ホーンテッド・ダンジョン!
●うらめしや
洋館風のフロアにて。
「隠れる場所もたくさんあるし……肝試し会場、今年はここで決まりかな?」
「そだねー。雰囲気たっぷりだし、問題無いっしょ」
人間とケットシー。二人の少女が調査を終えて、顔を見合わせ頷いた。
地下迷宮の安全なフロアにて行われる肝試しは、アルダワ魔法学園の夏の風物詩だ。
会場は有志の学生たちによって選出され、お化け屋敷へと改造される。
日頃の学業の成果を存分に発揮し、一つひとつの仕掛けを手作りしていくのだ。
ただ純粋に、参加した皆で楽しむために。
危険と隣り合わせの日々を送る彼らにとって、こうしたひと時はとても大切なものだ。
「ところでさー。アンタ、もう彼のこと肝試しに誘った?」
「えっ!? う、うん。一緒に回る予定だけど」
「おー、頑張ったー! で、で? 何処までいっちゃう?」
テンション高く囃し立てる友人の言葉に、人間の少女は頬が熱く火照るのを自覚する。
彼――竜派ドラゴニアンの青年と手を繋いで、逞しい腕に寄り添って。
もしもお化けが出てきたら、その時は。
「ね、ね。可愛い悲鳴上げたり? 抱き着いちゃったり?」
「もう! いい加減、からかうのは」
やめてよ、と。そう続けようとして。
『――ヤ』
人間の少女は気付いてしまった。
「ねぇ……う、後ろ」
「へ?」
友人のケットシーの背後に、いつの間にやら。
『――メシヤ』
大きな大きな黒い影が現れて。
『ウ・ラ・メ・シ・ヤ』
彼女らに掴みかからんとしていることに。
●表は蕎麦屋
「……ってわけなんだ。肝試し開催のためにも、災魔の討伐に協力してもらえないかな?」
集まった仲間たちに予知の詳細と作戦概要を伝えるは、グリモア猟兵の影守・吾聞(f00374)だ。
少年曰く。
学園地下迷宮の一画、洋館の内装を模したフロア。
既に安全が確認されていたはずの其処に、フロアボス級の強力な災魔が新たに進入してきたのだという。
「姿ははっきり分からなかったけど、ボスは黒くて大きい奴だった。それから、ポルターガイストっていう幽霊みたいな災魔がいるのも見えたよ」
黒い災魔は最奥の広間に鎮座し、ポルターガイストを操ってフロアをより棲みやすく作り変えようとしているのだとか。
「道中のポルターガイストを蹴散らしながら進んで、最奥にたどり着いて、ボスを討伐。ここまでが今回のミッションだよ」
ミッションコンプリートすれば、フロアは平穏を取り戻す。
学生たちによる肝試しも、無事に開催されることだろう。
「肝試しは飛び入り参加も歓迎なんだって。仕掛け人としてでも、お客さんとしてでもね。もし良かったら、行ってみようよ!」
きっと楽しく、涼しく過ごせるだろうと。吾聞はそう笑って、テレポートの準備に取り掛かった。
藤影有
お世話になっております。藤影有です。
夏の楽しいひと時を守るべく、猟兵の皆様の力をお貸しいただけますと幸いです。
第一章は【集団戦】、第二章は【ボス戦】、第三章は【日常パート】です。
ネタ寄りな雰囲気を想定しています。ゆるいノリでどうぞ。
●第一章補足
洋館の内装を模したフロアを駆け抜けつつの戦闘になります。
廊下を抜けたかと思えば、客室に入り込んでいたり。構造はカオスです。
諸々の家具も存在しますので、避けたり利用したりしつつ存分に暴れてくださいませ。
また、OPに登場した女子学生二名は無事に逃げ延びています。
学生が新たに現場に迷い込むこともありません。戦闘に集中していただけますと幸いです。
●肝試し
肝試しに参加できます。
真っ暗な洋館フロアを、ランプの灯を頼りに進んでいただきます。
仕掛け人として、あっと驚く仕掛けを作ったり、お化けを演じるもよし。
お客として、存分に怖がりに行くもよし。
過ごし方はお任せします。
夏の恐怖を存分にお楽しみください。
複数人参加の場合、【お相手の名前とIDorグループ名】の明記をお願いします。
※アイテムの自動発行はありません。
※第三章のみの参加も可。
●グリモア猟兵について
影守・吾聞(f00374)は、第三章でお誘いプレイングを頂いた場合のみ登場します。
それでは、皆様のプレイング楽しみにお待ちしております。
第1章 集団戦
『ポルターガイスト』
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POW : パイロキネシス
【自然発火の能力を持つ念力】が命中した対象を燃やす。放たれた【青白い】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD : テレキネシス
【念動力で操った家具の群れ】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : ラップ現象
対象のユーベルコードに対し【対象の集中を阻害する騒音】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
イラスト:唯々
👑11
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●ポルターガイストバスターズ
ぼろぼろのテーブルクロスが掛かった長テーブルに、ずらり並ぶ椅子。
猟兵たちが転移した其処は、どうやら食堂であるらしい。
侵入者の気配を感じ取ったか、テーブル上に置かれていた燭台がぽうっと灯り。
『アナタタチ、ダァレ?』
ふわりとそいつらが現れた。
髪も肌も服も、その全ては白一色。
蛍光色の緑の瞳が奇妙な輝きを静かに放つ。
宙をふよふよ浮いている彼女らこそ、災魔・ポルターガイストだ。
『ココハ ワタシタチノ オウチヨ』
『オヨビジャ ナイワ』
『デテイケ デテイケ!』
人に限りなく近い容姿をしているが、会話が通じる相手ではなさそうだ。
椅子が、食器が。奴らとともに浮き上がる――。
臨戦態勢のポルターガイストどもを、どうにか蹴散らして先を急ごう。
ボスの待ち受ける、フロア最奥を目指して。
新山・陽
「どうも。貴方にとっての侵入者です」
誰かと聞かれたので軽く会釈し、飛来する家具を【見切り】で避けようとします。多少被弾しても、【気合い】でなんとかしましょう。
ポルターガイストに対し、UCのマスタースティールを使用し、テレキネシスで飛んできた家具を掴んで【投擲】したり、【武器受け】で相殺する為に利用します。
「こちら、ここを住居と主張し、居座りを決め込んでる方がいらっしゃると聞いて来ました。話し合えませんか?」
こちらに注意を逸らし、時間稼ぎを主な目的に動きます。
「話しどころじゃない? 交戦中? まぁそれは、おっしゃる通りです」
もし、追撃がくるようなら【咄嗟の一撃】で弾きます。
シン・ドレッドノート
アドリブ連携OK
【SPD】
肝試しの会場に現れる幽霊ですか。
悪さしないなら雰囲気も出て良いのですが、学生たちに危害が加えられるようなことがあってはいけませんね。
「さて、蹴散らしますよ!」
【紺青の剣劇】で召喚したソードビットとライフルビットを自分の周囲に展開しながら、フロアを駆け抜けます。
飛んでくる家具は合体させたソードビットで軌道をそらして回避、ライフルビットでポルターガイストを狙い撃ちます。
弾丸には[破魔]の力を込めて。
「悪霊退散!」
たまには壊れた家具の破片が頭に当たるかもしれませんが…
「紅狐の面が無ければ即死だった…かも」
…危ないので、閃光の魔盾のビームも展開して進むとしますか。
フロース・ウェスペルティリオ
おや。勝手に住み着いておうち呼ばわりとは、あまり感心しないねぇ
まぁ、本当におうちだったとしても、いきなり乱暴は良くないと思うのだけどねぇ……
ダガーを片手に、向かってくる家具等を打ち落としていくよ
他の猟兵さんがいたら、そちらが通り抜け易いよう援護を中心に立ち回ります
数が多いようなら、液状化した身体の粘度を上げて網状に展開し回収し、回収した家具等を敵に打ち返すのもありかな?
