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無情剣鬼

#サムライエンパイア


 剛剣!岩をも砕かんばかりに振り下ろされた刀が、宙に浮く兜の様なあやかしを断ち割った。
 剣客の額には、鈍く輝く黒曜石の角。細身でありつつも凄まじい膂力を誇る羅刹の、剣豪と呼ぶべき男である。
 力強く戦う彼は、多数のあやかしに囲まれつつも、その場を逃げようとする気配は無い。護るべき人が居るからだ。
 その背後には、白無垢に身を包んだうら若き人間の女性。恐怖に震えつつも、こちらも逃げ出しはしない。
 今日、夫となる彼は、今までどんな時でも自分を護ってくれていた。だから、信じている。他の皆が逃げても、自分だけは逃げない。逃げる事は、裏切る事だった。
「聞いていたよりも、剣が鈍いですね」
 そんな二人を、あやかしの囲みの外から眺める女剣士がいた。
 こちらも、若く、美しい。しかし、その心根は……。
「あぁ、護るよりも、仇討ちの方が力を出せるのですね。これは失礼しました」
 何を、と羅刹の男が声を発した時には、女剣士は姿を消している。そして、背後でごろり、と何かが転がり落ちる音。
「これで、実力が出せると言うものでしょう」
 振り向いた男が見たものは、赤黒く染まる白無垢と、女剣士が拾い上げた、花嫁の――。

「好事魔多しとは言うが、そんな一言では済ませられん」
 憤りを隠せぬといった風情で、馮・志廉(千里独行転じて、f04696)は語り始める。

 事の起こりは、一人の剣鬼が己の腕を磨きたいという欲求であった。
 『無銘』と呼ばれる剣鬼は、近隣で剣豪として名を上げて来た羅刹の剣客、『誉丸(ほまれまる)』を斬り、更なる高みを目指そうとした。
 だが、ただ斬るだけでは意味がない。最高の状態の相手を斬らねば。
 そこで、誉丸が祝言をあげる事を聞き知った無銘は、祝言の場を襲って花嫁を護らせるよう仕向け、全力の相手と闘おうとしたのだ。

「より強く。武術を学ぶものならば、誰もが持って当然の欲だ。しかし、その為に道を踏み外すなら、討たねばならん」
 グリモアベースにぼんやりと映りはじめたサムライエンパイアの風景を背に、乗り込む状況を説明する。

 祝言が行われるのは、片田舎の商家である。
 花嫁となる『なつ』は、その材木商、飛州屋の一人娘であり、山暮らしである誉丸の幼馴染だった。
 紆余曲折を経て、誉丸が婿入りする形で夫婦となる事が決まり、商家の中で祝言が行われているのだ。
 そこに無銘が現れ、引き連れた兜風鈴を差し向けて乗り込んだ。親類縁者は突然の襲撃を恐れて逃げ散った。
 誉丸は花嫁を護るために刀を振るい、花嫁は気丈にも誉丸を信じて残る。
 しかし、猟兵程の力を持たぬ誉丸は、到底無銘の相手では無いのだ。
 今からなら、取り返しがつかなくなる前に、間に合う。

 無銘は、剣に、強さにしか興味が無い様子。猟兵達がその力を見せれば、自然と標的はこちらに移る。
「剣鬼を討ち、無事に祝言を上げさせてやらねばな」
 僅かに微笑むと、志廉は転移の準備に入ったのだった。


鉄錆
 鉄錆と申します。
 今回は祝言をあげようとする男女を守り、剣鬼を討って頂きます。

 第一章は、『彼岸の兜風鈴』を相手に集団戦です。広い庭で戦い、夫婦以外は逃げているため、諸々気を使う必要はありません。
 第二章は、今回の黒幕、『剣鬼・無銘』との勝負です。猟兵達の強さを見れば、夫婦は捨て置いて猟兵に挑まずには居られないでしょう。
 第三章は、全て決着した後、戻ってきた飛州屋の人々も含めて、祝言のやり直しです。共に祝うなど、幸せを分かち合います。
 第三章のみ、お呼びが有った時だけ志廉も顔を出します。
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第1章 集団戦 『彼岸の兜風鈴』

POW   :    風鈴の音が響き渡る
予め【風鈴の音を響かせ続ける 】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    風鈴の音が共鳴する
【共鳴振動となる甲高い風鈴の音 】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    風鈴の音が死者を呼ぶ
【黄泉の国 】の霊を召喚する。これは【悲鳴】や【武器】で攻撃する能力を持つ。
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「なつ!皆と逃げろ!」
 一体の兜風鈴を斬り倒した誉丸は、背に護る妻に叫ぶ。このあやかし達が、自分一人の手に余る事を感じていたからだ。
「いや!私は残る。死ぬなら一緒よ!」
 きっと夫を見据え、その覚悟を示すなつ。
 誉丸は感激に胸を衝かれ、更に気合いが充実する。彼女を護るためなら、力が湧いてくる。

 その姿を、剣鬼はやや不満げに、眺めていたのだった。
ユーイ・コスモナッツ
このような残虐非道の狼藉、
捨て置くわけにはいきません
宇宙騎士ユーイ! 義によって助太刀いたしますっ

敵の進路を塞ぐように立ち塞がり
抜剣して構えます

使うユーベルコードは【変光星の第三法則】
まずは攻撃回数重視のパターンで攻撃開始
風鈴の音が響いて戦闘力が増強しきるまえに、
一振り一体のペースで数を減らしてしまいたい

最後に残った一体には、
攻撃力重視の剣筋に変化させ対応
一刀両断に斬り捨てたなら、
首魁であるところの「無銘」に剣先を向けアピールします

曲がりなりにも武芸者を名乗るならば、
高みの見物などしていないでかかってこい!



 騎士道とは。
 慈悲、無私、勇敢。
 それらを至上の美徳として己に課す彼女にとって、このような狼藉、捨て置けるはずも無かった。

「宇宙騎士ユーイ!義によって助太刀いたしますっ」
 正々堂々たる名乗りをあげて、勇敢にも兜風鈴の囲みの中に斬り込んだ者がある。
 彼女の名は、ユーイ・コスモナッツ(宇宙騎士・f06690)。遥か宇宙の時代にあって、騎士の血を、志を受け継ぐ者である。
 その身は夫婦の盾となり、抜き放たれた剣は悪を断つのだ。

 兜風鈴達も、ものは言わぬが突如現れた相手が、強敵であることを本能で理解している。
 りぃん、と涼やかな音が響く。この音が響けば響くほど、彼らはその力を増す。
 その音は次々に伝播し、連鎖反応的にその力を増して行くのだが――。それに手をこまねくユーイではない。
 音の連鎖の中心を見抜くや、軽やかなステップで飛び掛かり、一閃。その風鈴にはざっくりと裂け目が刻まれる。
 深手ではあるが、致命傷では無いか?否。これでは最早、風鈴の音色を奏でる事は出来ぬ。
 彼女の剣は、迅速に、効率的に、鋭く、兜風鈴達に傷を与えて行く。その技術、まさしく正道たる騎士剣術。
 速いだけでは無い。仲間の犠牲のもと、十分に力を蓄えた兜風鈴が一体。
 その力でユーイを黄泉に誘わんと迫るが……。ユーイは、逃げぬ。
 天高く掲げられし、『嘶く天馬』の紋章刻まれし剣を、真っ向に振り下ろせば。
 一刀両断。剛柔兼ね備えるのが、歴史ある騎士の技術の、懐の深さというものだ。

「曲がりなりにも武芸者を名乗るならば」
 見事兜風鈴どもを斬り払ったユーイは、その切っ先を、ピタリと無銘に向け。
「高みの見物などしていないでかかってこい!」
 それは分かりにくいものだったが、目敏いものであれば、無銘に喜色が浮かんだこと、見逃さぬであろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

ガイ・レックウ
【POW】で判定
「その気概…いいねぇ!!ゆえに助太刀する!!」

妖刀・ヴァジュラと炎刀・鬼刃丸の2刀を引き抜き、【先制攻撃】でオブリビオン共を【吹き飛ばし】、オブリビオン共との間に割って入るぜ
「祝いの場に無粋だ、下郎ども!!」

【オーラ防御】によるオーラで防御力を上げつつ、相手の攻撃を【見切り】で避けるぜ。
【残像】と【フェイント】を織り交ぜつつ、【怪力】を乗せた2刀による【2回攻撃】と【なぎ払い】を叩き込む
相手を崩し、ユーベルコード【二天一流『無双一閃』】で斬り捨てる



 突如現れた猟兵に、驚いているのは夫婦の方とて同じである。
 敵味方を判じかね、素早くなつをかばいに入った誉丸に、声をかける者あり。
「二人が互いを想う」
 振り向いた誉丸を飛び越えて、その声の主は敵味方の中に割って入ったのだ。
「その気概…いいねぇ!!ゆえに助太刀する!!」
 声の主、ガイ・レックウ(相克の戦士・f01997)は、その手に妖刀『ヴァジュラ』と、炎刀『鬼刃丸』を抜き放つと、その勢いのままに敵陣に斬り込んだ。

「祝いの場に無粋だ、下郎ども!!」
 凄まじい気合いと共に斬り込むガイに、兜風鈴どもはその戦列を乱される。
 二刀を縦横に舞わせ、その足の進む先、次々に風鈴は動かぬ鉄塊と化す。
 ガイの脅威に対して、取り囲んで挟撃を仕掛けてくる兜風鈴。だが、ガイは、受けない。
 足を使い、目を使い、ほんの僅かの動きだけで、突撃をかわすのだ。その刀は、受けるためにあるのではない。斬るためだ。その証に――。
 すれ違う様に通りすぎて行った兜風鈴は、ガイの【二天一流『無双一閃』】によって、それぞれ二つ、合わせて四つ。
 事も無げに、ガイの二刀は、鉄塊を積み重ねて行く。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神代・凶津
やれやれ、祝言なんてめでたい日に襲撃するとは無粋にも程があるぜ。
そこの羅刹の兄ちゃん、手が足りないようだな。助太刀するぜ。

「いくぜ、相棒ッ!!」
「・・・転身ッ!」
【雷神霊装】、この破魔の力が込められた雷撃を遠慮せずたっぷり味わっていきなッ!

まずは先手必勝、敵の群れに雷を束ねた妖刀の斬撃の放射を叩き込んでやる。
そんでもって高速移動で間合いを詰めて妖刀の一閃でなぎ払ってやるぜッ!

さあ、無粋な客には早々にお帰りいただこうかッ!


