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泳ぎたいなら宇宙で泳げ!

#スペースシップワールド #戦後


●泳ぎたいなら
「さむーい!!」

 グリモアベースにて突如響き渡る声。
 テイル・スネークス(双頭な蛇・f18636)は尻尾を抱いて己の主張叫んでいた。
 そうしてすっきりしたのか、周囲の猟兵達へと目を向ける。

「あ、ごめんごめん。うるさかった?」
「いや聞いてよ、UDCアースの日本が夏だっていうから行ったら超寒いの」
「梅雨だっけ? なんか長引いてるとかでさー」

 あ、これ聞かなくてもいいやつだ。
 そんな視線を感じたのか、テイル慌てて尻尾で背後のタブレットをとり寄せる。

「待って待って、それだけじゃないんだよ」
「いや、愚痴りたかったのもあるんだけどさ」
「ほら、ここグリモアベースだし? ちゃんと依頼に来たんだよー」

 手早くタブレットを操作し、猟兵達に見せるテイル。
 そこには宇宙空間と、なぜかスイカが映っていた。

「オブリビオンだし、銀河帝国の残党ってことになるのかな」
「たくさんのクラゲと、でっかいクジラのオブリビオンが現れてね」
「それをみんなに倒して来てもらいたいんだ」

 つまりは、宇宙空間を泳ぐ奴らとの戦闘だ。
 不利な状況に思えるが、特別な宇宙服を用いれば猟兵達とて生身と同じ動きができる。
 かの銀河帝国攻略戦を乗り切った猟兵達であればさほど苦労はしないだろう。

「ようは寒くてUDCアースじゃ泳げないから宇宙を泳ごうってことだね!」

 決まったとばかりにどや顔を晒すテイル。
 たっぷりと間を取って満足したのか、転移の準備を始める。

「あ、現場には宇宙船で行くことになっててね」
「そこでなんか流行ってるみたいだから、つくまで遊んでるといいんじゃないかな」
「なんだっけ……えーと、さっきタブレットに映った奴。スイカ? を割るんだって」

 ビーチであれば定番の遊びだが、スペースシップワールドのスイカ割りは一味違う。
 なんと、無重力化で行われるのだ。一部で熱狂的な流行を見せている無重力でのスイカ割りはエクストリームスポーツとしても認定されているとかいないとか。

「ま、いざとなったらボクが転移させるからね!」
「気楽っていうのもあれだけど、スイカ割りも宇宙遊泳も楽しんできてよ」
「それじゃ……いってらっしゃい、猟兵(イェーガー)!」


黒い蛇
 梅雨が長引いている昨今、いかがお過ごしでしょうか。
 黒い蛇と申します。

 今回はネタ気味の緩いシナリオとなっております。
 戦闘の判定も緩くなっておりますので、気楽にご参加ください。

 以下、各章のおおよその説明です。

●第一章
 スイカ割りを行います。
 適当にヤジを飛ばしたりするのも良いでしょう。
 何ならスイカ割りせずに無重力の遊泳をしてもいいでしょう。
 暑苦しいモブもいたりしますが、気にしなくとも構いません。

●第二章
 沢山のクラゲが漂っています。
 クラゲからは積極的に襲ってこないので殲滅しましょう。
 宇宙空間での戦闘となります。

●第三章
 でかいクジラが襲ってきます。
 周りにはデプリしか無いので暴れても大丈夫です。
 宇宙空間での戦闘となります。

 それでは、プレイングをお待ちしております。
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第1章 日常 『エクストリームスイカ割り』

POW   :    とりあえずその辺を叩き割ってみる

SPD   :    集中し、この一撃にすべてをかける

WIZ   :    範囲攻撃だ……!

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●エクストリームスイカ割り

「うぉぉぉおおおおお!!!」

 

 男が手にした棒を振りぬく。

 しかし棒には何も当たらず、男が一回転するだけであった。

 目隠しを取った男の目の前には一個のスイカ、そして叫ぶおっさんが映る。

 

「馬鹿野郎! 左斜め45度だって言ってるだろうが!!」

「でもコーチ! 無重力で目隠ししてちゃ方向なんてわかんねぇよ!!」

「口答えするんじゃねぇ!!」

 

 熱い拳が漢の顔を打ち抜く。男は天井にまでぶつかり、涙を流していた。

 殴ったおっさん、コーチもまた涙を流して叫ぶ。

 

「優勝するんだろう、このエクストリームスイカ割りで!」

「見返すんじゃねぇのか! お前を笑ったやつらをよぉ!!」

「コーチ……!!」

 

 漢が立ち上がり、目を拭うと共に熱い涙が飛び散る。

 重力に縛られぬ汗が星のように輝きながら浮かんでいった。

 

 ここはとある宇宙船の中。

 無重力化でのスイカ割りを行う、謎のスポーツが流行していた。

 

 そんな暑苦しい船内とは裏腹に、船は静かに進んでいく。

 オブリビオンのいる宙域につくまではまだまだ時間がある。

 猟兵達は各々自由な時間を過ごしていた。
紅狼・ノア
あの二人何してるんだろう?すっごい暑いんだけど…そういえばさっき「エクストリームスイカ割り」?が流行ってるだっけ?
もしかしてその訓練をしてるのかな…まぁ楽しそうだからやってみようー

スイカ割りの大会とかあるのかな?あるならどんな景品貰えるんだろう?(わくわく)
んじゃ、やってみるか!一撃で決まるぜ!
【第六感・野生の勘】をフル活動、スイカの位置を探る
無重力だから振る衝撃でスイカが逃げるかもしれない…
そんな予想も考えといで瞬殺の如く叩き割ってやる!

大成功したらさっきのモブ男に向かってドヤ顔したろう~(からかう気満々)
*モブ絡みok

スイカを食べながら着くまでくつろいでいよーっと



 男が視線を感じて振り向いた先には一人の少女がいた。狼の耳に、眠そうな目と猫口を持つ少女、紅狼・ノア(捨て子だった人狼・f18562)だ。実の所、騒いでいる男は先程から視線にさらされ続けている。その中でノアの視線に反応したのは彼女の視線に好奇心が混ざっていたからだった。

「君、スイカ割りに興味があるのか?」
「んー、まぁ楽しそうだなって。その訓練してるの?」
「ああ! その通りさ!」

 男が暑苦しく答えるのを聞いて、暑苦しいと思うと共にノアの内にはもう一つの感情が生まれていた。すなわち、コイツからかったらいいリアクションしそうだな、と。

 しかし、今は好奇心の方が優先だ。悪戯心を秘め、スイカを一つ手に取る。
 早速自分もやってみようというのだ。男も競技人口が増えるのは嬉しいのか。大歓迎でスイカ割りセット一式をノアへと渡してくる。もちろん新品だ。

「あ、そういえばスイカ割りの大会とかあるのかな?」
「そりゃそうさ!」」
「ホント? なら、どんな景品がもらえるの?」

 大会と聞いてわくわくしだすノア。大会と言えばやはり優勝したときの景品だ。
 豪華景品が出るのであれば参加するのも良いかもしれない。
 マイナースポーツ故に期待はできないかもしれないが、何せスイカ割りの大会だ。
 少なくともスイカぐらいは貰えるだろう。1年分とかならなお嬉しい。

