冷静なる戦い【concentration】
●拠点にて
目の前に52枚のカードを裏向きに広げ、そのうち2枚を表にしたかと思えばすぐに裏返す。
てきぱきと何度も繰り返し、条件がそろえば2枚ずつ取り除いていく。そして52枚すべてが片付くまで行っている人物?がいた。
人物?と疑問形なのには理由がある。
それは旧人類のものともキマイラたちのものとも似ても似つかぬ頭部をしていたからだ。具体的に言えばかつてUDCアースに存在した恐竜・ティラノサウルスだ。
ティラノサウルス怪人は嘯き、
「ルールは簡単、手軽に遊べるなんてすばらしいゲームだ。このゲームに勝って勝って勝ちまくり旧人類の、いやこの俺の凄さを広めてやろう!」
●不機嫌なグリモア猟兵
「あーっ!もう、なんでアタシがこんなことしなくちゃいけないわけ?本来ならアンタの役割でしょ?」
不機嫌そうな独り言が少女の口から漏れ出ている。
「まあいいわ、一つ貸しだからね。覚えておきなさいよ。」
一呼吸おいて、すぅーっと息を吸い込み、
「みんなー、聞いてちょうだい。そこ、聞けって言ってんでしょ!」
足をダンッと踏み鳴らしながら、グリモアベースの一角を人差し指で差す。
指を差されたほうにいた猟兵が、呆れた顔をしながら体ごと少女へ向き直した。
「よしよし、聞く準備ができたようで何よりね。
じゃあアタシが今回の事件について説明してあげる。
え、アタシ?そんなにアタシのことが知りたいのー?
仕方ないわね、教えてあげる。アタシはリンネ・ロート、多重人格者のサイキッカー×ウィザードよ。正確に言うと、アタシはリンネの一人格ね。今はあの娘が引っ込んじゃってるから、アタシが代わりに出てきてるの。スリーサイズは・・・って、そんなこと言うわけないじゃない!」
かぁっと顔を赤くしながらも続ける。
「今回事件が起こるのは、キマイラフューチャーのとある場所よ。
内容はかつてUDCアースに存在していたとされるティラノサウルスという恐竜の頭部をした怪人が、カードゲームの勝負を住人へ次々と挑んでくるらしいわ。これだけでも迷惑な話よね。しかも自分が勝利する様子だけを動画にアップ、バズらせることで旧人類及び自分の凄さを広めることを目的としているみたい。
怪人は猟兵相手でも関係なく勝負を挑んでくるでしょうね。と言うよりも猟兵と知った上で勝負を挑み、なおかつ勝利する気でいるわ。なんでって?決まってるじゃない、猟兵って知られたらキマイラフューチャーじゃ超超超超チョー大人気なのよ?
その大人気者をただのゲームでとはいえ、負かせたとなったら動画はミリオンどころの騒ぎじゃないわ。
もし万が一怪人の凄さが伝わって、住人たちが怪人の言うことを素直に聞くようなことになれば最悪ね。きっと怪人が住人たちに向かって命を差し出すように仕向けるでしょう。
そうなる前に拠点へ追い詰めて、やっつけてちょうだい。
簡単な流れとしては、
『1:怪人との勝負に勝ち続けるなどして、怪人がその場を離れたくなるようにする』
『2:逃げる怪人を追って、拠点を突き止める』
『3:拠点まで追い詰められて逆上した怪人をやっつける』
こんなとこね。
カードは怪人か住人の誰かが持ってるものを借りてもいいし、都市の適切な場所を適切なタイミングでコンコンコンってやると出てくるからそれを使ってもいいわよ。
あ、そうそうルールはこれに書いてあるから。」
と、レジュメを取り出す。
その内容を抜粋すると、
『使用するカードはスペード、ハート、クラブ、ダイヤの4種の絵柄マークに分かれている』
『各絵柄マークには13の「ランク」(番号)の札がある、13のランクは、A(エース)、2、3、4、5、6、7、8、9、10、J(ジャック)、Q(クイーン)、K(キング)となっている。特にJ・Q・Kの3つのランクには通常人物の画像が描かれており、まとめて「絵札」と呼ばれる。計4×13=52枚』
『ルールは52枚のカードを使い、よく混ぜた状態で裏向きに伏せていき、重ならないように全部テーブルや床に広げる。まず、何らかの方法で先攻・後攻を決めてスタートする。
プレイヤーは好きな2枚をその場で表に向ける。2枚が同じ数字であればそれらを得ることができ、もう一度プレイできる。2枚が異なる数の場合、カードを元通りに伏せて次のプレイヤーの順番となる。すべてのカードが取られるまで行い、取ったカードの枚数が多いプレイヤーの勝ちとなる』
「さて、1については自信があるなら、勝負を受けてもいいわね。難しいゲームじゃないから、誰でもできるでしょ?
怪人自体はそんなに記憶力よくないし、先攻が好きみたい。多少強引でも勝てるんじゃない?
手先が器用なら、イカサマもありよね。
伏せてあるカードが透けて見えるなら、余裕でしょ。・・・その能力、アタシに使ったら問答無用でぶっ飛ばすわよ。
とにかく、絶対に負けちゃダメ。必ず勝ってよね。僅差でもいいから勝つこと。
あとはそうねー、勝負自体をうやむやにするっていうのはどう?例えばカードを使った手品なんかを見せて、怪人や住人を感心させちゃうの。
もし怪人のカードを借りてたら、いちゃもんつけちゃうとかね。
他にも手段はあるでしょうから、各自のやり方に任せるわ。
2と3については1の状況次第ねー。何度かやり取りを繰り返すうちに負けを認めず、逃げ出すんじゃない?
アタシからの説明は以上よ。
世界も、命も、未来も全ては猟兵のみんなにかかってるのよ。やれることはやってほしいものね。」
強がってはいるが、金色に光るその瞳はうっすらと潤んでいるようだった。
「アタシ一人でできることなんて、たかが知れてるもの
・・・。」
篁佐登花
第六猟兵の参加者様、初めましてこんにちは。
篁・佐登花(たかむら・さとか)と申します。この度、第六猟兵よりマスターを務めさせていただけることになりました。
不束者ではございますが、よろしくお願いいたします。
さて、OPについての補足に参りたいと思います。
●怪人の挑んでくるカードゲームはご覧いただきました通り、トランプゲームの「神経衰弱」です。
ティラノサウルス怪人はゲームが好きなだけで、ゲーム自体は大して強くは(おそらく)ありません。
先攻は怪人からとなり、勝ちさえすれば「なんでもアリ」です。
リプレイはややコメディちっくになるかと思われます。
あまり参考にならないかと思いますが、以上となります。
皆様の自由な発想で、ティラノサウルス怪人を追い込んでください。
ここまで目を通していただきありがとうございます。皆様の第六猟兵ライフを楽しく、喜びに満ちたものにできるよう私も微力ながらお手伝いさせていただきたいと思っております。
幾久しくよろしくお願いいたします。
第1章 冒険
『ライバル怪人の挑戦!』
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POW : 勝負を正面から受けて立つ
SPD : ワザを編み出す、有利になる情報を掴む
WIZ : 知恵や口車で勝負自体をうやむやにする
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和久津・薫風
(フォルティス口調でプレイング)
『何ともちんけな相手だが薫風の勇気を試す相手には持って来いだろう』
「え、ボクいやなんだけど?」
嫌がる共生者に鞭打ってティラノ怪人に正面から勝負を挑む
WIZ選択
私と薫風の二人分の記憶力で勝負だ
卑怯?いや、負けない為の選択をする事も勇気なのだ
先手は譲って相手の開けたカードも記憶する
神経衰弱の鉄則に則り
・取れるカードはすぐ取る
・開けられていないカードから開ける
を徹底する
薫風はこういうゲームは得意だろう?
適度に相手を持ち上げつつこちらが勝ったら挑発して再戦も受ける
『お前では相手にならん。もっと手練れはいないのか?』
逃げたくなるように言葉攻めだ
どうした薫風、青い顔をして?
都市の一角に、ここキマイラフューチャーにおいても一際異様な生物が現れた。
頭部はかつてUDCアースに存在した恐竜・ティラノサウルスに酷似している。ティラノサウルス怪人だ。
しかし異様なのはそこだけではない。なぜか?
見た目の恐ろしさをよそに、カードゲームの対戦相手を求めていたからだ。
「俺と勝負しようぜ!なあに、ルールは簡単。順番にカードを二枚ずつめくって、同じ数字なら自分の取り札にできる。これを52枚のカード全部がなくなるまで続けるだけさ!」
トランプゲームにおける『神経衰弱』をやろうと言うのだ。
さあ、さあ、と住人たちに詰め寄る。
困り果てる住人たちと怪人の間に一人の少年が割って入った。
その出で立ちはゴーグルを装着しただけの普通の少年のように見える。ただし、装着しただけのゴーグルは普通ではない。ゴーグルには名前があった、『走り続ける者のフォルティス』という名前が。
フォルティスは和久津・薫風(創世神器フォルティス・f04231)に偶然拾われたヒーローマスクだったのである。
そして第一声に
「何ともちんけな相手だが薫風の勇気を試す相手には持って来いだろう」
と。これは薫風の口から出たものに聞こえたが、実際に話しているのはフォルティスだ。薫風少年本人は(え、ボクいやなんだけど本当に戦うの?)と内心で思っていた。
これに勘違いを起こした怪人は意外な様子で答える。
「いい度胸してるな、ガキめ。ん?よく見たら猟兵か。これはちょうどいいところに来てくれた!ここの住人達相手じゃあ動画にしてもイマイチインパクトに欠けると思っていたんだ。お前に勝つ様子をアップすれば、バズること間違いなし!
そうすれば俺の、俺達の凄さが伝わりやすいはず。もう、待ったはナシだぜ?」
そんなやり取りをしているうちに、いつの間にやらギャラリーが十重二十重に囲んでいた。
薫風もこうなっては正面から勝負を挑む他に手はない。賽は投げられた、いやカードは並べられた。
よく混ぜたカードを整然と並べた怪人が言う。
「先手必勝!俺からでいいよな?」
薫風はこくりと頷く。
どうやらこの怪人、ルールは知っていても頭はあまりよくないらしい。他のゲームならいざ知らず、神経衰弱においては先手不利ということを考えなかったようだ。
先手の怪人は2枚カードをめくる。どちらも違う数字であった。
そして手番は薫風に移る。
ここまでに薫風とフォルティスは心の中で作戦を立てていた。
フォルティス(私と薫風の二人分の記憶力で勝負だ)
薫風(それは卑怯だよ?)
フォルティス(卑怯?いや、負けない為の選択をする事も勇気なのだ)
薫風(そう、だね。分かったよ)
フォルティス(さて、薫風はこういうゲームは得意だろう?どうしたら勝てるか自分で考えてみろ)
薫風(えーと神経衰弱の鉄則に則るなら、取れるカードはすぐ取る、開けられていないカードから開けることを徹底する?)
フォルティス(まあそんなところだろう。だが甘い、もう一つ策を授けてやろう)
薫風(どんな?)
フォルティス(最初に決めただろう、二人分の記憶力で勝負だと。都合のいいことにカードは整然と並べられている。だから…)
衆目を集めた緊張感の中、薫風の手によってカードが2枚めくられる。どちらも違う数字だった。先に怪人がめくったカードとも違った。
2回目の怪人の手番、1枚目はまだ見えていない数字だった。が、2枚目はすでに見えている数字、Aだった。
悔しがる怪人。胸をなでおろす心地の薫風。
2回目の薫風の手番、すかさず先ほど見えたAをめくる。その瞬間、周囲がざわざわとしはじめる。
周囲のざわめきに、2枚目をめくろうとする手に思わず力が入る薫風。
見えた数字は…A!
「くっ、1組取ったところでいい気になるんじゃあない!まだカードはこれだけあるんだからな!」
と、悔しがるやら強がるやらの怪人。
続けて薫風がカードをめくっていくが、これはどちらも数字が違った。しかも片方はすでに見えている数字だ。
手番は怪人の手に移り、勢いよくカードをめくっていく。が、ダメ。首を傾げる怪人。実は2枚目にめくったカードが左隣のカードなら取れていたのだ。
薫風の手番、当たり前のようにカードの数字が揃っていた。
一事が万事、このようにゲームが進んでいく。当たり前である、薫風とフォルティスが覚えているカードは右半分と左半分。つまり、覚えているカードの量が半分だからだ。
これがフォルティスが薫風に与えた一策。そして、2人分の記憶力を活かした『勝利の方程式』であった。
結果は怪人10対薫風&フォルティス42。
周りからは大歓声だ。
負けた怪人に対してフォルティスは適度に相手を持ち上げつつ挑発。
「私達相手によくやったほうなんじゃないか?本当なら完勝するつもりだったのだが。」
怪人がこれに答えて、
「ゴーグルが本体か!道理で勘のいいガキだと思ったが、お前が入れ知恵したな!おのれ、そうと分かればもう1度勝負だ!次こそは同じようにはいかんぞ!」
さらにフォルティスが答える。
「お前では相手にならん。もっと手練れはいないのか?」
とさらに言葉で攻め立てる。怪人は怒りと恥とで顔が真っ赤だ。
逆に勝ったはずの薫風は顔を真っ青にしている。
「どうした薫風?薫風は勝ったのだ、ヒーローなら堂々としていろ。」
フォルティスは薫風の心を図らずにヒーローとしての態度を述べるのみであった。
大成功
🔵🔵🔵
大豪傑・麗刃
当然真っ向勝負なのだ!
麗ちゃんの実力を見せつけてやるのだ!
基本は、めくられたカードをしっかり覚えておき、自分のめくったカードが既にめくられたカードと同じ数なら確実に取る。
自分のめくったカードがこれまで出ていない数だった場合。
最初は普通に、まだめくられていないカードをめくる。
その後は、相手の記憶力次第。
相手の記憶力が悪く、めくられたカードを覚えていないなら、以降も同様。
相手がめくられたカードを覚えているようなら、相手に情報を与えないよう、自分や相手が既にめくったカードをあえてめくる事もする。
相手に伏せカードの情報を与えず、自分は相手のめくったカードから一方的に情報を得ると。
当然真っ向勝負なのだ!
麗ちゃんの実力を見せつけてやるのだ!
基本は、めくられたカードをしっかり覚えておき、自分のめくったカードが既にめくられたカードと同じ数なら確実に取る。
自分のめくったカードがこれまで出ていない数だった場合。
最初は普通に、まだめくられていないカードをめくる。
その後は、相手の記憶力次第。
相手の記憶力が悪く、めくられたカードを覚えていないなら、以降も同様。
相手がめくられたカードを覚えているようなら、相手に情報を与えないよう、自分や相手が既にめくったカードをあえてめくる事もする。
相手に伏せカードの情報を与えず、自分は相手のめくったカードから一方的に情報を得ると。
住人たちが猟兵の見事な勝利に大歓声を上げていると
「おのれ、おのれ、おのれーッ!旧人類の文化普及者たるこの俺が、こんな簡単に負けるはずがなーい!そう、相手が悪かったんだ。2対1なら負けて当然、正々堂々1対1で勝負しろーッ!」
ティラノサウルス怪人は自分に言い聞かせるかの如く叫んだ。
そうして、諦め悪く次の対戦者を求め始める。
観衆の中を割って現れたのは大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)。
開口一番に
「そなコトゆー子は、麗ちゃんが相手になってやるじょ!!当然真っ向勝負なのだ!
麗ちゃんの実力を見せつけてやるのだ!」
と、強気かつ妙なハイテンションっぷり。これには怪人も住人もやや引き気味だ。
ただしそこはやはり怪人、気を取り直し
「む、また猟兵か。だが次こそは勝ーつ!もちろん先攻は俺だ!」
こうして次の勝負が始まった。
先攻の怪人一手目、めくったカードは2枚とも違う数字。
後攻、麗刃。怪人がめくったカードとは違うカードをめくる。1枚目が見えていない数字だったので、素直に2枚目もまだめくられていない場所をめくっていく。これもまだ見えていない数字だった。
怪人の二手目、1枚目はまだ開いていない場所をめくったところ7であった。これはさっき麗刃が2枚目に見せた数字だ。すかさず取りに行き、1組目の7は怪人の手に渡った。
「ふふん、だから言っただろう。次こそは勝つと。」
怪人はすでに勝った気でいる。だが勝負は始まったばかり、カードは残り50枚もある。麗刃は慌てず、マイペースだ。
そして何順もしているうちに、怪人の記憶力は怪しくなってくる。1枚目のカードをすでに見えている所をめくり始めた。逆に麗刃はというと、限られた範囲にあるめくられたカードをしっかり覚えておき、確実に取れるカードを取って行った。
中盤も過ぎる頃には怪人に情報を与えないよう、自分や怪人がすでにめくったカードをあえてめくる事も麗刃はしていった。こうなると怪人としては、ますます混乱していく。
子供っぽい麗刃だが、伏せカードの情報を与えず、自分は相手のめくったカードから一方的に情報を得るという狡猾さも見せていた。
結果は…怪人18対麗刃34、麗刃の勝利だ。
「当然の勝利だな」
と通常の口調で宣言する麗刃。
「むむむ、おのれー!最初の妙なハイテンションっぷりといい、子供っぽいところは、俺の油断を誘うためだったな!だが、まだ諦めん!猟兵相手に勝ち、俺の動画を必ずバズらせてやる!」
敗者である怪人の言に耳を貸すものなど、少なくともこの場には存在しなかった。
成功
🔵🔵🔴
空飛・空牙
神経衰弱かー
同じトランプ二組揃えて持ってくか
SPD利用
当然のようにイカサマすんぜ
「次、俺とやろうぜ?」
先攻の相手に捲られたカードだけ覚えて、それを捲る
後は捲るふりして別のトランプとすり替える
当然数字の揃った状態
後攻一手目で全回収すんぜ
「おっと、ついてるな。大当たりだ」
けらけら笑いながら
イカサマを疑われたら
「それが? ダメなんてレギュレーションなかったろ?」
堂々と開き直る
「だいたい、イカサマのないカードゲームなんてカードゲームじゃねぇだろ。ただの運ゲーじゃねぇか。たかがゲームにも手を尽くせねぇのか、お前は」
これ、バレたらどうするってドキドキ感楽しむゲームだろ?
途中からWIZな気もするが気にしない
ギャラリーの関心は猟兵の凄さに大きく傾いていた。
ティラノサウルス怪人は納得いかない様子だ。そして内心焦り始めていた。
(このままでは動画を編集・配信しても猟兵が目立つばかりだ。マズイ、何とか巻き返さなければ!)
そんな様子を楽し気に眺めている猟兵がいた。空飛・空牙(蒼天疾駆の自由人・f04480)だ。彼は焦る怪人を見て思っていた。
(神経衰弱かー、あんなのが相手ならチョロいな。当然のようにイカサマすんぜ。)
彼は裏面が同一な2つのデッキを用意した。
「次、俺とやろうぜ?」
空飛のほうから怪人へと声をかけた。逆に勝負を挑まれた形になった怪人は
「もちろん、望むところだ!」
と二つ返事でよく混ぜたカードを並べ始めた。
しかし、空飛に遮られる。
「俺の持ってきたデッキでやろうぜ、お前のデッキは使い込まれているようだからな。この真新しいデッキでやるほうが公平なんじゃねぇの?」
そう言って怪人に一つのデッキを放り投げる。デッキをキャッチした怪人はむむむ、と唸り
「いいだろう、お前のデッキでやってやる。ただし、シャッフルも先攻も俺がやらせてもらうからな。」
改めてカードはよく混ぜられ、並べられた。
先攻、怪人の一手目。めくられたカードは3とQであった。空飛はその2枚を注視していた。
後攻、空飛の一手目。1枚目にめくったカードは怪人が一手目にめくったQ。ギャラリーがざわつき始める。しかし空飛は意に介さない、どころか青い瞳がギラついている。
2枚目に空飛が手をかけたのは開いていないカードだ。これでペアになるのは、単純計算なら52-2=50分の3という確率だ。全く当たらないとは言えないが、まず難しいだろう。
が、見えた数字は……Q!
見事ペアを引き当てたことで、ギャラリーは思わず拍手を挙げる。
続けて手をかけたのは、またもや怪人が見せた3。これをさも当然のように、ペアにしてしまった。ギャラリーからはさらに大きな拍手。
怪人はといえば、(まぐれだ、絶対そうに決まっている)と信じ込んでしまっている。空飛は
「おっと、ついてるな。大当たりだ」
けらけらと笑いながら、適当にカードをめくっていく。10、K、8、4、2組目のQ……。どれもペアにしてしまった。
これには怪人も唖然とするばかり。ギャラリーは空飛の凄さに拍手を起こす手を止めてしまった。
そうこうするうちに13組のカードが空飛の手元に集まった。もちろんこれは偶然の産物ではない。全て空飛が隠し持っていたもう一組のカードとすり替えられていたのだ。怪人と大勢のギャラリーの前で難なくすり替えをやってのけた空飛の技術、そして度胸はすさまじい。
後攻一手目にして、全てのカードは空飛の手に収まった。
怪人はわなわなと体を揺さぶり
「イ、イカサマだ!ノーカン!ノーカンだ!」
と叫び始めた。
「それが? ダメなんてレギュレーションなかったろ?今さら遅いぜ」
空飛は堂々と開き直る。
「だいたい、イカサマのないカードゲームなんてつまんねぇだろ。ただの運ゲーじゃねぇか。バレたらどうするって緊張感楽しむのがゲームだろ?動画をバズらせたいんなら手を尽くせねぇのか、お前は」
空飛にこう言われても、うぐぐッとしか怪人は声が出せなかった。
大成功
🔵🔵🔵
リダン・ムグルエギ
準備を完璧に整えれば…すぐに終わらせられるんじゃない?
だって、アタシ記憶力自信ないもの、面倒くさいわ
「あ、次のお相手してもいいかしら?
なんて言いながら相手の視界に入っていき、ユーベルコードを使うわ
「目に映るトランプの数字が全部4」に見える……そんな感じで怪人の視覚操作を試みるの
催眠術は得意なのよ
最初の4枚まではサクサク
次で異常に怪人さんは気づくでしょうけど、もう遅いわ
最初のペアを取った時点でギャラリーは異常に気付くと思うもの
録画もされてるしね
「大丈夫?負けが込んでて、精神的に参ってるんじゃないかしら?
アタシ自身は一枚も取らずに「反則負け」させて追い込む
それがアタシのデザインよ
アドリブは大歓迎よ
一度は拍手の手を止めてしまったギャラリーたち。だが気を取り直した一人が拍手を始めると、それはもう手が付けられないほどの大騒ぎ。
しかし、ティラノサウルス怪人は未だに負けを認めない。これが己の実力ではない、相手が悪かった、運が悪かった、本調子じゃないなどと喚いていた。
そんな見苦しい姿をさらす怪人の前に、リダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)が現れた。
彼女は(準備を完璧に整えれば…すぐに終わらせられるんじゃない?だって、アタシ記憶力自信ないもの、面倒くさいわ)と考えていた。考えてはいたが、彼女の本質は『楽をする為の苦労が大好き』なタイプ、準備に手抜かりはない。
「あ、次のお相手してもいいかしら?」
などと言いながら怪人の視界に入っていき、ユーベルコード『ゴートリック・ファウスト』を使う。普段から催眠術は得意な彼女の術中に怪人は見事に陥ってしまっていた。
勝負となっては冷静さを取り戻す怪人。先の勝負同様にカードをシャッフルし、整然と並べていった。
「先攻は俺だ、これだけは譲れん!」
あくまで先手を主張する怪人。リダンはどうぞ、と促すのみ。
では、と意気込みカードを2枚のカードをめくる。そしてガッツポーズをしながら
「やはり今までは運が悪かっただけだ、今回は幸先がいい!4のペアが一発で手に入ったんだからな!」
この怪人の言動に、ギャラリー全員がポカーンとなる。
「続けていくぞ!」
とさらに2枚のカードを勢い猛にめくっていく。
「そら見たことか、ツキは俺にきている!4は全部もらってしまったぞ。」
言いつつ5枚目のカードに手をかけ、めくってしまった。怪人のツキはすでにゼロだ。見えた数字は……4!ただし、そう見えているのは怪人だけである。
「バ、バカな!5枚目の4があるはずがない!どういうことだ、イカサマか!?」
そうではない、リダンの『衣装に仕込んだ暗示を見た』怪人は『目に映るトランプの数字が全部4』という視覚操作を受けてしまっていた。
怪人がめくったカードはリダンとギャラリーの目には全てバラバラの数字だ。怪人の用意していた機材にもその様子がしっかりと収められている。もう手遅れだ。
怪人は哀れ、ペアを作っていないにもかかわらず3手番を連続で行ってしまい反則負けとなってしまった。これがリダンの作戦(デザイン)であった。
がっくりとうなだれる怪人に対してリダンは
「大丈夫?負けが込んでて、精神的に参ってるんじゃないかしら?」
もう怪人には返す言葉がなかった。
「あーあ、面倒臭いわ。見た時点で、戦う前に勝負は決まってるのに」
猟兵の、リダンの凄さをまざまざと目にしたギャラリーは拍手喝采、大声援を浴びせていた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 冒険
『怪人を追え!』
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POW : とにかく全力で追いかける
SPD : ルートを読んで事前に罠を仕掛けておく
WIZ : 話しかけて注意をひく
👑11
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ティラノサウルス怪人はもう猟兵と勝負する気など失くしてしまっていた。それでも怪人は負けを認める気にはなれず、自分の用意してきた機材を片付けて拠点へ逃げ帰ろうとしていた。
機材を片付けるのは自分の負けた姿を流出させないためだ。
怪人は(ダメだ、動画を全て早く処分してしまわなければ!しかも誰の目にもつかない場所で!)と口には出さず考えていた。さらには今回の経験も踏まえて、再起を期する気だ。
怪人を始末しなければ、再度このような事件を起こすだろう。しかし、この場で始末するわけにはいかない。ギャラリーが十重二十重に囲んでいる中で戦闘行為をしようものなら少なからず犠牲者が出てしまうだろう。
ならば手段は一つ、住人たちのいない場所で始末すればよい。それに適した場所は怪人の拠点がいいだろう。
まずは怪人を追いかけて、拠点を突き止めることに専念したほうがよさそうだ。
自慢の脚力や乗り物で追いかける。怪人の挙動などから逃げ道を予想し、その先で策を講じておく。話しかけるなどして注意をひいて逃げ足を鈍らせる。
そうこうするうちに怪人の拠点までたどり着くことだろうことは想像に難くはない。
エメラ・アーヴェスピア
あら、追いかけっこ…と言う訳ではなさそうね
あの怪人が目標で、追いかけている猟兵の同僚は…あの集団ね
私も走って追いかけるのは違うわね
なら、私が出来る事で援護射撃してあげましょうか
モノクルからコンピュータを起動
ドローンで怪人を追跡
そして…こんな町なら監視カメラは沢山あるでしょう。しっかりと使われているかは兎も角、ね
それをハッキングして場所をドローンからの情報込で特定
地図上に表示して…と
「唐突だけど現在逃走中の怪人の現在地を逐一この端末に表示するわ、追跡に役立てて頂戴。」
と追跡している猟兵達に連絡(ハッキング?)するわよ
使えそうな技能は【ハッキング】【情報収集】【地形の利用】辺りかしら?
レトロ・ブラウン
SPD選択
「オャオャ。機材はただ壊すだけじゃ全くデータは消えナイものデスヨ」
拠点はどこだろう?多分怪人が向かった方角の、そのうち戦闘やら何やらで騒がしくなる建物でしょう。探す必要はないですし、怪人と直接会う必要もありません。用があるのは機材ですから。
データを消そうが物理的に壊そうが、上書きしない限りデータの情報は本当には消えません。上書き可能になるだけでそこにはたしかに情報があります。
スクラップビルダーとしての技術で最低限記録を抽出できる程度に修理し、電脳ゴーグルで記録を抽出、ネットに放流。
怪人がもう勘弁してくれと音を上げるまで行く先々の映像機器で再生し続けます。
大豪傑・麗刃
とりま相手の拠点まで行ってから戦闘しかけるということで。
基本は体力勝負でダッシュで追いかけるのだ!
しかし相手は恐竜。パワーとスピードはありそうなのだ。
だが、わたしにもパワーとスピードを上げる方策はあるのだ。
疲れてきた時は……あえて休む!
路上で思いっきり横にになり……ZZZ
(そこまでおもいっきりくつろぐ奴がいるか~<誰かのツッコミ)
……痛!
そゆコトすゆ子は、麗ちゃんぶつじょ!!
ネタ的な行動をとり、あえて相手を逃がしかねない不利な行動をとる事で身体能力を強化する。
これがわたしの『変態的衝動』である。
あとは体力勝負で相手の拠点まで追いかけるのみ。
和久津・薫風
★アドリブOK
★フォルティス口調
「あ、諦めて帰ってくれるみたいだね」
『何を言っている薫風、相手をここで逃がしては意味がないだろう?』
とは言う物のここでは周囲への被害の恐れもある
確実に追い込もうか
★SPD使用
薫風は疑問に思っている事がいくつもあるだろう
まぁ慌てるな
まずは相手を泳がす
目的は十中八九動画の処分だろう
出来ればすぐにでも消したいだろうから逃げ込みそうな場所に先回りする
この宇宙バイクを使ってな
爆音で煽りながら先回りして待ち伏せアジトに戻らないと安心できない様に思い込ませる
薫風は宇宙バイクには初乗りだが心配するな
私が憑いている
どの様なビークルも乗りこなしてこその正義の味方だ
さぁ勇気を示す時だ
ティラノサウルス怪人は持ち込んだ撮影機材を手早くまとめると、ギャラリーを押しのけるようにしてその場を立ち去ろうとする。自らの拠点とする場所まで逃げ帰るためだ。
都市化されているといっても住人たちが近づかない地域もあった。どうやらそこに目を付けて拠点としているようだった。
怪人はそこで動画データの完全消去、そしてほとぼりが冷めた頃に再活動する気でいた。ここで逃がしては再度、面倒なことになる。猟兵達にとって重要なのは、騒ぎを起こす怪人の完全始末だ。動画データではない。なぜならそんな動画データなど流出させなくても、ここキマイラフューチャーでは猟兵は大人気なのだから。
まず最初に怪人の後をつけ始めたのは大豪傑・麗刃だ。彼は(とりま相手の拠点まで行ってから戦闘しかけるということで、基本は体力勝負でダッシュで追いかけるのだ!)と考えながら、得意の忍び足で後をつけ始める。怪人は麗刃が後をつけ始めることに気づいていないようだった。
次に続くのは和久津・薫風とそのゴーグルであるヒーローマスク、フォルティスだ。
「あ、諦めて帰ってくれるみたいだね」
と薫風。
「何を言っている薫風、相手をここで逃がしては意味がないだろう?」
とフォルティス。さらに
「とは言う物のここでは周囲への被害の恐れもある、確実に拠点へ追い込もうか」
そして『ゴッドスピードライド』を発動。装備する宇宙バイクを変形させ騎乗し、移動速度を増強する。
しかし薫風は情けない表情で、宇宙バイクを操縦できるか心配している。そんな薫風へフォルティスは
「初乗りだが心配するな、私が憑いている。どの様なビークルも乗りこなしてこその正義の味方だ。さぁ勇気を示す時だ」
と薫風を励ます。薫風はそれに応え
「分かった、ボクやるよ。フォルティスの騎乗スキルがあれば大丈夫だよね」
と宇宙バイクに跨った。
さて2人?が怪人を追いかけはじめてものんびりとしている猟兵が2人いた。エメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)とレトロ・ブラウンだ。
エメラは(あの怪人が目標で、追いかけている猟兵の同僚は……あの2人ね。でも、私も走って追いかけるのは違うわね。なら、私が出来る事で援護射撃してあげましょうか)と考えて1いた。エメラは「電脳モノクル」でコンピュータと「魔導蒸気ドローン」を起動。ドローンで怪人を追跡させ、
「こんな町なら監視カメラは沢山あるでしょう。しっかりと使われているかは兎も角、ね」とハッキングによって情報収集を行い、怪人の位置をドローンからの情報込で特定。
さらに町中にあるモニターへ地図を表示させ、
「唐突だけど現在逃走中の怪人の現在地を逐一モニターに表示するわ、追跡に役立てて頂戴」
とこれも町中にあったスピーカーを通じて他の猟兵へ連絡し始めた。
レトロはというと、「万能ゴーグル・バックドア職人君2号」を使って、ハッキングを試みていた。ハッキング先は怪人の持つ機材類だ。これにアクセスし、動画データをダウンロードしようというのだ。この試みは成功し、データを抽出。ネットの海へと放流された。もちろんこれも街中のモニターへと映し出された。
2人のハッキングと情報収集により怪人はどこへ行っても、猟兵に居場所が割れることになってしまった。
怪人はというと、流石に街中へ自分の居場所がリアルタイムに記された地図と情けない敗北姿が溢れたことによって猟兵の動きを察知した。
「マズい!マズいぞ、これは。猟兵が追って来ている、どうにかして撒かなければ!」
そう言うと怪人は逃げ足のスピードを上げはじめる。しかし、後ろにはすでに麗刃と薫風&フォルティスが目の届く範囲で追って来ていた。
オマケにエメラの送る地図情報と、レトロの流出させた動画が映るモニターを破壊しながらということもあって中々スピードが上がらない。
だが、しばらくすると徒歩の麗刃は離されはじめていく。
「むう相手は恐竜、パワーとスピードはありそうなのだ。
だが、わたしにもパワーとスピードを上げる方策はあるのだ。疲れてきた時は……あえて休む!」
言うなり麗刃は『変態的衝動』を発揮し、路上で思いっきり横になりはじめてしまった。zzz……と寝息まで聞こえてきそうな勢いである。
それを目にしたフォルティスは薫風に宇宙バイクを麗刃に寄せさせて、
「そこまでおもいっきりくつろぐ奴がいるか!」
と突っ込み、なんと弾き飛ばしてしまった!
「痛ッ!そゆコトすゆ子は、麗ちゃんぶつじょ!!」
言われたところで、フォルティスは何食わぬ顔で薫風に怪人を追わせ爆音を響かせて煽っていく。怪人としては不安で堪らない。先回りして待ち伏せすることは叶わなかったが、順調に怪人について行っている。
そしてこれで麗刃も身体能力が強化され、怪人との距離を縮めた。あとは体力の続く限り拠点へ向かって逃げる怪人を追いかけ回すのみ。
これを遠隔操作のカメラで見ていたエメラとレトロは大笑い。特にレトロなどは40年は笑顔で痛めている頬をさらに痛めていた。
成功
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ユリウス・アルバート
エメラさんの指示に薫風さんの爆音
あぁ何て言うか大体怪人の位置は把握できそうですねぇ
地図付きとは至れり尽くせりですねぇ
それではお仕事を始めるとしましょうか
『武器を掲げよ』
何故騎士を呼んだのか、位置がわかってますからねぇ
ある程度好きに逃げられても確りと追い詰められるようにローラー戦術を使わせてもらいましょう
左翼と右翼に六人ずつ、ターゲットを包囲するように動きなさい
残り六人は私に随伴、適時クロスボウで攻撃して相手の体力を削りなさい
但し対象や民間人には当てないようにして下さい
彼等は騎士と呼んでますけど只の亡霊
見た目通りに鈍重だとは思わない事ですね、此処で追い詰めてきっちりきっかり型に嵌めてあげましょう
ティラノサウルス怪人の居場所は情けない敗北動画と同時に配信されている、リアルタイムに記された地図が町中に溢れ出していた。
しかし大まかな位置は掴めど、怪人の脚は一向に留まることを知らない。ここまで追い詰められれば、頭のよろしくない怪人でも少しは頭を使うらしい。北へ向かったかと思えば南に、西へ向かったかと思えば東にと目まぐるしく動いている。そのうちに遠隔操作のカメラに映ることがなくなってしまった。
そこへ現れた一人の猟兵、ユリウス・アルバート(ダンピールの咎人殺し・f04166)はこう考えていた。(先ほどまでの動き、それに爆音。あぁ、何と言うか大体怪人の位置は把握できそうですねぇ。おまけに地図付きとは至れり尽くせりですねぇ)
彼は今でこそとある場所で、何時も柔和な笑みを浮かべて落ち着いた口調で話す秘書を務めてはいる。が、元はと言えばそんな生易しい性質ではない。思うがまま、好きに生きてきた冒険野郎なのだ。伊達に猟兵として世界を回ってきていたわけではない。その経験を活かし、怪人の居場所すなわち拠点の場所を計っていた。
「それではお仕事を始めるとしましょうか『武器を掲げよ』」
彼が号令をかけるなり、どこからともなく彼に仕える亡霊騎士団が呼び出される。
その数は合計で18人。ある程度好きに逃げられても確りと追い詰められるようにローラー戦術を用いるようだ。
ユリウスが身振り手振りをすると左右に6人ずつ展開、ターゲットを包囲するように動き始める。
「残り六人は私に随伴、適時クロスボウで攻撃して見つけ次第相手の体力を削りなさい。但し対象や民間人には当てないようにして下さい」
とユリウスは亡霊騎士団に厳命を下した。
最初に怪人を見つけ出したのは右翼側の6人だった。6人の亡霊騎士はユリウスの厳命に従い、怪人へめがけてクロスボウから矢を放っていく。
「な、なんだこいつらは!?一体どこから現れたのだ!?忌々しい猟兵を撒いたと思えばおかしなのが現れやがった、これも猟兵の仕業か!」
怪人は堪らず反対方向へ来げ出す。しかしその先には包囲網を狭めていた、左翼の亡霊騎士6人と出くわした。今度もクロスボウの矢が怪人を襲う。
「げぇッ!こっちにもいやがる!」
怪人はさらに踵を巡らす。もう何が何やら分かっていない、這う這うの体で逃げた先にはまたもや6人の亡霊騎士。さらには主であるユリウスの姿まである。闇の呪詛が籠められたマントを翻す彼から丁寧な口調で告げられる。
「チェックです、あなたが逃げ込む先はあちらではありませんか?」
ユリウスの言う先にしか逃げ道は残されていない。そしてその先はまさしく怪人の拠点であった。さらにユリウスは続ける。
「あなたは見誤ったんですよ。彼等は騎士と呼んでますけど只の亡霊。見た目通りに鈍重だとは思わない事ですね、此処で追い詰めてきっちりきっかり型に嵌めてあげましょう」
冷静さを失った怪人にはすでに何も耳に入っていない。逆に冷静に事を進めた猟兵達は、見事に怪人を拠点へと追い詰めることに成功した。
大成功
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第3章 ボス戦
『ティラノサウルス怪人』
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POW : ザウルスモード
【巨大なティラノザウルス】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : ティラノクロー
【鋭く長い爪】による素早い一撃を放つ。また、【装甲をパージする】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : 学説バリエーション
対象の攻撃を軽減する【羽毛モード】に変身しつつ、【体から生えた鋭く尖った針のような羽毛】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑17
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冷静に様々な方法を駆使した猟兵の活躍もあり、ティラノサウルス怪人をとうとう拠点まで追い詰めることに成功した。
怪人のほうはというとすでに冷静さを失い、本性を現し始めていた。キマイラ達の目もないことで旧人類の文化によって猟兵を負かすことで動画をバズらせ、己の凄さを広めるという本来の目的はとうに放棄している。
もうなりふりは構っていられない、本来の身体能力の高さで以て力ずくで猟兵達を迎え撃つ気でいた。今までのコミカルさはすっかり鳴りを潜め、ティラノサウルスらしい大きな口を開けて咆哮し猟兵達を威嚇している。
猟兵のほうでも元々、怪人の始末が目的であるのだから油断はしていない。
さあ、今からは本格的な狩りの時間だ。獲物である怪人を遠慮なく叩き潰して事件の解決を図ろうではないか。
大豪傑・麗刃
恐竜なのだ!でかいしかっこいいのだ!目立ちそうなのだ!
負けるわけにはいかないのだ!(無駄に対抗心)
基本は最小限に動くのだ。
ティラノクローは残像も利用してギリギリでかわすのだ。こうすることでザウスルモードの無差別攻撃の対象にならないかもしれないのだ。
ただ羽毛モードの時(ザウルスモードと併用しない場合)だけは、できれば距離を置きたいので、単独で使用した場合は大きく動きたいのだ。
基本方針は、相手に攻撃を出させて回避ざまの剣刃一閃!
2回攻撃併用だから二閃か。
こーいうのを後乗せサクサクと言うのだ!(後の先と言いたいらしい、しかもアトノサキではなくゴノセンが正しいらしい)
「恐竜なのだ!でかいしかっこいいのだ!目立ちそうなのだ!でも負けるわけにはいかないのだ!」
と無駄に対抗心を燃やしつつ、先鞭をつけたのは大豪傑・麗刃。彼は剣豪らしく、基本に忠実に最小限の動きをしていく。
お互い間合いを図りつつ、しばしのにらみ合いから先に動いたのは怪人だった。怪人はザウルスモードに変化し、超攻撃力と超耐久力を得た。
理性を失い、無差別攻撃を放つが、麗刃の残像をかすめる程度。しかし本性を現した怪人の身体能力は本物。麗刃の次の動きを、ティラノクローがとらえた。鋭く長い爪による素早い一撃は麗刃を襲う。何とか攻撃をそらそうとするも、傷を負ってしまう。
傷を負ったことで麗刃の動きは鈍くなってくる。彼は何度目かの攻撃に対し、回避ざまに捨て身の剣刃一閃を放つ。2回攻撃により二閃であろうか。
麗刃の手にしたサムライブレイドは見事に命中した。しかし怪人は対象の攻撃を軽減する羽毛モードに変身しており、彼の怪力によりダメージを与えたものの怪人の身体を切断するには至らず、逆に体から生えた鋭く尖った針のような羽による攻撃によってさらに大きな傷を負ってしまった。
後の先を狙った麗刃ではあったが、本性を現した怪人に一杯食わされた形となってしまった。
苦戦
🔵🔴🔴
井艸・与
カイム・ミケレクト(f04381)と参加
さて、狩りの時間といこうじゃねえか
相手はこちらより間合いが広そうだから、その間合いに入らないように気を付けて立ち回ろうか
俺の銃は射程を自在に変えられるから、相手との間合いに応じて射程を変えて攻撃するぜ
可能なら爪を狙って少しでも相手の攻撃力を削ぎたいところだ
攻撃時は声をかけ合いつつカイムと連携を取っていこう
相手の動きをよく読んでパターンを把握して行動
攻撃の隙をうかがいつつ、相手の攻撃は回避に努める
相手に隙ができたら、影の追跡者の召喚で「2回攻撃」を叩き込むぜ
追跡されりゃ避けようもないだろ
もし誰かが狙われていたら「誘導弾」で気を逸らし援護にまわろう
カイム・ミケレクト
井艸・与(f03832)と参加だ。
恐竜狩りか、腕がなるな!
獣奏器を鞭状に変えて、近~中距離対応できるように。
与くんとはしっかり声を掛け合って連携をとるぞ!
相手は頭に血が昇ってるようだし、数の利はこちらにある。
しっかり行動パターン見極めて行動しよう。
もし俺が怪我をしたなら、ブラッド・ガイストでテンション上げてく!
「ハハ、いいじゃん!もっと楽しませてくれるよな?!」
「さて、狩りの時間といこうじゃねえか、と思ったら先客がいるようだぜ。でもあれヤバいよな?」
くだけた口調で相棒に切り出したのは井艸・与(f03832)。
「ん……そのようだな。そういえば与くん、何か役に立ちそうな物持ってただろう?」
人がよさそうに答えたのは相棒のカイム・ミケレクト(f04381)。彼は与の持ってきていた『誘導弾』を覚えていた。
「ああ、誘導弾くらいなら持ってるよ。カイムさえよければこっちに気を逸らせると思うぜ。どうする?」
間髪入れずに
「聞くまでもないだろ?恐竜狩りと聞いて腕が鳴ってるんだ、もちろんいいに決まってる」
とカイムは獣奏器を鞭状に変化させて身構えた。
カイムの返答を聞いた与は、アサルトウェポンに用意していた誘導弾をティラノサウルス怪人が気付くように発射した。
他の猟兵の相手をしていた怪人だったが、目の前の敵を放って誘導弾の発射を確認した方角目指して突進を始めた。
「よーし、良い子だ。与くん、準備はいいかな?」
「いつでもいけるぜ、任せろ!」」
と、カイムと与はしっかりと声を掛け合って連携を取るつもりだ。
まずは与がアサルトウェポンを怪人へと照準を合わせる。爪を狙って少しでも怪人の攻撃力を削ぎ落とそうという考えだ。正確な射撃が加えられ、狙い通りに突進してくる怪人の爪へ命中していく。怪人はウォォォ!と一声吠えたが、突進は止まらない。爪も傷はついているが、大きく攻撃力が下がっている様子はない。
与はチッ!と舌打ちをするとカイムへ叫ぶ。
「カイム、そっちの射程内に行ったぞ!」
「分かってるよ、それ!」」
と鞭状の獣奏器で突進してきた怪人を打ち据えるカイム。ビュンッ!と唸る獣奏器が怪人を何度も襲う。その間も与は援護射撃をカイムの動きを見つつ、加えていった。
「コイツ、タフだな。体力無尽蔵なのか?」
調子がよさそうにカイムは獣奏器を振るっている。しかし、怪人の行動パターンを読み始めていた与は違和感を覚え、カイムに叫んだ。
「何か仕掛けてくるぞ!離れろ!」
「大丈夫、相手は頭に血が昇ってるようだし数の利はこちらにある」
答えた瞬間に鋭く長い爪による素早い一撃がカイムの左頬をかすめた。傷は大したことはないが、一筋の血がカイムの頬から流れ落ちる。カイムは左腕で血をぬぐうと自身の血を代償に獣奏器の封印を解いて殺戮捕食態に変化させ、殺傷力を増した。
「ハハ、いいじゃん!もっと楽しませてくれるよな?!」
自身の傷を省みず、逆にブラッド・ガイストによってテンションが高くなるカイム。テンションが高くなった分、少々攻撃に粗さが見え始めた。それを見た与は影の追跡者を召喚、発見されにくい場所から連続攻撃を与えた。怪人は影の追跡者の攻撃によってよろめき、攻撃の手が緩んだ。
「だから離れろと言っただろ!」
与に怒鳴られ
「悪い、悪い」
と口では言いつつも、気分の昂ぶりを抑えられないカイムであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
和久津・薫風
★アドリブOK
★フォルティス口調
『薫風、怪人をついに追い詰めたぞ。しかし相手も必死で抵抗してくるだろうから、気を引き締めろ』
「こ、怖いんだけど…。大丈夫なんだよね、フォルティス?」
これからの戦いの為にも薫風には力の扱い方を覚えてもらう必要がある
私との精神リンクに集中するんだ
★トリニティ・エンハンス使用:攻撃力重視
細かい事は考えるな、最強の一撃を与える事だけ考えろ
仲間の動きをよく見て隙を狙え
力を脚に集中させ炎と化して蹴りつけてやるんだ
まずは一撃離脱
深追いするな
確実に一撃を入れてすぐ下がるのだ
仲間の呼吸を感じ取り動きを合わせろ
隙を見つけたらもう一撃見舞って離脱
それを繰り返せばいい
恐れるな薫風
ユリウス・アルバート
さて追い詰めれたようですね、しかし追い詰められた相手はなりふりを構わないでしょう油断せずに行くとしましょう
それでは恐竜狩りと行きましょう、流石に冒険者と言えども恐竜を狩るのは初めてですけどね
『剣を掲げよ』
取りあえずはクロスボウによる一斉掃射でしょうかね、装甲があるのならば矢による鎧無視攻撃で鎧砕きで相手の装甲を崩せないですかね
基本は左翼7名、右翼7名、中央は私の前に布陣。
相手を囲んで一か所に意識を集中させないようにさせてください
巨大化したら一人を走らせて注意を其方に、その間に攻撃を行います
指揮をしながら騎士達を鼓舞し、数が減ってきたら二回攻撃による再召喚を行い戦線の維持を行います
大豪傑・麗刃
痛!
そなコトすゆ子は、麗ちゃんぶつじょ!
だが相手は確かに強いのだ。
しかしこれは相手の羽毛が強いわけでも、わたしの刀が弱いわけでもない。
全てはわたしの腕のなさなのだ。
残念ながら、今のわたしの腕では奴に打撃を与えるのは難しいだろう。
ならば仕方がない、あの秘技を使おう。
わたしのこの甘いマスク(自称)は時として武器になるのだ。
敵の攻撃をかいくぐって懐に潜り、相手の眼前に、どアップで。
秘技!鬼神フラッシュ!!
わたしの個性的な顔が相手に迫る時、その威圧感と笑撃で相手に大ダメージを与えるのだ!
これなら防御力も関係ないのだ!
しかし、いつもながらこの技を使うと自尊心がキリキリいたむのはなぜだろう?
空飛・空牙
SPD勝負だな
「そんじゃ、燥ぎ倒そうか!」
シルフバトンでエアライドギアに大気集めつつ
[先制攻撃]で何かされる前に蹴り飛ばした後[2回攻撃]分で[衝撃波]を叩き込む
後は【スカイステッパー】で飛び回りつつ
[見切り]で敵の攻撃範囲を測ってその外から
[投擲]と[衝撃波]、風魔法の[属性攻撃]+[全力魔法]
で、遠距離から削り倒す
「お前、そっちの姿の方が動画映えしたんじゃね?」
いざとなったら
[地形の利用][ロープワーク]でその辺のものにハーケンダガー括ってぶつけるなり盾にするなり移動するなりで緊急回避
とにかく動き回って他の猟兵から意識を反らしつつ攻撃し続ける
「暴れんぜ? ヒーホゥ!!」
エメラ・アーヴェスピア
あら、どうやら間に合ったようね
まだ終わっていないようだし、私も攻撃に加わるわ
同僚さん達も疲れているようだし、早めに決着をつけましょう
『この場は既に我が陣地』…前方集中配置、一斉砲撃!多少の防御ごと打ち砕いてあげるわ
私の所に来る為には、この砲台の密集地を通らないといけない訳だけど…どうするのかしらね?
まぁ、そう簡単には攻撃はさせてやらないわ。私に攻撃を通すには、あなたは相性が悪いのよ
さぁ、大人しく倒されてちょうだい?
(【援護射撃】【一斉発射】【拠点防御】【地形の利用】)
所で…この場を放送したら、キマイラ達はどう思うかしらね?
(【ハッキング】)
一人猟兵を退ければ、今度は二人猟兵が増える。
そんな状況の中でティラノサウルス怪人は善戦していたと言えるだろう。
だが、さらに一人?の猟兵が戦列に加わる。和久津・薫風&創世神器フォルティスだ。フォルティスが薫風に声をかける。
『薫風、怪人をついに追い詰めたぞ。もうすでに戦闘に入っている猟兵が見える。しかし怪人も必死で抵抗している、容易くはないぞ。気を引き締めろ』
「こ、怖いんだけど……。大丈夫なんだよね、フォルティス?」
『今さら何を言う、薫風。薫風は先のカード勝負に勝ち、怪人を追い詰めるのにも一役買った。あとはこれから長く続くであろう戦いの為にも、薫風には力の扱い方を覚えてもらう必要がある。私との精神リンクに集中するんだ』
フォルティスの励ましもあって、薫風少年は力強く頷き、ゴーグルを掛け直した。
そんなやり取りを横で眺めていた猟兵がさらに一人。空飛・空牙だ。
(おーおー、微笑ましいことだな。だが、そういうの嫌いじゃないぜ。俺が動き回って意識を逸らしてやるのも悪くはねえな。)
気ままな彼だが、だからこそ少年とゴーグルのやり取りに興味を持ったようだ。そこで薫風に声を掛けた。
「おい、お前。えーと名前なんだっけ?まあ、そんなことどうでもいいや。俺と組まねえか?俺がヤツを引き付けてやる、その間に一撃ぶちかまして来いよ」
話しかけられたほうは一瞬ビクッとしたが
「は、はい。分かりました!」
と返答した。この返答に空飛は
「良い返事じゃん。そんじゃ、燥ぎ倒そうか!暴れんぜ? ヒーホゥ!!」
と叫んで、エアライドギアにシルフバトンで集めた圧縮大気を放って怪人へ向かって行く。薫風も自らが駆る宇宙バイクで続いた。
空飛はあっという間に怪人へ近づくと、先手を打った。エアライドギアから圧縮大気を放出しながら素早い蹴りを二度入れていく。衝撃波のオマケ付きだ。素早い動きをする空飛に対して無差別に攻撃を繰り出す怪人だが、スカイステッパーにより立体的な動きで翻弄する。さらに彼は建物へロープ付きハーケンダガーを突き立てると、巧みなロープワークで怪人の射程外へと移っていく。理性を失っている怪人は完全に空飛へ意識を持っていかれてしまっていた。
そこへ薫風が、トリニティ・エンハンスの炎・水・風の三つの魔力によって強化されたキックをお見舞いする。そのキックは脚へと攻撃力を集中させており、単純だが強烈な一撃であった。バイクはどうした!?とか言わない、お約束だ。巨大な怪人もグワアッと叫び倒れるほどの攻撃であったため、その間に薫風は怪人の射程外へ離れるのは容易であった。
それを見た空飛
「お前、そっちの姿の方が動画映えしたんじゃね?」
とケラケラ笑っていた。その声が怪人に届いていたかどうかは分からないが、ウウウと呻き声をあげながらなお立ち上がっていた。
そんな怪人の前にサムライブレイドを手にした猟兵が立ちはだかる。大豪傑・麗刃だ。彼は怪人に対して先鞭は付けたものの、手痛い反撃に合っていた。
しかし麗刃はその程度でめげるような人物ではない。なんせ先祖代々武人の家系である。たとえそれが見事なまでの奇人変人ぞろいの家系であっても、武人としての矜持は失っていない。言動とは裏腹に彼は冷静に分析していた。
(相手は確かに強いのだ。しかしこれは相手の羽毛が強いわけでも、わたしの刀が弱いわけでもない。全てはわたしの腕のなさなのだ。
残念ながら、今のわたしの腕では奴に有効打を与えるのは難しいだろう。ならば仕方がない、あの秘技を使おう。わたしのこの甘いマスク【自称】は時として武器になるのだ)
今一度!と麗刃は怪人の射程に足を踏み込む。怪人はそれを見るとティラノクローで捉えんものと鋭く長い爪による素早い一撃を何度も放っていく。
しかし、今度はかすりもしない。わずかに残像を切り裂くかどうか。麗刃は回避に集中し、怪人の懐に入る隙を窺っていた。ティラノクローが当たらないと見ると、怪人は体から生えた鋭く尖った針のような羽毛で攻撃するため羽毛モードに変身しようとした。時は今!懐に潜り込み、怪人の眼前30センチ以内に迫り、どアップで放つ。
『秘技!鬼神フラッシュ!!』
麗刃の個性的な顔が相手に迫る時、その威圧感と笑撃で相手に大ダメージを与えた!これなら防御力も関係ない!原理は全く以て不明!一瞬光ったような気もするが、気のせいだ!
が、麗刃もダメージを受けているようだ。
(しかし、いつもながらこの技を使うと自尊心がキリキリいたむのはなぜだろう?)
と。意外にも彼は繊細というかデリケートというか……。
とにかく、怪人へ大ダメージを与えることには成功した麗刃は素早く射程外へと離れた。
さらに二人の猟兵が建物上に姿を見せていた。
「あら、どうやら間に合ったようね。まだ終わっていないようだし、私も攻撃に加わるわ」
と言いながらゆったりとエメラ・アーヴェスピア。そして、闇の呪詛が籠められたマントをはためかせるユリウス・アルバート。
「ええ、そうですね。ここまで追い詰めればもう一押しでしょう。しかし、とある世界のとある国ではこう言うそうですよ。『追い詰められたネズミは猫を相手にも噛みつく』と。要するに追い詰められた相手はなりふりを構わないでしょう。油断せずに行くとしましょう」
とユリウス。
「それでいいわ。同僚さん達も疲れているようだし、早めに決着をつけましょう」
エメラも手抜かりはないようだ。
二人はそれぞれユーベルコードを展開する。
ユリウスは
「剣を掲げよ」
と落ち着いた音声を上げ、隊伍を組んだ19体の騎士の霊を召喚する。亡霊騎士団はクロスボウを手に現れた。ユリウスが身振り手振りをすると、亡霊騎士団は自分達の持ち場へと移動していく。右翼に七体、左翼に七体、残りはユリウスとともに正面に構えた。
エメラは
「ここは既に、私の砲撃陣地よ」
と彼女もまた落ち着いた声で『この場は既に我が陣地(シェリングテリトリー)』を発動。45体の、小型の戦闘用【魔導蒸気砲台】を前方集中配置・召喚する。さらに
「私の所に来る為には、この砲台の密集地を通らないといけない訳だけど…どうするのかしらね?」
と冷たく笑いながら眼下の怪人を見下ろした。
まずユリウスが手のひらを正面に向けて挙げた右腕を振り下ろす。それを合図に正面の五体がクロスボウの矢を怪人へ射込んでいく。矢は怪人の装甲を無視するかのように突き立ち、あるいは破壊していく。怪人は構わずに二人が見下ろす建物へ突進してくる。見下ろしているとはいえ、巨大化した怪人にとっては腕を伸ばせば下からでも届くぐらいの高さであった。エメラは慌てず
「そう簡単には攻撃はさせてやらないわ。私に攻撃を通すには、あなたは相性が悪いのよ」
そう言うと【魔導蒸気砲台】から援護射撃を始めた。エメラの言う通り怪人と二人の相性は悪い。片や高きに寄り遠距離攻撃、片や低き場所から近距離攻撃をかけるのだから。二人が兵法に通じているかどうかは分からないが、どちらも経験則として心得ているようであった。もはや仮に怪人が冷静さを取り戻しても、覆しようがなかった。
なおも一歩ずつジリジリと進む怪人。そこへ左右から亡霊兵による射撃も加わる。怪人はもう満身創痍だ。爪は折れ、牙は欠け、装甲もボロボロ。そして最期の時を迎えようとしていた。エメラが一斉発射の準備をする間、ユリウスが左右の腕を振って亡霊兵の士気を鼓舞する。
「さぁ、大人しく倒されてちょうだい?」
エメラの【魔導蒸気砲台】が最大火力で一斉発射された。
哀れ、怪人はグワァッ!と叫ぶなりそのまま動かなくなってしまった。
ユリウスは嘯く。
「なかなか楽しかったですよ。流石に冒険者と言えども恐竜を狩るのは初めてでしたので」
恐竜狩りを終えた猟兵達は次の依頼へとそれぞれ旅立っていった。
しかし、エメラが残していった動画はキマイラフューチャーでバズり、しばらくの間はその話題で持ちきりであった。
大成功
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