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エンパイアウォー⑥~グンダン・ラッシュ・セキガハラ

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー


「皆さん、いつもお疲れ様です。大変な状態が続いていますが、今一度力を貸してください!」
 ダンボール山に立ったシーカー・ワンダーは咳払いを挟み、胸元をポンと叩いて説明を始めた。
 『第六天魔王』織田信長の居城、魔空安土城へ向かう幕府軍は、最大の難所である関ヶ原に辿り着いた。ここからは進撃戦。関ヶ原で待ち受ける信長軍を打ち破り、山陽道、山陰道、南海道の三手に別れて進軍を続けることとなる。
 だが、関ヶ原には魔軍将のうち軍神『上杉謙信』と大帝剣『弥助アレキサンダー』が座す。それを越えた先でも、山陰道には陰陽師『安倍晴明』。山陽道には侵略渡来人『コルテス』。南海道には大悪災『日野富子』。いずれもアポカリプスめいた大軍勢を率いる強大な者たちだ。
「既にご存知の方もいると思いますが、魔空安土城をどうにかするには、最低でも一万人の幕府軍が必要になります。でも幕府軍の力だけでは、到底この魔軍将の隊列には敵いません。そこで、皆さんの出番です」
 猟兵たちには関ヶ原に集う魔軍将の軍勢を打ち破り、魔空安土城までの道を切り開いてほしいのだ。
 今回担当してもらうのは関ヶ原の大帝剣『弥助アレキサンダー』。彼が所持する『大帝の剣』によって生み出された軍勢たちだ。
「どうやらこの大帝の剣、広範囲の人たちを洗脳できるみたいで、畿内全域の農民たちがアレキサンダーの手勢になってます。みんなただの農民なんですが……日野富子が武器を用意したみたいで……」
 農民たちの戦術は、右手で長槍を構え、左手の盾で自分の左隣の仲間を守る陣形『ファランクス』。日野富子の財力によるものか、盾も槍も大型かつ頑強で、幕府軍の半数は難なくひねり潰せるだけの力を農民兵に与えている。
 また、『ファランクス』は16×16の256名で1部隊を組んでおり、この部隊の中央に、指揮官であるオブリビオン『最強無敵究極天魔城』が居る。
「このオブリビオン、大帝の剣の洗脳能力を中継する役割を持ってるみたいで、これさえ倒せばファランクス部隊の洗脳は解けるみたいです。あくまで戦わされてるだけですし、洗脳が解けた農民たちは降伏してくると思います」
 しかし『最強無敵究極天魔城』 、単体で15メートルを数える巨大な体を持つ上に、砲撃やら下級ニンジャ軍団やらを使った遠隔火力を持っている上、単純な腕力も半端ではない。下手すればこの一体だけで幕府軍が壊滅しかねない過剰火力の塊である。
「しかもニンジャの何人かはファランクス部隊に隠れて、非常事態の対処を行うみたいです。ファランクスを止めるにしろ、何か手を打たないといけません」
 どのような策を取るも自由だが、ファランクス部隊はオブリビオンでは無い一般人。出来るだけ殺さないようにしてほしい。


鹿崎シーカー
 ドーモ、鹿崎シーカーです。ファランクス……古代ローマ……ウッ頭が。

●舞台設定
 関ヶ原で待ち受ける『上杉謙信』と『弥助・アレキサンダー』のうち、『弥助・アレキサンダー』の軍勢を担当して頂きます。
 弥助の剣によって洗脳された農民たちがファランクスを組み、中央にオブリビオンがいるという配置。このオブリビオンは弥助の洗脳を中継するルーターの役割を果たしており、撃破すればファランクス部隊の洗脳は一括解除されます。
 オブリビオンを撃破し、部隊を無力化してください。
 ただし、ファランクスは一般人な上、オブリビオンが放ったニンジャ軍団が紛れ込んでいます。ファランクスのせいで近づくのは容易ではなく、遠くからは高威力高命中のビームで狙い撃ちされる始末。
 無策で突っ込めば返り討ちになるでしょう。

●第一章『最強無敵究極天魔城』 (ボス戦)
 『城のヤドリガミ』を中核として生まれた巨大戦闘兵器オブリビオン。体長15メートルほどで、ファランクスの中心にいます。ビーム、ニンジャ軍団、剛腕とオールレンジでの戦闘に対応する上パワーも強い。
 ちなみに内部はカラクリ仕掛けで、ユーベルコードで生成したニンジャ軍団の一部を使って人力駆動しています。

 アドリブ・連携を私の裁量に任せるという方は、『一人称・二人称・三人称・名前の呼び方(例:苗字にさん付けする)』等を明記しておいてもらえると助かります。ただし、これは強制ではなく、これの有る無しで判定に補正かけるとかそういうことはありません。

 8人までならチーム参加もOK。
 サポート役として、シーカー・ワンダー(ファーフロムホーム・f00478)を使うこともできます。その場合はシーカーのユーベルコードを確認の上、プレイングで指名してください。(指名しなくてもマイナス補正はかかりません)

(ユーベルコードの高まりを感じる……!)
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第1章 ボス戦 『最強無敵究極天魔城』

POW   :    最強無敵究極天魔拳
単純で重い【拳】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    最強無敵究極天魔忍者隊
【城内から忍者軍団】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ   :    最強無敵究極天魔砲
【両肩の砲身】を向けた対象に、【最強無敵究極天魔砲】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
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ショコラ・リング
ボク・貴方・名前+さん

