Cry for the MOON
●夜空に恋する少女
これはすこし昔のお話です。
少年は部活動で毎晩遅い帰りになっていました。
彼にはひとつの楽しみがあります。学校からの帰り道は団地の横を通ることになるのだけれど、いつも夜空の星を眺める女の子がいました。
女の子はベランダから星空を眺めては何か独り言を言っているみたいだけれど、その姿はあまりに美しいものだったから。少年は彼女に一目惚れしたのです。でも、これは恋の物語ではありません。
それは月がとても赤く見える夜のことでした。少年がいつものように自転車を漕いで家路に付いていると、団地の周りには警官が集まっています。彼は物騒だな、と思いながらも、ベランダの娘をひと目見ようとしたけれど。少女の姿はありません。
翌日の朝。少年はおふくろさんから、近所で大量殺人が起きたと聞きました。物騒だな、と思いながらもニュースを見ると凍りつきます。
一晩のうちに起きたその事件。団地の住民を30名、老若男女を問わずに殺害したという話。容疑者は17歳、投身自殺。そう、あの団地です。あの娘も巻き込まれたんじゃないか。彼は少女の身を案じました。
その日の晩から女の子を見ることは叶わなくなりました。それからだいたい19年。
●月がとても赤い夜に
招集した猟兵を確認しながら、車椅子に乗ったグリモア猟兵のニナ・サルメライネン(ちいさな鼓動・f19426)が咳き込んだ。
「失礼。生まれつき身体が弱くてな。グリモア猟兵、ニナ・サルメライネンだ。よろしく頼む。さて。UDCアースが厄介な事になりそうなので皆に集まってもらった」
ニナは自分が予知した新たな事件についてを発表する。
「私が生まれる以前の話だが、痛ましい事件があった。邪神を呼ばんとする少女が住んでいたマンションの住民を30人も殺害。どうやらこれが儀式に関係していたようだ」
住民の通報により駆けつけた警官たちが少女を包囲、儀式を遂行する少女はあと一歩で捕まるところだった。彼女は失敗を悟るとベランダから身を投げて自殺。そして彼女は半端に終わった儀式によりUDCの怪物となってしまった。
「UDC怪物としての名称は『月蝕』だ。皆既月蝕の夜に犯行がおこなわれたことにちなむ。このUDCだが――ある刑事が事件の詳細を調べていたら復活の手順を辿ってしまった。結果として蘇った彼女は生前の儀式を再度実行中だ」
儀式の進捗は既に概ね整い、あと数名を殺害して夜を待つだけ。月蝕は身体能力こそ人間のそれを遥かに凌駕するが、攻撃手段はナイフや劇物を浴びせてくる等といった人並みのもの。
「今晩。最後の犠牲者が出て儀式は完遂する。周期を無視した皆既月蝕が起きて邪神とその眷属が蘇る。端的に言おう。全て撃破してこい」
泡立つ球体を振りまく眷属には特に注意。触れた一般人を同属に変えてしまう。
「ゴホッ。既に天体が奇妙な動きを見せている。行き先は郊外の広い公園だ。険しい戦いになるだろう。皆の無事を祈っている」
ニナは状況の説明を終えると、車椅子を旋回させて現地への転送を始めるのだった。
JUNK.O
どうも!星を眺めるより★が欲しいほうのJUNK.Oです!
毎度お世話になっております。今回はUDCアースでの連戦シナリオになります。
偶然復活したUDC少女を撃破、彼女が呼び出した邪神の眷属と戦い、その後で本命の邪神を撃破していただきます。
ロケーションは全て静かな夜の公園となります。星空のもとで星に纏わるUDCが三種!
特にギミックなどもない、ノーマルな連戦のシナリオになります。
では、プレイングお待ちしていますのでヨロシクオネガイシマス!!
第1章 ボス戦
『月蝕』
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POW : 静かの海
【ナイフ】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : 熱の入江
【身体を腐食させる劇物】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : 善良の湖
技能名「【見切り】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
👑11
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●最後の生贄
中年の刑事は、公園に立つコートを羽織ったセーラー服の少女に声をかけた。
「事件記録を追っていたら……やっぱり、君なんだね」
かつて自分が恋をした少女。昔の姿のまま。彼女は星空を見上げている。
刑事は最初に資料を読んで驚いた。大量殺人に巻き込まれたと思っていた少女が、まさか犯行をおこなった本人だったとは。記録を掘り返していくうちに知らずUDCの蘇る手順を踏んでしまったが、刑事にとっては嬉しい偶然だったろう。
「……いまも夜空が、気になるのかい」
刑事は一歩ずつ少女に近付く。少女のほうも声をかけた刑事に視線を向けて、歩み寄る。
「月が綺麗ね」
「ああ、今日は満月だから……ぐっ」
崩れ落ちる刑事。少女の右手に握られたナイフが、彼の首を欠き切った。
「……あなたで最後」
そして月は暗く翳っていく。
宮落・ライア
ああ、月に何を見たんだい?
月に何を魅たんだい?
それとも、月がキミに魅入ったのかい?
にしても19年程度前……世紀末思想かい?
すでに倒れ伏してる刑事には眼もくれず。
それにしても救いようが無いな。
救いがたいな。最悪なまでの悪だな。
月を恋しく思ってるだけならよかったのに。
『熱の入江』を回避放棄して
【アイテム:驚異的な自己治癒】【笑顔】と
【激痛耐性】【覚悟】でもって
表情を変えずに劇物で身体を腐食させながら歩み寄る。
キミの願いは今日叶った。満足だろう?
