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エンパイアウォー⑰~屍鬼の主

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #魔軍将 #安倍晴明


●その男、安倍晴明
 エンパイアの戦も、佳境の趣でありましょうか。
 此度の私の目的は、ただ「持ち帰る」事のみ。
 この世界はよく「似て」おりますゆえ、「業(カルマ)」の蒐集も興が乗りませぬ。

 ……いえ、そうではありませぬな。
 不死で、繁殖もできて、生存の為のエナジーも必要としない。
 それは、賽も振らずに勝つようなもの。
 斯様な存在に成り果てた私に、私自身が飽いているのでありましょう。

 戯れに、山陰を屍人で埋めてみましょうか。
 それとも、コルテスが崇める神の偽物でもこしらえて、信長の後釜に据えましょうか。
 はてさて、それらを全て行ったとして。
 猟兵とやらの怒りは、果たして、どれほど私の心を動かすものやら……。


「みんな、集まって」
 グリモア猟兵の少女である水元・芙実(スーパーケミカリスト・ヨーコ・f18176)が、妙に気合の入った声で呼びかけた。
「陰険陰陽師の安倍晴明の居場所が割れたわ。……場所は皆も行ったことあるかも知れないけど、鳥取。そして飢え殺しの行われた鳥取城にいるわ」
 恐らく儀式も兼ねてここにいるのだろう。だがそれを簡単に許すわけには行かない。
「これから直接怨念の渦巻く鳥取城に転送する事になるけど、気をつけて。相手は必ずみんなの使うユーベルコードに合わせたカウンターを先制して使ってくるわ。だからこの攻撃を耐えるだけの対策が必要になるの」
 もし相手の攻撃で痛手を受けてしまえば、自身の攻撃も覚束なくなるだろう。
「だからまず、避けるか耐えるか……凌ぐことを考えて。それからあのヴィランな陰陽師の顔面に全力を叩きつけてあげましょう! それじゃ、お願いね!」


西灰三
いつもお世話になっています。
西灰三です。
今回はエンパイア・ウォーのシナリオをお送りします。
この顔にピンときたらユーベルコード。

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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
=============================

必ず先制攻撃をしてくる強敵です。自身の使用するユーベルコードの能力値ごとに対策を必要とします。

それでは皆様のプレイングをお待ちしています。
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第1章 ボス戦 『陰陽師『安倍晴明』』

POW   :    双神殺
【どちらか片方のチェーンソー剣】が命中した対象に対し、高威力高命中の【呪詛を籠めたもう一方のチェーンソー剣】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    水晶屍人の召喚
レベル×1体の、【両肩の水晶】に1と刻印された戦闘用【水晶屍人】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ   :    五芒業蝕符
【五芒符(セーマン印)】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を斬り裂き業(カルマ)の怨霊を溢れさせ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
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石上・麻琴
■心情
陰陽師、安倍晴明……どうやらオブリビオンとなったことでより変質してしまっているようですね
さて、敵の心を動かすというのがどうにも嫌なものではありますが……
陰陽師の端くれとして、そして猟兵として、怒りをぶつけましょうか

■敵ユーベルコードへの対策
こちらはWIZのユーベルコードを使用するので、敵は五芒符による攻撃を仕掛けてくるでしょう
技能:見切りで致命傷になる攻撃を見極めつつ、薙刀を振るい技能:なぎ払いで五芒符を斬り裂いていきます
ただそれだと五芒符によって怨霊が溢れ敵が有利になってしまうので、技能:破魔を薙刀に纏わせそれを抑えます
後は、渾身の力を持って束ねたユーベルコードを敵にぶつけるのみです


ジュリア・ホワイト
アレが陰陽師・安倍晴明……
成程、あの気配は危険だ
「力を持つこと以上に……周囲全てに飽いている。気まぐれに世界を滅ぼそうとしかねない危険人物の目だ」

さて、まずは敵の先制対策だけど
あのUCは命中した対象に放たれるんだろう?
ならボクは敵の斬撃に対してML106を発射して迎撃するよ
打ち払わず避けたらその分ボクも敵の攻撃を躱す余地が生まれるし
撃ち落としたら「命中した対象」はロケット弾の弾頭だ
いずれにせよそれでUCを無効化して、こっちの反撃を叩き込んであげよう

「本来、ボクはキミと相性が悪いはずだけど。今回は勝ち逃げさせてもらうよ」
爆煙が晴れる前に【そして、果てなき疾走の果てに】で攻撃!

