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花の降る日に

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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 宵。
 月明かりに照らされて、白い花弁が一面に淡く輝いている。
 そのひとつに大切そうに触れながら、
 「あぁ…綺麗に咲いてくれたね。これなら今年も良い祭りになりそうだ」
 もうそろそろ夜も更ける。
 青年は満足そうに頷くと、明日から祭りの準備をしなければと立ち上がった、その時。
 がさっ。
 ふと、音がした方を振り返ると、木々の合間から闇に輝く双眸が青年を捉えていた。
「…ひっ!」
 思わず後ずさると、雲の合間から差し込む灯りにその全貌が映し出される。
 ――翼竜だ。
 それは一体、二体、と数を増していく。気づけば完全に取り囲まれていた。

 ●花祭りを夢見て
 ユメコ・セキエイ(Sugar・f10521)は少し困ったような顔で、ビスケットを頬張っている。
 やってきた猟兵達に気付くと、顔をあげてニコリと笑んだ。
 「来てくれてありがとう。早速だけれど、お願いしたい事があるのよ」

 場所は剣と魔法と竜の世界――アックス&ウィザーズ。
 その一角の村で、少し問題が起きている。
 「最近ね、仔竜が悪戯をするようになってしまって、困っているのですって…」
 もうすぐその村では伝統の祭事が行われるらしく、村人たちはその準備に忙しい。
 「お祭り…?」
 「そう、それは雪片のように白くて綺麗な花をね、沢山つかったお祭りなんですって…!」
 問いかけた猟兵に、瞳をキラキラと輝かせてユメコは嬉しそうに答えるが、はっと我に返ると、すっと表情を戻して。
 何事も無かったかのように続ける。

 「えっと、困っているというのも、お祭りに使う為に育ててきた花が荒らされてしまうらしいの。」
 仔竜は数体。詳しい数は解っていないが村の近くにも最近現れるようになり、村人たちは気が気ではないらしい。
 もしも村の中に入られてしまったら、大きな被害が出てしまう。
 「それとね…」
 青年がひとり、行方不明になっている。
 まさか、と表情を曇らせた猟兵の様子を見て、慌ててユメコが補足する。
 「あ、違うの!行方不明っていっても、多分食べられたりはしていないと思う…っ」
 この周囲に生息する翼竜たちは比較的温和で賢く、人にも慣れやすいのだという。
 故にそうした人的被害はこれまでにも報告されていない。
 恐らく、好奇心旺盛な仔竜に遊び相手として巣へと引き摺られて行ってしまったのだろう。
 仔竜への対応と同時に、青年の救出も行って欲しい。

 仔竜が現れる場所は、白い花畑が存在する森の中だという。
 「自然や花を傷つけないように、気を付けて」
 周りの木々たちも、周囲の村々への糧となる大切な資源だ。大切に守って欲しい。

 仔竜たちはまだまだ遊びたい盛りの子供だ。
 とても素直で単純な性質を持っているため、退屈しているようなら相手をしてあげると良いかもしれない。
 強い悪意を向けたり、殲滅を目的としなければ仔竜もじゃれつく程度で、満足すれば巣へと帰るだろう。
 といっても相手は竜である以上、力の加減などは期待できない。
 「難しいかもしれないけれど、上手く力を調整しながら相手をしてね。むやみに殺したりはしないようにしてあげて。」

 全てを無事に終える事が出来れば、祭りも滞りなく行われるはずだ。
 村の外からも多くの人々が参加する催しだと聞いているので、猟兵達も参加して楽しんで欲しい、と。
 「きっと、とても素敵なお祭りよ。どうか皆の手で守ってね。気を付けて。」
 ユメコはぺこりとお辞儀をすると、猟兵達を見送った。


かなで彩羽
 お初にお目にかかります、かなで彩羽です。
 お目に留めていただきありがとうございます。

 舞台はアックス&ウィザーズ。悪戯仔竜への対応となります。
 青年は花畑周辺にはいません。
 仔竜に対してはシンプルに戦って相手をする以外にも様々な対応方法もあるかと思いますので、自分らしく模索して頂ければ幸いです。

 無事に解決したら、是非、花祭りを楽しんでください。
 皆様の冒険が、良いものとなりますように。
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第1章 集団戦 『戯れる仔竜』

POW   :    じゃれつく
【爪 】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    未熟なブレス
自身に【環境に適応した「属性」 】をまとい、高速移動と【その属性を纏わせた速いブレス】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    可能性の竜
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


猟兵達が花畑へ到着すると、その周囲には仔竜が4体ほど。
 ころりころりと眠そうに転がる1体に、木によじ登る1体、じゃれながら遊んでいる2体が確認できた。
 彼らは猟兵達に気付くと、一斉に此方へと目を向けるが直ぐには近づいてくる様子がない。
 双方、互いの出方を疑った後、じゃれ合っていた2体のうち1体がしびれを切らしたのか猟兵達へと向かってくる。
ジョルジュ・ドヌール
困ったね。オブリビオンを倒してこいって言われるなら何とでもやりようはあるんだけど……温和で人を害しないなら龍は敢えて刺激しないほうがいいのかもね。好奇心旺盛っていうなら遊び相手になってやれば満足して巣へ帰るかな。

僕の肉蛇だったら多少はフクザツな動きもできるし、なんだったら二、三本ちぎってくれてやってもいい。あまり普段は使わないようなやり方だけど……偶にはそんなのもいいかな。年の瀬くらい平和にね。

お祭りがいつになるかは分からないけど、楽しいものになるといいね。



仔竜がまず向かったのはジョルジュ・ドヌール(咎人が来たりて咎を討つ・f05225)の元だった。

「……困ったね。倒してこいって言われるなら何とでもやりようはあるんだけど」

 自分の方向へとまっしぐらにやってくる小さな竜の様子を眺めながら彼は呟いた。
 くるりと丸い大きな目には、何か楽しい事があるのではないかと疑いもしない、どこか期待が籠められているのが見て取れる。
 遊び相手になってやれば、満足して巣へと帰るかもしれない。
 刺激しない方法で、とジョルジュは僅かの間思案すると、纏ったのは蛇のように動く艶めかしい肉の鞭。

 見慣れない触手を目にした仔竜は、怪訝な顔をして一瞬足を止めるが……好奇心には勝てなかったようだ。
 そろりそろり、とジョルジュへと近づいてくる。

 仔竜の様子を伺いながらジョルジュが肉蛇を右へ左へ、ゆるりと動かすと、その後を追いかけ駆け回り、じゃれつくように飛び掛かる。
 仔竜の鋭い爪によって肉蛇が一本千切れるが、彼は涼しい顔でもう一本、今度は少し複雑に動きを付けてみせると、仔竜は楽しそうにじゃれついて……また引きちぎった。

 あまり普段は使わないようなやり方だが、元より2、3本はくれてやるつもりだったので構わない。
 子供といえどやはり竜だと実感しながら、満足げに肉蛇を齧ったり突いたりと遊ぶ姿に、ジョルジュは苦笑した。

成功 🔵​🔵​🔴​

花巻・里香
えっと非殺傷で良いのよね?それなら見たこともないような別世界の空間で一緒に遊んでみない?。(別世界への誘惑)
クリスタガーデン、治療のエネルギーに満ちた宝石の庭園なら、
怪我しても回復するから、存分に遊べるわよ。
他の猟兵さんも巻き込みたいところね。もっとも私の口づけを受けることが条件だけれども、ね?。(手の甲や額等へ口づけ)

でも悪戯が過ぎるようなら魅惑の外装人形、ちょっと大人の階段登ってみましょうか?。
敵意はないみたいだから無理に操るようなことはしないけれど、私のフェロモンでドキドキな体験を悪戯っ子を誑かしましょ。(にこり)


辰神・シエル
「おうおう、またこりゃ可愛らしい竜じゃねーか。オレの妹くらい可愛い竜だ。だが、いたずらばっかりするヤツはきっちり叱らねーとな」
ユーベルコード・ブレイズフレイムを使用して一体を燃やすぞ。
その際に傷つける個所は己の首筋。矢尻で引き裂いてブレイズフレイムを発動する。
向かってくる個体がいるらしいから、それを先に狙うが、他の猟兵たちがそちらに向かうか、他にも竜がこちらに来るようなら、足止めとして遅れて近づいてくる個体を狙う。
「ん…オレもドラゴニアンっつー竜種?みたいなもんだから一種の同族狩り…?気にしたら負けだな!」



先頭の個体に続いて、いそいそとやってきたのは先程2体で遊んでいたうちに残されていた片割れだ。
 先の1体を追いかけてきた様子に見える。

「おうおう、またこりゃ可愛らしい竜じゃねーか。オレの妹くらい可愛い竜だ。」

 辰神・シエル(ペネトレイトアロー・f02627)は近づいてくる竜へと笑ってみせるが、表情を引き締めると自らの首筋に、手にした矢尻をあてがい傷を付ける。

 ――だが、いたずらばっかりするヤツはきっちり叱らねーとな。

 地獄の炎を纏った矢を構えると、狙いを定めて仔竜の足元に向けて、ブレイズフレイムを放つ。
 キュッ…!
 瞬時に反応して飛び上がった仔竜は、小さな鳴き声を上げた後、風を待とうと口からブレスを吐き出して炎を相殺する。
 しかし、咄嗟に繰り出したブレスは子供故に未熟な状態である。
 勢いのまま地面に墜落すると、キュウと声を出したまま、へたり込んでしまう。
 
その様子を見ていた花巻・里香(クリスタリアンの人形遣い・f05048)は、足元に転がってきた仔竜へと、優しく語り掛けてみる。

「見たこともないような別世界の空間で、一緒に遊んでみない?」

 里香が纏った色香が漂う空気故か、それともブレスの反動で動けないだけなのか。
 首を傾げて不思議そうに見上げる仔竜は想像していたよりも大人しい。
 個体にもそれぞれ性格の差があるようだ。

「あまり悪戯がすぎると、悪い子は誑かしちゃうわよ?」

 窘めながらも、仔竜がこれ以上暴れる様子は見せないのを確認すると、里香はその額へとそっと口づけを落とす。
 彼女の作り出すクリスタガーデンは、傷をも癒す煌びやかな宝石の庭園。
 導かれれば、きっと遊び疲れるまで存分に楽しめることだろう。

 「どうせなら、他の猟兵さんも一緒にどうかしら?」

 もっとも、彼女の口づけを受けることが条件となるのだけれども。
 クスリと笑みを浮かべながら誘う里香の様子見て、感心するようにシエルは溜め息をついた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アルト・カントリック
最近は戦い続きだったからな、と大好きな竜と戯れる為、花畑へと足を進める。

良い気分転換になるだろう。勿論、言われたことは忘れない。やることは、やる。

『自然や花を傷つけないように、気をつけて』
『 …むやみに殺したりはしないようにしてあげて』

花畑を踏みにじらないよう、レガリアスシューズの調子を確かめる。
「よし!僕と遊ぼうよ!追いかけっこだ。ここまでおいで!」

ユーベルコード【スカイステッパー】使用。

フロスティ(怠け者の小型ドラゴン・ドラゴンランス)とは出来ない遊びをするのだった。

仔竜が無茶してる時はこちょこちょして止めます。


ユノ・フィリーゼ
月明かりに輝く花はどんな美しさなのだろう
一度この目で見てみたいな
…その為にも、頑張らないとね

花だけじゃなく、仔竜もなるべく傷つけたくない
楽しい気持ちのまま親元へ帰り着いて欲しいから
満足ゆくまで私が遊び相手になろう

スカイステッパーを使い、
空中での追いかけっこに誘ってみるよ
遊びたい盛りなら動く物には敏感かも
羽衣の裾を揺らしたり、手招きと共に声もかけて

…おいで、一緒に遊ぼう?

ふわり、笑顔を絶やさずに
空を自由に游ぐ翼はなくても、
君達の見ている世界を歩く事はできるから

花畑を荒らさぬ様に着地点は見極めて
地形の利用が出来そうな場所は積極的に利用を
じゃれあいの爪は見切りで
傷つけられても此方からは手を出さないよ



レガリアスシューズの調子を整えてから、アルト・カントリック(どこまでも竜オタク・f01356)は寝転んでいる仔竜への近づいた。
 最近は戦い続きだったから、自分にとっても良い気分転換になりそうだ。

 ユノ・フィリーゼ(碧霄・f01409)は足元に広がる白い花を眺めながら、その花弁が月明かりに輝く様子に想いを馳せる。
 猟兵たちの気配にのっそりと起き上がった仔竜は、二人の姿を認めると交互に見比べて様子を伺っている。
 
 ――楽しい気持ちのまま、親元へ帰り着いて欲しいから。
 優しい願いに、ふたりの少女の行動は重なった。
 アルトとユノはスカイステッパーで高く高く、跳び上がり、仔竜へと誘いの声を掛ける。

「おいで、一緒に遊ぼう?」
「追いかけっこだ。ここまでおいで!」

 ふたりの動きと声に反応すると、仔竜はぱっと顔を輝かせたように見えた。
 小さな翼を動かして、跳び上がるとユノとアルトの後を追いかけていく。
 仲間の姿が目に入り釣られたか、最初に動き出した一体――先程まで触手に齧りついていた個体だ――も、恐らく二本とも平らげて満足したのだろう、嬉しそうに飛び込んでくる。
 
 二体となった仔竜の一体を引きつけながら、アルトは距離を置いたり近づいたり、時には背の高い木々に身を隠して追いかけっこを楽しんでいく。
 ―と、じゃれついた仔竜を避けたところで、勢い余って木に激突した仔竜の姿に近づいてこちょこちょと擽る。
 追いかけっこも擽りも、相棒の怠け者の小型ドラゴンとは普段できない遊び方だ。 楽しそうに擽られる仔竜は勿論、竜が大好きな彼女にとっても、幸せなひととき。

 楽しんでいる様子が伝わるのか、ユノが引き受けた仔竜は、一層嬉し気に彼女の周囲を飛び回っている。
 空を蹴りながらユノがふわりと羽衣の裾を揺らすと、仔竜はじゃれつくように飛び掛かる。
 鋭い爪は見切りながら軽やかに避けて、穏やかな笑顔は絶やさずに。
 その姿はまるで、仔竜と天女が空でダンスを踊っているようにも見えた。

――空を自由に游ぐ翼はなくても、空へと続く道は歩めるから。君達の見ている世界を、共に。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ルビィ・リオネッタ
猟兵になって大人の狂暴な飛竜と戦った事もあるけど、ここの土地の子は頭が良くて穏やかなのね
花は大好きだし、無邪気な子供は傷つけたくないな

木の影で見守ってから『妖精のフルート(装備品)』を取り出すわ
楽器演奏で彼らの飛ぶリズムを奏でる

(ん…何となく掴めてきた。キミたちは自然が大好きなのかな)

囁くせせらぎ、穏やかな風、暖かい日差し、白くこぼれる花

仔竜のリズムを優しく穏やかなメロディに変化させていって、仔竜の心も穏やかに導いていってみるわね

(怖がらないでね、この辺りの人は皆いい人達よ)

遊べそうなら一緒に空を飛んでみたいし早さや回避能力には自信があるけれど…
餌に間違われるくらいなら隠れたまま演奏するわ


ネラ・イッルジオーネ
普段でしたら敵は浄化する対象ですが、今回は生かして欲しいとの事なので、私に似合わないですが遊ばせて頂きます。

離れた所から伏せながら指をさして、ユーベルコード『サイコキネシス』で周囲にある大きな枝を1本を仔竜達に近づけて猫じゃらし?のようにして動かします。
もし枝に攻撃するようでしたら、精密に動かしてすべて避けます。
何度も避けていれば仔竜達も疲れて戻って行っていただけると思います。


海月・びいどろ
これは…、随分と可愛らしい竜の仔たち。
なれば戦うことを選択しなくとも、ボクの人形たちでもお相手が務まるでしょうか。

ゆらゆら、ぷかぷか。
たゆたう海月の人形を彼らに向けて、まるで泳いでいるみたいに操って
こわくないよ、あそぼうよ。
声を掛けてみようかな。

…魅惑の園へのお誘いも惹かれるものがあるけれど
ステキな人の口づけは、きっと照れてしまうよね。
ボクにはもったいないもの。

花のお祭りには興味があります。
キミたちも遊び疲れたら、ゆっくり花も見られるかな。



ネラ・イッルジオーネ(サンツィオーネ・ディ・アニマ・f06949)は、離れた場所から木によじ登っている最後の個体の様子を観察していた。
 目立たないように草木の陰に伏せると、仔竜がしがみついている木に向けて、すっと指先を向ける。
「普段でしたら敵は浄化する対象ですが…」
 大きな枝の一本を、ネラはサイコキネシスでゆっくりと揺らしてみせる。猫じゃらしのように動かして、遊ぼうという考えだ。
 自然の風とは違う動きと音に、仔竜が反応して枝の動きをじぃっと見つめてから――、幹にしがみ付いたまま、器用に枝に触ろうと手を伸ばす。
 鋭い爪で葉が傷つくことのないように、そして枝が傷むことのないように、ネラは器用に加減をして枝を操りながら、仔をじゃれさせていく。

「大人の狂暴な飛竜と戦った事もあるけど、ここの土地の子は頭が良くて穏やかなのね」
 共に空を飛んでみようか、それとも…、
 同じく木陰から竜たちの様子を見守っていたルビィ・リオネッタ(小さな暗殺者・f01944)は、少し考えてから妖精のフルートを取り出した。
 空を舞う二体とふたりに合わせるように、彼らの飛ぶリズムを奏でていく。
 ――ん…何となく掴めてきた。
 ルビィは演奏しながら感じていた。
 風に乗り、枝にじゃれつき、白い花弁と戯れる…きっと彼らは自然が大好きなのだと。

 その頃……傷も癒えて満足げにクリスタガーデンから帰還した一体が、幻想的な世界の中で遊び疲れたのか、若しくはルビィの奏でる音色に釣られたのか、ゆっくりとした足取りで花畑の傍へと戻って来た。
 空中での散歩を終えた二体も、仲良く地へと降り立つと、ネラが動かしている木の根元へ。
 その幹によじ登っていた――ネラが遊び相手をしていた個体だ――の一体は、長くじゃれつくのにいよいよ疲れたのか、ぽとりと地面に転がった。
 気付けば、自然と四体全ての仔竜たちが一か所へ集っていた。

そこへ海月・びいどろ(ほしづくよ・f11200)が、仔竜たちへと向けて、海月の人形を放つ。
「こわくないよ、あそぼうよ。」
 ゆらゆら、ぷかぷか。
 彼らの頭上を海月が優しく泳いでいく。
 見た事のない不思議な生物がふわふわと通り過ぎていく様子に、仔竜たちの視線は釘付けだ。
 時折手を伸ばしたり、飛びつこうとジャンプをしたりと微笑ましい姿をみせている。
 手繰る糸の先で海月を絶えずに動かしながら、そうっとびいどろが近くに寄ると、すっかり警戒心を解いたのか、仔竜がそろって彼を見上げてくる。
「ボクも花祭りには興味があるんだ。キミたちも遊び疲れたら、ゆっくり花も見られるかな…?」
 可愛らしい竜の仔たちへ、びいどろは優しく語り掛けた。

仔竜たちが落ち着いた様子を察すると、ルビィはフルートを優しく穏やかなメロディに変化させていく。
 囁くせせらぎ、穏やかな風、暖かい日差し、白くこぼれる…花。
 そしてゆらめく海月たち。
 白い花畑の周りは、猟兵達の作り出す優しい空気に満たされていた。

遊び疲れた竜の仔たちは、身体を寄せ合うと、すやすやと穏やかな寝息を立て始めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ワイバーン』

