●閉ざされし路
行商人の存在は、世界に点在する街や村の営みに不可欠なものだ。
都市部や港町から仕入れた物品がたっぷり積まれた馬車の来訪を、各地に住まう人々はいつも楽しみに待っている。
それは、交易目的のみに留まることではない。
片や遥か遠くの都市での事件や、胸躍る旅路の話。
片や地方の近況や、特産物の収穫状況。
行商人を囲んで酒を酌み交わしながら語り明かすひと時は、有意義な情報交換の場であり、貴重な娯楽でもあるのだから。
今日も一人の行商人が、港町を出発する。
異国から届いた鉱石や魔石の中から特に良質なものを仕入れ、向かうは辺境の湖の街。
整備された街道に沿って、水に恵まれた肥沃な土地の風を存分に感じながら。
のんびりと通い慣れた街までの旅路を楽しむはずだったのに――。
●旅の続きを
「行商人が目的地に辿り着くことはないの。……道中でオブリビオンの餌食になってしまうから」
淡々とした口調で起こり得る未来を仲間たちに報せ、グリモア猟兵のレイラ・アストン(f11422)は憂いを含んだ溜息ひとつ。
少女曰く。
アックス&ウィザーズの、とある街道。そこにオブリビオンの群れが現れ、行商人が襲われてしまうのだという。
「街道付近でモンスター――オブリビオンが現れたことはないらしくて。その行商人も護衛を付けていなかったみたいなの」
つまりは護衛さえ付いていれば、起こりうる悲劇を回避できるかもしれないのだ。
「港町を出発して、目的地の湖の街に辿り着くまで。行商人を道中の危険から護り抜く。この依頼、受けてくださるかしら?」
行商人に声を掛ければ容易に雇ってもらえるため、護衛の任に就くのは難しくないという。
ゆえに考慮すべきは、オブリビオンとの戦闘についてだろう。
「予知で見えたのは“氷凝鳥”と呼ばれる青い鳥の群れよ。この鳥は、貴金類や宝石に目がない習性があるの」
行商人の荷は、鉱石や魔石が主だという。それゆえ奴らに目を付けられたのだろうとレイラは語る。
「鳥の姿の他に、もっと大きな影も見えたわ。魔力を取り込んで巨大化した氷凝鳥の可能性もあるけれど……ごめんなさい。詳しいことまでは分からなかったの」
しかし、氷凝鳥も大きな影も、氷の魔力を操る点は共通していたという。
「炎や熱といった、氷へ対抗する手段があれば有利に戦えるはずよ」
どうか、人の命と営みを護って欲しいと。レイラは深々と頭を下げた後に付け加える。
「無事に依頼を終えたら、行商人の目的地――湖の街で一休みしてくるといいわ。今の時期でも涼しく過ごせる場所だそうよ」
訪れた地の文化を楽しむことは、旅の醍醐味であろうと続けて。
青い瞳を僅かに和らげ、レイラは仲間たちに微笑んだ。
藤影有
お世話になっております。藤影有です。
人の旅路と営みを守るべく、猟兵の皆様の力をお貸しいただけますと幸いです。
第一章は【集団戦】、第二章は【ボス戦】、第三章は【日常パート】です。
●第一章補足
街道での戦闘シーンより開始します。
氷凝鳥は出現した時点では積み荷を第一に狙ってきます。
馬車を護ろうとする行商人に声を掛けて下がってもらったり、敵の注意を猟兵に引き付ける工夫があると良いかもしれません。
●湖の街
湖に面した街で自由に過ごせます。
夏でも涼しく、過ごしやすい気候です。
宿屋、酒場、各種店舗といった施設の他、露店や屋台も出ています。
大きな噴水が設置された中央広場は人々の憩いの場。
湖で泳いだり、釣りをしたりなども可能です。
複数人参加の場合、【お相手の名前とIDorグループ名】の明記をお願いします。
※アイテムの自動発行はありません。
※第三章のみの参加も可。
●グリモア猟兵について
レイラ・アストン(f11422)は、第三章でお誘いプレイングを頂いた場合のみ登場します。
それでは、皆様のプレイング楽しみにお待ちしております。
第1章 集団戦
『氷凝鳥』
|
POW : 爪の一撃
【非情に素早い突進からの爪】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : 氷柱雨
レベル×5本の【氷】属性の【鋭利な結晶体】を放つ。
WIZ : 大空を舞う
【空高く飛ぶことで】対象の攻撃を予想し、回避する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
|
●氷鳥、襲来
「群竜大陸だの何だの。物騒な噂も聴くし、何事も無いとは限らんからなぁ。 期待してるぜ、冒険者さん方!」
行商人が振り返り、荷台に乗った猟兵たちにからからと笑う。
がたりごとりと音を立て、馬車はゆっくり目的地に向けて歩みを進める。
港町にて護衛の任に就いてから、早や数時間といったところか。
荷台に積まれた木箱には、品名や品数の記された札が付けられている。
興味を持って問う者がいれば、砂と岩に覆われた異国の地より届けられた物だと行商人は教えてくれるだろう。
穏やかすぎる時間に退屈し、ひょっこりと馬車から顔を出すのもいい。
湿気を含みつつも爽やかな風は、ふわりと緑の匂いを運んでくる――。
「ん、あれは?」
行商人が馬車を止めた。
遠くの空から沢山の何かが近づいてくることに気づいたゆえだ。
大きな翼のそいつらは、一直線にこちらに向かってきている。
ぎらぎらとした視線で、地を這う獲物に狙いを定めて。
「嘘だろ……モンスターだ!」
荷台から飛び降りて、猟兵たちは馬車を背にして迎撃態勢に入る。
行商人は怯える馬を必死に宥めようとしているが――オブリビオンの放つ冷気が、すぐそこまで迫っている!
リオン・マスターズ
俺は馬車じゃなくてゴンに乗っていくよ。にしても、オブリビオンが来ると分かっちゃいるけど、こうゆったり進んでると眠くなってくるな……ムニャムニャ……ってオブリビオン来てるし!?こうしちゃいられないぜ。俺たちの出番だぞゴン!
【マジック・エンチャント】で火属性を召喚剣に付与して攻撃力を高めるぜ!あいつら炎に弱そうだしついでに寒さ対策にもなるしな。
そんじゃ、ゴンに【騎乗】したまま突撃するぜ!まずは馬車に近づかれないように剣を振り回して追っ払う。氷凝鳥が攻撃してきたら【カウンター】の斬撃をお見舞いしてやるぜ!
紅狼・ノア
*アドリブ・絡み歓迎
いい風だねぇ
こうも気持ちいいと眠くなるなぁ(うとうと)
ん?もうお出まし~?【第六感・野生の勘】
しかも数多いねぇ面倒だな
さでと鳥狩りでも始めるかねぇ…なぁガルム(ガルム召喚)
行商人は巻き添え喰らわないよう気を付けなよ
あの鳥達をどうやってこっちに注意を引き付けよう…たしか宝石とかに目がないだっけ?
宝石・魔石が確か…前にゲットしたのか…あった!これで引き付けてみるか
ガルム、氷柱雨が来たら闇の矢で打ち消せ
【オーラ防御・凍結耐性】
隙をみて【目立たない・暗殺】をしようかな
固そうだから【怪力】を駆使しダガーで仕留める
不意打ちでも【カウンター】で対応
ガルムと共に狩っていくよ!
リュカ・エンキアンサス
積荷が狙われるのは困るよね。死活問題だ
とりあえずバイクで、モンスターと馬車の間に割り込んで、
そのまま銃で掃射する
このバイク古いから、結構音がなるんで
注意を引くことが出来たら、いいのだけれど
後はなるべく音を立てながら派手に撃って
行商の人は引くように呼びかける
…早く逃げて
どうしても動かないようなら、騎乗で運転をかわるけど、それは最終手段だ
後は時間を稼ぎながら、馬車に近付くやつから落としていくよ
氷柱雨も、なるべく銃で撃ち落すことができたらいい
それでも間に合わなくなってきたら、絶望の福音に頼る
いつもは遠距離から撃つけれど、
今日は最初から、ずいぶん近いな
…これは、生きるために必要なものだ
渡さないよ
●
晴れ渡る空、涼し気な風。
このままお昼寝日和が続いたならば、皆が幸せだっただろうに。
「嘘だろ……モンスターだ!」
恐怖と狼狽に満ちた声を聴きつけて、二人の猟兵がほぼ同時にびくりと飛び起きた。
「ん? もうお出まし~?」
ひょこっと荷台から顔を出した紅狼・ノア(f18562)の顔つきが、眠たげなものから獣じみたそれへと変わる。
近づく羽音を捉えた獣耳が、反射的にぴんと前を向く。
「……うわっ!? こうしちゃいられないぜ!」
リオン・マスターズ(f17612)もオブリビオンの群れを前に、相棒たる巨竜の背の上で姿勢を正し。
「俺たちの出番だぞ、ゴン!」
名前を呼べば、巨竜はくわっと大口を開けて応え、どすりどすりと駆け出した。
「数多いねぇ、面倒だけど……僕らの連係プレーを見せてやろう」
なぁ、ガルム。
リオンと同じくノアもまた、絆結んだ仲間の名を呼ぶ。
応えるは忠実なる唸り声、現れるは主とよく似た色の翼狼。
幻獣・ガルムの背に飛び乗って、ノアも戦いへと身を投じる。
「あ、あ……」
勇ましく前に出る若人たちを目の当たりにしても、行商人は未だ恐怖に青ざめたまま。
彼を正気へと引き戻したのは、古びたバイクのエンジン音と。
「……早く逃げて」
それを駆る少年――リュカ・エンキアンサス(f02586)の落ち着いた声だった。
「積荷も、おじさんの命も。あいつらには渡さないから」
任せて、と。
真摯な青い瞳に、行商人は頷き返してただ一言。
頼む、と。
エンジン音だけを残してリュカが去った後には、馬を宥め始める行商人の姿。
もう大丈夫。
猟兵が為すべきは、オブリビオンに未来を食わせぬため動くのみだ。
高く高く、氷凝鳥が鳴く。
その声も、青き羽も、身体の所々を覆う結晶も。
惚れ惚れする程に美しい――こちらを狙って、鋭利な氷晶体をばらまいたりしなければ。
「ガルム、闇の矢で打ち消せ!」
翼狼に氷の対処を任せ、ノアは懐をごそごそと探り。
「前にゲットしたのが……あった! ほら、欲しいか? 欲しいか?」
取り出した宝石を掲げてみれば、オブリビオンの幾多の視線が少女へと惹きつけられる。
それは地に在るリュカにとって、この上ない好機であった。
雨霰と降り注いだ氷柱があちらこちらに突き刺さる中――10秒前に視た其処に立ち、少年は銃を空へと向ける。
(「今日は最初から、ずいぶん近いな」)
一羽、また一羽。
断末魔の声を上げ、氷凝鳥が落ちていく。
物欲を駆り立てられつつも、流石に生命の危機を感じ取ったか。
リュカを忌々し気に睨み付けた一羽が鋭い爪を立て、そのまま素早く舞い降りてくる。
接近を許してしまっていたら、少年は引き裂かれていたかもしれないが。
この戦場にいる猟兵は、ひとりではない。
「させないぜ! ゴン、突撃だ!」
割り込んできた巨竜が、角で突き上げるように爪撃を受け止めて。
「さーて、今回は……炎属性一択だな! 食らえ!」
その背でリオンが振るう剣が氷凝鳥の足を切り落とす。
ぼとりと地に落ちた足、その結晶部分がじゅうじゅうと音を立て溶けていく。
炎は確かに、敵への有効打と成り得るようだ。
怒りと憎悪に満ちた声を上げるオブリビオンども。
不穏なその音を掻き消すかのように。
(「人が生きるために必要なもの……絶対、渡さないよ」)
リュカがバイクを大きく唸らせ――馬車とは反対方向に走り出す。
少年を群れの脅威と見なした幾ばくかが、後を追って飛んで行く。
派手なエンジン音、炎の剣を振り回しての威嚇。
双方に気を取られた氷凝鳥どもは、重要なことを忘れていた。
この場に猟兵は、三人いることを。
(「……隙ありっと」)
さくり。
音もなく敵に近づいた翼狼の背の上、ノアが握ったダガーを滑らせる。
無言のまま地に落ちた獲物を見やり、人狼の少女はにやりと笑って。
(「馬車の方は人手も足りてそうだし、僕はあっちのお手伝いかな」)
幻獣の背を軽く撫で、バイクに釣り出された鳥の対処に向かっていった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
マリン・ルベライト
ようやく私達猟兵の出番だね!
確か相手は宝石とかに目がないんだよね?
ならこれはどうかな?と腕や肩の宝石がよく見えるようにして敵の気をひくよ。
戦いが長引くと被害が増えてよくなさそうだからこちらから先手を打とうかな。
【高速詠唱】で【付与魔法・属性(炎)】を素早く発動。
矢を放ち続けて敵の自由を奪うよ。
敵が反撃してきたらなるべく【見切り】で回避、どうしても回避できなさそうなものは矢で相殺、もしくは【盾受け】で受け流すよ。
なるべく馬車や行商人さんに注意を向けながら戦わないとね。
守ると決めた以上は一歩たりとも引かないよ!
シャルロット・クリスティア
冷えますね……身体が凝るのは、狙撃手としてはあまり好ましくありませんが。
ですが、鳥を落とす程度の事ならば!
馬車の中から狙撃します。距離があっても私の銃なら届きますし、こっちに向かってくるのならその分当てやすい。
それに……安易に積荷を狙うのが危険と分かれば、狙いを他に変えてくるでしょう。
仮に私に狙いをシフトしたのなら、馬車から降りて前線の猟兵と合流に向かいます。
基本的には無理に攻め急がず、積荷や馬車狙いの敵に絞って撃ち落としていきます。
不用意にヘイト稼いでも良いことないですからね。
馬車は下げてください!安全圏まではこっちで迎撃します!
揺れる?その程度で狙いはブレませんよ!
●
「どうどう……よーし、大丈夫だからな」
猟兵たちの行動は、行商人が馬を落ち着かせるまでの時間を生み出すに十分であった。
「このまま馬車は下げてください。安全圏に逃げおおせるまで、敵は私たちがしっかり迎撃します!」
シャルロット・クリスティア(f00330)の力強い言葉に、行商人は頷いて。
「ああ。戦いなんざ、俺の専門外だからな。お前さん方の邪魔にならんようにするよ」
苦笑交じりに手綱を握りなおす。
彼自身もだいぶ落ち着きを取り戻し、自身にできることに注力することにしたようだ。
「しかし、お嬢さんよ。其処にいてくれるのは心強いんだが」
少しばかり揺れるかもしれないと。
そう付け加える気遣いに、金髪の少女は礼を述べて。
「大丈夫です! その程度で狙いはブレませんよ!」
愛銃を手に、明るく答える。
その言葉通り、狙いはけして外すつもりはない。
一羽たりとも、逃すつもりはない。
馬車の方向を時折伺いつつ、マリン・ルベライト(f08954)は氷凝鳥の一群に立ち向かう。
意図的に腕や肩を露出して、敵の目に留まるように。
(「宝石とかに目がないのは、本当みたいだね」)
彼女の種族はクリスタリアンである。
露出して見せた部位には身体を構成する紅電気石が美しく輝き――その輝きに魅入られた鳥が、わらわらと集まってくる。
(「うまく引き付けられたのはよかったけど、だいぶ数が多いね」)
戦いが長引いた場合、被害が馬車に及ぶ可能性も捨てきれない。
ならばこちらから先手を打つべきと、少女は素早く判断し言霊を紡ぐ。
「炎の精霊・この矢に加護を・敵を焼き尽くす力を!」
守護の意思に乗せ、解き放つは数多の炎の矢。
突然に出現した炎に驚いて、鳥の群れは一斉に羽ばたき空へと逃げていく。
しかし、マリンに些か接近しすぎていたか。
幾体もが逃げきれず、こんがりと丸焼けになって地に落ちた。
高く高く、氷凝鳥が鳴く。
天高くからマリンを――紅電気石を睨みつける。
一点に集中するは魅入られし者のそれでなく、獲物を狙う視線。
だが、少女は臆さない。
「守ると決めた以上は、一歩たりとも引かないよ!」
堂々と啖呵を切ったマリンへと、オブリビオンが爪を向けた瞬間。
銃撃音。
氷凝鳥が力を失い、大地へ声もなく落ちていく。
混乱して飛び回る群れの一羽が落ち、また一羽落ちる。
一体、何処から。
その答えをマリンが導き出すのは早かった。
戦いの間中ずっと、“そこ”に気を配っていたのだから。
戦場から少しずつ離れていく馬車の荷台で。
シャルロットは狙撃にて、天を舞う敵を地に落とす。
(「彼女が注意を完全に引き付けてくれたのは幸いでした。でも……」)
戦いでは努めて冷静にと心掛けているシャルロットだが、氷凝鳥がマリンを見下ろす様を見たときは流石に寒気がした。
人を人とは思わぬ視線――オブリビオンが見せるそれには、覚えがあったから。
(「……そろそろ、私の存在に気付かれてしまってもおかしくないですね」)
シャルロットは武器を手に荷台を飛び降りる。
目指すは前線への合流。
けして、仲間を敵にやらせはしない。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ニコリ・ニッコリ
宝石が好きなのはボクと一緒だね。けど、行商の人たちが襲われて交易できなくなっちゃうと、ボクが街で盗む宝石も少なくなって困っちゃうよ。今回は宝石を盗むんじゃなくて、宝石や行商の人たちを守らないとね。
まずは行商の人たちを巻き込まないように。積み荷の中の魔石や鉱石をいくつか盗……むのは今回は我慢だね。ちょっとだけ借りて、それを見せびらかしながら、他の人が行商の人たちを避難させたのと他の方向に走るよ。
戦うのはそんなに得意じゃないから、行商の人たちと鳥達を出来るだけ引き離すのを優先して仲間の支援を待つけど、危なかったら「ウィザード・ミサイル」で反撃するね。
鈴城・有斗
宝石を狙う、か。
都合が良いことに、以前別の依頼で手に入れたまま使い道の無かったエレメンタルバットの核石があるんだよね。
光属性でキラキラしてるから、こいつを空にばら撒けば敵の気を少しは引けるはず。
まずは行商人と馬車をバリアを展開して守りつつUCアイテムボックス(仮)から核石をばら撒いて敵の気を逸らす
攻撃するのはまだ馬車を狙ってくる奴から
UCダークハンドを腕に纏わせ、腕を振るのに合わせて伸ばし、鞭の様に敵を打ち据える
核石を取り込み柱状にした「影」に近寄ってきた敵を周囲に影の檻を作り閉じ込める
檻に閉じ込めた敵は檻ごと柱から離し周囲を空ける
核石と敵の死体は後で回収します
勿体ないからね
アドリブ・連携歓迎
●
「ねえねえ、おじさん。これ、借りてもいい?」
馬車が後退を始めた直後。
荷台に待機していた一人、ニコリ・ニッコリ(f21084)が行商人に声を掛ける。
「ん、いや。そいつの中身は商品だからな。そっちの――」
その意図を汲んで彼が指差した先には、また別の箱。
ニコリが中身を確認すると、そこには掌に乗る程の小さなケースがずらり。
どうやらディスプレイ用の標本であるらしいが、紛れなく本物の鉱石が収められている。
「ありがとう、後で返すね」
「ああ、頼むぞ。坊ちゃん」
人懐っこい笑顔で応じ、ニコリは標本を手に荷台から飛び降りる。
今回は失敬するのは我慢して、オブリビオンの対処に集中しよう。
自分の本業のためにも、必ず護るべきものを護らねば。
「宝石を狙う、か。都合がいいことに」
迫り来る氷凝鳥の一群に立ちはだかる鈴城・有斗(f18440)は。
「ちょうどいいものを持ってるんだよね!」
上空に向けて勢いよく何かをばら撒いた!
青い空へ昇っていく小さな粒。
光の属性を持つそれは、自らきらきらと輝いて。
太陽の光を受けて、さらに眩さを増していく。
興奮した様子の氷凝鳥どもが、有斗の頭上をぐるぐる周る。
彼が撒いたのは、かつて手に入れたというエレメンタルバットの核石だ。
宝石や魔石に目がない性の今回の敵の気を引くに、まさにうってつけの素材というわけである。
「まだ馬車を狙っている奴は」
「いないみたいだよ」
別の一群を引き付けながら合流してきたニコリの報告に、有斗は静かに頷いて。
「それなら、一網打尽にしようか」
影よ。
呟くと、有斗の腕を基点に影がするすると纏われる。
そのまま腕を大きく振るえば影は鞭の要領で撓り、飛び回るオブリビオンを絡めとっていく。
「後は閉じ込めるだけ……っ!」
しかし、鳥はギャアギャア激しい声で喚き、抵抗の姿勢を崩さない。
猟兵たちを睨み付けたかと思うと強い冷気を放ち――鋭利な氷の雨が降る。
「まずいっ!」
「ボクに任せて!」
迎え撃つはニコリが放つ、炎を宿した魔力の矢。
未だ天高くに在る鳥までは届かぬものの、少年二人を氷柱雨から守るには十分な威力だ。
「助かったよ。おかげで」
仕込みも完了――そう言葉を紡ぐ有斗とニコリの周囲に、影の柱が立っていて。
鞭に巻き込んだ氷凝鳥を取り込めば、あら不思議。
影の鳥籠の完成だ。
「安全を確認した後にでも、核石と敵の死体を回収しよう。勿体ないからね」
籠の中から聴こえる鳥の怒声に、やれやれと肩を竦めながら呟く有斗へと。
「それと、お兄さんがさっき撒いてた石もね。あ、ねえねえ。あの石のこと」
良かったら詳しく教えてよ。
ニコリはそう、天使の笑顔で教えを乞う。
心の内に、盗賊としての本性を隠したままに。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
弦月・宵
(遠くにいる時は、飛来する鳥の群れを見上げている
宝石もヒトもじっと眺めているのが好き)
太陽に照らされてキラキラ…キレーな鳥たちだね
もっと見ていたかったけど、討伐するのが仕事だから
UC:ブレイズフレイムを刀にのせて戦うよ!
斬る時の他に、ある程度近づいてきたら斬撃に炎をのせて飛ばす
観察は力溜めしつつね
刀に付いてる玉や羅刹の角がおびき寄せに有効なら、
目立つように日に照らして活用する
逃げ遅れているヒトや馬を守る為なら、鞘を投げて気を引くくらいするよ
じゃなきゃ戦いながら距離を放したほうが、オレとしては遠慮なく戦えるんだけどな
そこは戦況を見ながら判断
フェイントと、攻撃を受けた後のカウンターは常に狙ってる。
小宮・あき
後衛火力型、前衛さんがいらっしゃれば、連携を希望します(アドリブ歓迎)
行商人に声を掛け、下がって貰うよう頼みます。
「早期決戦の為にも、早く避難を! 商人ならば、自分の命が一番でしょう!」
同じ商人。荷を気にする気持ちはよく判りますが、商人だからこそ価値も判るもの。
自身が生存する事が最も有益な経済行動だと、まともな商人なら判る筈。
盾になるよう布陣し、UCを展開します。
UC【愛雨霰】
「似たような技を使うのね。全部、撃ちぬいてみせる!」
マスケット銃(47本数)を【念動力】で操作。
飛んでくる結晶体を【一斉発射】【零距離射撃】【スナイパー】で撃ちぬき。
銃を2本クロスさせ【武器受け】で敵の行動を阻害。
●
その鳥は美しかった。
空に溶けていきそうな色彩の翼も。
陽光を受けて輝く結晶も。
飛来す氷氷凝鳥の群れに見惚れる弦月・宵(f05409)の耳に、誰かの足音が届く。
「馬車は戦闘区域から離脱しました」
宵のやや後方にて足を止めた少女――小宮・あき(f03848)の瞳には、あの鳥はどのように映っただろうか。
「……もっと見ていたかったけど」
分かっている。
自分たちの仕事は、奴らの討伐であると。
青玄の刃を宵が抜いたとほぼ同時。
高く高く、氷凝鳥が鳴く。
透き通った声に乗せて、氷柱雨が飛来する。
「似たような技を使うのね。全部、撃ちぬいてみせる!」
銃撃音と共に、マスケット銃が火を噴いて迎え撃つ。
ぐるりと数多の銃を侍らせ、あきはその一つひとつを念で操作し氷柱を正確に撃ち落とす。
落とすよりかは受けた方が早いと判断した氷柱は、弾を吐き出し終えた二丁を盾にし対応する。
後には退けない。
自分たちの遥か後方には、護衛対象たる行商人がいるのだから。
彼は他ならぬ、この世界の営みを回す一人なのだ。
その生存こそが最も有益な経済行動であると、あきは強く理解している。
なぜなら、彼女もまた商人であるからだ。
「商人ならば、自分の命が一番でしょう」
銃声の共に、一羽が地に落ちる。
あきの操る銃撃が、遂に敵に届くところまで。
高く高く、氷凝鳥が鳴く。
雨霰と注ぐ銃弾に射抜かれるのも厭わず、急降下してくる奴がいる。
鋭い爪を立てて、獲物の命を狩り取らんと。
「させるかっ!」
気迫を乗せた呼吸と共に、地獄の炎が敵を薙ぐ。
残心。
一拍置いて、宵とすれ違った鳥はばっさりと二つに分かれて地に落ちる。
種族を示す黒曜石の角、刀に付いた玉、真っすぐな金の瞳が陽光を反射し強く輝く。
反りの少ない背負い太刀を、構え直して力を溜めて。
「こっちにおいで。近くで眺めてみたいんだ」
敵を目掛けて思い切り、炎を纏わせた刃を振るう。
元は大群であった。
しかし行商人への指示も敵の分断も氷への対策も、その判断全てが的確で。
馬車にまで被害を及ぼすことなく、猟兵たちは氷凝鳥どもの対処に成功したのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 ボス戦
『氷皇竜メルゼギオス』
|
POW : アブソリュート・ゼロ
【物体を一瞬で分子レベルまで氷結させる冷気】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD : アイシクル・ミサイル
レベル×5本の【標的を高速追尾する氷結】属性の【鋭く尖った氷の棘】を放つ。
WIZ : アイス・リバイブ
全身を【無限に再生する氷の鎧】で覆い、自身が敵から受けた【負傷を瞬時に回復し更に負傷】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
●氷竜、顕現
最後に残った一羽を、骸の海に返したのは誰だったろう。
ついさっきまで戦闘音の響いていた其処には、何事もなかったかのように穏やかな風が吹いている。
戦いの始まる前と違うことといえば、氷凝鳥の亡骸から抜け始めた氷の魔力が辺りに満ちていることくらいだろうか。
その異変に最初に気づいたのは誰だったろう。
不穏な気配がしたかと思うと、拡散し始めていたはずの魔力が急に収束していき。
形を成して、姿を現す。
氷凝鳥の数倍に渡る体躯。
体中から突き出した氷晶。
荒々しく、邪悪な赤い瞳。
アックス&ウィザーズをよく訪れる者なら、聞き及んでいるかもしれない。
かつて勇者の一行に倒されたという竜の一体・氷皇竜メルゼギオス。
目の前の竜は、そいつの特徴に酷似している。
何故ここに姿を現したのか。
こいつは本当にメルゼギオスなのか。
定かではないが、確かなことが一つ。
竜は紛れなくオブリビオンであり、本能に掻き立てられるまま猟兵を狙っているということだ!
紅狼・ノア
*アドリブ・絡み歓迎
ふぅ~終わった…⁉
なんだこの感じ…さっきよりも強い気配がする【第六感・野生の勘】
おいおい竜かよ
しかも冷気がすごい…まぁ僕には効かないけどな【凍結耐性】
追跡の氷荊の対策は…【仲間との連係】でガルムの闇の矢・ダガーを投げたり切ったりで防ぐ…【オーラ防御】で軽減
ん?再生するのか?まじかよ
しかも瞬間に再生し攻撃力増・生命吸収…
一か八か…ガルムと共に神速【部位破壊・怪力】力を利用し爪・ダガー・牙で破壊
目で見えぬ速さで同時破壊をかます
再生する瞬間を与えさせない…再生するには体力が必要だからね
再生する箇所が多ければ体力を根こそぎ消費するだろう
少しでも時間与えたらダメ
速さが重要!
シャルロット・クリスティア
また厄介なのが出てきましたね……!
メルゼギオス……話だけは聞いたことがありますが、こんなところで遭遇するとは!
耐久力も攻撃力も相当なもの。必然的に持久戦になるでしょう……。
ならばこいつです。邪毒弾で、内側から弱らせていく。
【目立たない】ようにタイミングを伺いつつ、隙を見せたらすかさず【早業】の【スナイプ】を。
狙うは甲殻や氷の鎧の隙間、もしくは氷で傷を塞ぐ前に。
一発で良い。確実に身体の中に叩き込む……!
確実に当てるのが第一です。基本は攻め急がず、回避を優先。
盾代わりになるような岩や木々など、上手く【地形を利用】出来れば良いのですが。
●
ようやく一仕事を終えた。
ほっとひと息ついたノアは、次の瞬間、反射的にぶわりと毛を逆立てる。
(「なんだこの感じ、さっきよりも強い……」)
それは、ノアを背に乗せたガルムも同じ。
幻獣が威嚇の声を上げる先で、気配の主はみるみるうちに受肉し――現れるは、巨躯の氷竜。
「また厄介なのが出てきましたね……! こんなところで遭遇するとは!」
氷皇竜メルゼギオス。
シャルロットが口にしたその名を知る者は、果たして幾人いただろうか。
「耐久力も攻撃力も相当な相手です!」
気を付けて、と。シャルロットが仲間に促すのと、オブリビオンが動くはほぼ同時。
大きく息を吸い込んだ竜が咆哮を上げたかと思うと、その身体を覆う氷の棘が次々と撃ち出される!
「ガルム!」
ノアが一たび名を呼べば、幻獣は小さく喉を鳴らし、翼を広げて降下する。
地面すれすれを滑空すれば、追って迫り来る氷晶体は幻獣の航跡をなぞるように地に点々と突き刺さっていく。
(「すごい冷気だ……まぁ」)
ダガーと闇の矢を受けて軌道が逸れた棘の一本が、地面に深々と刺さったのを確認し。
「僕には効かないけどな!」
ノアとガルムは再び空高く舞い上がる。
一か八か。神速で接近し、氷竜の喉笛を目掛けて。
幻獣の鋭い爪と、少女の握る刃がきらりと陽光を受けて光る。
きぃんと高い金属音。
間近には邪悪な赤い瞳と、美しく透き通る竜爪。
速攻狙いの一撃こそ、防がれてしまったが。
竜の動きが止まった一瞬は、仲間にとっての好機となった。
銃撃音、小さく揺らぐ竜の首。
ぎろりと睨む赤い視線の先には、大地に刺さったままの氷晶――その影に身を隠し、銃口を向けるシャルロットの姿。
忌々し気に竜が吠える。
だが先ほどのように、咆哮に乗せて放たれる氷の棘は一本も無い。
棘の付け根に穿たれた弾痕を見れば、そこからじわじわと黒い何かが広がって腐食していっている。
「三種の猛毒……耐えきれますか?」
苦しむ竜に小さく呟き、シャルロットは次の一射のために駆けていく。
狙うは甲殻や氷の鎧の隙間、一発を確実に体内へ。
冷静なる射手は、思考と歩みを止めることはない。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リュカ・エンキアンサス
すごいな
なんだかよく解らないけれども、かっこいい姿をしてる
竜って言うより、トカゲっぽいな、とか
割とテンションは上がってるんだけれども、顔には出さずに銃を構える
基本はあまり近付かずに、遠距離からの射撃
一斉掃射と、援護射撃で、他の人たちとも可能なら連携して、ひとつずつ着実に屠っていきたい
アイシクル・ミサイルは可能な限り撃ち落す
無理そうなら、岩とか木とか、なんでもいいけどそういうものの影にもぐりこんで盾に出来たらいい
相手が隙を見せたら、一度だけUCを使用
…とっておきだから
そうだね。相手をよく見て、学習して、
弱点っぽい場所を見つけることができたら、そこに叩き込む
難しそうなら、あの目を狙おうか
●
戦場に在っても、リュカの静かな表情は常と変わらない。
しかし、もしも少年の瞳を覗き込む者がその場にいたら、彼の心がくすぐられていると気がついたことだろう。
よく解らないけれども、格好いい。
竜というよりも蜥蜴に近い気がする。
そんな純粋に湧き上がる想いが、蒼炎のようにゆらゆらと揺れ――。
悔し気な色を滲ませた竜の咆哮が、リュカを現に引き戻す。
穿たれた毒にさらに蝕まれることを厭わずに、オブリビオンはまた氷の棘を辺りへ一面へばら撒いていく。
猟兵を仕留めるためならば、なりふり構わぬつもりらしい。
「……っ!」
少年の指が引き金を引けば、銃撃の音に合わせるように氷晶が軌道を変えて飛んで行く。
大地に刺さった一本の影に身を隠し、仲間へと迫る棘を正確に撃ち落としながら、リュカは敵の動きを観察する。
一発の弾丸でより効果的に、竜の牙を折るためには。
思考を巡らせ、狙いを定める。
まずは一発、そして。
「……星よ、力を、祈りを砕け」
星飾りが、揺れる。
竜が殺気に気づくのと、銃撃音が響くのとはほぼ同時。
巨体が僅かに動いたかと思うと、一発の弾丸が毒の広がりゆく弾痕から僅かに逸れて弾かれていく。
甘い。
口元を歪め、弾の軌跡の方へと頭を向ける氷竜だが――再びの銃撃音と共に、その視界が大きく欠ける。
轟くは咆哮でなく、悲鳴。
赤い眼の片方を潰された竜が、痛みに苛まれ暴れ回る。
うっかり潰されてしまわぬように、もう少し距離を取るべきだろう。
その身に刻まれた経験より答えを迅速に導き出し、少年は愛銃と共に戦場を駆けていく。
大成功
🔵🔵🔵
鈴城・有斗
相変わらず凶悪そうな顔してるな。
っと、戦闘の余波でどっか行かない内に石回収しとかないと。
せこいとかは聞かない、お金は大事。
まずは先の戦闘で使った核石とついでに残ってるなら鳥の死骸もUCアイテムボックス(仮)に回収
敵の攻撃は、バリアもあるけど手が塞がるからUCダークハンドで積層状の「影」の壁を作り上げて時間稼ぎ
回収終わったら、ようやく本番だ。
両手足に「影」を纏わせる
足の影は弾力を利用した跳躍や衝撃吸収
手の影は鋭いカギ爪状に
必要なら影を鞭の様にしならせ伸ばす事も出来る
影を伸ばし相手の体に組み付いての超接近戦を狙う
影は体中どこからでも出せるので手足以外からアンカー状にして体を掴む
アドリブ・連携歓迎
マリン・ルベライト
魔力が集まって敵に…。
あの魔力の量からしても強敵なことは間違いなさそうだね。
でもなんとしてもここで倒さないと!
ルーンソードに炎を纏わせて【属性攻撃】!【高速詠唱】で素早く纏わせて【全力魔法】で火力を上げるよ!
猫ちゃんを召喚して【キトゥン・エンハンス】でルーンソードをさらに強化するよ。
敵の攻撃はルーンソードで相殺するか【スライディング】で回避、【2回攻撃】で手数も増やすよ。
これが今の私の全力の攻撃!
さあ、行くよ!
●
影を器用に操作して積層状の壁を形作り、氷の棘から身を護りながら有斗は核石の回収に勤しむ。
先の戦闘で使用した手持ちの石に加え、竜までの間に手を付けていた氷鳥の分も失敬して。
一先ず、目の前の脅威を退けるに十分な戦力を補充したところで。
二発の銃撃音に続いて、竜が激しく暴れ始める。
どうやら仲間の誰かの攻撃で、片目を潰すことに成功したらしい。
「よし、ようやく本番だ」
「うん、なんとしてもここで倒さないと!」
両手足に影を纏わせた有斗と、剣に炎を宿したマリン。
二人は同時に地を蹴って、強大な竜へと向かっていく。
だが氷竜も、大人しく猟兵の牙に穿たれる時を待つばかりではない。
付けられた傷の上に重なるように、竜の身体を分厚い氷の鎧がみるみるうちに覆っていく。
氷鎧は徐々に広がって、やがて巨躯を駆け上がる二人の下まで至る。
組みついていた影爪をアンカー上に変化させ躱す有斗。
剣に纏わせた炎の熱にて凍てつく気を相殺し、真っすぐに駆け続けるマリン。
遂には二人の猟兵と、竜の残された赤眼の視線が交錯する。
「相変わらず凶悪そうな顔してるな」
影と解き放つとともに有斗が送った言葉は、果たして竜に届いただろうか。
大きく広がる影に視界を阻まれ、オブリビオンは鬱陶し気に爪を振るう。
しかし、猟兵の姿を捕らえきれぬ攻撃の回避は容易であった。
竜から生えた氷棘と振るわれた爪の僅かな隙間に滑り込んだマリンは、素早く立ち上がって敵へと向き直る。
「おいで! 私のかわいい相棒!」
呼び声に応えて姿を現すは、少女と同じくルベライトで形成された猫。
赤く眩い輝きが、剣の炎を、マリンの心をより強く燃え上がらせる。
「これが今の私の全力……さあ、行くよ!」
気合に乗せて、放たれた斬撃は二つ。
初めのそれは炎で形作ったもの。氷鎧をも溶かし、竜の体表を露わにする。
後に続いたそれは、熱を帯びた剣によるもの。露わになった箇所に、深々と突き刺さり――。
ぴしりと亀裂が走ったかと思うと、氷鎧はがらがらと崩れ去り、辺りに冷気が逃げていく。
凍てついた戦場の中、未だに竜は在り続けている。
傷だらけの身体がいつまで持つかは、既に時間の問題であろうが。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
小宮・あき
氷凝鳥と似たような攻撃をするのね。(敵SPD行動)
アドリブ・連携歓迎。
前衛さんが居る場合は、連携サポートに動きます。
(後衛・火力型)
UC【愛雨霰】
「全て打ち抜く!」
マスケット銃を【念動力】で操作。
本体と氷の棘に向けて、半々の本数になるように調整。
本体へは【一斉発射】【援護射撃】【零距離射撃】をしたかと思えば
【フェイント】【だまし打ち】をしてみたり【スナイパー】で狙い打ったり。
銃をクロスさせ【武器受け】で進行を防いだり。
氷の棘は【スナイパー】で打ち抜きましょう。
耐性:氷結・呪詛・激痛
周囲の様子は【視力】【聞き耳】【第六感】【野生の感】で気を配る。
【回避】は脚武器の【ダッシュ】と併せて軽やかに。
弦月・宵
伝説上の帝竜…その一端……かもしれない誰かさん。
はじめまして。
禍々しいはずなのに雄々しくてキレイだと思うのは、いけないことかな。
でも、出会えて嬉しいよ。そして、サヨナラ。
UC:羅刹旋風を使用
装備の破魔と耐性を信じて迎え討つよ。
振り回しついでに溜めた力で鎧のようなその鱗ごと砕いてやる!
外れたからってそれで終わるつもりはないからね。
凍りついて体が動かなくなる前に、帝竜に一矢だろうと報いてみせる。
二度でも、何度でも。剣を持てる限りオレのやることは一つ。
(真の力を一部解放
両腕に這う朱墨の印は羅刹痕で、ブレイズキャリバーの炎を放出する。
開放中は戦闘以外に興味を無くすので防御の体勢を自主的には取らない。)
●
砕けた氷鎧より漏れ出した冷気が、よりいっそう強くなっていく。
白く煙る大気の中で、氷竜が首を擡げる。
その赤い瞳に、強い殺意を宿したままに。
咆哮。
竜の足元から、大地が凍り付いていく。
宵は確かに感じた。
禍々しいと。
だが、雄々しく美しいと。
「伝説上の帝竜……その一端……かもしれない誰かさん」
太刀を大きく振り回せば、地獄の炎が辺りを包む。
冷気と、熱と。
ぶつかり合ったその跡に、再び姿を現す羅刹の少女。
両腕に這う朱墨の印より、吹き出す炎は闘志の証。
剣を手にする限り、弦月・宵の在り方はひとつ。
「はじめまして」
強く踏み込む。
ただ、目の前の敵を討ち果たすため。
力を溜めた斬撃は、相当の破壊力が期待できるものである。
しかし、あまりにも大振りなそれは、傷付いた氷竜といえども躱せる程の動き。
一、二、三。
躱されては薙ぎ、薙いでは躱され。
それでも諦めずに攻撃を続ける少女に、遂に反撃の刃が向けられる。
体表近くまでひび割れた竜の棘が放たれ、先端を宵へと向けて飛んで行く。
護りの構えを忘れた羅刹は、そこで散るかもしれなかった。
「全て打ち抜く!」
凛とした声と激しい銃撃音に続いて、氷晶体は宵を穿つ前に一つ残らず砕け散っていく。
その場にあきがいたからこそ、宵は最後まで戦場に立っていられたと言っていいだろう。
雨霰と注がれる銃撃は、仲間を守り抜くに留まらない。
あきが操るマスケット銃の銃口の半分は、真っすぐに敵へと向けられており――。
氷竜が、天を仰ぐ。
時が止まったかのように動かぬ身体には、数多の風穴が空いている。
深手を負った巨躯で、銃による連撃の対応などできやしない。
危険は無いと感じ取り、あきはそっと竜の身体を撫でる。
冷やりとしたのも束の間、滑らかな感触の奥から微かな鼓動が伝わってくる。
竜の視線の先を追えば、己の瞳と同じ色の空。
しばし瞑目し、あきは何も言わずに後ろに下がる。
入れ替わるように進み出るは、宵。
手にした剣を持ってして、目の前の氷竜へ為すべきことは、ひとつ。
「出会えて嬉しいよ。そして、サヨナラ」
*****
氷竜を砕くには、一太刀で十分であった。
がらがらと音を立てて崩れた残骸から、それを形作っていた魔力が抜けていく。
邪悪な魂は骸の海へ、魔力はこの世界へと還り。
後に残されるは、未だ手つかずの氷鳥の亡骸。
そして、ひび割れた竜の赤い瞳の欠片。
吹き渡る風は、戦いの前よりも何処かあたたかい。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『とある町での一幕』
|
POW : 賑やかな場所に行ってみる
SPD : 穴場を探してみる
WIZ : 商店や市場を見て回る
|
●旅先の日常
湖の街の商業ギルドは、街の中心部に存在する。
「お前さん方のお陰で助かったよ。本当にありがとうな」
諸々の手続きを済ませて戻ってきた行商人が、猟兵たちに改めて礼を言う。
積荷の確認のほか、道中で遭遇した一部始終を報告したところによれば。
件の氷鳥どもは最近、この街にも時おり姿を現して大なり小なりの被害を齎すことがあったのだという。
「酒場の方に退治依頼が出されてないか、確認を取ってくれるとさ。そうそう、竜退治の分も報酬が出るかもしれないぞ?」
モンスターによる事件を解決すれば、退治を依頼していた者から報酬が出されるのがこの世界のセオリーだ。
「しかし、ちょっとばかり時間が掛かるだろうな。街の観光でもしてきたらどうだ?」
ギルドの建物を出れば、大きな噴水が目に留まる。
日の光を受けてきらきらと輝く水は、透明で清涼なもの。
たくさんの人々が行き交う広場の一画からは、賑やかな音楽が聞こえてくる。
どうやら旅芸人の一座がやってきているようだ。
ふわりと漂う良い香りは商店街からか、それとも近くの屋台のものか。
露店で扱っている品々に、珍しいものはあるだろうか。
遠くに広がる雄大な湖は、人々の営みを優しく見守っているかのよう。
さて、この街でどう過ごしたものだろう?
紅狼・ノア
任務無事完了だね!
ん?竜退治の分ももらえるの!やったー‼
観光でもって言われたけど…どうしようっかガルム
(肩に乗れるくらいのサイズに変化したガルム)
穴場でも探してみるか?【第六感・野生の勘】
面白いの見つかればいいなぁ~
あと市場にも寄ってみるか
どんな出店が出てるのか気になるし、意外とお宝とか見つかるかも
ガルムもいいのがあったら買ってやるからな!
さぁこの街を探索じゃい‼
●
「任務無事完了だね! 竜退治の分ももらえるって!」
小さく変化したガルムを肩に乗せ、ノアはうきうきと街に繰り出す。
諸々の小難しい手続きが終わるまで、しばしの自由時間だ。
「観光でもって言われたけど……どうしようっか」
主に問いかけられたガルムも、どうしたものかと首を傾げる。
少女と幻獣が広場をきょろきょろ見回せば、それに気づいた出店の店主らが手を振ってくれる。
食べ物にアクセサリー、骨董品らしきものが並んだ店もある。
商店街の方にもいろいろな店があるのだろう。
「ガルムもいいのがあったら買ってやるからな! でも、まずは」
少女が心くすぐられたのは、遠目に見える路地の入口。
「穴場を探してみるか? 面白い場所が見つかりそうな気がするんだ!」
見知らぬ道の先にはいったい、何があるのだろう。
どんな出会いが待っているのだろう。
溢れる好奇心を現すように、ぴこぴこと獣の耳を動かして。
「この街を探索じゃい!!」
ノアとガルム、一人と一匹はいざ冒険へ。
大成功
🔵🔵🔵
鈴城・有斗
露天で買った飲食物を手に、噴水のある広場の適当な所に腰かけてのんびりと周囲の様子を見ながらもぐもぐ
平和だな~
水気のおかげか涼しくて気持ちいいし、このまま寝転んだら昼寝出来そう
モンスターの討伐報酬もらったら湖の方に行って昼寝出来る所探してみるかな。
あ、その前に露天で色々買い込んで行くのも良いな。
ちょっとしたピクニックみたいな感じで。
アドリブ・絡み歓迎
●
広場に設置された長椅子に腰掛け、有斗は露店での“戦利品”に口を付け始める。
からっと油で揚げられた白身魚を挟んだパンが、戦いを経て程よく空いたお腹を満たす。
食べ物の匂いに惹かれたか、小鳥が有斗の足元にとことこ寄ってきて、物欲しそうに見上げている。
パンの端っこを少しばかりちぎって投げてやれば、仲間の小鳥も数羽やってきたではないか。
(「平和だなー」)
和やかな光景にほっと一息ついて、飲み物――白葡萄のサイダーを一口。
甘く爽やかな味わいが、油の残った舌の上を流れ、乾いた喉を潤していく。
空の色は澄み渡り、涼やかな風が心地よい。
このまま寝転んだら、きっと気持ちよく眠れることだろう。
モンスターの討伐報酬を受け取ったら、湖まで足を延ばして昼寝できる場所を探してみようか。
(「あ、その前に色々買い込んで行くのも良いな」)
軽食の他にも気になるもの、珍しいものはたくさんあった。
アイテムボックスも準備万端。
もう一度あちこちの露店を覗いてから、ちょっとしたピクニックと洒落こもう。
大成功
🔵🔵🔵
弦月・宵
わーいっ!臨時収入ー!
なんだか冒険者っぽいっ
待ってる間は、なにして過ごそっかな?
美味しそうな匂いがするから、近くの屋台で買い食いしたい。
何を売ってますか?
名物とかあったらそれをお願いする!
食べ歩きができるものがいいな。
モグモグしながら街の中を歩き回って、湖まで見渡せるような高台とか、
登ってもいい建物とかを探そうかな。
眺めのいい場所で日向ぼっこするんだ。
広場の賑やかさを聞いたりとか、
護衛してきた商人の馬車が見えないかな?とか。
天気がいいと風が心地いいね。
普段過ごしている旅団とはまた、違った穏やかさだなぁ。
世界って広いんだ…。
さーて、と。
おやつもなくなっちゃったし、商業ギルドに戻ろうかな。
●
討伐報酬による臨時収入、何と冒険者らしい響きであろうか。
世界独特の風習に浪漫を感じ、胸を躍らせる宵のところへ、ふわりと美味しそうな香りが届く。
惹かれるように足を運ぶは、広場に並ぶ屋台のひとつ。
「何を売ってるの?」
「おお、いらっしゃい。お嬢ちゃん! 湖で獲れた新鮮な魚料理はいかがかな?」
食べ歩くにちょうど良さそうなシンプルな串焼きを選び、宵は街へと繰り出した。
高台目指して歩みながら魚に豪快にかぶりつけば、ぱりぱりの皮とほくほくの身のハーモニーが舌の上で奏でられる。
引き締まった身の旨味をより引き出しているのは、湖水より精製されたという塩だ。
この地の味を噛み締めてのち、視線を上げた少女の瞳に映るは――青く青く、何処までも広がる湖。
高台より見渡したそれは、海と見紛うような雄大さだ。
人で溢れていた賑やかな噴水広場も、此処から見るとまるでおもちゃの街のように思える。
(「世界って広いんだ……」)
柔らかな骨まで魚を丸ごと味わって、宵は日当たりの良い草地に腰を下ろす。
のんびりと陽の光を浴びながら、もう少しだけこの光景を楽しもう。
大成功
🔵🔵🔵
リュカ・エンキアンサス
さて、どうしてみようかな
あ。なにか土地特有の飲み物なんかがあればひとついただいて
それを片手にぶらっと出来たらいいかな
(どんなものでも興味深そうに飲む
後はそのまま露店を冷やかして
レイラお姉さんを見かけたら、軽く挨拶
何か面白いもの、あった?
例えば?うーん
撃つと花火が出る弾丸…とか?
俺は、その土地特有の面白いものが見られたらそれでいいかな
お姉さんにとって、面白いものって何?
とか露店を冷やかしてのんびり過ごす
買い物はめったにしないけれども、色々好奇心の赴くままに手は取る
最後は湖のところでちょっと休憩
今日もひとつ、無事に終わってよかったなって
一息ついたりもする
かっこいい敵も見られたし
次はどこへ行こうかな
●
「ほいよ! 坊やは観光に来たのかい? 楽しんでいってな!」
屋台の親父からリュカが受け取ったのは、この街で好まれているという飲料だ。
葡萄の果汁と香辛料で漬けた数種の果実に炭酸水を注いだもので、この時期の気候にぴったりの爽やかな味わいを楽しめる。
独特の味を堪能しつつ、少年はそのまま露店をぶらり。
飲食物、布小物、武器、防具。
「――あら」
書物の店までやってきたところで、見覚えのある者と目が合った。
グリモア猟兵のレイラ・アストン(f11422)だ。
挨拶もそこそこに何か面白いものはあったかと問えば、少女は考える仕草を見せる。
「例えば?」
「うーん、撃つと花火が出る弾丸……とか?」
リュカの例えに僅かに瞳を和ませ、レイラは頷いて先導を始める。
辿り着いた店に並ぶは、色とりどりの魔石が使われた魔道具たち。
少年少女の瞳によく似た青い石に触れてみれば、封じられた氷の魔力がひんやりと掌に伝わってくる。
「世界各地から運ばれてきた石はね、この街の職人さんの手でこんな風に加工されるんですって」
赤い石は火、翠は風――人の営みの一部となったそれの使い方は、手に取った者次第だという。
湖を眺めながら、リュカは一日を振り返る。
がたごと揺れる馬車の音に、大空を舞う鳥、巨躯の氷竜。
無事に終わって良かった。
あの行商人が運んでいた石もきっと、この街で生まれ変わるのだろう。
――さて、次は何処へ行こうか。
*****
猟兵たちが守り抜いた行商人は、次は何処へ向かうのだろう。
積荷はどんな姿を得て、誰の手に渡るのだろう。
確かなことは――湖の街の営みは、明日も穏やかに続いていくということだ。
大成功
🔵🔵🔵