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深き森より来たるもの

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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「――さない。」
 それは、風の強い夜のことだった。
「何の音だろう、これは。」
 最初、家畜たちがいやに騒いでいると様子をうかがいに外に出た子供は周囲に五月蠅いくらいに木霊する不思議な声と遠くから聞こえるたくさんの足音に目を見張った。
「――るさない。」
 段々と恐くなった子供は急いで家の中に戻ると厳重に戸に鍵をかけ、両親が眠る脇のベッドに潜り込み耳を塞いだ。
 束の間、ぱたりと急に音が止んだ気がした。不思議に思い窓にかかったカーテンの端をつまみ上げ、恐る恐る外の様子を覗いてみると。

「許さない。」

 ぎょろりと青い瞳がこちらを覗いた気がした。せつな、子供が悲鳴を上げる前にその家は跡形も無く吹き飛んでしまった。
 その日、この世界から一つの村が消えて無くなった。誰にも気付かれること無く。


「時間だね、始めよう。」
 大きな機械鎧の肩に乗った妖精の少年、トゥール・ビヨン(f05703)は手にした懐中時計を閉じると自らが見た予知の詳細を話し始めた。
「アックス&ウィザーズのとある村が何者かに襲われているみたいなんだ。みんなには村の防衛と元凶の退治をお願いしたい。」
 トゥールが一旦言葉を切ると、グリモアベースの背景が牧歌的な村の風景へと変化する。
「みんなに向かって貰うのはコッコベリー村と言う人里から離れた小さな村だ。主に農耕や牧畜で生計を立てているのどかなところだよ。」
 しかし、最近この村では牧場の柵が壊され家畜が襲われたり、夜中に出歩いていた村人が襲撃を受けて怪我をしたりといった事件が散発的に起こっているらしい。
「村では見回りの数を増やしたり、家屋や柵の補強をしたりと対策をとっているみたいなんだけど、元々が危険とはほど遠い村だからね。みんなこういうことには慣れていないんだ。」
 この村に起こる危険と言えば、これまでは村から数里程離れたところに広がる大きな森林から迷い込んできた鹿や猿を追い払うことくらいであった。それも、ごく希にである。
「ボクの予知では今から7日後の夜にこれまでとは比べものにならない大規模な襲撃があると予測された。」
 襲撃者の数は多く、猟兵達だけでは村を守り切るのは難しいであろう。村人達の協力が必要になる。
「みんなには先ず村の人達を助けて、この7日後の襲撃に備えて欲しい。純粋な人達だから理由を話せば協力してくれるはずだよ。」
 これまで戦いの経験の無い村人達を導き、戦うための力を付けること。戦闘経験豊富な猟兵にしか出来ない仕事だ。
「最後に襲撃者についての情報なんだけど、これがどうも判然としなくて。何か不思議な声が木霊するのを聞いたとか、のしのし立ち去る人影を見たとか、或いは大きな鹿みたいなものが遠くに見えたとかね。」
 いずれにしろ、最終的にこの元凶との激突になる。猟兵達にも覚悟が必要だ。
「今回はボクとパンデュールはみんなを送り出す役割になる。村の人達が元の平和な暮らしを取り戻せるよう力を貸して欲しい。」
 そう言うと、トゥールは猟兵達に頭を下げるのであった。


西駝きゅー
 初めまして、マスターの西駝きゅー(にしだ・きゅー)です。
 おこしいただき、ありがとうございます。
 成功条件は襲撃者のオブリビオンの撃破となります。
 村の被害状況は成功条件に含まれません。この村が生き残れるかどうかはみなさんにかかっています。

●コッコベリー村について
 人里離れた人間種の小さな村です。村人の数は80人ほど。
 大人の男性が20人、女性が20人。老人が10人、子供が30人の内訳となっています。
 いずれも純朴な人達ですが、戦いの経験はこれまでほとんどありません。
 村には農場があるためそれなりの広さがあります。
 アックス&ウィザーズの世界観にのっとり、中世ヨーロッパレベルの文化です。

●村にある武器について
 万一のために村長の蔵に備えられたマスケット銃が2丁、弓矢が4具。
 農耕や牧畜に使う鍬や鋤、斧などはたくさんあります。
 その他、使えそうな物は探ってみてください。

●シナリオについて
 最終戦までの猟兵達の行動によって、戦闘の激しさや村の被害状況が変わってきます。
 被害を出さずに襲撃者を倒すのはそれなりに困難と思ってください。
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第1章 冒険 『民との共闘』

POW   :    戦力になるように訓練を施し、鍛え上げる。

SPD   :    罠を仕掛け、装備を整え、迎撃の準備を整える。

WIZ   :    戦いの心構えを説く。

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●脅威と戦うために
 村に到着した猟兵達は先ずこの村の村長だという男に接触し事情を話した。普段は温和そうな表情をたたえているであろう初老の男性もこの時の表情は険しかった。
「冒険者の皆さん、事情はわかりました。恥ずかしながら、私達だけでこの村を守り切ることは出来ません。どうか、力を貸してください。」
 猟兵達の手を取り、頭を下げた男性は急ぎ村人達を集めると猟兵達から聞いた村の危機について皆に伝えた。最初はざわざわと不安そうにどよめいていた村人達であったが、村長から頼りになる冒険者が村の防衛に力を貸してくれる、と猟兵達を紹介されると幾分か落ち着いたようであった。
 ここから、猟兵とコッコベリー村の村人達による戦いが始まる。
麻生・大地
まずは安心して事に当たれるように防衛に力を入れましょうか

【怪力】【念動力】

【レグルス・タイタンフォーム】にて変形

近隣の森より木を伐り出して、それを材料に防護柵の設置を行いましょう
運搬も念動力も合わせて使えば効率的に行えるでしょう

あとは、落とし穴も作りましょうか。底にスパイクを設置するアレです
さすがに複雑なものは作れませんからね。でも、これでも数を用意すれば
それなりに効果はあるでしょう

余談ですが、僕の巨人形態は村人たちに与える心理的影響も期待しています
物語にあるような巨人が村の守護を担う、そんなふうに感じてくれれば
少しは不安も和らぐのではないかと



●希望の巨人
「では、始めましょうか。プログラム・ドライブ。レグルス・タイタンフォーム!」
麻生・大地(スチームハート・f05083)の言葉とともに可変試作型バイク【レグルス】が変形し麻生と合体する。現れたのは身の丈5mを超える大柄なロボットだった。
 麻生達が先ず始めたのは村の防衛の強化。罠を仕掛け、迎撃の準備を整えることであった。村の周辺に生える木々を容易く伐り出し、念動力でいとも簡単に運搬するその姿に村人達は感嘆の声を上げる。
「まるでお伽噺に出てくる巨人のようね。こんな人が私達の村を守ってくれるなんて!」
 麻生が運び出した木々は村人達が木材に加工し防護柵として村の周りに設置されていく。木工程度であれば普段は平和な村人達にも手慣れたものだ。
「防護柵が整ったら、次は落とし穴を設置して。底にはスパイク代わりの丸太を取り付けて。やることはまだまだたくさんありそうですね。」
 独り言ちた麻生が、伐り出した樹木を運びだそうと巨人の身体を動かすと、足下に何か小さなものがよぎるのが目に入った。それは村で見かけた幼い子供であった。
「巨人のお兄ちゃん、お花。」
 危ないから邪魔しては駄目よ!と少し離れた所から駆けてくる母親をよそに、麻生は巨人の身体をかがめその小さな手から一輪の花を受け取る。母親から聞いた村を守ってくれる偉大な巨人への、この子なりの精一杯の好意の表れなのだろう。
 やがて、母親に連れられその場を後にする幼子の背中を見送りながら、麻生は村を守る決意を新たにするのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティル・ライハ
うわっ、大変なコトになっちゃうみてぇだな…!
俺の地元世界だし、コレはマジメに頑張んなきゃいけねぇかも。

っつー事で、俺は子供達に村にある防衛戦に使えそうな物や隠れ場所がないか[情報収集]と[コミュ力]使って実行してみっかな。
大人じゃ気付かねぇコトを子供は知ってるもんだぜ。
ソレが終わったら、[罠使い]として『UC』で村の周りに罠置いとこ。そうだな、わざと罠が無い場所も作って、そこに進軍を集中させるのもありかも。

あと、その噂のボスっぽいヤツの話も合間に聞けりゃいいんだけど。。。

『SPD 子供を中心に武器防具を集め、見付かりにくい避難場所の情報収集』
『SPD UC使用し、罠の準備』



●わたし達にも出来ること
 一方、ティル・ライハ(好奇心の末・f04613)は村の子供達を集め、一緒に村中の散策を行っていた。
「大変なコトになっちゃうみてぇだな、コレはマジメに頑張んなきゃいけねぇかも。」
 キャッキャッとはしゃぐ子供達の集団の後ろに付きながら、ティルはグリモア猟兵から聞いた予知へ思いを馳せる。自らの出身世界、そうで無くともこれだけ多くの子供達の命がかかった仕事だ。
「ねぇねぇ、冒険者のお兄ちゃん。ところで、わたし達何すれば良いんだっけ?」
 急に声をかけられはっとなるティル。別にこれは遊んでいるわけでも、子供のお守りをしているわけでも無かったのだ。こほんと一つ咳払いをするとティルは応じた。
「みんなにはこの村で戦いに使えそうな物や隠れ場所がねぇか教えて貰いてぇんだ。」
 戦いに使えそうな物?ときょとんとする子供達を前にティルは続けた。
「そうさ、何でも良いぜ。秘密の隠れ場所でも、遊びに使ってる武器でも。大人じゃ気付かねぇコトを子供は知ってるもんだろ?みんなにしか出来ねぇことさ。」
「わたし達にしか出来ないこと?」
 しばし、額を集め皆で相談をするかのように考え出す子供達であったが、一人の少女がぴんと来たように声を上げた。
「臭い実!」
「臭い実?」
 言葉に首をかしげるティルに、理解をした子供達は活き活きと続けた。
「うん、臭い実!あのね、踏むとね実が弾けてすごく臭いの!」
「臭いが付くと全然とれなくて、母ちゃんにすっげー怒られるから今は武器にして投げるの禁止にしてるんだぜ。」
「あの臭い、遠くからでもすぐわかるよね。すごく臭いし……。」
 どうやら、特異な臭いのする実のなる木がこの近くにあるらしい。マーキング用の罠や敵が鼻の良い動物等であれば武器として使えるかも知れない。
 「うんちの臭い!」「ゲロ。」「洗ってない犬みたい。」などと騒ぐ子供達を連れ立ってティルはとりあえず目的の木の元へと歩みを進める。
 仲間達、故郷の貧民街に暮らすあいつらと目の前の子供達の姿が重なって見えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

キャサリン・エンスレイヴ
・POW
 男性たちに銃と弾薬、弓矢を分配。
足りなければ鍬でも資材でもなんでもいい。村人は武装して集結。
「俺達が倒れたら、みんな一緒に突撃しよう。楽しいぞすごく」
「みんなで遮二無二突っ込むんだ」

・SPD
 村の外縁部と内部の要所に罠を仕掛けておく。
今回、外敵がワイバーンの可能性も考慮し、罠は対空のものを用意。
電信柱とその電線のように空へ突き出たものが良いかもしれない。
念入りに遅行性の毒を仕込んでおく。

・WIZ
 「死んだ仲間を犠牲と思うな盾と思え! 死ねばお前も同じ者だ!」
 「神の加護など不要。お前たちが神に力を取り戻させてやるのだ!」
 「村が焼けた程度で折れるな。所詮は俗世の塵。灰になる運命よ!」



●俺達に出来ること
 村の防衛の準備は着々と進んでいた。防衛用の柵や罠の設置、避難場所の確保などこの村なりの工夫がされたものが順調に準備されていったのは猟兵達による力添えがあったことが大きい。
「敵がワイバーンだった、何て可能性もあるからな。そうじゃなくても、何が襲ってくるかわからないなら空への注意も必要だ。」
 そう呼び掛け、村人達と対空用の罠の設置を行っているのはキャサリン・エンスレイヴ(ウィザード・f01442)だ。先の尖った複数の柱に丈夫な糸を通し、空からやってくる敵の動きを阻害する算段だ。
「しかし、恐ろしい魔物の襲撃なんてなあ。キャサリンさん、俺達は一体どうしたら良いんだろうか。」
 柱に通す糸の並びを図っていたキャサリンに村人が不安そうに尋ねて来た。
「不安か?では、俺がお前達に戦いの心構えってやつ説いてやる。」
 一呼吸置くとしゃがれたハスキー声が高らかに村人達の前で上がった。
「神の加護など不要。お前たちが神に力を取り戻させてやるのだ!」
 張り上げられたキャサリンの宣言に、村人達はポカンとした顔を向けた。
「ガタガタ震えて神様にお祈りするより、今出来ることは遮二無二全部やってみようってことだよ。それで駄目なら。」
 にやりと、キャサリンは言葉を切り笑った。
「最後はみんな一緒に突撃しよう。楽しいぞ、すごく。」
 してやったりと微笑むキャサリンは、ひらりと村人に手を一つ振ると再び罠の設置の仕事に戻る。
 今できることは全部やる。罠でも良い。銃でも弓矢でも農具でも、ありったけ使って生き延びる。その思いが、村人達に伝わっていることを願って。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴェスター・アーベント
目的/村人達を訓練し、戦力にはならずとも戦場で生き延びられるようにする

行動/日数をかけて徐々に戦いに慣らしてゆく
「俺は騎士ヴェスター、この地が災厄に包まれるとの予言を受け助太刀に推参した。
災厄の日に生き延びたい者は己が日常的に使う農具を持ち広場に集まれ!老若男女は問わん!」
村人を集めたら、最初は農具を武器として振るう反復訓練をひたすら行う。
それに慣れたら、次は俺の斬撃を受ける(寸止め)訓練を徹底的に。
最後は無敵城塞を発動した俺を全員でひたすら攻撃させる訓練だ。
「遠慮は要らん、殺す気で来い」
武器を振るう事、恐怖、何かを攻撃する事、この三点を徹底的に慣れさせる事で生存率を上げてゆく。


松平・富嶽
まずは柵を突破された時のことを考えて、村内と柵の間に物が転がっていくような斜面を【世界知識】と【情報収集】で探す。見つけたら
「村長さん。使えるだけのミルクタンクと油を用意してくれませんか? 油の方は食用油でも結構です」
と村長さんに【コミュ力】を利用して交渉。何に使うかと聞かれたら
「襲撃当日に柵が破られたら、油を入れたミルクタンクを斜面を利用して敵に転がすのです。ミルクタンクのふたはきつく締めず、何かにぶつかったら蓋が開く程度で。油をまくためです。そこへ私が火矢を放ち、火計を仕掛けます」
と答えて
「後は手のひらサイズの石を多く用意するといいですね。火計で慌てる敵に投石で追撃できます」
と付け加える。



●計を巡らせ力と成す
「村長さん。使えるだけのミルクタンクと油を用意してくれませんか? 油の方は食用油でも結構です。」
 村人と罠の設置場所について話し合っていた村長に声をかけたのは、松平・富嶽(忠烈義士・f02974)であった。
「構いませんが、一体何に使うおつもりですか?」
 松平の言葉に不思議そうに尋ねる村長へ、彼は言葉を続けた。
「襲撃当日に柵が破られたら、油を入れたミルクタンクを斜面を利用して敵に転がすのです。」
 彼は村人達の話しから、防護柵から村内までの間に小高い丘の農場があることに目を付けた。その斜面からミルクタンクを転がし敵に向かって油を撒こうという腹づもりだ。
「既に斜面脇の道を敵が進軍するよう、他の猟兵達とも連携して罠の設置場所を調整済みです。」
 猟兵達の策に村長はあごに手を当てる。油が撒かれれば次は当然。
「はい、最後はそこへ私が火矢を放ち火計を仕掛けます。」
 敵の進軍位置の調整と、火計による奇襲。上手く行けば労せずに敵を混乱させることが出来るかも知れない。
「わかりました、すぐに手配しましょう。」
 村長は話し合いを行っていた村人に声をかけると、ともに急ぎ頼まれた物の手配へと向かって行った。その背にああ、それから。と松平が声を飛ばす。
「後は手のひらサイズの石を多く用意するといいですね。火計で慌てる敵に投石で追撃できます。」
 わかった、と言う代わりに松平に一つ頷きを返すと二人は駆けていった。
 一計を案じ、強者に打ち勝つ道を示すこと。
「私は人々の温かでささやかな幸せと日常を守ってみせる。」
 そう呟いた松平は次の策へと思いを巡らせるのであった。

●その手に武器を取る力を
 初日から村の防衛と並行して村人達の戦闘訓練が行われていたが、ある程度村の防衛に目処が立ってくると訓練に参加する人数も日増しになっていった。訓練の指揮をとっていたのは黒騎士ヴェスター・アーベント(テラーナイト・f09560)である。
「俺は騎士ヴェスター、災厄の日に生き延びたい者は己が日常的に使う農具を持ち広場に集まれ!老若男女は問わん!」
 ヴェスターの訓練に参加したのは、老人から子供まで、男女問わずその時手の空いた者達が集った。
 最初は農具を武器として振るう反復訓練を徹底的に。慣れてきたら武器で攻撃を受け止める訓練だ。流石に力の弱い老人や子供は休み休みであったが、驚くことに村の女性も男性に負けず劣らず力強く武器を振るっていた。
「コッコベリーの女を舐めて貰っちゃ困るよってね。」
 容姿端麗なヴェスターに褒められた彼女達は少しはにかみながらそう答えた。水汲みから家畜の世話、家事と日々仕事をこなす彼女たちには持ち前の自信と力強さがあった。
 最後に行われたのは参加者全員による攻撃訓練だ。
 流石に数十人の攻撃を一人で全て受け止められるはずが無いとひるむ村人達であったが、ヴェスターの叱咤に覚悟を決め一斉に武器を振りかざす。鈍い音が辺りに響いた。
「――どうした?遠慮は要らん、殺す気で来い。」
 無敵城塞を発動し、全ての攻撃を受け止めてなお傷一つ付かない涼しい顔のヴェスターに村人達は唖然とした顔を向けた。しかし、ヴェスターの声に気を取り直すとえいや、と攻撃を再開した。
 武器を手に立ち上がる力をこの者達に付けさせる。一人でも多く、生き残れるようにと。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『夜間警邏』

POW   :    寝ずの番で周囲を探索

SPD   :    闇に紛れて隠密行動や情報収集

WIZ   :    動植物たちと仲良くなって見回りを協力してもらう

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●運命の夜に
 猟兵達は村人達と協力し、罠を仕掛け、策を巡らし、武器を取り、襲撃者を迎え撃つための準備を整えた。
 村人達の顔に疲労は見えたものの、皆ここまでやり遂げた事への達成感を胸に秘めていた。
 そして、7日目の夜がやって来た。風が強く吹き、月明かりが眩い夜であった。
 猟兵達は村人達とともに夜間警邏を行い、いつやって来るとも知れない襲撃者の来訪に備えそれぞれの行動を起こすのであった。
●子供達の噂話
「うん、なんかね。大きな人影がね、ドッシンドッシンって!」
「それでね、追いかけていったらいつの間にかいなくなってたの。」
「そこでね、こんな葉っぱ見つけたの!何かね、数字が書いてあるの!」
●女達の噂話
「旦那が言ってたよ、でっかい角を生やしたのがいたって!」
「それでそいつ、あっという間に走って行ったんだってさ。」
「ここから数里離れた北の大森林の方だって言ってたかね。そいつが走って行ったのは。」
●男達の噂話
「空を飛ぶっていやあ、俺は見ちまったんだよ。空飛ぶ化物って奴を。」
「あれは俺がダチの家でしこたま呑んで帰る途中だった。」
「不思議な声が聞こえたかと思うと、ふわふわーって何かが目の前を横切る気がしたんだよ!見えなかったけど!嘘じゃ無いって!」
ヴェスター・アーベント
目的/村人達と夜警を計画的に行い、襲撃に備える

行動/敵の正体、規模共に不明…村人の噂からすれば複数種がいるかも知れんが、変身能力や召喚術を使う強力な個体の可能性もある。
となれば俺が重視すべきは『計画的に交代制で夜警を行い、襲撃時の初動で速やかに体勢を整えられようにしておくこと』だ、全ては村人の生存率を上げる為に。
「夜警は夜目が効く者を中心に交代制で行う。
敵を発見したら即座に防衛体勢に移行する、恐れるな…俺がいる限りお前達に指一本触れさせはしない。
だが万が一は常にある、生き延びる為に冷静さを保て、どんな逆境でも諦めない限り必ず活路はある」
俺が先頭に立ち、村人と夜警を徹底的に行うぞ。


ティル・ライハ
危険が迫ってきたみてぇだな。
夜はシーフの時間だし、頑張りますかぁ!

とりあえず、基本は[目立たない]ように[忍び足]で[情報収集]する感じでいこっかな。
村の事は子供達に聞いたし……、あぁ、念のために“例の実”も念のために持っておこっと。何かにつかえるかも、だしさ。
[第六感]と[聞き耳]駆使して注意深く行動して、なんかあったら仲間に報告も大事だな

葉っぱと北の森が気になるけどな…

『SPD 隠密&探索技能を駆使して行動』



●あの空にまだ月が低い頃
 運命の夜。猟兵達と村人は、防衛の最終準備を整えると日の入り前から警邏を始めていた。
 襲撃者がいつ、何処から現れるのか不明な以上警戒は必須であった。
 ヴェスター・アーベント(テラーナイト・f09560)は村人達と交代制で村周辺の見張を行う計画を布き、襲撃者に警戒をしていた、
「あ、ヴェスターさん。どうかしましたか?」
 防衛柵の近く、数人で見張りに当たる村人達に声をかけたヴェスターは、いやとかぶりを振った。
「何か異変は無いかと思ってな。疲れは無いか?」
 お互い顔を見合わせた村人達はヴェスターに向き直ると大丈夫ですよ、と続けた。
「この日のために今日まで頑張って来たんだ、少しの疲れくらいどうって事無いですよ。」
「そうそう。まあ、やっこさんがいつ飛び出してくるかも知れねえって考えると少しぶるっちまいますけどね。」
 冗談めかして明るく振る舞う村人であったが、顔には少し緊張の色が見えた。敵の正体、規模共に不明。夜警は交代制で行ってはいるが、何がいつ襲ってくるかもわからぬまま張り詰めた状態で警戒を行うのは、精神的にも消耗が大きい。ヴェスターは村人達の様子を察すると勇気づけるように言葉をかける。
「恐れるな……俺がいる限りお前達に指一本触れさせはしない。」
 村人はヴェスターの言葉に頷きを返すと、ありがとうございます。と見張りに戻っていった。緊張や不安も、ヴェスターの頼もしい言葉に少し和らいだようであった。
 村人の警邏は防護柵の辺りまで。そこより外の見回りは襲撃者に気付かれ先に襲われる可能性が高く、技術的に村人に任せるには危険が大きかった。だが、万が一の可能性を減らすためにも、斥候を立て敵の情報を得ておきたかった。
「なら、俺に任せとけって。夜はシーフの時間だぜ。」
 ティル・ライハ(好奇心の末・f04613)にその話を持ちかけると、胸を叩き彼は応じてくれた。彼も同じ考えであった。
「頼む。だが、無理はするな。」
 ヴェスターの言葉に了解っと言う代わりに手をひらりと振ったティルは防護柵の外へと足を伸ばしていた。
「さて、いっちょ頑張りますかぁ!」
 足音を消し夜の闇に紛れ、草陰から木の陰、岩の影と目立たぬよう行動するティル。ついでに外縁に設置した罠の様子も確かめていた。罠と言っても、敵が通るであろう場所に目星を付け木の実を撒いた簡単なものであったが。
「ここも異常なしっと。実を踏まねぇように気をつけねぇとな……。」
 子供達と収穫した特異な臭いの木の実。襲撃者がこれを踏めば、村の近くまで迫ったときに臭いでいち早く気付くことが出来る算段だ。
 事前に実の臭いを確かめるため、村人達と石でいくつかこの実を潰してみたが、確かに強烈な臭いが離れても鼻に届いた。
 注意深く聞き耳を立てながら徐々に探索範囲を広げていくティル。自然と足が向くのは、村人の噂にも上った村の北方向、大森林があるという方角だ。彼の第六感が告げている、敵はそこからやってくるのでは無いか、と。
 まだ、月の位置は低く、夜は始まったばかりであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

キャサリン・エンスレイヴ
・作戦

a.「夜間警邏? 昼寝て夜起きればいいだろが」
 光源を用意。
 今回、自身が行う手段を他参加者と村人に通達し、情報の共有しておく。
 動揺して迂闊な真似をしないよう要請。

b.村の外周を巡回し、不審な影や物音には紅い世界で対処。
 その際、設置した罠を破壊しないよう細心の注意。
 北の方角と空中からの襲撃に十分に警戒し、遭遇時には足元の石を投げたり、囃し立てたりして罠に追い込むよう試みる。

c.「葉に書かれた数字が村を餌場と見立てた数を意味するのか、ホムンクルスの製造番号か判別つかないし、北の大森林だっけか? その旦那は追ったのか? 怪しいな…」
 村内部の敵の存在を危惧し、その旨他参加者のみに通達。


松平・富嶽
敵について情報収集をしましょう。事前に『忠実なる義士の召喚』を発動し、武士の霊に大森林を探索させます。霊には獣の毛や角の欠片などの痕跡を探させる。自分は村の警護をする。
「ふむ…話を聞いてみると、大きな獣の類のオブビリオンである可能性が高いですね」
と噂話から推測。
「ならば、皆さんは接近戦を避けて下さい。なるべく弓矢や投石、銃による射撃で我々猟兵の援護に回ってもらった方が、よろしいかと。接近戦は最後の手段であるとお考え下さい。皆さんの中で死者を出したくないのです」
と村人たちに念を押しておく。と、話した時くらいに霊が私の下に帰ってくるはず。霊の成果を確認し、襲撃が近いと考えて迎撃態勢をとらせる。



●見上げた空に月が輝く頃
「どうでしたか、キャサリンさん?」
 村の防護柵から村内までの間にある小高い丘の農場、その下を通る道を見下ろす場所で村人達と見張りを行っている松平・富嶽(忠烈義士・f02974)は、外周部の見回りから帰ってきたキャサリン・エンスレイヴ(ウィザード・f01442)に声をかけた。
「何も無かったよ、平和なもんだ。怪しい葉一枚、見つからないと来た。」
 かぶりを振りしゃがれ声で応えた彼女は、皮肉交じりに笑って見せた。敵の使い魔でも見つかれば爆破の呪文、紅い世界で消し飛ばしてやろうと考えていたが。
「そうですか、何も……ですか。」
 キャサリンの言葉に考え込むような仕草を見せる松平。この夜警が開始されるのと同じ時に、北の大森林の探索へと放った彼の忠実なる義士の霊。それが、未だに帰ってこない。そろそろと思い、見回りに出るキャサリンにも声をかけておいたのだが。
「やっぱり、襲撃者が来るのはそっちでビンゴなのかね。北の大森林だっけか?」
 村人達の話しに上った、大型の獣が走り去ったという北の大森林。
 キャサリンは外周部へと見回る際に、松平の義士について村人に声をかけてまわったがこれと言った音沙汰は無かった。取りあえず、見かけたら松平まで知らせるように情報の共有をしておいた。ただ、何かあっても動揺して迂闊な真似はしないようにとも言い含めておいた。
「帰ってこない、というのであればそれはそれで情報です。言うとおり、北の森が最有力でしょう。」
 村人達の話を統合すると、襲撃者は恐らく大きな獣の類のオブビリオンである可能性が高い。鼻や耳の良い獣に探索に出た義士の霊は見つかり襲われた、と見るべきだろう。
「なら、この話しを村人にも伝えておこう。北の方角からの襲撃に十分に警戒しろとな。罠に追い込むときのルートも北からの襲撃パターンで考えておけと。」
 作戦を伝えに、再度見回りに向かおうとするキャサリンに松平はお願いします、と続けた。
「村人達には襲撃者が現れたら接近戦を避けるようにもう一度伝えておいて下さい。なるべく弓矢や投石、銃による射撃で我々猟兵の援護に回ってもらった方が、よろしいと。」
 わかった、と頷き急ぎ夜の闇に消えていくキャサリン。その表情は真剣なものであった。
 敵がこちらの斥候に気付いたと言うことは、襲撃の時も近いだろう。キャサリンもそれに気付いたからこそ、あの表情だったのであろう。
 キャサリンの背中を見送った松平も丘の村人達に声をかけ迎撃の態勢を整え始めた。
 風が強く吹いていた。決戦の時は近い。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ヒューレイオン』

POW   :    ディープフォレスト・アベンジャー
【蹄の一撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【自在に伸びる角を突き立てて引き裂く攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    チャイルド・オブ・エコーズ
【木霊を返す半透明の妖精】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
WIZ   :    サモン・グリーントループ
レベル×1体の、【葉っぱ】に1と刻印された戦闘用【植物人間】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ミレイユ・ダーエです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●老人達の昔話
「むかーし、昔のことじゃった。ある日この村に偉い植物学者じゃという旅の者が訪れたのじゃ。」
「わしは其奴にせがまれ北の森の奥にあるという、聖域の話しをしてやったのじゃ。」
「そこは珍しい植物がたんと生えておるが、誰も立ち入っては行かぬ神聖な場所。立ち入れば恐ろしい神の罰があるぞと!」
「旅人にもキツく言ってやったわ、決して立ち入ってはならぬ、決してじゃと!」
「そして、数日村に滞在した旅人はいずこかへと去って行きおった。……はて、一月前の話しじゃったかのこれは?」
●決戦の時
 それは先ず、一人の猟兵の報告から始まった。
「来たぞ!すげぇ数だ!」
 襲撃者の群れを遠くに認め、一人では対処できないと急ぎ村に戻った猟兵は防護柵の近くで護りを固める村人達に声をかける。
「決戦の時は来た、守りを固めろ!」
 一人の猟兵が防衛の指揮をとり、村人に檄を飛ばす。
「それで、敵の戦力は?」
「見えた限りじゃ、歩く木みてぇなのが30ちょい。その後ろを、黒いデカいのがついてきてる。恐らくあれが親玉だ。」
 襲撃者に空を飛ぶものは見られなかった、ならば。
「この情報を丘の者達へ。作戦決行だ!」

 ドシン……ドシン……。
 不気味な植物人間達が防護柵を叩く音が聞こえる。
 やがて、柵が想定よりも強固なことを認めると、襲撃者達は散り散りに別々の箇所を叩き始める。

 バキバキ。
 一つの柵が破られ植物人間達が侵入を開始する。

 ドスン、バキッ!
 柵の裏に設置された大きな落とし穴、先陣を切った植物人間の内数体が穴に落下し底の杭に深々と突き刺さる。
 植物人間達の動きに明らかな乱れが生じる。刹那、背後に控えた黒き巨体がカツンと蹄を鳴らすと植物人間達はピタリと動きを止め、やがて再び整然とした動きで進行を始める。
 落とし穴を超えるため、数体がその身を橋代わりに犠牲にし襲撃者の群れは柵内へと侵入を開始した。
 予め、弱く作っておいた柵と定められたルートを辿って。

「上手く誘導が出来たみたいですね。」
 防護柵から村内に続く丘の上で、一人の猟兵が報告に胸をなで下ろす。
「奴等は一塊で動いているようだな。この感じなら別動で襲ってくる奴もいないだろ。」
 一人の猟兵が鼻をつまむジェスチャーをしながら感想を漏らす。
 襲撃者達がいる方角から漂ってくる異臭。奴等が設置した罠を踏んづけた証だ。別動で動く者がいれば、すぐに臭いで気がつくであろう。
「別動……。」
 何かがひっかかるという風に思案する猟兵は思索を巡らすと、再び声を上げた。
「気になることがあります。村内に向かって貰えますか?」

 ドスン、ドスン。
 植物人間達が村内へ向けて歩みを進める。その数は、途中の罠にかかり当初より数を減らしていた。
 やがて、襲撃者達が小高い丘の側の道に差し掛かるとそれは始まった。

 ゴロゴロ。
 次々と斜面より転がり落ちてくるたくさんのミルクタンク。気にもとめずに進行する植物人間達の群れにそれは直撃した。中から溢れる油が襲撃者達を濡らす。

「今です!」
 丘の上からそんな声が聞こえたかと思うと、襲撃者の群れに次々と火矢が放たれた。

 トスン、と火の付いた矢が植物人間達に刺さると、油に着火しそれは勢いよく燃え広がり始めた。
 群れの中腹を歩いていた植物人間にそれは直撃し、赤々とした火に包まれたそれらは苦しみもがくとやがて動きを止めていった。

「――さない。」
「――るさない。」
 声が木霊すように空を駆けていく。それは、丘の側で始まった騒ぎに先駆け一直線に村へと向かっていた。
「空を飛ぶものは見えなかった。だが、見えないからっていないとは限らないよな!」
 木霊す声の元が村内に到達したとき、一人の猟兵がその声と共に村人達に合図を送る。瞬間、その手に思い思いの武器を取った村人達は木霊す声の聞こえる方に向けて武器を振り回し始めた。
 ある者は鍬を手に、ある者は鋤を手に、老若男女を問わずかつて猟兵達に鍛えられたように一心不乱に武器を振り回す。
 驚いた声の主はメチャクチャに辺りを飛び回り、一旦その場から離れようと空へと高く飛び。

 スパッ。
 村の空に張り巡らされた糸にその羽を切り割かれ、武器を手にした村人達の前へと落下していった。

 ――赤々と炎が燃える。その炎の奥に、憎悪を目にたぎらせた黒き獣がこちらへと視線を向ける。それが従えた配下は今や両手で数えられるほどに数を減らしていた。その元に、猟兵達が駆けつけ始める。
 最後の戦いが始まる。
ヴェスター・アーベント
目的/敵の撃破、村の防衛
「村人には指一本触れさせん…!」

戦術/聖魔二刀流で攻撃
怪力を以って振るう攻防一体の剣技。
聖剣で受け流し、魔剣で斬りつけながら吸血して生命力を奪い、受けた傷を癒しながら敵を倒すまで戦う継戦能力に長けた戦術。

行動/まずは敵首魁の生み出す雑兵を撫で斬りにし、村の安全を確保、最優先事項だ。
「こんな脆い化け物で…俺を止められるものか!」
対植物人間では数を素早く減らす為に聖魔二刀流を攻撃回数重視で振るう。
敵首魁が寄ってくるか、植物人間を殲滅したら聖魔二刀流を攻撃力重視に切り替えてボスにダメージを与えていく。
「俺を倒さぬ限り村には辿り着けん…だが、俺はしつこいぞ」



●聖魔の剣
 パチパチと足下で火が爆ぜる。真っ先にこの場へと駆けつけ、敵の首魁と対峙したのはヴェスター・アーベント(テラーナイト・f09560)であった。
 古びたマントを翻し、ふた振の剣を抜き去る。一つの剣の名は聖剣リヒトクライス、もう一つは魔剣ブラッドイーター。異なる力を宿す二つの武器を構え、静かに黒き凶獣を見つめ返す。
 最初に動いたのはヴェスターであった。瞬きの間に、凶獣へと駆け寄り距離を詰める。しかし、足下に横たわる黒く焦げた2つの植物人間ががばりと起き上がりヴェスターを阻もうと襲いかかる。筈であった。
「こんな脆い化け物で……俺を止められるものか!」
 刹那のことであった。聖魔二刀の剣技が振るわれたかと思うと、2つの影は今度こそ炭から灰へと散り、その影を消した。
 ヒュッと何かが空を切る音が聞こえた。不動と見えた凶獣は、刹那の隙を付きヴェスターとの距離を詰め、憎悪を込めた蹄の一撃を見舞う。が。その刹那の先を行ったのはヴェスターの握る聖剣。キンッと蹄の動きを読むかのように軽く、澄んだ音を響かせ攻撃をいなす。続き、流れるような動きで振るわれる魔剣の一撃。ずぶりと獣の肉を割く感触がヴェスターの手に伝わる。この攻防一体の動きこそ、ヴェスターの真骨頂、聖魔二刀流。返す刀の聖剣の一撃が獣の反撃の動きを止め、再び振るわれる魔剣が獣の身を割く。
 たまらず、飛び退いた凶獣を追撃するかと思われたヴェスターであったがそうはしなかった。
 彼は静かに聖魔ふた振りの剣をかまえ直すと仕切り直しとばかりに獣に告げた。
「俺を倒さぬ限り村には辿り着けん……だが、俺はしつこいぞ」
 戦いはまだ始まったばかりだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

キャサリン・エンスレイヴ
・作戦

a.北からの襲撃を警戒する旨、村人へ通達。
 設置した罠へ追い込むルートを提示し、敵との接近戦は避け、飛び道具で猟兵の援護をする旨要請。

b.「いやいや…偉い植物学者や旅人の好奇心を刺激した老人達が悪いっしょ」
 ツッコむ。

c.参加者有志と共に北の森へ索敵しつつ移動。
 同行者がいなければソロで。
 満漢全席を、えーと…Σあ、弁当を食べながら移動。どっちでもいいや。
 敵を遭遇した時点で戦闘が始まるわけだが、一方的に発見して攻撃するのもされるのも戦闘開始と意味は変わらない。
チャイルド・オブ・エコーズで見てるんだろ?
つまり、今食べても同じです。

d.食料は美味しそうにガツガツ食べる描写をお願いします。
 



●駆ける暴食
 村内から丘の戦場へ向けて走る幾人かの影が見える。
「もぐ……へっ近戦はふぁけて……もぐもぐ。ほび道具……もぐ。への、支援に……ごくん。徹すること。いいな?」
「いや、最初の方何を言っていたかちょっとわからなかったです……。」
 ツッコまれた。
 村内に飛び込んできた敵の別働。恐らく偵察だと思われる、透明な精霊を村人共に撃退したキャサリン・エンスレイヴ(ウィザード・f01442)は丘の方で始まった戦いの音を認めると、村内の防衛にあたっていた数人の有志と共に戦場へと走っていた。
 腕に大きな弁当箱を抱えながら。というか、ご飯を美味しそうにかき込みながら。
 腹が減っては戦が出来ぬ、とは何処かで聞いた言葉だが、まさかこんな状況でも食事をするものなのだろうかと共に走る村人がいぶかしんだ刹那。キャサリンの身体が目に見えて成長を始めた。
 暴食のベルゼブブ。食事を行うことで、体細胞を進化させ戦闘力を増加させるキャサリンの技の一つである。
 呆気にとられる村人をよそに、満腹、満足。っと一息ついた表情を浮かべた彼女は目前に見えた赤い火を目にとめるとさてと、と表情を引き締める。
「それじゃ、援護頼んだ!」
 これまでの倍以上の速さで戦場へと飛び込んでいくキャサリンを追い村人は駆けていく。
 ドンッとキャサリンのロッドが樹木を殴り飛ばすような鈍い音が前方から聞こえた。

成功 🔵​🔵​🔴​

松平・富嶽
「火計は成功しましたが、敵の親玉は火計に引っ掛からなかったようですね。ですが、想定の範囲内です。当初の予定通り、皆さんは投石や弓矢による援護射撃をお願いします」
策に協力してくれた村人たちにそう指示し、自分は親玉に向かって突撃。【見切り】や【武器受け】を利用して、敵の攻撃を避けていく。村人に当たりそうな攻撃が出たら、【武器受け】と【かばう】で対応。愛刀の間合いまで接近した時に【力溜め】と【カウンター】を利用しながら、前足狙いで攻撃力重視の『富嶽新陰流・水龍突』を放つ。この一撃で敵に隙ができたなら、【2回攻撃】を利用してもう一度、同様の攻撃を後ろ足狙いで行う。
アドリブ可。



●富嶽新陰流
 眼下で植物人間が殴り飛ばされる鈍い音が響く。
「では、当初の予定通り皆さんは投石と弓矢による援護射撃をお願いします。」
 松平・富嶽(忠烈義士・f02974)は共に作戦を決行した丘の上の村人達にそう告げたかと思うと丘の斜面に足をかけ滑るように、炎に包まれた戦場へと駆けていく。
 狙いは炎の奥、黒き凶獣。相対した他の猟兵に気をとられ、こちらに気付いた様子は無い。
 愛刀・越前守安定を陽に構え、駆けた勢いのまま静かに凶獣の前足を狙い、――一閃。瞬時、前足から吹き出る血潮と鋭い痛みに斬られたことに気付いた獣は、反射的に逆の足を振りかざす。
 愛刀にて流すように蹄の一撃を受け止める松平であったが、勢いを殺しきれず僅かに肩を獣の蹄が掠めていった。
「――ッ!」
 刹那、蹄の一撃を受け僅かに体勢を崩したかに見えた松平に向け、好機とばかりにその角を突き立てようと凶獣がその頭をもたげ高速の突きが放たれる。だが。
「その動き、見切った。富嶽新陰流・水龍突!」
 凶獣の角を紙一重で見切り、続きこの時を待っていたと力を込めたカウンターの一撃が放たれる。松平の渾身の突きが、高速にて繰り出された獣の首の下をくぐり抜け、前足へと突き刺さる。
 堪らず咆哮を上げた黒き凶獣は飛び退くように戦場の猟兵達から距離をとる。その前を残った植物人間達が進みで、主を守ろうと守りを固める。
「次はその後ろ足を貰い受けます。」
 先ほどの陽から霞に構え、鋭い言葉を眼前の敵に投げかける松平。
 戦いは中盤戦へと差し掛かっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セリエルフィナ・メルフォワーゼ
【ブットバース】の皆と連携するよ!

この獣にも事情はあるんだろうし、村の人達にも落ち度はあったんだろう。
けどどんな理由でも、弱い人達に手を掛けようとする君を見過ごすことは出来ない!
全力で君の凶行を止めさせてもらうよ!

ボクは前衛を担当するね。
【ダッシュ】で敵の懐まで接近して、【ジャンプ】して【空中戦】からの【フェイント】【踏み付け】。
ヒット&アウェイで、敵を翻弄するよ。

そして隙を見て、空中で【2回攻撃】を使っての連続回転キック、同時に温存していた【スカイステッパー】を使ってそのまま前進する。

「竜巻旋●脚!」

もし可能なら、輝夜さん(f12146)の使うコンボに、ボクの竜巻旋●脚を合わせるよ!


木霊・ウタ
【ブットバース】
心情
森の主ってカンジだけど
オブリビオンなら狩るぜ

手段
命と未来を守る願いを込め
Wウィンドを奏で歌い
皆を鼓舞しつつ聖なる調べで敵の力を削ぐ
;コミュ&パフォ&演奏&歌唱&手をつなぐ&鼓舞&勇気&優しさ&破魔

この世界の「過去」であるアンタだ
森を守ろうとしてんのは
今でもこの世界が好きだからだろ?
今を生きる命が未来を創っていく
未来は人の命の重みなんだ
命の灯を消させやしない
この世界を想うアンタの為にアンタを倒すぜ


地獄の炎纏う焔摩天を振るう
:属性攻撃&破魔&薙ぎ払い&鎧砕き

木霊で当たりを付けた妖精の位置へ紅蓮の炎放つ
植物人間は炎の渦で灰に変える

防御も武器受けの他UC使用
蹄や角は高熱の陽炎で回避



●新たなる希望
 強き風に赤々とした炎が戦場に舞い踊る。燃えさかる炎の中心には極度に興奮した黒き凶獣とそれに従う配下の植物人間達。そして、禍々しき悪を取り囲むは3人の猟兵達。黒き騎士が攻防一体の技で敵を抑え、食物の恵みによる超強化が施された魔術師が凶獣の配下をなぎ払い道を開き、白き仮面の剣士が獣の急所を狙い動きを封じていく。そして、丘の上からは投石や火矢により猟兵達の戦いを支援するコッコベリーの村人達。
 戦況は猟兵達の優位に見えたが、短くない激しい戦闘はお互いに疲弊をもたらしていた。もし、何処かで何か一つ崩れれば戦況はひっくり返る、そんな危うさも秘めていた。万一に備え、村人達の護衛にあたっている猟兵達を呼び戻すか、或いはこの戦況を一気に推し進める何かの後押しがあれば……。1人の猟兵がそう考えた瞬間であった。

――この世界の「過去」であるアンタだ 森を守ろうとしてんのは。
 歌が聞こえる。 
 吹きすさぶ風と炎の中、黒い髪を揺らした人間の少年、サウンドソルジャー木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)が奏でる、命と未来を守る願いを込めた聖なる調べが、地獄の如き戦場に一筋の希望をのせて響き渡った。
 木霊の歌と共に新たに戦場に現れた6人の猟兵。アックス&ウィザーズの小さな、それでも必死に今を生きようと運命に抗う村を救おうと集った戦士達。彼らはオブリビオン退治の請負人、名を「ブットバース」と呼ばれた。
 力強い声が聞こえる。
「この獣にも事情はあったかも知れない。」
 響き渡る歌声の中を、ふわりとした衣装を身に纏った白い影が戦場を駆け抜ける。
「けどどんな理由でも、弱い人達に手を掛けようとする君を見過ごすことは出来ない!全力で君の凶行を止めさせてもらうよ!」
 戦場を駆け抜ける影、オラトリオのスカイダンサーセリエルフィナ・メルフォワーゼ(天翔ける一輪の君影草・f08589)は植物人間達の脇をすり抜け、黒い凶獣の懐に飛び込むと、呼応するようにセリエルフィナを踏みつぶそうと前足持ち上げた凶獣の攻撃を、流麗な舞いのように跳び上がり紙一重の距離で攻撃を躱す。
 トン、と獣の頭を踏みつけたセリエルフィナはそのまま凶獣の背後へ、そして振り返る黒き獣を翻弄するように獣の周囲でひらりひらりとステップを踏む。
 小さな白と大きな黒、二つの影が赤々と炎舞う戦場でくるくると一進一退の攻防のダンスを踊る。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

化野・那由他
【ブットバース】の皆さんと連携します。
災いを招くのは大抵、禁忌を犯した者。詳しくは分からないけれど……村の人達を犠牲にすることはできないわ。地の利を活かして戦いましょう。

[降魔化身法]を使い、妖すら使役する悪鬼を宿して超強化。その上で、【全力魔法】を用い【呪詛】を放つ[叢原火]を限界まで生じさせます。炎の【属性攻撃】、【範囲攻撃】による【援護射撃】を。

【第六感】と【情報収集】で戦況を見極め、出来るだけ高台から植物人間に鬼火を飛ばし、範囲攻撃で妖精も燃やして。ボスに挑む味方にも鬼火の援護を。
降魔化身法の影響で口から血を流しながらも全力を尽くします。

※アドリブ歓迎です。呼び方は名字にさん付け。


ロア・ネコンティ
【ブットバース】から参加
【WIZ】氷の土石流で敵を押し流す

旅人の方が不義理を働いたとはいえ、村を襲っていい道理はありません。お帰り願いましょう、過去へ。

前衛より後ろ、村人より前に位置をとります。ラッセル・ベイさん(f12407)に僕の武器[彗星の杖]を強化してもらい、[属性攻撃・範囲攻撃・全力魔法・高速詠唱]氷結属性と大地属性の[エレメンタル・ファンタジア]で氷の土石流を起こし、植物人間とヒューレイオンを村から離れたところまで押し流します。

「 空を巡る氷の精霊よ、彼方へ広がる大地の精霊よ、過去より生まれし不逞の輩を、その奇跡をもって排斥せよ!!」


ラッセル・ベイ
『ブットバース』より参加
村の危機と聞き、馳せ参じた
今より加勢する

●行動(WIZ)
戦闘前に武具改造だ
私の「炎剣フラム」には火炎ポーション
ロア君の「彗星の杖」に氷結と大地ポーションを属性付与し、属性威力を向上する

もう少し早くこれを使いたかった所だが……まぁ、過ぎた物は仕方あるまい
戦闘開始時【グラウンドトーテム】を使用し、自陣営の武具強化を図る
私自身もヒューレイオンへと近付き、攻撃を行う事でトーテムの加護を高めるとしよう

植物人間は合体される前に、一気になぎ払って置きたい
もしくは合体不能すれば良いか?
ならばフラムの炎属性で燃やしてしまうのも手か。燃えた植物では合体は出来まい

さあ、一気に仕留めに掛かるぞ


輝夜・レナ
【ブットバース】で参加よ。

……なんか、ボスっていうには数が多いと思ったけど。
こんなデカブツがいたなら狩り甲斐があるね。
防衛戦だけど、要はあれを倒しちゃえばいいんでしょ?

まずは【バトルデータ・インストール】で格闘体データに換装!
連携を意識して前に出るよ。
「プログラムインストール……さぁ、行くよっ!」

肉薄して拳で殴りつけるわ。
ちょっと弱ったところに【アトミック・パンチ】よ!
今日はバフもあるから気が楽だわ。おもいっきりやれるわね!
なるべく後衛は庇うとかでダメージがいいないよう心掛けるわ。

トドメは飛び蹴りからの乱舞技で一気に仕留めに行くわ。
【ワールドエンド・マキシマム】よ!



 拳を打ち鳴らす音が聞こえる。
そこへすかさず、肉薄したのはバーチャルキャラクターのバトルゲーマー輝夜・レナ(流離のボスハンターReNa・f12146)であった。
「プログラムインストール……さぁ、行くよっ!」
 格闘体データを自らにインストールし、爆発的に強さを増した輝夜は紫の長い髪を風に流し、華麗な動きで敵を殴りつける。セリエルフィナと輝夜、美しき2人の輪舞曲が、黒き獣を中心に炎に包まれた戦場の真ん中で繰り広げられる。
 語る声が聞こえる。
「災いを招くのは大抵、禁忌を犯した者と申します。これは、悪鬼の物語――。」
 それは怪異譚を綴る奇書のヤドリガミ、死霊術士化野・那由他(書物のヤドリガミ・f01201)が語る物語であった。化野が語り、身に宿らせたのは妖すら使役する悪鬼。降魔化身法――妖しき力をその身に宿らせ、力を増す禁忌の術である。物語を語り終えると、化野の白き肌に宿らせた瞳が赤々と力を持って見開かれる。

――今でもこの世界が好きだからだろ? 今を生きる命が未来を創っていく
 歌は続いていた。
 木霊の奏でるギター・ワイルドウィンドが戦場を鼓舞するように、ビートを刻む。
「よしっ、完成だ。」
 金色の長い髪と髭を揺らし、ドワーフのマジックナイトラッセル・ベイ(ドワーフのルーン鍛冶師・f12407)は自らが討った相棒、炎剣フラムにポーションを用いて剣に宿る炎の力を強化していく。
「こいつもだ、受け取れ。」
「ありがとう。流石ラッセルさん、良い仕事です。」
 同じ様に傍らに立つ仲間の武器、彗星の杖に氷と大地の力を付与したラッセルは、ケットシーのシーフロア・ネコンティ(泥棒ねこ・f05423)に銀に輝く杖をわたす。
 ラッセルから強化の施された杖を受け取ったロアは、白銀に輝く杖を構えると仲間達の後方で術式の詠唱を始める。ロアが杖を動かす度に、杖に宿りし彗星の力が青く尾を引きながら流れていく。
「では、始めるか。開戦だ。呼び起こせ、グラウンド!」
 ラッセルはロアが術式の詠唱に入ったのを見届けると、自らのユーベルコードにより大地の加護を受けたトーテムポールを召喚する。グラウンドトーテムと呼ばれたそれが戦場に現れると、猟兵達の武装に大いなる地の力が宿り強化が施されていく。
 一連の支援を終えたラッセルは炎剣フラムを携えると、自らもセリエルフィナと輝夜が踊る戦いの輪に加わっていった。

――未来は人の命の重みなんだ 命の灯を消させやしない
 前衛で凶獣を翻弄する、セリエルフィナと輝夜とラッセル。後衛で支援を行う化野と術式を展開するロア、仲間を鼓舞する木霊。彼らの見事な連携に黒き獣は押され続けていた。
「今日はバフもあるから気が楽だわ。おもいっきりやれるわね!」
 獣に肉薄した輝夜の高速の拳が脇腹にめり込み、堪らず凶獣は叫びを上げる。反撃にと後方の猟兵へと向けられようとした凶獣の突進も輝夜に顎を蹴り上げられ動きを阻まれてしまう。
 そこへ放たれたのは黒き炎。化野が語る呪詛に炎の力を宿らせ作り出された妖の鬼火。化野が呪詛を語り続けることで、彼女の周囲に無数の炎が生じ、前衛で戦う仲間達を援護するように放たれていく。
「かはっ……。」
 その身に宿らせた悪鬼の力が化野の身を蝕み、口から吐血する。それでも、彼女は語りを止めない。化野の呪いを帯びた炎が凶獣に、植物人間にと放たれ、オブリビオン達は思うように行動が出来ない。彼女の放つ援護により、前に立つ仲間は全力で戦える。そのことが分かっているから、彼女の語るのを止めない。強き意志をその瞳に宿らせ、再び力強く物語を紡ぎ上げていく。
 化野の支援を受け、隙の生じた獣にめがけて跳び上がったセリエルフィナは体を竜巻のようにスピンさせながら連続して回し蹴りを放ち、そのまま空中を蹴るように移動し黒き獣を巻き込み続ける。それは正に竜巻の如き激しい攻撃であった。
「今だよ輝夜さん!」
「OK、いくわよセリエルフィナ!」
 セリエルフィナに応じた輝夜は竜巻の如き激しい蹴りに翻弄される獣に向けて、真っ直ぐに跳び蹴りを放つ。獣の顔面に炸裂した輝夜のキックから、続けて必殺の乱打が放たれる。
「これで、どうだ!」
 セリエルフィナと輝夜の連係攻撃が見事に凶獣に決まる。トドメとばかりに放たれた、猛攻に堪らず、黒き獣はその膝をつく。

――この世界を想うアンタの為にアンタを倒すぜ
 木霊の紡ぐ歌が、最後の章に差し掛かる。
 ロアは今一度、銀の杖を以って空に彗星の軌跡を描くと、詠唱の最後の節にを唱える。
「空を巡る氷の精霊よ、彼方へ広がる大地の精霊よ、過去より生まれし不逞の輩を、その奇跡をもって排斥せよ!!」
 ロアがユーベルコードの詠唱を終えると、村人達のいる丘の斜面より氷と大地の力を得た、雪崩が起こり、その本流に巻き込まれた戦場は、炎も植物人間も黒き凶獣も、一切合切を飲み込んでいった。
 静寂の訪れた戦場にはもう数体ほどしか残っていなかった植物人間達がその身を凍らせていた。
「雌雄は決したか、一気に仕留めさせて貰う。」
 炎剣フラムを携えたラッセルは凍りつく植物人間達をその炎を以てなぎ払い、浄化していく。
 ラッセルの言葉通り、勝負もう付いていた猟兵達の猛攻に力尽き、ロアの大魔法にその身を凍らせた黒い獣はそれでも、猟兵達に立ち向かおうとその身を震わせる。そこへ歩み寄ったのは、これまで仲間達を鼓舞し続けていた木霊であった。
「森の主であるアンタの気持ちもあるだろう。だが、オブリビオンなら狩るぜ!」
 木霊の最後の言葉とともに、地獄の炎纏う焔摩天が振るわれ、黒き凶獣――ヒューレイオンはその身を砕けさせていった。

●未来に繋がるお伽噺
 昔々、この村が恐ろしい獣に襲われました。
 村人達を助けたのは勇敢な冒険者達でした。
 彼らは村人達を助け、ある人は村を守るための罠を作り、ある人は村人達を鍛え、獣を迎え撃つ準備をしました。
 そして、風の強い夜に冒険者と村人達は恐ろしい獣と戦いました。
 勝ったのは村人達と冒険者達でした。
 戦った村人達はへとへとでしたが、誰も怪我をしたり、傷ついた人はいませんでした。
 戦いが終わった後、村人達は冒険者に尋ねました。
 どうしてこんな小さな村を貴方達は助けてくれたのですか。
 冒険者達は言いました。
 希望を紡ぎ、未来のために戦うのが私達の使命だと。

 彼らは、自分たちのことを猟兵と呼びました。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月02日


挿絵イラスト