●悲惨な末路
「へっへっへ、これはこれは……随分と可愛いネズミが紛れ込んでいたものだな」
「くっ、殺せっ! 私は何も喋らんぞ!!」
暗い、何処かの個室。一人の女性が、多数の男達に囲まれている。その場にいる者はみな銀河帝国軍の制服を着ているが、どうやら女性だけは"仲間はずれ"らしい。
「おっと、自害でもされたら面倒だ。さるぐつわを噛ませておけ」
「も、もがっ!!」
「逃げ出されたら敵わん。手足も縛っておけ」
「もがもが!」
「ついでに、ここは冷えるからブランケットを与えておけ」
「もがががう」
ブランケットには"ケニー"という刺繍が入っているのが見て取れる。持ち主の名前だろうか。
「やれやれ、我々の計画がこんな小娘に知られてしまうとは……。代わりに、少しでもコイツから情報を引き出さんと、割に合わんよなぁ……?」
「も……もが……」
一方その頃、隣の部屋では熱々のスペースおでんが煮えていた。
●調査員の救出
「これはかなりヤバい状況なんだが、敵軍に潜入させていた調査員が、見つかって捕縛されてしまう未来を予知した」
佐藤・非正規雇用(めちゃくちゃモテたい・f04277)が、言葉とは裏腹に淡々とした様子で説明を始めた。
「本当なら俺が助けに行きたいところだが、予知してしまった以上、テレポートできるのは俺だけだ。希望者を調査員の近くに転送するから、何とか彼女が捕まっている部屋を見つけ出し、救出して欲しい」
続けて、非正規雇用が状況を説明する。
「調査員が捕まる前に送ってきた情報によると、なかなか警備が厳しく、見つからずに救出するのは骨が折れそうだ。戦闘に自信があるならゴリ押しでもいいが、フットワークを利用してドア以外を通り抜けるとか、観察眼を利用して敵を欺くとか……救出方法は各人の得意な方法に任せよう。また、何か手掛かりがあれば、思ったより早く彼女を見つけ出せるかもしれないな」
最後に、調査員の掴んだ情報について説明する。
「予知では、調査員が敵の"計画"について知り得たことを示していた。無事に調査員と合流し、その計画が非常に危険であると判断したならば、全力で阻止して欲しい」
一通り説明が終わり、非正規雇用がふぅと溜息をつく。
「歯痒いが今回の俺は後方支援……カッコイイところは皆に譲るぜ。俺の分まで暴れてきてくれよ」
そう言って、非正規雇用は下手くそなウィンクをした。
アルバイトの佐藤です
アルバイトの佐藤ですです。宜しくお願い致します。
今回のシナリオの大まかな流れとしては、調査員を救出し、その調査員と情報を共有して次のミッションをこなしていくことになります。基本的にキャラクターの長所を活かすプレイングを良しとしますが、「どうしてもこの方法で挑戦したい!」という冒険野郎もほんの少し歓迎です。
一見、無意味と思われる情報も、プレイングで利用されることを想定して記載したつもりです。全く予想しない使われ方をするかもしれませんが、それはそれで楽しみです。
それでは、皆様のプレイングを心よりお待ちしております。
第1章 冒険
『協力員を救出せよ』
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POW : 正面から監禁場所を襲撃する
SPD : 監禁場所に忍び込む
WIZ : 場所の情報を得る、見張りを陽動で追い払う
👑11
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アリシア・マクリントック
「う~ん……こう、だっけ?」
『影の追跡者の召喚』で調査員の現在位置を探りつつ、アリシア自身は陽動を行う。
「行ったね……これでよし。あとは……そうだ!マリア、お願い!」
影の追跡者が向かった方向(調査員がいると推測される方向)と逆へ向かって移動してから、いつも連れている狼のマリアに指示をだして吠えさせる。
「もしもの時は守ってね。」
襲われたときの防御はマリアに任せて、アリシアは影の追跡者で調査員の居場所を探ることに集中する。
●アリシアの決意
――スペースシップワールド。猟兵は、調査員が囚われていると思しき基地の前へと転送された。
「ここね……情報通り、警備が厳しいみたい」
アリシア・マクリントック(人間のビーストマスター・f01607)は物陰に隠れ、基地の様子を伺った。自分を転送したグリモア猟兵は胡散臭い感じだったが、情報は確かなようだ。……あまり嬉しくない情報ではあるが。
「しょうがない。私達で何とかしましょう、マリア」
アリシアが振り返りながら話しかけると、そこには一匹の狼がおり、返事をする代わりに彼女を静かに見つめ返した。
(シャドウチェイサー……)
アリシアが心の中で念じると、彼女の影がすっと伸び、その一部が千切れるように飛んで行った。これで、調査員の大まかな位置は把握できるだろう。あとは、どうやって救出するかだが……。
「マリア!」
アリシアの合図で、マリアがけたたましく吠え出す。
「なんだなんだ?」
「えっ、えっ? お祭り今日だっけ?」
居眠りでもしていたのか、帝国の兵士達が意味不明なことを口走りながら集まってきた。
「マリア、このまま敵を引きつけるよ! 向こうまで走ろう!」
次の仲間に託すため、アリシアは自分達の方へ敵を誘導した。逃げながら、敵の数を減らしていく――彼女の戦いは今始まった。
成功
🔵🔵🔴
暮陽・黎明
監禁するっつ―ことは、地下室なんかに閉じ込められるのが相場ってもんだが。地下室内なら、監禁者が逃げづらいような奥地の部屋とかだな。
隣の部屋でスペースおでんが煮えてんなら特定は案外簡単なんじゃねーのか。奥の部屋かつ、キッチンかそれに類する部屋がある場所、後もう一つ、冷え込むエリア。そこが監禁場所だろ。
見張りはそうだな、石でも投げて大きな音を立てりゃそっちに気を取られるんじゃねーかな。一人二人ならその隙に後ろから気絶させて隔離するなり。事前に軍兵襲って服だけ確保してそいつに着替えてなりすますって方法もあるだろうな。
私は力の方はてんで駄目だから、気絶さすとかそのへんは任せた。
●戦場に咲く花
仲間からの情報を受け取った暮陽・黎明(瑠璃色に染まる空の果へ・f00383)は、にぃっと口角を上げた。
「私の予想通り、地下……ああ、いや、下の方のフロアにいるようだな」
すっかり手薄となった基地の入口を目視し、しめしめといった表情で暮陽が侵入していく。しめしめ。
(「私は荒事に向いていないからな……兵士の数を減らしてくれて助かったぜ」)
階段を降りたところで兵士の姿を認めたので、慌てて姿を隠す。さすがにここの兵士までは誘き寄せられなかったか……。
意を決し、暮陽はリズミカルに壁を叩いた。
てってこてってっ。てってん。
「ん、何だ? お祭りか?」
帝国の兵士が意味不明なことを呟きながら近付いて来る。
(「そのまま……そのままだ……。よしっ!」)
暮陽が刀の柄と峰を使い、兵士を気絶させる。鳩尾と後頭部に鋭い打撃を受けた兵士は、短い呻き声を上げて崩れ落ちた。
「……軍服……ゲットだぜ」
お手洗いにて手早く軍服に着替え、脱がした兵士も一緒に隠しておいた。これで基地内をかなり動き易くなった筈だ。
