『ぷっににー、ぷにっぷにー♪』
『ぷにっ、ぷっぷにー♪』
――迷宮の奥底から、楽しげな歌声、のようなものが聞こえてくる。
その歌声、のようなものの主は、蜜ぷにと呼ばれる七色のスライムだ。
アルダワ魔法学園の地下迷宮においてはよく知られた災魔で、可愛らしい見た目もさることながら美味しい花蜜を持つことでよく知られている。
『僕らならやれるぷに! さあ、みんなで楽園をめざすぷにー!』
『ぷにー!』
そして蜜ぷにの集団は、楽園(地上)を目指しぷにぷにと跳ねながらやってくる。
――その背後から、とてつもなく恐ろしい災魔が追い掛けてきていることも知らずに。
●蜜花フラッペタイム
「えっと、そんなわけで迷宮から災魔が逆侵攻を仕掛けてきています」
それを食い止めてほしいと、月居・蒼汰はその場に集った猟兵たちに切り出した。
迷宮は複雑な構造をしているものの、その全ての階層を突破されてしまえば、非戦闘員も多くいる学園施設に信仰されてしまう。幸い迎撃に適したフロアがあるので、皆にはそこで災魔を迎え撃って欲しいと蒼汰は続けた。
「まず現れるのは蜜ぷにっていう、花の蜜で出来たスライムなんですけど。迷宮では割とポピュラーな感じらしくて、多分ご存知の方もいらっしゃるんじゃないかな」
蜜ぷに自体はとても弱いが、とにかく数がたくさんいる。倒すと手に入る美味しい蜜は、お菓子作りをはじめ様々な用途で用いられるのだそうだ。
「で、蜜ぷには全く驚異じゃないんですけど、その後ろから何かでっかいドラゴンが追い掛けてきてて」
寧ろそっちに気をつけつつ、存分に蜜ぷにと戯れ――もとい、倒して蜜を取るのもいいんじゃないでしょうかと蒼汰は説明を終える。
「それで、ですね、今、学園ではかき氷が流行ってるんだそうです。更に……タイミングがいいというか何と言うか」
蜜ぷに達が通ってくる道の途中に、最近発見された氷の部屋があるのだという。
誰が仕込んだかわからない、古い魔法が仕掛けられた氷室。そこで生成される透明な氷はとても純度が高く、その氷を用いて作られたかき氷が期間限定の甘味として学食で提供され、生徒達の間でブームになっているらしいので、転校生の皆にも是非楽しんでほしいとのこと。
味は定番の苺やレモン、メロンにブルーハワイ、マンゴーに抹茶、ミルクを加えてまろやかにするのもいいだろう。他にも様々なフルーツや白玉なども用意されているとのことなので、自分で好きにアレンジして食べるのもいいだろう。
「隠し味としてシロップに蜜ぷにの蜜を混ぜたり、蜜そのものを掛けて食べるのが流行っているみたいです。なので、蜜を手に入れて試してみるのもいいかもしれませんね」
ちょうど世間は夏真っ盛り。冷たいかき氷で喉を潤す時間もきっと楽しいだろうから。
だが、かき氷を楽しむためには災魔を倒し、氷室から氷を無事に切り出して運ぶための環境を確保しなければならない。
「まずは災魔の討伐、よろしくお願いしますね、皆さん」
蒼汰は微笑んで頭を下げ、手の中にグリモアの光を発動させた。
小鳥遊彩羽
ご覧くださいましてありがとうございます、小鳥遊彩羽です。
今回は『アルダワ魔法学園』でのシナリオをお届け致します。
●シナリオの流れと補足など
第1章:『蜜ぷに』(集団戦)
第2章:『『慈悲なき』ニドアーズ』(ボス戦)
第3章:『真夏の奇跡』(日常)
となっております。
オブリビオンの討伐が無事に終わった場合、第3章の日常パートで、学食でのかき氷タイムを楽しむことが出来ます。
【POW】【SPD】【WIZ】に書いてあること以外にも、やりたいこと、思いついたことなどがありましたらお好きに楽しんでみてください。
1章は戦闘に関しては倒すと一言書いて頂ければ倒しますので、蜜ぷにとお好きに遊んで下さい。
第3章ではお声がけを頂いた場合のみ、蒼汰がご一緒させて頂きます。
ご一緒される方がいらっしゃる場合は【お相手の名前(ニックネーム可)とID】もしくは【グループ名】をご記載下さい。
シナリオの進行状況、及びプレイングの受付タイミングなどにつきましては、個人ページにて随時ご案内させて頂きますので、ご確認頂ければ幸いです。
なお、スケジュールの都合上、1章及び2章に関しましては状況を見つつごく短期間で受付を終了する場合があります。ご参加いただく人数によってはプレイングに問題がなくともお返しする可能性がありますので、予めご了承下さい。
以上となります。どうぞ宜しくお願い致します。
第1章 集団戦
『蜜ぷに』
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POW : イザ、ボクラノラクエンヘ!
戦闘用の、自身と同じ強さの【勇者ぷに 】と【戦士ぷに】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
SPD : ボクダッテヤレルプニ
【賢者ぷに 】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
WIZ : ミンナキテクレタプニ
レベル×1体の、【額 】に1と刻印された戦闘用【友情パワーぷに】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
👑11
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ニア・リュシドール
蜜ぷに。聞いたことはあるけれど、実物を見るの初めて。
こんなに可愛らしい見た目なんですね!
透明感があってカラフルで…なんだかゼリーみたい。
触ったりしても大丈夫なら、近くにいる蜜ぷにを触って。
わぁ、名前と見た目通りほんとぷにぷに…!
こんなに可愛いのに倒さないといけないなんて…
戯れながら少し悲しい気持ちになりつつ。
お仕事なので、存分に遊んだあと倒します。
数が多いみたいなので、【鈴蘭の嵐】でさくっと。
蜜ぷにさん、ごめんね。
あなた達からとれた蜜、大切に使うね。
まだ知らない蜜の味にわくわくしながら、大事な蜜をボトルに保存します。
◇アドリブ、連携等歓迎です
蜜ぷにという災魔がいると聞いたことはあるけれど、実物を見るのは初めてで。
「こんなに可愛らしい見た目なんですね!」
ニア・リュシドール(Amnesia・f18530)はセレスタイトにも似た空色の瞳を輝かせながら、ぷにぷに跳ねてやってくる蜜ぷに達をひたすらに見つめていた。
「透明感があってカラフルで……なんだかゼリーみたい。……さ、触っても大丈夫……?」
「ぷにー! まさか、楽園の門番ぷにかー!? みんな、やっつけるぷにー!」
「えっ、わっ、確かにそう……? かもしれないけど……わぁ、」
ぷにぷに言いながら蜜ぷにの一匹がニアへあたっく! だが、こちらは痛くも何ともない。
「ぷにー!」
「わぁ、名前と見た目通りほんとぷにぷに……!」
結果的に飛び込んできた蜜ぷにを抱っこする形になったが、ひんやりした感触は、まさに暑い夏にはちょうどよいくらいだ。
「おまえ抱っこ上手だぷにー! 実はいいやつぷにか……? でもでもだまされないぷにー! はーなーすーぷにー!!」
「あっ、うん、ごめんね!」
ニアの腕から(そんなに強く抱っこしているわけでもないが)逃れようともごもごする蜜ぷにを離してやると、仲間のぷに達が案じるようにぷにぷにしながら集まってくる。
色もオレンジから緑、青、紫と様々な色の蜜ぷにがいて、ふわり漂う花の香りも心地よく、見ているだけでも楽しい気持ちになってくる――のに。
(「こんなに可愛いのに倒さないといけないなんて……」)
蜜ぷに達と戯れながら、ニアは何だか切ないような、悲しいような。そんな気持ちになりつつも。
転校生としての“お仕事”をしっかりとこなすため、心ゆくまで遊んだ後に、手にした杖を一振り。
すると、精霊の力を宿した杖が無数の鈴蘭の花弁へと姿を変え、蜜ぷに達を一息に飲み込んだ。
「……蜜ぷにさん、ごめんね」
それはニアの心からの言葉。蜜ぷにのような愛らしい存在であっても、災魔ならば為すべきことは一つしかないのだから。
そうして、蜜ぷにの姿が消えた後に残るのは噂の花の蜜。
「あなた達から採れた蜜、大切に使うね」
まだ知らない蜜の味にわくわくしながら、ニアは大事な蜜を持ち込んだボトルにしっかりと回収、保存するのだった。
大成功
🔵🔵🔵
黒鵺・瑞樹
共闘・アドリブ可
毎日暑いな。流行りこういう時はかき氷だと思う。ほんとそう思う。
ダンジョン内は多少暑さがマシだといいなぁ…。
右手に刀、左手にナイフ(本体)の二刀流。
【暗殺】を乗せたUC剣刃一閃で確実に一体ずつ倒していく。
本体が傷つくと消えるというなら、対応して出された勇者と戦士は避けて、本体狙いで攻撃。
相手からの攻撃は【第六感】【見切り】で回避。
回避しきれなかったらナイフで【盾受け】して受け流し、【カウンター】をたたきこむ。
「毎日暑いな。流行りこういう時はかき氷だと思う。ほんとそう思う」
ダンジョン内は多少暑さがマシだといいなぁ――そんな淡い希望を抱きながら足を踏み入れた黒鵺・瑞樹(辰星月影写す・f17491)だったが、近くにあるという氷室から冷えた空気が漏れているのか、思っていたほど暑くはなかった。
「ぷにー! 何奴ぷにかー!」
「これが蜜ぷにか……とりあえず倒させてもらうぜ」
瑞樹は右手に刀、左手に本体の刃が黒い大振りなナイフの二刀流で。
二振りの刃で確実に一体ずつ蜜ぷに達を倒していく。
「ぷにー!? こいつ強いぷにー!」
「けど、ぷに達は楽園を目指さなければならないぷに! いざ、ぼくらの楽園へ! ぷにー!」
蜜ぷに達が呼び出すのは勇者と戦士のぷに達。だが勇者ぷにも戦士ぷにも、召喚によって戦えなくなった本体ぷにが傷を受けると解除されるものだという。
ゆえに瑞樹は勇者ぷににも戦士ぷに構うことなく本体ぷにを狙って攻撃を加え、ぷに達の攻撃を第六感で見切って回避しながら、カウンターを叩き込みつつ着実に数を減らしていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
吾條・紗
…これもオブリビオンなんだ?
アルダワへ訪れたのは初めてで
ぷにぷにしながら歌って?いる可愛い生き物をまじまじ見つめる
倒さなければならない
美味しい蜜が採れる
――まぁ、それはそれとして
折角だし、ちょっと遊ぼっか
構えのない気軽い笑顔でティン・ホイッスルを取り出し、
足で拍子を取りながらの楽器演奏
自然と身体が動いてしまうような
軽快な舞踊音楽を彼等にプレゼント
ご機嫌にひと踊りしたら、ちゃんとお仕事するな
…大丈夫
痛いの解らないように、一瞬で終わらせる
「ぷーにー♪ ぷにーににーっぷにっ♪」
「ぷーにっ、ぷーにぷににー♪」
「……へぇ、これもオブリビオンなんだ?」
アルダワの地へ初めて訪れた吾條・紗(溢れ仔・f04043)には、ある意味、橄欖石の瞳に映るもの全てが珍しく。
ぷにぷにしながらぷにぷにと歌って(?)いる色鮮やかな可愛い生き物を、まじまじと見つめていた。
このアルダワの地では、災魔と呼ばれているオブリビオンの一種――蜜ぷに。
オブリビオンである以上、どれだけ可愛い姿をしていても倒さなければならない。
その代わり、この蜜ぷにからは、とてもとても美味しい蜜が採れるらしい。
「――まぁ、それはそれとして。折角だし、ちょっと遊ぼっか」
何しろあんなに楽しそうに歌っているのだし、このままただお別れというのも、何だか寂しい気がして。
構えのない気軽い笑顔でティン・ホイッスルを取り出した紗は、足で拍子を取りながら笛に息を吹き込んで、軽快な舞踊音楽を蜜ぷに達にプレゼント。
「ぷにっ? 楽しそうなお歌ぷにー!」
紗が奏でる音色に、蜜ぷに達の動きが止まる。紗を見つめる蜜ぷに達の瞳は何だかきらきらと輝き始めて、自然と身体が音色に合わせて動き出した。
「ぷにっ♪ ぷににー♪」
「ぷっぷにー♪ ぷにーぷににー♪」
心地良いリズムを刻む音色に、思わず蜜ぷに達はどこを目指していたのかも忘れ、演者の紗を囲む輪になって踊り始める。
「ぷにっぷぷにぷにー♪ ぷっぷにー♪」
今だけは敵も味方もなく、ご機嫌に、楽しませてあげるのはきっと、悪くないはずだ。
(「可愛いんだけど、倒さなきゃいけない、か……」)
そう、楽しい時間は長くは続かない。
どんなに楽しくても、蜜ぷに達が可愛くても、猟兵と災魔――オブリビオンである以上、いつかは、別れの時がやってくる。
紗は覚悟を決めて、笛を吹くのをやめた。一瞬にしてしん、と静まり返った空間に、蜜ぷに達が不思議そうにキョロキョロと。
「……大丈夫。痛いのが解らないように、一瞬で終わらせるから」
――刹那、糸杉の柄を持つ短剣の、漆黒の刃が冷たく輝いた。
煌めきは一閃、獣人化して身軽になった身体で紗は加速しながら蜜ぷに達の間を疾風の如くに駆け抜ける。
そうして、短剣が鞘に収まる頃には――蜜ぷに達は其の場に蜜を残し、全てが消えていた。
大成功
🔵🔵🔵
吉備・狐珀
見た目があまりにも可愛らしいので倒すのは少し抵抗あるけれど、取れる蜜も気になる複雑な気持ちですね。
集団ということなでこちらもそれに対応した攻撃を。
UC【破邪顕正】で蜜ぷににどんどん攻撃します。
かき氷も気になりますがシロップって持って帰ってもいいのかな?
これだけ色々な味の蜜がとれるなら持ち帰ってお菓子作ってみたいな。
依頼が解決したら関係者の方に聞いてみようかな。
「ぷにー!」
「ぷにっ、ぷにぷにー!」
ぷにぷに跳ねて現れる蜜ぷに達。あまりにも可愛らしい見た目を持つ彼らを倒すことには少し抵抗があるけれど、一方で彼らから採れるという花蜜が気になるのも事実。
吉備・狐珀(ヤドリガミの人形遣い・f17210)は複雑な気持ちになりながらも、蜜ぷに達を倒すべく破邪顕正を唱える。
一二三四五六七八九十 布留部 由良由良止 布留部 霊の祓――。
狐珀の藍色の瞳が蜜ぷに達を捉えると同時、破邪の力をもつ御神矢が一斉に放たれて蜜ぷに達を貫いた。
「ぷにーーーっ!?」
集団と言えどそれを超える矢に襲われてしまえばひとたまりもなく、蜜ぷに達は鳴き声のような断末魔を残してあっという間に消えていく。
(「これだけ色々な味の蜜が採れるなら、持ち帰ってお菓子を作ってみたいな」)
存外呆気なく終わった戦いに、とりあえず残った蜜を回収しながら狐珀はふと思案顔。
「かき氷も気になりますが、シロップって持って帰ってもいいのかな?」
おそらく学園の購買で普通に売られているような気もしないでもないが、学食秘蔵のシロップである可能性も否定できない。
この依頼が無事に解決したら、関係者の人に聞いてみようかな――狐珀はそう思いながら、蜜集めに勤しむのだった。
大成功
🔵🔵🔵
泉宮・瑠碧
蜜ぷには幾度か会ってはいるが
優しくて良い子…ぷにも多くて
僕は好きだな
なので…
倒さねばならなくても
あまり可哀想な目や痛い思いをさせたくは無い…
ぷに達の楽し気な歌を暫し聴いてから
蜜ぷに達に触っても良いかを訊き
そっと、いいこいいこと撫でよう
君達は歌も上手だな
聴いているとこちらまで楽しい気持ちになる
そして近くに居るぷに達へ子守唄を
楽園に向かおうと頑張って疲れたよね
お休みしよう
そんな気持ちを込めて
楽園に行きたいのか…
唄の中に青空や夜空、吹き抜ける風に花咲く草原
そんな様子を織り交ぜて
蜜ぷに達が望む楽園に辿り着いて、遊んでいる夢を願いつつ
永遠揺篭で穏やかに眠れます様に…
貰えるなら花蜜を小瓶へ
…おやすみなさい
蜜ぷにとの邂逅はこれが初めてではないけれど、優しくて良い子――ならぬ良いぷにも多いから好きだと泉宮・瑠碧(月白・f04280)は思っていた。
「ぷににー♪ ぷーにっぷにー♪」
現に、今目の前にいる蜜ぷに達も、楽しそうに歌い踊って……跳ねている。
これが災魔でさえなければ、共に同じ時間を過ごすことだって、決して不可能ではないだろうと思わせてくれるような、優しい光景だ。
(「倒さねばならなくても、あまり可哀想な目や痛い思いをさせたくは無いな……」)
瑠碧は悲しげに眉を下げ、けれど、ぷに達の楽しげな歌声を聞けば、その表情を和らげて。
「ぷーににっぷにー♪ ぷににーぷにっぷにっ♪」
「ぷにぷぷにぷにー♪ ぷぷにーっ♪」
暫しその歌声に耳を傾けてから、瑠碧は思い切って彼らに訊ねた。
「その……、触っても良いだろうか」
「ぷに? ぷに達にぷに?」
そんなことを訊かれるとは思っていなかったのか、蜜ぷに達が少し驚いたようにぷにっと跳ねる。
「そうだ、……駄目、だろうか?」
「もちろん! 構わないぷによ!」
「……ありがとう、いいこ、いいこ」
瑠碧はほっと安堵の息をつき、そっと手を伸ばすと、蜜ぷに達を優しく撫でる。
「いいこぷにか? えへへ、うれしいぷにねえ~」
「ああ、それに君達は歌も上手だな。聴いているとこちらまで楽しい気持ちになる」
いつしか、瑠碧もまた、優しい子守唄を口ずさんでいた。
ここではないどこか。迷宮の外にあるかもしれない楽園を目指し、地上を目指していた蜜ぷに達。
(「楽園に向かおうと頑張って疲れたよね。……お休みしよう」)
そんな気持ちを込めながら、瑠碧は彼らを寝かしつけるように歌い続ける。
蜜ぷに達が災魔である以上、この迷宮の外へ出してやることは出来ない。だから、唄の中に青空や夜空、吹き抜ける風に花咲く草原――そんな光景を織り交ぜて、せめて彼らが望む楽園に辿り着き、楽しく遊んでいる夢を願いつつ、瑠碧は姿無き眠りの精霊の力を求めた。
「……おやすみなさい」
オブリビオンの存在さえ揺るがす眠りの粉が、穏やかに眠りについた蜜ぷに達をさらに永遠の夢へと連れて行く。
それは一時の出逢いと、別れ。ただそれだけのことなのに、瑠碧の胸裡には一抹の寂しさが去来する。
後に残された花蜜が、素敵な夢を見せてくれた瑠碧へのささやかなお礼のように見えたのは――きっと、気のせいではないだろう。
大成功
🔵🔵🔵
深護・刹那
「蜜ぷにと聞いて!」
わたくし、ダッシュで参上ですわ!
ではでは、不肖、深護・刹那、参ります♪
蜜ぷに、それは魅惑の存在。
過去何度か戦いました(というか蜜集めしてた)が
なんでこの子オブリビオンですの?
いつまでもつんつんぷにぷにしていたいのに!
この!愛らしい!ぷにをつんつんしてたいのですわ!
しかしわたくしは猟兵、蜜ぷにはオブリビオン。
相容れないのはわかっています。
ならば、せめて蜜だけでも!
『からくり仕掛けのセツナ』にて賢者ぷにと戦いますわよー。
さあ、どちらの繰りが上か、勝負ですわ。
☆蜜ぷに大好きすぎて、見かけると変なスイッチが入るのでキャラ崩壊レベルでアドリブOKです
連携・絡みも歓迎
「蜜ぷにと聞いて! 不肖、深護・刹那、参ります♪」
「ぷにー!」
ダッシュで駆けつけた深護・刹那(花誘う蝶・f03199)は、ずらりと並ぶ蜜ぷにの群れに思わずほう、と溜め息ひとつ。
「ぷにっ、ぷにぷにーぷにっ♪」
いつ見ても楽しそうな彼らはとてもカラフルで愛らしく、おまけに花の良い香りが漂う――魅惑の存在。
過去何度か遭遇し、戦った――というよりは蜜を集めた経験があるが、その度に刹那が思うことはいつも同じ。
(「なんでこの子達はオブリビオンですの?」)
「ぷに、ぷにぷにー!」
いつまでもつんつんぷにぷにしていたいのに、悲しいかな、対して強くない蜜ぷに達はちょっと力を込めると呆気なく蜜を残して消えてしまうのである――。
「この! 愛らしい! ぷにをつんつんしてたいのですわ!」
おそらく、普段の刹那を知る者からすれば、蜜ぷにを前にした彼女からはどこか違う雰囲気を感じていることだろう。
だが、それも仕方のないこと。刹那は蜜ぷにが大好きすぎるがゆえに、見掛けただけで“スイッチ”が入ってしまうのだ。
「どうしてわたくし達はわかり合えませんの……お持ち帰りてぎゅっとしていつまでも見つめていたいですのに……」
だが、刹那が猟兵であり、蜜ぷに達が災魔――オブリビオンである以上、それは決して叶わぬことであり、両者の存在は相容れない。
刹那も、それをよく理解している。ならばせめて蜜だけでもと、刹那は人形遣いを召喚し、自身がからくり仕掛けのセツナとなることで、蜜ぷに達を操る賢者ぷにと対峙する。
「ボクだってやれるぷにー!」
「わたくしだって負けませんことよ! ――さあ、どちらの繰りが上か、勝負ですわ!」
――やがて。
「戦いとは、かくも虚しいものなのですね……」
花蜜を残して消えた蜜ぷに達。どちらが勝ったのか、それは明白だ。
刹那は悲しげに零すと、せめてもの手向けにと、蜜を集め始めるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ラナ・スピラエア
あれが噂の蜜ぷにさん…!