【使用技能・破魔、先制攻撃、なぎ払い】
【アドリブ歓迎】



 何者かは判らぬが、兎に角味方ではあるのだ。
 そう確信した誉丸は、心強い思いと共に、その護る戦いを再開する。だが、敵は多い。
「そこの羅刹の兄ちゃん、手が足りないようだな。助太刀するぜ。」
 振り向いた誉丸が目にしたのは、真っ赤な顔に二本角。巫女の装束を纏う者。
 羅刹ではない。その角、黒曜石に非ず。また、声は男性、その身は女性。
 その正体は、神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)。仮面と少女、二人で一人。

 凶津は、厳めしい造形でありつつ、粋を重んじる男である。
 斯様な無粋、見逃せるはずも無かった。
「いくぜ、相棒ッ!!」
 他でもない、自らの身体の役を務める少女、桜に呼び掛ける。
「……転身ッ!」
 桜もそれに答えれば、二人の力は輝きと共に顕現し、その身に纏う霊装と化す。
 これぞ、【雷神霊装】。稲妻による破魔の力。

 その輝きに目を奪われている暇など無い。凶津の刀に込められし電撃の力が、その一振るいと共に、四方八方、兜風鈴共に向けて放たれたからだ。
 まばゆい光の中、自らも稲妻の如く奔る凶津。
 今度は、放つのではなく、妖刀に凝縮されしその力を一閃。
 水平一列、兜は風鈴と泣き別れとなったのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

百鬼・甲一
強きものと戦う…力を、高みを認める…分かる。分かりますよ。それはね。しかし、そのやり方には反吐が出ます。力を奉ずるなら、その理で散るが良い。

風鈴、ですか。その技の起こりが音ならば、対応もかのうでしょう。見切りと勘を合わせて、攻撃を凌ぎつつ隙を見てカウンターをブチ込んでいきます!
誉丸殿にも、なつ殿にも死なれては後味が悪い、御二人を守るように、誉丸殿に助太刀致しましょう。
「お姿を護られるがよろしかろう、誉丸殿。雑兵は我々にお任せを…なに、義によって助太刀いたす、というやつです。」
護ることによって強くなるのは、彼だけではないと見せつけてやりましょう!



 より強く。より高く。
 この男には、十分に理解できる感情だ。彼自身も闘争を求める気質は持ち合わせている。
 しかし。
 すらりと刀を抜き、兜風鈴に向けて淡々と歩みを進めるこの男、百鬼・甲一(不死傭兵・f16959)は、それでもなおこの行為を見過ごすことはできない。
 それは彼の美学とも呼べる感覚であり、その理が行き過ぎた者の末路を、戦場で幾度も目にしているからだ。

「お姿を護られるがよろしかろう、誉丸殿。雑兵は我々にお任せを」
 刀を抜き放てば、夫婦と兜風鈴の間に入るよう歩み。
「ありがたい!しかし、貴殿方は……?」
「なに、義によって助太刀いたす、というやつです」
 二人に死なれては寝覚めも悪いと言うもの。護る強さと言うものを、かの剣鬼に見せてやらねば。

 涼やかな音色が響く。その音が響けば響くほど、あやかし共の力は増して行くのだと言う。
 しかし逆を言えば、自らの“おこり”をわざわざ知らせる様なものだ。
 必ず音が響き、それから来ると言うのであれば、全て撃ち落とすことも叶おう。
 甲一は神経を研ぎ澄ます。耳は当然。皮膚も、鼻も、五感はおろか、第六感もだ。
 鈴の鳴る音の強さ、距離、或いは連携。
 そういうものを考え合わせれば……考える間に、斬った。無心だ。
 一つ。また一つ。全ては、後の先を取るために。
 その太刀筋は数を重ねるほどに鋭く、強く。
 これぞ、『火の太刀』。斬れば斬るほど、燃え盛る。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鞍馬・景正
鴛鴦の門出を悪鬼の所業で穢す――これを捨て置いては鞍馬の家名も我が剣も何の価値もない。

謹んで助太刀仕ろう。

◆戦闘
戦場に到着次第、夫婦に迫る兜風鈴の排除を優先。
救援である事を告げながら、抜刀と共に【鞍切】を見舞い、【早業】の【2回攻撃】でその数を減らしていきます。

周囲が片付いたら、誉丸殿には御内儀と共に下がって頂くよう願いましょう。

後は兜風鈴掃討のため、一太刀一太刀に【怪力】を込め、【鎧砕き】の念と共に打ち下ろす。
鞍切は呼吸、間合、手の内――全てを基本のままに繰り出し、鎧武者を兜から乗馬の鞍まで切断する事すら能う技。

首領めの興味を引き付ける意味でも、惜しみなく披露させて頂く。



「助太刀仕る!」
 目を見張る剛剣を以て、兜風鈴を両断するもの在り。
 由緒を感じられる濃藍染の胴丸具足に清雅なる竜胆色の陣羽織を纏い、威風堂々たる立ち姿の男。
 彼こそは、鞍馬・景正(天雷无妄・f02972)その人だ。
 斯様な悪鬼の所業、彼の武門の誇りが許すものでは無い。
 鞍馬の家名を辱しめず、学びし破邪顕正の太刀にて、真っ向から打ち砕くのだ。

 その太刀筋は、まさしく正剣。
 ただ、振りかぶり、振り下ろす。さすれば、真っ二つ。道理である。
 兜風鈴共の浅知恵で、如何に虚を衝き策を弄そうとも、彼の前では意味を為さぬ。
 強い故にこそ、『正』の字を冠せられるのだ。

「なつ!」
 誉丸の叫びが響き渡る。業を煮やしたか、搦め手として花嫁を襲おうとしたのだ。
 三体の兜風鈴が、重ね連なり襲いかかる。
 誉丸はその前に立ち、懸命に押し止めるが、何時まで持つか……。
 景正が跳ねる。八相に振りかぶり、振り下ろす。
 これぞ、『鞍切』。騎馬武者の、兜を割り、身を断ち、その下の鞍までをも切ると謳われる、必勝の太刀筋。
 果たして、兜風鈴は重ねて六つ。だが、この勢いでは憐れ、誉丸達をも斬り割ったか――。
「かたじけない!」
 誉丸の刀に噛み合う寸前、ピタリと太刀は止まっていた。
 鞍までを斬ってこその『鞍切』。馬まで斬っては名に悖る。
 このような精妙こそ、名門の奥深さと言えよう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

杼糸・絡新婦
夫婦と剣鬼の間に割り込むようにして動く。
出来れば夫婦揃って生き延びる覚悟してほしいんやけど。

んで、祝言の場に
悪趣味無粋もええとこや、面白うないわ。

錬成カミヤドリで鋼糸・ジョロウグモを召喚。
いざ参る、てな。
【フェイント】を入れ、
敵の視線を誘導しつつ、攻撃し切断していく。
近くの敵を絡め取るように拘束し【敵を盾にする】使用。
また蜘蛛の糸のように張り巡らせ
【罠使い】で拘束・切断を試みる。



 泰然自若。まるで散歩にでも来たかの様な気軽な足取りで、彼は夫婦と剣鬼の間に入る。
「悪趣味無粋もええとこや、面白うないわ」
 いやだいやだと無銘の方を蔑んで見せると、夫婦に向き直り。
「死ぬなら一緒ゆうてもね。出来れば夫婦揃って生き延びる覚悟してほしいんやけど」
 猟兵達の登場に、夫婦も既に気力を持ち直している。二人の口から同意の言葉が聞こえれば、かの男、杼糸・絡新婦(繰るモノ・f01494)も満足げだ。

「いざ参る、てな」
 そう言った絡新婦だが、その手には武器らしきものは見えない。
 なにするものぞ、とばかりに突撃する兜風鈴だったが、絡新婦にたどり着く前に、その勢いは消え失せて止まる。
 一方では、絡新婦の正面を避けて大きく回り込もうとした兜風鈴が、何も無いと見える所で、真っ二つに切り裂かれる。
 一体、何が起こっていると言うのか?
 全ては、絡新婦の仕掛けし罠。もしもより注意深く見ていれば、その手から伸びる細い細い、様々に色を変える鋼の糸に気づいたやも知れぬ。
 それこそが、絡新婦の本体たる器物にして、彼のユーベルコードにより複製されし、『鋼糸・ジョロウグモ』。
 気づけば、彼の廻りには幾つもの兜風鈴が、進むもならず、引くもならず、鋼糸に絡め捕られている。
 さながら、蜘蛛の巣にかかり足掻く羽虫の様な――。
 きゅ、と絡新婦がその糸を手繰れば、羽虫のごとき風鈴達は、細切れとなり、ガラガラ落ちたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ウィルバー・グリーズマン
祝言、つまりは結婚ですか。いやぁ、めでたいですねぇ……なら邪魔しちゃ駄目でしょう
さて、今回はちょっと真面目にやりますよ。覚悟して下さい

風鈴が響くと強化されるのですね
では、止めてしまえば何の問題もありません

『マッドネスソーン』発動、風鈴の鈴を粘着化する妨害魔術を使用
そんな物で響かせるなんて無理でしょう?
鈴が本体に粘着すれば、即座に【マッドハッター】発動
宣告するルールは『浮くな』

浮いてたらダメージを受けますし、地面は粘着化させてあります
後は動けない彼岸の兜風鈴を悠々と踏み潰すか、『ブラスト』で始末です



「いやぁ、めでたいですねぇ……」
 パチパチと拍手をしながら軽やかな足取りの、ウィルバー・グリーズマン(ウィザードもどき・f18719)。
 飄々とした風情で注目を集めるその様は、ステージ上の奇術師のようでもある。
 しかし、ともすれば軽薄とも見える、その笑顔の裏にある想いは。

 りぃん、と風鈴が鳴る。その力を増すために。
「なるほど、中々良い音色です」
 ウィルバーは、慌てない。彼の叡智を以てすれば、必ずや状況に応じた対処が可能なのだ。
 彼はその手の魔本を、ぺらりと事も無げに捲る。すると、どうだ。風鈴の音は、ピタリと止んだ。
 無論、兜風鈴が自らの意思で止めたのでは無い。むしろ、必死に鳴らそうとはしている。
 だが、できない。それもそのはず、風鈴達の肉体の、更にその奥の鈴。それが、ウィルバーの魔術によって粘着力を帯びたのだから。
 鈴がべたりと付着してしまえば、もうその音色は響くことがない。

 幾つもの兜風鈴が、その魔術の餌食となる。
 しかし、風鈴の音はならずとも、その身を以てぶつかるのだ。
 意を決してかかる兜風鈴共を、ウィルバーは更なる魔術で包み込む。
「浮くな」
 単純な一言。しかし、その一言で、兜風鈴達はもがき苦しむ。
 それがウィルバーのユーベルコード、『マッドハッター』の力。
 よろよろと地に墜ちる兜風鈴達は、尚も全身を試みる。
 しかし、風鈴をも粘着化させたウィルバーが、その地面を見逃すだろうか?
 浮くもならず、身動きすら出来ぬ兜風鈴が、幾つも転がる事になった。
 彼は、それらに悠々と近づくと――微笑みと共に、足を振り上げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イリス・ウィルター
【地国】として参加
「強い相手と戦いたいと思うのは自然なことだ、でも、こんなの不平等だ」
「宴、今回はよろしく頼むよ。妖刀の共演と行こう」
「前衛として、宴を守ろう。だから、遠い敵は頼んだぞ!」

