エンパイアウォー⑧~飢える屍人
「皆さんお疲れ様です。
まだまだ戦争は続きますが、張り切ってまいりましょう。」
笑顔で猟兵達を迎え入れる八咫だったが、説明を始めると神妙な面持ちに変わっていった。
「次の戦場は、鳥取城……ここは昔、徹底的な兵糧攻めが行われた場所です。
全ての領民を集め、城に追いやり、供給を断ち……。
そうして、食べる物がないとなれば、どうするか?
……そこは皆さんのご想像にお任せしますよ。」
ここからが本題ですから、と話を続ける。
「今、山陰道の防御指揮官である安倍晴明が、鳥取城にて水晶屍人を使って幕府軍を壊滅させる策を練っています。
当時の凄惨な死に方をした怨霊達を使い、当時のように農民たちを城に集め、彼らを飢えさせて強い恨みのこもる死体を作り、合わせて水晶屍人を作るとか。
それが量産されてしてしまうと、今までの比ではない力を持った敵となってしまいます。
……幕府軍はおろか、私たち猟兵にも被害が出かねません。
何としても阻止しなくてはなりません。」
そう言って八咫の手のグリモアが輝くと、鳥取城の周囲にある田畑の光景が浮かぶ。
時刻は朝を過ぎたあたり、丁度農民たちが農作業をしているのが見える。
「皆さんには、ここの農民たちを守ってもらいます。
もう少しすると、水晶屍人が彼らを襲い、城へと追いやり始めます。
……と、始まってしまいましたか。」
それではお願いします、と八咫が急いでゲートを開くと、地からわき出た水晶屍人が農民たちへ襲い掛かろうとしていた。
「グルアアアア!」
「や、やめ……ああああ!」
雄たけびを上げ、手近な農民に齧りつく水晶屍人たち。
合計10体が群がり、ひとしきり貪ると……その場にいた農民たちへ、視線を移した。
「に、逃げろ!」
「うおああああ!」
次は自分、そう感じた農民たちは逃げ出した。
水晶屍人とは逆の方向……鳥取城へと。
ヨグ
ヨグです、戦争シナリオ第5弾をお送りします。
水晶屍人を倒し、農民たちを救い出してください。
なお、4~6名程度のプレイングを来た順に採用し、書き上げる予定でいます。
それ以上のプレイングが集まった場合、採用できない可能性がありますが、ご容赦ください。
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このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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第1章 集団戦
『水晶屍人』
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POW : 屍人爪牙
【牙での噛みつきや鋭い爪の一撃】が命中した対象を切断する。
SPD : 屍人乱撃
【簡易な武器や農具を使った振り回し攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : 水晶閃光
【肩の水晶】の霊を召喚する。これは【眩い閃光】や【視界を奪うこと】で攻撃する能力を持つ。
👑11
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クネウス・ウィギンシティ
アドリブ&絡み歓迎
「衣食住足りて礼節を知る、人工の『蠱毒』を造るつもりですか……」
【WIZ】
●準備
「視界を奪われるぐらいなら切る……」
『サーチドローン』で空中から周囲をカメラで【撮影】し、3Dモデルを構築(【メカニック】)。『電脳ゴーグル』を被り、視界不良時はそれを投影します。
●戦闘
「余所見している暇はありませんよ」
『アームドフォート』の【援護射撃】で敵から注意を引き、ブースターを吹かせ特攻。
「CODE:ASCALON」
近づいたタイミングでライオットシールド型パイルバンカーで防御【武器受け】&攻撃【零距離射撃】を同時に行います。
「元は削岩機、鉱物ごと砕くための『杭』。砕けぬ道理はありません」
鍋島・小百合子
SPD重視
罪なき百姓を追い立てるような惨い事を…
くっ…許せ!
「皆の者!望まぬ傀儡にされた彼奴らの無念を晴らそうぞ!」
UC「群制御動陣」発動
召喚した49人の女薙刀兵を戦闘知識活用にて指揮
内25人を百姓の防衛、残り24人はわらわと共に水晶屍人の迎撃にそれぞれ当たる
わらわは薙刀片手にて百姓のいる方へ行かせないよう大立ち回り(なぎ払い、範囲攻撃、鎧砕き併用)
迎撃に当たる兵達には一体の敵に複数で臨むよう指示
防衛を担う兵達には抜けてきた屍人の排除と百姓の安全が確保されなおかつ戦況が有利になった場合の加勢を指示
他の猟兵との連携も視野に入れて行動
屍人乱撃には残像を伴っての回避に専念、隙を突いた一撃を叩き込む
アマネク・アラニェ
※アドリブ・連携OK※
【POW】
*心情*
「……兵糧攻め。どこの戦場にも胸糞悪い戦いってのはあるワケね」
眉をしかめて吐き捨てます。戦場で暮らしていた彼女にはかつて"何か"あったのかもしれません。
罪のない村人たちを飢えさせるわけにも、喰わせるわけにもいかないと強く思います。
*行動*
《防御プログラム:砥盾》を使って、『オーラ防御』『盾受け』で農民を守りたいわね。
その後はわざと敵の『武器受け』て出血。血の香で『誘惑』できたり『おびき寄せ』られたら重畳。ダメだったとしてもUC【ブラッド・ガイスト】を発動。
《刻印環:凶赫》で切り裂いて喰らうわ。
「餓えた過去には同情するけど、アンタらの好きにはさせられない」
ジニア・ドグダラ
……周囲は一般人がいる以上、強大な死霊の使役は困難です。ならば……あれ、棺桶は、何処へ?
と周囲を見渡すと、マッスルな手足を生やし全力疾走する棺桶が!
水晶霊から放たれる光も関係なし。即座に闇の手が武器や農具を取り上げ、剛腕が内部に取り込もうとしています
……えーっと、ひとまず住民の方に、鳥取城はこのような敵が集結しているため行かないよう伝えましょうか。怪我して歩けないようなら、肩を貸すなり手持ちの鎮痛剤で【救助活動】を行いましょうか。
ある程度行いましたら、敵と棺桶?との戦いに参戦です。
とりあえず、棺桶の【封印を解く】ことで更に闇の手を生やし、【呪詛】で蝕ませているうちに、棺桶にしまいましょうか。
霧島・絶奈
◆心情
兵糧攻めですか…
嘗ての城攻めの指揮官も安倍晴明も「良い趣味」をしています
嬲る様に戦意を挫き、犠牲無く勝利する
唾棄すべき程に効率的な戦闘方法です
【優しさ】を以て可及的速やかに殲滅しましょう
其がせめてもの情けです
◆行動
『二つの三日月』を召喚し戦闘
私は【目立たない】事を利用し、巨人の影に紛れて行動
水晶屍人の迎撃は一時的に『二つの三日月』に任せ、私自身は【罠使い】の力を活かし罠を設置
罠によって迎撃態勢を整え、農民への被害拡大を防止します
ある程度設置が進んだら接近
攻撃は【二回攻撃】する【範囲攻撃】で【マヒ攻撃】と【精神攻撃】を行い敵に【恐怖を与える】
負傷は【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復
「……兵糧攻め。どこの戦場にも、胸糞悪い戦いってのはあるワケね。」
手甲鈎を伸ばして吐き捨てるように呟く、アマネク・アラニェ(ユビキタス・アラニェ・f17023)。
4つの目で数多の戦場を見てきたからこそわかる凄惨さに眉を顰め、
「絶対に繰り返させやしないわ。」
「ええ、必ず。」
準備としてサーチドローンを飛ばしていた、クネウス・ウィギンシティ(鋼鉄のエンジニア・f02209)が同意する。
前線で切り裂く者と後ろから狙撃をする者、という戦い方の違いはあれど戦いに身を置くのは同じこと。
「衣食住足りて礼節を知る、人工の『蠱毒』を造るつもりですか……。」
「そのようですね。嬲る様に戦意を挫き、犠牲無く勝利する……効率的な戦闘方法です、唾棄すべき程に。」
対して、少し違う様子で敵の行動を見ていた霧島・絶奈(暗き獣・f20096)。
ふふ……と暗い笑みを浮かべながら、
「嘗ての城攻めの指揮官も安倍晴明も、『良い趣味』をしています。『優しさ』を以て、可及的速やかに殲滅しましょう。」
其がせめてもの情けです、と光の巨人を呼び出して水晶屍人へけしかけていく。
「グルァアア!」
「お、お助けぇ!」
追い立てる水晶屍人と農民の間に割って入ったのは、大量の女薙刀兵たち。
「皆の者! 望まぬ傀儡にされた彼奴らの無念を晴らそうぞ!」
その中で陣頭指揮を執るのは鍋島・小百合子(朱威の風舞・f04799)。
半数を農民の護衛に、そして残りと共に農民へ掴みかかる水晶屍人へ斬りかかる。
「おお、お武家さま!」
「た、助かっ……た?!」
そんな農民たちの前に走り込んできたのは、棺桶に手足の生えたモノ。
それも妙にマッシブで強そうである。
「ひえええ!」
後ろに水晶屍人、前には棺桶の化け物……逃げ場を失いへたり込む農民へ、ずんずんと駆け寄る棺桶。
と、棺桶は農民をすり抜けて水晶屍人へ掴みかかっていった。
「あああ! こんなところに!」
肩で息をしながら棺桶を追いかけてきたのは、ジニア・ドグダラ(白光の眠りを守る者・f01191)。
はぁ、はぁ……と息を整え、
「え、えーっと。お城には、あのような化け物が集まっています。あちらへは行かない方がいいですよ。」
「あ、あぁ……わかっただ」
そのまま彼らを、安全な場所へ誘導するジニア。
横目で普段背負っている棺桶を見ると……水晶屍人の持つ農具を奪い取り、自身の体である棺桶へ無理やり閉じ込めていた。
「話には聞いてたけどさ……。」
前線で戦う鍋島と配下の兵士たちに防御プログラムの盾を張りながら、わざと自身の血が流れるように攻撃を受けたアマネク。
漂う新鮮な血の匂いに、水晶屍人がそちらへ寄ってきた。
「相当飢えてるのね、こいつら。」
「そのようじゃな!」
鍋島が薙刀で水晶屍人の腕を斬り落とすと、後に続く兵士たちが囲んで斬り捨てる。
「食って食われて……そういう話じゃ。」
「……餓えた過去には同情するけど。」
寄ってきた1体に、アマネク自身の血で封印を解いた手甲鈎で斬りかかり、
「アンタらの好きにはさせられない。」
「うむ!」
鍋島の薙刀が水晶屍人を貫くと、勢いで肩の水晶が砕け散った。
一方、離れたところにいた水晶屍人を迎え撃っていたのは、霧島の呼び出した光の巨人。
「ふふ、よくやってくれてますね、『二つの三日月』よ。」
そう呼ばれた巨人を、水晶屍人は爪でひっかき、牙を突き立てている。
その陰で、周囲に罠を仕掛けて農民へ近づかせないようにしている、霧島の背後から近寄る水晶屍人。
「させませんよ!」
途端にアームドフォートからの鉛玉が飛び、ブースターを吹かせたクネウスが一気に距離を詰める。
「あら……ふふ、ありがとうございます。」
「どういたしまし、て!」
ガン! とクネウスへ振り下ろされた農具をライオットシールド型パイルバンカーで受けながら、杭打ち機の先を肩の水晶へ向ける。
……続く2回の破裂音と共に、撃ち出された鉄杭で水晶を粉々に砕け散らせて倒れる屍人。
「元は削岩機、鉱物ごと砕くための『杭』。砕けぬ道理はありません。」
「なるほど。」
と、罠にかかり足を止めた水晶屍人の水晶が、突然発光した。
「く……!」
目を焼かれる光に咄嗟に目をつぶる霧島。
「視界を奪われるぐらいなら切る……!」
クネウスのゴーグルは、そもそも光を通していなかった。
最初に飛ばしたサーチドローンに読み込ませた地形のデータ、それを元に相手の場所をサーチさせ、目の代わりとしている。
そのままブースターで近づき、打ち砕いていった。
「さて……。」
巨人が捕まえた水晶屍人へ、黒剣を振るう霧島。
明らかな噛み傷を抉るように……当時の痛みを想起させるように、斬りつけていく。
「相当苦しんだのでしょう……それを思い出しながら、消えてくださいね?」
そのまま、水晶屍人が動きを止めるまで続けていた。
「やれやれ、これで一安心ですね。」
農民を避難させて戻ってきたジニアの目に、相変わらず前線で戦う棺桶の姿が映る。
本体の棺桶を殴られ、爪を立てられても倒れることなく……水晶屍人を掴んで動きを止めさせていた。
「さて、見る人もいなくなったことですし。」
ジニアがパチンと指を鳴らすと棺桶が開き、中に捕らえた死霊が一斉に腕を伸ばす。
そのまま水晶屍人を捕らえ、棺桶の中へ……。
「……あまり、普通の人には見せられませんね。」
バクン! と棺桶の蓋が閉じるのを見ながら呟く。
死霊が操るのが、死体か棺桶か……それくらいの差でしかない。
「まぁ、終わった今となっては問題はありません。」
気が付けば、周囲で動く水晶屍人はいなくなっていた。
……とりあえず、ジニアは棺桶を先に帰らせたのだった。
「さて、終わりましたね。」
「そうね、おつかれさま。」
周囲を見渡したクネウスに、腕の傷に自分で蜘蛛の糸を巻いて止血しながら応えるアマネク。
「うむ、ここは問題なかろう。さぁ、次の戦場じゃ!」
「そうですね……。」
帰りのゲートへ向かう鍋島の言うように、まだ戦いは終わっていない。
鳥取城の周りだけでも、まだまだ水晶屍人がいるのだ……そのことを考え、少しため息が出るジニア。
「どれだけの死霊を呼び出したのやら。」
「ふふ、あなたが一番よくわかっているでしょう?」
霧島の笑みに、ジニアの背筋が凍る。
「ええ、ですから……止めなくては。」
心に浮かぶ感情を振り払いながら、呟いた。
こうして、農民たちは猟兵達の手によって救われた。
だが、まだ周囲には屍人が現れているという……。
グリモアベースへと戻った猟兵達は、次の戦場へと旅立っていくのだった。
大成功
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