元々は農民の方々で慣れない巨大な武具に、尚且つ整列が必要なあの陣形は平らな地形が必要と推察します
ならば足元を破壊すれば陣形を崩せるのではないでしょうか

砲身に捕捉され辛い様に迷彩と第六感を利用し動きながら攻撃に参加します
ボクは皆様が城型オブリビオンに近づけるよう、
援護射撃として【神の杖】にて一般人を傷付けない様に地形を狙い破壊し起伏を激しくすることで敵陣を乱し、道を作るのです
乱れた地形でも動けそうな忍者軍団を炙り出すのにも使えるでしょうか

余裕があれば直接城型オブリビオンへの射撃攻撃や、第六感を併用して忍者軍団を見破りながら、皆様の邪魔にならぬよう撃ち抜いていきますです


鮫島・正義
城でロボとはまあなんつーか……これがロマンってヤツなのか……?
しかも人力駆動って情緒あんのな
ま、一般人対策なら任せろ、俺のユーベルコードならニンジャとの判別も多分できる。多分な。

使う言葉は「農民は武器を捨てて伏せろ」かな。

どこまで強制力を持たせられるかは分からんが、コレで動きを止めない奴は紛れ込んでるニンジャってことだ。ニンジャへは銃で攻撃、排除してくぜ。
農民の上を飛び越えて城ロボへ接近、可能なら再度UCを使用して「砲身を上へ」。無理矢理狙いを逸らすことが出来りゃ上々だ。
城ロボのカラクリの駆動部を銃で狙って動きを鈍くする事を狙おう。

俺・アンタ・名前呼び捨て


エル・クーゴー
(一人称:当機)
●SPD


狙撃モードに移行
当機はこれより【スナイパー】として【援護射撃】を敢行します

【ロングレンジ・ファイアワークス・ドライブ】射程限界2209m内に天魔城を捕捉し続けられるよう、周辺風景を取り込み生成(撮影+学習力)した【迷彩】にて可能な限り遠方へ布陣

「忍者が城から出て来る際の通路の不全」を狙い、天魔城へ狙撃を開始
城壁面観察時はどんでん返しといった通路用途の仕掛けの存在も疑います

通路毀損時は、外部、ファランクス部隊内の忍者による緊急対処・復旧工作が想定されます
その忍者も狙撃します

当機に敵遠隔火力の射線が及びそうな際は、【空中戦】用バーニアを瞬間噴射(吹き飛ばし)、即時退避します


メンカル・プルモーサ
…城、城か…対抗するにはこれ…
…【愚者の黄金】で作るは全高15mの黄金の大魔人像。これに【浮かびて消える生命の残滓】で筋力増加で命を吹き込む…いけ、大魔人…
…自分は肩に乗っていざ出陣…ファランクスや忍者が動揺してくれれば良し、これだけ目立つのだから囮の感覚で行くよ…
…農民達は農民のみを【彼方へ繋ぐ隠れ道】で猟兵の元に贈ることで陣形を崩していくね…
…敵の砲撃は全力のオーラ防御による防御障壁で逸らしてガード…
…遠距離戦は私が砲台がわり…そして距離を詰めてガップリ四つに組み合う…
…そのまま胸に刻んだ遅発連動術式【クロノス】にて仕込んだ【尽きる事なき暴食の大火】を発動させることで城を燃焼させるよ…


蒼薙・鈴音
【白岩】

バイクで突撃!?
もー…親分ってば、無茶するなぁ…
ま、しょうがない。んじゃまぁ、少しでも露払いをしよっかな…!

おっけー多喜さん、よろしくね!
彼女のバイク形態に【騎乗】して【クイックドロウ】でエスタシュ親分の【援護射撃】!
カチコミだー、ヒャッハー! スッゾオラーッ!
主な標的は、道中や城内、ファランクスに潜んだニンジャ達だね
【野生の感】も駆使して、汚いニンジャのカラテを封じる、慈悲はない
ビームは…――え、これ相殺とかできるの…?
ま、まぁやれるだけやってみよう!

場内に進入したり取り付いたりできたら【零距離射撃】をぶっ放すよ!

一人称:ボク
二人称:名前+さん 親分(エスタシュさん)
三人称:アイツ


数宮・多喜
【白岩】

【アドリブ改変・連携大歓迎】
やーれやれ、オーナー(f01818)も無茶しやがんの。
仕方ねぇ、アタシもその無茶に付き合いますか!
突入前に、【人機一体】を発動。
そしてそのままバイク形態に変形する!
鈴音さん(f13257)、乗りな!
『騎乗』してくれてればアタシが『操縦』でなんとかする!

ファランクスとは言え、このスピードに
包囲陣形を切り返すのは難しいだろ?
変則的なコースを描きながら『ダッシュ』して、
中心部の巨大オブリビオンを目指すよ!

道中や城内の忍者は、メーザーで迎撃さ。
バイクが遠距離攻撃できないと思うなよ!
そのまま城内へ突入し、可能ならコントロールルームを制圧したいもんだねぇ!


エスタシュ・ロックドア
【白岩】

盾が頑強ってこたぁ、
そっちを狙えば少々荒っぽくやってもまぁ大丈夫だな?

