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浸食し、塗り替える

#スペースシップワールド

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#スペースシップワールド


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『スペースシップワールドより、予知を受信致しました』
 女性型のウォーマシン「星天」が、グリモアベース内の猟兵達に語りかける。電子的なその声は、僅かに曇っているように静かに響いた。

『とある工業化スペースシップのシステムが突如誤作動を起こし、多数の工業用機械が暴走状態にあります。これにより、工場内では作業用大型ドローンが飛び交い、物資運搬用無人トラックや小型荷役自動車などが無秩序に走り回っている現状です。また、この工場に働く数十人の人員が、隔壁内に閉じ込められている情景も予知致しました。
 皆様にはまず、この工場の安定化と安全の確保、そして隔離されている人員の救出をお願い致します』

 星天は一度言葉を切ると、ほんの少しの間を置いて発声を続ける。
『また一連の暴走について、その原因に、システムへのウィルス混入が予知により確認されております。これを放っておけば、ウィルスは電脳空間を通じて別の工場へと感染し、被害は更に拡大していくことでしょう。
 これも必ず、阻止すべき事柄でございましょう。機械が得意な方がおられましたら、こちらも併せてよろしくお願い致します。

 電脳空間へのプログラムによる干渉は、簡単に外部から行えるものではないと思われます。つまり、何者かがこのスペースシップ内に侵入し、クラッキングを行ったと見てまず間違いはありません。そして――』

 この工業用スペースシップは、実験的な技術の試験場という役割を担った船の一つだ。性質上、技術の漏洩を防ぐために高度なセキュリティが導入され、特に外部からの干渉には過敏なまでの防衛体制を取っている。
 つまりは。

『――この船の何処かに、銀河帝国を手引きした人物が存在すると思われます。
 その人物が何を思い、何を望んでそれを行ったか。それは、わたくしには想像も出来ません。人間同士が争うなどと、わたくしには……。
 いえ、わたくしの思いなど、どうでも良い事でございますね』
 星天は悲しげな音声で、静かに俯いた。
『船に侵入した敵の位置、また手引きを行った人物の詳細は今のところ不明ではありますが、工場内に何らかの手がかりが残されているものと思われます。
 ……どうか皆様、無辜の方々をお守り下さいませ』
 星天は猟兵達に向かって、深々と頭を下げた。


灰々
 今回もスペースシップワールドに挑戦してみました灰々(はいばい)と申します。
 工場内で暴れる機械は、戦闘用ではないため非常に弱いです。猟兵の力ならば、そう苦労もせずに破壊出来ると思います。向こうからの攻撃が当たれば、そこそこ痛いかもしれませんが。

 それではご参加、お待ちしております。
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第1章 冒険 『電脳空間に巣食うウィルス』

POW   :    閉じた障壁や誤作動してる機械を破壊し、人々を救出する

SPD   :    誤作動を起こしてない機械がウィルスに感染しないように先手を打つ

WIZ   :    プログラムにアクセスし、システムの正常化を試みる

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フルーネ・フローライト
出来るならばプログラムにアクセスしシステムの正常化を試みたいがウォーマシンだから逆に感染するリスクもあるのでそれはやめておく。

だが、誤作動している機械の影響で人が取り残されているというならば助けねばならないので情報を元に要救助者がいるポイントに破壊を行いながら最短距離で向かい救出しに行きます。


フローディア・マシュー
成すべきことをしましょうか、私ができる最大限を

WIZ
近くのコネクタからアクセスします。
まず成すべきことはシステムの把握、修正です。
後、シップの状況把握しクラッキングされている位置特定し元をシャットアウトしましょうか
悪い子にはご退場願います
シップの状況を各猟兵さん達が動きやすい様に伝えましょう
手段?シップのスピーカを使いましょう

無防備になりますので【エレクトロレギオン】で周囲の警備を


ルイス・アケーディア
【POW】
あいにくプログラムとやらはさっぱり判らんが。
機械の扱いならば、俺も得意だ。

機械ということは、当然金属が含まれているな?
【燦爛たる宝物庫の管理者】を使用。
暴走する機械を浮遊させてその場に固定。
如何に大きくても、動けなければただの的だ。

動きを止めた後は、小さめの機械なら、施設に叩きつけて破壊。
破壊に関しては、他にもっと適した者がいればそちらに任せる。

問題は障壁か。
面倒だ、浮かばせた大型機械ごと突っ込ませてしまえ。
……もし吹っ飛ばした先に隔離された人々がいる状況なら。
仕方ない、大型ドローンで穴を開けるのを試みる程度にしよう。



工場に辿り着いた猟兵達を待っていたのは、異常な騒音だった。
 そこかしこで小さな爆発音が響き、エンジンが空回り、大型の工作機械が唸りを上げて奇妙なオブジェを作り上げている。

「出来るならプログラムにアクセスしたいけど……ウォーマシンだから、感染する可能性もあるのかしらね」
 フルーネ・フローライトは工場内の端末を横目に、人々を助けることを優先した。
「フローディア、要救助者の場所は?」
『そこから二ブロック東、資材倉庫に二人です』
 フルーネが虚空に問いかければ、工場内の大型スピーカーからフローディア・マシューの声が響いた。
「了解、最短距離で向かうわ」
 フルーネは空中のドローンを手にした火器で撃ち落としながら、真っ直ぐに倉庫へと向かった。

「大型の搬入出トラックが接近中です。皆さん、気を付けて」
 手近なコネクタにアクセスし、工場内のマップから情報を読み取ると、フローディアはスピーカーの出力システムに繋いだマイクに声をかける。
 さらにマップ上を行き交う無数の光点を目で追いながら、コネクタ上にもう一つプログラムを立ち上げる。こちらは工場のメインシステムへと接続し、その把握と修正、またクラッキングされている場所の特定に努める構えだ。
「為すべきことをしましょうか、私が出来る最大限を」
 しかし、クラッキング元の特定は難航した。この船に元々積まれているシステムが頑強で、こちらもそこを突破する必要があったからだ。
「あ、ルイスさん。その隔壁の先に要救助者の識別反応です」
 状況の把握も怠らず、フローディアは声を掛けた。

「……そうか、面倒だ」
 頭上から響いた声にルイス・アケーディアは仕方なく、空中に浮かばせたトラックその場に固定するに留めた。これをぶつけ、手っ取り早く隔壁を破壊するつもりだったが、人的被害出かねないのではそうもいかない。
 代わりにふらふらと跳んでいた大型ドローンを操ると、搭載された船外作業用ドリルを起動させる。
「あいにくプログラムとやらはさっぱり判らんが。機械の扱いならば、俺も得意だ」
 そして目の前の堅牢な隔壁に向かわせると、穴を開けるべく作業を開始させた。
 甲高い音が響き、火花と油に濡れた鉄粉が散る。
 ルイスはその間に、近くを暴走するフォークリフトを持ち上げると、そのまま砲弾のように、これもまた暴走し滅茶苦茶に金属を加工している旋盤へと叩きつけた。
「破壊に長けた者がいればこちらに寄越してくれ、大型の機械をいくつか止めてある」
『了解です』
 フローディアへと声をかけ、ルイスは改めて隔壁に目を向ける。
 ドローンの作業は思ったほど進んでいなかった。掛けたドリルを自ら交換し、ドローンは幾度も隔壁にぶつかっていく。しかし、地面に無数の使えなくなったドリルが転がるだけで、一向に穴が空く気配がない。
「どうやら、相当分厚い隔壁と見える」
 隔壁に手をやって、ルイスは面倒そうに呟いた。
「では、これならどうだ」
 再びユーベルコードを発動させる。その力は付近の金属に働きかけ、強制的に操作を奪うもの。
 何機ものドローンが、ルイスの元に集まった。ドリル、溶断バーナー、金属カッター。様々な工具が浮かび、隔壁へと向かっていった。

 流石に大型のトラックは頑丈で、フルーネはそれの破壊に少しの時間を要してしまった。
「……急がないと」
 要救助者の状況が分からない以上、暴走する工場の中で危険に陥っている可能性もある。
 フルーネは、立ち塞がる小型自動車を弾き飛ばして倉庫へと急ぐ。
 倉庫の入り口はシャッターが降りていた。フルーネはこれを引き裂くように破壊すると、
「助けに来たわ、どこにいるの?」
 建物内へ声を掛けた。
「お、おお! 助かった、解放軍かっ?」
 男が二人、棚の影から顔を出した。汚れて黒くなった顔を綻ばせ、フルーネに駆け寄る。
「ここは危ない。安全な場所に誘導するから、付いてきて」
 油断なく火器を構えながら、フルーネは倉庫を出る。
 いくつかの機械を破壊したが、それでもまだ、工場内は暴走機械に溢れている。二人を背に庇い、フルーネはできる限り急いで外へと向かった。

 フローディアが眺めるマップの中で、多くの光点が赤く点滅し始める。これらは工場内機械の状態を判別する信号だ。破損している機械をいち早く発見するためのシステムが、破壊のために役立っていた。
「ここも、安全ではなくなってきましたか」
 フローディアは、周囲に小型の機械兵器を召喚し、周囲の警備を任せることにした。
 ウィルスは、刻一刻と広がっている。こうしている合間にも、いくつかの自動車が予定と違うルートを取り始めていた。
「……何とか、クラッキング元をシャットダウンできれば」
 これ以上の拡大を、防ぐことが出来るかもしれない。
 他の猟兵達も、順にプログラムへのアクセスを開始している。彼らと協力すれば、このまま上手く事が運ぶかもしれない。
 フローディアは改めてコネクタに向かい、電脳空間へ潜っていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ミスト・ペルメオス
(WIZ)
鎧装騎兵としては、実力による事態の収拾が妥当でしょうけれど…
こちらのシステムを応用すれば、多少なりともやりようはあるはずですッ。

専用のマシンヘルムとツールを利用し、プログラムにアクセス。
ハッキングによってウイルスに対抗。可能な限り早く、システムの正常化および情報収集を図る。
理想としては第一に暴走する機械や車両を停止させ、安全を確保する。
次に隔壁を解放し、閉じ込められた人々を救出する。
さらに、可能であればウイルスが仕込まれた時間・場所の解明を狙う。

当然ながら、機械鎧を操って戦うのとは訳が違う。けれども…!


マグダレナ・ドゥリング
無秩序に暴走させるなんて随分と荒々しいね。
もう少しスマートな方が僕好みなんだけど。

僕はシステムの正常化を試みようかな。【ハッキング】の技術は正常化にも役に立つはずだし、障壁を開くのにも使えるんじゃないかな?
合わせて、【情報収集】もしたいね。どこからクラッキングされたのか分かれば、手掛かりになるかもしれない。



ミスト・ペルメオスはマシンヘルムとツールを使い、手近なコンソールにアクセスを試みる。
 ミストは鎧装騎兵だ。その本分としては実力行使による事態の収拾が妥当だろう。しかし、機械の鎧を操るそのシステムを応用することによって、プログラムへの対抗が出来るのではと考えた。
「多少なりとも、やりようはあるはずですッ」
 毎秒変化する複雑なパスコードを解析し、内部へと侵入。改ざんされたプログラムを正常化すると共に、その根元、根本となるウィルスの除去を試みる。
 理想としては、まず暴走する機械の制御を取り戻したかった。しかし、
「切り離されてるのか……!」
 本来ならば全ての車両、機械を繋げているはずのネットワークが、ウィルスの浸食を受けると同時に寸断されてしまっている。辛うじて機械の状態を表す信号を読み取ることは出来たが、どうしてもそれ以上の改善は見込めない。
 もはや直接機械へ接続するか、それこそ破壊するしか暴走するそれらを止める方法はないようだった。
 ならばと、ミストは隔壁を管理するブロックを探す。動かすことの出来ない設備ならば、ネットワークはともかく物理的な接続が間違いなくされている。それをここから、制御することが出来れば。
「鎧装騎兵を操って戦うのとは、訳が違う。けれども……!」
 やるしかない。
 隔壁の向こうに閉じ込められた人々は、今も不安と戦っているのだ。ミストは慣れない電子戦に戸惑いながらも、人々の助かることを願って必死にプログラムを組んでいった。

 無秩序に暴走する工場内で、マグダレナ・ドゥリングは不満げに辺りを見渡した。
「随分と荒々しいね。もう少しスマートな方が、僕好みなんだけど」
 乱雑に過ぎる手法に辟易しながらも、マグダレナはコンソールへのアクセスを開始した。
 電脳魔術師として、ハッキングの技術はプログラムの正常化に役立つはずだ。他の猟兵達が同じくウィルスへの攻勢を仕掛けるのに合わせ、マグダレナはミストと同じく既に浸食された部分の修正を試みた。
 ウィルスの侵攻速度は徐々に穏やかに、食い止められつつあるのが分かる。しかし正常化ともなると、これがなかなか難しかった。無秩序に破壊された言語を組み替え、元に戻す。正常化と一口に言っても、かなりの時間が掛かりそうだった。
「……ここにずっと留まるわけにもいかないしね」
 周りには暴走する機械が群れている。となれば、本腰を据えて大仕事に取りかかるわけにもいかない。
 マグダレナはまず、隔壁へのアクセスを優先することにした。
 隔壁もウィルスによって強制的に閉じられているが、これは正常化と比べてシンプルなものだ。ミストと協力することで、徐々にプログラムの全容を把握すると、マグダレナは一気に隔壁の開閉プログラムの修正に掛かった。
 極限まで集中し、ウィルスの浸食を押さえながら書き換えていく。塗り替えられたプログラムは無秩序に、マグダレナの好みとはまたかけ離れた様相だった。


 やがて、遠くで大きな金属音が響き、地面が僅かに揺れる。いくつかの大型隔壁が開いた音だ。
「よし、これで開いたね」
「やりましたね!」
 マグダレナとミストが大きく息をついた。
 かなりの集中力を要する作業だった。脳に濃い気怠さを感じ、開いた隔壁のことは他の猟兵達に任せ、二人は一度撤退することにした。
「そういえば、クラッキングされた場所の特定って出来ました?」
「ああ、それなんだけどね……」
「ぼくの場合は……」
 ミストとマグダレナが答え合わせをすると、二人の解析した情報はぴったりと一致した。
 それは、とある隔壁の奥。人々が閉じ込められているはずの場所からだった。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

ケイ・フィンランディア
誰かが手引きですか。どうせ「ドーンッ!と戦争になっちまえ!」とでも思って招きいれたのでしょうか?
迷惑なので、花火で我慢すれば良いものを。
まず、色々な情報が知りたいので、隔壁内の人員を助けるのを優先するとしましょう。
ユーベルコードを使用してでも派手に助けられれば、猟兵の証明にもなって情報が入手し易いのではないでしょうか?
可能なら、機械ごと隔壁を破壊する派手な演出。
情報に関しては、丁寧な態度で信用を得て入手するのを最優先事項としましょう。
しかし、機械が無秩序に動いているのでは助ける事が出来ても、その後に犠牲になる可能性が高まりますね。ですので可能な限り協力者を得て機械の対応をお願いしたいものです


目面・真
船内に潜入した何者かがこの騒ぎを引き起こしている、と。

オレは電脳空間には疎いので、手っ取り早く動き回るガラクタをかたづけていこう。
閉じた壁を破壊して人々を救出するのは、その後だ。
無論、ガラクタに襲われそうになっている人がいた場合は、救出を最優先に行うが。

アームドフォートでガラクタの駆動部を狙い撃ちして動けなくして回ろう。
こういう場合は飛び道具は便利だよ。
ちょっと厄介なヤツがいたら、フルバースト・マキシマムで蜂の巣にできるからね。
それから。燃料がある部位の狙撃は極力避けよう。こんな場所で火災が発生してもらっては困る。

人々の救出は、避難場所を確保してからだ。あとで安心して犯人捜しができるようにね。


心象創造・空蝉
POWを選択
人々の避難や救出が最優先だな。オレはアイテム:マシンクラッシャーに騎乗し周囲を捜索、要救助者を発見次第救出していく。負傷者がいる場合は、アイテム:ペイン・レリーヴ・バンドや、ナノマシンドリンクボトルで応急手当を行う。閉じた障壁はアイテム:ドミネイトツールで操作権を奪い開錠、誤作動している機械はユーベルコードとアイテム:バラックドライバーを組み合わせて破壊していこう。幸か不幸か、現場には武器に合成出来る無機物は多いからな。(破壊された瓦礫や機械の残骸等)


ノノ・スメラギ
……この船に、ヤツラを手引きした人間が居るって? ……あの宇宙に蔓延る害獣どもの? ハハッ、つまらない冗談だね! 全くもってつまらない冗談さ。そんな奴がいるとしたら、人の皮を被った害獣の仲間だ。駆除してやらないと……
おっと、思考がずれたね。つまらない冗談の話をしてもしょうがない。まずは危険な目にあってる人達を助けないとね!
愛用のVMAXランチャーを命中重視の収束モードにして、なるべく誘爆とかしないように暴走機会を片付けよう。邪魔な防壁とかはアックスフォームで叩き斬るとしようか。
相手の攻撃への対策はメタルコートの防御特性変化(防具改造)とシールドデバイスの自動防御(盾受け)で万全さ!



「まずは、あのガラクタから片づけていこう」
 先の猟兵達がまだプログラムと格闘している頃、目面・真は、工場内の安全を確保するように動いていた。
 電脳空間に疎い真だったが、この手の働きならばお手の物だ。
 アームドフォートを展開し、暴走する機械達の駆動部を狙撃。自分は動くことなく広範囲の目標を狙えるとなれば、こうした飛び道具は大分有利に働いた。
 火災の発生など抑えるため、燃料タンクやエンジンなどは極力狙わず、とにかく機械の動きを止めて回る。足を止めてさえしまえば、機械達は全く脅威とはならなかった。
「船内に侵入した何者かが、この騒ぎを引き起こしている、と」
 遠くに爆発音に破裂音、聞こえてくる様々な喧噪に眉をしかめて真は場の確保に努めた。
 真が何体もの機械の動きを止めてやると、工場内は少しずつ静かになっていく。

 ケイ・フィンランディアは色々な情報を手に入れるため、隔壁内の人員救助を最優先に動き出した。
「誰かが手引きですか。花火で我慢すれば良いものを」
 どうせ「ドーンッ!と戦争になっちまえ!」とでも思って、招き入れたのだろう。
 工場内のそこかしこで噴き上がる炎や火花を横目に、ケイは心底迷惑そうに吐き捨てる。
 これを一刻でも早く沈静化するためには、情報が必要だ。手引きした犯人。船に入り込んだ黒幕。これらをどうにかしなければ、安心して救助もままならない。
 幸いに、人員の避難場所は他の猟兵が確保してくれている。ケイは目に付いた隔壁に近づくと、それを派手に破壊する算段を立て始めた。
「……これは、厳しいですね」
 目の前にあるのは、高さが十メートルにも及ぶ、工場内を丸ごと仕切る為の大規模隔壁だった。情報によると、この向こうに多くの人々がいるらしい。だがその分厚さは、至近距離のミサイルにも耐えそうな堅牢さだ。
 試しにケイは氷を孕んだ暴風を発生させ、叩きつけるが、表面に僅かな傷が付いただけだった。

 心象創造・空蝉がドミネイトツールを隔壁に接続すれば、時間は掛かったが強制的に操作権を奪うことに成功する。
 ゆっくりと、振動と共に大規模隔壁が開いていく。
「オレは要救助者を探しに行く。ここは任せた」
「ええ、分かりました」
 隔壁の向こうの人員をケイに任せ、空蝉はマシンクラッシャーに跨がった。アクセルを回し、走り出す。
 工場内は広く、区画ごとに分かれており、バイクでの捜索はかなり効率のいい手段となった。他の猟兵がスピーカーを通して送る指示を頼りに、空蝉は要救助者を探して回る。
「伏せろ!」
 ドローンがドリルを猛烈に回転させながら、作業着の男を追い詰める。空蝉は叫び、拾っておいた機械の残骸をバイクハンドルに接続、咄嗟に長物を作るとすれ違いざまに上空のドローンを斬り付ける。
 ドローンが堕ち、爆炎が上がった。
「怪我は……ちょっと待ってろ」
 片袖を真っ赤に染めた男に寄ってバイクを停めると、空蝉は手際よく治療を始めた。

 ――ノノ・スメラギは苛立っていた。
 あの忌々しい、宇宙に蔓延る害獣ども。奴らが存在するだけでも業腹だというのに。
「……この船に、奴らを手引きした人間がいるって?」
 グリモアベースでその話を聞いてから、その詰まらない冗談が頭から離れない。
 全く以て詰まらない冗談だ。そんな人間がいるとしたら、それは人の皮を被った害獣の仲間に違いない。
「駆除してやらないと……」
 ノノは知らず、手にしたランチャーの持ち手を強く握った。
 とはいえ、今するべきことは人々の救出だ。害獣の被害を受け、危険な目に遭っている一般人を放っては置けない。
 ノノはVMAXランチャーを命中重視の集束モードに切り替えると、暴走する機械に向けて魔導弾を放った。なるべく誘爆しないように、目に見えるエンジンなどを避けて撃ち落とす。
「うん、この防壁は邪魔だな」
 他の猟兵が動くに合わせ、ノノは避難経路を確保すべく薄い鉄板で出来た防壁へと、アックスフォームに変化させたランチャーを叩きつけた。


 いくつもの大規模隔壁がゆっくりと開いていく。どうやら、電脳空間に挑んだ猟兵達が勝利したらしい。
 現場で動く猟兵達は、すぐさま人員の救助に向かった。

「さあ、助けに来ましたよ」
 氷を含んだ暴風を小型の隔壁に叩きつけ派手に破壊すると、ケイは丁寧に部屋の隅で縮こまる男に手を差し伸べた。
 ケイの背後では、無数の機械が破壊され、転がっている。男は解放軍が来てくれたと喜び、口も軽く自分の知っていることを全て話してくれた。

 真は、多くの機械が破壊され、ある程度の安全が確保された倉庫を見つけると、そこに隔壁から解放された人員を避難誘導する。
 行き交う人々の顔には安堵が浮かび、中には涙を流して喜んでいる者もいた。
 ――この中に、犯人がいるかもしれない。
 真は油断せず、不審な人物がいないかと目を光らせる。

 避難してきた人員の中には、多くの怪我人が確認された。空蝉は手持ちの治療具を用いて、出来る限り応急手当を施していく。
 そのとき、手当をしていた負傷者の一人が、思わずといった風に口を開く。
「……こんなことになるなんてなぁ」
 何か知っているかのような口ぶりを、空蝉は聞き逃さなかった。

「手引きしたのは、君か? 君が害獣の仲間なのか?」
 ノノは明らかに挙動がおかしい男に向けて、怒りを込めて問いかける。
「ち、違う! 俺、俺じゃない!」
 男は慌てて話し出す。この船で、前々から噂になっていたこと。今日、自分が見たものを。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 冒険 『仇なすレジスタンスに鉄槌を』

POW   :    協力者又は残党を見つけ出し、力付くで隠れ場所を聞き出す

SPD   :    協力者又は残党を見つけ出し、跡を付ける

WIZ   :    協力者又は残党を見つけ出し、協力者と偽り内部侵入する。

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


全ての話を統合すると、ことの全容が明らかになった。
 クラッキングを行った端末の場所。閉じ込められた人々の証言。それによって名前の挙がった一人の男が、泣きそうな顔で語り出す。
 レジスタンス。
 銀河帝国に与することで、生き延びようとする人々の話を。
 ある者は家族を守るため、またある者は自分の命のため。銀河帝国からの提案に乗り、彼らは船を差し出したのだ。
 それが今回の事件のあらまし。到底、許される行為ではない。更に大きな事件が起きる前に、何としてでもその本拠を見つけ、潰さなければ。

 船内に入り込んだ銀河帝国の残党と、それに与する協力者。そしてその後ろには、全てを束ねる黒幕の存在が見え隠れしている。
フルーネ・フローライト
協力者、か…まぁ理由はともあれ自分だけは助かりたい輩はどの場所にもいるか。

ともあれ事件は解決しないとだしここは強引にはなるけど力ずくで聞き出すとしましようか



フルーネ・フローライトはレジスタンスの存在を語った男に向けて、強い口調で問いかける。
「他に知っていることは?」
 レジスタンスに与しているのは誰か。アジトなど拠点とする場所はあるのか。
「い、いや、それは……」
 言いよどむ男を前に、フルーネは近くに転がった機械の残骸に向けて砲撃を放った。爆炎が上がり、熱風が辺りを包む。
「他に、知っていることは?」
 男は肩をびくりと震わせると、小さな声で話し始めた。

「俺はただ……データチップを何処かの端末に挿し込めって、言われただけなんだ。そうしないと、家族に手を出すって」
 男は、自らがレジスタンスに属している訳ではないという。ただメカニックとしての立場から、脅され利用されたに過ぎない。
 そもそもこの船のレジスタンスというのは、まだ完全に組織として成り立っているわけではないらしい。銀河帝国の脅威に心が折れ、生き残る為に奴らに貢献しようとする者達。そういった銀河帝国の協力者が、この船に少なからず現れ始めていた。彼らは自分たちでコミュニティを形成し、今回の計画を練っていたようだ。
 銀河帝国の尖兵を船へと招き入れたのも、それによってレジスタンスを完全に組織し、蜂起すると共に船ごと物資や技術を奪わんとするためだ。その第一歩が、この暴走事件だった。
「協力者、か……まぁ理由はともあれ、自分だけは助かりたい輩はどの場所にもいるか」
 フルーネは更に、工場に閉じ込められていた人々から情報を聞き出す。猟兵達の力を目の当たりにした彼らは、一も二もなく口を開いてくれた。
 船の中に、無数のアジトが存在するかもしれないこと。この工場以外にも船の中に、まだまだ協力者や銀河帝国の残党が潜み生活していること。
 彼らは仲間を判別するために、体の何処かに共通する「証」のようなものを身につけている、という噂もあった。
「……なるほどね」
 フルーネはあらかたの情報を聞き出したと判断すると、それを他の猟兵達と共有することにした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ノノ・スメラギ
レジスタンス? 『抵抗者』だって? 帝国の害獣どもに尻尾を振って命乞いをする連中が? ハハッ! 笑わせないでくれないかい? そんな奴らは負け犬っていうのさ!

その証を持っているっている『負け犬』たちを見つけて、
『説得』するとしようか。

……自分の命、家族の命、それが一番大事だっていうのは否定はしないさ! だけどね、だからこそ、見誤っちゃいけないんだ。あいつらはこの世界に生きる者すべてに渾なす銀河の害獣だ。暴走した機械がそのままになっていたら、遠からず船は沈んで君の命も大事な家族の命もおじゃんさ! ……仮にもレジスタンスを名乗るなら、抗う相手を、間違えるんじゃない!




 レジスタンスとは即ち、現体制への『抵抗者』。
「帝国の害獣どもに尻尾を振って、命乞いをする連中が?」
 ノノ・スメラギは、そんな戯れ言を笑い飛ばす。
「そんな奴らは、負け犬っていうのさ!」
 歯向かう勇気もなく、諦め、膝を折って媚び売るような人間には、その程度がお似合いだ。

 ノノは工場から離れ、近くの住宅街へとやって来た。
 喧噪に満ちている。工場で起こった事件の詳細を知ろうと、大勢の野次馬が規制線に押しかけているようだった。
 多くの人々は、遠く聞こえる爆発音に恐怖を覚えている。事実、その目は不安に揺れていた。
 だがノノはその中に、異質な目をした人物が複数いることに気が付いた。
 ――罪悪感。
 起こったことに対して、後悔しているかのような。そんな暗い目をした人々。
 ノノは彼らに注目し、『証』とやらが見えないかと目を凝らす。
「髪型……服装……」
 共通点があればいい。一般人と区別できるような、しかし一見分からないような特別なもの。
「ピアス……?」
 目に入った怪しげな人物達は、全員、右耳に赤い小さなピアスを付けていた。
 あれが『証』なのだろうか。ノノは早速と、そのうちの一人へと声を掛ける。
「ねえ、お兄さん。レジスタンスって知ってるかな?」
 ――その瞬間、男はこちらを一瞥もせずに走り出した。
「おっと、逃がさないよ!」
 ノノは地面を強く蹴り、一息に男へ肉薄すると、背後から襟首を掴んで引き摺り倒す。そのまま馬乗りになると、その鼻先へ『説得』の銃口を突きつけた。
 男は顔を真っ青に、可哀想なほどに震えながら、しかし強くノノを睨み付ける。
「なるほど、負け犬ってのはこんな顔してるんだね。どう、自分のために、他人を傷つけた気分は?」
「……お前に何が分かる。妻と子供がいるんだ、何をしたって、助けたいと思うだろ!」
「それが一番大事だっていうのは否定はしないさ! だけどね、だからこそ、見誤っちゃいけないんだ」
 ノノは知っている。銀河帝国というのは、全宇宙に、そこに生きる全てに仇なす存在だ。
 なびこうが、媚びを売ろうが、仲間を売り渡そうが。最後には、必ず全てを奪い去っていくだろう。
「ボク達が来なかったら、遠からず船は沈んで、君も、大事な家族の命もおじゃんさ! ……仮にもレジスタンスを名乗るなら、抗う相手を、間違えるんじゃない!」

 男は泣きそうな顔で、ポツポツと語り出す。
 船内にいくつか存在するレジスタンスのアジト。その一つに、銀河帝国の尖兵が潜んでいるということを。

成功 🔵​🔵​🔴​

ケイ・フィンランディア
悪だくみをするって事は、結果を人一倍気にする事が多いらしい。何せ、それが利となる可能性が高いですからね。
ですが、侵入をするにしても何かしらの情報を仲間と共用でき、位置の把握をして貰えた方が良いのが問題ですね。何せ、協力者なら良いですが、残党が相手となった場合の事を考えると軽々に動いては、足を引っ張る事になります。
なので今回は、助けたメンバーの反応を影から確認しつつ、仲間の猟兵と意見を交換し、協力者が相手だったならば身分を偽り侵入。
追跡する場合は、バレないように離れて追跡など、状況によってある程度行動を変えたい所です。
ただし、必要とあれば逃げる事も考えて何時でも目くらましが出来る準備が必要かな?




「……なるほど、この中にも何人かいるようですね」
 ケイ・フィンランディアは仲間の猟兵と連絡を取り合い、情報を得ることで上手く侵入を果たそうと考えていた。
 工場内の避難区画で人員達の様子をうかがい、反応を確認しつつ、この後の行動を選んでいく。
「協力者なら良いですが、残党が相手となった場合は、少々厄介ですね」
 自分が動くことで足を引っ張ってしまう可能性を考えれば、軽々に動くわけにはいかない。慎重に慎重を重ねて、ケイは仲間と自分の意見を摺り合わせていった。

 やがて、その中に普通の人間と思われる協力者を見つける。彼は、人目を憚るように辺りをうかがうと、そそくさと工場エリアから離れていった。
 ケイはゆっくりと、その後を追う。
 協力者は、商業区画へ入っていった。数点の飲食店やマーケットの並ぶエリアだが、工場に近いこともあって今は人影が少ない。
「少し、よろしいですか?」
 協力者が立ち止まるのに合わせ、ケイは声を掛ける。
「レジスタンス、の方ですよね」
「な、なんだあんた」
 男は強い警戒の色を見せる。
「見てましたよ、あの工場で起きたこと。……あんなことをされたら、人類が勝てる見込みはないですよね。僕も、死にたくないんです。どうか僕を、レジスタンスに入れて貰えませんか」
 ケイは出来るだけ下の方から、男へと歩み寄る。か弱く、恐怖に心の折れた人物を装って。
 そうして暫く話していくにつれ、男は自分と同じ気持ちを持った人間だと心を少し開いてくれた。これも、銀河帝国に人類が敗北することを確信するからこそ。まさか帝国に抗おうという人間がいるとは、考えてもいない。
「分かった、付いてきてくれ」
 男は声を潜めてケイを促す。ケイは男の後について、とある路地へと入っていった。
 路地の突き当たりにある蓋を持ち上げ、梯子を伝って縦孔を降りる。長い梯子は船下部の余剰空間へと繋がっていて、広大な空間に浮かぶ鉄製の細い足場が到着点だった。
「……まずいですね」
 ケイは呟く。逃げ道がない。
 細い足場は複雑に折り重なり、やがて都市部を支える巨大な柱へと吸い込まれるように続いていた。
 ここまで分かれば十分だろう。ケイがそう思い、踵を返そうとしたときだ。
「おい待て、そいつは……!」
 敵意を含んだ声が聞こえた。見れば別の足場に、人影が見える。
 オブリビオンだ。ケイは咄嗟にそう判断すると、ユーベルコードを用いて火の獅子を空中で炸裂させた。
 爆炎と熱風が足場を揺らす。その隙に、ケイは元来た道へ急いで戻る。
 仲間の猟兵に自分の位置は知らせてある。十分な情報は、入手出来ただろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミスト・ペルメオス
(POW)

レジスタンス、ですか。…面白くない名前です。
脅かされたがゆえの行動を責める資格は、私にはありません。
ですが…鎧装騎兵として、目論見は実力で阻止させてもらいます。

「証」が外から見えるものとは限りません。それが何なのかが分かれば良いのですが…
分からなければ仕方ありません。工場や重要施設などをしらみつぶしに調べ回るとします。
デバイスによる情報収集は当然として、念動力で「怪しいもの」が引っかかれば良いのですが。

怪しい人達がいれば、片っ端から尋ねて回ります。
何か不審な素振りがあれば…やむを得ません。サイコキネシスを使い、少々脅すことも考慮します。
…悪評よりも、悲劇を避けることの方が重要です。




 ミスト・ペルメオスのサイコキネシスが、目の前の男を縛り持ち上げる。工場の様子を隠れて眺めていた青年だ。
「そこで、何をしていたのですか?」
 ミストは鋭い口調で問いかける。自分が疑われていることに気付いたらしく、青年は必死な態度で弁明を口にした。
「……なるほど、ただの野次馬でしたか。失礼しました」
 どうやら本当に、ただ好奇心に駆られただけのようだ。何の敵意も、信念も彼からは感じない。
 納得すると、ミストは青年を解放し再び辺りに視線を走らせた。他に怪しい人物がいないか、一人も見逃すことのないように睨み付ける。
 ミストは、工場の周囲から、統治機関や司法関係、船の中で重要と思われる施設などを虱潰しに確認して回っていた。
 例え悪評が立とうとも、迅速に悲劇を避けることの方が重要だ。
「……鎧装騎兵として、目論見は実力で阻止させて貰います」
 脅かされたが故の行動を咎める資格はない。だが、多くの被害が出ると分かっていて、それを止めない道理もない。
 ミストはデバイスを操作する。周囲に存在する端末にアクセスすることで手に入れた情報が、画面に所狭しと躍った。

 やがてミストは、怪しい人物に共通点のあることに気付く。
「赤いピアス、ですか」
 髪の毛に隠れるように、右耳に小さなピアスをつけている人物が多かった。そう思い当たったとき、仲間の猟兵からの情報が入る。やはり、彼らも同じことに気付いていた。
 確信し、ミストは改めて走り出す。『証』がどういうものか分かれば、対処のしようはいくらでもあった。
「レジスタンス、ですか。……面白くない名前です」
 そんな大仰な名前を名乗っておいて、やっていることはただのテロ行為。ミストは歯を噛み、地面を蹴る足に力を込めた。
 そうして数人に話を聞き出し、情報も固まってきた頃。ミストのデバイスに、新たな情報が齎される。
「地下空間、ですか」
 どうやらこの船には、住民にもあまり知られていない空間が存在するらしい。より詳しく情報にアクセスすれば、やがて船の簡易的な見取り図へと辿り着く。
「使われていない資材保管庫に、旧型の情報制御室」
 他の猟兵の得たものも繋ぎ合わせれば、その場所が最も怪しい。ミストは今し方捕まえたレジスタンスの協力員へ向けて、デバイスの画面を突きつけた。
「ここ、見覚えありますよね?」
 空中に逆さで固定された男は、泣きそうな顔で何度も頷いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

心象創造・空蝉
SPDを選択
ひとまず、周りは暴走の影響で、瓦礫だらけだ。身を潜めるのに苦労はしないだろう。こちらは体の形を変えながら、協力者及び残党を探そう。発見次第、身を潜めながらユーベルコードを発動。変幻地走り影法師で、発見した者を、影を様々な形に変えながら追跡しよう。追跡中にこちらが発見された場合は、アイテム:モデル"シャッガイ"で催眠状態にかけ、情報を引き出す。




 心象創造・空蝉は不定形の体を活かし、瓦礫の陰から様子をうかがう。
 誰も見ていないとなれば、人の行動は大胆になるものだ。工場から離れゆく人影を追って、空蝉は陰から陰へ移動した。
 幸いにも工場内は瓦礫だらけで、隠れるに苦労はしない。
 そうして暫く観察を続けると、やはり、妙な動きをとる人物の姿を目にし始める。時間が経って、油断が出てきたのだろう。
「……全く、蜂起するならばもっと緊張感を持つべきだろうに」
 所詮は元々一般人。あからさまに何かを隠した様子で早足に工場から去る人物の後を、空蝉は追った。

『汝顔を持ち顔を持たぬ者、我が影より生まれ、誰そ彼、彼は誰、闇夜を問わず追跡せよ、うがうなぐる ふたぐん。変幻地走り影法師』
 自家用車の陰に潜む空蝉は、真っ黒な影を召喚する。それは様々に形を変え、影から影へと滑るように移動し、先ほど見つけた人物を追った。
 その人物は、間違いなく黒だ。そう思い暫く追跡を続けたところで、他の猟兵から情報が飛び込む。
 レジスタンスの『証』というのは、どうやら赤いピアスらしい。
「当たりだな」
 その通り、人物の右耳には、髪に隠すように小さなピアスがあった。
 彼は人目を避けるように工場地帯の端へと赴くと、そこにあらかじめ集まっていた数人と合流する。どうやら仲間であるらしく、全員の耳にピアスが確認できた。
 空蝉は影法師をより近く接近させ、気付かれないように様子を見る。
「あれは、成功したって言えるのか?」
「知らねえよ。急に邪魔が入ったんだ」
「ちくしょう、このままだと殺されちまうぞ!」
 誰もが焦燥に駆られているようだった。
 しかし、それは好都合だ。あんな状態ならば、周囲への細かな警戒は散漫になる。案の定、彼らは追跡する影に気付かず、とある廃屋へと入っていった。
 空蝉は急いで小屋の扉に接近すると、中をうかがう。既に、そこに人影はなかった。
「……なるほど、ここからアジトへ繋がるのか」
 慎重に小屋へと侵入し、中を調べる。古びたロッカーの奥に、地面の下へと続く小さな入り口を見つけた。
 影法師を送り込み、先を確認する。どうやら、船下部の空間へと繋がっているようだ。
「なるほど。仲間達の調べと、同じなようだ」
 その確認さえ出来れば十分。空蝉は静かにロッカーを閉めると踵を返し、
「おい、なんだてめえ――」
 背後から声が聞こえた瞬間、空蝉は素早く銃を構えていた。光弾が発射され、相手にぶつかり炸裂する。
「おっと悪いな。丁度いい、質問に答えて貰うぞ」
 銃の効果により催眠状態に陥った男は、うつろな目で頷いた。

 男は、銀河帝国に属するオブリビオンの一人だった。力は小さく、本命である尖兵を補佐する立場だったが、それでも持っている情報は得がたいものだ。
 ――帝国騎士。
 帝国の主力であるその一人が、この船に侵入しているという。その場所までも、男は洗いざらい教えてくれた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『帝国騎士』

POW   :    インペリアルブレイド
【念動力を宿した「飛ぶ斬撃」】が命中した対象を爆破し、更に互いを【念動力の鎖】で繋ぐ。
SPD   :    ダークフォースバリア
自身に【鮮血の如きオーラ】をまとい、高速移動と【赤黒い電撃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    インペリアルフラッグ
【念動力で形成した帝国の旗】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を『帝国の領土』であると見る者に認識させ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 手に入れた情報を精査し、猟兵達は船の下部へと降りていく。
 遠くに船の骨組みが見える、広大な空間。そこには船中央部の工業都市を支えるように、いくつもの巨大な柱が立っていた。情報ではその中に、使わなくなった資材倉庫と、旧型の情報制御室があるはずだ。
 網の目のように張り巡らされた、空中の通路を進む。広大な空間に、金属を踏みしめる音が木霊する。
 やがて猟兵達は、柱の一つへ辿り着いた。
 異様な静けさだ。既に猟兵達の行動は、相手に知れ渡っているらしい。
 猟兵達は息を整えると――電子ロックのかかった扉を一息に吹き飛ばし、中へと飛び込んだ。

「人類などを使ったのが、そもそもの間違いだったか」
 帝国騎士は溜息をつく。
 ウィルスはすぐに駆除され、工場の暴走は大した成果も出さずに止められた。その上、追跡されて潜伏場所までバレてしまう有様だ。
「ふん、まあいい。奴らを殺せばいいだけだ」
 手駒など、いくらでも作れる。
 ――剣に付いた血を払う。地面に転がった無数の人間の残骸を蹴り飛ばし、帝国騎士は猟兵達を迎え撃つべく情報制御室を後にした。
ケイ・フィンランディア
敵は帝国の騎士のようですか…
他者を見下し、自分が優位であると考え、何かを理由に暴虐を行う
現実の騎士は今も昔も賊と大差無く、子供の考える騎士とはこうも違うのだから笑うしかありませ

僕は後方からの攻撃型なので、誰かと合わせて攻撃するしかありません。
ですので、真の姿を使用するのは確定として、動き方を考える必要があります
出来る事は二つ。一つは、隠れながら誰かの攻撃の援護。もしくは、UCが氷と言う特徴を利用して味方を守る盾とする
もう一つは、見た目からして後衛型の僕が前衛の人と一緒に接近して、高速詠唱18、全力魔法8、範囲拡大8と言う技能を利用して、至近距離で自爆覚悟の攻撃
正直、全ては状況次第ですがね…


心象創造・空蝉
POWを選択
まず出会い頭に、アイテム:マシンクラッシャーに乗り、奴に突撃する。とはいえ、相手は帝国騎士だ。剣による反撃は必至だろう。オレは奴の攻撃が飛んでくる寸前に、クラッシャーから飛び降り、囮にする。これで自走するクラッシャーに念動力の鎖が巻き付き、奴の身動きを封じるだろう。その隙を見て接近し、ユーベルコードを発動、周囲の無機物+クラッシャーと共に、奴の鎧や武器(無機物)を取り込み、ロボになる。エンジンを搭載したモノを取り込んだロボで、奴に全力で攻撃を叩き込もう。真の力が少し解き放たれているから、加減は出来ん。覚悟しろ。




 倉庫への扉を吹き飛ばすと同時に、心象創造・空蝉は万能バイク、マシンクラッシャーを走らせる。
「あれか……!」
 待ち受けるのは銀河帝国の尖兵――騎士のような姿をしたオブリビオンだった。
 空蝉は敵を視認すると、躊躇なくハンドルを切ってその進路を騎士へと向ける。エンジンが唸りを上げて、回転数を一気に上げていく。
「我ら銀河帝国に仇なす者よ、その無意味を知るがいい」
 騎士の構える真っ赤な剣が光を放つ――その瞬間、既に斬撃が放たれていた。
 真紅の軌跡が空間さえ切り裂くように、空蝉の視界を染める。まともに食らえば一溜まりもない、それを予感させる巨大な斬撃。
 しかしそれは空蝉の想定内。直撃の寸前に空蝉は、バイクから飛び降りた。
 刹那、彼の背後で爆炎が上がる。全て吹き飛ばすような衝撃波が空間を舐め尽くし、余波だけで空蝉の意識が揺らいだ。


 コンテナの陰に隠れてケイ・フィンランディアは、帝国騎士の放った念動力の鎖が、空蝉のマシンクラッシャーに絡みついたのを見た。
「帝国の騎士ですか、どうやら子供の考える騎士とは大きく違うようですね」
 その姿に騎士道など欠片もない。ただ何かの理由を盾にして暴虐の限りを尽くす、賊の一種にしか見えなかった。
 騎士が空蝉の方を向くと同時、ケイは支援砲撃を開始する。瞬時に放たれた無数の砲弾が、敵を襲い炸裂した。
「……もう一匹か、面倒な」
 その直撃を受けながらも、騎士の足下は微塵も揺るがない。
「実力だけはあるようですね」
 騎士の放った旗状の念動力を躱し、ケイは再びコンテナに隠れ潜む。


 空蝉は頭を振って、気を取り直す。ほんの一瞬、意識が飛んでいたらしい。
 砲撃の音を聞きながら、空蝉は騎士と、囮にしたバイクを見る。空蝉の思惑通り、騎士の鎖に絡め取られながらもバイクは前に進もうと唸りを上げていた。
 だが、騎士は片手で鎖を手繰り、その動きを押さえている。
 ――それでも隙は見えた。
 空蝉は騎士へと一息に接近。背後を取ると、ユーベルコードを発動させた。

 マテリアルサーチ――バイクや倉庫のコンテナ、騎士の鎧や剣を検出し。
 コレクトコンフォーム――それらを自身に集約すると共に適合させる。

「コンプリート!」
 無機物を取り込み、空蝉が巨大なロボと化した。体内でバイクのエンジンが唸りを上げて、最大限に引き出された力が宿る。
「加減は出来ん、覚悟しろ」
 巨大な拳に全ての力を込めて振り上げる。溢れんばかりの膨大なエネルギーが、今にも暴れ出さんと咆哮を上げる。
「ほう、面白い芸だ」
 剣を奪われた右手を一瞥し、帝国騎士が振り返った。
 ――空蝉が拳を振り下ろす。
 ――騎士は真紅のオーラを纏い、赤黒い電撃を放ちながらそれを受け止める。


 ケイの視線の先、大きな力がぶつかり合った。衝撃に稲光が爆ぜ、周囲を赤く染め上げる。
「……あれは、よくないですね」
 しかし空蝉の拳は赤いバリアに阻まれて、その腕を伝うように赤黒い電撃が伸びる。
 あのままでは、ジリジリと焼き殺されるだろう。ケイは咄嗟に、ユーベルコードを発動した。
「風の後ろを歩む者、風に乗りて歩む者。氷結の竜となりて奔れ」
 暴風に乗って迸る強烈な冷気が、空蝉の腕に巻き付いて厚く氷を張る。すると電撃は氷の上で滑るように、拡散し虚空に散った。
 これでしばらくは時間が稼げる。だからその間に、もう一つ強く押し込むべきだ。
 空蝉の無機質な腕が上げる軋みを聞きながら、ケイは意を決して前に出る。全ての力を練り上げながら、口元に高速の詠唱を紡ぐ。
「複数で来ようとも!」
 騎士の雷撃が、ケイを掠める。だが、臆することなく騎士へと肉薄、バリアへ接触するほどに近づくと。
 ――その力を、自爆覚悟で解き放った。
 瞬時、全てを吹き飛ばすような暴風と氷の乱舞が、空蝉の拳の力と共にバリアを打った。
 騎士の念動力が乱され吹き荒れる。倉庫のコンテナが弾き飛ばされ轟音と共に壁に突き刺さる。
 甲高い音。バリアが砕ける。
 同時、空蝉の拳が、ケイの術式が、騎士へと襲いかかった――



「……そうか、そうまでして我ら帝国に歯向かうのだな」
 もうもうと立ちこめる余波の中、騎士はゆらりと立ち上がると、右手を空蝉に向けた。
 ドン、と金属の砕ける音と共に、取り込まれていた剣が瞬時に騎士の元へと舞い戻る。
「構わん。貴様らのようなゴミの排除も、俺の仕事だからな」
 赤い剣で周囲を斬り払い、騎士は泰然と吐き捨てた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

フルーネ・フローライト
理由はどうあれ…力による圧制で人の弱みに付け込んで手駒に使うのは流石に許しがたい。酌量の余地もないから思う存分悔しんでから死んでもらうとしよう

接近戦だと相手が有利だと思われるので射撃戦で応戦します。




 帝国騎士の周囲を、浮遊機雷が取り囲む。
 フルーネ・フローライトが全身から放ったそれは、一見して大きな攻撃力を持っているようだ。しかしその実、全てがフェイク。騎士は困ったように小さく溜息をつき、支援火器を構えるフルーネを見た。
 警戒心により、行動を制限する。そうして動きの止まった騎士に向け、フルーネはあらん限りの火力を叩き込んだ。
「力による圧政で人を手駒にするなんて、流石に許しがたいからね。……存分に苦しんでから、死になさい」
 発火炎の光が僅かに視界を染める。弾丸が倉庫内のあらゆるを貫き、砂塵が舞い上がった。
 ――猛煙の中から、帝国の旗がいくつも飛んだ。
 フルーネは咄嗟にそれを躱す。弾丸の速度で飛ぶ念動力の旗が、甲高い音を立てて次々と壁に突き立った。
 跳び転がり躱しながら、フルーネの火器が更に火を噴く。煙の中で動きを封じるように、弾丸の雨を広い範囲に浴びせていく。
 手応えがあった。
 フルーネは再び機雷を放ち、騎士が剣を振るって煙を吹き飛ばすと同時にその周囲に配置する。
「無駄な芸当だ」
 機雷の合間を縫って、騎士が走る。フルーネに向け旗を投げつけながら、その手にした剣の切っ先が、真っ直ぐにフルーネを捉えていた。
 近づく騎士に狙いを向ける。距離が縮まるほどに正確に、照準は絞られる。
「酌量の余地もない罪の数々、死んで悔い改めなさい」
 火砲が過たず騎士に向け、盛大な咆哮を上げた。
 殺到する死の嵐を斬り払い、掻い潜り、鎧の曲面で弾きながらも――いくつかの弾丸が、騎士の胴体へ突き刺さった。
「ぐっ……小癪な」
 吐き捨てる騎士の胴体から、赤黒いオーラが立ち上る。弾は焼かれ、溶けて地面のシミと化した。
 肉薄する剣を下がって躱し、フルーネは急いで距離をとる。
 近接戦では不利だ。それなりのダメージを与えた確信を胸に、フルーネは倉庫を駆けた。

成功 🔵​🔵​🔴​

マグダレナ・ドゥリング
まあ、人道を説く気もしないけれど。
騎士らしい戦い、と言うのはあきらめて貰おうかな。

……ところで、わざわざここを狙ったのってどんな技術を研究してたんだろう。
折角内部に入れたんだしデータに興味はあったけど余裕なかったんだよね、
ここを狙った帝国騎士の人なら知ってるかな? 【時間稼ぎ】ついでに聞いてみたいな。

【SPD使用】
味方を巻き込まないように1人で先行して、
【手榴弾】で攻撃しようか、自分に向かう爆風は【我が身は霧】で回避する。
後は相手は一人、こちらは増援が期待できる状況だ、【時間稼ぎ】が出来れば僕らの有利に働くはず。後は後続に任せよう。




 マグダレナ・ドゥリングは、他を置き去るように前に出た。
 先行し、自分が時間を稼ぐことで増援の到着するまで持ちこたえる。その算段だ。
 ――若しくは味方を、巻き込まないように。
「……ところでちょっと聞きたいんだけど」
 マグダレナは、帝国騎士に問いかけた。
「ほう、何が聞きたい」
 死にゆく者への手向けだろうか。それとも、ただの戯れか。時間稼ぎとバレてはいるだろうが、どうやら付き合ってくれるらしい。
「君は、わざわざここを狙ったんだよね。僕もデータには興味があったんだけど、ちょっと余裕がなくて。ここがどんな研究をしてたのか、さわりだけでも教えてくれないかい?」
「……そうか、なるほどな」
 マグダレナの言葉に対し、小馬鹿にするように小さく笑う。
「ん、何が可笑しいんだい?」
「いやなに、自分たちを如何に評価しているのかと思ってな。――人類の研究だと? 虫の歩みに気を取られるほど、俺は暇ではないんだよ」
 心底見下す物言いで、騎士はそう口にした。
「そうかい。実験的な技術を研究してるって聞いてたから、知りたかったんだけど、残念だ」
 マグダレナは気にせず、喋りながらゆっくりと騎士に歩み寄る。
 何かを狙っていることもバレているだろう。だが騎士は、マグダレナが近づくも気にしていない様子だ。
「まあ、人道を説く気もしないけれど」
 ならば、その余裕につけ込もう。
「――騎士らしい戦い、というのは諦めて貰おうかな」
 それで話は終わり。
 マグダレナは騎士の間近まで近寄ると、その手に隠した手榴弾のピンを抜いた。
 直後、彼女の手の中で、騎士の至近で、爆風が発生。轟音と共に周囲全てを薙ぎ払う。同時に広がった衝撃波が暴力的に荒れ狂った。
 マグダレナは、その瞬間に自身を霧と化して自爆を回避。余波が過ぎ去ると同時に実体に戻ると、彼女の時間稼ぎにより到着した増援に後を任すように退避をし――その頬を掠める赤黒い雷撃を、何とか躱して距離を取ることに成功する。
 爆風を浴びた騎士は鎧に付いた埃を払い、ただ去りゆくマグダレナを見送った。

成功 🔵​🔵​🔴​

ノノ・スメラギ
ああ、間違え、間違えさ!
銀河の害獣に本当に心から手を貸す人間なんてこの世界にはいやしないんだ!
キミの命運はここに尽きた。
この銃斧の騎士、ノノ・スメラギが! 間違いだらけのお前を公開する間もなく虚無に送り返してやる!

最初から全力で行くよ!
まずは、牽制のためにガンナーズとスライサーを展開して一斉発射するよ!
続けて、VMAXランチャーを連射しながら、最大限の加速で突撃をかけるて、最後はアックスフォームで全力の一撃を叩き込んでやろうじゃないか!(怪力+捨て身の一撃)
爆発する飛ぶ斬撃からの念動力の鎖はシールドデバイスの盾受けで浮遊盾を囮にして突っ込むよ!  



 ――飛来した魔力の砲弾を、帝国騎士は目も向けずに斬り払う。二つに割れた砲弾が壁に接触すると同時、閃光で周囲を染め上げる。
 その光に紛れてスライサーが襲いかかると、追加の砲弾が退路を塞ぐように次々と放たれた。
 ノノ・スメラギは飛行砲台を展開すると同時、思い切り地面を蹴っていた。踏み込む度に力を込めて、最大限に加速しながら騎士へと突撃。そのまま背負ったランチャーの照準を騎士へと向ける。
「最初から全力で行くよ! VMリアクター、第一限定解除!」
 魔力弾が斬撃に触れて次々と弾け飛ぶ。ノノと騎士の間で、無数の光が瞬いた。
 彼我の距離は一瞬にして縮まって、飛行砲台からの砲撃と、スライサーの一撃がノノの鼻先までも掠めていった。
 騎士の赤い目がノノを見る。
 その瞬間、至近距離から放たれたランチャーの一撃が、騎士とノノを巻き込み炸裂した。
「フルドライブ! ファイナルシーケンス、行くよ!!」
 ――ノノの手にしたVMAXランチャーが形を変える。膨大な魔力が刃となって、力強く輝いた。
「キミの命運はここに尽きた。この銃斧の騎士、ノノ・スメラギが! お前を虚無に送り返してやる!」
 地面の砕けるほどに踏み込んで、加速に砲弾の衝撃波までも力に乗せて、ノノはアックスフォームとなったランチャーを大きく振りかぶる。
「言葉だけは大層なものだな!」
 ノノが斧を振り下ろすと同時、騎士の剣が振るわれた。
 二つの力が激突し、狭間で凝縮された圧力が大気を揺らす。倉庫の床に大きく幾本もの亀裂が走り、窓は粉々に砕けて破片が船底部の空間に散った。
「銀河の害獣が、この世界から出て行けぇっ!」
 騎士から立ち上った赤黒い雷撃をその身に浴びて、しかし怯まずノノは更に大きく一歩を踏み込んだ。
 これまでの戦闘で、この倉庫自体に大きなダメージが入っていたのだろう。――次の瞬間、ノノと騎士の足下が崩壊を始める。
「ここだっ!」
 ノノは間髪入れず飛行砲台から魔力弾を放った。それは騎士の足下に着弾し、そのバランスを先に崩す。
「ちっ、これは……!」
 そして大きく傾いた騎士の体を、魔力刃が剣ごと大きく弾き飛ばした。
 都市を支える柱から騎士が投げ出される。その刹那、空中の騎士が巨大な斬撃を放つ。ノノは咄嗟にシールドを展開すると、浮遊する装甲を斬撃へと合わせた。
「ふざけた真似を……!」
「こっちの台詞だよ、害獣」
 轟音と共に爆裂する念動力が、鎖を形成して互いを繋ぐ。しかし繋がれたのは浮遊装甲だ。
 ノノが機能を切ると同時、装甲は力を失い、騎士と共に落下していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミスト・ペルメオス
(WIZ)
(帝国騎士に虐殺されたと思わしき、人々の亡骸を目にしてから)
…今を生きる鎧装騎兵として。帝国の亡霊は、実力で排除します。

敵の本領は接近戦と判断。一定の距離を保ちつつ射撃戦に徹する。
まずは射撃武器を駆使し、敵の動きを見切りつつ撃ち込んでいく。
念動力は攻撃(射撃武器の照準補正、サイキックエナジーの投射)だけでなく防御にも応用。
相殺は出来ずとも、いくらかでも敵の念動力に対抗し、その威力を減じたり攻撃を逸らそうと試みる。

ある程度の攻防を経た後、もしくは敵が距離を詰めてきたらサイキックブラストを繰り出す。
一斉射撃で応戦する…と見せかけて素早く体勢を切り替え、電撃を放って敵の動きを鈍らせる。



 ミストは戦いの最中、ふと資材倉庫の奥に目をやった。そこは情報によれば確か、旧型の情報制御室であったはず――
「あれは」
 その部屋に赤い色を、ミストは見る。それは幾人もの人間の、なれの果てだった。
「……今を生きる鎧装騎兵として。帝国の亡霊は、実力で排除します」
 いい知れない感情を胸に、ミストはライフルのグリップを握り直した。


 ――轟音と振動。柱の一部が崩れていく。
 倉庫に大穴が空き、気圧の差から空気が猛烈な勢いで外へと吸い出されていく。コンテナが転がり、瓦礫が飛んで、船底部の空間に無数のゴミが舞った。
 ミストは躊躇いなく、穴から外へと躍り出た。崩れかかった細い足場に飛び移り、スラスターを起動。飛び上がると、続けざま、ライフルで空中の帝国騎士に狙いを付ける。
「今なら、回避はできないでしょう!」
 引き金を引く。放たれたビームが尾を引いて、次々と騎士へ殺到、その体を強く打ち据えた。
「この、人間如きが!」
 帝国騎士が斬撃を放った。赤黒い極大の念動力が、刃と化して柱へと飛び、
「させませんよ!」
 ミストは斬撃に向け、あらかじめ蓄えておいた力を解放する。
 目に見えないサイキックエナジーが、斬撃にぶつかり甲高い破裂音を響かせた。
 相殺はできない。しかし、その軌道を逸らすことは可能だった。
 弾かれた斬撃が虚空へ消える。騎士はミストを忌々しげに睨み付けると、念動力の旗を怒りにまかせて投げつけた。
 機銃が如く降り注ぐ旗の軌道は正確だった。空中での急制動では加速が足りず、念動力により狙い撃ちされる可能性がある。
 ミストは仕方なく足場に着地、床を蹴ると、旗は次々に、細い足場を引き裂いていく。足場を飛び移り攻撃を躱しながら、ミストはライフルを連射、しかし騎士の周囲に発生した赤黒いオーラがバリアとなって、それを防いでいく。
 ――空中での攻防は、ほんの数秒で終わりを告げた。
 最後の足場が破壊され、ボロクズのように落ちていく。騎士は勝ち誇ったように笑い声を上げた。
「お互い、辛い状態だなぁ!」
「……一緒にしないで下さいよ」
 地面への衝突まで、どれくらいの時間があるだろうか。ミストは落ち行く足場を蹴って、一息に騎士へと肉薄した。
「ふん、捨て身とはな!」
 ミストが銃を構えるのを見て、騎士が空中に無数の旗を生成した。どうやら撃ち合うつもりらしい。――だがミストに、それに付き合うつもりはなかった。
 旗が放たれる寸前、ミストは武器を手放した。
「何を……」
「亡霊は地獄へと帰るべきです。死んでいった、人々のためにも!」
 刹那、ミストの両掌から、高圧電流が迸る。枝分かれする青白い紫電が空気を焼き、バチバチと凶悪な音を立てる。
「ぐ、おおおおおお! こんな、ことが……っ!」
 光の速度で電流が、過たず騎士を打った。
 騎士は動きを封じられる。この空中で、重力に任せて落下するままに。ほんの少しの時間であろうと、それは決定的なものとなった。

 ――受け身すら取れないままに、騎士は船底へと激突。生々しい打音が響き渡った。

成功 🔵​🔵​🔴​

フローディア・マシュー
貴方は力に自信があるようですが、作戦、人心掌握共に失敗でオツムと人望の方は中々残念な方の様子ですね。

先人たちのデータを【学習力】で学習し、【エレクトロレギオン】で【時間稼ぎ】と攻撃を行って炎の【属性攻撃】の【全力魔法】を使用しましょう。
他の方と一緒の時は上記の動きと【エレクトロレギオン】での味方のサポートをしましょうか。


ルイス・アケーディア
さて、待たせたな。
こいつらを連れてくるのに、随分時間がかかってしまった。

先程制御を奪った機械を可能な限り引き連れて、一番乗りやすそうなものに【騎乗】し帝国騎士のところへ乗り込む。

基本戦術は騎乗して上空からマシンガンでの射撃。
クレーン車等、ある程度殺傷力のある大型機械は直接叩きつけて攻撃。
必要であれば、味方への攻撃の盾としよう。

機械が破壊されたなら、その砕けた金属片を巻き上げて敵に向かわせる。
致命傷とはならなくとも、目眩しと足止め程度にはなるだろう。

お前が見下す人類ごときの技術に、翻弄されてみるといい。



 帝国騎士は剣を杖代わりに、肩を揺らしてゆっくりと立ち上がる。ふらつきながら、吐く息は荒く。その姿に、もはや大きな力は宿っていないように見えた。
「貴方は力には自信があったようですが、オツムと人望に、それまで失ってしまうとは中々残念な方のようですね」
 フローディア・マシューは無表情のままに、騎士へと言葉を投げかける。
「黙れっ……この、程度で……!」
 赤く目を輝かせ、騎士が唸る。
「では、とどめを刺させて貰いましょうか」
 対してフローディアは、言葉少なに無数の機械兵器を周囲に召喚した。

 船底空間の天井に、突如として穴が空いた。降り注ぐ光と共に、現れたのはいくつもの機械。あの工場で暴れていたものだ。
「さて、待たせたな。こいつらを連れてくるのに、随分時間が掛かってしまった」
 工場内移動用の四輪バイクに跨がるルイス・アケーディアが、その中心に浮かんでいた。
「この状況、どうするつもりだ? 大人しく投稿してくれたら、こちらとしても楽なんだが」
「多勢に無勢、というものですね。今の貴方に、抗えるものではないと思いますが」
 空中からはルイスがマシンガンの銃口を向け、地上ではフローディアが戦闘兵器と共に炎の魔法をその手に紡ぐ。
 既に満身創痍な帝国騎士は二人を前に――しかし一息に剣を振り上げた。
「既に勝ったような、物言いだな……ふざ、けるなぁっ!」
 爆発的に力が高まる。荒れ狂う念動力が嵐となって渦を巻く。騎士は念動力の旗をその手に作ると、その足下に突き刺した。
 猟兵達はその瞬間、何故か認識する。その一定空間が、帝国の領土と化したことを。
「遠慮は、いらないというわけですね……」
「仕方あるまい。最後まで付き合ってやろうか」
 次の瞬間、フローディアは機械兵器を騎士へと殺到させ、ルイスの操る重機が騎士の頭上へと移動する。
 タイミングを合わせ、同時に襲いかかった。
 機械兵器が騎士の動きを制限しようと飛び回り、それをさせまいとする騎士の雷撃が空間を炙る。――上空から重機が、砲弾のように叩きつけられた。爆音と猛煙。しかしその中から真紅の斬撃が飛び、空中の機械を両断し爆散させた。
 次の瞬間、騎士が白煙を突き破ってフローディアへと飛びかかる。
「させるか!」
 そこへ割り込むようにトラックが突き刺さると、騎士はそれを足場に空中へ、今度はルイスを狙って無数の旗を連射した。
 ルイスは機械を操って急制動をかけ、それを回避すると共にマシンガンを乱射。いくつかの弾丸が騎士を貫く。
 ――そこに追って、フローディアが駆け寄っていた。
「これで、終わりにしましょう」
 フローディアは魔法を紡ぐ。自らの持ちうる最大の力を以て、同じくトラックを駆け上がって騎士の背中へと――莫大な炎を叩き込んだ。
 真紅の光が花咲いて、猛烈な高温と爆風が空間に吹き荒れる。その中心にいた帝国騎士は、声も出せずに落下した。
「まだ、やりますか」
 ボロクズのように転がりながらも、騎士は腕を突き、必死に体を持ち上げようとする。
「俺、が……帝国の名に、傷を付けるわけには……いかんのだ……っ!」
 僅かに雷撃が周囲を焼く。だがそれはもう、誰も傷つけることなく虚空に散っていった。
 ルイスが手を振り上げる。重機が、騎士の真上へと滑るように移動し、
「お前が見下した人類如きの技術だ。最後にその重みを、知るといい」
 ルイスの手が下がると同時、風を切って、落下した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年01月16日


挿絵イラスト