(「……ちょっとぶかぶかだが、まぁバレないだろ。あとは奥の方の部屋……人気の無い寒そうな部屋とかを探してみるか……」)
暮陽が基地内を探索していると、倉庫に見張りが立っているのを見つけた。
(「ははぁん……。スパイを捕まえたが、置いておく部屋がない。だから倉庫に押し込んでおくっていうのは充分あり得るんじゃねえのか?」)
ここは一旦様子を見ようと倉庫の前を通った時、見張りから呼び止められた。
「おい、お前!」
「な、何でありましょうか」
「お前……めっちゃ可愛いな。これ萌え袖じゃねーか」
「や、やめてくださいっ……セクハラですよっ」
ナンパされた。
大成功
🔵🔵🔵
セゲル・スヴェアボルグ
面倒だな。どうせ見つかるのなら正面突破でいいだろう。
狂飆の王を使って壁ごとぶち破れば、ショートカットも出来て一石二鳥だ。
とは言っても、雑魚の相手をし続けても埒が明かない。
この世界ならその辺に戦闘機械も転がってるだろう。
そいつらをハッキングして、騒ぎを聞きつけて集まってきた敵の相手を任せる。
俺はその隙に先に進ませてもらうとしよう。
ブチ破った壁も適当に具現化で隠蔽しておけば追っても減らせるか。
あとは手あたり次第探すだけだな。
●大胆さと繊細さ
「俺が行こう。もう救出対象の場所は分かっているんだ、時間を掛けても仕方あるまい」
セゲル・スヴェアボルグ(ドラパラ・f00533)が威厳のある声で言った。
まるで天災が服を着て歩いて来たようだった。後に逃げ延びた帝国兵はそう語った。セゲルは「ここは自分の家だ」と言わんばかりに基地の入口から堂々と侵入し、遭遇した帝国兵を力こそパワーで片っ端から叩き潰した。
(「この辺りで良いか……」)
とある地点まで辿り着いたセゲルは、錨のような鉄塊を具現化し、何やら構えを取り始めた。隠れていた帝国兵も、何が起こるのかとハラハラしながら見ている。
「錨を地面に下ろすなんて、妙な気分だな」
自嘲するように呟くと、セゲルは独自のユーベルコード"狂飆の王"を真下に向けて放った。
爆音とともに床に大穴が空き、必要以上に周囲の壁が破壊されたため、一面は瓦礫の山と化した。下のフロアに臀部から着地してしまったセゲルは、不機嫌そうに周囲を見回し、邪魔な瓦礫を脇へ押しやった。
「なんだなんだ!? もうお祭りが始まったのか!?」
騒ぎを聞きつけた帝国兵が集まってくる。
「……これは流石に分が悪いな……」
セゲルは携帯型のコンソールを引き出し、先程とは打って変わって繊細な手つきで何かを入力し始めた。すると、向こうから走って来た帝国兵が、真横から飛び出した荷役運搬機械に撥ねられて吹き飛んだ。
「やはり重機械操作は重要。はっきり分かったね」
大成功
🔵🔵🔵
杉崎・まなみ
「ちょっと怖いですが…何とか助け出したいです」
敵のアジトに潜入するいでたちにそぐわないが、女の子を助けたい一心で潜入を試みる。
ただ、出来る事は少ないと判断しているので、見張りの陽動を買って出る事にした。
他の猟兵の突入の邪魔にならないように後方から【ジャッジメント・クルセイド】を放ち見張りを倒したら全力で逃げる。
●私らしく
「私も行きます!!」
仲間の連絡が途絶えたため第二班を編成することになった時、杉崎・まなみ(貴方を癒やす・f00136)が名乗りを上げた。自分にできることなんて、あまり無いのかもしれない。でも、何もしないで黙っていることなんてできない。そんな彼女が勇気を振り絞って現場へ向かうと、目の前の光景に愕然とした。
「な……、何があった……の?」
基地のど真ん中に大きな穴が空いており、まるで何かが爆発したかのように辺りに瓦礫が積み上がっていた。
「きっと、何か敵の恐ろしい兵器が暴れたのね……絶対に見つからないようにしなきゃ……」
もともと用心深い性格の彼女だったが、更に気を引き締め、仲間が切り開いた道を進んでいく。ようやく倉庫の前まで辿り着いた時、杉崎が見たものとは……。
「へっへっへ、いーじゃねーかよ。この基地に女がいるなんて知らなかったぜ!」
「放してくださいっ! いい加減、人を呼びますよ!!」
見張りがまだナンパしていた。
(「う、うぬ~!! このような場所で、あのような行為……とても許されるものではありませんね!」)
杉崎が詠唱に入る。敬虔な祈りと信仰により、主の御業をこの世に顕現する。
「神の裁きを受けなさい……ジャッジメント・クルセイド!!」
「なぁなぁ、俺って何歳にぬがぉーーーっ!!!」
もともと命中率の高いユーベルコードではあったが、ナンパにすっかり気を取られていた帝国兵は跡形もなく消え去った。
「ありがとよ……本当にしつこくて困ってたぜ」
帝国の軍服を着ていたので分からなかったが、ナンパされていたのは猟兵の一人であった。杉崎は見張りを排除したら離脱するつもりだったが、他の猟兵と合流できたので、倉庫の中を一緒に確認してもらうことにした。
「すみません、一緒に倉庫の中を確認して頂けますか?」
「おう、勿論。そのつもりで来たんだしな」
ひょこっと一緒に倉庫を覗き込む杉崎たち。暗くてよく見えないが、徐々に目が慣れてくる。
「あ……、あれは
……!!」
果たして、目的のものはそこにあった。
成功
🔵🔵🔴
スペースおでんとは、無重力空間で作られる特殊なおでんである。鍋も専用のものを使用しており、地上で見かけるような器の形ではなく、"ガチャガチャの台"みたいな形をしている。(無重力で飛び散るのを防ぐため)
地上では重力の影響を受けてしまい、味を染み込ませるのに時間がかかる具も、スペースおでんは無重力なため味が素早く均一に染み込み、とても柔らかく仕上がるのが特徴となっている。
最近では、このスペースおでんを食べるために、わざわざスペースシップワールドに訪れる猟兵もいるとかいないとか。
レディオン・リジッツ
SPD:監禁場所に忍び込む
監視の目を掻い潜って気づかれないよう進む
ネズミはネズミらしくこっそり進みましょうかね。
ショートカットに使えそうな所と、正面突破やら陽動してくれる人がいればそれも利用させてもらいますか。
ブランケットの持ち主が居たら捕虜の居場所も探しやすそうですが…見つけたらカカッと近寄って脅してみましょう。
スペースおでんは嫌な予感がするので見つけ次第ブチ撒けておきますね。
●もう一人の猟兵
レディオン・リジッツ(賞金稼ぎ・f01897)は一人で別行動を取っていた。それは、ブランケットの持ち主さえ見つければ、調査員の監禁場所が容易に分かるだろうと踏んでいたからである。
仲間の陽動作戦(または破壊工作)に感謝しつつ、持ち前の身軽さを活かして基地内を探索していた。
(「いきなり"ケニー"本人が見つかる可能性は低い……適当に一人捕まえて、尋問してみましょうか……」)
レディオンは素早い身のこなしで帝国兵の背後に立ち、ブラスターを押し当ててそっと呟く。
「静かに……」
「な、なんだ!? 今日はお祭りか?」
「ケニーという男を捜しているのだけれど、あなた知らない?」
「あ……アイツならF3-908の居住区に……」
(「ずいぶん簡単に仲間を売るわね」)
銃のグリップで兵士を眠らせつつ、レディオンは半信半疑で居住区へと向かった。
(「いた
……!!」)
帝国兵から聞いた通りの区画に、ケニーがいた。ブランケットに刺繍が入っていたように、彼の上着にもネームが入っていたのだ。
「おっ、エックスレアじゃん! やりーっ!」
(「しかも、何かクジのようなものを開封するのに夢中になっているようね……今なら簡単に拘束できるわ」)
天井から音もなく着地したレディオンは、ケニーの後頭部に銃を押し付ける。
「こっちの中身もエックスレアだといいわね」
「はっ!? 何奴……」
「大人しく質問に答えて頂戴」
独自のルートで、調査員が倉庫にいることを突き止めたレディオンは、一路救出へ向かった。
(「見張りがいないのが不思議ね……何か床が焦げてるけど?」)
倉庫前の不自然な黒ずみを気にしつつ中へ侵入すると、そこに調査員の姿は無く、ケニーのブランケットだけが取り残されていた。
「しまった! まさか既に拷問に
……!!」
レディオンは倉庫を飛び出し、スペースおでんを引っくり返すべく、隣の部屋へと躍り込んだ。
「あっ、レディオンさんも来た! こっちこっち!」
隣の部屋では調査員と、作戦に参加した猟兵たちが仲良くスペースおでんをつついていた。
「う~、ずっと外にいたので寒かったよ」
「この大根、よく染みてて美味ぇな」
「こら。食事中に喋るのは行儀が悪いぞ」
「ふぅ……勇気を出してここまで来て良かったです」
レディオンは怒りに肩を震わせた。
「あ、あなた達……!! 餅巾着が入ってないじゃないの!!」
大成功
🔵🔵🔵
第2章 冒険
『船外活動で冒険』
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POW : 障害を破壊する、工作機械で一気に作業する
SPD : 迅速に作業をこなす、宇宙船に忍び込む
WIZ : 状況を正確に把握する、目的地を調べる
👑11
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●調査員の話
「すみません……おでんなんか食べてましたが、実はそんな悠長な事態じゃなかったんです」
調査員がおずおずと口を開く。
「実は、帝国が大規模なテロを計画しているらしいんです! その名もコードネーム"OMATSURI
"……!! ヤツらは大量の爆弾や兵器を宇宙船に積み込んで、何処かへと向かおうとしているの! 早く止めないとヤバいことになるわ!」
続けて、参加者達に指示を出す。
「皆で力を合わせて計画を阻止する必要があるわ。船内の爆弾を無力化したり、作業員を排除してもいいかもしれないわね。パワープレイで手早く対処するのもいいけど、見つからなければそれだけ長く作業できると思うわ」
また、少し考えて、他のアプローチも提案する。
「それから目的地や兵器の情報を得られれば、対策を取ったり、作業の効率を上げられるかもしれない……お願い! あなた達の力を貸して!!」
調査員は勢いよく頭を下げたが、その弾みで背後に立っていた非正規雇用にお尻がぶつかった。
「いてっ……」
水心子・静柄
まずは調査員が入手した計画の詳細を聞かないと何していいかわからないよね。
騒ぎが起きる度に帝国兵士は「お祭り」と言ってたけど、それと関係があるかどうかも確認しないとね。
まぁでも騒ぎが起きれば「お祭り」と間違われるんだから破壊活動か何かしらね?
念の為に調査員に壊していいものといけないものを確認してから壊すわよ♪
敵なら私(本体)で殴りつける!ものならバトルアックスで壊す!!
グラウンドクラッシャーで一気に壊しまくるわよ♪
ところでスペースおでんの牛すじってお箸で割けるくらい軟らかくなってたりするのかしら?
●気になること
ログを確認していた水心子・静柄(剣の舞姫・f05492)は、帝国の兵士達のある共通点に気付いていた。
「帝国兵の言っていた"お祭り"って、テロのことだったのね……どうもおかしいと思ったわ。……ねぇ、他にも何か聞いてない?」
調査員は、しまったという顔で答えた。
「す、すみません! 大事なことを忘れていました。実は敵の兵器には"とっておき"があるらしいんです。通称、"MIKOSHI"……」
「"神輿"……。一体、どんな兵器なのかしら……」
「裏で兵士達が、鉄の歯車がどうとか、やっぱりアンテナが弱点……とか話していましたね」
「ふうん……それが出てきたら、要注意ってことかしらね……」
水心子が相槌を打ちつつ、おでんに手を伸ばす。それを見た調査員が、きょとんとして尋ねる。
「何をしてるんですか?」
「い、いえ! 何でもないわ! それじゃあ行ってくるわね」
行動を見咎められた気がして、水心子はドックの宇宙船へ向かって慌てて駆け出した。
「……あぶないあぶない。私の牛すじが取られちゃうところでした……」
調査員は牛すじを箸で掴み、自分の口へ放り込むと至福の笑みを浮かべた。
ドックに辿り着いた水心子は、持ち込んだバトルアクスで破壊の限りを尽くしていた。早々に帝国の兵士達に見つかったが、近付く者は納刀した"脇差"で殴り倒した。
「ぐっ、こんな"OMATSURI"は聞いてな……」
殴打された帝国兵が、うわ言のように呟く。
(「!! やはり、テロを計画しているというのは本当のようね……私が止めないと!!」)
水心子は確信する。
「貴方達のお祭りは、中止よ!!」
腕に雷のようなオーラを纏い、頭上に掲げたバトルアクスが振り下ろされる。激しい轟音とともに周囲の機材を弾き飛ばし、また、積む予定だったと思われる爆発物が誘爆した。――結果、この宇宙船右舷エリアには、水心子を止める者がいなくなった。
「食べ物の恨みは恐ろしいわよ」
水心子は、まだ牛すじのことを考えていた。
成功
🔵🔵🔴
杉崎・まなみ
初めて見る、スペースおでんに目を輝かせ、ツミレを取り満面の笑みではふはふ言いながら頂く
あまりの団欒ぶりに任務を忘れそうになるが「はっ!?ダメダメ!調査員を助けださなくちゃ!」
と思い直し、ちょうど猟兵が集まっているので各自やってきた事の確認と、今後の方針を話し合いましょうと促す
帝国の軍服を着ていた暮陽・黎明さんを見て、私の分も無いかなぁと辺りを見回す
有れば着て(無ければ見張りをまた倒し服をゲットしつつ)、おでんを持って「差し入れですよー」と近場の帝国軍兵に話しかけ、調査員がどこに連れて行かれたか聞き出してみる
●プロパガンダ
敵の計画は分かった。後ろに控えている兵器の存在も掴めた。あとは阻止するだけ……。
「はふはふ……」
だのに、杉崎・まなみ(貴方を癒やす・f00136)はツミレを頬張っていた。
「あの……、杉崎さん……そろそろ……」
調査員が言いにくそうに切り出す。
「はっ!? そうでしたね! 調査員の女性を助け出さないと!」
「私ならここにいます……」
「えっ
……!?」
今まで一緒におでんを食べていたメンバーが、まさか調査員本人とは知らず、杉崎が目を見開く。
「こ、このおでんの威力は凄いですね……はっ?! このおでんなら、妨害工作として充分役に立つのでは!?」
自分のミスを慌てて隠すかのように、杉崎がおでんを持って立ち上がる。
「えっ? ちょっ、ちょ……杉崎さん!?」
「いってきまーす!!」
そのままドックへと向かうのだった。
「えー、おでん~おでん~。アツアツのおでんはいかがですか~」
もう隠すも何もない。逆に目立っていくスタイルの杉崎が敵陣に突っ込む。
「おっ! スペースおでんじゃねえか! 気が利くな!」
「何? やっぱり今日は"OMATSURI"なの?」
「牛すじが無いじゃないか……食べたかったのに」
杉崎が困り顔で謝罪する。
「すみません、牛すじは人気で無くなっちゃったんですよ」
おでんの効果は絶大で、大量の兵士を足止めすることに成功した。しかし……
(「し、しまった! 人が集まり過ぎて、軍服を奪う隙がない
……!!」)
予想以上に兵士が集まってしまい、軍服を奪うタイミングを失ってしまった。杉崎はおでんを置き去りにしつつ、とぼとぼと帰還した。結果、宇宙船が出発するまでの時刻を、2時間ほど遅らせることに成功した。
苦戦
🔵🔴🔴
セゲル・スヴェアボルグ
OMATSURI……なにやら、面白そうなことが始まりそうな響きではあるが、どうせろくなもんじゃないだろうな。
先程は十二分に暴れさせてもらったし、今度は裏方にでも回るとしよう。
とりあえず時間稼ぎのためにエレクトロレギオンを使い、戦闘機械どもで敵をかく乱だ。
そちらに気を取られている隙に近くにある端末をハッキングして状況と目的地の把握だな。
勿論、ハッキング履歴は残さないよう物理的な処理も忘れずにな。
●オーバーワーク
計画の概要を聞いて、セゲル・スヴェアボルグ(ドラパラ・f00533)は、つまらなさそうにフンと鼻を鳴らした。
「帝国の"OMATSURI"か、どうせろくなもんじゃないだろう。さっさと終わらせて、帰りたいところだが……」
セゲルが再びコンソールを引き出し、何やら忙しげにタイピングすると、目の前に小型のロボットが順番に召喚されていく。規則正しく並ぶロボット達を見て、セゲルが満足そうに頷く。
「まぁこんなものか。あとは……」
大柄な体躯を翻し、壁に備え付けてある端末と向き合う。小型の怪しげな装置を端末に挿し込むと、画面が勝手にチカチカと切り替わり、やがて"田"というマークが大きく表示された。指を鳴らしつつ、セゲルが呟く。
「ヤツらに本当のお祭りを教えてやろう」
「は、班長! 大変です!」
「どうした? もう、おでんはないぞ」
「いえ! 大量のロボットが現れて、積み荷をめちゃめちゃに破壊しているんです!!」
「何!?」
慌てて現場を確認すると、積み荷がめちゃめちゃに破壊されていた。現在進行形で。
「ドローンを無効化するミュートはいないのか!」
「それは別のゲームです!」
モニターで一部始終を見ていたセゲルは、口の端をにっと上げた。
「セゲルさん……どんな様子ですか?」
おずおずと調査員が尋ねてくる。セゲルはモニターから目を離し、調査員の方に顔を向ける。
「ああ、どうやら狙われているのは、このIDの宇宙船らしい。至急、避難勧告を出した方がいいだろう」
得られた情報を、調査員へ転送する。
「あ、ありがとうございます!」
調査員が自分のコンソールを操作し始めると、セゲルは後片付けとばかりに尻尾を振り上げた。
「ん……?」
モニターに、犬……いや、狼を連れた猟兵が映っている。上手く宇宙船内に忍び込めたが、敵に囲まれてしまっているようだった。
「まだ仕事が残ってたな」
そう呟きつつ、ポン、とキーを押した。
成功
🔵🔵🔴
アリシア・マクリントック
お祭りって計画の名前だったんですね……この世界のお祭りがどんなのか楽しみにしてたのに。
それよりも、テロだなんて許せません!武器を買うお金でインフラを整えたり、社会保障とかもっと人の為になることができるはずなのに!
この状況で私にできることは何でしょう?機械を扱うのは苦手だし……
そうだ!宇宙船に潜入して中を調べましょう。少しでも武器や何かを持ち出せば数が合わなくて混乱させたりできるかもしれないし、他の人とで挟み撃ち、なんてのもよさそう!かくれんぼは得意だったし、きっといけるよね?
逆に私が囲まれるかもしれないけれど……その時は『守護者の軍勢』でマリアの仲間達に助けてもらいましょう。
●ネイチャーズウェイ
お祭りと聞いて、我慢できずに駆け付けるタイプのアリシア・マクリントック(人間のビーストマスター・f01607)は、帝国の計画を聞いて憤慨した。
「何と言うこと! よりによってテロだなんて……それらのリソースがあれば、もっと有意義なことが出来たはずなのに
……!!」
激昂するアリシアを、宥めるかのようにマリアが寄り添う。
「行きましょう、マリア。こんな馬鹿げた計画、早く終わらせなければ」
キッとマリアを見つめ、アリシアはおでん部屋を飛び出した。
「……しっ、マリア。音を立てないでね」
先程までの勢いとは打って変わり、宇宙船内に侵入したアリシアとマリアは、極めて慎重に進んでいった。
(「少しでも武器を減らすことができれば、帝国側が不利になるはず……。そのためには、見つからずに武器庫まで辿り着かなくては……」)
「へっへっへ。お嬢さん、何処に行くのかな?」
「あっ!?」
身のこなしに自信のあったアリシアだが、軍服の入手や、侵入経路について注意を払わなかったため、帝国兵に発見されてしまった。
「さぁ……お前も、この大きめの軍服を着るんだ……袖を余らせろっ」
「嫌ッ! 離して!!」
主人の危機とあらば、マリアが黙っている理由がなかった。帝国兵の伸ばした腕に、鋭い牙を立てる。
「ぐああっ! 俺はただ軍服を
……!!」
「今だ! マリア、お願い!!」
敵が怯んだ隙に、アリシアが独自のユーベルコードを発動する。
「……? 何だ? 何も起きないじゃないか……」
ただならぬ気迫に思わず身構える帝国兵だったが、しばらく待っても自分の身に何も起きなかったため安堵した。何だ、ただのはったり……。
「!?」
通路の向こう側から、狼の群れが大地を揺らしながら押し寄せる。どうして? ここは宇宙船の中なのに……。
「守護者の軍勢(マリアズトルーパー)!!」
「ぐあああああっ!! 何でなの!?」
灰色の濁流はあっという間に帝国兵を飲み込み、押し流していく。彼らが通った後はペンペン草も生えなかった。もともと生えないけど。
「ふぅ……危ないところだったわね」
ほっと胸を撫で下ろすアリシアだったが、その背後には別の帝国兵が……。
「ぶべっ!」
帝国兵がいたのだが、何処からともなくやって来た荷役運搬機械に撥ねられて絶命した。一瞬、ビクッと身を震わせるアリシアであったが、状況が掴めずに苦笑した。
「味方……かしら……」
仲間の助けもあり、無事に武器庫に到達したアリシアは全てを焼き払った。断続的に起こる爆発と、紅々と燃える炎を見つめながら――。
成功
🔵🔵🔴
ウィンドボイス・スティレット
コードネーム"OMATSURI"……!
きっと、とても複雑な英語の頭文字を組み合わせた仰々しいプランに違いありませんね……
その計画、私が必ず止めてみせます!
はぁぁぁぁぁぁ…――【トリニティ・エンハンス】!!
これが私の!
【炎の魔力】を帯びたスペース牛すじ!
【水の魔力】を帯びたスペース染み大根!
そして【風の魔力】を帯びた……えーと何がいいかな、そう、スペースはんぺんだ喰らえぇぇぇぇっ!!
ってな感じで、兵士さん達におでんを美味しく召し上がって頂いている間に"OMATSURI"について詳しく聞いたり、爆弾を壊したりします
これが私のビクトリープラン――"ENNICHI"です!
●秘儀
「"OMATSURI"……恐ろしい計画ですね。きっと、何か凄い意味があるのでしょう……」
ウィンドボイス・スティレット(調律者・f00063)は、想像力豊かに相槌を打った。
「しからば、私も本気を出すしかないようですね。皆さんはそこで見ていてください、私の生き様をね」
ミステリーを残して、ウィンドボイスはドックへと向かった。
「ふぅー、もうお腹いっぱいだね」
「ああ、しばらくスペースおでんは見たくないな。……そろそろ仕事する?」
帝国の兵士たちが和やかな食休みを取っていると、そこへ力強い歩みでウィンドボイスが現れた。
「なっ、なんだ貴様は!?」
「そうだそうだ! もう、おでんは無いぞ!」
ウィンドボイスがかぶりを振る。
「私が皆様のおでんを取る? とんでもない……、私はね……」
そして唐突に、おでんの具を追加し始めた!!
「おかわりを持って来たんですよ! 貴方達に!!」
ざざーっ、と鍋に具を滑りこませるウィンドボイス。帝国兵たちの嬉しい悲鳴が響き渡る。
「や、やめろーっ!! もう食べきれないんだ!!」
「自分が何をしてるか分かっているのか!?」
「神様……」
先程まで売り切れていた牛すじ、既に味を染み込ませた大根、そして、ふかふかのはんぺん……。兵士たちは涙を流して食べ始めた。
しかし、ユーベルコード"トリニティ・エンハンス"は自身を強化する術である。いくら兵士たちがおでんを食べたところで、己を強化することにならないはずだが……。
「はむっ! はふはふ! ほふっ!」
ウィンドボイスも一緒に食った!! 帝国の兵士たちと仲良く鍋を囲む!!
「うおおおおおお!! 食らいなさい(文字通り)、これが私の"EN-NICHI"です
!!!!」
「ぐわあああああああっ!!」
ウィンドボイスは、宇宙船の乗組員たちを完全に無力化した。
「ごちそうさまです」
大成功
🔵🔵🔵
水心子・静柄
これだけ調べても神輿が出て来ないなんておかしいわ。もしかして何か見落としが?テロの事がお祭り、兵器の事が神輿、スペースおでんに群がる帝国兵士達…はっ!もしかして屋台…”YATAI“のコードネームが存在するのかしら?確かめるには知っている人に聞くのが一番だけど…調査員が忘れてたらお仕置きものよね。
とりあえず一人うろついてる帝国兵士の胸倉を掴んで『恫喝というなの恐喝』で”YATAI”について質問するわ。知らないなら次に知ってそうな人の居場所の質問ね。ダメージを与えれたら同じ事を他の兵士に繰り返し、与えれないなら屋台の有無の確認が取れてOK。最後に接触した兵士はもちろん鞘で殴って気絶させるわ♪
●尋問
水心子・静柄(剣の舞姫・f05492)は推理する。まだ、敵の"とっておき"と噂される"MIKOSHI"が見つかっていない。我々は何か見落としているのではないか。テロ計画"OMATSURI"……秘密兵器"MIKOSHI"……兵士の好物"ODEN"……。
「はっ!? まさか、これらの事実から導き出される結論は"屋台"……つまり、コードネーム"YATAI"では!?」
水心子は手頃な兵士を尋問するべく、まだ生きた兵士のいるエリアへと向かった。
「……一体、何があったのかしら……」
腹が風船のように膨れ、動けなくなった兵士たちの姿を水心子は見つけた。
「何かの生体実験? 恐ろしいわね……」
もう逃げることもできない兵士に向かって、水心子は容赦なく独自のユーベルコードをぶち込んだ。
「あなた、"YATAI"のこと何か知ってるんでしょ! 隠さずに教えなさい!!」
「何だそれは……」
マジトーンだった。
「じゃ、じゃあ"MIKOSHI"のことでもいいわ」
「!!」
その単語が出た瞬間、兵士の顔色が変わる。
「そ、それについて喋るわけに……ぐわあああああああああっ!!」
ユーベルコードの能力により、継続的な痛みが兵士を襲う。
「ほらほら……喋らないと、もっと酷いことになるわよ」
「ぐっ、ぐううううっ……み、"MIKOSHI"とは、我われ銀河帝国が総力を結集して開発した二足歩行型戦車……」
「二足歩行の戦車……? それってメタ……」
「しっ! とにかく、"MIKOSHI"は近距離を機銃、遠距離はミサイルを主武装としている。予期していれば、避けやすいかもしれないな」
水心子は兵士の話を聞きつつ、"MIKOSHI"はアンテナが弱点、という調査員の言葉を思い出していた。
(「攻撃を避けつつ、アンテナを狙うことになりそうね……」)
言うは易し……水心子は苦々しく思いながら、兵士に追い討ちをかける。
「他には!?」
「ひっ、ひぃっ! 他には何も知らないんですぅ!!」
「それ以上、ウチの部下を苛めてもらっては困る」
●神輿
ドックの奥の方から新手が現れる。銀河帝国の軍服を着ているようだが、肩にラインの入った――。
「よく分からないけど、貴方がここのお偉いさんのようね」
「よくも散々暴れまわってくれたな。積荷は破壊し、燃やし尽くされ、乗組員はバランスボールのように太らされてしまった」
仲間達の功績を知り、水心子は笑みを零す。
「貴方ももう終わりよ。投降して、"YATAI"のことを教えてくれたら、命だけは助けてあげるわ」
「何だそれ……」
マジトーンだった。
「とにかく、お前達には礼をせねば……もう"OMATSURI"は延期になってしまったが、"MIKOSHI"だけは担がせてもらう!!」
「ふざけないで! この"OMATSURI"は無期延期よ! あなた達の好きにはさせない!!」
宇宙船から降り立った二足歩行型戦車"MIKOSHI"と、水心子が、いま対峙する――。
成功
🔵🔵🔴
第3章 ボス戦
『二足歩行戦車』
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POW : 一斉砲撃
【機体各所に搭載した火器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : レジェンダリーソルジャー
【伝説的な戦車兵を再現したAI】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
WIZ : 胴体下部可動式ビームキャノン
【砲門】を向けた対象に、【ビームの連射】でダメージを与える。命中率が高い。
👑17
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●おでんの味
テロの計画を阻止した猟兵達であったが、そこへ帝国の秘密兵器、二足歩行戦車"MIKOSHI"が襲い掛かる。"MIKOSHI"の外観については、ちょっと上の方にスクロールさせて……そう! それ! それが"MIKOSHI"の姿です。カッコイイでしょう。
「よくも我々の計画を邪魔してくれたな……もう"OMATSURI"はできなくなってしまったが、せめて貴様らだけでも楽しませてやろう」
"MIKOSHI"から触手のように生えた火器が、生き物のようにこちらを狙う。兵器と睨み合う貴方に、調査員から通信が入る。
「気を付けてください! その"MIKOSHI"は様々な武器・システムを積んでいるようです!」
今までに集めた情報を、調査員が読み上げる。
「胴体の下に生えているのはビーム砲、威力は低いですが精度が高いので注意です。そして、"MIKOSHI"は独自のAIアップデート機能を持っているようです。プログラム化した人格を適用するみたいなのですが、そこに隙が生まれるかもしれませんね。また、機動力を犠牲にして全武装を発射してくることもあるようです。ヤツが姿勢を低くしたら注意してください!」
調査員が真剣な顔で訴えかける。
「かなりタフな敵ですが、必ず突破口はあるはずです! コイツを倒して、皆でまたおでんを食べに行きましょう!」
ロザリア・ムーンドロップ
おでんははんぺんが好きです!
……いえ、そうではないですね。
気を取り直していきましょう!
見るからに怪しい形してますね。
最新の戦車は歩くのですか、勉強になります
(ノートにメモメモ)
攻撃ですが、サイキックブラストで感電を試してみましょう
私が今使えるユーベルコードの中で、一番効果がありそうな気がしますね
右の掌を敵に合わせて
左手は添えるだけですね!
敵の攻撃、精度が高そうです
でも、あの体、小回りはどのくらい利くのでしょうか
敵の周りをぐるぐる回って、追いつかれるか試してみましょう
もし小回りが利かないようなら、そこがチャンスになりますね
隙を突いて電撃をお見舞いしてあげましょう!
●フレミングの法則
「これが帝国の最新兵器ですか……勉強になりますね」
ロザリア・ムーンドロップ(人間のウィザード・f00270)は感心しながら、何かをノートに書き込み始めた。
(「一体、何の勉強なのかしら……」)
調査員が、興味本位でロザリアのノートを覗き込む。そこには、とてもシンプルな三角の図形が……。
「"はんぺん"じゃねーか!!」
調査員は、ロザリアの帽子が落ちそうになる程の勢いで叩いた。でも、帽子は落ちなかった。
「いたーい」
少し涙目になりつつ、帽子を被り直すロザリア。
「でも、情報をまとめたおかげで、何となく分かった気がします」
そう言うと、ロザリアは二足歩行戦車"MIKOSHI"の周りをぐるぐると時計回りに走り始めた。すると、どうしたことか、敵は"反時計周り"に旋回し始めたのである。
(「これ……もしかして……」)
ロザリアは、試しに敵の右足付近で立ち止まってみた。明らかに右旋回した方が近い距離である。しかし、"MIKOSHI"は左旋回を続行した。
(「右旋回……できない
……!?」)
抜群の精度を誇るビームキャノンも、相手を捕捉できなければ撃つことができない。"MIKOSHI"はロザリアを攻撃することができず、挙動不審な動きで場を和ませた。
ゆっくりと戦車の背後に回ったロザリアは、両手を突き出して魔力を掌に収束させる。
「この勝負、頂いちゃいました」
"MIKOSHI"が懸命の左旋回を見せる! 小刻みに足踏みしながら、必死でロザリアの方を向こうとする……が、間に合わない!!
「……左手は、添えるだけ……」
彼女がそっと呟いたかと思うと、凄まじい破裂音とともに青白い筋が両手から伸び、"MIKOSHI"へと直撃した。
『……』
何かが焦げたような匂いが立ち込める。"MIKOSHI"のライトは全て消灯し、暫く煙を上げて沈黙していたが、やがて崩れ落ちように倒れ込み、その胴体を地に着けた。これならば、次のメンバーが攻撃している間は反撃を受けずに済むだろう。
「予想が当たっちゃいました」
ロザリアは、今度こそ正しい情報をノートに書き込んだ。
大成功
🔵🔵🔵
杉崎・まなみ
残ったおでんをはぐはぐと食べつつ、大きな音がする方向へ向かいMIKOSHIを見つけに行く
見つけたら目の前のMIKOSHIを呆然と見てマジレス
「アレがMIKOSHI…いやいや、アレは担げないでしょ…重そうだもの…」
グリモア魔法学園の図書館で、サムライエンパイアのお祭りの話は聞いていたけど…
なんてまだ余裕を持ちつつ、敵の攻撃を避けつつ【生まれながらの光】で味方の回復に専念
ただし行けそうな時は踏み込んで、アンテナに向けて【大地の奇跡】を「わっしょい!」と叫びながら発動。雷系の自然現象を起こして叩き込む
●9.80665
「いよいよ決戦ですね。これは負けられない……」
杉崎・まなみ(貴方を癒やす・f00136)が取り皿と箸を持って、おでんをはぐはぐと食べながら呟いた。
「いつまで食べてるの?」
「すみません……急におでんが出て来たので……」
調査員にたしなめられ、杉崎が渋々と取り皿を置く。
「この"MIKOSHI"……、私が以前聞いたものとはだいぶ異なりますね。神輿というものは、『わっしょい』という掛け声とともに皆で担ぐものと聞き及んでいますが……」
チラ、と杉崎が視線を向けた先には、ショートして伏している"MIKOSHI"の姿があった。
「ともかく、せっかくのチャンスです! 今の内にできるだけダメージを与えなくては!」
杉崎は祈りを込めて、両手を地に着けた。
「神よ……私たちをお救いください……」
ここは宇宙のとある基地内。自然の力など及ばない……そう思われたが、前触れもなく"MIKOSHI"の巨体が宙に浮いた。初速はゆっくりだったが、徐々に加速して天井に"落ちて"ゆく――杉崎の祈りは重力の場を作り出した。
「Wasshoi
!!!!」
渾身の掛け声が"MIKOSHI"を持ち上げる。敵は落下と同等の速度で天井に叩きつけられ、また直ぐに地面に向かって落ち始めた。けたたましい金属音を響かせ、"MIKOSHI"が地面に叩きつけられる。
立て続けにそれなりのダメージを与えたはずだが、まだ"MIKOSHI"は起き上がる余力がありそうだ。フロントのカメラが怪しく光り、こちらを見た……気がする。杉崎が仲間へ振り返って叫ぶ。
「気を付けてください、敵の攻撃が来ます! 負傷者は私が回復しますから!!」
大成功
🔵🔵🔵
アリシア・マクリントック
私も戦えるというところをお見せします!
生憎と手袋の持ち合わせもないですし、決闘とは参りませんけれど……。
機械が相手なら私のレイピアは相性がいいかもしれません。装甲の隙間を上手く突くことができれば、力のない私でも有効打を与えられるはず……貴族の剣と言えど、飾りではないのです!
相手の攻撃は……マリアや他の仲間と連携して、的を絞らせないようにして躱したいところですね。
無事に倒すことができたら、佐藤さんも含めたみんなで一緒にお食事でもしたいですね。この世界にはどんなものがあるのか、楽しみです。
●アン・ガルド
アリシア・マクリントック(旅するお嬢様・f01607)が、"MIKOSHI"の巨体を睨み付ける。
「ついに大将のお出ましね……。私がお相手します!」
アリシアが、白くて平べったい物を地面へ叩きつける。
(「わ。やっぱり西洋の人は、決闘の時に手袋を投げつけるのね……」)
調査員がドキドキしながら一部始終を見ていたが、よく見ると、その白い物体は何か三角の形をして……。
「はんぺんじゃねーか!!」
ツッコミを入れながら、調査員は"佐藤用"と書かれた箱を取り出し、はんぺんを拾ってその中に入れた。(リプレイに使ったはんぺんは、グリモア猟兵が美味しく頂きました。)
「マリア!」
アリシアが連携攻撃を仕掛けるべく、合図を送る。敵の両側に回り込み、挟み撃ちの状態で必殺の剣技を叩き込んだ。
(「ファンデヴ
……!」)
鋭い踏み込みと高速で振るわれたレイピアが、敵の装甲の隙間へと吸い込まれる――アリシアは狙い通りに"MIKOSHI"へ剣を突き立てることができた。しかし――。
「あ、あら……?」
抜けない。力強くねじ込んだレイピアは、"MIKOSHI"の関節にガッチリと挟まれ、抜けなくなってしまった。敵は右脚の関節が曲がらなくなってしまったのか、動きが更にぎこちなくなってきた。屈もうとしたようだが、思い通りに脚が曲がらず尻餅を付いてしまう有様だった。
(「屈む……? 確か、この予備動作は……」)
アリシアが調査員の言葉を思い出す。
「危ない! 避けてマリア!!」
"MIKOSHI"が、自身に積載した機銃やビーム砲等の全ての火器を、アリシア達に向けて発射した。剣の回収を諦め、咄嗟に回避行動を取る。
「くっ、くうううううっ!!」
攻撃は分散できたが、アリシアもマリアも相当のダメージを受けてしまった。
「大丈夫ですか!?」
すかさず、仲間の猟兵が治癒のユーベルコードを施す。
「あ、ありがとうございます……」
礼を言いつつ、苦々しい表情で"MIKOSHI"を見上げるアリシア。その脚には愛用のレイピアが深く突き刺さっていた。あまりダメージは与えられなかったが、敵の機動力を奪うことができた。
苦戦
🔵🔴🔴
セゲル・スヴェアボルグ
戦車なのか神輿なのかよくわからんが、あれを倒してしまっても構わんのだろう?
とは言っても、流石にあれだけの重火器を全て受け止めるのは流石に憚られるな。
とりあえず、エレクトロレギオンを使用して戦闘機械を囮にでも使ってみるか。75体も戦闘機械がいれば、時間を稼ぐには十分だろうしな。
奴さんの砲門がそちらを向いている間に、俺の錨斧を叩き込んでやる。
アンテナを狙えばいいんだったか?まぁ壊せるところはとりあえずまとめて壊しておくか。
あぁ、ちなみに俺は神輿よりも山車派だな。
●グッド・カンパニー
「敵の真打登場といったところか……俺が倒してしまっても構わんのだろう?」
ニヒルなジョークを呟きつつ、セゲル・スヴェアボルグ(ドラパラ・f00533)が仲間より一歩前へ踏み出した。
「エレクトロレギオン!」
べつに宣言する必要は無いのだが、セゲルは高らかに叫びつつ、コンソールのショートカットキーをポンと押した。すると、見慣れた仲間達が再び整列する。
「この75体のロボット達が! 貴様を……」
啖呵を切ろうとして、ふいにセゲルが首を傾げる。
「この75の……」
やはりおかしい。セゲルがロボットを数え直す。
「……この80体のロボットと俺が貴様を倒す!!」
スッキリした顔で、敵に言い放った。そんなセゲルを慕うかのように、ロボット達はピコピコ言いながら整列している。
「こら、No.23。新入りのNo.79をいじめてはいかんぞ」
ぴこぴこ。
"MIKOSHI"は体勢を立て直しつつ、キャノン砲をセゲル達へ向けた。
「行くぞお前たち!」
セゲルと80体の部下達が一斉に走り出す。アリババより40体も多い。そんな中、狙い澄ました敵の砲撃が1体、また1体とロボットを撃墜していく。セゲルの狙い通りの展開だった。
「うおおおおおおおおっ!!」
射程に入ったことを確信したセゲルが、高く跳躍する。その手には既に、錨型の武器が……
甲高い金属音とともに、"MIKOSHI"のアンテナが回復不可能なまでに拉げる。(イラストを確認して、『これの何処にアンテナが……』と探すのはやめてください。)
これで"MIKOSHI"のAIアップデート能力や、索敵能力が著しく低下したことだろう。セゲルは自分の成果に満足して――。
ガンガンガンガン! ガンガンガンガン!
満足することはなく、錨で敵を殴り続けた。
「ここ、もうちょっといけるんじゃないのか?」
"手加減"というものを知らないセゲルは、エレクトロレギオンの兵士達が全て破壊されるまで殴り続けた。
「そもそも、俺は山車派なんだよな」
調査員が、したり顔でおでんの鍋をこちらに見せ付けてくる。
「そっちじゃなくて」
大成功
🔵🔵🔵
水心子・静柄
おでんを食べに行くのは構わないけど…もちろん調査員、あなたの奢りよね?それなら皆の士気が上がって簡単に倒せそうだわ♪まさか奢りじゃないと言うのかしら?それなら士気がガタ落ちで倒せないかもしれないわね…
それにしてもちょっと相性が悪いわね。本体がバレるからあまり使いたくなかったのだけど…自分の未熟さ故よね。距離を開けて錬成カミヤドリで私自身を…もちろん鞘付きでね!…最大数召喚して多方面から攻撃するわ。第六感に頼ったランダム攻撃でAIの隙きをつく!
あ、AIの人格になったら、とりあえずダンボールの話でも振っとくわ。みかん箱もだっけ?
●ブレイバー
「この力は使いたくなかったんだけど……出し惜しみをしている余裕はないわね!」
水心子・静柄(剣の舞姫・f05492)は両手を合わせ、祈るような姿勢を取ったかと思うと、閃光とともに一振りの脇差へと姿を変えた。いや、十六振り……水心子の後ろには、同型の刀がずらっと並んでいた。
(「これなら、1秒間に16回斬れるわね! もっとかしら?」)
お茶目な自問自答をしつつ、全ての刀が一斉に”MIKOSHI"へ踊りかかった。
ガンッ! ボカッ!と、およそ刀が戦っているとは思えない鈍い音が、ドックに響き渡る。"MIKOSHI"は、カメラをチカチカと2回点滅させたかと思うと、急に硬直して動かなくなった。このままでは不利と判断したのか、AIの更新を始めたようだった。
しかし、味方の猟兵の働きによりアンテナを失った"MIKOSHI"は、ダウンロードに時間を要した。そんな相手を躊躇なく殴り続ける水心子。しばらく、シュールな一時が流れた。
"MIKOSHI"のカメラが再び点灯する。ダウンロードが終わったようだ。水心子は危機を察知し、咄嗟に距離を取った。
「新しいAI(人格)はどんなヤツかしら……。人間みたいにクセがあるといいけど」
水心子は人型に戻り、ダンボールを被った。本人は隠れているつもりだが、周囲にはタチの悪い冗談にしか映らなかった。
「水心子さん! そんなのすぐに見つかっちゃ
……!!」
「しっ……」
調査員の悲痛な叫びを、水心子が冷静に制す。"MIKOSHI"のカメラが忙しく動き、水心子のダンボールを捉える。一瞬、敵の頭上に『!』のマークが浮かんだような気がした。
しばらくダンボールを見つめた後、"MIKOSHI"は『気のせいか……』と言わんばかりに後ろを振り向いた。
「油断大敵!!」
再び脇差へと姿を変えた水心子が、"MIKOSHI"の背面に鋭い突きを見舞う。その捨て身の一撃は”MIKOSHI"のボディを貫通し、大きな風穴を空けた。
「……ところで。この後のおでんって、奢ってくれるのかしら?」
水心子は勝ち誇って言った。
大成功
🔵🔵🔵
リグレース・ロディット
手伝いにき、すごい!!かっこいい!!"MIKOSHI"!ってあれ?あのカッコイイの倒さなきゃいけないのか……あ、しってる!"HANABI"って言うのにすればいいんだよね!(かっこいいけど、ばらばらにするの、たのしい……!)
【SPD】ユーベルコードの『咎力封じ』で動きを止め……口、手……くちとてどこぉ?……足!全部足を狙うよ。でてきた伝説的な機械たちも動きを止めてみるね。できるかはわからないけど。ほら、歯車のところ狙えば何とかなるよ!!『スナイパー』あるから大丈夫。あとは伝説的な機械たちを盾(『敵を盾にする』)にして攻撃防ごうかなって思ってるよ。頑張るね!
●闇の幻影
「お待たせ! 僕が手伝いに来たからにはもう……何だこれは!?」
リグレース・ロディット(夢みる虚・f03337)は、目の前の巨大な戦闘兵器――かなりボロボロになった――を見上げて驚愕した。
「もう押せば倒れるんじゃないか? これが本当のダメ押しってやつかな……」
軽口を叩きつつ、リグレースは"MIKOSHI"の足元へと滑り込んだ。
続けざまに、相手を拘束する道具を"MIKOSHI"の足へ向かって投げつける。手錠、布、ロープ……ロープは"MIKOSHI"の足へ巻きついたが、手錠は弾き返された。あらら……と思って調査員が見ていると、いつの間にか布が消えている。何処へ行ったのかなと辺りを見回すと、次の瞬間、リグレース自身が猿ぐつわをされていた。
「ええっ!?」
驚きのあまりに調査員が声を上げる。また、先ほど弾き返された手錠も、気が付くとリグレースの両手を拘束していた。
「ハッハッハ! 遅れてやって来たと思ったら、とんだ間抜けだったようだな。いい気味だ」
実は先刻からいた敵の隊長が、急に話しかけてきた。リグレースはよろめくように敵隊長にぶつかると、その猿ぐつわと手錠が消えていた。勿論、その行き先は……。
「ふぁっふぁっふぁっ……もが!?」
まるでイリュージョンのように、敵隊長に猿ぐつわと手錠が移っていた。しかも手錠は足に。急に体の自由を失った敵隊長は、バランスを失って派手にすっ転ぶ。
新たな猟兵の登場に、"MIKOSHI"は再びAIを更新する。チカチカとカメラを光らせ、今の戦闘に最も適した人格を選び出す。しかし、上手くダウンロードできない。今度はエラー音を響かせ、機器の不具合からか小刻みに振動までし始めた。その様子を見た調査員は、まるで悔しがってるようだな、と思った。
また、両足をロープで縛られた"MIKOSHI"は、思うように移動できない。旋回しようとして倒れてしまう。――その下には……。
「ふぁーっ!! ふぁああーーーっ!!」
どすん。
きっと"MIKOSHI"の下には、あまり見たくない光景が広がっていることだろう。その一部始終を見て、リグレースは妖しい笑みを浮かべた。
成功
🔵🔵🔴
リグレース・ロディット
もがもが、もがもが(マジック、すごいね!)もが、もががが?もがー!(あと、おでんっていうの?おいしそー!そもそもおでんってなに)ふぇっえっへへへへへへへへへ
【POW】ふぇふぇふぇーふぇ(ユーベルコードの『血統覚醒』ついでに真の姿開放するよ。)ふぇー(あ、これ疲れる)いやーちょっと、このまま終わりたくないなぁ。猿轡は噛み千切っちゃおうか。(自分のユーベルコードだから自分で解除できるのでは……)えと、たぶんできるはず。だって僕まだ一回も虫歯なったことないよ!
準備できたら攻撃してかないとね。時間がもったいないや。武器は体にまとわせて、殴ったり蹴ったりしてみるよ。
終わった僕もおでん食べあっつううううう
●深淵
倒れた"MIKOSHI"が、痛々しい駆動音を響かせて立ち上がる。その前面には血がべっとりと付着し、先ほど起こった出来事を顕著に語る。
「ふっふっふ。ここの管理者はもう死んだというのに、まだ向かって来る気かな? 機械は素直でかわいいなぁ……」
リグレース・ロディット(夢みる虚・f03337)は、楽しくて仕方ないといった様子で、"MIKOSHI"を見つめる。
「そんな健気なところを見せられたら……もっと、イジメたくなっちゃうじゃないか!」
リグレースの瞳が妖しく光る。めきめきという鈍い音を出しながら、その骨格を変えていく。闇の眷属たるリグレースの真の姿。
もう瀕死の相手に対し、そこまで大きな力を振るう必要はない――とくに寿命を削ってまで相手を叩きのめす必要は……。ここから先は、完全にリグレースの趣味であった。
「……ヒュォ
!!!!」
リグレースの肺から、常人とはかけ離れた声が漏れたかと思うと、"MIKOSHI"の周りを縦横無尽に飛び回った。目で追うのがやっと、というスピードで素早く10周ほど飛んだリグレースは、次の瞬間には静かに降り立ち、右手を叩く掲げていた。そして、右手を降ろしつつ丁寧にお辞儀をすると、"MIKOSHI"はバラバラになって崩れ落ちた。もう機銃を撃つことも、ビーム砲を撃つこともできないだろう。
陰からリグレースが、歩いて出て来る。
「ごめん、待たせちゃったかな」
まるでデートに遅れて来たかのような口ぶりで、いつもの人懐こい笑顔を見せた。
●乾杯
「え~、それでは、調査員くんを無事救出できたことと、帝国の計画を未然に防げたことを祝しまして、乾杯したいと思います。……乾杯!!」
かくして、任務は無事成功に終わった。まだ銀河帝国を打倒したわけではない。これからも数々の苦難が待っているのかもしれないが、今はそんなことを忘れて、ただただおでんが食べたい。またはタダでおでんが食べたい。そういう者たちが集まった。
「ようやく、はんぺんが食べられます……。はふはふ」
「怖かったけど、参加して良かったです」
「次はちゃんと手袋を持って行かないと……」
「……ふむ、この出汁美味しいな……」
「"MIKOSHI"を皆で攻撃するのって、"暴れ神輿"みたいだったわね」
「いやー、やっと僕もおでんを食べられあっつうううう!!」
皆が、今回の任務を振り返りつつ、おでんをつつく。ここはスペースシップワールドでもそこそこ名のあるスペースおでん屋なので、お会計もそこそこ……。
「じゃ! お会計は調査員ちゃんで!」
「皆に迷惑をかけたんだし、当たり前だよなぁ?」
「うう……、分かりました。ここは私が持ちます……」
皆がお腹を満たした頃、伝票を調査員に押し付けて、ぞろぞろと帰路に着く。そう、佐藤以外は。
「すいません! 私、お財布忘れちゃいました! 佐藤先輩、お金貸してください!!」
「いいっ!? 奢る約束なのに、財布を忘れるってどういうこと???」
「そもそも、私、佐藤さんの指示で潜入したんじゃないですか。ということは、ここの会計も佐藤さんが払うのが筋ってもんじゃないすかねぇ」
「逆ギレかよ」
佐藤の財布が真の姿に近付く。しかし、それで誰かが困るわけでもなかった。英気を養った猟兵たちは、次の冒険に思いを馳せて窓から外――無限に広がる宇宙を眺めた。
大成功
🔵🔵🔵