エンパイアウォー②~歪んだ輪廻のその先に〜
●屍喰経典
飛び掛かる。喰らい付く。血飛沫が舞う。
ぶち撒けられた鮮血は、汚らしい、どす黒い赤。
起き上がった人影の肩からは、禍々しい光を放つ水晶が飛び出ていた。
屍が増える。
そしてまた飛び掛かる。喰らい付く。血飛沫が舞う。
飛び掛かる。喰らい付く。血飛沫が舞う。飛び掛かる。喰らい付く。血飛沫が舞う。飛び掛かる。喰らい付く。血飛沫が舞う。飛び掛かる。喰らい付く。血飛沫が舞う。飛び掛かる。喰らい付く。血飛沫が舞う。飛び掛かる。喰らい付く。血飛沫が舞う。飛び掛かる。喰らい付く。血飛沫が舞う。飛び掛かる。喰らい付く。血飛沫が舞う。飛び掛かる。喰らい付く。血飛沫が舞う。飛び掛かる。喰らい付く。血飛沫が舞う。飛び掛かる。喰らい付く。血飛沫が舞う。飛び掛かる。喰らい付く。血飛沫が舞う。飛び掛かる。喰らい付く。血飛沫が舞う。飛び掛かる。喰らい付く。血飛沫が舞う。飛び掛かる。喰らい付く。血飛沫が舞う。飛び掛かる。喰らい付く。血飛沫が舞う。飛び掛かる。喰らい付く。血飛沫が舞う。飛び掛かる。喰らい付く。血飛沫が舞う。
此処は奥羽――つい数刻前までは長閑な農村だった場所である。
今や屍が屍を喰らう餓鬼地獄と化した血の海を、恍惚とした表情で眺めている者がいた。
「素晴らしい……これぞ正に永遠の命を手に入れた真なる人の姿! 屍喰様の説かれた極楽浄土が遂に! 現世に降臨なされたのです!」
●水晶屍人再殺戦線
「みんな戦争よ戦争!今回はサムライエンパイアですって!」
グリモアベースで猟兵達を出迎えたミア・ウィスタリア(天上天下唯画独尊・f05179)は、挨拶もそこそこにホログラムウインドウを展開すると作戦の説明を始めた。
「まぁ、詳しい事は皆も知ってると思うけど改めて確認ね。今回の戦争の肝は、徳川幕府が集めた10万の兵を如何に減らさずに織田信長のいる島原の『魔空安土城』まで送り届けることよ」
幕府軍の隠し玉とも言える「首塚の一族」。彼らと彼らを補佐する兵を最低でも1万、現地まで到達させなければいけない。
「勿論敵もあの手この手で妨害してきてるんだけど、取り敢えず皆には直近でヤバそうな奥羽地方に向かってもらうわ。今此処は『水晶屍人』って言うゾンビが大量発生してるらしいの!」
ミアがホログラムウインドウを展開させ、現地の状況なのだろう映像を映し出した。
鮮血で赤く染まった大地を埋め尽くす、奇怪な動きで前進する人々。
その肩からは禍々しい光を放つ水晶が生えており、時折唐突に周囲に襲いかかると、相手の肉を噛み千切って咀嚼している。
「これがその『水晶屍人』ね。『第六天魔軍将』って言うのがこの前見つかったけど、その中の一人の安倍晴明が作り出したらしいわ。コイツら戦闘力は全然ザコなんだけど、如何せん数が問題でね……既に数千はいるって話だけど、噛まれた人間も『水晶屍人』になっちゃうから、ほっとくとドンドン数が増えちゃう訳。あぁ、アタシ達猟兵は噛まれても大丈夫みたいね。って言っても痛いもんは痛いと思うけど」
新たなホログラムウインドウに奥羽の地図が表示され『水晶屍人』達の進行ルート予測が成されている。
最終目的地は―――江戸。
「もしこのまま『水晶屍人』達が江戸に迫れば、幕府としても迎撃しない訳には行かなくなってくるわ。その為に必要な兵力は全軍の2割以上。ちょっと痛い数よね」
其処まで言うと、ミアはビシッと猟兵達を指差した。
「そこで皆の出番ってワケよ! 幸い『水晶屍人』を全滅させる必要は無いわ。何処かに屍人を指揮してるオブリビオンがいる筈だから、そいつを倒せば無力化出来るはずよ。後は現地の武士達に任せればいいわ」
続いてホログラムウインドウに金色の袈裟を纏った僧侶が映し出される。
「指揮してるのはコイツね、宗教家・ニェポス。屍喰様って言う謎の神様を信仰していて、人肉を食べる事で永遠の若さと命を保つ事が出来るって言ってカニバリズムを推奨して回ってるらしいわ。全身金ピカだから目立つし、探すのに苦労はしないと思う。只、周りを固める水晶屍人は、動くものを見たら集団で襲いかかってくるから何とか上手く対処しながらニェポスも倒さないといけないわね」
