エンパイアウォー⑨~大捕物帳
●熱波に光る
気温が35度を超えるここ山陽道にあっては、多くの猟兵たちがその儀式の阻止に赴いているところである。そこに、なんぞ怪しい集団がいた。
「なぁ、この霊玉は儀式が終わったらくすねてええんか?」
「知らん。でも、高く売れそうだなぁ……」
「おいちゃんは下着以外に興味ないな」
盗人の様式美を体現したような姿をしている彼らは、山陽道にほど近い砂浜で何故か輪を作り霊玉を投げ合っていた。これが儀式らしい。学生が昼休みにバレーボールする光景を想像すると分かりやすいかもしれない。
「あっ、馬鹿野郎!」
暑さのせいか手元が狂い、砂浜に落ちそうになるのを一人の盗人が華麗にレシーブもといキャッチした。はらりと頭巾が解ける。――輝く太陽に負けない輝きを放ちながら。
●グリモアベース
「……あまりに暑くて、ボク変なもの見ちゃったかな?」
グリモアベースで、ニケーレ・パーチ(遥星・f21326)――20歳になるはずの青年は、まるで十代半ばの少年のような幼さの残る顔で首を傾げている。
「まぁ、いいや」
ええんか。
「サムライエンパイアの山陽道への案内だよ。今、何が起こってるかはキミたちも知ってるよね」
一応、説明するね。と、ニケーレは説明を始めた。
侵略渡来人・コルテスが幕府に叛意を持つ長州藩の毛利一族を手駒にし、幕府軍の迎撃準備を整えている。手駒と言っても、生贄としてオブリビオンを召喚しているのだ。彼らは、山陽道周辺の気温を極限まで上昇させ進軍してくる幕府軍を熱波によって茹で殺す、という作戦を立てている。
「このままコルテスの儀式が進むと、平均気温が50度を超えるらしいんだよね。普通に死ぬよね。
『南米原産の風土病』って病気も蔓延させて、幕府軍に死をまき散らすことも考えてるらしいし、止めるしかないよね?
オブリビオンの儀式を阻止できたら、とりあえずこの山陽道の問題は解決するからさ」
ぴ、と人差し指を立てて、ニケーレはにっと笑う。
「で、ボクが見つけたオブリビオンと儀式なんだけどね。場所は山陽道にほど近い砂浜。そこで、名もなき盗人集団が儀式をしてるよ。
霊玉を輪になってキャッチボールみたいに投げ合ってるみたいなんだ。キミたちに気づいたら、全員が霊玉を頭に結び付けて逃げ出そうとするから、倒してね」
な、なんて?という声が聞こえたが、ニケーレはにこりと笑って話を続けた。細かいことは気にしたら負けらしい。
「霊玉は1つ以外全部ダミーだけど、良く出来てて見分けつかないから、絶対に逃がしちゃダメだよ。倒すついでに、かち割ってほしいな。全部割れば、どれかが当たりだからさ」
ぱちりとウインクしてニケーレは言う。爽やかなウインクとは反対に、なんとも形容しがたい場面を想像して、気持ちのやり場に困る猟兵たちであった。
105
●ご案内
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
●ご挨拶
105と申します。暑いですね。大分茹っております。
よろしくお願いいたします。
●方針
オブリビオンを撃破し、儀式の阻止をすることが目的です。
シナリオは、名もなき盗人集団が霊玉を頭に巻きつけて逃走を図るところから始まります。
頂いたプレイングの雰囲気に沿いますが、なんとなくコミカルに寄りそうですのでシリアスをお求めの方はご注意ください。
※公序良俗に反すると判断したものは採用を見送ります。
●プレイング
オープニング公開から、受け付けます。
シナリオの性質上、達成値を満たした時点で執筆を終了する予定です。
ご参加、お待ちしております!
第1章 集団戦
『名もなき盗人集団』
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POW : これでもくらいな!
【盗んだ縄や紐状のものまたはパンツなど】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD : これにて失礼!
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
WIZ : ここはおいらに任せておくんな!
【なけなしの頭髪】が命中した対象を爆破し、更に互いを【今にも千切れそうな髪の毛】で繋ぐ。
👑11
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白川・美依
使用能力:WIZ
霊玉には富士山の噴火エネルギーが蓄えられているのよね?
なら【全力魔法】を込めた【ディヴァイナリィ・ホワイトフレイム】で、炎を飛ばしてみましょうか。炎の魔力が霊玉と反応すると面白いことになりそうよね?
…ダミーだったら? そのまま頭ごと燃やすだけよ?
それと、髪の毛を飛ばして来る盗人に対しては【オルタナティブ・スケープゴート】で回避。
…アレには巻き込まれたくないわ、オッサン同士で絡んでなさいな
※何でも歓迎、🔵過多なら不採用可
●
「うおっ、出やがったな猟兵!?」
「霊玉は渡さねぇぞ!」
名もなき盗人集団は、頭巾の上に(あるいは中に)霊玉を結び付けて散開する。
その姿を白川・美依(プリンセス・ホワイトムーン・f19433)は、大層冷めた目で見つめていた。音もなく、すっと手を挙げる。『ディヴァイナリィ・ホワイトフレイム』により生み出した炎を、全力の魔力を込めて飛ばす。もちろん、盗人の禿げ頭もとい頭頂部に取り付けられた霊玉を目掛けて、だ。
「霊玉には富士山の噴火エネルギーが蓄えられているのよね?」
「それがどうした!こいつぁ金になりそうなんだ、あんたらにはやらねぇよ!」
「……炎の魔力が霊玉と反応すると面白いことになりそうよね?」
――あ、嫌な予感。
応じていた盗人の額に、暑さのせいだけではない汗がぶわっと出る。
「さあ、炎と共に踊り狂いなさい?」
ボッ!! なんて効果音では生ぬるい程の灼熱が、逃げようとする盗人の霊玉を狙う。自動で追尾するそれを除けるなど不可能。
「あーちゃちゃちゃちゃ
!!!!!」
熱によって霊玉は割れ、盗人は海に飛び込んだ。多分、消したかったんだと思う。消えないけど。消せるの、美依だけだから。
美依といえば、腕を組み美しい琥珀の瞳をすっと細めて、その光景を見ていた。長い銀髪が海風に揺れる。目の前の盗人さえいなければ、さぞ絵になっただろう。
「……ダミーだったみたいね?それじゃ、そのまま頭ごと燃やすわね?」
「く、くそー!ただでやられるおっさんじゃねぇぞ!!」
くらえ、と放たれたのは、チリチリに焦げたなけなしの髪の毛。
「オッサン同士で絡んでなさいな」
その言葉と同時に別の盗人(オッサン)が、水も滴る盗人(オッサン)に飛んでいく。阿鼻叫喚の図の出来上がりであった(ご想像にお任せします)
「……」
美依は、美しい琥珀の瞳を再びすっと細めて盗人(オッサン)に歩み寄ると、纏めてムーンライトスティックで場外ホームランした。
「……早く片付けましょう」
――キラリン。
盗人(オッサン)は魔法戦姫『ホワイトムーン』の生まれ変わりたる美依の手によって星になったのであった。
大成功
🔵🔵🔵
落浜・語
……なんだこれ。
なに、この……場にそぐわない感じのシュールさ…
いや、まぁ、うん、早いとこやってしまおう。
『怪談語り』で身体強化しつつ、奏剣でもって【フェイント】入れつつの攻撃。【第六感】にも頼りつつ、本物っぽいのを持ってるやつから優先的に狙う。
また、カラスにも協力してもらい、【追跡】したり、戦いやすいように追い込めれば良いな。
あ、カラス。そのハゲ連中はいくらでもド突いて良いからな。好きなだけやっていい。特にジャンプで逃げようとする奴。普通サイズとは言え、カラスの嘴や爪は痛いからな。足止めやらはできるさ。多分。
アドリブ、連携歓迎
●
落浜・語(ヤドリガミのアマチュア噺家・f03558)は、その端正な顔立ちを若干引きつらせていた。
「……なんだこれ。なに、この……場にそぐわない感じのシュールさ……」
ここは山陽道。コルテスの計略により熱波地獄になりかけている場所を、儀式を止めることで阻む。それは、今後の戦況にも大きく影響を及ぼす、そういう重要かつシリアスな場所ではなかったか。なのに、何故浜辺で盗人が霊玉を頭に巻き付けて、逃走しようとしているのか。グリモアベースで聞いた儀式の方法も、なんか、え、いや、なんて?みたいな絵面だった気がする。
「いや、まぁ、うん、早いとこやってしまおう」
――語は深く考えることを止めた。
奏剣を構えて、『怪談語り』を発動し己を強化する。毒の影響で、ふらつきがあるが短時間なら問題ないだろう。
「手早く行こう」
「なんだ!?兄ちゃん、おめぇもか!」
手近な盗人目掛けて奏剣を振るう。鮮やかな太刀筋を頭巾に食らい、ぱらりと頭巾が落ちた。盗人がキラリと光る己の頭の上の霊玉を両手で押さえる。
「させねぇよ!フフン。兄ちゃん、空は飛べねぇだろ!?」
盗人はドヤ顔で、トゥッ!と飛び上がる。
「じゃあな。あばよ、兄ちゃん!」
「あ、カラス。そのハゲ連中はいくらでもド突いて良いからな。好きなだけやっていい」
さらりと言い放たれた語の言葉に応えてどこからともなく現れた語のカラスが、得意顔の盗人の霊玉をビシビシと突く。カラスは光物がお好きなのだ。
「エッ……あっ、やめっ……だあぁ~!!」
ずべしゃ。
情けない音を立てて盗人が地面へと墜落した。高さが中途半端で受け身が取れなかった盗人は、打ち所が悪かったのかそのまま骸の海へとお還りになられた。
「……マジか」
精々足止めだと思っていた語は、なんだかとてもいけないものを見てしまったような気分になる。とりあえず霊玉を割るが、どうやらダミーだったようだ。
「俺、集中力持つかなこれ……」
あまりの緊迫感のなさに、脱力を禁じ得ない語であった。
大成功
🔵🔵🔵
オズ・ケストナー
わ、わあ逃げちゃった
おいかけっこかな?
なんだかあそんでるみたい、ふふ
走って追いかけながらガジェットショータイム
出てきたのは先端にわっかの作られた縄
えーっと
とりあえず、ぶんぶん振り回してみながら考える
あっ、わかった
わなげだ
きっとそうだよね、と傍らのシュネーに語り掛け
えーいっ
盗人めがけてぶんっと放り
そうだそうだ
こういうときにつかうんだよね
しんみょーにおなわをちょうだいするんだよっ
…あってる?
でもひっかけたあとどうしたらいいんだろう
こっちにひっぱればいいのかな?
あれ?
なにか言ってる
くび?しまる?
聞こえないからてけてけ近づいて
もしジャンプで逃げようとしたらシュネーが飛んでキック
それじゃあ、霊玉を割るね
●
この熱い砂浜に、プラチナブロンドの髪をふわりと靡かせる愛らしい少年がひとり。飛び逃げた頭巾のおじさんを涼しげなキトンブルーの瞳で追い、少年――実は21歳になる青年――オズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)は首を傾げた。
「わ、わあ逃げちゃった。おいかけっこかな?」
くるりとした瞳を、一度ぱちくりと瞬かせ次の瞬間にはぱぁと笑顔を浮かべる。その笑顔たるや、太陽に照らされた砂浜より眩しい。盗人も、眩そうに手をかざしていた。
「なんだかあそんでるみたい、ふふ。シュネー、おいかけっこしよっか」
無邪気な笑顔でシュネーに声をかければ、そのままぴゅん、と駆け出した。そして少年のような無邪気さで手にしたのは、投げ縄。
「えーっと」
これはなんていうんだったかな?ぶんぶん振り回し、盗人を追いかけながらオズは考える。
「あっ、わかった。わなげだ。きっとそうだよね、シュネー」
ふふ、と楽しげに笑うと盗人目掛けて。
「えーいっ」
「あっ、こら、おいちゃんは景品じゃねーぞ!」
空中へと逃げようとした盗人にすぽんとハマった。お見事。
「そうだそうだ。こういうときにつかうんだよね。しんみょーにおなわをちょうだいするんだよっ。……あってる?」
「あっ、うん」
にこーっと笑顔で聞かれたら、ちがうなんて言えない盗人であった。可愛いは正義、万国共通である(筆者調べ)
「うーん、ひっかけたあとどうしたらいいんだろう。こっちにひっぱればいいのかな?」
ぎゅん!素早い動きで、縄を引っ張るオズ。カエルが轢かれたような音がして、気付けば盗人の顔が青い。首に手を当てて、ばんばん叩いている。
「ぐびじま゛る゛」
「なにか言ってる?」
その姿に首を傾げながらオズが近付けば、紐が緩んだ。
「ぐえっ!げぼっごほっ!……か、可愛い顔してなんて兄ちゃんだ……俺は逃げるぜ!」
さっき失敗したことを忘れたのか、盗人は再び空中にジャンプしようとして、再び呆気なく落ちた。シュネーの華麗なるキックが後頭部に決まったためだ。盗人は顔面から砂浜にダイブした。
「それじゃあ、霊玉を割るね」
とことこと盗人に近づいて、オズはHermesを思いっきり振り下ろす。霊玉と一緒に、なけなしの盗人の髪が舞った。
大成功
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アリス・フォーサイス
かたっぱしから捕まえるのも大変そうだな。
ビー玉をアナロジーメタモルフォーゼで拷問器具に変えて、捕まえた盗人をセットするよ。
これはくすぐり拷問器具だよ。止めてほしかったら、本物を持って行った仲間の特徴を教えてね。嘘を言ったり、黙秘しようとしたら死ぬまでこのままだから気を付けてね。
ちなみに、嘘発見器機能もついてるから。
聞きだせたら、ドローンと空中浮遊で捜索だ。ぼくから逃げられると思わないことだね。
見つけたら、空から襲いかかって、天下無双眼心流の捕縄術で捕まえるよ。見よう見まねだけど、情報の海から再現した忠実コピーだ。
●
アリス・フォーサイス(好奇心豊かな情報妖精・f01022)は、幼いながらに観察力に優れた瞳を簀巻きにした盗人へと向ける。
「かたっぱしから捕まえるのも大変そうだね?」
「へっ、みんながそう簡単に捕まると思うなよ」
ちなみに、この盗人はかなりあっさり捕まった。
さて、と手に転がすのは、海と同じ色をしたビー玉。ころりと可愛らしいその姿形が、マジックハンドが取り付いた椅子に変わっていく。
『アナロジーメタモルフォーゼ』
情報を分解し、再構成することで他の物質に変換し、操作するアリスのユーベルコード。簀巻きの盗人を、マジックハンドが捕まえて椅子にセットした。
「これはくすぐり拷問器具だよ」
「なんですって」
口調すら変わる盗人。
「止めてほしかったら、本物を持って行った仲間の特徴を教えてね。嘘を言ったり、黙秘しようとしたら死ぬまでこのままだから気を付けてね。ちなみに、嘘発見器機能もついてるから。はい、スタート」
無慈悲。あまりにも無慈悲。
砂浜にしばし悲鳴じみた盗人の叫びと笑い声が響き。
その後には、よれよれになった盗人が砂浜に倒れ伏していた。合掌。
さて、アリスは空を飛んでいた。空中からドローンも駆使して、本物の霊玉を探す。捕らえた盗人曰く、ダミーより熱を持っているのだという。電脳ゴーグル越しにサーモグラフィーの映像に変換すれば、それはすぐ見つかった。
「ぼくから逃げられると思わないことだね」
急降下しながら、電動射出式ワイヤーを射出。
「天下無双眼心流の捕縄術、いくよ。見よう見まねだけど、情報の海から再現した忠実コピーだ」
鮮やかな縄捌きで、捕らえるや否や木に引っ掛けて吊るす。
「チェックメイトだね」
「や、やめ……」
仲間が散々な目にあっているのを見てきた盗人は涙目であった。
そんな盗人に構わずアリスが手裏剣で霊玉を割れば、焼けるような暑さが少し和らぐ。
残りの盗人たちも手早く片付けて、猟兵たちは次の戦場に向かうのであった。
大成功
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