POW   :    ワイバーンダイブ
【急降下からの爪の一撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【毒を帯びた尾による突き刺し】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    飛竜の知恵
【自分の眼下にいる】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    ワイバーンブラスト
【急降下】から【咆哮と共に衝撃波】を放ち、【爆風】により対象の動きを一時的に封じる。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


どれ位の間、そうしていたのか。然程長い時間では無かったように思う。
 ひと眠りして疲れを癒した竜の仔たちは、満足したのか目を覚ますと四体揃って同じ方向へと翼を広げて飛び去って行く。

 ――おそらく、巣へと戻るのだろう。

 猟兵達は、彼らの巣に行方不明となった青年がいる可能性を想い出した。
 急いで仔竜たちの後を追いかけていく。



辿り着いたのは、丘の上、拓けたその場所に木々を集めた巣らしきものが伺える。
 山のように土が盛られ、傾斜となっている天辺の窪みに、仔竜達が降り立つのが見えた。
 登り切って中を覗くと、先程まで遊んでいた四体に囲まれるように男性の姿があった。
 行方不明になっていた青年で間違いないだろう。
 目立った大きな傷は無いが、少々衰弱しているようには見える。
「……っあ…!」
 猟兵達の存在に気付くと、怯えていたのか青年は上手く声が出ない様子で、助けを求めている。
 今行く、と巣の中心へ降りようとしたその時。
 大きな影が彼らを覆った。
 見上げれば、巨大な翼竜が視界を覆っている。

 ―この巣の主、仔竜達の親だ。
 
 退けなければ青年の救出は難しいだろう。
 幸い仔竜達とは、先程の交流で充分に信頼関係は築けているだろう。
 真っ向から戦って倒すか、隙を見て青年のみを救出するか、仔竜を利用するか。
 もっと違う方法も…あるだろうか。
 
 思考を巡らせながら、猟兵達は翼竜と対峙する。
アルト・カントリック
仔竜との遊びとは違うが、ユーベルコード【スカイステッパー】で飛竜の気を散らし、攻撃を引き付けて回避する予定。

行動が被った場合、交代制にするか、仔竜の角笛による演奏で、「仔竜と仲が良いアピールで戦意喪失」作戦を仔竜達に手伝って貰う。

ワイバーンの隙を作ることができれば満足。


ルビィ・リオネッタ
可愛い仔竜もこんなに凛々しくなるのよね…

隙をみて青年を救出するわ

親竜の注意が逸れた時を狙って『不可視の女王』で青年に接近

驚かせないように囁く
「安心して、助けに来たわ。言う通りにすれば大丈夫」

『不可視の女王』で青年の姿を消すわ
手を引いて誘導。青年にも【目立たない】ようにする技術を応用
青年の足音は消せないから、他の音がうるさい時を狙って巣からゆっくり引き離してから走らせましょう
安全な場所まで、ちょっと疲れるけど能力が途切れないように…

「ここまで来れば大丈夫ね」

万が一途中で見つかったら、能力を解除してアタシが竜の相手をしましょう
見切りと空中戦、残像を使ってドラゴンを青年から引き離すように行動するわね


花巻・里香
ここまでやってきたもの。竜達を傷つけずに青年を救出したいわね
流石に全てのUCを扱うのは厳しいものがあるわ
上手く足りないところを補えると良いのだけれど

魅惑の外装人形:
迂闊な動きをさせない、恐怖等で動けない身体を私が動かす目的で
青年を魅了し操作。
例え効力が僅かでも切欠ぐらいにはなるでしょう。
近くの動物達や仔竜を魅了し、注意を惹きつけさせる手もね。
その命を借りるからには死なせない様に誘導しないと

蘭花の饗宴:
目晦ましと他の猟兵の演出に、仔竜達も花には興味あるようだもの
私が生み出した花びらを舞い踊らせましょう
万が一攻撃された時は数で防ぐ狙いもあるのだけれど…その時がこないほうがいいわね。


海月・びいどろ
あの仔竜たちの親ならば尚のこと、出来ればあまり傷付けたくないよ。
電子録の中からコードを検索。
硝子海月のジェリーを電子の海から喚び出して
…お手伝い、お願いできる?

仔竜たちをまた遊びに誘って親竜の前で戯れている間に
技能の時間稼ぎ、迷彩の恩恵あれば
ジェリーに頼んで青年を巣から連れ出せないかな…。

距離が届きそうにないなら、逆にジェリーに仔竜たちを誘い出してもらって
ボクが助けに動いてみようか。
家族が傷付けられるのは、いたくてつらい、って
データの中にも、あるもの。
子供を守ろうと親がするかもしれないから
出来るだけ刺激しないように、怖がらせないように
少しで良いの、時間を頂戴。


ユノ・フィリーゼ
青年をいち早く助けたいけれど
竜達を傷つける事も出来ればしたくない
温和で賢いあの竜は親としての努めを全うしようとしているだけ
思う所は各々あるだろうけど、その意思は先に伝えておくね

…青年を連れてきたのはあの子達
嗚呼、ねぇそれなら
遊び相手、その人じゃなくて私じゃ駄目かしら?

夢幻の指先で己に触れ
自分の分身を呼び出せば巣の外へと向かう場所へ移動させるよ

先程一緒に遊んだ仔竜に
おいで、と誘う様に手招き声かけさせ
巣から離れる様に誘導を試み

子供が必要としているのはその人じゃないの
だから、お願い。その人を返して
誠意を持って親竜へと語りかけ

攻撃は見切りで
此方からは手を出さず回避に徹し、敵意がない事を伝える様努めるわ


ジョルジュ・ドヌール
餌にでもするつもりだったのでしょうか。仔竜のこともあるし、出来れば穏便に済ませたいですね。存在感を全面に押し出して僕のオーラで誘惑しましょう。なに、ドラゴンだって僕の愛からは逃れられませんよ。念のため肌が露出した部分には【保湿成分入り潤滑剤】を塗って摩擦を減らしておきましょうか。万が一にも爪に掛かっては傷を負ってしまいますからね。
視線をうまくこちらに向けさせたら、【ブラザーズ・トム】で作ったサキさんに男性の身代わりになってもらいましょう。いくらワイバーンとは言ってもいきなり獲物がいなくなったら周囲を探すでしょうからね。時間稼ぎは必要だと思いますよ……


一駒・丈一
さて、本依頼に参加してる里香の助太刀でやってきた。

飛び入りでの参加なので、美味しいところは他の者に譲るとして、
さて、俺は親竜の足止めに注力し、他の者が青年を救出する為の活路を開く手助けをしよう。

立ち回りは【SPD】重視。
主には、親竜に向かい、『殺気』を放ち、此方に注意を向けさせる。
その後、早業や2回攻撃で火力ではなく手数と速さ重視の攻撃を繰り返し行う。
敵の『飛竜の知恵』で回避されようとも、そもそもが足止めが目的なので問題は無い。
敵の強力な一撃が飛んできた場合は、『決して何事も為し得ぬ呪い』で攻撃を無効化する。

……後は、他の者がきっと上手くやってくれるだろう。



巨大な翼竜は見慣れない猟兵達を警戒してか、威嚇するように翼をはためかせ、時折頭をかすめるほどのギリギリの位置まで接近しつつ、此方の様子を伺っているように見える。

「可愛い仔竜もこんなに凛々しくなるのよね…」

 ルビィ・リオネッタ(小さな暗殺蝶・f01944)は親竜の姿を見上げるとぽつり呟く。
 巣の中で身を寄せ合っている、今は小さいあの無邪気な竜の仔たちも、いずれこのように大きくなるのだろう。
 それは、自然の摂理だ。ひとが壊して良いものではない。

 ―青年をいち早く助けたい…けれど、
 ―出来れば竜達を傷つけずに。

 ユノ・フィリーゼ(碧霄・f01409)、花巻・里香(クリスタリアンの人形遣い・f05048)の想いは、全ての猟兵達と共通していた。

 親が子供を守ろうとするかもしれないから―、
 出来るだけ刺激しないように、怖がらせないように。
 海月・びいどろ(ほしづくよ・f11200)の中に在る「データ」の情報。
 電子の海から拾い上げたそれは、しかしきっと、間違いなく現実にも存在する事を、彼女は感覚で感じ取っていた。
 …今目の前にいる、仔を護ろうと猟兵達を威嚇する、親竜から。

 そう、あの竜は親としての努めを全うしようとしているだけだ。
 ならば、彼らのするべきことは決まっていた。



最初に動いたのはアルト・カントリック(どこまでも竜オタク・f01356)だった。

「こっちだよ」

 スカイステッパーで空を蹴ると、翼竜の眼前まで一気に飛びあがる。
 気を引くように、数回くるりと回って距離を取るとその視線はアルトへと固定され、翼竜は彼女を追い掛け始める。

親竜が巣から離れたのを見計らうと、ルビィが巣の中心へとすぐさま滑り降りる。
 びいどろは電子録から硝子細工の海月ジェリーを呼び出して、彼女の後を追わせるようにふわりと仔竜の頭上へと飛ばした。
 仔竜達がジェリーへと気を取られて飛びつく隙にルビィが青年に近づくと、彼は恐る恐る口を開く。

「あ、貴方達はっ…、」
「安心して、助けに来たわ。言う通りにすれば大丈夫」

 ルビィが囁くように声を掛けてると、目立たぬように不可視の女王を青年へとかける。
 まずは此処から出ましょうと青年の手を引くが、腰が抜けているのか中々立ち上がる事が出来ない。
 上手く動けない様子の青年を見ると、里香は手にしたからくり人形を外装として体に纏った。怯えて強張った青年の身体を魅了で動かそうと試みる。
 若干距離はあるものの、里香の魅了は届いているようだ。ルビィに支えられながら、青年はゆっくりと巣を這いあがり始めた。

 ジョルジュ・ドヌール(咎人が来たりて咎を討つ・f05225)は、上から青年たちが動き出したのを確認すると、巣の中心にデジカメを片手に持った黒縁眼鏡の男を召喚する。
 彼のユーベルコードのひとつ、ブラザーズ・サキだ。

「時間を稼ぐ間、サキさんに身代わりになってもらいましょう。」

 視界から獲物が忽然と居なくなったとなれば、もしも親竜に気付かれたときに警戒心は強くなる。
 仔竜達は目の前を揺蕩う海月に夢中で、青年がすり替わった事に気付いてすらいない様子だ。
 これなら見目には多少の差があろうとも、救出までの間の時間稼ぎには充分だろう。



勢いをつけて降下したワイバーンから、咆哮と共に衝撃波が繰り出される。
 ドン!と耳を塞ぎたくなるような大きな音と共に、強い爆風が起きるが、里香の生み出した蘭の花弁が猟兵達と青年・仔竜達を粉塵から守った。
 目くらましになればと展開していた花に擬態したからくり人形だったが、功を制したようだ。
 仔竜のブレスとは比較にならない程の、強い衝撃。
 巧みに宙を蹴って直撃は免れたものの、間近に繰り出された攻撃に僅かに身体の痺れを感じたアルトは、スカイステッパーの使用を中断すると地へと降り立った。
 彼女の誘導で、充分に青年が巣から抜け出す時間は作れた。此処からは交代だ。

里香の助太刀にと巣へ駆け付けた一駒・丈一(金眼の・f01005)は、竜に向けて殺気を放ちながら、翼竜の真下へと向かった。
 アサルトウエポンを構えると、翼竜へ僅かに方向を逸らしながら素早く攻撃を数回放つ。
 翼竜の持つ『飛竜の知恵』は、自らの眼下にいる攻撃を回避する。即ち、敢えて足元へ潜り込めば傷つける事なく足止めが可能だ。
 攻撃から逃れた翼竜は高く上空へ飛び上がると空中で一回転し、丈一へと向かって一気に急降下していく。
 回避からの反撃までを予測済みである丈一は、その一連の竜の動きを受け入れる様に、己に咎人の怨嗟を纏っていく。

「俺の忌まわしき宿命を、今この場にて顕現させる。」

 ――それは、決して何事も為し得ぬ呪い。断罪人の姿。

 翼竜の鋭い爪が丈一へと降りかかるが、その身体には傷ひとつ付かない。
 尾を振り上げて刺すことも叶わず、翼竜は丈一を傷つける事を諦めて、翼をはためかせるとぐるりと方向転換する。
 足止めは、充分に出来たはずだ。

「…後は、他の者がきっと上手くやってくれるだろう。」

アルトと丈一に翻弄されて飛び回った翼竜は、疲労が蓄積されたのか、巣の傍らへと再び舞い戻ってくる。
 その視界には、続けてジョルジュが立ち塞がった。

「次は引き受けましょう……ドラゴンだって、僕の愛からは逃れられませんよ。」

 ジョルジュは翼竜の鋭い爪が万一触れても深手を負わぬように、自らの肌が露出した箇所に保湿成分入り潤滑剤を塗ると、竜に向き直る。
 今にも飛び掛かりそうな翼竜へと、誘惑するように己のオーラを全開に解き放つ。
 その存在感は、圧倒的であった。
 飛び掛かる事も忘れた翼竜の視線がジョルジュへと釘付けになる。更に海月に夢中だった仔竜達に脱出中の青年までも、多くの視線がジョルジュへと集中する。

 ……思わずジョルジュに魅入ってしまいそうになるが、この期を逃す術はない。 
 ルビィと里香に誘導された青年は、その隙に、無事に巣の外まで這い出すことに成功した。

「ここまで来れば大丈夫ね」

 ほっとしたようにルビィが胸を撫で下ろすと、魅了が解けた青年も地面にへたり込む。労わるように里香がその背を支えた。
 青年の無事を確認したユノは己の身体に指先で触れ、夢幻の指先を発動させる。現れたのは、彼女と全く同じ姿のユノの分身。
 彼を連れてきたのは、仔竜達だ。彼らの遊び相手にするために。それならば次にすることは…、

「遊び相手、私じゃ駄目かしら?」

 手招きをしながら、仔竜達へ向かって声を掛ける。
 先程まで彼女と一緒に遊んでいたのを覚えていたのだろう、気づいた一体が目を輝かせてユノの元へとゆっくり近づいてくる。
 それに釣られたように、残りの3体も一斉に動き出す様子を分身も利用しながらユノは巣の外へと誘導していく。



長い牽制と、猟兵達の連携の末―。
 ジョルジュの魅了により興奮が収まった様子の親竜は、猟兵達からの直接傷つける攻撃が来ない事。
 仔竜達も無傷なまま、いつの間にか仔竜達が巣の外へと這い出して彼らに甘えている事に気付いた様子で、訝しむように巣の傍へと降り立った。

 ――伝えるなら、きっと今だ。

 仔竜達との良好な関係を伝える為に、アルトが角笛を取り出し吹き始めると、仔竜はそれに合わせてころりと転がり始めた。
 その姿を、親竜はただ静かにじっと見つめている。
 ユノは竜に近づき前に立つと、その目を見ながら語り掛ける。心に誠意を灯して。

「子供が必要としているのはその人じゃないの」
「家族が傷付けられるのは、いたくてつらい、ってデータの中にも、あるもの」

 びいどろも、仔竜に近づくとジュリーを使って戯れ始めながら続ける。
 子供たちはきっと遊び相手が欲しかっただけだ、そしてそれは、青年でなくてはならない訳ではない。
 そして互いに傷つけあう必要は、此処にはないのだと。
 役割と終えて翼竜の様子を伺っていたジョルジュ、丈一も彼女たちの説得の様子を見守っていた。

 ――だから、ボクは…私たちは。貴方達を傷つけるつもりはない。青年を返して欲しいだけだ。

 数分か、数秒か…それはとても長い時間に思えた。風の音だけが耳に伝わる暫しの沈黙の後、
 親の翼竜は、ユノの額に僅か一瞬だけ鼻先を触れさせるとそっと離れて空へと舞いあがる。
 ふわりとした頬を撫でる優しい風に先程までの殺気はなく、翼竜は巣の周囲を穏やかに飛び始めた。

「解って、くれた…?」

 誰ともなく、ぽつりと呟いた。
 猟兵達は顔を合わせて頷くと、里香は微笑み、生み出した蘭花を空へと放つ。
 竜の起こした風に乗って舞い踊る花弁は、異種同士の心のつながりを祝福しているようだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『指輪と邪魔者』

POW   :    パワーで指輪を回収・場を盛り上げる

SPD   :    スピーディーに指輪を回収・場を盛り上げる

WIZ   :    スマートに指輪を回収・場を盛り上げる

👑11
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


ふたたびの翼竜たちとの戯れも終えて、青年を連れて村へと帰還した猟兵達。
 彼らが到着したころには、日が傾き始めていた。

 青年にも目立った怪我はなく、村人たちに翼竜たちの話を伝えると、彼らは安堵したように溜め息をついた。
 きっとこれから先、彼らは大きな問題となるような悪戯は起こさないだろう。

 そういえば祭りはいつなのかと青年に問えば、なんと今晩なのだという。
 助けて貰ったお礼もかねて、夜までに身体を休めて是非祭りを楽しんで欲しいと。
 間に合って良かった、というほっとした想いと共に、どんな祭りなのだろうか…期待に猟兵達の胸が高鳴った。



日も落ちて、村に灯りが点り始める夜。
 笛に弦楽器、打楽器が奏でる音が耳に届き始めた。祭りの装いで着飾った人々が村の中央の広場に集まっていく様子が見える。

 同じ服をまとった青年も、猟兵達を見つけると嬉しそうに駆け寄ってきた。その手には白い花弁で埋まった籠が抱えられている。
 籠はひとりにひとりずつに渡される。
 これをシャワーのように空へ撒きながら人々の幸せと、日々の糧に感謝をするのだという。

 会場となる村の広場は、白い花が詰まった大きな花籠、テーブルに並べられた料理やお酒・飲み物の数々、綺麗に装飾が施された植木やランプで彩られる。
 そしてこの花祭りのメインイベントは、実は花ではなく『指輪探し』。
 必ず広場中のどこかに、指輪が幾つか隠されている。
 木々の装飾の間、広場に置かれた花籠の中、料理のプディングの中に隠されている場合もあるらしい。
 ちなみに指輪は知恵を働かせて人から奪い取っても良いそうだ。毎年、特に若い女性たちの間で密やかに争奪戦が繰り広げられているらしい。勿論のこと、大きな怪我のないようにだが。
 祭りが終わる時に、指輪を手にしていられたひとは、願いがひとつ叶い幸せが訪れると伝えられている。

 折角のお祭りだ。青年たちと同じ、この村の伝統的な花祭りの装いをしてもいいし、好きな服を着てお洒落をしても良いかもしれない。
 指輪探しに参加したり、料理を楽しんだり、思い思いに楽しんで過ごして欲しいと青年は笑って猟兵達を会場へと導くのだった。
アルト・カントリック
「色々あったけど、結局、楽しかったな…」
様々な料理を口に運び、顔をほころばせながら、一連の出来事について思いを馳せる。

本来、オブリビオンとは倒すべきものだ。グリモア猟兵の言葉が無ければ、問答無用で倒していただろう。

アルトにとってはありがたいことだった。

嬉しいことはもう一つ、仔竜の親が出てきた時は一触即発で、自分と意見が違える可能性を覚悟していた。しかし、事件は無事解決。

気の合いそうな猟兵達と出会えて、心の底から嬉しかった。

指輪を適当に探して、料理のあるテーブルを転々とするのだった。

(ユメコ・セキエイさんも一緒に参加しましょー)


花巻・里香
指輪探し、ね。魅惑の外装人形や誘惑を駆使すれば手に入りそうだけれど
流石にそれはないわよね、だから私は不参加よ。
のんびりと指輪探しの様子を観戦させて貰うわね。
でも恋する女の子にはちょっとだけ手助けしてもいいわね。

…事前に誘惑の手管を村の女性全員にアドバイスするのもそれはそれで面白そうなのだけれど。
その時はその時。良い夢みたと思って諦めなさい、男達。

偶々指輪を手に入れたのなら、仔竜達の幸せを願って花と共に天高く投げましょう。
直接竜の巣へ指輪を渡しに行くような騒ぎは起こせないけれども、願いだけでも届きますように。



高い笛の音と花で彩られた櫓から白い花弁が降り注ぐのを合図に、年に一度の花祭りが始まった。

 待ちきれずに一足先に会場を訪れて、猟兵達を迎えたユメコが誘いを受けて幸せそうにテーブルに並ぶお菓子を頬張りながら『今日の事を聞かせて』と目を輝かせる様子に、料理を口に運びながら、アルト・カントリック(どこまでも竜オタク・f01356)は想いを馳せながら語り始める。
 そう、たった一日のうちに起きたと思えない程に、様々な出来事があった。
 仔竜と戯れ、親竜と心を通い合わせて、今こうして祭りの中にいる。

 ―本来、オブリビオンとは倒すべきもの。

 猟兵として、自然とそう刻まれているかもしれない。
 しかし、竜好きである事も含めて『彼らを傷つけない』選択肢は彼女にとって喜ばしい事だった。
 ひとが集えば、その数だけ正義の形があるものだ。
 自らの想いと違える覚悟もしていたからこそ、気の合う猟兵達と出会い、共に解決へと導くことが出来た事をアルトは心の底から嬉しく感じていた。
 上機嫌で皿に乗せたプディングをフォークで割ると――カツンと小さな音。

「あら、指輪…!ふふ、こんなところにあるなんて」

 覗き込んだユメコが小さく祝福すると、指輪に視線を落としてアルトもそっと微笑んだ。 

花巻・里香(クリスタリアンの人形遣い・f05048)は村の夢見る少女たちへ、恋の手助けをしていた。
 意中の彼から花のダンスに誘ってもらうには?今日こそ、あの人に振り向いて貰うの…!そんな甘酸っぱい願いへと、里香からささやかな誘惑の手管をご教示。
 さて今夜は特別な色香を纏った彼女たちに、何人の男が虜になってしまうのか。
 …その時はその時。良い夢みたと思って諦めなさい、男達――なんて、意気込む少女たちを見送ってから、会場の隅で祭りの様子を眺めていると。
 コロコロと里香の足元に転がってきたのは、小さな銀の輪。

 「あら、これは……指輪?」

 一体どこから飛んできたのだろうか。
 拾い上げたそれは、きっとどこかで行われている争奪戦から、彼女の元へと命からがら逃げ出してきたようにも見えて、思わずクスリと笑みを浮かべた。
 元より指輪探しは参加せずに見守るつもりだったのだが……灯りに輝く銀を眺めてから、里香はふわりと蘭花を纏うと、

 ――花達と共に、星の瞬く空へと天高く指輪を投げた。

 竜の巣へと届けに行くことは叶わないから、せめてこの花咲く夢の世界から。どうか、この願いが届きますように。
 あの小さな竜の仔たちへ、幸せを願って。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

伊兵・ミカ
伝統的な花祭りの服を着たい、かな
こういう機会ってその場の出会いっていうから
ちょっと恥ずかしいけど

花の入ってる籠を持って花をまいてくよ
指輪を見つけた人にまいてあげたら喜ぶかな?
あとはめでたいことがあった人とかにも

楽し、んでるよ、うん
ちょっと眩しいくらいだ
こういう嬉しいことやしあわせなことがどんどん増えていくんだなーって思うと、くすぐったいし俺でいいのかなって思うけど
幸せなのは、いいことだから

アドリブ、絡み歓迎


海月・びいどろ
竜の親も子供たちも無事で、よかった。
胸の内に灯る、このあたたかなものは何だろう?
心地よい安堵感。ほっと、する。

折角だからと着込んだ花祭りの装いと
花の香りがまた優しく癒してくれるようで
データとして電子の海をただよってた頃とは随分違うみたい。
不思議な感覚…。

指輪は、女の子とってたいせつなものなんでしょう?
だったらボクは、それを眺めていようかな。
自分の手でしあわせを掴むところを。
きまぐれに見つかっても、運というやつ、だよね。

助かった青年や、指輪の勝者、戦ったみんな。
それにドラゴンたちがいた方にも、花弁を撒く。

ボクがデータからヒトのかたちとなって
はじめて見た、キミたちのつながりに――祝福と感謝を。



花祭りの伝統衣装に身を包んで、伊兵・ミカ(PigeonBlood・f05475)は花籠を手に会場の中を周っていた。
 一期一会、こうした機会は出逢いの場でもある。
 楽しめていますか、と猟兵達を気に掛ける青年が傍へとやってきてミカに声を掛ければ、彼は控えめにはにかんだ。

「楽し、んでるよ、うん」

 自分にはちょっと眩しいくらいだけれど。
 指輪を見つけたらしく嬉しそうにはしゃぐ村の少女へ駆け寄り、白のシャワーを贈りながら。おめでとう、と声を掛けると『ありがとう!』と、これ以上にない幸せそうな笑顔が返ってくる。
 気さくで暖かい村の人々、各々想いを馳せながらゆったりと楽しむ猟兵達の姿を見渡して、ミカは目を細める。
 優しさには優しさが、笑顔には笑顔が返ってくる。
 嬉しい事や幸せな事が連鎖して、どんどん増えていくのを心と肌で感じていた。そんな風に幸せを感じるのが…

 「くすぐったいし、俺でいいのかなって思うけど」

 なんだか気恥ずかしそうに呟くミカに、何処からともなく花がぱっと降り注いだ。
 答えは、いうまでもなく応である。
 だって幸せなのはなによりも素敵で、良い事だから。

――胸の内に灯る、このあたたかなものは何だろう?

 どこかほっとするような、心地よい安堵感。
 これはきっと、親も仔もすべてが無事で良かったと感じる、心の底から湧き出る想いのひとつだ。正確に表す為の名は、まだ解らない。
 海月・びいどろ(ほしづくよ・f11200)も花祭りの装いで、月明かりに光る白花の香りを身に纏う。
 ゆるりと過ごす姿に、あなたは指輪はいいの、と傍にいたミカと青年に問われれば、びいどろはふわりと微笑して答える。

「指輪は、女の子とってたいせつなものなんでしょう?……だったらボクは、」

 それを眺めていたいと。ひとが、自らの手で、幸せを掴むその姿を。
 そうしてすべてを祝福するように、びいどろは花籠から白い花弁を空へと撒いていく。
 助けた青年へ、花祭りの指輪の勝者へ、この日共に戦った仲間たちへ。そして、出会った小さな竜たちが集うねぐらへと。

