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空から届くハッピーギフト

#スペースシップワールド #【Q】 #お祭り2019 #夏休み

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 猛暑が続くが夏も折り返し地点を過ぎ、暦の上ではもう秋だ。
 だが、まだまだ遊び足りない。夏の海と空をもっと感じたい。夏休みを満喫したい!

「夏も後半戦ですね。毎日暑くてお疲れの方も多いと思いますし、海辺でのんびりと過ごしませんか」
 水着姿で浮き輪を抱えた岡森・椛(秋望・f08841)は猟兵達に声をかけ、説明を始めた。

「スペースシップワールドのリゾート船のことは皆さんもよくご存知だと思います。その中のひとつ、『ドリームアクアマリン号』もとても素敵な場所です」

 何処までも続く白砂ビーチとエメラルドグリーンの海。ビーチのすぐ傍にはリゾートホテル風の施設が建てられており、そちらでもプールや飲食を楽しめる。

 エッジオフのインフィニティプールは、風景と一体化して泳ぐことができる。海と空とプールが溶け合い、無限の広がりを感じられるだろう。

 ウッドデッキエリアでは、目の前で作ってくれるフレッシュジュースを中心としたドリンクや、瑞々しいフルーツ盛り合わせも用意されている。プール越しに海と空を眺めながら、パラソルの下でチェアに寝そべってのんびりと過ごせば、きっと日頃の疲れも癒されるだろう。

 また、この船はジェラートが美味しいことで有名だ。
 定番のミルクやチョコレートの他に、苺、マンゴー、白桃、レモン、ピスタチオ、キャラメル、ティラミスなど種類は豊富で、塩フレーバーのブルーソルトや、キュウリや山椒などの少々変わったジェラートも取り揃えられている。ダブルでもトリプルでも、好きなものを好きなだけオーダーしよう。

「そして、この船の人気スポット『ハッピーギフト』もおすすめです!」

 入船する際、ドリームアクアマリン号にようこそと手渡される金色のコイン。『ハッピーギフト』と呼ばれているスポットにある小さな泉に、願いや祈りを込めてそのコインを投げ入れると、その人にとってのラッキーアイテムがふわふわと空から降ってくる……というものだ。
 各々の言葉や想いを感知したAIによって選ばれたものがパラシュートで届けられるというシステムらしい。

「ラッキー占いというか、くじ引き? 運試し? そんな感じですが、なんだかわくわくしますよね」
 すごく人気があるのも頷けますねと、椛は楽しそうに笑う。

 もうすぐ夏は次の季節へとバトンを渡す。その前に、眩い光の中で今年の夏の思い出を作ろう。
 楽しんできてくださいねと、椛は猟兵達に微笑んだ。


露草
 露草です。
 夏の海辺に遊びに行きませんか。

 ※このシナリオは【日常】の章のみでオブリビオンとの戦闘が発生しないため、獲得EXP・WPが少なめとなります。

 海や砂浜やプールで自由に遊べます。
 ウッドデッキエリアは日陰となっておりますので、涼しくて過ごしやすいです。

「砂浜を歩き、ジェラートを食べてからハッピーギフトに行く」という感じで、複数の行動をなさっても大丈夫です。興味を持ってくださったことをめいっぱいお楽しみください。

 アドリブ多めになると思いますので、アドリブが苦手な方はお手数ですが一言記載をお願いします。

●服装
 水着でも、それ以外でもご自由にどうぞ。

●ジェラート
 OPに書かれたもの以外にも色々な種類があります。好きな味を自由にオーダーなさってください。

●ハッピーギフト
 願い事やお祈りの内容はなんでもOKです。
 ただ、声に出さずに心の中で思うだけでも構いませんので、必ずプレイングに内容を明記してください。お願いします。
 空から何が届くのかは事前には分かりません。ギフトを受け取った時のお楽しみです。(アイテム発行はありません)

 もしもお誘いをいただけた時は岡森・椛(秋望・f08841)も登場します。

 プレイング受付やリプレイに関するお知らせがある時はマスターページに記載しますので、お手数ですがご確認をお願いします。

 【8/8(木)AM 8:30】より、プレイング受付を開始致します。
 どうぞよろしくお願いします。
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第1章 日常 『猟兵達の夏休み』

POW   :    海で思いっきり遊ぶ

SPD   :    釣りや素潜りに勤しむ

WIZ   :    砂浜でセンスを発揮する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

榎・うさみっち
※水着コンの水着姿で

うっひょ~!ジェラートがいっぱい!
俺は欲張りだからな、色々食べちゃうぜ!
てわけでひとつのコーンにダブルで乗せてもらう
まず1つ目は俺の中で不動の地位を誇る抹茶!
あと1つは…あー悩む!
王道のバニラやチョコ、爽やかなイチゴやオレンジ…
悩んでキャラメルをチョイス!
これ食べ終わったらまた次を食べに来るぜー!

ジェラート堪能したらハッピーギフトにもGO
願いが叶う何たら~っていうのはよくあるけど
実際にアイテムが出るとはさすがスペースシップワールド!
俺の願いは億万長者……もあるけど
『うさみっちゆたんぽが全世界の人に行き渡りますように』
自身の特製ゆたんぽを抱っこしつつ手を合わせてお祈り




 青い空と白い雲、透き通る海、そして照りつけるような日差し。作りものではあるが、その輝きは眩しい夏そのものだ。

 榎・うさみっち(うさみっちゆたんぽは世界を救う・f01902)は、背中の透き通った翅をはためかせながら白い砂浜からウッドデッキエリアへと移動していた。

 愛らしい美少年によく似合うグレコタイプの水着は、空と雲と同じ色の青と白のボーダー柄。胸元のうさぎのワンポイント柄も可愛く、赤いサンダルにも同じうさぎの飾りが付いている。手にした赤い浮き輪にもうさぎが描かれており、ふわふわと飛んでいる姿はまるで宙を泳いでいるようだ。

 到着したのは美味しいと評判のジェラートの店。ショーケースの中に並んでいる色とりどりのジェラートを覗き込み、うさみっちは眼をキラキラと輝かせた。
「うっひょ~! ジェラートがいっぱい! 俺は欲張りだからな、色々食べちゃうぜ!」

 そんな訳で、ひとつのコーンにダブルで乗せてもらうことにする。
「まず1つ目は俺の中で不動の地位を誇る抹茶!」
 やはり抹茶味は最強だ。一口に抹茶と言っても店によってその味や余韻の強さは大きく異なり、その違いを楽しむのも醍醐味である。
「あと1つは……あー悩む! 王道のバニラやチョコ、爽やかなイチゴやオレンジ……」
 うさみっちは頭を抱えて悩んだ。食べてみたいものばかりでなかなか決められない。

 悩んだ末にキャラメルを選んだ。フェアリー用のミニサイズコーンに盛られたジェラートはとても美味しそうだ。
「これ食べ終わったらまた次を食べに来るぜー!」
 店員に笑顔で宣言し、うさみっちはすぐ傍のチェアに腰掛けてジェラートを食べ始める。蕩ける甘さの中に混ざり合う抹茶とキャラメルのほのかな苦味がたまらない。あっという間に食べ終えたうさみっちは、次のジェラートを求めて店の前へと飛んで行った。

 気になる味は全て食べ終え、大満足だ。よし次はと、ハッピーギフトにも行くことにした。
「願いが叶う何たら~っていうのはよくあるけど、実際にアイテムが出るとはさすがスペースシップワールド!」
 どういう仕組みなのかはよく分からないが、なかなか面白そうなシステムである。うさみっちは金色のコインをじっと眺める。

「俺の願いは億万長者……もあるけど……」
 それよりも、もっと強い願いがある。
 うさみっちはコインを泉へ投げ入れ、自身の特製ゆたんぽを抱っこしつつ手を合わせて祈った。

『うさみっちゆたんぽが全世界の人に行き渡りますように』

 うさみっちゆたんぽ――それはかつて、とある場所で販売開始された、ジト目が可愛い桃色たれウサ耳付きの少年のぬいぐるみゆたんぽだ。
 夜なべして作ったゆたんぽに命が宿った存在、それがうさみっちなのだと、うさみっち本人と製作者は主張する。そしてうさみっちの夢は、全世界のご当地うさみっちゆたんぽを作って流通させることなのだ。

 しばらくすると、上空でゴトンと音がして何かがふわふわと降りてきた。うさぎの絵が描かれたパラシュートだ。うさみっちが着地した荷物を確認すると、大きな箱の中にうさみっちゆたんぽ……を模したマスコットキーホルダーがたくさん入っていた。多分5ダースくらいある。可愛く個包装されており、箱の中で綺麗に整列している。
 出来はとても良い。非常に可愛い。だが。

「どうしてマスコットキーホルダー……」
 全世界に流通させ、行き渡らせたいのはうさみっちゆたんぽなのに、 何故。だが唐突に、うさみっちはその真意に気づいた。今は真夏だ。この時期に好んでゆたんぽを買い求めるものはごく少数派だろう。

 それならば、ゆたんぽの季節が始まる前にこのラブリーなマスコットキーホルダーを多くの人々に無料配布することで、うさみっちファンになった人が「あれ、このマスコットのゆたんぽがある! 買っちゃおう!」と、うさみっちゆたんぽを購入するかもしれない。「あ! あの子が持ってたマスコットと同じゆたんぽだ。このキャラ好きみたいだし、プレゼントはこれがいいかな」と、クリスマスの贈り物に選ぶかもしれない。それで体と心が温まったり、友情が深まったりすると、なんやかんやで世界平和にも繋がる。そうしてうさみっちゆたんぽは世界を救う。
 要するに、壮大な計画の為の販促品なのだ。良い品は興味を持ってもらうことが重要である。

「この短い時間でそこまで考えてこのマスコットキーホルダーを作り、さらに個包装までするとは……さすがスペースシップワールド!」
 勝手に作ってしまうのは著作権的にはどうなんだとほんのちょっぴり思ったりもしたが、謎の超技術にうさみっちは感服した。夢の実現に向けて一歩……いや半歩……もしかしたら十分の一歩くらいは前進できたかもしれない。

 そしてふと考える。
「億万長者になりたいと願っていたらどうなっただろう……」

 いつかまたこの船を訪れる機会があれば、今度はそう願うのもいいかもしれないとうさみっちは思った。きっとなにか、ちょっぴりハッピーになれるものが空から届けられるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エンジ・カラカ
冷たい冷たいジェラート。
で、ジェラートってなーに?
モミジモミジ、ジェラートっておいし?

アァ……オススメはー?
コレはジェラートを知らないからなーんでも食べたい。
キュウリ……?山椒……?甘いのだけじゃあないンだなァ……。
不思議不思議。

コレの好きなモノは、この前話したラムネ
今のブーム。
それから……甘くないヤツ。
すっごーく甘いのは苦手なンだ。
モミジは何を選んだ?甘い?

冷たいジェラートは夏には丁度イイ。
すぐに無くなってしまうのが勿体無いケドなァ……。
今年の夏はラムネの他にジェラートも覚えた覚えた。

アァ……まだまだ他にもイイモノはありそうダ。




 青空が広がっている。気温は高いが、湿度が低い為だろうか。爽やかで過ごしやすい。
太陽と海の眩しさに目を細めながら砂浜を歩いていると、つい数日前にかき氷を一緒に食べた相手が波打ち際で足を浸していた。

「モミジ、ハロゥハロゥ」
 エンジ・カラカ(六月・f06959)はその相手に声をかける。
「エンジさん! また会えましたね!」
 よく知る声に顔を上げた岡森・椛(秋望・f08841)は、小さく手を振りながらエンジに駆け寄った。
「元気元気ー?」
「もちろんですよ! 海が綺麗だなって眺めてました」

「アア、海、海。広いなァ……。なァ、賢い君? みてみて、海、海、海」
 大切な相棒がいる胸元に視線を落とすエンジ。あの時、エンジと椛はかき氷を食べて海の話をした。それから数日後には海辺で再会して、巡り合わせとは面白いと思う。それに先日は光の浅瀬で仲間達と貝殻探しを楽しんだ。夏らしい夏を過ごしたコトが無いと言っていたエンジに夏の思い出がひとつずつ増えていく。

「でも暑くて……だから今から冷たいジェラート食べに行こうと思って。エンジさんも一緒にいかがですか?」
「冷たい冷たいジェラート。いーよいーよ。行こう行こう」
 エンジは椛に案内されてウッドデッキエリアにある人気ジェラートの店に向かった。

「で、ジェラートってなーに? モミジモミジ、ジェラートっておいし?」
 エンジは不思議そうな表情で椛に尋ねる。
「美味しいですよ! ええと、エンジさんの好きな氷みたいに冷たくて、もっとまろやかな感じで……」
エンジは椛の説明を興味深く聞き、ふんふんと熱心に頷きながら氷に似ているらしいジェラートに想いを馳せた。暑すぎるトキには氷がイイ。それならきっとジェラートもイイ。

 ジェラートの店は客も多く大盛況だ。ショーケースを覗き込んだエンジは驚いた。種類が多すぎるのだ。
「アァ……オススメはー?」
 エンジに質問されたが、椛もこの店に来るのは初めてなのでどれがオススメなのかよく分からない。店員に聞くにも今は忙しそうだ。うーんと悩み、エンジに尋ねる。
「エンジさんはどんな味がお好きですか?」
「コレはジェラートを知らないからなーんでも食べたい。でもキュウリ……? 山椒……? 甘いのだけじゃあないンだなァ……。不思議不思議」
変り種が気になる様子のエンジ。

「コレの好きなモノは、この前話したラムネ。今のブーム。それから……甘くないヤツ。すっごーく甘いのは苦手なンだ」
「なるほどです。そうなんですね」
 それならキュウリ味はどうでしょうと椛は指差す。キュウリと塩のジェラートなので甘さは控えめで、ヘルシーで健康志向な味わいらしい。客からの質問が多いのか、変わり種ジェラートは手作りポップに簡単な説明が記載されている。

「それにほら! ラムネ味のジェラートもありますよ」
 本物のサイダーを使ったシュワシュワ食感のジェラートで、中には錠菓のラムネが混ぜ込まれているらしい。
 今のブームがジェラートになっていると知り、エンジは身を乗り出した。
「このジェラートがラムネ? カラカラのラムネ? じゃァ、それ」
キュウリも気になるということで、ダブルでコーンに盛ってもらう。

 ラムネのジェラートを一口食べて、エンジは驚いた。ラムネの味そのものだし、錠菓のラムネが口の中でさらにシュワシュワする!
「モミジモミジ、ラムネ! とーっても癖になる味と同じダ!」
 この丸い粒は何と訊かれて、それもラムネなんですと答えるとエンジは目を丸くした。
「ラムネ、ラムネ、ラムネ。これもラムネ。甘くて辛くてシュワシュワ」
 喜ぶエンジに椛も嬉しくなる。キュウリも程よい塩味らしく、気に入ったようだ。

「モミジは何を選んだ? 甘い?」
「私はミルクと苺です。甘いけど、すごく甘くはないですよ。苺は甘酸っぱいかな?」
 椛は白とピンクの二種盛りジェラートをエンジに見せた。甘酸っぱいのかァと面白そうにそのピンク色を眺める。二人ともすぐに食べ終えてしまった。美味しいものは驚くほどの速さで儚く溶けていく。

「冷たいジェラートは夏には丁度イイ。すぐに無くなってしまうのが勿体無いケドなァ……」
「おかわりしますか? 夏トマトのジェラートも甘さ控えめみたいですよ」
「それがイイ。トマト、トマト、トマト。赤くてイイ」
 2個目はトマトとキウイのダブルだ。こちらも口の中で蕩けてすぐに無くなってしまった。

「今年の夏はラムネの他にジェラートも覚えた覚えた」
 エンジはからりとした笑顔で言う。しかもジェラートの中にはラムネもある。面白いなァ、賢い君と、胸元を見ながら相棒にもその驚きを伝えた。

「アァ……まだまだ他にもイイモノはありそうダ」
「そうですよ、まだまだこれからいっぱい……あっ、そうそう、ハッピーギフトにも行かれるといいですよ! イイモノが空から届くそうですから!」
椛はウッドデッキエリアの奥の方を指差す。ちょうどギフトを受け取ったらしい人がパラシュート付きの箱を抱えて歩いていた。とてもいい笑顔だ。

 今度はどんなイイモノと出会えるだろうか。眩しい夏空を見上げ、楽しみだなァとエンジは笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雨埜・舜
ニア(f18530)と

流石にスーツでは汗ばむだろうか
ジャケットを脱ぎ、ワイシャツ姿
碧い海に彼女のワンピースが映えて
ひそやかに眦を細める

ジェラートは食べた事が無いんだ
どんな味なのだろうな
俺が頼んだのはブルーベリーフレーバー

届いた深紫の其れを口へ運び
ん。濃厚で、けれど爽やかだ
ニアも良ければ一口どうだろう
す、と差し出して
君の言葉に甘えてショコラの其れもぱくり
此方も美味しいな

食べ終えた後、歩は噂の泉へと
ニアは占いを信じるか?
そんな問いの答えに思わず笑んで
何だかニアらしい回答だな、と

――隣の彼女に多くの幸いが降り注ぐよう
そう心で呟いてコインを投げ入れる
さて、何が降ってくるだろう
楽しみだなと口許を綻ばせた


ニア・リュシドール
舜さん(f14724)と

水着は少し恥ずかしいから
いつもの白いワンピース

雨降る館の印象が強くて
舜さんと海って何だか不思議な感じ
なんて、隣の彼をみながら

ジェラート、初めてなんですね
きっと美味しいですよ
色んな味に迷いつつチョコレート味を
一口食べたら甘くて美味しくて
自然と笑顔に

舜さんの申し出には照れつつも
お言葉に甘えて
…舜さんも、一口食べます?
照れながら聞いて

食べ終わった後は泉へ
ハッピーギフト、楽しそう
占いは良い時は信じる派です
なんて言いながら、
目の前の占いへのわくわくが隠せず

お願いは…
舜さんが幸せな日々を過ごせますように
コインに祈りを込め投げ入れて

ラッキーアイテム、楽しみですね




 青い空と碧い海。ここはとても美しい世界だ。
 雨埜・舜(游雨・f14724)とニア・リュシドール(Amnesia・f18530)は、光溢れる白砂ビーチをふたりでのんびりと歩いていた。時折、落ちている貝殻を拾い、大空を羽搏く白い鳥を見つめる。