「優勝したときの感動が何よりの景品さ!!!」
「えぇ……」

 所詮はマイナースポーツだった。予算などあるはずもないのである。
 割ったスイカでさえ大会運営が持っていくのだとか。世知辛い。

 ちょっとだけがっかりしたノアだったが、大会とスイカ割りの楽しさは別問題だ。宙に浮くスイカを目隠しして割る、何とも面白そうではないか。それにスイカは男のもので、割ったら食べてもいいと来てる。そう思うと俄然やる気がわいてくる。

「んじゃ、やってみるか! 一撃で決まるぜ!」

 ひと呼吸、そして集中。一度スイッチを入れればノアにとって目隠しなどないも同然であった。動物たちに囲まれて育ったノア。その勘は常人のそれとは一線を画す。たやすくスイカの位置を察知し、疾風のごとき一撃をスイカへと放った。

 「これは……!!」

 男は思わず立ち上がった。無重力のスイカ割りはただ棒を振れば良いだけではない。
 なにせスイカを支えるものは何もないのだ。振る衝撃でスイカは容易く逃げていく。
 だからこそのエクストリーム。初心者で成功する者はいない。それが男の常識だった。
 そう、だったのだ。常識など飛び越えるのが猟兵である。

「ふふん、どうよ~」

 綺麗に割れたスイカをバックに渾身のどや顔。
 驚嘆する男の顔を見て、ノアは秘めていた悪戯心がうずきだすのを感じた。
 とてとてと近づいて男の肩を叩くと、どや顔を崩さずに割れたスイカを差し出す。

「まぁ元気だしなよ。僕が割った、スイカでも食べてさ」
「あ、ありがとう……うぉおおおおおおお!!」

 スイカを丁重に受け取ってから走り出す男の背を見て満足げなノア。
 そして始まる男とコーチの熱血ドラマを横目に自らもスイカを一口、その甘さに満足感はさらに高まる。このスイカ、高級品だ。

 すっかり満足したノア。
 成長の糧となったお礼にと、大量に貰ったスイカを堪能しながらくつろぐのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雪・兼光
へぇー…。無重力化でスイカ割りねぇ。
楽しそうな事してるじゃねーの。

え?目隠しるのか?マジかよ。
レギュレーション違反をして文句を言われるのは嫌だからな。
おとなしく従うとするか。

向こうで熱血ドラマを繰り広げているが、そんなこと俺には関係ねぇ。
ただでさえUDCはジメジメして暑苦しいからこっちにきたのに
ただ暑苦しくてそういうのはだせぇんだよ…。

そんな暑苦しいことしてるから逆にわれねーんじゃね?

少し冷静になりなよ。

俺はただ割るだけだ…。(スイカのあるだろう所に体を向けて)

そう。(持っている棒を腕の延長と考えて)

そこにあるスイカを(腕を振り上げて)

こんな風になぁ!(斬り捨てる様に割る)



「へぇー……。無重力化でスイカ割りねぇ」
「楽しそうなことしてるじゃねーの」

 宙に浮くスイカを鋭い眼光眺める雪・兼光(ブラスターガンナー・f14765)は難しい顔をしながらどのように割ろうか考えていた。その穏やかでない様子に周囲は離れ気味になっているが、彼自身はスイカ割りを楽しむ様を空想しているだけである。心の中では見事に割って拍手喝采を受ける自分の姿が映し出されていた。

「立ち上げれ! 何度でもなぁ!!」
「コーチ……!!!」

 そんな彼を空想から引き戻したのは熱血ドラマを繰り広げる男とコーチの声であった。
 楽しい空想から引きはがされて少しげんなりする兼光。せっかくジメジメして暑苦しい故郷から抜け出したというのに、ここでもか。

 いや、己には関係ないと。スイカ割りセットを貸し出している船員のお姉さんの元へと向かう兼光。この船ではエクストリームスイカ割りが大流行中。暑苦しいばかりでなく、爽やかなお姉さんもいるのだ。少し癒されながらお姉さんにスイカ割りの説明を受ける。

「え、目隠しするのか? マジかよ」
「はい、危険な所には向かわないようスタッフがサポートいたしますので……」
「いやいーよ。レギュレーション違反をして文句を言われるのも嫌だからな」

 申し訳なさそうにするお姉さんにさらっと受け入れる兼光。ルールには大人しく従う。
 眼光が鋭いせいで因縁をつけられることの多い兼光の処世術である。そのお陰かスイカ割りまでの流れはスムーズにいった。お姉さんが震えていたのはきっと関係ない。

 しかし、そんな時である。再び熱いドラマが兼光の耳へと聞こえてきた。どうやらまた綺麗に一回転しているらしい。声がでかいものだから無視しようともできないのだ。

「そんな暑苦しいことしてるから逆にわれねーんじゃね?」
「なっ! なんだとぉ……!!」

 あまりに暑苦しく、ダサい。そんな思いからつい口に出してしまう兼光。当然の如く男は声を荒げるが、兼光は涼しい顔をしてさらりとながす。

「少し冷静になりなよ」

 スイカ割りっていうのは熱くなればいいわけじゃあない。兼光の只者ではない雰囲気に男は動揺を隠せなかった。コーチは何やら唸っている。お手並み拝見ということらしい。

「くっ! なら、割ってみろよ! スイカを!!」
「ああ、俺はただ割るだけだ……」

 すっと体をスイカの方へとむける。目隠しをする前にスイカの軌道は読み切っていた。
 ブラスターガンナーとして、見えずとも軌道を予測をすることなど朝飯前だ。

「そう」

 武器を扱うのに大切なことは、己の体と思う事。
 それはブラスターと、棒とて変わらない。
 棒を腕の延長ととらえることで兼光と棒は一体となる。

「そこにあるスイカを」

 腕を振り上げる。あまりに綺麗なその姿勢。
 もはや男にすら理解できた。これは―――当たる!

「こんな風になぁ!」

 一瞬の静寂。そして湧き上がる周囲の歓声。
 いつの間にか見ていた受付のお姉さんも興奮した様子で立ち上がる。
 スタンディングオベーションだ!

 悔し気な男を背に、拍手喝采を受けながらスイカを見る兼光。
 切り捨てるように割られたスイカは、見事に真っ二つになっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ボアネル・ゼブダイ
銀河帝国の残党か…
平和になった世界といえど、いまだ脅威が存在するならば我々猟兵が出撃せねばなるまい

とはいえ、戦闘まで今しばらく時間もあるようだし、ウォーミングアップもかねてスイカ割りを堪能するか

まずはスイカ割りに相応しい格好だな
髪を軽く結び、黒いサーフパンツとシンプルなシャツに着替える
目隠しをしたら人工血液から吸血
ドーピングとUCによる身体能力の底上げでスイカの気配を察知し
その場を一歩も動かずコ・イ・ヌールの刀身を伸ばしスイカを4つに切断する

ふむ…この感触と切り心地はUDCアースの日本、山形県産の尾花沢スイカか
上物だな

割ったスイカも残さず食べよう
私の食糧袋には塩も練乳もあるぞ

アドリブ連携OK


ギヨーム・エペー
※アドリブ連携歓迎
(POWを選択)

バイクで来た(ガッツポーズ)
海と聞いちゃおれ釣られちまうよー。クラゲかあ。クラゲはなー和えたら美味い。
お!?それがエクストリームスポーツ!?いいねーいいねー!無重力でスイカ割なんざ地上じゃ考え付かねえよ。おにいさんらにはヤジを飛ばしつつ遊泳するぞー。UDCアースは梅雨か。明けたら遊びに行きてえなー。…熱いところ邪魔しちゃ悪いと思ったが…わしも参加していいかなあれ。楽しそうだし!なあーお兄さん等!おれも一回挑戦させてくれよ!そうだなーとりあえず振ってみるか!



「銀河帝国の残党か……」
「クラゲだってねぇ。クラゲはなー和えたら美味い」
「ああ、平和になった世界といえど、いまだ脅威が存在するならば我々猟兵が出撃せねばなるまい」
「だなー、海と聞いちゃおれ釣られちまうよー」

 今回の敵について話しながら、ボアネル・ゼブダイ(Livin' On A Prayer・f07146)とギヨーム・エペー(ダンピールのマジックナイト・f20226)は部屋へと入ってきた。
 正しく猟兵の鑑な二人。微妙に会話が噛み合ってない気がするのは、気のせいか。

「とはいえ、戦闘まで今しばらく時間もあるようだ」
「バイクで来たからな!」

 謎のガッツポーズを頷くだけでスルーするボアネル。一見クールではあるがこの男、サーフパンツにシンプルなTシャツ、軽く髪を縛るなど全力で遊ぶ格好をしている。そのお陰でギヨームと並ぶと、夏のバカンスに来たイケメン二人組の絵面となっていた。

 そんな彼ら二人の耳に入ってきたのは、猟兵達の前に打ちのめされた男の声。
 相変わらずコーチに殴られては立ち直り、空振りを繰り返している。

「お!? あれがエクストリームスポーツ!?」
「いいねーいいねー。無重力でスイカ割なんざ地上じゃ考え付かねえよ」
「折角だ。ウォーミングアップもかねてスイカ割りを堪能するか」

 意気揚々とスイカ割りセットを受付のお姉さんに頼みにいくボアネル。
 一方でギヨームは既に無重力での遊泳を楽しんでいた。普段遊んでいる海とは似ているようで違う無重力の感触。しかしギヨームはすぐにコツを掴んで、泳ぎながらスイカ割りを観戦する余裕すら出てきている。

「もっと上だよ、上!」
「上か! うぉおおおおお!!!」

 なかでも男とコーチの熱血ドラマは傍から見ている分には面白く、ヤジを飛ばすと一々反応してくれたりするので結構楽しめたりする。しばらく楽しんでいるとボアネルが近くへと寄ってきた。

「ほらほらー、力みすぎだぞー。っと、ボアネル君も始める感じ?」
「ああ、準備完了だ」

 ボアネルはスイカを宙に浮かせ、目隠しをして向き合う。
 いやまて、何かがおかしい。ギヨームはその姿に違和感を覚え、首をひねる。

「あ、ボアネルくん棒もってないじゃん棒! それじゃ割れなくね?」
「問題ない、私にはコ・イ・ヌールがある」

 右手を顔の前に翳す。ガントレットに覆われた手の先には光剣の爪が輝いていた。
 その美しい輝きと、スイカ割りにそぐわぬ雰囲気に周囲もざわめきだす。男やコーチも思わず唾をのみ、ギヨームなどは面白そうな気配を感じてやんややんやとヤジを飛ばす。

「よーし、こうなったら一発で決めちゃえボアネルくん!」
「元よりそのつもりだ」

 人目があるからか、速やかに懐から取り出した人工血液を吸う。それはボアネルの持つユーベルコード【血呪解放(ブラッディ・インセンス)】の起動条件であった。血液を取り込むことで、悍ましき吸血鬼の力を呼び出す技。スイカ割りに用いるにはオーバーキルな気もするが、それだけにボアネルの本気が伝わって来る。

 己を割るためにそこまで本気になってくれるならスイカも本望だろう。宙に浮くスイカからもどこか、覚悟の決まったような雰囲気を感じる。ボアネルもその覚悟を受け取り、渾身の力を込めて腕を振り上げる。

 いざ、尋常に―――!

 交差の瞬間、周囲の時間が止まった。それは正しく驚愕によるもの。
 目隠しをしているはずなのに、まるで見えてるかのようにスイカをとらえたこと。
 そ爪刃を伸ばすことで、その場から一歩も動かずにスイカを四分割したこと。
 周囲の人間は猟兵の力の凄まじさを改めて実感したのだ。スイカ割りで。

 そして、静寂を破ったのもまた猟兵。
 こんな面白い場面を見て、我慢などできるはずもなかった。

「ボアネルくんすっげー! いいなぁ、わしも参加していいかな、楽しそうだし!」
「ふむ……それなら、丁度盛り上がってるようだ。混ざって来るといい」

 ボアネルが指さす先では熱血ドラマが繰り広げられていた。
 ボアネルにあてられたらしく、さらに熱血度が増している。

「お兄さん等か。熱いところ邪魔しちゃ悪いと思ったが……そうだな!」
「なあーお兄さん等! おれも一回挑戦させてくれよ!」

 すいすいと泳いで男とコーチへと混じっていくギヨーム。当然のように快く受け入れられるのは、彼の人当たりの良さ故か。そしてとりあえずで振ってみてもすぐに当たりだすのは流石の猟兵。一通り満足した頃には両手で数えきれないほどのスイカを割っていた。

「ってことで、たくさん貰ってきたぞー。って、だいぶ食ったね、ボアネルくん」
「折角の上物だからな。塩も練乳もあるから、味にも飽きん」
「ギヨームも使うか?」

 練乳に少し首を傾げつつも、ありがとうと受け取るギヨーム。
 早速塩を振りかけて頬張ると、口の中に上品な甘みが広がる。

「おお、うまいうまい。これ、何処のスイカなの?」
「UDCアースの日本、山形県産の尾花沢スイカだ」
「あの感触に切り心地、そしてこの味は間違いない」

 ボアネルは満足げに語る。どうやらかなり甘味好きのようで、今もスイカに練乳をかけながら話していた。ギヨームも習って練乳をかければ、その甘さに舌鼓をうつ。

 「UDCアースかー。梅雨が明けたら遊びに行きてえなー」

 宇宙も悪くはないが、やはり海が恋しい。果たして梅雨はいつまで続くのだろうか。
 そんなことを考えながら、スイカを食べ進む。
 そろそろ船旅も終わる。早く食べなければもったいないというものだ。
 二人は黙々とスイカをお腹へとおさめていき……。
 スイカを食べ終わったころ、船は目的の宙域へと到着した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『宙海月』

POW   :    電撃
【体内に宿る電気】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    防衛本能
自身の肉体を【非情に肉厚な状態】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    強力電磁波
【精密機械に限り、電磁波】が命中した対象を燃やす。放たれた【電磁波により、機器から発火した】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
👑7
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 猟兵達を下すと、船は元の場所へと戻っていく。
 宇宙船は単なる民間船。この先の戦いにはついてこれないのだ。
 だが安心して欲しい。帰りはグリモアによる転移で一瞬だ。
 何なら泳ぐだけ泳いだら返っても問題はない。

 特別な宇宙服のお陰で生身の体と変わらぬ感覚で動ける猟兵達。
 優雅に、特に激しく宇宙を泳いでいく。

 宇宙はあまりに広大でどれほど泳いでも果てはない。だが、迷子の心配はいらない。
 猟兵達が目指すべき目的地は既にその目に映っているのだから。

 あるいは、遠くから見れば星々のように見えるそれはオブリビオン。
 宇宙を漂う美しきクラゲ達である。

 しかし、美しいのは見た目だけ。
 無駄に数が多いから邪魔だし、電撃を放つから宇宙船が近寄れば大損害だ。

 さぁ猟兵たちよ、今こそ駆除の時。
 フワフワして攻撃は当たり辛いだろうが、心配はいらない。
 スイカ割りで鍛えた当て感を存分に発揮するときだ!
紅狼・ノア
*アドリブ・絡み歓迎

おぉ!綺麗なクラゲだなぁ!美味いかな?その前に食えるか??

さでどうやって狩ろうかな~
電撃に当たったら痺れそう、でも攻撃範囲が狭いから大丈夫でしょ
でもなぁ数がこんなにいるから挟み撃ちされたら当たるよなぁ
【オーラ防御】で多少は防げるけど…【第六感・野生の勘】をフル活動させ挟み撃ちされないよう気を付けないとね
仲間から離れた所でコード【人狼咆哮】を発動
数を減らし動ける範囲を確保する
これでやり易くなったじゃない?

あとは仲間との連携で倒していこうかな


ボアネル・ゼブダイ
幻想的な姿だが…民間船を沈めるというのならば駆除せねばなるまい

コ・イ・ヌールを装備
先のスイカ割りのようにその場から動かずに敵を斬る
足場どころか止まることさえおぼつかないような無重力の海の中だ
下手に動いては目標を外すだろうからな
第六感も駆使してなるべく敵の多い場所にまとめて範囲攻撃をぶつける

さて、準備運動はこれぐらいか
…向こうもどうやら本気を出してきたようだしな

敵UCに合わせてこちらもUCを発動
風属性の薔薇を足下で爆破し
強い風圧が生む推進力でロケットのように素早く移動
一気に近づき次々と斬撃を叩き込む
電磁波や炎は喰らわない事に越したことはない
危なそうであれば薔薇を敵に放ち爆破させる

アドリブ連携OK



「幻想的な姿だが……民間船を沈めるというのならば駆除せねばなるまい」

 クラゲの大群を前に最も早く動いたのはボアネル・ゼブダイ(Livin' On A Prayer・f07146)であった。いや、動いたというには静かな佇まい。ボアネルは宇宙空間にてただ一人、直立不動で浮いていたのである。

 手には先ほどのスイカ割り同様にコ・イ・ヌール。ともすれば、何をするのかは容易く分かる。光を遮ることは叶わぬとばかりに伸びていく爪刃は見上げる程となっていた。

 クラゲは何の反応もなく浮いている。所詮は有櫛動物、危機察知能力などたかが知れているのだ。切り刻まれる以外の運命など、ありはしない。

「さて、準備運動はこれぐらいか」

 しかし、こいつらの厄介な所はその数にある。幾ら強力な一撃を入れたとて、その数は圧倒的だ。ボアネルもそれを理解していたが故の遠距離からの奇襲である。そして、いざ動き出そうとしたその瞬間。ボアネルの隣を駆け抜けていく姿があった。

 オーラを纏いまるで流星となった紅狼・ノア(捨て子だった人狼・f18562)である。
 ボアネルが切り裂き、その数を減らしたばかりのクラゲ密集地帯へ飛んでいく。それと同時に、宇宙服による通信がボアネルに繋がる。

「む?」
「悪いね~、丁度いい隙間ができたもんだからさ」
「一発ぶちかましちゃうから、ちょっと突っ込むのは待っててねぇ」

 悪戯な笑みを浮かべクラゲへと進むノア。彼女は別段、出し抜こうと思ってボアネルの攻撃に乗じたわけではない。数の多いクラゲをどのように狩るかを考えていた彼女はその類い稀なる野生の勘によって咄嗟に感づいたのだ。動くなら今しかないと。

「ああ、構わない。存分にやってくれ」

 ボアネルもまた、ノアの意図に気付いてその場に留まる。
 動かなかったのが功を制した。ここならば攻撃に巻き込まれまい。

 大勢の仲間を殺され、流石のクラゲも動き出す。コ・イ・ヌールによってできた隙間を埋めるように蠢き、その足を向かってくるノアへ伸ばしてくる。それをギリギリで避け、あるいはオーラで受け流す。幸い動きは鈍い。挟み撃ちにさえ気を付けていれば、進めぬ隙間ではなかった。

「さて、これぐらいでいいかなぁ」

 上にはクラゲ、下にもクラゲ、左右にだってクラゲが見える。
 気が付けばノアはクラゲに取り囲まれていた。しかし、ノアに焦った様子はない。
 どころか、良い遊泳だったとばかりにその口元は緩んでいた。

 瞬間、音なき咆哮が宇宙に轟く。
 ノアが無差別に広範囲を攻撃するユーベルコード【人狼咆哮】を繰り出したのだ。

 本来であれば真空の宇宙で咆哮をあげようと音が伝わることはなく、意味はないように思える。だが、ユーベルコードとは世界法則さえ覆す技。空気がない、それだけで妨げることが出来るほど、生半可な力ではない。

 行き場のない振動は熱となり、真空を渡っていく。圧倒的な熱のエネルギーに晒されたクラゲたちは体内の水分が蒸発し、干からびていった。

「これでやりやすくなったんじゃない?」
「ああ、ずいぶんと広くなった。俺もそちらに向かおう」
「……向こうもどうやら本気を出してきたようだしな」

 ノアの咆哮により大量のクラゲの中にぽっかりと大きな穴が開いていた。戦い舞うには丁度良い空間。何より、獲物がどんどん押し寄せてくれるのだ。絶好の狩り場と言える。

 そしてクラゲも防衛本能が刺激されたか、デプリに交じる電子機器を発火させ始める。
 戦闘はここからが本番だ。ならば、外にいるのは無粋といえよう。

「さぁ――爆ぜろ」

 足下で魔法のバラが爆発する。風属性を含んだそれは優しく、しかし力強くボアネルをクラゲの群れへと発射した。まるでロケットのように素早く突き進み、クラゲとすれ違いざまに斬撃を食らわせる。

 そうして葬った数が三桁にいくかというところで、ノアの隣へと到着した。
 ノアもまた、押し寄せてきたクラゲを悠々と葬っている。近くのクラゲを一掃すると、ボアネルに向かって世間話をするかのように話しかける。

「お、来たねぇ。じゃあ、そっち側は任せるよ」
「ああ、そちらも頼む」

 背中合わせとなり、互いの武器を構える二人。
 近づくクラゲは例外なく切り刻まれ、あるいは爆ぜていった。

 未だクラゲは大量。しかし、時間の問題であることは明白であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ギヨーム・エペー
※アドリブ連携歓迎

船だけでなく宇宙でも泳げるっていいなー!宇宙海すげー!クラゲは…あれか?
…あー、やっぱオブリビオンでもクラゲだ。別嬪さんが多いこと多いこと。これだけいればそりゃ駆除対象だ。
クラゲ型なんだし構成の95%は水分だろう。おれの氷に魔力で凍らせて、レイピアで細かく粉々に、粉砕作戦でやってみるか。遊んでおやつも食べたんだ。働くぜー。ヘイそこのクラゲ!スイカ割しようぜ!お前スイカな!?なんてな。
クラゲに刺されると痛いからなー…状態異常力を重視してUCを発動しよう。万が一刺されたら、物理的刺激を与えないようにそっと針を取るか…抜く暇がない場合は水で洗い流すだけでもしておこう。



「船だけでなく宇宙でも泳げるっていいなー!」
「宇宙海すげー!」

 水中にいるかのように宇宙を泳ぐ一人の男。ギヨーム・エペー(ダンピールのマジックナイト・f20226)はクラゲの元へ着くまで宇宙での遊泳を満喫していた。船内と違い、広大で果てのない宇宙。ギヨームの泳ぎたい欲は最高潮へと到達していた。

 やがてクラゲの姿がはっきりと見えるまで到達すると、ギヨームはまず、その美しさに目を奪われる。その身に宇宙を内包しているかのような輝き、優雅にたなびく足は高級なヴェールのようにも思える。

「あー、やっぱオブリビオンでもクラゲだ。別嬪さんが多いこと多いこと」

 普段見ている海のクラゲと比べて、勝るとも劣らない美しさ。しかし、どれほど美しい存在であろうと倒すべき敵であることに変わりはない。それは、クラゲがオブリビオンだとかそういう以前の問題である。

「これだけいればそりゃ駆除対象だ」

 そう、数が多すぎる。先の猟兵の活躍で減り続けているものの、まだ底は見えない。
 こいつらのお陰でこの宙域を通ることが出来ない船はたくさんいるのだ。
 先ほどまで猟兵達が乗っていた船もその一つ。故にこそ、ギヨーム張り切っていた。

「遊んでおやつも食べたんだ。働くぜー」
「ヘイそこのクラゲ! スイカ割りしようぜ! お前スイカな!?」

 水の精霊が宿るレイピア、トゥルヌソルを引き抜きながら突撃する。
 クラゲは防衛本能が刺激されているのか、すぐさま反応し迎撃を行う。
 だが、ギヨームの泳ぐ速度にはかなわない。

「――なんてな」

 衝突するかと思われた、その瞬間。クラゲの体が凍り、なす術もなくトゥヌソルの一撃で砕け散る。ギヨームが氷の魔力を放ち、凍らせたのだ。体の95%が水分であるクラゲは凍らせ易いという狙いは見事に的中していた。

 そのままターンを決めて次のクラゲへと向かう。スイカ割りとは違い、食べることなどありはしないだ。同じ調子でいくらかのクラゲを砕いたギヨームは不意に気づく。

「今、電気出してたよなぁ。電気クラゲって、別に電気出すわけじゃないだがなー」

 UDCアースなどにいる電気クラゲは刺された際の痛みが電気ショックのようだからそう呼ばれているに過ぎない。しかし、このオブリビオンは本当に電気を出すようだ。

「ま、いいや。痺れるのは一緒だろ。なら、このままでいく!」

 ギヨームの持つ氷の魔力は凍らせるだけではなく、身体の強化、特に状態異常への耐性をあげていた。それはクラゲの毒を警戒しての事であったが、電撃にも効果的であることには変わりない。むしろ、針を抜く手間がない分戦いやすくなったと言える。

「そうとわかりゃ、どんどん行くぜー」

 身の守りに意識を割く必要が薄くなったためか、ギヨームは次々クラゲを砕いていく。
 果たして何体のクラゲを砕いただろうか。数えるのをとうにやめてしばらく、クラゲの大群の中でも、自由に泳ぎ回れるほどの隙間ができていた。

 しかし、ギヨームは止まらない。
 自由に泳ぎまわせるのに止まる理由などありはしない。
 その泳ぎはクラゲを殲滅するまで続くのだ。

 そして、そのときは刻一刻と迫っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雪・兼光
さっきのスイカで腹ごなしも済んだことだし。

クラゲ駆除といくか。
にしても今回の宇宙服はやけに動きやすいな。

色鮮やかだが綺麗だがオブリビオンだ。
無害なら見逃してやることもないんだがな。かわいそうに。
ユーベルコードでひき逃げしたり、
体当たりして跳ねたり、
囲まれたらスピンしてふっ飛ばしたり
後は解除してブラスターで攻撃だな。

相手が肉厚な状態っていうなら、
ぶち抜くまでユーベルコードで変形させたブラスターでひき逃げしてやる。
さぁてこのクラゲは何回体当たりすれば柔らかくなるのかなぁ?

たっぷり楽しませてくれよなァ。(悪者笑顔)



「ハッ……!」

 クラゲが潰され、その美しい姿が悲惨な姿へと変わる。一直線上に続く潰れたクラゲの先には、バイクが一台。クラゲを寄せ付けぬ速さで走っていた。

「無害なら見逃してやることもないんだがな。かわいそうに」

 ポツリと呟いてバイクを走らせる雪・兼光(ブラスターガンナー・f14765)は周囲のクラゲを観察した。色鮮やかで綺麗なクラゲ。水族館にでもいれば目当てに客が呼べる程の代物だ。あるいは乱獲にでもあってオブリビオンになったのかもしれない。

 難しい顔をしながらバイクのハンドルを握る兼光。不意に周囲を見渡すと、いつの間にやらクラゲに囲まれていた。どうやらただひき殺されるだけの雑魚ではないらしい。

「おっと、それじゃ俺はやれねぇよ」

 咄嗟にハンドルを切ってスピンを引き起こす。
 クラゲが伸ばした足が弾かれ、再びクラゲとの距離が開く。
 今だ。兼光はバイクの変形を戻す。

「そぉら!」

 ブラスターの熱線が周囲のクラゲを焼いていく。
 そう、兼光の乗っていたバイクはブラスターが変形した姿だったのだ。
 質量保存の法則など知ったことかとばかりの変形。これぞ正しく兼光のユーベルコード【Get on the blaster(ゲットオンザブラスター)】の力であった。

「にしても今回の宇宙服はやけに動きやすいな」

 クラゲがまた寄ってくる前にと、再びブラスターを変形させながら独りごちる。
 実は、兼光は以前にもこのクラゲと同等のオブリビオンと戦ったことがある。その時は動きづらかったが、今回はだいぶ違和感なく動けている。それが着慣れたからか、あるいはスペースシップワールドの技術者が頑張った成果なのかは定かではないが。

 最も、今それを考えている余裕はないだろう。兼光がブラスターを変形させている間にクラゲもまた変形を果たしていた。一個体ごとに、およそ十倍の体格。ユーベルコードによりその身を非常に肉厚な状態に変えたのだ。

 急激に狩られ、防衛本能が刺激されたのか、その厚みはただ使うよりも格段に厚い。
 ずいぶんと広がっていた隙間もどんどんと埋まっていく。
 それに対しバイクにまたがった兼光の表情は、笑顔。
 それも、悪役のごとき邪悪な笑みであった。

「さぁて……」

 バイクがクラゲへと向かう。加速は一瞬。最高速で肉厚となったクラゲを撥ねていく。
 先ほどとは違い、肉厚となったクラゲは潰れることなく形を保っている。だが、そんなことはお構いなしにどんどんとクラゲを轢いていく兼光。
 
「このクラゲは何回体当たりすれば柔らかくなるのかなぁ?」

 一回で倒せないのならば何度だろうと轢けば良い。単純明快な答えだ。何より、一回で倒せないというのが悪いことだとは限らない。なにせ、その分だけ楽しめるのだから。

「たっぷり楽しませてくれよなァ」

 笑みを深めて、クラゲへと突っ込んでいく。その顔はおよそ悪役にしか見えないものであったが、見ているのはクラゲのみ。周囲を気にする必要などない。大切なことはたった一つ。目の前のクラゲどもをぶち抜くことだけだ。

 やがて、兼光がたっぷりと楽しんだ頃。
 バイクを再びブラスターに戻し、兼光は周囲を見渡す。

 切り刻まれたような破片。凍って砕かれた破片。
 そして、ぶち抜かれて飛び散った破片。
 まるで星々のように浮くのは、その全てがクラゲの残骸。

 それが意味することを理解している兼光は満足げな表情。
 猟兵達は全てのクラゲを駆除することに成功したのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『彷徨する災厄』メルビレイ』

POW   :    星覆う巨躯
【満たされる事のない飢餓感】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【宇宙船や星をも飲み込む超弩級の巨体】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD   :    星砕く巨躯
【満たされる事のない飢餓感の暴走】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【防御ごと粉砕する超弩級のヒレ】で攻撃する。
WIZ   :    星呑む巨躯
【超弩級の存在への戦慄】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【星をも飲み込む巨大な口】から、高命中力の【宇宙船をも捉える巨大な舌】を飛ばす。
👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

 猟兵達以外、生きる者のいなくなった宙域。
 これで一息ついたと思うのならばそれは間違いである。

 確かにこの宙域を通ることは出来る。
 しかし、出来るからと言って通ろうとする者はいないだろう 。
 何故なら知っているからだ、クラゲなどよりもよほど厄介な存在を。

 見よ、あの巨躯を! 惑星のごとき相貌を! 

 奴こそは『彷徨する災厄』メルビレイ。
 相対するもの全てを飲み込む最悪のクジラ。

 猟兵達を呑むように現れたメルビレイは、クラゲの残骸全てを胃に収めた。
 しかし足りぬ、まだまだ足りぬ。貴様らも食わせろ。

 そう言わんばかりに猟兵達を睨むメルビレイ。
 だが、恐れることなど何もない。
 相手がデカいということは、攻撃が当たりやすいということ。
 そして、攻撃を回避するための空間は無限に広がっている。

 さぁ猟兵達よ、今こそ証明の時。
 この宙域が誰のものなのか、クジラに教えてやるのだ!
紅狼・ノア
*アドリブ・絡み歓迎

ふぅ、やっと駆除が終わったぁ
ん?あらまぁ今度は鯨かぁ…しかもクラゲの残骸を全て食ってるし
あれ?もしや僕らを食おうとしてる⁉えっちょマジか‼

デカいなぁ、当てるのは簡単、避けるのもまぁ大丈夫だけどあの図体だからなぁ
【オーラ防御】し【第六感・野生の勘】を働かせる
一人で相手するのは流石に無理だなぁ
まずは厄介な所を何とかしたいねぇヒレとか…
コード【シーブズ・ギャンビネット】発動し【二回攻撃・怪力】で【部位破壊】をする
これで少しは有利になるかな?

うぅ近距離で戦うのは自慢のスピードでも厳しい
しばらく離れたところにいよう(当たったらヤバイからな)
隙を見て攻撃するしかないな

仲間との連携大事!


ボアネル・ゼブダイ
星よりも巨大なクジラか
周辺を渡る船にとっては悪夢以外の何物でもないな
ならば、我々で奴を狩るしかあるまい

これだけの巨大生物と相対するならば余計な小細工は無しだ
人工血液を吸血、ドーピングとUCの効果で攻撃力を極限まで上げる
コ・イ・ヌールの刀身を伸ばし、惑星すら断ち切るほどの長さになるまで出力を上げる

周囲が宇宙空間ならば遠慮なくこいつの本領を発揮できるな
…星すら断ち切る光の刃、その身で存分に味わえ

敵がUCを発動し、こちらに向かってきたら気合いと共にカウンターで攻撃
光爪の一閃で敵を叩く
敵がさらに向かってくるようであれば追撃を加える

既に貴様の主はその野望と共に潰えた
貴様も骸の海へと帰るがいい

アドリブOK


ギヨーム・エペー
※アドリブ連携歓迎

でっか!クジラだでっけえ!!あっクラゲの残骸綺麗にしてくれ…こっちにもきちゃうかーそっかー!
まずは相手の出方を見て攻撃を回避することに集中する。攻撃はそのあとだ。大振りなのが幸いだが当たると…痺れるどころじゃすまないな!
相手の攻撃範囲を見極めてから、今度は攻撃力増加を意識してUCを発動。作戦はー、ヒットアンドウェイだな。刺して逃げて避けて接近、を繰り返してちまちま削る。魔力と魔術フルに使うから、ガス欠したら頼むぞー太陽―お前の水圧頼りだ。


雪・兼光
よし、メルビレイが出てきたな。

あの個体は腹がへっているのか?
さっきのクラゲ共の死体をペロリとしやがった
さっさとたたかねーと後ろの宇宙船がヤバそうだな

引き続きブラスターを変形させてそのままこいつを引いてみようか
相手がデカいから動きにムラがあって助かるぜェ…。

あのクラゲと同じ様にスピンして体当たりしたり、
小回りを利かせて、突っこんできた所を避けて回り込んで、
ユーベルコードを解除してブラスターを打ち込んでと。

おーい。おーい。宇宙クジラさんよぉ。
こっちだぜぇい?なんてな。

いっそのこと、こいつの胃袋にはいって中からブラスターぶち込んだり、するのはありか?自殺行為だな。逃げ回りながら戦おう。



●メルビレイ登場
 それは紅狼・ノア(捨て子だった人狼・f18562)が一息つくかというときであった。

 迫りくるクラゲどもをすべて切り捨て、討ち漏らしがないよう残骸の外にまで確認していたノア。ボアネル・ゼブダイ(Livin' On A Prayer・f07146)と再び合流し生き残りのクラゲがいないことが確認し終わると、少しだけ体を伸ばしていた。

「ふぅ、やっと駆除が終わったぁ」
「これで一休み、と行きたいところではあるが……来るぞ」
「ん?」

 ボアネルの警告後、すぐにメルビレイがクラゲの残骸を呑み込んでいく。
 突然の登場。その巨躯には驚きこそあるものの、呑み込みの範囲外にいたからか、ノアはのんびりとした調子でそれを観察していた。

「あらまぁ今度はクジラかぁ……しかもクラゲの残骸を全て食ってるし」

 傍から見ているだけなら見ごたえ抜群の光景だ。星々のような残骸が暗い口の中に吸い込まれていく様は幻想的とさえいえる。しかし、ボアネルはそんな光景に惑わされることなく、メルビレイの脅威を実感していた。脅威とはすなわち、その巨躯の事である。

「星よりも巨大なクジラか」
「周辺を渡る船にとっては悪夢以外の何物でもないな」
「まぁ、あんな調子で船が呑まれたら大変どころじゃないよねぇ」

 遠くからメルビレイを観察する二人。
 その巨躯がもたらす被害のほどを考えれば自然と張り詰めた空気が流れだす。
 そして気づく、メルビレイの目が猟兵達を捉えていることを。

「ってあれ? もしや僕らを食おうとしてる!?」
「……そのようだな」
「えっちょマジか!!」

 咄嗟にダガーを構えるノア。ボアネルもまたコ・イ・ヌールを構える。
 未だに距離はあるが、あの巨躯からすれば大した距離ではないだろう。
 船よりも先に、猟兵達は己の身を守らねばならないのだ。

「デカいなぁ、当てるのは簡単、避けるのもまぁ大丈夫だけどあの図体だからなぁ」
「一人で相手するのは流石に無理だなぁ」
「ならば、我々で奴を狩るしかあるまい」
「どのみち、周囲を渡る船の為にも倒さなければならない」

 しかし二人はむやみに突っ込むことはせず、遠巻きにメルビレイの様子を窺う。
 それはメルビレイの意識が二人から離れたことを察知したからであった。

「ま、そうなるねぇ。皆で連携していこっか」
「ああ、向こうも動き出したようだ。隙を見て私たちも動こう」

 メルビレイの視線の先には猟兵が二人。
 どうやらそちらを先に呑み込むつもりらしい。

●ヒットアンドウェイ
「でっか! クジラだでっけえ!!」
「よし、メルビレイが出て来たな」

 はしゃぐギヨーム・エペー(ダンピールのマジックナイト・f20226)と冷静にメルビレイを見つめる雪・兼光(ブラスターガンナー・f14765)の二人は、咄嗟に呑み込みの範囲から逃れていた。少しでも回避が遅ければ、今頃胃の中である。

「あっクラゲの残骸綺麗にしてくれ……こっちにもきちゃうかーそっかー!」

 そんな二人だからだろうか、メルビレイが食べ残しなど許さないと言うかのように襲い掛かってきたのは。巨躯による体当たりを躱し、並んでメルビレイから距離を取る。

「さっきのクラゲ共の死体をペロリとしやがった。あの個体は腹がへっているのか?」
「クラゲの残骸だけならよかったんだけどなー。おれらもっていうのは流石に勘弁だ」
「ああ、さっさとたたかねーと後ろの宇宙船もヤバそうだな」

 ちらりと、自分達を送り届けてくれた船が去った方向を見る。それなりに距離はとっただろうが、こんな小さい猟兵達すら飲み込もうとする輩だ。宇宙の果てまで追いかけてもおかしくはない。メルビレイを逃がすわけにはいかなかった。

「ま、今はおれらを狙ってるみたいだし、まずは相手の出方を見よーぜ!」
「あいよ、じゃあ軽く一発。お先に行かせて貰おーか」

 兼光がバイクを鳴らし、メルビレイへと突っこむ。しかし、相手は肉厚になったクラゲよりもさらに肉厚なクジラ。衝撃によろめくことはなく、胸ビレで兼光に反撃を行う。

 咄嗟にハンドルを切って避ける兼光。頭上すれすれを胸ビレが通り過ぎていく。胸ビレはぐんぐんと伸び、とっさに後ろに避けたギヨームの目前すらも通り過ぎる。

「おっとぉ、流石に一発じゃ無理か」
「だが、相手がデカいから動きにムラがあって助かるぜェ……」
「当たると痺れるどころじゃすまないけどな!」

 ギヨームの言葉に同意するように笑う。確かに、当たったのならば即座に重傷を負ってしまうだろう。だが、それならば当たらなければよいだけの話だ。機動力ならば圧倒的に勝っている。悪役の様な笑みの裏には自信が見え隠れしていた。

「なら、バラバラで逃げ回りながら戦おう。攻撃が分散すりゃその分楽になる」
「おれも今そう考えてたぜ。ヒットアンドウェイだな」

 互いに笑みを見せあうと、弾かれるように二手に分かれる二人。
 メルビレイの両サイドにまで来ればノアとボアネルが見える。あちらもばらけて攻撃を行うようだ。四方に散らばる猟兵を前にどれから狙うべきかメルビレイも迷い、その動きを鈍らせている。滑り出しは順調、後はどんどん削っていくだけだ。

●膠着状態
「おっとぉ!」

 メルビレイの尾ビレがノアへと迫る。大上段からの振り下ろすような一撃。ノアは野生の勘を頼りに左へとその身を投げる。しかし、僅かに時間が足りない。オーラを腕に集中することで軽減を試みる。

 すわ当たるかというその時、メルビレイの体がノアとは逆方向に傾く。
 尾ビレはノアに当たらずに通り過ぎる。

「おーい。おーい。宇宙クジラさんよぉ。こっちだぜぇい? なんてな」

 兼光がスピンをしながら体当たりをして、攻撃を逸らしたのだ。
 メルビレイの意識が兼光へと切り替われば、次は真下から氷の魔力が乗ったトゥヌソルの一撃が繰り出される。そんな調子で、戦いは猟兵達が優位を保ちながら推移していた。

 メルビレイはあらゆるヒレを使って猟兵達へと迫る。しかし、一人の猟兵に意識を向ければ、他の三人に攻められ攻撃は半端なものとなる。結果としてメルビレイの攻撃は一度たりとも当たってはいなかった。

 最も、猟兵達とて楽勝ムードな訳ではない。一度でも敵の攻撃が当たれば優位は簡単に崩れる。その張り詰めた空気の中で、終わりの見えないメルビレイの体力を削り。戦いは膠着状態に陥っていた。

「あーもう、ホントに僕らの攻撃効いてるの~?」
「少なくともこちらを敵と認識している。全くの無傷と言うわけではなさそうだ」

 猟兵達にも、諦めこそないが、ウンザリとした空気が漂いだす。
 目に見えぬゴール。走り続けるには目標を必要としていた。
 打開策を求めて、通信回線は開きっぱなしだ。

「そうはいっても打開策は必要だよなぁ。まだ余裕はあるけど、ガス欠したら厳しいぜ」
「打開策か……いっそのこと、こいつの胃袋にはいって中からブラスターぶち込んだり、するのはありか? ……自殺行為だな」

 いくつかの案が出ても、リスクと見合うリターンが望めぬと却下される。結果として、猟兵達はヒットアンドウェイで攻撃を繰り返す。それから幾度の攻防があっただろうか、不意にギヨームがあることに気付く。

「そういえば、ボアネルくんめっちゃ狙われない?」
「む、私か?」
「そういや、仕掛けようとする度に邪魔されてんな」

 ギヨームや兼光の指摘は正に的を射ていた。ボアネルの攻撃、正確にはコ・イ・ヌールの出力を上げようとするたびに、メルビレイはボアネルへと攻撃を仕掛けていた。それはまさに野生の勘によるもの。自らの命を脅かす攻撃だと理解していたのだ。

「なるほど、あのなりでずいぶんと臆病らしい」
「んー、なになにぃ。秘策あり?」

 メルビレイの攻撃を掻い潜り、回避に集中していたノアが会話へと参加してくる。
 どうやら標的がギヨームに移ったらしい。遠方で氷と炎が舞っている。

「ああ、私のコ・イ・ヌールならば致命傷を与えられる。だが――」
「使わせてくれる隙を与えてくんねぇ、か。」
「俺らで作るにしても、ダメージをお構いなしに動かれちゃどうしようもねぇ」

 興味深そうに話を聞いていたノア。
 すると、良いことを思いついたのか悪戯な笑みを浮かべる。

「じゃあ、そろそろいってみる?」
「いくとは、何を?」
「そりゃあもう……」

 通信越しではその笑みを見ることは叶わない。
 けれど、その声色の前では目に浮かぶかのようであった。

「部位破壊だよ」

●メルビレイ討伐
 ようするに、メルビレイからの邪魔をなくせば良い。
 厄介なヒレを壊せばボアネルの攻撃を邪魔することは叶わない。
 単純明快で、それ故に難しい策であった。

「あのヒレを破壊か。大変そうだな―」
「そこはまぁ、散々攻撃したからね~、大技決めれば骨まで届くんじゃないかな」
「では、大技を決める隙は私が作ろう」

 コ・イ・ヌールを構えながらメルビレイを見つめるボアネル。今までの傾向からみても出力をあげればメルビレイは釣れるだろう。たとえ、三方向から強力な攻撃の気配を感じようとも。死ぬよりはいいと判断するはずだ。

 ならば、ボアネルは信じて攻撃を放つだけで良い。
 そうすれば、ヒレを失ったメルビレイの勢いは弱まり、攻撃を放つ隙ができる。

「おっけぃ、じゃあ尾ビレは貰ったよぉ」
「あ、ずっけぇ。じゃあおれは右の胸ビレな!」
「俺がメルビレイの相手してる間に話進んでるんだが……」

 とは言いながらも、兼光も左の胸ビレへと向かっていく。
 メルビレイの攻撃を掻い潜り、各々の配置につく猟兵達。これにはメルビレイも何かがあると感じたか、警戒の色を瞳に映す。

 しかしメルビレイはその巨躯にて敵なしの生涯を送ったきた存在。
 小さき存在の小細工など、少し体を揺らすだけで打ち破ってきた。
 その経験が驕りとなり、メルビレイにいつもと変わらぬ行動を選ばせる。
 であれば、猟兵達は各々の役割を全うするだけであった。

「血の香りに狂う忌まわしき半身よ」
「人の理を外れた悍ましき吸血鬼の力よ」
「我が正義を示すためにその呪われた力を解放せよ!」

 ボアネルの瞳が煌々と赤く輝く。辺りには鉄錆と薔薇の香りが漂う。
 それはボアネルが人工血液から吸血をした証し。
 そして、作戦開始の合図である。

「お、反応したねぇ。じゃあ僕も頑張りますかぁ」

 メルビレイがボアネルの方へ向かうのを確認したノア。
 すかさずユーベルコード【シーブズ・ギャンビネット】発動する。
 それはダガーによる素早い一撃を放つ技。一見すれば、メルビレイ相手に効果があるのかとも思われるだろう。だが、そもそもボアネルの攻撃もノアの攻撃も、威力に差があるわけではない。それが広がっているか、一点に集中しているかの違いがあるだけだ。

 つまりは、メルビレイに死を思わせるほどの威力が尾ビレを破壊せんと迫ったのだ。

 散々攻撃を受けたの尾ビレではその威力を殺しきれず、ダガーは骨へと到達する。衝撃は骨を伝い、罅となる。メルビレイはたまらず動きを鈍らせた。それは、あまりに致命的な隙。このままいけば他のヒレの破壊を待たずしてメルビレイは死ぬだろう。

 しかしメルビレイの体は、勢いが削がれるどころかその勢いを増していた。
 この状況下でそれを成す術はただ一つ。ユーベルコードである。
 使うたびに飢餓感が増す諸刃の剣。
 しかし死ぬよりはましとメルビレイはどんどん大きくなっていく。

 このままではボアネルまで押し切られる。そのはずなのに、ノアの顔に焦りはない。

「そう来ると思ったぜェ」

 左の胸鰭が上に跳ね飛ばされる。広い宇宙空間を利用した助走とスピンによる一撃。
 無理に跳ね上がった胸ビレから何処か壊れるような音が聞こえる。兼光は変形を解除しながらブラスターでさらにダメージを積み重ねる。
 メルビレイの意識がボアネルに言っている以上、もはや逃げ回る必要はない。ならば、どれほどデカかろうと、壊れるまで攻撃するまでだ。そしてそのときはすぐに訪れる。

 ブラスターによって穴だらけになった左の胸ビレは、もう動くことはない。

 そしてギヨームもまた動き出していた。今まで使っていた氷の魔力と炎の魔術。それらをいったん解除する。これからやることを考えれば、既にガス欠と言ってよい状態だ。
 しかし、たとえ消耗していなくとも解除は行っていた。何故ならもっと強い存在がここにいる。ギヨームはトゥヌソルへと宿る水の精霊、太陽へと語り掛けた。

「頼むぞー太陽ーお前の水圧頼りだ」

 太陽は語らず、力をもってギヨームに答えた。今までの氷や炎よりも、さらに強い力がギヨームを包み込む。全身に漲る力を感じながら、ギヨームは太陽と共に右の胸ビレへと一直線につき進む。

 右の胸ビレに巨大な穴が開く。その大きさを増したメルビレイの体にあってさえ、巨大と評さねばならぬ穴。さらにはギヨームは次々と追撃をも繰り出していた。

 もはや確認するまでもない。右の胸ヒレもまた、動くことはなくなった。

「それで、僕の攻撃もまだ残ってるよぉ」

 二つの胸ビレが動かなくなった、まさにその瞬間。ノアが放った2発目のダガーが骨へと到達する。既に罅が入っている骨がその衝撃に耐えられるはずもなく、砕け散る。

 骨の通らない尾ビレなど飾りも同然。ついに、尾ビレすらも動くことはなくなった。

 ノアは悪戯な笑みを深める。部位破壊は完全に成功した。
 メルビレイの勢いは削がれボアネルの所へとは届いていない。
 ならば、もう確信して良いだろう。猟兵達の勝利を。

 すべてのヒレを失ったメルビレイを見ながら、ボアネルは静かに手を掲げる。
 ここまで時間を稼いでもらった。準備が終わっていないはずもない。
 あとはもう振り下ろすだけだ。

「星すら断ち切る光の刃」

 コ・イ・ヌールの刀身はその先端が見えぬほど伸ばされていた。
 ボアネルの言が決して絵空事ではないことはこの光景を見れば理解ができる。
 星すら飲み込むメルビレイ。その巨躯を両断できる程の長さなのだから。

 ヒレを失ってなおメルビレイはボアネルへと迫ろうとする。
 あり得ぬ。あり得てはならぬ。己を超えるものなど!
 そういわんばかりの瞳は、しかして猟兵達へは届かない。

「その身で存分に味わえ……!」

 一閃。5本の光が宇宙を切り裂いた。

●平和になった宇宙
 宇宙に浮かぶメルビレイの死体。
 猟兵達は勝利を喜び合い、互いの健闘を称え合った。

 そしてボアネルは己が葬ったメルビレイにも言葉を贈る。

「既に貴様の主はその野望と共に潰えた」
「貴様も骸の海へと帰るがいい」

 その言葉に返事をするかのように、メルビレイが消えていく。
 宇宙には猟兵達が残り、猟兵達もやがてグリモアベースへと帰還した。

 星々が煌めく。宇宙にはただ、穏やかな時間だけが過ぎていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年07月19日


タグの編集

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🔒
#スペースシップワールド
🔒
#戦後


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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は黒玻璃・ミコです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト