エンパイアウォー㉚~天使人形、増産中
「山陽道熱波地獄は無事阻止できたようですね」
これも猟兵達の活躍によるものだが、フェリクス・フォルクエイン(人間のパラディン・f00171)曰く、この山陽道熱波地獄を企てた魔軍将・侵略渡来人『コルテス』が、骸の海から渡来人を呼び寄せる幾つかの財宝を所持していた事が判明したらしい。
「一定時間ごとに新たな渡来人を召喚し続けるそれらの財宝は、かつてコルテスが侵略した文明から略奪したものなのだとか」
まさに『血塗れの財宝』だ。
「財宝は現在も新たな渡来人を呼び出し続け、信長軍の戦力を増やしているみたいなんですよね」
故に放置はしておけないし、逆に言うならそれらの財宝を何とかしてしまえば、魔空安土城の信長軍の戦力を減少させる事ができるとも言える。
「コルテスの血塗れ財宝は山陽地方の神社仏閣などの『パワースポット』に設置され、一定時間ごとに、同じ種類の集団敵を骸の海から召喚し続けるようです」
君達に何とかしてもらいたいのも、内の一つとなる。
「それでこの財宝によって召喚されたオブリビオンは召喚されてある程度数がたまったら魔空安土城に向けて移動していくようです。ただし、一定数は財宝の防衛のために常にその場に留まるみたいですけど」
護衛の数はおおよそ十体。召喚されたオブリビオンが二十に達したところで、十が出発し残りの十体は数が二十に達すまでその場で待機といった様に。
「ある意味襲撃のタイミングも重要ですよね。少ない人数を狙おうとして、まだ出発した十体がそう離れてないうちに襲えば、戦闘に気づいて魔空安土城に向かった十体が引き返してくるかもしれませんし」
決めるのは、おそらく最初に仕掛ける猟兵だろう。敵の数を減らせば、戦闘は有利になる。
「逆に多くなれば不利になりますが、増えた分沢山の敵戦力を削れると思えば挑む価値はありますし」
ともあれ、戦いを優位に運ぶためにもご協力お願いしますねとフェリクスは君達に頭を下げたのだった。
聖山 葵
敵のスポーンポイント、ゲームによってはいろいろお世話になったものです。
という訳で、今回は渡来人のスポーンポイントを破壊するお話の模様です。
このシナリオでは、最初にリプレイに登場するキャラクターが『敵が何体の時に攻撃を仕掛ける』かを決める事が出来ます。敵の数によって戦闘の難易度が変わるので、最初のプレイングが重要となります。
=============================
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
=============================
では、ご参加お待ちしておりますね。
第1章 集団戦
『万能従者型・渡来の天使』
|
POW : 天使の一撃
単純で重い【天使の斧】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : くるくる回る天使の輪
自身が装備する【天使の車輪】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ : 兄弟の危機を見過ごせない!
自身が戦闘で瀕死になると【新たな別の渡来の天使】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
イラスト:つばき
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
緋月・透乃
※20体の時に襲撃
敵を呼び出す財宝ねー。
戦争中でなくて、特に周囲に被害とかもでないのなら、戦いたい時に戦うために便利そうだよね。まあそんなこと言ってる状況じゃないし、ささっと壊しちゃおう!
敵の武器も斧だね!それならこっちも戦斧で戦い、私の斧と技のほうが強いということを実感させよう!
財宝に向かって進んでいけば敵のほうから寄ってくるはずなので、間合いに入ってきたところへ怪力をこめた一撃を放っていくよ!
ユーベルコードを使ってきたら、こっちも緋迅滅墜衝で真っ向勝負をするよ!
多数でこられた時は緋迅滅墜衝でまとめて薙ぎ払ってみよう!
「敵を呼び出す財宝ねー」
親指と人差し指で顎を挟むように手を当て、ポツリと漏らした緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)の視線の先にあったのは、石製の鳥居だった。おそらく神社が先にあるのだろう。
「戦争中でなくて、特に周囲に被害とかもでないのなら、戦いたい時に戦うために便利そうだよね」
戦闘好きならではの発想であろうか。ただし、放置すればよろしくないことは透乃もしっかり理解しており。
「まあそんなこと言ってる状況じゃないし、敵の数もちょうどいいぐらいだからささっと壊しちゃおう!」
豊かな胸がたゆんと弾ませ、歩き出した先には丁度出発しようとしているオブリビオン達の姿があった。つまり、防衛戦力と併せて敵の総数は『二十体』。
「兄弟、お客様がいらっしゃったよ」
「それはそれは歓迎しないと駄目だね、兄弟」
天使を模して翼を有するミレナリィドール達は透乃の接近に顔を見合わせると、斧を手に腰かけた天使の車輪を駆る。
「敵の武器も斧だね!」
鳥居の下、境内に存在しうるオブリビオン達の最大数が迎撃に動き始めてもは動じる様子を見せず、むしろ敵の武器を見て嬉しそうに笑むとそれならと自分の苗字と同じ名を持つ大斧を担ぎ上げた。
「私の斧と技のほうが強いということを実感させよう!」
結論に至れば、後はこちらを発見したミレナリィドール達が寄ってくるのを待つだけであった。
「「やぁ、お待たせお客様。早速だけど、歓迎させてもらうね」」
そして、やってきたオブリビオンたちは誰もが笑顔で車輪に腰かけたまま斧を振り上げる。透乃を猟兵として、天敵として認めているのだから、至極当然の反応であった。もっとも、斧を振り上げていたのは、透乃も変わらない。
「力の限りぶっ壊せー! 必殺の左! 緋迅滅墜衝!!」
「「がっ」」
「「ぎゃっ」」
間合いに入ってくるのを今か今かと待っていた分、振るうのは透乃の方が早く。左手だけで持った大斧を薙ぎ払えば、回避しきれず車輪ごと両断されたオブリビオン達が骸の海へと還り。
「ああ、兄弟が」
「油断しすぎだよ、兄弟」
あっさり倒された四体の仲間を幾体かのミレナリィドールが嘆き。
「仇を取らないとね」
「そうだね、兄弟」
斧を振るったばかりの透乃目掛け、複数のオブリビオンが天使の斧を振るう。
「おっと」
「ええい」
「たあっ」
肌すれすれを斧頭が掠め、むにゅんと大きな胸を変形させた透乃の眼前へ振り下ろされたかと思えば、行きつく暇も与えずに次のミレナリィドールが襲い掛かる。
「うん、流石にこの数は」
一人で相手にし続けるには厳しいかもとひとまず透乃は退くのだった。
成功
🔵🔵🔴
鈴木・志乃
※人格名『昨夜』で参加
20体……!
マックスですか。なかなか激しい戦いとなるでしょうがそれでも退く訳には行きません
UC発動
光の鎖を念動力で用い、車輪と車輪の隙間を通して早業ロープワークで全て繋いでしまいます
勢い余って壊れてくれれば上々
そうでなくとも多少の妨害は出来るはずです
あんな斧振り回していればその内周囲の器物は破損するでしょう
第六感で攻撃を見切りつつ、敵の車輪や器物を盾にしながら光の鎖で武器受けからのカウンターなぎ払い
破損物とを念動力で巻き上げて背後から急襲、撹乱を狙います
前方からは呪殺弾を撃ちますか
さぁ、どちらに逃げますか?
まったく、この手の敵は苦手です……
唐草・魅華音
※15体で襲撃
目標、召喚財宝と護衛。任務了解だよ。
財宝の破壊が優先だから、出発した敵がそこそこの距離をとったタイミングでの襲撃が最適だね。
空中からUCで奇襲をかけて護衛を弱体化、その後動きで翻弄しながら速攻で殲滅を計り財宝にダメージを与えるよ。
マメットを使って高い物を伝っていき敵の集中箇所の上空に飛び上がる。そして敵陣へ落下しながらUC発動、銃の乱射や刀のなぎ払いで敵を弱体化するよう狙うよ。
そして【戦闘知識】で敵の弱った順に効率よく倒す順を判断。【ジャンプ】【スライディング】などで地上を駆け。【ロープワーク】で空に飛び上がったりしてヒット&アウェイで動き回って殲滅するよ。
アドリブ共闘OK
「16体……!」
鳥居周辺へ群れる天使型の人形の数の多さに鈴木・志乃(ブラック・f12101)の口から声が漏れた。
「既に4体減っているということは、元はマックスでしょうか」
「財宝の破壊が優先だから、出発した敵がそこそこの距離をとったタイミングでの襲撃が最適だと思う……思いますけど」
志乃の独言のに応じた形で唐草・魅華音(戦場の咲き響く華・f03360)は口を開くも、既に戦端は開かれている。
「なかなか激しい戦いとなるでしょうが、それでも退く訳には行きません」
「そう、ですね。元々15体で襲撃するつもりでしたし」
魅華音からすれば、先に戦った仲間が四体のオブリビオンを仕留めた後なのだ。想定した敵の数と一体しか差はない。
「目標、召喚財宝と護衛。任務了解だよ」
ならば、後は割り切って行動に移るだけだ。魅華音は伸びる豆の木を伝って近くに生えた木の天辺へと移動を始め、木の先端にたどり着けばそこから鳥居の上へ。
「兄弟、お客様はいらしたかい?」
「いいや、どこに言ってしまったんだろうね、兄弟」
仲間を屠った戦斧使いを探している様子のミレナリィドール達を眼下に、鳥居の上から飛びあがる。
「我この戦場を駆け巡り、蹂躙する……流法、竜飛鳳舞」
「え?」
「な?」
詠唱を耳にしオブリビオン達が頭上を仰いだのは、遅すぎた。
「ぎゃ」
「あ」
上方から薙ぐように振るわれた野戦刀・唐獅子牡丹によって斬られたミレナリィドール達の身体が切断面から斜めにずり落ち。
「で」
「ぞ」
乱射したMIKANEの銃弾が我に返る間も与えず天使型の人形達の身体に穴を穿つ。
「っ、新しいお客様が」
「怪我をした兄弟は下がって、ここは――」
ワンテンポ遅れて魅華音の襲撃に気付いたオブリビオン達は迎撃に移ろうとして、聞いた。
「シノの敵はアンタ? 悪いけど私、一切容赦はしないから」
問いかけと、返事を待たぬ一方的な宣言を。
「おも、えっ? うわぁっ?! ぶっ」
それでも構わず動こうとしたミレナリィドールがつんのめってバランスを崩し、顔面から地面へ落ちる。
「な、これは」
仲間の醜態に別のオブリビオンが足元を見れば、いつの間にしかけられたのか、光の鎖が自身らの乗った車輪の中を通過し、仲間の車輪と一繋ぎにされていたのだ。
「兄弟が転んだのは、それでかな。なる程」
「呑気に納得してる場合じゃないよ、兄弟。これじゃ、早く動けな、あ」
動けないと言いかけて、ツッコミかけたミレナリィドールは思わず骸の海に還りかけている兄弟達の方を見る。
「あのお客様は」
どこに行ったのと問いたかったのだろう。駆けたかと思えば滑りこむようにして人形達の包囲を抜けた魅華音は今更ながらに騒ぐオブリビオンを視界に捉えながら、この時ロープで空にあり。
「兄弟、そんなことよりも」
「っ」
仲間に声をかけられて振り返ったミレナリィドールが見たのは、光の鎖を振るい、仲間を薙ぎ払う志乃の姿だった。
「兄弟を壊してくれたお礼はさせてもらうよ!」
「良いのでしょうか? そんな斧振り回していればその内周囲の器物は破損しますよ。それに財宝が巻き込まれでもしたら」
「っ」
斧を振りかぶるオブリビオンの動きは志乃の指摘で一瞬止まり、その隙に志乃は他のミレナリィドールの乗る車輪を盾にするように回り込む。
「しま」
ミレナリィドールの表情が驚きと失敗に歪む。仲間諸共に斧で叩き割る訳にもいかないというのもだが。この時志乃は呪殺弾を放つ体勢を作り終えていたのだ。
「さぁ、どちらに逃げますか?」
「え?」
志乃の問いに天使型の人形はけげんな表情に変わり。
「後ろもだよ、兄弟! 挟み撃ちに」
仲間の警告はそのオブリビオンには間に合わなかった。
「がっ」
念動力で持ち上げられていた車輪の残骸に押し潰される形でミレナリィドールがまた一体、倒れ伏し。
「まったく、この手の敵は苦手です……」
嘆息と共に志乃が漏らした時、敵の数は七減って残り九体まで数を減じていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
高柳・零
POW
…コルテスに滅ぼされた方の文明も何かとんでもない所だったみたいですねえ。
「いつまでも戦争を続けようとする信長軍は、民衆にとって迷惑以外の何者でもありません。早々に殲滅させて頂きます」
ゴッドハンドを発動して空を飛び、敵を逃がさないように動きます。
「さあ、玄信。脱衣だヌギ。ヌギカル☆玄信に変身だヌギ!(ボイス付き)」
敵の数が多いので空中から範囲攻撃でまとめてダメージを与え、弱って来た敵から2回攻撃でとどめを刺して行きます。
斧の攻撃は地上に降りて見切りで読み、オーラを全開で被せた盾で受けます。
「ヌギヌギランドの住人は空も飛べるヌギ。もう、何でもありな気がしてきたヌギ!」
アドリブ、絡み歓迎だヌギ
真宮・響
【真宮家】で参加。5体撃破を狙う。
とことんコルテスの企みを阻止してきた身としては残らずこの国からコルテスの影響は消し飛ばしたいねえ。奏、瞬、目標は5体だ。いいね!!
流石に攻撃の直撃は避けたい。【忍び足】【目立たない】で敵の視線から逃れつつ、【残像】も使いながら敵の群れの背後に回り込み、【先制攻撃】【二回攻撃】【串刺し】【範囲攻撃】に竜牙を併せて攻撃。さあ、コルテスに属するものは全て排除するよ!!この国から失せな!!
真宮・奏
【真宮家】で参加。5体の撃破を狙う。
隠し財宝ですか。また隠してた物があったんですねコルテス。結果としてコルテスの企みに全部関わったものとして最後までコルテスの野望は阻止しましょう。5体撃破ですか。頑張ります!!
トリニティ・エンハンスで防御力を高めてから、【オーラ防御】【武器受け】【盾受け】【拠点防御】で防御態勢を整えてから瞬兄さんの援護を受けながら背後に回る響母さんとの挟撃を狙い、正面から切り込んでいきます。接近したら斧の一撃を耐え、【属性攻撃】で氷を纏わせ、【二回攻撃】【範囲攻撃】で攻撃します。コルテスの野望もここまでです!!
神城・瞬
【真宮家】で参加。5体撃破を狙う。
また隠し玉を持ってましてたかコルテス。家族でコルテスの企みに関わった者としてはこの国からコルテスの悪事は根こそぎ排除したいところ。5体撃破ですか。頑張ります。
5体撃破ですから、最初から全力でいきます。【高速詠唱】【全力魔法】【二回攻撃】で氷晶の矢を撃ちます。【範囲攻撃】も併せて、【鎧無視攻撃】【マヒ攻撃】【目潰し】【部位破壊】も乗せます。サムライエンパイアに貴方達の存在は不要です。主人ごと骸の海に還りなさい!!
山梨・玄信
大勢でのお出迎えご苦労様じゃ。
目的を考えると飛ぶのが少し厄介じゃが、まあそれは何とかなるかの。
【POWを使用】
虚空を見て頷き、褌一丁になると脱ぎ力を高めるぞい。…最近、これが当たり前になって来ているのが悲しいのう。
空を飛んで空中戦を仕掛けるぞい。
斧の一撃を見切りと第六感で躱してやるのじゃ。空中なら地形破壊も…何!気流が乱れるじゃと?UCを甘く見てはいかんな。
じゃが、空中は移動出来る場所が多いのじゃ。大きく移動して敵を複数巻き込める位置に移動し、気の放出(UCによる強化版)を放って纏めて片付けてやるぞい。
「わしの脱ぎ力を思い知ったか!」
アドリブ歓迎じゃ。
「隠し財宝ですか」
グリモア猟兵の話を思い出しつつ真宮・奏(絢爛の星・f03210)が視線を向けた先は、既に戦場であった。その財宝を防衛しようと戦い、猟兵によって倒された人形の残骸が骸の海へと還りつつある中、生き残りのオブリビオン達は新手の襲撃を警戒するかのように武器である斧を手に周囲を見回していた。
「また隠してた物があったんですねコルテス」
「また隠し玉を持ってましてたかコルテス」
奇しくも同じタイミングで奏と神城・瞬(清光の月・f06558)の口からほぼ同じ言葉が漏れたのは、考えていたことが同じだったからであろう。【真宮家】の三人は、噴火を阻止し、霊玉を奪還し、山陽道でも儀式を止めた。
「とことんコルテスの企みを阻止してきた身としては残らずこの国からコルテスの影響は消し飛ばしたいねえ」
「はい、最後までコルテスの野望は阻止しましょう」
娘達の会話をただ黙って聞いていた真宮・響(赫灼の炎・f00434)が口を開けば、奏は頷き。
「そうですね」
同意する瞬としても、この国からコルテスの悪事は根こそぎ排除したいところだった。
「奏、瞬、目標は5体だ。いいね!!」
「「5体撃破ですか」」
声をハモらせて奏と瞬が視線を響の横顔から前方に戻すと、幾らか損傷が見られる個体を含めてもまともに動いているミレナリィドールの数は九体であった。
「全員で5体、と言うことにならないと」
「達成できたとしても誰か一人ですね」
さすがに戦っている間に六体召喚されて増えるということも考えにくい。
「ここですか、問題の場所は。……コルテスに滅ぼされた方の文明も何かとんでもない所だったみたいですねえ」
そんな折であった、新たに猟兵が転送されてきたのは。
「大勢でのお出迎……うむ、たぶん元は大勢だったのじゃろうな。お出迎え、ご苦労様じゃ」
戦場を見て数の半減したオブリビオン達の数に山梨・玄信(ドワーフの破戒僧・f06912)は言い直すとこれから討伐する相手へ労いの言葉をかけ。
「いつまでも戦争を続けようとする信長軍は、民衆にとって迷惑以外の何者でもありません。早々に殲滅させて頂きます。天よ人々を護る力を!」
盟友であるの傍らで高柳・零(テレビウムのパラディン・f03921)は全身を神聖な光で覆い浮かび上がる。
「まさかこのタイミングで味方が増えるとはねぇ」
同じ敵を狙う者が増えたことを否応なく見せつけられつつも、響は前言を撤回しなかった。何故なら、忍び足で敵集団の後方へ回り込もうとする響の視界の中で、瞬と奏は既に動き出していったのだ。
「兄弟!」
「何――」
どことなく切羽詰まった仲間の声に振り返ったミレナリィドールが見たのは、新手の姿と、作り出された250を超える魔法の矢。
「さて、これを見切れますか?」
「拙いよ、兄弟」
「よ、避け」
瞬の問いかけに答える余裕など天使型の人形達にはない。あるオブリビオンは引きつった顔で仲間を見、あるオブリビオンは斧を盾にするように構えながら身を縮こまらせるが、とても何とかできる物量には見えない。
「敵が崩れたらそこへ」
「ありがとうございます、瞬兄さん」
その上、魔法の矢を放とうとする瞬の前にはエレメンタル・シールドで急所を隠すようにしながら斬りこんでくる奏の姿があるのだ。つまり、とんでもない数の魔法の矢は攻撃であると同時に援護射撃でもあるわけだ。
「今が好機です、玄信」
自身にしか見えない神々しい女性の幻影に促され、玄信は頷くなり徐に衣服へ手をかける。
「さあ、玄信。脱衣だヌギ。ヌギカル☆玄信に変身だヌギ!」
「……最近、これが当たり前になって来ているのが悲しいのう」
やけにはっきり聞こえる脱衣の国の妖精モードになった盟友の声をさらりと聞き流しつつ褌一丁になった玄信は露出した肌の映える輝きに包まれ空に舞い上がり、言い放つ。
「わしの真の力を見るがいい!」
説明しておこう、これがヌギカル☆玄信である。既に【真宮家】の内二人から挟み撃ちにされつつあり、追い打ちと言わんがばかりに魔法の矢が大量に降り注ごうとしているところへと現れた、新たな変た、絶望。
「今、変態と言わんかったかの?」
「きっと気のせいヌギ」
ジト目であらぬ方を見たヌギカル☆玄信に零は言うも真下のミレナリィドール達はそれどころではない。
「ひええっ」
「げふっ、ぐはっ」
ある者は魔法の矢から逃げ惑い、ある者は運悪く複数の矢が突き刺さり。
「きょ、兄弟たち。ど、どうにかし」
「この一撃は竜の牙の如く!! 喰らいな!!」
ある者は最後まで言い切ることも、背後に迫っていた響に気づくことも出来ず、穂先の赤熱したランスで両断され、悲鳴も残さず崩れ落ちる。
「きょ、兄弟?! う、後ろからもお客さんだなんて」
「上空のヌギカル☆玄信も忘れないで欲しいヌギ」
「な」
うろたえるオブリビオンは頭上からの声に慌てて空を仰ぐ。
「と、飛んでいる?!」
「ヌギヌギランドの住人は空も飛べるヌギ。もう、何でもありな気がしてきたヌギ!」
どこだよヌギヌギランドって、とツッコミを入れる暇すらない。言葉を発すより早く振ってきたのは、広範囲に纏めて効果を及ぼす攻撃であり。
「ぐうっ」
「攻撃が来ようと躱すつもりじゃったが、とんだ肩すかしじゃのう」
顔を歪め何とか耐えきったミレナリィドールが最期に耳にしたのは、先ほどとは別の声。最期に見たのは、物凄く近い距離にあった褌一丁のドワーフの身体であった。
「結果的に三方からの挟み撃ちだから無理もないヌギ」
「まぁ、それはそれじゃの」
「っ、冗談じゃないよ」
会話する余裕すらある敵にか、敵の容姿にか、顔をひきつらせたオブリビオンは斧を振り上げ車輪を駆る。
「うおおおおっ」
駆けた先には、水の精霊の力が込められた剣へ氷を纏わせ構えた奏がおり。
「やあっ!」
「ぐ、あ」
斧の刃が触れる前に二度胴を薙がれた天使型の人形は凍てつきながら、倒れ込む。
「ぎゃあっ」
「さあ、コルテスに属するものは全て排除するよ!! この国から失せな!!」
響もまた斬り倒したミレナリィドールを前に言い放ち。この時点で立っているオブリビオンは四体。それも無傷とは言い難かった
「く、そんな兄弟達がこんなにあっさり……」
「サムライエンパイアに貴方達の存在は不要です。主人ごと骸の海に還りなさい!!」
動揺を隠せぬ天使型の人形達へと再び魔法の矢が降り注ぎ。
「加勢するぞい!」
更に矢へ襲われるミレナリィドール達全てを巻き込む形で玄信が気を放出したのだ。
「きょ、兄弟ぃぃぃ」
「ぎゃあああっ」
既に手傷を負っていたオブリビオン達はひとたまりもなかった。
「わしの脱ぎ力を思い知ったか!」
倒れ伏した敵を視界に入れ、玄信は胸をそらし。
「うぐ、財、ほ」
もはや這う力すら残っていないのか、半壊の人形が残った腕を伸ばす先には、剣を抜いて駆ける奏の姿があった。
「コルテスの野望もここまでです!!」
防衛戦力が全滅した時点で財宝がどうなるかなど言うまでもない。この地から送られ続けていた増援はこうして絶え、猟兵達の活躍で神社は元の静けさを取り戻したのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