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エンパイアウォー㉑~海上の支配者

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #魔軍将 #弥助アレキサンダー


●水軍と武将
 中国地方と九州との境に横たわる、関門海峡。
「うむ! 壮観なり!」
 旗艦より己のあずかる水軍を見渡し、重畳とばかりに大きく頷く男が一人。
 大帝剣『弥助アレキサンダー』である。
「フェン! フェンフェン、フェン!」
 一方、傍らで奇妙な鳴き声(?)を上げる奇妙な物体。
 ……これが隠し将『豊臣秀吉』……らしい。
「任せてくれ!」
 鼓舞するような秀吉の声に、弥助はいかつい親指を立てて応えると、旗艦から身を翻して海上に降り立った。
 足元の海面がさざ波立ったかと思えば、瞬く間に強力な渦を巻き始めた! 男の周囲を水しぶきが派手に舞う。
「『全ては信長様の為に』。ここで死力を尽くせるなんて、武将冥利につきるってもんだ……!」
 海峡を支配する男と、その友、そして数多の毛利水軍が、猟兵を待ち受ける。

●グリモアベース:ゲネ
「大帝剣『弥助アレキサンダー』決戦! こいつは長丁場の海戦になるぞ……!」
 威勢の良い呼び込みをかけながら、ゲネ・ストレイ(フリーダムダイバー・f14843)はホロモニターに、多数の軍船が浮かぶ下関海峡と、二人の武将の姿を映し出した。
「大帝剣『弥助アレキサンダー』、そして『豊臣秀吉』! 後者に対して私からのツッコミはしないでおく! 色々言いたいことがある者は本人に直接ぶっこむといい!」
 ともあれ武将が同時に二人現れるとなると、困難な戦いが予想される。
 その上、敵は『大帝の剣』『逆賊の十字架』『闘神の独鈷杵』という名の、「メガリス」と称される渡来人の至宝を使用する。
「まず、メガリス『大帝の剣』の力によって、『毛利水軍』は「猟兵は敵である」と洗脳されている」
 毛利水軍は大軍勢。一般人であり、猟兵には劣るものの、屈強な武士たちで構成された、非常に精強な水軍だ。
 今回の作戦の成否に、彼らの生死は問われない。
「……皆殺しにしたほうが、思考にリソースを裂かずに戦況を有利に運べるのは間違いない。が、それで江戸幕府の未来に禍根を残す可能性は低くないし……何より、嫌だろう? 一般人を手にかけるのはさ」
 出来うる限り彼らを殺さず無効化する工夫をしながら毛利水軍の突破できれば、戦いの波にも乗れるかもしれない。
「水軍を突破したら『豊臣秀吉』の登場だ。こいつはメガリス『逆賊の十字架』によってスピードと反応速度が強化されている」
 秀吉は関門海峡の海上をゴムまりのように飛び跳ねながら、あらゆる角度からの弥助への攻撃を超高速で受け止める。秀吉を倒さない限り、弥助を攻撃することはできない。
 ちなみに、「フェン」としか喋らないが、実は一般人含むあらゆる者が、それを聞くだけで何を言っているのか理解できる……らしい。話しかければ義と忠に厚い、武将の鑑みたいなことを返してくれる……かもしれない。
「秀吉を倒せば、いよいよ本丸、大帝剣『弥助アレキサンダー』と戦うことになる。こいつはメガリス『闘神の独鈷杵』の力によって発生した『関門海峡の大渦』の中心に浮遊し、三つのメガリスの力を高めているようだ」
 弥助は水上を浮遊しながら、三つのメガリスを武器として用いて戦う。
「大渦を何かの形で戦闘に利用できれば、有利に戦えるかもしれないな。ただ、負けが込み過ぎて作戦が失敗に終われば、メガリスの力が天変地異の如き雷の大渦を呼んで、今回の参戦者全員吹き飛ばされて大敗、ってことになりかねないので注意してくれ」
 戦場は海上。戦い方は猟兵に一任される。
 しっかりと海上に適した戦いを意識し行動することが肝要だろう。
「敵は強敵、作戦も高難度。こいつらは倒さずとも今回の戦争には表向き影響しないが、のちにどんな禍根を残すかわからない」
 災いの芽は可能な限り積んでおきたいのだ、とゲネは力強く転送術式を瞬かせた。
「我こそはと思う者は、是非とも参戦頼むぞ……!」


そらばる
 エンパイアウォー、魔軍将決戦。
 関門海峡海上にて、『毛利水軍』、隠し将『豊臣秀吉』、大帝剣『弥助アレキサンダー』と戦火を交えます……!

●注意点
 他の魔軍将決戦と異なり、三章構成となっています。

 一章:冒険『毛利水軍を突破せよ』
 敵将を守る長州藩の精強な武士たちを、出来る限り傷つけずに突破しましょう。
 二章:ボス戦『隠し将『豊臣秀吉』』
 海上を跳ねまわり敵将を守る高性能ゴムまりを相手にするつもりで挑みましょう。
 三章:ボス戦『大帝剣『弥助アレキサンダー』』
 三つのメガリスを使いこなし、海面を浮遊する(高く飛翔したりはしません)強敵との決戦です。

 全章通して海上で戦うことになるので、その点を踏まえたプレイングをお願いします。

●特殊ルール
 大帝剣『弥助アレキサンダー』および隠し将『豊臣秀吉』は、先制攻撃を行います。
 これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。

 執筆の進捗やプレイング締め切りなどは、マスターの自己紹介ページで呟いております。目安にお使いください。
 それでは、皆さんの自由なプレイングをお待ちしています!
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第1章 冒険 『毛利水軍を突破せよ』