力比べは得意ではないので、飛んでくる力の反動を利用できたら良いねぇ
ああ、このお皿の柄綺麗だねぇ
おや、こちらの椅子は脚が傷んでいるようだね。危ないよ
アドリブ・共闘歓迎
●
「どうも。貴方にとっての侵入者です」
災魔に対しても、新山・陽(f17541)は丁寧な姿勢を崩さない。
美しい黒髪を靡かせ会釈してみせた女性に、対照的な色合いを持つポルターガイストどもは。
『シンニュウシャー!』
『ツマミダセー!』
わいのわいのと叫びながら、念動力で浮かせた皿だのグラスだのを投げつけることで応えた。
飛来するグラスの軌道を見切り、陽は一つをひょいと躱す。
続けて飛んできた、高価そうな皿は。
「――ああ、このお皿の柄綺麗だねぇ」
フロース・ウェスペルティリオ(f00244)がダガーの柄で叩き割る。
「勝手に住み着いておうち呼ばわりとは、あまり感心しないねぇ」
ブラックタールの青年のゆるりとした呟きは、ごもっともなのであるが。
『ワタシタチノ オウチ ダモン!』
『デテイッテヨ!』
災魔はそれを聴いても、ぷりぷりと怒るばかりで攻撃の手を止める様子は無い。
「まぁ、本当におうちだったとしても、いきなり乱暴は良くないと思うのだけどねぇ……おや、こちらの椅子は」
肩を竦めながらも、フロースは液状化した身体で椅子を受け止め。
「脚が傷んでいるようだね。危ないよ」
飛んできた反動も利用して、ぽいっと跳ね返す。
霊体であっても反射的に避けてしまうものなのだろうか。
ポルターガイストどもは、フロースが返した椅子から蜘蛛の子を散らしたように逃げていく。
飛び交う家具の向こうに、食堂の出口が見えた。
「さて、好機。蹴散らしますよ!」
シン・ドレッドノート(f05130)の声に押されるように、猟兵たちは駆け出した。
顔の前まで迫ったカップを掴んでは投げ返し。
銀のスプーンを得物ではたきおとし。
鍋やらフライパンやら重いものは、伸縮自在のブラックタールが受け止めて。
一人、またひとりと食堂を抜けて先に進んで行く。
その一団の殿を務めるは、シンだ。
「ビット展開、目標を切り裂く! 悪霊退散!」
妖狐の紳士が己の周囲に展開するは、ソードビットとライフルビット。
ソードビットは飛び交う家具からの回避に、ライフルビットは敵の迎撃に。
性質の異なる二つを巧みに操りながら、赤い狐は華麗に駆ける。
悪さをしない幽霊ならば肝試しの隠し味にもなろうが、危害を加えるような存在ならば生かしておくわけにはいくまい。
破魔の力込めた弾に狙い撃たれ、食堂内の災魔は着々と数を減らしていき。
遂にシンも、食堂出口に足を掛けたのだったが。
『タダジャ ヤラレナイワ……!』
消えゆく間際の一体が、災魔と呼ぶに相応しき明確な殺意を放った。
「――っ!」
妖狐に迫る、鋭く尖った二つの刃。
片や喉を、片や頭を。正確に狙った攻撃であった。
もしも、まともに食らってしまっていたら。
「今頃、命は無かったでしょう……話しが通じるような相手では、ありませんでしたね」
咄嗟の一撃でフォークを叩き落した陽に対して。
「うん。紅狐の面が無ければ即死だった……かも」
シンは安堵の息とともに礼を言って、面に刺さったナイフを引き抜いた。
食堂から出ると、薄暗い廊下が真っすぐに伸びている。
進行方向からも黄色い声が聴こえてくる――まだまだポルターガイストはたくさんいるようだ。
遭遇次第、骸の海へとお引き取り願わなくてはなるまい。
成功
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芥川・三六
洋館のホラーハウスというのも定番だな…。
俺は幽霊画のヤドリガミだから怪談なんてものも好んで調べたりもしたけれどやはり和風のものに触れることも多かったしな。たまには洋風のホラーというものも体験してみるのもいいかもしれない…。
ポルターガイスト。家鳴りはラップ音と言われるんだったか。
とりあえず飛んでくる家具を振り払おう。
UC【がしゃどくろの怪】
さぁ、がしゃどくろよ。その手で振り払っておくれ。
がしゃどくろの手を逃れた攻撃には【オーラ防御】で身を守ろう。
後は苦無で【暗殺】出来るタイミングを伺う。
アドリブ連携歓迎。
タロ・トリオンフィ
肝試しに、ひとりでに動くモノとか女の子の幽霊とか、
定番だろうけれど……
君達を此処に住まわせてあげる訳にはいかないな
実際に害が出てしまうし、ね
UC『星』のカードを引いて
予知に従い家具の群れをかわしていく
第六感や見切りなんかも補強になるかな
避けきれなければ念動力やオーラ防御で抑え、
大きい家具の陰でやり過ごしたり
そうしながら、自身の立ち位置は
ポルターガイスト達の間に
狙いは大きなモノで攻撃される、その瞬間
そのモノが死角になる
あとは僕が巧く避ければ、同士討ち……かな
でも
折角雰囲気のある洋館の内装、
火矢や塗料を撒き散らすのも……って思ったんだけど、
これだけ派手にされるとあまり、変わらなかったかなぁ……?
