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エンパイアウォー㉔～ニャンと素敵な春日山城

作者：ささかまかまだ

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「皆が頑張ってくれたから、春日山城の攻略ができるようになったよ！」
　グリモア猟兵のユェン・ウェイ（M.Y.W・f00349）は猟兵達に一礼し、明るい笑顔を向ける。
「信州上田城の上杉軍を早期に撤退させたことで、上杉軍は関ケ原へ予定より早く移動し始めたんだ。おかげで春日山城の警備が手薄になって、攻め込めるようになったんだよ」
　春日山城は上杉軍の本拠地であり、今までは攻略することが困難だった。
　だが軍が移動し手薄になった今ならば、堅城であろうと攻め込む事が可能だ。
「だから皆には手分けして春日山城の調査をして欲しいんだ。魔軍将の本拠地なら、きっと信長軍に関する重要な情報や役立つ道具が置いてあると思うから」
　一度の調査ですべてを調べきることは難しいが、猟兵達が手分けして行動すれば制圧も可能だろう。

　だが手薄になっているとはいえ内部にはまだオブリビオンが巣食っている。まずはそれの対処を行う必要があるようだ。
「ボクが確認出来たのは……『猫又花魁』っていう猫又のオブリビオン。欲望のままに動く女の子の妖怪だね……」
　ちょっと顔を赤らめつつ目を逸らすユェン。
　猫又花魁は美男美女に目がなく、たぶんそういうノリで上杉謙信に従っているのだろう。だが彼女たちはきっと猟兵相手にも好き勝手な感情を向けてくるに違いない。
　また、彼女達は猟兵を気絶させた上で下僕として操るような技も持っているようだ。その辺りにも注意が必要だろう。
「とにかく！　春日山城を無事に攻略して、いっぱい成果をゲットしちゃおう。それじゃあ今回もよろしくお願いするね」

第1章 集団戦 『猫又花魁』

POW   :    ウチらとイイコトするニャ♪ 対象の攻撃を軽減する【お色気モード】に変身しつつ、【欲望のままに相手を襲うこと】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。 SPD   :    さあ、いい夢見せてあげるニャ♪ 【キセル】から【催眠効果を持つ桃色の煙】を放ち、【昏睡させて意識を失わせること】により対象の動きを一時的に封じる。 WIZ   :    秘儀、「ねこまたぎ」だニャ♪ 戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【頭に乗るか跨ぐかすることで、自分の下僕】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。 イラスト：煤すずみ 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

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　依頼の知らせを受けて早速春日山城へ赴いた高柳・零（テレビウムのパラディン・f03921）。
　中にひしめくオブリビオンの気配を感じ、近隣に住む人々を思う。
　オブリビオンにお城が支配されて、地元の民衆はさぞ困っている事でしょう。
「庶民を守るためにも頑張ります！　天よ人々を護る力を！」
　そう声に出して気合を入れるが、実は『ゴッドハンド』発動のためにやってる打算的な部分もあるのは秘密だ。
　だが発動出来ればこちらのもの。
　神聖な光に包まれた零は空中に浮かび上がり、そのまま猫又花魁達の元へと急直行。
　オーラでもしっかり身体を覆い、更に盾も構えて一気に突入だ。今の零なら物理的な攻撃なら全て受け止められそうだ。
「なんだニャ！？」
「猟兵です。お邪魔しますね」
　突然の猟兵の出現に部屋でまったりしてた猫又花魁達はびっくり仰天。
　零はそんな彼女達の様子を気にせずどんどん接近していく。
　しかし猫又達も呆然としているだけではない。相手が知性を持った生物ならばきっとイケる。
　仲間の誰かが気付いた瞬間に彼女達も気合を入れたようだ。
「猟兵でも何でもいいニャ！　ウチらとイイコトするニャ♪」
　元々はだけていた着物を更にはだけさせ、ぐいぐいと零に迫る猫又達。
　だが零は無関心。何故なら彼の美的感覚的に彼女達はストライクゾーンから外れているからだ。
　実は『ゴッドハンド』と他人を護る想いもしっかりと彼を守っていたりする。意志の力は偉大である。
「先ず、自分にケモ耳趣味はありません。それに手足が長過ぎます。序でに言うと自分は貧乳派です」
「そこまで否定しなくてもいいニャ！？」
　ショックを受ける猫又達へ零は更に追撃を仕掛けた。バスタードソードでひたすら彼女達を薙ぎ払ったのだ。
　猫又達は悲しい顔をしたまま次々に骸の海へと強制送還されていく。
「しかしまだ敵はいるようですね……頑張りましょう」
　目の前の敵を倒しても、城内にはまだまだオブリビオンの気配。
　それを感じた零は再び気合を入れ直すのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

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　城内に響く猫の声に苦笑するのは七那原・エクル（ダブルキャスト・f07720）。
「あはは～、世の中広いね。いろんなオブリビオンがいるよ～」
　思春期前半のエクルにとって花魁猫又のようなオブリビオンはちょっと反応に困ってしまう。
　ならばなるべく接近しないで戦おう。
　まずは両手にガトリングガン『ECL-04<ガンダルヴァ･G>』、頭上に大型機械掌『クンバンダ･F』をしっかりセット。
　クンバンダ･Fに脳波を整え続けるように指示を出せば洗脳対策もばっちりだ。
　準備を整えたのならばエクルも敵の潜む部屋へと突入し始めた。
「また猟兵だニャ！」
　猫又達も彼の登場に気がつくと一気に殺到し始める。
　セクシーな彼女達に接近されるのはよろしくない。エクルはガンダルヴァ･Gをしっかり構え、凄まじい勢いの弾丸を放っていく。
　弾幕は次々に猫又を撃ち抜いていき、敵がエクルへ接近する事を許さない。
「これで大丈夫かな？」
　弾幕が落ち着く頃には接近してくる猫又は一掃出来た。
　だが残った猫又達も遠距離戦に切り替えた様子。次々に手にしたキセルに火をつけて桃色の煙を飛ばし始めたのだ。
「さあ、いい夢見せてあげるニャ♪」
「何だか甘ったるい煙だね……」
　この煙も吸い込むのはまずいだろう。エクルもすかさず『ガジェットショータイム』で自作兵器を召喚して対抗だ。
　今回呼び出されたのは巨大な七枚羽根の送風機。リモコン操作で簡単に操れる便利な機械である。
「よーし、リモコンポチっとな。煙お返ししまーす」
　言葉の通りにリモコンのスイッチを入れたのならば、一気に風が部屋を巡る。
　風は桃色の煙も押し出して猫又の方へ送り返し始めた。
　こちらに煙が来ると思わなかった猫又達はあっさり吸い込み昏倒していく。
　彼女達はすっかり夢見心地。ここまで来たならあとは吹っ飛ばすだけだ。
「もうこんな事したら駄目だからね、覚えておくんだよ！」
　エクルが放つのはクンバンダ･Fによるロケットパンチ！
　その拳は次々に猫又達をぶっ飛ばし骸の海へと消し飛ばしていく。
　こうして近くにいた猫又達は退治出来たが……城内の空気はまだまだ不穏。
　エクルもまた次の部屋を目指して進んでいくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

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「欲望……そこはおさかなにゃんでも良いんじゃないかにゃあ」
　猫又達が潜む部屋を前にして、レフティ・リトルキャット（フェアリーのリトルキャット・f15935）はぽつりと呟く。
　彼は自らの血筋により子猫に変身出来るため、猫の気持ちも勿論分かる。
　猫ならば他人を誘惑するより美味しい魚でも食べて日向ぼっこしている方が幸せなのでは……そんな気持ちが頭を過るが、今はとにかく妖怪退治だ。
　入り口の障子を勢いよく開いたのならば、子猫に変身して部屋へ突撃だ。
「ネコちゃんの猟兵ニャ！」
　猫又達も侵入者にはすぐ気付き、早速レフティへと集まりだした。
「私は世界を渡り歩き、戯れに「シャドウ」を招く者――それが子猫のシャドウ使い」
　詠唱と共にレフティの目の前に首輪が呼び出される。それをそのまま口に咥えてレフティは駆けた。
　子猫は髭をぴくりと動かし殺到する猫又達を躱し続け、隙が生まれたならばレフティはすかさず一匹の猫又げ首輪を嵌める。
　発動するのは『ソウルアクセス』。相手の精神世界へ侵入し、精神に潜むトラウマを呼び出すユーベルコードだ。
　レフティには猫の気持ちが分かる。つまりトラウマになるものもよく分かるというもの。
「ネコちゃんの猟兵、何なんだにゃ！？」
「猫又花魁はこれを食べてきたんだにゃあ」
　精神世界で慌てる猫又に対し、レフティはぽんぽんと何かを呼び出し始めた。
　それは誘惑した男が善意で渡してくれたチョコレートだったり、飢えて死にそうだった時に食べてしまったリーキだったり。
　猫又が『誤って食べて死にかけた思い出の食べ物』が次々に呼び出されていくのだ。
　そして食べ物は次々に猫又の口へと飛び込んでいき……悲鳴と共に彼女の精神世界はボロボロになっていく。
　自身も傷やトラウマを負う直前にレフティは精神世界から離脱し、別の首輪を別の猫又へと嵌めていった。
　しばらく猫又達の阿鼻叫喚が鳴り響き……しばらくすれば彼女達は皆苦しそうに骸の海へと退散していく。
「……やっぱり悪い事せずに、美味しいおさかなを食べるのが一番だにゃ」
　猫又達の様子を見て、改めて自分の幸せを噛みしめるレフティだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

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　猫又花魁の潜む部屋へと入室したベルベナ・ラウンドディー（ドラゴニアンのバイク乗り・f07708）は、彼女達による手厚い歓迎を受けていた。
「……あの、もっと大事な話がですね」
「そんなのどうでもいいニャ～、お兄さんイケメンだからもっと遊ぼうニャ♪」
　相手はそこまで悪人にも見えず、知性があり会話も出来る。
　友好的に接してくるなら無理やり誘惑もしてこないようだ。
　それならまずは会話で情報を引き出そうとしたのだが……猫又花魁達は思ったよりバカであった。
　例えば城に眠る道具の情報や城そのものの構造。その他上杉謙信に関する話を聞こうとしたが、彼女達は何も知らない。
「お城は凄いニャ、謙信様はイケメンで最高ニャ～」
　この程度の話しか聞けなかった。
　ある程度痛めつけてから脅して聞き出したほうが効果的だっただろうか。そう思い猫又達を見るベルベナ。
　最初は微妙に魅力的に見えた彼女達も、よく見ればしっかり妖怪変化の類だ。
　獣臭いし酒臭いしヤニ臭いし。
　色気も可愛げもベルベナが女装したほうが上だし。
　要は相手にする魅力ゼロ。
　じゃあ結論は簡単！　痛めつけたほうがいい！　なぐろう！
「ちょっと失礼しますね」
　ベルベナはおもむろに立ち上がり、つかつかと部屋の入り口まで歩いていく。
　そして直刀を構えて……振り向きざまに一気にユーベルコードを発動だ！
「心中物です」
　ベルベナは『夕立一輪』の発動と共に乱れ突きを放っていき、次々に猫又達を貫き始めた。
　剣先から走る衝撃波が部屋の隅々までカバーする事で相手の接近は許さない。
「な、なんで！？　酷いニャ！？」
「いえ、私も猟兵ですから」
　相手が困惑していてもお構いなしだ。何故なら少しでも相手の行動を許せば誘惑攻撃が飛んでくる。
　勿論気合で耐えるつもりだが、万が一オチてしまえば心に一生モノの傷を負ってしまう。
　絵的にも社会的にも許されないだろう。だからこそ遠距離から確実に仕留める作戦を選んだのだ。
　凄まじい剣技はあっという間に部屋中の猫又を殲滅していく。
　だが城内にもまだまだ猫又達の気配。
　呆れつつも次の部屋を目指す事にしたベルベナだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

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　城内に響く猫の声にも悲鳴が多く混じり始めている。
　それを聞いて山梨・玄信（ドワーフの破戒僧・f06912）は呆れ気味。
「城の守り手がこれとはのう。上杉謙信も余裕が無いのかもしれんの」
　そう言いつつも油断は禁物。
　猫又花魁相手にシーブズ・ギャンビットのような服を脱ぐ技は危険だろう。
　今回は気を使った遠距離での攻撃が必要になる。そう考えた玄信は気合を入れて猫又達の元へと向かった。
「またしても猟兵ニャ！　今度こそ……」
　猫又達も早速肩をはだけさせお色気モードへ大変身。だが玄信は目もくれずに攻撃開始だ。
「今はそれどころじゃないからの、さっさと骸の海へ帰るんじゃ！」
　全身に滾らせた気を一気に放ち、それを衝撃波へと変えれば向かってくる猫又達は一気に薙ぎ払われていく。
　だが彼女達も必死だ。命を削らんばかりの勢いで衝撃波を掻い潜り、何とか玄信の元まで辿り着いてしまう。
「近づけばこっちのものニャ！　ウチらとイイコトするニャ♪」
　どこかの大泥棒のようなフォームで飛び込む猫又達を、玄信も間一髪で躱していく。
　その最中にちらりと目につくのは猫又達の肌色部分。激しく動いているため結構ギリギリだ。
　このままでは誘惑されてしまう。そこで玄信は寺での修行時代に聞いた説話に出て来たお経を唱える事にした。
「寿限無じゅげむ、五劫の擦すり切きれ、海砂利水魚の、水行末・雲来末・風来末……」
「それってお経じゃないニャ！？」
　猫又達がしれっとツッコミを入れてきているが玄信は気にしない。何故なら心を無にしているからだ。
「喰う寝る処に住む処、藪柑子の藪柑子、パイポ・パイポ・パイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ……」
　心を無に、ひたすら研ぎ澄ませていけば敵の攻撃も簡単に避けられる。
　猫又達が必死に迫るがその全てを回避して、玄信は拳に力を入れる。
「……長久命の長助じゃ！」
　お経のような噺のような読経が終わった瞬間、玄信は全力で拳を前へと突き出した！
　その一撃は『灰燼拳』となり近くにいた猫又達を一気に吹き飛ばしていく。
　沢山の悲鳴と共に退散していく猫又達。
　こうして玄信も無事に相手をしていた敵を退治出来たのだ。

　それからもう少しだけ戦いは続いたが……。
　しばらくすれば猟兵達はしっかりと全ての猫又を退治する事が出来た。
　こうして猟兵達は無事に春日山城攻略を進めたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2019年08月13日