オペレーション ミス・クロー
ユウキは、作戦会議室と書かれた扉を開き、猟兵達を召集した。
「よぉ、自然は好きか?」
開口一番、そんなことを猟兵達に尋ねる。
「良いよな? 自然。守らなきゃならんよな?」
そんなことを言うユウキを、猟兵達は不思議そうに見た。
「まぁ…自然は大切だし、それを保護しようってのは悪くはないが、それの押し付けは問題だ。今回、諸君に叩いて貰うのは言わば過激派自然保護団体。その本部を強襲し、自然への回帰を謳う屑共を殲滅してもらいたい。ん…だが……少々面倒でな」
曰く、情報の提供を自ら買って出た、本部の場所を知る男がいざ場所の話題になった時に、情報提供を渋り始めたらしい。
「何日かに渡って情報提供を受けていたんだがな。場所の話になった途端、突然渋り始めたんだ、『俺は知らない。そんな話はしていない』ってな。何があったかは知らないが、あれの口を割らん事には、作戦決行のしようがない……すまんが、まずは男の口を割ることを第一目標とする……まぁ、どうしても話さないようなら殺さない程度に痛めつけても一向にかまわん。元々チンピラみたいな野郎だ。その方が手っ取り早いかもしれんぞ?」
一応、こちらも安くはない情報料を払っている。と付け加えるユウキ。
「とはいえ、自然保護団体とは言ったが、実際はどうだかな。最初の情報で確認された限り、バイオモンスターを多数従えてるなんて話もある」
おそらく、もし場所を特定できた場合、それらとの戦闘は免れないだろうとの事。
「それと、『Ms.Claw』鉤爪の女という単語が、最初の情報で頻繁に出てきていた。詳細は不明だが、もしそれがオブリビオンであった場合は確実に殲滅しろ」
当然だ。猟兵として、オブリビオンを逃がすわけにはいかない。
「分かったか? 以上をもって、鉤爪の女作戦(オペレーション ミス・クロー)の作戦伝達を終了する」
ゲートを開いたユウキは、更に激励を送った。
「では、諸君の健闘を祈る! 解散!!」
ユウキ
始めましてこんにちは。ユウキです。
こちら、ヒーローズアースにて過激派環境保護団体を殲滅する簡単なお仕事になります。
まぁ、とはいえ終わった後、皆様の首がしっかり繋がっている保証は致しませんがね……?
いつも通り、詳しい説明等はマスターページまで!!
「それでは皆様、良い狩りを……」
第1章 冒険
『悩める協力者を救え!』
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POW : 熱い説得や力強さのアピールで、協力者に情熱を取り戻させる
SPD : 冷静な分析で悩みを聞き出し、論理立てて協力者の悩みの解決法を提示
WIZ : 親身になって相談に乗ってやり、悩みの原因を聞き出すか励ます
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「なんだ……また来やがったのか!? 俺は知らねぇよ!!」
吐き捨てるように言い放つ男の目は泳いでいる。
「なぁ、もう放っといてくれよ! これ以上は本当に知らねぇんだよ!!」
そういうわけにはいかない。
一度売ると言った情報を、知らぬという訳はない。
無理矢理にでも囀ってもらおう……
ナギツ・イツマイ
ok、飴とムチだね。
まずは親身になって話そうじゃないか。そう、例えば保護する対象になって…
彼が振り向けばそこには新鮮な鯨がビチビチと。
私はバンドウクジラ、あなたに感謝の気持ちを伝えに来たんだ。いつも守ってくれてありがとう(目をキラキラ)人間の屑共は海の犬のくそやろうとかバカみたいな言葉を投げつけてくるかもしれないけど私たちはとても感謝しているよ!捕鯨反対!
それでね、お礼に何か困ったことがあれば教えてほしいな、って。どんな問題でも僕の仲間が万事解決してくれるはずさ!
こんな感じの雰囲気でいこう。これで「良い刑事」の役は完璧かな、後は大和煮にしたりベーコンにしたりだね。
アドリブ改変◎
黒木・摩那
【WIZ】
一度売るといった情報を売らない、知らないと言い出したということは
相手に情報漏洩を感づかれたのでしょう。
そして、その調査の手が近づいてきており、身の危険を感じていると
いうところでしょうか
なるほど。それは大変ですね。
ですが、もう調査が始まっているということは
今更情報を出すのを止めたところで、あなたのところに来るのは時間の問題です。
ここで提案。素直に我々に情報を渡してください。
そうすれば、我々が過激派団体やオブリビオンを速やかに片づけましょう。
大丈夫、我々はこう見えても強いんです【言いくるめ】。
【念動力】や【衝撃波】を使って、情報提供者や物を動かして、
実力の一端を示してみます。
シャルロット・アルバート
カギ爪の女を見たって話を聞いてやってきたわ。
彼女は私の愛する人……イチカの仇、なんとしても情報を聞き出すわ。
私を守ろうとしてイチカが返り討ちになったのが正確な経緯で、
しかも愛する人であっても恋人って訳じゃない……
(PL注:シャルロットの性自認は男で所謂ノンケ、イチカも男性なので本当に恋愛関係ではなりません)
それでも私の恩師を殺したのがカギ爪の女ってのは変わらないしね。
ともかく、聞き出す方法としては剣舞の戦乙女を使って安心させるのがいいかしら。
仮にも私は名がしれた女性ヒーロー、その姿を見れば安心して話ができると思うからね。
アレク・アドレーヌ
【選択:SPD】
知らぬといいつつもその目には嘘があるのが目に見えているが、こいつは
『知らない』のではなく『言えない』と形容する方がいいだろうな…
まぁ直球で洗いざらい吐かせてもいいのだが理由込みで『言う訳にはいかない』ならばそもそものこいつが情報を売ろうとした経緯と知らないと言い始めたまでの間に何かしら【キーワード】があったはずなのでそこを割り出してみようと思う。
一番怪しいのは鉤爪の女だが…まぁこれが言い渋る原因であるならば本来こういう使い方をするものではないが【挑発】で煽ってメンタルを刺激しつつ論理的に情報を引き出すとしよう。
それでも情報を出さぬならヴィランばりの力づくで、になるが
男はやはり話そうとはしなかった。
――一度売るといった情報を売らない、知らないと言い出したということは、相手に情報漏洩を感づかれたのでしょう――
黒木・摩那は、冷静に状況の分析を行う。
そうでなければ、突然情報の提供を渋るなど不可解だ。
「ねぇねぇ?」
男の背後から、声がする⋯なんだろうこれは?
男が振り返るとそこには⋯
『きゅ?』
かわいい声で可愛いらしいしぐさをする⋯バンドウクジラ
「は!?」
それは、ナギツ・イツマイという猟兵の変身した姿だった。
⋯非常にデカい。男の脳内に声が響く。
「私はバンドウクジラ、あなたに感謝の気持ちを伝えに来たんだ。いつも守ってくれてありがとう(目をキラキラ)人間の屑共は海の犬のくそやろうとかバカみたいな言葉を投げつけてくるかもしれないけど私たちはとても感謝しているよ! 捕鯨反対! それでね、お礼に何か困ったことがあれば教えてほしいな、って。どんな問題でも僕の仲間が万事解決してくれるはずさ!」
それを聞いて男は、きょとんとした顔をして黙り込む。どちらかというと驚愕で固まっていると言った方が正しいだろうか。
しかし、ここで摩耶はある考えを思いつく。
「あなたはおそらく⋯⋯情報を売ったことを組織に感づかれたと思って身の危険を感じているというところでしょうか?」
近づきながら男に語り掛ける。
男が、一瞬顔を背ける
――⋯どうやら当たりのようですね――
「私たちには⋯力があります。もちろん、あなたを守れるだけの力が」
そう言って、巨大なバンドウクジラの体を宙へと浮かび上がらせる。
「きゅ!?」
突然浮かび上がらされたナギツが抗議の目を向けるが、まぁこの際我慢してもらおう⋯⋯
「もし感づかれているのなら、今更情報を出すのを止めたところで、あなたのところに来るのは時間の問題です⋯素直に我々に情報を渡してください。そうすれば、我々が過激派団体やオブリビオンを速やかに片づけましょう、どうですか?」
摩耶の力と提案を見て、男は驚愕と共に思案する。
「あなたは⋯鉤爪の女と言ったそうね⋯?」
そこに、二人の猟兵が新たに現れた。
「おい、お前もこのヒーローズアースの人間なら、俺たちの顔ぐらい知ってんだろ?」
シャルロット・アルバートと、アレク・アドレーヌ。
このヒーローズアースでは、少しは名の知れた存在。その二人が現れたのだ。
「な⋯いや⋯し⋯知らねぇ⋯本当に知らねぇんだよ!!」
そう言って、逃げようとする男を、アレクが強引に引きずり倒す。
「おい、俺は他の奴らほど優しかねぇぞ⋯? 話すか、永遠に黙るか⋯鉤爪女に殺されるか、俺に殺されるか⋯どっちがいいんだ?」
「待って、アレク」
シャルロットがそれを制止する。
「鉤爪の女⋯そいつは、私の恩師の仇なのよ。彼は⋯私をかばって鉤爪の女に殺された⋯私は⋯その復讐のために力をつけてきた⋯これは⋯またとないチャンスなのよ」 シャルロットは男をまっすぐに見る。
「お願い。情報を⋯私にイチカの仇を討たせてちょうだい⋯」
懇願するような、小さな声に、男は小さく語る
「本当に⋯守ってくれんのか?」
摩耶が頷き、バンド⋯失敬。ナギツが同意する。
「私達は嘘はつかないわ」
「きゅ~?『私もあなたを守るよ?』」
男は、言葉を紡ぐ。
「セントルイス通り⋯そこのケバブ屋の入ったテナントビルの裏路地にマンホールがある⋯あいつらのアジトは、そのマンホールを降りて進んだ先だ。気を付けろ⋯女だけじゃない⋯バイオモンスター共がうじゃうじゃ居やがる⋯あいつら⋯見境ないぞ⋯⋯」
アレクが男を開放し言った。
「ふん、俺たちを誰だと思ってやがる」
シャルロットは静かに礼を言った。
「情報提供、感謝するわ⋯本当にありがとう」
だが、場所は分かっても問題が残ると男は言った。
「急げ、あいつらはアジトを転々としてる。今のアジトもいつまで居るか⋯」
セントルイス通り⋯
「しかし、セントルイス通りか⋯結構ここからじゃ距離があるな⋯」
アレクは、脳内の街の地図を現在の位置と照らし合わせる。
ここからだと、交通機関を乗り継いでも数時間はかかるだろう。
「きゅ~!『私の背中に乗って! その場所までひとっ飛びで飛んでいくよ!!』」
ナギツが仲間たちを見て言った。
その巨体はUC『時津風』による仮の姿。
彼は、この姿であれば、時速155㎞もの素早さで飛翔することができる。
「⋯俺は⋯⋯ここに残るよ。あいつらも俺をまだ見つけてはいないだろうし⋯気をつけてな⋯⋯」
三人をその背に乗せて、大鯨は大空を飛翔する。
その姿は、男に希望を与えた。
彼らなら⋯やってくれるかもしれないと。
大成功
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第2章 集団戦
『暗黒面『雷矢のラビラント』』
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POW : 暗黒に堕ちる雷雨
レベル×5本の【闇と雷】属性の【心の闇を増幅させ暗黒面を解き放つ矢】を放つ。
SPD : 神と金を屠る者
自身の装備武器に【【神】と【機械】に対して非常に強い特攻】を搭載し、破壊力を増加する。
WIZ : 迷宮を冠する一面
自身からレベルm半径内の無機物を【触れると感電する雷の通路】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
👑11
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現地へ到着した猟兵に、バイオモンスターたちが一斉に襲い掛かる!!
⋯⋯間に合ったようだ。
遠慮はいらない、存分に暴れて奴らを壊滅させろ!
シャルロット・アルバート
見事なまでに機械特攻ね、正直私は見事なまでに機械使いだから相性悪いわ。
強化人間とはいえ身体に機械とか入ってないタイプなんだけど、
パワードスーツや手持ちの武器は完全に機会だしね。
でも一つだけ『暗黒面を解き放つ』弓がある、それなら対処しやすいはず。
だから私は、『空を舞う戦乙女』で空からあいつを攻めるわ。
仮に暗黒面を解き放たれてもカギ爪の女への復讐心だと思うし、やりきってみせるわ。
死絡・送
蝙蝠を模したスーツを身に纏ったヒーローノーブルバットに変身して参戦。
電撃体勢で耐える、念動力で自分や仲間への敵の攻撃を逸らすなどで守り
ながら相手に近づきグラップルで格闘して攻撃。
新技のノーブルフォールで敵を担ぎ上げて投げて叩きつけて仕留めにかかる。
アレク・アドレーヌ
まぁ倒すだけだし面倒事は荒療治に限る。
なのでサクッと倒すことにしておくがいくら神と機械に対して特攻あっても相手が該当しないなら意味がないだろとは思いつつ慈悲もなく殴るとしよう
対象を認識し、記憶から情報を引き出す。
「こいつら、見事なまでに機械特攻ね⋯」
自身の戦闘スタイルに対する特攻を持つ相手だ。戦い難い事この上ない。
「下がってるか? 俺は一人でもいいんだぜ?」
アレクが少しからかうように言った。
「まさか。別に戦えないわけじゃない」
「お前らここで何をしてる?」
不意に二人の背後から響く声。
とっさに身構えるが、薄暗いそこで声の主は首を振る。
「お前らもあの環境保護団体を潰しに来たんだろ? 俺はノーブルバット。こんなんでもヒーロー活動中の猟兵だ」
猟兵と聞いて、二人は肩をすくめる。
「先に言ってくれ。肝が冷えるだろうが。俺はアレク。アレク・アドレーヌだ」
「私はシャルロット・アルバートよ」
今度は驚いたとばかりにノーブルバット⋯死絡・送が肩をすくめる。
「これはこれは、名前は聞いているよ⋯二人だけか?」
それに対して、仲間が裏口に向かっているとシャルロットは伝えた。
「それならば問題ない。できれば完璧に叩き潰したいんでね」
そう言ってノーブルバットは静かに笑う。
そして三人は、警備を行うバイオモンスターたちを見た。
「シャルロット。お前は援護を頼む。鉤爪の女までは体力を温存しておけ」
アレクは言って、シャルロットを見た。
「ありがとう⋯でも大丈夫。私は戦える」
そう言って、シャルロットはこぶしを握り締める。
「⋯⋯そうか」
やっと⋯やっとあの人の仇を取る事が出来る⋯だがその前に⋯目の前のこいつらが⋯
「ジャマなんだよッ!!」
最初に飛び出していったのはアレクだった。
不意に現れた相手に、咄嗟の防御を行ったバイオモンスターを、その鉄拳で殴り倒す
その攻撃をガードした相手が一撃で吹き飛ばされ、壁へとめり込み動かなくなる。
「お前らイイことを教えてやるよ⋯この瞬間⋯⋯力こそがパワー!」
スタイルチェンジ・パワーシフトにより、筋力へと特化したアレクの前には、防御など何の意味もなさない。
「確かに⋯気に入ったよ。アレク!!」
言葉と共に駆けだしたノーブルバットに、残ったバイオモンスター達がUC『暗黒に堕ちる雷雨』の矢を一斉に発射する!
「俺に雷なんて効かないんだよ⋯⋯そして⋯蝙蝠には闇こそが相応しいッ!!」
放たれた矢をその身に受けながらも突貫するノーブルバット。
彼らの攻撃など一切通用していないといった様子で、その距離を詰めていく!
「パワードスーツ、最大出力!」
シャルロットは、『空を舞う戦乙女』を起動し、一気に距離を詰めようと加速した。
たとえ特攻だろうと、当たらなければよい。
そして、それをアレクとノーブルバットが支援する!!
「よそ見してんじゃねぇよッ!!」
近くの敵を容赦なく殴りつけ、先程の相手と同じように壁の模様へと変えていくアレク。
「手を貸そうッ!!」
ノーブルバットはシャルロットに放たれた矢を念動力で捻じ曲げ、軌道を逸らす。
「行くぞッ! これが貴族のフォークリフトだッ!!」
そのまま接近し、相手の体を掴むと飛び上がる!!
そして、空中で掴み上げたバイオモンスターの首を思い切り握りこみ、着地と同時に地面へと叩き付けた!!
派手な水しぶきと共に地面にたたきつけられたそれは、一度ピクリと動いたかと思うとそのまま二度と動かなくなる。
「ジャマをするなら容赦しないッ!!」
両手に持ったビームマシンガンを乱射しながら最後の相手へと突貫するシャルロット。
凄まじい弾幕を前に、反撃すら許されない相手へと接近し、ストライカーブレードを抜刀する!!
「はぁぁあああああ!!」
ストライカーブレードの一撃が、哀れな怪物の体を一刀の元に両断する!
「この勢いのまま行くぜ!!」
そして三人は、そのままアジトへと殴りこんでいった!!
大成功
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アイオン・ライラー
ナギツに呼ばれ現地で合流。
なるほど既に鉄火場か。
なら好都合。私の口は上手くない。
環境保護に用向きはない。しかし思想を力で押し通すのは私の最も嫌いな事であるからして、ここで手を貸すのは道理である 。
どう動くべきか、というのは悩み所だ。ナギツはまだしも他の者は何者かさえ知らない。確実なのは、私よりも強いであろうことだけか。
ならば私は露払いをするとしよう。我がUC【菫青瞳射光(アイオニック・レイ)】で隙を作る。睨む先に光条が走るのは恐ろしかろう。その狼狽えた瞬間に愛銃の【零距離射撃】で貫けば、ただでは済まんだろう。
撃ち漏らしが足掻いて味方を狙うなら、私が【かばう】のも悪くない。
(アドリブ改変歓迎)
ナギツ・イツマイ
きゅ…。おっと真面目にやろう。
実は鯨じゃなくてオンミョー・シャーマン・ヒーローなんだ。
まずは周囲の観察だね、【地形の利用】は大切だ。
マンホールの中ね、水はありそうだけど、雨水層か下水道かでだいぶ環境が変わるね。朝でもないのにミソ・スープの香りは勘弁ってとこ。
さて、コンクリート神話にヒビを入れよう。浸透・凍結・氷解、自然のプロセスは巨岩をも砕くんだ。石の雨を呼ぼう、舞と賛歌にのせて。
ー石雨乞いの詩宴に我、薙津と成りて五舞と乞うー
天皿の夜雫地に落ち浸みて
暗き伽藍堂に凍りつく
生命の【衝撃波】が大地を叩き
燃える朝日が巌を溶かす
落ちるは渇きを砕く塵雫
時は巡りて凍りつき
矢雷を弾く巌と相成らん
黒木・摩那
マンホールの先によくこんな空間を作ったわね。
しかも、このオブリビオン結構大きい。
みっちり感が半端ないわね。
狭い空間に飛び道具と射撃を持つ相手は面倒ですね。
ここはUC【胡蝶天翔】を使って、壁や床の一部を黒蝶に変換して、
相手に向けて飛ばします、目くらましです。
こちらもオブリビオンの位置は分からなくなりますが、
正面にいることは分かってます。
黒蝶が空間を満たしている隙に、
ルーンソードでオブリビオンに突撃します【先制攻撃】【なぎ払い】【衝撃波】。
【電撃耐性】あり。
飛び道具は【第六感】と【念動力】で軌道を反らします。
一方。
裏口へと回り込んだ摩耶とナギツ。
「あぁ⋯酷い臭いだな、ナギツ」
そこに奇妙な声が響き、足音が近づいてきた。
「やぁ、アイオン。相変わらず分かりやすい声だね。随分と遅かったんじゃない?」
その声に振り返りもせず、ナギツは言った。
「当たり前だ。いきなり呼ばれてすぐに来れるわけがないだろ⋯」
ナギツの姿を認めた摩耶は、軽く頭を下げる。
「黒木・摩那よ」
簡単なあいさつに、アイオンも静かに答えた。
「アイオン・ライラー。見ての通りのクリスタリアンだ」
互いに挨拶を交わすと、摩耶はすぐに簡単な状況説明と言って話し出す。
「まず、正面に待機している人間が突入して、派手に暴れる。私達はその合図を待って後方から突撃。挟み撃ちにして相手を逃さぬよう畳み掛けるって作戦よ⋯⋯まぁ、結局は暴れるだけね。簡単でしょ?」
そう言ってほほ笑む摩耶に、アイオンも笑う。
「既に鉄火場というわけか⋯面倒な交渉も潜入も無し。中に入って大暴れして殲滅。シンプルでありがたい」
環境保護団体などに用向きは無いが、力ずくで物事を押し通すような輩は反吐が出る。
アイオンは静かに付け加えた。
「さて⋯⋯うーん⋯朝でもないのにミソ・スープの香りは勘弁ってとこかな」
周囲の地形を見ながらナギツがぽつりとつぶやく。
それを頭に?を浮かべたような顔で見る摩耶に、アイオンは耳打ちした。
「⋯⋯気にするな、彼の癖だ」
そう言ったところで、派手な衝突音が響き渡る。
「始まったわね!!」
そう言って摩耶とアイオンは駆け出していった。
「うーん⋯そうだ。コンクリート神話にヒビを入れよう⋯⋯浸透・凍結・氷解、自然のプロセスは巨岩をも砕くんだ⋯石の雨を呼ぼう、舞と賛歌にのせて」
その後ろで静かに詠唱を始めるナギツ。
ー石雨乞いの詩宴に我、薙津と成りて五舞と乞うー
「待てッ!!」
駆けだしていた摩耶をアイオンが引き留める。
天皿の夜雫地に落ち浸みて
暗き伽藍堂に凍りつく
生命の衝撃波が大地を叩き
燃える朝日が巌を溶かす
落ちるは渇きを砕く塵雫
時は巡りて凍りつき
矢雷を弾く巌と相成らん
ナギツの詠唱に呼応するかのように、正面の入り口のコンクリートにひびが入っていく⋯⋯
バキリと大きな音を立てて砕けたそれが、吹き飛んで内部を巨石の嵐で多い尽くす!!
悲鳴と怒号が響き渡り、静かになったそこには、多数のバイオモンスター達が血に臥していた。
「きゅ⋯じゃなかった。私は実は、鯨じゃなくてオンミョー・シャーマン・ヒーローなんだ⋯」
「知ってる」
「知ってるわ」
ナギツのカミングアウトに、とっくの昔に知っているとばかりにツッコむ2人に、
「何だって!?」
ナギツはこれまたオーバーなリアクションで答えた。
吹き飛んだ内部は何かの施設のようで、外の下水道よりは清潔⋯だっただろう。
その嵐の音に感づいたバイオモンスターの増援が、わらわらと姿を現し始めた!!
「そう簡単には終わらないか⋯」
アイオンは小さく笑った。
「よく見ると結構大きいのねこいつら⋯動きにくそう⋯⋯」
みっちりと内部に詰まった群れ。
閉所での射撃攻撃は脅威となる⋯だが摩耶とてその程度、考えていなかったわけではない。
「天に漂いし精霊よ。物に宿りて我に従え。姿さずけよッ!!」
砕かれ散らばった破片が黒い蝶となり、室内を覆い隠す!!
敵の位置が分からなくなったバイオモンスターたちは、滅茶苦茶に攻撃を開始した。
「頭が悪いようだな、目が見えないなら照らしてやろう」
そう言って、アイオンは構える。
「クリスタリアンにはこういうこともできる、覚えておくと良い」
アイオンの両の目から、光の粒子が放たれる!!
狭い室内にすし詰め状態となった相手は避けることもできないだろう。
アイオンから放たれる光に焼かれて悲鳴を上げるバイオモンスターたち。
「さて、後は一気に行かせてもらう!!」
暫くその光の掃射を続けていたアイオンは、愛用のブラスター【Xb3/a-rs6C】を携え、黒い蝶の中へと突貫する!!
「私も行くわッ!!」
摩耶も、直刀の様な魔法剣。【緋月絢爛】を手に内部へと突入した!!
滅茶苦茶に攻撃するバイオモンスターたちは、自ら自分の居場所を教えているようなものだ。
摩耶とアイオンは、互いの攻撃が当たらぬように左右に分かれ、一匹ずつ確実にバイオモンスター達を葬り去っていく。
零距離で放たれるブラスターと、魔力を込めた衝撃波と共に振るわれる魔法剣。
黒い蝶が元の瓦礫に戻るころには⋯すべてのバイオモンスターが切られ、穿たれ。
部屋の中は正に、死屍累々と言った様子であった。
「お疲れ様~」
ナギツが、先程の詠唱の時とはまるで違う気の抜けそうな声で声を掛ける。
「まだ終わってないわ」
そう言って、奥へと続く扉を睨む摩耶。
鉤爪の女。
そう呼ばれる敵が、まだ残っているのだ。
大成功
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第3章 ボス戦
『カギ爪の女』
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POW : ユーベルカウンター
対象のユーベルコードを防御すると、それを【そのまま相手に打ち返すことで】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
SPD : 引き裂くカギ爪
【素早い動きで振るったカギ爪】が命中した対象を切断する。
WIZ : 自然への回帰
【対象の姿を思った通りの姿に変える魔法】【カギ爪を振るい生じる衝撃波】【周囲にある建造物を飲み込む木】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
👑11
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「何故ダ。何故自然への回帰を拒ム?」
女は言った。
「世界は悲鳴をあげてイルノダ⋯何故それがワカラナイ⋯?」
静かに、そして悲しむようにそう言った。
「我らの星のタメ⋯お前たチヲ⋯⋯」
爪を静かに開きながら睨みつける。
「自然へト回帰サセテヤロウ⋯」
ナギツ・イツマイ
自然は誰にでも牙を剥くもの、わかっているよねhooker。
【装備5】を巨大化させながらそれを軸に【下水流の樹氷】を形成、これに【周囲にある建造物を飲み込む木】を採取し育成。成長する樹木の槍として攻撃に転用。ついでに天井を破って崩壊するアジトから脱出。
戦闘音をBGMにチェケラップ。
栄養満点の下水道吸い上げて
突き上げろBioFlower!
迸る俺のwoodstock!
どうよ自然を愛するhooker knocker?(knockout!)
ついでにクソ狭いこの殻もknocker!
空を目指せBioFlower!
もうヒビは入ってる
ぶち上げろBioFlower!
最後に上げろ真っ赤なFIRE FLOWER!
「そりゃあ自然への回帰は素晴らしいかもしれないけれど、知っているかい?」
ナギツイツマイは、目の前の鉤爪の女に言い放つ。
「自然は誰にでも牙を剥くもの、わかっているよねhooker?」
雲を支える緑。
鏡天秤の部品が、背後の下水の水を吸い上げていた。
「お前から回帰させてやろウ!!」
女はナギツへと迫った。
だが⋯
自然は誰にでも牙を剥くもの。それは彼女に対しても例外ではないのだ。
「Yo!!」
下水の水を吸い上げ急成長する木が、鉤爪の女に襲い掛かった!!
「栄養満点の下水道吸い上げて
突き上げろBioFlower!」
突然ラップ調に歌い出すナギツ。
「迸る俺のwoodstock!
どうよ自然を愛するhooker knocker?(knockout!)」
女をそのまま吹き飛ばし、周囲の構造物を飲み込み破壊しながら急成長する大樹。
「ついでにクソ狭いこの殻もknocker!
空を目指せBioFlower!」
ついには天井をぶち破る大樹。
「もうヒビは入ってる
ぶち上げろBioFlower!」
最初のナギツの攻撃で脆くなった場所から、大樹は空を目指す。
それはまるで、アスファルトから顔を覗かせる花のように⋯
「最後に上げろ真っ赤なFIRE FLOWER!」
天高く成長した木はやがて花開き、炎の嵐を吹き荒れさせる。
嵐は誰に牙を剥くかわからない。
そう⋯⋯
「Yo!!」
自然が女に牙を剥かないと、誰が保証できるというのだ?
大成功
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ドゥルール・ブラッドティアーズ
ソロ希望
過度なグロNG
SPD
私の故郷(ダークセイヴァー)の森は魔獣の巣窟で
自然を楽しむ余裕は無かったわね……
穏やかな森なら心の癒しになったのにと何度も思ったわ
その穏やかな森さえ壊す人間は愚かだし
手段はともかく、それを取り戻そうとする貴女に
私は敬意を表するわ
『無情なる刻』で時間を操る魔法のドレスを纏い
9.8秒だけ時間を止め、包帯の【ロープワーク・早業】で拘束し
抱きしめ【生命力吸収】のキスを。
毎秒寿命を削る欠点も、これでカバーできる
時が動き出しても
拘束と抱擁でカギ爪は使えないし
半端な抵抗は【オーラ防御・激痛耐性】で耐える
貴女を単なる悪として死なせはしない。
苦痛も無く、自然のように穏やかな眠りに……
吹き飛ばされた先、目に映る光景を見て憎々しげな声を上げた。
悲鳴を上げて逃げ惑う人々。
そんなものはどうでもいい。
「グ⋯グゥゥ⋯!!」
コンクリートジャングル。
それは人間たちが自然を破壊し作り上げた、地球への冒涜の象徴だった。
「自然回帰⋯か。私の故郷の森は魔獣の巣窟で自然を楽しむ余裕は無かったわね……穏やかな森なら心の癒しになったのにと何度も思ったわ」
不意に響いた声に振り返れば、底には一人の女が居た。
「その穏やかな森さえ壊す人間は愚かだし、手段はともかく、れを取り戻そうとする貴女に私は敬意を表するわ」
そう言って、軽く頭を下げる女。ドゥルール・ブラッドティアーズ。
「ならバ、なぜ邪魔をスルッ!?」
この女があいつらの仲間であることは明白だ。
こいつも邪魔をしに来た敵である事実に変わりはない。
「あら、心外ね。私は貴女と“お友達”になるために来たのよ?」
友だと?
「なラバ!! 自然へと回帰するがイイッ!!!」
ドゥルールを鉤爪の餌食にせんと飛び掛かる女。
「⋯⋯遅いわ。未来さえ、私には追いつけないのよ?」
停止する時の中で、ドゥルールは女を拘束し、静かに抱きしめる。
「貴女を単なる悪として死なせはしない」
時が動き出し、何が起きたのかもわからぬまま拘束された女は、その包容から逃れようと、身体を捩じらせ抵抗する。
「大丈夫、安心して? すぐに苦痛も無く、自然のように穏やかな眠りに……」
力が抜けていく感覚がする。
次第に意識も薄れていく⋯⋯
「ナメるナァッ!!!」
拘束する包帯を力づくで引き千切り、ドゥルールへと渾身の蹴りを繰り出すオブリビオン。
「ぐッ!?」
渾身の蹴りにドゥルールが仰け反った隙に、鉤爪の女は逃げ出した。
⋯このままでは分が悪い。
一度撤退し、態勢を整えねば⋯
大成功
🔵🔵🔵
黒木・摩那
自然への回帰といいますが、今さら原始の時代まで戻れと言いますか?
人類の長い時間をかけた叡智、文明まで否定されてはかないません。
ここで食い止めさせてもらいます。
ミス・クローと名乗るだけあって、クローの攻撃が厄介です。
何とか無力化したいところです。
ヨーヨー『コメット』で戦います【先制攻撃】【衝撃波】【なぎ払い】。
クローにヨーヨーのワイヤーを絡ませたところで【武器落とし】、
UC【サイキックブラスト】で電撃を叩き込んで、
クローの腕をマヒさせます。
逃げ惑う人々をかき分け、全速力で走る。
このままの姿では人目を引いて仕方がない。
路地へと入り込み、できうる限り素早く⋯
「どこに行くというのですか?」
凛とした声が、目の前の路地の暗闇から響く。
「グ⋯!?」
すぐさま反転し、撤退を試みる。
「⋯無駄ですよ。」
不意に空から瓦礫が降り注ぎ、鉤爪の女の退路を断った。
ゆっくりと女の前に歩み出てくる声の正体は、摩那だった。
「自然への回帰といいますが、今さら原始の時代まで戻れと言いますか?」
自然への回帰。
確かに聞こえはいいが、それは有史以来、人類が血の滲むような努力と、気の遠くなるような歴史の中で創り上げ叡智の結晶と、文明を否定すると言う事。
そんな事をされればたまった物ではない。
「回帰ではなく、融和という考えはないのですか?」
自然を愛する気持ちは分かる。
だが、人間の歴史を否定して全てを無に帰すのではなく、お互いに歩み寄るという道があるはずだ。
「もはや遅イ! お前たちが破壊し尽くシタ自然は、すでに融和などでは蘇らナイ!!」
逃げ場なしと判断したオブリビオンは、戦闘態勢へと移る。
「⋯⋯交渉決裂、ですね。残念です」
鉤爪の女が素早く飛び掛かろうとする瞬間、何かがその爪に触れた。
その瞬間、何かに腕を引かれ、体勢を崩した女は引き倒される。
これは⋯糸?
「先に仕掛けさせて貰いました。あなたの爪は厄介ですから」
凛とした声音のまま、摩那は言った。
鉤爪の女は摩那を睨みつけ、その糸を引き千切ろうと鉤爪に力を入れる。
「無駄ですよ、カーボン製ですから。そんなちゃちな爪では切れません」
それを少し呆れるように見て、摩那は続ける。
「ですが、一応無力化させてもらいますよ⋯サイキックブラストッ!!」
摩那の腕から電撃が走り、それは麻耶が仕掛けたその武器【コメット】のワイヤーを通じて、鉤爪の女へと襲い掛かる!!
「ガァァァァアアアアアアッ!?」
凄まじい電撃が全身を駆け巡り、鉤爪の女は悲鳴を上げる!
「あなたの思い通りにさせるわけにはいかないんですよ。ここで食い止めさせてもらいます」
最大出力の電撃を放ちながら、静かに語る摩那。
「グゥゥ⋯アアアアアアアアアアア!!」
だが、窮鼠猫を嚙むと言った所か。
凄まじい高電圧で体を焼かれながら、摩那へと強烈な体当たりを仕掛ける鉤爪の女。
「く⋯ッ!?」
とっさに防御した摩那を突き飛ばし、近くにあったマンホールから再び下水へと飛び降りる鉤爪の女。
「⋯逃がしましたか⋯⋯」
だが、あの女は逃げられない。
決着の時は、もうすぐだった。
大成功
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シャルロット・アルバート
もうカギ爪の女への恨みはないけど……
私を庇って死んだ愛する人……イチカの無念を晴らせるのは生きている私だけ。
(※イチカは男性です。『愛する人』とはいうけどノンケで性自認も男なシャルこと瑞希が彼に抱いていた感情は『師弟愛』が一番分かりやすいかと思います)
イチカが夢見たパワードスーツの完成形……やがては宇宙を切り拓くチカラ。
じっくりと見せつけてあげるために、UCを発動させるわ。
『僕は新垣 瑞希(あらがき みずき)。僕はイチカの無念を晴らすために、今ここで君を討つ!』
アレク・アドレーヌ
…これが件の鉤爪の女、な
…鉤爪というより片腕がデカい女だな。まぁいい、さっさと終わらせるか
既に先客が自然で攻撃しているようだからな…こちらも自然災害をもってして平等に厄を与えてやろう
…飛び回るは無数の飛蝗、視認は難しいほどに夥しく、縦横無尽に駆け回り攪乱し
ただ、豪雨の如く四方八方から襲い掛かり続けるのみ。後手に回れば回るほどに状況が傾き続けるほどに
下水へと逃げてしまえばこちらの物だ。
このアンダーグラウンドは長年我々が隠れ潜んできた場所。この場所で奴らから逃れることなど⋯
「そう簡単に逃げられるとでも思ってたのか?」
背後から語り掛けられる声に、本当にしつこい連中だと悪態をつきたくもなる。
「お前が鉤爪の女か…鉤爪というより片腕がデカい女だな」
そう言って姿を現したのは、アレクだった。
「ついに⋯見つけた」
そしてもう一人、アレクの背後から現れたのはシャルロットだ。
「お前ハ⋯⋯」
こいつには見覚えがある。
たしか⋯⋯
「そうカ⋯アノ研究所の⋯⋯」
いつだかの研究施設⋯そこで見かけた奴だ。
「覚えててくれて何より⋯」
あの時は逃がしてしまったが、少なくともあの施設を破壊することは完了している。
こいつを殺せばあの研究所で開発されたすべてを破壊し、今度こそ真の浄化の達成へとつながる⋯せめてこいつだけでも⋯⋯
地上で受けた電撃のおかげで、いまだに腕の感覚が鈍い。
だが、それでもこいつは殺さねばならない。
あの研究所の忌まわしき成果であるこいつだけは⋯⋯
ブブブブブブブ⋯
下水内に、何かの羽音が響き渡る。
「まぁいいか。二人の世界に入ってるところ悪いんだが、俺には関係ないんでね。とっとと死んでくれ、オブリビオン」
アレクの背後から現れたのは、夥しいほどの飛蝗の群れ。
「たかが虫ケラッ!!」
腕を振り回し、群がるその群れを振り払おうとする。
だが、下水という環境で飛び回るその群れは瞬く間に女へと群がり、その体を覆いつくす。
「虫けらとは酷い言いようだな? こいつらだってお前の言う自然の一部だろうに」
飛蝗の群れに成す術もなく群がられる女を見て、アレクはせせら笑うように言った。
しばらく黙ってそれを眺めていたアレクとシャルロットだったが、アレクがふとつまらなそうに口を開く。
「思ったよりつまらない相手だな⋯⋯興が醒めた」
そして、その言葉に呼応するかの如く、飛蝗たちは何処かへと飛び去って行く⋯
そこに残されたのは、全身を飛蝗に食い荒らされ、ボロボロになった鉤爪の女だった。
「もう少し楽しめる相手だと思ってたんだけどな、後は任せるぜ、シャルロット」
そう言って、シャルロットを見るアレク。
「⋯ありがとう、アレク」
シャルロットの礼に、アレクはとぼけたように返した
「何の話やら⋯」
目の前に立つ満身創痍の鉤爪の女に、シャルロットは語り掛ける。
「もうあなたへの恨みはないけど……貴方に殺された、私を庇って死んだ愛する人……イチカの無念を晴らせるのは生きている私だけ⋯⋯だから⋯」
鉤爪の女は、それを聞いて笑う。
「クフフ⋯所詮は復讐だろウ⋯? 何が違ウッ!?」
「⋯違うよ。僕は、君たちに教えたいだけさ。これが世界を壊す力なんかじゃなく、やがては宇宙を切り拓くチカラなんだって⋯」
それは、彼の夢見たパワードスーツの完成形。
未来を切り開くための力。
だが、その夢を見届けることなく彼は死んだ。
その報いだけは⋯受けて貰わねばならない。
「僕は新垣瑞希。イチカの無念を晴らすために、今ここで君を討つ! 行くぞッ!!」
シャルロットとしてではない。彼は、新垣瑞希として、愛する師の無念を晴らすためにここに来たのだ!
「ナメるなぁ!!」
『鎧を纏いし戦乙女』を起動した瑞希と、鉤爪をもって相対した女が、正面から切り結ぶ。
勝負は一瞬。
倒れたのは⋯鉤爪の女だった。
女は、薄れゆく意識の中、静かに聞く。
「私が⋯間違っていたというのか?」
自然への回帰⋯愛するこの星を守るために闘ってきたというのに⋯
彼らが守ろうとしていたものに⋯女は気付いてしまった。
そして⋯歪な自分の存在を⋯理解してしまったのだ。
「君の気持ちは本物だったのかもしれない⋯だけど、君は間違っていた。過去を取り戻すことなんて出来やしないんだ。だから⋯僕はこの力で未来を拓く。この星の未来を」
女は涙を浮かべる。
後悔と、懺悔と⋯⋯
「私を止めてくれて⋯ありがとう⋯⋯」
感謝の涙を。
女の最期を見届けたアレクは、シャルロットに聞く。
「これからは、瑞希クンって呼んだほうがいいのか?」
冗談めかしたそのセリフに、瑞希は笑いながら答える。
「これからは――」
これから歩む、彼の選択を。
大成功
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最終結果:成功
完成日:2019年09月05日
宿敵
『カギ爪の女』
を撃破!
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