【アドリブ歓迎】


ユア・アラマート
避けても凌いでも、私に当たらない限りは向こうが強化されるのか
厄介だが、それなら此方にも手はある

空胞で鷹の姿に変わり空へ
視認性を悪くする靄を目眩ましに、【見切り】で敵の攻撃を見極めて【ダッシュ】を利用し空中で回避
【第六感】で死角からの攻撃にも警戒しながら徐々に接近

距離を詰めきったら【早業】と【暗殺】で素早く死角に回り込み、刃と融合した鋭利な鉤爪に【2回攻撃】を乗せて首筋や背中などを斬りつける

一回だ、一回だけでいい
強化された相手に深追いはしない。ただ一度限りの攻撃のチャンスだけは決して逃さないようにしないとな
向こうは一人だが、こっちには仲間がいるんだ
この一撃が、必ず後に繋がるんだと私は信じているよ




 ジュリア・ホワイト(白い蒸気と黒い鋼・f17335)が鳥取城へ転送されると同時に安倍晴明がチェーンソーの駆動音を鳴り響かせながら切りかかって来た。
「その動き知ってた!」
 突入する前から携えていたロケットランチャーを撃ち、直様に距離を取る。もうもうと上がる煙が薄くなると、そこにいたはずの敵の姿は無い。彼女がその姿を探すよりも先に戦いの音が背後から聞こえている。
「クッ!」
 急いで振り返ればいつの間にか背後に回っていた安倍晴明と、ユア・アラマート(ブルームケージ・f00261)が交戦していた。というよりはユアが逃げ回っていた。その身を変じようとしていた彼女のその行動すら許さない程の数の五芒星が襲ってくるからだ。
「させるものか!」
 その攻撃を横から守るように石上・麻琴(虹の彼方の空の星・f01420)が破魔の力を込めて切り捨てていく。なんとか攻撃を防ぎきったものの、辺りには怨念が満ちてしまっている。(「避けても凌いでも当たらない限りは向こうが強化されるのか」)
 ユアはこの状態を確認し唇を噛む。彼らは合流すると息を整えゆっくりと歩いてくる安倍晴明を注視する。
「陰陽師、安倍晴明……どうやらオブリビオンとなったことでより変質してしまっているようですね」
「力を持つこと以上に……周囲全てに飽いている。気まぐれに世界を滅ぼそうとしかねない危険人物の目だ」
 言葉を交わす麻琴とジュリア。猟兵達が近づいてくる安倍晴明の姿を見て警戒する、先程ロケット弾を受けたはずなのに袖の端も焦げていない。
「成程、貴方方にはその様に見えまするか」
 茫洋とした口調で語る相手からはその力とは裏腹に倦んだ気配が漂う。だからといって、敵意が無いようには見えない。まるで羽虫をはらう時のような目をしている。
(「アレが陰陽師・安倍晴明……成程、やはりあの気配は危険だ」)
 ジュリアが敵の様子に警戒していると麻琴が前に出る。
「……敵の心を動かすのがどうにも嫌なものではありますが……」
「ほう、貴方も陰陽師でありますか。……しかし見た所」
「ええ、未だ修行の身です。ですが陰陽師の端くれとして、そして猟兵として、怒りをぶつけましょう」
 麻琴が印を結べば無数の火の鳥が現れて来る。
「名就けしは十二天将が一つ、前二朱雀火神家在午主口舌懸官凶将!」
「これは齢に見合わず……いえ、油断はなりませんね」
 炎の鳥の群れに対し両腕のチェーンソーを十字に構える安倍晴明。だからこそその羽の裏にあるものに対し反応が遅れた。
「これは結界ですか」
「そうさ! 本来、ボクはキミと相性が悪いはずだけど。今回は勝ち逃げさせてもらうよ!」
 安倍晴明を挟むように飛んできたのは線路、そして炎の裏にあったのはジュリアの本体である蒸気機関車であった。加速したそれは安倍晴明と接触する。
「確かにこのような攻撃に対しては私の方が上手なようですね」
 迫りくる機関車に対し刃を回転させながら耐える安倍晴明、そして本体を傷つけられているジュリアも顔をしかめている。その戦いの最中、鷹の鳴き声が鳴り響いた。殺気を感じた安倍晴明はその出本を探すが見当たらない、その彼の後ろの首筋に銀の鷹となったユアの一撃が突き刺さる。
「グっ……」
 ここに来て初めて安倍晴明が痛痒を表現するうめき声を上げた。そして体が揺らぐと同時に機関車に弾き飛ばされ、火の鳥に啄まれる。
「車掌、このまま撤退だ」
 機関車の上に降り立ったユアが姿を戻し、ジュリアにそう伝える。
「向こうは一人だが、こっちには仲間がいるんだ。……もうそこの子も余力を使い切っているだろう?」
 彼女は麻琴を拾い上げ機関車に乗せる。
「もとよりそのつもりさ。揺れるからお気をつけ下さい、っと」
 三人は安倍晴明が持ち直す前に戦場を撤退する。何せこのオブリビオンを許さないという猟兵はまだまだいるのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

周りの猟兵連中も、色々騒いでる。
妙な因縁を持ってる奴もいるみたいだけどよぉ……
こちとら、縁もゆかりもないペーペーと来たもんさ。

だがな、アンタを張り倒す。
これとそれとは話が別さ。
一連の水晶屍人騒ぎは、アンタが元凶か。
どんな世界の話か知らんが、
アンタは今ここで、被害を増やしてる。
なら、止めるしかねぇだろ!

召喚してくる水晶屍人には、
サイキックで『マヒ攻撃』を込めた電撃の『属性攻撃』を
『範囲攻撃』の様にぶちまける。
『衝撃波』も断続的に放ち、可能な限り接近は許さない。

その内に弔い言葉は済ませておくよ。
空間への放電も十分だろうからね。
紡いだ【黄泉送る檻】の居心地はどうだい!?


ニィナ・アンエノン
何か良く分かんないけど、けっこーこの人嫌いな猟兵が一杯いる予感!
まぁともかくぶっ飛ばしちゃおう☆

とゆー事で水晶屍人を一杯呼ばれちゃう訳だ。
一杯も嫌だけど、やっぱり合体されると厄介だね。
囲まれるのも嫌だから【オーラ防御】と【盾受け】で攻撃を防ぎつつ、まずはバイクに乗ったまま少し距離を開けよう!
そんでランチャーからミサイルとかを【一斉発射】して【範囲攻撃】で【吹き飛ばし】ちゃえば【時間稼ぎ】出来るかな?
そしたら【騎乗】したままもう少し距離を取って、突撃で晴明を狙う様な【パフォーマンス】に見せかけた準備動作をしよう。
結構離れてると思うけど、このユーベルコードなら顔面にド派手にキックできるはず!


セルマ・エンフィールド
そちらは退屈そうですが、私たちは生きるのに忙しいんです。お帰り願えますか。

向かってくる水晶屍人の先頭集団の中でも数字が小さい弱い者の足を銃で狙い足を止めます、踏み越えられそうですが多少の時間稼ぎにはなるでしょう。
その隙に梁にワイヤー付きのナイフを投擲、それを伝って柱を駆け登り梁の上へ。
戦闘力は高くなっても相手は水晶屍人、遠距離攻撃は物を投げるくらいのものでしょう。
梁の上に登ってくる者や投擲物を撃ち落としつつ梁の上を動き回り、私の半径50mに晴明および水晶屍人が全て入るまで時間稼ぎを。

敵が全て範囲に入ったら【絶対氷域】。
水晶屍人を凍り付かせ、冷気で動きが鈍った晴明をフィンブルヴェトで狙います。


クロト・ラトキエ
不死故、生きる事に飽く…とは。
貴方、何とも――
愚にも付かない生き方をしてきたんでしょうねぇ。

出現を阻めぬというのなら。
生えた水晶、首に腕に脚…
掛けられるなら何だろうと繰り糸の内。
溢れるだろう屍人と一々真っ向勝負は無駄が多い。
鋼糸を舞わせ、絡げて掌握したなら、放つはUC
――拾式

倒し切る必要は無い
ただ無力化し、又は体勢を崩し、あの男への道を拓く。
合体されれば…寧ろ好都合。
体捌き、挙動等…見切り回避する方が、慣れてますので。

肉薄叶ったなら、
そんなに興味を満たしたいなら、『死なず』と云うその命の止め方一つ、見付けてみれば宜しかったものを。
なんて皮肉。
顔…と見せかけ土手っ腹に一撃を。
猟兵で、傭兵ですので


メイスン・ドットハック
【SPD】

先制攻撃対策は水晶屍人の数に対応する為、受け身になり切らず、電脳魔術によるミサイル【誘導弾】【一斉発射】で迎撃、数を減らす
さらに回避も【第六感】【視力】【情報収集】をもって、包囲されて身動きが取れないようにすると共に、阿倍晴明の攻撃にも気を配っておく

先制攻撃を凌いだら、UC「汝は元素、その鎖を断ち切ろう」を発動。
高速移動で水晶屍人を凌ぎつつ、阿倍晴明・水晶屍人の水晶の構成成分を電脳領域によって空間【ハッキング】【情報収集】して解析
解析に成功したら、その分析を元に水晶やそれに汚染された肉体を溶解する毒ガスを散布
阿倍晴明には電脳魔術で爆弾化したものを【誘導弾】で叩き込む


絡みアドリブOK


アイリ・フラジャイル
アドリブ連携歓迎

相当な数の水晶屍人が召喚されるでしょうけど
さっき散々千切っては投げてきたばかりよ
学習した戦闘経験を生かして仲間を鼓舞する
本体が召喚したものとは言え基本は同じよ
攻撃パターンは何とか……残像で攪乱しながら耐えてみせる!
あの屍人はアタシが食い止めるわ。だから……アレはお願い
ここで、倒して

――危険、脅威度判定極大
マギアチックリアクター制限解除
自動迎撃、事象遮断障壁展開

発動した障壁で水晶屍人の攻撃をひたすら防ぐ
一体ずつ、合体されたとしても
黄金竜の牙で結晶体ごと砕いてやるわ!
仲間への攻撃だって……少しずつアタシが削られても
絶対に、倒れたりなんかしないわ!
ここはアンタの居場所じゃ……無いッ!




