無垢な命を啜る吸血鬼を滅せよ
暗闇に閉ざされ、力持つ支配者達が弱き人々を虐げる。それが当たり前の世界。だがそんな世界にも平和な時間を過ごす子供達がいる。
「神父さま! このプレゼントもらっていいの?」
「ええ、寄贈されたものですから、感謝の気持ちを忘れずに受け取りなさい」
僻地にあるには大きく立派な教会に隣接する孤児院。その子供部屋に集まる何十人もの子供達の前に、シスター達がぬいぐるみや木の玩具といった様々なプレゼントを並べていた。
「わたしこれー!」
「まてよ! おれもそれがいいー!」
「これこれ、喧嘩をしてはいけませんよ。譲り合いの心を持つのです」
喧嘩になりそうな子供達を老いた神父が窘める。
「「はーい」」
賑やかにプレゼントの取り合いが続く。
「それと、エリー。あなたの養子縁組が決まりました。あなたの望んでいた商家ですよ」
「本当ですか神父様!」
十台前半の娘が喜びを露わにする。それを見守る神父は笑みを作りながらも目に悲しみを浮かべていた。
「ええ、来週には向かうことになります。準備しておきなさい」
「はい!」
その様子に他の子供達も羨ましそうに、または寂しそうに少女を見る。孤児院で育った者は養子に出るか、奉公で働きに出るしかないのだ。
「これも全てこの孤児院に莫大な寄付をしてくださるアラン様のお蔭です。皆で仲間の門出に祈りを捧げましょう」
神父が促すと子供達が手を組み祈る。その未来に幸せがあるのだと信じて。
「諸君、任務だ。ダークセイヴァー世界に赴き、吸血鬼を見つけ出しこれを討て」
薄暗い夜のようなグリモアベースで、バルモア・グレンブレア(人間の戦場傭兵・f02136)が猟兵に任務の説明を始めた。
「教会が運営している孤児院。そこの子供達が養子に出されるという話しだが、実際には行方知れずとなり、吸血鬼の毒牙に掛かっているようだ」
孤児院の少女が血を吸われ殺される予知から調べた結果、同様に行方の掴めぬ子供が大勢居るのだという。
「だが吸血鬼がどこに居るのかは掴めていない。そこで諸君らに孤児院に赴き、調査してもらいたい」
場所が分かればそこへ襲撃を仕掛けることになる。
「吸血鬼の住まう場所には配下も大勢居るだろう。それら全てを殲滅し、子供達の未来を取り戻したまえ」
バルモアが道を作り出すと、子供の血を啜る吸血鬼を討つ為に猟兵は足を踏み入れた。
天木一
今回はダークファンタジーな吸血鬼を狩る戦いになります。
悲惨な運命を辿ることになる子供達を救う為にも吸血鬼を倒しましょう!
孤児院は教会の神父やシスター達が寄付金を元に運営しています。教会の建っている地域は平和な場所で、魔獣が現れません。近隣の村までは馬車で半日ほど掛かるような辺鄙な場所です。
吸血鬼がどこに潜んでいるのかをそれぞれの方法で探し出しましょう。
一章で敵の拠点を見つけ、二章で配下の群れを倒し、三章で吸血鬼と対峙することになります。
第1章 冒険
『遺された花の数』
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POW : 孤児たちに話を聞く
SPD : 内部に忍び込み手がかりを探す
WIZ : 施設の職員に話を聞く
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星噛・式
近隣の村に行く時でも馬車で半日かかることから施設から出かける際は必ず馬車を使用すること、また近隣の村を超えて拠点がある場合は孤児院を餌場にするより近隣の村を餌場にした方が効率が良いことからおそらく孤児院から近隣の村までの間に拠点があると彼女は考えた。
その為まずは馬車の御者にいつも何処で孤児を下ろしているか聞く。
そしてシスターに周辺で深い森や廃墟など基本的に日が常に当たらない場所など吸血鬼が好みそうなところはないか聞く。
「吸血鬼と言えばプライドが高く高貴な怪物ってイメージだが、孤児院からコソコソ盗み食いとは落ちぶれたもんだな」
彼女は捜査していくうえで今回の吸血鬼にそんなイメージをしていた
ノエル・スカーレット
WIZ:施設の職員に話を聞く
「ひどい話ですね……」
絶対にヴァンパイアを倒してあげましょう。
自分の容姿が孤児たちと同い年くらいなので服装をいつものゴシック服から少しボロに変えて施設に調査に行き職員から話を聞く。
「ここ評判ですけど誰か支援してくれる人がいるんですか?」
「その素敵な方はどこのどんな方でしょうか?」
この辺りの裕福な貴族や協会や施設の成り立ちなども聞く。
怪しい人や侵入が難しい場所などはサイレントチェイサーで調べる。
アドリブ歓迎です。
アガーテ・エルツ
子供達が…。何としてモ、守りたいデスネ
【WIZ】
施設の職員サンにお話しヲ聞きマショウ。
【コミュ力】を使い、警戒心ヲ持たれない様ニ
神父サンの独特な慣習デスとか、
決まっテ姿ガ見えなくナル時があるか
特に子供達ガ、奉公や養子にナル時に
それトもう一つ、アラン様とはどんナ方なのでしょうカ?
孤児院に寄付するナンて、優しい人なのデスネ?
姿は皆サン、見た事があるのデ?
ガーネット・グレイローズ
【WIZ】で施設の職員と話をする。屋敷で働けそうな十代の子供を探しにきたと、適当な偽名を名乗り教会を訪問する。自己紹介をするときに<催眠術>で簡単な暗示をかけ、施設の関係者を信用させる。
「ここは、立派な教会ですね。子供達は皆、ここを出て幸せに暮らしているのでしょうか」
大人の前ではそこはかとなく<存在感><礼儀作法>で、魅力ある高貴な人物を演出。子供達ににこやかに笑いかけ、優しい貴族の女性っぽく振る舞って見せる。
「誰か、私の家でよく働いてくれる良い子はいないものかしら……あの子は?(すでに引き取られることが決まったエリーを指し)」
「あら……残念ね。ちなみにどちらの町へ行くのかしら」
●シスター
大きく金の掛かっていそうな教会に、同じようにきちんと手入れのされた孤児院。そんな2つの建物が誰も通らぬような、近くに町のない辺鄙な場所に建っていた。
猟兵達はまず情報収集の為に一人でも多くの人から聞き込みをしようと、教会と孤児院で働くシスター達にそれぞれ違う方法で接触を試みる。
教会の近くの広場で子供達が遊んでいる。それを見守るようにシスターが少し離れた場所で小さな子をあやしていた。
「今いいかしら? 私の名はスピネル・ブランルージュ。私の屋敷で働ける子供を探しているのだけど、ここの子供達と合わせてもらえないかしら?」
「まあ! 本当ですか!」
堂々と偽名を名乗ったガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)が高貴な振る舞いで己を演出し、シスターと目を合わせながら催眠を掛け信用させる。
「ここは、立派な教会ですわね。子供達は皆、ここを出て幸せに暮らしているのかしら」
「ええ、奉公に出た子達から手紙が届いたこともあるんですよ!」
ガーネットが教会を見ながら言うと、本当に嬉しそうにシスターが手紙の話を喋り出す。
「そう、なら信用できるみたいね。誰か、私の家でよく働いてくれる良い子はいないものかしら……あの子は?」
「ああ、エリーは養子先が決まったばかりなんですよ。養子は裕福な家しかとらないのであの子は幸運です」
ガーネットが情報にあった少女を示すと、シスターが首を振って事情を説明する。
「あら……残念ね。ちなみにどちらの町へ行くのかしら」
「この孤児院を建ててくださったアラン様のお知り合いの方がいる町みたいです。かなり遠くてもう会えなくなるのが残念ですが……元気に過ごせるように祈って送り出してあげるつもりです」
あからさまにアランという人物が怪しいと思いながらも、ガーネットはおくびにも出さずに談笑を続けた。
「子供達が……。何としてモ、守りたいデスネ」
アガーテ・エルツ(黒幼枝・f03896)が元気に遊ぶ子供達に視線を向け、悲劇から守ってやりたいと孤児院に入る。
「こんにちハ。旅の途中デここに寄ったのデスガ、少しいいデスカ?」
「まあ、遠路はるばるこんなところまで、どうぞ一休みしていってください」
警戒されないように丁寧なあいさつをするアガーテを、掃除していたシスターが優しい笑顔で出迎えてくれる。
「立派ナ孤児院デスネ、神父サンはどんナ方なのでしょうカ?」
「とても慈愛に満ちた御優しい方ですよ。いつも身寄りのない子供達の事を考えてくれているのです」
アガーテの質問に答えるシスターの言葉には淀みがなく、嘘偽りはないように感じた。
「そうデスカ。それナラ子供達が出ていく時はきっと寂しいでしょうネ」
「ええ、それはもう。私達には見せないようにしていますが、涙している時もあるようです」
シスターは偶然にも泣いている姿を見たことがあるという。
「それトもう一つ、アラン様とはどんナ方なのでしょうカ? 孤児院に寄付するナンて、優しい人なのデスネ? 姿は皆サン、見た事があるのデ?」
「それはもう信仰に篤いお方です。ここに来るといつも教会の宿舎に泊まられるのです。それにすごく美しい方で、恋物語に出て来るような方だと……あっこの事は内密に」
何気なく聞き出そうとアガーテが話を振ると、シスターは少女のように頬を赤らめた。
(「近隣の村まで馬車で半日……餌場の効率を考えるなら、そこよりも遠くに拠点があるとは考えにくいか……」)
星噛・式(赤水晶・f10488)は教会と村の位置関係から吸血鬼の拠点を絞り込む。その考えに基づき小さな畑の手入れをしているシスターに声を掛ける。
「シスター。一つ尋ねたいのだが、養子に送る孤児をどこで下ろしているのか知っているか?」
「詳しくは知りませんが、近隣の村から大きな街へと向かうらしいです。いつもアラン様が自らやってきて馬車を用意してくださるのです」
式がシスターに尋ねると、丁寧にシスターが答えてくれる。だが詳しい情報は持っていないようだった。
「それともう一つ。この近辺に深い森や廃墟といった、深い陰で覆われている場所はないか?」
「教会や村に続く道から離れればどこも人の住む事のできない深い森です。私達も子供も教会からあまり離れることはありません。この教会だけが神の加護で安全を保っていられるのです」
仕事の戻ろうとするシスターに式が尋ねると、子供も大人も教会周辺くらいしか動けぬ事を教えてくれる。
「そうか、仕事の邪魔をして悪かったな」
「いいえ、旅の方が尋ねてくれば子供達が喜びますから」
式に会釈してシスターが仕事に戻る。
「吸血鬼と言えばプライドが高く高貴な怪物ってイメージだが、孤児院からコソコソ盗み食いとは落ちぶれたもんだな」
隠れて子供を襲うその手管に、式の中で吸血鬼のイメージが暴落していた。
「ひどい話ですね……」
絶対にヴァンパイアを倒してこれ以上の悲劇は起こさせないと、ノエル・スカーレット(チビッ子ダンピール・f00954)は強く誓った。
いつものゴシック服ではなく、古着に着替えたノエルは、裏庭で手伝う子供達と一緒に井戸から水を汲み上げていたシスターから話しを聞く。
「ここ評判ですけど誰か支援してくれる人がいるんですか? 私も孤児院の出で興味がありまして」
「この孤児院と教会はアラン様が建ててくださったものなのです」
ノエルは怪しまれぬようにと設定を作って話しかけると、朗らかにシスターが教えてくれる。
「その素敵な方はどこのどんな方でしょうか?」
「アラン様は大きな街の豪商で、この辺りの行商を纏めていらっしゃる方なのです。敬虔な方でよく教会にお祈りにいらっしゃるのですよ」
これも全て神の思し召しだとシスターが祈る。情報を得たノエルは礼を述べてその場を離れた。
「教会によく来る人物ですか……。注意が必要な相手のようですね……」
ノエルは眷属の6匹の蝙蝠を召喚し解き放つ。五感を共有する蝙蝠達は教会周辺を飛び回り、怪しい人物が居ないかを探す。
「あれは……」
教会の中では祭壇の前で一人の老人が手を組んでいる。ステンドグラスから光差す下、神父が深く祈りを捧げていた。
「神よ……どうか少女の魂を救い給え……」
それは神に許しを請うように真摯な姿だった。
成功
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サフィリア・ラズワルド
POWを選択
知らない人にいきなり話しかけられたら緊張するし少し怖いよね、だから話を聞く前に少し一緒に遊ぼうと思います!
『ねぇ、私も君達の遊びに混ぜて!』
【優しさ】で子供達の警戒を解いて鬼ごっことかかくれんぼとか怪獣ごっことかで遊びます。仲良くなれたらさりげなく聞いてみます!
ところで『がおー!』って言いながら追いかけますけど私怖くないよね?怖い顔してないよね?
●孤児
「まずは子供達の緊張を解くために一緒に遊ぼうかな」
サフィリア・ラズワルド(ドラゴン擬き・f08950)が元気に外で遊ぶ子供達に声をかける。
「こんにちは! ねぇ、私も君達の遊びに混ぜて!」
「いいよー!」
「鬼ごっこしてたんだよ! おねーちゃんが鬼ね!」
同じ目線で子供達にお願いすると、すぐに子供達は打ち解け仲間に入れてくれる。
「がおー!」
鬼になったサフィリアが子供達を追いかけ、きゃーきゃーはしゃぎながら子供が逃げる。
「つっかまえたー!」
逃げる女の子の背中から抱き上げるようにして捕まえた。
「私怖くないよね? 怖い顔してないよね?」
「こわくないよー!」
「どっちかってゆーとかっこいー!」
念のため自分の顔がどう映っているのかを訪ねてみると、無邪気な子供達の返事が返って来た。そうして怪獣ごっこなんかもして遊び仲を深めると本題に入る。
「そういえば最近何か変わったものを見たりしてない?」
「変わったもの? おねーちゃん!」
「アランさまいがいの人がくるのなんてめずらしーよねー!」
質問の仕方が悪かったのか子供達から指差され、すぐにコロコロと変わる子供達の話題に話しを流される。
「アランという人物以外はここには来ないということかな……」
それだけでも情報は手に入れられたとサフィリアは一先ず納得し、子供達との遊びに戻った。
苦戦
🔵🔴🔴
サイラス・レドモンド
【POW】
誰かが信じてるもんを疑うのはいつの世界も胸糞悪いなァ
まぁ仕事だ、しかもガキの為だ、一肌脱ごうじゃねぇの!
孤児達に対して『コミュ力』で話を始め
孤児達が打ち解けるのを待つぜ!
冒険について聞かれたらこれまでの仕事の話を
世界について聞かれたら、様々な世界について話してやるのも良い。
そう信頼とまでは言わずとも、とりあえずの信用を得るのさ。
お前達はここで頑張ってんだなァ…くぅ、涙が出てくるぜ…
オレァ女子供を守る為にこの仕事やってんだ
女も戦う世界だけどよォ、根本的には守るっつーのは男の仕事だろ?
少なくともオレァそう思ってんのさ!
んじゃァ…オレからも質問だ。
神父様の他に大人の誰か…いたりしねぇかい?
上代・壱夏
ボクの生まれ的にも、放っておけない事件の気がする…
子供達の可能性に満ちた『これから』が喪われていくのを、絶対に阻止しなきゃ
●内部に忍び込み手がかりを探す
養子縁組の相手って、多少なりとも寄付元の意向が絡んでいたり、しないかな?とおもうので、【アラン様】についてちょっと調べてみようかな。
寄付の記録とか、送られてくるお手紙とか、養子縁組についてやりとりしている書類とか…【アラン様】とやらが関係なくても、何かしらの共通点が見えてくるといいんだけれど…
吸血鬼と協力して、孤児院の子たちを育てて、大きくなったら吸血鬼に届けるなんてそんな怖いこと、してないよね…
うっ、勝手に想像して背筋が冷えた、仕事しよう
フィリオ・グラースラム
孤児院の中に配下がいたりするかもしれませんの
だからまずは、こっそり忍び込んで調べてみますにょ!…ますの!
冒険家だった母さまがおっしゃってましたの
人が通らなそうな場所に『自然でない跡』があったら
そこには何かある…と
その言葉を胸に、隠し部屋まで
隅々まで調べてみせますにょ
猫の毛づくろいで狭いところだってばっちりですのよ!
見つかりそうになったら
ぬいぐるみのふりで乗り切りますの
バレてはいけにゃいのですが
バレなかったらそれはそれで
お胸の所がきゅぅっとなって、しゅーんってなりますにょ…
全部屋見ても何もなかったら
本と紙が一杯あるお部屋にいきますの
居なくなった子の情報をあつめれば
きっと何かの手がかりになりますの
リネット・ルゥセーブル
……これだから、この世界は嫌いなんだ。
まあいい、吸血鬼共の居場所を探るとしようか。
暗がりに隠れつつ【目立たない】ように潜入。
狙うは書庫だ。なるべく埃臭い方が良い。
探すのは本ではなく、書類を束ねた冊子の類だ。
途中から支援の見返りに子供を供与していたならば、まず間違いなく経済的に変化が発生しているはずだ。とはいえそれを直接ひけらかすようなことはしまい。
しかし、『貰ったもの』は誤魔化せども、『買ったもの』は誤魔化し難い。過去の経営資料を見ればそのあたりが如実に出るはずだ。
変化が生まれた時期を見繕ったら今度は日記の類だ。直接的な情報を狙うが、時期を絞ることで頭から当たるよりも迅速に探せるはずだ・
九之矢・透
何にも知らない子供が犠牲に…?
くそ、もし本当なら許せねえ
【SPD】
仲間が職員や子供に話を聞いている間に忍び込んで施設内を調査するぜ
【忍び足】を駆使して気づかれない様にな
マッピングし、施設内部を地図におこしなが進むぞ
怪しい空白エリアが無いか、
しらみ潰しに
閉めきられて光を遮断された様な部屋があれば、気配の有無を確認し、【鍵あけ】も試みる
内部は【暗視】で良く確認だ
絶対何か掴んでやる!
星宮・亜希
「許せるわけ無いじゃないですか……そんな外道!」
同じ世界の出身として許しませんよ!そのためにまずは子供達と触れ合って情報交換しましょう。なんせこの世界は私の故郷です、【世界知識】もありますし【情報収集】は得意ですから。
それに子供目線でないとわからないこともありますからね、こういうのは!
「ね、ボク?最近養子になった子について聞きたいんだけど……」
常に笑顔を絶やさず、目線の高さを合わせて孤児に質問します。主に尋ねるのは最近養子になった子について、『アラン様』やエリーさんが引き取られるという商家について。後は最近疑問に思ったり怖かったことについて、あくまで優しく、偉そうにせずに。
POW,アドリブ歓迎
「誰かが信じてるもんを疑うのはいつの世界も胸糞悪いなァ」
気分の悪くなる役割だとサイラス・レドモンド(野生のままに・f09014)が顔をしかめる。
「まぁ仕事だ、しかもガキの為だ、一肌脱ごうじゃねぇの!」
だがこれ以上子供が犠牲になるような真似はさせないと意気込んで、庭で遊ぶ孤児達に近づく。
「よう!」
「おじさんだれ?」
気さくにサイラスが声を掛けると、子供達が物珍しいものを見るように見上げて尋ねる。
「オレァサイラスって冒険者だぜ。世界中を旅してまわってんだ」
「冒険者! かっこいー!」
「ねえねえ! 冒険のお話を聞かせてよ!」
胸を叩いて冒険者を名乗るサイラスに子供達はお話をねだる。
「おぅ! 血沸き肉躍る冒険を聞かせてやるぜ!」
サイラスの冒険譚を子供達は目を輝かせて夢中で耳を傾ける。そうして幾つも話を聞かせ子供達の生活の話も聞き言葉を交わし仲良くなる。
「お前達はここで頑張ってんだなァ……くぅ、涙が出てくるぜ……。オレァ女子供を守る為にこの仕事やってんだ。女も戦う世界だけどよォ、根本的には守るっつーのは男の仕事だろ? 少なくともオレァそう思ってんのさ!」
「じゃあボクも大人になったら女の子を守る!」
冒険者に憧れる子供達が感化されてボクもボクもと手を挙げる。
「そうか。じゃあ守れるくらい強くならなくっちゃな。んじゃァ……オレからも質問だ。神父様とシスターの他に大人の誰か……いたりしねぇかい?」
「誰かいたっけ?」
「んーと、あ! アランさま!」
「そうそう! アランさまとそのおつきの人が神父さまと会いに教会によく来てるよ!」
サイラスの質問に子供達が思い出したように答える。
「そうかそうか! 教えてくれて感謝するぜ!」
笑みを浮かべながらもサイラスの視線は鋭い光を放っていた。
「許せるわけ無いじゃないですか……そんな外道!」
子供達の末路に憤った星宮・亜希(双星の守護天使・f00558)は、決して許さないと吸血鬼に怒りを向ける。
「まずは子供達からお話しを聞いてみましょう。この世界は私の故郷ですから、親しみやすいはずです」
子供の視点だからこそ見えて来るものもあると、笑顔を浮かべて話しかける。
「ね、ボク? 最近養子になった子について聞きたいんだけど……」
「うん、なぁに?」
屈んで子供と目の高さを合わせて質問する。
「養子になった子が戻ってきたことってある?」
「ううん、みーんなもらわれた先でしあわせになってるんだって!」
子供は無邪気に家族の幸せを信じ切っているようだった。
「それじゃあアラン様ってどんな人? エリーさんが商家に引き取られるのよね。どんなお家か知ってる?」
「んーアランさまはーいっつも笑顔でいるんだよ。それにおもちゃもくれるんだー! エリーおねーちゃんはアランさまのしりあいの家に行くんだって!」
優しくゆっくりと問いかけると、子供はちゃんと考え返事をしてくれる。
「そうなんだ。そういえば、最近不思議に思ったり、怖かったりしたことってある?」
「んーとねー。あっそうだ! アランさまのじゅーしゃって人たちはこわいかなー。すっごいおっきくてむっきむきなんだよ! それによく朝にはへったりふえたりしてる気がする!」
「従者の数が増えたり減ったりしてるってことかな?」
「そうだよ!」
色々な質問を終え、ありがとうと言って亜希は手を振って別れる。
「夜の間に従者の数が変わる? つまりこの建物のどこかに吸血鬼の拠点があるということですか……」
その可能性は高いかもしれないと、亜希は孤児院と教会を見渡し、仲間達に伝えようと移動を始めた。
数々の情報からアランという男が黒であると猟兵達の間で結論が出る。ならば次はアランが居る場所を探らねばならないと、シスターや子供の注意を引いてる間に、身軽な猟兵達が動き出した。
●侵入調査
「ボクの生まれ的にも、放っておけない事件の気がする……」
人間とヴァンパイアの間に生まれた上代・壱夏(ダンピールの咎人殺し・f10492)は話しを聞いた時から心落ち着かないでいた。
「子供達の可能性に満ちた『これから』が喪われていくのを、絶対に阻止しなきゃ」
先に続く道をここで閉ざしはしないと、壱夏は静かに孤児院に近づく。
(「養子縁組の相手って、多少なりとも寄付元の意向が絡んでいたり、しないかな?」)
そう考えた壱夏は人の出払った孤児院に忍び込み、事務に使われていそうな部屋に入り込む。来訪者など殆どない辺鄙な場所にある建物のせいか、侵入者など考えてもいない部屋には鍵も付いておらず容易く侵入できる。
(「こっちは食料関係……こっちは他の教会との連絡……。ん? これは……寄付の記録」)
そこには寄付の情報が並べられている。毎月振り込まれているのではなく、大きな額が不定期に振り込まれていた。その金額もバラバラで決まりがないようだった。
(「全てアランという人物からの寄付……どうしてこんな風に不定期なのかな?」)
次は子供が養子や奉公に出された資料を探す。
「吸血鬼と協力して、孤児院の子たちを育てて、大きくなったら吸血鬼に届けるなんてそんな怖いこと、してないよね……」
思わず呟きを漏らした壱夏は、声に出してしまった事でそれが現実になったように感じ背筋を冷やす。
(「うっ、勝手に想像して背筋が冷えた、仕事しよう」)
そして他にも何か資料がないか家探しを続けるのだった。
「孤児院の中に配下がいたりするかもしれませんの。だからまずは、こっそり忍び込んで調べてみますにょ! ……ますの!」
敵に配下が居るならば慎重に探ってみようと、品の良いぬいぐるみのような毛並みのフィリオ・グラースラム(煌氷の刃・f10324)が忍び込む。
「冒険家だった母さまがおっしゃってましたの、人が通らなそうな場所に『自然でない跡』があったら
そこには何かある……と」
母の教えを胸にフィリオは屋内を探る。人のあまり通らぬ場所を探していると、ドタドタと騒がしい音が近づいてくる。それはまだ外に出る事を許されていない小さな子供達だった。外で遊べぬならばと孤児院の中で遊んでいるのだ。
「か、隠れるところは……ありませんの!? こうなったらぬいぐるみのふりをしますにょ!!」
周囲を見渡しあわあわしていたフィリオは、覚悟を決めて壁際にもたれてじっとする。
「あー! こんなところにぬいぐるみがあるー!」
「だれだよーかたづけないとシスターにおこられるぞー!」
子供達が無遠慮にふにふにとフィリオを触り、ビクッと動いてしまいそうになるのを必死で堪える。
「もーいーじゃん。おいかけっこのつづきしよーよー」
飽きた少年がそう言うと、子供達はすぐに興味が移り走り去ってしまう。嵐が過ぎ去った気分でフィリオはガクッと手をついた。
「バレなかったのはいいことにゃのですが……」
あっさりとぬいぐるみで通った事にしゅーんと気を落ち込ませる。
「落ち込んでる場合ではないにょですのよ!」
そんな場合ではなかったと気を取り直し探索を続ける。
「……これだから、この世界は嫌いなんだ」
陰鬱な気分でリネット・ルゥセーブル(黒ずきん・f10055)は朝の来ない世界を見上げる。
「まあいい、吸血鬼共の居場所を探るとしようか」
動いていた方が気も紛れると、リネットは目立たぬように人の居ない場所へと移動する。探すのは書庫。本の保護の為に光届かぬ、埃臭い子供達の寄り付かぬ場所だった。
「ここか……」
奥まった場所にある部屋。そっとリネットは音を立てぬように本棚の置かれた部屋に入り込む。大きく分厚い本が並び、その殆どは宗教関係の本だった。
「本に用はない。冊子の類はどこだ」
本を無視して孤児院の運営に関わりそうな資料を探す。
「『貰ったもの』は誤魔化せども、『買ったもの』は誤魔化し難い」
手当たり次第に古い資料に目を通していくと、埃を被っていないシンプルで飾りの無い本を見つける。気になって開いてみれば人の名前がずらりと書かれていた。その横にはそれぞれ、どこそこの何という人物に奉公に出されたかが詳細に書かれている。
「これは……奉公に出たという子供の名前か?」
だがところどころ、5人に1人くらいの割合で、奉公ではなく養子と書かれ、その養子先の人物がアランという名前になっていた。その横には桁の多い数字が掛かれ、そして『神よこの者の魂を救い給え』と書かれていた。
「まさかこれは……『売ったもの』のリストか……」
険しい顔でリネットはそれを何度も読み直す。だがそこに書かれているものが変わるはずもなく、冷酷な事実を突きつける。書かれた数字は金額だと理解してしまっていた。
「知るほど世界が嫌いになる……救いはないのか」
深い溜息を吐いたリネットは本を手にその場を後にした。
「何にも知らない子供が犠牲に……? くそ、許せねえ」
怒りを胸に押し殺し、足音を消しこっそりと九之矢・透(人間のシーフ・f02203)は忍び込む。
「ここは子供達の寝室か、こっちは……シスターの部屋か」
ベッドの並ぶ部屋を見つけ紙に書き込んでいく。他にも仲間が調べていた場所はその情報を元に既に書き込んでいた。
「大体の部屋は子供やシスターの使ってそうな場所だな。後は……」
透はマッピングして怪しい空白エリアが無いかをチェックしていき、やがて教会側の子供達の部屋から離れた通路に到着する。そこでカギの掛けられた一つの部屋を見つけた。
「ここが怪しいな。中を調べてみるか」
器用に針金で鍵を開け、扉を開く。光の全く届かぬ窓のない部屋がある。暗闇を見通す目で周囲を窺う。下には瀟洒な絨毯が敷かれているが、豪華なものはそれだけで、後は真ん中に大きなキングサイズのベッドが置かれているだけだった。
「ここがアランって奴が泊ってる部屋か。しかし生活臭が全くしないな」
その違和感に怪しんだ透は念入りに部屋を調べてみる。壁や天井。そしてベッドまで。
「この跡は……」
するとベッドの脚元を調べている時、絨毯にベッドの脚の重さで付いた痛みを見つける。それは絨毯を引っ張ったか、ベッドを動かしたような引き摺った跡だった。
「こんなでかいベッドを動かすような事があるか?」
疑問に思った透は小さな体に力を込めてベッドを動かそうとする。すると気配に気づいて振り返った。
「誰だ!?」
「にょ!? びっくりしたですのっ」
そこに居たのは同じく調査していたフィリオだった。
「ちょどいい! 手伝ってくれ」
訳も分からっておらぬフィリオと一緒に、透はベッドを動かす。そして絨毯を捲った。
「……見つけた!」
「ありましたにょ! 隠し通路ですのよ!」
そこには取っ手の付いた大きな重量のある鉄板がある。それを少し持ち上げ中を覗くと、先の見えぬ地下へ階段が続いていた。それはまるで奈落の穴のような闇だった。
大成功
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第2章 集団戦
『闘奴牢看守』
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POW : ボディで悶絶させてからボッコボコにしてやるぜ!
【鉄製棍棒どてっ腹フルスイング 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【鉄製棍棒による滅多打ち】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : チェーンデスマッチたこのやろう!
【フックと爆弾付きの鎖 】が命中した対象を爆破し、更に互いを【鎖についてるフックを肉に食い込ませること】で繋ぐ。
WIZ : 嗜虐衝動暴走
【えげつない嗜虐衝動 】に覚醒して【『暴走(バイオレンス)』の化身】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
👑11
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●地下墓地
分厚い絨毯に隠れていた普通の人間なら動かすのも困難な鉄板をどけ、吸血鬼が人々に気付かれぬよう念入りに隠していた隠れ家への階段に足を踏み入れる。地下へ下り始めると渇いた腐臭がする。地面には人の白骨が散らばっており、それを見て地上には墓が無かったことを思い出す。ここが死んだ者が放棄される墓場なのだ。この先には吸血鬼を守る配下の兵達がいるはずだと、猟兵達は慎重に道を進む。そこに道を塞ぐように現れたのは筋骨隆々な棍棒を持つ荒くれ者の姿をした配下達だった。
サイラス・レドモンド
【POW】
おーおー串刺しがいのある肉だるまがいるじゃねぇの。
アランって奴の護衛って奴かァ?
まぁ何にしても襲ってくんならそれ相応に相手してやるぜ!
敵の動きは『野生の勘』でより警戒。
戦闘は『串刺し』『なぎ払い』『槍投げ』『吹き飛ばし』
そして『誠の一突き』を駆使し、槍使いらしい戦い方で行くぜ!
ただのネコだと思って舐めんなよォ?!
敵の攻撃を避ける等の移動には『地形の利用』『ダッシュ』を駆使
孤児のガキ達を人質にしねぇか割と心配だなァ…
もしそんな事がないように注意もしとこうぜ!
ガキや仲間達に攻撃がいった時は『かばう』!
『激痛耐性』で多少は耐えられるはずだ、多少…だがな?
だから回復は他に任せさせてくれよ!!
星噛・式
SPDで対応
「おいおい、今のご時世で田舎のヤンキーだってチェーンデスマッチなんてやってないだろ」
飛んでくる爆弾付きの鎖を横目に呆れる
「逃げられない様に鎖で繋いでバトルって、それ"私は攻撃を当てる自信がないので鎖で繋いでお互い殴り合いましょう"って言ってるようなもんだぜ」
クリスタライズで姿を消したり表したりして相手を惑わし撹乱する
彼女の速さを合わさってまるで影分身をしているかのように残像があちらこちらに現れる。その先に首元に一撃致命傷を与える
「むさ苦しいのは嫌いでねぇ。その無駄にゴツい筋肉で解決してみろよ、世の中力だけじゃ解決はしないことだらけってこと教えてやるよ」
フィリオ・グラースラム
にゃにゃ
何だか1撃1撃が重たそうな感じなのです
ここは攻めを急がず
攻撃動作をしっかり観察して、敵の攻撃をかわして反撃を狙う
カウンター戦法でいきますにょ!
地下にゃので、壁も天井も足場に使って
立体的にかわしてみせますの
あの鉄棍棒の一撃をしっかりかわせれば
他の皆様の攻撃チャンスにもなるはずですの
トリニティエンハンスで素早さをあげて
フィオは頑張りますのよ!
その為にはあの鎖に捕まる訳にはまいりませんの
鎖が来たら、雪ちゃん(ドラゴンランス)で
鎖を【串刺し】にして壁に縫い留めてやりますにょ
フィオには剣もありますし
その敵を倒したら、雪ちゃんはちゃんと
ドラゴンの姿になってフィオの所に戻ってきてくれるから
安心ですの
ガーネット・グレイローズ
まずは雑魚を片付けてからか。アランとやら、随分と配下を従えているみたいだな。蹴散らすか。
戦いは基本的に【サイキックブラスト】を用いた遠距離戦。
〈念動力〉を操り、〈衝撃波〉を叩きつけてダメージを与え、電撃で相手の動きを封じていくのが狙い。他の猟兵とも連携を組んで、有効打を与えるためのアシストを行うぞ。
〈第六感〉で相手の動きを予知し、常に先を読んで動こう。相手が攻めてきたら、先読みして攻撃を潰してやろう。相手が逃げる方向へ目掛けてユーベルコードを叩き込み、退路を断ってやる。
接近戦では近接武器を構え、〈なぎ払い〉や〈武器落とし〉で応戦しよう。「ヴァンパイアのイヌどもめ。我が妖刀の糧となるがいい!」
リネット・ルゥセーブル
住居のすぐ下に墓場を用意するとは趣味が悪い。
処分する上での機能以外に関心が無いことがよく分かる。
まあ、その墓を吸血鬼ごと暴こうという私も趣味が悪いのだろうが。
ゆらりと動きつつ、【第六感】も使いつつ【フェイント】を交えて回避。万が一受けそうになればフィーネを【盾受け】にしつつオペラツィオン・マカブルを起動。
一人で爆発していれば良い。
もし注意がこちらに向かないのであれば、死骸から怨念を引き出し、その【呪詛】を以て相手を縛り付ける。
おそらく無念を多く抱えていただろう。恨み辛みも多かろう。
それを好きに吐き出すと良い。私が認める。
ああ、私は巻き込んでくれるなよ。
サフィリア・ラズワルド
子供達と遊ぶの楽しかったー!……って違う違う、
気を引き締めないと
地下に入って臭いに顔を顰めます。この骨は犠牲になった人の?後でこの人達のお墓を作ってあげないと、でも今は……
現れた敵に突撃します。情報収集ではお役に立てませんでしたから戦闘はしっかりサポートさせていただきますよ!ダメージになるような攻撃はせず竜騎士の槍で相手の足を【なぎ払い】で転ばせます。さらに、できるだけ多くの敵の動きを止めたいのでユーベルコード【竜の咆哮】で相手の動きを止めます!
『私、お役に立てました?』
アドリブ歓迎です。
九之矢・透
……あー、確かに筋肉むっきむきだな
しかしこの骨、一体何人犠牲になってるんだよ……
【SPD】
【不羈への枷】を使用
力じゃ敵わなそうだからな
拘束する事で攻撃力を下げたり、
機動力を奪うのを試みるぜ
やられる前にやれ、だな
【先制攻撃】でより先手をとり
【範囲攻撃】でより多くを
【スナイパー】で確実に
見た所イノシシみてーに猪突猛進って感じだが油断は禁物か
移動先や次の行動を予測しながら
手や足を特に狙ってみよう
絶対に捕まえてやる!
●番人
「子供達と遊ぶの楽しかったー! ……って違う違う、気を引き締めないと」
先ほどまでの楽しい空気とは違い、土埃に塗れた墓場の匂いを嗅いでサフィリアは顔を顰め、情報収集では上手くいかなかった分も挽回しようと意識を切り替える。
「この骨は犠牲になった人の? 後でこの人達のお墓を作ってあげないと、でも今は……」
申し訳ないと思いながらも、今はこの元凶となったものを倒すのが先だとこの墓場を守る敵の配下と向き合う。
「勝手にこんなところまで入り込みやがって、生きて帰られると思うなよぉ」
棍棒で肩を叩きながら厭らしい笑みを浮かべて隠れ家の番人が迫る。
「あなた達は今までどれだけの犠牲を出してきたの?」
怒りに心を燃え上がらせたサフィリアは突進し、敵の中に入ると低い姿勢で竜騎士の槍を薙ぎ、敵の脚を払って転ばせた。
「バカが! ひ弱な人間なんぞ何人死のうが知ったことか! お前らもお仲間にしてやる!」
悪態をつきながら敵が起き上がろうとする。
「絶対に許さないから!」
怒りを籠めてサフィリアはその胸に穂先を突き入れる。
「まずは雑魚を片付けてからか。アランとやら、随分と配下を従えているみたいだな。蹴散らすか」
ガーネットが両掌を向けると、眩い高圧電流が放たれ敵達を呑み込み、感電させて動きを止めた。その敵にサフィリアが続けて槍を突き刺す。
「その図体で道を塞いだつもりだったんだろうが、徒になったな」
ガーネットは密集する敵に電流を撃ち込み、纏めて感電させて動きを鈍らせた。
「住居のすぐ下に墓場を用意するとは趣味が悪い」
転がる白骨を見たリネットは、敵の吸血鬼が処分する上での機能以外に関心が無いことがよく理解できた。
「まあ、その墓を吸血鬼ごと暴こうという私も趣味が悪いのだろうが」
自嘲しながらも、これ以上放置もできないとリネットはゆらりと敵に近づくと、攻撃するとフェイントを掛け、敵が棍棒でガードしたところに転がる死骸から怨念を引き出し呪詛と化す。
「おそらく無念を多く抱えていただろう。恨み辛みも多かろう。それを好きに吐き出すと良い。私が認める……ああ、私は巻き込んでくれるなよ」
敵に怨念が憑りつくと金縛りに掛けて動きを停止させた。
「が、身体が、動かねぇ!?」
「きっとお前達に殺された者もそうした無力感を味わったことだろう。堪能して死ぬが良い」
身動きできずに苦しむ敵に、リネットが冷たく言い捨てた。
「……あー、確かに筋肉むっきむきだな。しかしこの骨、一体何人犠牲になってるんだよ……」
無造作に撒き散らされた白骨を踏まぬように透は気をつけようとしたが、これから戦闘ともなればそうも言っていられないと諦める。
「力で敵わないなら、まともにぶつからなければいいよな」
あの筋肉ムキムキと力勝負はしたくないと、機先を制した透は虎挟、投げ縄、投網をいっぺんに放ち、足を挟み、腕を縛り、網で拘束した。
「んなぁ!?」
早業に何が起きたのかも分からず無力化された敵が転倒する。
「やられる前にやれ、だな。そっちの数が多いんだ、先手先手で潰させてもらう」
次の相手にも同様に枷を与え、動きを封じ込める。
「おーおー串刺しがいのある肉だるまがいるじゃねぇの。アランって奴の護衛って奴かァ?」
敵の巨漢を前にしても怯む事無くサイラスは前に出る。
「なんだぁ? 迷い猫か? ミンチにして食っちまおうか!」
「まぁ何にしても襲ってくんならそれ相応に相手してやるぜ!」
振り下ろされる棍棒を竜騎士の槍を振るって弾き、逆に槍を突き入れて腹を貫き壁に串刺しにした。
「テメェ! この化け猫が!」
「ただのネコだと思って舐めんなよォ?!」
新たな敵が棍棒を振り抜くと、サイラスは壁を蹴り上がって頭上を取り、上から槍を突き入れて胸を貫く。
「死ねやぁ!」
その後ろの敵が鎖を振り回して遠心力をつけ投げつける。
「おいおい、今のご時世で田舎のヤンキーだってチェーンデスマッチなんてやってないだろ」
式は身を捻って鎖の先端についた爆弾を見送った。すると壁に当たって爆発が起こる。
「逃げられない様に鎖で繋いでバトルって、それ『私は攻撃を当てる自信がないので鎖で繋いでお互い殴り合いましょう』って言ってるようなもんだぜ」
己を透明化させた式は、視界を外れて回り込み背後で姿を現し敵の背中に鋭利な赤結晶を刺した。
「このやろぉ!!」
横から他の兵が棍棒を振り上げると、式はまた姿を消して素早く攻撃を躱し、違う場所で姿を現す。「どこにいきやがった!?」
キョロキョロと敵が落ち着きなく顔を動かす。そうして敵を惑わしペースを狂わせる。
「むさ苦しいのは嫌いでねぇ。その無駄にゴツい筋肉で解決してみろよ、世の中力だけじゃ解決はしないことだらけってこと教えてやるよ」
「そこに居やがったか!!」
姿を現した式に敵が殺到すると、姿を消して敵が到着する頃には全く違う場所に移っていた。
「こっちこっち――いやこっちだぜ」
揶揄うようにあちこちで姿を現し、敵を混乱させてまともな戦いをさせない。そして隙を見つけては赤結晶を突き立てて致命傷を与え倒していく。
「これで解っただろ? 頭まで筋肉じゃあどうしようもないってな」
式は敵の背後から心臓を貫いた。
敵を倒しながら階段を下り続けると、大きな縦穴に出る。天然の穴を改造したものなのだろう。壁際に螺旋状の階段がぐるっと続いている。足を踏み外せば底の見えぬ穴に落ちる羽目になる。
●不意打ち
「にゃにゃっ!?」
「ちっよけやがった!」
毛を逆立ててフィリオが身を屈め、ブウンッと唸りを上げる棍棒の一撃から身を躱す。見れば敵達が壁の抉られた場所に隠れて待ち構えていた。ぞろぞろと敵が姿をみせる。
「何だか1撃1撃が重たそうな感じなのです。きっと当たったら痛いですにょ!」
ならばカウンター戦法でいきますにょと、フィリオは一歩下がり敵の攻撃を躱しながら竜槍の間合いで突きを放ち胴を打ち抜いた。そしてバックステップすると、崖に落ちそうになる。
「にゃ! ちょっと動いただけで落ちてしまいそうにゃ狭い道ですにょ、でも問題ないですの!」
フィリオは壁を走って攻撃を逃れ背後から竜槍で背中から胸を貫通させた。
「ちょこまかすんじゃねぇ!」
そこへ鎖が投げつけられる。風の魔力を纏ったフィリオは俊敏に飛び退いて躱し、鎖を貫いて壁に縫い止めた。
「今ですにょ!」
「任せろ!」
その好機に姿を現した式が赤結晶を胸に突き刺し仕留めた。
「今なら槍がつかえねーえだろうが!」
深く槍が壁に突き刺さっている間に、横から敵が棍棒を振り下ろす。
「槍がなくてもフィオには剣もありますにょ!」
槍を手放しフィリオは剣を抜くと、横にステップして躱しながら逆袈裟に敵を斬り裂いた。
「雪ちゃんこっちですにょ」
呼びかけると槍が白いドラゴンとなってフィリオの元に戻る。そして槍と剣を構え、狭い足場も苦とせず動き回って敵を翻弄する。
「捕まえろ!」
敵が一斉に鎖を回して投げつけ爆発を起こす。
「イノシシみてーに猪突猛進だと思ってたが、搦め手も使うようだな」
それを先読みして透は躱し、逆に網を放って鎖ごと絡めとった。
「逃げ場のない場所で鎖による拘束。少しは頭を使っているようだが、相手が悪かったな」
鎖にガーネットが電流を流し、敵は躱しようもなく感電して髪の毛を逆立たせてショック死した。
「だが残念だったな。そういった手管ならこっちの方が上手だ」
続けて透が他の敵にも虎挟や投げ縄で手足を封じていく。
「落としてやる! ぐちゃぐちゃに潰れやがれ!」
罠に掛かりながらも敵が突進してきて透に掴み掛かる。
「その自慢の腕力を好きに振るえると思うなよ。お前達には何もさせん」
ガーネットは念動力で腕をを逸らして空振りさせ、横から衝撃波を叩き込んで敵を崖から落下させた。
「さっきから鬱陶しいんだよ!」
入れ替わりに突っ込んできた敵が棍棒を振り抜く。
「近づけば勝てると思ったか?」
ガーネットは妖刀を抜いて攻撃を下から弾き上げ、胴をがら空きにする。
「ヴァンパイアのイヌどもめ。我が妖刀の糧となるがいい!」
赤く輝く刃が一閃し、敵の胴を両断した。
「どいつもこいつも罪が深い。恨みを晴らすと良い」
リネットが敵に呪詛を掛けていると、そのリネットに向けて奥から爆弾付きの鎖が飛んで来た。
「爆発させる武器のようだが、一人で爆発していれば良い」
それを古ぼけたくまの人形を盾にして受け止める。爆発が起こると、それが無効化され人形からそのままエネルギーが排出される。爆風にやったと思って笑みを浮かべていた敵の体が吹き飛び崖から飛んでいった。
「うわあああああぁっ」
「真っ逆さまだ。この高さでは助かるまい」
悲鳴が消えていく奈落を見下ろし、次に攻撃してきた者もこうなるとくまの人形を盾にして脅してみせた。
「お前らも今までここに連れ込んだ奴と同じように殺してやる!」
敵の棍棒が振り抜かれると、サフィリアは槍を盾にして受け止める。
「死ぬのは私達じゃない! こんな酷いことをするあなた達よ!」
押し戻して敵の姿勢を崩し、さらに大きく息を吸ってドラゴンの咆哮を放ち、響き渡る威圧によって敵をよろけさせ崖の下へと転落させた。
「殺す! 決してここは通さん!」
敵が目を血走らせ、涎を垂らして暴走する。筋肉が膨張し本能だけで棍棒を振り回す。当たった壁が削れ、破片が飛び散る。
「おおっと怒り狂ってるな。本物のイノシシみたいだが、行動が単純になったぶん対処は簡単だ」
敵の進路上に罠を仕掛け、足を挟まれた敵は転倒し、手を突いたところに縄が巻き付き、上から網が覆い被さった。
「見事に罠に掛かってくれるな。仕掛けがいがあるってもんだ」
透は口元に笑みを浮かべ、次の敵の無力化を手掛ける。
「ぐぉおああああ!」
だが続々とその速度を上回る敵が暴走して棍棒を手に突っ込んでくる。
「来るぞ」
敵の動きを予知したガーネットが声を掛け、先読みして罠を突破した相手に高圧電流を放ち足を止めさせる。
「次から次へと、まあ上に行かれてガキ達が人質にでもされたらたまんねぇからな。ここで全員ぶっ倒してやるぜ!」
サイラスは槍を投げつけて2人ほど纏めて串刺しにする。敵の真ん中に突っ込んでその槍を引き抜き、薙ぎ払って周囲の敵を吹き飛ばした。
「ひぃいいいいぃぃぃ……」
階段から足を踏み外した敵が奈落へと落ちていく。反撃に鎖が投げつけられ爆発が起こる。そこにもう一体の敵から棍棒がフルスイングで叩きつけられると、サイラスは槍で受け止め踏み止まる。
「そんなもんか、足止めにもならねぇな!」
痛みに耐え棍棒を押し戻し、敵の脚を払って転倒させ胸を一突きした。そして鎖をもう一度飛んでくる鎖を弾いて爆発を宙で起こさせ、敵がよろめいたところに槍を振り抜き、崖下へと叩き落とした。
●棲み処
現れる敵を薙ぎ倒し進み続けると襲撃が途絶え、階段が無くなる場所に壁を掘って奥に続く道がある。その先には両開きの大きな扉があった。扉には緻密な装飾が施され、ここが目的地だと一目で分かった。
「私、お役に立てました?」
扉を前にしてサフィリアが尋ねると、仲間達がもちろんと頷いた。
この先にはこの事件の元凶である吸血鬼が待ち構えている。猟兵達は覚悟を決め扉を開いた。
大成功
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第3章 ボス戦
『ヴァンパイア』
|
POW : クルーエルオーダー
【血で書いた誓約書】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD : マサクゥルブレイド
自身が装備する【豪奢な刀剣】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ : サモンシャドウバット
【影の蝙蝠】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
👑17
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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●吸血鬼
ギギィッと蝶番が音を立ててゆっくりと巨大な扉が開く。中は今までの天然の岩肌とは違い、磨き上げられた石を積み上げて作られた部屋になっていた。入り口から深紅の天鵞絨の絨毯が真っ直ぐに伸びる先に、まるで玉座のように豪華な椅子がある。そしてそこに一人の男が足を組んで悠々と座っていた。
「ようこそ、招かれざる客人よ。歓迎しよう」
低く落ち着いた声が響く。その男には濃密な血の香りが纏わりついていた。
星噛・式
SPDで対応
「やっとボスのお出ましか。コソコソ隠れて部下に守って貰って陰気な野郎だな」
式は口汚く罵倒する。珍しく彼女は怒っていた。
「別に血を吸うだけならわざわざ孤児から吸わなくてもできるだろ?反抗できない子供相手にちまちま血を吸ってるってのが気に食わねぇ」
悪を嫌う彼女、特に子供を巻き込むことを何より嫌うため怒りはそこからきたものである
手首を切り流血させ悪鬼を憑依させ身体能力を極限まで高める
「好きなだけ剣飛ばせよ。抵抗すればするだけ手元が狂って死ぬ時痛いぜ」
棒手裏剣で牽制し剣を撃ち落としながら一瞬にして間合いを詰め心臓に一撃決める
「血が吸いたいんだろ?吸いたきゃ吸えよ俺の赤水晶からな」
フィリオ・グラースラム
何度言っても足りないくらい卑劣ですにょ!非道ですにょ!
絶対、ぜーったい許しませんのよ
とはいえ、実力は確かのようですの
ここは騎士として、攻撃手の仲間を守る役割で動きますのよ
攻撃手さんの邪魔をする刀剣は
直接叩き落としたり、ルーンソードに風を宿して
斬撃を飛ばして【援護射撃】しますのよ
理不尽な誓約書は、炎の【属性攻撃】で灰にしてあげますにょ
燃やしきれない時は、フィオが身代わりに受けますの
お前と違って、フィオは1人で戦ってはいませんのよ!
あの翼を飛べるものなんですにょ?
空中をうろちょろされたら厄介ですの
壁でも何でも足場にして飛び、翼を【串刺し】ですの
ドラゴニックエンド…叩き落とすんですのよ、雪ちゃん!
サイラス・レドモンド
ふん?てめぇがアランって奴かァ?
血の匂いが無性にしてやがるぜ…隠すならもう少しうまい事隠しな!
…もうガキの犠牲者は出てるって事かよ?
んなら…これ以上はさせねぇぜ!!
相手の動きに『野生の勘』『第六感』を駆使しより警戒。
戦闘は『串刺し』『なぎ払い』『槍投げ』『吹き飛ばし』
そして『誠の一突き』を駆使し、槍使いらしい戦い方で行くぜ!
敵の攻撃を避ける等の移動には『地形の利用』『ダッシュ』を駆使
仲間達に攻撃がいった時は『かばう』!
『激痛耐性』で多少は耐えられるはずだ、多少…だがな?
だから回復は他に頼むぜ!!
は…てめぇ…やるじゃねぇか
だが今回オレ達の後ろにゃあガキも待ってる…
引き下がるわけにゃあいかんのよ!
サフィリア・ラズワルド
POWを選択
私達が倒さなければ遊んでくれたあの子達もいつかはこいつに……手は抜けない
ヴァンパイアの元へゆっくり歩きながら槍をペンダントに戻します。今からやることに武器は邪魔になるから
『ヴァンパイアって食物連鎖の頂点にいるんでしょ?じゃあ同じランクの敵と戦ったことはある?』
【白銀竜の解放】を詠唱し四つ足のドラゴンになって飛びかかります。攻撃されても【激痛耐性】で耐えます。飛んで逃げても私は【空中戦】だってできる、【捨て身の一撃】と【鎧砕き】で牙と爪を使ってその体を貫くこともできる、青い炎でお前を焼くこともできる
『私達は獲物じゃないよ、獲物は、狩られるのはお前だ』
アドリブ歓迎です。
ノエル・スカーレット
WIZ:分身を召喚して戦う
やっと親玉のお出ましですか。
どれほどの力かお手並み拝見ですね。
【ファントム・ヴァンパイア】で戦闘用の、自身と同じ強さの6体の分身(姿形・能力は術者と同じ)と6本の大鎌を召喚してヴァンパイアと戦闘する。
4体を敵の攻撃に2体を自身と仲間の警護に当たらせる。
分身はユーベルコードは使えないが身体能力は同じなので、
技能【残像36】、【なぎ払い30】、【空中戦20】、【生命力吸収30】を使用して残像を伴う素早い動きからの大鎌でのなぎ払いでヴァンパイアを切り刻み生命力を奪っていく。
本体のノエルは【インビジブル・リンク】で透明になっている。
アドリブ歓迎です。
星宮・亜希
「あ・な・たが招いて無くても、こっちには用があるの!」
腹立つ吸血鬼は絶対に許さない。何千何万の人々が奴らの牙に吸われつくされたか想像もつかない
ましてやあの孤児院の、何も恐れること無く幸せに生きてきた孤児達の絶望を想うと…胸が張り裂けそうです…
「絶対に許さない…覚悟してもらいますよ!」
吸血鬼を滅ぼすべくアッカを構え、する事は…挑発
「でもその前に、その手に持ったボロボロの羊皮紙で小細工してみてくださいよ?…やれるもんなら」
敵が挑発に乗ればユーベルコードの結界魔法とオーラ防御、武器受けで誓約書で防ぎ
「…その穢れた血、清めてやる!」
双星の転移魔法で後ろに回り込み、全身全霊の一突きを吸血鬼目掛けて――!
ガーネット・グレイローズ
ついにご対面か、アラン殿!
数々の命を奪った罪は、地獄で贖ってもらおう!
【妖刀の導き】を使用し、<呪詛>を吸わせて強化した妖刀アカツキと骨の剣ムクロマルで攻撃だ。
<念動力>と<空中戦>で宙に浮き、まずは互角の条件で戦う準備を整えよう。
影の蝙蝠による攻撃は<第六感>を駆使して感知。<なぎ払い>と<武器落とし>の技能を用いて迎撃するぞ。
蝙蝠の数を減らし反撃の糸口を掴んだら、アラン本体を<二回攻撃>と<フェイント>を駆使して武器で攻撃。
他の猟兵との連携も重視し、タイミングを合わせて、同時に仕掛けよう。攻撃がヒットしたら、<呪詛>を叩き込んで追加ダメージを与えるぞ。
「ふん? てめぇがアランって奴かァ? 血の匂いが無性にしてやがるぜ……隠すならもう少しうまい事隠しな!」
血の匂いを嗅いだサイラスが敵を高圧的に罵倒する。
「騒がしい客人だ。客ならば相応の礼があろう。跪き王との謁見に許しを請え」
吸血鬼は座りながらも上から目線で、まるで躾のなってない獣を見る目で猟兵達を見やる。
「やっとボスのお出ましか。コソコソ隠れて部下に守って貰って陰気な野郎だな」
「ほう? 王たる私にわざわざ出向いて下賤の輩の相手をしろと? 招かれざる客がどこまでも図々しいものだ」
口汚く式が罵倒するが、吸血鬼は涼しげな顔で反論する。その様子に式は一層腹を立てた。
「あ・な・たが招いて無くても、こっちには用があるの!」
絶対に許さないと同じように腹を立てた亜希が敵の前に立つ。
(「何千何万の人々が奴らの牙に吸われつくされたか想像もつかない。ましてやあの孤児院の、何も恐れること無く幸せに生きてきた孤児達の絶望を想うと……胸が張り裂けそうです……」)
子供達がここで無残に命を絶たれたのかと思うと胸が痛む。
「絶対に許さない……覚悟してもらいますよ!」
亜希は聖槍を構えて切っ先を敵に向ける。
「でもその前に、その手に持ったボロボロの羊皮紙で小細工してみてくださいよ? ……やれるもんなら」
「ほう、我ら高貴なる支配者の術を聞きかじっているのか、ならばその身で味わってみるがよい」
亜希の挑発に乗って吸血鬼は一枚の紙を取り出し血で文字を描く。
「汝、動く事を禁ず」
飛んでくる誓約書を、亜希は槍を振るって斬り裂いた。
「ついにご対面か、アラン殿! 数々の命を奪った罪は、地獄で贖ってもらおう!」
報いを受けさせてやると、ガーネットは妖刀を構え地に満ちた邪気を刀身に宿らせる。そして一足で踏み込むと刃を振り下ろす。それは椅子の上で身を捻った敵の左腕を斬り落とした。
「やってくれるではないか。だが私は罪は犯していない。貴様らがそこらの獣を食すのと同じこと、人間など我ら高貴な者の食料に過ぎぬのだ」
吸血鬼の腕が元通りに繋がり、返礼に剣が何本も飛ばされる。それをガーネットは骨の剣も抜いて二刀で後退しながら全て弾き返す。
「別に血を吸うだけならわざわざ孤児から吸わなくてもできるだろ? 反抗できない子供相手にちまちま血を吸ってるってのが気に食わねぇ」
「慈善事業だよ。私は4人の孤児を救う代わりに、1人の生贄を求めた。それを承諾した神父を責めるべきではないかね? それにな、地上での私を信じきっている無垢な顔が、この地下で本性を知って無残に歪む顔が何よりも愉快なのだ。その瞬間に牙を突き立てると、たまらなく血の味が濃くなって至高の美酒となるのだ」
悪を、特に子供を巻き込む事を何より嫌う式の怒りに、吸血鬼は笑みを浮かべて答えた。
「好きなだけ剣飛ばせよ。抵抗すればするだけ手元が狂って死ぬ時痛いぜ」
激高し過ぎて逆に式の声が冷たくなる。自らの手首を切ると血が流れ、それを代償に悪鬼が憑依して身体能力を高めた。そして一瞬にして間合いを詰め尖った赤結晶を胸に突き立てた。
「ほう、自ら血を献上に来たか、ならば受け取ってやろう」
だが吸血鬼は笑みを浮かべたまま式の体に誓約書を張りつけた。
「貴様は私に攻撃してはならない」
強制的に血の誓約が結ばれ、破れば血の流れる罰則が与えられる。
「何度言っても足りないくらい卑劣ですにょ! 非道ですにょ! 絶対、ぜーったい許しませんのよ」
敵の物言いに怒りを覚えながらも、フィリオは油断なく出方を窺い、まずは仲間を守る事を考える。
「……もうガキの犠牲者は出てるって事かよ? んなら……これ以上はさせねぇぜ!!」
怒りにサイラスは槍を掴む手に力を込め、全力で接近しようとする。
「血の不味そうな下郎だ。飲むに値せぬならそこで血を垂れ流して死ね」
何本もの抜き身の剣が宙に浮き、矢のように放たれる。一斉に刃が体中の急所を狙い殺到した。
「どんな攻撃もフィオが守りますのよ!」
その前に身を晒したフィリオが刀身にルーンを輝かせて風を纏わせ、飛んでくる剣に斬撃を飛ばして迎撃する。
「血を垂れ流すのはてめぇだ!」
剣の矢雨に出来た道を進んでサイラスが槍を突き入れると、敵は立ち上がりながらすっと身を翻して躱す。槍は誰も居なくなった玉座を粉砕した。
「愚か者め、その愚行を悔いよ」
吸血鬼の元から剣が射出され、至近距離でサイラスは食らい防ぐ腕や太腿に突き刺さる。
「……その穢れた血、清めてやる!」
その間に背後を取った亜希が体当たりするくらいの勢いで踏み込み槍を突き出す。敵が振り向くところに穂先が脇腹を抉り深く突き刺さった。
「ククッ……その穢れた血とやらは、上に住まう贄から得たものだがなぁ」
ニタリと嗤い、吸血鬼は剣を亜希の上から降り注がせた。それをノエルと同じ姿をした者が大鎌を振るって防ぐ。
「やっと親玉のお出ましですか。どれほどの力かお手並み拝見ですね」
ノエルは6体の分身を生み出しそれぞれが大鎌を召喚して敵を囲んでいた。
「増えたか、これならば血をいくらでも飲めそうだな。味が薄くなってなければだが」
吸血鬼はハリネズミのように剣を生み出して周囲に放つ。それを2体のノエルが防ぎ、4体が大鎌を振りかぶって襲い掛かる。その姿は残像を残しさらに数を増やしたように視覚を惑わせる。
「む、何体居るのだ?」
吸血鬼は高々と跳躍して一旦包囲を抜けようとしたが、ノエルの分身達も地を蹴って跳び上がり大鎌で斬り上げた。
「ちっ」
舌打ちした吸血鬼は翼を動かして加速し、手足に浅手を負うだけで逃れた。
「今のうちに隠れておきましょう」
注意が逸れている間にノエルは姿を隠す。
「私達が倒さなければ遊んでくれたあの子達もいつかはこいつに……手は抜けない」
真剣な表情でサフィリアはゆっくり敵に向かって歩き出しながら、槍をペンダントに戻す。
「ヴァンパイアって食物連鎖の頂点にいるんでしょ? じゃあ同じランクの敵と戦ったことはある?」
挑発的にサフィリアが敵と視線を合わせ、詠唱を始めるとその身が四つ足の白銀の竜へと変貌する。
「ほほう、ドラゴンか。確かに戦うのは初めてだ。ならば貴様を殺してドラゴンスレイヤーの称号でも得るとしようか」
怖れる事無く吸血鬼が無数の剣を浮かべ射出する。それをサフィリアは爪で弾き牙で噛み砕く。そして接近すると敵が翼を広げて飛び上がり間合いを開けようとする。
「私達は獲物じゃないよ、獲物は、狩られるのはお前だ」
飛翔したサフィリアが追いかけ、爪で敵の体を引き裂いた。
「いいや、狩られるのは貴様の方だ」
吹き飛ばされながら吸血鬼はサフィリアの周囲に無数の剣を浮ばせる。それがくるりと回転してサフィリアに切っ先を向けて射出し、全身に突き刺さる。
「ドラゴンの鱗に守られたこの身体に、こんな鈍らでは致命傷を与えられない」
体を揺すって刺さった剣を押し戻し、サフィリアは顎を開いて青い炎を吐き出す。吸血鬼は腕で顔を守り、炎に巻かれながら地面を転がった。
「この私の貌を焼くとは……許さんぞ」
吸血鬼の顔が焼け、溶けたように皮膚が崩れその下から悪魔じみた凶相が浮かぶ。
「動く事を禁ず! 動けぬ体を串刺しにしてくれる!」
「そんな理不尽な誓約書はフィオが燃やしてあげますにょ!」
吸血鬼が誓約書を放つところへ、剣に炎を纏わせたフィリオは刃を振り下ろし、放つ火炎の渦で誓約書を燃やし尽くした。
●塵は塵に
「おのれ! 下等な劣等種どもがヴァンパイアである私をここまで傷つけるとは、許さんぞ! 貴様らの血で贖え!」
吸血鬼は翼を広げて高い天井近くまで舞い上がる。そして宙に刃を下にした剣を浮かべ、一斉に降り注がせる。
「この身に流れる血、一滴たりとも渡すつもりはないよ!」
亜希は槍を頭上で回転させて剣の雨を弾き飛ばす。
「表の態度と同じで、その顔も作り物だったみたいね」
サフィリアは青い炎を吐き出し剣を溶かす。
「炎を吐くことを禁ず!」
そこへ吸血鬼が誓約書を貼ってルールを設ける。すると炎を放つサフィリアの全身に痛みが走り、炎の勢いが弱まった。
「死ね!」
その隙に吸血鬼は新たな刃を浮かべ飛ばす。それをノエルの分身とフィリオが弾いて防いだ。
「あの翼を飛べるものなんですにょ? 空中をうろちょろされたら厄介ですの」
壁を駆けあがったフィリオは跳躍し、空中で槍を構えて突進し敵の翼を貫いた。
「ドラゴニックエンド……叩き落とすんですのよ、雪ちゃん!」
槍が白いドラゴンとなり放つブレスが穴の空いた翼を吹き飛ばした。
「飛べなくなればこっちのものですにょ」
フィリオが槍を胴に突き入れると、その体が無数の蝙蝠となって消える。
「にょにょ!?」
「獣臭い女だが、贅沢は言うまい。この傷を癒す為に血を貰ってやろう」
蝙蝠を目晦ましにして吸血鬼が、驚くフィリオの背後に回っていた。
「蝙蝠か、墓場に籠るような御仁にはお似合いだな!」
無数の蝙蝠が飛び回る中にガーネットが飛び込み、二刀を振り回して蝙蝠を斬り落とす。
「そんなにこの場が気に入ってるなら、ここに埋めてやるとしようか」
そして蝙蝠を突破すると踏み込み刃を走らせ敵の胸を裂いた。そしてもう一太刀を振り下ろし顔から胸へと斬り裂く。
「この地は私への贄と逆らう愚か者達の墓場だ。つまり貴様らが葬り去られる場所ということだ」
吸血鬼は傷を塞ぎながら後退し剣を浮かべ防衛圏を作る。
「は……てめぇ……やるじゃねぇか。だが今回オレ達の後ろにゃあガキも待ってる……引き下がるわけにゃあいかんのよ! 」
腕や脚に刺さった剣を抜いたサイラスは、血を流しながらも痛みを無視して突っ込む。
「獣か……私に近づくことを禁ず」
吸血鬼が誓約書をサイラスに貼りつけ、強制ルールが課せられる。
「近づかなきゃてめぇをぶっ倒せねえだろうがァ!」
「何だと!?」
吠えたサイラスは誓約破りで食らう激痛も無視して間合いを詰め、驚愕しながらも躱そうとする吸血鬼の胴を槍で貫き、槍を薙いで吹き飛ばして壁へと叩きつけた。
「危なかったですの! 助かったですのよ!」
感謝の言葉をかけながらフィリオは槍を突いて敵の脚を抉った。
「相手が個で強いのなら、こちらは数の力で押し切ります」
ノエルの分身が次々と大鎌を振るって攻撃を仕掛け、絶え間なく敵を傷つけていく。
「鬱陶しい虫だ。纏めて排除してやろう」
無数の剣が生み出され放たれる。それが4体のノエルの分身を貫くが、傷つきながも分身達は吸血鬼に攻撃を続け、その与えた傷口から生命力を奪い取って自らの傷を癒す。
「消し飛べ下郎!」
ならばと吸血鬼が数え切れぬ剣を浮かべ雨のように降らす。それを防ごうとしたノエルの分身達が傷つき消えていく。
「分身をいくら倒しても無駄ですよ」
本体のノエルが背後から大鎌を振り抜き、吸血鬼の背中を切り裂いた。
「ならば貴様を殺す! 血をぶちまけろ!」
吸血鬼が振り向きざまにノエルの全身を剣で串刺しにした。だがそのノエルは幻のように消え去る。
「それも分身です」
敵が振り向く前に入れ替わっていた本物のノエルは間合いを開け、新たに生み出した分身達が斬りつけていく。
「全て串刺しにすれば同じこと!」
吸血鬼は牙を剥き出しにして剣の雨を降らす。
「させるかよ」
式が棒手裏剣を投げて飛び交う剣を弾き、間合いを詰める。
「フッ誓約を交わした身で私を傷つければ、その身もまた傷つくぞ?」
「誓約なんぞ知ったことか。この身が果てるより先にお前を倒す」
誓約を破り式は結晶を胸に突き刺した。
「血が吸いたいんだろ? 吸いたきゃ吸えよ俺の赤水晶からな」
胸を抉り傷を深めながら式は己が赤水晶の体を見せる。
「その身に流れる命を全て吸い上げてやろう!」
大きく口を開け獣のような形相で牙を突き立てようとする。
「これ以上、誰の血も吸わせません。この一撃で穢れた魂を貫く!」
そこへ亜希は槍を投げつけ、敵の体を横から貫き引き剥がした。そこへ駆け寄り黒の魔剣を抜いて斬りつける。
「贄どもが! 大人しく血を吸われていればいいものを!」
憎々しげに吸血鬼は剣を浮かべてその一撃を防ぎ、命からがら後方へ逃れる。
「さあ、ここからはこちらの手番だ! 覚悟してもらおう!」
ガーネットは剣を弾きながら近づき、左の刀で胴を薙ぎ、右の刀で首を掻き切った。
「がはっ莫迦な、この私が、こんなもので死ぬるものか!」
血を吐きながら吸血鬼はよろめき、逃れようとする。
「他人の命を奪った時に想像するべきだったな、己の命も奪われる時のことを!」
その背中にガーネットは刀で斬り裂く。
「子供を襲うような悪党には、正義の鉄槌を下すですの!」
突っ込んだフィリオが敵を串刺しにして壁に貼り付ける。
「いいのか私を殺しても! 私を殺せば孤児院を保護する者は居なくなるのだぞ!」
「てめぇなんぞに人生を好き勝手されるより、まっさらな未来を選ぶだろうぜ!」
サイラスはスベテを込めて槍を胸に突き立てる。
「待て! 私はこの地の支配者なのだぞ、私が、私がぁ!」
槍を引き抜こうと吸血鬼は柄を掴み力を入れる。
「今まで子供達に慈悲を与えたことはないでしょ? ならお前に与える慈悲もない」
サフィリアは剣を弾き飛ばし、爪を振り下ろして敵の体をバラバラにして、ブレスで消し飛ばし塵まで消滅させた。
●未来への道
「ガキの犠牲で成り立つ平和なんぞクソくらえだぜ」
そんなものは平和でもなんでもないとサイラスは吐き捨てる。
「絶望と共に果てた孤児達の魂が救済されるといいですね」
祈るように目を閉じていた亜希は、いつもの笑みを浮かべて振り向いた。
「これでもう子供が生贄にされることはなくなったが……」
今後この場で孤児院を維持するのは難しいだろうと式は考える。
「親玉は倒しましたが、これで平和になるのでしょうか」
「孤児院はこの後どうなってしまうですの?」
ノエルは孤児達が今後どうなるのかを考え不安になり、フィリオも心配そうに体をふらふらさせていた。
「あの子達の未来がどうなるかはわからない。でもそれが本当の未来だよね」
未来は誰にもわらないとサフィリアが言い、ならば明るい未来を信じようと笑顔をみせる。
「なぁに、生きてりゃ何とかなるもんだ」
軽い口調だが、長く生きるガーネットが言うと言葉に重みがあった。
孤児院は庇護者を失いこれから困難な運営を強いられるだろう。だがそれは長年罪を背負ってきた老いた神父が考えなければならないこと。神に祈る前に己が力でやれるべき事をやらねばならないのだ。
何もかもを与える事は出来ない。猟兵に出来るのは道を塞ぐ障害物を取り除く事だけ、その道を進むのはその世界に住まう人々が自らの力で行わなくてはならない。猟兵達は人々の強さを信じ、この世界を後にした。
大成功
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