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花蜜のあわい

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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●砂糖いらずな君だから
 舌の上解ける糖の甘味にほんのり優しく香る花。
 ぎゅっと濃縮・花の蜜をまるごと味わいたいならレシピはかんたん。
 魔法の粉と水、蜜混ぜて、お好みでチェリーやピーチを飾り。ひととき魔法で冷やせばぷるぷるゼリーのできあがり!
 ――の、筈だったのだが。
「困ったわね。蜜が切れてるみたい」
「でもあれがなくちゃな。今から採りに……そうだ、転校生たちにも声を掛けみるか?」
 ここは学内調理場。おやつ作りに精を出す生徒が二人、顔を見合わせる。

●花蜜のあわい
「はわー……おいしく育つのも考えものなんですねぇ……」
 なにやら呟いていたニュイ・ミヴ(新約・f02077)は、足音に気付きぐるんと身を捻る。そこに猟兵の姿を見つけると、跳ねて向き直った。
「こんにちは、こんにちは! 地下迷宮へ花蜜集めに向かってくださるみなさんですよね?」
 本日の行き先はアルダワ魔法学園。
 ここで求められる花蜜とは、迷宮に住む『蜜ぷに』というスライムを倒したときに崩れた体のことを指す。なんでも大変美味らしい。
 一体一体はとても弱い蜜ぷには、一度に出現する数が多いことで知られている。
「数人の学生さんだけで突撃しては怪我してしまいかねないので、お手伝いをよろしくお願いします」
 ザックリ要件を伝えたニュイは、あと何かあったような……と思い返す間の後、水音を立てる。
「そうだ。蜜は調理場にお届けすることになるんですが、希望者がいれば設備や道具を貸してくださるんですって! お届け分よりもたくさん集まったなら、お手製ゼリーに舌鼓を打つのもよいかもしれません」
 ゼリー?
 疑問符浮かべる猟兵らにもうひと押し。花蜜ゼリー……花の蜜をふんだんに混ぜ込んだそれは、素材の味がよく活きると学園の一部でブームらしい、と。
 みなさん、お料理できますか?
 大丈夫、ゼリーはこわくないですよ! ニュイだってできます、腕っぽい部分をぶるんぶるんさせるタールが先へ這ってゆく。

 それではひとつ、花の恵みを戴きに。


zino
 閲覧ありがとうございます。
 zinoと申します。よろしくお願いいたします。
 今回は、おいしそうなスライムの待つアルダワ魔法学園へとご案内いたします。

●最終目的
 無事に花の蜜を持ち帰り、ゼリーを楽しむ。
(難易度:やさしい想定)

●第1章目的
 迷宮を進み、花の蜜の元である蜜ぷにを撃破、蜜を集める。
 特に索敵等しなくとも、そこら中にたくさん群れています。

●第3章について
 花蜜ゼリーをつくる・ながめる・あじわう……等々、どなたでもお気軽にお楽しみください。
 道具は揃っており、ゼラチンなどの材料も学内のそれっぽいもので代用できます。
 花の風味についてどのような花かこだわりがあれば是非に。

 お手数となりますが……。
 複数人でのご参加の場合、【お相手のIDと名前(普段の呼び方で結構です)】か【グループ名】をプレイングにご記入いただけますと幸いです。
 個人でのご参加の場合、他参加者様と作業や席を共にする場合がございます。確実な個人描写をご希望でしたら、【単独】とご記入ください。

●その他
 セリフや心情、結果に関わること以外で大事にしたい/避けたいこだわり等、プレイングにて添えていただけましたら可能な範囲で執筆の参考とさせていただきます。

 以上、ご参加を心待ちにしております。
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第1章 集団戦 『蜜ぷに』

POW   :    イザ、ボクラノラクエンヘ!
戦闘用の、自身と同じ強さの【勇者ぷに 】と【戦士ぷに】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
SPD   :    ボクダッテヤレルプニ
【賢者ぷに 】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
WIZ   :    ミンナキテクレタプニ
レベル×1体の、【額 】に1と刻印された戦闘用【友情パワーぷに】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ミアス・ティンダロス
尻尾をブンブン振っていて、目がキラキラしている人狼の少年がいるかも。
「アルダワ魔法学園に行くのはまだ初めてです。一体どんな世界でしょう?」
「うわ~なんだか可愛らしい敵さんですね~」
「しかもいい香りがしています……っと、ダメダメ、戦闘に集中しなくちゃ。」

炎の塊のような【古代の戦士】を召喚し、火焔で蜜ぷにをなぎ払おうとします。
「紅く、鋭く、美しく――出てきなさい、炎の精さん! 」




 石造りで苔生した、今にも動き出して迷路を作り出しそうな壁に床!
 あちこちにはめ込まれた色硝子の窓の向こうで、魔導制御の歯車が回っていて。
 時折視界の端を、蒸気の白煙が泳いでゆく。
 進むほどに、目の前には冒険味溢れるダンジョンの姿。
 アルダワ魔法学園に訪れるのは初めて。どんな世界なのだろうと、期待に胸を弾ませていたミアス・ティンダロス(夢を見る仔犬・f00675)は尻尾をぶんぶん。
「すごい……何で動いてるんでしょう?」
 上から下へ、左から右へときょろり動き続ける少年のきらめく瞳に、ある瞬間、別の色が混ざった。
 下方。
 曲がり角から身を覗かせた半透明のオレンジ色したスライム体――それに微かに花の香り、ミアスはすぐにそれが噂の蜜ぷにと思い至る。
「うわ~なんだか可愛らしい敵さんですね~。しかもいい香りがしています……」
 感想を素直に口にしてみると、声に気付いたらしい蜜ぷにがぽよっと振り返る。
 体をうねうね躍らせて……次には逃げるかと思いきや突進の構え。
 跳ねてきたオレンジを前に慌てず騒がず、少年は黒曜石の如き神具を取り出し触れる。
「っと。ダメダメ、戦闘に集中しなくちゃ。紅く、鋭く、美しく――出てきなさい、炎の精さん!」
 ごうっ!
 誓約に従い喚び出された炎の塊は、光る焔で直線上を焼き払う。
 熱風が吹いた後にはとろーり溶けた蜜ぷにがひとつふたつと落ちていて。
「あっ、甘い香りが強くなった気がしますね」
 本当に食べられそう……。そう、たったと駆け寄り身を屈めたミアスが回収。思わず一層強めに尾が揺れる。

 そのとき。
 この隙を待ってましたとでもいうのか、角から別のぷにが飛び出した!

大成功 🔵​🔵​🔵​

華切・ウカ
うう、このぷにさん達……倒すのに、ちょっとこう、躊躇いが!
それでも、それでもこの後の楽しみのために……!!

ぷにさんぷにぷにさせてくれないでしょうか……!
す、隙があればつんつんしたい……!
いえっ、戦いに、情けは……む、無用……!

攻撃は錬成カミヤドリで。
ウカの分け身でちょきんと……ぷにさんごめんなさいっ!
こう、倒すと罪悪感がつのってくるのはこのかわいらしい姿のせい…!
わーん、ぷにさん、ぷにさん本当にごめんなさい、えいっ!
精神的に、精神的に強敵っ……!
ウカは、負けませんっ!



すぱんっ、と、跳ねる蜜ぷには辿り着く前に綺麗に三つへ分けられる。

 華切・ウカ(空鋏・f07517)の刃は本日も冴え渡り、立ち塞がる一切の前に翳らぬかに見えた。
 が――、心の内はというと。
(「うう、このぷにさん達……倒すのに、ちょっとこう、躊躇いが! 罪悪感が!」)
 思うところは多かった。
 いかにも害のなさそうなつるぷにボディー、にぎやかな色、まずもって一太刀で崩れるこの脆さ。あと……ただただ、かわいい。
「そ、それでもこの後の楽しみのために……!」
『プニ?』
 見た目同様ぽよぽよした音はどうやら声のようで、それらしい形を為して迷宮内に響く。仲間が蜜に代わったことに気付いたようだ。数匹が姿を見せた。ハッと見遣るウカ。
「ぷにさんぷにぷにさせてくれないでしょうか……! いえっ、その、つんってだけでいいんです!」
 言った――両手で顔を覆ってしまっても。
 色々と声に出てしまっても。
 ミアスからも死角。蜜ぷに以外誰も見ていないからちょっとばかりはセーフ。セーフである。
『コワイプニ……』
『プニッテサセテアゲタラソコヲドクプニ?』
 なぜか強気に出てくるスライムの手前、ウカはぐっと唇を噛み締める。
 道を開けるとは、災魔を地上へ近付けるということ。
「それは……できません。ウカは、猟兵なのです」
 まるで苦渋の決断の如き重苦しい声にして、自身の分け身にこめる力を強く。
 目の前の蜜ぷにたちは強化合体を始めている。戦う意志が、あるということ。
 ならば。
「情けは……む、無用……! ウカは、負けませんっ! えいっ!」
 ちょきんっ。
 ぷにんっ。柔らかな弾力にまた少し眉が下がりそうになるが、ぐっと堪え。床スレスレまで断ち切る――精神的な強敵に、彼女はしかと打ち勝ったのであった。
「わーん、ぷにさん、ぷにさん本当にごめんなさいっ」
 溶けきる最後、回収作業のあくまでついででつついた指に伝わる感触は、やっぱり素敵にぷにぷにだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

リンセ・ノーチェ
【Folklore】の皆と
優しくて穏やかで僕が緊張せずにお話しできる有難い人達
恩返ししたくて誘ったんだ
「花蜜、たくさん集めましょうね」
四季の花の香を想像して鼻がくすぐったい
サヴァーさんはいつも通りの様で少し違う
照れてるんだと分かり心までくすぐったい
「ね、行きましょう?出遅れちゃいます」
ユーンさんと一緒にサヴァーさんに手を出し【手をつなぐ】
「サヴァーさんにも、僕、幸せでいて欲しい」

弱いという蜜ぷにだけど、油断大敵
僕はユーベルコードで友達フォルテを召喚、【騎乗】する
機動力を生かし沢山の蜜ぷにを精霊銃で撃ち抜いていく
でも、結局サヴァーさんが一番倒している気が…
後方に準備しておいた樽や瓶、足りるかな…


サヴァー・リェス
【Folklore】の2人と参加
「ふたりとも…楽しそう、ね」
眩い、笑顔…並んで、私を、見ている
…花と、香り
ユーンの問い…、私は、そうでは、なくて…首を横に、振る
「…楽、しい…」
これだけのこと、素直に、答える、の…何故か、…顔が、少し、熱い
…わるいことなの、たぶん、私がなにかを、だれかと、楽しむ…なんて
そう、自分の声が、心で聞こえ…、でも、本当にそう思うのか、言い訳なのか、わからない
リンセのふわふわの、手
ユーンの滑らかな、手
…とても、温かい
「有難う…」

蜜ぷに…は、数多い…、私のユーベルコードで…どんどん、倒していく…
鈴蘭の花で、花を散らしていく様は…少し、切ないけど、とても、綺麗
「…さぁ、次…」


ユーン・オルタンシア
【Folklore】
先日猟兵仕事で知り合ったお二人と参ります
「お誘い頂き、有難うございます。ふふ、楽しみですね」
リンセの控えめながら少年らしく元気な様子、好ましく私も微笑み零れ
「サヴァーも、楽しめていると良いのですが…ご気分が、優れませんか?」
そうであれば予定の変更をと穏やかに訊ねれば、愛らしく頬を染める様子
リンセと顔を見合わせ微笑んでしまいます
「そうですね。浅学ながら香る植物には目がありませんので、心が逸っております」
リンセと頷きサヴァーに手を差し出します

戦闘におきましては、ユーベルコードの他、【援護射撃】が役立ちそうですね
リンセの援護を務め彼の取りこぼした蜜ぷにを残さず射抜いていきましょう



リラックスした足取りは、もうパーティが始まっているかのよう。
 共に歩くリンセ・ノーチェ(野原と詩と・f01331)とサヴァー・リェス(揺蕩ウ月梟・f02271)、そして先の任務で彼らと縁を結んだユーン・オルタンシア(森の声を聴く・f09146)の三人組。
「お誘い頂き、有難うございます。ふふ、楽しみですね」
「ううん、僕こそ。お二人とも、ありがとうございます」
 花蜜、たくさん集めましょうね。自然体でいられる二人と一緒だからこそ零れるリンセの年相応の笑みと、ユーンのそれが息もぴったり重なる。
「ふたりとも……楽しそう、ね」
 やり取りを視界から外さず歩む、サヴァーの心も凪いでいた。風のない春の草原みたく、この空気は心地よい。けれど表情は彼らほど器用には移り変わらずに。
「サヴァーも、楽しめていると良いのですが……ご気分が、優れませんか? 必要でしたら、少し休んでいくか予定の変更を」
 彼女と出会って日の浅いユーンは穏やかに問いながらも思案顔。楽しげだった男の様子を僅かでも曇らせてしまったようで、サヴァーはすぐに首を横に。
「……楽、しい……」
 楽しい気持ちはほんもの。
 けれど、抱えるものは罪と罰だけと決めていたから。そうして過ごしていた時間があまりに長かったから、なにかをだれかと楽しむことが、わるいことに思えてしまって。
 心の内から"自分の声"がそうと告げるのだ。でもそれは、素直に言葉を選び、なぜだか熱くなる体温の言い訳なのではないだろうか?
 自問自答。次にどんな言葉を口にしたなら良いのか、思い淀むサヴァー。
 睫毛を伏せかけたとき、ふっと彼女の心を掬い上げるのは、優しく触れる手と手であって。
「ね、行きましょう? 出遅れちゃいます」
「そうですね。浅学ながら香る植物には目がありませんので、心が逸っております」
 いち早く気付いた彼らは顔を見合わせ笑ったばかり。
 彼女自身にはそうと知れなかっただろうが、実はその真白い頬がすこし赤らんでいたことに。
 特にリンセにとって、サヴァーの様子は常通りのようで少し違うとはっきり伝わるもの。
 照れてるんだ――そう分かってしまって、彼女の行き場のない不安と喜びがいっぱい流れ込んでくるようで、心までくすぐったかった。
 だからはにゃっと相好崩して。
「サヴァーさんにも、僕、幸せでいて欲しい」
「有難う……」
 ふわふわで、滑らかで。
 答えがまだ分からなくても。伝わるぬくもりが、無理に言葉や表情にしなくてもいいと、サヴァーに教えてくれる。

 思い合う三人の連携力は伊達ではなく、蜜ぷにを見つけてからも早かった。
「リンセ、そっちに逃げそうです」
「任せてくださいっ!」
 逸れた個体を輝く蹄が踏み潰す。
 灰白猫は今や彼の友だち――ヒポグリフ、フォルテの背の上に。馬のような鳥のような伝説上の生物は、絢爛たる体躯を惜しげなく駆けさせる。
 そんな麗しの獣も、人から見たならちょっと小さめサイズなところがかわいい。だとしても、蜜ぷにから見たなら蟻と象程の重圧感。
『マモノガボクラヲオソウナンテ!』
『ニンゲンニリヨウサレテルノカ!?』
「魔物じゃなくて、フォルテ。僕の友だちだよ」
 蜜ぷにたちにもちゃんと言って聞かせるあたり、少年猫の性質が滲んでいる。
 彼が取回す繊細な仕上げの精霊銃。そこから放たれた弾丸は手ブレなく着弾、更に一体を弾けさせる。
 ――かてない! たいきゃく!
 慌てふためきぴょんぴょこ跳ねるスライムたちを、ユーンの矢が複数纏めて撃ち抜いた。柔い体を突き抜けた金属がからんと転がる。
「しかし、これは森でも見たことのない個体ですね」
 どろり、すぐに蜜へと変わり始めた姿を物珍しげに。
 サヴァーは逆に、そんな男の様子の方を意外に思ったのか。
「ユーンでも……、知らないこと、あるの……?」
「もちろんですよ。たとえばサヴァーのその力、私には真似できません」
 その力、とは、話の合間にも彼女が巻き起こしている花びらの嵐のこと。
 鈴蘭のまんまるとした白は時折、蜜ぷにたちの持ち合わせる白花とも混ざり、カラフルな体色を一色に染め上げていた。
 切なくも美しい散華。当然ながら、こちらの花はただ美しいだけのそれではない。
 棘は十分、捉えたぷにの体を縦に横にと引き裂いている。ぷちんと千切れた半固体が樽の側へと転がってゆく。
「……さぁ、次……」
 あぶれた個体を咥えて潰す友の毛並を撫でながら、リンセは釣られて蜜の行先を見てしまう。用意しておいた樽や瓶、足りるだろうか?
「サヴァーさんが一番倒している気がするね……?」
「頼もしい限りです」
 ひそひそ声に、サヴァーの翼がふるり。
 楽しみ、だから。
 ごく小さな呟きで繰り返された思いに、後方、も一度二人して綻んで。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ヴァーリャ・スネシュコヴァ
はわ〜…こ、こんなに可愛い奴がこの学園にいただなんてな…! しかもいい香りなのだ…。
ぜ、是非プニプニさせてくれ!後生だ!
もしプニプニできたら、全身投げ出して蜜ぷにに寄りかかって全身でその柔らかさを堪能するぞ。(人をダメにするクッション的な感じで)ほわあああ…プニプニ…!

と言いつつもちゃんと猟兵としての仕事はしないとな…。うむ、俺はうまいものを食べるためには蜜を採取しなければならないのだ…。
氷の【属性攻撃】+【二回攻撃】を使用し、おそらく水分の塊だろう蜜ぷにに氷結攻撃を仕掛けるぞ!凍らせれば数も増やせまい!
討伐しなければいけない限りは…俺たちが美味しく料理せねばな!これは狩る側の義務なのだ!



単身乗り込んだヴァーリャ・スネシュコヴァ(一片氷心・f01757)の進む道には、既に倒された後だろう、蜜の香りがいっぱいに満ちていた。
 必要量集まっている? そんなことはどうでもいい。
 ――グルメを求める心が叫ぶのだ。こんないい香り見過ごしておけないと!!
 それだけではない。
 いざ目にした蜜ぷにとやらが想像以上にぷにんぽよんだったから、ヴァーリャの心により大きな衝動を抱かせる。
「はわ~……こ、こんなに可愛い奴がこの学園にいただなんてな……! ぜ、是非プニプニさせてくれ! 後生だ!」
 "ぷにぷにしたい"。
 だんっと地を蹴り飛び掛かったマジックナイトが何をするかと思えば腰の剣は沈黙、身構えた蜜ぷにへ大の字タックルをかます次第。
『プゥニィ!?』
「ほわあああ……プニプニ……!」
 よりにもよって合体後の大サイズ。潰されうごめくスライム体は、放っておけばこのまま取り込まれそうに柔らかい。
 それもいいかも――。一瞬思ったかもしれないヴァーリャであったが、しかし彼女もまた猟兵。学園に救われた生徒のひとり。
「……っさて、トドメといくか!」
 きりりとした声は自分ヘの喝入れ。
 跳ね上げられたのを皮切りに、宙で体勢を整え指を走らせる。扱う、氷結の魔法。
 空のない迷宮に激しく降る霙は蜜ぷにの体に張り付き積もり、間置かずかちんこちんにしてしまう。
 仲間を呼ぼうとしたか。
 震える蜜ぷにだが、音を出す器官も凍りついたのだろう――何も起こらない。上を取ったヴァーリャは靴裏に氷の刃を精製している。
「俺は、うまいものを食べるためには蜜を採取しなければならないのだ……」
 ザンッ!
 落下の軌道に沿ってひびの入った蜜ぷに大は、氷のままで砕け散った。
 塊のそれを、うむと眺め。少女はせっせと拾い集める。欠片まで残さず持ち帰ろう。
「討伐しなければいけない限りは……俺たちが美味しく料理せねばな! これは狩る側の義務なのだ!」

成功 🔵​🔵​🔴​

ソラスティベル・グラスラン
わあっ、『蜜ぷに』ですね!
甘い良い香りのする彼らのこと、よく知っていますとも!
お菓子の素になりますし、わたしの迷宮探索のオヤツ…もとい栄養補給の代わりにも
ふふふ、とても大好物ですっ
あの花蜜を使ったスイーツ、楽しみですね!
美味を求め勇気ある行軍です!いざ迷宮へ!おーっ!

柄杓と沢山の瓶を準備
ふふふ、余れば自分用に確保したいくらいですし
彼らは沢山います!そして更に増えます!わひゃああ
ここは範囲攻撃で一撃、グラウンドクラッシャー!
倒すのは楽ですが……彼らの可愛さと健気さがちょっぴり辛いです…
すみません…ですが貴方たちを迷宮の外に出すわけにはいきません
せめて美味な蜜として、美味しくいただきますので!!


キトリ・フローエ
花蜜ゼリーなんて美味しいに決まってるじゃない!
ニュイも楽しみにしてたし、よし、一肌脱いじゃうわよ!
(事前準備として、可能ならフェアリーランド内に蜜回収用の入れ物とかを持っていく)

蜜ぷに、確かにすごーくたくさんいるわね
見た目はきれいだけど……あ、きれいなのは美味しい蜜をたっぷり蓄えているってことよね?
あたしたちの美味しいゼリータイムのために、その蜜、いただくわ!
他に仲間がいれば協力して、
あたしは【全力魔法】のエレメンタル・ファンタジア(風の竜巻)で【範囲攻撃】
一緒のみんながいればがんばりましょう!とかもうすぐおやつよ!とかなんとか鼓舞しつつ、どんどん蜜を集めていくわよー!



焼きに叩きに丸のみスライス氷漬け……。蜜ぷにたちも黙ってはいない。
 最後の攻勢にでるときだ!

『ナカマノカタキハウツプニー!』
 頑張って跳ねて距離を縮めていたぷにであったが、ザッ! と目の前に降り立った少女のわぁっっと黄色い歓声に身を竦ませることになる。
 というよりも、ガリガリに床石を抉って突き立てられた巨大斧に――か。
「やっと見つけました、蜜ぷにですよ! ふふふ、わたしとても大好物なんですっ」
 お菓子の素にも、そのまま迷宮探索のオヤツ……もとい栄養補給の代わりにも。あの花蜜を使ったスイーツ、とっても楽しみ!
 頬の横で両手を組んだソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)、頭の中は既に、集めた後の楽しみ方のイメージに余念がない。
「まったくね、花蜜ゼリーなんて美味しいに決まってるじゃない! ……あれ、となるとあなた、食べたことあるの?」
「はいっ。良い香りで、甘くて……こうして皆さんにも味わってもらえる機会ができて嬉しいです!」
 小さな羽音はキトリ・フローエ(星導・f02354)。妖精として花々の朋としてその美味を知る彼女へと、にぱっと懐こい笑みが向けられた。
 柄杓と瓶(沢山)装備。傍らのドラゴニアンの姿は、なるほど見るからにガチ勢である。
 だがしかし、これにもぷには止まっていられない。数多の困難を潜り抜け外の自然へ――楽園へ辿り着くというおっきい夢があるのだ!
『プッ、プニプニ……ココハキョウコウトッパプニィ! ミンナモデテクルプニ!』
 青ぷにが必死な声を上げれば、どこからともなく赤ぷにと緑ぷにが姿を見せる。二体の蜜ぷには青ぷにを護るように立ち、前衛は任せろ風に少女らへと躍りかかる!
 ぷにーん……!
 そんな蜜ぷにの群れを前にしても、たじろぐどころか今にも跳ねださんばかりの竜の娘は、剣置き代わりにしていた溝から斧を引き抜いて。
 滑らすように両の手に持ち直すと、次は柄でなく刃先を――振り上げ、風切り、床へと叩き付ける。
「いただきますっ」
『プニッ!?』
 直撃。
 碌に反発せずぱあんと弾けたスライムは四方に散り、地面に落ちる前、羽ばたくキトリがタイミングよく容器の口を向けキャッチしてゆく。
 彼女もまた用意周到に、自身に合うサイズの器を選んできていた。
「……っとっと。本当、きれいな見た目通りに美味しい蜜な予感」
 鮮やかになった容器の中を覗き込んでほんのり微笑み零し、そうして。
 あっちのもお仲間かしら? 上げたキトリの視線の先には、こんもりぷるぷるカラフルな山が。崩れ、物量勝負と猟兵らの元へ流れ込み始めた!
「ええ、彼らは沢山います! そして更に増えます! わひゃああ」
「川みたい……。でも、これだけいれば十分そう。ニュイも楽しみにしてたし、よしっ。あたしも一肌脱いじゃうわよ」
 くるんと中空で旋回し竜の娘の前へと。
 蜜たっぷりな器を落とさぬように片腕に抱え、もう片手には杖を持ち。
「あたしたちの美味しいゼリータイムのために、その蜜、いただくわ!」
 ご挨拶。ひとたびすぅと意識集中したならば、直後には妖精の周囲にそよぐ微風、疾風。はたり、乳白の髪が波打ち。
 次第に強まりついに可視レベルとなった竜巻が猛然、雪崩を呑み込んだ。
 反動で少し後ろへ揺らいだ体は、ソラスティベルが手を伸ばしてぽふりと支え。
『プゥゥゥニィィィ! メガマワルプニイィィ』
『シゼンカイノカゼハキビシイプニ!?』
 ぐるんぐるんに振り回されたぷに達は風が止んでも動けずに。じわりと溶けはじめ。
 衝突の衝撃に砕けてしまったものたちも多く、すっかり美味しい蜜に出来上がっていた。
『プニィ……』
 ひとりになってしまった青ぷに。歩み寄ったソラスティベルも、立派な食糧といえど彼らの可愛さと健気さはちょっぴり辛くて。
「すみません……ですが貴方たちを迷宮の外に出すわけにはいきません」
 ――せめて美味な蜜として、美味しくいただきますので!!
 そう。だからこそ最後の一匹まで、ちゃんと。
 最期に見せるのは、外の世界の澄んだ青空色。
 落とした刃が轟音とともに新たな花蜜をうみだした。

 それぞれに用意していた容器になみなみ蜜が収まる。
 懐に大事に抱えたかと思いきや、そこからスペアを取り出すソラスティベル。
「えへへ、実は余れば自分用に確保したいと思ってまして……続・美味を求め勇気ある行軍です! さっ、いざ奥地へ!」
「ふふ、そうねっ。あたしも同じ。がんばりましょう、おやつはもうすぐそこよ!」
 おーっ! と、踏み出す一歩は明るく元気よく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ストーンゴーレム』

POW   :    ゴーレムガード
全身を【硬質化して超防御モード】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD   :    ゴーレムパンチ
単純で重い【拳】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
WIZ   :    ゴーレム巨大化
無機物と合体し、自身の身長の2倍のロボに変形する。特に【岩石】と合体した時に最大の効果を発揮する。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアルル・アークライトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 ゴオオォォォン、と。
 二人の明るさにもう一音、壁の崩れる爆砕音が加わったものだから賑やかしい。

 竜と妖精の娘にとって、すぐそこの壁だ。
 戦いの音に呼び覚まされたか、或いは蜜ぷにの仲間のひとりだとでもいうのか。
 土煙の中姿を見せた岩の巨人――ゴーレムが、小さき侵入者らを眺め下ろす。
 人ほど太い五指が握られた。

 蜜を置いて逃げるが早い?
 だがそんな選択肢は、恐らく、この場に集った誰の頭にもない。
華切・ウカ
ぷにちゃんじゃ、ないなんて…!
おおきなぷにちゃんがでてくるとウカは信じていたのに……!
楽しみにしていたのに……!(小声)
これは裏切り、ひどい裏切りです……! 許すまじ!
ウカは全力で、あなたを倒します!

攻撃は錬成カミヤドリで。
大きな拳の一撃は後ろに大きく跳んで回避を試みる。
この攻撃、やっぱりあの身体はぷにぷにではない……
あの堅い身体をチョキンと断つのは難しいので、共に戦う猟兵の皆さんの助けになるように。
死角からの攻撃で気を引いて隙を作ったりできれば。

もう、本当に! ぷにちゃんかむばっく!


キトリ・フローエ
……。
ゴーレムと目が合った気がして、思わずぶるぶると翅を震わせ
……みんなーっ!(とりあえず皆を呼ぶ。気づいてると思うけど)

…ず、ずいぶんと驚かせてくれたじゃない(気を取り直して)
さてはあたしたちが集めたこの蜜が狙いね!
残念でした、あげないわよ!

きっとあちこちで蜜を集めてる皆が居るだろうから、もちろん協力して戦うわ!
あたしは【高速詠唱】からの夢幻の花吹雪を【全力魔法】で!
少しでもゴーレムの動きを封じて、皆が攻撃するための隙を作るわ

ただでさえ大きいのに、さらに巨大化なんてずるいじゃない!
ダメージを負った仲間はエレメンタル・ファンタジアで回復
皆で集めたこの蜜を守り抜いて、持ち帰ってみせるんだからー!


ソラスティベル・グラスラン
ふふふ……分かっていましたよ!
これだけの宝(蜜)があるのです!試練があることなど!
であれば!勇者であるわたし『たち』がやるべきことなど決まっています
勇気を持って打ち倒す、それだけです!いざ勇猛に挑みましょう、皆さんッ!!(鼓舞)

勇気を持ってただ前へ!敵の注意はわたしが惹きます!
気合を込めて防御を重視、皆を守る勇気ある誓いをここに!
これがわたしの【勇者理論】です!
硬い体を鎧砕きで、重い攻撃を盾受けと第六感、オーラ防御と怪力で受け流す!

蜜ぷにたちは貴方の友だったのでしょうか……すみません
せめてもの償いです、この蜜の瓶を一つお供えしましょう…
……さあ帰りましょう!美味なる甘味が待っていますよ!!


ミアス・ティンダロス
ここまで来たらもう諦めるわけなんかないでしょう?
みんなの力を合わせて乗り越えましょう!

蝙蝠のような羽をもつ馬と昆虫の交雑体に見える【星間の駿馬】を召喚し、敵をちょくちょく襲撃します。
ダメージを与えるより、他の人のために隙を作るのは狙いです。


リンセ・ノーチェ
【Folklore】で、猟兵皆と共にゴーレムと戦う
「あ、うん…ですよね…ここ、迷宮だし…」
サヴァーさんとユーンさんの達観した呟き、僕も思わず頷く
「でも僕達、負けないよ!」って2人に笑って
召喚したフォルテに跨り【騎乗】技能を活かし、ゴーレムの気を惹き2人から離す
彼らは真正面から敵と戦うより頼もしい手腕があるんだ
蜜ぷにも余り被害が出ない様に蜜の少ない場で敵の攻撃を【見切り】回避、スピードで敵を翻弄するよ
【フェイント】を使い時間差で本命の攻撃を【2回攻撃】で撃ち込んでいく
敵が防御モードに入り、解けた瞬間は攻撃の好機!【全力魔法】を叩き込むよ
「魔法よ躍れ、躍り狂え!」
花蜜と楽しい時間、絶対守ってみせる


サヴァー・リェス
【Folklore】と…猟兵皆で戦う
「…なんとなく…この事態…知っていた」
2人の同意の頷きが、返る中…私は、いつもの自分、取り戻して…
「行きましょう…哀しき土人形に、眠りを」
リンセが私達を守ってくれる、から…私は、敵の攻撃に合わせ、
ユーベルコードでその攻撃を、相殺…し続ける
敵の攻撃は【第六感】も使い、回避…皆と私を、【オーラ防御】で守る…
敵の防御モードが解ける、予感あれば…避けやすい様、皆に注意を呼び掛ける
一番の攻撃機会、でもあるから、防御モードが解けた瞬間
私も…ユーベルコードや、【衝撃波】で…出来る限りの攻撃を
いつもの自分、落ち着く…
でも…悪くなかった…から
早く終わらせ…皆と帰りたい、と思う


ユーン・オルタンシア
【Folklore】で参戦、猟兵皆様とも連携致します
「奇遇ですね。私もこうなるのではという予感をしておりました」
同意見多数、嬉しいですね
すぐに戦闘態勢を整えるお二方に負けぬ様こちらも構えて
「リンセは勇敢な少年ですね」
私達を守るように展開する少年の軌跡が眩しく感じられます
リンセとサヴァーの戦うリズムも快い
ですが私もお役に立つため此処におります
私は敵の攻撃圏外に陣取りユーベルコードで敵を射続けます
少し離れた場所すと戦況も良く分かるかと
味方に当てないよう注意致します
皆が総攻撃に転じる時【援護射撃】での援護を務めます
敵の攻撃は【見切り】回避
早く終わらせる事に私も賛成です
花蜜の甘い時間、守り抜きましょう


ヴァーリャ・スネシュコヴァ
むむっ?なぜこんなでっかいのがこんなところに…
あっ!この蜜を奪いに来たのだな!悪いがこれは美味しいゼリーになるのだ!渡さないぞ!

うむ、ここは頭を狙って攻撃させてもらおう。『スカイステッパー』+【ジャンプ】を使用し、敵の肩あたりまでジャンプ。肩に乗った後、【ダッシュ】で走って頭のところまで走り、【属性攻撃】+【2回攻撃】で武器による氷結攻撃を2回、それぞれ右目左目の方に当ててダメージと目くらまし両方試みるぞ。
目くらましが成功し敵に隙ができたら、再度【ジャンプ】し敵の顔面に『亡き花嫁の嘆き』を叩き込む!
目くらましが失敗した場合は肩から飛び降り、全力魔法による遠距離からの攻撃に切り替えるぞ。



「…………」
 赤く光る目と、目がばっちり合ってしまって。
 時間にすれば数秒ばかりのお見合いタイム。
「――……みんなーーっ!!?」
「ふふふ……分かっていましたよ! これだけの宝があるのです! 試練があることなど!」
 直後には真逆の反応を見せる乙女二人。
 迷宮内で別行動している仲間へとヘルプを叫ぶキトリを余所に、ソラスティベルはこれも勇者に与えられし試練ならばと堂々受けて立つ姿勢。
「っ出ましたか!? おおきなぷにちゃん!」
 とは、そこへ息せき切って駆け付けたウカの第一声。
 しかし目の前の巨体はどう見ても岩。ぷにのぷの字もないゴツゴツ。
 あからさまに肩を落としたウカにちょん、妖精が指を触れる。どう声を掛けたらいいのか迷う風に、すごく控えめに。
「ぅう……、ハッ! こんにちはキトリちゃん。いい天気ですね」
「うん……大丈夫ならいいんだけど」
 ぷにちゃんとは。迷宮の天気とは。
 大丈夫かは怪しいが、深く追及はしないことにした。初手は彼女へのシンフォニック・キュアにしておこうとだけ心に決める。
「……なんとなく、この事態……知っていた」
「奇遇ですね。私もこうなるのではという予感をしておりました」
「あ、うん。ですよね……ここ、迷宮だし……」
 オラトリオ、エルフ、ケットシーの声。彼らも素早く応えこの場に辿り着いている。
 事態の呑み込みも大変早い。お約束さに遠くを見てしまう程、頑丈で強そうなゴーレムの番人だと分かるけれど。こちらはひとりではないのだ。
「でも僕達、負けないよ!」
「行きましょう……哀しき土人形に、眠りを」
 リンセとサヴァーは流れるように戦闘態勢へ。ユーンも微笑み彼らに続く。
 集まった頼もしいみんなを視界に、ありがとうをごにょっと呟いたキトリは、今一度敵へ向き直る。赤い目ももう怖くない。
「さて……あなた! ずいぶんと驚かせてくれたじゃない! あたしたちが集めたこの蜜が狙いなんでしょうけど、残念でした、あげないわよ!」
「その通り、勇者であるわたし"たち"がやるべきことなど決まっています。勇気を持って打ち倒す、それだけです!」
 バーンッ!
 効果音の似合う力強さで同意して前に出るソラスティベルであったが、振り上げた手に握られているのは柄杓。妖精が無言でそうっと抜き取る。
「――いざ勇猛に挑みましょう、皆さんッ!!」
 何事もなかったとも。
 御旗の如くに斧を掲げ直したソラスティベルが、高く、鬨の声を上げた。

 てっぺんにまで振り絞られた巨腕による、叩き下ろしの一撃。
 風圧で碧の衣が生物みたく暴れる。しかし体は動じず竦まず、踏みしめた足で片腕を頭上に構えた竜の娘のバックラーが止めていた。
「っふっふ、いいですね……! これでこそ、というもの!」
 華奢な体の内から滾々湧き出る勇気気合根性、あと有り余る怪力でギリギリと押し返し、拮抗状態を作り上げて。
 平らな面に傾きをつけ、終いには左方へと受けて流した。砕ける床石。少年猫と彼のヒポグリフはその横を駆け抜ける。
「フォルテ、出来るだけ近くに」
 クエッ! ひと啼きして背の友に了承を。ゴーレムの腕はもう一本ある。
 ぐわっと伸ばされた指を先ず弾くのは彼らでなく、霧の生じる風に姿を現し並んだ霊。星間の駿馬、黒い鉤爪。
「ここまで来たら、もう諦めるなんてないですから。みんなの力を合わせて乗り越えましょう!」
 援護に名乗り出たミアスのアドベント・ビヤーキーであった。
 蝙蝠のような羽、馬と昆虫の両方の特徴を備えた異形は、だが喚び手たる少年の命に努めてよく従う。
 ミアスにとってUDCは共存すべき存在。そんな彼による"翼の貴婦人さん"との呼称に恥じぬ舞いを駿馬は見せ、起こした風が指の狙いを定めさせない。
 再度啼いたヒポグリフは、同じく空を駆る存在へ礼を言ったのだろうか。
 助かります、とリンセが意を継いだ。
 羽ばたき、空洞に灯る赤目の石の形まで見える距離へと詰めたとき、銃を構え直す少年猫が見せた攻撃の兆しにゴーレムは反応を返す。
 ようやく引き戻されていた岩の拳がハエ叩きみたく荒く横に振るわれたとき――、ふわり。
 色濃く立ち込めた蜃気楼が巨人の空間認識を歪める。
 一瞬の交錯。リンセたちは腕の真下をすり抜けた。
 壁に激突した拳骨は、ゴォンと轟かせ天井から土埃を降らせる。如何に強い力であろうと当たらなくては始まらない。
「……まぼろし、まほろし……こわれて、まもって」
 光の異常屈折の正体、Fata Morganaを謡うはサヴァー。友がここでフェイントを入れる。戦場で共に立つ数も増え、そうした細かな判断まで読むことのできた彼女は後方にて支援を重ねていた。
 的確なサポートは成り、果たしてリンセのAuroraからは神秘の弾が放たれる。
 一発。二発。この距離ならば外さない!
 宿りし精霊が寄り添い弾道を導く。追従して風に乗る、ユーンの射った銀の矢。
「リンセは勇敢な少年ですね」
 自分たちよりもずっと前で立ち向かう小さな猫の背。弓を片手にエルフの男は眩しさを覚えて。
 それを支え続けるサヴァーもまた、ユーンの目に頼もしく映る。二人の戦うリズムは快いものだった。
「リンセの強さ……ユーンの、矢……どちらともが、あってこそ」
「おや。……ふふ。それは光栄です」
 横目に零すサヴァーは一度瞬いたのち、すぅと前へ。いつも通りの平静さをひんやり纏う彼女であったが、声はどこか柔い。
 刹那、ゴーレムの上体で光が弾ける。
 三人だけでない。ソラスティベルと、ミアスと。
 繋いだ連携は風の弾となり矢となり、吸い込まれるように宙を割って分厚い岩を砕いていた。


 オオオオオォ――。
 嘆きとも怒りともつかぬ音が岩の体の隙間から零れる。
 ボロボロと落下する岩のひとつひとつとて直撃したなら凶器に等しい。
 岩石は少年、ミアスの元へも降り注ぐ。岩同士がぶつかり変えた軌道は、時に予測のつかぬ角度から襲う脅威となる。
 前へ出させていた霊の呼び戻しは間に合わない。
 ぶつかる!
 そう――頭を庇った瞬間、差し込まれた棒状のものが岩をぱかーーんっとホームランしたのだから、戦場とは分からない。
「ぇ、あ……」
「むむっ? なぜこんなでっかいのがこんなところに……」
 チェーンソー剣ぶんぶん。
 たくさん疑問符浮かべるその人こそ、突如として殴り込んできたヴァーリャである。
「あの、猟兵さんですよね……? ありがとうござ、えっと、この巨人さんは多分、守り神みたいなもので……?」
「――あっ! この蜜を奪いに来たのだな! 悪いがこれは美味しいゼリーになるのだ! 渡さないぞ!」
 巻き込まれて疑問符をつけつつなんとか礼と説明を切り出すミアスの言葉に台詞が被さる。
 数分前に妖精の娘が告げたっぽい口上をなぞりながら容器を抱くヴァーリャは、物凄い敵意を浮かべ巨人を睨め上げ。
 結論として蜜が欲しいのか外敵を叩き潰したいのか定かでないが、人の言葉など聞き入れることなくゴーレムの拳は振るわれた。
「あなたの非道な裏切りは、ウカも許していませんからね!」
 おおきなぷにちゃん、信じて楽しみにしていたのに……! 小声だが何人か振り返った。
 裏切りとは。蜜と聞いて色々ちょっとぶり返してきた模様、ギリィと歯噛みしつつウカはステップで後退る。
 振るう刃は未だ断てずとも、速度を殺ぐには一役買う。
 十七の花鋏が一度に集い、太い腕へと打ち込む衝撃が拳を深く床にめりこませる。次手までの、時間稼ぎの筈が。
「やられる前にやるが勝ちだ!」
 丁度良い。
 地から敵の上体へと直線に伸びる腕は、スカイダンサーでもあるヴァーリャにとってはただの道。
 蜜入り器をぽーいと後方へパスして、一息に駆け上る。
 狙いは――頭。チェーンソーの駆動を上げる。彼女の剣、メチェーリの周囲に雪の粉が散り始めた。
「わっわっなんて危ないことするの!」
 投げられた容器は身軽なキトリがなんとか追い付き事なきを得る。つれなく見えて気の回る彼女は、本日随分と細やかに働いてしまっていた。
 怪我人を癒すのも、そう。だが、あんな高いところから叩き落とされたなら――ぞっとしない。
「……分かったわよ。やればいいんでしょっ」
 危なくない場所へ器を逃がして、キトリは頭上の少女の支援を試みる。
 胸に手を。杖に祈りを。
 魔法はすぐに、形を為す。巨人の翳す影にも負けぬ煌めきの花弁は、一路、目眩ましとなるべくゴーレムの目元へと吹き上がった。
「氷の花ってのは乙だな」
 姿を追えず頭を振るばかりの足場と、己が剣の冷気で凍てる花弁。そこに笑みを浮かべたヴァーリャは、踏み切って跳躍。
 剣を右目へ。左目へ、氷刃鋭い靴裏を。スケートリンクを渡るかの機動で両目へと傷を与え、ひたと拳を突き付けるのが、合図。
 傷を基点に一段と大きな氷晶の花――ダイヤモンドダストが開いた。
 一本ずつが鋭利な魔力の刃。それが無数に刺さって身を抉るのだ。痛撃に膝を折り、たまらず防御姿勢を固める巨人。
「そぉーれっ!」
 それが完成しきる前、胴を、ソラスティベルの鎧砕きの斧が穿った。
 なんとも――巨人が現れ出たときに等しく、けたたましい音と力で。


 防御は解かれる。
 戦況分析のため大きめに距離をとって様子を窺っていたユーンは飛礫を器用に躱し、連れ立って赴いた仲間の側へ。
「今が好機のようです。花蜜の甘い時間、守り抜きましょう」
「……ええ」
 サヴァーは返す。そして思うのだ。いつもの自分でいられる戦いの場は、落ち着く。
 けれども二人のくれたあのぬくもりも、決して悪いものではなかったから――。
「早く……終わらせましょう」
 皆で帰って、この後の時間を穏やかに共に。
 リンセの願いもサヴァーの心とそのまま一緒。
「そうですね。僕たちみんなで、絶対に」
 再び腕で身を庇おうとのそのそ動く巨体が見える。暇は、与えはしない。
 少年猫は狙い合わせた銃口から光を放つ。
「――魔法よ躍れ、躍り狂え!」
 全身全霊の込められたそれは一気に膨張し、岩をも溶かす程の熱を生じさせつつ風巻き迫る。
 合わせて繰り出したサヴァーの衝撃波がより速く、より鋭くと飛び行く光を後押しして。
 間に合わぬと本能で悟ったか。盾を構成するでなく前へ突き出し、消し飛ばしてでも相殺しようとしたゴーレムの腕はしかし、カンカンと煩い矢の支援――それから、星間の駿馬の立てる風に煽られる。
 腕は解かれ上体が反る。
 逃れる術はもう、ない。

 やがて迸る光と熱は岩同士の接合部まで染み渡り、内から溢れ出るように目映く溶かし、巨体に崩壊の時を知らせる。

 苔とともにまばらに咲いていた花は白く、散る様まで蜜ぷにのものとよく似ていた。
 崩れ落ちる最中の、一瞬の足掻き。
 せめて道連れにと。岩の体を自ら殴り、岩石落としでの一掃を狙うゴーレムであったが。
 ――シャン、ひとつ、死角から鳴った涼やかな音は刃と刃の擦れるもの。
 鏡面に似て研がれた外刃と内刃が閉じられたとき、数多に降り注ぐ礫岩は細かな小石へと姿変えられた。
「ウカはあなたを全力で倒すと、決めていました」
 屈んだ身をゆぅらり起こす、土埃に煙るシルエット。
 岩を断ち切れど刃毀れ知らず、錬成された本体は幕引きを見届け姿を消す。
 幾度も削られ砕かれた岩肌は、彼女にとってはもはや断ち切るに難くない脆さだった。
「次は大ぷにちゃんとして生まれてきてください」
 ぷにちゃんかむばっく――。
 ぶれたウカは最後まで、ぶれなかった。

「……ふう。なんとかなりましたね。皆さん、蜜は無事ですか?」
 舞い戻ってきた駿馬を感謝をこめて抱き留める。
 胸いっぱい溜まったドキドキとバクバクを吐き出して、ミアスは勝利を実感! 尾を揺らす。
 後方に置いていた樽や瓶は、亀裂が入っているものもあるが中身に支障はない。改めてその事実を認めたサヴァーも、ほっと細く息を漏らし。
「無事、よ。……皆が、前で。食い止めてくれた、おかげ……」
「こっちも大丈夫みたい。守ってくれて、その……」
「さあ帰りましょう! 美味なる甘味が待っていますよ!!」
 肝心な部分で言い淀んでしまうキトリ、頑張ってあと五音続けようとしたものの上塗りするでっかい声に耳を押さえることになる。
 両腕にわっしと収穫物を抱え、早速帰路へと駆け出す竜の娘の後ろ姿がそこに。
「なにっ!? もしかして早い者勝ちか! 早い者勝ちでありつけるのか!?」
 実はこっそり味見しようと蓋をこねこねしていたヴァーリャも、出遅れてたまるかとバッと身を翻した。

 逸る気持ちは止められない。
 戦い疲れもなんのその。追いかけてくる仲間たちの気配を感じながら、ソラスティベルはひとり、胸裏で崩れた岩の巨人を思うのだ。
(「もしも。蜜ぷにたちが貴方の友だったのなら……すみません。せめてもの償いに」)
 大好きな花蜜の揺れる瓶を、物言わぬ岩のそばへと一つだけ残したまま。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『手作りお菓子を君に』

POW   :    大きなお菓子作りに挑戦!

SPD   :    お菓子いっぱい作るよ!

WIZ   :    お菓子は見た目が命! 出来映えにも拘るよ!

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「すごいね! 全部狩り尽くしちゃったんじゃないの!?」
「恩に着るよ、ありがとう。ゆっくりしていってな!」

 ――届け物にひとしきり感謝された後は、お待ちかねのゼリータイム!
 ここは学内調理場。設備も道具も席も、果実のミックスだって思いのまま。
 
 おいしくたべてくれること。
 蜜ぷにたちも、きっとそれを望んでいる。
リンセ・ノーチェ
【Folklore】の皆で花蜜ゼリーを楽しむよ
狩った獣を捌く事はするけど、お菓子作りは初めてだった僕
ユーンさんが教えてくれて凄く一杯作れたよ
きらきらのゼリー達を眺めて彼のお祈りが終わるのを待つ
僕も蜜ぷにとゴーレムにごめんね、有難うってお祈り

「はい!戴きます…美味しい!!」
薄桃色のゼリーを一口掬ったら凄く美味しくて尻尾が跳ねた
ユーンさんの料理凄く上手だねってサヴァーさんと頷く
サヴァーさんの綺麗な瞳は今は月じゃなくて星が一杯詰まってて
こっちも綺麗だと思う
ユーンさんの優しい誘いもとっても嬉しくて、笑顔を止める暇がない
「うん、絶対、また!」
またね、って本当に幸せ
ユーンさんはカレーが得意だって、楽しみ!


サヴァー・リェス
【Folklore】皆で…花蜜ゼリー…、楽しむ
食事を…きちんと摂ること、ほとんど、なかった
…たぶん、初めて持った、料理道具も…皆と座っているのも…ふしぎ
ユーンは信仰を押し付けない、所が、良い…
私は、月に、ぷにとゴーレムの眠りを…祈る

「いただき、ます…」
桃を閉じ込めて、宝石の様なゼリーを、口に運べば…香りと、味が、素敵で
「ええ…、美味しい…とても。ユーン、天才…ね」
リンセと顔を合わせて頷く
私でも、作れる…?そう、かしら…
でも、作れたら…、リンセや、ユーンに、あげられたら…それは、とても…素敵
それは、つみほろぼし、とはもっと、ちがう、なにかで
「ええ…きっと、また」
カレー…どんな、食べ物…?…楽しみ


ユーン・オルタンシア
【Folklore】皆様と花蜜ゼリーを楽しみます
製菓経験がないと仰るお二人に簡単な手伝いをして頂き皆で沢山作りました
食事前の祈りを終えお二人に礼を
「お待たせ致しました
それでは戴きましょうか」
馥郁たる花の香に品の良い甘味と酸味
素材や皆様の御力もあり大変良い出来栄え
「美味しいですね。また作りたいものです」
身に余る称賛ですが笑みと共に受け取ります
「有難うございます
お二人もすぐ作れるようになりますよ
いつでも手ほどき致しますので、お声がけください
よく人をお招きし食事会など開いておりますし」
それぞれの言葉や思いが快く耳朶と心に届き
「はい。リンセ、サヴァー。ぜひ、また」
私のカレーも是非ご賞味頂きたいものです




「すごい……! 一杯できましたね!」
「キラキラ……宝石みたい、ね……」
 卓上煌めく、出来立てゼリーを食い入るようにじぃと見つめる二人。
 製菓経験の無いというリンセとサヴァーにとって、ユーンは大先生。
「お二人のお力添えあって、ですよ」
 道具を出したり洗い物をしたり。ほんのちょっと混ぜてみたり。
 そうした難しくない手伝いから頑張ってくれた彼らへ、にこりと笑いかけながらエルフの青年はエプロンを外す。
「狩った獣を捌くのとは全然力加減が違って、新感覚でした」
「……あの、混ぜるのは……見かけより、力が……必要」
 はじめてのゼリー作りへそれぞれが感想を述べる中、ユーンの手によって最後の支度、スプーンが並べられて。
 そして暫しの沈黙。彼は、日課である食事前の祈りを捧げていた。
(「ユーンは信仰を押し付けない、所が、良い……」)
 口を挟む者はいない。サヴァーはその隣で、蜜ぷにとゴーレムの安らかな眠りを月に祈り。
 リンセもまた、ごめんねとありがとうを、同じだけ心に。命を戴くことのありがたさは、形は違えど、全員が知っていた。

「……お待たせ致しました。それでは戴きましょうか」
 ユーンの一声に閉じた瞼を開けるとゼリーたちが、食べて欲しそうに待っている。
「いただき、ます……」
「はい! 戴きます……美味しい!!」
 早速匙を入れて、口へとお招きするとどうだろう。
 その瞬間にぴーんと跳ねるリンセの尻尾が一番の証明。
 ほろりと崩れて駆け抜けるのは、馥郁たる花の香に品の良い甘味と酸味! みんなで選んだ桃の果肉がますます舌をとろけさせてくれる。
「美味しいですね。また作りたいものです」
 元気な尻尾を見遣りながら、青年も一口。満足のいく出来栄えにほうっと息をつく。
「ユーンさんの料理、すごく上手だねっ」
「ええ……、美味しい……とても。ユーン、天才……ね」
 満面の笑みと無表情なれど顔を見合わせ頷き合う二人の、あまりに無邪気な喜びように次はユーンがぱちくり瞬く番。
 ゼリーひとつ、身に余る称賛。擽ったさはあるけれど、すぐに微笑み湛えて小さくお辞儀して。
「有難うございます。お二人もすぐ作れるようになりますよ。いつでも手ほどき致しますので、お声がけください」
 よく人をお招きし食事会など開いておりますし。と、付け足す彼の言葉にリンセはこくこく頭振りながらおかわり!
 ――次のぷるぷる薄桃へ、ひょっと伸ばした猫の手が細い人の指に触れる。ぱち。見上げる先にはサヴァー。
 美しい天の御使いの瞳は、今は月じゃなく星が詰まったかのように満天に見えて。
「サヴァーさんもおかわり?」
「……ん。味を、覚えて……教えて、もらって。私でも、作れたら……、リンセや、ユーンに、あげられたら……それは、とても……素敵だから」
 つみほろぼし、とはもっとちがう、なにか。
 サヴァーの心の深くが訳知らず望むこと。紡ぐ言葉をじっくり聞いて眺める二人には、よく分かっているから笑顔を止める暇がない。
 と言いつつも遠慮がちな娘の前に、さぁさぁとばかりひとつふたつ、両サイドからゼリーの皿が並べられる。
「それは楽しみです。そうだ、私のカレーも今度是非ご賞味頂きたいものですね」
「ユーンさんはカレーも得意なんだ!」
「カレー……? どんな、食べ物……?」
 これまで食事をきちんと摂ることのなかったサヴァーも、ユーンお手製とあらば興味を示し。
 楽しみの声がリンセと重なり、匙は宝石をもうひと掬い。
 なにより、こうしてみんなで食卓を囲める幸いに。
 みんなできっと、またねの約束。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ヴァーリャ・スネシュコヴァ
うふふ…これだけたくさん蜜が集まったからには…あれが作れるな! あれ!夢のバケツ花蜜ゼリー!
バケツでプリンやゼリーを食うのは全人類の夢だからな! あと、小さいやつ一個じゃお腹膨れないし…。

もちろん飾り付けもきちんとやるぞ! いろんなフルーツとかチョコとかクリームとか、色々盛り付けて…(自分的にはイケてる盛り付けだが、他人には雑多な感じを思わせるデコレーションを施していく)

完成したら、他の人にも食べて欲しいぞ。これほどの作品、自分だけで食べるにはもったいないからな!
あと、出来れば他の人のゼリーも食べて比べてみたいぞ!(食べる際は無意識の【大食い】技能使用)

(花の風味についてはおまかせします)


ミアス・ティンダロス
レシピを見ながら、ゼリーを可愛く作ろうとします。

「えっと、まずはゼラチンを水でふやかしておきます。」
「水に花蜜と食用着色料を入れ、沸騰させないように加熱します……むぅ、なんだか難しそうですね。温度計を使わないと。」
「鍋を火からおろして粗熱をとります。五十度まで冷やしたらゼラチンを投入し、よく混ぜ合わせます。」
「最後は型に流れ入れ、冷蔵庫できちんと冷やしたら完成です……よし、このうさぎさんの型を使いましょう!角切りにした林檎と桃も入れておきます!」
「うわ~楽しみですね~」



「水でふやかして、色は……何にしようかな。ピンク、紫。せっかくだから、可愛いゼリーを作りたいなぁ」
 温度、よし。テキパキと、手順通りに丁寧に。
 ハートに花、それにあれは不可視の吸血鬼さんに似てるかも?
「よしっ、このうさぎさんの型を使いましょ……」 
 様々な型を眺めながら独り言ちるミアスの真向かいに突如、ドデーンとした振動と共にバケツが置かれた。
 バケツである。
「あの」
「うふふ……これだけたくさん蜜が集まったからには……あれを作らねばなるまい! あれ! 夢のバケツ花蜜ゼリー!」
 次いで大量の粉や蜜がバケツの内にばさーと雪崩れる。何をするにも大胆不敵なヴァーリャが、なぁ! と同意を求めるかの如く視線を寄越してきた。
 はた、と、ミアスの尾が緩やかに一度振れる。考え事をしたり言葉を選ぶときのそれ。
「たくさん……食べるんですね?」
「無論! バケツでプリンやゼリーを食うのは全人類の夢だからな!」
 あと、小さいやつ一個じゃお腹膨れないし……。
 ミアスの選んだ型を見つめてぼそりと零す少女に、成る程と小さく笑みが返って。
「でも、大きなゼリーもちょっと可愛いかもしれません」
 少年が頭の中で思い描くのはでっかいアニマルや引き続きUDCのことだったりするが、それとなく和やかな空気を醸し出しながら互いの作業は進む。

「よし、俺の氷魔法でどどーんと一気に冷やしてやろう!」
 仕上げの工程に差し掛かったところで、ヴァーリャがお得意の氷属性の力を操り二人分のゼリーを瞬く間に完成させた。
 わぁと手を叩く少年へふふんと鼻を鳴らしてみせながら、次に卓上へずらり並べられるのはトッピングの山。
「美味いには、やはり見栄えと味変というのも大事だ。まずここにストロベリーを乗せる。次にここにチョコを乗せる。そしてここにクリーム……」
「すごくこう、名状しがたい楽園みたいですっ」
「そうだろうそうだろう!」
 ヴァーリャの中では計算し尽くしたイケイケ盛り付け。
 あれもこれもと雑多な出来栄えであるが、ミアス的にはこれはこれで褒めているらしかった。そして少女もまた、周りが首を傾げる中、その褒め言葉を特に気にすることはなかった。
 やがて出来上がったのは花蜜ゼリータワーとかわいいうさちゃんゼリー。ミアスのものは、角切りの林檎と桃が耳と胴とに愛らしく収まっている。
「完璧だ……それになんだ、そっちも中々に美味そうじゃないか」
 これ程の作品だ。自分だけで食べるにはもったいないし、できれば他の人のも味わってみたい! ヴァーリャの提案にもちろん首は縦に振られ。
「ふふ、それじゃ僕のもどうぞ」
 交換っこが成立。
「むっ、このスッと抜ける感じはミント?」
「ジャスミンの花ですよ。ヴァーリャさんのは……ローズオレンジチョコ味ですね!」
 タワーそのものにか、ミアスの不思議な食レポにか、ぱくぱくぱくとどんどん減らすヴァーリャの姿にか。
 惹かれた生徒も寄ってきて、楽しく美味しい時間が過ぎてゆく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

チロル・キャンディベル
ウカ(f07517)とキトリ(f02354)と

きらきらゼリーが作れるときいて!
チロもすてきなものを作りたいのよ

キトリだいじょうぶ?お手伝いする?
って、サイズの問題でちょっと心配
ぐるぐるすればいい?はーい、まかせて!
いっしょなら絶対おいしいのができるの
キトリはいつもきれいなお菓子を作るの
すごいなって思ってるのよ
チロはお花が飾りたいのー
このお花チョコとか乗せたらどうかしら?

作りながら、ウカに蜜ぷにのお話を聞きたいの
とってもかわいいって聞いたのよ!
ウカの話に興味津々うんうん頷いて
チロもいっしょに遊びたかった…
ん?退治?しょんぼりね!

ニュイ?つんつん?
ち、チロも気になるの!ってはーいって手を挙げて


キトリ・フローエ
ウカ(f07517)とチロ(チロル・f09776)とゼリータイム!

お星様の型があるならそれを拝借して、お星様のゼリーをつくるわ!
せっかくだから、蜜ぷにみたいにきれいな色になるといいわね(香りはお任せ)
チロ、手伝ってくれるの?ありがとう!じゃあこれをぐるぐる混ぜて、型に入れて、あたしの魔法で冷やして…
型から出したら生クリームを絞ってお花のチョコを飾って、あれば金箔、なければアラザンを散らして、はい、完成!
みんなのぶんも作ったから、どうぞ召し上がれ!
だってほら、あたしひとりじゃ食べきれないもの!
ニュイもおひとつ召し上がれ!
蜜ぷにもきっと、こうして美味しく食べてもらえて喜んでくれるはず、よ、ウカ!


華切・ウカ
チロちゃん(f09776)とキトリちゃん(f02354)と一緒に

ぷにちゃん達に想いを馳せつつ……
はっ、これでぷにちゃんを作ればいいのでは!?
でも、そんな……ぷにちゃんを食べるなんて罪深い……
……いえ、それでも作らなければいけないときは、あるのです!

キトリちゃんの、かわいい!そしておいしい!幸せです!
ウカのぷにちゃんは……
ど、どこか違う…! なんだかお顔がこう、ぶちゃいく!
でも気持ちはぷにちゃんです!
チロちゃん聞いてくれます? ぷにちゃんたちはとってもかわいくてぷにぷにしてて(以下長い)

ところでウカは気付いてしまったのです……
ニュイ君、ちょっとつんつん……ぷにぷに、させて、いただいても?(真剣)



ひょこひょこ。作業台とあまり変わらぬ高さで真っ白な耳が動く。
「キトリだいじょうぶ? お手伝いする?」
「チロ、手伝ってくれるの? ありがとう! じゃあこれをぐるぐる混ぜてくれるかしら。うまく混ざったら、このお星様の型に入れるの」
 水を運ぶちょっとおねえさんなキトリのお願いに、白狼の少女チロル・キャンディベル(雪のはっぱ・f09776)ははーい、まかせて! と元気にお返事。
 サイズの問題で心配なこともあったし、なにより、いっしょなら絶対おいしいのができる!
 二人のきゃっきゃ花やぐやり取りの横で、ウカは粉を蜜に溶かしながら何かを唱えていた。
 に……ぷに……ぷにちゃ……。
「はっ、これでぷにちゃんを作ればいいのでは!? でも、そんな……ぷにちゃんを食べるなんて罪深い……」
 声を大にし手を止める。淡いオレンジ色と混ぜたときに偶々生まれた溝が丁度、あの癒し系スマイルに似ていたから。葛藤を始める娘の顔を澄んだ瞳で覗き込むチロル。
「蜜ぷに? とってもかわいいって聞いたのよ! ぷにぷにゼリーも見てみたいし、チロもウカのお話聞かせてほしいの」
「チロちゃん……! 聞いてくれます?」
 そう、悲しみを超えて戦わねば――作らねばならぬときはあるのだ! 後押しされる形で、ウカの手がぎゅっぎゅと形を整え始める。
 ぷにちゃんたちはとってもかわいくてぷにぷにしてて……――終わりの見えぬ蜜ぷに談義とチロルの相槌が続く中、生クリームとお花のチョコ、それに金箔で飾られたまぶしいお星様の味見を終えたキトリはうん、上出来! と腰に手を当てた。
「完成よ。ねぇウカ、チロ、ちょっと食べてみて」
「はむ――キトリちゃんの、かわいい! そしておいしい!」
 眼前すぐに差し出された匙は或いはお口チャック砲だったのかもしれない。然し自然目に入ることになった星の輝きとその味わいに、どこか遠くにいたウカの何かが引き戻される。
 幸せです! と心から口にすれば、チロルも一緒になってもぐもぐごくん。
「ほんとう! 空から落ちてきたみたい。キトリはいつもきれいなお菓子を作るの、すごいなって思ってるのよ」
「そ、そうかしら……、でも、作り甲斐があるっていうか。みんなのぶんと、はい。ニュイもおひとつ召し上がれ!」
 あたしひとりじゃ食べきれないもの、そう皆に告げ大きなスプーンを配りに飛ぶ妖精の頬はちょっぴり春色。
「桜と梅かな? とってもいい香りですね!」
 ぺこぺことお辞儀をして受け取ったニュイ・ミヴ(新約・f02077)は今にも跳ねだしそう。
「それに比べてウカのぷにちゃんは……ど、どこか違う……! なんだかお顔がこう、ぶちゃいく!」
「もっともっとかわいかったの? うー、チロもいっしょに遊びたかったなぁ」
 ウカの目に何らかのフィルターが掛かっている可能性が高いが、味の程は十分。優しく香しく甘い、ツツジの蜜そのものだ。

 ところで。ウカは気付いてしまったのです……。
 にこやかに食べ進めていた卓に、ぽつりと落ちる声。この意味深長な切り出しから何が始まるのか。神妙な面持ちを見守る面々。
「ニュイ君、ちょっとつんつん……ぷにぷに、させて、いただいても?」
「えっ食べますか?」
「食べませんよ! 反応までなんだかぷにちゃんに似て」
 つらいかこがよびおこされうっとなったウカの肩を、ぷにぷにが撫でた。ご想像通りの感触だったことだろう。
「ニュイ? つんつんぷにぷに?」
 チロも気になるの! ヤドリガミを撫でるブラックタールをつんつんする人狼という謎の図式が一時完成したりし。
「ほら、よく見ながら食べましょ? 蜜ぷにもきっと、こうして美味しく食べてもらえて喜んでくれるはず、よ、ウカ!」
 状況を打開するキトリのフォローが入る。
 顔を上げて見つめてほしい。みんなで形にした花蜜ゼリーは、こんなにもキラキラと幸せで美味しそうなのだから。
「ええ、はい……キトリちゃん。そして、ぷにちゃん」
 すっと目の端を拭う仕草ののち、今一度スプーンを握りしめるウカ。
 最後まで笑って――いただきます!

 ゼリータイムはほろほろと。
 あわい花蜜の甘さにとけて。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年01月02日


挿絵イラスト