 追撃をするために次の猟兵が城内に転送された時、すでに無数の水晶屍人達が溢れていた。
「もうこんなにいるなんて。……でもさっき散々千切っては投げてきたばかりよ!」
 アイリ・フラジャイル(夢見る戦争人形・f08078)のマギアチックリアクターがエマージェンシーメッセージを彼女に送る。
『――危険、脅威度判定極大。………マギアチックリアクター制限解除。………自動迎撃、事象遮断障壁展開』
 緊急状態に移行したリアクターが仲間を守る障壁を発生させる事を許可する。
「この屍人達の攻撃はアタシが止めるわ! だからこの城のどこかに隠れているアレはお願い!」
 彼女の願いを受けたアレが何を示しているのか、それはここにいる猟兵達は知っている。
「一人で無理するんじゃなーのー」
 彼女の近くで浮かべたパネルを叩いていたメイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)の近くからミサイルが生じ近寄ってきていた水晶屍人を破壊する。いつも怠惰な様子の彼女が最初から集中した様子で指先を動かしている。
「誰も一人で戦えーとは言うとらんじゃきー」
 メイスンが落ちついた様子でその場で作ったガスを散布すると、周りの水晶屍人が水の中に入れた角砂糖のように解けていく。
「アレを潰すのにアイリだけが疲れる必要はないのー」
 彼女の指先の鉱物が微細な粉となって剥がれていく。ここに来ている者は皆分かっているのだ。
(「――そう、私達は生きるのに忙しい」)
 城の中を探索し走り回りながら、数字の低い敵の足元から撃ち抜いていくのはセルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)。走る彼女を追うように多数の水晶屍人が追いすがってくる。セルマは舌打ちをすると天井の側にある梁に向かってワイヤー付きのナイフを投げ、そこへとよじ乗る。
(「こちら側にはいませんか」)
 這い上がろうとしてくる水晶屍人の額にデリンジャーの一撃を食らわせながら振り返る。こちら側は行き止まりらしい。
「……好都合ですね」
 単身で動く彼女の方に水晶屍人が引きつけられているのなら、アレの方にはあまり多くいないはずだ。ついでに味方を気にする必要もない。セルマが眼下に絶対氷域を広げ水晶屍人達を氷漬けにする。
「この領域では全てが凍り、停止する……逃がしません」
 セルマの愛銃が水晶屍人の脳天を撃ち抜く。
(「……周りの猟兵連中も色々騒いでる」)
 数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)が出会う水晶屍人を殴り飛ばしてから、改めて辺りの雰囲気を感じ取る。
(「この感じ宇宙の時のオロチとか、ドラゴンテイマーの時に似ているのか?」)
 まるで特定の猟兵が何かに突き動かされているようでもある、ただ多喜自身にはそんな衝動がない。
「何か良く分かんないけど、けっこーこの人嫌いな猟兵が一杯いる予感!」
 その彼女の違和感をニィナ・アンエノン(スチームライダー・f03174)があけっぴろげに言う。そして目の前に水晶屍人が群れを為して彼女たちを待ち受けている。
「う~ん邪魔! バイクの武装でぶっ飛ばしちゃおう☆」
 脈絡も無く突然跨った宇宙バイクから、やはり脈絡なくミサイルをぶっ放す。空気なんか全く読まないのが彼女の流儀だ。
「よーし行くぞーってあれぇ?」
「助かります」
 だがそれ以上に空気を読まないクロト・ラトキエ(TTX・f00472)が新しく開けた道を駆け抜けていく。ついでに水晶屍人を切り捨てながら。
「ちょっとー! 待ってよー!」
 まるで勝手知ったる彼女面のような声で追いかけるニィナ。そして呆気に取られる多喜。
「って、アタシもボケてるわけにはいかねぇ!」
 水晶屍人をかき分けながら追いかける。……なんだか途中でニィナが水晶屍人とやりあってる姿が見えた気がするけども。もしかしたら何かのタイミングを見計らっているのかも知れないが。更に彼女が進むと安倍晴明とそれを取り囲むようにナンバーの高い水晶屍人が守るように取り囲んでいた。
「貴方が安倍晴明ですか」
「如何にもその通り」
「不死故、生きる事に飽く……とは。貴方、何とも――愚にも付かない生き方をしてきたんでしょうねぇ」
「まるで愚かではない生き方を知っているような口ぶりですね」
 クロトの言葉に安倍晴明は淡々と返す。その余裕にも見える言い回しに多喜が口を挟む。
「あたしはアンタがどんな因果を持ってるか知らねぇ。こちとら、縁もゆかりもないペーペーと来たもんさ」
 多喜は拳を握り込む。
「だがな、アンタを張り倒す。これとそれとは話が別さ。……一連の水晶屍人騒ぎは、アンタが元凶か」
「ええ、全て私の作ったもの。感じたことがあればお聞かせ願いたい」
 多喜が奥歯が砕けそうなくらいに食いしばり、クロトが問う。
「そんなに興味を満たしたいなら、『死なず』と云うその命の止め方一つ、見付けてみれば宜しかったものを」
「いずれ貴方方のような存在が現れる――そう確信しておりましたから」
 安倍晴明は不意に軽く指先で印を結ぶと周りの水晶屍人達が一斉に騒ぎ立てる。
「さて、貴方方にそれが出来ますでしょうか。見せていただきましょう」
「あんたが言ってるのがどんな世界の話か知らんが、アンタは今ここで、被害を増やしてる。なら、止めるしかねぇだろ!」
 多喜は拳を天に向けそこを中心に電撃の檻が形成されていく。
「ashes to ashes,dust to dust,past to past...収束せよ、サイキネティック・プリズン!」
 周りの水晶屍人達が雷に打たれて灰へと変わって行く。思わぬ攻撃に安倍晴明は目を細める。
「……サイキック、懐かしい」
「よそ見しているとは余裕ですね」
 クロトの拳が安倍晴明の顔を狙う、と見せかけてボディに突き刺さる。
「行儀の悪い」
「猟兵で、傭兵ですので」
 しかし彼の拳も無事ではない。相手の体の硬さは尋常では無い。その時後ろからバイクの音が聞こえてくる。振り返るとバイクの上に直立したまま乗っているニィナの姿があり、しかも勝手に走っている。その加速度のままにバイクからジャンプし、そして。
「せいやー☆」
 安倍晴明の顔面に彼女の足がめり込んだ。そして爆発。着地した彼女はドヤ顔でポーズを決めている。
「終わった……の?」
 更に後ろから現れたのは息も絶え絶えのアンリであった。他の猟兵の傷が浅く済んでいるのは彼女の助力があったためだろう。その上で彼女は反対側の水晶屍人とも戦ってきたようだ。
「こちら側の水晶屍人も全て撃破しました。……安倍晴明は還りましたか」
 しかし、周りから受けるざわつくような気配はなくなっていない。
「……エネルギー反応が消えておらんのー。逃げた?」
 猟兵達は爆発の方向を見る、そこには大きな穴しか残っていなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

水衛・巽
【暁暗】
ウィンターミュートさん(f01172)
鳴宮さん(f01612)
モリアーティ氏(f01811)と

陰陽の大家でありながら
陰陽師の面汚しに成り下がるとはね
ちょっと一発殴っても?

先制攻撃は第六感、覚悟、戦闘知識で致命傷のみ極力避ける
そののち式神憑依・勾陳でモリアーティ氏の後方かつ呪詛の射程外から
破魔と高速詠唱を乗せた符で水晶屍人を迎撃・援護

お望みなら鎧無視に鎧砕きもつけましょう、いえご不要でもつけますが
手数と速度で準備が整うまで時間稼ぎしつつ
屍人の合体を促します

屍人を凌ぎきったら出し惜しみせず攻勢に
清明を狙いにいく鳴宮さんを援護
投擲で精度を上げ速やかに討ち取りましょう

アドリブ、負傷描写歓迎


ニルズヘッグ・ニヴルヘイム
【暁暗】
全くまた胸糞の悪い奴が来たものよ
まァ良い、心置きなく殴れるならば僥倖だ

『第六感』と『見切り』で攻撃を回避しつつ
屍人の群れへ突っ込むぞ
無傷で済ませようなどとは思っていない
死んでも倒れん『覚悟』で行く
他の連中を巻き込まないよう位置取りに気をつけつつ【嘲笑する虐殺者】を起動
半径41m、纏めて『なぎ払い』だ

狙いは陽動
それからヴィクティムのプログラムを刺すために、合体の誘発だ
数が減るなり一気に薙ぎ倒されるなりすれば
合体させた方が効率が良いと思うであろう
その判断が命取りだ

生憎、剣士としても陰陽師としても、貴様より腕の良い奴を知っていてな
配下ともども砕いてくれる
一片たりとも残さずな


ヴィクティム・ウィンターミュート
【暁暗】

テメェを陰陽師とは認めない
ここで消えちまえ

出して来いよ、屍人をな
どうせ最初は数で押すだろ?4人を相手にするんだしな
【ハッキング】で全サイバネ強化、出力オーバーロード
【ドーピング】でコンバット・ドラッグを摂取

万が一にも攻撃が飛んできた場合は【ダッシュ】【早業】【フェイント】【見切り】で回避
ニルズの一撃でどれだけくたばってくれるかだが…
これだけ攻撃して数が減れば、合体を切らざるを得ないだろう
合体を切る前にナイフを投擲、それを影にプログラム射出

召喚は通すしかない。だから後出しだ
後出しでひっくり返せるのは"合体"だけだが…それでいい
合体するほど数字が差し引かれ弱くなる…ひっくり返ったな?


鳴宮・匡
【暁暗】
ヴィクティム/f01172、巽/f01428、兄さん/f01811、と

屍人の動きをしっかりと見切り、回避していく
前には出すぎないぜ、兄さんの射程に入っちまう

合間に足の関節などを狙撃して崩し
他のやつらの負担を少しでも軽くする
特にヴィクティムへ向かう敵は積極的にこちらで受け持つよ
今回の肝は、あいつだからな

ヴィクティムの『反転』が刺さったら攻勢に転じる
一つ一つの動きをしっかりと見切り、学習して
隙を見せる一瞬を見逃さず、
他の猟兵が付けた傷を狙って狙撃
同じ部位にダメージを重ねれば、相応に効くだろう

お前が何であろうとどうでもいいけど
何が何でも「勝ちたい」って言うやつがいるんでね
ここで倒れてもらうぜ




「ふふ、ふはは!」
 安倍晴明は笑っていた。なんてことはない、久しぶりの痛みに、そして恐怖に喜んでいた。果たして「持ち帰る」ための存在となって、これほどに追い込まれる事は嘗てあっただろうか、と。怨霊渦巻く城の中を、身の傷に呪いを染み込ませて進む安倍晴明の前に暁のような暗さが集まっていた。
 ――それは彼らの作戦名の一つにしか過ぎない。つまるところ猟兵の集まりであり、逃げる安倍晴明の前に立ちはだかっただけに過ぎない。
「全くまた胸糞の悪い奴が来たものよ」
 そのうちの一人、ニルズヘッグ・ニヴルヘイム(世界竜・f01811)が影の中から現れる。足音の限り、彼だけではないだろう。既に囲まれていると悟った安倍晴明は笑い声を漏らしながら水晶屍人を再度召喚する。
(「これは「通し」だ」)
 ヴィクティム・ウィンターミュート(impulse of Arsene・f01172)が虚空から溢れてくる水晶屍人を睨む。彼の直接戦闘能力はからきしだ。
「陰陽の大家でありながら陰陽師の面汚しに成り下がるとはね。……ちょっと一発殴っても?」
「それができるのならば、見せていただきましょう」
 水衛・巽(鬼祓・f01428)に対する答えと共に無数の水晶屍人が彼らを圧殺するように迫る。この波に押されてしまえば安倍晴明は姿を眩ませてしまうだろう。無論、それは猟兵達の最後を見届けてからだろうが。
(「悟られるな」)
 鳴宮・匡(凪の海・f01612)は手持ちの銃器で近づいてくる水晶屍人の足首を撃ち抜く。いつぞやの戦場で戦ったときよりは幾分硬く何発か跳弾する。それでも銃撃を重ね仲間、特にヴィクティムに近づかせないようにリロードを切らさない。彼が弾幕を張り、巽が符で足止め、そしてヴィクティムは機を伺っている。……そしてニルズヘッグは走る。敵の中へと。
「うおおおっ!」
 いつも以上に声を張り上げて、その身を傷つけて彼は走る。或いは彼の翼に力があればそれも減るだろう、だが彼はそんな事も考えない、ただ敵の中心を目指しそして辿り着く。
「自らの怨念に喰われるが良い」
 紫の魔法陣が生じ、後は勝手に広がり水晶屍人達を包んでいく。情念を呪詛に変え相手を討つこの術式は、水晶屍人の出自自身が本体を砕いていく。
「これはいけませんね」
「合体でもさせますか」
「ええそうさせてもらいます」
 安倍晴明はこの術の性質を即座に見抜き巽に促されるよりも早く印を組み、水晶屍人を混ぜ合わせ合成していく。数をあえて減らし強度を上げることでこの攻撃を凌ぐつもりなのだろう。しかしそれこそがヴィクティムの、彼らの目論見の範疇だ。彼はナイフに小さなコマンドを封じ込めて群れの中に投げ込んだ。
「……リバースだ!」
 合体して強度を上げるのなら、その逆になるようにトリックを挟んでおけばいい。ヴィクティムが静観していたのはこの時まで術式というプログラムのホールに一言書き加える為だ。
「……これ、は」
「合体させるほど強くなる、ならそれを逆にしてしまえばいい。……ひっくり返ったな?」
 安倍晴明の術は止まらない。互いに互いを合成するように集まり、そして消失する。1+1を1-1にしただけのことだ。即座にニルズへッグが詰め寄る。
「何が可笑しい」
 竜の変じた槍を振るいながら彼は安倍晴明に問う。
「このような事、久しぶりですから。分かりませぬか?」
 チェーンソーで槍を受ける安倍晴明にニルズへッグは弾かれる様に吹き飛ばされる。
「分かるものか。分かるのはお前より剣士としても陰陽師としても貴様より腕の良い奴がいる事と、お前を一片たりとも残さず砕かねばならんことだけだ」
 即座に黄金の大蛇が飛来し安倍晴明のチェーンソーに噛み付く、符に込められた仮初の身と言えどもその力は本物だ。さらにそれが次から次へと飛びかかり安倍晴明は武器を捨てて後ろへ下がる。
「訂正します、殴るのではなく噛み付くことにしました」
「先程の者と言い陰陽師の力が飾りとなっていないのは良いことです」
 五芒星で蛇をただの紙に変えながらも、いくつかの蛇は彼の身に傷を付けている。それが匡のターゲットマーカーだ。
(「そこだな」)
 匡は取り立てて気負うこともなくいつもと同じ様に呼吸を整えてから引き金を引く。フルオートの弾丸は、次から次へと牙の開けた穴を通り対象の体の中で暴れまわる。同時に衝撃に耐えられなくなった安倍晴明の体も踊るが、彼の射撃がそれを逃すことはない。
「ふ、ふふ……」
 匡が弾丸を撃ち切った後も驚くことに安倍晴明の口から笑い声が溢れる。しかしもう戦う力は無く壁に寄りかかっているだけだ。その近くにまで匡は歩き拳銃を抜く。
「お前が何であろうとどうでもいいけど」
 不意に彼は首だけを動かしてヴィクティムを見る。
「ソイツを陰陽師とは認めない。ここで消しちまえ」
「……だ、そうだ。ここで倒れてもらうぜ」
 乾いた銃声一発が鳴り響き、オブリビオンは消滅していく。その顔は最後まで虚ろな笑顔のままであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月16日


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#サムライエンパイア
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト