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エンパイアウォー⑩~怨霊ともふもふ、海を征く

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー


●もふもふを乗せ、海を征く
「もふ……もふ……」

 海に浮かぶそれは、鉄の城が如き威容だった。魔軍将が一人、大悪災『日野富子』の村上怨霊水軍、その船である『超巨大鉄甲船』。

「もふ……もふ……」

 全長200m、全幅30mほどだろうか。巨大な鉄甲船、その帆柱に掲げられた軍旗を見れば、船員がどのような者たちかを分かる者も居るかもしれない。この船には戦国時代瀬戸内海を席巻した大海賊『村上水軍』の怨霊が乗っているのである。

「もふ……もふ……」

 その超巨大鉄甲船で怨霊たちは、ある者は気合いを入れるように、またある者は何かから逃避するように揃って声をあげ、調子を取っていた。

「もふ……もふ……」

 もふもふ言っている怨霊たちの視線の先をちょこまか動き回っているのは白いもふもふ。ある者は富子の恐怖を紛らわせるように、またある者は大金で雇われたうえ護衛のもふもふまで付けてくれた事に気を上げて。もふもふ言いながら鉄甲船を動かしていた。

●グリモアベースにて
「皆さん、南海道にもふもふを乗せた鉄甲船が現れました。現在、もふもふ言いながら海上に浮かんでいます。」
 そう語るアルトリンデ・エーデルシュタインの表情は真剣である。魔軍将『日野富子』の村上怨霊水軍が南海道に展開しており、このままでは進軍中の幕府軍をことごとく沈めてしまう。なので鉄甲船に乗り込み、これを無力化する必要があるのだ。あるのだが。

「村上水軍の怨霊は鉄甲船の帆柱に掲げられている『村上水軍旗』を引きずり降ろせば消滅します。ですが、もふもふが邪魔をしてくるようです。」
 白いもふもふことオブリビオン『まっしろピヨすけ』は数は少ないものの軍旗を守るように陣取っているという。なのでまずはもふもふを何とかしなくてはならない。怨霊がもふもふで気を入れているからか分からないが、まっしろピヨすけが船上に居る限り軍旗も気合入れて張り付いているようだ。なお、軍旗を降ろさない限り船も軍旗も傷一つつかない。

「怨霊は戦闘はせず、船を動かすだけですのでもふもふさえ何とか出来れば軍旗は降ろせると思います。もふもふ……まっしろピヨすけは倒さなくても船から海に落とすだけでもかまいません。」
 この辺りは潮の流れが早く、もふもふは海に落ちるとそのまま流されて行ってしまうのだという。今回出現したピヨすけは飛べないため、骸の海に還ってゆく事だろう。
「まっしろピヨすけは甘い物が大好物のようです。また、たくさん食べると満腹感から眠ってしまう事もあるのだとか。」
 ピヨすけたちは鉄甲船の上が居心地いいのか甘い物で誘導して放逐するのは難しいだろう。だが、状況によってはエサやり程度ならばできるかもしれない。この性質を利用してみるのも良いだろう。

「鉄甲船団は幕府軍にとって脅威となります。その為にも、もふもふを何とかして村上水軍旗を奪取してください。」
 そう言葉を括り、アルトリンデは猟兵たちを送り出すのだった。


こげとら
 しばらくぶりです、こげとらです。
 こちらは南海道に展開する村上怨霊水軍の超巨大鉄甲船に乗り込んで無力化するシナリオとなります。
 もふもふと戯れるシナリオではありません。

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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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 流れは超巨大鉄甲船に乗り込み、オブリビオンを倒し、村上水軍旗を降して奪い、船から脱出、となります。
 軍旗の奪取と船からの脱出は、オブリビオンを何とか出来れば成功すると思っていただければ。

 転送先は船の外となりますので、海上の移動手段や鉄甲船に乗り込む手段もプレイングボーナスの加味に影響します。何もなければ他の人に便乗してとなるかと。
 オブリビオン『まっしろピヨすけ』の数は10体ほど。ですが船の上が居心地いいのか、簡単には退きません。倒すなり、海に落とすなりしてください。どちらの場合でも骸の海に還ります。
 怨霊は戦闘には加わらず、軍旗奪取を邪魔したりもしません。ただひたすらもふもふ言いながら船を動かしています。軍旗がある限り倒しても無限に湧いてきますので、怨霊をどうにかするためにも軍旗を奪取する必要があります。
 超巨大鉄甲船も軍旗がある限り怨霊の力で無敵となっております。逆に言えば船上でどれだけ暴れても沈む事はありません。

 それでは、皆さんのご参加をお待ちしております!
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第1章 集団戦 『まっしろピヨすけ』

POW   :    超もふもふもーど
全身を【膨らませてめちゃくちゃモフモフな状態】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD   :    もふもふあたっく
【もふもふ体当たり】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    もふもふソルジャーズ
レベル×1体の、【額】に1と刻印された戦闘用【ミニまっしろピヨすけ】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
👑11
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高階・茉莉
WIZ判定の行動
アドリブや他猟兵との絡み歓迎

■心情
まっしろピヨすけですか、とても可愛いですけど
私達の邪魔になるなら、排除してしまいましょう。

■行動
鉄甲船に乗り込む際は、水泳の技能で船の近くまで来て
クライミングで戦場に登りますね。

まっしろピヨすけには、料理の技能で予め作っておいた
饅頭などのお菓子を食べさせてみますね。
「どうぞ、とっても甘くて美味しいですよ」

それでも、鉄甲船の上から退かないなら
『無限の文字列』を使用して攻撃。
高速詠唱で素早く唱え、範囲攻撃で複数を纏めて狙い
全力魔法で一気に倒していきますね。

ミニまっしろピヨすけは、合体される前に
無限の文字列で倒してしまいますね。


月山・カムイ
もふもふ満載の船とはまた、日野富子も考えましたね……考えすぎて一周回って何を考えているのやら、となってしまってますけども
まぁ、ともかくアレを船の上から排除する必要がある、という事ですね

まずは敵船に乗り込む訳ですが、無空跳躍を使用して海の上を駆けていくのがいいでしょうか
誰か一人位なら抱えて行く事も可能ですけども

ピヨすけの対処ですが……餌やりで寝かせて、然る後に海へ排除が良いでしょうか?
餌には持ち運びを考慮して、どら焼きや羊羹のような和菓子と珍しさで釣るため洋菓子、マカロンやクッキーを
目の前で食べて興味を引き、警戒を解く様に少量ずつまずは与え
食いついたら全部を供出
大量に食わせて寝付いたら海に捨てる



 南海道の只中、この海を行くならばやり過ごす事も難しい位置にその船はあった。まさに巨大な、といった威容を誇るそれは村上怨霊水軍の鉄甲船。海面に顔を出し、高階・茉莉は鉄の城の如きその姿を見上げた。取り付くまでは問題なし、どうやら船のような大きさのモノ以外はさほど警戒はしていないようだ。

「あとは登るだけですね。」

 とはいえ、鉄甲船は並の大きさではない。茉莉がクライミングの要領で少しずつ登っていると気配が近付いてくるのを感じた。目を向けた先には【無空跳躍(スカイ・ダイヴ)】により宙を蹴り駆ける月山・カムイの姿があった。

「一人位なら抱えて行く事も可能ですけれども、どうです?」
「そうですね……お願いします。」

 カムイの言葉に茉莉は頷く。協力できる者からの申し出を無下に断る事はない。カムイが茉莉を抱えて一気に上がる。二人の目に飛び込んできたのは、甲板に大量に湧いている白いもふもふこと『まっしろピヨすけ』とその合間を動き回る怨霊の姿だった。

「もふもふ満載の船とはまた、日野富子も考えましたね……」
「まっしろピヨすけですか、とても可愛いですけど。」

 予知からは数は多くないと聞いている。よく見ると、ほとんどのピヨすけは小さく、その間に埋まるように大きなピヨすけが居る。村上怨霊水軍という名前の印象からは程遠い光景が広がっていた。

「考えすぎて一周回って何を考えているのやら、となってしまってますけども。
 まぁ、ともかくアレを船の上から排除する必要がある、という事ですね。」
「ええ。私達の邪魔になるなら、排除してしまいましょう。」

 二人の姿を見つけてミニまっしろピヨすけがピヨピヨ鳴きながら迫ってくる。数で包囲し、威圧しているつもりだがむしろ可愛らしいとさえ言える状況。しかし可愛いとはいえオブリビオン、茉莉は開いた本を向けた。【無限の文字列(ムゲンノモジレツ)】が光となってミニピヨすけを吹き飛ばす。舞い上がる白いもふもふ。本体であるまっしろピヨすけも羽毛を膨らませて威嚇する。こちらに注目している事を確認し、茉莉は持ってきた物を取り出した。

「どうぞ、とっても甘くて美味しいですよ。」

 差し出した物、それは饅頭などのお菓子。茉莉が予め作ってきていたそのお菓子はどれも美味しそうである。先ほどとは違う意味で羽毛を膨らますピヨすけ。激しく葛藤しているようだが、軍旗を守るという言い付けは無視できないのか帆柱付近でピヨピヨ鳴いている。その様子にカムイもまたお菓子を取り出した。

「ほら、美味しいお菓子ですよ。」

 取り出したのはどら焼きや羊羹のような和菓子にマカロンやクッキーのような洋菓子。さらに追加された誘惑にピヨすけの心が揺れる。その眼前で、カムイはどら焼きを一つ、割る。
「ピヨ……!?」
 ピヨすけたちの視線を感じながら、カムイはどら焼きを口へ運んだ。ふんわりとした生地、その合間の餡子もまたしっかりと存在を主張している。美味い。その横では茉莉もまた、饅頭を割って中身を魅せていた。甘味の共演、いや饗宴か、しかも二人は他にもお菓子を広げている。その光景を食い入るように見つめるピヨすけたちの嘴の届く距離にカムイはどら焼きを少量、まずは与えてみた。この位置ならば、軍旗を守る位置でも食べる事ができる。我慢しきれずにどら焼きを突っつくピヨすけ。広がる和菓子の優しい甘み。一度口にすれば欲望は止まらない。

「掛かりましたね。」
「ええ、後は満足するまで食べさせるまでです。」

 そう言いお菓子を広げる二人に向かい、まっしろピヨすけが動いた。もふもふあたっくでお菓子に飛び掛かり、ライバルのピヨすけより多くのお菓子を確保せんと殺到した。
「ピヨピヨ、ピヨヨーーッ!」
「ピヨ! ピヨ、ピヨーッ!」
茉莉とカムイの出すお菓子をピヨすけたちが食べ尽くしてゆく。やがて、手持ちのお菓子を全部供出し尽くす頃には。満足してピヨピヨ眠るまっしろピヨすけの姿が。

「では、海へ排除しましょうか。」

 眠りこけているピヨすけをカムイが海へと放り込む。そのまま真っ白いもふもふは海流に流されていった。だが、全てのピヨすけが深い眠りに落ちていた訳ではないようで。
「ピヨ……?」
 寝ぼけたピヨすけの鳴き声に、茉莉は再び本を開く。

「纏めて一気に片付けますね。」

 ピヨすけが完全に目を覚ます前に、【無限の文字列】がピヨすけを吹き飛ばしてゆく。ある者はそのまま光に呑まれ、またある者は海に飛ばされ流れゆく。二人のお菓子に群がっていたピヨすけはこうして骸の海へと還っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ベイメリア・ミハイロフ
もふもふ…
お、おかわいらしさに惑わされている場合ではございません
きっちりお退治申し上げて、軍旗を奪取いたしましょう

海からはSignal of battleにて飛翔し船へ
不可であれば空中浮遊を利用
それでも不可であれば、他のお仲間さまについていく又は
泳いでいくかいたします

超もふもふもーど時には、手持ち(装備品)のアップルパイが無事ならば
食べさせて眠らせられないか試したく
うまくいきましたなら、船下へと引きずり下ろします
ああっ、もふもふで…もふもふでございます!

他は絶望の福音にて攻撃を先見しオーラ防御しつつ
Red typhoonにて攻撃し殲滅を図ります


※お仲間さまと共闘の際には常に連携を意識いたします


エドゥアルト・ルーデル
拙者もモフモフしてぇ…
モフモフとモフモフの間に挟まりてぇ~!!

【UAV】に乗り込んで空から直接船に乗り込みますぞ
最近のUAVはペイロードがありますからな、人ぐらいなら運べるでござるよ
船の真上に来たら爆弾みてぇに投下して自由落下で乗り込みでござる
乗り心地は気にしてはいけない

敵が【モフモフな状態】になったら手慰みにモフモフを弄びつつ起爆装置付きの爆弾を全身に貼り付け、若しくはモフモフの隙間にねじ込むように【スリ渡し】でモフモフ
モフモフを解除したらそのまま爆破、解除しなかったら動けないので銃をテコ代わりにして転がしながら海にでも落とすでモフモフ
つまり詰みって事でモフモフ!おっと語尾がモフモフに…



 晴天の下、広がる海の青に楔の如く立つ鉄甲船を見下ろし、ベイメリア・ミハイロフは吐息と共に言葉を漏らした。

「もふもふ……」

 遠目からでもわかる、もふもふとした白い羽毛で膨れた体。それが甲板の上でもふもふと増えてゆく様子を見、ベイメリアは先の呟きを零したのだ。そんな彼女が居るのは空、【Signal of battle】で飛翔して鉄甲船に乗り込むつもりであった。その横から、これまた熱っぽい呟きが聞こえる。

「拙者もモフモフしてぇ……
 モフモフとモフモフの間に挟まりてぇ~!!」

 声の主はエドゥアルト・ルーデル。彼を運んできたUAVは爆弾を投下するようにエドゥアルトの降下をしようとしていた。エドゥアルトの眼下に広がるもふもふとした白が集まる甲板。その光景にまさに飛び込まんとしているエドゥアルトの姿はベイメリアを我に返らせるには十分だった。

「お、おかわいらしさに惑わされている場合ではございません。
 きっちりお退治申し上げて、軍旗を奪取いたしましょう。」

 いかにもふもふだろうがオブリビオンである。エドゥアルトが降下する場所は確保した方が良いかとベイメリアは先んじて鉄甲船へと舞い降りた。途端、【もふもふソルジャーズ】を従えたまっしろピヨすけたちが顔を向ける。
「ピヨ?」
「ピヨッ! ピヨッ!」
 ベイメリアへ殺到するミニまっしろピヨすけが次々にくっつき、纏まってゆく。その度に額の数字が増えた。まるで綿菓子でも纏めるかのように合体をしたミニまっしろピヨすけが、合体で増した速度と力で以てベイメリアへと体当たりをする。

「見えた動きでしたら、対処もできるのでございます。」

 まるで10秒先の未来を見てきたかのようにその攻撃をオーラで弾くベイメリア。弾かれた合体ミニピヨすけは船の縁に当たってぽーんと跳ねた。あの柔らかさ、そう、合体する事で戦闘力が増すという事は防御力の要であるもふもふ羽毛も増すという事。ならばあのミニピヨすけはどれだけもふもふか……! ベイメリアはもふもふに沈みかけた思考を引っ張り起し、切先のない剣を模したメイス† curtana †を真紅の薔薇の花びらに変えた。

「紅の聖花の洗礼を受けなさい……!」

 【 Red typhoon(レッドタイフーン)】が宙に跳ねた合体ミニピヨすけに吹き付ける。真紅の花弁にまう白いもふもふは千々に千切れて風に飛ばされていった。そのミニまっしろピヨすけが一掃された甲板に、エドゥアルトが自由落下で乗り込んでくる。

「最近のUAVならペイロードがありますからな、人ぐらいなら運べるでござるよ。」

 なお、乗り心地は気にしてはいけない。エドゥアルトが身体を解すように首を回し、視線を巡らせた先ではまっしろピヨすけが警戒するように羽毛を膨らませていた。一層もふもふ感が増したピヨすけにエドゥアルトの視線が喜色を帯びる。

「そんなにモフモフ膨らませて、拙者、もう我慢できないでモフモフ~!」

 躊躇いなくピヨすけをモフりに行くエドゥアルト。迫る黒ひげに警戒のボルテージを上げ即行で【超もふもふもーど】になるピヨすけ。全身がさらに膨らみ、めちゃくちゃモフモフな状態と化したピヨすけにエドゥアルトは跳びついた。もふっと埋まるエドゥアルトの身体、広げた四肢で存分にもふもふし始める。その行動に目を丸くしながらもベイメリアは超もふもふモードになった別のピヨすけに目を向けた。

「あの、そんなにもふもふなのでございましょうか……?」
「ん、ん~、このモフモフ具合はたまりまモフモフ!」

 エドゥアルトはピヨすけの羽毛の中に手を突っ込んでもふもふしていた。ベイメリアはもふもふに惹き寄せられるように近づく。動けないほどもふもふになっているピヨすけの嘴に持ってきたアップルパイを近づけた。途端に輝くピヨすけの瞳。サクサク音を立てて食べ続けたピヨすけはやがて満腹になって寝てしまった。その無防備な姿に、そっと触れたベイメリアの手がもふっと沈み込む。

「ああっ、もふもふで……もふもふでございます!」

 両腕で抱きかかえながらもふもふに身体を埋め。ベイメリアは眠りこけたピヨすけを船べりまで運んでいった。その様子を横目にエドゥアルトはもふもふから身を起こす。上げた顔には先ほどとは違う笑みが浮かんでいた。

「これで仕掛けは終わり、でモフモフ……何の仕掛けかモフモフ?」

 いまだ超もふもふもーどのピヨすけの瞳を覗き込み、エドゥアルトは続ける。

「それはピヨすけ殿のモフモフにねじ込んだ起爆装置付き爆弾の仕掛けでモフモフ。」
「ピ、ピヨ……!?」

 【 Pickpocket(ピックポケット)】でスリ渡された物を明かされ衝撃を受けるピヨすけ。その下にエドゥアルトは銃を差し込んだ。

「モフモフを解除したらそのまま爆破、解除しなかったら転がしながら海にでも落とすでモフモフ。」

 テコのように銃を動かしてピヨすけを転がすエドゥアルト。ピヨすけの身体が甲板の縁に到達する。

「つまり詰みって事でモフモフ!」
「ピヨーーッ!!」

 そのまま海へ落とされたピヨすけが水しぶきを上げる。しおしおとしぼんでゆく羽毛にエドゥアルトは起爆装置を起動した。盛大に上がる水柱にピヨすけが骸の海に還った事を確認し、エドゥアルトは嘯いた。

「気づいた時には終いでモフモフ。おっと語尾がモフモフに……」
「あら、気づいてませんでしたのでしょうか……」

 同じく海へとピヨすけを落としたベイメリアはそっと口元を手で隠した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フォルセティ・ソルレスティア
【ペア/f00964】【POW】(アドリブ・共闘可)
「ビッグフライ、フォルセティさんだよ!」
フィオ姉ちゃんとまっしろピヨすけを海に叩き落して軍旗を奪Sh!だね
【行動】()内は技能
「今日の天気は晴れ時々ウィザードだよ」
Flying Broom GTSで空から鉄甲船に強襲乗船するね!
太陽を背にして上空から甲板に着地。すぐにバイクから降りて、
あま~いバニラの香り漂うシュークリームを取り出してピヨすけを(おびき寄せ)るんだ
「甘い球は見逃さないよ!」
近づいてきたピヨすけにお菓子を与え油断させてところで、聖箒を(力溜め)から強振フルスイング
イスベル・ウラーノで目指すは場外ホームラン!(吹き飛ばし)


フィオリナ・ソルレスティア
【ペア/f05803】【WIZ】(アドリブ/連携可)
■作戦
上空から強制着陸し、スイーツで誘惑→UC攻撃でピヨすけを海に落とす
■行動
飛行形態の宇宙バイクで海面スレスレを高速飛行し鉄甲船の直前で急上昇
甲板真上で急降下して強制乗船
「柱に張り付かれると困るわね」
バイクから降りて弟とは別のピヨすけ達をロックオン
「みんな、美味しいスイーツがたくさんあるわよ」
甘い香りたっぷりのドーナツやケーキを広げてピヨすけ達を[おびき寄せ]
「いっぱい食べてね」
と[優しさ]と笑顔で誘惑
「だんだん眠くなっちゃうわよね」
[催眠術]で眠りの世界に誘いつつ、抵抗が弱くなった所で
[全力魔法]の【フィンブルの冬】で船外へ[吹き飛ばし]



 鉄甲船に陣取るまっしろピヨすけ。その数も残り僅かとなっていた。これまで同胞たちは甘い誘惑になす術もなく屈し、そして海へと還っていった。もはや餌付けには屈すまい、そう固く心に決めたピヨすけたち。だが、その決心を打ち砕く者が近づいてきている事を知る由もなかった。波を蹴立てて2台の宇宙バイクが鉄甲船へと突き進む。

「柱に張り付かれると困るわね。」

 フィオリナ・ソルレスティアが宇宙バイクFlying Broom GTRを駆りながら鉄甲船を観察する。自分たちの作戦を一度思い返し、留意すべき点を改めて意識した。そのまま鉄甲船直前で急上昇し、そのまま上空から甲板に着地する。

「今日の天気は晴れ時々ウィザードだよ!」

 続けてフォルセティ・ソルレスティアが太陽を背に、上空から宇宙バイクFlying Broom GTSで鉄甲船に強襲乗船をした。着地からすぐにバイクから降り立つ二人。突如舞い降りた二人の姿にピヨすけたちはピヨピヨと騒ぎ出す。もはやここにいるピヨすけが倒されれば後が無いのだ。決意を固めたピヨすけに、フォルセティが取り出した物を差し出した。

「あま~いバニラの香り漂うシュークリームだよ。」

 瞬間、ピヨすけに衝撃が奔る。取り出されたシュークリームの皮はパリッと、しかしてその内に秘めたるクリームの香りのなんと甘く芳醇な事か。
「ピ……ピヨ……」
「ピヨ、ピヨーー!!」
 最初の決心は何だったのか、むしろそんな物がこのシュークリームを前に何の意味を持とうか。我慢できなくなったピヨすけはフォルセティの持つシュークリームにおびき寄せられていった。
 帆柱をはさんで逆側では、フィオリナがスイーツを広げていた。ドーナツやケーキといった見た目にも強烈に訴えてくる甘味である。

「みんな、美味しいスイーツがたくさんあるわよ。」

 クリームの甘やかな香り、ドーナツの揚げた香ばしい香り、それらはピヨすけたちの心……いや胃袋に突き刺さる。もはや見ているだけで耐えられようか。否、他のピヨすけたちが甘味を美味しそうに食べているのを見ているだけだったこのピヨすけたちに、眼前に広がる好物に飛びつかないという選択肢はない。

「いっぱい食べてね。」

 我先にとピヨすけたちはケーキを、ドーナツを啄んでいく。いつの間に増えたのか、ミニまっしろピヨすけも加わり、フィオリナの周りは真っ白いもふもふで埋め尽くされていた。そんなピヨすけたちを優しく撫で、フィオリナは優しく声をかける。

「だんだん眠くなっちゃうわよね。」

 徐々に満たされゆく腹、それに伴い増す眠気。フィオリナの声は眠りへと誘うように優しく、ゆったりとピヨすけたちに沁み込んでゆく。一匹、また一匹と丸くなってこてんと寝てしまうピヨすけ。食べ続けるピヨすけがすべて眠るまでフィオリナは優しく催眠の調べを紡ぐのだった。
 一方、フォルセティのシュークリームに釣られていったピヨすけは。

「甘い球は見逃さないよ!」

 という言葉と共にフォルセティが聖箒ソル・アトゥースをフルスイングし、海の彼方へとかっ飛ばした。
「ピィィヨォォーー!!??」
 存分に力を溜めて振り抜かれた一撃に加え、【イスベル・ウラーノ】により放たれる氷塊がさらに衝撃を増している。咄嗟に【超もふもふもーど】になったが故に耐える事は出来るものの、地形すら破壊するその衝撃にピヨすけはかっ飛ばされたのだ。

「ビッグフライ、フォルセティさんだよ!」

 彼方へピヨすけを場外ホームランしたフォルセティの宣言が、夏の青い空へと響いていった。その時、甲板の逆側から冷気を孕んだ風が吹きつけてくる。

「氷結へ導け、黄昏の吹雪よ!」

 フィオリナが全力を込めた【フィンブルの冬(インビエルノ・デ・フィンベル)】で凍てつく氷雪の竜巻を巻き起こし、その周囲で眠りこけていたピヨすけとミニピヨすけを諸共に吹き飛ばしたのだ。
「ピヨー! ピヨォーー!!」
 甘美な夢から一転、凍てる風に巻かれて飛んで行くもふもふ。海に落とされたピヨすけたちはそのまま潮に流されてゆく。

「まっしろピヨすけを海に叩き落して軍旗を奪Sh! だね。」

 フォルセティの言葉にフィオリナが頷く。もはや障害はない。
「も、もふ……もふ、が……」
 周囲で呻く怨霊。ある者は心の逃避先を、またある者は富子の付けてくれたもふもふを失い、呆然としている。それを後目にフォルセティが帆柱に掲げられた村上水軍の旗を外した。途端、周囲の呻き声が弱まり、薄れてゆく。自らの寄る辺を外された村上怨霊水軍はこれ以上現世に留まる事は出来ない。この超巨大鉄甲船もやがて機能を失うだろう。

「フィオ姉ちゃん、取って来たよ!」
「それじゃ、帰りましょうか、フォルセティ。」

 フィオリナとフォルセティは揃ってバイクに跨った。怨霊の力が宿っていた鉄甲船も来た時のような威容は感じられない。こうして猟兵たちは日野富子の配下、超巨大鉄甲船の一つを沈める事に成功したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月16日


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト