『祭具』という単語に思わず葵桜の肩が跳ねた。
 彼女達の話を聞く限り、邪神騒動の主犯があるとすれば、恐らく三浦という女教師だ。
 少し思案の後、これだけ聞くことが出来れば十分かと、葵桜は輪を離れようとして──。
 次の瞬間には、いつの間にか恋の話題を始めていた彼女達に、ぱちんと藍色の瞳を瞬かせたのだった。

(「……ホント何処でも復活するなぁ、邪神」)
 生徒達の話に耳を傾けながら、空廼・柩(からのひつぎ・f00796)は心内に呟き落とした。
(「何、俺達を過労死させたい訳? はー……」)
 早く黒幕取っ捕まえて寝てやる。
 それが本音だが、無論白磁の顔には心中など露程も出ない。
 右も左も解らない転校生の顔が其処にいる。
『……ご、ごめん。転校してきたばかりで分からない事も多くて』
 そう紡ぎ、持ち前のコミュ力──と或いは眼鏡力──を発揮した柩は、こうして生徒達の輪に入れているのだが。
「先生達、最近うっとうしいよね」
「エラそうでまじイラつく!」
 生徒達も教師に対する不満は多いらしい。
 真新しい白壁にナチュラルな木椅子が並ぶ綺麗なランチルームには、愚痴が彼方此方に響いている。
 音は植物に影響を与えると云うが、くたりとこうべを垂れたモンステラを見るに、学校の空気は決して良くはないようだ。
「村野、さっき『祭具なんてどこにもない』って話してたよね」
「何の祭具だよ?! こわっ!」
 ──祭具。
 柩の指先が灰染めの髪を掻く。
 委細は不明だが、どうやら校内に祭具が残されていたらしい。
(「他の猟兵が回収したのかな」)
 一度、情報共有をした方がいい。
 柩はそう判断し、席を立った──その時だ。別所から聴こえてくる、もう一つの話題。
「はっ? 電車が乗車拒否ってなに?」
 人が集まり易い場所を選んだことが功を奏したと云えた。
 スマートフォンを覗き込む生徒達の後ろ側、柩は耳を傾ける。
 ──電車がね、駅で止まらずに通り過ぎちゃったんだって。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

喫茶・禾
そんなに世の中が不満? 不満か
燻る分には勝手だし、その点僕が他人にどうこう物言う資格はないけど
ひとつだけ。ただのまじないで済ませとくべきだったんだ、あんたらは

制服があるなら事前に調達。在校生を装う
適当に校内を彷徨き、教師にあたりをつける
すれ違いざま、踏み絵に足を載せてってもらおうか
邪神、儀式、祭具、UDC。そのへんの言葉を呟く
先方が反応を示せば見つけもの
祭具の売人なりと素性を偽り、ここでは都合が悪いと物陰に誘い込んで話を聞く
一応凶行にも用心しつ、口が堅ければUCで脅してもいい
ビビればなんか吐くだろ、できれば胃液じゃないとうれしい

*行動以外は参考程度に。勝手に僕を動かしてくれていい
*絡みも随意に


ニルズヘッグ・ニヴルヘイム
教育者が邪神の復活をもくろむとは言語道断である。
とっとと捕まえたいところだが、まァ、学びの邪魔をするのも忍びない。わざわざ校外で儀式を行ってくれるならば、そちらでカタをつけるとしよう。

うろつくことに問題がないとはいえ、私の見た目で生徒や教師と接するのは無理があるな。
あまり荒事にもしたくない。学内を調査して手がかりを探ろう。
場所はいろいろあるだろうが、何かを隠しているなら、人目につかなさそうな場所であろうから……調べるならば特別教室棟の方からか。
邪神に関する動きがあるなら、魔術的な手がかりもあるかもわからん。そちらについても、【追跡】で何かしらの痕跡が追えればいいがな。



教育者が邪神の復活をもくろむとは言語道断である。
 ニルズヘッグ・ニヴルヘイム(世界竜・f01811)が思うそれは、至極真っ当であった。
 直ぐさま捕まえても良い所だが然し此処は学び舎。
 学びの邪魔になるのも、忍びない。
(「わざわざ校外で儀式を行ってくれるならば、そちらでカタをつけるとしよう」)
 ニルズヘッグはちらりと上に掛かる、教室名を一瞥した。
 ──化学実験室。
 自分の見た目で生徒や教師と接するには無理があると考えたニルズヘッグは、特別教室棟を見回っていた。
 生徒が立ち入らない特別教室棟は、酷く静かであった。
 化学実験室に赴いたのは此処だけ扉が開きっ放しであったからだ。
 恐らくは教師が飛び出していった跡なのだ、小火騒ぎの所為だろう。
 化学実験室に入ってみれば、その奥の、準備室の扉も空いている。
(「あそこだな」)
 慎重に、慎重に、準備室の中を覗く。
 準備室の中は空だった。
 然しながら小さな机の上に一冊のノートが置かれている。
 ノートの下端には『杉下』の文字。
『村野、加藤、杉下は校内に残る』
『三浦は儀式を中心に行う。校長、教頭はその補佐』
『竹本は運転席。他職員は暴れさせないよう制圧すること』
 乱雑すぎて読めない箇所も多いが、ノートには他にも車両の平面図が描かれており、三両目に丸がある。
 この記述は、つまり。
 ──儀式の場所は電車の中か!

「……えっ?」
 当該高等学校の教師である杉下と村野は、急ぎ廊下を走っていた脚を止めた。
 横を通り過ぎた際、在校生と思われた男から呟きが聴こえたからだ。
 ──『邪神』と。

 弾かれたように振り返った二人の男教師と、喫茶・禾(木つつき・f01493)の冷静たる眼差しが重なった。
 次の瞬間、男教師達は逃亡しようと踵を返すが、禾が逃す筈もない。
 一気に距離を詰め、両名を締め上げるまで、一瞬。
 自らより背高い二人も悠々と床に叩き伏せ、禾は彼等を見下ろした。
「吐け」
 しんと静まった冷たい廊下、禾の声だけが響く。
 声には気迫があった。
 ユーベルコードで脅す覚悟をも秘めた声音に、繊細な体格の音がヒィとなく。
「ま、待ってくれ、俺じゃないッ! 俺は三浦にそそのかされただけで……!」
「杉下!」
「だ、だって……」
「今更何言ってる! 儀式は始まった、もう電車は走り出したんだよッ!」
 そうだ、始まったのだ、と。
 一方の堅いが良い男は、禾を見上げてけたけたと笑った。
 まるで壊れた人形のような笑み。
「祭具は一つ足りないが、ぶち壊すには十分だろうよ! はっ、ははっ……! 全部壊れろ壊れろ壊れろ壊れろッ!」
 ビビらせて吐いたものが、胃液でなかっただけ未だましか。
 或いは、此れは、胃液以上に反吐が出るのか。
「……そんなに世の中が不満? 不満か」
 禾の口許から、ぽつり、溢れる。
 燻るのは自由だ。それに対して自分が言えることなど何もない。
 ──だが。
 禾の拳が二人の傍らを鋭く叩いた。
 男の笑い声すら止まるほど、強い、強い衝撃音。
 彼等の行動は、何れ程のものを傷つけ、脅かすだろうか。
「ただのまじないで済ませとくべきだったんだ、あんたらは」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『走行する列車に乗り込め!』

POW   :    気合や卓越した身体能力を使って列車に掴まる。列車を気合や力技で減速させてから乗り込む。

SPD   :    速度で列車に追い付いて飛び乗る。列車の仕掛けに外部から干渉することで乗り込みやすくする。

WIZ   :    列車が減速する通過地点で待ち伏せして飛び乗る。魔術などを使用することで乗り込みやすくする。

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



『儀式の場所は走行中の電車の中である』
 事実に辿りついた猟兵達は、情報共有を済ませるや否や、目的の場所へと駆け出した。
 既に儀式が始まっているということは、予知の時点で儀式の始まりは確定であったのだろう。
 それほどに猟兵達の情報収集は素早く、正確であった。
 また、祭具回収により、教師達が持つ祭具が一つ欠けたことも確定した。
 今の時点で儀式は不完全であることは間違いない。
 あとは何れ程早く儀式を止め、より不完全な邪神召喚で終わらせられるか──それに掛かっている。

 電車の損傷を気遣っている場合ではない。
 兎に角、己が考えうる方法に全力を賭す。
 逆に云えば、走行中の電車に乗り込むというのは、猟兵であっても方法を考える必要はある、ということだ。
 電車の進路は把握できている。
 方法さえ考えつけば、どの場所から実行するかはおのずと決まるだろうから、深く考える必要はなさそうだ。

 電車に乗り込んだ後は、儀式を止める。
 彼らが儀式を行っている場所は三両目、電車の真ん中付近だという。
 幸いながら、事前の情報で車両内には乗客がいないことが解っている。
 残っているとすれば電車の運転手ぐらいのもの。同時に教師達も所詮は一般人、猟兵達にとってねじ伏せるなど造作もないことは、簡単に想像がつく。

 教師達に何か物申さねば気が済まぬ者もあるかもしれない。
 或いは、黙々と儀式の中断を目指す者もあるかもしれない。
 唯今は、電車に乗り込み、己の使命を果たすために──猟兵達は己の目指す場所へと跳ねていく。
茜谷・ひびき
まさか儀式の舞台が電車だとは思わねぇし、先生達が真っ黒だったとも思わねぇよ。滅茶苦茶しやがんな。

兎も角列車をどうにかしないと。進行ルートに待機して『ブラッド・ガイスト』 を使用、右手を殺戮捕食態に変えておく。
そして目的の列車が通りがかったらその手で車体に食らい付くぞ。
出来れば儀式が行われている車両を狙いたいが、難しいなら食らい付けた車両から侵入を試みるぜ。
多少列車が壊れても減速に繋がるだろうし、俺にダメージがあっても血が刻印を強くしてくれるだろ。
もし列車に乗り込めたらあとは儀式の場所を目指すだけだな。

……滅茶苦茶してぇ気持ちも分かるけど、誰かを巻き込むのは最低だ。
大事になる前に止めてみせるぞ。


備傘・剱
SPD

速攻で中に入らなきゃいけないなら、手段を選んでる場合じゃないな

バトル・インテリジェンス起動

此奴を体に付けて、動きを最適化、最短で接触できる場所・飛び移るタイミング・入る為の手段を入力して、強制的に入ってやるよ
ドアは…ま、緊急事態だ
壊れてても、文句は…自体が自体だからな
後で聞こう

とにかく、今は儀式の完了を阻止する為に、速攻で三両目に飛び込んで破壊しよう

それにしても…、不満があるから、世界を壊すって考え、よくできるもんだな
その知識があるんなら、じっくり変える事を考えろよ!
これだから、頭でっかちの馬鹿は…
付ける薬が有ったら、キンキンに冷やして頭からぶっかけてやりたいもんだ




 ──バトル・インテリジェンス起動。
 備傘・剱(絶路・f01759)の傍らに自分を操る戦術ドローンが浮かび上がった。
 剱がドローンによって求めるものは動きの最適化、最短の接触、タイミング、そして手段。今の間は相方とも云えるそれに導かれるまま街を駆け、侵入防止のフェンスを飛ぶと、剱は線路上へ躍り出る。
(「付ける薬が有ったら、キンキンに冷やして頭からぶっかけてやりたいもんだ」)
 剱に言わせれば、教師らは頭でっがちの馬鹿でしかない。やれやれ言わんばかりに、男の指先が色黒の首筋を掻いた。
 お灸を据えてやらねばなるまい。
 足許の砂利を靴裏で均して目前に迫る車両を見据える。車両の破損は免れないだろうが緊急事態では致し方ないというもの、文句は後で聞く。
 ──三両目。
 瞬間、剱の腕が奔る車両の窓を叩いた。
 硝子が散る。
 風が啼く。
 悲鳴が聞こえた、車両内の教師らの声だろう。
 流れる身体を窓枠に引っ掛けたガントレットで押し耐えて、車両の内に転がり込んだ剱は、即座に車両内を把握した。
 三つの人影、濃灰の床に大きな文様、幾つかの陶器と木製の祭壇。此方はどうかと言えば、片腕がやられたがまあ何とでもなるだろう。
「不満があるから、世界を壊すって考え、よくできるもんだな」
 仄暗くも鋭い眼光が、車両内の教師らを射抜く。
 一方の教師らは所詮一般人、咄嗟に動けない横を滑り抜け、剱は身体を捻った。狙うは祭壇、標的目掛けてハンマーを振り抜く。
「その知識があるんなら、じっくり変える事を考えろよ!」
 それは、暗く濁れどぎりぎりで留まる男の、底に残った確かな情の声だった。

 同刻、対の側。
(「まさか儀式の舞台が電車だとは思わねぇし、先生達が真っ黒だったとも思わねぇよ。滅茶苦茶しやがんな」)
 己の血液を吸い上げた茜谷・ひびき(火々喰らい・f08050)の右掌が、鋭い異形へと成り変わった。線路上、暴走列車を前に殺戮捕食態の掌を構え、少年は静かに時を待つ。
『一』
 車両が傍らを過ぎれば風鳴りが耳を打った。ごうと唸る風がぶつかれば唯では済まないことを物語る。
『二』
 耳飾りがつよく跳ねた。齢より大人びた少年の瞳は冷静で、狙いの車両をめがけ、大きく右腕を振りかぶる。
 ──三両目。
 右掌が、車両を喰らった。
 途端年相応の身体つきに風の塊が噛みついた。だが、それは車体も同じこと。喰らわれた車体はみしりと鳴き声を響かせ、脚を鈍らせた。
 速度が緩んだ瞬間をひびきは逃さない。
 一足で、車両の中に跳ぶ。車両の椅子にこれでもかと身体を打ち付けられたが、胸の花のような曼陀羅図が護ってくれた。大丈夫、これなら問題なくやれる。
「……滅茶苦茶してぇ気持ちも分かるけど」
 ──誰かを巻き込むのは最低だ。
「ここまでだ、大人しくしろよ」
 ひびきは跳び込んだ勢いのままに床を転がり、起き上がる反動で床を掻く。その指先が床の文様を抉れば、女の悲鳴が響き渡った。

 続けざま、車両が大きく揺れた。
 追撃だ、邪神関係者達が何れほど策を施そうと猟兵の牙からは逃れられない。
 さあ、それをとくと知れ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

空飛・空牙
SPD判定

「走る電車に飛び乗るとか、映画かアニメの世界だな、もう」
けらけら笑いつつスカイステッパーで障害物無視して追走
[地形の利用]で飛び移るのに適した建物の屋根なり屋上なりから跳躍

「ヒーホゥ! 飛び込み乗車失礼すんぜ!」

[空中戦]でバランスとりつつ、ロープ付きハーケンダガーを[投擲]で電車に投げ、[ロープワーク]で引っ掛けるなり巻き付けるなりした後にロープ巻き取って乗り込むか
途中の障害物もスカイステッパーで回避すんぜー

乗り込む際の衝撃なんかは[衝撃波]で相殺するか




 晴れる気配はないが雨が降るでもない、鈍色が一面に広がる冬の空。けれども空はどこまでも広かった。
 空飛・空牙(蒼天疾駆の自由人・f04480)は遮るものなど何一つない空を自由に幾度となく跳ねた。一歩、二歩、まるで地面を駆け回るように、空牙は空を駆け抜ける。自分の頬をすべる向い風が心地良い。
「走る電車に飛び乗るとか、映画かアニメの世界だな、もう」
 空牙の軽やかな声音がからっ風の中を踊った。とん、と軽やかに降り立つビルの屋上の端。空牙は目的の列車を認め、ひゅうと口を鳴らす。
 確かに走行中の車両ともなれば、そう易々とは手が出せないというもの。邪神関係者の彼らもよく考えたものだ。
 だが、空を駆けるものの敵では決してない。ふふんと自信に溢れた笑みが空牙の口許に浮かんだ。
「よっしゃ! 行くぜー!」
 自由気ままな性がそのまま表れたような空中跳び。空を蹴って電線を避け、また空を蹴って角度を変えて、空牙は素早くハーゲンダガーを投げつけた。
 車体の楔となったダガーに括ったロープを辿ろうと腕を引く。途端、車両の風に身体を流されるもそのまま一回転。
「ヒーホゥ! 飛び込み乗車失礼すんぜ!」
 最後の一蹴り。
 空牙はロープを振り子に、割れた窓めがけて勢いよく飛び込んだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

坂上・半
あぁ、あの鉄の蛇に乗り込めってか
正面からぶつかったらことだな
っても、正面から行かなきゃいいんだけどよ

進路上で待ち伏せして【見切り】でタイミングを計って【八艘跳び】で乗り移る

あ、一応事前に現地組織に確認してあれ、外部から止められないか聞いとくな

(どうやって動いているのかから確認して電気で動いているのを確認したら電気供給止めれば止まらないか、とか、電気供給している線をぶった切っていいか、とか)

同じ進行方向に跳ねながら【オーラ防御】で体を守って窓を割って入る

内部で問題なければ先に先頭車両に向かうぜ

ブレーキ?
とにかく止めるためのものがあるみたいだからな
車掌とか言うのが敵又は正気を失ってるなら気絶させる


ニルズヘッグ・ニヴルヘイム
電車の中とは、また厄介な。
とはいえ、情報はこちらにもある。ふはは、重要事項を不用意に放っておく方が悪いのだ。
世界を壊したい心意気は結構だが、実害が出るならば看過はできん。こちらも世界を救う心意気で打ち倒すのみである!

せっかくの機会だ、カーブ前で待ち伏せして、前々から考えていた運用でも試してみるとしよう。
手加減した【ドラゴニアン・チェイン】を、槍に変化させた蛇竜に撃ち込む。オーラの鎖で繋いだそれを列車に向けて【槍投げ】だ!
鎖で繋がれていれば、無理やり掴まるよりは簡単に乗り込めるだろうよ!

……悪いな、蛇竜。少々痛いだろうが我慢しろ。後で埋め合わせはしてやるからな。


喫茶・禾
さむ。

あの、……名前を聞き出す前に寝かせたな。でかいほうの教師
あいつの、螺子が飛んだみたいな嗤い声がまだ耳に残ってる
理解に苦しむな。したくもないけど
邪神を招いて犯した土に、何が芽生える未来が見えてんだろうな
不毛だよ。そんな未来も、この行いも――、みんな

先回り。跨線橋の上で待機
目標が通過するタイミングで飛び降りると同時、UCを使用
悪いな。あんたらの一部、借りる
草葉の竜巻を齎す。可能な限り生きた葉は避け、散る枯葉を主に使いたい心境
翼と併せ、軌道や姿勢の制御やら、着地点のクッション代わりやら
難儀してる同業がいたらそいつにもくれてやろう

*行動以外は参考程度に。勝手に僕を動かしてくれていい
*絡みも随意に


榎木・葵桜
先生達ほとんど関わっての走行中の電車で邪神復活儀式とか
面白いくらい狂ってるよねぇ
笑っちゃうよ、まったく

こういう時こそカミ頼みじゃなくて
自分で頑張らなくちゃなのに

ともあれ、儀式も邪神も全部ぶっ壊すために
気合い入れていこー!

WIZ
列車の通過地点で待ち伏せして乗り込むよ

乗客の目を気にする必要ないなら
【サモニング・ガイスト】で田中さん(霊)を召喚
抱き上げてもらって電車まで運んでもらおうと思うよ
速度的な勢いが足りなそうなら
田中さんにお願いして私を電車めがけて放り投げてもらおうかな

内部に入るために必要なら【衝撃波】で電車の窓とか壊しちゃうかも
これはあくまでも現場の状況に応じての対応だから判断は慎重にするね


エン・ジャッカル
電車が動き出してしまいましたか。電車には間違いなく運転手がいるでしょうから、私はアヌビス号(宇宙バイク)でブースターを用いて加速し、運転手の救出に向かうことにしましょう。
この際にアヌビス号に乗りたい者がいれば、2人まで乗せれますので乗せらせたいと思います。

ですが、変ですね。祭具は1つ回収できたものの、残りの祭具は一緒に置かれていませんでした。そしてその間もなく電車が動き出した。ということは電車に祭具を置いて行う儀式ではないということになるのでは?
そうなると、残りの祭具は別のところに置いて儀式の陣を構築しているといことになりますね。では、電車を使う理由は一体何でしょう?…嫌な予感しかしませんね。


チガヤ・シフレット
電車に飛び乗るとか、考えただけでもわくわくするな?
ところで、この祭具は壊したほうが良いのか、モノ質で持ってたほうが良いか……どちらにせよ、楽しくなりそうだ

【SPD】
ガジェットショータイム!!
さって、どんな効果のがあったか……電気系に干渉して減速させるようなのでもあればいいが……なければ、ブースターでかっ飛ばして追いつくか!
なぁに、多少突っ込んでも私は頑丈だからな!

うまく突入できればあとは教師どもをのすだけ。邪神復活企むならもうちょいうまくやるんだな!

もし運転手とかを人質に取ったりするなら……こっちには祭具のモノ質がある。気を引いてやればどっかから正義の味方でも来るかな


空廼・柩
兎に角、今は時間が惜しい
電車の進路は把握済みなんだ
ならば、たとえ乗車拒否されようとも減速せざるを得ない様な曲がり角も調べたら分かる筈
乗車に間に合わなければ意味が無い
今からでも間に合って、条件に該当する場所があれば直行する
もし可能であれば【影纏い】で件の電車を追跡させよう
予めその電車が何処を走っているか把握出来れば、飛び降りるタイミングも掴み易いんじゃない?
飛び降りた際、多少打ち所が悪くても『激痛耐性』あるし何とかなるさ
とりあえず身体さえ動けばどうとでもなる
後は力尽くでも止めるだけだし、そっちの方が性に合っている

――邪神復活なんて巫山戯た事、誰がさせるかっての
さあ…年貢の納め時といこうか、先生方




 冴ゆる風にさらわれて、吐息は濁る間もなく消えていく。
 何事かと振り返るひとびとの姿が奔り抜ける猟兵たちの視界を掠めた。恐らくはざわめきも有っただろうが、疾風さながらに奔る耳には僅か程も残らない。
 ひとが歩み、車が駆け、鳥が唄う。
 街は平生通りそのものだ。けれどこの何気ない日常を、壊したいと強く願うもの達がいる。
 喫茶・禾(木つつき・f01493)は小さな無人駅から伸びる跨線橋の上で足を止めた。誰もいない喫煙所の、壁として括られたベニヤ板が今にも壊れそうな角度に傾いている。
『全部壊れろ壊れろ壊れろ壊れろッ!』
禾の記憶から不意に、螺子が飛んだような嗤い声が浮き上がった。人間からあのような声が出るのだ。壊れろと叫んだあの男こそ、疾うに壊れている。
全部壊して何になる。
邪神を招いて犯した土に、どんな未来が芽生えるというのか。
 禾が一層視線を落とせば、駅の傍らに立ち並ぶ街路樹の姿が眼に止まった。絶え間なく揺れながら、けれど風に負けず、風に寄り添う欅の木枝が其処にいる。
「悪いな。あんたらの一部、借りる」
 禾の不愛想とも思える声音に柔らかな綻びが滲んだ。樹々に向ける眼差しは閑やかに、禾は自身の翼を広げる。
 少しずつ、禾の足許に広がっていくつむじ風。
 生きた葉を避け、枯葉を舞い上げる小さな塵旋風の向こう側、影を纏った蝙蝠たちが灰色の空を羽ばたいた。
(「──よし、間に合う」)
 空廼・柩(からのひつぎ・f00796)は街を駆け抜けながら、車両の進行経路を頭に思い描いていた。駅をすべて無視したとしても減速を避けられない場所はある、急曲線区間だ。
 加えて柩が生み出した蝙蝠が列車を追跡し、列車の場所を正確に教えてくれる。場所選びを惑うなど有りようもなかった。
「ふはは、せっかくの機会だ、派手にやってやるか」
 列車の中とは随分厄介だが丁度試したかった手もあることだと、ニルズヘッグ・ニヴルヘイム(世界竜・f01811)が鷹揚たる笑声を響かせた。正義の味方というより立派な悪役の声音であるが、込められた性根は真っ直ぐだ。男はカーブ前に堂と立ち、列車が来るはずの方向を見据える。
 世界を壊したい心意気は多いに結構。だが、実害が出るというなら看過はできぬ。貴様らが壊そうとするならば、こちらも相応の心意気で迎え打つ。
「世界を救う心意気で打ち倒すのみだろうよ!」
 気合の一声とともに、ニルズヘッグから覇気の波紋が広がった。自らの竜の覇気は槍に姿を変えた蛇竜を撃ち、己と蛇竜を鎖で繋ぐ。
「……悪いな、蛇竜。少々痛いだろうが我慢しろ。後で埋め合わせはしてやるからな」
 相棒への気遣いを呟く男から、然れども笑みは消えていた。
 決して外してはならぬ、この一撃。
「田中さん、気合いれていくよー!」
 それは、まるで合図となるかのように。
榎木・葵桜(桜舞・f06218)の元気いっぱいの声と小さな身体が、高い、高い、冬空を飛んだ。

 ──さあ、追撃の時間だ。

 タイミングを見計らった禾の竜巻が、ごうと唸りを上げて巻き上がった。
 霊の田中さんに勢いよく放り投げてもらった葵桜は空を舞うようにくるりと回り、禾からの枯葉に包まれて列車に着地する。ふんわり笑う葵桜と眼が合い、禾はこくりと頷いた。
「往くぞ、蛇竜!」
 他方、ニルズヘッグ。男が投げ込んだ槍は車両を見事に貫いた。途端ぎいと歯が鳴るほどの衝撃が奔るも、男は意に介さず、むしろ衝撃に引かれる侭に地を跳ねる。
 豪風に鎖は軋む、だが、槍はそれに耐え抜いた。
 ──よくやった!
相棒を称えるニルズヘッグは勢いの侭に窓の中。盛大に、窓硝子が弾け飛ぶ。
「ガジェットショータイム!!」
 わくわく楽しげに、両手を広げて飛び跳ねて、チガヤ・シフレット(サイボーグのガジェッティア・f04538)から生まれ出たのは歪な形のスクーター。若干だけれどたぬきっぽい。
 電気系に干渉して減速はどれだと唱えながら、チガヤがレバーを引いてみれば、みるみる内に列車の速度が緩んでいく。
 柩は速度が緩んだ瞬間を逃さなかった。迷うことなく地面を蹴り、奔り抜ける列車へ跳ぶ。それでも車両に着いた際には衝撃があったが、激痛に耐性がある柩の身体は止まらない。
 衝撃を反動に屋根を転がりそのまま落ちて、車両の窓から身を滑らせる。
 車両内に身軽く着地を決めて顔を上げれば、無風流な眼鏡の向こうに、此方を呆然と見やる三つの人影が眼に留まった。
「さあ……年貢の納め時といこうか、先生方」
 造り物めいた男の瞳がすうと尖った。深潭の色に気づいたか、最も年配らしき男がぞっと青褪める。
 影を縫われたように動けぬ彼らの足元を拷問具が薙いだ。柩の狙いは無論生身の脚ではなく、床にあった陶器の祭具である。
 ――邪神復活なんて巫山戯た事、誰がさせるかっての。
 ぱりんと、白の破片が宙を散った。


 同刻、先頭車両。
 車体が大きく揺れれば、何事だと怒声が上がった。中でも運転手の傍らにたっていた、ぷっくり太った汗かきの男はあわあわと周囲を見回して。
「……ま、前っ! 前っ!」
 なんと線路上に小さな少年が立っている。急ぎ警告音を響かせるも、だが全く間に合いそうにない。
──ぶつかる!

「あぁ、あの鉄の蛇に乗り込めってか」
 正面からぶつかったらことだな、と坂上・半(羅刹の妖剣士・f06254)がまさに正面からやってくる車両を見つめて呟いた。
 だが半は正面からぶつかる気など更々なく、とんと軽やかに横跳び、更に飛び、船を渡り歩くが如くの身軽さで車両の縁に飛び乗った。
 小さな体躯をオーラで包み、硝子窓を叩き割る。よもや少年が此れ程力強いとは思いも及ばないらしい、車両の中の大人たちはあんぐりと口を開いたまま、半の顔を見つめている。
「き、君……」
「なんだ、敵か?」
 敵らしいなと判断して、答えが返る前にどかどか殴って気絶させる。
「お、お前、大人しくしろ! で、でないと運転手、こ、ころすぞ!」
「そ、そうだ!」
 叫んだのは汗かきの男で、賛同したのはやせ細った長身の男だった。
「そ、そこを動くな……おげふっ!」
 しかしながら長身の男の退場は早かった。がしゃんと盛大に窓硝子どころか窓枠すらぶち壊しながら、スクーターが突っ込んできたからである。
「教師ども! 邪神復活企むならもうちょいうまくやるんだな!」
 ピンクのポニーテールを靡かせて、颯爽と乗り込んできた女──チガヤがふんと胸を張った。奔る車体に突っ込み、相当な衝撃を受けたはずだがぴんぴんしている。
「ぐっ、それ以上近づいたら、こいつを……!」
「おっと、そんなことしていいのかなー? 私もこれ持ってるぞ?」
「さ、祭具?! お前が持っていたのか?!」
 チガヤがちらちらと探索時に入手していた祭具を振った。彼らが捜していた、忘れ物の祭具だ。まさか目の前の女が持っているとは思わなかっただろう、汗かきの男がぐっと言葉に詰まった。その様を見て、チガヤの顔がにぃと緩む。またしても悪い顔である。
 そして、動揺する汗かきの男の手が運転手から離れた、その瞬間。
 硝子が割れる音とともに、汗かきの男が白目を向いた。ふらりと床に転がった男の足許にころり転がっているのは石だ。
「随分と古典的な行動でしたね」
 藍の髪を靡かせながら、エン・ジャッカル(風来の旅人・f04461)が今はもう自身の視界から消えた男を薄くねめつけた。運転手を人質に取ろうとするなど、なんと解りやすいことか。
 エンの相棒たる、アヌビス号。変形もできる頼もしき宇宙バイクを乗りこなし、エンは列車と並走しながら車両の様子を覗いていた。エンにしてみれば男の行動など予測するに容易く、暫く機を伺っていたのだ。
 自身の仕事を終え、すぐさま車両に飛び移ると運転席から中に乗り込む。エンは汗かきの男の横にかがみ込むと、念のため気絶していることを確認した。
「なぁ、ブレーキ? これを止めるやつできるか?」
「あ、はい……!」
 半の言葉に我に返ったらしい運転手がブレーキを踏む。鈍い音が響き、列車の速度が緩み、緩み──漸くして、列車は暴走から解き放たれた。
 同時に外部から連絡が入ったらしい、運転手が何やら状況を説明している声が聞こえる。半が予め現地組織に確認をして、外部から止められないかと相談を持ち掛けていたのだ。何にせよ、これでこの列車が他の列車と衝突することもないだろう。
 ──あとは、邪神だけでしょうか。
 エンの双眸が三両目の方角を向いた。祭具が校内に一つだけ残っていたということは、逆に言えば残りの祭具は此処にあったということ。儀式はある程度進んでいたはずだ。
「事が大きくならなければよいのですが……」
 エンが呟いた、その時。チガヤと半また、気配を感じて三両目の方角を振り返ると同時に、これまでとは比べものにならない程の衝撃が列車全体を大きく揺らした。


「──な、何なの?! あなたたち!」
 金切り声を上げたあの女が、恐らくは音楽を担当している三浦という教師だ。ひとつ祭具を握り締めた女は、元々狐目の瞳を一層吊り上げた。窓に背中をつけ、進入してきた猟兵たちを鋭い視線で見回している。
 その後ろから、逆さまの葵桜がひょこりと顔を出した。
「先生達ほとんど関わっての走行中の電車で邪神復活儀式とか面白いくらい狂ってるよねぇ。笑っちゃうよ、まったく」
「えっ」
 葵桜の呟きが女の耳に届いたかどうかは定かではないが、にこりと微笑む愛らしさの奥底にぴりりと毒を滲ませて。葵桜はひょいと、窓の外から女の祭具を取り上げた。
「こういう時こそカミ頼みじゃなくて、自分で頑張らなくちゃなんだから」
 少女の真っ当な言葉に、大人の教師たちは返す言葉もないだろう。祭具を車両の車輪に轢かせて壊し、葵桜もまた車両の中に身を滑らせた。
 車両が大幅に減速を始めたのは丁度その時だった。車両が止まる瞬間、それは本来安堵の息を零してもおかしくはない瞬間であったが、三両目に居たどの猟兵から緩んだ息は零れなかった。
 葵桜は女教師の前に立ちはだかった。ニルズヘッグと柩もまた、ひとりの教師を背に、己の構えを解かぬまま。
 ばちん、と祭壇が置かれていた場所に一筋の雷が爆ぜた。
 爆ぜる音はひとつ、またひとつ、次第に音を大きくしながら膨れ上がる。ヒィと小さく呻いて、年配の男が後退った。禾の足が震える男の脚をひっかければ、男の身体はごろりと座席の向こうに転がっていく。へぶしと情けない声が聞こえたが座席の影なら身体は安全だ、死ぬよりましだろう。
 ──来る。
 瞬間、真白く膨れた雷の塊が、耳をつんざく破裂音と共に爆発した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『雷穹龍グローレール』

POW   :    雷霆光輪
【超高熱のプラズマリング】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    撃ち砕く紫電
レベル×5本の【雷】属性の【破壊光線】を放つ。
WIZ   :    ドラゴニック・サンダーボルト
【口から吐き出す電撃のブレス】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠神楽火・皇士朗です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 破裂とともに耳を貫いたのは、雷穹龍の猛々しい啼き声だった。
 列車の狭い枠には収まり切らぬ体躯がめきめきと車体を突き破り、果てには天井と吹き飛ばし、壁面を薙ぎ倒す。
 随分と視界が良くなったものだ、瓦礫や座席は残ったが戦うに困るほどの障害物にはなりそうもない。
 雷穹龍グローレール。
 邪神と呼ぶには至らない威圧であるのは、儀式の食い止めに成功した証。
 これ以上の強化がなければ、これ以上の邪神が生まれることもない。

 後は唯、眼の前にいるこれを始末する、それだけだ。
坂上・半
真の姿を解放、雷光に包まれた姿となる

ふん、鉄の蛇から龍が出てきたか
蛇も龍も近いからそれも関係してんのかね

まぁ、いい
大物だ

全力で、【見切り】にいこう
列車の上に出て龍を視認
それによって条件を満たし【縮地】にて一気に詰め寄り斬る

まずは挨拶、そしてその後は【見切り】と【残像】【第六感】により直撃を避け雷の余波を【オーラ防御】でしのぎつつ【カウンター】を入れながら敵を観察する

どのくらいの速度でどこを斬ればいいのか、わかるためにな




 捻じ曲がった鋼の壁が陽のない曇天を跳ねて、重い噪音を響かせた。足元の地面がまるで地震のようにずんと震え、線路の砂利と砂煙が巻き上がれば、女の甲高い悲鳴が耳に障る。
 強い仇の風に、坂上・半(羅刹の妖剣士・f06254)の、尾のような髪が靡いた。冷えた瞳に幼さを残した少年が、車両の上から龍を見やり、両の手にある妖刀を振る。
「ふん、鉄の蛇から龍が出てきたか。蛇も龍も近いからそれも関係してんのかね」
 まぁ、いい。
 大物だ。
 半の身体がみるみる内に青白い耀りに包まれていく。半の指先で渦雷のような耀りの糸がぱちりと弾けた。──真の姿の解放である。
 幼い妖剣士は、誰よりも疾く地を蹴った。
 まさに一足飛び、文字通り眼にも止まらぬ疾さで詰めて胴を斬る。怒声を響かせた雷穹龍が長爪を搔けば、それを見切って身体を捩った。捩る反動で一転、龍の指を狩る。
 半は軽やかに着地したが、然し身を休める間はなかった。
 すべてを撃ち砕く、紫電。
 破壊の雷光線の雨が容赦なく半に降り注ぐ。寸での所で身を躱し、それでも重い紫電の余波に、半が纏う雷光が負けじと渦巻いた。
凌ぎ切ったかと顔を上げた、その瞬間。半は自分の顔に掛かった影に気づき、顔を上げた。──龍の尾だ。
 半の頭上に龍の尾が容赦なく叩き落される。レールが弾け飛ぶほどの衝撃に砂煙が舞った。
 けれど、半の姿は疾うにない。
「お前の動き、見切った」
 雷穹龍の四角から、一閃。半の剣閃が龍の腹を抉り抜いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

榎木・葵桜
こんにちは、邪神さん
えらくカッコいいじゃない!
でも、私達の前に出てきたのが運の尽き、だよっ
生まれてきてそうそう悪いけど、この世界、壊してもらうわけにはいかないの
大人しく私達に倒されてちょーだいねっ

先生達は、このままだと危ないよね
電車の座席の影とか、別車両とか
攻撃を直接くらわない物陰に移動してもらうよ
私、率先して誘導するね
誘導後は攻撃加わるよ

雷属性だと氷系が弱いのかも?
弱点確認がてらで【サモニング・ガイスト】使用
田中さんに【炎】で攻撃してもらうよ
攻撃の通り具合を見て、弱点分析して声掛けて情報共有するね

田中さんや皆とも連携して
私は【胡蝶楽刀】(なぎなた)で【なぎ払い】と【衝撃波】で攻撃仕掛けてくね




「こっち、こっちだよっ!」
 榎木・葵桜(桜舞・f06218)の手許に季節外れの桜が舞った。目立つように、落ち着くように、ふわりと魅せる舞扇子がへたり込んでいた教師たちを物陰へと導いていく。
 彼らが安全な場所に辿り着いたことを確認すると、少女は戦場へと舞い戻った。
「こんにちは、邪神さん。えらくカッコいいじゃない!」
 ともすれば気圧されかねない咆哮、然し葵桜は凛と跳ね返す。大物だが自分たちの前に現れたのが運の尽き、世界を壊されてやるなどもっての他だ。
「大人しく私達に倒されてちょーだいねっ」
 ぱしんと閉じた舞扇子、そのままびしりと腕を伸ばして龍を差す。
「田中さん、いくよ!」
 まずは、焔の一撃からだ。一声とともに葵桜の許に現れた田中さんが、少女の狙いに合わせて焔を繰った。雷穹龍が纏う稲妻と焔がぶつかり、盛大に爆ぜる。
 焔に不利はないようだが、有利もなさそうに見えた。もう一撃、と考えたところで龍が吐き出す雷撃が葵桜を襲う。袴をひらり翻して身体を伏せ、雷撃が線路を抉ると同時に地面を転がった。愛刀を振る。龍の鱗に触れた刀身が、がきんと硬質な音が弾けた。
「──わかった、お腹!」
葵桜は叫んだ。途端に龍の紅眼が少女に向き、鋭い爪を振り下ろす。よもや抉り取られるかと傍目には息を呑むほどの瞬間、田中さんの焔がもう一度爆ぜた。煙焔に紛れ、葵桜は小柄な身を龍の懐に滑らせる。
鱗が堅く弾くなら、刃が通りやすいのは鱗なき腹だ。
龍が大きな体躯を捩らせた。どうやら仲間の撃が龍を捉えたようだ。葵桜はその隙を逃さなかった。
 りん、と鈴が鳴る。
 同時に、葵桜が放った全力の衝撃波が雷穹龍の腹部を切り裂いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エン・ジャッカル
完全なる邪神への降臨は阻止できても、儀式自体の阻止はできませんでしたか。ですが、今は反省する場合ではありませんね。何としてでも目の前の雷穹龍を倒さなくては。

まずは運転手に逃げるよう忠告した後、アヌビス号と合体することにします。もし雷穹龍が運転手に牙を剥いたときは、アヌビス号の両腕にある盾で守りたいと思います。

さて、相手は雷穹龍。見ただけで分かるように、相手は電気を使ってくるのでしょうね。幸いアヌビス号は電気を浴びただけで壊れるような軟なバイクではありませんが、中身の私にまで電気が伝わってきた場合、長く耐えれる自信はありません。電気を逃がすために地面へ常に足がつくよう意識したいところですね。




 雷穹龍が葵桜を切り裂かんと爪を振り下ろす様に気づき、エン・ジャッカル(風来の旅人・f04461)は咄嗟にシールドガンの引き金を引いた。雷穹龍めがけて一直線に駆けた光波が、龍の首を直撃する。
「ここは危険ですので、安全な場所まで避難してくださいね」
「あっ、は、はい……!」
 エンの言葉にはっとした運転手は、途中足を縺れさせながらも遠くへ駆けていく。
 ──モードチェンジ!
 運転手を見送り、エンは相棒のアヌビス号と合体した。彼が逃げ切るまでの間、無差別に駆け回る雷輪は両腕の盾で受け止め、伝う電撃は両足から地面に流す。超高熱の稲妻であっても、持ちうる最大の力を発揮している彼らならば、いなすことは難しくなかった。
(「完全なる邪神への降臨は阻止できても、儀式自体の阻止はできませんでしたか」)
 エンの切れ長の双眸がすうと細まる。素早く情報を掴み、囚われの一般人を救うこともできた。随分な功績だが、それでも邪神が現れたことに反省の念があるのか、エンの瞳に陰りが過る。
(「……ですが」)
 ゆるりとかぶりを振る。今は反省の時ではない、何としてでも目の前の雷穹龍を倒さなくては。
 決意を新たに、エンは駆けた。男のひとつに括った長髪が一直線に流れるほどの疾さで距離を詰め、続けざまに放たれる龍の雷輪を躱す。
 幾度と躱されて腹を立てたか、雷穹龍の尾が揺れた。同時に、仲間のものであろう、もう一匹の龍尾が轟音とともに重なるのを認め、エンは最後の一足を詰める。
 確か、腹だったか。
 仲間が紡いだ弱点も聞き落とすことなく──エンが撃ち放った光波は見事、雷穹龍に風穴を開けたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ニルズヘッグ・ニヴルヘイム
随分とでかい図体だが、思ったほどの力量でもなさそうだ。
世界を滅ぼすと言うのなら、その前に我々をなぎ倒してみるが良い。……出来るものならな!

槍にこれ以上負担をかけるのはやめておくとしよう。【リザレクト・オブリビオン】で相手をしてやる。
こいつを使っている間は無防備になる。蛇竜を攻撃に使って、騎士の方には盾になっていてもらうつもりだが、フォローは他の連中にも頼みたい。
向こうが雷ならばこちらは炎だ。黒炎で燃やし尽くしてくれるわ。
味方に攻撃が飛ぶなら尾で弾いてやるのでも、多少は役に立つだろう。

ふはは。そこで見ていろ、破壊者ども。
この私こそが、貴様らの信じぬ、世界の愛と希望を示す者である!


喫茶・禾
気に食わないんだ
僕を――こうはなれなかった僕の末路を、見せつけられてるようで
だからこそ、この僕になれた僕が、その幸運に報いようとするのなら
こうして過とうとしてる誰かを糺し、正すことに尽きるんだろう

教師どもを雪の突風で場外や物陰に吹飛ばす
然るべき報いを受けてもらうけど、それはこいつに殺されることじゃない
以降一般人の闖入に注意
したら他の面子の技を隠れ蓑に肉薄、こちらもUCで追撃
【鎧も砕く】一撃で、仲間の大一番に繋ぐ隙を作りたい

戦闘後は組織に連絡、事後処理を依頼
店長はじめあの人らには、僕も妹も世話になった
こいつらも任せて間違いないだろ

*行動以外は参考程度に。勝手に僕を動かしてくれていい
*絡みも随意に




 昔からこの世界が大嫌いだった。
 幼い頃から三浦は暗い、三浦は醜女だと揶揄われたが、それは教師として働くようになった今でも変わらなかった。
 なぜ、教職に夢など持ったのだろう。
 辛いばかりで何ひとつ良いことがなかった人生で、それでも唯一自分を慰めてくれた音楽があってここまで生きてきたように、誰かの支えになるような音楽を精一杯伝えたいなどと、どうして考えてしまったのか。
 馬鹿にするだけで授業を少しも聞かない生徒たち。自分の躾のなさを人の所為にする保護者たち。仕事を押し付け合って陰で罵り合う教師たち。
 くだらない、実にくだらない。
 こんな世界、全部ぶっ壊れてしまえッ!


 雪がひとひら、ふたひらと、喫茶・禾(木つつき・f01493)の周りから零れ落ちた瞬間、突風が覚束ない足取りの教師たちの背を押した。風と寄り添うままに一瞥すれば、避難誘導を買ってでてくれている少女の背が眼に映る。
 ふと、三両目に居た教師のひとり、三浦という名であると思しき女教師と禾の視線が重なった。禾と眼が合った三浦は憎々しげに禾をねめつける。
(「あれは、こうなれなかった僕の末路だ」)
 禾の目線が静々と彼女から離れ、前を見た。何時かの爪痕が雪風の切れ端にざわりと揺れる。
 例えば今の自分が出会ってきたものが、歩んでいた路が、少しでも違うものだったなら、あれが自分であったのだ。
(「だからこそ、この僕になれた僕が、その幸運に報いようとするのなら」)
 ──こうして過とうとしている誰かを糺し、正すことに尽きるのだろう。
 ひらりと禾の肩に落ちた一粒を最後に、雪は止んだ。同時に禾の足が跳ねる。他の猟兵の爪が龍を搔いたらしい、龍が体躯を捩らせた隙にその懐へ身を滑らせた。
 一方、禾とすれ違い、ニルズヘッグ・ニヴルヘイム(世界竜・f01811)が後方へ跳ぶ。列車に乗り込む際に披露した蛇竜を労り、代わりに召喚した死霊騎士と死霊蛇竜を嗾けた。
 男は闊達ながら確実に、死霊騎士は戦えぬ自分の傍らに据え、死霊蛇竜に命を出す。雷穹龍の尾と蛇竜の尾が、互いにぶつかって衝撃が爆ぜた。風が唸る。
 途端、雷穹龍の紅眼がニルズヘッグに向いた。実に邪魔な竜の主がこの男だと気づいたらしい、怒号をひとつ、その口にみるみると雷電が満ちていく。
 身を護れるかと悩む間もない、ニルズヘッグは死霊騎士を前に立たせたがそれと同時、もう一つの影が自身の前に立つのが視えた──猟兵だ。助かったと、礼を云う。
「……ッ!」
 背後から息を呑む気配がしたのも、その時だ。
 ニルズヘッグが振り向けば、物陰に身を潜める三浦の姿があった。人が傷つかんとする様を間近で視た所為だろう、恨めしそうに睨んでいた女の眼に、今は怯えの色が広がっていた。
 それはごく普通の、人間の瞳であった。
 女を見返して暫しの間、やがて男は盛大に破顔する。
「ふはは。そこで見ていろ、破壊者ども」
 腹の底から堂々たる声を響かせて、男は相棒の槍を背に掛けた。
 女はこの破壊衝動に至るまで何を考えたのであろう、どれほど絶望しただろう。対して、男もまた身体中に傷跡の残し、底知れぬ深潭の記憶を抱きながら。
 それでも尚、笑った。
「この私こそが、貴様らの信じぬ、世界の愛と希望を示す者である!」
 何処までも自信に溢れ、何処までも通る声であった。
 鈍色の空から落ちるのは、雨でなく、雲間からの耀り。薄暗く曖昧だった冬空に、漸うと耀りの輪が広がっていく。
 ──誰が何と言おうと、世界は愛と希望に満ちている。

 男は気がついただろうか。
 男の背を見つめる女の瞳から、一粒の涙が零れたことを。

 禾はずんと振られた尾を受け止め、反動のままに腹へ跳ぶ。
 事がすべて片付いたら、あの場所へ連絡しよう。店長と、そして彼らには自分も妹も世話になった、あの場所なら屹度。
 脳裏でそう思い浮かべながら、腹の傷口に足を掛けた。脇腹の鱗を削ぎ落すよう、一気に蹴り込む。
「龍よ、覚悟するがいい! 燃やし尽くしてくれるわ!」
 気合の一声。鱗という鎧を無くした雷穹龍を、猛烈な黒焔が焼き尽くさんと唸りを上げた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

チガヤ・シフレット
さぁて、いよいよ邪神様とのご対面だな!
こっちも本気を出すとしよう!(戦闘時にはサイバーなメットを装着
とはいえ、不完全体か?
残念だったな、恨むなら自分の信奉者を、だ。

ヴァリアブル・ウェポンを起動。手数重視で行くとしようか。二回攻撃の技能なども使いつつ、ガンガン攻めていく。
両手の義手に内蔵した銃火器で牽制しつつ、ワイヤーを撃ち出して、絡めて動きを抑制したり、動き回って殴り飛ばしてやろう。

他の猟兵たちとうまく連携できるように、注意しながら、一気に押し切るために攻撃を続けていくぞ。

邪神と言えど、猟兵に囲まれて追い詰められちゃ世話ないな!
大事な祭具もろとも打ち砕いてやるさ!


茜谷・ひびき
こいつさえ倒せば一件落着か。
不完全な状態に出来て本当によかった……。
先生達は……UDC組織にでも突き出せばいいか?
とりあえずは目の前の敵だな。

再び『ブラッド・ガイスト』で右腕を強化して敵に食らい付く。
相手の鱗は【鎧砕き】で全力でぶち破るぞ。
敵の傷を狙って攻撃して【傷口をえぐる】ことも意識する。
こいつを倒せばゆっくり治療出来るし【捨て身の一撃】で多少のダメージは気にしない。
ただ危険を【野生の勘】で察知したら回避や防御も試みるぜ。

先生達には被害が出ないよう気を付けるつもりだ。
こういうのは……生きて反省してもらいたいし。
今回の事には懲りたろ、邪神なんかに二度と頼るんじゃねーぞ。


空廼・柩
わーお、流石腐っても邪神だ
中々好き勝手ぶりだね
まあ、壁や天井をなくしてくれた事には感謝するよ
これで俺も好き放題暴れられる
――じゃあ、龍退治と洒落込もうか

眼鏡外し、棺型の拷問具を手に
繰り出す技は【咎力封じ】
破壊光線なんて大量に喰えるものではない
少しずつ、でも着実に攻撃力を削ぐ
厄介な攻撃も見切れるならば見切り、拷問具で武器受けして凌ぐ
傍に他の猟兵や体力危ない人が居たら…庇う位は出来る筈
攻撃されるばかりは性に合わない
攻撃された序でにカウンターも試みる
共に戦う者在れば互いの隙を埋めるよう行動

終ったらこれ、後始末が大変そう
まあUDC組織が何とかしてくれるかな
…あれ、でもそうなると俺も尻拭いさせられない?


坂上・半
真の姿は引き続き解放

先駆けで手に入れた、【見切り】で手に入れた情報、その後の戦いで手に入れた情報、それらを持って仕上げにはいる

尾を落とし腕を落とし縛り上げて首を跳ねてやる


備傘・剱
何つーか、報われねぇなぁ…
後悔ってのは、先に立たねぇから、結果を気にせず、こんな事、するんだろうがな

黒魔弾で黒焔を防ぎ、カウンターで傷口をさらにえぐってやるよ
俺達が居なかったら、三浦も、此奴と共に、復讐できてたかもしれないが…
運が、悪かったな
いや、やらかす前だから、良かったのかもな
まぁ、どっちでもいいんだがな

こんなもん、呼び出しても、何にも変わらない、変わらなきゃいけないのは、自分だってのによ
顔の相のいい悪いは性根から、来るもんだぜ
笑顔の一つもあれば、結果は…変わったかもしれないがな
ままならねぇ、もんだぜ




 吐息と呼ぶにはあまりに破壊的な、雷撃の塊が降り注いだ。雷穹龍の目線を追い、ユーベルコードの反作用にて戦えぬ仲間の姿に気づいた空廼・柩(からのひつぎ・f00796)は、直ぐさま彼の前に立ちはだかった。
 拷問具を構えた柩の足許が衝撃によってひび割れる。風圧と熱量、加えて雷撃の痺れで身体がみしりと音を立てた。車体を浮き飛ばした威力は、やはり伊達ではない。
 霞のような砂煙の向こう側、漆黒の双眸が龍を視る。
 煙が消えきる頃合いには、柩の姿は疾うになかった。雷穹龍の足許に滑り、柔い内側に棺の拷問具を挟み込む。
 棺を閉じれば、雷穹龍の足が飛んだ。体液が溢れ、龍の絶叫がこだまする。
 壁や天井をなくしてくれたことには感謝をしている。おかげで自分も好き放題に暴れられるのだから。
 平生に纏う色なしの眼鏡を懐にしまい、柩はしなやかに指先を繰った。

 ──さあ、龍を狩れ。

「さぁて、楽しませてもらおうか! 邪神様!」
 愉快そうに笑いながら、メットで顔を覆ったチガヤ・シフレット(サイボーグのガジェッティア・f04538)は、サイボーグの身体を旋回させた。先ずは一打、続いて二打、胴に叩き込んで体制を崩させ、龍の鱗に足を掛ける。
 戦場傭兵のサイボーグレディは、戦場においてはさながら水を得た魚、龍の爪を自在に躱し、あっという間に空を跳ねた。ぎろりとねめつける龍の双眼に牽制の銃撃、呻きながら思わず顔を捻らせた龍が、顔を戻す頃にはもう、チガヤは龍の口元に足を掛けている。
「不完全体か?」
 あっさりと間合いを詰めた女は勝ち誇った声を零した。龍の口内に差し込まれた両の義手から、音が鳴る。
「残念だったな、恨むなら自分の信奉者を、だ」
 零距離銃撃、発射。
 口内に連続の銃弾が叩き込まれ、さしもの龍の体躯も跳ねた。硝煙で視界が霞むほどの銃弾の雨、それが止み、龍が反撃に転じる前にチガヤは再び宙を舞う。
 続けざま、入れ違いで跳ねたのは茜谷・ひびき(火々喰らい・f08050)。龍の眼がチガヤを追う隙に反対側へ回り込む。おのれの血液を代償に、異形と成り代わった右腕が龍の鱗に喰らいついた。
 龍が首を振ると同時、ひびきの身体は反対側へ跳ねた。流石に龍の皮は硬いか、ぐんと腕が引かれるも地を踏みしめ、全力で右腕を振る。
 龍が哭いた。喰らい剥いだ鱗を投げ捨て、もう一撃。殺戮に長けた右腕が、龍の傷を抉りぬく。
(「こいつさえ倒せば一件落着か」)
 身体を地面すれすれに滑らせて尾を躱し、少年は小さく息を吐いた。不完全であってもこれほど固く、強い耐久力を保持しているのだ、改めて邪神の強大さが知れる。
 そう思考を巡らせたところで、つと、ひびきは龍の顔めがけて跳ねて、龍の眉間を引っ掻いた。龍がひびきに顔を向け、雷撃を放つのを勘で捉えて回避する。
 ひびきのそれは、龍のブレスが後方の物陰、教師たちの居る方角に向いたからだ。彼らには生きて反省して欲しかった。
(「後悔ってのは先に立たねぇから、結果を気にせず、こんな事、するんだろうがな」)
 ──報われない。
 備傘・剱(絶路・f01759)から放たれた漆黒の魔弾が、男の目前で雷撃に真っ向から衝突した。耀りと漆黒が混ざり爆ぜれば、龍の雷は剱から逸れて左右に落ちる。
 自分たちが居なければ、三浦はこの龍と共に恨みを晴らせたのだろうか。自分たちを睨む三浦の姿を思い返し、剱はそんなことを考えた。
(「運が、悪かったな」)
 もう一度、男の指先は魔弾を編んだ。魔弾の威力を糧に飛び跳ねて、鱗が剥がれた跡を更に抉る。
 いや、事が起こる前で良かったのかもしれない。既にこれほどの破壊を起こした彼らは罪を問われ、罰を受けるのだ。こんなものに頼ったところで決して何も変わらないのに。思考を巡らせる剱の視界の端を、龍の肉片が跳ねた。──まぁ、どっちでもいいんだが。
(「……もうちょっとか?」)
 初撃を担ってから今も尚、坂上・半(羅刹の妖剣士・f06254)は変わらぬ高さで空を翔んだ。妖刀を振り、じわり、じわりと重ね斬る。
 龍が雷の輪を四方にばら撒いたが、半は軽く躱してみせた。幾度となく龍の攻撃を受け躱してきた少年は、もはや龍の雷撃など喰らうこともない。
 少年の紫の瞳は、龍の首を狩る、その瞬間を見据えていた。
 そして終焉の時は、着実に近づいている。
 ──ユーベルコード、咎力封じ。
 既に手枷を課せられていた龍に、更なる枷が加わった。柩の枷を煩わしげに尾を振る龍に、チガヤが追い打ちとばかりにワイヤーを引っ掻ける。
 時は来た。
 剱の掌が龍の体躯を間近に捉えた。放っておけば破壊の運命をもたらす厄災を、漆黒の魔弾がすべて撃ち払うかのように痛烈に爆ぜる。
 龍が吼えた。最期の足掻きとも思える紫電の雨、それに対してひびきは避けるを選ばず突き進む。紫電が肩を抉ったが脚は止まらぬ、紅の爪が龍を搔いた。
「邪神と言えど、猟兵に囲まれて追い詰められちゃ世話ないな!」
 チガヤは頭上よりめいっぱいに振りかぶって、両の銃口を龍に向ける。
 半の足が空を蹴る。蹴って、蹴って、跳ね上がり、声に揃えてめいっぱいに刀を振りかぶった。
 肩を斬り、脚を薙いで、縛り上げ、手を重ねたならもう動けぬ。ほうら、御前は籠の中の鳥。
「──打ち砕いてやるさ!」
 チガヤの一声、そして、銃弾は駆けた。
 時は同時、半もまた小さな身体を捩じって両刀を振った。奔る刃は狂気かも知れぬ。唯今しがたの両刀は、確かに厄災の首を跳ねたのだ。


(「……終ったけど、これ」)
 心の中で呟きながら、周囲を見回す柩の指先が首筋を搔いた。ひしゃげるどころか吹っ飛んだレール、見る影もない三両目。ひび割れて穴だらけの地面。
(「後始末が大変そう」)
 これをUDC組織がなんとかしてくれるというのなら──UDCエージェントたる自分は、あれ、尻拭いの役回りでは。
 どこか憂いを帯びたようにも見える柩の背を一瞥して、剱は次に教師たちに目を向けた。こんなもの呼び出しても何も変わらない。戦いの最中にも心中で呟いた言葉を、また心中で繰り返す。
「変わらなきゃいけないのは、自分だってのによ」
 独りごちた剱の声がどこまで届いたかは知れないが、少なくとも音は聞こえたらしい、三浦が地面に落としていた視線を上げた。女の頬には涙の痕と、それを拭ったせいだろうか、砂で黒く汚れているのが見て取れる。
「顔の相のいい悪いは性根から、来るもんだぜ。笑顔の一つもあれば、結果は……変わったかもしれないな」
 剱と視線を重ねた女の顔がくしゃりと歪んだ。その顔を横から眺めながら、ひびきは小さく息を吐く。少しでも反省の色があるのなら、それでいい。
「今回の事には懲りたろ、邪神なんかに二度と頼るんじゃねーぞ」

 雲が流れ、流れた末は、晴れの空。
 どれほど衝動が傷跡を残したとしても、生きる限り日々は巡る。
 今は悔やみ苦しんだとしても、それでも、いつか。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年01月07日


挿絵イラスト