けれど絶望しておけ。お前はその結果を見ることは無い。
そして、お前が呼んだ邪神は倒される。
緋翠・華乃音
in the nick of time(間一髪)
……とは残念ながら行かなかったようだ。
《瑠璃の瞳》の範囲内に於いて戦場を広く把握出来る場所(建物の屋上や鉄塔の上など可能な限り遠距離且つ高所が望ましい)に気配を消して狙撃手として潜伏。
初手は敵の行動を観察。及び情報収集をしつつ攻撃パターンや回避行動等の情報を収集・分析し、見切りを行う。
必要となるのは優れた視力、聴力、そして直感。
幸いな事にそれらは――いや、それらのみ俺には全て備わっている。
月が翳った所で視界に何も問題は無い。
目を瞑っていても気配は読める。
戦闘は狙撃による仲間への最低限の援護のみに留める。
火奈本・火花
「……恋心、でしょうか。一途な男性は嫌いではありませんが、恋愛のせいで世界が危機に瀕するなど、お伽噺の中だけで十分です」
■戦闘
刑事は無事だろうか
もし手遅れだとしても、遺体をそのままにするわけにはいかないな
短針銃による『クイックドロウ』で『先制攻撃』を行い
『2回攻撃』でペンライトの光も当てる事で『催眠術』を重ね掛けしたい
記憶消去で一瞬でも邪神の事を忘れさせて隙を作り、その間に機動部隊を投入するつもりだ
必要数で刑事の保護をしつつ、残りは月蝕への牽制射撃を行うつもりだ
その後は『医術』による『救助活動』で、簡単にでも治療か延命をしたい
止血や化膿防止の処置をしよう
手遅れならば、せめて被害の届かない場所へ
●見上げた夜空は赤く暗い
UDCエージェントの猟兵。エリートの家柄の出である火奈本・火花(エージェント・f00795)は横たわる刑事のそばに立った。
「……恋心、でしょうか。一途な男性は嫌いではありませんが、恋愛のせいで世界が危機に瀕するなど、お伽噺の中だけで十分です」
「ん、儀式の邪魔立てかな。でも、もう遅いよ。既に成功してるから」
月蝕が天に指を突き上げると、その先には鈍く赤黒い輝きを放つ月。
「それでも来るなら、生贄が増えるだけ」
火花は短針銃を構え、抜き撃ちで先制。記憶を部分的に消去する薬剤が塗布された針が月蝕の首筋に命中。
首に手を当てるのを見て命中を確認した火花は、記憶消去用のペンライトを使い月蝕に短期認識改竄を起こさせる。月蝕の行動に隙が生まれた。
敵が眩んでいるのを見届けて、コールをかけると機動部隊が招集される。ユーベルコード【≪緊急要請≫機動部隊投入】による要請だ。
「息があるなら救命措置、急ぎ確認を取れ」
刑事の脈を取っていた機動部隊ひー4の隊員は、火花に向けて横に首を振る。
「……そうか。戦闘区域から離脱。遺体を後退させ、残りは威嚇射撃。発砲を許可する。味方への誤射に注意せよ」
刑事の身柄は火花の率いた隊員たちに任せる。ヒーローになりたい、と望む猟兵。造られたキマイラ、宮落・ライア(ノゾム者・f05053)は、銃弾が飛び交う中を月蝕に一歩また一歩と近寄る。
「救いようがないな。救いがたいな。最悪なまでの悪だな。月を恋しく思ってるだけならよかったのに」
「……っ」
意識を取り戻した月蝕は劇物入りのビンをコートから取り出した。拡散させるより今は眼前に迫る敵に対処したほうが得策と判断。瓶のコルク栓を抜き、ライアに向けて投げつける。
ライアの皮膚が焼け爛れる。それでも彼女は歩みを止めない。快活な笑顔をたたえて、皮膚は驚異的な再生能力により瞬時に腐食より回復。
ユーベルコード【侵食加速:自己証明】により期待、祈り、決意を宿した彼女の身体は強化されている。しかし、代償として流血。口元から血を一筋流すライアだが、それでも笑顔は崩れない。オブリビオンを排除する、その覚悟により劇物から受ける痛みに耐えた。
「効いていない筈はない……折れるまで浴びせる」
月蝕がコートを広げると、劇物の瓶がずらりと並んでいる。三本ほどを手にとって、今度は火花も含めて広域への攻撃を狙う。
いざ投げつけよう、というところで月蝕の手から瓶がこぼれ落ちた。手の平に銃創が出来ている。機動部隊の射撃ではない。
培養液の中で育った調整体である緋翠・華乃音(終ノ蝶・f03169)は、公園の遥か遠く。高い鉄塔の上に待機していた。
彼はユーベルコード【瑠璃の瞳】、先天的な異能で視認した月蝕を精密に狙い撃った。ライアへの攻撃で劇物散布の攻撃は分析し、見切っている。拡散させるなら手元に握っているときが最大限の援護になるだろう。
「in the nick of time……とは残念ながら行かなかったようだ」
華乃音は刑事が事切れていると知って呟いた。視力、聴力、直感。その全てで戦場で何が起きているかは把握した。月が翳っても、たとえ目を瞑っていても気配は読める。彼の超距離狙撃銃から放たれる弾丸は必中。
戦場では手に負った傷を不思議そうに見つめる月蝕。その様子すら華乃音には感じ取れる。
「……まあ、いいか。儀式は終わってるからね」
「キミの願いは今日叶った。満足だろう?けれど絶望しておけ。お前はその結果を見ることは無い」
ライアは宣告しながら、月蝕に一太刀浴びせた。刀による攻撃はコートの裾を裂く。
「包囲されている、というわけだね。19年前のように……。でも、今日は特別な日。全員殺して、見届ける」
超距離からの援護射撃が飛んでくる中も、月蝕は後方に飛び退いて体勢を立て直した。
成功
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黒鵺・瑞樹
読みはげっしょく?つきはみ?…げっしょくの方か?
何のために儀式をしようと思ったんだろうな。
10代って言うなら自分の周りだけを見て、そこだけの世界が気に入らなかったんだろうか。
そこだけがすべてではないのにな。
右手に胡、左手逆手に黒鵺(本体のナイフ)の二刀流。
【存在感】を消し【目立たない】ように移動。
UC剣刃一閃で【暗殺】の攻撃。当たったら【傷口をえぐる】ことでダメージ増を狙う。
相手の攻撃は【第六感】【見切り】で回避。回避しきれないなら黒鵺で【盾受け】からの【カウンター】叩き込む。
傷は【激痛耐性】【覚悟】で耐える。
庚・鞠緒
何切っ掛けに狂ったンだか知らねェが面倒なことしてくれやがる
出てくるもん全部倒せってのはわかりやすくていいけどな
「熱の入江」は【激痛耐性】と【毒耐性】頼りに突っ込む
こちとらリーチが短ェんだ、いちいちこういうのに怯んでらンねェんだよ
「静かの海」は【カウンター】狙ってみるか
まず【見切り】ができるかってトコだが
ナイフみてーな小さな刃で効果的な攻撃するなら狙うのは急所だろ
喉か胸…ま、胸より上だな
「Towards Dead End」を使って鉤爪で弾き上げもう片方の鉤爪をブッ刺す
血をブチ込むまでが一連の動作だ、弾かれたら逃げらンねェぞ
ウチの血で中から喰らってやるよ…喰い返せンならやってみな!
(アドリブOK)
●斬月
「何切っ掛けに狂ったンだか知らねェが面倒なことしてくれやがる。出てくるもん全部倒せってのはわかりやすくていいけどな」
邪神信仰の実験台にされ、神を封じ込めたグールドライバー。庚・鞠緒(喰らい尽くす供物・f12172)が後退した月蝕に接近。
「10代って言うなら自分の周りだけを見て、そこだけの世界が気に入らなかったんだろうか……そこだけがすべてではないのにな」
サムライエンパイアから顕現した界渡り、ナイフのヤドリガミである黒鵺・瑞樹(辰星月影写す・f17491)も協力。
鞠緒が先行、別のルートから瑞樹が目立たぬよう静かに接近。月蝕は鞠緒と肉薄し、右手で歪なナイフを構える。
「お前たちも切断する……」
鞠緒は急所を狙われるのを覚悟。胸か喉か、或いはそれより更に上。鞠緒は鉤爪を伸ばし、ナイフを切り払った。
「バカにつける薬ってヤツだ!」
切り払いが成功すれば、月蝕が姿勢を立て直す間に肩口へ鉤爪を突き刺す。ユーベルコード【Towards Dead End】は、近接攻撃に対するカウンター。
「死んで治しやがれッ!」
敵の攻撃をいなすと刺突攻撃を高い威力、高い命中率で放つ。さらに刺突した鉤爪からは相手の体内に命を喰らう血液を流す。
内側から喰らわれる、その前に血液を体外に排出せねば。月蝕は傷跡を自らえぐり、自身の武器である劇薬を流して無理やり止血。
「……厄介なことをしてくれるね」
どうやら敵に痛覚はないらしい。意識が鞠緒に向いている隙に瑞樹は月蝕の背中に移動。挟撃。右手に打刀、左手は逆手に大ぶりのナイフ。瑞樹の本体を構えた二刀流。
ユーベルコード【剣刃一閃】、静かに打刀を振り下ろして背中を切断。逆手のナイフで切り上げて傷口をさらにえぐる。
「闇討ち、成功だな」
「後ろにも、居たの」
瑞樹の気配に気付けず背中に切創を負った月蝕。背中の傷を劇薬で止血するのは難しい。
「この……、面倒臭いっ」
月蝕は振り向きざまにナイフによる一撃を放つが、瑞樹は振り返る動作から次の一撃を勘で見切って飛び退く。
猟兵二人が距離を取った。これ以上の攻撃を受けないよう、月蝕は逃走。広い公園のどこかに去る。
「よし、傷は深そうだぜ」
「自分の劇物で自分を止血とか、バケモンかよ……バケモンだったな」
敵はだいぶ消耗している。瑞樹は月蝕の逃げた方角を他の猟兵へと連絡した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アマータ・プリムス
連携:狼と侍従と悪役令嬢
これは厄介な相手ですね
当機は自身が攻めるよりサポートに徹した方がよさそうです
既に戦闘を行っている方と同じ姿の人形をUCで作成
それを操作して相手の動きをかく乱しましょう
と言っても流石に10も扱うとなると簡単な動きしかできませんが
【フェイント】を織り交ぜ劇薬を防ぎ人形で受けることで【時間稼ぎ】
その間に他の方に攻撃していただきましょう
当機は攻撃を受けぬよう【目立たない】様に人形の中に隠れます
劇薬が当たるかもしれませんが当機は人形ですし恐らく平気でしょう
痛みは感じませんから当たっても【演技】で誤魔化します
「月夜の舞踏もそろそろ終わりです。さぁ、これで最後ですよ」
エルネスト・ポラリス
連携:狼と侍従と悪役令嬢
きっつい!
敵が月を隠したのが幸いしたのか、『狼殺し』でどうにか理性は保っていられますけど……。
やはり満月の夜は辛いですね、気が狂いそうだ。
とはいえ、猟兵が逃げるわけにもいきません……始めましょう!
敵の攻撃手段は劇毒。
広範囲にばらまかれる薬品は驚異的ですね。
《ロープワーク》を駆使した『フック付きワイヤー』を振り回して、薬を散らすように《武器受け》して味方を《かばい》ましょう。
前に出る以上、《野生の勘》で《見切って》も負傷は免れないでしょうが……ええ。
この月夜に、人としての理性を持って、仲間を庇える意思がまだ私にあるのなら。
その安堵で、何度でも傷を癒して立ち上がりましょう!
ヴィヴィアン・ランナーウェイ
連携:狼と侍従と悪役令嬢
さて、暗いと戦いにくいですが。
まあ、問題ありませんわね。
血の匂いはわかりやすいですもの。
さて、迂闊に近づけば敵の攻撃の餌食。
で、あるならば、この槍のリーチを活かして攻めるのがいいでしょう。
攻めあぐねていてはいつまでも敵に届かない。
●覚悟と●勇気をもって、攻め手を止めずの連撃を放ちます!
支援してくれる方もいらっしゃいますし、ね。
敵のUCが発動するタイミングで●ダッシュで距離を取りましょう。
さすがに腐食は困りますので。
距離を取ろうとも我が槍は外れることはありませんし。
UCを使用。大きく槍を振りかぶり、敵に向かって投擲します。
さあ、覚悟の槍の味、とくと味わいなさい!
●月の下での舞踏会
連絡を受けた三人の猟兵が月蝕の逃走先に展開。
人狼病の治療法を探す青年、エルネスト・ポラリス(赤く錆びつく月の下・f00066)。ミレナリィドールにして人形遣い、アマータ・プリムス(人形遣いの人形・f03768)。過去に多大なる悪名を轟かせた公爵令嬢、ヴィヴィアン・ランナーウェイ(走れ悪役令嬢・f19488)。協力して月蝕の打倒に臨む。
「敵が月を隠したのが幸いしたのか、『狼殺し』でどうにか理性は保っていられますけど……。やはり満月の夜は辛いですね、気が狂いそうだ」
エルネストはトリカブトから作られた人狼病の暴走を抑える薬で理性を制御している。
「エルネスト様の気が触れる前にやってしまいましょう。当機はサポートに徹します。視界が良いとは言えませんが」
「問題ありませんわ、血の匂いはわかりやすいですもの」
公園内を駆け抜けるヴィヴィアン。強靭な脚力を持つ彼女は「女豹」のあだ名も持つ。月蝕を視認すると、槍を構えて走り接近していく。
「……今度は随分とストレートに来たね」
月蝕は槍の攻撃を警戒しながら距離を取るも、眼の前でヴィヴィアンが10人に増えた。幻術、分身?違う。アマータがユーベルコード【Ab uno disce omnes】で作り出したヴィヴィアンの人形だ。
「演者は揃いました。これより舞台の始まりです。どうぞお楽しみください」
10体の人形はそれぞれバラバラに動き回って月蝕を撹乱。その中にアマータ本人も目立たないよう混じって錯覚を起こさせる。
「そう一挙に押し寄せられても、ね」
月蝕は劇薬入りの瓶を取り出し、広範囲に拡散させるのを狙い宙に撒く。
「その攻撃、液体なら飛び散らせる事は出来るはずです……っ!」
エルネストはフック付きワイヤーを振り回す。円の軌道を描いたワイヤーは劇薬を弾いて味方を守る。ワイヤーは広範囲をカバーした――が、液体の量が多い。
飛び散った液体により、アマータの作り出した人形は腐食。アマータ自身も腐食するも痛みは感じない。ヴィヴィアンは疾走して劇薬を免れた。
防御に回ったエルネストも腐食の傷を負う。痛みに耐えつ、まだ正気を保っていられると安堵を感じる事がきっかけとなりユーベルコード【闇裂く群狼】が発動。穏やかな顔つきの白い巨狼が現れる。巨狼の幻影は傷を癒やす子狼を無数に放つ。
子狼が命中したことでエルネストの腐食は回復する。その様子を見て、アマータも安堵。同じく子狼の手当により傷が癒やされる。
「腐食液、まだあるよ……」
月蝕は笑みを浮かべながらコートを開いた。アマータの操作する10体の人形が、再び撹乱に動き出す。腐食による劣化を隠せないが、手数が多い事に意味がある。殴る・蹴るといった簡単な動きなら、10体の同時操作でも可能。
「月夜の舞踏もそろそろ終わりです。さぁ、これで最後ですよ」
遠くには距離を取ったヴィヴィアン、手にした槍を振りかぶり――月蝕に向けて投げつける。
「私とこの槍から、逃れることはできませんわよ!!」
「しまっ……た」
アマータの人形を相手にしているうちにヴィヴィアンに背を向けていた。月蝕に投げつけられた槍は、先刻負った背中の切創を貫く。
槍は月蝕を貫通し、地面に突き刺さった。ヴィヴィアンは槍を引き抜いて回収すると同時に月蝕の生死を見極める。
「……撃破成功のようね」
三人は公園全体に展開している猟兵に連絡を取った。月蝕、活動を停止。
しかし、彼女の行っていた儀式は完遂された。赤く翳っていた月は――明るい碧へと変色を始める。
大成功
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第2章 集団戦
『星辰の狂気或いは真実を浴びたモノ』
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POW : 泡立つ狂気
戦闘中に食べた【一般人や同じオブビリオンの肉 】の量と質に応じて【全身を覆う丸い鉱物上の何かが爆発的に増加】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD : 泡立つ脈動
【脈動する異常に発達した筋肉 】【体内からあふれ出す泡のような鉱石状の何か】【鉱石があつまり結晶化した鋭い刃】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
WIZ : 泡立つ譫言
【UDCアース上に存在しない言語での譫言 】から【それを聞いた対象者の脳内に冒涜的な光景】を放ち、【沸き立つ強烈な恐怖の感情】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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●碧い月がもたらすモノ
公園の中心に落下してくる複数の肉塊。それらは次々と人間のような形をした怪物に変貌。
これが顕現した邪神の眷属。月蝕が迎えようとしていたものの一端。
「~~~~~~!」
どんな世界の言語体型とも合致しない言葉で会話する怪物は、どんどんと数を増していく。
公園にはUDC組織による封鎖がかけられているが、一体でも封鎖を突破されれば一般市民に及ぶ脅威ははかりしれないだろう。
緋翠・華乃音
……本命はこいつらの次か。
基本的な戦術は先と同じく、常に敵の行動を見切る事を重視。
前線に居ない故に攻撃の機会を窺える天の時、遠距離且つ高所からの狙撃という地の利、仲間との連携も期待出来るという人の和。
全ては基本にして王道だ。活かさない手は無い。
狙撃で優先的に狙うは心臓部、眼窩、頭部。
敵が自己強化を行ったら通常弾だけでなくUCでの狙撃も併用。
また、戦場全体を把握し、包囲から逃れそうな敵を優先的に狙撃する。
黒鵺・瑞樹
アドリブ連携可
キモイ。わらわらとキモイ。
眷族がこれだっていうなら本体はどうなんだろうな。
かわらず二刀流。
【存在感】を消し【目立たない】ように移動。
UC菊花で【暗殺】の攻撃。代償は寿命。当たったらさらに【傷口をえぐる】ことでダメージ増を狙う。
相手の攻撃は【第六感】【見切り】で回避。回避しきれないなら黒鵺で【盾受け】からの【カウンター】叩き込む。こちとら戦槌ともやりあった事があるんだ。
傷を負ったら【激痛耐性】【覚悟】【毒耐性】【呪詛耐性】、【狂気耐性】もか。それらで耐える。
なるだけ多く倒しておきたいところ。
庚・鞠緒
一匹も突破させンなってならこうする
「Roadkill Morning」で公園内に迷路を作り出す
ついでに出来上がった血の壁で怪物同士で分断、連携できないようにそれぞれ孤立させる
最悪、共食いでもしてパワーアップされても面倒だしな
あとは泡立つ譫言を【狂気耐性】で耐えながら
「鉤爪」の【2回攻撃】と【怪力】【グラップル】で殴りつけてバランス崩してから切り刻んでいく
集団でかからねェとダメな奴らだ、タイマンならなんとかできンだろ
どっか体を変化させて強化しようってンならそこを鉤爪で切り落として【部位破壊】してやるよ
何言ってンのかわからねェ奴らだ
文字通り、問答無用で皆殺しにしたって文句言うンじゃねェぞ
●月下の迷宮
「一匹も突破させンな、だぁ?」
『一般人を巻き込むと被害はねずみ算式に拡大する、というのが上からの指示だ』
庚・鞠緒が鉄塔に座する緋翠・華乃音と連絡を取る。前線より遥か遠く。高所に張ったスナイパーは、戦場の様子を察知し見切っている。
「このキモいのが爆発的に増えるのは嫌だな、生理的にすごく嫌だ」
黒鵺・瑞樹は降り注ぐ眷属を目視しながら嫌悪感を示した。
「逃がすなってェンならよ……こうすりゃいい。時間稼ぎ程度にはなるだろォよ」
鞠緒は地面に鉤爪を突き立てる。鉤爪からは自身の肉体をめぐる邪神の血液が流れ出し、戦場全体に触れた者を喰らう迷路が作り出された。
ユーベルコード【Roadkill Morning】。ただ閉じ込めただけではない。眷属同士を分断することで戦闘中に共食いを始める事をも封じる一石二鳥の戦略だ。
「狙撃手、そっちから見えるよな?俺もこれだと迷いそうだから、道案内頼むぜ」
瑞樹から華乃音へ。
『ああ、分断されたのは視えている。遮蔽があろうと上からなら関係ない、連携して敵を叩く。オーバー』
瑞樹は迷路の中を慎重に移動。大ぶりのナイフと打刀の二刀流。気配を消して動くのが目的であれば、迷路ではことさらに目立たない。
T字路の先に敵がいる。オブリビオンは迷路の壁が邪神の血液であることを本能で理解。運よく合流できた同士で共食い。全身を覆う泡のような鉱石状物質を増殖させ、力をためていた。背後から忍び寄る瑞樹。
「はっ!」
ユーベルコード【菊花】による攻撃。9倍の攻撃回数中、味方を1度攻撃しないと寿命が減る。とはいえ味方とは分断されているので寿命を代償とするほかない。
命中した菊花は眷属を斬り刻み、反撃の隙すら与えなかった。目に見える傷跡には更にナイフを突き立てる。沈黙した眷属は泡立ったあと跡形もなく消失。
「瑞樹から各位、どうやら倒せば消滅するらしいぜ」
華乃音は報告を聞いて、戦場に張られた迷路に弾丸を撃ち込んでは排莢を繰り返す。的確に頭部を撃ち抜かれた無数の眷属は一匹、また一匹と消滅。
戦局に応じ、敵の自己強化が万全ではないと判断。威力、精度、速度の何れかを選べるユーベルコード【瑠璃の銃弾】では速やかな排除を目的として攻撃回数の重視を取った。
通常では目視できないほど離れているが、それでも彼の発達した知覚能力では眷属の恐怖を呼び寄せる譫言を聴いてしまうかもしれない。彼はヘッドフォンを耳につけ、譫言の代わりにクラシックを聴く事とした。
穏やかなメロディを聞きながら、いまだ地面に降り注ぐ肉塊も撃ち落とす。敵の動きを完全に読み取った見切り、華乃音は自身の役割を忠実に遂行していく。
一方で戦場では鞠緒が譫言に耐えながら鉤爪で眷属への真っ向勝負を挑んでいた。
「っらァ!!」
お互いの鉤爪がかちあう。鉤爪同士が接触した刹那、鞠緒の腕が眷属の腕を掴み強力な拳を顔面に叩き込んだ。バランスを崩した眷属はよろめき、その心臓部に鉤爪を突き立てる。眷属は泡立ち消失。
「次ッ!」
血の迷路も維持の時間切れが迫っている。そうなる前に一匹でも多くの眷属を仕留めたい。自身の作った迷路であるからこそ、鞠緒にはその道が確実にわかっている。華乃音から敵の位置情報の連絡を受けながら駆け抜けた。
まさに共食いの最中という眷属にスライディングし、脚を両の鉤爪で切り落とし、地面に崩れ落ちたその首に突き立てると左右へ切り開くように真っ二つにした。
やがて迷路は消失するが、攻撃を逃れた眷属を追う猟兵もまだ残っている。三人は降り注ぎ続ける眷属への攻撃を続けた。
大成功
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エルネスト・ポラリス
やばい、月が出てきた……早めに片づけないと拙いですね。
まあはい、不調は更に悪化しているわけですが。
明らかに危険なUDC、逃がすわけにはいきませんよね!
UC発動、上空を飛んで戦場全体を把握、逃げ出す敵がいないか《情報収集》。いるのなら、優先的に《追跡》して撃破せねば。
攻撃は纏う金属片を礫にしての突進、急降下の要領でどんどん斬り捨てていきます!
増加する体表の鉱石、《見切り》に失敗すれば接触して大怪我は避けれませんが……。
ええ、そんなもの、何度だって《勇気》を持って踏み越えてきたんです!
さあ、行きますよ!!
アドリブ連携歓迎
ヴィヴィアン・ランナーウェイ
アドリブ・連携歓迎
気味が悪いですわね。
1匹でも逃せば多くの民草に影響が出ます。
ここでまとめて倒してしまいますわ!
1人の私では無理でしょうが、私が2人になれば、それだけ多くの敵を屠れます。
UCを使い、過去の私を呼び出します。
さあ、二刀に二槍、堪能してくださいまし。
ここでヤツらを止めるという●覚悟、立ち向かう●勇気。精神力というのは、馬鹿にできないもの。
互いに●鼓舞しあい、槍で突き、剣で切り捨てる。
さあ、どんどんかかって来なさいな!
アマータ・プリムス
わらわらと……
お掃除ならお任せくださいな
いきますよ、ネロ
UCを発動しネロを召喚
その手に持った大鎌で【範囲攻撃】を行い存分に暴れてもらいましょう
斬撃の【衝撃波】を飛ばせば問題ないはず
「あの程度の石を斬れなかったら承知しませんよ」
ネロには思う存分暴れてもらいます
その間に当機はアルジェントムを【武器改造】して銃口を作り出し弾幕を張って【時間稼ぎ】です
いくら鉱石の身体とは言え鋼で覆われた弾丸ならばダメージも受けるでしょう
「たまにしか使わないこの弾丸。どうぞ味わってくださいな」
極力【目立たない】様に動きますが
こちらへ来る攻撃はフィールムを伸ばして【敵を盾にする】ことで防ぎます
「狙いはもっと正確に、です」
●穢らわしい流星雨
エルネスト・ポラリスは焦りを隠せなかった。満月の夜。月が煌々と輝く。人狼病の発作が起きるのでは。いまのところは自身を抑えきれている。理性が残っているうち、なるべく速やかに事件を解決したい。
「お先に様子を見てきますよ……!」
ユーベルコード【されど錆びぬその意思は】はエルネストの全身を錆びた金属片で覆う。その身に飛翔能力を得て、上空より戦闘領域の封鎖を突破する眷属がいないか観測を行うこととした。
ヴィヴィアン・ランナーウェイ、アマータ・プリムスの二人はエルネストの報告を頼りに落下してきた眷属を排除に向かう。
「民草へ危険が及ばぬよう……ここで倒してしまいましょう」
「はい、“お掃除”を始めましょうか。いきますよ、ネロ」
二人はユーベルコードを発動。ヴィヴィアンの【悪役令嬢は懐古する】はかつての世界で悪名を轟かせた自身を呼び出し助力を求めるユーベルコード。アマータの【Date et dabitur vobis】はオートマトンのネロを呼び、命ずるまま操るユーベルコード。
「一人より二人、二人より四人……手数は多ければ多いほど多くを屠れますわね」
ヴィヴィアンは一切を逃さないという覚悟と勇気を胸に邪神の眷属に立ち向かった。槍と剣を構えた二人のヴィヴィアン。
互いに背を預けて槍を眷属の胸部に突き立て、剣でもって切り伏せる。ときに爪の一撃が迫れば二人は息のあった連携で本体が屈み、過去の者が本体の背を転がって回避。互いに得物を交換しあって二刀流、二槍。
一人が槍を投げつけ地に拘束させ、もう一人は手にした革命剣で斬首。槍を回収する際には地面に突き刺さるそれをポールにし、二刀流のヴィヴィアンに蹴り飛ばす。
「さあ!どんどんかかってきなさいな!」
アマータの呼び出したネロは大鎌を手に、自身と主を囲む眷属を一度に横切りに薙ぐ。斬撃による衝撃波は飛刃となって、わらわらと迫りくる眷属を寸断。
「ネロ、あの程度の石を斬れなかったら承知しませんよ」
硬質化した眷属はしかし広範囲に及ぶ斬撃で次々と薙ぎ払われる。その間もアマータは銀色のトランクを調整している。このアルジェントムはトランクに見えるガジェット、変形すれば武器にもなる。
「前衛は任せます。たまにしか使わないこの弾丸。どうぞ味わってくださいな」
アルジェントムは機関銃に変形し、トランクとしての持ち手を握り眷属に斉射。泡のような鉱石が割れ弾け、眷属を穴だらけにしていく。
二人のヴィヴィアンとネロが積極的に最前線で戦っているために目立たず後衛を務めることが出来る。それでも近付く眷属は爪をアマータへと伸ばす。
「狙いはもっと正確に、です」
アマータは懸糸傀儡を操るための鋼糸を指先から伸ばして、眷属を拘束し一方の盾にする。眷属の爪は同族を貫き同士討ち。
地上の二人から見える範囲の敵は一掃。ヴィヴィアンは上空の仲間に連絡を取る。
「エルネストさん、眷属はまだ残ってまして?」
「第三波といいますか、まだ碧い月から降ってくるようです。上空は私に任せてください!」
エルネストは降下してくる肉塊を追跡し、全身にまとった金属片を礫にして突撃。急降下と上昇を繰り返し、肉塊を仕込み杖の剣で斬り落としていく。
「接触は極力避けたい……けれど、この纏った金属なら!」
勇気から来る見栄がエルネストの戦闘能力を増強。第三波の降下は公園に降り注ぐ前に弾ける泡へと消滅させる。
「あまりに多いですね。引き続き、当機達に行える事を果たしましょう」
アマータはエルネストへの援護も兼ね、空中に向けて銃撃を放ち降下していく眷属を撃ち落とす。
エルネストは肉塊へ仕込み杖を突き刺し、アマータへと返事を返した。
「はい。この眷属が止むまで私達は止まりませんよ……!」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
火奈本・火花
「ここからが、かつて為されなかった儀式の先か。……エージェント・火奈本、これよりUDCの捕獲任務に移る」
■真の姿
胸から左腕にかけてが樹木化
浮き上がった血管のような根が、顔や腕、脚に張り巡らされている
■戦闘
まずはエージェントグローブからの鋼糸を『クイックドロウ』での『先制攻撃』で放って捕縛を狙おう
『2回攻撃』で厳重に縛り、『怪力』で締め付ければ少しは動きも止められるだろうか。力を測ると同時に、止めきれなければ絞り切る形で切断を
奴らの言葉には『狂気耐性』『呪詛耐性』で耐える事を試みつつ、ヤドリギを放っての無力化を行うつもりだ
ヤドリギで力を奪って捕獲し、可能ならUDC組織で収容出来る状態に持ち込もう
宮入・マイ
連携歓迎
オブリビオンを食べるみたいっスけどこいつ自身のお肉は美味しいっス?マイちゃん気になるっス。
まぁ食べるのは後にするっス、とりあえず一体『サナダちゃん』で縛って捕まえるっス。
上手く捕獲出来たらマイちゃん一派寄生虫フルコースプレゼントっス、遠慮はいらんっス。
苗床になったこいつを転がしとけば多分他の奴らもこいつを食べに来て勝手に感染してくれるってすんぽーっス。
感染が広がったらある程度寄生虫をマイちゃんに戻して【細部破綻の物知り】っス!
マイちゃんのディナータイムっス!
マイちゃんボディをこいつらに寄せて弱ったやつらをむしゃむしゃ食べてちゃうっス!
いっぱい食べればどんどん強くなるっス!
きゃっきゃ。
●捕らえ、喰らう
共食いを行う眷属。多くが地上へと降り注いだが、それも残るところわずか。
「ここからが、かつて為されなかった儀式の先か。……エージェント・火奈本、これよりUDCの捕獲任務に移る」
「共食いしているみたいだけれど美味しいっスかね、こいつら?」
火奈本・火花と貝類のキマイラ……である宮入・マイ(奇妙なり宮入マイ・f20801)が共食いにより自己強化をとった眷属へ迫る。
「収容に際して興味深い情報ではあるが……今はそれどころではない」
「んー、マイちゃん冗談は言ってないっス。ま、実践するっス。サナダちゃーん」
マイは自身に内包するロープ状の寄生虫を放って捕縛。捕縛された眷属に歩み寄ると、その口をこじ開けて寄生虫を大量に流し込む。
「よしよし、マイちゃん一派寄生虫フルコースプレゼントっス。たんと召し上がるっスよ」
マイは拘束を解き、寄生虫を宿した眷属を自由にした。眷属は攻撃の意思を失ったかのようにフラフラと公園をさまよっていく。
「待て、捕縛したなら解放せずに……」
「マイちゃんには考えがあるっス。ちゃんとエージェントちゃんの分は残しておくから安心するっスよ」
しばし待つ。共食いを繰り返した公園中の眷属すべてにマイの寄生虫が感染していった。
「成る程、共食いを逆に利用して広域に攻撃を拡散させる、か。では引き続き捕獲任務を遂行する」
やがて戻ってきたのは二匹。一匹に対し、火花はエージェントグローブから鋼糸を速射、眷属の動きを封じた。
続き、火花の身体に浮き出る血管のような植物の根。胸から左腕にかけてを太い幹を思わせる樹木へと変貌。顕になったこれこそが火花の真の姿。
強靭な眷属は鋼糸を断ち切り拘束から逃れようと試みるが、二重に縛り強引に締め付けて動きを封じる。譫言を発しながら抵抗するが、UDCエージェントである火花は職業柄狂気への耐性は高い。
捕獲、収容を確信した火花の左腕からヤドリギが放たれた。ユーベルコード【金枝の落とし仔】は捕獲への決意を固めると、対象を捕縛して力を奪うヤドリギを放つ。
抵抗していた眷属はやがて動かなくなり、火花は他のエージェントに連絡。収容を急がせた。
「さてさて、マイちゃんも思惑どおりに動くっス」
マイのユーベルコード【細部破綻の物知り】は対象の一部を食らった寄生虫を自身に取り込み、対象の力を模倣できるように変異する。
共食いを繰り返し、かなりの強化が行われている個体。そちらから飛び出した寄生虫を本体であるマイに戻すと、肉体は眷属の共食いをする習性に近寄る。
「マイちゃんもディナータイムっス」
グロテスクな光景だが、マイは最後の眷属を頭から喰らいつくした。UDC以上に奇怪にしてグロテスクな寄生虫の主、それが宮入・マイなのだ。
「きゃっきゃ」
「……各員より連絡があった。公園内のUDCを殲滅。収容にも成功」
火花は碧い月を仰いだ。もうじき、眷属を送り込んだ邪神そのものが現れる。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『『双児卿』ジェミナイ』
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POW : 輝き寄り添え、僕達カストル
【『兄弟』である人形から取り出した剣】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 輝き寄り添え、ボク達ポルックス
【抱えている『兄弟』である人形】を向けた対象に、【光り輝く雷撃】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ : 輝き対にあれ、僕とボク、忌まわしき双星
【『兄弟』である人形】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【自信を無数の触手を持つ巨大な肉塊】に変化させ、殺傷力を増す。
👑11
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●それはあまりにあっけなく訪れた
公園の中心、最後の生贄として刑事が刺殺された地点に黒い粘性の物体が降り注いだ。
碧い月からやってきた邪神。粘性の物体は少年の姿を取り、片手には人形を抱いている。
「――ボクたちの知識を求めている者は、何処に行ったのかな?」
醜悪で知性に欠く眷属に反して、人語を解して知性を感じる邪神。
この双児卿は自身を召喚した者に対し、膨大で冒涜的な知識を授ける。
きっと、月蝕は星空の秘密をすべて知りたかったのだろう。
「ふむ、僕たちを呼んだ者はもう居ないのか。ただ帰るのも勿体ない、遊んでいこう」
黒鵺・瑞樹
アドリブ連携可
思ってたよりあっさりめのボスだな。
強さもそうだとは思わないが、あのめんどくさい儀式やった末にこれだったのか。
……月蝕はそれでよかったんだろうか?
代り映えしないが、これが一番俺らしく確実な戦い方だ。
右手に胡、左手逆手に黒鵺(本体のナイフ)の二刀流。
【存在感】を消し【目立たない】ように移動。
UC剣刃一閃で【暗殺】の攻撃。当たったら【傷口をえぐる】ことでダメージ増を狙う。
相手の攻撃は【第六感】【見切り】で回避。回避しきれないなら黒鵺で【盾受け】からの【カウンター】叩き込む。
傷は【激痛耐性】【覚悟】で耐える。
宮入・マイ
連携歓迎
はー喰った喰ったっス…なかなか美味かったっス、マイちゃん満足っス。
む、こいつが今回の元凶っスか?
そのお人形さんで遊ぶっス?
マイちゃんパワータイプっスから壊しちゃうかもっス。
…壊したほうがきっと面白いっス!
どんな顔するか見たいっス!
本体は無視して強引に人形を狙うっスー!
【強引舞上】っスー!
剣による攻撃はそのまま受けるっス、少し身体が欠けてもマイちゃん死なないっス。
逆に切られた断面から『アーちゃん』流して剣をドロドロにしちゃうっスよ。
…元々ドロドロっぽいけどっス。
身体能力増大を活かして人形にたどり着いたらこっちにも『アーちゃん』ぶっかけるっス!
あー早く壊れた時の顔見たいっス。
きゃっきゃ。
●双児卿の戯れ
黒鵺・瑞樹は打刀とナイフを手に、双児卿の背後に忍び寄る。
想像していたほどグロテスクではない。強そうにも見えない。さっさと終わらせてしまおう。
目立たずに、しっかりと一撃を加えたい。間合いを詰め、ユーベルコード【剣刃一閃】を放つ。金属同士がかち合う音。双児卿の腕には人形から生える黒い剣が握られていた。それを背面にまわして、剣の一撃を受け止めている。
「何っ
……!?」
気配は殺していた。なのに防がれている。
「ウーン、残念だったね。奇襲してくるつもりだったのかな。殺気は無いがわかってしまったんだ」
振り向きざまに瑞樹へ黒剣を横薙ぎに振るう。攻撃の軌道は勘で理解していたが奇襲の手筈を進めていた為に回避が間に合わない。ナイフを盾代わりに受け、反撃に打刀を振る。お互いの脇腹を刃がかすめた。共に致命打には至らない。
「強そうじゃあないと思ったが訂正するぜ。強敵だ、コイツ」
背中越しなら今がチャンス、宮入・マイが駆ける。ユーベルコード【強引舞上】は性格上、面白いことを優先して敢えて不利な行動を取れば身体能力が増強される。
「マイちゃん見たっス、人形から武器が出てきた。つまり人形をぶっ壊すっス。壊れたほうが面白いっス!」
剣を持ち、手の内がまだ読めない相手の懐に飛び込む。あえて危険を冒すが、人形にからくりがあるならば壊してしまえ。むしろ、壊れた時の顔が見たい。
「ふーん、剣を持った相手に飛び込んで来るんだ?」
ジェミナイはマイに向けて剣を突き出す。マイの肩口を貫く双児卿の黒剣。
「ちょっと痛いけど、この程度ならマイちゃん死なないっス」
マイは傷口から物体を溶かす寄生虫の『アーちゃん』を流し、剣を溶かす。そのまま人形まで溶かせれば。マイは傷口から寄生虫を噴出させて応戦。
「狙いはわかっているんだ、そう。僕達の『兄弟』を狙っているんだろう?」
双児卿は手の内を読んでいるかのように攻撃を避ける。液状の寄生虫は地面を溶かし、双児卿は刃の溶けた剣を放り捨てた。
「いや、しかしね。正直、溶かす攻撃は少し驚いたよ。もっとも、避けられなければ当たった所を切り捨てていただろうがね」
「二人がかりで上手く行かなかったか。……やっぱり、思ってる以上に強敵かもしれない」
瑞樹は苦々しく呟いて、切創を負ったマイを連れて後方に退避していった。
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
ヴィヴィアン・ランナーウェイ
【弟】で連携。
私、貴方のことが心底気に入らないようですわ。
兄弟を、そのように扱うあなたのことが。
先程と同様のUCを発動。
過去の私なら、このイライラの原因も分かっているのでしょう。
ですが、それはきっと忘れられた記憶について。
貴女が答えられるはずもないもの。
ですので。
このイライラはあのオブリビオンにぶつけましょうか。
●ダッシュを使い速度で翻弄します。
その人形、そこまで早くは動かせないでしょう?
敵の手足を狙い、動きを鈍らせます。
(ここから第2口調)
貴方に何を言ってトドメを刺そうかずっと考えてたの。
今、思いついたわ。
「姉弟は、助け合うものでしょ!」
私と私、2人が手にした槍で貫いてあげる!
アマータ・プリムス
【弟】で連携
ああ、そうですか
あなたは自身の兄弟を代償にするのですね
あなた方は絶対に倒さなければならない相手ですがそれとはまた別に当機とは相入れません
あなた方が二人でいるようにこちらもずっと二人なのですよ
ネロを操り人形は狙わず本体だけを狙います
(『ケケケ、使われるだけってのは大変だな!』)
「それがあなた方のあり方ならば否定はしません。ですが絶対に許容もできません」
粘性のある身体なら物理攻撃は効きづらい可能性が
ならば固めてしまえばいいだけの事
アルジェントムを放り投げUCを発動してその口から凝固剤を降り注がせる
これであなたの身体も固まるでしょう?
「姉弟は助け合う物でしょう!」
トドメはネロの大鎌の一閃
エルネスト・ポラリス
連携:【弟】
(第二口調使用)
最悪の気分だ。
発作はいよいよ酷くなって、正直意識があいまいだし。
そのための薬は薬で劇薬だから、頭痛も吐き気も盛り沢山だ。
なにより。
家族を戦いの道具にする、お前が一番気に食わないッ!
とにかく相手の手数が多い。
ただ《野生の勘》で《見切る》だけじゃ追いつかない、UC発動と解除を繰り返して、光速で武器を操作しながらの《武器受け》で捌いていく!
その上で前進、回避できない至近距離からの銃撃をぶち込んでやる!
――ああ、それもすり抜ける光だよ。
動きを鈍らされた上で、フェイントの銃撃を防ぐために無理な体勢をとって。
後は、大鎌と槍で刻みこんでもらえ。
「兄弟は、助け合うものだろう!」
●兄弟の在り方
「私、貴方のことが心底気に入らないようですわ。兄弟を、そのように扱うあなたのことが」
ヴィヴィアン・ランナーウェイがユーベルコード【悪役令嬢は懐古する】による過去の自身を維持したまま双児卿へと駆け、告げる。
「あなた方は絶対に倒さなければならない相手ですがそれとはまた別に当機とは相入れません」
双児卿が手持ちの人形を『兄弟』と称して扱うように、アマータ・プリムスは専用の人形であるネロを『弟』として扱う。二人の間に違いがあれば、そこに情があるか、だろう。ジャック・オー・ランタンと死神をあわせたような懸糸傀儡は人形ではなく本体を狙う。
そしてエルネスト・ポラリスは気持ちの悪さをこらえながらリボルバーを構える。なにせ人狼病には耐えなければならないし、そのための薬は劇薬だ。心身に与える影響は大きかった。しかし、なにより。
「家族を戦いの道具にする、お前が一番気に食わないッ!」
ジェミナイはヴィヴィアンに向けて『兄弟』である人形を向け、雷撃を放ちながらも答えた。
「ボクたちは二人で一人、僕は兄であり弟。ボクも弟であり兄。お互いを自由に使って、なにか不都合な事があるというのかい?」
邪神の価値観。結局、双児卿は二人いるようで最初から自分たちを一人と認識している。『兄弟』と称している人形さえ自分の身体の一部。
「それがあなた方のあり方ならば否定はしません。ですが絶対に許容もできません」
アマータの価値観は邪神のものとは相容れない。『弟』を操る鋼糸に力が入る。操るネロは大鎌を振るい、双児卿本人へと斬撃を繰り返す。しかし敵は器用に身をタール状に変容させて斬撃を免れる。
「さて、ショーの幕開けといきましょう」
粘性の肉体、斬撃が通りにくければ――固めてしまえばいい。トランクを投げ、ユーベルコード【Exitus acta probat】により倉庫となっているその中から凝固剤を広範囲に降らせた。
「その攻撃も読めてはいたんだけれどね……避けるのは難しい。だから敢えて受けるよ」
やれやれ、といった表情で凝固剤を身に受ける双児卿。その粘性の肉体は徐々に固化。固化したところを見てヴィヴィアンが接敵。
「かつての私!息を合わせますわよ!」
「とっくに承知してますわ!今の私!」
二人のヴィヴィアンは雷を避けながら間合いを詰める。流石にゼロ距離ともなれば放つ雷撃は双児卿本人にまで影響がある。
ヴィヴィアンの感じる原因のわからない苛立ち。忘れてしまった記憶の中に何か答えがあるかもしれない。答えは今は出ないだろう、だから今のこの苛立ちは目の前の敵にぶつける。
「脚!」
「腕!」
過去のヴィヴィアンがスライディングで双児卿の脚を崩す。続いて今のヴィヴィアンが回し蹴りで腕を蹴り上げる。
「くっ……遊び半分で相手していられない、というわけかな」
遊び半分、という言葉でなおのこと腹が立つ。既に顕現するために犠牲者が数多く出ている。それも、19年前と今回を合わせれば甚大な人数。
「あなたのやり方、本当に気に食わないわ……!」
双児卿に追撃を仕掛けようとしたが、歪む空間にその手に握られていた人形が消えていく。直後、ヴィヴィアンを弾き飛ばす無数の触手。
解かれる封印。巨大な肉塊。ジェミナイはその本性を顕にした。凝固剤の効果は持続している。ヴィヴィアンの攻撃も無駄にはならなかった。肉塊は触手を振るうが、その動きは鈍い。
「なるほどな……醜悪な眷属にはお似合いの醜悪な姿だ!」
エルネストはユーベルコード【ラエティティアの証明を】により周囲の無機物、自身の武器も含め物体を透過する聖なる光に変化させて操作。割れたアスファルトを操作し、透過させたと思いきや解除して飛礫のように。触手は仕込み杖でいなしながら前進。
蠢く肉塊には回避できないほどの接近。そしてリボルバーの接射。回避が間に合わなければ防御。双児卿は無数の触手を前方に張った。
『動きは読めている、そう言ったはずだよね』
「“動きは”読めていても、動きの先は読めているか?」
銃弾はジェミナイの身体を透過した。そう、聖なる光は物体を透過するのだ。
『……?なぜ、わざわざすり抜けさせる?』
双児卿の左右、二人がかりで槍を手にしたヴィヴィアン。後方、大鎌を携えたネロを操るアマータ。
『陽動……ね』
触手を防御に回そうにも間に合わない。一応、四方を覆うようにするが一箇所あたりの防御が確実なものにならない。
「兄弟は!」
「姉弟は!」
「助け合うものでしょう!」
左右より串刺しに、後方より縦一閃に。そして前方からは接射銃撃。貫かれ、切り刻まれた肉塊は元の姿に戻る。代償とした筈の人形もその手に握られていた。
『ケケケ、使われるだけってのは大変だな!』
アマータの操る懸糸傀儡が嘲笑った。
「……なかなか、楽しませてくれる」
会心の一撃を加えてなお、双児卿は立ち上がった。その瞳は見開かれ、遊びの意思は消えている。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
火奈本・火花
「遊んで行くというなら相手をしよう。ただ、お前を帰らせるつもりもないがな」
■真の姿
胸から左腕にかけてが樹木化
浮き上がった血管のような根が、顔や腕、脚に張り巡らされている
■戦闘
奴が抱えている人形が攻撃の起点になるようだな
9mm拳銃による『2回攻撃』で人形を狙い、破壊もしくは手から落とす事が出来ないか試そう
落とす事には成功すれば、グローブの鋼糸を飛ばして人形の奪取を狙う
ただ、人形の無力化は失敗しても次に繋げるつもりだ
失敗した事や、奴が肉塊に変貌した事を「想定外の自体に思い、恐怖している」という『演技』で奴の慢心を誘いたい
後ずさって転び泣きそうな顔をした所で、転じてヤドリギの種を撃ち込んでやろう
庚・鞠緒
用事がなくなったンなら帰りゃァいいものをよ
いや…姿を見せた以上は死んでもらうけどな
タールみてェな感じか?ちっとやり辛ェ相手だが…さて、人形ねェ
ひとまず一回人型のほうを鉤爪で切ってみるけど、手ごたえなきゃァ人形狙いに変更だ
人形を守るように動くならそれを利用して【フェイント】かけていく
人形狙うを見せかけてかばうなら男のほうに「Towards Dead End」を使う
斬った刺したは効果薄そうだけど体内に異物ってのはどうよ?
内部から侵食して喰らってやる
かばう気ねェなら普通に人形ボロボロにしたらいいしな、これも【部位破壊】のひとつか
肉塊のがウチにはやりやすいンだけどな
どっちか壊して何も出来なくしてやるよ
宮入・マイ
連携歓迎
見たいっス見たいっス見たいっス。
その顔見るまでマイちゃん止まらないっス止まれないっス。
『アーちゃん』はまだ死んでないっス、【破壊工作】しながら地面に広がってるはずっス。
溶けて脆くなった地面に両腕を【怪力】で叩きつけてぶっ壊すっス、即席落とし穴っス。
真面目に真面目に真面目にやるっス、【友情の混合】っス。
マイちゃん一派で寄生虫のプールを作るっス逃げ場なんてないっス。
きっと人形を守るっスだから狙いは本体っス、『ロイコちゃん』をくっ付けるっス。
この虫で人形が壊れる幻覚を見てもらうっス【精神攻撃】っス。
絶対に絶対に絶対に見るっス。きゃっきゃ。
……ぎゃは。
●侵蝕
「遊んで行くというなら相手をしよう。ただ、お前を帰らせるつもりもないがな」
樹木を思わせる真の姿を顕にする火奈本・火花は樹の幹と化した左腕を双児卿へ突きつけた。
「もう遊びでは済まされない、ここから先は殺し合いの時間だ」
「なんでもいいけどよォ、姿を見せた以上は死んでもらう」
庚・鞠緒が殺意を剥き出しにしてきたオブリビオンに対して殺意を返した。両腕を振るって鉤爪を伸ばす。
ひとまずは本体と思われる双児卿を鉤爪で切り裂く。これで死んでくれれば御の字だが。双児卿は回避することもなく鞠緒の鉤爪を受けた。
「……ま、これで殺せりゃァ世話ねェな」
ジェミナイは人形から黒剣を取り出して鞠緒に斬りかかろうと構えるが、鞠緒はジェミナイを蹴って跳躍。身を捻り回避。
これまでの戦闘をつぶさに観察した火花は、9mm拳銃を双児卿の人形に射撃しながら仲間の猟兵に指示を出す。
「やはり人形が攻撃の起点だ。可能なようであれば破壊、もしくは奪取せよ」
「わかってらァよ!」
双児卿は黒剣で銃弾を受ける。しかし銃撃は無駄、というわけでもない。ジェミナイは未だ自身が優位であると認識している。そう思わせる事が火花の狙い。
ユーベルコード【慢心に根を張る宿木】で球状のヤドリギの葉を召喚。避けられないヤドリギの種を飛ばす。寄生したヤドリギの種はオブリビオンの心臓に根を張ると血液を奪い体力を低下させる。
双児卿に心臓が、血液があるのかは不明だが、動きが鈍っているのを見ると効き目は確実な様子だ。さらにその後ろ。
「そう、いい位置っス。そこで正解。『アーちゃん』はまだ死んでないっス」
先に双児卿を相手取って苦戦を強いられた宮入・マイがそこに居た。彼女は両腕をアスファルトに叩きつける。物質を融解させる寄生虫によりもろくなった地面は即席の落とし穴になった。
「オォ……ッ!?」
「堕ちるといいっス。マイちゃん特製寄生虫プールに」
双児卿は転倒して即席落とし穴に墜落。更に落とし穴の中に居たのはマイの内に巣食う寄生虫達。ユーベルコード【友情の混合】は雰囲気が真剣に傾く事を強いる事で寄生虫を戦わせる。
一度手負いになったマイは真剣も真剣。比例した戦闘力を持つ寄生虫のひとつ、『ロイコちゃん』は双児卿に寄生すると幻覚症状を見せた。
「いや面食らったが、大した攻撃ではないね。……おや、『兄弟』が居ない?武器が……攻撃手段が……?」
寄生虫のプールから飛び上がった双児卿は人形を探す。その手元に人形を抱えたままだが、マイの寄生虫により人形を失った幻覚を見せられている。
「よくやった。これで人形の奪取は容易だ」
火花はグローブから鋼糸を伸ばして人形を奪い取る。
「どこだ、ボクはどこに行った!?」
相変わらずジェミナイに人形は見えていない。おののく表情を浮かべる双児卿にマイは満足げに笑った。
「見れた見れたっス。人形失って絶望する顔。マイちゃんこれが見たかったっス。……ぎゃは」
寄生虫とヤドリギが双児卿の内側に広がっている。おかげで足取りがおぼつかない。
「斬った刺したで効き目がねェんなら、内側に異物……ウチもやるか」
鞠緒は鉤爪を伸ばし、ふらつく双児卿に爪を突き立てた。ユーベルコード【Towards Dead End】、刺突した鉤爪からは邪神の血液を流し込み双児卿を内側から食らっていく。
「下ごしらえは終わりっス。みんなで一気に決めるっスよ」
「了解した」
「あァ、やるか」
マイが宣言すると、双児卿は内側から膨れ上がり破裂する。寄生虫、邪神の血液、そしてヤドリギの根を撒き散らして爆散。
周囲を汚染しかねない邪神の血液はヤドリギが吸い尽くした。寄生虫はマイの中に戻っていく。
「終わってみればあっけねェもんだな」
鞠緒が踵を返して呟いた。いつしか皆既月蝕は終わり、天体は正しい軌道で動いていた。夜空に満月が煌々と輝く。
●報告書
死者40人超。19年前と合わせて70人超。それだけの命を奪って月蝕が見たかったもの。それは夜空の何だったのか。
月に何を魅入られたのか。今となってはもうわからない。
ひとつ、確実なことがある。オブリビオンであるUDCは、何度殺しても蘇るということだ。
今後、同じような惨劇が起きないことを願うばかりである。
――サイト―66■■エージェント火奈本・火花
大成功
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