●
廊下を抜け、猟兵たちが次に踏み込んだ先は。
「……子供部屋か?」
「なるほど、定番だね」
呟くは二人のヤドリガミ、芥川・三六(f17480)とタロ・トリオンフィ(f04263)だ。
部屋の中央にベッド、傍らのミニテーブル上には小ぶりなランタン。
格調高い意匠のクローゼットが鎮座しており、床にはおもちゃが散らばっている。
壁の額縁に飾られた絵は、果たして何を描いたものか――三六がそれを認識するよりも先に。
「ポルターガイスト。家鳴りはラップ音と言われるんだったか」
ふよふよと災魔が何処からか姿を現した。
『デテイケ!』
『アクリョー タイサーン!』
ひとたび騒ぎが始まれば、ふわりと浮き上がる家具の数々。
それらは猟兵たちに向かって、雨霰と飛んでいく!
「うん。やっぱり、君達を此処に住まわせてあげる訳にはいかないな」
間違いなく実害が出てしまうと、タロは確信する。
ならば元凶もろとも、早急に退散願うのみ。
「――『星』の導く先へ」
カードを翳せば、その象意がタロの脳裏に啓示を与える。
右からはランタンが、左からは機関車の模型が。
自身を狙って飛んでくる様が視える。
その軌道を見切ってタロが移動した先に。
『コレデモ クラエ!』
猛スピードでクローゼットが突っ込んでいく。
大きさと速度が相まって、避け切るのは困難であろうと思われた。
しかし、タロが押し潰されることはなかった。
「さぁ、その手で振り払っておくれ――がしゃどくろよ」
三六の招来した巨大な骨の妖の手に守られたゆえだ。
がしゃどくろ。
戦死者や野晒しの骸骨など、埋葬されなかった骸骨が集まった怪異である。
「……おっと」
骨妖の肩に腰掛けた三六がひょいと身体を傾けると、後ろから飛んできた額縁が脇を掠めて飛んで行く。
その先には、がしゃどくろの手。さっとどかした先には、既にタロの姿は無く。
『フギャッ!』
額縁の角は、手を隔てた向こう側にいたポルターガイストの顔面にめり込んだのだった。
「折角雰囲気のある洋館の内装だし、火矢や塗料を撒き散らすのも……って思ったんだけど」
奥へ進む通路へ踏み込みつつ、タロが振り向くと。
そこには、夜盗にでも荒らされたかのような子供部屋の惨状が広がっている。
「これだけ派手にされるとあまり、変わらなかったかなぁ……?」
「ここまで酷いと、洋風のホラーというよりは事件現場だな」
苦無をそっと懐に仕舞って、三六は仲間を先へと促す。
彼らの去った部屋に、災魔は一体も残ってはいなかった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ルルチェリア・グレイブキーパー
肝試し会場でホンモノが出るなんてね……
そのまま肝試しした方が怖そうだけど、怪我人を出す訳にはいかないわよね。
住んでる子には悪いけど、お帰り願おうかしら。
戦闘中、敵の注意を引きつけるオトリ役になるわ。
ポルターガイストの【テレキネシス(SPD)】に対し、ユーベルコード【骸獣召喚】を使用し、骸獣クルーガーに騎乗し暴れ回るわ
「ごめんなさいね、奥に居る黒くて大きい奴に用が有るのよ。
邪魔をするなら押し通るわよ」
飛んでくる家具を跳んで避けて、そのまま白い少女に飛び掛かるわ
クルーガーのジャンピング伏せ(ボディープレス)を喰らいなさい
最大の目的は、素早く敵を殲滅すること
多少の怪我なんか気にしないわ
アイン・セラフィナイト
ポルターガイストって幽霊の仕業とかっていわれるアレのことだよね?本当に幽霊だったら怖いけど、オブリビオンだって分かってたら問題なし!
【編纂・無銘の書】で敵の『テレキネシス』をコピー、同じく家具を無数に放って相殺するよ!そうやって相手が家具の対処に集中しているうちに、『四精の万年筆』で、通路を駆け抜けながら空間にルーンを刻んでおく。家具がなくなってどうしようもなくなった瞬間、遅効性の魔法の光弾を『属性攻撃・全力魔法』で連続放射するね!
今回、『神羅』の出番はなさそうだね。……そんな不満そうな声上げないでよ。(頭上にとまる八咫烏を見ながら)
●
しばし駆け続けた猟兵たちは、広々とした空間に出る。
どうやら其処はエントランスであるらしい。
真っすぐ伸びる赤絨毯の先に見える扉――あれが最奥部への入り口だろうか。
『ココカラ サキニハ』
『トオサナイワ!』
『ディーフェンス! ディーフェンス!』
確かめるまでもなく、どすんどすんと扉の前に椅子やテーブルが落ちてくる。
家具のバリケードに加えて、両手を広げて猟兵の往く手を阻むポルターガイストども。
立ち入られては困るという証左であろう。
「能力は確かに、伝承のポルターガイストそのものだね」
「ええ。そのまま肝試ししたら怖そうだけれど……」
相対するはアイン・セラフィナイト(f15171)とルルチェリア・グレイブキーパー(f09202)だ。
年少の二人ではあるが、幽霊相手に臆した様子はない。
「怪我人を出す訳にはいかないわよね。悪いけど、お帰り願おうかしら」
「そこを退いてもらうよ、オブリビオン!」
災魔だと分かっているならば、討つ以外の選択肢は無いのだから。
「闇より出でよ! 私の忠実なる骸獣、《クルーガー》!」
ルルチェリアの詠唱に応じ、顕現するは骸の四足獣。
『シンニュウシャ フエタ!』
『ヤッチャエー』
その巨体に警戒を強めたか、災魔どもは一斉にクルーガーに向けて家具を放つ。
「ごめんなさいね、奥に居る黒くて大きい奴に用が有るのよ」
騎乗した少女がぽんとその背を叩くと、骸の獣はひょいと飛び交う家具を避けるように跳躍し、着地の勢いも乗せて駆け出した。
『ハヤイ……!』
『アタレ、アタレ!』
簡素ながらも質の良い作りの椅子が、クルーガーを狙っては躱され、床に叩きつけられては壊れていく。
その破片がルルチェリアを掠めるよりも、獣が敵を捕らえる方が早かった。
「邪魔をするなら、押し通るわよ!」
ボディープレスを諸に食らった数体が、哀れにもクルーガーの巨体の下敷きに。
難を逃れた災魔どもは慌てて、ルルチェリア狙って家具を飛ばそうとするが。
「複製完了――さて、キミらは耐えられるかな? キミら自身の力にね!」
声は最奥の扉の方から、浮き上がるはバリケードを形作っていたはずの家具。
数多の白紙の魔書を侍らせたアインが杖でかつりと床を叩けば、敵の放ったそれを撃ち落とすように家具が次々と飛んでいく。
少女と獣がポルターガイストを引き付けている隙に、少年は仕込みを終わらせていたというわけだ。
仕込みは魔術の複製のほか、もう一つ。
「キミらの術、いただいてくね。お代はこれで」
アインの声に続き、頭上の八咫烏が翼広げて高く鳴くと――エントランスの片隅に、点々と刻まれたルーンが起動する。
『イ、イツノマニ……』
『モウダメポ』
それは、遅効性の魔法の光弾。
全力で放つと同等の威力を込めた光撃は、残っていた災魔どもを跡形も無く消し飛ばしていく――。
光が晴れた後に並び立つは、獣に乗った少女と少年。
あとは扉を開くのみ。
邪魔する者は、もういないのだから。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『オブツダンゴーレム』
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POW : 波羅掌羯底
【巨大な手を用いた掌底打ち】が命中した対象を爆破し、更に互いを【不死者の魂を縛り滅する力を持つ超重力の鎖】で繋ぐ。
SPD : 阿耨体躯
【大戸を閉めた状態】に変形し、自身の【索敵性能及び反応速度】を代償に、自身の【弱点部位を守ると共に、自身の防御力】を強化する。
WIZ : 色即是空即是色
対象のユーベルコードを防御すると、それを【巨大な手で握り潰して“無”に帰した後】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
イラスト:森乃ゴリラ
👑11
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●お手手の皺とかあるんですかね
扉の先の広間には、空間をぐるり囲むように窓がある。
外の景色は昼から夜へ、夜から朝へと絶え間なく切り替わる。
天井には豪奢なシャンデリアが来訪者を迎えるように輝く。
さながら此処は、ダンスホールとでもいったところだろうか。
――その中央には何故か、洋館の空気にまるでそぐわぬモノが鎮座しているが。
黒くて大きなそいつは、猟兵たちを認識すると。
『ウ・ラ・メ・シ・ヤ』
低い声で呟いて、ぎしりと音立て立ち上がる。
黒曜石に似た質の手足は、鉱石系のゴーレムと同じ類の作りだろう。
問題は、本体の方だ。
『ナ・ン・マ・イ・ダ』
その四角い身体は俗にいう仏壇そのものである。
何故、こういったものがゴーレムと化したのか。
何故、こいつがこんなところに沸いてしまったのか。
『ジョウブツ シテネ!』
突っ込みどころは多々あるが、倒さねばならぬということは変わらない。
人命と肝試しの開催が掛かっているのだから。
シン・ドレッドノート
アドリブ連携OK
【SPD】
何と言うか、罰当たりなゴーレムですねぇ…
扉が閉められると手を出しずらくなりますし、先制攻撃させてもらいます!
「貫け、真紅の衝撃!」
扉の蝶番部分を破壊すれば、扉は完全に閉じれなくなるはず…。
クイックドロウで構えた右手の真紅銃と左手の精霊石の銃、マントの下から展開した4対のライフルビットから、フェイントの銃弾に織り交ぜて【真紅の狙撃手】による紅い光弾を撃ち込みます。
その後は敵の行動を阻害するよう、距離をとって味方の援護射撃を行いますね。
敵の動きが弱ってきたら、ライフルビットと合体させたロングソードビットで一閃、クルリと振り返って手を顔の前に。
「南無阿弥陀仏!」
●
罰当たりな。
それがシンがゴーレムに抱いた、素直な感想であった。
『ナンマイダ! ナンマイダ!』
ぶんぶんと腕を振り回し、念仏と思しき文言を繰り返す災魔。
それは猟兵たちへの挑発か、あるいは製作者に設定された威嚇行動なのか。
いずれにせよ、猟兵たちにとってその動きは追い風となった。
狐の紳士が敵に生まれた隙を見逃すはずも無かったのだから。
「貫け、真紅の衝撃!」
叫びと共に、数多の銃撃がゴーレムへと放たれる。
紳士の右手には真紅銃、左手には精霊石の銃。
さらにはマントの下より展開したライフルビットが4対。
狙うはゴーレム本体――無防備に開かれたままの大戸。
ぎぃっ、と軋むような音。
慌てた様子で閉ざされた大戸には、僅かながら隙間が出来ている。
モノクルの奥、赤き瞳をすうっと細め――シンは後ろに跳躍し、再び怒涛の銃撃を繰り出した。
黒曜石の腕を前方で交差させ、災魔は攻撃から身を守る。
そのままの姿勢でシンを目掛け、どすりどすりと駆け出した。
突っ込んでくるゴーレムの巨体を受け止めるなど、たまったものではない。
高く跳躍して華麗に躱し、シンはそのまま災魔の頭へ。
すると、ゴーレムはゆっくりと辺りを見回し始めたではないか。
どうやら攻撃対象を見失っているようだ。
ここまでの攻防によって得た知見を、狐の紳士は反芻する。
一つ。この災魔は防御に優れている。
一つ。本体の大戸の内側を攻められたくはないらしい。
一つ。より防御を固めれば速度と索敵能力が犠牲になる。
同じ戦場に立つ仲間にも、十分にそれは伝わったろう。
では、バトンタッチといこうじゃないか。
再びぱっと跳躍し、シンは自らゴーレムの前に着地する。
敵が彼に気づいた時には、もう遅い。
ソードとライフル。各4対のビットは合体を終えており。
「――……一閃!」
着地の勢い乗せ地を蹴ったシンが災魔とすれ違いざまに、その蒼き刃が黒の巨体を薙いだ。
膝を付いたゴーレムへ向け、くるりと振り返り。
「南無阿弥陀仏!」
怪盗は華麗にポーズを決めて見せる。
紅の影が目を付けたからには、もう災魔は逃れられやしない。
猟兵たちに狩られ、骸の海へ還る運命から。
成功
🔵🔵🔴
アイン・セラフィナイト
な、なんかすごいのが出てきた……アルダワに仏壇ってあったんだね……初めて知ったよ。
握りつぶしたUCを無に帰しちゃうってことなら、そもそも握りつぶせない所から攻撃すればいいかな。
【双翼の聲】で99匹の鴉を呼び寄せる。ゴーレムから距離を保ちながら周辺を取り囲む鴉は、ボクの魔法を発現させるための座標点にもなる。
散った鴉たちから豪雨の如く降りかかる光の魔弾で『動物使い・属性攻撃・全力魔法』だ。ボクの魔弾はUCじゃないし、大丈夫かな?
防御力を上げたなら、【魔烏の看破】で弱点を創り出してみよう。
とりあえず、一緒にいる猟兵さんたちに流れ弾がいかないように気をつけないとね。
(アドリブ、共闘歓迎です)
新山・陽
「お仏壇風のあなたは、ご先祖様を物理的に量産しようとしている。つまりは、そういうことですね?」
状況は概ね理解したつもりだったが、改めて言葉にすると途端にわけがわからなくなるのはなぜだろう……何はともあれ、行動です。
当てられそうな場所を【戦闘知識】で探り「ユーベルコード「凍えた液鋼」」を使用します。できそうなら【援護射撃】として、他の猟兵に向けられた攻撃を阻むよう利用して、もし色即是空即是色で反撃された場合は【見切り】で回避を試みましょう。
「そのつもりはないのでしょうが、肝試しのスタッフを、現地調達しないでいただきたい」
凶暴な仏壇にバチこそ当てども、合わせる手は持ち合わせていないのです。
●
胴に斬撃の跡を残したゴーレムが立ち上がる動作に合わせ、ギギギと軋んだ音がする。
大戸の蝶番部分にダメージが入ったのか、それとも悔し気に歯噛みでもしたのだろうか。
(「まだ敵には余裕がありそう……それにしても」)
警戒を崩さぬアインであるが、やはり突っ込まずにはいられない。
「……アルダワに仏壇ってあったんだね……初めて知ったよ」
きっと神隠しやら何やらの影響で、異世界の物品だの思想だのも流れてきたりするのだろう。たぶん。
「お仏壇風のあなたは、ご先祖様を物理的に量産しようとしている。つまりは、そういうことですね?」
『コ・ロ・ン・ビ・ア!』
状況の確認も兼ねて陽が試しに問うてみれば、災魔は両腕を高く上げてのガッツポーズで応えてみせる。
おそらくは肯定の意と思われるが。
「「まるでわけがわからない(です)ね……」」
女性と少年の声が重なった。
ともあれ、混乱の源には早々に退場願いたいところ。
災魔が体勢を立て直す前に、二人は打って出ることにした。
目標は本体たる仏壇、大戸で守られた内側部分。
「各個体は速やかに、これを解決せよ」
陽の指令を受けて躍り出るは、冷気を纏う鋼球の群れ。
おおよそ140の鋼球の進撃、その第一陣が敵に届かんとした刹那――災魔が大きな動きを見せた。
『シキソクゼクー!』
叫びとともに黒曜石の手が、幾らかの鋼球をぐわしと握り潰し――また開けば、無に帰したはずの鋼球が新たな形を得て顕現する。
陽の操るそれとは異なり、漆黒に塗り固められた球体が。
『ソクゼシキ!』
災魔の取り巻きと化して、猟兵たちへと襲来する!
「なるほど、ユーベルコードの複写能力ですか……」
自身の力を利用されようとも、陽は冷静さを崩さない。
敵の攻撃が仲間を害さぬよう、残った鋼球部隊を動かし守備を固めて時間を作る。
共に戦場に立つ少年が次の一手を繰り出す時間を。
「ならば、ユーベルコードでない攻撃はいかがでしょう?」
「うん、ボクに任せて! ほんの少しだけ、耐えていてね」
アインが己の背丈より少しばかり長い杖を構える――術を行使する準備は万全だ。
「万象馳せる自在の翼、魔を震わす声を以て羽撃け!」
詠唱とともに、戦場をぶわりと風が駆け抜ける。
其処かしこから聴こえる羽音、しかし何者の姿も無い。
少年が解き放つは、99羽の不可視の鴉。
ゴーレムに存在を悟られるより前に、四方八方の包囲を完了し。
「流れ弾には気を付けて」
魔法発現の座標点と成る。
「――撃ち抜け!」
アインが命じ、しゃらりと杖の金の輪を鳴らせば、鴉たちから豪雨の如く光の魔弾が戦場に降る。
漆黒の鋼球を一撃で穿ち、魔弾が捉えるはぽつりと残されたゴーレム。
『キケン! キケン!』
逃げ場が無いと悟ったか、両手をがっちりと組んで防御に徹しようとする災魔だが。
「凶暴な仏壇にバチこそ当てども」
銃撃音。
笠の中央に弾丸を減り込ませ、ぐらりとバランスを崩したまま光の雨に呑み込まれていく。
「合わせる手は持ち合わせていないのです」
呟いた陽の手元には、何処からか出現させた銃が握られていた。
「そのつもりはないのでしょうが。肝試しのスタッフを、現地調達しないでいただきたい」
彼女の声は果たして、雨霰と降り注ぐ魔弾に晒されしゴーレムに届いただろうか。
大成功
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芥川・三六
…洋館のホラーハウス。だったと思うのだが…?これはどう見ても仏壇だな…。
サムライエンパイヤやUDCアースによくあるあれだよな…?
場にそぐわない感は凄いが立ちはだかるのだからとりあえず倒さねばならんな。
UC【舞首の怪】を使用…UCを封じることが出来ればいいのだが。
…もしかしてなんだが俺の技の方が怖いんじゃないか?
後は地道に『狂骨』や苦無で攻撃。
あ、やっぱり俺の攻撃の方がホラーだな。
アドリブ連携歓迎。
ルルチェリア・グレイブキーパー
黒くて大きいお仏壇の、ゴーレム……?
世の中にはそんなのも居るのね
でも、移動する仏壇って結構良いかも
仏壇って重くて持ちにくくて、下手に運ぶと床に傷や凹みが出来るし
引っ越し時に大変なのよ……
戦闘中、敵の死角や射程外からの攻撃を狙うわ
「今よ!取りついちゃいなさい!」
敵の【阿耨体躯】に対し、UC【お子様幽霊たちのお遊戯】を使って、攻撃力を奪い、あわよくば敵のUCを封じるわ
子供幽霊が仏壇の上に乗ったり、隙間から中に入って暴れたり、中の仏像に落書き……は止めさせるわ
「悪いけど、仏壇処分時の儀式は省かせてもらうわ。そのまま壊れなさい」
止めには【サモニング・ガイスト】で古代の戦士を召喚し槍で滅多刺しよ!
●
ここは洋館のホラーハウスだったはずだ。
三六は今いちど戦場を見やる。
晴れつつある魔弾の光の向こうから現れるは、景色が切り替わり続ける窓。
天井には戦闘の風圧を受けてゆらゆら揺れるシャンデリア。
踏み込んだ時点と、それらはほぼ変わりない。
変化があったとしたら、目の前のこいつだろう。
『ウ・ラ・メ・シ・ヤ……』
身体のあちこちにヒビが入った、哀れなお仏壇だ。
「どう見ても仏壇で間違いないよな……。サムライエンパイアやUDCアースによくあるあれだよな……?」
首を傾げるヤドリガミ。
何度見直しても、それは仏壇である。
手足が生えているが、仏壇なのである。
「でも、移動する仏壇って結構良いかも」
一方、ルルチェリアからは目の付け所が違う感想が。
「仏壇って重くて持ちにくくて、下手に運ぶと床に傷や凹みが出来るし。引っ越し時に大変なのよ……」
世の中まあ、そういうのもいるだろうと受け入れたのか。
あるいは突っ込むのを諦めたか。
『ナ・ン・ダ・ト!』
確かなのは、彼女の発言がどうやらお仏壇の気に障ったらしいということである。
「場にそぐわない感は凄いが、立ちはだかるのだからとりあえず倒さねばならんな」
「そうね。オブリビオンには違いないもの」
終わらせよう。このカオスの権化を。
「……小三太、又重、悪五郎」
三六が何者かの名を呼ぶと、背後に控えた絡繰り人形・狂骨がかたかたと嗤う。
すると――壱、弐、参。
まあるい何かが現れて、災魔目掛けて飛んで行く。
ぎしりと身体を軋ませながらも、大戸を閉めてそれを防御しようとしたゴーレムは。
『ヒィィ!!』
明らかな悲鳴を上げて固まった。
「首だけになっても争い続ける愚かな男達の怪異だ……もしかしてなんだが」
そのまま生首の怪異三つとキッスした仏壇は、かたかたと震えて棒立ちになっている。
「災魔より、俺の技の方が怖いんじゃないか?」
「……私、幽霊と仲良しで良かったわ。そう思わない? メイ、マイ、タクロウ」
ねー、とお子様幽霊たちと顔を見合わせるルルチェリア。
もしもホラーが苦手であったら、三六の攻撃は相当に堪えていただろう。
しかし、霊の友達が人よりも多い程の少女と。
「さあ、今よ! 取りついちゃいなさい!」
彼女の友――悪戯好きの幽霊たちにとっては、この状況は好機でしかない。
『ヤ・メ・テ!!』
わらわらわら。
お仏壇に駆け寄った三人の幽霊は、各々好き勝手に遊び始める。
一人は上によじ登り、別の一人は隙間をこじ開けて中に入ろうとしたり。
「この子たちのヤンチャは筋金入りよ。私がどれだけ苦労してるか……あ! 落書きはやめてあげて!」
流石に目に余ると友達を止めるべくルルチェリアが割って入った時には。
『……ギャフン』
大戸の蝶番を完全に破壊されたお仏壇がその場に伸びていた。
哀れ災魔。
最早、何もできまい。
「それじゃ、トドメといくか」
ぎらりと苦無を光らせて敵を見下ろす三六の指示を受け、狂骨が派手な音を立てて大戸をひっぺがしていく。
「悪いけど、仏壇処分時の儀式は省かせてもらうわ。そのまま壊れなさい」
ルルチェリアもまた別の“仲良し”を呼び出して――。
猟兵たちが立ち去ったフロアに残されたのは、派手な戦闘跡のみ。
しんと静まりかえったその光景は、報告にあった動く仏壇よりもよほどホラーであった。
安全確認のために訪れた学生は、後にそう評したという。
大成功
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第3章 日常
『ダンジョンで肝試し』
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POW : グロテスクな着ぐるみで怖がらせる/客として参加する
SPD : 不気味な特殊メイクで怖がらせる/客として参加する
WIZ : おどろおどろしい演出で怖がらせる/客として参加する
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●ホーンテッド・ダンジョン!
「いらっしゃーい、いらっしゃーい! 今年の恐怖は歴代随一だよー!」
フロア入口にて、ケットシーの少女が声を張る。
お化け屋敷の前には、ずらり人々が列を成す。
真剣な顔をした子供たち。
仲睦まじい様子のカップル。
毎年の夏の楽しみなのだと笑う年長の者。
年齢も種族も様々だが、きらきら輝く瞳は同じ。
皆と共に恐怖を味わうか。
或いは恐怖を作り出すか。
さあ、どう過ごそうか――どう楽しもうか?
シン・ドレッドノート
アドリブ連携OK
【SPD】
誰か怖がらせる方に回りたいですね。
カップルで参加されてる方なんか、ぜひ。
「ふっ…心の底から楽しませてさしあげますよ」
変装の技術を駆使してUDCアースで見たことのある邪神に扮して、通りかかった人を驚かします。
ついでに【月下の奇術師】で『手品』をマスターレベルまで引き上げ、その技術で注意を惹きつけて不意をついてびっくりさせたり、何もない所から急にウサギやハト(魔物に変装済み)を飛び出させたり。
驚いて隣の人に抱き着いたり…とか、きっと狙ってる人も多いと思いますので、まぁ、お手伝いさせていただきましょう。
恋人たちのキューピッドになれれば良いのですが。
●
物陰から様子を伺うシンの視線の先には。
竜派ドラゴニアンの青年と人間の少女のカップルが。
歩いてくる二人の表情は、心なしか恥ずかし気。
何とも初々しい様子に、狐の紳士は微笑んで。
「ふっ……心の底から楽しませてさしあげますよ」
客人を歓迎せんと、音もなく近づいていく。
かたり。
「きゃ! な、何かな?」
「……俺から離れるなよ」
物音に足を止め、身を寄せ合う青年と少女。
行く先から姿を現した、そいつは。
「ふふふ……」
金の髪に赤い瞳の貴婦人――シンが変装した怪異である。
白目が黒に反転している以外は、一見すると普通の人間とそう変わりない。
「なぁんだ。これなら、私でも怖く……」
「ああ、全く期待はず……」
ほっと息をついた二人とも、次の瞬間には恐怖に顔を歪めていた。
「あらぁ? どうしたの?」
貴婦人の身に纏う深紅のドレスがぶわりと大きく広がって――無数の赤黒い触手の群れと化して襲い掛かってきたゆえだ。
「「あああああ!?」」
怪異の傍をどうにか駆け抜け、二人は先へと逃げていく。
「ふふふ……逃がさないわ」
放った魔物の群れが、青年と少女の後を追いかけ――。
「UDCアースの邪神ともなると、流石に刺激が強すぎましたかね」
戻ってきた魔物――改め、魔物に扮したハトとウサギを、指でちょいちょい撫でつつシンは苦笑する。
しかし、彼は確かに見た。
青年と少女の手が、強く固く握られているのを。
「恋人たちのキューピッドになれれば良いのですが」
小さく呟いて、紳士は再び闇へと溶けていく。
次のターゲットを逃さぬために。
大成功
🔵🔵🔵
ルルチェリア・グレイブキーパー
折角だから今回は客として参加してみるわ
怖がらせるのも好きだけど、怖い体験をするのも嫌いじゃないわ
幽霊系やちょっとのグロテスクなら平気よ!
霊はまぁ見慣れてるし、本気で殺しに来る相手しか怖くないわ
そういえばグロで使う内臓って市場で仕入れた豚の腸を使ってるって聞いた事あるわ
実際どうなのか興味が有るわね……
突然驚かせる系は全然ダメ……
大体、後ろから叫びながら出てきたらバケモノじゃなくても怖いわよ!
部屋の電気が消えて、電気が付いたら目の前に何か居るとか卑怯よ!(涙目)
角で待って驚かせるのは絶対に許さないのよー!
急に大ボリュームで恐怖を煽る効果音を流すのもダメだわ。絶対ビクッてなるわよ
※アドリブ歓迎!
新山・陽
WIZ
優秀な部下。部下が昔使っていた誘導手段をここで思いつく。
UCで、冷気の鋼弾を人魂班とミニお化け班に分け、薬液の染みた布を巻いて火をつけ、白い布とドライアイスをつけて環境を整えます。
「近くを掠める班と、物音を出す班は状況開始まで待機。標的との接触は避け恣意的誘導に務める。各個体は速やかに、これを解決せよ」
そして追い込まれた客に【忍び足】で近寄ると、そっと声を掛けます。
私は、悪意ある助力で血塗れの糸鋸を持ち、少量の返り血を頬につけてますが、丁寧に接しますので怖くないコワクナイ。 ……ね?
「お疲れ様でした。どうぞ、こちらに」
客の背後&暗闇から現れた私は、アルカイックスマイルを浮かべます。
●
戦うためでなく、客人として。
ルルチェリアは再度、フロアに足を踏み入れる。
ランプで足元を照らしつつ、可愛らしいオバケの看板の示す先に進むと――突如、目の前に血塗れのゾンビが現れる。
しかし。
「あら、よくできてるわね、これ。血糊の色も内臓の造形もリアルだわ」
全く臆した様子もなく、少女は作り物のゾンビを興味津々で観察し始める。
墓の管理を生業とし、物心ついた頃から霊との付き合いもある彼女。
幽霊や少々のグロテスク程度では驚きもしないのだ。
(「そういえばグロで使う内臓って、市場で仕入れた豚の腸を使ってるって……」)
以前に聞いたその話は、果たして本当なのだろうかと。
思考に耽る少女は、気付くことができなかった――いつの間にやら何者かが、自身を包囲していることに。
がたり。
すぐ近くから物音がする。
「……っ!?」
きょろきょろと辺りを見回すルルチェリアだが、何の影も形も捉えられない。
その代わりに。
ひやりと、背筋が寒くなり――続けて音もなく現れたのは、人魂だ。
「な、なぁんだ。これも作り物よね
……!?」
仮に作り物でなかったとしても、霊が相手なら怯える必要もなかろうと。
ふわふわと漂う灯に、少女がほっと息をついた瞬間。
きぃんと大きな金属音に続け、ゾンビが倒れる派手な音。
「きゃああ!」
霊使いの少女の弱点が露呈した。
突然驚かせてくる相手には、まるで耐性がないのだ。
つまり。
飛び退いた先で待ち伏せされ。
「……え」
忍び足で背後を取られ、ぽんと肩を叩かれて。
「お疲れ様でした。どうぞ、こちらに」
暗闇から、返り血の付いたアルカイックスマイルが現れたりなどしようものなら。
――いやあああああぁぁぁぁぁ!!!
「各個体、集合」
少女が全力疾走で去った後で、アルカイックスマイルの主こと陽は鋼弾を集めて仕掛けの整備を行っていた。
ミニお化け班、人魂班とも引き続き運用可能。
布に染み込ませる薬液とドライアイスは、少々の補充が必要か。
「班を分け、標的との接触は避け、恣意的誘導に務める――部下が昔使っていた誘導手段だが、お化け屋敷の仕掛けとしても十分に活用できる。勉強になった」
ゆるりと独り呟きながら、手早く準備を整え直して。
「補給完了。各個体、速やかに持ち場に戻り、状況開始まで待機せよ」
陽自身も血塗れの糸鋸を手に、再び闇へと溶けていく。
次の客人を歓迎するために。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アイン・セラフィナイト
お化け屋敷を楽しむ側も良さそうだけど、ボクはお化け側に回ろうかな。
【幽世の門】の鴉を数匹呼び寄せて、軽度の幻覚をお客さんに見せるよ。
周囲から聴こえる鴉たちの声、夕闇の中の無数の目、足を掴む謎の腕、とか色々とね。
ボクの姿も何かしらのお化けに映るんじゃないかな。
幻覚だから体に害は……ないと思うよ、うん。ね?(頭の上に居座る『神羅』に一応確認)
とはいえ、これで猟兵さんを驚かせたらなんていうか……すごい申し訳ないことをしちゃうなぁ。というか、それで襲いかかられたら全力疾走しそう……。
(アドリブ等歓迎です。)
フロース・ウェスペルティリオ
んー、
怖い事も安全ならば楽しい事、というのも不思議だねぇ。
折角なので、ウチは脅かす側に回ってみるよ。
ブラックタール特有の液状体になり、
参加者さんの後ろからついていったり、先回りして待ち構えたりしている謎な水溜り(黒)って感じかなぁ。
何もせず、ただそこにあるだけかもしれない。
覗き込んだお人と同じ顔(不気味な笑顔つき)が、不意に現れるかもしれない。
足を掴み、引きずり込もうとする無数の黒い手が伸びてくるかもしれない。
全ては気分次第だけど、さて、どれを怖がってくれるかなぁ?
アレンジ・アドリブ等歓迎
●
客人側の視点も気になるところではあるが。
「ボクらはお化け側に回ろうか。ね、神羅」
アインが頭の上に声を掛けると、ちょこんと乗った八咫烏が「カァ」と小さく主に応える。
「んー、怖い事も安全ならば楽しい事、というのも不思議だねぇ」
準備運動をするようにゆるりゆるりと身体を変形させていたフロースが、何者かが近づいてくる気配に気づく。
「早速、お客さんかな。では、ウチは行くね」
「うん、手筈通りに」
ひそひそと言葉を交わし、二人はそれぞれの持ち場に付く。
床に近い位置で揺れる灯は、だんだんと大きくなって――。
「あの二人、今頃は何処まで行っちゃってるかなー?」
てけてけてけ。
入口で呼び込みをしていたケットシーの少女が、独り言全開で歩いてくる。
「あの子も彼も奥手だからなー。こういうイベントって、急接近のチャンスじゃない? じゃない?」
無駄にでかい声、警戒心ゼロ。
「アタシもそのうち、愛する人とかー」
ゆえに、彼女が気付けるはずもなかったのだ。
猟兵たちの領域に踏み込んでしまったことに。
――カァ、カァ、カァ、カァ。
「……へ?」
何処からか響く鴉の声に、少女はランプの灯を巡らせる。
だが、いくら闇を照らせども、何者の姿も捉えられない。
いや、いた。
厳密には、あった。
進行方向に、ぽつりと黒い水溜りが。
「何さ、あれ」
好奇心を抑えきれず、水溜りに近づこうとする少女――その足が、がしりと掴まれ引っ張られる。
「ふにゃあ!?」
転んだ拍子に、少女はランプを取り落とす。
灯は――大丈夫、消えていない。アルダワ印の魔道具様々である。
「痛ったぁ……まったく、ひどい目に遭ったわー」
尻尾をしょぼんとさせつつ、ランプを拾い上げた少女の目と。
闇の中の、無数の目が合った。
「っ!?」
――カァ、カァ、カァ、カァ。
闇の中、鴉の声がまた響く。
かたかたと震えてその場を動けぬ少女の下に、黒い水溜まりがすうっと音もなく寄ってくる。
「……あ、あぁ」
ぎりぎりまで近づいた水溜まりが、ぶくぶくと蠢いたかと思うと。
少女とおんなじ顔が浮かび上がり、涙目の彼女ににかっと笑いかけた。
――やだあああああぁぁぁぁぁ! おうちかえるうううぅぅぅ!!
「すごく怖がってくれたねぇ。でも、ちょっとやりすぎたかなぁ?」
そう言いつつも、フロースは何処か楽し気だ。
先ほどの客人の反応は、なかなかに新鮮であったから。
「体に害は……ないし。大丈夫だと思うよ、うん。ね?」
おそるおそるアインが声掛けるも、八咫烏は首を傾げるばかり。
まあ、きっと大丈夫だろう。
皆、驚かされる楽しみを期待して来ているのだから。
もしかしたら手練れの客人が勢い余って襲い掛かってくる、なんてことがあるかもしれないが。
その時はその時で、逃げるが勝ち。全力疾走だ。
だから大丈夫、たぶん、メイビー。
*****
洋館のあちこちから、また悲鳴が上がる。
しかし恐怖を含みながらも、その声は何処か楽し気だ。
さあ、もう少しだけ楽しもう。
遊び心に満ちた、今宵の闇を。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