戦闘中、主に妖刀:紅葉姫を使用して、前衛を務める。
近距離の敵に接敵する。
剣刃一閃にバーバリアンの力を込めて、叩き切る。
その攻撃に生命力吸引を使い、相手を弱らせながら戦う。
最大の目的は、いち早く敵の群れを殲滅すること、その為なら、ある程度のダメージはやむを得ない。

後衛に徹してくれている宴に攻撃が向けられると、かばい、反撃する


宴・段三郎
班【地国】

【目的】
風鈴の鍛刀

【行動】
まずは同行者のイリス・ウィルターと連携して行動する。

使用するのは
号 『化生炉』
号 『酔月』
号 『火雷毒王

先ずは酔月に酒を垂らして飲み、小型の月を浮かべる。【武器改造】で酔月の効果範囲を伸ばし、斬撃性を帯びた月光で敵にダメージを与えイリス殿のサポートをする。

続いて火雷毒王で余りの敵を、イリス殿の後ろから撃つ。その際は【スナイパー】を使用

最後は我が仕事道具、化生炉の力を使いユーベルコード『屍山血河』を使用。風鈴を妖刀へと鍛刀するのじゃ。

なので、まずは後衛としてイリス殿の護衛をする



「こんなの、不平等だ」
 イリス・ウィルター(刀の技を磨くもの・f02397)は、不満の声をあげる。
 彼女にとって、剣豪の剣技は心焦がれるまでに惹かれるもの。故に、強者との立ち合いは好ましい。
 だがそれ以上に、このやり方が気に染まぬ。
「うむ。わしも力を貸そう」
 隣で同意を示すは、宴・段三郎(刀鍛冶・f02241)。若き刀匠である。
 同意はするものの、彼の目的は、少し違う。とはいえ、やることは同じなのだ。
「宴、今回はよろしく頼むよ。妖刀の共演と行こう」
「心得た」
 彼らの刀が、妖しく輝く。

 イリスが動く。彼女が手にするは、妖刀、『紅葉姫』。その幽かに紅く煌めく刀身は美しい。
 だが、それが妖刀たる証に――命を、吸う。
 イリスが刀を閃かせる度、それは兜風鈴の力を喰らうのだ。
 その力と、彼女の剛力が合わされば、兜をも容易に切り裂いて行く。
 多少の傷を受けたとしても、それが何であろうか?
 彼女の本領たる野性的な力が、無数の敵を前に、躍動する。

 彼女がのびのびと前線で活動できるのも、段三郎の援護によるもの。
 彼がその手の大盃に酒を垂らせば、盃は酒を喰らい、空に浮かびもせぬ月を写し出す。
 驚くなかれ、これは刀。妖刀、号して『酔月』という。
 盃を傾ければ、妖しく輝く月の光は風鈴を照らし……斬った。
 その輝きは、斬撃となる。

 遠ければ月光、或いは『火雷毒王』より放たれし刀身が、兜風鈴を貫く。
 近ければ紅葉姫の美しい刀身が、あやかし共を両断する。
 一瞬の隙、イリスの裏をかき、二体の兜風鈴が、段三郎に迫る。
 させじとイリスは飛び掛かり、一閃、斬り飛ばす。
 前衛として信じてくれる以上、この身を挺してでも守らねばならぬ。
 一方、段三郎は微笑んだ。丁度良い、『素材』が飛んできたのだから。
 もう一つの妖刀、『化生炉』を一降るいすれば、兜風鈴はひしゃげ、熔け……。
 その妖力は、兜風鈴を素延べの姿へと変えたのだった。
 或いは時さえあれば仕上げも出来ようが……今は、ここまでといったところか。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

大崎・玉恵
ハレの日を狙うとは、悪趣味極まるのう。
じゃが、敵も運が悪い。何故なら、ここは既に神前だからじゃ!

「そこな夫婦よ、本日が祝言か」
状況確認がてら、夫婦に話しかける。
「ならば今、愛を誓うがよい。……ここは、既に神前故にのう」

わしは尾沙木という地にて、恋愛、多産、豊穣の権能を以て神として社に祀られておる。これほど恵まれた婚礼もなかろうて。

無論、目の前の障害も忘れてはおらぬ。風鈴の軍団は、【式陣・朱天照】でまとめて相手取ろう。
硝子、金属は熱で軟化しよう、音は鳴りにくくなるはずじゃ。

「恋の神の権能を以て、汝らの難を転じよう。参るぞ」



「そこな夫婦よ、本日が祝言か」
 少し余裕が出てきたか。一息ついて、互いに傍に寄り添った誉丸となつに、語りかけたものがある。
 美しい琥珀色の髪や尾をもった、妖狐の少女。大崎・玉恵(白面金毛・艶美空狐・f18343)である。

 突然の事に戸惑う二人。何より、夫婦と呼ばれるのが、何やら面映ゆい。
 なつが、頬を染めつつこくりと頷けば、玉恵は満足げに二人を見比べる。
「ならば今、愛を誓うがよい。……ここは、既に神前故にのう」
 そう。彼女は、恋愛、多産、豊穣の神として、社に祀られる身なのだという。
 誉丸となつには、その真偽は分からない。分からないが、いずれ猟兵達は、自分達の窮状に顕れた救いの神と言える。
 それに、無事に祝言を執り行う事も出来るかどうか、絶対の自信は持てないのだ。ならば。
「うむ。無論、俺はなつを愛し抜く」
「そうね……。死ぬのも、生きるのも。一緒よ」
 夫婦の甘く切ない視線が絡み合えば、玉恵は大いに頷く。
「うむ、うむ。恋の神の権能を以て、汝らの難を転じよう。参るぞ」
 これで心置きなく、悪趣味な連中を退治できると言うものだ。

 ぼう、と火が灯る。それは、一つ、二つ、次々と現れ周囲を煌々と照らす。
 それは、玉恵のユーベルコード、【式陣・朱天照】だ。幾つもの狐火が現れては、するすると兜風鈴の傍に寄って行く。
 りん、と涼やかな音を奏でつつ、狐火から逃れようとするも、狐火はピタリと影のごとく寄り添い、離れてはくれぬ。
 更に風鈴を鳴り響かせ、力を増して逃れようとするが……いつの間にやら、音がならない。
 その熱が、風鈴の素材である鉄を熱し、己が鳴ろうとする力でぐにゃりと曲がるのだ。
 もう、その音は響かない。
 次々と群がる狐火は、幾つもの兜風鈴を、単なる鉄の塊へと変えていったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

リュカ・エンキアンサス
…仲のいいことはいいことだよね。こんな時代だからこそ

とりあえず離れたところから銃で撃つ
安全らしいとはいえ、誉丸さんとなつさんの周りから片づけていって、あとは自分に向かってくるものから優先順位をつけて撃ち落していくよ
他の猟兵たちとも協力して、地道に倒していく事を目指す
やむなく接近されたら、絶望の福音で回避してナイフで応戦する

より強くっていうその気持ち、俺は共感は出来ないけれどもそういう人がいることは知ってる
でもそれは多分、果てがないんだよね
自分が死ぬまで止まらない車輪のようなものだから
難儀だよね、って
風鈴を倒しつつ剣鬼を視界の端に収めながら思う
俺は、なるべくなら戦わず、殺さず済ませたいけれどね


三条・姿見
POW/アドリブ、連携可

祝言の場を乱すとは、作法の分からん連中だ。
招集に応じ、俺も手を貸すとしよう。
それに…誉丸と言ったか。すさまじい闘気、まさしく剛剣…。
…全てが終わった後で構わない。
あの刀、ぜひこの目で確かめておきたいものだ。

敵は複数。最優先は…なつの護衛だ。
【地形の利用】【罠使い】で周囲に【鋼糸】を張り巡らせ
触れた敵を断ち、彼女を守る壁を仕立てたい。

後は早急に敵を狩り尽くすのみ。
【早業】で【撃剣】を複数投擲、風鈴の音を頼りに
狙いをつけての【範囲攻撃】が有効だろう。
無論、味方の背中を撃たないように気は配る。

投射を掻い潜り迫る敵には抜刀し、構えを。
動きを見極め【剣刃一閃】で迎え撃つ。



「作法の分からん連中に絡まれるとは、運が無かったな」
 肩をすくめて、誉丸に語りかけるのは三条・姿見(鏡面仕上げ・f07852)。
 こういう連中を追い払うのに手を貸すのも吝かでは無いし、興味を持った物もある。
 誉丸の持つ刀、その剛剣ぶり。やはり、確認しておきたい。
 が、それは、あの無法者どもを、残らず打ち払ってからだ。
 算段をつければ、姿見の行動は速い。第一手、夫婦の廻りのあやかし共を蹴散らす。
 目標を定めた時、その目標は、何者かによって撃ち抜かれていた。
 振り返ってみれば、そこにはにこ、と微笑むリュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)の姿。考えることは同じと言うわけか。

 やや離れた所から、黙々と兜風鈴を撃ち落としつつ、ちらりと剣鬼を横目に見るリュカ。
 より強く、というその気持ち。自分には共感する事は出来ない。しかし、そういう強い想いがある事自体は、分かる。
 憐れみにもにた視線を送るリュカだったが、やがて、きっ、とあやかし共を見据える。
 こんな時代に、ささやかな幸せがある。小さな種火を風から防ぐように、護るのだ。
 強い意思を持って、『灯り木』を構える。

 リュカの援護を受ける間に、戦う力を持たぬなつの周囲を、鋼糸の防壁で囲んだ姿見。
 既に彼方では、気づかずに躍り出た兜風鈴の一体が、無惨にも鋭い罠の餌食となっている。
 今度は反撃に転じる番だとばかり、撃剣を投擲する。
 次から次に、目にも止まらぬ速業だ。例え姿をその目に捉えられなくとも、姿見の耳には、その風鈴の音がハッキリと『映って』いる。
 遠くば撃剣、近くば一刀、この布陣に隙は無し。
 リュカも、七面鳥を撃つ如く、着実な戦果を挙げて行く。
 兜風鈴もたまらず、接近戦に持ち込むべく、その数を活かしてリュカを取り囲む。流石に全ては撃ち落とせないか。
 しかしリュカは落ち着いたもの。まるで最初からそこに迫るのを知っていたかの様に身をかわせば、するとと抜き出した短刀『散梅』を掲げ。
 自分からナイフの餌食になりに来たのかと見紛うほど鮮やかに、仕留める。
 獲物を仕留めるのに、両断する必要は無い。なるべくなら戦いたくないリュカの、しかし嫌と言うほど染み込んだ技術なのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

バルディート・ラーガ
祝言つーのも、生憎あっしにゃなかなかご縁はございやせンが
ヒトの幸せそなそれを見てるだけで、自然といーい心持ちになるモンです。
そんな大事な祝いを邪魔するふてエヤツ、どころか
念入りにぶち壊して灰と燃やすよな算段たア。ほっとけやせンねえ。

さてさて、まずは風鈴の化物と。こりゃ分っかり易いお相手で。
風鈴が響いて強くなるってンなら、その音が響かなけりゃア宜しい。
普通のヤツでも、外身を指できゅっと押さえちまやア響かねえでしょう。
【咎めの一手】を発動、炎の蛇でもって締めさして頂きやしょ。

強化を封じたら、後は尻尾を使った「なぎ払い」でもって範囲を一掃。
奴らをお二人へ近づけねエよに、牽制に努めやしょう。



 バルディート・ラーガ(影を這いずる蛇・f06338)は、兜風鈴共の前に立つ。
 彼一流の軽薄そうな笑みは絶やさず、しなやかな身のこなし。
 だがしかし。その心中には、紛れもない、人情と言うものがある。
 特に、祝言をぶち壊すような“ふてエヤツ”は、お天道様が許しても、彼は放っちゃおけないのだ。

 兜風鈴は、迫る。りぃん、と涼やかな音を響かせながら。
 バルディートは、その音色に耳を住ます。
 なるほど、コイツが響けば強くなるてェなら……響かなけりゃ宜しい。
 こんなに素直な能力、海千山千経た彼にとっては、いくらでも乗ずる隙があると言うもの。
 例えば。
 ひらりと軽い足取りで、兜風鈴の体当たりをかわせば、すれ違いざまに巻きついたものがある。
 彼の腕を形成する地獄の炎。随分と暗い色をしたそれが、鞭の如くしなやかに伸びて巻きつくのだ。
 それは、普通の風鈴を二指でつまみ、きゅっと――。
「押さえちまえば、響かねえでしょう」
 それはあまりにも単純、かつ確実な解。
 その正しさを証明するように、一帯の兜風鈴に、黒炎の蛇が絡みついた。
 彼の力、『咎めの一手』によるものだ。

「さてさて、どうしましょうや」
 炎に締めつけられて身動きの取れぬ兜風鈴の前で、悠々と尻尾を一振るい。
 弾き飛ばされたそれは、玉突きの如くぶつかり合い、次々と墜落して行く。
「旦那方に指一本、触れられると思って貰っちゃア、困りやすぜ」
 相も変わらず軽薄な口調で、啖呵を切るのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

御劔・姫子
夫婦にとって祝言は一生思い出に残る日…それやのにこないなことするなんてっ!
これ以上は…うちがやらせへんよっ!!

「御劔家第三十二代当主、姫子…義によって助太刀させてもらいますえっ!」

音を出す度に強くなるんやったら、先の先…つまり【先制攻撃】と【早業】で一気に決めたるっ!
風鈴の動きの先を【見切り】、隙をついて…【表奥義・蛟卸し】で【なぎ払い】っ!!

念のため、なつはんが戦に巻き込まれんよう、離れながら戦って風鈴の攻撃はこっちに【おびき寄せ】なっ!
それと誉丸はんとも【戦闘知識】を使って連携してこかっ!

「二人の邪魔は…させへんでっ!」

(※アドリブ等歓迎。余談ですが姫子は結婚願望強めです)



 御劔・姫子(はんなり剣客乙女・f06748)は、怒っていた!
 夫婦にとって祝言は一生の思い出に残る日である。おいそれと他人がどうこうできるものではない。
 ましてや、襲撃などと……。
 いつもははんなりとした風情の姫子も、今日ばかりは。

「御劔家第三十二代当主、姫子…義によって助太刀させてもらいますえっ!」
 夫婦に向けて語りかけ、伝家の宝刀『巌太刀』を抜き放つ姫子。
 頼もしい味方の出現に、夫婦も視線を通い合わせて微笑んだ。
 その様子に、姫子は胸をときめかせ。
 彼女の怒りは、まさに夫婦の邪魔をしたことに起因する。
 いつか自分も素敵なお相手と、と想像の翼を大きく広げる姫子にとり、最も許しがたい事の一つであると言えよう。
「なつはん、必ず守りますえ」

 まずは、邪魔者の兜風鈴を蹴散らすべく、巌太刀を脇構にとる。
 風鈴の音が響けば強くなるならば、その先をとって斬る。
 音は速い。先んじるには、その先を。
 体の動きという先の、更に先。心の動きだ。
 彼女の冴えは、先の先を見切り、音を響かせようと僅かに震えた刹那。
 真一文字。
 剛剣は一閃し、周囲の兜風鈴は薙ぎ払われた。
 これぞ御劔の表看板とも言える『蛟卸し』の太刀。
 振り向けば、誉丸もなつを守るべく刀を振るっている。
 ああ、うちにも素敵なお相手は――。
 明るい未来を思い描きつつ、助太刀に入るのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

天秤棒・玄鉄
 祝い事に横入りたあ、無粋な事しやがんなあ。
 暴れてえなら、暴れさせてやる。俺も喧嘩相手が欲しかったとこだ。
 雑魚散らす間だけ、ちいと待ってな。

 【早業】の喧嘩棒術、颪で【衝撃波】の【先制攻撃】、【なぎ払う】
 動きを【見切って】 ぶん殴ってくぜ。
 怪我も承知【覚悟】の上で【捨て身の一撃】だ。
 あんまり待たせるのも悪ぃだろうよ。

 共鳴振動も芯が砕ける前に、殴って【カウンター】で乱してやらあ。【激痛耐性】で押しきれっかね。
 距離があれば手裏剣を【投擲】で接近する【時間稼ぎ】だ。

 さて、暴れさせてもらおうかい。

 アドリブ歓迎 

 



 無粋である。野暮である。
 もはや粋が服を着て歩いている様ですらある天秤棒・玄鉄(喧嘩魂・f13679)にとって、祝い事に横入りなど全くもって理解ができぬ。
 尤も――相手の人間性がどうであれ、喧嘩の相手をしてくれると言うならば、話は変わると言うものだ。
 ビシ、とその手の喧嘩道具で無銘を指して、喧嘩に名乗りをあげる玄鉄。
「おう、雑魚散らす間だけ、ちいと待ってな」
 鋼作りの天秤棒をぐるりと廻せば、あやかし共の群れに飛び込んで行く。

 ガァン、と金属同士が激しくぶつかり合う音が響く。風の如く疾き足取りで、相手が何かする前に、殴るのだ。
 これが正道の武芸者であれば、相手の隙を見て、機を窺って、とするべきところだろう。
 だが生憎こちらは生まれついての喧嘩師である。
 そんなまどろっこしいこと、しては居られない。
 ならば、敵の攻撃は如何に捌く?無論、貰ってしまう事もある。これはしょうがない。
 殴り、殴られる。それが喧嘩だ。
 それに、この後にはもっと楽しい喧嘩も控えている。

 或いは天秤棒で殴り、或いは拳で叩き伏せ。
 散々暴れまわった末に立っていたのは、玄鉄だ。
 それでも、本人に言わせれば。
「温まって来たな。さて、暴れさせてもらおうかい」

 風鈴の音は、もう鳴らない。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『剣鬼・無銘』

POW   :    魔剣・首刎
【敵の攻撃速度を上回る居合抜きで反撃し、】対象の攻撃を予想し、回避する。
SPD   :    魔剣・千鳥
【極限まで殺意を研ぎ澄ませること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【一瞬で間合いに踏み込み、神速の一閃】で攻撃する。
WIZ   :    魔剣・無銘
【居合の構え】を向けた対象に、【敵の逃げ道を塞ぐように放たれた無数の斬撃】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
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 義によって。無粋。悪趣味。
 無銘には、これほどまでに非難を受けねばならぬ理由が解せぬ。
 まあ、誉丸の様子を見る限り、さっさと花嫁を斬ってしまった方が、力を発揮できていたのだろう。
 それについては、彼に悪いことをしたと、心より思っている。
 武芸者にとって、力を発揮できないのはとても、とても辛い事だ。
 だが、もう誉丸の方は良いだろう。
 己が高みに昇るために、より相応しい者達が現れたのだから。

「貴方方を斬って、私はもう一つ、上へと行きます」
ガイ・レックウ
【SPD】で判定
「貴様を斬る。義をしらず、ただ、外道に落ちた貴様を斬る!!」

ユーベルコード【獄炎解放『爆心』】を発動し、2刀を構えるぜ
【オーラ防御】により防御力をあげ、【戦闘知識】で相手を見極めつつ、攻撃を【見切り】で最小限のダメージに抑えるぜ。
【残像】と【フェイント】を織り交ぜ、【怪力】で炎を纏った2刀をふるい【2回攻撃】と【なぎ払い】、【鎧無視攻撃】で連続して攻撃するぜ!!

『貴様にはわかるまい…守るものがある事の強さを!!』


杼糸・絡新婦
噛み合っとらんなあ、
なんの高みやねん、それ。
ほな、自分も相手してもらおうか。
斬るんやろ、ほなこいや。

他者を【かばう】ように前へ出る。
【フェイント】を入れ、こちらへ攻撃を誘発、
ある程度、受けるのも覚悟の上で、相手の動きを見、
【見切り】でギリギリの回避を狙うと共に
鏡返発動。
カウンター攻撃を叩き込む。

お前が上に行きたいなら、下に叩き落としたらあ。



「貴様を斬る。義を知らず、ただ、外道に落ちた貴様を斬る!!」
 目的の為には、弱者が犠牲となっても省みない。ガイが憎む外道の姿。まさしく、目の前の剣鬼がそうだろう。
「またそのような事を……。私は剣の道から一歩たりとも外れてはいません」
 不可解は、不愉快へと変わったか。無銘の視線は険しく、睨み付ける様だ。
「より高みへ。それこそが、剣の道」
「噛み合っとらんなあ。なんの高みやねん、それ」
 文字通りの“話にならない”様子に、絡新婦も肩を竦め。
 何れにせよ、言葉では、如何ともし難い。

 ガイが二刀を抜くと同時に、その身は火焔に包まれる。それは妖刀に込められし怨嗟の炎。
 その炎を開放し、身に纏うこの技は、【獄炎解放『爆心』】。強力な炎は敵を討つばかりか、己をも焼く。ガイ自身の精神を象徴すると言えよう。
 並び立つ絡新婦は、するりと前へ歩み出ると、挑発的に笑む。
「斬るんやろ、ほなこいや」
 その言葉を切っ掛けに、火蓋は落とされた。

 瞬間、絡新婦は、腕に熱を感じた。
 斬られた?全く反応できなかった訳では無い。回避行動がなければ、腕を切り落とされていたか。
 確認すれば、僅かに皮膚を裂かれたのみ。
 この速さ。しかし、この速さだからこそ、自分の狙いは効果があるだろう。
 今は、見る。目を慣らせ。肌で感じろ。窺う機は、必ず訪れる。
 絡新婦が機敏な動きで引き付ける間に、ガイもまたその二刀を以て剛剣を振るう。
 しかし、爆炎の如きその斬撃の間にも、無銘は受けて、更に一閃を返してくるのだ。
 こちらは二刀、相手は一刀。それでも、その剣速は引けを取らぬと言うわけか。
 望むところ。速さで負けるつもりも無し。
 激しい剣戟に、浅手とはいえ、ガイの血飛沫も舞う。炎の様に、熱い血が。

 機会は、突然訪れる。否、常に機を窺い、一瞬を逃すまいと全てを投じた絡新婦が、引き寄せたのだ。
 回避は、回避のためのみにあるのではない。常に、攻撃の準備を伴ってこそ。
 ガイの炎刀に煽られて、無銘が僅かに体勢を崩した隙。仕掛ける。
 とはいえ、多少無理な体制からでも、剣鬼は返す。――否、誘われたのだ。
 注意が散漫となった無銘の太刀に、十分に目を慣らしていた絡新婦の『鏡返』が放たれる。絶妙のタイミングで鋼糸を以て放たれたそれは――。
 同時。
 ガイとて、見逃しはしない。極限まで高められた反射速度、そしてそれに頼らぬ剣士としての読みが、剣鬼の隙を捉えた。
「貴様にはわかるまい…守るものがある事の強さを!!」
 炎を伴った二刀を水平に薙ぎ払う。逃げ場無し!
 飛びすさる無銘。
 残るは飛び散る血と、肉の焦げる匂い。
 いずれも、剣鬼からのものだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ウィルバー・グリーズマン
成程、武を高めて強くなりたいと
いいでしょう。暇ですので、剣鬼と同じ土俵に上がります。魔術も魔法も使わずに、物理のみで戦いましょう
……あ、別に舐めている訳じゃありませんよ?
僕は物理戦闘も強いのでね

【魔本を振り回す】鎖鎌の様な戦闘スタイルで行きましょう
此方から剣鬼には近付きませんし、近付いてきたら距離を取ります
遠距離から魔本を叩き付けましょう

当然、居合で反撃するでしょう。が、近距離に居ない限りは僕に当たりませんので、ダメージはありません
それならば魔本か縄を狙うでしょうが……魔本は異様に堅いですし、縄は切れないんですよねぇ、これが

抜き終えた居合刀に縄を絡めて、反撃に反撃しましょう
ね、凄く痛いでしょう


両角・式夜
あーね!わかる、わかるぞ、強者と殺りあいたいなら雑魚や縁ある者から先に片付けたい気持ち!でも脅すと動きが単調になたっり鈍るんだよな!難しい!
わしも常々思うが、同業者と一緒に戦うよりも一人で渡り合える様になりたいものだな!
それはそれとして使える物は使うがな!

君は速度に自信があるのかな?
であれば行幸!
丁度、わしも速い者との戦い方を模索していた所なのだ。

致命傷以外は【激痛耐性】堪えられるかな?
いやぁ、相手が力型で無くて良かった
直ぐに片腕持っていかれるからな
【戦闘知識】で空気の流れの読みや出来る限りの相手の動きを予測、からのカウンターを試してみたいな!


(アドリブ&共闘歓迎です)



 すぐさま体勢を立て直した無銘に、高速で飛来する影。
 居合で迎え撃ち、斬……れない。硬質の感触に、柄を握る手も痺れる。
 何か、と周囲を見回す無銘の目が捉えたのは、遠方のウィルバー。奇っ怪な事に、書物に縄をくくりつけた物を、鎖分銅の如く使っているものらしい。
 いや、それよりも、だ。あの男、先程は魔術を用いていたはず。使わずに、あのような。この私を――。
「……あ、別に舐めている訳じゃありませんよ?」
 察したか、飄々と答えるウィルバー。無論、魔術は使える。しかし、だからといって、それしかできぬ訳ではない。
「僕は物理戦闘も強いのでね。それにこの本、凄く硬いんですよ」
 この間合いでなら、一方的に攻めることができるはず。
 魔本が、毒蛇の如く襲いかかった。抜いた所に絡みつかせれば……。
 しかし、絡みつこうにも、そこに刀身は無かった。
 抜く手を見せぬは尋常。剣鬼は、納める手も見せぬ。
 鋭く迫る魔本を逐一迎撃しつつ、間合いを詰めんと迫る無銘。根気が尽きた方の負けか。

 均衡を崩すのは彼女。両角・式夜(銀錫赤竜・f01415)だ。
「わかる!わかるぞー!」
 朗らかに笑いながら、抜刀する式夜。
「でもな!脅すと固くなって単調になったり、鈍るんだよな。難しい!」
 戦闘中ではあるが、我が意を得たり、とでも思ったか。
「おや、話せる方ですね。あちらを片付けてから、剣の方でも語りましょう」
 そう微笑むと意識をウィルバーに戻そうとするが。
「わしも常々、一対一で渡り合いたいとは思っている」
 そう言って息を吐くと……いきなり斬り掛かった。
 それとこれとは別。状況を活用するのも、強者の条件と言うものだ。

 これで無銘は、魔本と太刀の双方を相手取る事となった。しかし、流石は剣鬼。この状況においてその太刀筋は益々冴え渡り、一歩も譲らない。
 これを目の当たりにした式夜は、喜悦の表情を浮かべる。
 自分が求めていたのは、まさしくこの剣速だ。これを攻略する方法をこそ、模索していたのだから。
 式夜も縦横に太刀を舞わせるが、剣速ではあちらが一枚上手か。既に、こちらは腕に手傷を負っている。
 が、腕は残っている。致命傷ではない。
 致命傷では無いが、勿論激痛である。
 しかし、激痛ということは、問題ないと言うことだ。痛いと感じるうちは、生きているのだから。戦えるのだから。
 血が滴る間にも幾太刀も交え、見出だした隙。
 魔本が背後から迫り、首を傾げて避けた瞬間、甘い抜刀が来た。
 その返事には、自身の最高の剣速、威力の一刀。
 火花を散らして弾かれたのは、無銘の刀。
 鞘に戻さんとする無銘の刀を、ウィルバーの魔本が阻害した。
 くくりつける縄が、刀身に絡みついたのだ。
 そこを支点に回転した魔本は、剣鬼の腹部を打撃する。
 その衝撃は、腹から背へ――。
「ね、凄く痛いでしょう」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

百鬼・甲一
彼らは、無事逃げましたか…まぁ、実のところ貴女を非難できるような生き方をしてきた訳でもないのですけどね…まぁ、もはや言葉は不要でしょう。

「これよりは、刃身で語らせて頂く…依存はないでしょう?」
答えを聞く前に、抜き様の打刀によるUCを打ち込みます。
敵の反撃、居合いには見切りと第六感で凌ぐ。一太刀目が迎撃されたなら、左手でマチェットの二撃目をすかさず叩き込む。(カウンター、二回攻撃)魔剣、無銘…これが切り札、ですかね?逃げ道を塞ぐ斬撃ならば、
逃げず斬り込むのみ…オーラを防御を纏い、激痛態勢で耐えながら、力を溜めたUCの一撃を打ち込みます。「一撃、馳走…!」


神代・凶津
おうおう、物騒な姉ちゃんだな。
どうやら高みに昇るためなんて目的のためにやって来たらしいが、そんなに昇りたいなら昇らしてやるよ。
高い高いあの世って所までなッ!

雷神霊装を二ノ型にかえて引き上げたスピードで先制攻撃だ。破魔の雷撃を纏った突きをお見舞いしてやるぜッ!
そのあとは、引き上げたスピードと反応速度を駆使して奴さんと斬り結ぶぜ。
隙があれば上げた反応速度で敵の攻撃を見切りカウンターをぶちこんでやる。

俺達の妖刀も『無銘』だ。
同じ名無しの刃で断ち斬ってやるよッ!


【使用技能・破魔、先制攻撃、見切り、カウンター】
【アドリブ歓迎】



 甲一は、抜かり無く夫婦を一時避難させていた。
 誉丸は剣客として悔しさも滲ませていたが、今はなつを守るが先決。
 了承して、安全な所まで移動したのだ。
 それを確認すれば、無銘に声をかける。
「まぁ、実のところ貴女を非難できるような生き方をしてきた訳でもないのですけどね……」
 やや複雑な面持ち。
「ケッ、それにしたってこの姉ちゃん、物騒が過ぎるぜ」
 凶津は先の戦闘で作り出した雷神霊装を保っている。常に戦闘に応じる事ができた。
「そんなに高いところが好きなら、昇らせてやるよ。高い高い、あの世って所までなッ!」
 凶津と桜、二人が意を合わせれば、霊装は更なる力を獲る。
 顕現せしは、雷神霊装・二ノ型。強みであった速度は、更に増している。
 それを横目に見る甲一も、最早言葉は不要とばかり。
「これよりは、刃身で語らせて頂く…依存はないでしょう?」
 答えは、聞かない。

 彼らは、同時に攻めかかった。
 速度では、凶津。稲妻の力を纏い、それ自身が雷撃の如き、撃突の一刀。
 重さでは、甲一。必ずや敵を焼き尽くさんとする、必殺の初太刀。
 剣鬼は、苦痛に顔を歪めながら、いずれも、捌く。手負いの獣は、恐ろしい。
 しかし、それで攻め手が無くなるような両者では無い。むしろ、ここからだ。
 凶津の雷神の力は、更に輝きを益す。
 反応速度の上昇こそが、二ノ型の妙。食らいつき、応じる。いや、越えて見せねば。
 甲一も、初太刀がいなされたと見るや、間を置かず左手でマチェットを抜き放ち二撃目を叩き込む。
 形には拘泥しない、戦場で磨かれた実戦の強かさ。
 無銘も、既に余裕は無い。この両者を斬るには、更なる速い斬撃を――。
 もはや、彼女を中心とした閃光としか見えない。
 その斬撃は、上下左右、逃げ場も隙間も無くなるような手数で放たれ続けている。

 二人は、一々防ぐ事を、諦めたのだった。
 だがしかし、それは敗北の覚悟ではない。むしろ、勝利への一筋の光明。
 いずれ逃げ場が無いのなら、逃げず退かず、進むのみ。
 致命の太刀のみを凌ぎ、残りの全てをただ一刀へ。
 そして同じことを狙っていた二人にとっての好機は、当然同時にやってくる。
 血を流しつつも、前へ。前へ。そして神速の、そして必殺の、一刀!
 剣の圧力に依って敵を退かせる事こそが極意の魔剣にとり、このような事は不測。
 辛うじて刀と鞘とで凌いだ無銘だったが、激しく吹き飛ばされ、大木にその背を打ちつけるのだった。
 彼女の魔剣、その名も『無銘』を打ち破りしは、奇しくも“無銘”の刀二振り――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鞍馬・景正
兵法は"思無邪"を以て本と為す、と我が剣師が語られた事がある。

貴殿の剣が誰かを斬る道と申されるなら、私はただ打成一片と化し、武士の徳として学んだ術理で阻むと致そう。

◆戦闘
真っ直ぐ無銘殿の元へ。
一足一刀の間合を踏み越える瞬間、【無明剣】にて一切の雑念より蝉蛻。

無心の【見切り】にて太刀を躱しつつ肉薄し、【怪力】による【鎧砕き】の打ちを。

居合にて反撃に挑まれるならば、その柄を握る腕首を狙わせて頂く。
相手の身から最も遠く、此方に最も近く、脆く、狙い易く、そして剣術者にとっては心臓より大事な其処。

一閃の交錯の後、無我より醒めて血泥に伏しているのはどちらか――何であれ、習い覚えた技にすべてを懸けるのみ。



 兵法は"思無邪"を以て本と為す。
 師がそのように語っていた事を、今更ながらに思い出す景正。
 言うは易し、行うは難し。だが、それを行ってこそ、目の前の剣鬼を打ち破る事が叶おう。
「貴殿の剣が誰かを斬る道と申されるなら、私はただ士道の、その術理で阻むと致そう」

 兵法においては、広く語られるものではある。
 ある流派では、無念無想。
 ある流派では、夢想剣。
 景正が学びし流派では――『無明剣』と言う。
 一足一刀の間合いに入れば、ただ打成一片と化す。
 一足一刀と言っても彼女の間合いは広い。ただ届くというのみなら、既に間合いだ。
 しかし、見て、防ぐことが叶わぬ間合い。それこそが、勝負すべき間合い。
 じりじりと間を盗み、遂にその間へ。
 打成一片。できるか?……ままよ。できねば、死ぬのみだ。
 そして景正の思考は、ここまでとなった。

 ここからは、景正もハッキリとは覚えていない。夢現の中に、彼は術理そのものとなるのだ。
 幾度かの交錯。刃が噛み合う事もあり、鎧の上から撃たれる事もあり。
 無心の中にも、致命の一撃は避けている。日々の鍛練の賜物だ。
 敵も、その太刀筋は万全の状態には及ばない。
 必ずや斬れる。斬る。斬る。斬る――。

 ふと醒めた時、景正は膝を着いていた。首を確かめれば、繋がっている。
 激しい斬撃を兜で受け、脳が揺れたか。
 ぐるりと振り向けば、無銘は立っている。
 しかし、彼女の手からは血が迸る。
 剣鬼は、剣客の命とも呼べる右手首を、失っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リュカ・エンキアンサス
上って何だろう
とりあえず相手の口上や心情に付き合ってあげる必要はないから、なるべく遮蔽を取ることを意識しつつ銃撃を続けるね
相手がこちらを認識したら、魔剣・千鳥を意識する
殺気を感じれば、その前にUCで撃ち抜く
一瞬で間合いに踏み込んでくるということを
知っているなら、相手がどこへ飛び込んでくるのかは解るはずだから、
対処できないことはないよ
多分

…そうやって、強さに取りつかれた人をたくさん見てきた
あなたたちは、世界で一番強くなったそのときは、一体今度は何を目指して生きるんだろう
その気持ちは、きっと永遠に満たされない
報われない
可哀想だとか、そういうんじゃないけれど、
なんだかほんの少し、もやもやするんだよな


ユーイ・コスモナッツ
数合打ち合うだけで分かる
剣の技量だけでいえば、無銘のほうが数段上

だけどそれでも、正々堂々五分の条件で――
……いや。違いますね
正々堂々、『全力で』お相手しなくては

非礼を詫びつつ、
「シールドバッシュ」で強引に間合いを離して、
その隙に反重力シールドに飛び乗って急上昇

上空から【彗星の重力加速度】を仕掛けます
【魔剣・首刎】と互いの奥義で真っ向勝負っ!

反撃の居合抜きに、
最高速度の急降下攻撃をぶつけて、
その太刀もろとも一刀両断!

失敗すれば大自爆ですが、
それを恐れてはあの太刀筋には勝てませんし、
そんな躊躇を見逃す無銘ではないでしょう
「勇気」が最後の決め手ですっ!



 右手を失いし剣鬼は、死したるも同然か?
 否。
 彼女は、素早く鞘を右腰にすげ替えると、己の右手を柄から引き剥がし、放り捨てた。
 左手で、戦うのだ。
 強くなるために、全てを捨てた。拘りは捨てねばならぬと、師も斬った。
 右手が無くなった如きで戦えなくなるような修行はしていないのだ。
 戦えなくなることなど、あってはならないのだ。そうでなくては。
 無銘は、鬼の形相で斬りかかる――。

 正道を重んじるユーイも、認めざるを得ない。
 利き手ではない腕で、利き手と同等、あるいは凌ぐのでは無いかというほどの剣を、無銘は遣う。
 たった数合打ち合っただけで、その技量に及ばないとユーイは悟る。
 この様な、手負いでありながら……。正々堂々、五分の条件であったなら……。

 銃声が、その思考を掻き消した。
 剣鬼が何を語ろうと、如何に悲壮であろうとも。リュカがやることは、変わらない。
 基本に忠実。敵に対し射線は確保し、遮蔽を取り。
 その手の銃で、最も効果的に、撃つのみだ。淡々と、粛々と。
 リュカを認識した無銘は、その矛先をリュカに向ける。ここからでも十分に、届くのだ。
 しかし踏み込もうとする度、リュカによって撃ち込まれる弾丸が、その機を失わせる。力を、祈りを砕く、星の弾丸。
 リュカを睨み付ける無銘。その目に対し、リュカが想うは。
 この目。強さに取り憑かれた目。今までにも、何人も、何人も見てきた目。
 仮に一番強くなったら、後はどうするのか?そもそも一番など存在するのか?彼らに、報われる日など来るのか……?
 心の靄を、リュカは語らない。語らないが、その心に抱えてしまう。
 抱えながら、撃つ。強さの果ての、終わりなき螺旋。
 きっと自分はそれに替わる何かを、見いだせると信じて。

 お陰で目が醒めた。相手の手負いを、無意識に気にしていたか。
 五分の条件で、等と、あまりにも非礼。
 他の全ては認められなくとも、ただ技量という一点において認めるべき相手に、それは無かった。
 己のすべきは、正々堂々と、『全力で』だ!
 牽制の射撃で姿勢が崩れたところを、盾で押し飛ばして間合いを取る。
 そのまま大盾、『反重力シールド』に飛び乗れば、空高く舞い上がるユーイ。
 これが、自分の全力。歴史ある騎士の剣術と、最新テクノロジーの融合。
 盾の上で騎士由来の典雅なる
礼法をとれば、構えて。太刀もろとも両断するか、自分の首が飛ぶか。
 真っ向勝負!ユーイは、一筋の彗星と化した。

 無銘は迎撃の構え。無論、居合だ。
 呼吸を整え、神速の抜刀が、鞘走る――その、瞬間。
 抜き放つ途中の刀身を、リュカの弾丸が、捉えた。
 あらゆる幻想を打ち破るそれは、無銘の信念の象徴たる刀に、ヒビを入れ。
 そのまま突撃してきたユーイの剣と、撃ち合わせたのだった。

 折れ飛んだ切っ先が、地に突き立つ。
 何よりも強さを渇望した剣鬼は、斃れた。
 彼女が求めた高みにはたどり着くこと無く……結末は、今まで切り捨ててきたものたちと同じ、血泥に塗れた地面の上だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『まことめでたき祝言を』

POW   :    忙しい裏方を手伝う

SPD   :    参列して場を盛り上げる

WIZ   :    歌や踊り、芸事で祝う

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

 ガヤガヤと、賑やかである。
 つい先程、あのような事が有ったのが、嘘のよう。
 慌ただしく、再度祝言をやり直すべく、準備が進められているのだ。
 飛州屋の面々や、誉丸はなつを案じて後日を提案したものの、なつは聞かない。
 今日やらねば、なにやら負けたようで嫌だという。
 強情だが、そこが皆に愛されてもいた。
 そして理由はもうひとつ。
 救い主である猟兵達を、祝言と合わせて、料理に延会、総出でもてなそうと言うのだった。
三条・姿見
※アドリブ可

ことが無事に成ったようで何よりだ。
…なつという人物、思う以上に剛毅なようだ。
きっと似合いの夫婦になるのだろう…

さて。宴のこの折にすまないが…此度、誉丸に折り入って頼みがある。
先の戦い、護るための太刀筋…剛剣、実に見事なものだった。
【礼儀作法】に則り願い出よう。
探しているあの一振りではないものか、どうしても確かめたいのだ。
件の刀…是非一度、実物をこの目で改めさせて貰いたい。

承諾を受け、刀身を鞘に納めた後は心より感謝の言葉を。
やはり、俺の知るものではないようだ。
…だが、またとない素晴らしい名刀に違いない

この刀、そしてその腕前が、どうか家を護るためのものであってほしい。
…俺からの願いだ。



祝言の儀礼自体は、厳粛に、静粛に、恙無く終える事ができた。
 そして、ある意味ではこれからが本番とも言える、両家お近づきの宴会が始まっていた。
 とはいえ誉丸、天涯孤独の身の上であった。
 そのため、形見の刀を親の席に置き、ひたすら飛州屋の面々に酒を注がれていた。
 そんな彼らを見つめる姿見。とかく円満な様子に、戦いのかいがあったものだと安堵するのだった。
 それに、なつという人物、見かけ以上に剛毅とみえる。そう思えば、彼ら夫婦、まさに好一対であると、微笑むのだった。
 しかし、それはそれとして。彼には、確かめずにいられない事がある。
 誉丸の親代わりである、刀だ。

「折り入って頼みがある」
 その佇まい、礼法にかなった仕草、ただ恩人であると言うのみならず、彼らの背筋を伸ばさせるものがあった。
「恩人殿の言うことならば、如何様にも」
 既に酒気を帯びる誉丸も、無礼の無いよう応対し。
「どうしても探さねばならない刀がある。その刀、この目で確かめさせては貰えないだろうか」
 心よりの頼みに、素直に応じる誉丸。恩人の頼みに、何を迷うことがあろう?

 刀に傷も汚れもつけぬよう、姿見は繊細に刀を鑑賞し、そして確信した。
「やはり、俺の知るものではないようだ」
 丁重に返せば、やはり安堵の色は見える。
 そして姿見は、その名刀ぶりや当人の剛剣ぶりを讃えた。そして――。
「この刀、そしてその腕前が、どうか家を護るためのものであってほしい。……俺からの願いだ」
 羅刹の花婿は無論と返し、剣談に花を咲かせたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神代・凶津
(宙に浮きながら他の参列客と祝い酒を呑みあって陽気に盛り上がっている鬼面と少し離れてやれやれと見ている巫女の少女)

いや~ッ!こんなめでたい日に呑む酒は格別だなッ!二人の前途を祝してかんぱ~いッ!

「・・・余り羽目を外しすぎないように。」
わかってるって。堅いこと言いっこなしだぜ相棒ッ!


【アドリブ歓迎】



「かんぱ~いッ!」
 本日何度目であろう?乾杯の音頭が響き渡る。
 座の中心に陣取る――もっとも、宙に浮いているのではあるが――は、凶津。
 飛州屋の男衆に取り囲まれ、やいのやいのと騒がしくも陽気に酒を楽しんでいた。
「いや~ッ!こんなめでたい日に呑む酒は格別だなッ!」
凶津が注がれた酒を一口に飲み干せば。
「いや~ッ!兄ちゃん!嬉しいことを言ってくれるじゃねぇか!」
 杯を乾かすまいと、次々に酒は注がれて行く。
「二人の前途を祝してかんぱ~いッ!」

 陽気な男どもを冷静に、やや呆れたといった面持ちで眺めるのは、凶津の相棒である少女巫女、桜。
「……余り羽目を外しすぎないように」
 果たして凶津を心配したものか、めでたい席をぶち壊さぬよう心配したものか?
 つんと言ってのけたところ、凶津は妙に殊勝になり。
「わかってるって。俺ァもう、嬉しくてなぁ……」
 しみじみと語る凶津に、桜も絆されたか――。
「だからなァ……もう一杯だ!かんぱ~いッ!」
 じと、と見やる桜を尻目に、全力で呑み騒ぐ凶津。
 こういう時はな、堅いこと言いっこなしだぜ相棒ッ!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ガイ・レックウ
【POW】で判定
「さあ、てつだっていくか!!」

忙しい裏方の皆さんを手伝うぜ!!重いものを運んだり、料理を準備したりと頑張ってやっていくぜ!!
「二人の門出にふさわしい祝言にしないとな!!」
猟兵としてこんなめでたい場を守れたことを誇りに思うぜ



「さあ、手伝っていくか!」
 剣豪が真剣勝負に望むが如く、裂帛の気合いと共に、それは始まった。
 もとより飛州屋は大店であり、今回の祝言に招かれた縁者は多かった。
 自然、料理や酒の量も多くなるというわけだが。
「恩人殿、そのような事をなさらずとも!」
 台所を仕切る用人が宥めたのも無理はない。単純に恩人を働かせる訳には、という思いが一つ。
 そして、もう一つの理由は、ガイが運ぼうというその量だ。
 右手には、料理を乗せた膳が天井に迫るほど。
 左手には、酒を乗せた膳をゆらゆらと。
 それぞれ重ね積み、一挙に運ぼうと言うのである。
 その重さもさることながら、最も難しいのは均衡を図ることである。普通であれば、とても維持など出来ないが――。
 そこはガイ。二刀を軽々と使いこなす男だ。その剛腕も勿論だが、その真髄は全身のバランス感覚に有り。
 神業とも言える巧みさで、危なげなく運んでいったのだった。

「ありがとうございます。しかし、ここまでやってくださるとは……」
 笑顔で振り返り、己が猟兵として、このめでたい場を守れたことを誇りに思うと語るガイ。だから。
「二人の門出にふさわしい祝言にしないとな!!」
 その力強い言葉に、用人も涙ぐむのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

杼糸・絡新婦
まあ、あそこで避難せえへんぐらいなんやからなあ、
中々の豪胆というか、強いてこういう事なんちゃうかなあ。
・・・場合によっては尻に敷かれそうやん。
それだけ思い思われてるてことかな。

参加させてもらうついでに、
【パフォーマンス】でカラクリ人形のサイギョウを踊らせて
祝いとさせてもらいましょうか。
あん時の覚悟、ちゃんと守ってや。



 宴は尚も盛り上がる。
 新婚の誉丸やなつも、あれやこれやと慌ただしいもの。だがその中でも、なつは万事てきぱきとこなしてゆく。
 そんな夫婦の様子を眺めながら、絡新婦は頷くのだった。
 一見すれば可憐なだけに映るなつ。しかし、あの窮地に逃げるのを拒否して居たのも、内には豪胆なものを持っていたのだろうと。
 そして絡新婦には、『強さ』とはそういうものなのではないかと感じられた。
 先の剣鬼・無銘には思いも及ばず、消して辿り着くことの無い、強さだ。
 ともすれば、それは夫を尻に敷いてしまうのかもしれないが――。
 互いを想うあの様子ならば、きっと上手くやって行くのだろうと、絡新婦には思えた。

「ほならお二人さん、私からもお祝いさせてもらいましょ」
 絡新婦の十指に繋がる糸の先。ゆらりと立ち上がるは狐人を象ったからくり人形、その名も『サイギョウ』。
 その動きは、糸で操っているとは信じられぬ程のなめらかさ。
 その舞いは、時には勇壮。まるで誉丸を演じるよう。
 その仕草は、時には凛と。まるでなつを表すよう。
 それは、剣鬼に襲われた時の、互いが互いを信じる覚悟。それが、いつまでも続くようにという願いを込めて。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鞍馬・景正
折角の御厚意、引き下がるのも不躾でしょうか。
ならば末席を汚すと致しましょう。

隅で酒でも頂戴しつつ、まずは何より夫婦が無事だった事、祝言が再開された事に寿ぎを。

そしてあの凄絶な剣鬼にも、ふと思いを。
毫釐も差あれば、天地懸かに隔たる――とは、武に限らずあらゆる修行者への戒めですが、オブリビオンになる以前、彼女はどこで踏み違えたか。

……この身も剣術者である以上、同じ左道に陥られぬよう慎まねばなりますまい。

と、目出度い席で無粋なことを考えるものではありませんな。
馮殿も酒を嗜まれるようなら、一献お注ぎいたそう。

そういえば貴殿も武術を学ばれているのでしょうか。
いずれ拝見する機会に預かれれば幸いですな。



 景正は喧騒を好む質ではない。それでもこうして宴に顔を出しているのは、彼の律儀さだった。
 それに、彼ら夫婦が無事に祝言を行えたこと、心からめでたいと思っている。それは間違いないことだ。
 そんな訳で、宴席の隅、幸せの空間の末席を占めているのだった。

 そのような中でも、彼の心には剣がある。仲間とともに打ち破った、あの剣鬼にも思いを馳せずにはいられない。
 『毫釐も差あれば、天地懸かに隔たる』
 己の歩む武に限らずあらゆる修行者への戒めの言葉。
 彼女の純粋に剣を高めようとする想い。それだけは間違いあるまい。
 どこで、間違ってしまったのか。
 あるいは、己はどうか――。

「今は、いいだろう」
 そう声をかけたのは、同じく隅の位置を確保していた、馮・志廉。
「いかにも。目出度い席で無粋なことを考えるものではありませんな」
 そういうと、景正は志廉へと一献。
「そういえば貴殿も武術を学ばれているのでしょうか」
「家伝の技を継いでいる。そちらの武術とは、少し異なるだろうが」
 そう聞けば、やはり武芸者。文化は違えど、武術への興味は尽きない。
「いずれ拝見する機会に預かれれば幸いですな」
「うむ。だが先ずは、武よりも酒を比べるとするか」
 酒を煮て剣を論ずる。武術談義は尽きぬのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御劔・姫子
よかったぁ…これで一安心やねっ♪
一度はめちゃくちゃになってもうた祝言やけど、うちも精一杯お祝いするから、二人ともお幸せにな~♪

そうやっ! 余興で歌ってもえぇかな? 他の世界で習った歌やけど、今うちにできるんはこれぐらいしかあらへんし…
初めての『そろ』やけど…御劔姫子、歌いますっ!
曲は…『二人の道』っ!
(※【歌唱】【パフォーマンス】使用、穏やかなバラード調の曲)

♪ありがとう ありがとう 私を好きでいてくれて
♪これからの 長い道 あなたと歩んでいこう
♪変わらない愛を誓うよ ずっといつまでも

…うちにも、いつかそんな殿方が婿に来てくれるんやろか?
来てくれたら、えぇなぁ…

(※アドリブ等歓迎)



 晴れて祝言をあげることが出来た二人に、姫子は心よりの祝いの言葉をかけた。
「ほんに、よかったぁ……」
 特になつとは手を取り合い、互いに涙まで浮かべている。
 苦難を共に乗り越える事は、時に十年の交流に勝るのだ。
「そうやっ! 余興で歌ってもえぇかな?」
 パチンと手を合わせて楽しげな姫子に、満面の笑みで頷くなつ。
「凄いです!ありがとう!」
 かくして、御劔姫子初となる、『そろ』によるオンステージと相成った。

 歌い出しは、優しく、囁くように。二人を祝うための、ラブソングだ。
 勿論、この世界の歌では無い。曲調も、バラード。サムライエンパイアには無いものだ。
 しかし、歌に言葉の壁が無いように、世界の壁もあろうはずが無い。
 姫子の歌は、この場の皆に、しっかりと伝わっていた。
 そしてサビの局面へ。

 ♪ありがとう ありがとう 私を好きでいてくれて
 ♪これからの 長い道 あなたと歩んでいこう
 ♪変わらない愛を誓うよ ずっといつまでも

 歌い上げた姫子。二人を見やれば、その手は自然と繋がれている。
 この歌の詩にあるような相手を、なつは、誉丸は、互いに見つけたのだ。
 ……うちにも、いつかそんな殿方が婿に来てくれるんやろか?
 心に去来する想いは。
「来てくれたら、えぇなぁ……」
 口に出してみれば、不思議と真になる気がした。 

大成功 🔵​🔵​🔵​

ウィルバー・グリーズマン
ご結婚、おめでとうございますよ。
やはり人の幸せとは良い物です……別に不幸が嫌いという訳ではありませんが、善人同士ですので今回の場合はこれで良いのでしょう

さて、何をしましょう……酒でも飲んでますかね
エンパイアの酒は独特な物が多いと聞きます
なんでも米を使っているとか……実に面白い

何かお薦めがあれば教えて頂けませんかね、志廉
こう……喉越しがカラッとした鋭い酒があればパーフェクトなのですが。ああ、度数が強くても構いませんよ

ついでに、それと合いそうな料理も教えて頂けると助かりますねぇ



「やあやあ、ご結婚、おめでとうございますよ」
 新婚夫婦に向けてにこやかに語るウィルバー。
「やはり人の幸せとは良い物です……いやいや、別に不幸が嫌いという訳ではありませんが……」
 あれやこれやと口は回るが、要は祝いを述べているのである。
 実際、このような善人同士のことであれば、素直に喜んでも差し支えあるまい。

 とはいえ、そればかりというのも性に合わぬ。このような場に招かれたからには、しっかりと御相伴に与らねば。
 回りを見渡せば、やはり酒、酒、酒。エンパイアの酒は独特なものが多いとは聞いていた。
 何でも、米を使って酒を作るとか?
 ……実に面白い。
 しかし、詳しくないものを無鉄砲に口をつけるのも……と考えていた所に、ちょうど良い影を見つけたのだった。

「何かお薦めがあれば教えて頂けませんかね、志廉」
 それはまさに日本酒をぐいと呷っていた志廉の姿。好みの酒を紹介してもらうに良い。
「こう……喉越しがカラッとした鋭い酒があればパーフェクトなのですが。ああ、度数が強くても構いませんよ」
「ならば幸運だ。ここの地酒は、鬼をも殺すと言う」
 そう言って、祝いに持ち込まれた“こも”ごとドンと置く志廉。
 しかし、酒に合う料理、という観点ではこだわりの無い志廉。
 ならば共に探そうとばかり、宴席の料理並べたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

百鬼・甲一
アドリブ、連携歓迎
祝言か…場違いな気もしますが、祝わずに帰るのも不義理ですか…であれば、全力で祝わせていただきましょうか!お酒も美味しそうですしね!
え、裏方が足りない…?任せなさい、料理なら多少は心得てますよっ!酒に後ろ髪引かれながらも、裏方として働きます…!まぁ、こういうほうが性に合ってます、と苦笑しつつ。
ある程度落ち着いてきたら、二人のもとへ祝いの言葉と、酒を注ぎに行きましょう。
誉丸殿、剣の道と愛するもの…その両方を護ってくださいね。



 甲一は、戦場に生きてきた人間だ。祝言のようなハレの場に、自分は相応しくないかも知れない。
 いつもにこやかな彼だが、纏う陰もまた、色濃い。
 しかし、辞退するというのはどうだ?彼には、あまりに不義理に思われた。やはり、参加すべきだ。
 彼の真面目なところである。真面目であるが故に、参加すると決めるや否や。
「全力で祝わせていただきましょう!」
 その力を惜しむことは無いのである。

 宴会となれば、彼の楽しみはやはり酒。
 地酒や贈り物の酒など、先ずはどれから頂こうか。しばし目移りしていると。
「なにィ?板前がぎっくり腰だとォ!?」
 厨房より漏れ聞こえる、悲鳴にも似た声。聞いてしまった以上は。
「任せなさい、料理なら多少は心得てますよっ!」
 後ろ髪を引かれる想いはあれど、彼は手をさしのべる。裏方の仕事は性に合っていると思うし、放っておけないのだ。
 袖を捲り上げて厨房に向かえば、確かにぎっくり腰の初老の板前。
 彼の指示に従い、甲一はてきぱきと調理をこなしてゆく。
 後に板前が甲一の腕を見込んで更に仕込みたい、としみじみ語ったのは、また別の話。

 あらかた落ち着いたのは、宴会も仕舞いが見えてきた頃。
 ようやく落ちついた甲一は、本来の目的であった夫婦への祝いの言葉をかける。
 そして考えてみれば本日一杯目となる杯を酌み交わすと、誉丸に語りかけた。
「誉丸殿、剣の道と愛するもの……その両方を護ってくださいね」
 深く頷いた誉丸は、言を違えまいと誓うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大崎・玉恵
むぅ、どうやらかの剣士の相手にわしの出る幕はなかったようじゃのう。
まぁ、過ぎたるは及ばざるが如し。余力があったなら良しとすべきじゃな。

そうじゃ!先ほども言ったが、恋の神がいるこの場こそ神前じゃ!祝言をあげるに相応しい場、これ以上はなかろう!

【存在感】【威厳】を纏い神として祝言を見届ける。儀式儀礼の類いを請われれば喜んで協力しよう。
……尾沙木の集落が廃れてから、こういった場は久しくなかった。懐かしいのう。
わしは恋愛、多産、豊穣を司る。いずれ子が欲しくなれば、わしの社へ詣でるがよいぞ。



 少し遡り、時は祝言の直前。
 いざ本番と緊張を隠せない夫婦の姿を、玉恵は微笑ましく見守っていた。
 かの剣鬼に対しては後詰めとして夫婦を護っていたが、手を出すような事も無く討てたことを喜ぶべきだろう。
 それにしても、先ほど命懸けの戦いの際はあんなにも胆が据わっていたのに、二人ときたら安全な今の方が心細げである。
 ……これはやはり、わしの出番じゃろう!

「先ほども言ったが、恋の神がいるこの場こそ神前じゃ!祝言をあげるに相応しい場、これ以上はなかろう!」
 仁王立ち。神たる威厳も全開に、厳かに語りかける玉恵。
 言われてみれば、二人の心にも先ほどの記憶が甦る。あの苦難の中でも、互いを想うその気持ち。
 自然と、心も落ち着くのだった。

 この辺りでは、家と家同士の婚姻として、いわゆる人前と呼ばれる形式が一般的であった。
 お陰で式の中、玉恵が穢れを払う儀式を行っても、土地の神とは仲違いせずに済むだろう。二人に儀礼を頼まれたのだ。
 もっとも、儀礼などやろうがやるまいが神前であることには変わり無いが!とは玉恵の弁。
 言いつつも、昔を懐かしむ玉恵。尾沙木の集落が廃れてから、こういった場は久しくなかったのだ。
 一通りの式を終えると、玉恵は二人に声をかける。
「いずれ子が欲しくなれば、わしの社へ詣でるがよいぞ」
 慌てる誉丸に、頬を染めつつ頷くなつ。
 やはり、初々しい二人であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーイ・コスモナッツ
【SPD】
祝言……つまり結婚式ですね
こういう席にお呼ばれするのは、いつ以来だろう
7つか8つのころ、母に連れられて、
親戚の式に参加したようなしなかったような……

実質はじめての参加なので、
不作法などないと良いのですが
って、そう言えば私こんな恰好だ!
いけない、いけない
どこかに貸衣装のお店などは……??

それはそれにしても、
こうして皆で喜びを共有するというのは良いものだなあ
誉丸さん、なつさん、ご両家の親族の皆さん
どの顔も幸せそうだ
この笑顔を守ることができて本当に良かった

このたびはおめでとうございます!

……とっところで、
この「ハシ」という道具はどのように操るので?



 礼を重んじる騎士の末として、結婚式における礼儀作法というものも、心得てはいる。
 しかし、実際の式となると、7つか8つか、母に連れられて出席したような、しないような……。
 実質初めての『実戦』を前に、ユーイはすっかり緊張していた。
 ましてやサムライエンパイアの式、どのような作法が――。
 ……エンパイア?
「って、そう言えば私こんな恰好だ!」
 ユーイは気づいた。己の格好が、遥か未来、宇宙の騎士であることに。
 実際のところ、猟兵の服装に違和感を持つものなど居ない。しかし、彼女にとって、そういうことでは無いのだ。
 慌てて貸衣装屋でも無いものかと探すユーイ。しかし、そう都合良くは見つからぬもので。
 途方にくれていると、一人の女性が声をかけてきた。
「どうしたのですか?」
 しょげながらユーイが事情を話すと、それならば、と女性は家の奥に案内してくれた。
「これは、なつが貴女くらいの年頃に着ていたの。良ければ、どうぞ」
 そう。彼女はなつの母親であった。
 好意を受け、袖を通してみれば、紺地に牡丹の柄も鮮やかな振袖。
「よく似合うわ」
 感謝と安堵を胸に、ユーイは祝言の場に臨むのだった。

 ユーイの作法は、見事であった。しかしそれ以上に、ユーイは祝言の雰囲気に嬉しくなってしまう。
 皆で幸せを分かち合う。自分もこの幸せを護る一助になったのだと想えば、自分にとっても幸せな事だ。
 こうして、祝言の場を終えたユーイ。しかし彼女には次の試練、『オハシ』なる謎の棒を使う作法が待ち構えていたのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リュカ・エンキアンサス
……さて、お疲れさま
特に俺は何をするってこともないんだけれども
折角だから。この世界の結婚式を見ていこうかな
そういえばまた、見たことがなかったんだ
芸は壊滅的に出来ないし、勿論場を盛り上げるってのも無理だから
裏方を手伝おう
そういえば、俺はよそで料理しちゃだめだって言われてたな…
重いものを運んだり、物の修理だったら得意だから。そういうのを中心に手伝えたら
後は始まれば多分手伝うこともないだろうから、のんびりお茶でも貰いつつ二人を見守っているよ
俺には無理だけど、結婚したり、誰かと住んだり
そういうのに、この儀式が必要なんだ…面白いな
勿論、おめでとうもいうよ
こうやって無事に、この日が迎えられてよかった



 まずは、単純に興味があったのだ。
 戦いを終えて、オブリビオンの危機は去ったのだから、本来なら長居する必要も無い。
 それでも残る気になったのは、この世界の結婚式、祝言を見てみたかったから。
 色々な世界を旅するようになって長いが、思えばはじめての事。
 人と人。家と家が繋がるその儀式を、リュカは大層興味深げに見守っていた。

 どうやら儀式が終わり、一段落ついたかと見えたのもつかの間、続いて盛大な宴会がはじまった。
 親類縁者、近隣の者、色々な人が酒をのみ、唄い、踊る。
 あわれリュカ、巻き込まれたか――と思えば、案外要領が良い。
 諸々の作業を行う裏方に入り、てきぱきと作業をこなしていた。
 得意なのだ。もっとも、料理だけは、『よそでしちゃだめ』と止められていたのだが。

 あらかたの作業が片付けば、あとは夫婦の様子を見守りながら、お茶でも飲んでいよう。
 そしてリュカは理解する。この宴も、きっと祝言の一部なのだろうと。
 先ほどの厳かな儀式も、この騒がしい宴会も。
 誰かと結婚して、一緒に暮らす。そのためにこの儀式があることが、とても面白いと、リュカは思う。
 もっとも――。
「俺には無理な事だけど」

 それでも最後に、やはり二人には、おめでとうを言おう。
 二人は、とても喜んでくれる。だから。
「こうやって無事に、この日が迎えられて、本当に、よかった」

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年07月25日


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は蒼焔・赫煌です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト