水着見てもらえるってマジ?
●
「ばぁっかあつい……いやー、みんな暑いのによく来てくれたね」
グリモアベースで猟兵たちの前に立つのは、この季節にも関わらず黒いセーターを着込んだ太刀川・明日嘉(色を失うまで・f01680)だ。
手にした書類で自らを扇いで涼もうとするが、癖の強い黒髪がしっかりと熱を包み込んでいるようで、誰よりも暑そうなのは見るからに明らかだった。
「こうも暑いとさぁ、海行きたくなるら? そこで提案なんだけど……」
明日嘉が取り出したのは一枚のチラシ。
『暑い、いや、熱い夏を過ごそう!』と書かれたそれに描かれているのは、青い海と白い砂浜。
そして水着の男女。
「スペースシップワールドのとあるリゾート船にさ、海水浴場あるらしいのよ」
猟兵たちに集まってもらったのは、ここへ行くためだと明日嘉は語る。
とはいえ、そこにはオブリビオンはおらず、寂れて旅行客を呼ぶ必要がある、なんてこともない。
つまるところ、猟兵たちに与えられる休暇というわけだ。
「あ、ただのバカンスじゃ気にしちゃう? ちゃーんと大義名分も用意してあるに、安心してね」
ふふんと鼻を鳴らした明日嘉が、自信満々に指を立てて語る。
「水着をね、見たいっていう人たちがこの海水浴場にたくさんいるのよ。その人たちに水着姿を見せて、満足させてきてちょうだい。それが今回の、あなた達のお仕事よ。普通に歩いていれば、向こうからどんどん話しかけてくれると思うから、深く気にせずビーチにいれば大丈夫」
説明を終えると長い黒髪を後ろで括り、ニヤリと笑う。
髪に隠れていた耳と口元に鈍く光るピアス。
明日嘉自身もこの夏を楽しむつもりであることが見て取れる。
「それじゃあ、まだまだ夏を満喫しましょ」
明日嘉が赤い本のページを適当にパラパラ捲ると、水色の多いところで手を止めた。
すると、そのページから潮の香りと波の音が溢れ出し、辺りは白い靄に包まれる。
それが晴れる頃には、辺りはすっかり真夏のビーチに変わっていた。
るーで
●ご挨拶
水着の季節ですね!
3本目の水着シナリオになります。
前回は採用少なくなっちゃってすみません。
サクッと採用出来るものを採用して、一旦締めて、また書ける時間ができたら新しいシナリオを出すスタイルで行きます。
●概要
このシナリオは【日常】の章のみでオブリビオンとの戦闘が発生しないため、獲得EXP・WPが少なめとなります。
1章のみで完結する短いシナリオですが、8月いっぱい何度か出そうと思います。
リプレイの大半はNPCたちのコメントで埋まると思います。
行動描写にかけるリソースをほとんど水着に注ぎ……たいですがこれまでのシナリオを省みるとそこそこ書いてます。
●プレイング
水着コンテストイラストのアピールポイントをどうぞ。
それを見た人が水着(というかイラストの格好で来ているキャラクターに)コメントします。
プレイング(プレイングに指定がなければユーベルコード)で能力値を指定されれば、その能力値に従ったNPCがその人なりの視点でのコメントをします。
【POW】小麦色に焼けた肌が健康的なウェイ系の兄ちゃん。水着よりも本人の身体に目がいきがち。
【SPD】やたらテンションの高いカメラマン。雰囲気やポーズ、表情に注目する。
【WIZ】アパレルショップのおしゃれなお姉さん。水着のセンスを磨きに現地へ来た。
【明日嘉】グリモア猟兵の明日嘉です。プレイングで明確に指定された場合のみお邪魔します。
【合わせプレイング】お互いの水着にコメントをしあう形で採用します。ふたりまとめてNPCに見てもらうのも可。
●執筆
公開されれば月曜日からの予定です。火曜日はお休みするので書ききれなかった分は水木に。
第1章 日常
『猟兵達の夏休み』
|
POW : 海で思いっきり遊ぶ
SPD : 釣りや素潜りに勤しむ
WIZ : 砂浜でセンスを発揮する
|
ベリル・モルガナイト
【POW】
モルガナイトの髪を。揺らしながら。ゆったりと。ビーチを。歩きながら。辺りを。見て。回る。わ?
若い子たちと。比べると。あまり。人目を。惹くような。水着では。ないの。だけれど
お気に入り。なのは。クリスタリアンの。私に。合わせて。たくさん。見繕って。くれた。宝石の。意匠。かしら
どれも。私の。色に。合わせている。だけでなく。綺麗。でしょう?
●
ざざん。ざざん。
波の音が一定の周期で囁く。
ぎらぎらと輝く太陽の下を、ベリル・モルガナイト(宝石の守護騎士・f09325)がゆっくりと、砂を踏みしめて歩く。
ここはリゾート船の海水浴場。
潮風が頬を撫でて、太く編み込んだモルガナイトの髪が輝いて揺れた。
そのベリルは、辺りの華やかな水着に身を包む少女たちを見て、小さく溜めきを零す。
(若い子たちと。比べると。あまり。人目を。惹くような。水着では。ないの。だけれど)
「あ! おねえさん、ひとり系?」
そこへ話しかけてきたは、日焼けした肌の男だ。
すっかり海に馴染んだのか、サングラスの下に日焼け跡がくっきりと見えた。
「ええ。私は。ひとり。ですの。よ」
ベリルは頬に手を添え、穏やかな笑みを浮かべる。
「俺、この辺りで水着を見せて貰っててさぁ。おねえさん、ちょち付き合ってくんない?」
顎に手を当て、男が歯を見せて笑った。
「もちろん。ちゃんと。見てもらえるか。少しだけ。心配だった。わ」
シースルーのパレオを指先でつまみ上げると、先に宝石のついた飾りが揺れる。
その石を目で追った男の視線が、ベリルのしなやかな脚へと伸びた。
「そりゃあもう、水着だけでなく隅々までまるっとくりっと全部見ちゃうよ俺ぇ!」
眉をぐっと上下させ、少し鼻息荒く頷く。
「スタイルの良さっていうかさぁ、骨盤? もうラインが女性的魅力の塊なんだよね」
そう言った男の視線は、細い脚から、少し柔らかい太ももへ。
そして水着のボトムと内ももに挟まれたデルタゾーンへと……。
ベリルがつまみ上げていたパレオを離すと、金色の飾りが男の視線をちらちらと切る。
はっとして顔を上げた男は、穏やかに微笑んだままのベリルと目があった。
「あっ、そのー……タハハ! きれいな飾りっすねぇ!」
もちろん、ベリルは男の視線には気付いていた。
(若い子の。すること。だから)
「ええ。私の。色に。合わせている。だけでなく。綺麗。でしょう?」
あらあら、といった顔でベリルは男の誤魔化しを受け入れたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
テラ・ウィンディア
【明日嘉】
水着を披露する大会なんだな!だとするなら全霊を尽くしてアピールだ!(そして何故か炎を纏って天より飛来。水着イラスト参照だ!
評価とかするなら仲間の方がいいだろうからな
これでも自信作なんだぞっ
姉よりもちょっと大胆なのは恥ずかしいがな!
だが…このおれ、テラ・ウィンディアの体に恥ずべき部分は無い筈だ!!(ばばん
あえて何も語るまい
我が水着と身体のみの勝負ならおれは威風堂々と立つのみだ!