POW   :    邪魔する船をひっくり返すなど、力任せに毛利水軍を突破します。

SPD   :    毛利水軍の間隙を縫うように移動し、戦う事無く突破します。

WIZ   :    毛利水軍の配置、天候、潮の流れ、指揮官の作戦などを読み取り、裏をかいて突破します。

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フィオナ・グファジェン
「出来る限り傷つけずに無力化、ですかー」

ではでは、こんなの如何でしょうっ。
開戦と同時に相手の船に乗り移って、ナゲキユクキバを使います。
空気・接触感染する生物へ有効なウィルスですので、一般人なら効くと思うのですよね。
一人でも感染すればこっちのもの。あとはそこにいるだけで感染は広がりますから。
【毒使い】の実力をご覧にいれましょうっ。

とはいえ、感染した方には他の方を追いかけ回して頂きましょうか。
逃げ難いように、私は【罠使い】として船上に鋼糸を張り巡らせて逃げ道を塞いじゃいましょう。
ウィルスは【マヒ攻撃】の効果もありますので、逃げてもその内動けなくなると思いますけど。
終わったら解毒剤差し上げますので。



●毒を以て洗脳を制す
「出来る限り傷つけずに無力化、ですかー」
 関門海峡を封鎖する大軍勢を前に、フィオナ・グファジェン(Brigadoon・f17254)は、ぽんっ、と手を叩いた。
「ではでは、こんなの如何でしょうっ」
 開戦早々、フィオナは海上から飛んでくる砲弾や矢を掻い潜りながら、岸近くに陣取っている脇の甘い軍船へと飛び込み、アクロバティックに甲板に転がり込んだ!
「単騎で乗り込んでくるとは……!」
「敵襲ー! 敵襲ー! ……うっ!?」
 大慌てで槍持て甲板に集結してくる武士の一人が、突如胸を押さえて苦しみ始めた。
 船上に漂う目に見えぬ気配は、ナゲキユクキバ。フィオナが調合した病毒だ。
 苦しんでいた武士は、アァ……と小さなうめき声を残して、立ちすくんだままがっくりとうなだれた。
 一人でも感染すればこちらのもの。フィオナは威勢よく声を張り上げた。
「【毒使い】の実力をご覧にいれましょうっ。手始めに感染者さん、他の方を追いかけ回してくださいっ」
 うなだれていた武士が、人らしからぬ気持ちの悪い挙動で首を持ち上げ、間近にいた仲間の武士の手をわしづかみにした。
「な、なんだ一体……うぅぁ……?」
 手を掴まれた武士が、瞬く間に同様の症状を発症した。この病毒は、空気感染と接触感染の両方の性質を兼ね備えているのだ!
 二人に増えた感染者がさらに他の武士たちに接触し、二人が四人に増え、四人が八人に増える。そこに至って、フィオナに襲い掛かっていた武士たちも目前にある危機に気付いた。
「……ありゃマズイぞ……何かの病に罹っとる!」
「皆の衆、そやつらに近寄るな、距離を置け! 場合によっては海に逃げろ!」
 状況を正しく見極めた者、警告に従った者たちが感染者から離れ始めた。……が。
「おっと、そうはいきません、よっ」
 フィオナは襲い掛かってくる槍や刀を躱し、矢を弾き飛ばしてやりながら、船上に鋼糸を張り巡らせ、彼らの退路を容赦なく絶った!
 病毒は瞬く間に広がり、船員が一人残らず感染した頃には、病毒のマヒ効果で船上に動ける武士は誰一人としていなくなっていた。
「これで無力化できましたね。それでは私は次の船に参りましょうっ。全てが終わったら解毒剤差し上げますのでっ」
 力なく船上に転がる武士たちへと快活な笑顔を残し、フィオナは新たな船へと飛び移っていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

カタリナ・エスペランサ
「ま、傷つけないでいいヒトを傷つけるのはカッコ良くないよね」
無用な犠牲には断固反対な内心とは裏腹に、どちらでも良さそうな顔で肩を竦めて。
翼を羽ばたかせ《空中浮遊》《空中戦》技能を活かして海上を移動。水軍とある程度接近すればUC【スカイステッパー】を発動、宙を蹴っての急加速や変則機動で攪乱しながら敵中を突破します。

「こっちはお仲間へのサービス、ってね♪」
水軍を突破する際にはすれ違いざまに炎や雷を帯びた羽の《属性攻撃》《誘導弾》で《破壊工作》。
船に積まれた武装や帆、舵輪、櫂等を破壊して戦力を削ぎ、後続の仲間が水軍を突破しやすいよう補助します。

※アドリブ・共闘歓迎です。


幽草・くらら
村上水軍の次は毛利水軍も織田のものですか……まったくもう、この戦争が原因で今度の日本史のテストで誤答しちゃったら恨みますからね!

艦隊が相手であれば出し惜しみは出来ません、強化形態に変身してブラシに【騎乗】、【空中戦】に移行しつつ全力の【ダッシュ】で突っ切ります。
傷付けたくはありませんが相手はプロ、生半では撃墜されるでしょう。
【スナイパー】を活かしなるべく砲台を狙って射撃したり
艦の合間を縫うように進む事で、私を狙えば友軍に当たりかねない状況を作るなどして立ち回ります。
これも一種の【地形の利用】ですかね。

苦戦してそうな味方がいれば【援護射撃】も欠かさず行い
とにかくみんなで敵の元に辿り着きましょう!



●海上の空中戦
 時は江戸。にも拘わらず、現状のサムライエンパイアにおいては、とかくこの世は織田のもの。
「村上水軍の次は毛利水軍も織田のものですか……まったくもう、この戦争が原因で今度の日本史のテストで誤答しちゃったら恨みますからね!」
 時代考証が滅茶苦茶だ、と幽草・くらら(現代のウィッチ・クラフター・f18256)はご立腹。
「ともあれ、艦隊が相手であれば出し惜しみは出来ませんね。"想像出来る事は全て現実である"──!」
 高機動戦闘用の魔女装束姿に変身! 強化された大型ブラシに跨り、一気に宙へと舞い上がる!
 つんのめるように空中で停止したかと思えば、今度は一気に急降下! 凄まじい速度で正面から艦隊へと突っ込んでいく! 
 砲弾や矢が真っ向から降り注ぐが、海面すれすれを駆けるように翔ぶくららを捉えることはできない。
「傷付けたくはありませんが相手はプロ、生半では撃墜されるでしょうね……」
 くららは巧みに砲弾を躱しながら、こちらを狙う砲台を狙って魔法で狙撃した。右の船の砲台を撃ち抜き爆発させ、次は左の船の砲台を。
 背に追う双翼を羽ばたかせ、くららと少し距離を置いて並走する形で海上を飛行していたカタリナ・エスペランサ(閃風の舞手(ナフティ・フェザー)・f21100)は、その狙撃が極力武士たちを巻き込まぬよう配慮されたものだと見抜いていた。
「ま、傷つけないでいいヒトを傷つけるのはカッコ良くないよね」
 至極どうでも良さそうな顔で肩を竦めるカタリナ。だがその内心はと言えば、すげない態度とは対極のものを抱えている。
 ……無用な犠牲は、断固反対、だ。
 十分に敵陣に接近したところで、カタリナは宙を蹴って一気に船の上空へと躍り出た!
「ぐぬっ、上をとられた……!」
「撃ち落とせぃ!」
 急ぎ持ち上げられた砲口が火を噴いた瞬間、カタリナは急速に身を沈めた! 哀れ、上を目指して放たれた砲弾と矢はあえなく空を切る。
 カタリナはさらに急加速と変則機動を交えつつ、幾重にも跳躍を繰り返しながら船の真横に潜り込んだ。
「こっちはお仲間へのサービス、ってね♪」
 すれ違いざま、カタリナは大きく羽ばたき、大量の羽根を風花の如く散らした。
 羽根は弾丸の如く、カタリナの思うままに船体を襲撃した! 船に積まれた武装や帆、舵輪、櫂……様々な機関が炎を上げ、雷に打たれ、無力化されていく。人的被害は出さぬままに。
 想定外の空飛ぶ襲撃、連続する爆発と、もくもくと上がる煙。
「今なら……!」
 武士たちが対処に追われている隙を縫い、くららは水軍の中心部へと突撃を仕掛けた!
「もう一人にも懐に入られた……! ええい、撃ち落とせ!」
「いかん、この角度では僚船を巻き込む……弓だ! 弓を持てぃ!」
 数々の軍船が立ち並ぶ海峡、という状況利用しながら、敵陣中央を切り裂くようなくららの進撃。人手を欠いた弓兵の攻撃などものともしない。
「――危ないっ!」
 鋭く身を捻り矢の雨を掻い潜りながら、くららはカタリナを狙って発砲された砲弾を撃ち抜いた!
 忠告に反応したカタリナが跳躍で退いた瞬間、空中を彩る爆発。
「おっと、逆に助けられちゃったね。ありがとねー☆」
「いえ、先ほど水軍の気を引いてもらったお返しです。とにかくみんなで敵の元に辿り着きましょう!」
「だね♪」
 ブラシに跨る魔女と双翼の人狼少女は、敵陣を切り裂く雷の如く船団を掻い潜り、瞬く間に敵将の元へと迫っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『隠し将『豊臣秀吉』』

POW   :    墨俣一夜城
自身の身長の2倍の【墨俣城型ロボ】を召喚する。それは自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦う。
SPD   :    猿玉变化
自身の肉体を【バウンドモード】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    グレイズビーム
【腹部のスペードマーク】から【漆黒の光線】を放ち、【麻痺】により対象の動きを一時的に封じる。
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●豊臣秀吉、推参!
 破竹の勢いで水軍を突破していく猟兵たちの耳に、激しい水流の音が飛び込んできた。大渦が近い。
 しかし猟兵が大渦に到達する前に、奇妙な物体が水上に立ち塞が――いや跳ね塞がった!
 忙しなくポンポン跳ね飛び続ける、真っ黒な獣のような、ゴムまりのような、とにかく人ではなさそうなシルエット。
 すなわち隠し将『豊臣秀吉』である!
「フェン……フェンフェン、フェン……!」
(訳:突破してきよったか……やはり一筋縄には行かぬな、猟兵ども……!)
 ……確かに、フェンしか言っていないはずなのに内容が理解できる。
 見た目は珍妙極まりないが、その実力と、背後の『弥助アレキサンダー』の盾にならんとする気迫は、間違いなく本物だ。
「フェンフェン。――フェン!」
(訳:全ては御屋形様の為に。――豊臣秀吉、参る!)
 この敵を倒さねば、弥助のいる大渦にはたどり着けない。
 メガリス『逆賊の十字架』によって凄まじいスピードと反応速度を誇るゴムまり……もとい秀吉に、猟兵たちは挑む。
カタリナ・エスペランサ
「出たなフェンフェン! その鳴き声が何由来なのか凄い気になるけど!」
海上は《空中浮遊》技能で飛行しつつ、秀吉の先制は《第六感》で予兆を察知して《スライディング》で緊急回避。回避が際どいならペンダントからビームを《クイックドロウ》して《だまし討ち》も狙います。

「空の戦いならアタシも自信があってね! 一つ競い合うとしようか!」
《空中戦》技能で態勢を立て直し【天災輪舞】で更に加速。敵が距離を取るなら雷炎帯びた羽の《誘導弾》による《範囲攻撃》で、接近してくるならダガーと蹴技による蒼雷を纏った《鎧無視攻撃》で応戦。
状況に合わせて前衛・後衛を切り替え、仲間との連携重視で攻め立てます。
※アドリブ・共闘歓迎!



