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吼噦が誘うお祭り屋敷

#サムライエンパイア


●おいでおいで
 こんこんちき こんちきちん。

 山林に囲まれた街道を進む旅人の耳に、祭り囃子が聞こえた。
 空耳かと辺りを見回すと、それは横に逸れた道の先からしている。
 ふらりと、誘われるように脇道へ入っていけば、見えてくるのは大きな屋敷。

 はて。なぜこのような場所に、屋敷なぞ。
 訝るのもつかの間、またあの祭り囃子が聞こえてくる。

 笛や太鼓が賑やかに。
 踊れ歌えと浮かれ調子で。
 こんこんちき こんちきちん。

 ああ、もうたまらない。
 童心に返ったような愉快な気持ちが沸き起こってくる。
 祭りだ祭りだ。ちょいと俺も混ぜとくれ。
 門をくぐり屋敷へ入った旅人の背後で、扉がピシャリと閉まる。
 けれども旅人は気にも止めぬ様子で屋敷の奥へ奥へ。
 音の鳴る方へと消えていく。

 こんこんちきちん こーんこん。

●グリモアベース
 オブリビオンが潜伏している屋敷を見つけたと、クック・ルウ(水音・f04137)は自身が見た予知を語った。
「場所はサムライエンパイア、敵は次々と人を化かしては屋敷へ誘い込む狐だ。このまま放っておけば犠牲者が増え続けるだろう」

 屋敷の中は奇怪に入り組んだ絡繰りじかけの迷宮。
 壁を叩けば隠し扉が開き、窓から飛び出せば部屋の中へ逆戻り、というように。
 迷い込んだ人を逃さぬ仕掛けが施されている。
 しかし、敵を倒すためには、屋敷の中へ入るしかない。

「危険な仕事となる。しかも相手は狡猾な化け狐とみえ、簡単には姿を現さないようだ」

 ただ屋敷の中へ討ち入り、敵を倒すだけとはいかない。
 相手の警戒をとき、隠れ場所から誘い出す必要がある。

「そこで皆には、相手を油断させるため、化かされた振りをしてほしい」

 音のする屋敷の奥へと進み、逃げる素振りを見せないように振る舞えば、狐も影に隠れた尻尾を出すだろう。

 厄介な仕事かもしれぬが――どうか力を貸してほしい。
 言葉と共に一礼をして。クックはグリモアを翳した。

「残念だが消えた人々が無事かどうかは解らない……ただ、屋敷の中に白い着物を着た童子達が居るが、それは人に害を与えるものではないようだ」

 言葉が終わると共に周りの景色が変わり、大きな屋敷が見えてくる。
 こんこん ちき こん ちき。
 現地へ向かう猟兵の耳が、祭り囃子を拾うだろう。


鍵森
 ご覧頂き有難うございます。鍵森と申します。
 今回はサムライエンパイアへのご案内となります。

 第1章。
 絡繰屋敷の探索となります。
 予知に登場した旅人は此処では見つからないようです。
 白い着物の童子達は怖がりなので、話をするのは難しいでしょう。

 第2章。
 祭り囃子の正体が明らかになります。
 楽しんでいるふりをしていれば、狐が出てくるようです。

 第3章。
 姿を現したオブリビオンとのボス戦となります。
 可愛い外見とは裏腹に中々恐ろしい相手のようです。

 今回、場合によってはホラーめいた描写や後味の悪い部分があるかも知れません。ご留意下さい。
 それでは、皆様のご参加を心よりお待ちしています。
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第1章 冒険 『絡繰屋敷の謎』

POW   :    怪しい壁を手当たり次第に叩く

SPD   :    逃げる白装束の子どもを追う

WIZ   :    前に屋敷に踏み入った捜索者のメモを見つける

👑11
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大崎・玉恵
かつては大妖狐と名を馳せ、今や社の神と祀られたわしじゃ。どこぞの馬の骨とも知れぬ狐に騙されるのは癪じゃが……化かす者でもある故、演技は得意じゃ。一泡吹かせてやろうかのう。

「これは……一体……?」
【変化】で耳と尾を隠し、年端もいかぬ女子を演じ誘われる。

中に入ったら、標的は童じゃ。恐らくは、先に誘われた者が何らかの呪術で変生したものではなかろうかと推測するが……。
術者に気取られぬよう、密やかに。【傾国の魔眼】も利用して【誘惑】する。
「ねえ、貴方達。何者?どこから来たの?ここはどこ?わたしに……教えて?」



 屋敷の中はデタラメな造りをしていた。
 道順を覚えたり、後戻りができないようになっているのだろう。

 同じような座敷が幾つも続いたかと思えば、廊下や板の間が現れたり。
曲道を巡らされ、いつのまにか方向がわからなくなってしまうようになっている。
 人気もなくとても住居として使われているようには思えないが、手入れや掃除がされている形跡はあるようだった。

 広い座敷を進み、次の間へ向かった少女の前に現れたのは長い廊下だった。
 向こうへ行くほど暗く、よく見ようとしても先に何があるのかも解らない。
「この廊下、なんだか不気味だわ……」
 少し引き返そう。呟いて、後ろを振り返る。ところが先程まで居た座敷が無い。消え失せて、廊下が伸びている。
「これは……一体……?」
 前も後ろも長い廊下が続くのみ。
 奇妙な屋敷迷い込んだ少女は、不安に顔を曇らせた。

 立ちすくみ、取り残されたような心細さに首を振る。
 にぎやかに導くような祭り囃子の音までも、遠ざかっていくようだ。

 不意に走り回るような軽い足音がして、少女は思わず息を呑んだ。
「そこにいるのは誰?」

 廊下の向こうから子供の笑う声がした。
 くすくすくす。あはは。わあ。
 小さく笑う声は、一人のものではない。少女の様子を見て、面白がっているような、子供の笑い声は増えていく。

「待って」
 子供達が遠ざかるような気配に、少女はすぐにあとを追いかけた。
 真っ直ぐに廊下を突き進み、突き当りにある板戸を開く。部屋の中は納戸のようだった。箪笥や行李をしまった棚などがある。
 きゃあ! うふふ!
 さっと動いた影が、物陰に消えた。まるでかくれんぼだ。子供達は遊んでいるのだろう。

 少女は中に入ると板戸を閉じ、自らと子供達だけの空間をつくりだした。
 先程まで不安がっていた少女の気配が変る。それは、傍目には分かり難い変化だったけれど、その瞳を見た者だけは彼女が本当は『何も怖がっていない』ことが解っただろう。

 少女――大崎・玉恵(白面金毛・艶美空狐・f18343)の赤茶色をした瞳が煌めいた。
 見つめた相手を魅了する、傾国の魔眼。
 可憐な少女の姿の下に隠されたその力を、密やかに、屋敷の主に悟られぬよう、用いて。
「ねえ、貴方達」
 甘く包み込むような声で、話しかける。忍ばされたわらわのものになれと誘う、声ならぬ声と視線が合わされば途端に部屋の中の空気が一変した。
 蠱惑を宿した瞳が、一人の童子を捉える。
 さあ、こちらへおいで。笑みを浮かべてゆるりと促せば、玉恵は箪笥の裏から吸い寄せられるように子供が出てきた。
 玉恵は床に膝をつくと目線を合わせ、顔を覗き込む。
「貴方達は何者? どこから来たの? ここはどこ?」
 ゆっくりとした口調で、質問を重ねれば、抗うように童子の肩が跳ねた。しかし、その目はもう玉恵から離せないでいる。
「わたしに……教えて?」
 躊躇いながらも、口が開く。
 しかし。
「だめ」
 問われるままになにか言いかけた子の口を、別の子供が手で塞ぎ止めていた。
 顔はひどく青ざめ、その手が、震えている。
 玉恵はそのただならぬ様子を見て、柳眉をひそめた。
「……だめ。みこさまに、しかられる」
 そう言って、子供がしきりに首を横に振るう。
 今にも泣き出しそうな顔を見て、玉恵は問うことをやめて口を閉じた。
「わかったわ、怖がらせてごめんね……」
 そのまま瞼を伏せて、術から子供を開放すれば。
 次に瞳を開いた時、そこにはもう誰も居なくなっていた。

 ――随分、脅されているようじゃのう。
 声にはせず、胸の内で呟く声には僅かに鋭さが混じる。
 かつては大妖狐と名を馳せ、今や社の神と祀られた玉恵ならば、その力を使えば子供達から何もかもを聞き出すことは容易いことだっただろう。
 しかし玉恵はあの子供達が先に誘われた者が、何らかの呪術で変生したものではないだろうかと推測していた。
 自分が問いただすことで、子供たちが罰せられるならば、あれ以上無理強いはできない。

 けれど目を合わせたからこそ伝わってきたものがある。あの目は心の底まで恐れに支配され、そして……助けを求めていた。
 玉恵は言葉以上の情報を得たと言える。

 巫女さま、と呼ばれる者。
 それがなんであれ、捨ててはおけぬ。
 敵を討つために化けくらべを続ける必要があるならば、それも厭わない。

 ――どこぞの馬の骨とも知れぬ狐に騙されるのは癪じゃが……化かす者でもある故、演技は得意じゃ。

 狐の耳も尾も隠し、心の内をも悟らせぬ。
 少女は静かに立ち上がり、祭り囃子の音を頼りに次の間へと足を踏み入れた。

 ――一泡吹かせてやろうかのう。

 くっく。大妖狐がひっそりと嗤ってみせた。

成功 🔵​🔵​🔴​

マクベス・メインクーン
からくり屋敷か、面白そうじゃんっ
化かされた振りしてこっちも化かしてやろうぜ♪

屋敷からの楽しそうな音楽に惹かれたように屋敷に入るぜ
入った後は危ない罠には気を付けながら
【演技】で驚いた振りをしつつ
【聞き耳】で音のする方を探るぜ
【情報収集】で前に入った人の手がかりなんかも探しながら進む

どうなってんだこの屋敷は?
けど楽しそうな音は気になるんだよなぁ
こっちに行けばいいのか?
と、探してる感じを装うぜ~
まぁ実際探すんだけどな、倒すために

しかしさっきか見える白い着物の子供はなんなんだろうな…
オブリビオンに関係してんのか…?

アドリブ・共闘歓迎


杼糸・絡新婦
SPDで行動
屋敷を探索しながら『情報収集』
前に来たであろう人たちの痕跡がないか探す。
白い子供を見つけたら『パフォーマンス』で
カラクリ人形・サイギョウを祭り囃子に合わせて
踊らせて興味引けないか試してみる。
さてはて、祭ばやしが聞こえる言うのに、
あの子達は楽しそうなんかねえ?
逃げるなら屋敷の絡繰りに注意しながら『追跡』
踊る阿呆に見る阿呆てか、楽しまな損、損。

アドリブOK



 こんこんちきちき こんちきちん。

 祭り囃子の誘いに、面白そうだと乗り出したのはマクベス・メインクーン(ツッコミを宿命づけられた少年・f15930)。
 太鼓や笛の音に、帽子の下に隠した猫の耳もぴょこりと揺れる。
「からくり屋敷か、色々仕掛けがあって面白いじゃんっ」
 絡繰り屋敷の仕掛けすら、楽しんでいるかの様子で。
 回る壁や、隠し扉、そんな仕掛けを次々と見つけ出しては乗り越えていく。
「ははっ、今度は落とし穴か」
 床が開いて落とし穴が現れれば、竜の翼を広げ軽い身のこなしで飛び越えた。

 それにしても、祭り囃子の音の元はまだ見えてこない。
「どうなってんだこの屋敷は?」
 この楽しげな音はどこかと探すようにあちこち見てみれば、こちらだと合図するように、音が強くなる。
「こっちの方から、聞こえるよなぁ」
 そんなに来てほしいなら、行ってやる。マクベスは廊下を進み、部屋の前へと行き着いた。眼前に明り障子がずらりと並ぶ。

 桟に貼られた紙越しに影が浮かび上がる。
 小柄な何かが祭り囃子に合わせて、舞い踊っているのだ。
 影の形は狐、に見えた。

「入っておいで、用心することあらへんよ」
 中から掛けられた声に瞳を瞬かせて、マクベスは障子戸を開いた。

 部屋は八畳の座敷となっていた、壁や床の間もなく、四方を障子戸が囲んでいる。
 座敷の中央に男がいる。その手から伸びる細い糸が、からくり人形を踊らせていた。影は、その人形のものだったようだ。
 どうやら男も猟兵だと悟り、座敷に入り障子を閉めながら、マクベスは踊る人形を見て尋ねた。

「こんなところで、何してるんだ?」
「子供を見つけたんやけど、近づいて来えへんものやから」

 マクベスの問いに杼糸・絡新婦(繰るモノ・f01494)が、やさしく微笑する。
 狩衣を着た狐人の人形――サイジョウも挨拶するように頭を下げた。

「興味が引かれへんか、試してみてるんやけどねえ」
 子供が楽しむような振り付けをと糸を繰れば、踊るサイジョウは片足で飛び跳ねて、おどけた動きをしてみせた。

 きゃあきゃあ。きゃっきゃ。

 はしゃぐような子供の笑い声がする。見れば障子の向こうに小さな影が集まっていた。
 彼らが観客なのだろう。並ぶ影は障子の向こうから座敷の中を興味津々の様子で覗き込んではいるけれど、座敷に入ってこようとはしない。

 屋敷の中で先に迷い込んだ者たちの痕跡を探していた絡新婦の前に、子供達は現れた。
 最初は一人か二人が、恐恐と遠巻きに眺めているばかりだったが、人数がいつの間にか増え、絡新婦の後をついてくるようになった。
 その様子を、不気味に思うよりも。
 絡新婦は子供達が楽しそうにしているのかが、気に掛かった。
 人を浮かれ惑わす祭り、けれどそれが子供達を楽しませる為のものではないのならば。

「オレも向こうで見かけたけどさ、あの白い着物の子供はなんなんだろうな……オブリビオンに関係してんのか……?」
「さあ、どうやろか」
 少なくとも今はまだこちらに危害は加えてこないようだが、子供達の正体は不明だ。
 首をかしげるマクベスと、子供の反応を伺っていた絡新婦は、妙な動きに気がついた。
 トン、トン、と床を踏む音がする。
 子供の影が跳ねたり回ったり、たどたどしくもサイジョウの動きを真似ているのだ。
「あれって踊りの真似だよな?」
「ふ、ふ、なかなか上手やないの」
 口元を緩めて小さく笑う絡新婦の手は、サイジョウの動きを子供達が合わせやすいようなものへと変える。
「踊る阿呆に見る阿呆てか、楽しまな損、損」
 サイジョウは両手を上げて部屋の中を踊りながら回り歩き出した。
 四方に映る影も踊りながら動き出す。

 こんちきちん こんちきちん。

 祭り囃子に合わせて、子供が歌いだした。
 無邪気だが、どこか悲しげにも聞こえる声で。

 こんこん まつりまつれ おきつねさま。
 おなかがすいたと 鳴いておる。
 こんこん こんこんちき こーんこん。

 それは、子供達からの知らせだったのか。
 短い歌を歌い終えると、影が一斉に駆け出した。
 どこか一箇所を目指して、部屋の前を影が幾つも横切り消えていく。

「追いかけてみよか、お狐さまが待ってはるようや」
 からくり人形を抱えた絡新婦が、子供達の消えた方向へ向かう。
「ああ、はやく祭りに行かねえと」
 祭り囃子に魅せられたように、陽気に笑ったマクベスは悪戯っぽく片目を瞑ってみせた。
 ――さあ、化かされた振りしてこっちも化かしてやろうぜ♪
 小声でささやく、それは敵地へと踏み込む覚悟の印。

 二人が障子を開け放つと、そこには屋敷の中とは別の景色が広がっていた……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

紅狼・ノア
たしか隠し扉があるんだっけ?
んーどうしようかな…
ん?なんか足音がする【第六感】、あっちこっちから…もしかして白い着物の…たしか怖がりだっけ近づいたら逃げるよなぁ

コード【影の獣達】を何体が召喚し白い着物の子を追跡、動物の方が警戒されずに近づけるはずだから任せておこう
その間僕は歌でも歌いながら探索しますか【歌唱】
鍵が掛かってる所があれば【鍵開け】わざわざ鍵をかけるなんで…何かあるな
おっ?獣達の方何とか見つけ近づけたみたいだな
頃合いを見てそっちに行ってみますか怖がらせないようにしないと…あっそういえばポケットにお菓子が入ってるんだ

獣達とお菓子の連係で話を聞く



 隠されたものを探して、獣達が嗅ぎ回る。

 紅狼・ノア(捨て子だった人狼・f18562)は、絡繰屋敷の中を探索しながら進んでいた。
 奥に敵がいるならば、手がかりは一つでも多い方が有利だろうと、その目は油断なく辺りを探る。

 不意に、狼の耳が複数の足音を聞きつける。
「ん? なんか足音がする。あっちこっちから……もしかして例の子供か」
 壁の向こうや扉の影に、気配がしていた。
 ほどなくして、子供の笑い声がする。
「……たしか怖がりなんだっけ、近づいたら逃げるよなぁ」
 話が通じる相手なのならば、話をしてみたいところだったが、しばらく様子を見ていても子供達が近づいてくる気配はない。

 それならばと、ノアは歌を歌ってみることにした。
 明るくて陽気な歌を口ずさみながら、屋敷の中を歩き回る。

 観察して、ノアは子供達に敵対心がない事を確かめると、声もなく指示を送った。
 影色の獣が、暗がりから動き出した。それは、ノアが召喚した影の獣達だ。ノアの命を受けて、子供達の後を追う。

「動物の方が警戒されずに近づけるはずだから、任せたよ」
 隠密行動に優れ、俊敏な彼らにひとまず子供達を任せると、ノアは別の部屋へ向かった。先に確認したい、気になるものを見つけたのだ。

「開いた開いた」
 座敷の床の間に見つけた隠し扉、ご丁寧にも錠前の掛かったそれをノアは難なく解錠すると、錠前を外して、硬く閉じていた扉を開く。
 むっと籠もった空気が顔を撫でる、言いようのない嫌な匂いがしていた。
 ノアは顔を顰めながら、部屋の中に潜り込んだ。
「さあて、何を隠しているんだか」
 部屋の中は異様だった。板張りの部屋の中は荒れ果てて、長年放置されていたような有様だ。埃の積もった家具が散乱し、壁や床も壊れている部分が目につく。
 過去にあった陰惨な出来事を物語るかのような様子だが、はっきり何かを掴めるようなものは見当たらない。

 ようやく見つけたのは、古い手紙。
 誰に宛てられたものなのか、荒々しい文字が書き殴られている。
『もはやここを出る術はなし ああ悔しや 女狐め 死して尚消えぬこの怨みすら 利用しようというのか 怨め怨めと笑うあの声がする』
 筆者は狂気に取り憑かれでもしたのか、文面に惨たらしさが滲み出している。
 ノアは眇た目でそれを読み、ふっと息を吐いた。
 犠牲者の遺書、といったところか――いや、この書き方では。
「死人が書いたような文章だよなぁ」
 つまりこの場所は、牢獄という訳だ。あの鍵は中から開かぬようにするためのもの。


「……おっ? 獣達の方、何とか上手くいったみたいだな」
 ノアが隠し部屋を出てくると、共有する五感から獣達からの情報が伝わってくる。こわごわと小さな手が頭を撫でる感触や、獣へ手招きをしている様子が見える。
 こちらへ来られないか、と伝えればややあって。
 犬や、猫、鼠まで、様々な獣たちに連れられて白い着物の子供達がノアのところへ姿を見せた。

「ねえ、ちょっと話がしたいんだけど……」
 脅かさないように、ノアはそっと近づいていく。
 獣が傍にいるのが心強いのか、子供達は逃げはしないが警戒はしているようだった。
 犬の背に隠れたり猫に抱きついたりしている様子に、警戒心の強い動物に対するような仕草でゆっくりと瞬きをして。
「あっ、そういえばポケットにお菓子が入ってるんだ。食べる?」
 向こうから近寄ってくるだろうかと、菓子を差し出したが、子供達の首は横に振られる。
 そっか、と軽く笑いながらノアは首を傾げてみせた。
「じゃあ、何かほしいものとかある? 僕に教えてよ」

 沈黙と、逡巡するような間。
 何か言いたげな気配を察してノアは、口を閉じてじっと待った。

「そとにでたい」

 絞り出すような、小さな声がした。
 けれど、人狼たるノアには届く。脳裏には隠し部屋の光景が過った。
「わかった」
 答えて、ノアは頷いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『祭りに影』

POW   :    屋台を愉しみながら周囲を警戒する

SPD   :    祭りの催しを愉しみながら周囲を警戒する

WIZ   :    人と話したり、物思いにふけながら周囲を警戒する

👑11
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 祭り囃子を目掛けて絡繰屋敷の奥へと進み。
 猟兵達がたどり着いた先に現れたのは、まさしく祭りの光景だった。

 気がつけば屋敷が消えて、あたりは赤提灯の灯る夜。

 広い参道の両脇にはずらり屋台が並び。
 狐の面をつけた店主たちが、風車やお面売り、金魚釣りといったものから。
 団子や焼き魚、いなり寿司などを用意して待っている。

 祭りを楽しんでいるのは、先に迷い込んだ人々なのだろう。
 彼らは夢現の表情で熱気に包まれた賑やかな喧騒を作り出していた。

 参道の先には、本殿は見えず。
 代わりに巨大な山車が鎮座し、祭り囃子を鳴らしている。
 綺羅びやかな山車に白い着物の童子が乗り込んで、太鼓や笛を奏でているのだ。

 嬉しや 嬉しや 人が来た。
 こんこん こんこん。
 こーんこん。
紅狼・ノア
祭り?それにこの人達は…
屋台の物は食べられるのかな?幻じゃないよね

念のため【第六感・野生の勘】を働かせ怪しい動きとかあったようにコード【影の獣達】を発動、小鳥・鼠・猫一匹つづ出し肩や頭に乗せて共に歩く

さで「化かし合い」と行きますか【演技】
屋台巡り・団子に焼き魚・リンゴ飴とチョコバナナもある!(ジュルリ)
よし、食べ物屋は全部回ろう!そのあとに射的とお面屋に寄ろうかな(お面屋で黒い狐の面があったら買う)

少しの変化も見逃さない、怪しい人物や怪しげな物があれば【影の獣達】に追跡をしてもらう(役にたつ情報だといいけど)

*白い子供も一緒に来れるなら共に屋台巡りしたいな、その時獣たちの数が増える



「ほら、一緒においでよ」
 紅狼・ノア(捨て子だった人狼・f18562)は、白い着物の子供達と共に屋台を見て回っていた。

 年かさが近いこともあってか、ノアの姿は子供の中に溶け込んでいる。
 召喚された獣の数も増やして、肩や頭の上には影色の鳥や鼠、猫の姿もあった。
 そうした姿がまた、子供達の警戒心を薄れさせたのだろう。
 気がつけば、ノア達はぞろぞろとした一団になっていた。

「屋台の物は食べられるのかな? 幻じゃないよね」
 並んだ屋台を怪しむ目で見ながらも、漂ってくるおいしそうな匂いには、涎が口にあふれてくる。
「まあ後で確かめればいいよね。団子と焼き魚と、リンゴ飴とチョコバナナ! くださーい!」
 目についた食べ物を片っ端から買い求めれば、両手には持てぬほどの量になる。
 それを子供達に手渡してやりながら、また次の屋台へ。

「おっ、黒い狐のお面だ。似合う?」
 いろいろ見て回る内に見つけたお面売りの屋台で気に入った面を頭に被せ、子供達の方を見てみると屋台で買った食べ物を手に持ったまま、食べている様子がない。
 念入りに確かめたが、食べ物は安全なものであったし、子供達には食べても良いと言っている。
 菓子を渡そうとした時も断られたが、なにか理由があるのかとノアは首をかしげた。

「どうした。食べたくないの?」
「……だって、しかられちゃうから」
 誰が。と聞くまでもない。
 子供の言葉にノアは一瞬、それを強いているオブリビオンへの苦い感情が胸に浮かぶ。
 けれど、それを表には出さずに優しく声を掛けた。
「大丈夫、叱られそうになったら僕達が守ってあげるからさ」
 ノアが励ますように明るい笑顔を浮かべた。
 影の獣達も子供に体をすり寄せたり、優しく鳴き声を上げて安心させている。

 力強く頼もしいノアと獣達の存在が、子供達の心を動かした。

 子供達が決心したように次々と、手に持った食べ物にかぶりつく。
 まるで久しぶりに食事をするように頬いっぱいに詰め込んで、瞳を輝かせている。
「……おいしい!」
「良かった、もっと食べなよ。沢山あるから……足りなくなったら屋台の食べ物ぜんぶ買ってさ! そのあとは射的も他の遊びもいっぱいやろう!」

 ノアの誘いに、子供達はわあっと歓声を上げた。

 子供達を誘ったのは祭りを楽しむ為だ。
 だって子供同士で遊ぼうとすることの、どこに可笑しな事があるだろう?

 けれどもそれは化かされた振り。
 眠たげな瞳は少しの変化も見逃さず、大きな耳は異変を聞き逃さない。
 祭りを楽しみながらも、ノアはすべての感覚を研ぎ澄ませている。
 自分達にも子供達にも手出しはさせぬと言うように。

 子供達に囲まれて遊ぶその姿は、笑顔にあふれていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大崎・玉恵
(WIZ)
「巫女様」とやらは未だ動かぬようじゃ。ここは待ちの一手じゃのう。

【変装】は解かず。まだ、少女としての【演技】は継続する。【野生の勘】で危険な物、親玉の気配は常に探そうかのう。

ひとまず、売り物は概ね安全なようじゃ。玉蜀黍でも焼けておれば求めようかのう。

それを頬張りながら……できるだけ全体を、難しければ本殿……はないのかのう?山車がその代わりならば、それだけでも見渡せる位置に。

発端こそ事件。参加者は全て化かされているはずの者達。じゃが……尾沙木に氏子がおった頃を思い出すのう。わしの社にも、こうして祭が行われた時があったのじゃ。
警戒を忘れることはなくとも、少し懐かしみながらその時を待つ。



 祭りの夜を見渡して、大崎・玉恵(白面金毛・艶美空狐・f18343)は淡い吐息を零した。
 ようやく親玉が現れるかと思ったが、どうやらそれらしき姿はない。
 けれど事が順調に運んでいるのには違いないだろう。

 ――ここは待ちの一手じゃのう。

 依然、何も知らないあどけない少女に扮したまま、祭りの喧騒に身を投じる。
 化かされているのであろう周囲の人間にも、さりげなく気にかけながら。
 雑踏に紛れていると、おいしそうな匂いが鼻腔をくすぐった。

 少女はパッと顔を輝かせて、屋台へ近寄る。
 狐面の店主がその姿に気が付き、黙々とだが会釈をしてみせた。
 店主が焼いているのは、醤油を塗って香ばしく焼き上げた、黄金色のトウモロコシ。

「おいしそうな、玉蜀黍。一本くださいな」
 店主は頷くと、手元にある汁気の詰まっていそうなトウモロコシを選んで、手を汚さぬよう懐紙につつんだそれを差し出した。
「ありがとう。ん、はふ……ふふ、甘くておいしい」
 歩きながら焼きたての熱いトウモロコシを齧り、玉恵は顔をほころばせた。

 ひとまず売り物は安全なようだと、確かめてはいたが。
 しかしここに居るのは、大妖狐が扮する無垢な少女。
 例えばそれが食べた振りであったとしても、誰も見破ることは出来ないだろう。

 気の向くままに進んでいるような足取りで、熱に浮かされたような眼差しで、周辺を確認していく。

 ――参道の先に本殿はないか。するとあの山車が、その代りという訳かの。

 人心地をついた格好で、山車を見渡せる場所に足を止めた。
 派手やかな山車は祭りの景色を見渡せる場所にあるようで、見るともなしに眺めに目を向ければ、行き交うよう人の様子もよくわかる。
 誰もが楽しげに笑っているが、それは化かされているからこそ、なのかもしれない。
 みな夢現の幻がみせる自分だけの祭りを楽しんでいるようだ。
 玉恵の遠くを見るような澄んだ眼差しに、慈愛めいた色が浮かんだ。

 ――わしの社でも、こうして祭が行われた時があったの。

 屋台が並ぶ場所が、参道を模しているからだろうか。
 山の麓に氏子達が集い、賑やかに過ごしていた懐かしい記憶の中の情景が、目の前にある祭りの景色と交差する。

 あの日、見守られながら無邪気にはしゃいでいた者達は、ここにいない。
 けれどもこうして懐かしいものを思い起こすと、胸の中に明かりが灯るような心地がする。
 祭り囃子に誘われた人々は、そうした心につけ入れられたのかもしれない。

 祭りとは。
 一年の息災を祈り、豊穣を喜び、幸せを祝うものだ。
 だからこそ心が騒ぐ、浮かれ踊る。

 ここにあるのは上っ面を真似ただけの、出来の悪い見せかけだ。

 綻びが出るのも時間の問題だろう。
 玉恵は、無垢な少女の奥に研ぎ澄ませた牙を隠しその時を待つ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マクベス・メインクーン
おお~っ、屋敷を抜けたら祭り会場か!
これはついつい楽しんじゃいそうだな
ま、楽しむ【演技】しながら色々【情報収集】に歩いてみるか

ん~、だいたいこういう時は食べ物は食べない方が良さそうだし
せっかくだからお面売りのとこに行って狐面でも買うか
狐面を付けながら、屋台を楽しむフリしながら
同じ狐の面を付けた人に話しかけて世間話する感じで
祭りの事や本殿について聞いてみるかな
後は周囲に【聞き耳】を立ててみる

しっかしこんなに沢山迷い込んだ人がいるのか…
見た感じ皆祭りを楽しんでる感じだが
集めたからにはなんか理由がありそうだな



「おお~っ、屋敷を抜けたら祭り会場か!」
 マクベス・メインクーン(ツッコミを宿命づけられた少年・f15930)は瞳を輝かせて弾むような足取りで祭りの様子を見て回る。
 楽しむ事を心がけ、屋台のある方へ駆けていき。
「ん~、だいたいこういう時は食べ物を食べない方が良さそうだし」
 屋台に並ぶ団子や焼き魚はそれなりに心惹かれはするものの、用心に越したことはないとそれを避け。
 マクベスが立ち寄ったのは、狐の面を売る屋台だった。

「狐の面、一つくれっ!」
 店先に掛けてある狐面は絵付けされていて、それぞれ違う顔をしていた。
 マクベスはその中から、鋭く凛々しい顔をした白の狐面を選んだ。
 細い髭と眉模様、耳の先を金に塗り、瞳は海のような青色をしている。

 狐面を顔に被せると、マクベスは辺りを見回した。

「しっかしこんなに沢山迷い込んだ人がいるのか……」

 祭りを楽しむ人の群れを眺めると、人数が思いの外多いと感じる。
 これだけの人を集めたのだから、何らかの理由があるのだろう。
 すこし、探ってみるか――。

 丁度そこへ、面売の屋台に男がやって来た。

「へえ、あんたの面も格好いいじゃん!」
「ありがとよ、坊主の面も洒落てるじゃねえか」
 マクベスが屈託のない声で話しかけると、男は笑いながら答える。
 この調子なら、会話ができそうだ。
「オレ今さっき来たばかりなんだけどさ、この祭りっていつからやってるんだ?」
「さあてなあ、そんな事考えたこともねえや」
「考えたこともないって? あんた何時からここにいるんだよ」
「いつ……? ちょいとわからねえが、俺が来た時にはもう祭りは始まってたよ」
 マクベスが質問を重ねると、だんだん男の声がぼんやりとした調子になってくる。
 一種の催眠状態のような雰囲気だ。文字通り時を忘れて楽しむように操られているのかもしれない。
 これ以上話を続けても、あまり情報は得られなさそうだ。
 マクベスは最後に一つだけ尋ねることにした。
「本殿がどこにあるか知ってるか? 参道の先に見当たらないから気になってさ」
「知らねえが、ずっと歩いていけば、その内見つかるんじゃねえか」
「そっか、ありがとな」
 脳天気な男の言葉を鵜呑みにしたわけではないが。
 その場を後にしたマクベスは、参道の先に何かないかと歩き出した。
 人混みに紛れて話し声に聞き耳を立ててみても、行き交う人の口からは大した情報は得られそうにない。
 しかし、マクベスの耳は気になる音を拾った。

 足音だ。

「なんだよ、オレに用?」
 背後に迫る相手に話しかけ振り向けば、その人影には見覚えがあった。面売り屋台の店主だ。マクベスの後をつけてきたのだろうか。
「他の者とちがう」
 ぼそりぼそり。呟く声は掠れて途切れるような音だ。
「お前はだまされて、いない」
 そしてその声は店主の体の内側から響いてくるようだった。
 言葉の内容から、店主はこの祭りの正体を知る側の人間だと解る。
 男と話した時に感づかれたのだろうか、マクベスが正気だと敵側の者に感づかれたのであれば厄介ではあるが、しかし妙な事に店主からは敵意を感じない。
「本殿がどこにあるか知ってるか?」
 低くした声でマクベスは尋ねた。
 店主の首がぎこちない不自然に硬い動きで横に揺れる。
「本殿、は、ない」
 奇妙な動きは、まるで絡繰りじかけの人形のようで。
「あれは、隠れてる、もうすぐ、出て来る……終わらせてくれ」

 切なる願いのような言葉を聞きながら、マクベスは面の下で頷いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

杼糸・絡新婦
SPDで行動。
さてさて、屋台にこれだけ食いもんがあるのに、
おなかがすいたと鳴いているおきつねさまはどこやろね。

再度祭り囃子に合わせ『パフォーマンス』で
カラクリ人形のサイギョウを踊らせながら、
山車周辺で祭り見物しつつ、
童子や祭りを楽しむ人の動きを観察してみる。
(道中、風車やいなり寿司等購入しつつ)
本人の気分はともかく、
ずっと祭りに参加しとるわけやないと思うんやけどなあ。
それに、この子ら、祭りに参加しとるというより、
祭りを進行しとるほうやなあ、
おひねり代わりに飴ちゃんぐらい渡してええかいな。



  ――さてさて、屋台にこれだけ食いもんがあるのに、おなかがすいたと鳴いているおきつねさまはどこやろね。

 こんこんちき こんこんちき こんこんちきちん。

 笛と太鼓の音が奏でる陽気な祭り囃子に合わせて。
 狩衣を着た狐人が踊っている。
 その様子はとても楽しげで、見る者をつい笑顔にするような光景だった。

 杼糸・絡新婦(繰るモノ・f01494)はたおやかな笑みを浮かべて、糸を繰る。
 一人と一匹が見せる出し物に見物客が集まってくると、ちょっとした人の輪が出来上がっていた。
 その様子を、絡新婦は涼しげな目元を細めて眺めた。

「ほら、サイギョウ。風車落としたらあかんよ」
 サイギョウが手に握っているのは、屋台で買った風車だ。
 それを器用に振りながら、右へ左へ、跳ねて舞う。
 時に踊るのに夢中で風車を取り落としそうになって慌てたりするので、見物客はサイギョウが人形である事も忘れて歓声を上げた。

 ――今の所、おかしな様子はないなあ。

 人々の笑顔や言動は、多少浮かれすぎているようにも見えたが、それ以上の怪しげな動きはない。
 しばらく様子を観察していたが、一度区切りをつけようと、踊りを終わらせる。
 絡新婦とサイギョウがお辞儀をすると、大きな拍手が送られた。
「どうも、おおきに」

 歩いていく絡新婦の隣を、サイギョウもついていく。
「あれが、この祭り囃子の元やねえ」

 少し気を引き締めながら、祭り囃子を奏でる、山車のそばへと近寄っていく。
 白い着物の童子達が乗っているところを見ると、どうやら彼らは祭りの進行を手伝う側らしい。
 だが、警告めいた歌を残したのもまたこの童子達だ。
「上手な演奏やねえ、お客さんも褒めてはるわ」
 山車は巨大で、絡新婦でも見上げなければならない所に子供達は座っていた。
 下から声を掛けると、何人かが絡新婦の方を向いた。
 ずっと演奏を続けているのか、汗を浮かべている子供もいる。

「おひねりの飴ちゃん、食べへん?」
 絡新婦は袖から包にくるまれた飴玉を取り出してみせる。
 戸惑ったような様子を見せながらも、子供達の視線は飴をじっと見詰めていた。
「遠慮することあらへんよ、ほら、あーんてしてみ?」
 絡新婦の声は優しく、いつも子供にするように自然な仕草で呼びかける。
 童子と絡新婦の間には距離がある。子供は首を傾げ、言われるままおずおずと口を開いた。
 そこへヒョイと山車へ飛び乗ったサイジョウが飴を差し出し、開いた口に入れてやる。
 童子は目を丸くして慌てていたが、それでも口をしっかり閉じ舌の上で飴を転がした。
 ゆっくりと、その顔に笑みが広がっていく。
「あまい……」
 呟きを聞いた童子達が、我も我もとサイギョウへひな鳥のように口を開けてねだるのへ、絡新婦は糸を操る指を閃かせて子供に飴を配るのだった。


「……ふふ、私もちょっと休憩させてもらお」
 飴を舐める童子達の様子を見守るように眺めながら、絡新婦も肩から力を抜いて佇む。
 懐から取り出した稲荷寿司を一口齧り。

「大人も休むんや、疲れたらちょっと休んだらええよ」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『巫女を騙る者・アズサ』

POW   :    私、傀儡回しは得意なんですよ~?
自身が装備する【操り人形】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
SPD   :    その怨み、私の力にしちゃいますね~
全身を【怨霊】で覆い、自身の【食い物にしてきた人間の数】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
WIZ   :    私の活躍、そこで指を咥えて見てると良いですよ♪
戦闘力のない【怨霊】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【怨みと嘆き】によって武器や防具がパワーアップする。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

 しゃん、しゃん、しゃん。
 どこからか、鈴の音が三度鳴った。

 それが合図となって、目の前の景色に変化が現れた。
 化けの皮が剥がれ、絡繰りの中身が見えてくる。

 提灯は赤から青へ、狐火の色へと変わり。
 屋台の店主達の姿は狐面を被った人形へ。
 祭りに参加していた人々が意識を失い参道に倒れ伏す。
 彼らの無事を確かめてみるならば、眠っているだけで、命に別状がないことが解るだろう。

 上機嫌に勝ち誇ったような、女の笑い声が響き渡った。
 いつの間にか山車のてっぺんに銀色の毛並みをした巫女狐が座っている。

「我が屋敷の祭りはお気に召しましたか? でも残念でしたね、あなた達は今からいっぱい苦しめられてから食べられちゃうんです♪」

 ついに姿を現した、オブリビオンはいつものように眠らせた人間を残酷無残に甚振ろうとほくそ笑むが、しかしそこには眠りの術が効かぬ猟兵の姿がある。
 『巫女を騙る者・アズサ』は、きょとんと驚いた顔で、目を丸くした。

「おや、まだ眠っていない人がいるんですね~。術の効き目が悪かった? そういう時は報告しろっていったはずなんですけど」
 アズサはため息を吐くと、山車に乗っている子供の頭を足蹴にした。
 使えぬ道具を叩くようなぞんざいな仕草に、白い着物の子供達は怯えている
「もう、困ったな。簡単な仕事もできない、悪い子がいますね。あーあ。面倒な大人より子供の方が扱いやすいかと思ったけど、役に立たないんだから」
 食べ物を口にし、祭りを楽しんでいた子供達にも聞こえるように声を大きくして。

「サボってる子も、みんなまとめてお仕置きしないとね?」

 屋台の店主に扮していた人形が、ガタガタと音が聞こえるほど震えながら、その頭をアズサの方へ向けた。
 人形の中に押し込められた怨念達が放つ、狐面の下にある怒りと憎しみに駆られた視線を浴びるように感じながら。
 可笑しそうにアズサは嘲笑った。
「くくひひひ、子供が可哀相ですねえ~? せっかくお前達大人の代わりに働いているのにまた叱られちゃうんですよ。……ほらほら怨め嘆け、その心が私を強くするんですよ♪」

 死んでいった者の無念すらも糧にする狐の力は膨れ上がり続ける。
 しかし、猟兵の力ならばこの恐ろしいオブリビオンを討つことができるだろう。

 屋敷に囚われ続ける魂を救う事ができるのは、貴方達だけなのだ。
紅狼・ノア
やっと現れたな化け狐…
しかも幼い子を蹴るなんて…許さねぇ…食い殺してやる【殺気】

【オーラ防御・第六感・野生の勘】をフル活動
(子供達を守るのを優先的に行います)

さで子供達を守るためあの人形を倒さないと
【怪力・部位破壊】素早く狩るぜ
倒したら相棒の『ガルム』を召喚し子供達を守ってもらう

今、ガルムに任せてるからあの狐を狩るとするか
素早く動き隙を見て【目立たない・暗殺】を仕掛けます
どうせ避けられるだろうから【シーブズ・ギャンビネット】を【二回攻撃】
(怪力も利用しているので重い一撃を二回も受ける感じになる)

子供達に近づこうってならミンチの如く切り刻むからな(ガルル・威嚇)



「やっと現れたな化け狐……」
 人を人と思わぬ言動、嘲笑いながら振るわれる暴力。
 少し見ただけでも、オブリビオンが繰り返してきたおぞましい行為を想起するのは容易かった。
「しかも幼い子を蹴るなんて……許さねぇ……食い殺してやる」
 唸るように息を吐き牙をむく、爛々と輝く瞳は凶暴なほどに赤く。
 紅狼・ノア(捨て子だった人狼・f18562)は、傍にいる子供達を背に庇うようにして前へ出る。
「ガルム、子供達を頼んだよ」
 主人に忠実な大狼の幻獣が、不安げな子供達に寄り添いながら信頼に応えるように低く吠える。
「僕はあの狐を狩る」

 身の内を怒りが駆け巡り、しかし頭の芯はひどく冷えて、冴え渡るような感覚。
 ノアは腰を沈めると参道を駆け出した。化け狐へと荒れ狂うような殺気を叩きつける。
 接近に気がついたアズサは山車の上に腰掛けたまま、ニマニマと笑う。
「あはっ、許せないって目をしてますね? いるんですよねぇ、時々。怒りに任せて歯向かっちゃう子が」
「ああ、そう」
 見え透いた挑発を軽く受け流し、ノアはダガーを握りしめ地を蹴って跳躍すると山車の上にいるアズサ目掛けて飛び掛かった。
 しかし攻撃が届く前にアズサを庇うように現れた木偶人形が、盾となって主人を庇う。
「私の傀儡回しは如何です~?」
 身を護るために人形を使いながら、アズサは可笑しそうに笑い声を立てた。
 化け狐は、この期に及んでなお事態を理解していなかった。
 目の前に居る者が、迷い込んだ獲物ではなく、自分を狩りに来た狼だということに。

 ノアが、喉笛を噛みちぎるような勢いで襲い掛かる。

「子供達のそばから、離れろ!」
 攻撃は止まらないどころか勢いを増して、木偶人形ごと背後のアズサを穿った。
「ぎゃ、っ! ああああああ゛あ゛!?」
 狙いすました一撃は、強烈な力で人形の胴体を破壊しばらばらに砕いた。
 ノアは山車の上から倒れ落ちそうなアズサに掴みかかると、共に飛び降りその軀を地面に叩きつける。
「あ、ぐうぅぅ!! ……なに? ……なんで?」
 アズサは地面を転げると退くように跳ね起き、何が起こったか信じられないのか、混乱の形相を浮かべて首を横に振った。
 しかし、否定の仕様もない。
 叩きのめされたのだ。圧倒的な力で。それも弱くて何も出来ないはずの子供に。
「なっ、なんなんですか! お前! こ、子供のくせにぃ!」
 思い通りならない事態に直面し、癇癪を起こしたように喚き散らす。
 そこへダガーの刃が閃き、アズサの胸を斬り払った。
 すさまじい悲鳴を上げるアズサを、ノアは冷たい瞳で見据える。
「なにも出来ない子供だと思った? ガキだからって甘く見てると痛い目に合うよ……」