お話に聞いたり、蜜を頂いたりしたことはあるけど
実際にお会いするのは初めてです
蜜ぷにさん、こんにちは
ふふ、噂通り可愛いですね
ぷにぷにって聞いたんですけど…触っても良いですか?
許可が貰えたらそっと触れてみましょう
わあ…!本当にぷにぷにで、不思議な感触!
鮮やかな色が綺麗で
赤やピンクが好きだけれど
青や緑も心地良いのは夏だからかな
お花の香りには癒されて、ずっと一緒にいたいって思うくらい
そんな願いが叶えば良いのに…
最後は心を鬼にしてぽかっと
蜜はしっかり頂いて、後でかき氷と一緒に頂きましょう
もしも少し持って帰れたら
家でのお菓子作りにも使えるかな
色んな人に、花蜜を味わって貰いたいので!
「ぷにっぷにーにっ♪ ぷににっ♪ ぷにっぷーに♪」
「あれが、噂の蜜ぷにさん……!」
ラナ・スピラエア(苺色の魔法・f06644)の苺色の瞳は、いつにも増してきらきらと煌めいていた。
話に聞いたり、蜜を貰ったりしたことはあるけれど――蜜ぷにと実際に逢うのはラナにはこれが初めてだ。
「蜜ぷにさん、こんにちは。ふふ、噂通り可愛いですね」
可愛いの言葉に思いっきり反応した蜜ぷに達が、ラナに興味を示し集まってくる。
「ぷにっ? ぷに達の可愛さに気づくとはやるぷにね!」
ぷにぷにと跳ねる蜜ぷに達の姿に、ラナは思わず微笑みながら、視線の高さを合わせるようにして、
「ぷにぷにって聞いたんですけど……あのっ、触っても良いですか?」
「ぷにはぷにぷにぷに! どうしてもって言うなら触ってもいいぷによ!」
蜜ぷにも満更ではなさそうな表情で、許可が貰えたことにほっとしつつ、ラナはそっと手を伸ばす。
「わあ……! 本当にぷにぷにで、不思議な感触!」
それはいわゆるスライムのそれで間違いないのだが、弾力があり、表面は滑らかで、まるでクッションのようにも思える。
鮮やかな色合いはとても綺麗で、ラナ自身は赤やピンクが好きだけれど、青や緑も心地良く感じられるのは、やはり――夏だからだろうか。
蜜ぷに達が纏う花の香りにも癒されて、ずっと一緒にいたいと思ってしまうほど。
(「そんな願いが叶えば良いのに……」)
けれど、その願いが叶わないことを、ラナは知っている。
「ごめんなさいっ」
最後は心を鬼にして、ぽかっと。
そうして後に残った蜜は、かき氷と一緒に食べてもなお十分に余るくらいの量だ。
「これだけあれば、お菓子作りにも使えるかな……?」
持参した硝子の容器の中で揺れる蜜を眺めながら、ラナは先程の蜜ぷに達と、たくさんの人達の顔を思い浮かべる。
色んな人に、この花蜜を味わってもらいたい。それが、きっと蜜ぷに達への手向けにもなると思うから。
大成功
🔵🔵🔵
ソラスティベル・グラスラン
お久しぶりです蜜ぷにさん!我が宿敵!
くぅぅっ……、可愛い!愛らしすぎますー!
何を隠そう彼らの蜜はわたしの【勇気】と元気の源
ですが蜜の入手は困難極まる
こ、今回も蜜を分けて頂きますよぉ…!大斧を持つ手に渾身の力を籠めます!
ぷにっ、と一撃貰う
あう、と膝をつく
小動物的な弱さ、可愛らしさと健気さ
勇者のプライドを容易く砕く彼らは、正に宿敵
楽園(地上)で共に暮らせたらなんと素晴らしい…
……しかし、それだけは出来ません
先人が築いてきた平和を、勇者を志すわたしが崩すわけには…!
むうぅぅー!勇気と気合全開の、【勇者理論】!!
拳でぷにゅっと叩き倒します!えい!
うう、蜜ぷにさんごめんなさい……蜜は美味しく頂きますっ
「お久しぶりです蜜ぷにさん! 我が宿敵!」
ソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)の晴れやかな声が迷宮に響く。
「ぷにっ! 宿敵ぷに? ならここで会ったが何とやらぷにー!」
「くぅぅっ……、可愛い! 愛らしすぎますー!」
何を隠そう、蜜ぷに達の蜜はソラスティベルの勇気と元気の源。それを知ってか知らずか、蜜ぷに達も宿敵たる彼女を前に闘志をぷにぷにと燃やしているようだ。
――彼らを倒さなければ、花蜜は手に入らない。
だが、蜜ぷに達の愛らしい姿、その振る舞い、寧ろ存在自体がソラスティベルの心に様々な迷いを生じさせる。
ゆえにソラスティベルにとっては、蜜を入手することさえ色々な意味で困難極まるのだが――。
ですが、とソラスティベルはぐっと蒼空色の大斧を持つ手に渾身の力を籠め、蜜ぷに達を力強く見やった。
「わたしは絶対に負けません! こ、今回も蜜を分けて頂きますよぉ……!」
「ぷにっ!」
「あうっ!」
蜜ぷに達の渾身の体当たりに、ソラスティベルは大斧を取り落としその場に膝をつく。
「こいつ、弱いぷに!」
「宿敵? ならこれくらいでやられるなぷにー!」
――何故か蜜ぷに達に応援されつつ、ソラスティベルは何とか立ち上がった。
小動物的な弱さと可愛らしさ、そして健気さを併せ持つ蜜ぷに達。
勇者のプライドを容易く砕く彼らは、ソラスティベルにとっては正に宿敵と呼ぶに相応しい存在だった。
楽園(地上)で共に暮らすことが叶うなら、それはきっと――言葉にできないくらい、素敵で優しいことに違いない。
「……しかし、それだけは出来ません。先人が築いてきた平和を、勇者を志すわたしが崩すわけには……!」
そう、今目の前にいる彼らは、迷宮に棲まう“災魔”。どれほど願おうと、望もうと、共に歩むことは決して叶わない存在なのだ。
ソラスティベルはそれをよく理解している。けれどほんの少し、希望を抱くくらいは許されるだろう。
「むうぅぅー! 勇気で攻め! 気合で守り! 根性で進む! ――えい!」
勇気と気合全開の勇者理論で自身を強化し、ソラスティベルは拳でぷにゅっと蜜ぷに達を叩いて倒していく。
「くっ、こいつ、やっぱり強いぷに……!」
「な、なかなかやるぷにね……!」
叩かれればあっさりと、蜜を残して消えていく蜜ぷに達。
ちくちくと胸が、心が痛む気がするが、これも学園の平和のため。ソラスティベルは勇気を再び奮い立たせ、残る蜜ぷに達へと向かっていく。
「うう、蜜ぷにさんごめんなさい……蜜は美味しく頂きますっ!」
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『『慈悲なき』ニドアーズ』
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POW : 冬の暴風
【氷のブレス】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD : 石の記憶
対象のユーベルコードを防御すると、それを【頭部の宝石に吸収し】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
WIZ : 凍てついた魂達凍てついた
【かつて使役した下僕たちかつ】の霊を召喚する。これは【槍】や【炎】で攻撃する能力を持つ。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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かくして、それぞれに蜜ぷに達との邂逅――出逢いと別れを経た猟兵達の胸中には、きっと様々な想いが満ちていたことだろう。
だが、それを振り返ったり惜しんだりする間もなく、迷宮の奥から凶悪な気配が近づいてきているのがわかった。
やがて、猟兵達の目の前に現れたのは――“竜”だった。身体や頭部に宝石が埋め込まれた、灰青色の竜。
――それは暴竜、『慈悲なき』ニドアーズ。かつて遥か北方の地にて斃された冷酷なドラゴンが、災魔として蘇った存在だ。
氷を纏うブレスは図らずも今の時期ならば涼しそうではあるが、まともに食らってはたまったものではない。
だが、相手は一体だ。こちらが油断をすることさえなければ、決して倒せない相手ではないだろう。
「グオオオオ……ッ!!」
行く手を阻む猟兵達の存在に気づいたニドアーズが、咆哮を上げた。
ニア・リュシドール
蜜ぷにさんの時とは大違いで、とても強そう…油断は禁物ですね
竜も蜜ぷに同様、見るのは初めてで
初めてだからこそ、気を引き締めていきます
範囲攻撃を使うようなので
なるべくその範囲内に入らないように
魔法【属性攻撃:炎】で攻撃
【第六感】で技を避けたり、
【オーラ防御】【激痛耐性】で攻撃を受けてもダメージを軽減できれば
氷を使うなら。炎は苦手かな?
【高速詠唱】して〈エレメンタル・ファンタジア〉を【全力魔法】で
氷の息吹に対抗して、こちらは炎の竜巻を
…あまり、制御が効かないので
巻き込まれないよう、ご注意を
◇アドリブ、連携等歓迎です
ナイ・デス
【ソラ(f05892)】と合流です
ソラに
蜜ぷにさんと、ドラゴンさんを倒せばアイスタイム、と教えられて、きましたが……
蜜ぷにさんとの戦いには、私、間に合わなかった、ですね(苦笑)
でも、ソラのピンチには、間に合いました!
強敵相手、力を合わせましょう!
【動物と話す】にゃーん!と呼びかけ、精霊さん達に、お願いします
強化技なので、防御され吸収は、ないでしょう
もし借用されても、代償があるので、隙を晒してくれるか、にゃ
と。猫精霊さんの加護を、私と、ソラと、いれば他の仲間にも!
【オーラ防御】や【かばう】
背を【吹き飛ばし】もとい押すなど、猫さん達してもらい
【鎧無視の暗殺】剣刺して【生命力吸収】
隙を、つくります!
ソラスティベル・グラスラン
【ナイくん(f05892)】と合流!
【盾受け・オーラ防御】で守りを固め、
ブレスを【見切り】で前兆を見定め回避します
ですが、なかなか攻撃に移れませんっ!
くぅっ……折角甘美なお宝を手に入れたというのに
たぷんと揺れる蜜を守りながらは、少々厳しいです!
勇者として退くわけにもいきませんっ、一体どうしたら…
その時急に漲る力と可愛らしい鳴き声
こ、この猫さんたちは!
ふふふ…遅かったですね!ナイくーんっ!!
来てくれた信頼する相棒に湧き起つ【勇気】!
もはや恐れなど無し!ナイくんの作る隙目がけて飛び込み、渾身の一撃を
バチバチと激しく迸る蒼雷の斧を掲げ―――
ナイくんとの素敵なフラッペタイムの為に、貴方を討ちますッ!!
黒鵺・瑞樹
つくづくドラゴンっていろんな形でいるんだな。
この間A&Wで見たのはハナカマキリみたいのだったけど、今回は四つ足タイプなのか。
でもこれが終わったかき氷だし頑張ろう。
右手の刀と、左手のナイフの二刀流。
基本【存在感】を消して【目立たない】ように移動、【鎧無視攻撃】【暗殺】のUC菊花で攻撃。代償は【覚悟】の己の寿命。
相手からの攻撃は【第六感】【見切り】で回避。
回避しきれなかったらナイフで【盾受け】もしくは【武器受け】で受け流し、【カウンター】をたたきこむ。
回避しきれなかったらとっさに【オーラ防御】し、【激痛耐性】で耐える。
吉備・狐珀
氷を操る私は【氷結耐性】があるので、氷のブレスはそこまで脅威ではないけれど…。
でも、受けないにこしたことはないですね。
UC【破邪顕正】を使用。
少し離れた所から【一斉発射】し、ブレスを使う隙を与えないようにします。
距離を詰められないように注意しつつドラゴンに攻撃。
もし距離を詰められたときは【零距離射撃】で攻撃の手を休めないようにし、御神矢がドラゴンを攻撃している間に再度距離をとります。
※アドリブ等歓迎です
吾條・紗
猛る竜の頭部に光る石を見て、思わず呟く
…あれ、宝飾品の修理に使えねぇかなぁ?
採れる素材は採りたくなるのが修理屋の性だが
あぁ、
今はそれどころじゃないんだっけ
のんびり口調で得物を二挺の銃に変え、十秒集中
なるべく敵の注意が他の人へ行ってる隙を狙うけど
集中してる間に多少攻撃食らうのは仕方無いと割り切る
良いよ、別に
痛いのも血が出んのも、生きてる証だ
負った傷もどこ吹く風と笑みを浮かべて両手を構え
奔星で頭の宝石を狙い部位破壊を試みる
勿体ないけどまぁ、しょうがない
厄介なのは潰しとかないと、あとでめんどいし
出てくるタイミングが悪かったって、諦めな
※アドリブ、絡み歓迎
泉宮・瑠碧
竜は僕の世界にも居たからな
…倒す事に慣れる訳では、無いけれど
僕は弓で協奏流舞
攻守に第六感を研ぎ澄まし
主に額の宝石をスナイパーで狙う
射った水の矢に追従する様に水の精霊の加護で水矢を増やし
風の精霊で矢の軌道を変え
死角になる様に続け様に撃ち込んでいく
吸収されるなら
水の矢と風での変化だろう
同様の精霊に願って軌道を逸らしたり水を散らす
下僕が現れれば
破魔と冷気を纏って射た矢を分散させて範囲攻撃
氷のブレスへは向かい風で勢いを削ぎ
横からの風で巻き上げる
なるべく連続攻撃の中に組み込む様に
風の精霊が軌道を支えてくれるので走りながらでも射る
被弾への回避には見切り
回避不可で火炎・氷結耐性とオーラ防御
…どうか、安らかに
「我が王国の再建を阻まんとする者達よ、我が力によって滅ぼしてくれよう!」
――それはまさしく“竜”であった。
宝石を抱く灰青色の暴竜、『慈悲なき』ニドアーズ。獲物たる猟兵達を見やる瞳はぎらりと鋭い色を灯し、今にも喰らいついてきそうな鋭い牙が口の隙間から覗いている。
「蜜ぷにさんの時とは大違いで、とても強そう……油断は禁物ですね」
ニア・リュシドールはその大きさに、放たれる殺気に、思わず息を呑む。
災魔の竜も蜜ぷに同様、ニアにとっては初めて見る存在。だからこそ決して気を引き締めることなく、空色の瞳を曇りなき闘志で彩り竜を見る。
こちらの手によっては範囲攻撃を使う可能性が高いニドアーズへ、まだ猟兵としての経験も浅いニアは不用意に近づくことはせず。
冬の暴風――凍てつく風を操るニドアーズに対し、氷を溶かす鮮やかな炎で攻撃を試みる。
『慈悲なき』ニドアーズ――その攻撃は苛烈なものだった。
オーラを纏わせた盾で守りを固め、冬の暴風の前兆を見定め回避を試みる――致命傷こそ免れていたが、ソラスティベル・グラスランはまるで攻撃に移る隙がなく、防戦一方を強いられていた。
「くぅっ……折角甘美なお宝を手に入れたというのに……!」
先程蜜ぷにからたっぷりと得た、ソラスティベルの勇気と元気の源である花蜜。容器の中で揺れるそれらを守りながら前に出て戦うのは、歴戦の彼女とて少々厳しい。
「ですが勇者として退くわけにもいきませんっ、一体どうしたら……」
――その時、駆けつけたナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)の赤い瞳が、勇ましく戦うソラスティベルの背を捉える。
(「ソラに、蜜ぷにさんと、ドラゴンさんを倒せばアイスタイム、と教えられて、きましたが……」)
残念ながら、蜜ぷに達との戦いには間に合わなかった。だが、大切なパートナーであるソラ――ソラスティベルの危機には、どうやら間に合ったようだ。
「ソラ!」
「その声は……! ナイくん!!」
ナイはこちらへ振り返った彼女の声に頷くと、早速「にゃーん!」と精霊達に呼びかけて、その力を借り受ける。
猫の姿をした精霊達は、ソラスティベルやナイだけでなく、共に戦う仲間達へも注がれて、各々の守りの力を強化した。
「ふふふ……遅かったですね! ナイくーんっ!! 猫さん達も、ありがとうございます!!」
可愛らしい猫の鳴き声と、傍に来てくれた“相棒”の姿に、ソラスティベルの心に勇気が湧き起ち、力が漲る。
ニドアーズはすかさず首を擡げ、頭部に輝く宝石に猫精霊の一体を強引に吸い込み、己の力としようとした――が、
「オブリビオン、に……私の力は、使わせません、よ……?」
「――グアアッ!?」
この力を揮うには、“代償”がある。それに気づかぬまま行使したニドアーズは、己を蝕む呪縛にのたうち回る。
「……つくづくドラゴンっていろんな形でいるんだな。この間アックス&ウィザーズで見たのはハナカマキリみたいのだったけど、今回は四つ足タイプなのか」
先日、別世界で遭遇した別の竜を思い返しながら、黒鵺・瑞樹は右手に打刀、そして左手に黒いナイフを構える。
(「でも、これが終わったかき氷だし頑張ろう」)
瑞樹は己の存在感を消し、影のように空気のように息を潜めながらニドアーズとの距離を詰める。
「――はっ!」
そうして青い瞳を輝かせ、瑞樹は己の寿命を代償にニドアーズへと攻撃を仕掛け、防御する間も与えず攻め立てた。
連続で素早く繰り出される不可視の斬撃、竜の鱗はそれなりに硬いが手応えは十分。守りを容易く打ち砕き的確に急所を突いてくる攻撃に、忽ちの内に翻弄されるニドアーズ。
ニドアーズは巨体を大きく揺らがせながらも、ただやられるだけではないとばかりに鋭い爪で切り裂こうとしてくる。
それを瑞樹は研ぎ澄まされた第六感で難なく回避し、ナイフによるカウンターの一撃を叩き込んだ。
一二三四五六七八九十 布留部 由良由良止 布留部 霊の祓――。
吉備・狐珀の凛とした声が響き、破邪の力を持つ御神矢の雨が一斉にニドアーズへと降り注ぐ。
元より氷を操ることが出来る狐珀にとっては、ニドアーズが放つ氷のブレスはさしたる驚異ではない。
とはいえ、デウスエクスの攻撃など、驚異ではなくとも受けないに越したことはないだろう。
ゆえに、少し離れた所から、ブレスを吐き出す隙を与えぬよう狐珀は攻撃を重ねていた。
だが、ニドアーズは己に向けられる矢の雨が狐珀の手によるものだと気づき、咆哮を上げながら地を蹴った。
「――っ!」
一気に射程内へと距離を詰められ、吐き出された氷の息吹が狐珀を襲う。耐性だけでは凌ぎきれるものではなかったが、ナイが協力を呼びかけた精霊猫の守りが威力を軽減させてくれていた。それでも心まで凍りつくような感覚を覚えながら、狐珀は攻撃の手を緩めることはなく。
その時、死角から飛来した御神矢がニドアーズに突き刺さった。
「小賢しい真似を――ッ!」
身を彩るいくつかの宝石が砕ける音と、ニドアーズの喉奥から漏れる苦悶の声。僅かな隙を見出した狐珀は再度距離を取り、そして、更なる御神矢の雨を降らせるのだった。
泉宮・瑠碧の住む剣と魔法と竜の世界――アックス&ウィザーズにも、竜は存在している。ゆえに馴染みがあると言えばそうなのだけれど――。
(「……倒す事に慣れる訳では、無いけれど」)
それでも目の前にいるのが災魔であるならば、猟兵として倒さなければならない。
瑠碧は精霊の杖を更に弓へと変化させ、素早く水の矢を射った。更に追従するように水の精霊の加護で水矢を一気に増やし、風の精霊で矢の軌道を変えながら、ニドアーズの額の宝石を狙い連続して矢を打ち込んでいく。
だが、一度は当たった水の矢は、瞬く間に額の宝石に吸い込まれた。石に封じられた記憶から力を得た手応えにニドアーズは首を擡げると、瑠碧へ狙いを定め水と風の力を持つ矢が放たれる。
同じ技ならば対処も容易だ。しかも精霊との絆は瑠碧のほうが上であり、見せかけの術に負ける理由はなく――瑠碧は水と風の精霊に願い、自身を狙った矢の軌道を難なく逸らし、水を散らす。
瑠碧の水の矢を吸い、撃ち返した――猛る竜の頭部に光る石を見て、吾條・紗は思わずぽつりと。
「……あれ、宝飾品の修理に使えねぇかなぁ?」
仄かに好奇の色を帯びる、橄欖石の瞳。採れそうな素材が目の前にあったらつい採りたくなってしまうのは“修理屋”の性。けれど――、
「……あぁ、今はそれどころじゃないんだっけ」
その宝石の持ち主は、迷宮に数多蔓延る災魔の一種。およそ戦場にいるとは思えぬようなのんびりとした口調で呟くと、紗は得物とする蔓草文様が刻まれた黒い工具箱を二挺の銃へと変じさせ、そのまま、意識を集中させた。
次の瞬間、ニドアーズの瞳が紗を見た。
そして、槍を携えた竜の亡霊達が、一斉に紗へと襲い掛かる。
「――危ない!」
すぐさま瑠碧が放った破魔と冷気を帯びた矢が分散して亡霊の何体かを散らすが、倒しきれずに残った亡霊達が紗を槍で穿ち、炎を放った。
「大丈夫か……?」
「……ん、ありがと、」
瑠碧の案じる声にへらりと返る笑み。
たった十秒、されど十秒。
集中が途切れなかったのは幸いだった。
自ら敵の前に身を晒したようなものだからこそ多少の攻撃も仕方ないと割り切れたのは――痛いのも、血が出るのも、“生きている証”に他ならないから。
生きてさえいれば、あとはどうにでもなる。
負った傷もどこ吹く風と笑み浮かべ、紗は両手に持った銃を構えた。
「逃げなさんなよ、ほら――すぐそこだ」
引き金を引くのは同時。まるで彗星のように尾を引いて奔った二つの“星”が、先程瑠碧も狙ったニドアーズの頭部を飾る宝石へ吸い込まれるように消え、そして、今度は消えることなく爆ぜた。
ぱりん、と、硝子が割れたようなきらびやかな音が響いたかと思うと、宝石が粉々に砕け散っていた。
「勿体ないけどまぁ、しょうがない。これでこっちの技を盗むのはできなくなっただろ?」
厄介なのは潰しておくに限る――もっとも、ニドアーズの終焉、すなわち戦いの終わりも、そう遠くはないもののように感じられたけれど。
技を一つ封じられたニドアーズは、最後の抵抗とばかりに大きく息を吸い込んだ。
吐き出された凍てつく吐息から距離を置くように離れつつ再び銃を構えた紗の傍を、精霊の弓矢を手に瑠碧が駆けていく。紗とは対照的に、向かい風で勢いを削ぎ横からの風で巻き上げながら。風の精霊が軌道を支えてくれるのに任せ、瑠碧は駆けながらの攻撃を続ける。
「まぁ、色々と。出てくるタイミングが悪かったって、諦めな」
紗はゆるりと笑み浮かべ、再び、引き金を引いた。
(「……やっぱり、氷を使うなら。炎は苦手かな?」)
かつてニドアーズに使役されていたとされる、凍てつく御霊の群れが踊る。槍や炎による攻撃は、何度も喰らえば耐え切れないだろう。
紗と同じく瑠碧の破魔の水矢に助けられながらオーラや猫精霊の守りでそれを凌ぎつつ、ニアは一つ頷き、素早く詠唱の言葉を諳んじた。
「……あまり、制御が効かないので、巻き込まれないよう、ご注意を」
共に戦う同胞達へとそう告げて、全力で解き放つはエレメンタル・ファンタジア――氷の息吹に対抗して、こちらは炎の竜巻を。
冬を灼熱の夏に変えてしまいそうな炎に、紗は思わずひゅう、と口笛を鳴らした。
ごう、と立ち上った風が炎の渦を巻きながら、ニドアーズを燃やし――否、溶かし尽くさんと呑み込んでいく。
「――殲滅、します」
「グオオオオオッ……!」
暴走する炎の竜巻は勢いを増していく。ニアが導いた好機を逃さず、ナイはニドアーズの懐に。手袋から変じた黒剣を深く突き刺せば、竜の口から吐き出される苦悶の声。
「ソラ、今です!」
ナイの声にソラスティベルはしっかりと頷き、入れ替わるように力強く踏み込んだ。
「もはや恐れなど無し! ナイくんとの素敵なフラッペタイムの為に、貴方を討ちますッ!!
空を裂く閃光の如くバチバチと激しく迸る蒼雷の斧を掲げ、ソラスティベルは肺に満ちた空気を全て声に変えて叫ぶ。
「これぞ我が勇気の証明、来たる戦渦の最前線! 今こそ応えて、蒼雷の竜よ!!」
ソラスティベルが叩き込んだ渾身の蒼雷が、ニドアーズの喉元へ喰らいつく。
「グッ……我が王国の再興の夢は……いつの日か、必ずや!!」
「させません!」
ソラスティベルはそのまま斧を振り下ろし、竜の巨躯を斬り裂いた。
轟音と共に、ニドアーズがその場に崩れ落ちる。
「……どうか、安らかに」
瑠碧が静かに告げる。
ニドアーズの瞳からは光が消え失せ、竜の巨体はまるで骸の海に還るかのように、砂のように静かに崩れ、消えていった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『真夏の奇跡』
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POW : 氷を細かく削って食べる
SPD : 砕いた氷を飲み物に入れる
WIZ : 大きな氷を器に冷菓子を作る
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――かくして迷宮から逆侵攻を仕掛けてきた災魔の驚異は退けられた。
懸念されていた氷の部屋も無事で、扉を開ければひんやりとした世界に透き通った氷が所狭しと並んでいた。
学生達はそれらを魔法の力で四角く切り出し、魔法と蒸気を合わせた車に乗せて食堂へと運んでいく。
職員も、学生も、そして食堂のスタッフたちも待ち焦がれていた氷の到着に、歓声と転校生達への称賛の声が満ち溢れた。
「是非とも食べていって下さい! ふわふわで美味しいんですよ!」
「シロップも昔懐かしい? らしいやつから、何ていうんですっけ、ええと、ふぉとじぇにっくなやつ? とか、色々あるみたいですよ」
学生達が言うところには、かき氷は魔法の氷室で生成された純度の高い氷を削って作るためとてもふわふわなかき氷になるのだという。
シロップは異世界では定番らしいイチゴヤレモン、メロン、ブルーハワイ――などの他に、本物の果物をぎゅぎゅっと搾って作ったシロップなどもあるそうだ。
こちらは果物本来の香りが楽しめるシロップとなり、果肉たっぷりの苺ミルクや、マンゴー、キウイ。パッションフルーツや巨峰のかき氷などもあって、どれも本物のフルーツが乗っている。
あるいは抹茶のかき氷なら、バニラアイスや白玉、小豆餡などをトッピングしてみるのもいいだろう。
他にも色々探せば、いわゆるフォトジェニックなかき氷を出してくれることもあるはずだ。
要は好きな、あるいは気になるかき氷を探して食べていい――ということ。
迷宮で手に入れた花蜜の使い方はご自由に。もしかしたら想像以上の新しい味に出会えるかもしれない。
転校生さんには特別にお変わり自由。勿論、お腹や頭を冷やしすぎないようにと、温かい飲み物も用意されているのでその辺りは心配せず、存分にかき氷を楽しんで欲しい。
ソラスティベル・グラスラン
ナイ(f05727)と一緒
かき氷です!
とぷんと揺れる蜜ぷにさんの蜜が頼もしいっ
ふふふ、ナイくん食べ過ぎは……と、今日はいいですか
お姉さん許します!今日は甘いのいっぱい食べましょう!
蜜ぷにシロップに本物フルーツどっさり
んふーっ、冒険の後の一杯はすばらしですね!
そんな傍らでナイくんは
かき氷を食べて、皆さんを治療して
美味しくて、感謝されて
そんなナイくんの幸せループ
わたしには真似できないナイくんだけの幸せ
でも、あまり見せない活き活きとした笑顔は
隣で眺めるわたしも幸せな気分にさせてくれます……うふふっ
わ、ナイくんありがとうございます!一口いただきますね!
あら……なんだかさっきよりずっと美味しいですねえ♪
ナイ・デス
ソラ(f05892)と一緒
アイス、アイス、かき氷!
甘くて冷たい、美味しいデザート!大好き、です♪
しかも、おかわり、自由ですか!これは……お礼が、したくなる!
決めました。いっぱい食べる為と、美味しいかき氷のお礼に『生まれながらの光』で
職員も、学生も、探索に負傷はつきものでしょう
今日は私が、みんなみんな、癒します!生傷古傷禿状態異常などなど、全部!
そうして光って疲労して、かき氷を食べて疲労回復して、光って疲労して
全部の組み合わせを味わうほど、食べますにゃー!
自身の回復もしてるので、頭痛や寒気などはない、です!
と、食べて食べて
特別美味しい組み合わせは、ソラにも一口、どうぞです!
一緒に、食べましょー♪
「かき氷です! ナイくんかき氷ですよ!」
「アイス、アイス、かき氷! 甘くて冷たい、美味しいデザート!大好き、です♪」
きらきらと瞳を輝かせるソラスティベル・グラスランは、隣に座るナイ・デスににっこりと満面の笑みを向ける。
傍らでとぷんと揺れる蜜ぷにの蜜――ソラスティベルにとっての勇気と元気の源がとても頼もしく、何でもたくさん食べられるような心地になって。
「ふふふ、ナイくん食べ過ぎは……と、今日はいいですか。お姉さん許します! 今日は甘いのいっぱい食べましょう!
ふわふわ真っ白な氷が隠れてしまいそうなほどどっさり乗った本物のフルーツに蜜ぷにシロップをたっぷり掛けて、いざ!
「んふーっ、冒険の後の一杯はすばらしですね!」
フルーツの甘酸っぱさにひんやり溶けてゆく氷、そして何よりとろける花蜜の甘さはまさに至福の一時。落ちてしまいそうな頬を押さえつつ、さくさくと蜜ぷにフルーツ氷を食べながら、ソラスティベルはちらりと傍らのナイを見やった。
ナイもまたかき氷を――こちらは早速、色々な組み合わせを試しているようで。
「おかわり、自由ですか! これは……お礼が、したくなる! ――決めました!」
そうしてナイはすっくと立ち上がると、美味しいかき氷のお礼にと、“生まれながらの光”を。
日々災魔との戦いに明け暮れている、アルダワ魔法学園の人々。職員も学生も、探索に負傷はつきものだろうから。
「今日は私が、みんなみんな、癒します! 生傷古傷禿状態異常などなど、全部!」
「おお……ナイくんがいつになくぴかぴかと輝いています……!」
ソラスティベルが見守る先で、決意に溢れるナイは聖なる光で癒して疲労を重ね、けれどかき氷を食べてすぐに披露を回復させて、また光って疲労して――その、繰り返し。
「全部の組み合わせを味わうほど、食べますにゃー!」
かき氷を食べて、学園の皆を治療して、感謝されながら美味しいかき氷をまた食べての“幸せ”ループ。
――それは。
(「……わたしには真似できない、ナイくんだけの幸せ」)
治療を受けた人々の笑顔を見るナイは、とてもとても幸せそうで。
普段の彼があまり見せない活き活きとした笑顔に、ソラスティベルも心が幸せな気持ちで満たされていくのを感じ、思わず笑みを綻ばせる。
彼はこんな風に、たくさんの幸せをたくさんの人に与えられる、――優しい子。
「ソラ、この組み合わせは特別に美味しいのです! 一緒に、食べましょー♪」
戻ってきたナイがすっと差し出した器の中身は、普段ならば思いつかないような彩りに満ちていて。
「わ、ナイくんありがとうございます! 一口いただきますね!」
花蜜を掛けるのも忘れずに、ソラスティベルはナイのかき氷を、一口。
「あら……なんだかさっきよりずっと美味しいですねえ♪」
「ね、美味しいでしょー?」
視線を合わせれば、どちらからともなく零れる笑み。
美味しく感じられるのはかき氷の組み合わせだけでなく、きっと――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
黒鵺・瑞樹
アドリブ可
よし、一仕事終わったしかき氷だな。
色々シロップあるらしいが、甘いのは苦手なんで抹茶かなぁ。量も少なめでいいや。
花蜜は少しかけてみて様子見。何度も言うが甘いのは苦手なので。
あと頭が痛くなるのわかってるし。
食べたらあとは温かいお茶飲んでゆっくり過ごす。
…氷の持ち帰りは出来ないだろうか。
これで酒飲んだらうまそうだが。
「よし、一仕事終わったしかき氷だな」
様々な声で賑わう学食の片隅で、ふわふわの氷を前に黒鵺・瑞樹は一つ頷き。
用意された様々なシロップの中から瑞樹が選んだのは抹茶。
それでも甘いものが苦手な瑞樹は、抹茶のシロップであっても掛ける量自体は少なめに。
けれども、せっかく採ってきたのだからと花蜜をほんの少し追加して。
口の中に広がる程よい冷たさと仄かな花の香り、そしてほんの少しの蜜の甘さに、戦いの疲れも氷ごとあっという間に溶けてゆくような心地を感じながら――瑞樹は、何故か頭が痛くならないことに疑問符を浮かべつつも、天然の氷から作られた新鮮なかき氷を楽しんだ。
「うん、美味しかった。ご馳走様でした」
頭痛に襲われることなく食べ終わった瑞樹は温かいお茶を片手にゆっくりとした食後のひとときを。
心地よい喧騒に耳を傾けながら、瑞樹はふと目を瞬かせる。
(「……ところで、氷の持ち帰りは出来ないんだろうか」)
きっとこの氷で酒を飲んだら美味いに違いない。
そうと決まれば早速とばかりに腰を上げ、瑞樹は氷が貰えないかの交渉に向かうのだった。
大成功
🔵🔵🔵
吉備・狐珀
白くまって言うんでしたっけ…?
練乳ミルクのかかったかき氷に果物や三色寒天、あずき豆がのったかき氷。あれを作ってみようかな。
せっかくだから寒天に花蜜をいれて少しアレンジして。
この氷、本当にふわふわですね!
それに頭も痛くならないような…?
花蜜で作った寒天もほんのり甘くて色もきれいで何より、すごく美味しいです!!
そういえば花蜜もって帰ってもいいか聞いてみようと思っていたんでした。
もしもって帰っていいなら、おすすめの使い方も聞こうかな。
(「白くまって言うんでしたっけ
……?」)
吉備・狐珀が作ろうと思い描いたのは、甘い練乳ミルクとたっぷりのフルーツや寒天、それから小豆が乗ったかき氷だ。
せっかくだから寒天に花蜜を入れ、少しのアレンジを加えてみたりもして。
そうして出来上がったかき氷は、狐珀が想像していた通りのもの。
「この氷、本当にふわふわですね!」
口に含めばあっという間に溶けていくかき氷。ふわふわしていて、すぐ溶けてしまう、だから喉越しも良く、そして何より、食べ続けても一向に頭が痛くなる気配がないことに狐珀は気づく。
花蜜で作った寒天もほんのり甘く仕上がっていて、色も綺麗な花の色に染まっていた。
「……すごく美味しいです!!」
狐珀の口元に、笑みが綻ぶ。
気づけばあっという間に食べ終えてしまったかき氷を前に、狐珀はふと目を瞬かせた。
(「そういえば、花蜜を持ち帰ってもいいか聞いてみようと思っていたんでした。あと、持って帰っていいなら、おすすめの使い方とかも……」)
学生や職員に訊ねてみれば、持ち帰ることは勿論構わないとの快い返事。
そして、おすすめの使い方は――砂糖の代わりにお菓子や色々な料理に使う他、紅茶や珈琲などに入れるのも流行っているらしい、とのこと。
もしも失くなってしまったら、また是非ともこの地に足を運んでほしいと学生達が笑っていたのが、印象的だった。
大成功
🔵🔵🔵
ニア・リュシドール
楽しみにしてたかき氷
シロップはどれにしようかなぁ
いろいろ迷って、果肉たっぷりのいちごミルクを
いちごのシロップのかき氷は
食べたことがあるけれど、
果肉が入ると、甘酸っぱさとか食感の違いが出て、美味しい!
氷もふわふわ…!
他のところじゃ中々食べられなさそう…
いちごミルクのかき氷を堪能したら、
折角なので少しおかわりをして
蜜ぷにさんからもらった花蜜をかけて、食べてみる
花蜜のかき氷も凄く美味しい……!
こんなに美味しい蜜をくれた
蜜ぷにさんに感謝しないと
今日の迷宮で起こったこと、
こんなに美味しいかき氷があること、花蜜も美味しいこと、
今度お話ししたいな
友人達の顔を思い浮かべながら
◇アドリブ、絡み歓迎です
今回の依頼を受けた時から楽しみにしていたかき氷に、ニア・リュシドールはそわそわと胸を弾ませながら食堂へ。
桃色に水色が僅かに差し込まれたマシュマロ菓子の様な髪もふわふわと、そして髪の白いミニバラも、ふわりとニアの心のままに楽しげに綻んでいた。
「シロップはどれにしようかなぁ……わぁ、本当にいっぱい!」
聞けばこちらにとシロップがずらり。色も種類も様々なシロップ達はそれだけで目移りしてしまうけれど、色々迷った末に、ニアは果肉たっぷりのいちごミルクをチョイス。
いちごのシロップのかき氷は食べたことがあるし、実際にここにも置いてある。
だが、これは本物のいちごをたっぷり使って作られたシロップで、さらにはいちご氷の周りやてっぺんにいちごが散りばめられている。
ニアはどきどきしながら、ふわふわの氷をさくっと一口。
口の中にすっと広がる氷の冷たさ、それからじんわり広がるいちごミルクの甘さと、果肉の甘酸っぱさ。一口で食感の違いまで楽しめて、思わず声が。
「――美味しい! 氷もふわふわ……!」
他のところでは中々食べられなさそうないちごミルクのかき氷を、ニアはゆっくりと堪能し――それから、折角なのでと少しだけおかわりも。
再び器に盛られたふわふわの氷。そこに蜜ぷに達から貰った花蜜を掛けて、また一口。氷によって冷やされた花蜜は、まるで水飴を食べているよう。
「……! 花蜜のかき氷も凄く美味しい……!」
氷と花蜜、それだけなのに、花蜜だけでたくさん氷が食べられそうな美味しさに、ニアはこんなに美味しい蜜をくれた蜜ぷに達へ心の中で感謝を捧げて。
蜜ぷに達との、束の間の出逢いと別れ。吹雪と氷を操る強大な竜との戦い。
それから、こんなに美味しいかき氷があることと、蜜ぷにの花蜜もすごく美味しかったこと。
ニアは大好きな友人達の顔を思い浮かべながら、今日の出来事をひとつずつ振り返る。
(「……今度、お話ししたいな」)
口元には知らず笑みが綻んで、冷たいかき氷を食べたはずなのに、なぜだか心がぽかぽかしているのをニアは感じていた。
大成功
🔵🔵🔵
ティル・レーヴェ
【星月夜】
旅団の皆でかき氷!とても楽しみじゃなぁ
皆での出かけはほんにわくわく致すのじゃ
おかわりが自由なのじゃと!
皆は何を選ぶのじゃろう?
妾は……桃!先ずは桃のかき氷が食べたい!
柾の果物と練乳の合わせたものも美味そうじゃなぁ
1つで3つの楽しみとは贅沢じゃな!
ジャスパー殿は苺かえ?
削って白くなった氷に赤が映えるのぅ
ラルマ殿は1つだけで良いのかえ?
ほほ、よかろう!一口どーぞ!なのじゃ!
スプーンに掬ってはい、あーんと差し出す
ベティ殿の2杯目はゴージャスな!
それはどんなものか楽しみじゃ!
ワクワクとした瞳を向けて
楽しさと桃の甘さに舌鼓を打ちながら
練乳の蕩ける甘さにも心惹かれ
次はミルク宇治金時だと心に決めて
ベティ・パニユ
【星月夜】
旅団の皆でお出かけよ。
最近とても暑いし、おかわり自由のかき氷が沢山食べられるのは魅力的!
誘ってくれた柾にお礼を言わないと。
アタシはマンゴーシロップのかき氷から頂きましょ。ふわふわの氷に果肉たっぷりのシロップ、とっても贅沢な気分。
ラルマはレモンなのね、よかったら一口交換して頂戴な。
皆のかき氷を見ながら考えるのは二杯目のこと。
ジャスパーのイチゴはキレイで爽やかそう、柾みたいな練乳がけも捨てがたいし、濃厚タイプならティルの桃も絶対美味しいもの。
……だけどせっかくならとびきりゴージャスなかき氷に。
アイスと季節のフルーツを乗せて、花蜜のシロップをトッピング。
美味しくてフォトジェニック、最高ね!
ジャスパー・ドゥルジー
【星月夜】
皆で出かけるの初めてだぜ
へへ、すげー楽しみ
俺折角なら本物の果物から作ったシロップってやつ食べてみてえな
うーん、悩むけど「まずは」イチゴかな
お代わり自由なんだろ?
こういうふわっふわの氷って頭キーンならないって聞いたけどホントかな
うわっ、すげー美味しい
いくらでも食べられそうだな
誘ってくれてサンキュな、柾
ん、一口と言わずいくらでもドーゾだぜ、ラルマ
俺もティルみたいに「あーん」してやろうか?
柾のオレンジもラルマのレモンも爽やかで旨そうだし
ティルの桃やベティのマンゴーも甘さが濃厚そうで気になる
皆のかき氷にコメントつけつつ
お代わりかき氷の種類に思いを馳せる
あっティルとベティが既に二杯目!
俺もっ
ラルマ・ドゥルーヴ
【星月夜】
いつもは一人旅なもので
こう賑やかだと浮足立ってしまう
暑さを凌ぐならば確かに爽やかなものが良い
マサキの選択に惹かれ、シロップはレモンに
練乳も真似しようか悩んでやめる
甘いものは好きだが、幾らも量は食べられなくてな
皆、何杯も食べる気なのか?凄いな
そうなると他の味が気になってしまう
一口ずつ貰えないか頼んでみるか
ティルの差し出すスプーンに慣れず一瞬驚くが、それではありがたく一口
ジャスパーからの提案には遠慮なく口を開けて応える
ベティにも勿論好きなだけとグラスを差し出し
皆の二杯目の構想を聞きながら、自分の分を味わって食べよう
槍竜には添え物の蜂蜜レモンを渡しておく
太って飛べなくならないように
白波・柾
【星月夜】のみんなで出掛け
やはり夏は氷菓だよな
夏の風物詩は蒸し暑さをひととき忘れさせてくれる
宇治金時やブルーハワイなどの味も気になるが
俺はオレンジシロップに練乳をかけてみよう
さっぱりとした部分とまろやかな部分をまずは別々に食べてみて
それからかき混ぜて一緒に食すという食べ方をしてみたいんだ
ラルマはレモンなのか
柑橘はさっぱりしていていいよな。夏にぴったりだ
ティルの年相応のはしゃぎっぷりには目を細めつつ
ベティはマンゴーシロップか、あのバランスのいいとろりとした甘さと冷たさはきっとうまい
ジャスパーのいちごも王道だな、俺も二杯目はブルーハワイを頼もうかなと考えつつ
こうしてみんなで遊ぶのはとても楽しい
生徒達の声で賑わう食堂の一角。旅団【星月夜】の面々はひとつのテーブルを囲んで、思い思いのかき氷を選ぶところから。
「おかわりが自由なのじゃと! 皆は何を選ぶのじゃろう?」
ティル・レーヴェ(福音の蕾・f07995)は、わくわくと胸をときめかせながら何にしようかと考え込み。
「妾は……桃! 先ずは桃のかき氷が食べたい!」
そうして、ぱっと笑顔を輝かせると、早速髪に咲く鈴蘭と真っ白な翼をぱたぱたと揺らし桃のかき氷を注文に。
冷たい夏の風物詩。ひとときでも蒸し暑さを忘れてくれるもの。
「やはり夏は氷菓だよな」
ティルの年相応にはしゃぐ様子に目を細めつつ、白波・柾(スターブレイカー・f05809)は一つ頷き、さて自身もどうしようかと思案顔。
宇治金時やブルーハワイなどのいわゆる定番の味も気になるけれど、柾が選んだのはオレンジのシロップと、練乳。
それを半分ずつ掛けて、さっぱりとしたオレンジとまろやかな練乳をまずは別々に味わい――それから、かき混ぜて一緒に食すという食べ方を試してみたいのだと皆を見やれば、
「柾の果物と練乳の合わせたものも美味そうじゃなぁ。一つで三つの楽しみとは贅沢じゃな!」
早速ティルが満面の笑みを咲かせながら目を輝かせていて。
学食の心地よい喧騒と、何より共に在る仲間達の楽しげな様子に、ラルマ・ドゥルーヴ(砂礫・f19535)の心もそわりと浮き立っていた。
いつもの一人旅も気儘なものだけれど、こうして誰かと過ごす時間も新鮮で。シロップを選ぶ眼差しもつい真剣なものになる。
――暑さを凌ぐならば、確かに爽やかなものが良い。
柾の選択に成程と首肯し、ラルマはレモンのシロップを選び、練乳も追加しようか暫し悩んで見送った。
「ラルマはレモンなのか。柑橘はさっぱりしていていいよな。夏にぴったりだ」
練乳がなくともうまいだろうと柾は頷き、ラルマもそうだなと頷き返す。
「俺、折角なら本物の果物から作ったシロップってやつ食べてみてえな。うーん、悩むけど“まずは”イチゴかな」
お代わり自由なんだろ? と、ジャスパー・ドゥルジー(Cambion・f20695)がニィっと笑ってみせる。
「ジャスパーのいちごも王道だな」
俺も二杯目はブルーハワイを頼もうかなと考える柾の隣で、
「削って白くなった氷に赤が映えるのぅ」
ティルはジャスパーの、宝石のようなイチゴのかき氷に、菫色の瞳をキラキラとさせていた。
「アタシはマンゴーシロップのかき氷から頂きましょ」
にっこりと艶めいた笑みを浮かべるベティ・パニユ(madomina・f19311)の器には、ふわふわ氷に果肉たっぷり、目にも鮮やかなマンゴーシロップが掛けられて。
それを見た柾はふむと頷き、
「ベティはマンゴーシロップか、あのバランスのいいとろりとした甘さと冷たさはきっとうまい」
……こういったふわふわな氷は頭がキーンとならないと聞いていたけれど、果たして本当だろうか。
何とはなしに思うどころかちょっぴり疑いの眼差しを向けながらも、ジャスパーはスプーンで一口、瞬く間に溶けていく氷の冷たさと喉越しにあっという間に笑顔になって。
「うわっ、すげー美味しい。いくらでも食べられそうだな」
甘い物は好きだが、ラルマ自身は少食で、それほどたくさんの量が食べられるわけでもない。けれど――。
「皆、何杯も食べる気なのか? 凄いな」
お代わり自由とあれば心ゆくまで楽しむつもりの皆を見れば、他の味に対する好奇心が花開く。
一口ずつ貰えないかと交渉を持ちかければ、快い返事の数々。
「ほほ、よかろう! 一口どーぞ! なのじゃ!」
スプーンに一掬い、あーんと差し出されたティルの桃フラッペに慣れず灰色の瞳を瞬かせるものの、ありがたくと一口。
「ん、一口と言わずいくらでもドーゾだぜ、ラルマ。……俺もティルみたいに“あーん”してやろうか?」
ニヤリと悪い――彼にとってはいつもの笑みを浮かべながらジャスパーが告げれば、最初の一口で加減を知ったラルマは遠慮なく口を開けて応えた。
「ラルマはレモンなのね、よかったら一口交換して頂戴な」
「勿論、好きなだけ食べてほしい」
そう言って器を差し出すベティにも、お返しにラルマの器が差し出される。
皆のかき氷を、そして交換し合う姿を微笑ましく見やりつつ、ベティは早速二杯目のかき氷に想いを馳せていた。
ジャスパーのイチゴは綺麗で爽やかな甘酸っぱさが味わえそうだし、柾のように果物と一緒に練乳を心ゆくまで味わうのも捨てがたい。
更に濃厚な味わいを求めるのなら、ティルが選んだ桃も絶対に美味しいに決まっている。
――だけど、折角ならばとびきりゴージャスなかき氷を。うん、と大きく頷いてベティは空の器を手に席を立った。
暫くして戻ってきた彼の器には、アイスと季節のフルーツがふんだんに乗せられて、さらに花蜜のシロップもたっぷりと。
「おお、ベティ殿の二杯目は見た目も味もゴージャスそうなのじゃ!」
さすがなのじゃ、とティルの瞳がまた輝く。
「美味しくてフォトジェニック、最高だと思わない?」
味を確かめ、ベティは満足気に頷きウインクひとつ。
――皆で味わう、夏の味。
その楽しさと桃の甘さに舌鼓を打ちながら、ティルは練乳の蕩ける甘さにも惹かれる心のまま、次はミルク宇治金時にしようと密かに決意。
柾のオレンジもラルマのレモンも爽やかで美味しそうで、ティルの桃やベティのマンゴーも甘さが濃厚そうで気になって仕方ない。
さて己も“お代わり”はどうしようかとジャスパーは想いを馳せて――いつの間にやら出来上がっていたベティのフォトジェニックな一杯と、ミルク宇治金時のかき氷を持って戻ってきたティルの姿にあっ、と勢いよく立ち上がった。
「ティルとベティが既に二杯目! 俺もっ!」
お腹をきゅるると鳴らす槍竜のシェリューに添え物の蜂蜜レモンを渡しつつ、皆の二杯目の構想を聞きながら――ラルマは自分のかき氷をゆっくりと味わって。
「柾、誘ってくれてありがとね! かき氷は美味しかったし、皆と一緒に来れて本当に楽しかったわ!」
「俺からもだぜ柾! 誘ってくれてサンキュな!」
今回の誘いを掛けてくれた柾に、ベティとジャスパーは笑いかける。
賑やかな皆の声と楽しげな笑顔、そしてテーブルに並ぶたくさんの彩りに、柾は静かに思うのだった。
――こうしてみんなで遊ぶのは、やはり、とても楽しいものだと。
大成功
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泉宮・瑠碧
おお…色々なかき氷があるな
数回位は食べた事があるが、かき氷も好きだな
果物もあるのは嬉しい
…様々あってどれにするか、迷うが
いっそ自分でアレンジしてみるか
取り出した花蜜の小瓶に
ほんのりと寂しさと切なさを込めて見詰め
優しいぷに達、ありがとう、と祈り
本物の苺を粗めに潰して花蜜と混ぜてシロップに
ミルクとしてバニラアイスを添えようか
ちょっと変則的な苺ミルクの完成
…ん
甘さと酸味に、香りも加わって美味しい…
蒼汰も良ければ食べてみないか
氷と苺とアイスの食べるバランスで味に変化が出るから飽き難いし
花蜜もきっと優しい味だと思う
何より、美味しい
花蜜は少し持って帰ろう
自然が多い、僕の故郷を見て…夢に彩りが加われば良いな
「……色々なかき氷があるな」
様々な彩りに満ちたシロップ達に迎えられ、泉宮・瑠碧(月白・f04280)は思わずおお、と感嘆の声を漏らす。
夏の暑さを和らげてくれるかき氷は何度か食べた経験があり、瑠碧も好むものだ。
けれど、ずらりと並ぶシロップの数々は圧巻の一言で、どれにするか迷うことしばし、瑠碧はひとつ頷いた。
(「いっそ自分でアレンジしてみるか」)
取り出した花蜜の小瓶を、ほんのりと寂しさと切なさを込めて見詰めながら、瑠碧はそっと祈りを重ねる。
(「……優しいぷに達、ありがとう」)
そして、まずは土台となるふわふわの氷を器に。それから本物の苺を粗めに潰し、花蜜と混ぜてオリジナルのシロップを。
ミルクの代わりに濃厚なバニラアイスを添えれば――ほんの少し変則的ではあるけれど、苺ミルクのかき氷の完成だ。
席に座り、早速一口。
「……ん、甘さと酸味に、香りも加わって美味しい……」
苺の酸味と甘さに、さらに花蜜の香りと甘さが加わって、さらにバニラアイスの甘さも増える。
それらが喉越しの良い氷と一緒に口の中で蕩ける様は、今まで味わったことのないような美味しさを瑠碧に与えていた。
「――あ、蒼汰」
そこにふと通りかかった、お代わりにでも行くのか、空の器とスプーンを持った蒼汰を、瑠碧は手招いて。
「これ、上手く出来たと思うんだ。だから、良かったら食べてみないか」
「へえ、苺とアイスですか。上手いこと思いつきましたね」
「氷と苺とアイスの食べるバランスで味に変化が出るから飽き難いし、花蜜もきっと優しい味だと思う。――何より、美味しい」
力強い言葉と頷きに笑って、いただきますと蒼汰は自分のスプーンで苺とアイス、それから氷を少しずつ絡めて一掬い。口に運べば確かに、バランスを考えれば味に変化が起きるような気配を感じ、花蜜の優しい甘さに癒されて。
「確かに、美味しいです」
蒼汰も納得の出来栄えに、頷くしかない。
そうして蒼汰が去った後は、色々な配分でかき氷を楽しみつつ――最後にスプーンを置いて、ごちそうさまと、無事に完食。
ふと傍らに置いたままだった花蜜の小瓶に目をやり、瑠碧はそれを持ち帰ろうと手に取った。そこに重ねる、一つの願い。
(「自然が多い、僕の故郷を見て……夢に彩りが加われば良いな」)
大成功
🔵🔵🔵
ラナ・スピラエア
蒼汰さんお疲れ様です、ご一緒して良いですか?
蒼汰さんはどんなかき氷にしました?
私はいっぱいの苺が乗っているのです!
あと花蜜を掛けようかなって
蒼汰さんの分もあるので、良かったらどうですか…?
生の果実のシロップが甘酸っぱくって
そこに花蜜の優しい甘さが美味しいです
いつもの味とは違う、ちょっと上品な味わいな気が
蒼汰さんのかき氷も、他のかき氷も気になるけど
あんまり食べられないから、手元のだけで我慢です
蜜ぷにさん、とっても可愛かったんですよ
ぷにぷにで、鮮やかで、1匹連れて帰りたかったです
思ったより沢山の蜜が手に入ったので
お菓子作りに使おうと思うんですけど…
何が良いと思います?
アドバイス、貰えると嬉しいです
学食に訪れたラナ・スピラエアはきょろきょろと、誰かを探すように視線を巡らせる。
「……あ、」
その見覚えのある翼と尻尾を持つ青年の後ろ姿を存外すぐに見つけられたことに安堵の息ひとつ、ラナはそっと近づいて。
「蒼汰さん、お疲れ様です」
「はい、ラナさんもお疲れ様でした」
ラナが声をかけるのと、蒼汰が振り返るのはほぼ同時。顔を合わせれば互いの顔には自然と笑みが綻んで、それから。
「……ご一緒して良いですか?」
遠慮がちな問いに勿論ですと帰る声。隣の椅子を引き促す蒼汰に、ラナはお邪魔しますねと素直に腰を下ろし。
「あの、蒼汰さんはどんなかき氷にしました? 私はいっぱいの苺が乗っているのです!」
とん、とラナの目の前に置かれた器には、なるほど確かにいっぱいの苺が乗っていた。生の苺を使って作ったシロップだが、果肉どころか本物の苺が乗っていて、目にも鮮やかな苺のかき氷に仕上がっている。
「これに、あと蜂蜜を掛けようかなって……蒼汰さんの分もあるので、良かったらどうですか……?」
「――はい、是非頂きます」
生の果実のシロップが甘酸っぱくて、そこに加わる花蜜の優しい甘さが美味しくて。
いつもの味とは違う、ちょっと上品な味わいに、ラナの表情がふわりと綻ぶ。
「抹茶も花蜜掛けたらなんかすごい甘くて美味しいですね」」
傍らの青年が食べているのは、緑色。どうやら抹茶氷というものであるらしい。彼が食べているものも、他のかき氷も気になるけれど、ラナ自身はそれほど量を食べられるわけではないから、今は、手元のだけで我慢をして。
「あのですね、蜜ぷにさん、とっても可愛かったんですよ。ぷにぷにで、鮮やかで、一匹くらい連れて帰りたかったです」
勿論、それは出来ないことはわかっているから、ちゃんと倒してきたけれど。その、代わりに――。
「思ったより沢山の蜜が手に入ったので、お菓子作りに使おうと思うんですけど……蒼汰さんは何が良いと思います?」
アドバイス、貰えると嬉しいです。控え目に告げるラナを横目に、それまでうんうんと相槌を打ちながら聴いていた蒼汰はふむ、と考え込んで。
「お菓子なら何でも合うと思いますけど、ケーキのスポンジに混ぜたり、ワッフルやプリンに掛けるとか……?」
――そんなお菓子談議がしばらく続いたとか、続かなかったとか。
大成功
🔵🔵🔵
トトリ・トートリド
…ちょっと、出遅れた
蜜ぷに、見てみたかった…けど
かわいそうで、倒せなかった、かも
戦ってくれたみんなに、感謝
…かき氷。氷なのに、ふわふわ…?
この前、パフェは食べにいったけど
アイスは、ふわふわしてない…どんな感じ、かな(そわ)
…わあ
色とりどりのシロップで、氷を染める…絵具みたい、だ
…ブルーハワイ?って、何の味…?
目移りするけど…トトリは、やっぱり果物が、いい
パッションフルーツ、はじめてだ
マンゴーは、…ちょっと、親近感?
きれいなキウイと、三色、よくばって
…すごい、氷、ほんとにふわふわ
口に入れたら、甘くて…ふわっと消える、すごい
帰ったら、友達にこの話を、しよう
いつか一緒に、食べにこれたら、いいな
(「……ちょっと、出遅れた」)
ひょこりと顔を覗かせたのは、トトリ・トートリド(みどりのまもり・f13948)だ。
蜜ぷにを見て、お話してみたい気持ちもあったけれど、いざ目の前に現れたら――あまりにも可愛そうで、逆に倒せなかったかもしれない。
けれど、蜜ぷにはアルダワの迷宮にたくさんいるらしいとも聞いたから。今はいつかの邂逅と、戦ってくれた同胞達への感謝を胸に、トトリは賑わう学食にそっと足を踏み入れた。
「……かき氷。氷なのに、ふわふわ……?」
つい先日パフェを食べに行ったけれど、その時に食べたアイスクリームはふわふわしてはいなかった。
ふわふわのかき氷とはどんな感じだろう。そわそわと心を弾ませながら、トトリはずらりと並ぶシロップを見やる。
「……わあ、」
色とりどりのカラフルなシロップは、そのどれもが氷を染める絵の具のよう。
(「……ブルーハワイ? って、何の味
……?」)
海の味――にも見えるが、あるいは空の味だろうか。それとも、知らない世界の果物の味だったりするのだろうか。
どれも綺麗な色で目移りしてしまう中、やっぱり果物がいい――と、トトリがまず選んだのはパッションフルーツ。
それから、シャーマンズゴーストとしてはちょっぴり親近感を覚えるマンゴーに、鮮やかで綺麗なキウイフルーツの三色で真っ白な氷を染め上げる。
「……すごい、氷、ほんとにふわふわ」
どきどきしつつ、スプーンで一掬い。口に入れたら甘いフルーツの味が優しく広がって、そしてふわっと、魔法のように消えていった氷に、トトリは琥珀色の瞳をぱちぱちと。
「……すごい」
しっかり食べて、帰ったら――大好きな友達にこの話をしようとトトリは思う。
きっと、楽しんでくれるだろう。そして、いつか一緒に食べに来られたらいいなと、口の中で甘く溶けてゆく氷にそっと想いを馳せるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
吾條・紗
イチくん(f05526)と
凄いねこれ
雪よりふわふわだ
狼尻尾がご機嫌に揺れて
カラフルなシロップに目移りしつつ
イチくんの相棒わんこちゃんに意見を求める
くろちゃんはどれが良い?
つっても「わん」じゃわかんないけども
とか言ってたら詳細なくろちゃん語講座が…
うん
覚え切れないから翻訳頼むね
にっこり笑顔を返しとく
そうだ
決め切れないからおかわりしよう
そっちは何味?一口頂戴?
イチくんの微妙な様子も気にせず
差し出されたキウイ味を一匙頂いて
美味いなこれ
俺も次は果物系にしよ
シンプルな花蜜がけをさくっと食べ進め
空の器を手にすくっと立ち上がり
さ、二杯目行くよー
次は葡萄のが良いな
早く早くと連れの手を引き
夏の冷菓を目一杯満喫
青和・イチ
紗さん(f04043)と
討伐お疲れ様
おお…綺麗な氷…待ってた甲斐あった(学食待機組
氷がふわふわって、何か不思議
甘いの好きだし、楽しみ
(呼ばれたくろ丸が嬉しそうに紗さんの元へ
…や、「わん」以外にも、色々言うよ
「おん」とか「わふー」とか「ぐるる…」とか
あと「フンッ」て鼻鳴らして感情を…(数々のくろ丸語を解説し出す
因みに、紗さんの持ってる花蜜、良い匂い、って言ってる
僕は…まずは果物シロップかな
キウイ気になる
ん、いいよ(一口、の声に器を差し出し
…いいけど……何この構図(漂うカップル感に背筋が寒い
次は、白玉とわらび餅載せたい
紗さん、僕も花蜜貰って良い?
えっ、待、ゆっくり食べないと、頭痛起k…(引っ張られ
「討伐お疲れ様、紗さん。……おお、綺麗な氷……待ってた甲斐あった」
迷宮の氷室から切り出された氷と一緒に学食へやって来た吾條・紗を、青和・イチ(藍色夜灯・f05526)はそわそわと心待ちにしながら出迎えた。
「氷がふわふわって、何か不思議。甘いの好きだし、楽しみ」
見れば早速運び込まれた氷が削られて、器にふわっと盛り付けられる。
「イチくん、凄いねこれ。雪よりふわふわだ。シロップもカラフルでいっぱいあって目移りするな」
紗はミルクティー色の髪と良く似た色合いの狼尻尾をご機嫌に揺らし、くろちゃん、と、イチではなく彼の相棒たる強面の犬(女の子)を呼んだ。
呼ばれたくろちゃんことくろ丸は、嬉しそうに紗の元へ。
「くろちゃんはどれが良い? ……つっても『わん』じゃわかんないけども」
「……や、『わん』以外にも、色々言うよ」
「……言うんだ?」
「うん、『おん』とか『わふー』とか『ぐるる……』とか、あと『フンッ』て鼻鳴らして感情を……」
イチの口からすらすらと語られる、数々の詳細なくろ丸語講座。紗は途中まで何とか相槌を打ちながら聴いていたけれど、さすがにドッグフードの味が変わってしょんぼりしている時のくろ丸語までは聴いても理解できない。
「うん、覚え切れないから翻訳頼むね」
すると、そう言えばと思い出したようにイチはくろ丸を見て、
「因みに、紗さんの持ってる花蜜、良い匂い、って言ってる」
「そこまでわかるんだ、すごいね」
紗はにっこりとくろ丸に笑って、花蜜を掛けたシンプルな花蜜氷を示してみせた。
「そうだ、決め切れないからおかわりしよう。そっちは何味? 一口頂戴?」
「ん、キウイだけど……いいよ。いいけど……」
一口、の声にイチは器を差し出し、それを紗が一匙掬って食べる。
「……何この構図」
男二人でかき氷というのも微妙だろうに、自分が食べているかき氷を一口相手に分け与えたりなどしている。
色々な意味で漂うカップル感に背筋が寒くなったのは、きっとかき氷のせいではないだろうとイチは感じていた。
そんなイチの微妙な様子も、紗は全く気にする素振りもなく。
「美味いなこれ。俺も次は果物系にしよ」
「次は、白玉とわらび餅載せたい。紗さん、僕も花蜜貰って良い?」
イチがそう問いかける間にも、紗は花蜜氷をさくっと食べ終えて、空の器を手にすくっと立ち上がっていた。
「さ、二杯目行くよー。次は葡萄のが良いな」
早く早くとイチの手を引き、夏の冷菓を目一杯満喫すべくお代わりを求めて紗は行く。
「えっ、待、ゆっくり食べないと、頭痛……起きない……!」
勢いよく掻き込んで、そのまま紗に引っ張られながら――ついでにくろ丸も楽しげに後を追ってきている――イチは急いでかき氷を食べたにもかかわらず、頭が全く痛くならないのを感じていた。
それは魔法の氷室で生成された、純度の高い氷で作られたかき氷だからこそなせる技。けれどある意味これも、アルダワの夏の魔法の一つ――なのかも、しれない。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