●蒼雷とゴムまり
「出たなフェンフェン! その鳴き声が何由来なのか凄い気になるけど!」
 カタリナ・エスペランサ(閃風の舞手(ナフティ・フェザー)・f21100)は翼で海上を滑空し、いの一番に秀吉へと挑んだ!
「フェン、フェン」
(訳:威勢の良い小娘だな、軽くひねってやろう)
 秀吉は水上を跳ねる肉体をより弾力ある質感に変化させると、次の瞬間、比べ物にならない速度で一気に跳ね上がった!
 それはもはや黒い弾丸。直角に近い角度で何もない空中から跳ね返り、低空に浮遊するカタリナを狙う――!
 敵が襲い来る予兆を読んだカタリナは、飛行の勢いのままに水しぶきを上げながらスライディングで躱した。きわどい回避。秀吉が着水した瞬間の衝撃が皮膚にビリリと響くが、カタリナはその瞬間を逃さずペンダントから高威力ビームをお返しした!
 ぢっ――。尾らしき部位の先端を焼かれ、秀吉は一度後方に退きながら点のような目を器用に細めた。
「フェンフェン……」
(訳:騙し討ちとはなかなかやりよる……)
「空の戦いならアタシも自信があってね! 一つ競い合うとしようか!」
 翼を巧みに活かして態勢を立て直したカタリナの全身が、瞬時にして神殺しの蒼雷をまとう。
「ふ、ふふ、あはははははっ! さぁ、最っ高のパフォーマンスで魅せてあげるよ!」
 たちまち加速するカタリナの肉体。秀吉は自身と遜色ないスピードに警戒を高めて素早く距離をとるが、雷炎帯びた羽の散弾がそれを追いかけ、広範囲の海上に爆発を連鎖させていく。
「フェンフェン、フェン……!」
(訳:くっ、思った以上の使い手だな……逃げてばかりもいられぬか!)
 秀吉は跳躍を繰り返し爆発から逃れながら、攻勢がわずかに緩くなったほんの一瞬を捉えて跳躍態勢をとった。凄まじい脚(?)力で水を蹴り、海面すれすれのとんでもない鋭角でカタリナへと突撃する――!
 が、カタリナは回避態勢には入らない。
「そっちから来てくれるなら、大歓迎だ!」
 弾丸の如きゴムまりと蒼雷が錯綜する――
「……フェン……!」
(訳:……見事……!」
 すれ違いに流れるような斬撃と蹴撃を叩き込まれた秀吉は、蒼雷の名残を爆ぜさせながら武人の称賛を送った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィオナ・グファジェン
(SPD希望)
「……何で言葉が分かるんでしょう。そもそも生物学的に何になるんでしょうか」

不思議は絶えませんが、一先ずはお仕事ですねっ。
素早いですから私より先に攻撃してきそうです。【罠使い】らしく【地形を利用】して、
船の各所に鋼糸を引っ掛けて壁を作っておきましょう。

その後クレユクキバを使用。ここは私の記憶の象徴、【世界知識】はバッチリですっ。
家や木陰から、何なら私のイメージ通りに配置を変えながら【忍び足】で物陰に潜み、
【毒使い】らしく【マヒ攻撃】や【生命力吸収】の毒を牙や爪に仕込んでおいた人形でヒット&アウェイの【だまし討ち】っ。
相手が出口に近づいたら、イメージを変えて出口に位置を移しましょう。



●痺れを制す者
「……何で言葉が分かるんでしょう。そもそも生物学的に何になるんでしょうか」
 その生態に大いに興味を覚えつつ、フィオナ・グファジェン(Brigadoon・f17254)も病毒で乗っ取った船上から参戦する。
「不思議は絶えませんが、一先ずはお仕事ですねっ」
 フィオナは船と船の間に素早く鋼糸を巡らせ、各所に網状の『壁』を作り出していった。
「フェンッ!」
(訳:邪魔だッ!)
 逃げ場を封じる鋼糸の壁を一喝し、秀吉は腹部のスペードマークから斜め上方に向けて謎の光線を放った! 漆黒のエネルギーが壁の一つを貫き破壊、そのまま仕掛け人であるフィオナのいる船に着弾する――!
「くあっ……!」
 鋼糸にかかりきりだったフィオナは光線の直撃を受けてしまう。が、一部分を破壊された船上でなんとか踏ん張り、鋼糸を操って瞬時にして壁を再生させた!
「……微睡みの誰そ、彼。揺蕩う彼は誰……っ。君は、誰の先に言葉は溶ける。幽世へ暮れる牙の名を……忘却だけが、知っている。仮初を謳えっ、その名は――」
 ――クレユクキバ。
 全身を侵す痺れと戦いながらの詠唱の結びに、戦場全体が霧に霞んだ。
 気づけば、船団に囲まれていた海上は、地上の見知らぬ町へと姿を変えていた。
 そこはフィオナの記憶の象徴。フィオナの思い出そのままの、霧に包まれた町による迷路である。
「フェン……フェンフェン!」
(訳:なんと面妖な……しかし囚われてはおれぬ!)
 秀吉は建物の上へと跳躍し町中を飛び回った。瞬く間に町の出入り口らしきアーチを発見し、一直線に突撃する。……が。
 くぐろうとした瞬間、出口が壁にすり替わった。
「フェッ……!?」
(訳:なっ……!?)
 秀吉が虚をつかれた瞬間、物陰から飛び出す獣の影。
 狼の爪が反射的に逃げようとした秀吉の表皮をかすめ、仕込まれた麻痺毒に鈍った動きを、牙が捉えた!
 ザックリと噛み付いた傷口から生命力を吸い上げ、身を翻す狼。その身体からは鋼糸が伸びている。
「私も毒使いなのでっ。麻痺はお手の物なのですよ……!」
 痺れを乗り越え一矢報いたフィオナは、誇らしげに人形を操る鋼糸を閃かせた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

パーヴォ・シニネン
※イルカ、鯨等の海洋生物を模したマスクが子供の肉体に憑依

これはこれは、また愉快な姿の将軍が居たものだ
いや我輩ひとのこと言える訳じゃないケドネー!

このUCなら海上であろうと自由自在
我輩達の絆は猿ごときに砕けるものではないからネ!
【勇気、手をつなぐ、鼓舞】

攻撃は纏う波浪とシールドで対処
躱しきれなければ受け止めればいいのサ!
それにしても城型ロボは反則じゃないかネ?
えっ相棒はアレかっこいい?ほんと?
【見切り、気合い、激痛耐性、力溜め】

大きなロボを波浪で駆けあがってナイフで一閃
猿もろともなぎ払おう!
一撃一撃に全力をこめ、更に足で思いっきり踏みつけ!
【カウンター、鎧無視攻撃、怪力、なぎ払い、踏みつけ】



●二人の力で飛ぼう
「これはこれは、また愉快な姿の将軍が居たものだ。いや我輩ひとのこと言える訳じゃないケドネー!」
 カラカラと明るい声を上げたのは、絶賛子供の肉体に憑依中の、イルカか鯨らしき海洋生物を模したヒーローマスク、パーヴォ・シニネン(波偲沫・f14183)である。
「征こう相棒、これが我輩達の翼だ!」
 高らかに上げた声が宿主の勇気を鼓舞し、パーヴォの全身はたちまち波浪に覆われ宙に舞い上がる!
「この力なら海上であろうと自由自在。我輩達の絆は猿ごときに砕けるものではないからネ!」
 マスクと少年は見えざる手を繋ぐように海上を飛翔した。
「フェンフェン……フェン!」
(訳:かような幼子も戦場に駆り出されるとは……しかし容赦はせぬ!)
 秀吉が大きくひと跳ねすると、その真下の海面から大量の海水を割って墨俣城型ロボが出現した。
 秀吉を頭部に担いだロボの、白い城壁に主と同じスペードマークが浮かび上がったかと思うと、そこから主の倍以上ありそうな出力の黒い光線が発射された! 海面すれすれを翔ぶパーヴォと光線が正面から激突する……!
「躱しきれなければ受け止めればいいのサ! うおおおおお!」
 光線に包まれ、身を包む波浪が沸騰しそうになる。パーヴォは全身を苛む痛みを無視し、気合いを込めてリストバンドからシールドを展開すると、涼やかに白波を咲かせて全てのエネルギーを受け切った!
「それにしても城型ロボは反則じゃないかネ? えっ相棒はアレかっこいい? ほんと?」
 和気藹々と宿主との会話を楽しみながら、パーヴォは波浪に乗ってロボの身体を駆け上がる。よろけるロボと、その振動で姿勢を崩す秀吉。
 ロボの頭上に飛び上がったパーヴォの手には、ナイフの閃き。
「とは言っても、こいつらは倒さないとネ! 覚悟はいいかい、相棒!」
 渾身の力を込めて、迷いのない刃が一閃する――!
「フェーーーーン!」
(訳:ぬかったぁぁぁ!)
 姿勢を崩したまま咄嗟の対応ができなかった秀吉は、ロボもろとも薙ぎ払われ、
「おまけっ!」
 さらに全力の踏みつけを喰らって、倒れゆくロボの頭部にべっちゃりと貼り付いたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

幽草・くらら
改めて対面すると、ホントにキモかわいいを目指してダイス振ったらファンブルしたみたいなビジュアルですね……
見た目はともかくこのサムライエンパイアで秀吉を名乗る以上は強敵なのでしょう、見た目はともかく!

前回使ったUCを維持、超高速で跳ね回るならこっちも【ダッシュ】で勝負します!
敵がビームを腹部から放つという事は射角はある程度限られる……はず。
ならばなるべく背後、そうでなくても側面か上方を取って被弾を避けるように飛び続けます。

そうなると正直細々とした攻撃をしている余裕がありません。
なので跨るブラシから塗料を垂れ流す事で飛翔の機動を魔法陣に変え、【全力魔法】で【範囲攻撃】な凍結の大魔術を狙います!



●ブラシの本領発揮
「改めて対面すると、ホントにキモかわいいを目指してダイス振ったらファンブルしたみたいなビジュアルですね……」
 幽草・くらら(現代のウィッチ・クラフター・f18256)はブラシに跨ったまま秀吉と対峙し、しみじみ呟いた。
 度重なる戦いに消耗を強いられながらも、秀吉はしかと迎え撃つ姿勢だ。
「フェンフェン、フェン」
(訳:殺すべき敵の外観にいちいちかかずらうとは、未熟未熟)
 謎の上から目線でくららを笑うや、秀吉は腹部のスペードを輝かせた。
「フェン、フェンフェン!」
(訳:敵の目に如何様に映ろうと、我は栄えある信長様の将なり!)
 一閃する漆黒の光線! くららは咄嗟にブラシを疾らせ横っ飛びに回避した。ほんの紙一重を通り過ぎる光線の威圧感にヒヤリ。
「見た目はともかくこのサムライエンパイアで秀吉を名乗る以上は強敵なのでしょう、見た目はともかく!」
 二射、三射と続くビームを巧みなブラシ捌きで右に左にと躱し、敵側面につくように飛翔するくらら。背後を狙うが、敵もさるもの、素早い跳躍を駆使して器用に切り返し、なかなか隙を見せない。その上くららは攻撃を躱すのに忙しく、こまごまと応戦する余裕もない……。
「フェン、フェン!」
(訳:どうした、逃げてばかりでは興醒めよ!)
「……ええもちろん、このままでいるつもりはありません!」
 およそ一周、秀吉の周囲を旋回し終えたくららは、危険を冒して秀吉の正面から飛び込んだ!
 己の上をとろうとする動きに、牽制しようと光線を腹に溜め始める秀吉。が、くららのブラシから鮮やかな塗料が垂れ流されていることに気付き、はっと息を呑んだような仕草をした。
「フェン!? フェン……!」
(訳:……!? よもや……!)
 秀吉は素早く己の周囲に視線を走らせた。
 海面には、ブラシの軌道の通りに、秀吉を中心にした魔法陣が描き出されている……
「フェッ――」
(訳:しまっ――)
 秀吉の悟りは、今一歩遅い。
「全力で……行きます!」
 全身全霊のくららの魔力が解き放たれ、膨大な氷の力が魔法陣の紋様の上を駆け抜ける!
「――凍りなさい!」
 顕現する凍結の大魔術。白い氷の霞が魔法陣の上に湧き上がり、瞬時にして巨大な氷塊を創り出した!
 魔法陣から溢れんばかりの透明な氷の中心には、中途半端な驚愕の表情と跳躍しそこねたポーズのまま、カッチコッチに凍りついた秀吉の姿があった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『大帝剣『弥助アレキサンダー』』

POW   :    大帝の剣
単純で重い【両手剣型メガリス『大帝の剣』】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    逆賊の十字架
自身の身体部位ひとつを【触れた者の闘志を奪う超巨大肉塊『視肉』】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
WIZ   :    闘神の独鈷杵
自身からレベルm半径内の無機物を【無尽蔵に破壊の雷槌を放つ『闘神の渦潮』】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
👑5
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●大渦にて俟つ者
 かくて謎の毛玉――もとい隠し将『豊臣秀吉』の守護を失い、大渦は猟兵たちの前にその全容を露わにされた。
「……突破されたか。秀吉殿……っ」
 渦の中心に浮遊する黒い肌の大男は、友を悼むように瞳を伏せて十字を切ったのち、烈火の如き眼差しで猟兵たちを睨み据えた。
 これが、大帝剣『弥助アレキサンダー』。
「だがここまでだ! 貴様らはこの俺、弥助アレキサンダーが討ち果たすッ!」
 メガリス『闘神の独鈷杵』を突き付けるようにかざす弥助。
 と同時に、その足元の大渦が少し揺らいだ。
 大渦の発生源は『闘神の独鈷杵』。つまり、独鈷杵を持つ弥助の動きに追従するのだ。
 三種のメガリスを使いこなす強力な将。この男もまた、猟兵の使うユーベルコードに応じて強力な先制攻撃を行ってくるだろう。
「今ここで友との誓い、果たさせてもらう! 『全ては信長様の為に』……!」
 気迫に満ちた弥助アレキサンダーとの決戦に、猟兵たちは今、挑む……!
幽草・くらら
何が友との誓いですか!
やれ屍人だ疫病だやった卑劣な方々がそんな立派な事を言える立場だと思うんですか!?
つまりは貴方にとっては八つ当たりですけど、同じ織田軍だって言うなら仕方ないでしょう!?

独鈷杵による大渦はブラシに【騎乗】して逃げるように【ダッシュ】しながらUCによる塗料を浴びせ続ける事で呑み込まれる前に少しでも私の支配下において、凍結させて防ぐ……という流れを狙います。

成功すれば敵を中心に円弧を描くように【ダッシュ】しながら【全力攻撃】の【属性攻撃】で周りの海から包囲するように凍結させていき、機を見て距離を詰めて氷の魔力がたっぷり篭った塗料をブラシで直接塗りつけてやります!



●凍てる渦潮
「何が友との誓いですか!」
 若干陶酔じみた弥助の言い草に、幽草・くらら(現代のウィッチ・クラフター・f18256)は憤然と声を荒げた。
「やれ屍人だ疫病だやらかした卑劣な方々がそんな立派な事を言える立場だと思うんですか!?」
 叩きつけられた糾弾に、弥助は心底嫌そうな顔をした。
「随分なことを言ってくれるなぁ。そんな悪趣味な策略なんぞ、俺の手のものではないぞ」
「ええそうですね、貴方がやったわけではない。つまりは貴方にとっては八つ当たりですけど、同じ織田軍だって言うなら仕方ないでしょう!?」
「……ふむ、然り」
 端的に認めて、弥助は『闘神の独鈷杵』を掲げた。
「どれほど腹たつ策謀だろうとも、全て信長様の天下の為。ならば、俺や貴様個人の好悪の感情など毛ほどの問題にもならんなッ!」
 刹那、独鈷杵が稲光を轟かせ、強烈に発光した!
 真下の海面が瞬く間に渦を巻き始め、くららはすぐさまブラシを疾らせた。背後に爆ぜる破壊の雷槌。それは一度に限らず幾度も閃き、くららへ追い迫る……!
「っ、すごい威圧……ですが!」
 間近で爆ぜる稲光、轟音、大量に放出されるイオン。水や空気まで焼けつくような違和感の中を、くららは一心に飛翔する。
 跨るブラシの先端からは、冷気を帯びた塗料が絶え間なく流れ続けている。雷を吐き出し続ける渦潮が、塗料に込められた氷の魔力によって周辺から徐々に氷結が進み、やがて中心部に至り、雷と氷との拮抗状態へともつれ込む……!
「ぬっ……やりよるな!」
 独鈷杵を掲げる手に一層の力を込める弥助。
 大渦へとさらなる注意が向いた瞬間を捉え、くららは一気にブラシで疾駆した! 弥助の浮遊する大渦の周囲を、円弧を描いて素早く一巡り。
「何……!?」
 弥助は慌てて新たな大渦を作り出そうと独鈷杵を握り締め直すが、後の祭り。
 渦の立てる白波を弥助を包囲するように凍りつかせながら、ブラシに乗った少女が瞬時にして距離を詰める――!
「冷たく描き上げます!」
 ブラシが下から上へと一閃!
 氷の魔力をたっぷり込めた塗料を全身に塗りつけられ、弥助は冬場の水風呂に誤って突っ込んだかのようなあられもない悲鳴を上げた。

成功 🔵​🔵​🔴​

パーヴォ・シニネン
立派な決意じゃないか
その忠義、間違いなく本物なのだろう!
しかし君も秀吉のように敗れるのサ
そうだろう、相棒!

波浪は更に大きくなる
なんだか先程よりも力が溢れてくる気がするヨ
負ける気がしないネー!
【勇気、手をつなぐ、鼓舞】

剣の一撃を波浪とシールドで真っ向から受け止める
こんなもので!
我輩達を倒せるなんて!思わないでほしいヨネ!
【気合い、力溜め、激痛耐性】

破壊された地形を利用
渦すら波浪で登ってみせよう

ナイフで何度も斬りかかり敵に隙をつくる
チャンスが来ればすぐさま服の裾をひっつかんで「vahva」!
流石にその巨体も痛いだろう!?
【鎧無視攻撃、怪力、踏みつけ】

我輩にも、友(こども達)との誓いがあるのでネ!



●波間の激闘
「立派な決意じゃないか。その忠義、間違いなく本物なのだろう!」
 パーヴォ・シニネン(波偲沫・f14183)は波浪をまとったままに一直線に弥助へと飛翔する。
「しかし君も秀吉のように敗れるのサ。そうだろう、相棒!」
 呼びかけに応えるように、波浪がさらに大きくなった。満ち溢れる充実感。
 それはきっと、宿主の少年との絆の高まりそのもの。
「なんだか先程よりも力が溢れてくる気がするヨ。負ける気がしないネー!」
 弾丸の如く空中を疾駆するパーヴォを中央に捉え、弥助は両手剣型メガリス『大帝の剣』を雄大に構えた。
「いい度胸だ。――こちらからも行くぞ!」
 浮遊状態から大きく跳躍! 飛び込んでくる波の塊へ、巨大な剣が、鍛え上げられた見事な体躯から強烈な一撃を叩き込んだ!
 凄まじい衝撃が波浪と白波のシールドに包まれたパーヴォを襲う。少年は歯を食いしばり、マスクは決然と眦を吊り上げ激痛に耐える……!
「こんなもので! 我輩達を倒せるなんて! 思わないでほしいヨネ!」
 力と力の正面衝突。大剣が穿った海面が大いに暴れる。
 一瞬とも永遠とも思える拮抗の果てに、両者は互いの力の反動で反対方向に吹き飛ばされた!
 パーヴォは飛ばされた勢いのままサーフィンのように大渦を駆け上がると、暴れる波を利用して何度となく突撃を仕掛けた。幾度となく閃くナイフ。弥助が怯んだ隙を見て、その服の裾を掴み上げる――!
 ……が。幼い身体に走る、重い衝撃。
「が……っ」
 直上から降ってきた大剣によって、パーヴォの身体は海面に叩きつけられた……!
「二つ目の大技は余計だったな」
 言いつつ、弥助は胸を撫でおろした。二度目のユーベルコードが先のものとは別物だと判断した瞬間、背筋を駆け上がった危機感が反射的に先制の反撃を繰り出させたのだ。
 しかしそこで、ふと気づく。裾を掴んでいる少年の手が未だに離れていないことに。
「……この程度でっ、諦める我輩達ではない……っ」
「何!?」
 瞬間、弥助の視界の天地がひっくり返った! 巨体が軽々と持ち上げられ、叩き返される――!
「ぐはぁッッッ」
 仰向けに海面に叩きつけられ、弥助が血を吐く。
「……我輩にも、友との誓いがあるのでネ!」
 肩で大きく息をつきながら、友たるこども達を思い、パーヴォは胸を張った。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

フィオナ・グファジェン
「誓い、ですか」

生憎、それに付き合う道理はありませんので。

真の姿を晒し、船上から船上へ、見つからぬように【忍び足】で移動。
一隻一隻鋼糸を使って移動。そこで鋼糸を張り、仕込みに徹します。
常に相手の様子を伺い、詳しい位置を察せられないように【地形を利用】し物陰に隠れますが、
その内気づかれ攻撃もされるでしょう。
攻撃を受ければ船はダメになるかと思われますので、
こちらに気付かれると同時に近場の船へ鋼糸で用いて避難しようかと。

相手を囲むように鋼糸を張り巡らせ終えれば、クチユクキバを使用。
今回の病毒は【生命力吸収】と【マヒ攻撃】の作用。【罠使い】にして【毒使い】として、【暗殺】風味に行くとしましょう。



●糸にかかった獲物
「誓い、ですか」
 戦場の片隅で静かに呟くフィオナ・グファジェン(Brigadoon・f17254)の姿は、先ほどまでとは違う。
 黒いコートに黒い帽子。冷徹に細められた眼差し。
 あたかも闇社会の住人の如き、それが彼女の『真の姿』。
「生憎、それに付き合う道理はありませんので」
 仲間の猟兵が戦っている間、フィオナは敵前に姿を晒すことなく船上から船上へ。物音も立てず密やかに鋼糸を仕込んでは移り渡っていく。
 ヒュンッ……。
 ほんの一瞬、耳をかすめた鋼糸の音に、弥助がはっとして視線を転じた。その視界にかすめる、か細い糸のきらめき。
「む、隠れている者がおるな!」
「!」
 弥助の様子に常に気を配っていたフィオナは、『闘神の独鈷杵』が力を発動するより先に物陰から飛び出し、鋼糸を投じて近場の船へと退避した。背後で無人の船が大渦と雷槌に巻き込まれて大破する。
 大渦はなおもフィオナを追う。フィオナは鋼糸の仕込みを手早く怠りなくこなしながら、次々と船から船へと乗り移る。
「おいどうした、仕掛けてこないのか!? ならばこちらから行かせてもらうぞ!」
 弥助が声を張り上げ、十字架を握り締めて腕を視肉化させた――が。
 肥大化しかけた腕が、たちまち鋭い痛みに絡めとられた。
「何――!?」
 視肉と化した腕に数多食い込むのは、あたかも蜘蛛の巣の如く、弥助の周囲に張り巡らされた鋼糸。
 フィオナの凛とした声が戦場に響く。
「絶食の連なり。悪食の鎖。腹は満ちども斑は彩る。渇きへ朽ちる牙の名を、忘却だけが知っている。仮初を謳え、その名は――」
 ――クチユクキバ。
 鋼糸に見えざる力が通い、一斉に無数の淀む白の花びらへと変じる。
 それは触れれば侵される、強力な病毒。
「う、ぐ……!?」
 弥助を襲う、全身にズシリとのしかかって感じるほどの強力な麻痺、心臓から直接生命力を啜り上げられるような悪寒。
 舞い散る大量の花びらの中、脂汗を浮かべ弥助が睨みやる先にようやく姿を現したフィオナの怜悧な眼差しは、まさしく暗殺者のそれだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

カタリナ・エスペランサ
「ならば私はこう言いましょう――『全ては今を生きる人たちの未来の為に』」
ここが正念場、此方もダガーを突き付けて弥助に応じ。

敵UCの身体変化には《第六感》で危険を察知、《空中浮遊》《空中戦》《早業》技能をフル活用して全力で後退。
接触回避が困難なら《オーラ防御》《破魔》で悪影響を最低限に抑えて視肉を蹴り加速、敵の射程外へ脱する事を最優先。

「この世界そのものが枷となりあなたに牙を剥く。その身を以て味わいなさい!」
反撃は【世界の不完全証明】を使用。重力崩壊に海水を巻き込み水牢を形成、圧殺と同時に身動きも封じます。追撃に放つ雷羽弾は重力に引かれて加速し、纏う雷は海水で増幅される筈!
※アドリブ・共闘歓迎!



●覆される海
 ハァ、ハァ、と浅い呼吸をしきりに繰り返しながら、弥助の眼光は未だ戦意に漲っている。
「無様に倒れるわけにはいかん……! 秀吉殿との誓いを果たさねば……天下取りだ……『全ては信長様の為に』……!」
 独鈷杵を再び掲げ、足元の大渦をさらに活性化させる弥助。
 その信念の揺るがぬのを見て、カタリナ・エスペランサ(閃風の舞手(ナフティ・フェザー)・f21100)は弥助の仕草に応じるようにダガーを突きつけた。
「ならば私はこう言いましょう――『全ては今を生きる人たちの未来の為に』」
 ここが正念場。柄を握る手に気合いが籠る。
「なるほど、大した大望だ! ならば全力をもって打ち倒させてもらおう!」
 首に下げた『逆賊の十字架』を握り締めるや、弥助の片腕が見る間に醜い肉塊『視肉』へと肥大し始めた。生肉を集合させたようなグロテスクな表皮に、ぎょろりと蠢く複数の眼球。
「――ッ!」
 背筋を駆け上がった危機感がカタリナの身体をつき動かした。瞬発的に双翼を羽ばたかせ、海上を全力で後退――した、次の瞬間、瞬時にして伸び迫った視肉の腕がカタリナの目前にあった。
「くっ――」
 カタリナは一瞬の判断で破魔のオーラで身体を保護し、全身を鷲掴みにしようと伸ばされた巨大な掌を蹴りつけた!
 ぞわりと足先から伝わる悪寒を破魔の力で打ち消し、同時に加速する。ほんの一瞬の差で視肉の指は空を切り、虚しく握りこぶしを作った。
「この世界そのものが枷となりあなたに牙を剥く。その身を以て味わいなさい!」
 視肉の射程外に退くや否や、カタリナは身に宿した魔神の権能を限定解放した!
 たちまち周囲の重力が崩壊していく。大量の海水がめくりあがるように巻き上げられ、大渦の勢いが急速にかき消されていく――!
「くっ、閉じ込められるか……!」
 咄嗟に大波を割ろうと大帝の剣を振り上げた弥助に、波間から突如飛び出した追撃の雷羽弾が殺到する!
「――がッ……!?」
 重力に引かれ加速した羽の弾丸に避ける間もなく打ち据えられ、動きを止める弥助。
 その瞬間、三六〇度を鎖す大波の水牢が崩れ、弥助を一気に押しつぶした――!
 うねり暴れる海水の内部で激しい雷撃が爆ぜ、弥助の絶叫が轟いた。
 大帝剣『弥助アレキサンダー』は自ら生み出した大渦の内に散り、メガリスともども、その肉体は二度と浮上することはなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月22日


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

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※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

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※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
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挿絵イラスト