 超巨大ビーチリゾート船「ヘブンズピーチ号」で行われた水着コンテストの時、ニアはフリル飾りの豪華なピンク色の可愛いビキニを着た。けれども、舜の隣で水着姿でいるのは少し恥ずかしいから、今日はいつもの清楚な白いワンピースだ。
 桃色に水色が少し混ざったまるでマシュマロ菓子の様な柔らかな髪と、レースで彩られた白いワンピースの裾が潮風に揺れる。碧い海に彼女のワンピースが映えているなと、舜はひそやかに眦を細めた。

 舜はというと、流石にスーツでは汗ばむだろうかと考えジャケットを脱ぎ、ワイシャツ姿だ。普段よりもずっとラフな雰囲気の舜を見た時、ニアは少しドキッとした。その感情は大切に胸に秘め、ふたりで夏を感じながら砂浜での時間を楽しむ。歩く速度は舜がニアの歩調に合わせてくれた。

 ――雨降る館の印象が強くて、舜さんと海って何だか不思議な感じ。
 なんて、隣の彼をみながらニアは思う。
 雨が好きで、曇り空が好きな舜。そんな彼が夏の眩しい海辺を一緒に歩いてくれる。それだけでも、とても嬉しい。

 海辺はとても爽やかだが、やはり暑い。そろそろジェラートをと、ふたりは評判の店へと向かった。
「ジェラートは食べた事が無いんだ」
 どんな味なのだろうなと呟く舜に、ニアは優しく微笑む。
「ジェラート、初めてなんですね。きっと美味しいですよ」


 訪れた店はとても可愛い外観だった。ショーケースに並ぶ彩りの美しいジェラートをふたりで眺め、どの味にしましょうかと相談する。舜が頼んだのはブルーベリーフレーバー。ニアは色んな味に迷いつつ、チョコレート味に決めた。

 店内のテーブル席に向かい合って座り待っていると、注文したジェラートが運ばれてきた。可愛い柄のカップに盛り付けられている。
 舜は匙を手に、紫の其れを口へ運ぶ。
「ん。濃厚で、けれど爽やかだ」
 その柔らかな表情に、ニアはとても安心した。きっと美味しいと思っていた。でも、もしも好みに合わなければ……とほんの少し不安もあった。ただの杞憂で良かったと、チョコレート味のジェラートを一口食べる。甘くて美味しくて、自然と笑顔になるニアを見て、舜も穏やかに微笑んだ。

「ニアも良ければ一口どうだろう」
 す、と舜はブルーベリーの匙をニアへと差し出す。ニアはその申し出に照れつつも、「お言葉に甘えて」とそっと一口。紫の其れはこんなにも冷たいのに、心と頬はとても熱い。

「……舜さんも、一口食べます?」
 ニアは照れながら聞いた。恥ずかしくて真っ直ぐ目を見ることはできないが、舜がしてくれたようにそっと匙を差し出す。舜はその言葉に甘えてショコラの其れもぱくり。
「此方も美味しいな」
 舜の笑顔と優しい声に、ニアの頬はますます熱を帯びた。この胸の高鳴りに気づかれませんようにと、そっと祈る。

 舜はかつて、古き洋館で時を刻んでいた絡繰時計だった。ちく、たく。ちく、たく。休むことなく正確に時を刻み、主を幼い頃から見守っていた。とても長い間、ずっと一緒だった。喪ってからは独り雨の聲を聴き続ける日々だ。今でも主を見守っていた時間は舜の中で大切な記憶として残っている。
 けれども今この瞬間は、 髪に白いミニバラを咲かせ、天使の翼をその背に隠した、目の前にいる彼女だけを見つめていた。

 ジェラートを食べ終えた後、ふたりは噂の泉へと歩き始めた。ハッピーギフト、楽しそう――ニアのわくわくが舜に伝わってくる。

「ニアは占いを信じるか?」
「占いは良い時は信じる派です」
 ニアの答えに舜は思わず笑んでしまう。
「何だかニアらしい回答だな」
「そ、そうでしょうか……」
 気恥ずかしそうにしている姿も、目の前の占いへのわくわくが隠せないでいる様子も微笑ましい。

 覚醒前2年間の事を覚えていないけれど、不便だと思ったことはない。寧ろ、思い出さない方が良いような気すらしていると自らのことを教えてくれたニアらしいなと舜は感じていた。確かに悪い結果に振り回されるよりも、良い結果を信じてプラス思考で生きる方がいいだろうと思う。ニアのそういう前向きなところはとても好ましく、共に居ると不思議と心が穏やかになる。


 泉は有名な観光スポットらしいが、今はふたり以外は誰もいない。貸切状態でとても静かだ。
(――隣の彼女に多くの幸いが降り注ぐよう)
 舜はそう心で呟いてコインを投げ入れる。この願い以外は考えられなかった。
 さて、何が降ってくるだろう。楽しみだなと口許を綻ばせる。

(舜さんが幸せな日々を過ごせますように)
 ニアはそっとコインに祈りを込め泉に投げ入れる。
 そして、ラッキーアイテム、楽しみですねと舜に微笑む。

 程なくして、上空からふたつの小さなパラシュートがふわふわと降ってきた。青紫色のパラシュートは舜の腕の中に、桃色のパラシュートはニアの腕の中に、狙い澄ましたようにふわりと舞い降りる。
 空から届けられたのは小さな箱だった。開けてみると、それぞれの箱にプラチナのブレスレットが入っている。揃いのデザインで、どちらも装飾が美しい。

 しかし舜が受け取った箱には女性用の、ニアが受け取った箱には男性用のブレスレットが入っていたのだ。もしや中身を入れ間違えた状態でふたりの腕の中に届いてしまったのだろうか?

 だが、ふたりともほぼ同時に理解した。これは「その場でお互いにプレゼントしましょう」という、ハッピーギフトの粋な計らいなのだと。
 よく見ると男性用ブレスレットには琥珀が、女性用ブレスレットにはブルートパーズが添えられている。ふたりの瞳の色だろう。ああ、だから――ふたりは顔を見合わせ、楽しそうに笑う。

「ニア、これを」
「舜さんも、受け取ってくださいね」
 ふたりはブレスレットを交換し、すぐに身に付ける。交換する際にほんの僅かに触れた指先はとても熱く感じた。

 手首で輝くブレスレットを眺めながら、ニアは幸せそうに微笑んだ。
「空から直接受け取るよりも、こうやって舜さんからいただいた方が、幸せな気持ちになりますね」
 舜は真新しいブレスレットに指で触れて、その言葉に頷く。ニアと全く同じことを感じていた。

 多くの幸いが降り注ぐよう。幸せな日々を過ごせますように――。空からの贈り物はふたりの願いを早速少しだけ叶えた。きっとこれから、もっと多くの幸せをふたりで見つけられるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

四葉・蛍輝
エルナ(f18527)とジェラート食べ尽くし

普段のままでと思ったけど、周りに合わせた方がいいのかな、で簡易な夏服に

「誘ってくれてありがとうエルナ。ふふ、美味しいジェラートがあると聞いてとても楽しみにしていたんだ」
表情は変わらないけれども、声は心なしか弾んで
「エルナは決めた?俺は全部食べるつもりで来てるから、右から順番にまずは乗せれるだけ」
乗せれるだけ乗せたら満足そうに食べ始めよう
「それじゃ、2周目に……あ、休憩にする?」
人形だから調子は大丈夫だと思うけど確かに無理はいけないね

●お願いごと
『ここに来ている皆がそれぞれ楽しく過ごせますように』
幸せそうな人たちを見れることが俺の幸せだよ


エルナ・ミューレン
蛍輝(f17592)とジェラート食べ尽くし

海という事だからワンピースの水着で参加。
ジェラートでの冷え対策に、上着を羽織って参戦。

わ、本当に色んな種類がある…!
変わり種も気になる、ブルーソルトとか色味もきれい…(心なしか目がキラキラ)
「私は、苺とレモンと白桃と……… えっ、全部?そんなに食べたらお腹が…大丈夫?」
と心配しつつ、私もぱくぱく。美味しいは幸せ。
でも、一気に食べたら体に良くないよね。
「ねぇ、一回休憩してハッピーギフトに行こう?」

●お願い事
普段、家族への祈りと今に感謝するばかりだったから、いざ願おうと思うと浮かばないな…
望むとしたら『もっと強くなれますように』
口にはせず、心の中で祈るよ。




「わ、すごく綺麗……!」
 海を眺めていたエルナ・ミューレン(銀雪の騎士・f18527)は、目を細めて呟いた。太陽光が海面にキラキラと反射していて、とても眩しい。

 今日のエルナはワンピースの水着姿だ。海に行くのだから、これがいいかなとフリルの付いた可愛いワンピース水着を選んだ。ショップではワンピースの水着よりもビキニの品揃えの方がずっと豊富だったが、ビキニは恥ずかしすぎたのでワンピースだ。
 ジェラートでの冷え対策も考えて上着も羽織る。水着も、エルナの瞳と同じ色のラッシュガードパーカーも、とてもよく似合っている。

 隣にいる四葉・蛍輝(蛍火の鍵・f17592)は、普段のままで……と思っていた。だが、周りに合わせた方がいいのかなと考え、今日は簡易な夏服だ。心地よい潮風を感じ、やはりやはり夏服に着替えて良かったと思う。

「誘ってくれてありがとうエルナ。ふふ、美味しいジェラートがあると聞いてとても楽しみにしていたんだ」
 表情はいつもと変わらないけれども、声は心なしか弾んでいる。
「こちらこそ来てくれてありがとう。うん、私も楽しみで……じゃあ、行こう」
 ジェラートの店はウッドデッキエリアにある。ふたりは足取り軽く、店へと向かった。

「わ、本当に色んな種類がある……!」
 ショーケースの中には色彩豊かなジェラートがたくさん並んでいた。想像していたよりも種類が多く、目移りしてしまう。
「変わり種も気になる、ブルーソルトとか色味もきれい……」
 ショーケースを覗き込むエルナの目は、心なしかキラキラしている。

 エルナは放浪の旅をする少女騎士だ。普段は凛とした佇まいで、口数も少ない。けれども今、こうしてジェラートを夢中になって見つめる姿は年相応の少女らしい雰囲気だ。戦場で非情になりきれず、本当は可愛いものも好きなエルナは、普段は少しだけ背伸びをしているのかもしれない。忠誠を誓うはずだった少女も、愛した故郷も喪った彼女はそうやって生き続けてきた。多くを語らず、思いは常に胸の内に秘め、けれども時折こんな風に意外な一面を見せる。

 蛍輝はそんなエルナに優しく――普段と殆ど変わらないが、それでも優しさがはっきりと分かる表情で――見つめていた。
「エルナは決めた? 俺は全部食べるつもりで来てるから、右から順番にまずは乗せれるだけ」
「私は、苺とレモンと白桃と……… えっ、全部?」
 まさかの全部。びっくりしたエルナは蛍輝の顔をまじまじと見つめる。蛍輝はどうしてエルナが驚いておるのかよく分からず、きょとんとしていた。

 カップの大きさの関係で、一度に注文できるのは7種類までらしい。まずは宣言通り、右から7種類を盛ってもらう。とてつもない大盛りで、カップから溢れそうだ。店員によると7種盛りを頼む人は滅多にいないらしい。
 エルナは苺とレモンと白桃の3種類にした。ふたりは店内のテーブル席に向かい合って座り、食べ始める。

「そんなに食べたらお腹が……大丈夫?」
 満足そうにジェラートを食べる蛍輝を心配しつつ、エルナもぱくぱくと食べる。もう2種くらい盛ってもらえばよかったなと思う美味しさだ。美味しいは幸せである。
「でも、一気に食べたら体に良くないよね」
 体が冷えてしまうと折角のジェラートも美味しく感られなくなってしまう。「それじゃ、2周目に……」と、席を立つ蛍輝にエルナは慌てて声をかける。

「ねぇ、一回休憩してハッピーギフトに行こう?」
「あ、休憩にする?」
「うん、お腹も心配だし……」
「俺は人形だから調子は大丈夫だと思うけど確かに無理はいけないね」
 7種盛りをぺろりと平らげた蛍輝は平然と言う。実は甘党の蛍輝はジェラートが大好きだった。現時点で無理は全くしていないので、もっと食べたい。でも、休憩も大切だ。


 ハッピーギフトに何を願おう?
 静かな泉の前でとてもエルナは悩んでいた。

 普段、エルナは家族への祈りと今に感謝するばかりだったから、いざ願おうと思うと具体的な願い事が浮かばない。望むとしたら……そうだ、これだ。
『もっと強くなれますように』
 決して口にはせず、心の中で祈った。

 蛍輝も願う。
『ここに来ている皆がそれぞれ楽しく過ごせますように』
 幸せそうな人たちを見れることが俺の幸せだよ、と言う蛍輝。エルナもそのことはよく知っているから、蛍輝らしい願いだと思った。

 ぽん、と上空で音がした。見上げるとふたつのパラシュートがふわりふわりと降りてくる。四葉のクローバー柄は蛍輝宛、白薔薇柄はエルナ宛だろう。ふたりは空からのギフトを受け取り、箱を開けてみた。

 エルナ宛のギフトは銀の武器飾りだった。細身の剣と星をモチーフとしており、美しい装飾が施されている。いつも携えている清らかな輝きを放つ剣を思い起こさせるその形をそっと手で包み込み、ぎゅっと目を瞑る。私はもっと強くなれるだろうか。もう何も喪うことがないように。

 蛍輝宛のギフトは、優しく光る花々が閉じ込められている小さなクリスタルのキューブだ。インテリア小物だが、ペーパーウェイトとしても使えるだろう。
 メッセージカードも添えられており、『ありがとうございます! この船を訪れてくださった皆様を楽しませることができるように、私達はがんばります』と書かれていた。AIなのに随分とヒトらしいなと蛍輝は嬉しくなった。
 自分自身も人形だ。けれども、ヒトでありたいと願っている。記憶喪失の自分に恩人が優しくしてくれたように、誰かに優しく出来るようなヒトでありたい――。もしかしたこのAIも自分とよく似た願いを抱いているのではと思いを巡らす。

 そして蛍輝の箱の中にはもうひとつ、何かが入っていた。
「あれ、これは……お菓子作りキットだね」
 お菓子作りに必要な材料が計量された状態でセットされており、手間なく簡単にお菓子を作れるキットだ。このキットでは色とりどりの可愛いマカロンができるらしい。

 蛍輝は甘いものが好きで、料理の心得もある。思いがけない2個目の贈り物に、いつも通りあまり表情は変わらないものの嬉しそうな様子が伝わってくる。

「スペースシップワールドのマカロンはどんな味だろう……エルナ、帰ったら一緒に作らない?」
「えっ……うん。でも私にできるかな……」
「大丈夫だよ。分からないところはふたりで協力して作ろう。楽しみだな」

 美味しいは幸せ。一緒に美味しいを作ればもっと幸せだろう。色とりどりのジェラートの次は、色とりどりのマカロンが待っている。

 でもその前に、 まずはジェラートの店に戻ろう。右から全部食べるという幸せを味わい尽くす為に。
 エルナは全部は無理だけれど、もう3種類は食べたいなと思う。まずはブルーソルトから。やっぱり美味しいは幸せで、とても楽しい時間だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鵜飼・章
リュカさんと

きみって意外とこういう時はしゃぐよね
また携帯食料が欲しいのかな…
気持ち早足で彼の背を追う

途中岡森さんに声をかける
やあ、素敵な水着だね
この子は僕の友達のリュカさん
この子は僕の友達の岡森さん
という訳で一緒に泉まで来てくれない?

僕はものを大事にするのが苦手でね
でも良くない事だから…
友達の二人が僕の為に祈ってくれたらいいと思うんだ
大切にする練習をする

ってリュカさん
僕の事何だと思ってるの…
まあいいか
僕も二人の為のコインを

リュカさんには…実用品かな
きみがきらきら星みたいな何かを
掴み取る為の手助けを

岡森さんには可愛い虫小物
小さな命を慈しむ優しさを
いつまでも大切にしてね

何を願ったかって?
ふふ、秘密


リュカ・エンキアンサス
章お兄さん(f03255)と
椛さんも一緒に

ハッピーなギフトだって、お兄さん
金色のコインを指で弾いて
…行こう
別にはしゃいでるつもりはないけど
そうだね
食べたらなくなってしまうものが、贈物としては無難かな。携帯食料は確かに便利(ユメがない

途中椛さんも声をかける
こんにちは。こういうときはごきげんよう、かな?
今から、お兄さんに面白おかしいプレゼントを渡すんだ
椛さんも、一緒にキーワードを考えて

コインを投げ込んで
章お兄さんと椛さんにプレゼントする分です
お兄さんが喜べそうで喜べない、捨てそうで捨てられない微妙なものをください(口に出しておく)
椛さんには普通に…普通ってなんだろうな…花とか?(悩(口には出さない




 陽の光が眩しい白い砂浜を、黒髪の青年と少年が歩いている。鵜飼・章(シュレディンガーの鵺・f03255)とリュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)だ。ふたりはまるで兄弟のようにも見える。

 章はフィットタイプの黒いスイムウェアに、袖に印象的な鴉のワンポイントが描かれた薄浅葱色のラッシュガードを羽織っている。
 リュカは黒いサーフパンツに、黒いパーカー。腕まくりされた袖から、パーカーの裏地は深い青藍色だと分かる。ふたりとも水着を着ているが、海ではなくウッドデッキエリアへと向かっていた。

「ハッピーなギフトだって、お兄さん」
 リュカは入船時に渡された金色のコインを指で弾く。高速で回転しながら宙を舞うコインをパシッと掴み、彼は静かに、だが力強く言う。
「……行こう」

「きみって意外とこういう時はしゃぐよね」
 章の言葉にリュカは不思議そうな顔をする。
「別にはしゃいでるつもりはないけど」
「また携帯食料が欲しいのかな……」
「そうだね。食べたらなくなってしまうものが、贈物としては無難かな。携帯食料は確かに便利」
 そんなことを言うユメのない14歳のリュカ。実は自覚無しに少々はしゃいでいるのかいないのか、章を置いていきそうな勢いでハッピーなギフトが受け取れる泉を目指してスタスタと歩いている。章は気持ち早足で彼の背を追った。

 ウッドデッキエリアの手前で章はよく知っている人を見かけた。少し待ってとリュカに伝え、その人の傍に行く。

「やあ、岡森さん」
 ハンモックに寝転がってだらだらしていた岡森・椛(秋望・f08841)は、名前を呼ばれて慌てて体を起こし、その場で正座になる。

「章さん! こんにちは!」
 椛は正座のままぺこりと頭を下げた。
「もしかして寝てた? お昼寝の邪魔をしたかな」
「いえ、ちょっとだらけていただけなので……」
 急いでハンモックから降りてくる椛。

「素敵な水着だね」
「わ、ありがとうございます! 章さんも黒がお似合いで格好いいです!」
「ありがとう。……この子は僕の友達のリュカさん」
 章はすぐ後ろにいるリュカを椛に紹介する。
「この子は僕の友達の岡森さん」
 リュカにも椛を紹介する。

「こんにちは。こういうときはごきげんよう、かな?」
 リュカは軽く会釈し、椛もリュカに笑顔で話しかける。
「リュカさん! お久しぶりですね!」

「あれ、ふたりは知り合いだった?」
 驚いている章に、イースターの頃にキマイラフューチャーの遺跡で偶然共闘したことがあるとリュカと椛は説明した。チョコレートの狼と戦ったそうだ。その時、リュカはチョコレート狼の足の一本でも切り取って非常食としてお持ち帰りできないかと真剣に計画を立てていたと聞き、ああやっぱりねと章は思った。

「今から、お兄さんに面白おかしいプレゼントを渡すんだ。椛さんも、一緒にキーワードを考えて」
「という訳で一緒に泉まで来てくれない?」
 キーワード……? 不思議に思いつつも、椛はふたりと一緒に泉へと向かった。


 泉の入り口で、満面の笑みを浮かべている家族連れとすれ違った。あの親子には空から何が届けられたのだろう。

「僕はものを大事にするのが苦手でね。でも良くない事だから……友達の二人が僕の為に祈ってくれたらいいと思うんだ」
 大切にする練習をする、と章は真顔でリュカと椛に告げる。「大切にする練習」という言葉を生まれて初めて聞いたような気がする椛は、重要な役割を与えられたことにとても緊張した。

 そんな椛とは対照的に、リュカは何の躊躇いもなくコインを泉に投げ込んだ。ぽちゃんと水飛沫があがる。
「章お兄さんと椛さんにプレゼントする分です。お兄さんが喜べそうで喜べない、捨てそうで捨てられない微妙なものをください」
 よく通る声で願い事を言う。そしてその後に急に悩み始め、黙り込む。
(椛さんには普通に……普通ってなんだろうな……花とか?)

「……ってリュカさん。僕の事何だと思ってるの……。……まあいいか」
 章もふたりの為のコインを投げ込む。まずはリュカの顔を見て、願う。
(リュカさんには……実用品かな。きみがきらきら星みたいな何かを掴み取る為の手助けを……)

 そして次は椛。
(岡森さんには可愛い虫小物。小さな命を慈しむ優しさを、いつまでも大切にしてね)

「何を願ったかって? ふふ、秘密」
 リュカから章お兄さんは願いを声には出さないのと聞かれ、章は小さく微笑む。全てはギフトが届いた時のお楽しみだ。

 椛もコインを泉に投げて、手を合わせて願う。
(章さんには存在感のあるものがいいと思います……存在感があれば無くなりにくいし、大切にしやすいかなって……。リュカさんは旅のお役に立つものとか……もう大抵のものは持ってそうだけど……えっリュカさんは私と同い年? 落ち着いていて大人っぽいな……クラスの男子って何を欲しがってたかな……)
 最後の方はもう単なる独り言である。

 願い終わったが、なかなかパラシュートが降ってこない。どうやら3人から受け取ったキーワードの複雑さにAIは悩んでいるようだ。
 たくさんの依頼が一気に届くと、程度の差はあれど悩んだり思考が追いつかなかったり焦ったりする気持ちは3人ともよく分かる気がして、心の中で頑張れと応援しながら、空を見上げてじっと待った。

 何分くらい経っただろうか。
 ぽん、と上空で音がして、3個のパラシュートが降ってきた。紅葉の柄と、星空の柄と、鴉の柄だ。一目で誰に宛てたギフトなのか分かる。3人は自分宛だと思しきパラシュートを受け止めた。リュカと椛に比べて、章のパラシュートはかなり大きかった。繋がれたギフトもひとりだけビッグサイズだ。受け止める際にふらついた章をリュカと椛が支える。

 椛へのギフトは、テントウムシを模した可愛い小物入れだった。愛らしくデフォルメされており、花飾りも付いている。
「とても直球なものが来たね。リュカさんが何を願ったのかも、分かる気がするよ」
「章お兄さんの願いもよく分かる品物だね」
「可愛い! 大事にします!」
 椛は両手の上にテントウムシを乗せ、章とリュカとAIにありがとうございますとお礼を言う。

 リュカへのギフトは、星空模様のテントシューズだ。
「あの……もこもこスリッパでしょうか……?」
「ダウンが封入されたテントシューズかな。寒い季節のテント泊では必需品だよね、リュカさん」
「そうだね。今は季節はずれだけど、冬場は役に立つ。どうもありがとう」
 リュカは星空模様を見つめ、ふたりは俺の為に何を願ったのだろうと考えを巡らせる。そしてふと、冬の夜空が懐かしくなった。夏の夜空と冬の夜空は同じ夜空でも、表情が全く違う。

 章へのビッグサイズギフトの中身は、巨大な標本箱だった。畳一畳くらいの大きさだろうか。もっと大きいかもしれない。
「標本箱は嬉しいけれど、これは大きすぎるな……自分の部屋まで持って帰るのも一苦労だ」
「……かなり俺の願いを反映してもらえた気がする」
「存在感のあるものがいいかなと願ってしまいました……運搬のことまで考えてなくてすみません……」
 章は標本箱を細部まで確認する。デザインも品質も、満足いくものだったようだ。
「この標本箱がいっぱいになるくらい、虫を捕まえたいね。カブトムシをずらりと並べたらさぞや壮観だろうな。良い品をありがとう」

 巨大標本箱を3人で抱えて泉を後にする。
「折角ですし、ジェラートも食べていきませんか?」
 椛は章とリュカを誘った。巨大標本箱を店内に持ち込むのは気が引けるので、木陰のベンチで食べようという話になる。変わり種も多く、気になるジェラートだらけだ。

 果たして、この標本箱は章の「大切にする練習」の役に立てるだろうか。虫達も手伝ってくれるなら目標達成できるかもしれないとリュカは考える。
 このテントシューズも、冬になったら使ってみようと思った。どれだけ眺めても決して見飽きることのない、美しい星空の下で。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

柊・雄鷹
ハレちゃん(f00145)

マンゴージェラート食べながら行くでー
それも美味しそうやな…ハレちゃんは何のジェラート?
ワイもうちょい食べたい!なぁ、あとでもう1回行かん?
はぁっ!?一人で行くとか、ワイが可哀想すぎるやろ!
あとそのマジが信用ならん、却下や却下

ん?ここって…ハッピーギフトやん!
アッホハレちゃん!
あれや、船乗る時にもらったコイン!あれ投げるんや!
んー願い事なぁ…何にしよ
おーっとハレちゃん!願い事言うんは無しやで!
こう言うのはあれや、黙ってやる方が当たりそうやない?

ワイは決めたで?ハレちゃんは?
よっしゃ、ほな入れよか…先手は貰ったで、うりゃ!
(明日もたっぷり良ぇことが山ほどありますよーに!)


夏目・晴夜
ユタカさん(f00985)

私のはブルーソルト味です。あげませんよ
私ももうちょい食べたい気分なのですが、
男2人で何度もジェラート買いに行くとか難易度高すぎでは
なので次はユタカさん単独で買いに行って下さいよ
料金は私の分も纏めて払っといて下さい。後で返します、マジでマジで

ハッピーギフト…?
ワイの頭はハッピーやから毎日がギフトやでという自己紹介ですか?
ああ、そういや貰いましたねコイン
じゃあ願い事は…あ、確かに黙ってる方が良さげでしょうか
たまには鋭い事言いますね、頭ハッピーなオッサンのくせに

よし、私も決まりました
って…このハレルヤの先手を取るとは生意気な
(明日も良い事が尋常じゃなく大量にありますように)




 青い空、白い雲。光り輝く海。そして……美味しいジェラート!

 柊・雄鷹(sky jumper・f00985)と夏目・晴夜(不夜狼・f00145)は、評判の店で購入したジェラートを食べながらウッドデッキエリアを散策していた。飲食店やリラクゼーションスペースの他にも、ボルダリングやガラス工房など、様々なアクティビティも充実しており見て回るだけでもなかなか面白い。

「マンゴー美味しいなあ。甘くて、ちょい酸味があって、最高や」
 コーンに盛られたマンゴージェラートを雄鷹は幸せそうに食べる。鮮やかなオレンジ色はまるで眩しい太陽のようで、真夏のリゾートを楽しむテンションがますます上がる。

 ふと、隣を歩く晴夜が食べるジェラートが気になった。
「それも美味しそうやな……ハレちゃんは何のジェラート?」
「私のはブルーソルト味です。あげませんよ」
 澄んだ青色のジェラートを食べ歩く晴夜は、ジト目でピシャリと言い放つ。
「別に一口ちょうだいとか言うてないやろ!」
「言われそうな予感がしたからですよ。これはとても美味しいので、私だけのものです」
 塩フレーバーのブルーソルト味は、塩によってほのかな甘みが引き立ち、なかなか癖になる味だ。

「ワイもうちょい食べたい! なぁ、あとでもう1回行かん?」
 コーンまで全て食べ終わり、雄鷹は満面の笑みで晴夜を誘う。本当は1回と言わず、何回でも行きたいくらいだ。この店のジェラートは話に聞いていた通りとても美味しい。何味にしようか悩んだ末にマンゴー味を選んだが、他にも気になる味はたくさんもあった。

「男2人で何度もジェラート買いに行くとか難易度高すぎでは……」
 晴夜は真剣な表情で呟く。しかし晴夜も、もっとジェラートを食べたいと思っていた。塩フレーバーも良いが、甘党的に次は濃厚な甘さのジェラートも食べてみたい。チョコレートやアーモンドミルクも美味しそうだった。
「なので次はユタカさん単独で買いに行って下さいよ。料金は私の分も纏めて払っといて下さい。後で返します、マジでマジで」
「はぁっ!? ひとりで行くとか、ワイが可哀想すぎるやろ!」
雄鷹は猛抗議する。
「あとそのマジが信用ならん、却下や却下」
「仕方ないですね。それなら一緒に買いに行きましょう。私は店の入り口のところで待っていますので、ユタカさんが買ってきて下さい」
「だから単独行動は却下や!」
 それに威厳たっぷりのハレちゃんが入り口で待ってたら、店の人や他のお客さんもびびってまうやろ! とよく分からない理由を述べる雄鷹。しかし晴夜は、なるほどそうですねと納得した。

 結局、ふたりでジェラート店を再訪した。今度はダブルで行こうと、雄鷹は塩キャラメルとピスタチオを、晴夜はチョコレートとレアチーズを注文する。新たなるジェラートを手に、散策再開だ。


 あちこち歩き回っていると、泉のある場所に着いた。
「ん? ここって……ハッピーギフトやん!」
数多くのコインが沈んでいる泉を覗き込み、雄鷹は大きな声を上げた。

「ハッピーギフト……? ワイの頭はハッピーやから毎日がギフトやでという自己紹介ですか?」
 サラリとすごいことを言う晴夜。
「アッホハレちゃん! あれや、船乗る時にもらったコイン! あれ投げるんや!」
雄鷹はポケットから金色のコインを取り出し、晴夜に見せる。
「ああ、そういや貰いましたねコイン」
 思い出し、確かここにとポケットを探る。雄鷹の持っているコインと同じものがそこにあった。

「んー願い事なぁ……何にしよ」
 顎に手をあてて悩む雄鷹。
「じゃあ願い事は……」
「おーっとハレちゃん! 願い事言うんは無しやで!」
 晴夜の言葉を雄鷹がすごい勢いで遮る。
「こう言うのはあれや、黙ってやる方が当たりそうやない?」
「あ、確かに黙ってる方が良さげでしょうか。たまには鋭い事言いますね、頭ハッピーなオッサンのくせに」
「一言余計や!」

 しばらくの間、ふたりはなにを願おうか考えていた。決意したように雄鷹はコインを握りしめる。
「ワイは決めたで? ハレちゃんは?」
「よし、私も決まりました」
晴夜も指先でコインを掴む。

「よっしゃ、ほな入れよか……先手は貰ったで、うりゃ!」
 願いを込めて、勢いよくコインを泉へと投げ込む雄鷹。
(明日もたっぷり良ぇことが山ほどありますよーに!)

「って……このハレルヤの先手を取るとは生意気な……」
 晴夜が投げたコインもぽちゃんと泉に沈む。
(明日も良い事が尋常じゃなく大量にありますように)

 ぽんという音がして、上空からふたつの影が降りてくるのが見えた。
「ハレちゃん、空からなんか降ってくるで」
「見れば分かるでしょう。パラシュートですよ」
 黄緑のパラシュートは雄鷹の元に、紫のパラシュートは晴夜の元に舞い降りる。ふたりはしっかりとギフトを受け止めた。

 中身は四つ葉のクローバーのハーバリウムだった。雄鷹の箱にはフラスコ型の、晴夜の箱にはドロップ型の容器がそれぞれ入っている。共に手頃な大きさだ。この世界のハーバリウムは経年劣化せず、半永久的にその美しさを楽しめるらしい。

「四つ葉のクローバーや! 古典的やけど、ラッキーアイテムと言うたらやっぱこれやなあ」
「そうですね。なにやら素朴ではありますが、なかなかいい雰囲気です」
 ハーバリウムはとても美しく輝いており、きっと幸運を運んでくれるだろうと感じられた。

「……あれ、封筒も入っとるで。なんやろ?」
 雄鷹は封を開け、中身を確認する。
「……ハレちゃん、大変や! さっきのジェラートの店の無料クーポンが5枚も入っとるで!」
「えっ本当ですか。こちらの箱にも封筒が……」
晴夜も封筒を取り出し、急いで開封する。

「しかも、ほら、ここに来る途中に高そうなステーキハウスがあったやろ? そこのディナーチケットまであるで!!」
 テンションが上がりまくる雄鷹。封筒の中身を確認した晴夜は、こちらにも同じものが入っていますと頷く。

「おかわりしたけど、もっと他のジェラート食べたいと思ってたんや。それに今夜は高級ステーキや! ほんまにハッピーやな。おおきにやで、ハッピーギフト!」
「また男2人でジェラートを買いに……まあ、お得ですしいいでしょう。高級な肉も無料で食べられるとは、素晴らしいです」

 ふたりは嬉しそうに泉を後にする。
 楽しい気持ちは楽しいことを次から次へと呼び寄せる。今日に引き続き、明日もきっと良いことがたくさん待っているだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

明智・珠稀
【青紫】
「クロウさん、私と熱い夏の思い出を作りましょう…!」
いつも以上に熱くねっとりとした眼差しを向けるド変態

無理矢理にビーチへ
【早着替え】にてスポン!と水着姿に
※黒のスパッツタイプ、サイドが編み編みでセクシィ
「クロウさんの水着こそ至高…!」
生きてて良かった、と涙堪え

デートするが如くご機嫌に
「美味しそうなジェラートがありますよ♥️」
「クロウさん、はい、あ~ん♥️」
「クロウさんの胡瓜もいただきたいです♥️」
どんな仕打ちも嬉しい夏のド変態

「ハッピーギフト、面白そうですね…!」
願いは声に出し
「クロウさんと更にアッツアツな関係になれますように♥️」

※ドSなクロウさん大好き♥️ド変態
アドリブ大歓迎♥️


杜鬼・クロウ
【青紫】
アドリブ、ツッコミ◎

水着お任せ
グラサン

ハハッ、ひと夏のアバンチュールってか?(目笑ってない
冗談じゃねェ誰がお前と…
その視線止めろや
気持ち悪ィしウゼェ(顔押し退け
話聞けよ!

ビーチへ強制連行
不機嫌

…水着のセンスは悪くねェか(ぼそ
ァ?俺は甘いモンが苦手なンだよテメェ一人で食ってろや!

ジェラート持つ珠稀の手首掴んで彼の口の中へアイス突込み
自分は物珍しい胡瓜味を食す
珠稀に食われるかPOW勝負

なンで悦んでンだマゾかよ…
俺、空回りしてね?ホント悪寒がマッハ(溜息

ハッピーギフト?ヤな予感が…(硬直
ヤメろ言うな!(手で珠稀の口塞ぎ
この変態にギャフンと言わしめるモノをくれ
その性根叩き直してヤらァ(2回攻撃




 白い砂浜はとても眩しいが、湿度の関係なのか、蒸し暑くはなく爽やかだ。
 だが、とても熱い二人組がいた。

「クロウさん、私と熱い夏の思い出を作りましょう……!」
 明智・珠稀(和吸血鬼、妖刀添え・f00992)はいつも以上に熱くねっとりとした眼差しを杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)向け、きゃっ♥と体をくねらせた。

「ハハッ、ひと夏のアバンチュールってか?」
 クロウは笑う。だが目は全く笑っていない。
「冗談じゃねェ誰がお前と……その視線止めろや。気持ち悪ィしウゼェ」
 乱暴に言い放ち、どんどん近寄ってくる珠稀の顔を押し退ける。
「ああん! クロウさんが頬に触れてくれた!」
 やあんどうしましょうとはしゃぐ珠稀。
「何言ってんだよ! 話聞けよ!」
 苛立ちのあまりに大声で怒鳴りつけても珠稀は全く動じない。それどころか、クロウの腕を取りそのままビーチへと強制連行した。
「見てくださいクロウさん! 光り輝く海も私達を祝福しくれてますよ!」

 そんなやりとりを経て、ふたりは今、ビーチにいる。
 ビーチは他の海水浴客もたくさんいたが、全員が珠稀とクロウから自然と遠ざかってくれたので、エアポケットっぽい貸し切り空間が出来上がっていた。

 不機嫌なクロウの前で、珠稀は特技である早着替えを活用し、スポン! と水着姿になる。ちょっとしたイリュージョンである。
 黒のスパッツタイプのスイムウェアはサイドが編み上げになっており、薔薇の装飾が施されたとてもセクシィなデザインだ。レザーのベルトやハーフグローブも水着とよく合っており、妖艶な魅力がある。

 クロウの水着はというと、黒地に熱く燃える炎がデザインされたサーフパンツだ。ラッシュガードパーカーを羽織っていても引き締まった肉体がそこにあるとはっきり分かる。夕赤と青浅葱の瞳はサングラスで隠されていた。

「……水着のセンスは悪くねェか」
 クロウはボソリと呟く。だがこの呟きを珠稀に聞かれると色々ヤバイのであくまで聞こえない程度の音量で呟いていた。
 とは言え、珠稀はその時
「クロウさんの水着こそ至高……!」
 と涙を堪えながら、生きてて良かったと悶えていたので、幸いなことにクロウの呟きは全く聞こえていなかった。

 珠稀はご機嫌だった。彼の脳内ではクロウとらぶらぶデート中だ。ビーチを歩き、その後はウッドデッキエリアへ向かう。
「美味しそうなジェラートがありますよ♥」
 コーンに盛られたミルクジェラートを、目をキラキラさせながらクロウの前に差し出す。
「クロウさん、はい、あ~ん♥」
「ァ? 俺は甘いモンが苦手なンだよテメェ一人で食ってろや!」
 クロウはジェラート持つ珠稀の手首を乱暴に掴み、彼の口の中へミルクジェラートを強引に突込む。

「やあん! クロウさんってば、照・れ・屋・さ・ん!」
「んだとコラァ!」
 ジェラートまみれになった口元を拭いつつ頬を赤らめる珠稀を誰も止めることはできない。

 あまりの暑苦しさに目眩がし、冷たいものが欲しくなる。甘いものは苦手だが、物珍しいキュウリ味なら食ってみるかとクロウは店でジェラートを買い求めた。想像通りあまり甘くない。これならいける。

「クロウさんのキュウリもいただきたいです♥」
 すかさず珠稀が飛び付いてきた。クロウは舌打ちし、珠稀を片腕で抑えている間に、一気にキュウリ味ジェラートを完食した。
「ああん、独り占めなんて! それもまたワイルドで素敵!」
それすらも頬を染めながら悶える珠稀。
「なンで悦んでンだマゾかよ……。俺、空回りしてね? ホント悪寒がマッハ」
 クロウは深い溜息をつく。どんな仕打ちも嬉しい夏のド変態であった。


 どれだけ混んでいる通路も、今日はとても歩きやすい。周囲の人達全員が珠稀とクロウの為に道を開けてくれるからだ。

 ふたりはハッピーギフトの泉に到着した。
「ハッピーギフト、面白そうですね……!」
 珠稀はきゃっきゃとはしゃぎながら、クロウの腕を引っ張り泉の傍まで行く。
「ハッピーギフト? ヤな予感が……」

 クロウが硬直している隙に、珠稀は金色のコインを泉に投げ入れ、大声で願い事を言う。
「クロウさんと更にアッツアツな関係になれますように♥」
「ヤメろ言うな!」
 慌てて手で珠稀の口を塞ぎ、自らも急いでコインを投げ込む。願いはひとつだ。
「この変態にギャフンと言わしめるモノをくれ」

 ……。
 沈黙がその場を支配する。通常は願い事からほんの僅かな時間で空からギフトが降ってくる仕様だ。だがこのハッピーギフトは、基本的にはファミリーやカップル向けのほのぼのシステムだ。このような形でのお願いにどう応えるべきなのか、AIはものすごく悩んでいた。
 上空でエラー音らしいものが聞こえた気がする。なんだなんだと、珠稀とクロウは上を見る。

 次の瞬間、大量のパラシュートが空から降ってきた。全てに小動物のようなものが繋がれている。いや、小動物ではない。ぬいぐるみだ。なにかのキャラクターらしいぬいぐるみが大量に降ってきて、珠稀とクロウはそれに埋もれた。

 何が起きたのかよく分からないでいると、泉の入口から数人の小さな子ども達が入ってきた。幼稚園児だろうか。
「わあー! ペカチャーのぬいぐるみだあ!」
「プロンもいるー!」
「ぼく、ヒーブキが好きー!」
 顔を輝かせながらぬいぐるみに群がってくる可愛い子ども達。

どうやらこのぬいぐるみは、スペースシップワールドで大人気の配信番組に登場するキャラクターらしい。要するに、野生にいるキャラクターを捕まえて育てたり戦わせたりするアレみたいな感じだろう。子ども達は大好きなキャラクターに出会えて大はしゃぎだ。
「このぬいぐるみはお兄さんたちの? いいなあ」
「いっぱいあってすごいね!」
「ねえねえ、一緒に遊ぼうよう」
 天使のような純粋さで、人見知りせずに笑顔で話しかけてくる。

 クロウは、うっせぇガキどもと一喝するかと思いきや、すっかり調子が狂い毒気も抜かれて「見た目は怖いけど実は子どもにすごく優しいヤンキー」みたいになっていた。子ども達も楽しそうだ。
 その横で珠稀は相変わらず悶えていた。
「子ども達と遊ぶクロウさん……尊い……ドSなところも大好きだけど、ギャップ萌え……控えめに言って最の高……」
「……その性根叩き直してヤらァ」
 クロウはぬいぐるみを掴み、珠稀を2回攻撃する。もふもふとした攻撃に、クロウさんとじゃれあってるみたいと珠稀はさらに悦んで、そのままぬいぐるみの海に沈んだ。

 その後、ハッピーギフトの係員が急いでやって来てシステムの不備を詫びたり、子ども達の親が駆け込んできてクロウにお礼を言って連れて帰ったりと、非常に慌ただしかった。

「楽しかったですね、クロウさん♥」
「うっせえ。疲れたから帰るぞ」
 溜息をつきながら歩くクロウを珠稀は追いかけ、夕食も食べていきましょうと誘っている。足蹴にされても全く怯んでいない。
 まだまだ、彼らの賑やかな夏は終わらないようだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シュガー・ラビット
朧・紅(f01176)と同行アドリブ歓迎!


なぁにー?くーちゃん。って、きゃあぁ!?(ざぶーん!
もー、いたずらっ子なくーちゃにはお仕置きしちゃうぞー?
くらえーむぎゅむぎゅ攻撃〜!
えへへっ、楽しいね!

んむぅ、お腹すいたねぇ。
なにか甘いもの…
あっ、そうだ!(ぴこん
この船のジェラートがすっごく美味しいって有名なんだよ〜。
ねえねえ、二人で食べに行こっ?(イメージはICのアイスです)

あ、カシスアイスってくーちゃみたいで可愛い〜♪(SNSあぷ用ツーショットをパシャり)

んー、私のお願い事?
そうだなぁ…。これからも沢山くーちゃと遊べますように、かな。

せーのっ!

これからもたくさん思い出増やしていこうね、くーちゃ♪


朧・紅
シュガー・ラビット(f02321)と《紅》人格で同行
アドリブ歓迎

しゅーちゃ、とーう!
(浮き輪でぷかぷかしてたしゅーちゃんをひっくり返す)
うゃ~♪驚いたですか?(いたずら顔
にくきゅうむぎゅゃ~(うれしそう
たのしです!

沢山遊んでお腹が空いてきたですね?
行くです!
お互いのイメージジェラートチョイス(IC参照
このお耳完璧しゅーちゃんですかわい~♪

しゅーちゃのお願い何ですか?
わ、しゅーちゃ(キラキラな顔
僕のお願いもねっ…
ずっと一人だった僕に沢山出来た願い事の一つ
(お友達とたーくさん遊べますように!)
しゅーちゃんとせーので想いを乗せて空高く投げ入れ
夏の思い出また一つ

ギフトは何が出てもポジティブに喜ぶですよ




 燦々と降り注ぐ夏の太陽の光が眩しい。
 青い空には入道雲が浮かんでいる。大きな大きな入道雲だ。

 ――ちょっぴりソフトクリームみたい。それとも、ふわふわのかき氷……?

 碧い海にストロベリードーナツの浮き輪でぷかぷか浮いていたシュガー・ラビット(白くて小さなふわふわ🍀・f02321)は、夏の青空を優しい金色の瞳でのんびり眺めていた。
 こうして浮き輪で浮かんでいると、広い広い海に包まれてるみたい。大きな空も全てを包み込んでくれる。海と空の両方のアオイロの中で揺られて、わたしは――。

「しゅーちゃ、とーう!」
「なぁにー? くーちゃん。って、きゃあぁ!?」
 突然現れた朧・紅(朧と紅・f01176)は、浮き輪でぷかぷかしていたシュガーをひっくり返した。ばしゃんと海に落ちるシュガー。

「うゃ~♪ 驚いたですか?」
 いたずら顔の紅は、慌てて浮き輪に掴まったシュガーの顔を覗き込む。
「もー、いたずらっ子なくーちゃにはお仕置きしちゃうぞー?」
 ぷんすかと怒るシュガー。本気で怒っていないことは明白だが、いたずらっ子にはお仕置きが必要!
「くらえーむぎゅむぎゅ攻撃〜!」
 おてての真っ白子猫の肉球で、紅をむぎゅむぎゅと攻撃する。むぎゅむぎゅ! むぎゅぎゅ! 容赦なく攻撃され続けてしまう紅!
「にくきゅうむぎゅゃ~」
 それでもすごく嬉しそうだ。シュガーの肉球はケアがしっかりと行き届いておりぷにぷにもちもちで、触れるととても心地良い。

「えへへっ、楽しいね!」
「たのしです!」
 シュガーと紅はにっこりと笑い合う。その後も水を掛け合ったり、ひとつの浮き輪にふたりで掴まって一緒に泳いだりして遊ぶふたり。愛らしい少女達の、とても微笑ましい光景だ。

 けれども、そろそろおやつの時間。
「んむぅ、お腹すいたねぇ」
「沢山遊んでお腹が空いてきたですね?」
「うん……なにか甘いもの……あっ、そうだ!」
 ぴこんと良いアイデアを閃くシュガー。

「この船のジェラートがすっごく美味しいって有名なんだよ〜。ねえねえ、二人で食べに行こっ?」
「行くです!」
 海辺からウッドデッキエリアへと移動して、美味しいと噂のジェラートの店を訪れる。期間限定の特別メニュー「デコジェラ」は、ジェラートを最高に可愛くデコってくれるらしい。SNS映え間違いなしだ。これにしようねとはしゃぎながら、デコジェラをオーダーするシュガーと紅。ちょっぴり欲張ってトリプルで、お互いのイメージジェラートをチョイス!

 シュガーがオーダーした紅イメージジェラートは、ブルーベリーとマンゴーのミックスと、カシスと、いちごミルクのトリプル。
 一番上には豪華な彼岸花と茶色のリボンが飾られており、アーガイル模様が可愛いカシスには黒い彼岸花が咲き、添えられたアラザンがキラリと光る。いちごミルクにはにゃんこ型のミルクチョコレートと、お花型のストロベリーチョコレート付き。このにゃんこは、紅の大切な猫ぐるみのロウだ。

 そして紅がオーダーしたシュガーイメージジェラートは、バニラと、マスクメロンと、オレンジソルベのトリプル。
 バニラはもふもふうさぎの垂れ耳付きで、ミニサイズの麦わら帽子を被っている。チョコレート色のリボンもとても可愛い。マスクメロンには華やかな向日葵が咲き、ホワイトチョコで作られた天使の翼付きだ。オレンジソルベはホイップクリームが添えられて、チョコのミニミニリボンが散りばめられている。

「あ、カシスアイスってくーちゃみたいで可愛い〜」
「このお耳完璧しゅーちゃんですかわい~♪」

 大好きなお友達のイメージそのままなデコジェラートが完成して、シュガーも紅も大喜び。きゃあきゃあと大はしゃぎで、シュガーはもふもふな垂れ耳と、ころっと大きなまん丸しっぽをぴょこぴょこ揺らし、紅の長い髪といつも身に着けているシュガーとお揃いのチョコ色リボンもふわりと揺れた。
 それからSNSアップ用のツーショットをパシャり。早速可愛くデコってアップすると、瞬時にいいねがたくさん付いた。

 作ってくれた店員さんにありがとうとお礼を伝えて、いただきますと食べ始めたけれど、可愛すぎてもったいなくて、ふたりともなかなか食べられなかった。でもすごく美味しくて大満足だ。

 お腹もいっぱいになって、次はハッピーギフトにふたりで向かう。幸せな贈り物。なんだかとても面白そう。
 コインがたくさん沈んでいる泉の前で、紅はシュガーに質問した。

「しゅーちゃのお願い何ですか?」
「んー、私のお願い事? そうだなぁ……。これからも沢山くーちゃと遊べますように、かな」
「わ、しゅーちゃ」
 キラキラと顔を輝かせる紅。そんな風に思ってもらえてすごく嬉しい。
「僕のお願いもねっ……ずっと一人だった僕に沢山出来た願い事の一つ」

(――お友達とたーくさん遊べますように!)
 大事な大事な願い事だから、紅は心の中でそっと呟いた。

 ふたり一緒に「せーの!」で想いを乗せてコインを空高く投げ入れる。何が届けられるのか分からないけれど、すごくドキドキする。

 すぐに空からふわふわとパラシュートが降ってきた。垂れ耳うさぎ柄と、黒猫柄のふたつだ。シュガーと紅は、わあとパラシュートを見上げ、手を伸ばして空からの贈り物を受け取る。
「うさぎのパラシュートがしゅーちゃで、黒猫が僕ですね」
「うんうんっ、開けてみよっ!」

 箱の中に入っていたのはお揃いのペンダント。ピンクゴールドの細いチェーンに、フローライトを添えたハートがゆらゆら揺れる。かわいいー! とふたりでまたしても大はしゃぎ。
 それに大通りで行われるナイトパレードの特別鑑賞エリアのペアチケットも入っていた。
「一番いい場所でナイトパレードが見られるみたい! 花火もあるって書いてあるよ!」
「すごいですー!」

 これからウッドデッキエリアのリラクゼーションスペースで少し休んで、夕ごはんも一緒に食べて、それからナイトパレードに行こう。まだまだ今日の予定がたくさん。とてもわくわくする。

「これからもたくさん思い出増やしていこうね、くーちゃ♪」
「はいです、しゅーちゃ!」

 夏の思い出がまたひとつ増える。
 シュガーと紅は笑顔で歩き出す。もっともっと、一緒に思い出を増やそうねとはしゃぎながら。


 こうして猟兵達は思い思いに楽しい時間を過ごした。
 全てが眩しく感じられる季節。光に満ちた夏はまだまだ続いている。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月12日


挿絵イラスト