揺籃のアクア・リ・マーレ
●星舟『アクア・リ・マーレ』は夢に抱かれて
思い出をつくろう。誰かが言った。
めぐる季節。
けれど、同じ夏は一度だけ。
だから、思い出をつくろう、と。
パシャン、と。
水面に弾けた水飛沫がキラキラ世界を飾る。
陽射し跳ねる水に光が踊れば、キラキラ、キラリ。
真昼のエリア、天上に君臨するのは幻想の太陽。透明な水飛沫が虹色の宝石めいて煌いて。絵筆を気ままに躍らせ描いたような綿雲が流れていくよ、スイ、スイと。
深夜のエリア、天上で見守るは夜廻りのお月さま。しっとり水音響く中、夏空色の海が夢色に染められて花火はあがるよ、ドン、ドンと。
明るい蒼穹、夢誘う夜宙、咲き乱れる幾千の光花は華やかに咲き乱れて儚く消えて。
氷が涼やかに光るグラスに夏色果実をひとさし、しゅわり気泡昇らせるジュースは下から上へと色が変わって甘く爽やかに幸せ満たす。艶やかに汗を掻くグラスは光を弾いてキラキラ、キラリ。世界の全てが歓びを叫ぶ夏の眩しさ再現し、けれど全てはイミテーション。自然を失った人々の夢が詰まった少し切ない幻想ビーチ。
光の波紋が揺らめく水の中、お魚さんが色とりどりの宝石めいて珊瑚を揺らし、物語がほら、聞こえる。
「少年は、剣の師匠とはぐれて星海を漂流するうちに帝国貴族の星舟に拾われました。星舟には、親族から離され、機械の臣下のみに囲まれてひっそり暮らす孤独なお姫様がいたのです」
人工の微風がそよりふわり、人々の間を遊び駆ける。運ぶ薫りは花めいて甘やかに。見上げた空は、消えない夢が耀いている。
「孤独な姫君は、人のぬくもりを知りませんでした。少年は姫君に手を差し出しました。これが人のぬくもりなのだと伝えたくて差し出した手は――、」
手をつなごう、傍らのひとが囁いた。
――めぐる時間、戻らない時間、思い出はここに。
●夏の思い出を、あなたと
「おはようございます、今日もおひさまが元気いっぱいの朝ですね」
アルトワイン・ディネリンド(真昼の月・f00189)がニコニコ笑顔で猟兵に声をかける。
「今日は、日頃の感謝の気持ちもこめまして、リゾート船にご招待したいなと思ってお声をかけさせていただきました」
アルトワインはぺこりと頭を下げ、いそいそとスケッチブックを取り出した。
ぺらり。
一枚めくると、かろうじて海と空だとわかるクレヨンの絵が描いてある。アルトワインは、絵があまり上手ではないのだ。
「スペースシップワールドのリゾート船、星舟『アクア・リ・マーレ』に遊びにいきませんか」
アルトワインは目をキラキラさせ、一生懸命に星舟『アクア・リ・マーレ』について説明をする。
「星舟の中が、人工のリゾートビーチになっています。水着で遊べるのですよ♪ 水着のない方用に、水着ショップもあるのだそうです」
ぺらり。
アルトワインはスケッチブックを一枚ぺらりとめくってみせた。おそらくお魚さんと食べ物だと思われる絵が描いてある。
「海の中には、綺麗なお魚さんがいっぱいいて一緒に泳げるみたいです。浜辺には、たくさん食べ物のお店が並んでいます」
ぺらり。
アルトワインはもう一枚ページをめくった。ページは縦線一本で左右に2分割され、左側に青空に浮かぶお日さまとふわふわの雲の空間、右側に夜空に浮かぶお月さまとカラフルな花火が描いてある。
「このビーチには昼のエリアと夜のエリアが同時にあって、昼のエリアでは青空と綿雲、夜のエリアでは夜空と花火がお空を彩っています」
「それと、演劇ステージがあって、演劇を鑑賞することもできます。演劇を観た人には花冠が貰えるのです。演劇に出てくる少年とお姫様の像が海の中に立っているのですけれど」
アルトワインはナイショのお話をするかのようにちょっとだけ声をひそめた。
「仲良しさんの二人が花冠を頭に飾って、その像まで泳いで像の近くで一緒に手をつないだら幸せになれるっていうお話があるのだそうですよ」
「仲の良いお友達さんと遊びに行かれてもよいですし、おひとりでのんびりしてくださってもよいですし。お声をかけてくださったらわたしもご一緒します」
アルトワインはそう言ってリゾート船に誘うのであった。
日々世界のため駆けまわっている忙しい猟兵たち。そんな猟兵にも、心休める時間は必要だ。めぐる季節の今この時、ただ一度の今を大切にしたいから。
――だから、夏の思い出を、つくろう。
remo
おはようございます。remoです。
初めましての方も、そうでない方もどうぞよろしくお願いいたします。
今回はスペースシップワールドでの季節限定シナリオです。日常1章のみ、「夏の思い出エピソード」な内容となっています。プレイングの受付は集まり具合などの様子を見ながら、ゆっくりのんびりめを考えています。
リプレイは基本的に、グループ様であればグループ様のみ、おひとり様であればおひとり様のエピソードでお返しします。アルトワインをお供にご指名いただければ、お供をさせていただきます。
現地では、海で遊んだりご馳走を食べたり花火を観たり演劇を観たり、自由に過ごすことができます。
夏は何度も来るけれど2019年の夏は一度きり。というわけで、ひと夏の思い出を綴るご縁を頂けましたら、嬉しいです。もしよかったら、よろしくお願いいたします。
第1章 日常
『猟兵達の夏休み』
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POW : 海で思いっきり遊ぶ
SPD : 釣りや素潜りに勤しむ
WIZ : 砂浜でセンスを発揮する
👑5
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フォルセティ・ソルレスティア
【SS】【POW】(アドリブ可)
夜のエリアで旅団のみんなと水着コンの打ち上げBBQだよー
ボクは水着(JC参照)で参加するんだ
トロピカルドリンクで乾杯して、大きなお肉にかぶりつき
シェルティスさんやスコル兄とお肉のとりあいだ!
メル姉(f09332)やミラさんの側に行って、お肉「あーん」してもらうんだ
それからフリージアさん→「水着すごくかわいいよー」
紫苑さん、メアリさん、雪音さん→「大人な感じで素敵だよ!」と
女性陣の水着を無邪気に素直に褒めまくるね
あとはジェムズガンさんや焔さんとワイワイおしゃべりー
最後は花火を背景に笑顔で写真撮影
今日はとっても楽しかったな。そしてフィオ姉ちゃん、水着入賞おめでとう!
ビスマス・テルマール
【SS】の皆と夜のエリアでBBQを
●SPD
BBQの前にさんが焼きの材料の魚を『クロマグロ型水陸両用鎧装オーマグロ(水着コンテストの)』を試運転を兼ねて装着
『泳ぎ』手掴み漁や『釣り』を
その後『料理』し
さんが焼き用に作ったなめろうを貝に挟み
フィオリナさん達入賞者への祝辞と共にBBQに乱入
BBQの網に貝を紛れ込ませ
さんが焼きを焼きます
因みにこの中にはノーマル以外に
マグロのバナナなめろうが混ざっているんですよ。
ハンバーグにバナナを入れる話はありますし
マグロとバナナは相性良いですからね
ロシアンと言えどハズレでは無いかなと
皆とBBQを楽しみ 乾杯や写真撮影にも参加も忘れず。
※アドリブ絡み掛け合い大歓迎
メルノ・ネッケル
【SS】
《POW》
水着姿でリゾート船へGOや!
何やかんや、みんなでのんびり過ごすのは久しぶりやね。
まずは団長(f00964)にコンテスト入賞のお祝い言わなな。
纏めた髪に白い水着……爽やか&綺麗やったで。おめでとうな、団長!
さぁて、楽しいBBQの時間や!夏といえばやっぱこれやね!
まずは夏っぽいドリンクで乾杯や、勿論ソフトなドリンクやでー。
後は肉も野菜も海鮮も焼いて食べるのみ!!
焼き役と食べ役をバランス良く務めていきたいな、焼き役の時はどんどん配ってくでー。
セティくん(f05803)のあーん要求にはノリノリで応じる!ほいっ、あーん!沢山食べぇやー。
ラストは花火見物を兼ねた記念撮影や。笑顔でピース!
ミラ・グリンネル
【SS】の皆で参加
水着:イラスト参照
旅団の皆で水着でBBQデス!
フィオリナ入賞おめでとうデス!可愛らしくて素晴らしいネ!
ミラも入賞したかったデス(自分の水着を見つめる
肉は豪快に焼いてSPGで味付けデス!BBQといえばやっぱこれデスヨ!
でも他の人の味付けも美味しそうデスネ。それクダサイ!(あーん
フォルセティ、お肉食べたいデスカ?ミラが食べさせてあげますネ?
両手持ち塞がってるのでタピオカドリンクは胸の上に置いて飲みマスヨ。何でジロジロ見るデスカ?これ便利デスヨ?タピオカチャレンジ?はて?
最後は皆で記念撮影デスネ!また来年も一緒に過ごしたいデスヨ!
▪️その他
アドリブOK
いろんな人と絡みたいです
花塚・メアリ
【SS】 宣伝の努力も実って水着コンテストの入賞も果たせたし、今日はパーっと打ち上げしちゃおー♪ 水着を着て私も参戦よ!
今回はBBQ打ち上げなのね
BBQと聞いたら黙っていられないわね、肉を焼くのは私に任せなさい!
お肉と一緒に何か混ざったような気もするけど、全部美味しく焼いちゃうわ
セティは私の水着を褒めてくれたお礼にちょっとサービスしちゃう! (お肉追加)
お肉がみんなに行き渡ったら自分の皿を持って、夜のビーチの雰囲気とお祭り気分の余韻に浸って疲れを癒そうかしらね
夜空を見上げてる時にスコルが私にカメラを向けたら笑顔でピースサインを返すわ
御開きの時間になったら皆と合流してグループ撮影に入っていくわ
フリージア・カットラス
【SS】
【POW】(アドリブ可)
旅団のメンバーと海でBBQに参加、かわいい水着を着るのは正直恥ずかしいが肉の為だ。
「食べれるときに食べないといけないからな」
とりあえず焼けるだけ肉を焼き、食べる。
「その肉、もう食べれるから食べたほうがいいぞ」
自分一人で来ているわけではないので食べごろになった肉は旅団のメンバーに教えることにしよう。
「ぴ、ぴーす」
最後の記念撮影はこういうのに慣れていないので、ぎこちなく笑顔でピース
一之瀬・紫苑
【SS】(アドリブ歓迎です)夜エリアで旅団の皆さんとBBQですね、綺麗な海にBBQなんて久しぶりだからとても楽しみだわ。でも、到着したら最初に団長さん(f00964)に入賞の祝辞を忘れずにしましょう。せっかくのビーチなので水着(JC参照)を着てのんびりと過ごしてリフレッシュしましょうか。烏龍茶で乾杯した後はお肉や色々な海の幸を頂きましょうか、…狙った食べ物は確実に取るつもりで行きますよ?後は…旅団の皆さんとおしゃべりをしたり、のんびりと綺麗な夜景を眺めたりしながらリラックスしたいわね。最後には皆さんと写真撮影があるみたいだからせっかくなので私も参加させてもらおうかしら。
シェルティス・レグナード
チーム【SS】アロハに短パンでBBQだ。今回は見る専門だったし労いも兼ねて焼くことに専念.串焼き,トウモロコシに貝類も焼いてくぜ。カットフルーツをアルミ皿の上に乗せ砂糖を塗せば焼き林檎などなどデザートも.飲み物は甘い炭酸やフルーツミックスを用意した。酒類は冷えたビールに、せっかくの南国気分。カットフルーツを瓶に入れ、炭酸とワインを加えてサンガリアを作ってみた.乾杯の音頭を取らせてもらうぜ「さあ!食い物飲み物は行き渡ったか?水着コンテストお疲れ様だ!乾杯!!」水着の美女達には焼き当番しながら口説き文句でも一言。その後は近くの人と話しながら旨いものくって笑顔になるのを眺めるかね。最後は記念撮影だ。
スコル・カーバイト
●チーム【SS】と行動だ。水着(JC参照)でリゾート船とBBQを満喫すっかね(※アドリブ可)
俺はBBQ食材漁りに釣り【SPD】でもすっかね。銛は使わねーのかって?俺あんま水に濡れるの好きじゃねーんだよな
そーだ、ただ満喫するだけじゃつまらんしな、ここは一つカメラであんなシーンこんなシーンでも撮ってくか。ククッ、何てったって選り取り見取りだからなぁ。んで撮った写真はお得意様にでも売って…おっといけねぇ、ひと夏の思い出にでもしとこうか
最後は花火も見つつ、記念撮影で締めにすっか。ま、こーいうバカンスってのも悪かねーもんだ。
神薙・焔
【SS】
ひとしきりガジェットサーフィン(水着JC参照)を楽しんだ後はみんなと…お土産を持っていきたいわね、お、ヤシの実が、超高圧水鉄砲でばーん、狙い撃つわ!
皆でココナツジュースを楽しんだらBBQ! 焼いたこともあるけど、今回は食べる専門でいいわよね、野菜にフルーツ、スイーツもあってトングが進む、フルーツの酵素は消化を助ける(効果には個人差があります)から、肉肉肉肉肉肉肉肉肉野菜肉肉肉肉肉肉肉肉フルーツ肉肉スイーツくらいのローテを回せば無限に食べられて栄養バランスもいいってリクツよ。
お、海産物を獲ったのね、やるじゃない。早速焼いて、でっかいホタテの貝殻げーっと! 記念撮影では大胆に貝殻ビキニ?
御乃森・雪音
【SS】【POW】(アドリブ歓迎) 夜エリアで旅団の皆と打ち上げね。水着(JC参照)で参加するわ。フィオリナ(f00964)にはまずおめでとうを言わなきゃね。後は…適当に食事をつまみつつ飲み物を配って回ろうかしら。未成年はノンアルコールのカクテル(果物シロップの炭酸割)なんかが良いと思うわ。スコルには一応釘を刺しておこうかしら(軽くウインクして)「変な事に使わないでよね?」
記念撮影は慣れてなさそうな子…フリージアの横にくっついて笑顔で。
「たまには良いでしょ?こういうのも」
フィオリナ・ソルレスティア
【SS】(アドリブ可)旅団のみんなと打ち上げBBQ
お気に入りの水着姿(JC参照)で参加。焔さんのココナツで乾杯
食事より歓談・交流メインで
「ちょっとローライズ過ぎかなって思うのだけど」
たくさんの水着の祝辞に照れながらも素直に「ありがとう」と受け取る
「ええ、そんなアングルから撮るの?」
普段は絶対しないポーズでスコルさんの撮影サービス(今日だけ特別)
やっぱり恥ずかしいけど
シェルティスさんの甘い炭酸と一緒の甘~い言葉に気分よくする
「お世辞でも嬉しいわよ」
体を密着させて逆にドキドキさせちゃうかも
ミラさんのチャレンジや紫苑さんのサイズに敗北感を味わいつつ、最後は花火をバックに記念撮影
フリージアさん、笑顔よ
ジェムズガン・アナンダ
【SS】旅団の皆さんとBBQ楽しみです!フォルセティお兄さまや焔お姉さま達とお話したり、海に潜ってお魚捕まえたり、泳いで競争したり楽しみです!
後、用意した海向けのからくり人形とドローン使って、海産物も沢山ゲットです!
ドローンでスコルお兄さまの撮影をお手伝いします。空からなら変わったものも撮れそうです。
お肉、お肉です!熾烈なお肉争い、ジェムは負けません!沢山食べて早く大きくなるんです!
(なお、ピーマン苦手です)
記念撮影の時はからくり人形の鎧布に肩車です。
多分、小さすぎて写らないので…。
来年もまたBBQやりたいです。勿論大きなって。
(アドリブ可)
●『Sixth Sense』の夏の思い出
旅団『Sixth Sense』。異空間を旅する不思議な宇宙船を拠点とした猟兵たちの補給基地で知り合った仲間たちがリゾート船に遊びに来ていた。
昼の明るさ満ちるビーチをひとり、またひとり。
フィオリナ・ソルレスティア(サイバープリンセス・f00964)が清潔感の中に甘さを漂わせるピュアホワイトフリルの水着で浜辺を歩く。お気に入りの水着を着て歩いているだけで気分が浮足立ち、いつもよりちょっと背筋が伸びて。
「わー、海だー」
セーラー水着が爽やかな弟のフォルセティ・ソルレスティア(星海の王子様・f05803)が元気いっぱい、サンダルをぺたぺたと走らせ。
「水着コンの打ち上げBBQだー」
そう言って仲間を振り返って手を振った。
「宣伝の努力も実って水着コンテストの入賞も果たせたし、今日はパーっと打ち上げしちゃおー♪」
黒い水着の花塚・メアリ(ヴァンパイア専門のヘッドハンターサムライガール・f02587)がフォルセティに手を振り返し。
「水着姿でリゾート船へGOや!」
弾ける笑顔のメルノ・ネッケル(水器狐・f09332)が狐の尻尾をふわり揺らし、水着姿で前を駆ける。海といえば水鉄砲、メルノといえば二丁拳銃。明るい瞳はニコニコと仲間を見る。今日は、遊びにきたのだ。
「それー!」
「きゃっ」
水鉄砲を悪戯に撃てばキラキラ透明の水が勢いよく飛び出し、陽気に涼気を足してくれる。
メアリを水が捉え――消えた。なんと撃ったと思った水着のお姉さんは残像だ。危なげなく水を避けながらメアリがメルノに近寄っていく。
「1人だけ水鉄砲はずるいわ、片方寄越しなさい!」
「いやや~♪」
2人が寄せる海水を跳ねながら楽しそうに走る。
(かわいい水着を着るのは正直恥ずかしいが肉の為だ)
フリージア・カットラス(人狼のブレイズキャリバー・f06651)が愛らしいピンク色のフリル水着を着用し、少し恥ずかしそうにしながら皆のあとをついていく。
「旅団の皆さんとBBQ楽しみです!」
ジェムズガン・アナンダ(第六幼稚園すみれ組・f17916)が爽やかな黄色い水着を着てフリージアのあとをついていく。ふり、ふりとフリージアのふわふわの艶尻尾が揺れるのをキラキラした目で見て。
(みんなで来れてよかったわ)
赤い髪を微風に揺らすフィオリナに団員たちが明るい声をかけていく。
「フィオリナ入賞おめでとうデス! 可愛らしくて素晴らしいネ!」
アメリカなまりを滲ませながらミラ・グリンネル(妖狐の精霊術士・f05737)が陽気に声をあげる。
「ミラも入賞したかったデス」
ミラが見つめる自分の水着は星条旗めいたデザイン。普段から薄着がちなミラが今日はより一層大胆に肌を晒し、豊満なボディが蠱惑的に人目を惹きつける。
「何やかんや、みんなでのんびり過ごすのは久しぶりやね」
水をかけあって水着を濡らしたメルノとメアリがすっかりリラックスした様子で笑い合い。
「まずは団長にコンテスト入賞のお祝い言わなな。纏めた髪に白い水着……爽やか&綺麗やったで。おめでとうな、団長!」
「努力が実るのは嬉しいわね」
私も、と一行に加わった一之瀬・紫苑(ダンピールのマジックナイト・f00551)は清廉な銀髪を風に遊ばれながら、涼やかな目元に笑みを浮かべる。
「綺麗な海にBBQなんて久しぶりだからとても楽しみだわ」
開放的な青色の水着を身に纏い、笑顔でフィオリナに祝辞を告げる紫苑。クールで凛とした雰囲気のお姉さんは、話して見ればフレンドリーで懐っこい。
「団長さん、入賞おめでとう。素敵な水着ね」
言われたフィオリナは微笑み――しかし、紫苑の零れんばかりの豊満な胸元に目をちらりとやり、自分のサイズと比べてしまうのだった。
体形は女子にとってはデリケートな問題だ。
くすり、微笑ましい様子に笑む吐息を零し。長い睫に彩られた魅惑的な瞳が笑みを浮かべた。
「フィオリナ、おめでとう」
目元のほくろも艶めかしく、御乃森・雪音(人間のサウンドソルジャー・f17695)が優美な水着姿でフィオリナにお祝いを告げる。幾重の黒が織り成し艶めく衣装はダンサーらしさに溢れ、華やかだ。
大切な仲間たちからのたくさんの祝辞がフィオリナの胸をいっぱいにして、頬を薔薇色に染め照れながらもフィオリナは心を籠めてお礼を言う。
「ちょっとローライズ過ぎかなって思うのだけど」
乙女の恥じらいを滲ませながらも、甘やかなフリルを大切に撫でて。
「ありがとう、とても嬉しいわ」
飾り過ぎない言葉にはなによりの真心が篭り、はにかむような笑顔は甘い花に似て愛らしい。
◆
ちゃぷ、ちゃぷと波間で浮きが揺れる。置いたバケツの中にはすでに釣れた数匹の魚が狭そうにしながら泳いでいた。
「結構釣れるんだな」
竿をもつ人狼――水着に黒パーカーを軽く羽織ったスコル・カーバイト(ひねくれ灰狼・f06122)が灰色の尾をゆらり揺らす。傍らには銛もあるが、ごろんと転がしたまま使う気配はない。
フリージアがバケツで泳ぐ魚をじーっと見つめて尾をゆらしていた。ちらり、片目が銛を見る。無口な仲間からの問うような気配を感じてスコルはゆるく首を振る。
「俺あんま水に濡れるの好きじゃねーんだよな」
その耳がぴこりと揺れ。
「かかった」
口の端があがる。
(あ、魚が釣り上げられて……)
水中からそれを見て。
ジェムズガンは付き添いに見守られながら海に潜っていた。水中ゴーグルを通してみる世界は驚くほど美しい色に満ちている。ゆら、ゆら。揺らめく水を全身で感じる。ひとかき足をばたつかせれば、それもまた揺らぎとなるのだ。
泡沫がぶくぶく、身体の周りを掠めて上へと昇っていく。上から注ぐ光がキラキラとして、泳ぐ魚たちの鱗を煌めかせていた。色彩の踊る海にジェムズガンは目を輝かせ、力一杯に水を掻いた。
息継ぎにと水面に顔を出せば、フォルセティがざぶんと水を掻きわけてやってくる。
「競争しようよ!」
フォルセティがそう言って、お子様2人が元気いっぱい、海を泳ぐ。
穏やかな波を乗りこなし、冷たい水飛沫を浴びた体で風を切れば暑気に火照る肌が涼しく気持ちいい。鮮やかな色の髪がすいと後ろに流れ、楽しさが口もとに笑みの弧を描く。
「今のどっちが勝ち―?」
「どっちでしょう。わかりません!」
子供のはしゃぐ声が聞こえる。
「賑やかね」
ガジェットサーフィンを楽しんでいた水着姿の神薙・焔(ガトリングガンスリンガー・f01122)の耳に仲間たちの楽しげな声が聞こえ、焔は新緑の瞳を優しい色に染めた。
「そろそろみんなと合流しようかしら。お土産を持っていきたいわね」
焔は海から引きあげ、仲間のもとへ向かう。鮮やかな深紅の髪が濡れて頬に張り付くのをそっと掻き分け、緑の瞳がぱちりと瞬いて。
「お、ヤシの実が」
超高圧水鉄砲でバーンとヤシの実を狙い撃ち、見事落とした実をキャッチして焔はにこりとする。丁度良いお土産ができた、と。
「やはり、お土産は獲りたいですよね」
クロマグロ型水陸両用鎧装オーマグロの出で立ちのビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)は鎧装の試運転を兼ねて海へザブーン、飛び込んだ。
きらきら、光がゆらめき煌き魚が泳ぐ海。ビスマスはきらきらした海を自在に泳ぎ、魚と捕まえる。
競争を終えてのんびりしていたジェムズガンはビスマスを見付け、びっくりと目を丸くして。
「じゃあ、ジェムも手伝います」
ジェムズガンが海向けのからくり人形とドローンを操り海産物を獲っていく。
◆
穏やかに晴れた夜空に銀色砂めいた星が散りばめられて輝きを添えている。
紫苑はのんびりと夜のエリアを散策していた。しっとりとした夜気に微睡みを誘うような波音、銀色の髪を月明かりが照らせばすっきりとしたうなじから肩へと滑らかに女性らしいラインが続く肢体が美しく浮き出され。穏やかな空気が夜世界を歩む佳人の心を和ませ、癒してくれる。
「人工の太陽って日焼けはするのかしら」
平穏を象徴するような微風が花の香を届け、銀糸の髪をさらりと風に揺らす。風の駆ける先、昼のエリアを想いながら紫苑は海につま先をつける。ひんやり、冷たい水の感触が心の奥から新鮮な気持ちを呼び起こし、身も心もリフレッシュしてくれる。
近くではメアリも夜エリアの空気を楽しんでいた。剣豪らしさの滲む水着姿は、いつも巻いているサラシが外されて女性らしい体のラインを見せている。大きな胸がコンプレックスのメアリは、一方でお洒落もしたいお年頃であった。水を軽く蹴る足の爪にはとっておきのジェルネイルが花色を裂かせて煌いている。日の光のもとで見ても綺麗だったが、夜の淡い光のもとでも風情があるものだ、とメアリは嬉しくなって伸びをする。
「お祭り騒ぎは楽しいけどちょっと疲れたわね」
「そうね、ゆっくりしたいわ」
猟兵たちの水着コンテストは、2日間に渡って開催された。
目まぐるしい2日間を思い出し、同じ思いを共有する仲間と笑い。疲れが癒えていく。
◆
ところ変わって昼エリア。
「そーだ、ただ満喫するだけじゃつまらんしな」
スコルがふと思いつき、カメラを取り出した。
「スコルお兄さま、何を撮るのですか?」
「ここでしか手に入らない男のロマンさ」
ジェムズガンは不思議そうにしながらもドローンで撮影を手伝ってくれる。
「あんなシーンこんなシーンでも撮ってくか。ククッ、何てったって選り取り見取りだからなぁ」
無垢なお子様を味方につけた男がお宝ショットの枚数を増やしていく。
「んで撮った写真はお得意様にでも売って……」
「変な事に使わないでよね?」
高雅なウインクひとつ、雪音が釘を刺す。濃艶な微笑にスコルは慌てて取り繕い。
「おっといけねぇ、ひと夏の思い出にでもしとこうか」
「お兄さま? お姉さま?」
ジェムズガンは不思議そうに目をぱちぱちとさせた。
あまり手伝わなくてもいいのよ、好きなことして遊びなさい、ととやさしいお姉さまが言うので、お子様は素直に頷いた。
そう言われながらもついてきたジェムズガンを連れ、スコルは夜エリアに移動し。
「ふつうの思い出写真なら、撮って撮って!」
スコルのカメラに気付き、メアリは夜空彩る光の饗宴を背にとびっきりの笑顔でピースサインを返してみせた。
昼エリアと夜エリアでのんびり過ごしていた仲間たちがBBQをしようと集まってくる。
「なにをしてるの?」
「思い出の写真を撮るらしいです」
「ええ、そんなアングルから撮るの?」
フィオリナは普段は絶対しないポーズを取り、スコルへの撮影サービスをする。
(やっぱり恥ずかしいけど)
今日は、特別。
――パシャリ、思い出がまた一枚。
◆
カラカラ、と。
氷の音が鳴る。
紫苑は烏龍茶の入ったグラスを揺らし、乾杯をする。グラスの中で冷え冷えの氷が涼やかに揺れ。
「いよいよBBQですか」
呟く声は期待をにじませ。
「……狙った食べ物は確実に取るつもりで行きますよ?」
悪戯めいて微笑んだ。
「魚いっぱい!」
「きれいな貝が採れました!」
スコルやジェムズガンが釣った魚が運ばれる。
「肉もフルーツもいっぱいだぜ」
そう言いながら・レグナード(人狼の探索者・f10672)が食糧とドリンクを運び。
「さぁて、楽しいBBQの時間や! 夏といえばやっぱこれやね!」
メルノが食材にわくわくしながら、しゅわしゅわのスイカジュースを陽光に透かし、キラキラ輝く赤色に目を細めた。
「視線こっちー」
スコルがパシャッとジュースを持った写真を撮ってくれている。写真一枚を記念に残してメルノは意気揚々と肉を焼き始めた。
「BBQと聞いたら黙っていられないわね、肉を焼くのは私に任せなさい!」
その隣にメアリが並び、肉を焼く。
「2人、焼きながらこっち視線ー」
声に2人が並んでにっこり。
パシャリ、
写真がまた一枚。
「食べれるときに食べないといけないからな」
フリージアが肉を焼けるだけ焼いていく。びっしりどっしり並べられる肉が美味しそうな焼き目を見せて実に食欲を刺激する。肉汁がじゅわりぽたり、滴って炎が明るく燃えて。
夜の空気に揺らめく煙が美味しそうな香りをふわりと広げて皆がそわそわする。
「見てるだけでグッとくるな」
シェルティスが左右異なる色の瞳を楽しそうに細めた。
「焼いたこともあるけど、今回は食べる専門でいいわよね」
焔が皿を手に目を輝かせる。
野菜にフルーツ、スイーツと贅沢に並ぶご馳走は仲間が用意したものということもあり、楽しい気分も相まってトングが進む。
「どんどん食べ!」
メルノが肉を焼き、海鮮を並べ、焼き具合を見て皿に拾い上げていく。どんどん皿を配っていく。
「飲み物もたっぷり用意したぜ」
シェルティスが飲み物を並べていく。イチゴやリンゴ、グレープの果汁入り炭酸ジュース、たくさんのフルーツがぎゅっと詰まったフルーツミックス、人気のタピオカドリンク。
「もちろん、酒もある」
シェルティスが酒類をうきうきと並べる。
「冷えたビールに、せっかくの南国気分。カットフルーツを瓶に入れ、炭酸とワインを加えてサンガリアを作ってみたぜ」
焔がヤシの実をたくさん持って合流した。
「差し入れよ」
「焔さん、差し入れありがとう」
フィオリナがにこりと礼を言う。
「じゃあ、ジュースつくろうか」
ココナツジュースをみんなでつくり。
「お、海産物を獲ったのね、やるじゃない」
焔が称賛の瞳を向け、「それじゃあ焼くわ」と大きなホタテを早速焼いていく。
「貝殻げーっと!」
大きな貝殻を手に焔が燥いでいる姿がパシャリ、写真に撮られ。
「配るわね」
雪音がそう言って飲み物を配ってくれる。ふわり、夜風に耳元の青薔薇が揺れ、細く編んだ漆黒の髪が風に遊ばれる。
たくさんの写真を撮っていたスコルもひと休みして。
シェルティスが乾杯の音頭を取る。
「さあ! 食い物飲み物は行き渡ったか? 水着コンテストお疲れ様だ! 乾杯!!」
「「乾杯!!」」
賑やかな声が夜の浜辺に響き渡る。
◆
「ジュースおいしいねー」
フォルセティが嬉しそうにココナツジュースを飲み干し、続いてトロピカルドリンクを手に取って笑顔を向ければ、仲間たちも思い思いのドリンクを手にしていた。
肉も野菜も海鮮も、どんどん焼かれて。
「食べごろだぜ」
「これもおっけーや!」
皿に盛られていく。
ぶんぶん、悦びの尻尾を見せながらフリージアが皿を受け取り、黙々と箸を動かす。
「豪快に焼きマース!」
ミラが大きな肉をごろりと転がし、調味料を取り出した。
「SPGで味付けデス! BBQといえばやっぱこれデスヨ!」
SPG、「Salt Pepper Garlic」はミラにとって安心・定番の調味料だ。
フリージアが興味を示し、視線を向けるとミラはお日様のような笑顔で皿に味付け肉を置いてくれる。
「食べてみるデス!」
こくりと頷いて肉を齧るフリージアは耳をぴょこんと揺らし、目をキラキラさせて。
そっとミラを見れば、力いっぱいのサムズアップが返ってきた。
「その肉、もう食べれるから食べたほうがいいぞ」
フリージアは食べごろの肉を教える。
「味付け……」
「イエス!」
ミラが味付けをして肉を食べる。顔を合わせれば、2人の気持ちはひとつ。
「「おいしい!」」
仲間と分かち合う肉は各段に美味いのだ。
「どんどん焼かねえとおいつかねえ!」
シェルティスは笑いながらアロハに短パン姿で肉を焼く。
「今回は見る専門だったし」
水着コンテストを頑張っていた皆を労う気持ちも籠めて。そう呟いてふと煙に釣られて見上げる夜空には満天の星が輝いている。
「いい夜だ」
その空が作り物でも、いい夜であることに変わりはない。
そう思い、シェルティスは瞳をあたたかに微笑ませた。
串焼きを置き、トウモロコシをごろんと転がし、貝を綺麗に並べて。手際良くアルミ皿にカットフルーツを乗せていく。新鮮な果肉を陽光にキラキラさせる果肉に雪のように白い砂糖を塗せば果汁にやんわり溶けてフルーツがしっとりとした輝きを放つ。
「ワオ! キラキラフルーツネ!」
ミラが眼を輝かせて寄ってくれば口笛を鳴らし。
「わーお、水着美女だぜ!」
メアリが皿を差し出せば、「そういう格好してるとなんかいいな」と朴訥としながらも心の底からの言葉を添えていく。
フリージアには「肉以外も」とフルーツを差し入れしながら「ピンクが似合って可愛い」と率直な感想を伝え。
「いや、目のやりどころに困るな」
水着美女に囲まれているシェルティスを見てフォルセティが眼を丸くする。
「フォルセティも感想言ってくれるってよ」
ちょうどいい、とシェルティスはフォルセティを示し、美女たちと皿を渡すのであった。
「お肉、お肉です!」
ジェムズガンが頬を林檎のようにしてお肉争いに加わる。
「ジェムは負けません! 沢山食べて早く大きくなるんです!」
ピーマンをさりげなく避けながらジェムズガンはもりもりと皿を賑やかにしていく。ちょっとだけ背が低いのを気にしているお子様は、これからいっぱい食べて遊んで育っていくのだ。
「お肉も食べたいよ」
フォルセティが大きなお肉を狙い。
ひょい、と横から掻っ攫われる。
「えー」
不満げに口を尖らせると、大人ぶった表情のスコルが。
「フォルセティ、でかい肉とは戦って勝ち取るものだ」
焼けている肉の中から大きいものを取ろうとし。
「そうそう、取り合いに勝った男だけが食える肉もあるんだぜ」
シェルティスがニッと笑ってその肉を奪う。
「あー! その肉も狙ってたのにー!」
ワイワイと騒ぎながら肉が減っていく。
自分の味付けに舌鼓を打ちながらも碧眼をふと好奇心に揺らしたミラは仲間に近寄り皿を見る。
「その味付けも美味しそうデスネ。それクダサイ!」
あーん! と口を開けるミラ。
メルノが快く食べさせてくれる。
「ほいほいっ、あーん」
「あーんデス」
パクッと食べて味を堪能したミラが肉の取り合いに苦戦するフォルセティに声を掛ける。
「フォルセティ、お肉食べたいデスカ? ミラが食べさせてあげますネ?」
ミラが陽気に声をかける。あーん、と差し出せばフォルセティはパッと顔を明るくして近くに走ってくる。
「フォルセティが釣れマシタ!」
ミラが楽しそうに笑って美味しいお肉を食べさせてあげると、フォルセティが幸せそうに肉をもぐもぐとして。
「セティくん、ほいっ、あーん!」
メルノもノリノリで肉を差し出した。
「沢山食べぇやー」
フォルセティはお肉を「あーん」して食べさせてもらい、お腹いっぱいお肉を満喫した。
ふわり。
甘い香りに目を遣ればシェルティスが焼き林檎をつくっている。鍋に水を沸かせ、向いた皮を甘く煮詰めて、蜂蜜をまぶして綺麗に盛ってくれる。
「林檎は取り合いじゃないんだね」
「林檎取り合ってもな」
そんなBBQ会場に聞き覚えのある声がまたひとつ。
「賑やかですねー」
声だけではない。じゅうじゅうと、美味しそうな匂いと音がした。
視線を向ければ、ビスマスが慣れた様子で料理を始めているではないか。さんが焼き用に作ったなめろうを貝に挟み、にっこり。
「フィオリナさん、みなさん、入賞おめでとうございます!」
祝辞と共にBBQに乱入する。
「たくさん採ってきたんですよー、新鮮です!」
ビスマスはご機嫌でBBQの網に貝を紛れ込ませ、さんが焼きを焼いている。
「因みにこの中にはノーマル以外にマグロのバナナなめろうが混ざっているんですよ」
にこやかに告げる声に皆がびっくりする。
「ハンバーグにバナナを入れる話はありますし、マグロとバナナは相性良いですからね。ロシアンと言えどハズレでは無いかなと」
「マグロとバナナは相性がいいの? 知らなかったわ」
紫苑が不思議そうに目を瞬かせ。
「オー、マグロバナナ。面白い味デース」
ミラが早速引き当てていた。
「面白い味? どんなんー? ちょっと興味あるわぁ」
メルノがひとくち分けてもらっている。
「お肉はちゃんとみんなに行き渡ったかしら?」
メアリがぐるりと皆に視線を巡らせる。
「じゃあ、私もいただくわね」
メアリは自分の皿を持ち、ほっと一息。
「お疲れ様ね」
雪音がふわりと微笑み、カクテルめいたグラスを渡してくれる。
「ノンアルコールよ」
「わあ、甘くておいしいわ」
爽やかな甘さに弾けるように笑みを向ければ、黒髪の少女も嬉しそうに笑う。
「ミラさん、それは」
フィオリナがふと気づいて呟いた。
「たぴおかちゃれんじ……」
両手が塞がっているミラはタピオカドリンクをたわわな胸の上に置いて飲んでいる。
「何でジロジロ見るデスカ? これ便利デスヨ? タピオカチャレンジ? はて?」
それは、サイズあってこそできる技。
フィオリナはミラのチャレンジにひっそりと敗北感を味わった。
「肉と野菜とフルーツはバランスよく食べるといいのよ」
焔が肉を頬張り、笑顔で。
「野菜にフルーツ、フルーツの酵素は消化を助けるから、肉肉肉肉肉肉肉肉肉野菜肉肉肉肉肉肉肉肉フルーツ肉肉スイーツくらいのローテを回せば無限に食べられて栄養バランスもいいってリクツよ」
うん? と紫苑が首をかしげ。
「肉が多くないかしら」
思わず呟いた。
「効果には個人差があるけどね」
「要は肉食べてもいいってこっちゃな!」
「そうなんです?」
「今日は、特別ー!」
仲間たちは肉をたっぷりと焼いて食べていく。今日は特別なのだと皆が言えば、皆が笑って頷いて。
一方、フォルセティは水着のお姉さんたちに囲まれて。
「フリージアさん、水着すごくかわいいよー」
フォルセティが素直な感想を伝えれば、フリージアが恥ずかしそうにしながらそっとはにかむ。子供の声色で放たれた素直な感想は可愛らしく、お姉さんたちが次は自分もと感想を待つ。
「うーん」
オレンジの瞳を愛らしく瞬いて、フォルセティはお姉さんたちを順にみる。
「紫苑さん、大人な感じで素敵だよ!」
「ありがとう、フォルセティも水着似合っているわよ」
紫苑がにこりと微笑み。
「メアリさんと雪音さんも大人な感じだー」
無邪気に褒めるフォルセティ。子供らしさ溢れる感想に2人は頬を緩めた。
「セティは私の水着を褒めてくれたお礼にちょっとサービスしちゃう! 」
メアリがご機嫌になってお肉を大盛サービスしてくれる。
「やったー」
シェルティスがトウモロコシに齧りつき、仲間たちを見る。皆の笑顔に心が温まるのを感じながらもうひと齧り。
(弟の前で姉を口説くのもなあ)
思いながら、シェルティスはフィオリナに甘い炭酸を差し出した。
「いいとこのお嬢さんって感じで可愛いぜ、夜の雰囲気もあって掻っ攫いたくなる」
甘い炭酸を口にしたフィオリナは気分をよくして、にこり。
「お世辞でも嬉しいわよ」
悪戯に微笑み、フィオリナは体を密着させる。逆にドキドキさせちゃおうと思ったのだ。
――ドン、
ひとつ、大きな音が響いて。
パァッと空が光に照らされる。
「花火だ」
皆が空を見る。
◆
花火がドンドンと威勢よく撃ちあがる。
パッと鮮やかな光の花が空を彩り、一輪、また一輪、夏の夜空が華やいで。
「ま、こーいうバカンスってのも悪かねーもんだ」
スコルはのんびりと呟いた。
「花火、凄いわね」
メアリが空を見て感嘆する。
白皙の顔が鮮やかな花火の色に照らし出されていつもと違う皆の顔が見える。
「最後は皆で記念撮影デスネ!」
最後は花火を背景に、みんなで写真撮影タイム。
「せっかくなので私も参加させてもらおうかしら」
紫苑がそう言ってにこりと笑顔の華を添える。
「採れたての貝殻ビキニよ!」
焔はなんと大胆に貝殻ビキニ姿でポーズを取る。
「また来年も一緒に過ごしたいデスヨ!」
ミラが大切な仲間たちを順に見つめて真っ直ぐな言葉をあげた。
花火に照らされる皆の笑顔。
「ピース!」
メルノが最高の笑顔でピースをしている。
ジェムズガンはからくり人形の鎧布に肩車してもらい元気いっぱいの笑顔を浮かべる。
「来年もまたBBQやりたいです」
(勿論、今より大きくなって……)
肩車じゃないと小さすぎて映ることができなかったのをこっそり気にしながら、ジェムズガンが呟いた。
細く光の線が空へ駆け昇る。幾筋も、幾筋も。共に駆けあがった光が弾けて、満開の火花を咲かせる。爆音が絶え間なく響き渡り、楽しい気持ちが加速する。今日は祭りなのだ、特別な夜なのだと世界が心を浮き立たせ、赤色、黄色、紫色、満天に個性豊かな花が咲く。
フリージアは少し困った様子で体を固くしていたが、そんな様子も仲間にはお見通し。ちゃんと、気付いてくれるのだ。
「フリージアさん、笑顔よ」
フィオリナが笑って。
雪音がフリージアのぎこちない様子に優しい微笑を浮かべ、隣にそっと立つ。
「たまには良いでしょ? こういうのも」
「ぴ、ぴーす」
慣れていないフリージアは、それでもぎこちない笑顔を浮かべ。周りの真似をしてピースをする。
「ふふ、混ざれてよかったです」
ビスマスがにこりと笑う。
「また来ようぜ」
シェルティスがそう言えば、皆が頷く。
全員が一緒になってポーズを撮り、写真を撮って。
たくさんの写真が思い出を飾る。
「今日はとっても楽しかったな」
呟いたフォルセティは、そうそう、と大好きな姉を振り返り。
「そしてフィオ姉ちゃん、水着入賞おめでとう!」
ひときわ明るく空染め上げる花火を背景に、今日一番の笑顔を見せた。
大成功
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ハーモニア・ミルクティー
お昼のエリアで、海を眺めながらテラスでお食事をするわ。
可能なら、仔ライオンのアステルと一緒に楽しむわ!
もし良かったら、アルトワインも一緒にどうかしら?
リゾート船に水着姿でまったりバカンスって、ちょっと贅沢な気分ね。
わたしは…ええと、夏らしいパフェとフルーツの盛り合わせとタピオカドリンクを頼もうかしら。
こんなにたくさん食べられるのかって?甘い物だけは別腹よ!
料理が届いたら、ゆっくり食事を楽しみましょう。
フルーツたっぷりカラフルで、見た目も華やかよね。
そうだわ。好きなフルーツはあるかしら?
わたしはマンゴーが好きよ!
あと、好きな物は最初に食べる派なの!
アステルに食べられちゃう前にね。
アドリブ歓迎よ!
●スイート・ファンタジア
スイ、スイ。真っ白雲がお空を泳いで。
燦燦と太陽が光注ぐ、テラス席。ゆったり広がる夏海を臨んで。
ハーモニア・ミルクティー(太陽に向かって・f12114)のライラックの瞳が涼やかな輝き宿し微笑みの花咲かす。丁寧に編んだふわふわの髪が優しい微風にそよりと揺れて、真珠の輝き纏うオフショルのフリルワンピース、ライラックの紐が可憐に揺れて。細い手首を揺らせばシャラリ、涼しい音がしてつるりとして星と煌石のアクセが揺れる。
艶やかな毛並みをやわらかに風に揺らして、仔ライオンのアステルが傍でのんびりとくつろいでいる。
「もし良かったら、アルトワインも一緒にどうかしら?」
フェアリーの誘いにアルトワインは嬉しそうに頷いた。
「ハーモニアさま、ワンピースがとってもよくお似合いです」
アルトワインはふわりと揺れるワンピースの裾が深い色に変じているのを「お花のよう」と感じながら微笑みを浮かべる。
「リゾート船に水着姿でまったりバカンスって、ちょっと贅沢な気分ね」
「ふふ、贅沢な時間を過ごしちゃいましょう♪」
――今日は、特別な1日だから。
互いに微笑みを交わしつつ、2人は海景色を楽しみながらメニューを開く。美味しそうなスイーツの写真がずらり、並んで眺めているだけでワクワク、胸躍る。
「わたしは……ええと、夏らしいパフェとフルーツの盛り合わせとタピオカドリンクを頼もうかしら」
「パフェはお願いしたいですね! ドリンクは……色が綺麗なのを、飲んでみたいです」
女の子2人は目をキラキラさせ、一緒にメニューを覗き込む。
「いっぱいいっぱい、頼んじゃいましょう」
アルトワインが笑えば、ハーモニアもふわり笑って。
「ええ、ええ!」
甘いものは別腹よ、とう言って笑みを交わし合う。いっぱいいっぱいの贅沢を、今日は2人で共有しようと。
そうしてお願いした料理が運ばれてくると、2人の明るい声が夏空をひときわ明るく飾り咲く。
「わあー!」
「可愛いです!」
女子2人が夢中で見つめるのは、キラキラ精緻な装飾入りの透き通る盃に盛られたいっぱいいっぱいのフルーツたち。夏らしさ振り撒くオレンジが元気いっぱいに煌めく果肉をさらけだし、甘々のチェリーと花弁のように切り並べられた林檎が仲良く並ぶ。夏緑を感じさせるのは艶のあるキウイ。見てるだけで酸っぱいレモンが添えられて。忘れてはいけないのが真っ赤に耀く瑞々しいスイカのヒトカケと、愛らしい苺の姿。
ハーモニアは大好きなマンゴーを見つけてにっこり、掬い取り。
「そうだわ。アルトワインは好きなフルーツはあるかしら?」
わたしはマンゴーが好きなのよと頬張れば、瑞々しくトロピカルな味がいっぱいに感じられて、幸せ。
「わたしは、苺が好きなのです」
アルトワインもニコニコ笑顔で苺を啄み、アステルにフルーツのお裾分け。つぶらな瞳のアステルが喉を鳴らし、ふわりゆらりと尾を揺らす。
テーブルの上では女の子2人がパフェのふんわりクリームを互いのスプーンにのせ、甘やかな味に舌鼓を打っている。
カラフル・スイーティーなタピオカジュースを味わえば、弾力のあるモチッとしたタピオカがぷるぷるとして。
「不思議な食感です」
アルトワインが眼を丸くして。
「はじめてだったの? 気に入ってもらえたかしら」
ハーモニアがくすくす笑う。
――夏の日は穏やかに、甘い楽しさを紡いで。
アステルがご機嫌に喉鳴らし、遠くさざ波見つめれば寄せて返す波が涼やかに踊っている。
大成功
🔵🔵🔵
明智・珠稀
昼のビーチにて
アルトワインさんと遊びたいです!
■水着
黒のピッタリスパッツ型
■行動
嗚呼、宇宙で満喫する夏も新鮮ですね…!
そしてアルトワインさんの愛らしい水着姿…!
と、見惚れるだけの思い出を作りたいわけではありません…!
「アルトワインさん、私と遊んでいただけませんか?」
海でチャプチャプも、浜辺で城作りでも
おおせのままに遊びたいお年頃
「苺がお好きなのでしょうか?ツインテールも相まって
水着姿、とても愛らしく似合っております、ふふ…!」
そういえば。
以前、アルトワインさんにご紹介いただいた
人魚伝説のお出かけの思い出を
スケッチしておりまして。
いつか、お土産話と共に観ていただけませんか?
※アドリブ大歓迎です!
●空と海の狭間で、2人
真昼のビーチに現れしは艶やかな夜の煌めき放つ黒髪の美青年。しなやかな筋肉の付いた端正な肢体を陽光に耀かせ、豪奢な金装飾の布が海青と夜黒を交互に魅せる。
白い肢体を引き立てるのは高級感溢れるシックブラックの水着。シックな中にどことなく危険な香り漂わせる大人デザイン(もしかすると変態デザインと言った方が良いかもしれない)チャームポイントのプリ尻を飾る緩掛けのベルトも重厚な存在感を発揮し、映えるは鮮やかな青薔薇。首元から下げられて胸元に揺れる一花は可憐に咲き。
「嗚呼、宇宙で満喫する夏も新鮮ですね……!」
明智・珠稀(和吸血鬼、妖刀添え・f00992)が艶やかな微笑みを浮かべ、世界を嘆美する。
(そしてアルトワインさんの愛らしい水着姿……! と、見惚れるだけの思い出を作りたいわけではありません……!)
「アルトワインさん、私と遊んでいただけませんか?」
アルトワインへと声をかければ、アルトワインは嬉しそうに背伸びをして笑顔を浮かべる。
「珠稀さま、お城をつくりましょう」
さらさら、暖かな熱を持つ砂に魅了された様子でアルトワインがしゃがみこみ、砂を盛る。一生懸命にお城をつくるアルトワインは同じようにしゃがみこんでお城つくりをする珠稀の胸元でプラプラ揺れる青薔薇に目を留めて。
「珠稀さまは薔薇がとてもよくお似合いですね」
愛らしい薔薇花に目を細め、好奇心の赴くままに指を伸ばして花弁を撫でる。
「アルトワインさんは苺がお好きなのでしょうか? ツインテールも相まって水着姿、とても愛らしく似合っております、ふふ……!」
珠稀がニコニコと褒めれば、アルトワインは薔薇を手放して苺飾りをひとつひとつ大切そうに摘まみ、自慢する。
「はい! 今日のためにと水着を用意していただいたのです。愛らしい苺でしょう?」
摘まむ爪先には常は飾らぬ鮮やかな赤色が耀き、今日が特別なのだと教えてくれる。
アルトワインは完成したお城の一番上にちょこんと小さな石をのっけて。
「お城の一番上に苺を飾って、苺城となづけましょう♪ お庭には、薔薇をたくさん咲いています」
薔薇と苺のお城の出来上がりなのだと満足げに語る。そして、燥いだ様子で海に目を向け、次は泳ぐのだと珠稀の手を引く。
「もちろん、おおせのままに。ふふ!」
嬉しそうに手を引くアルトワイン、ニコニコとついていく珠稀。その姿は面倒見の良いお兄さんと妹と言った風情だろうか。
「そういえば。以前、アルトワインさんにご紹介いただいた人魚伝説のお出かけの思い出をスケッチしておりまして」
お城に満足したアルトワインに手を引かれ、海に連れられる珠稀が思い出したように言う。
冷たい海がちゃぷりと波揺らし、光踊る海をアルトワインは楽しそうに進み。振り返って首をかしげる。
「まあ。あの時の」
どうやらアルトワインは覚えていたようだ。
「いつか、お土産話と共に観ていただけませんか?」
「見せてくださるのですか? ぜひお願いします」
ぷかぷか、苺のビーチボールが波に揺れ。流されぬようにと珠稀が手を添えれば「ふふ、」とアルトワインが可笑しそうに笑った。
「薔薇のお花も、ぷかぷかしています」
見ると首元から下げた青い薔薇が海を楽しむようにぷか、ぷかと浮いて揺れている。空を映したような青色が小さな水滴に濡れてきらきら、輝きを放って。
「とても、気持ちよさそうですね。ふふ!」
「――お土産話は、いつ聞かせてくださるのです?」
お話してくれるのが嬉しくて堪らないのだ、と声が伝える。
――波間で交わされる約束は、笑顔と共に。
大成功
🔵🔵🔵
葛乃葉・やすな
あわわわわ。
遂にわしもスペースシップワールドに来てしまったのう。
今ここは宇宙というやつなのか?
うーむ。どうも苦手じゃ。
生活水準が違いすぎて避けておったのじゃが、せっかく水着買ったしのう。
◆行動
海で思いっきり泳ぎの練習をする。
わしは泳げぬのでな。お気に入りのいなり寿司モチーフの浮き輪をしっかり掴んで海へ歩いていく。
あーーーーっ!
つま先に水が触れた!ダメじゃー!溺れるーー!!
……いや、落ち着けわし。
つま先が水に触れたくらいで溺れる訳がないじゃろう。
覚悟を決めて進むのじゃー。
ふふふ、浮き輪のおかげで水の中もだいぶ慣れたもんじゃな。
む、あれ?砂浜があんなに遠くに?くそっ!戻れない!!
あーーーー…………
●葛乃葉・やすなの冒険
「あわわわわ。遂にわしもスペースシップワールドに来てしまったのう。今ここは宇宙というやつなのか?」
葛乃葉・やすな(子供好きの妖狐・f14023)が狐耳を困ったように垂らして。ぴょこり、ポニーテールが後ろで揺れた。
「うーむ。どうも苦手じゃ。生活水準が違いすぎて避けておったのじゃが、せっかく水着買ったしのう」
頬にうっすら味を滲ませて呟くやすなは新品まっさらの水着を着ていた。瞳と同じ色が縁を彩る清潔な白の水着は体を隠す面積は控えめで、けれどいやらしさはなくむしろ清廉で健康的な愛らしさがある。すらり伸びた両の脚の間から覗くは尻込みする気持ちがあらわれて丸まったお狐様のふさふさ尻尾。足元で高級感ある輝き放つ和サンダルがジャリ、と砂を踏み。
やすなはいなり寿司モチーフの浮き輪をしっかり掴み、海へと歩いていく。揺蕩う海水が誘うように穏やかに揺れて人工の幻想光がまるで自然の太陽のように輝き、光が飛沫をキラキラさせている。ちょっと不思議な海。けれど、自然の海とそう変わらないようにも感じさせてくれる夏水。
そおっと差し出したつま先に水がつく。
「あーーーーっ!」
悲鳴があがった。
「つま先に水が触れた! ダメじゃー! 溺れるーー!!」
なんとやすな、水が怖い!
単に泳げないというレベルではなかった。つま先が触れただけでパニックに陥るやすなをライフセイバーさんが「あの娘、大丈夫かな?」という顔で見守っている。
「……いや、落ち着けわし。つま先が水に触れたくらいで溺れる訳がないじゃろう」
やすなは一通りぴょんぴょんキャアキャア騒いだのち、立ち直った。立ち直るまでに10分を要した。
ふう、と胸に片手をあてて落ち着かせるようにすれば鼓動がとくんとくんと高鳴っている。
赤い瞳が勇気を振り絞る様子で海を見る。
強敵に立ち向かうように勇ましく、やすなは拳を握り声をあげた。
「覚悟を決めて進むのじゃー」
命を預ける大切な浮き輪をしっかりしっかりと掴み、ちょっとずつ体を水に浸けては大騒ぎするやすな。
慣らしながら海を進めば海は少しずつ深くなる。おなかが水に浸かり、胸元まで浸かり……浮き輪が頼もしく体を浮かしてくれる。水をうっすら透かして水滴をきらきら弾く浮き輪をやすなは頼もしく見つめた。
ゆら、ゆら、ゆらり。
波が穏やかに揺れ、身体が水と一緒に揺れて。
心地よい。
緊張してぶわぶわとなっていた尻尾が落ち着いていく。水に濡れてぺたりとしていたが、それもまた気持ちが良い気がして尻尾が水面をぱしゃりと揺れた。
狐耳はぴこぴこ揺れて、時折かかる水飛沫に擽ったそうに頬が緩む。水は、しょっぱかった。足の先をたまーにお魚がつんつんとして。最初はあんなに怖かったのに、今はなんだかそれも可愛らしく思えて、楽しいのだ。
「ふふふ、浮き輪のおかげで水の中もだいぶ慣れたもんじゃな」
ちゃぷちゃぷ、浮き輪に身を預け、やすなは心地よく眼を細めた。そして、ふと気が付いた。
「む、あれ? 砂浜があんなに遠くに? くそっ!戻れない!!」
なんということだ、流されている!
いつの間にかその身は砂浜から遠くなっていた。懸命に戻ろうと藻掻くおきつねさま。
ばしゃばしゃ、ばしゃ。
懸命に稼いだ距離を波がざばあーっと流していく。
波に乗り体が浮き上がり、ふわあ、ゆらあと背後へと戻されていく。
「あーーーー
…………」
声が少しずつ遠くなる……。
大成功
🔵🔵🔵
ルク・フッシー
今日は1日、水着でレパルさんと過ごします
(レパルの言葉にうんうん、と相槌を打つ)
は、はいっ!とっても、その…かわいいですっ!
わあ…綺麗に写ってますね!(何冊かのスケッチブックを抱きしめながら)
えっと…レパルさんと、ボクが、ですか?…そ、その…ボクで、よければ…(照れ)
わわっ、レパルさんっ!〜〜〜!!(恥ずかしくて真っ赤になる)
(レパルの言葉にハッとして)レパルさん……
(バトル・オブ・フラワーズ。あの最後の戦いで…ボクは、レパルさんを守れなかった……)
………(無言で話を聞く)
……もちろん、です。ボク…戦います…(レパルの手をとる)
(今度こそ守る…いや、今度なんてなければいいのに…)
※アドリブ歓迎
レパル・リオン
ルクちゃんと水着で遊ぶわ!
えへへ、いっぱい泳いで、食べて、話して、演劇も見て、大満足っ!
どう?花冠、似合ってる?
見てよルクちゃん、画像フォルダも写真がいっぱい!
…ねー、ルクちゃん。像の近くまで泳ぐの、あたし達もやってみない?
(像の所まで泳いで)…これが像ね!やったー!!(ルクに抱きつく)
…猟兵になってから、色んな事があったわ。…辛い戦いも。
(あの戦いで…あたしは墜ちていくルクちゃんを…見てただけだった。…立ち上がれなかった……)
…でもね!あの日ルクちゃんが助けてくれたから、あたしは今、色んな人を助けられてるの!
…これからも、力を貸してくれる?(ルクに手を差し出す)
※アドリブ歓迎
●約束
「えへへ、いっぱい泳いで、食べて、話して、演劇も見て、大満足っ!」
ピンク色の尾を満足げに揺らし、夏色オレンジのフリル水着を着たキマイラ少女レパル・リオン(魔法猟兵イェーガー・レパル・f15574)がぺたぺたと砂浜を歩いている。
一緒に歩くのは、少年らしいカラフルな水着のルク・フッシー(つるぷに竜のサマーペインター・f14346)。つるつるすべすべな鱗をあたたかな太陽に耀かせ、ルクは「うんうん」と相槌を打つ。
「は、はいっ! とっても、その……かわいいですっ!」
ちょっと恥ずかしそうに、けれど素直な感想を告げれば、レパルはとても嬉しそうに破顔した。
「見てよルクちゃん、画像フォルダも写真がいっぱい!」
レパルが画像フォルダを見せる。波間に揺られて2人笑顔の写真、きらきらスイーツをいっぱいいっぱい頼んで夢中で撮った美味しそうな写真、食べてるところを撮ってもらった写真、演劇場の入り口で撮った写真。楽しい思い出がぎゅっと詰まった写真がいっぱいの、宝物フォルダ。
「わあ……綺麗に写ってますね!」
にこにこするルクの両腕には何冊かの大切なスケッチブックが抱きしめられている。スケッチブックには、夏模様の海景色、楽しげな人々、ニコニコ笑顔のレパル、浜辺に劇場、綺麗で可愛いスイーツにお魚たち。ルクの心の琴線に触れたものたちが活き活きと描かれている。
「……ねー、ルクちゃん。像の近くまで泳ぐの、あたし達もやってみない?」
揃いの花冠を指し、レパルがふと提案した。
「えっと……レパルさんと、ボクが、ですか? ……そ、その……ボクで、よければ……」
ルクは頬を赤く染めた。「自分達は仲良し」だとレパルが思ってくれている。それがわかって嬉しいのと、もうひとつ。
(ちょっと、こういうのって恋人同士みたい……)
そんな感想を抱いて。
「やったー! 行きましょ!」
少年の心知らずレパルは水を掻きわけて海を進んでいく。元気いっぱいに波に乗り、時折ルクを振り返ってはニコニコ笑い。
像に辿り着くのは簡単だった。
海の中を悠々と佇む像を見上げてルクが一息ついた、その時。
「……これが像ね! やったー!!」
ざぶりと勢いよく水を跳ね、レパルがルクに抱きついた。
「わわっ、レパルさんっ! ~~~!!」
ルクは恥ずかしくて真っ赤になる。あわあわしながら抱き留めた少年の耳を小さな声が擽った。
「……猟兵になってから、色んな事があったわ。……辛い戦いも」
(あの戦いで……あたしは墜ちていくルクちゃんを……見てただけだった。……立ち上がれなかった……)
ぎゅ、と力を入れて抱きしめる体はトクトクと温かな鼓動を伝えていた。――今、2人。生きている。それを実感しながらレパルは過去を想う。
ルクがハッとした。
「レパルさん……」
(バトル・オブ・フラワーズ。あの最後の戦いで…ボクは、レパルさんを守れなかった……)
緑色の手が震えて。思い出すのは、奇跡の及ばなかったあの戦い。
「……でもね! あの日ルクちゃんが助けてくれたから、あたしは今、色んな人を助けられてるの!」
ルクが無言で話を聞いている中、レパルが明るい声を放つ。いつも、そうなのだ。この女の子は。
ルクが瞳を瞬かせる。
近くに、レパルのキラキラの瞳があった。
まっすぐ、視線が合って。
「……これからも、力を貸してくれる?」
差し出された手は、やはり小さい。
「……もちろん、です。ボク……戦います……」
ルクはレパルの手を取った。
ドラゴニアンのルク・フッシーはゴッドペインターの少年だ。臆病で人見知りの少年の心には戦いを怖れる弱さが潜んでいる。
海よりも深い色の瞳があたたかに揺れるのをレパルはじっと見つめた。握ってもらえた手の感触がぷにぷにとして、あたたかい。ルクちゃんの体温だ。
この気弱そうな少年が、レパルと一緒に戦う時身の底から勇気を振り絞り、人々を守るために懸命に腕を振るってくれるのをレパルは何度も見て来た。一番近くで、いつも、いつも。
「これからも、よろしくね。ルクちゃん」
一番近くで呟く声は、たくさんの成功と失敗を一緒にしてきたからこその色。ふわりと咲く少女の笑顔にルクはしっかりと頷きを返し。
(今度こそ守る……いや、今度なんてなければいいのに……)
そう、そっと思うのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
霑国・永一
マリア(f03102)と参加
水着は黒を基調としたボードショーツ型
楽しむだけじゃなく(子供だが)素敵なレディ付きとは俺にしては恵まれた環境だ
では昼のエリアで泳ぐとしようか
マリアは泳げるかな?(軽く笑う)
大丈夫、離さないよ
たっぷり泳いで満喫した後は休憩兼ねてお店でご飯食べるとしよう
ああ、マリアの分は俺が奢るよ
イカ焼きにフランクフルト、あとはかき氷(レモン)を注文
お裾分けの焼きそばも有難く戴くよ。…20年生きててあーんとか初めてされたよ(苦笑しつつ焼きそば食べる)
貰ってばかりは男が廃るし、マリアもあーんして貰うよ。さ、どうぞお嬢様?(イカ焼き差出)
いやぁ、偶には盗みも戦いも無く夏を楽しむのも悪くない
マリアドール・シュシュ
永一◆f01542
アドリブ◎
白と青基調の水着と日傘
まぁ永一ったらお上手!
今だけはマリアが永一を独り占めしちゃうのよ
水着、似合ってるのだわ
マリアは宝石だから実は水の中はあまり得意でないの
だから(手握り
離さないで頂戴(首傾げ微笑
海の中へ
魚眺め泳ぎ堪能
優雅な一時
彼との思い出がまた一つ
永一と店へ
焼きそばとかき氷(ブルーハワイ)を頼む
泳いだ後のご飯は格別
かき氷食べて舌が青く
マリアの分もいいの?(目爛々
温かい内に食べてね?お裾分け(何も考えず焼きそばをあーんで食べさせ
あら、マリアにもくれるの?(自然にイカ焼きぱくっ
(貰ってばかりなのはマリアの方なのに)
とっても美味しいわ!
暫し談笑
楽しむ永一を見て満足そうに
●思い出を、またひとつ
真昼の明るいエリアには光が溢れていた。
黒を基調としたボードショーツ型の水着姿の霑国・永一(盗みの名SAN値・f01542)が傍らの『小さなレディ』に視線を向ける。
黄金の鳥めいた柄に細い指を絡め、頭上に清らかな白日傘を掲げる少女。日傘の内布が深い青色を透かせて少女の銀髪に青色の影落とし、精緻な髪飾りがきらきら光る。小鳥めいた仕草で少女が永一を見て、大きな瞳に吸い込まれそうになる。軽く揺らしたのにあわせ、耳元の華飾りが可憐に揺れ、細い首から少し頼りない華奢な肩のラインは成長途中の少女のもの。
大きな結晶花を髪に飾り、水のうねりにも似た蒼耀煌く姫君。白く清らかな布地を気品あふれる金飾りが引き立てて、白と青に身を飾るマリアドール・シュシュ(蜜華の晶・f03102)は、清らかで愛らしい。
「楽しむだけじゃなく素敵なレディ付きとは俺にしては恵まれた環境だ」
子供だが、と内心で密やかに付け足しながら大人の余裕を滲ませて片目を瞑る永一に、マリアドールは花の微笑みで容貌を輝かせ。
「まぁ永一ったらお上手! 今だけはマリアが永一を独り占めしちゃうのよ。水着、似合ってるのだわ」
小鳥のさえずりにも似た声には擽ったそうな響きが燈る。無垢な姫君へを永一は慣れた様子でエスコートする。
「では昼のエリアで泳ぐとしようか。マリアは泳げるかな?」
軽く笑う男にはやはり余裕がある。
「マリアは宝石だから実は水の中はあまり得意でないの」
ちいさな宝石の姫君はそう言って永一の手を握り。
「離さないで頂戴」
首を傾げ、見上げる顔は咲花の微笑を湛えて。
「大丈夫、離さないよ」
返す声は事もなげに、当たり前だと告げてくれる。
手を引き導く海は透明に澄み渡り、軽やかな水音たてて2人を受け入れる。
控えめな体温を頼もしい手から感じながらマリアドールの瞳は鮮麗な魚の泳姿を映し出す。
「見て、永一。たくさん泳いでいてよ」
感動が声から溢れ、頬から耳にかけて薔薇色に肌染めし姫君がキラキラした瞳で海に夢中になる。魚よりも愛らしいその様子に永一は頷きを返し、波の揺らめきの狭間に優しく少女を誘い込み。
「海は気に入ってもらえたようだね」
囁く言葉は蜜のよう。
微睡みを誘うような幻想の揺らめきの中、透き通る世界に、2人。
――彼との思い出がまた一つ。
マリアドールが夢見る瞳を彼に向け、世界の真ん中で誰より愛らしい花の笑みを咲かせた。
たっぷり泳いで満喫した後は休憩を兼ね、屋台を覗き。
「ああ、マリアの分は俺が奢るよ」
「マリアの分もいいの?」
目を爛々とするマリアドールの食欲誘うは香ばしい湯気あげる焼きそばにブルーハワイのかき氷。永一はイカ焼きにフランクフルトを手に持って、彼の前にて食べられるのを待つかき氷はレモン味。しっとりと夏の汗を光らせて。
「温かい内に食べてね? お裾分け」
天真爛漫に焼きそばを掬い上げ、「はい、あーん」と促すマリアドール。有難く戴く永一は苦笑する。
「……20年生きててあーんとか初めてされたよ」
「貰ってばかりは男が廃るし、マリアもあーんして貰うよ。さ、どうぞお嬢様?」
永一が優雅にイカ焼きを差し出した。
「あら、マリアにもくれるの?」
マリアドールは貰ってばかりだと言うのをどこかに忘れてしまった様子で自然にイカ焼きをぱくっと頬張って。
「とっても美味しいわ!」
「いやぁ、偶には盗みも戦いも無く夏を楽しむのも悪くない」
楽しそうな永一を見てマリアドールは満足そうに。
「思い出がどんどん増えるわ」
――ひとつひとつ、大切な思い出を、あなたと。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
セシリア・サヴェージ
世界の事、人々の事、オブリビオンの事……片時も頭から離れることはありません。ですが、今この時を楽しまないのは無粋というものです。また明日から頑張るために、今はゆっくり休むとしましょう。
では、私は夜のエリアに参りましょう。それも、なるべく静かな場所へ。やはりと言うか、何と言うか……そういう所の方が落ち着くのです。何をするわけでもありませんが、ただ浜辺を歩くだけでも心が落ち着いて、波の音に癒されます。
と思っていると花火が空に打ち上げられました。打ち上げ花火、話には聞いていましたが、まさに夜空に咲く花のごとくですね……大変美しいです。実は初めて見ました。これもまた良い思い出になることでしょう。
●空染めの花火
赤いビーチサンダルが砂浜に着く。清珠を飾るアンクレットが涼しく揺れ、常は隠している肌が陽光に晒され、涼風を感じる。
普段はひとつに結っている艶めく銀髪を開放的に緩く流し、銀糸に彩られる白皙が少し固い真面目さを残しながらも優しい感情を湛え、和らいでいた。
常日頃は人々のため我が身を顧みず戦場を勇ましく駆ける女騎士、セシリア・サヴェージ(狂飆の暗黒騎士・f11836)が鮮やかなフィエスタ・ローズの水着に身を包み、リゾート船を訪れていた。騎士の均整の取れた体は夏陽に耀く健康美。剣を振り戦地を駆けるだけあって女性らしいなだらかで柔らかな曲線美の中に実力をあらわす筋肉がしっかり窺える。光を一身に浴びて輝く花色の唇は潤いに満ちてぷるんとして、人を怖れさせることもある涼やかな目元の美女が見つめるは不思議な暗さを称える夜のエリア。
昼の明るさから薄い膜を隔てて急に変貌する夜世界。
境界を越えた瞬間に空気が変わる。
不思議に瞬きながらセシリアは大宙を見上げた。
彼女の知る闇空とは大きく異なる幻想の空。穏やかに済んだ夜空に星が瞬き、月が耀き。
昏迷なる闇世界の雲覆う暗黒と比べれば全く夢のように麗しい至上の景色は、しかし自然と言うものを失った民の描いた造り物なのだという。
セシリアは表情を幽かに憂いに染めた。
世界の事、人々の事、オブリビオンの事。片時も騎士の頭から離れることのない、現実。
「ですが、今この時を楽しまないのは無粋というものです。また明日から頑張るために、今はゆっくり休むとしましょう」
気を取り直すようにゆるく頭を振り、セシリアは夜気を楽しむ。自然と向かうのは静かな場所だった。太陽に祝福されたかのような華のある容姿を水着に引き立てられながらも、セシリアの本質は静かで落ち着いた場所を好むのだ。淑やかな歩みにあわせ、足元でさらりと砂が流れる。
夜気が優しく頬を撫でて後ろへ抜けていく。波音が耳を控えめに擽り、静穏が心を癒してくれる。
パッ、夜闇が朱色に照らされる。
地から響く重音、花火がドンと撃ちあがり空で弾ける。一瞬で花開く火光の華がドンドンと音を立てて。今、花火大会が始まったのだ。
セシリアの視線が空に釘付けになる。薄銀の瞳が感嘆に満ちて映し出すは空の彩光。細く放射状に広がり花咲く火が色を帯び、青く大輪に咲く一輪に重なって艶やかなピンク色の花が咲き、少し遅れて純白の花が小さく中央を飾り。光がパッと咲いて落ちて消えていく。刹那の光芸。それを途絶えさせぬようにと次々連続で打ち上げ、空が飾られていく。
(打ち上げ花火、話には聞いていましたが、まさに夜空に咲く花のごとくですね……)
不思議な感動を胸にセシリアは息を吐く。美しい、と。
花火を観るのは、初めてだった。
この美しくも儚さを極めた芸術は人の手によるものだという。地に大きな音を響かせ、空に圧巻の賑々しい光の華が溢れ、けれど。
風は最初と変わらぬ優しさで、少し冷えた空気をセシリアの肌に吹き付けて。足元では繊細な砂が変わらずさらりと流れて、軽くサンダルのつま先をあてれば柔らかにその感触を伝えてくれる。
変わらぬ世界をほんの一時だけ照らしあげてその存在を主張した花を模した光はあっという間に崩れて消えて。消えた穴を補い埋めようと次が撃ちあがり。
美しいのに、どこか虚しさもある。
華やかで永遠に続くようで、一瞬のものでしかない。
――世界を彩るのは、そんな光景だった。
初めて見る花火――この光景は、きっと幾度季節が巡っても忘れぬことだろう。
大成功
🔵🔵🔵
イルミ・ウェスタレス
【医務室】で参加します。こんな大胆な水着で、しかも男の人と一緒にリゾートに来るなんて、なんだか気恥ずかしいですけど…せ、せっかくファン1号の充さんが誘ってくれたんですから、精一杯楽しみましょう!…あ、ここではお芝居もやってるんですか?それなら、見てる間は気まずくならずに済むかも…ええっと、そのあとは…海に立ってる像のところまで泳いで、花冠をかけてくるっていうスポットもあるんですね。今日のために練習してきたドラゴニアン式遊泳法(翼を羽ばたかせて推進力を得る泳ぎ方)を先生に見せますよ!…えっと、花冠をかけるとどうなるんでしたっけ?アルトワインさんが何か仰ってた気がしますけど…
胡堂・充
【医務室】で参加
……リゾート船に行こうと約束していたとはいえ、実際に当日となると緊張するな。
と、とにかく! イルミさんを退屈させないようにしないと!
ここが男の見せ所だぞ、胡堂充!
ん? あれは……演劇? この船にまつわる話なのかな?
イルミさん、少し見て行きましょう
ふむ、心温まる良いお話でしたね……え? 劇を見た人はあの像まで泳ぐ? これも何か謂れが?
とりあえず泳ぎましょうか……
【水泳】の出来る僕は彼女のペースに合わせて泳いで……あれはまさか、噂に聞くドラゴニアン泳法ッ!?
「すごいです、イルミさん! ……やった、辿り着きましたよ!」(イルミと【手をつなぐ】)
……なぜ喝采が……?
(アドリブ歓迎)
●喝采の中、2人
「……リゾート船に行こうと約束していたとはいえ、実際に当日となると緊張するな」
胡堂・充(電脳ドクター・f10681)が緊張した面持ちで待ち合わせ場所で自分に言い聞かせている。
「と、とにかく! イルミさんを退屈させないようにしないと! ここが男の見せ所だぞ、胡堂充!」
そんな彼の姿に周囲の人々が微笑ましい視線を向けている。
「お待たせしました……!」
イルミ・ウェスタレス(アイドル志望の恥ずかしがり屋・f08058)が待ち合わせ場所に現れた。長い髪をしっとりと背に揺らすイルミは黒を基調とした水着姿だ。頭にはいつもと違い水着合わせの黒のフリルカチューシャが飾られ、大胆な黒の中に甘やかな白フリルを加えた水着がイルミのスタイルのよさを引き立てている。グラドル向きと言われるたわわな胸がぷるんと揺れ、けれど決していやらしくはない。むしろ、もじもじと恥ずかしそうに頬を染める少女の奥ゆかしい愛らしさが際立っていた。ゆらりと長い尾と蠱惑的な黒羽が彼女がドラゴニアンであることを教えてくれる。
(こんな大胆な水着で、しかも男の人と一緒にリゾートに来るなんて、なんだか気恥ずかしいですけど……せ、せっかくファン1号の充さんが誘ってくれたんですから、精一杯楽しみましょう!)
イルミは眉を下げて頬を赤らめながら充を見上げた。
そんな艶姿に充はもう一度心の中で気合を入れ、エスコートしようとして――演劇の呼び込みに気が付いた。
「ん? あれは……演劇? この船にまつわる話なのかな?」
充が視線を向けるのをイルミが追いかけ、興味を見せる。
「……あ、ここではお芝居もやってるんですか?」
(それなら、見てる間は気まずくならずに済むかも……)
「イルミさん、少し見て行きましょう」
「はい」
イルミはホッと胸に手をあて、充の後をしとやかに付いていく。軽く羽織る爽やかなシャツの背が伝える輪郭は大人の男性のものだ。胸の奥では鼓動が高鳴っていた。医師免許を持ちドクターとして働く充は普段は清潔感溢れる白衣姿で仕事をしている。だが、今日は特別な仕事から離れて「楽しむため」の水着姿であった。
劇が始まると、会場が暗くなりステージに照明が集まった。少年と少女を軸として展開されるストーリーは、このスペースシップワールドならではの切なさと、どの世界でも共通の人のぬくもりを感じさせる。隣の温度を感じながら観る芝居は、とても印象深かった。
「ふむ、心温まる良いお話でしたね……」
劇が幕を下ろし、拍手湧く会場で充があたたかな拍手を惜しみなく送りながら誠実な笑顔を浮かべる。
イルミも拍手を送り、ふとパンフレットに添えられた説明書きに目を留めた。
「海に立ってる像のところまで泳いで、花冠をかけてくるっていうスポットもあるんですね」
「え? 劇を見た人はあの像まで泳ぐ? これも何か謂れが?」
一緒になってパンフレットに注目する充とイルミにスタッフが花冠を配ってくれる。
「とりあえず泳ぎましょうか……」
目を合わせ、充はそっと提案した。
水泳の心得のある充はイルミのペースに合わせて泳ごうと思いながらリードをし……、
「今日のために練習してきたドラゴニアン式遊泳法を先生に見せますよ!」
「……あれはまさか、噂に聞くドラゴニアン泳法ッ!?」
花のように微笑むイルミは翼を羽ばたかせてぱしゃり、ぱしゃりと推進力を得る泳ぎ方を披露してくれる。
水飛沫が光を反射して視界いっぱいがキラキラ、飛び切りの冷たさを夏の暑気に温まる肌に伝えてくれる。
「すごいです、イルミさん!」
感嘆の声にイルミが嬉しそうに尾を揺らし、新たな水飛沫があがる。
「そういえば、花冠」
充はイルミへと少し迷ってから手に持つ花冠を差し出して。
「頭に、飾るようです」
説明を折り目正しくして断りを入れてからそっと飾ってみればやわらかな花弁に飾られたイルミが頬を染め、はにかみ笑顔を浮かべる。そして、首をかしげる。
「……えっと、花冠をかけるとどうなるんでしたっけ? アルトワインさんが何か仰ってた気がしますけど……」
「えーと……作法みたいなものでしょうか」
互いにふわっとした理解度のまま、やがて2人は像のもとへと辿り着いた。
「……やった、辿り着きましたよ!」
ゴールした喜びに顔を見合わせ、手を繋ぐ2人。
ワアッ!
何故か周囲から喝采が飛ぶ。
「……なぜ喝采が……?」
「すごく、お祝いされています……」
びっくりと廻りに目を向け。
事情がわからないまま、2人はもう一度顔を見合わせた。
「よくわからないですけど、ゴールできてよかったです」
「ですね……!」
ドキドキ、不思議に高まる鼓動を共に波間に揺れて、沢山の人が祝い喝采を送る中、手を繋いだままでにっこりと微笑んだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
【古城】
(普段はフォルターがこれ以上の蛮行をしないか心配し、道を踏み外したら止めるつもりでいるというスタンス)
フォルター様に「青い海と空」を見せて穏便になって頂きたくお誘いしました
はてさてどうなるか…
まずは演劇鑑賞。私も騎士としてあの少年に助力したいですね。当てはまるポジションとしては機械の臣下なのですが…
(花冠を受け取り浜辺を散策しつつ語らい)
どうですか、フォルター様! 紛い物ですが、そこに込められた「美しい物を残したい」という人の思いは本物です(この光景と思い出が彼女を良い方向に導いてくれることを願いつつ)
(照れて)お楽しみ頂けたようで何よりです
また来年も、お誘いすることをお約束しましょう
フォルター・ユングフラウ
【POW】
【古城】にてトリテレイアと共に
夜の世界の住人の我を太陽の元に誘うとは、騎士も粋な事をしてくれる
ふふっ…では、思う存分に楽しもう
猟兵や女帝という肩書を脱ぎ捨て、フォルター一個人としてな
まずは演劇鑑賞だ
今迄は、愛だの友情だの温もりだのは下らぬと一蹴していたが…中々どうして興味深い
花冠は暫く被っておき、持ち帰ってプリザーブドフラワーにするとしよう
あぁトリテレイアよ、汝の物も良ければ処置しておこう
さて…我に「青い海と空」を見て欲しい、という事だったな
では、この言葉を返そう
─「最高だ」とな
こうして連れ出し、隣を歩いてくれる事
本当に、感謝している
願わくば…また来年も、共に同じ景色を眺めたいものよ
●名残
「フォルター様に「青い海と空」を見せて穏便になって頂きたくお誘いしました」
トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)が『女帝』を光満ちた星舟へと誘う。
「夜の世界の住人の我を太陽の元に誘うとは、騎士も粋な事をしてくれる。ふふっ……では、思う存分に楽しもう」
フォルター・ユングフラウ(嗜虐の女帝・f07891)は愉しげな顔を見せる。
まずは、と向かった先には演劇の会場がある。
白きサラシナがパンフレットを彩り、脚本家の名を示す。
「ふん、これは花の名を持つ脚本家なのか」
そういえば騎士もそうであった。視線を移せば騎士は熱心に舞台を見ている。
舞台の上では無機質な白きウォーマシン騎士が小さな姫君に傅いている。何体も、何体も。
(実際にあった話を脚色しているのだな)
帝国の機械騎士たちへと姫君は手を伸ばし、けれど引っ込めてしまう。触れた温度の冷たさを彼女は知っているのだ。
人のぬくもり知らぬ姫君に、少年がまっすぐな瞳を向けて。
昏い会場の一部、ステージだけに光が満ちて。
半魔の瞳は騎士ほど世界に没入することはなかったものの、その不遜な瞳に新鮮な色を浮かべていた。
(今迄は、愛だの友情だの温もりだのは下らぬと一蹴していたが……中々どうして興味深い)
嘗てであれば全く別の感想を抱き、途中で席を立っていたことだろう。あるいは――あの光のステージを。
パンフレットにもう一度視線を落とす。
花の名をそっと指先で辿り。
――ひとは、永遠じゃないんだ。
ああ、少年が朗々と青い声をあげている。
――短い一生で、だけどね。
「だから、一生懸命伝えたいんだ。
君の思い出に残りたいと思うんだ」
その熱のある言葉を耳にする姫君は、感情を知らない虚ろな瞳を冷たく静かに、けれどじっと少年に注いで。
◆
「私も騎士としてあの少年に助力したいですね。当てはまるポジションとしては機械の臣下なのですが……」
花冠を受け取り浜辺を散策しつつトリテレイアは機械音声に笑みを湛える。機械の騎士は、人の心を解し、自身も人のように笑い、悲しみ、時として正義に心を燃え上がらせて己に剣を向けることすらある。
傍らを歩くフォルターは花冠で華やかに首を飾り。光溢れる世界の有機物がその身をやわらかに引き立て、古城の主に不思議なあたたかさを感じさせる――その白き花が風に揺れる様は、なぜか少し寂し気なのだ。
「持ち帰ってプリザーブドフラワーにするとしよう」
フォルターはぽつりと呟きを零す。お気に召したのかとトリテレイアは喜ぶ気持ちを胸に覚え己の持つ揃いの花をやわりと撫でる。脚本家と同じ名の白は繊細な感触を機械に伝え――。
「あぁトリテレイアよ、汝の物も良ければ処置しておこう」
思い出は、残るのだ。
「さて……我に「青い海と空」を見て欲しい、という事だったな。では、この言葉を返そう」
フォルターは青一面の光世界を視て、隣に控える気配が緊張する様子に眦を幽かに和らげた。
「──「最高だ」とな」
騎士に視線を向ければ、緑色のセンサーが不思議な人間らしさを湛えて光っている。
(世の中とは不条理なものよ)
ふ、と吐息を漏らし、ユングフラウは劇中の姫を想う。
得る者。
得られぬ者。
「こうして連れ出し、隣を歩いてくれる事、本当に、感謝している。願わくば……また来年も、共に同じ景色を眺めたいものよ」
騎士は、少し照れたようだ。
「お楽しみ頂けたようで何よりです。また来年も、お誘いすることをお約束しましょう」
いつもと同じ機械の聲は、やはり人間らしさを色濃く滲ませ、そう言ったのだった。
嗚呼、時が過ぎていく。
置き去りにされた過去がしずかに、しずかに。
忘れられてしまうのだ。ひとびとに。
少年の台詞が風にのり、また蘇るような気がして。
――夏の日が過ぎる。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