●時は金なり
戦争。
それは人々の穏やかな暮らしさえも脅かす、危険な事象である。
故に、関与しない訳にはいかないだろう。数多の人々や猟兵達にとっても重要な────欠くことの出来ぬ所以であるのだから。それに嘆くだけでは収まってはくれまいという事は分かりきっていた。それが戦(いくさ)なのだ、と。
そうして、満身創痍になり疲弊する前に、徳川幕府はありったけの戦力を注ぎ込む。猟兵(イェーガー)という切り札をも行使して。
然しながら、その為の兵糧を各地から集めるにも困難があった
。…………なんと補給物資の値段が、天井知らずに高騰していたのだ。
────これこそ、大悪災『日野富子』の仕業であった。
あろうことか、彼女は片っ端から買い漁り、妨害をしようと目論んでいたのである。流石は莫大な個人資産を所有している魔軍将だ、とも言うべきか。
このまま彼女の思い通りになってしまうのだろうか?……命運は、猟兵達に託されていたのであった。
●札名:雨の燕
打って変わって騒がしさを増したグリモアベースでは、グリモア猟兵の戎崎・蒼(f04968)が冷静に君達へと声を掛けていた。
「集まってくれてありがとう、皆。突然だけれどこれを見て欲しい」
指し示された資料には『徳川埋蔵金の地図』と記されている。どうやらこれが今回の鍵となるらしい。
「見て判る通り、古くから伝えられている徳川の埋蔵金を探し出して欲しい………というのが今回の依頼」
彼はそう言うと、事の経緯を話し始める。魔軍将によって補給物資が買い占められた事、それによって値段が高騰し満足に品物が揃えられていない事を。
そしてその対抗手段として、有事の際にと遺された徳川の埋蔵金を使って補給しよう、という考えらしい。
「勿論、手に入れるにも一筋縄とはいかないみたいでね?
なんでも、神君家康公が埋蔵金の盗掘を防ぐために残した、『謎』を解かなければ埋蔵金は手に入らないらしいんだ」
うーんと、顎に手を当ててそう述べる彼は、続け様にその謎を提示するだろう。謎は以下の通りである。
【謎掛】
目は4、鼻は9、口は3……であるのなら、耳は何だろう?
示された謎は、本当に簡単な短文で示された謎。君達は須らくこれを解かなければならない。
「謎掛けの問いに正しく解答を示さなければ、埋蔵金は手に入らない。───サムライエンパイアの命運の為にも、どうか真実の解答を導き出して解除してほしい」
そう述べたのをしかと聞き取った君達は、間も無くしてグリモア猟兵により埋蔵金の在処へと移送されるだろう。
暫くしない内に、薄く白んだ視界も晴れる。
……さて、どういった解法を導き出すのだろうか?
Parmigiano
いつの間にか戦争が始まりましたね。Parmigianoです。お世話になっております。今回も皆様に良いリプレイを御送り出来るよう、精進して参ります。
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
今回の舞台は言わずもがなサムライエンパイアです。補給物資を買う為の資金集め、といった感じです。
プレイングは謎の答えを明記した上で、『謎を推理するシーンや正解を思いつくシーン』か埋蔵金を発見した時の反応など書いていただけますと幸いです。
連携や単騎の場合は申し出をして頂けると幸いです。こういうアドリブNG!など御座いましたら、面倒をおかけしますがご明記の方、お願い致します。
●……単騎、○……連携歓迎、◎……連携&アドリブ歓迎
皆様の素敵なプレイング、お待ちしておりますので、どうぞよろしくお願い致します!
腹が減っては戦ができぬ、という事でお願いします!
第1章 冒険
『神君家康公の謎かけ』
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POW : 総当たりなど、力任せの方法で謎の答えを出して、埋蔵金を手に入れます。
SPD : 素早く謎の答えを導き出し、埋蔵金を手に入れます。
WIZ : 明晰な頭脳や、知性の閃きで、謎の答えを導き出して、埋蔵金を手に入れます。
👑3
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弦月・宵
はい!「兆」!聴覚って言うもんね!
埋蔵金もそれくらい眠ってたら、困ってる人みんなに食料と避難所のてはいをして、それから…。
え、主旨がかわってる?
城田・紗希
えっと……これ、暗号だよね?
UDCの小学校のクイズじゃないよね?
……小学校の頃に暗号で施錠した?
(色々不安顔)
えっと、口は3画だから、耳は6……と思わせて。
これの答え、「視覚、で4」「嗅覚、で9」「味覚、で3」「聴覚、で兆」が答えなんだよねぇ……
……触覚は数字だとなんだろう。
十六夜・無白
◎
「へ~? 埋蔵金? いいねいいね! そういうのいいんじゃねーのー?
ちょびっとだけ拝借してもバレな…あいやそういうのは、ハイ。
んで、なになに…?」
なんだ。これは。
なぞなぞか? むずかしーはなしは苦手なんだけどなー
うーんうーんうーん…
わっかんねー!! 思いっきり大の字でじたばたするぞ!!
「大体なんだよ目だの耳だのに数字って!
めんどくせー! じゃあ百…千…ああくそ! 億…いや、兆だ!! 兆でいいだろー!!」
スターリィ・ゲイジー
◎
家康公の埋蔵金とな
治めたばかりで自身も大変じゃったろうに…後の世の為に資産を残しておくとは入念じゃのう
しかし何じゃ、前に将軍が出してたのを見…気のせいじゃろ、うん
よし、気を取りなおして疾く解こうかのう
ふーむ、最初は目は4…目を凝らせばどこかに4が見えるとか?
ちょうど良い。視力なら任せるんじゃー(辺りを見回す)
鼻と口、嗅覚と味覚は普通だけど耳は良い方じゃ
聴覚も任せろー
え、答え言った?兆?まじかー
この埋蔵金、どの位あるのか興味あるけど…細かい勘定は後にして、ひとまず安全地帯まで運ばないかえ
このままだとオブリビオン以外の者にも襲われそうじゃ
亜儀流野・珠
◎
目が4で鼻は9、口が3、か…
漢字の話か?違う。発音か?…わからん。
…付いている位置…それぞれの役割……む、それか!
目は視覚、鼻は嗅覚、口は味覚!
視、嗅、味で4、9、3か!
となると耳は聴覚…ちょう…?
数で合わせるなら「兆」か?急に桁が飛んだな!
さあどうだ!もしダメだったら他の者に託そう!
買い占めやら埋蔵金やら…規模の大きなことだ!
埋蔵金と対面などこんな時にしか機会はないだろうから少し楽しいが、平穏の方が大事だな。
早い所戦いが終わるよう動くとしよう!
清川・シャル
◎富子さんって大悪女じゃないですか
謎解きですか…
徳川埋蔵金ですって!お金は大事です。
角数でもないし、異国語な訳ない。ここはエンパイア!
生き物…んん、キマイラでも無い限り違うなぁ…
別の何か……言い方を変える?第六感働かないかな……
ん?耳は視覚…あ。そっか五感だ。
視覚、味覚、聴覚でどうでしょう?
なら、聴覚だから、……兆?
桁がいきなり増えるんだけど、合ってるかな?合ってるといいなぁ。
…こ、これが埋蔵金……!ふぉおお!ざっくざっく!!ねぇ凄いよ!?りんご何個買えるかな?高級りんごかな!
テンション上がっちゃった。埋蔵金を軍資金にして、敵を阻止しましょう~っ
絆・ゆい
はあ、戦ごとはきらいなのだけれど
ぼくの世が、きみがあいした世が危ないのだもの
放ってはおけぬ、でしょ
直の戦ごとは、まだ気が乗らぬの
ぼくは、ちいさな対抗を取らせてもらおか
埋蔵金と、それを守護するもの
僅かなれど、手助けといきましょ
ふうん、謎かけとね
ぼくの頭の善し悪しではなくて、
頭をつかうことは、すきよ
言葉あそびならば尚のこと、ね
目と、鼻、口
からだの部位と、数字の羅列
四と、九と、三
目には、し
鼻には、きゅう
口には、み
……そう、これはヒトの五感をあらわすのね
しかく、きゅうかく、みかく
ならば、耳はちょうかく
謎かけの答えは、『兆』かしら
合うているとも、だってぼくだもの
戦ごとの手助けとなれたなら、さいわいだこと
瀬名・カデル
◎
マイゾウキンって美味しいのかな?
謎かけを解いたら見ることが出来るならボク頑張るよ!
謎、なぞなぞ…うーんうーん…
わかった!
これって目は視覚…の「し」が4なんじゃないかな?
お鼻は嗅覚の9!
お口は味覚の3だよきっと!
そうしたらお耳は聴覚だと思うんだけど…数字でちょうってあるかな?
蝶々は…違うよね?
●花合わせの解-雨の札-
【鴉の答案符】
徳川の埋蔵金を求めて集った猟兵達は、地図通りであるのなら納められているであろう場所へと移送されてきた。移送された者達は取り敢えず、幾許の組に別れて話し合う事とし、後に“答合の間”にて擦り合わせようと決定した。
そうして提示された問題を今一度確認する。
謎掛けはとても簡単なものであり、それ故ピンと来たものが多かったに違いない。
しかし簡単すぎる為だろうか、謎掛の内容に疑念を抱く者も現れたのだ。その問題自体を本当なのか?と疑う当人、城田・紗希(人間の探索者・f01927)は困惑気味に苦笑する。
「えっと……これ、暗号だよね?
UDCの小学校のクイズじゃないよね?
……小学校の頃に暗号で施錠した?」
それ以上言ってはいけない……徳川のこの問題を提起した人が傷付いてしまう……!とは思うが、彼女はなにも下に見るつもりで言ったのではないのだ。
幾分、というか何と言うか、猟兵達には如何せん簡単すぎるのである。
(えっと、口は3画だから、耳は6……と思わせて。
これの答え、「視覚、で4」「嗅覚、で9」「味覚、で3」「聴覚、で兆」が答えなんだよねぇ……)
眉を寄せる彼女はやはり、苦笑したまま軽く頬を掻く。
そこで同じように問題を覗き込んでいた猟兵、弦月・宵(マヨイゴ・f05409)が元気良く挙手をするように声を出すだろう。
「はい!オレも分かっちゃった!」
にこにこと笑んだまま述べる弦月は、得意げであり通常時の人見知りが嘘のよう。そんなまだ幼さの残る彼女が続けて言葉を言えば、
「答えは『兆』!聴覚っていうもんね!」
……というので、それが彼女の答えだと分かるだろう。そして、その答案は凡そ城田の予想通りである事も理解できる。
「─────うん正解、私も同じ答えだよ。
………それにしてもやっぱり安直な感じはするよね、この問題。本当に幼い頃にでも施錠したの?ってくらい」
「幼い頃っていえば……オレ位の歳ん時とか?それとも普遍的に解けるように簡単にしたってことなのかな?」
うーん……。
いくら悩めど、これの答えは出てこない。
────兎に角、こうして問題を解く事の出来た2人は、他の猟兵の待つ“答合の間”へと急ぎ向かうことだろう。
【燕の答案符】
一方、埋蔵金を探し出す依頼と聞いて、楽しげな様子を見せる猟兵もやってきていた。
「へ~埋蔵金?いいねいいね!そういうのいいんじゃねーのー?」
そう言って地図を覗き込むのは、十六夜・無白(万有引力の野良狐・f18287)。光を透かす白銀色の耳を微かに揺らす様子を見る限り、彼女も興味はあるらしい。
そしてその隣。
「しかも家康公の埋蔵金とな。
治めたばかりで自身も大変じゃったろうに…後の世の為に資産を残しておくとは入念じゃのう」
此方も興味津々といった風に、レルプス族特有のふわりとした耳を揺らしている猟兵がいたのだ。そのふわふわとした猟兵、スターリィ・ゲイジー(ほしをみあげるスターリィ・f06804)はうぅむ……と声を唸らせると続けて言葉を発するだろう。
「しかし何じゃ、前に将軍が出してたのを見──」
「…………コホン」
「───てはないのう。………気のせいじゃろ、うん」
しかしそれは、思ってもみないグレーな発言であった。
うん……ゲイジーは何も見てないし、あれは埋蔵金のダミーだったのだ。そうだ。そう思う事にしよう。もしそれが本当であるのなら、家康公の面子が丸潰れしてしまう危険性があるので、それ以上言及してはいけないのだ。
……そんな疑問を無理矢理に飲み込むことにしたゲイジーであったが、ここで今度は十六夜が口を開く。
「そんなことより、徳川の埋蔵金ってたくさんあるんだろ?
じゃあちょびっとだけ拝借してもバレな
…………」
「あー……コッホン!」
「あいやそういうのは、ハイ。……ナンデモナイデス」
金に目を眩ませてもいけないのだ。というかちょびっとのつもりが段々と拡大しそうではあるので、非常に危険だ。Stop 金銭拝借!である。
そうして今の今まで、ゲイジーと十六夜の爆弾投下を止めているのは、亜儀流野・珠(狐の恩返し・f01686)だ。
(───買い占めやら埋蔵金やら…随分とまあ規模の大きなことだな!)
再度事の大きさを確認する彼女は、やれやれというように苦笑しつつもそう思案する。戦争に乗じてまさかこの様な事が起ころうとは、誰も思わなかっただろう。実のところ、亜儀流野も考えもしない事であったのだから。
兎も角、とここで亜儀流野が一旦区切りをつける。
「埋蔵金と対面などこんな時にしか機会はないだろうから少し楽しいが、平穏の方が大事だな。
………俺達は早い所戦いが終わるよう動くとしよう!」
「そうじゃのう。よし、気を取りなおして疾く解こうかのう」
「そーだな。んで、なになに…?」
頭を突き合わせ覗き込む3人は、その問題の解答について考え始めることだろう。
しかし、だ。
「なんだ。これは。」
疑問符が沢山浮かぶような呆けた顔で、十六夜が頭を傾げる。
「なぞなぞか?
むずかしーはなしは苦手なんだけどなー
うーんうーんうーん…」
そうして暫らくは考えていたものの、やがて無理だと感じたのかいち早く音を上げてしまう。
「──────わっかんねー!!」
十六夜はそう声を張り上げると、その場にごろんと大の字に寝転がり足をばたつかせる。その様子から、ギブアップだという事は十分に伝わるだろう。
(目が4で鼻は9、口が3、か…。
漢字の話か?いや違う。発音か?…わからん。
…付いている位置…それぞれの役割……む、それか!)
だが、それでも考え続けていた亜儀流野が、唐突に閃いた。
(目は視覚、鼻は嗅覚、口は味覚!
視、嗅、味で4、9、3か!
となると耳は聴覚…ちょう…?
数で合わせるなら「兆」か?急に桁が飛んだな!)
あくまでも心中でそう答えに辿り着いた彼女は、そうか成程と納得する。そう、それが答えであるのだ。
その一方で、ゲイジーと十六夜は未だ解答に辿り着いていなかった。
いなかったのだが
…………。
「ふーむ、最初は目は4…目を凝らせばどこかに4が見えるとか?
ちょうど良い。視力なら任せるんじゃー。
あとは鼻と口。嗅覚と味覚は普通だけど耳は良い方じゃ、聴覚も任せろー」
とゲイジーがさり気なく解答を言い当て、
「大体なんだよ目だの耳だのに数字って!
めんどくせー!じゃあ百…千…ああくそ!億…いや、兆だ!!
兆でいいだろー!!」
十六夜は適当に言った言葉が、偶然にも解答となっていたのだった。
「…………2人共、答えはもう自分達で言ってるぞ」
「え、答え言った?」
「まさか、本当に兆であってるのか?」
「そうだ。多分だが……解答は“兆”で間違いないと思う。俺の答えもそうだからな」
「まじかー」
こっちの方こそまじかー、である。まさか2人がさり気なく&適当に答えを当てるとは…誰が想像出来ただろうか?
全くもって驚きの事象であった。
こうして、まずは3人の猟兵達も謎を解く事が出来たのである。彼女達が解を導く事が出来たのなら、あと残るは1つ………答える事のみだ。
それを理解したゲイジー、十六夜、亜儀流野は“答合の間”へと急ぎ、歩を進めたのだった。
【鷹の答案符】
こちらの徳川埋蔵金を手に入れる依頼の為に集った猟兵は、2名程の組となって資料を見ていた。
「富子さんって大悪女じゃないですか」
場面は切り替わり、“日野富子”の名を聞いた猟兵、清川・シャル(ピュアアイビー・f01440)がそう述べる。……サムライエンパイアでは一辺倒に有名な名ではある為、聞いたことがあったのかもしれない。
「えーっと………有名な人なの?」
「先述の話にあった通り、悪女として有名な方なんです。とは言えたくさんの謂れがあるわけですが……守銭奴とも」
「へぇ~!ボクは初めて聞いたなぁ」
そう関心するように相槌を打つのは、瀬名・カデル(無垢なる聖者・f14401)。彼女はサムライエンパイアとはそれ程縁深いわけではないので、分からないのも無理はないだろう。
ところが、それだけではなかった。
「それと、マイゾウキンって美味しいのかな?」
あ〜そこからか〜!!とは思うものの、彼女の故郷に埋蔵金という概念があるかどうかも分からない。それどころか、多少世間知らずな部分も無いわけではないのだ。それ故理解に乏しいのだろう。
「ふふ、徳川埋蔵金はお金のことですよ、カデルさん。埋蔵金は簡単に言うと……お金がいっぱいに入っているもの、て感じですかね?…お金は大事です」
「沢山のお金!そっか、それは必要不可欠で本当に大事だね!」
生活必需品、食料品、その他もろもろ……何を買うにも必要になるのがお金だ。それが足りないとあっては、戦もまともに出来るかどうかという所。
まさに腹が減っては何とやらという状況になりかねないという訳だ。
それをしっかりと理解する事の出来たカデルは、早速シャルと共に問題に取り掛かるだろう。
(問題の解答は……角数でもないし、異国語な訳ないよね。なんたってここはエンパイア!)
シャルはまず、答えどのようなものになるのか想像してみた。目は4……画数ではない。しかしどうやら異国語でもないという事も分かった。
「かと言って生き物…んん、キマイラでも無い限り違うなぁ………」
生き物に繋げようとするも、やはり該当はしそうもないだろう。うーん、と頭を悩ませる彼女は法則性がないかを慎重に思案していく。
「別の何か……言い方を変える?第六感働かないかな……」
そう考えあぐねていた時であった。
「わかった!
これって目は視覚…の『し』が4なんじゃないかな?」
───カデルが閃いたのだ。
これにより、その言葉を聞いたシャルも気付きを得る事が出来た。
「ん?目は視覚…………あ。そっか五感だ。
そう過程すれば、目は視覚、口は味覚、鼻は嗅覚と当てはめられます!
────耳ならに当てはめるのは、聴覚でどうでしょう?」
カデルとの問答によって、シャルは答えに限りなく近い解答を、言い当てるだろう。
「うん!お耳は聴覚だと思う!けど、数字でちょうってあるかな?
蝶々は
……………違うよね?」
しかし、困ったようにカデルがそう述べた。
………成程、確かに彼女はサムライエンパイアにおいての数字の単位は知らないだろう。ここでも、彼女の“知らざる事”が障壁となったのだった。
「うーんと……サムライエンパイアとかUDCとかではお馴染みなんですけど、“兆”っていう数字の単位があるんです。だから、多分答えは兆だと思うんですけど……」
「そうなんだ…!じゃあその“兆”が答えだよ、きっと」
半ば確信を得たのを嬉しそうに言うカデルは、にっこりと笑う。見聞が広まり、且つ問題も解くことが出来るだなんて、彼女にとっては一石二鳥この上ない。
(ボクも少しは役に立てたかな。そうだったら頑張ったかいがあるし、嬉しいんだけど……埋蔵金、見れるといいな)
足取り軽く、そう思案したのだった。
(兆、か。桁がいきなり増えるんだけど、合ってるかな?合ってるといいなぁ)
一方でシャルも問題の正解を祈って、他の猟兵が待つ“答合の間”へと急ぎ向かうことだろう。こうして、2人は見事な連携プレーならぬ連携推理で、問題を解く事が出来たのだった。
【鶴の答案符】
移送されてきた猟兵のうち、1人物思いに耽る猟兵が地図を眺めていた。
その手中にあるものは徳川の埋蔵金の場所を示したもの。猟兵──絆・ゆい(ひらく歳華・f17917)は、今からここで問題を解き、須らく埋蔵金を手に入れなければならない。
そんな彼は、ぽつり、言葉を零す。
「……はあ、戦ごとはきらいなのだけれど」
それは世を嘆き憂いている……というよりかは自身の持つ力で人が傷つくのが嫌なような、あいする世界を傷付けてしまうのが嫌なような、そんな曖昧な表情で。
しかしながら、波乱を齎す元凶を赦す事は出来ないと絆は考えていた。
「ぼくの世が、きみがあいした世が危ないのだもの。
─────放ってはおけぬ、でしょ」
そうして、彼にしか知り得ない“きみ”の為、彼は謎掛を解きほどく。彼にとっては造作もないことなのかもしれないが、敢えて埋蔵金の依頼を受けたことにも理由があったのだ。
(直の戦ごとは、まだ気が乗らぬの。
……ぼくは、ちいさな対抗を取らせてもらおか)
人を愛し、世を愛す。
それ故、戦に加担するのも難しかったのである。
…………されど彼も“猟兵”だ。
(埋蔵金と、それを守護するもの。僅かなれど、手助けといきましょ)
絆は直の戦に参加せずとも、戦の一端を担えるようにそう考えるだろう。思案の後は、問題を今一度確認する。
「───ふうん、謎かけとね。
ぼくの頭の善し悪しではなくて、頭をつかうことは、すきよ。
……言葉あそびならば尚のこと、ね」
笑んで述べる絆は、なるほど、と問題を大方理解出来たようだ。そんな彼は暫し考えていたかと思えばつらつらと話し始める。
「目と、鼻、口。
からだの部位と、数字の羅列。
四と、九と、三……。
目には、し。
鼻には、きゅう。
口には、み。
……そう、これはヒトの五感をあらわすのね。
しかく、きゅうかく、みかく。
ならば、耳はちょうかく。
謎かけの答えは、『兆』かしら」
一息で述べたそれは、紛れもない解答であった。それ程考える時間もなく答えることが出来る彼には、やはり簡単過ぎるものだったのかもしれない。
こうして彼も、問題を解く事に成功したのである。残すは“答合の間”にて照合するのみだ。彼は、緩やかに静かに………皆の元へと戻っていくことだろう。
●いざ、始めん。花合わせの霧雨よ。
一転して“答合の間”へと集まった猟兵達。
その8名が出した答えは、皆同様のものであった。
「「「「「兆
!」」」」
解答を高らかに告げる猟兵達は、声が部屋一杯に広がったかと思うと、間もなくカチャリと施錠が外された音が鳴ったのを聞くだろう。
そう、これで徳川の埋蔵金を手に入れることが出来たのだ。
「…こ、これが埋蔵金……!ふぉおお!ざっくざっく!!ねぇ凄いよ!?りんご何個買えるかな?高級りんごかな!」
「高級りんご……赤くてつやつやしてて……美味しいんだろうなぁ。ふふ、美味しいものもいっぱい買えちゃうね!」
「いやいや、林檎だけじゃねぇだろ!……これだけあれば武器だって何だって買えるぞ、この量は」
驚き興奮するシャルとカデル。そしてそれにツッコミを入れる亜儀流野。
「すげー!キラキラだ………!やっぱちぃっとばかし、この金くすねてもバレなさそう………」
「うーん……流石に止めたほうがいいと思うよ。なんだか後が怖くない?」
「う………でも」
「良心が傷付かない?」
「う
"………………っ!」
そして此方は、お金を拝借しようと盗む犯行現場を目撃した城田と、注意されている十六夜の姿があった。
「それにしても絆は1人で解いたんでしょ?凄いね…!しかも問題の解答もちゃんと合ってたしさ」
「───合うているとも、だってぼくだもの」
一方では弦月が絆を褒めていて、彼もころころと鈴のように笑って返すだろう。
「こんなにあったら……そうだね、困ってる人みんなに食料と避難所のてはいをして、それから……」
「────主旨が変わっておるぞー。
……まぁ兎も角じゃ。この埋蔵金、どの位あるのか興味あるけど…細かい勘定は後にして、ひとまず安全地帯まで運ばないかえ?」
「そうですね。つい生の埋蔵金にテンション上がっちゃった。
───さて、埋蔵金を軍資金にして、敵を阻止しましょう~っ」
───そんなゲイジーの言葉を皮切りに、猟兵達は埋蔵金を運び出すだろう。
………こうして、彼等は無事に埋蔵金を手に入れる事ができたのだった。猟兵達は次なる戦いに備える為に、この場から去っていく。
如何せん戦争はまだ始まった始まったばかり。
気を抜くことのないようにしながら、猟兵達は進んで行くのだろう。
大成功
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