後方は鈴音と多喜に任して、
シンディーちゃんに【騎乗】【運転】
敵陣向けて【ダッシュ】だ
そんでファランクスの盾目掛けて【なぎ払い】【吹き飛ばし】
鉄塊剣フリントを【怪力】で振るうぜ
使い手がただ農民なら、
コレに耐えきれるたぁ思えねぇ
盾ごとぶっ飛ばす
まぁ、吹っ飛び過ぎて死なないように手加減はする
近付いてきた忍者は【カウンター】、
『獄曜慧眼』で煎餅にしてやる

魔城に近付いたらシンディーちゃんは自走で離脱させて敵に取りつく
『獄曜慧眼』で脆そうな関節周りを破壊すっか

一人称:俺
二人称:お前、テメェ(敵)
三人称:アイツ、ヤツ
名前呼び捨て


アーサー・ツヴァイク
※何でも歓迎、【白岩】の仲間に協力するぜ

俺は空から仕掛けようか…行くぜ、ライドラン!
大型バイクのライドランに【騎乗】して【フルスピード・スカイドライブ】を発動、上空に飛び立ちファランクス集団を…空の上からさっと飛び越えていくぜ。
小さい相手だと上からってのは探すのが大変だが…ま、あのデカさじゃな!
味方の援護として砲弾を受ける囮になりながら接近、砲弾を【見切り】と最大速度マッハ4の【騎乗】テクニックで回避しながら相手してやる。
こっちの攻撃は至近距離でライドランを槍形態に【早業】で変形、そのまま【騎乗】して敵の顔面を【串刺し】にしてやるぜ!

ところで…上ばっか気にしてると、下からもっと凄いのが来るぜ?


霧島・クロト
【白岩】

一般人洗脳タイプか、なんつー面倒くせェ手合だ。

『貪狼の疾走』に乗って突撃しながら【七天の氷製】を【高速詠唱】。
増やした『凍滅の顎』で氷の【属性攻撃】による魔弾の弾幕を行くぜ。
――で、盾を直接は狙わない。盾持ちと言えども元は農民。
味方の足元を避け、狙いはファランクスの足元。
氷の魔弾で凍った【地形を利用】して転倒させて無力化すんぜェ。
突破できた後は直ぐに忍者に対して
【属性攻撃】【マヒ攻撃】【呪殺弾】【鎧砕き】の氷の魔弾の弾幕だァ。
攻勢に関しては【見切り】や【オーラ防御】で捌くぜェ。


「なーに、凍った足場でも直ぐに戦える練度なんて一般人にゃねーよ」
※アドリブ・連携可


ヴィゼア・パズル
【白岩】
「量が多ければ露払いを。…道行を作ろうか」
【wiz】使用、アドリブ・連携OK
『私・其方は、貴方は・呼び捨て』
偽翼を使用した【空中戦】にて舞い上がり後方支援を担当。農民達の足場へ向け【地形を利用】した【属性攻撃】の【全力魔法・範囲攻撃】を使用
エレメンタル・ファンタジアを応用したグランド・クエイク。泥の波で押し流し、路を整備しましょう
更に仲間が凍らせてくれるのであれば重畳
後は【全力魔法・二回攻撃】で足場をぬかるみに変え、農民達を無傷で無力化しましょう。
可能であれば敵の攻撃は空中戦で避けます



 蒼穹を斜めにぶち抜く紫の極光! 極太のレーザーが幾度となく突き上げる空を、赤いドラゴンを模したバイクが複雑軌道を描いて駆ける。バイクのライダー、アーサー・ツヴァイク(ドーンブレイカー・f03446)は、ハンドルを握りしめたまま、地上を横目で見下ろした。
 遥か真下に広がる平原。そこに立つのは16×16の正方形隊列で固まったファランクス武装農民たちと、隊列中央にそびえる巨体! 複数の和式城塞を組み合わせて作り上げた胴体に、胸元に掲げられた威圧的な『無敵』の二文字。両肩に装備した巨砲の間には怒れる仁王像じみた頭部が座る。
 オブリビオン、『最強無敵究極天魔城』は上空を飛び回るアーサーを見上げ、両肩の砲に紫のエネルギー光を溜めた!
『ハァァァァァンニャアアアアアアアアアアアアアアアアアア!』
 野太い咆哮と共に右肩がビームを放つ! 左に急旋回して回避したアーサーの背中、彼にぴったりとくっついたショコラ・リング(キマイラのアーチャー・f00670)は羽織っていた外套を引きはがす!
「アーサーさん、失礼しますっ!」
「うおっ!?」
 アーサーの視界を布地が塞いだ。大きく広がった外套はバイクを包み、空と同じ色に変色。直後、時間差で発射された左のビームが二人の居た場所を飲み込む! 閃光を背後に外套を脱したアーサーは天魔城を一瞥して呟いた。
「砲弾かと思ったらビームかよ。結構進んでるのか? サムライエンパイア!」
「流石にユーベルコードの産物かと……。次、来ます! 右に直角!」
「わかったッ! 絶対手ぇ離すなよ、ショコラ!」
「はいっ!」
 ショコラがアーサーの腹に両腕を回すと同時、バイクのエンジンが炎を噴いた! 側面を突き出し急ブレーキするバイクの真ん前を天魔城の極光が突き抜ける。直角ターンを決めて走り出した刹那に、二人の居た場所を光線が貫通! アーサーはアクセルペダルを踏みしめる!
「行くぜライドラン! 気合い入れろよ……!」
 DRRRNG! 火竜のいななきじみたエンジン音。大きく弧を描くように急降下したドラゴンバイクが天魔城の左側面を取らんとするが、天魔城の左肩砲門がそれを追う。紫光を溜め始めるキャノン砲をじっと見据えたアーサーは、エネルギー光が最大まで輝くのを見計らいハンドルをひねった!
 ZGAM! バイクが掻き消え、真紅の光が天魔城の背中を通って右肩前方に回り込む。急ドリフトを決めたアーサーは天魔城に背を向け、遠くに見える山に向き直った。天魔城の右肩がビーム砲発射用意!
『ハンンンンンニャアアアアアアアアアアアアアアアッ!』
「ここだッ!」
 ウィリー走行めいて前輪を跳ね上げバイクがジャンプ! 次の瞬間、山の中腹がフラッシュし、翡翠色のビームを放った! 光線はエナジーチャージ中の砲口に突入し、CABOOOOOM! エネルギー暴発! 右肩を下げる形で天魔城がよろめくと共に、アーサーは叫ぶ!
「今だショコラ! 撃てッ!」
 アーサーの腹から腕を離したショコラは上体をひねって振り返る。彼の手に銀河めいた光が膨らみ、刃と光の弦からなる弓を形成! 弓をつかみ、弦を引いたショコラの手の平から漆黒の矢が生え装填された。狙いは一歩下がった天魔城の足元だ! 矢に漆黒のオーラが燃える!
「捧げるは我が祈り、矢に纏いたるは神の怒り。全てを薙ぎ払う破壊の果てに創造を!」
 SHOT! 黒い筋が空を一直線に斬り裂いて狙い通りの場所に命中!
「メテオアロ――――――――ッ!」
 ショコラが声を張ると共に、着弾地点から放射状に広がった亀裂がファランクス全体を呑み込んでなおも拡大! 割れた地と地の隙間から噴いた黒いオーラが部隊を吹き飛ばし、崩落した大地が天魔城の足を取る!
『グワ―――――――ッ!!』
『ア、ウンッ!?』
 三々五々に散る農民たちと、傾く天魔城の巨体。Cターンからの錐揉み回転で天魔城に向き直ったバイクの後部座席、腰を浮かせたショコラは枝めいた矢を番えて弓を引いた。
「もう一射行きますっ! 我が祈りを此処に。この矢を以て、闇の歩みを阻ませたまえ!」
 SHOOT! 第二射が亀裂の中央に突き刺さり、ホタルめいた燐光をまとった。次の瞬間、矢は巨大な樹木となって急成長し、天魔城の胴体に巻きつき拘束! 天魔城は樹に手をかけて引きはがさんとするが、解けぬ!
『ウウウウウウンンンンンンンンンンッ!』
「これで完成ですっ!」
「よし。メンカル!」
 アーサーが耳元のインカムにタッチすると、バイク後方の空に巨大な魔法陣が出現! 魔法陣の中央に立ったメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は、銀月をあしらった杖で突き立てた。
「……重奏強化術式エコー起動、複合魔法陣展開。……金の魔像よ、眠れ、目覚めよ。汝は真理、汝は死。魔女が望むはただ一時視る悪魔の夢想」
 FLASH! 魔法陣が輝き、金色の光柱を地に打ち立てる。ひび割れた大地を下から巨大な黄金の手が引き裂き、山羊じみた頭部を持つ金の悪魔像が這い出した! その体長、実際天魔城と同程度! 魔像の右肩に降り立ったメンカルは杖を掲げ、目前に壁めいて新たな魔法陣を生み出す!
「……世の理よ、騒げ、暴れろ。汝は天変、汝は動地。魔女が望むは安寧破る元素の乱」
 杖の先が陣の中央を叩くと同時、一気に拡張した魔法陣から赤の轟雷が噴き出した! ZGRAAAAAK! 稲妻は天魔城の胸に直撃し、巨体をショコラの樹もろともに爆炎で包む。溶けるように消えた魔法陣の奥でメンカルは杖先で天魔城を指し示した。