 彼女がデータとして電子の海を漂っていた……まだ『ヒトのかたち』を得ていなかったあの頃には、感じられなかったモノ。
 それは初めてみた、ヒトのつながり。
 目には見えない、しかし暖かく心を灯すその縁の交わりに、祝福と感謝を籠めて。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ジョルジュ・ドヌール
それぞれの世界の他愛無い日常を護る、それこそが僕たち猟兵の在るべき姿だと改めて感じさせる……そんな素敵な光景だね。さて、この初心にも似た甘い感傷を忘れないためにも、今日の風景は是非とも記録に残しておいておくれ。
サキ君の手にしたハンディカメラで記録した内容は、僕の義眼――【万象映し出す翡翠】に保存されるからね。ホラ、瞳を閉じればこの情景が瞼の裏に浮かんでくるんだ……そうでもしないと、僕は僕でいられなくなるからね。


ルビィ・リオネッタ
綺麗で楽しい夜
自然とともにある村…本当に素敵ね

幸せは自分で掴むもの、だから指輪はたまたま見つけたらラッキーくらいに思っておくわ
気の抜けない猟兵としての生活だもの
今感じている自由と幸せで十分…なんて気もするの

花祭りの装いをして、広場の上空から花弁を撒くわ
様子を見計らって一曲踊ろうかしら?

誰も斬らない攻撃回数ゼロの『死の舞踏』
つる薔薇のレイピアを光にきらめかせ、そこに流れる音楽を体の動きで表現するわ

祭りの終わりの寂しさも嫌いじゃないわ
仔竜たちも夢を見ている頃かしら?
フルートを取り出し、音楽演奏で町の外に向けて吹く

今日のお祭りと、夜色の草原、密やかに輝く星…

(楽しい一日をありがとう、おやすみなさい)


ユノ・フィリーゼ
賑わいの音と共にそらを舞う白花
それは夜闇を照らし降り注ぐ、光の雨の様
あの青年も誰も彼もがとても良い顔をしていて
この景色を、笑顔を
守る事が出来て良かったと心からそう思った

貰った籠を手に村の中を一回り
祝福を歌い、時に指輪探しに興じつつも
見つかったら必要な子へと手渡し
私には必要ないの。幸せはもう沢山貰ったから

賑わいから離れた場所
空をよく見渡せる所へ足を進め腰を下ろす

空を見上げ思うのはあの竜の親子達のこと
そっと額に触れれば、ふと笑みが零れた

彼等とまた同じ空を歩めたらいい
いつかの再会を夢見て、空に歌う
この願いは自分の力できっと叶えてみせるわ

残る白花を夜風に乗せて
過ぎ行く日々、そしてこれからの日々に祝福を



指輪を探して回る恋を夢見る少女、花を撒いて祝福を与える青年、音楽に合わせて踊る恋人たち――。

「今日の風景は是非とも記録に残しておいておくれ。」

 ブラザーズ・サキで黒縁眼鏡の青年を召喚したジョルジュ・ドヌール(咎人が来たりて咎を討つ・f05225)は、楽しむ人々の様子を眺めていた。
 そして賑やかな祭りの情景を、サキの手にしたハンディカメラで義眼――【万象映し出す翡翠】に納めていく。
 記録された情景は、深い碧の瞳を閉じれば、彼の瞼の裏へと浮かんでくる。

――それは彼が彼であるために、必要な記録。この世の、理。

 それぞれの世界に当たり前にある、他愛無い日常、不変の幸せ。この暖かな祭りも、大切なそのひとつだ。
 しかし時として、それらはオブビリオンの脅威にさらされる。一瞬で全てが奪われ、絶望の底へと突き落とされる人々も確かに存在しているのだ。
 だからこそ、この日常を護る……それが猟兵達の在るべき姿だと、ジョルジュは改めて感じていた。
 初心にも似た、この甘い感傷を忘れないために。

 色とりどりのランプに照らされ、明るい音楽が広場を包み、祝福の白花が空から舞うこの日を、この夜を。
 覚えておこう、ずっと。



夜は更けて。
 花祭りも終わりに近づき、もうじき、静けさが村を包もうとしている。

花祭りの衣装を纏ったルビィ・リオネッタ(小さな暗殺蝶・f01944)は、空を舞い広場の上から花弁を撒いていた。
 気の抜けない猟兵としての生活……だからこそ、だろうか。幸せは自分で掴むもの、そして今、己の手に掴める自由と幸せで十分だと感じている。
 指輪を探しだし、喜び笑い合う少女たちの事をそっと見守りながら、彼女は微笑む。

 最後の曲が始まると、ふわりと降り立ち、ルビィはテンポに合わせて踊り始める。それは命の育みを表現した、柔らかな円舞曲。
 音楽を身体で表現するように、軽やかに舞う。月夜とランプ、輝く花弁の光にきらめくレイピア。
 今は誰も傷つける事のない、生あるものへ捧げる、つる薔薇の舞踏。

 曲が終われば、拍手を浴びながらちょんと一礼するとルビィはひらりと会場の外まで飛び立った。
 僅かに残った笛の音が、どこか遠く聞こえる……祭りの終わりの寂しさも、嫌いじゃない。

「仔竜たちも……夢を見ている頃かしら?」

 そっと呟くとフルートを取り出して、町の外に向けて彼女の曲を奏で始める。
 それは仔竜達へと贈る、優しき音色。
 祭りの想い出、夜色の草原、そして密やかに輝く星…どうか風に乗って、この想いが届くようにと。

――楽しい一日をありがとう、おやすみなさい。

 ユノ・フィリーゼ(碧霄・f01409)は、賑わいからそっと離れて空が見渡せる高台へとやってきた。腰を下ろして、祭りの出来事を思い返していく。
 助けた青年も、村の少女たちも、誰も彼もが幸せそうに過ごしていた。

 ――この景色を、笑顔を。守る事が出来て良かった、と。

 祝福を歌い、村の中を周りながらユノは想った。
 幸せはもう沢山貰ったから私には指輪は必要ないの、と笑った彼女に、村人たちは欲がないねと冗談めかして優しく笑った…。

 想い出して、そっと微笑する。ふと、空を見上げて浮かんだのは竜の親子たち。
 自分の額にそっと触れると、感触を想い出して、ふと笑みが零れた。
 仔竜と駆けたあの空を、また彼らと共に歩めたら。心を通わせて、触れ合うことが出来たなら――。

「この願いは、自分の力できっと叶えてみせるわ」
 
 己への誓いと願いを籠めて。
 籠に僅かに残った白い花弁を、掌へ、そして夜風へ乗せて。
 いつかの再会を夢見て、優しき少女は空に歌う。
 どこからか届く、聞き覚えのある、暖かなフルートの音色に乗せて。

それはほんの一日、されど、どんな日々よりも長く、暖かく…幸せな。
 花の降る日に起きた、猟兵達のひとつの物語――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年01月08日


挿絵イラスト