●
ここはただの海水浴場である。
にもか関わらず、ぽっかりと穴が空いたように人が居ないのは、空高くから聞こえるこの声を聞いたからだ。
「たあぁぁぁあああああああっ!」
紅蓮の炎を纏い、砂浜の上に降り立ったのは
テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)だ。
強い風が砂を舞い上げて、ちりちりと炎を散らした。
「けほっ、元気な子だねぇ……」
口元まで舞った砂を払いながら歩いてきたのは明日嘉だ。
テラの側まで寄ると、ニッと歯を見せて笑った。
「そりゃあもう、大会だからな! 全身全霊だぞ!」
「なるほど、登場から全身全霊ね」
周囲の、少し離れていた海水浴客たちの視線が二人へと集まっている。
ふたりでけらけらと笑って顔を見合わせた。
「そんで、テラちゃんは赤いセパレートにしたんだ?」
「ふふん、自信作なんだぞっ」
そういってテラは小さな胸を張る。
まるで走る炎のようなフリルが、小さく揺れた。
「うんうん、女の子らしくて可愛いねぇ。それでいて、炎をつかうテラちゃんらしくもあるし」
「だろー! 姉よりもちょっと大胆なのは恥ずかしいがな!」
「ああ、あのメイド服とかウェイトレス服みたいな水色の水着の」
ふと、コンテストでテラと共に居た少女を思い出して視線を上に向ける。
なるほど、あれが姉なんだなぁとぼんやりと考えながら、今一度テラの水着を見た。
露出したお腹と脚は白く綺麗ながら、健康的で少女らしいものだ。
「けど……テラちゃんってば活発だから、これくらいお腹出してた方が可愛いでねぇ」
「へへっ、そうかな!」
うんうん、と明日嘉が頷くと、満足げな顔でテラは笑った。
大成功
🔵🔵🔵
氷室・癒
【明日嘉】夏! 海! 水着!
わくわくがたっぷりのぼくの季節です!
あーーーーーーーーー! 明日嘉さん! ぼくですよー! いやしちゃんですよー!
どうですかー、えへへへへっ! かわいいですかーっ!
たっぷりかわいいって言ってもらえると聞いて来ちゃいましたっ!
海のみなさーんっ! いやしちゃんですよーっ! ハッピーをお届けしますよー! 手も振っちゃいます! ぶんぶん!
きらきらーんっ! ぶいっ!
幸せいっぱい夢いっぱい! テンション上がりまくりでハートもいっぱいできちゃいますっ!
ほーら、ハートのシャボンですよーっ! どんどん増えますよーっ!
えへへっ、いっぱい褒めてもらえるとやっぱり嬉しいですねっ! 幸せーっ!
●
「夏! 海! 水着! わくわくがたっぷりのぼくの季節です!」
ふたつの大きな三編みを揺らして、氷室・癒(超ド級ハッピーエンド・f00121)がはしゃぐ。
ここはリゾート船の海水浴場。
気分の高揚した観光客の間を縫うように進みながら、手にしたモールでハート型のシャボン玉を作っていく。
「海のみなさーんっ! いやしちゃんですよーっ! ハッピーをお届けしますよー!」
「や、癒ちゃん。相変わらず元気ねぇ」
ふらふらとやってきたのは、同じ宿に泊まる明日嘉だ。
黒い髪に熱が籠もっているのか、額から頬を伝った汗が胸元へ滴るなか、ぱたぱたと手で自分を扇いでいた。
「あーーーーーーーーー! 明日嘉さん! ぼくですよー! いやしちゃんですよー!」
それに気付いた癒が大きく手を振って明日嘉へと駆け寄る。
ふわりふわりと水着のティアードフリルが揺れてその柔らかさを主張した。
「うわぁ、ばぁーっか元気。こんな暑いに」
「おやおや、明日嘉さんはアンハッピーですか? 夏ですよ! 海ですよ! 水着ですよ!」
「夏で海だからテンション下がってるっていうか……」
「じゃあその分、水着でハッピーになりましょう! ほらほら! 見てください! どうですかー、えへへへへっ! かわいいですかーっ!」
癒はシャボン玉のモールをしまい、その場でくるりと回ってみせる。
ひらひらのフリルが、ふわりと広がった。
「うーんなるほど、ピンクのセパレート。リボンとフリルで女の子らしさど真ん中って感じよね。いいなー、そういうの、私には似合わんでねぇ」
「ほんとですか! やりました! 明日嘉さんのお墨付きです!」
癒が笑顔になると、騒がしいなあという表情だった明日嘉も穏やかな笑顔になった。
「カラフルなマニキュアもいいわよねぇ。自分で塗ったの?」
「さっすが明日嘉さん! お目が高いですねっ! ぶいっ!」
そう言うと、5色に塗られた爪を自分で見る。
それから、得意なお友達がいるので! と顔の横でピースサインを作って見せた。
「えへへっ、いっぱい褒めてもらえるとやっぱり嬉しいですねっ! 幸せーっ!」
癒が笑えば、周囲の人たちも笑顔になっていく。
癒の幸せいっぱいの笑顔が伝染して、海水浴場に笑顔の花を咲かせていった。
大成功
🔵🔵🔵
桜橋・ゆすら
◎
【明日嘉】さんと、お話ができればと…
ええと、ゆすらの水着ですか?
実はこうして肌を晒すのは、人の形を成してから初めてで…は、恥ずかしい、です…
(両手で顔を覆う)(ゆすらんっ、とたわわが揺れた気がする)
フリルやリボンといった女の子らしい装飾が好きなので、それらを選んで
肌を焼いてはいけないから桜色の羽織を選んだの
爪も、折角なので大好きな桜色のネイルを塗ってみたんです
まあ、明日嘉さんのビキニ、とっても大胆…!
先程の露出を抑えた黒セーター姿が印象的だからでしょうか
その…特にタトゥーとピアスにドキリとしてしまいます
(じ、と明日嘉さんの耳を見つめ)
…ピアス、ゆすらにも似合う、かしら(少し憧れている様子)
●
さらり、さらりと、白い素足で砂を踏み、桜橋・ゆすら(きみがため・f13614)は浜辺へとやってきた。
瞳を焦がすような日差しを手で遮り、目を細める。
(眩しい……これが海の日差し……)
それから、辺りへと目を向ければ、こちらへと向いた視線がちらほらと。
強い陽の光はもちろんだが、ゆすらがより気にしていたのは、周囲の一般人の視線だった。
ゆすらの白い肌に、豊かな胸に、そしてフェミニンな水着に。
当然と言わんばかりに、周囲の視線は容赦なく降り注ぐ。
普段はきちりと着込んでいるゆすらだが、今日の水着は大胆なセパレート。
フリルやリボンで可愛らしく着飾ってはいるが、肌の露出は随分と多い。
よく引き締まったウエストや、柔らかな太ももが露出していた。
人の、特に男性の視線が自分へと強く向いていることを意識したゆすらは、胸が熱くなって頬を赤く染めた。
「やっ、楽しんでる?」
「あ……明日嘉さん」
そんなゆすらに声をかけてきたのは、水着に着替えて来た明日嘉だ。
普段の暑苦しいセーターを脱ぎ、髪を上げた姿は、まさに胸元の蝶が羽化したかのような変貌と言えた。
「せっかく可愛い水着を着てるに、堂々としないともったいないら?」
照れからか、身体を縮こまらせていたゆすらの両肩に手を置いて、明日嘉は笑いかける。
「実はこうして肌を晒すのは、人の形を成してから初めてで……は、恥ずかしい、です……」
両手を添えるように、ゆすらは自身の頬に触れてその赤らみを隠した。
寄せた両腕が当たって、胸が揺れる。
より一層強い視線を感じて、慌てて隠す場所を頬から胸元に変えた。
「またそうやって隠しちゃってー。せっかく羽織も可愛い桜色なのに、見てもらわないのはもったいないら」
「あっ……そうなんです、実はネイルも大好きな桜色に合わせて見ていて……」
明日嘉の言葉に、ゆすらの表情も和らいで、心の緊張も解れていく。
「明日嘉さんは……大胆なビキニですね……! 先程のきっちりと着込んだ姿が印象的だからでしょうか……タトゥーとピアスにドキリとしてしまいます」
そうなれば、ゆすらの舌も少しずつ軽くなっていくわけで。
ゆすらとは対照的に堂々とした明日嘉の水着と佇まいに、ゆすらは小さな憧れを募らせていく。
対して明日嘉は、にひひ、たまにはね。と、歯を見せて笑った。
それから、ゆすらの視線が明日嘉の耳元に集中していることに気付いた明日嘉は自分の耳に、ピアスに触れる。
「気になる?」
「あっ、いえ、その……」
見透かされるほど見ていただろうかと、少し後ろめたい気持ちが湧いてきたゆすらは、目を伏せる。
「……興味は、あります……ゆすらにも似合うでしょうか」
おずおずと顔を上げ、明日嘉と目を合わせる。
興味と、期待と、それから小さな高揚を孕んだ瞳。
(私も、ファーストピアスの時はこんな目をしていたのかな)
自分を省みれば、これから同じ道を歩こうとする人へ優しくなるものだ。
10センチばかり背の高いゆすらの頬に手を添えて、目を細めて明日嘉は言う。
「おしゃれはね、おしゃれしようという気持ちに似合うものなのさ。だから大丈夫。興味があるなら付けてみないよ」
「……はいっ」
ペン先を替えた翌日の筆ノリのように、ゆすらの声が少しだけ明るく弾んだ。
大成功
🔵🔵🔵
燈夜・偽葉
『SPD』
夏ですね、海ですね
即ち水着です!
私の水着は赤いマイクロビキニです!
豊満な肢体に布面積ぎりぎりで大丈夫?問題ありません!
とうっ!(水着イラストでのポーズ)
無邪気(自称)な笑顔とポーズでセクシーよりもむしろキュートなのですよ私!
公共の場での慎みを知っている13歳妖狐なのであった、まる
●
「夏ですね、海ですね!」
小さな水着で大きな胸を揺らしながら、燈夜・偽葉(黄昏は偽らない・f01006)は砂浜を走る。
年の割に成熟した肉付きは、若く激しい動きに着いていけず、ワンテンポ遅れて強く弾んだ。
「あ、そこのお嬢ちゃん、ちょっと良いかい」
楽しげに浜辺を走る偽葉に声をかけたのは、首からカメラを下げた男だ。
「はいっ! なんでしょうか!」
偽葉が足を止めると、大きな胸は肩よりも一回多く揺れてから止まる。
男の視線が胸元へと落ちていくが、頭を振って改めて偽葉の顔を見る。
「いま、水着の子の写真を撮って回っていてね、もしよかったらお嬢ちゃんも撮らせてくれないかい」
「もちろんですっ!」
カメラを顔の高さまで持ち上げて示すと、偽葉も元気よく承諾した。
まずは自然体を、と、男は写真を撮りながら偽葉に質問を投げかけていく。
「お嬢ちゃん、いまいくつなんだい」
「私はー……13歳ですね!」
ぐっと両手を握り、偽葉が答える。
「13歳! それでそのプロポーションかい! 逸材だな……」
男が顎に手を当てて頷いた。
それから少し離れて、本格的にカメラを構える。
「それじゃあ、手を振ってるポーズとかいってみようか。こっちから待ち合わせの相手が来るイメージで」
「こうですか!」
偽葉が少し背伸びするように右手を上げて振ると、肩に吊られて右胸がたゆんと揺れた。
左右の胸がアシンメトリに揺れるその瞬間を、男は写真に収める。
「いいねいいねー。今度はぺたんこ座りして……手を膝の間に置く感じで」
「はいっ!」
白砂の上に腰を下ろした偽葉は前のめりになり、言われたとおりに膝の間に手を付く。
すると偽葉の大きな胸が両腕に挟まれて、下へ、前へと歪んで形を変えた。
男とカメラを見上げて、こうですかーっと元気に笑う。
「ああー! いいね、そのポーズ! 躍動感のある仕草もいいけど、こういうのもいいね! キミの魅力が全開だよ!」
やけにテンションの高い男に褒められて、少しはにかんだ偽葉。
こんなノリのまま、偽葉は男の指定する様々なポーズで写真を撮られ続けた。
――。
――――。
「お嬢ちゃん、今度別の衣装でも撮影してみないかい?」
数十分後、満足気にカメラのメモリを眺めながら、男が問う。
しかし答えがなく、不思議に思った男が視線をあげると、そこにはもう偽葉の姿はない。
「あれ、おかしいな……」
狐に化かされたような気持ちで、改めて写真を見る。
そこには夏の太陽に負けないほどの、眩い笑顔の少女の姿があった。
大成功
🔵🔵🔵
雲鉢・芽在
【SPD】
休暇の近くで何やら催しがあると聞き来てみましたが……
皆様好きですわね、こういうコンテストって
まあ私も興味惹かれて赴いた身
雲鉢の名に泥を塗らぬよう、自信は持たせていただきますわ
私のチャームポイントは……そうですわね、蝶柄で統一した水着柄、アクセサリでしょうか
一応蝶は私の好みですので
……まあ、私が真に好きなものは毒蝶ですが。
いえいえ、空耳でしょう
お気になさらず
後は……そうですわね、黒と紫を主体とした水着で大人しさとお淑やかさをアピール、というようなことでよろしいでしょうか?
……黒や紫が好きかですか?
ええ、好きですわよ
パレオの中にも不埒な輩に対する毒液の入った小さな毒瓶が……
冗談ですわよ
●
ここはリゾート船の海水浴場。
燦々と輝く太陽の光を、青い海と白い砂浜が照り返す。
人々は強い日差しに肌を焼かれながらも、ビーチで水着を堪能していた。
(皆様好きですわね、こういうの)
まあ私も興味惹かれて赴いた身ですけど、と雲鉢・芽在(毒女・f18550)は心の中で呟いて胸を張る。
雲鉢の名を持つものとして、如何なる場所でも恥じるようなことはできないのだ。
そのとき、突然横でシャッターの閉じる音が聞こえる。
ちらりと視線をそちらに向ければ、カメラを構えた男が立っていた。
「突然ごめんね、綺麗な横顔だったから、つい」
男がそんなことを言いながら、頭をかく。
「失礼な方ですわね」
無断で女の写真を撮るなど、失礼極まりないことだ。
けれど、褒められれば悪い気はしないもの。
「失礼ついでに、もう少し撮らせてもらってもいいかな」
「仕方ないですわね、構いませんわ」
だから芽在は、男と提案を了承した。
男はお礼を言うと、改めてカメラを構える。
ファインダー越しに芽在の水着を見て、へぇ、と小さく声を漏らした。
ホルターネックのセパレート水着。
濃い紫色をベースに、胸元やパレオに大きな蝶の柄。
それから、胸下のフリルやシースルーグラデーションのパレオは芽在をエレガントな女性に仕上げていた。
「全身蝶柄で統一かぁ。蝶、好きなのかい?」
「ええ、そうですわ」
……まあ、私が真に好きなものは毒蝶ですが、と芽在は小さな声でつぶやく。
「ん? なにか言ったかい」
「いえいえ、空耳でしょう。お気になさらず」
男の耳にははっきりと届いていなかったようで、芽在が否定すれば、首をひねってカメラをまた構える。
「黒や紫もキミの好みかい?」
「ええ、好きですわよ」
「いいよねえ、大人っぽくて。キミの上品な仕草によく似合っているよ。いいところのお嬢様だったりするのかな」
男がそう言うと、芽在は雲鉢として当然、と少しだけ胸を張った。
「だから、なにかあったときのために、パレオの中にも不埒な輩に対する毒液の入った小さな毒瓶が……」
「毒!?」
「冗談ですわよ」
そう言って微笑む芽在の目元は、あまり冗談を言っているようには見えなかった。
大成功
🔵🔵🔵