「……いけ、大魔人……」
『GUUOOOOOOOOOOOO―――――――――!』
 吠える黄金魔像を遠目に、山中に潜んだエル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)は耳元に装着したデバイスに手を触れた。傍らには超大口径の銃口と二脚を生やした機械棺型の砲塔!
「第一フェーズ終了。第二フェーズに移行してください。当機は引き続き狙撃します」
『おう、任せたぜ』
 通話先、突風を浴びる鮫島・正義(がおーと啼く勇気・f14629)はスマホをパーカーのポケットに押し込む。逆の手にサメ柄の拡声器を下げた正義は、エスタシュ・ロックドア(碧眼の大鴉・f01818)が駆る大型バイクの後部座席で腰を浮かせた。遠くでは天魔城が巨木に縛られ、ファランクス農民たちが足を取られて転倒している! 正義は若干苦笑した。
「城でロボとはまあなんつーか……これがロマンってヤツなのか……? しかも人力駆動って情緒あんのな」
「ロマンついでにビームぶっ放すってか。冗談にしちゃ悪くねえ。……それより正義、トバすからしっかり捕まってろよ!? うっかり落ちても拾ってる暇ねえからな!」
 叫ぶエスタシュに、正義はニヤリと笑って返す。
「足手まといにゃならねえさ。ま、一般人対策なら任せろ、俺のユーベルコードならニンジャとの判別も多分できる。多分な」
「舌噛んでも知らねえぞ? 待たせたな、行くぜシンディーちゃんッ!」
 エスタシュがアクセルペダルを踏みしめた瞬間、バイクのマフラーがジェット機めいて獄炎を噴出! ドラムロールめいたエンジン音をかき鳴らしながら、黒い大型バイクが黄金魔像の足元を突っ切る。一方、正面のファランクス部隊ではいち早く立ち上がった農民の一人が槍を振り上げた。
「来るぞ! ええい早く立て貴様ら! 敵はわずかだ! ファランクスを構え直せぇぇぇぇぇッ!」
『ウ、ウオオオオオオオオオオオ!』
 泡を食った様子で盾と槍を手に体勢復帰せんとする農民たち。その時、狼の遠吠えじみたサウンドと共に流線形のバイクが高高度にジャンプした。黒と紫を基調としたビークルにまたがった霧島・クロト(機巧魔術の凍滅機人・f02330)の周囲に、魚群めいて大量の大型拳銃が浮遊する!
「させねえよ。牙を剥け、凍滅の顎!」
 クロトが片手をかざすと、無数の拳銃が一斉に銃口を下向け獣めいた銃声を響かせた。GRRRRRRRRRRR! 氷の弾丸がひび割れた大地に刺さり、氷河に変える! 摩擦を失った地面が草履を滑らせ、ヒビが部隊の足を絡めとる。再転倒するファランクス部隊!
「一丁上がりだ。なーに、凍った足場でも直ぐに戦える練度なんて一般人にゃねーよ。安心してぶちかませ」
 呟くクロトの真下を駆け抜け、エスタシュのバイクが瓦解した部隊へ肉迫!
「でかしたクロト! 正義、やれッ!」
「んじゃ、ニンジャあぶり出すとするか」
 正義が拡声器を構えて息を吸う。
『農民は武器を捨てて伏せろ―――――――ッ!』
 ハウリングした声がファランクスを駆け抜ける! ビクリと肩を震わせた農民たちは慌てて槍と盾を捨てて凍った地面に這いつくばった。数十人の絶句する農民を残して! 正義の瞳がギラリと光った。
「見つけたぜ。結構多いのな、ニンジャ」
「チィ……かかれぇぇぇぇッ!」
 伏せなかった農民たちの半数が衣服を脱ぎ捨てて跳躍! 一瞬で黒のニンジャ装束となった彼らは一糸乱れぬ動きで手裏剣乱射を開始する。エスタシュと正義、着地したクロトをゲリラ豪雨じみて襲う黒鉄の嵐!
『死ね! 猟兵ども! 死ねッ!』
 ニンジャたちの声をそろえた死刑宣告が響いた直後、空を黒く塗りつぶす手裏剣の雨と三人の間に赤いバイクが飛び込んだ! 赤いバイクは乗り手ごと竜巻めいて回転し変形、バイク形態から人型になった数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は、蒼薙・鈴音(ぎんぎつね・f13257)を肩車した状態で二丁拳銃を構える!
「やーれやれ。正面から突っ込んでくとか、オーナーも無茶しやがんの。仕方ねぇ、アタシもその無茶に付き合いますか! バイクが遠距離攻撃できないと思うなよ!」
「やっちゃえ多喜さん! 一網打尽だぁ――――――っ!」
 鈴音が拳を突き上げた刹那、多喜は指をそろえた両手から赤いメーザーを発射! ZQUUUUUUUUM! 甲高い音を上げた光線で、多喜は手裏剣の雨を凄まじい速度で斬り裂いていく!
「おららららららららららららららららららら! どらあああああああッ!」
 両手を振り上げての斬り下ろしが空を埋める漆黒を裂いた。手裏剣の奥、呆気にとられるニンジャたちを見据えた多喜はフルフェイスメットの奥で口角を吊り上げる。バク宙する多喜を離れた鈴音は、バレー選手めいて組まれた多喜の両手に着地!
「任した鈴音さんっ!」
「おっけー多喜さん! カチコミだー! ヒャッハー! スッゾオラーッ!」
 多喜が両腕を振り上げ鈴音を射出! 鈴音は竜巻じみて回転しながら、水鉄砲じみた形状の二丁拳銃を乱射する。POWPOWPOWPOW! 光弾が並み居るニンジャたちの眉間を次々と射抜き、山中から飛来した翡翠の光が黒装束の胸を貫く。発光するニンジャの列を飛びぬけた鈴音が叫んだ。
「終わりだニンジャ軍団! あなたたちの死因は銃撃されたことによる不幸な転倒死だ! サヨナラ!」
 ニンジャたちがそろって爆発四散! 太陽じみて眩い爆炎の下を駆け抜けたクロトの周囲で、自立浮遊する銃が撃鉄を起こす。狙いは残った半数のニンジャ。彼らは手にした槍を下段に振りかぶり、アンダースロー投擲を繰り出した!
「おっと、足止めか? そうは行かねえ」
 バイクの車輪に青紫のオーラをまとわせ、クロトはジグザグに走った。横回転を決めて槍の一部を弾き飛ばし、片手をニンジャたちにかざす。浮遊する拳銃が全てニンジャたちに照準!
「撃て」
 BRRRRRRRRRRRR! クロトの号令に合わせて弾幕が張られ、ジャベリンニンジャたちを蜂の巣に変え凍結させる。速度を落としたクロトは、真横を突っ切ったエスタシュに呼びかけた。
「露払いはこんなもんで充分か?」
「充分だ! ありがとよ!」
 叫び返したエスタシュは右手をハンドルから離して振りかぶる。彼の手が燃え、真横に広く引き伸ばされた炎が弾けた。現れた岩の如き大剣をつかみ、瓦解したファランクスへ突入していく!
「盾が頑強ってこたぁ、そっちを狙えば少々荒っぽくやってもまぁ大丈夫だな? 全員影に隠れとけよ! ついでに正義、頭ァ下げろォッ!」
「うおあっ!?」
 屈んだ正義の頭上を大剣がかすめる。上体を限界までひねったエスタシュは、目と鼻の先にまで迫った農民部隊に大剣を横薙ぎ一閃! BLOWWWWWWWWWW! 怪力が巻き起こした暴風が大盾を、農民たちを木の葉めいて吹き飛ばした!
『グワ―――――――――――ッ!!』
 農民たちが宙を舞い、天魔城の両脇を突き抜けた。後方に降り立った多喜が悲鳴めいて声を張る。
「おおいオーナーッ! それは死ぬだろぉぉぉぉ!?」
「加減はした! ヴィゼア!」
 天魔城の後方上空、蒼く透き通ったフクロウの翼を広げたヴィゼア・パズル(風詠う猟犬・f00024)が、両腕をY字に振り上げながら下方に飛来する農民たちを見下ろした。
「量が多ければ露払いを。……道行を作ろうか、と思ったが」
 ヴィゼアが勢いよく振り下ろした両手が青い竜巻を放ち大地に突き刺さった。地面はたちまちぬかるみに変化し、広大な泥沼となる。ヴィゼアは両手を振り上げる!
「これならば、無力化はたやすい。溶けた大地が荒波と化す。グランド・クエイク!」
 竜巻が沼を引き上げ茶色の大津波を引き起こす! 立ち上がったぬかるみの壁が飛んできた農民を片っ端からキャッチ。ヴィゼルは懐から胴色のキューブを取り出した。
「メンカル謹製遅発連動術式クロノス、起動! 解除コードは……秘されし標よ、拓け、導け。汝は道程、汝は雲路。魔女が望むは稀人誘う猫の道」
 キューブ表面に青白い文字が無数に走り、球状の光を拡大させる。光球はたちまち泥の津波を包み込み、そこに捕らわれた農民たちを青白い粒子に還元して一人残らず消していく。『彼方へ繋ぐ隠れ道』。一定範囲内の特定対象全てをワープさせる魔術!
 農民全ての姿が掻き消え、光球が霧散した。輝きを失ったキューブをしまい、ヴィゼルは両手を前に突き出す!
「後顧の憂いはこれで断たれた。ならば後は……」
 手に緑がかった青の光が宿り、壁状に停止していた土石津波が地鳴りと共に動き始めた!
「オブリビオンを倒すのみ! グランド・クエイク! あの天魔城を押し潰せ!」
 今や天魔城より高くなった大波が巨大ロボを頭から飲み込まんと攻める! 他方、神樹に絞めつけられた天魔城を挟んで前方からはメンカルの黄金魔像が低姿勢からのタックルをしかけた。
『ハンニャアアアアアアアアッ!』
 天魔城は砲門の片方から苦し紛れのビームを発射! だが黄金魔像は銀のオーラをまとった腕でこれを打ち払い、胸に魔法陣を浮かび上がらせる。像の肩からメンカルはバックジャンプ! 杖を天魔城に突きつけて命ず!
「……組み伏せろ……」
 一声鳴いた黄金魔像は頭から天魔城のどてっ腹に突っ込み、神樹の根元を軋ませる。横一直線に亀裂を走らせた幹は千切れ、天魔城もろとも後ろに倒れた。THOOOOOM! 背中から大地に沈んだ天魔城と黄金魔像の上から泥の津波が覆い被さる!
「っと、こいつは不味いな」
 呟いたクロトはバイクから飛び出し、地面に連続で銃撃を叩き込む。広く間隔を開けて横一直線に刻まれた弾痕は蒼く冷たい光を灯し、直後に巨大な氷壁を顕現させた! 氷の壁が津波の余波を受け止める中、宙に漂うメンカルは杖を横薙ぎに振るった。
「……遅発連動術式クロノス起動……貪欲なる炎よ、灯れ、喰らえ。汝は焦熱、汝は劫火。魔女が望むは灼熱をも焼く終なる焔」
 泥津波の一部、魔像と天魔城が埋まった場所が盛り上がり、CABOOOOOM! 白い爆炎の柱が天を突いた。煌々と関ヶ原を照らす純白の光。その上層が突如風船めいて膨らみ、爆散! はっとした顔でメンカルが空を見上げると、そこには仰向けの上体で落ちてくる黄金魔像!
『ハァァァァァンニャアアアアアアアアアアアアアアアアアア!』
 天魔城の急降下パンチが黄金魔像の腹を撃ち抜き、突き落とす! SQUAAASH! 大地陥没。衝撃波が地震を起こし、猟兵たちをシェイクする。白く炎上しながらも着地した天魔城は、足元のバイカー猟兵たちを見下ろし右足を引き絞った。
『ニィィィィオオオオオオオオオオオオオオッ!』
 巨大なサッカーボールキックだ! 大慌ての鈴音がバイク変形した多喜に飛びつき、クロトが顔を歪めながらエンジンを吹かす。そんな中、エスタシュはアフターバーナーをぶっ放して特攻! 驚いて鈴音と鈴音が目を剥く。
「親分っ!?」
「ちょっ、オーナーっ!?」
 二人の声を背後に、タンデム中の正義が顔を青くする。引きつった笑いで眺めるのは迫る天魔城の蹴り。正義は乾いた声を絞り出した。
「……エスタシュ、一応聞くけどさ。アンタ、自殺する気じゃないよな?」
「当たり前だ。落ちるなよッ!」
 蹴りが直撃する寸前、急ドリフトから車体を地面スレスレまで倒すエスタシュ! バイク側面のすぐ真上を天魔城の足裏が通過する中、土をまき散らしながら大型バイクは天魔城の背後に抜ける。車体を立て直したエスタシュはシートの立ち、天魔城の蹴り足とは逆の足へ跳躍!
「うおおおおおらあああああああッ!」
 岩塊じみた大剣を振りかぶり、天魔城の膝裏めがけてフルスイングする! CRAAASH! 強烈な一撃が命中し、天魔城の膝を無理矢理折り曲げる!
『ウンッ……!?』
 天魔城はたまらず蹴り上げた足を振り下ろし、折り曲げた膝を地面についた。エスタシュは天魔城のふくらはぎに着地して叫ぶ!
「アーサーッ!」
 片膝立ち姿勢になった天魔城の頭上を紅蓮の光が飛び越える。巨体の脳天を見下ろす位置に陣取ったアーサーのバイクが炎上! ショコラの首根っこを引っつかんで前方回転した彼の手に燃えるバイクが移動し、一本の長大な槍へと形を切り替えた! アーサーのベルトが合図を繰り出す。
『Select……DRIVE ACTION!』
「頭上注意だ。エクスプローシブ・ドラゴンライドッ!」
 槍を振りかぶって投擲! 赤い流星じみて放たれたそれは、天魔城の額に直撃して爆発。爆炎の中からアーサーへ伸びる炎の鎖。アーサーが鎖をつかんで力いっぱい引いた瞬間、前のめりになった天魔城両肩の砲が駆動! エスタシュのバイクから飛び降り地面を転がった正義は拡声器を構える!
『撃たせるかよ。砲身を上へ!』
 拡声器のハウリングが響くと同時、天魔城の砲塔が真上を向いた。だが砲はそのまま少し後ろにスライド。砲口を背中側に180度回転させて地面に向ける。天魔城はアーサーを見上げて怒声を上げた!
『ハンニャアアアアアアアアッ!』
 天魔城の砲が地面へビームを撃ち出した! 紫の極光は巨体をロケットじみて打ち上げ、アーサーへと急接近させていく。あまりの光景にアーサーは絶句!
「嘘だろッ……!?」
「アーサーさんっ!」
 アーサーの腕に抱かれたショコラが天魔城に向けて弓を引く。手の平から伸びる黒い矢が燃え、SHOT! 迎撃に放たれた漆黒の一矢に、天魔城は鉄拳を放った。巨大な拳と矢が激突し、激しい衝撃波が空を揺るがす! そして相殺! 拳を弾かれた天魔城は逆の手でアーサーを叩き落とした!
『ハァァァァァンニャァァァアアッ!』
 墜落し頭から地面に突っ込んだアーサーを飛び越えて着地する天魔城! その頭上に青黒い雲が渦巻き、青白い魔法陣が展開された。魔法陣を挟んで左右にヴィゼアとメンカル!
「メンカル、一度に凍結させて動きを止める!」
「……わかった……。停滞せしの雫よ、集え、降れ。汝は氷雨、汝は凍刃。魔女が望むは数多の牙なる蒼の剣」
 二人がそれぞれ手と杖を振り下ろした瞬間、黒雲が青い雷と氷剣の雨を降らせた。とっさに天魔城が構えたクロスガードに、ZGRAAAAAK! 直撃した雷が両の前腕部から肩口までを氷で包み、次々と大地に突き立った氷剣が地表もろとも天魔城の膝下までを凍らせていく!
『ミョウオオオオオオオオオオオオオオオ!』
 天魔城が両脚に力を込め、氷を砕いて無理矢理起立! クロスガードを開いて雷を弾いた額を、繋がったままの炎の鎖が引っ張り強制的に下を向かせた。大地の亀裂から上半身を起こした姿勢で、アーサーは鎖を持つ手に力を込める!
「上ばっか気にしてると、下からもっと凄いのが来るぜ? なあ!」
 GRRRRRRR! 獣声じみたエンジン音が鳴り響き、クロトとバイクに変形した多喜が天魔城へ突っ込んでいく! 辛うじて顔を上げた天魔城が再びビームを溜め込むのを見、多喜に騎乗した鈴音は冷や汗をかいた。
「ビーム来るけど……え、これ相殺とかできるの……?」
「相殺は無理だと思うがな」
 バイクを走らせながらクロトが呟く。彼は速度を落として多喜の後方に回り込むと、一発の銃弾を取り出した。空薬莢に描かれているのは冴え冴えとした蒼の魔法陣!
「だがまあ、別に正面からぶつかるだけが能じゃねェ。星海がひた隠す、狭間の領域……使わせて貰うぜェ」
 コイントスじみて銃弾を弾く。回転しながら飛んだ弾丸の魔法陣が光り輝き、冷たい光で多喜と鈴音を包み込んだ。即座に二人ごと光を吸収した弾丸をつかんだクロトは、それを大型拳銃に装填! 次の瞬間、天魔城がビームを放出した。
『オオオオオオオオオオオオオオオオオ!』
 クロトを呑み込まんと迫る破壊光線! 極光に照らされたクロトはしかし、全身をダイヤモンドダストのような魔力で包む!
「我が身に北天に座す貪狼の加護を!」
 VANISH! 青い燐光を残してクロトが消える。平原に一直線を描く光線を置き去り、超加速したクロトはウィリー走行。そのままバイクマフラーから魔力を噴出させて跳ぶ! 大型拳銃で狙うは天魔城の胴!
「食らいな」
 BLAM! 銃声が鳴り、天魔城の胸に小さな穴が開かれる。城内に飛び込んだ銃弾は閃光を発し、多喜と鈴音を吐き出した! バイクから人型に変形した多喜は鈴音を横抱きにして着地。直後、二人の左右に伸びた通路を複数のニンジャが塞ぐ。刀を抜いた一人が叫ぶ!
「曲者だ! 出会えーッ!」
 他のニンジャも刀を抜き、二人を挟み撃ちにせんと迫った。多喜と鈴音は背中合わせに身構える!
「それ、ニンジャが言う台詞だっけ? まぁいいや。鈴音さん、このまま管制室まで突っ切るよ!」
「了解っ! ニンジャ、殺すべしっ!」
 一方の天魔城外! 360度全方位にばらまかれる天魔城のビーム弾をハイジャンプとジグザグダッシュで回避しながら、アーサーと正義が天魔城の周囲を巡る。天魔城の顔は常に鎖を持つアーサーの方へ引き寄せられており、彼の動きに合わせて天魔城の体が緩慢に回る!
 遠くの山の中腹が瞬き、エルのビームが幾条も飛翔。天魔城の背中を上から下へなぞるように点々と爆破していくそれは、ニンジャ出現口破壊行為だ! 焦れた天魔城は炎の鎖を握り込む!
『ハンニャアアアア!』
 アーサーを引っ張ろうとした瞬間、彼の対角線上に立つ正義が拡声器を口元に添えた。
『おっと、動くなよ!』
 動画の一時停止めいて凍りつく天魔城! その隙を着いたアーサーは急ブレーキをかけて逆に鎖を引っ張った。前に一歩よろめく巨体の足元にエスタシュが突撃! 眼光が鋭く輝き、大剣を燃やす炎が刃に収束! 跳躍した彼の背中にアーサーが声援!
「決めろエスタシュ!」
「ああ、もう一回膝つかせてやる!」
 横一回転から勢いを乗せた一撃が天魔城の膝を激突し、刃の爆炎が太い脚部に巻きつき圧縮! 片足を押し潰された天魔城の体躯が傾ぐと同時、空中のメンカルはエスタシュの炎に杖先を向けた。
「……再燃、グラトニー・フレイム……」
 炎の色が赤黒から純白に変色し、天魔城の片足全体を覆い尽くした。さらに炎は天魔城の腰を登り腹部に達する! 天魔城の背後で弓を引いたショコラの手に透明な矢が現れた。狙いは足から胸までを飲み込んだ火炎!
「彩りを無に変える、冷酷なる息吹よ!」
 SHOT! 放たれた矢は天魔城の燃える背中に突き刺さり、延焼した白い炎を勢いよく吸い上げる! 炎が消え、焼け焦げた装甲が露わになる中、ショコラは頭上のヴィゼアを見上げた。
「ヴィゼアさん! 炎を!」
「貴方の矢に、敢えて暴走させつつ、と……」
 神妙の面持ちでヴィゼアは指揮杖を持ち上げ、振り下ろす! 蒼天が一瞬にして黒い雲に覆われ、轟雷を落とした。炎の如く揺らめく青の稲妻は炎を全て吸い上げたショコラの矢を撃ち、KRA-TOOOOOM! 赤黒・白・青の三色の爆炎が天魔城の胸から下を消し飛ばした。
『ハンンンンンンニャァァァァァァアアアアアアアアアアアッ!』
 絶叫した天魔城は砲口を上に向け、背後に向け、地面に落とす。ビームを溜め込んでの飛行準備! 砲の真下に飛び込んだクロトの瞳がバイザー越しに赤から碧眼へ!
「おっと、逃がさねェよ。我が身に北天に座す破軍の裁きの理を」」
 右手を握り、下方に引き絞るクロト! 腕全体を包む冷気を、腕を突き上げる勢いで放出! 吹雪に似た凍てつく波動が紫に輝く砲に吹きつけ、エネルギーの逃げ場を防ぐ。キャノン砲爆発! 浮力を失った天魔城は落下し、うつ伏せに地面に倒れた。城内部の多喜と鈴音が折り重なって転倒する。
「っだぁッ!?」
「あうっ!」
 仰向けになった多喜の目に鋼の光がギラリと光る。逆手に持った刀を振り上げるニンジャのダイブアタックだ!
「イヤーッ!」
「やばいっ!」
 多喜は鈴音を抱き寄せて真横に転がり刃を回避! 転がる勢いを使って跳ね起き、手の平からメーザーを撃つ。赤い光がニンジャ装束の右肩を貫通した。
「ぐぬゥッ……!」
 顔をしかめたニンジャの足が下がり、かかとが転がる別のニンジャの亡骸に当たった。場所は既に管制室! 横倒しになった空間には大量のニンジャの死体。頭上には疑似太陽じみた天魔城の動力源!
 最後に立つニンジャは刀を構え直して多喜と鈴音に走る! 多喜に下ろしてもらった鈴音は周りに四つの狐火を浮かべて発射!
「イヤーッ!」
 ニンジャは走りながらのサイドステップとスライディングで狐火を潜った。彼の真上にジャンプした多喜が縦回転からの踵落としを蹴り込んでいく!
「おりゃあああああッ!」
「ふんッ!」
 ニンジャは跳ね起き、両腕を交叉して多喜の踵落としを防御! がら空きになったニンジャの腹に、鈴音の低空ジャンプキックを突き刺さった。弾丸じみて吹っ飛ぶニンジャ。反動で空中後転した多喜は両手の平から赤いエネルギー弾を射出! 二つのエネルギー弾はニンジャに命中して破裂した。着地した多喜は隣の鈴音に宣言する。
「ルートが見えた! コイツでトドメだ、鈴音さんッ!」
「よぅし!」
 低姿勢で飛び出した鈴音がニンジャの零距離に踏み込み、サマーソルトキック! 空中に跳ね上げっれたニンジャが天魔城の動力源と重なった瞬間、多喜は両腕を広げた。彼女の赤いアーマーが分解され、バイクの形に組み上がる。それに騎乗し、上空に向けて一直線! ニンジャに突っ込み、一緒に動力源へ飛び込んでいく!
「行けぇぇぇぇぇぇぇぇッ! サイキック・ブレイカ――――――――ッ!」
 多喜はニンジャ諸共動力に飛び込んだ、その時! 起き上がりかけた最強無敵天魔城の両目と口が発光!
『ハ…………ハンンヤアアアアアアアアアアアアアッ!』
 断末魔を轟かせ、天魔城は大爆轟を引き起こして四散した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月16日


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠砲撃怪獣・ガンドドンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト