エンパイアウォー⑦~越後からの吹雪
関ヶ原に陣取るは、魔軍将にして軍神『上杉謙信』が率いる、オブリビオンの軍勢。
姿や形がばらばらの彼らは、円形の陣形をとりつつ、一様に幕府軍の到来を待ち構えていた。
その最前線の一角に、少女四人が立っていた。
細い体に白い着物を纏った、あどけない顔の少女達。
「えちごのゆきは、とてもつめたい」
一人が呟くと、他の者達も口々に、
「そうそう、おててをこおらせる」「あしもあたまも、こおらせる」
「しんぞうだってかちこんこちん♪」
幕府軍の者達を凍らせ、死に至らしめることを想像し、少女達は嬉しそうに微笑んだ。
グリモアベースで。グリモア猟兵ベッキー・ウッドは猟兵達に説明に入る。
「第六天魔王『織田信長』の居城、魔空安土城へ向かう幕府軍は、最大の難所である関ヶ原に集結したよ。
でも――幕府軍が魔空安土城へ到達するためには、まだ障害を乗り越えないといけない。
その障害の一つが、魔軍将にして軍神『上杉謙信』と彼が率いる上杉軍精鋭部隊。
皆には、上杉謙信の率いる軍勢の一角を攻撃し、オブリビオンを倒してほしい」
上杉謙信率いる軍は、関ヶ原で幕府軍を蹂躙しようと待ち構えている。
上杉軍のとる戦術は『軍神車懸かりの陣』。
上杉謙信を中心に、オブリビオンが円陣を組んで全軍が風車の如く回転しながら、敵陣を攻撃するという「超防御型攻撃陣形」。
上杉軍の兵士たちはこの陣形により高い防御力を備えている。
さらに、前衛が次々に交代するため、並大抵の傷を負わせても後ろに引っ込まれ、その間に傷を癒されてしまう。
「だから敵を倒すためには、敵の防御を撃ち抜くような大ダメージの攻撃で、一体づつ確実に撃破しなくちゃいけない。
あるいは大ダメージを与えられないなら、回復の時間を与えず連携攻撃をするのも有効かもしれないね」
ここにいる皆が向かう先にいるのは、雪女見習いの少女達。愛らしい姿の彼女たちだが、敵を凍らせる力は高い。油断は絶対に出来ない。
「上杉謙信は自分の復活時間を稼ぐためにもこの陣形を使っている――逆に言えば、上杉軍が壊滅すれば、上杉謙信の復活の時間は無くなる。
上杉謙信を倒せるかどうかは、皆の活躍に掛かってる。全力で敵軍に挑んで。よろしくお願いね!」
支倉みかん
ご閲覧ありがとうございます。支倉みかんです。
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
軍神『上杉謙信』は、他の魔軍将のような先制攻撃能力の代わりに、自分の周囲に上杉軍を配置し、巧みな采配と隊列変更で蘇生時間を稼ぐ、『車懸かりの陣』と呼ばれる陣形を組んでいます。
つまり上杉謙信は、『⑦軍神車懸かりの陣』『⑱決戦上杉謙信』の両方を制圧しない限り、倒すことはできません。
今回の敵は『防御力アップ&自動回復(特大)』のバフが掛かっています。中途半端なダメージはすぐに回復されてしまいます。
大ダメージを与え一体一体確実に倒すなり、あるいは連携をとるなり工夫が必要でしょう。
よろしくお願いします!
第1章 集団戦
『雪女見習い』
|
POW : ふぅふぅしてみる
【くいくいと対象を引っ張る動作】が命中した対象に対し、高威力高命中の【凍てつく氷の吐息】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : とにかくふぶいてみる
【全力で吹雪】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : みようみまねのゆうわく
予め【足を魅せる等の誘惑行動をとって赤面する】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
コトト・スターチス
5万人ものひがいは辻ヒーラーとしてみすごせませんっ
必ずこの陣を攻略しましょう!
大ダメージをあたえることをねらって、ねこへんしんでパワーアップしますにゃー!
(黒猫耳尻尾と天使の翼が生える)
飛翔して敵の攻撃をかわしつつ、メイスに魔力を溜めていきますっ
敵のユーベルコードの弱点、動きを読んで攻撃の手が緩む瞬間を【見切り】、上空から一気に突撃してメイスをフルスイングします!
時速230キロの衝撃+重力+ねこへんしんによる強化された物理攻撃で【吹き飛ばし】て陣から弾き出し、さらにインパクトの瞬間に魔力による炎の【属性攻撃】を敵の内部に叩きつける一撃を与えますにゃー!
「えっちなのはいけないと思いますにゃー!」
●
コトト・スターチスは戦場となった関ヶ原をひた走る。目指すは前方、白い着物の少女達。
「5万人ものひがいは辻ヒーラーとしてみすごせませんっ。一気に行きます……へんしんっ。聖天使猫モードですにゃーっ!」
ひょこ。コトトの頭と腰に生える、黒い猫耳と猫尻尾。背中の聖痕・リテラチャーからは、天使の翼。【ねこへんしん】!
コトトは地を蹴り、羽ばたく。少女達の頭上を飛行。
少女達は、小さな氷を作りコトトへ投擲。
「あのとり、うちおとせー」
「とりじゃなくて、聖天使猫モードって言いましたにゃ!」
コトトは右左に旋回。投擲を回避。尻尾が揺れた。
避ける間もコトトは青の瞳を少女達から逸らさない。
果たして、少女の一人が「おくのて」と服の襟に手をかけた。何か技を使おうとしている。が、投擲は止まった。
隙を逃さずコトトは限界まで加速、時速230キロで突撃!
「えっちなのはいけないと思いますにゃー!」
少女に反応する暇すら与えず、コトトはメイス+9をフルスイング。
加速度と重力と【ねこへんしん】で強化された力、さらに炎の魔力を乗せた一撃が、少女を弾き飛ばし、体内から焼き尽くすっ!!
敵の隙をつく戦術と能力を最大限に活かした一撃で、コトトは敵一人を撃破。
「いけますにゃ! このままこの陣を攻略しますにゃ!」
コトトは声を張り、仲間を鼓舞。
大成功
🔵🔵🔵
マユラ・エリアル
ふむ、これが軍略というのもか
ただのオブリビオンがまあ不思議、カッチカチに
奥さん見ました?
凄いわね〜
なんという小粋なジョークで場を和ませたくもなる
兎も角、硬いならそれ以上の火力で打ち砕けば良いだけだ
さて、覚悟しろ
●戦闘
ある程度距離を取り『属性攻撃』『全力魔法』で魔法の威力をブーストして【氷刃展開】を発動
230本の氷の刃を敵に対して展開し、全ての刃を連動して動かす
敵の全方位に展開したら、タイミングを合わせて一斉放射!
回復する隙など与えないぞ?
『2回攻撃』で返す刃でさらに追撃
敵の攻撃は『フェイント』を掛けつつ、回避
『氷結耐性』で多少の寒さは大丈夫だ
属性的に被ってるんだ、すまないな
アドリブ等歓迎
サンディ・ノックス
※アドリブ、連携歓迎
普段は同業者の協力を前提とするなんて考えないんだけど、この状況じゃ仕方ない
攻撃する同業者が居たら、可能な限り同時に攻撃を仕掛けたり倒しきれなかった敵にトドメを刺したりなど協力する
敵はユーベルコード発動のため俺に近付いてくるだろう
俺も似たような狙い、小刀で斬り【招集・紫】を発動させたいから、まずは敵の容姿に困惑しているフリ(=演技)をする
こんな幼い子たちが敵なんてなにかの間違いだよね…?って
近付いて俺を引っ張ろうとしたタイミングで【だまし討ち】、小刀で斬りつけてユーベルコード発動
敵より早く発動できればいいけど、もし敵の攻撃を受けてしまっても怯まず攻撃
痛いのはお互い様ってやつさ
●
マユラ・エリアルの前で、三体に減った少女達は先刻より素早く陣を回す。守りの固い陣をなお維持し続けている。
マユラは、
「『ただのオブリビオンがまあ不思議、カッチカチに』『奥さん見ました?』『凄いわね~』」
声色を使い分け一人コント。真顔で。
そのシュールさが少女達の注意を引いた。少女達がマユラに突進してくる。その拍子に少女達の着物がずれ、肩や脚が露出。
「はずかしいっ」「ばかっ」「やっつけるっ」
少女は羞恥と怒りで赤面。冷気を込めた拳をマユラに繰り出してくる。
マユラは動じず氷刃のマントを一振り。
「属性的に被っているんだ、すまないな」嘯き、マユラはマントで拳を弾く。
一撃を防がれ少女達の勢いが鈍った。サンディ・ノックスは彼女に近づきながら、
「皆、待って……!」
悲痛な声と表情を作り、
「こんな幼い子たちが敵なんてなにかの間違いだよね……?」
大げさに首を振ってみせた。
サンディの演技が少女を騙した。少女達は与しやすしと見たか、サンディに標的を変えた。
「すきありー」
小さな手がサンディの腕を掴む。
サンディが対処するより早く、少女は冷気を吹きかけてくる。凍えそうになるサンディ。
少女はさらに冷気を浴びせようと息を吸う。
その時、マユラがShadow of the Earthの先を天に向けた。サンディが敵を惹きつけている間に、マユラは精神を研ぎ澄まし、術の準備を済ませたのだ。
「サンディ、伏せろ」
「了解したよっ」
サンディが己の言葉に従ったのを確認、マユラは【氷刃展開】を実行。宙に発生する二三〇の氷の刃。刃は少女を囲む。
「覚悟しろ。回復する暇など与えないぞ?」
マユラが言い終えた途端、刃が少女に殺到。容赦なく少女の腹を刺し、脚を切り、腕を裂く。飛び散る血。
サンディは体勢を立て直した。少女は既に瀕死。ふらつきつつ後退しようとしている。
サンディは走る。少女を追う。
逃げ切れないと悟ったか、少女はサンディに手を伸ばす。再びサンディを凍えせようと。
「おいかけないでっ」
「その技はもう見切ったよ」
サンディは腕を一閃させた。隠していた小型の黒剣・玉桂の小刀、その切っ先で少女の手の甲を刺す。サンディは【招集・紫】で、黒い獣の幻影を顕現。
「こいつかい? 目印に向かって一目散。可愛い奴だよ」
獣は口を大きく開け、驚く少女に飛び掛かり――少女を終わらせた。
戦闘開始時には四人いた少女は、いまや二人。
が、残った二人の目に、恐れはない。数が減ったと油断するなら凍てつかせる――と言わんばかりに猟兵を睨む。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ステラ・クロセ
むむ、可愛らしい子たち。
どうしよう?とは言ってられない。アタシたちの道は阻ませない。
凍らせるのが得手の模様。
でも、アタシの体は凍らせても、アタシの燃える心は凍らせるなんてできない。
皆のため、エンパイアのため、アタシは前に進み続ける!
真っ正直に当たっては埒があかない。
【ジャンプ】して円陣を上から見て、特定の一人を目で追って目標を定める。
円形ならやがて円の同じ位置まで戻ってくるはず。
目標を定めたら炎のサイキックエナジーを全開にして、
上から一回転してダイブして、UC【焔轟熱風剣】を叩きつける!一人一殺!
※アドリブや他の方との連携等は、お任せします。
●
ステラ・クロセは敵を前に、眉を寄せる。
「むむ、可愛らしい子たち。しかも健気」
が、ステラは自分の両頬をぱんっと掌ではたく。気合を入れ直す。
「どんな子が相手でも、アタシたちの道は阻ませない。皆のため、エンパイアのため、アタシは前に進み続ける!」
炎のサイキックエナジーからなる『Now or Never』を手に、疾走。敵との距離を詰める。
「こおっちゃえ」
「アタシの燃える心は凍らせるなんてできない」
少女の手が伸びる。ステラを凍らせようと。
ステラはバックステップ、手を回避。が、少女らは執拗。二人の手が交互にステラを狙い続ける。
(数が減っても流石の陣形。真っ正直に当たっても埒があかない。ならっ!)
ステラは真上に跳躍。上方から少女二人の円形の動きを見定め、
(今っ)
ステラはアークレイリの白夜の裾をはためかせ、空中で一回転。少女へダイブ。
渾身の力と気魄をふりしぼり、サイキックエナジーを放出。猛き闘志を業炎に変え、
「行くよ、焔轟……熱風剣!」
少女に叩きつける!
少女は体から雪を放出し抗おうとする。が、ステラの【焔轟熱風剣】は少女の雪を瞬時に蒸発させ、少女の体を断ち切る!
両断された少女は何も言い残さず、死亡。
「ひとりでもげきたいするもの」
残った少女の体から、強い冷気と殺気。
ステラは刀の先を少女に向ける。敵陣を攻略し、仲間と進み続けるために。
大成功
🔵🔵🔵
ナターシャ・フォーサイス
WIZ
貴女のような年端のいかない方まで、この争いに出るとは…
なんと嘆かわしいのでしょう。
真の姿のその一端、機械仕掛けの天使となり皆様を手助けいたしましょう。
力を増した天使たちもいるのです。
生半可な障壁や回復は打ち破り、彼女を楽園へと導いてくださるでしょう。
…それ以上に。
誘惑をするのは構いませんが、貴女がたのそれは特殊な性癖の方々にこそ響くのでしょう。
私も使徒として、救いのため誘惑することはありますが…
仕方ありません。そこに直りなさい。
誘惑とは何たるかを教えて差し上げましょう。
殿方を悦ばせ、熱い夜を過ごし、忘れられぬ夢とする。
その為にどうべきかは…身をもって、教えて差し上げるしかありませんね?
●
最後に残った少女は着物の裾をまくり、腿を露出。
少女はたちまち赤面。「はずかしいっっ」羞恥心で強化された動きで、猟兵達に殴り掛かる。
ナターシャ・フォーサイスは【召喚:楽園の結界】で機械仕掛けの大天使に変身、結界を張りダメージを軽減。
「誘惑は構いませんが、貴女のそれは特殊な性癖の方々にこそ響くのでしょう……仕方ありません。そこに直りなさい」
だが少女は止まらない。再び拳を繰り出す。
ナターシャは結界の力で攻撃を弾く。相手はじっとできないようだが、教えようはある。
敵の顔が己に近づくタイミングで、囁く。
「殿方を誘惑し悦ばせるには……を……」
誘惑の何たるかを。相手の体と心に一夜を刻み付ける方法を。
「へ、へんたいっ」
少女は耳まで赤くなり、両手で掴みかかってくる。が、動きは単純。ナターシャは攻撃を避け、
「……は熱く執拗に……。さらに……」
伝授を続行。丁寧な口調に甘い情感をこめ、吐息を織り交ぜ。時に指を動かし。
「ぁぅ……」
「伝えるべきは伝えました。さあ楽園に導いて差し上げましょう」
『情報』に混乱する少女を、ナターシャは天使達に囲ませ、眩い浄化の光を放つ。
囲まれた少女は逃げられない。光を浴び続け――がく、地に崩れた。
ナターシャは藍色の瞳を少女に向けたまま、決して逸らさない。
ナターシャの光に、少女の体は徐々に薄れ――完全に消滅。
ナターシャ達猟兵は、敵陣の一角を構成する雪女見習い四人を倒した。
が、周囲からはいまだ戦いの音。軍神車懸かりの陣を完全に崩すべく、猟兵達は戦場を移動する。
成功
🔵🔵🔴