ミアの天球儀型グリモアが激しく回転を始めた。
「それじゃ、良い結果を期待してるわ。いってらっしゃ~い!」
龍眼智
ゾンビって言うか分類的にはキョンシーとかグールとかそういうヤツですよねコレ。
ともあれ、戦争ですってよ奥さん。
龍眼智です。
まずは恒例のアレ。
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このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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また、今回のシナリオは【ボス戦】となります。
数百~数千の『水晶屍人』の軍勢の中に飛び込み、『水晶屍人』を蹴散らしつつ指揮官であるオブリビオンを探し出し、撃破しましょう。
成功条件としてはオブリビオンを倒せば終わりですが、せっかくなので無双アクションゲームっぽく、カッコよくゾンビを薙ぎ払うのも良いのではないでしょうか!
転送地点はオープニングで出てきた農村からスタートになります。
【生きている人間】は、既に誰もいません。皆『水晶屍人』になってしまいました。
皆さんは、この軍勢と正面からぶち当たることになります。
それでは今回も張り切って参りましょう!
ご参加をお待ちしております。
第1章 ボス戦
『宗教家・ニェポス』
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POW : ニューレリジョンメーカー
技能名「【洗脳式勧誘・調略術】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
SPD : ゴートリック・パースエイジョン
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【対象の脳内に教義を語り意識を混濁させる声】が出現してそれを180秒封じる。
WIZ : アフターライフガチャコンダクター 37
【サムライエンパイアの民草の現世への未練】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【洗脳を強化し、信者を自決すら厭わぬ殉教者】に変化させ、殺傷力を増す。
👑11
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鈴木・志乃
今私のツートップ嫌い魔将軍
風魔小太郎と安倍晴明なんだよね
全力妨害不可避
さて、私の個人的なストレスの為にこのUCを使おう
私の前で洗脳とか正気か
身の毛もよだつ虫唾が走る
(すうっ)
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!
(【歌唱、衝撃波、なぎ払い】に【祈り、破魔、催眠術】も籠めたUC。コイツ、屍人を全部ぶっ飛ばすつもりである)
おらあ出て来い指揮官ーー!!
(敵攻撃は第六感で見切り光の鎖で早業武器受けからのカウンターなぎ払い
オーラ防御常時発動
敵死体を念動力で巻き上げさらにぶん回す)
●開演の告げる鬨の声
転送先で猟兵達がまず気付いたのは臭いである。
血の臭い、腐った肉の臭い、汗や糞尿の臭い。
―――即ち死臭。
そう、死んでいる。死んでいるはずなのに、そこには確かに生きた人間の気配があった。
「ゥ……ウゥゥウ」
「ア……ア……」
「ンがガッ! ンがぐごごゴご!!」
文字通り視界を覆い尽くさんばかりに広がる屍人の波は、かの大陰陽師【安倍晴明】の仕業であると言う。しかも今ここで指揮を取っているのは洗脳大好きな胡散臭い宗教家。
マジか、と鈴木・志乃(ブラック・f12101)は思う。
よりによってこの私の前で洗脳とか正気か。
身の毛がよだつ。
虫酸が走る。
それはつまり、自らの意思を邪法の下に問答無用で圧殺しようと言っているのだ。
舞台女優として、否、そうでなくとも許せるものではない。
既に彼我の距離は一人一人の表情が解る程近い。
屍人の一人が歯を鳴らして転がるように走り出したのを合図に、死者の群れが津波と化して志乃へと襲いかかった!
(全 力 妨 害 不 可 避!)
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
しかし、次の瞬間、爆音と共に向かってきた屍人の群れが残らず宙を舞った。
迫りくる屍人の群れに対し志乃が放った物は渾身の雄叫びだ。
―――This is what we are.
ワタシハワタシ。
何者も私を縛ることは出来ず、私は何処へでも行ける。
その信念を、祈りを込め、叫びと共にぶつける意思の具現である。
「おらあ出て来い指揮官ーー!!」
志乃は宙を舞う屍人達を念動力で振り回し、周囲の屍人を薙ぎ払いながら先陣を切って戦場へと飛び込んだ。
成功
🔵🔵🔴
エル・クーゴー
●POW
これより、敵性の完全沈黙まで――ワイルドハントを開始します
●ニェポス接近まで
・敵陣へ高高度を飛翔ざま水晶屍人に対しガトリング掃射&爆装投下による【範囲攻撃】を敢行、徒歩の味方への【援護射撃】とする【空中戦】を展開
●対ニェポス
最高速4,500km/h
最終撃破目標を捕捉次第、最大戦速にシフトします
敵の用いる洗脳術が単純な発声に依存するものではない可能性は十分に想定されますが、音速超の航行により、当機は意図的に「人の話を聞かない」モードを実装しメタを張ります
・ニェポスへライフル射(スナイパー&誘導弾)を見舞い、即離脱
当機の管理権限を有するマスターは既に存在します
不正なアクセスをシャットします
皆城・白露
※
(他猟兵との絡み歓迎)
(生きてる奴はもういない、か
…いや、考えても仕方がない。今は「存分に暴れられる」と考えよう)
【ブラッド・ガイスト】使用、1対の黒剣を禍々しい爪状に変化させ攻撃
【カウンター】【2回攻撃】を駆使、必要に応じ【敵を盾にする】事で
水晶屍人を蹴散らして道を切り開き、指揮官の元へ
指揮官戦でも【ブラッド・ガイスト】使用
オレを食うか?オレに食われるか?
…聞くまでもないな。お前なんかに食われるのはお断りだ
それはオレの「命の使い所」じゃない
(自分がいつ死ぬかなんてわからない
でも、人を食って得る永遠の命なんて要らない
…オレは、最期までオレでいたいし
誰かがオレを憶えててくれれば、それでいい)
●戦場ごとぶった斬れ!
水晶屍人達がにわかに殺気立ち始めた事にニェポスは額のシワを深くした。
実は彼らには、視力と言うものが殆ど残っていない。あるのは嗅覚と食欲、そして水晶でリミッターを外した筋力だけだ。
獲物が近くにいなければ、呆けた顔で彷徨くだけの木偶の坊にすぎない。
その彼らが反応したと言うことは―――。
「来ましたね……屍喰様の世界に仇なす愚か者共が……」
そう言って見上げた空を、一筋の光が横切った。
戦場上空――高高度を音速で飛行するのは重装備の女性型航空機兵、エル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)。
「作戦領域上空に到達。これより、敵性の完全沈黙まで――ワイルドハントを開始します」
AR投影スクリーンに『FCS−Unlock』のメッセージが点灯しターゲットサイトが展開。同時、背部フライトユニットの上面が展開しミサイルポッドがせり上がってくる。
眼下、AR投影によって弾道予測と爆撃の効果範囲が重ねられた地面には、まるで布地に染みが広がるように何かが蠢いている。確実にアレが水晶屍人だと見ていいだろう。
ターゲットサイトが目まぐるしく動き、爆撃の効果範囲に次々とチェックが入れられていく。やがてピピッと言う軽い電子音と共にロックオンが完了したことを知らせてくる。
「ロックオン完了、Fire」
エルが手にしたガトリング砲が火を噴き、白煙を上げて無数の小型ミサイルが降り注ぐ。
まるで炎の蛇がのたうつ様に、直線上に連鎖する爆炎が瞬く間に屍人達を肉片へと変えていった。
(生きてる奴はもういない、か)
屍人の胸を貫通し、背中から飛び出たのは禍々しい爪状に変形した黒剣だ。
それを操る人狼の少年、皆城・白露(モノクローム・f00355)は、今し方手にした黒剣で貫いた屍人を盾にしながら、周囲で文字通り炎上する屍人達をぼんやりと眺めていた。
勿論、思う所がないわけではない。
しかしここは戦場で、しかも敵陣のど真ん中だ。
(…いや、考えても仕方がない。今は「存分に暴れられる」と考えよう)
そうして彼は、屍人を殺すマシーンとなった。
正面から1、右に2、背後に1。
突進してきた正面の奴の口の中に、思いっきり黒剣を突っ込む。
喉を貫通したらそのまま横薙ぎで首を刎ね、右の二体への薙ぎ払いへと繋げる。
残った背後は蹴りを入れて距離を開けつつ、もう片方の黒剣で斬り捨てる。
斬る、刺す、抉る、極める。何も感じない。何も考えない。
屍人達の陰に隠れてこそいるものの、既に遠目に金色の衣は視認出来ている。
後は只、彼処まで行けばいいだけの事だ。
「良い! 良いですね貴方……その獣の如き所業、屍喰様も喜んでおられます! どうですか?そのままペロッと一口……新たな世界が見えますよ?」
視認出来ているという事は、当然相手からも見えているという事。
ニェポスの興奮を隠せない問いかけに、白露は冷めた視線を返した。
「オレを食うか?オレに食われるか?……聞くまでもないな。お前なんかに食われるのはお断りだ」
「クッフフフフフフ! まぁそう仰らずに。食わず嫌いと言う言葉もありますれば……意外と美味しいかもしれませんよ―――ねぇ?」
瞬間、ニェポスの声色に妙な音色が宿った。否、元から粘着質で嫌らしい喋り方ではあったが……それとは別次元の、何かが。
「ッ!?」
白露の額にブワッと汗が浮かぶ。身体に不調は無いから何かされたわけでは無いだろう。違うのだ。白露の脳裏に浮かび上がる一つの興味。それが頭から離れない、集中できない。
血、肉、先程から視界内を絶え間なく飛び交うアレら―――
―――イッタイドンナアジガスルンダロウ?
黒剣にべったりと付着したそれを眺める。
思わずそれを舐め取ろうとした、次の瞬間。両者の間を突風が駆け抜けた。
「ガッ!?」
そして胸を抑えてたたらを踏むニェポス。その黄金の袈裟には大きな銃痕が刻まれていた。
――状況を数秒間巻き戻そう。
ニェポスが白露に声を掛けようとした辺り、上空ではエルに一つの動きが生まれていた。
ターゲットサイトに映る黄金の袈裟。其処に赤字で【TARGET】の文字が表示される。
「最終撃破目標を捕捉――最大戦速にシフトします」
フライトユニットが展開し、エルの手元にL95式アンチマテリアルライフルが降りてくる。グリップをホールドし、セーフティを解除すると、エルは一気に急降下に転じた!
急激に迫ってくる地面ではニェポスが何か言っているようだが、此方は既に音速を遥かに超えた4,500km/h(マッハ3.6)で飛行中である。全身を包むソニックブーム以外は何も聞こえない。
エルはそのまま地上スレスレでニェポスへ一射。弾着すら確認せずにその場を離脱した。
「MISSION COMPLETE――作戦領域を離脱します」
――そして現在。
白露の前でいきなりニェポスがダメージを食らった。
どうやら銃撃を受けたらしい事は見れば解る。おそらく味方の援護射撃があったのだろう。重要なのはそこではない。頭を埋め尽くしていた血への興味が無くなっている事だ。
「やはりな、これはオレの「命の使い所」じゃなかった様だ」
両の黒剣を構えた白露は猛然とニェポスまで迫ると、すれ違いざまに黄金の袈裟を十字に裂いた。
(自分がいつ死ぬかなんてわからない。
でも、人を食って得る永遠の命なんて要らない…。
オレは、最期までオレでいたいし、誰かがオレを憶えててくれれば、それでいい)
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
白川・美依
使用能力:WIZ
水晶屍人の群れに対し、【ビューティフル・ホープストーム】を発動。装備武器の【エナジージュエル】を変化させて、水晶屍人を吹き飛ばしてあげるわ。生きている人間はいないのだから、誰かを巻き込む心配も無用ね。
ボスの近くには相当数の殉教者がいるはず。本体一人なら群衆に紛れこめるだろうけど…殉教者も含めて隠れるのは難しいわ、彼らを目印にボスを探して攻撃しましょう。
殉教者は…【オルタナティブ・スケープゴート】で一人捕まえて盾にでもしましょうか。どうせ自分の命すら簡単に投げ捨てるような状態なんでしょう? そこの胡散臭い宗教家なんかより、姫たる私の為に捨てた方がよっぽどいい使い方よ?
※何でも歓迎
春乃・菊生
アドリブ、共闘等々歓迎じゃ。
[WIZ]
死者への礼も解さぬ下衆めが。
此処で逢うたが百年目、我が祓うてくれよう。
秘術ノ弐。
舞う。舞う。舞う。
舞と歌(【ダンス】【歌唱】)で古き時代の武者らを呼び起こし、破邪の力を与えたうえで敵将目掛けて攻め込ませよう。
(【破魔】【呪詛耐性】【範囲攻撃】【なぎ払い】【串刺し】【鎧砕き】【援護射撃】【スナイパー】)
グァーネッツォ・リトゥルスムィス
何が永遠の命だ、命を弄びやがって!
戦争に勝利する為でもあるが、生臭僧侶をぶっ飛ばさなきゃ気が済まないぞ!
数千の屍を『大隼との友情飛翔』で上空から素通りだぜ
金ぴか僧侶をオレの優れた視力で見つけて
隼お得意の急降下で屍の肉の壁を用意させる前に突撃だ!
「くううううたああああばああああれえええええええ!」
僧侶が勧誘で洗脳しようが憤怒のあまり何を言っているのかわからないし、叫んで掻き消してやる
でも飛ばしてくれている大隼への感謝や信頼は忘れないぜ
「これ以上人も自然も穢すなああああ!」
僧侶を倒した後は出来る限り屍を倒す
屍といえど元はエンパイアの人々、同郷の一般兵士に倒させるのはあまりに酷だ、オレなら我慢できる
在原・チェルノ
目の前に広がる数え切れない数の敵
その数は失われた命の数でもあるのよね
だからその根源を絶ち、惨劇を終わらせる
流星忍姫チェルノ、参ります!
目の前のゾンビたちを手裏剣の【範囲攻撃】とフォースセイバーの【2回攻撃】で切り払いながらボスに向かう
背後からの攻撃は【第六感】と【聞き耳】で見切り【残像】で回避
そして群がるゾンビをカモフラージュに【迷彩】と【暗殺】でボスに忍び寄り【サイキックブラスト】の奇襲を仕掛ける
あなたの「極楽浄土」は、あなた一人で墜ちなさい
「お……オォぉぉ……!!何という!何という不敬!!血が…血が足りない!!」
自らの深傷に明らかに狼狽えた様子を見せたニェポスは、傍らの屍人の首を掴むと、歯で噛み千切る様に首筋の肉を抉り取った。噴水のように撒き散らされた赤黒い血を全身で浴びながら、舌を出して屍人の血を嚥下する。
それで幾分落ち着きは取り戻したようだが、その表情は相変わらず渋面だ。
「チッ……やはり、腐りかけのジジイでは効果が薄いですね。もっと生命力に溢れた……そう、若い女子が良いです。何処かにまだ生きている若い女子は……」
嗚呼……そうだ、いるじゃないか其処に。
新鮮で瑞々しく―――生命力に溢れた女子共が。
先程の渋面は何処へやら。血塗れの僧侶は眼を弓形に細めると手にした経典を広げた。
しかし、そこに御仏に祈りを捧げる清廉さ等欠片も存在しない。
それは今、新たに頭のネジが何本か外れた狂信者が、何かを決意した表情であった。
「者共、共食いをやめよ!! そこな生娘達の生血を屍喰様へお捧げするのです!!!」
「ぐっ……ぐぐぐぐぐがががッッ!!」
「オッ!オッッ!オゴゴーー!!」
「アグッ!アガガガッ!」
まるで無数の百足が這い出るように。
経典から紫色の文字が立ち上ると周囲の屍人達に絡み付き、耳の中へと入り込む。
眼に紅い光が宿り、屍人達の動きに獣じみたしなやかさが宿った。
群がる屍人のその先で何か邪悪な儀式を始めたニェポスを目指し、今、二人の女性猟兵が奮戦していた。
「……死者への礼も解さぬ下衆めが。此処で逢うたが百年目、我が祓うてくれよう」
舞う。舞う。舞う。
狩衣を纏い、流麗な舞踊で屍人の間を駆け抜けるのは春乃・菊生(忘れ都の秘術使い・f17466)。怜悧な美貌と評して良いだろう、その褐色の顔に浮かんだ羅刹紋と長く伸びた角が、昔話の鬼武者を彷彿とさせる。
如何なる原理か、全方位から絶え間なく屍人の攻撃を受けている彼女であるが、明らかに命中は免れない軌道の攻撃であろうとも、まるで磁石が反発するように攻撃が受け流されてしまうのだ。
勿論それだけではない。彼女の瞳が怪しい光を放つ度、重武装の鎧武者が現れ、手にした得物で周囲の屍人達を刈り取っていく。その様は正しく百鬼夜行と呼ぶに相応しい。
そこに一陣の風が巻き起こり、一個小隊規模の屍人が蜂の巣と化して崩れ落ちた。
「生きている人間はいないんでしょう? 誰かを巻き込む心配が要らないって良いわね」
夕陽のギラついた光を反射して煌めくのは戦場に降るスノードロップの花吹雪。宛らダイヤモンドダストの様にも見えるそれは、白川・美依(プリンセス・ホワイトムーン・f19433)の所持する宝石【エナジージュエル】が彼女のユーベルコードによって変化した姿である。
千年前に活躍した魔法戦姫『ホワイトムーン』の生まれ変わりであると言う彼女。指揮者がタクトを降るかの様な優雅な仕草に連動して、スノードロップの刃が屍人を肉塊の山に変えていく。
「チッ、無駄な抵抗を....嗚呼....目眩がしてきました。数では此方が圧倒しているのです! 押し潰してしまいなさい!」
額に青筋を浮かび上がらせたニェポスが号令を掛けると、菊生と美依に襲い掛かる屍人の数が倍になった。
「クッ
........ハハッ! 面白くなってきたのう!」
「どうせもう捨てる命すらないでしょう貴方達? 死して尚使われるなら、そこの胡散臭い宗教家なんかより、姫たる私に捧げた方がよっぽどいい使い方よ!」
当初拮抗していた両者の均衡が、徐々にではあるが、確実に崩れ始めた。
菊生の鎧武者に五、六人の屍人が絡み付き、美依も動かなくなった足元の屍人を盾にしながら立ち回るが、スノードロップの供給が追いつかなくなりつつある。
「ハハハハハハハ! もうすぐ! もうすぐですよ! 屍喰様の完全なる極楽浄土へ! 貴方がたも御招待しましょう!」
涎を垂らし、狂った笑顔で嗤う黄金の僧侶。
この時彼は、確かに自分の勝利を確信した。
「そう....残念だけどお断りよ。あなたの「極楽浄土」は、あなた一人で墜ちなさい」
「ッッッッ
!!!?」
しかし―――この様な瞬間にこそ、勝敗の天秤は容易く引っ繰り返るものである。
戦場、特にこの様な開けた場所では上下左右どこから敵が来るか分からぬもの。
彼の敗因を挙げるとすれば、前しか見えていなかった事だろう。
先程から彼の背後で音も無く飛び交っていた手裏剣と光刃、そして屍人の陰を幻影の如く駆け、自らへ迫る影の事なぞ見えていなかったに違いない。
「数え切れない敵の数は即ち失われた命の数。だからその根源を絶ち、この惨劇を終わらせる! 流星忍姫チェルノ、参ります!」
「ぎゃああああああああああーーーー
!!!!!」
屍人の間をすり抜け、突如ニェポスの背後に現れた桃色の影は流星忍姫チェルノこと在原・チェルノ(流星忍姫チェルノ・f06863)である。
ニェポスの背中に押し当てられたのは雷電を纏った彼女の両掌だ。
電撃に全身を痙攣させながら図らずも天を仰ぐように仰け反る体勢になった彼は、前方の空から更なる驚異が迫っているのを見つけてしまった。
「よっしゃ見つけたぞ! アイツが話に聞いた生臭坊主だな!?」
淡い燐光を纏った巨大な隼が真っ直ぐ此方に飛んでくる。見れば中央には小さな人影があり、隼はその人物が生み出している幻影のようだ。グァーネッツォ・リトゥルスムィス(超極の肉弾戦竜・f05124)がユーベルコートで故郷アックス&ウィザーズに生息する大隼を召喚しているのだ。
ニェポスの位置をその驚異的な視力で特定したグァーネッツォは、着陸するのかと思いきや何とそのままスピードを上げて突っ込んできた!
「ちょっ…そそそそそんななななななな!?」
彼の後ろでは依然としてチェルノが背中を押さえつけ電撃を流している。避けるどころか防御姿勢すらまともに取れない。
屍人に指示を出そうにも舌が痺れて喋れない。
前門の虎、後門の狼とはこの事か。
今や大隼は輝く黄金の流星と化しトップスピードに到達した。
「くううううたああああばああああれえええええええ!」
「し、しししし屍喰様ああああああああああああ
!!!!」
大隼がニェポス諸共地面に盛大なクレーターを穿ち、周囲の屍人が水飛沫の如く空に打ち上げられた。
濛々と立ち上る土煙が晴れると―――クレーターの中心には白目を剥いて絶命したニェポスの姿があった。
直前で離脱したらしいチェルノの横に着地したグァーネッツォは、尚も収まりきらない怒りを地中に向かってぶつける。
「何が永遠の命だ、命を弄びやがって! これ以上人も自然も穢すなああああ!」
「せめて後は……安らかに眠れるといいね…」
黙祷を捧げるチェルノの目の前で、屍人達が灰となって崩れ落ちていった。
大成功
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最終結果:成功
完成日:2019年08月07日
宿敵
『宗教家・ニェポス』
を撃破!
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