 武器を構えて、子供達の乗る山車の前に立ちはだかる。
 もう二度と、こいつに指一本触れさせはしない。必ず守る。

「この子達に近づこうってなら――ミンチの如く切り刻むからな」

 ノアの想いはそのまま敵への脅威となってのしかかる。
 肌を刺すような気配に気圧され、アズサはぞっとしたように後退った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マクベス・メインクーン
ったく、ガキがガキいじめてるだけじゃねぇか…
てかオブリビオンならガキよりババアって歳なんだろうけどな

っとある程度【挑発】しつつ
魔装銃で雷【属性攻撃】で【2回攻撃】で痺れさせて動きを鈍らせに行く
銃使いだと接近してきたら
武器を小刀2本に持ち替え刃に炎を宿らせて
炎【属性攻撃】で斬りつける
敵がUC使って来たなら、こっちもUCで身体能力強化して【空中戦】に持ち込むぜ
敵の攻撃は風の壁で【オーラ防御】しながら
【フェイント】で避ける

代償で流れる血が空中に飛び散るなら
氷の【全力魔法】で固めて弾丸のようにして
【罠使い】のトラップとして活用
敵を囲んで降らすぜ
蜂の巣になりなっ!



 無邪気さゆえの残酷さ、などとはいうが。
 奥の奥に隠れていた化け狐が姿を現してみれば、その姿はあまりに未熟に見えた。
「ったく、ガキがガキいじめてるだけじゃねぇか……」
 呆れを隠しもせずにマクベス・メインクーン(ツッコミを宿命づけられた少年・f15930)は睨めつける。
 
「てかオブリビオンならガキよりババアって歳なんだろうけどな」
 からかうように笑ってやれば、アズサは大きく反応した。
 聞き捨てならないとばかりに釣り上がった瞳でマクベスを睨みつける。
「誰に向かって言ってるんです?」
「反応してる時点で自覚してんだろ、バ・バ・ア」
 はっきりとよく聞こえるように、相手を煽る。
 不足の事態ばかりが続き冷静さを欠いたアズサは、怒りに顔を赤く染めた。
「あまり私を怒らせない方がいいですよ! 怨霊共よ! その怨みを私に渡しなさい!」
 苦悶に満ちた怨霊の呻き声が響き渡り、アズサの体に力が漲る。

 マクベスは構えた魔装銃の引き金を引いた。
 雷の精霊の力を込めた弾丸は、すこし当たっただけで電撃による痺れを走らせる。
「それ以上そいつらを使うんじゃねえよ」
 弾はアズサの腕や足に当たったが、動きを完全に封じるまでには至らない。
 怨霊から得る力によって強化された身体で銃撃を耐える。
「飛び道具を使うようですね、それなら」
 接近戦に持ち込もうとアズサが間合いに飛び込んでくれば、マクベスはすかさず武器を持ち替えて迎え撃った。
「来ると思ってたぜ!」
「なんですかこの剣……熱いぃ!」
 炎が宿った剣を振るえば、焼きつくような斬撃がアズサをしりぞける。
「う、く! まずいです。体勢を立て直さないと」
 手数の多さを見せつけられ、アズサは怨霊の力を使って上空へ飛び上がった。
「空中なら逃げられると思ったか? させねえよ!」
 風の力を纏って、マクベスは自らも空へ飛びアズサを追う。
 空中で激しい攻防が続いた。
 様々な精霊の力を駆使するマクベスの戦い方は確実に敵を追い詰める。

 しかし、優勢だった筈のマクベスに突然異変が起こった。
 身体から傷を受けたように血が奔る。
 己を強化する力の代償が、マクベスを容赦なく蝕むのだ。
「ははっ! なんだ血だらけじゃないですかぁ~」
 飛び散る血しぶきに、相手が怪我をして弱っている。そう受け取ったアズサは好機と見なした。とどめを刺そうと飛びかかる。
「ああ、近づいたな。いい位置に来てくれたじゃん」
 マクベスは口の端を吊り上げて不敵に笑った。
 その身から血が迸るならば、それすらも利用する程に少年の戦いへの覚悟は深く。
「蜂の巣になりなっ!」
 気鋭を吐くような叫びと共に、全力を込めた氷の魔法を発動させる。空中に飛び散った血が凝固し硬く凍りついた。
 その意味をアズサが理解するよりも疾く。
 血で作られた氷の弾丸が、アズサの身体に降り注いだ。

 ギャッと獣じみた悲鳴を上げて、アズサの体が落下する。
「ざまあみろ」
 マクベスは呟き、赤く血に濡れた頬を腕で拭った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

杼糸・絡新婦
ここまで祭りを興ざめさせるのも逆に笑えるけど、
自分ら前に、随分大口叩くやないの、
祭りは終いやろ。

さあ、あの子ら送り出すために、
最後の一舞いこうか、サイギョウ

【フェイント】を入れ視線、行動の誘導を行う。
タイミングを図り敵の攻撃を
【かばう】を併用しつつ脱力して受け止め
オペラツィオン・マカブル発動、
排出し叩き返す。
今度はその体で味わいな、怨みてやつをな。


大崎・玉恵
お主が「巫女様」とやらか?
神は祀っておるのか?その人を食い物としか見ておらぬ所業、祀っていたとしてもろくな神ではあらぬ。祭神がおらぬなどもってのほかじゃ。……そこに直り頭を垂れよ。我が前は神前であるぞ。

【変装】を解き【威厳】を以て神として対応する。
巫女と神、どちらが上かなど言うまでもなかろう。格の違いを見せてやろう。

【式陣・朱天照】を広範囲に展開、傀儡と高速飛行を牽制しながら徐々に範囲を狭めて追い込む。
炎に触れるなどして奴に隙ができたら炎を殺到させ致命打を狙う。

……怨霊達はこやつに命を奪われた者か。こやつを倒した暁には、迷わず根の国に行けるよう計らってやらねばのう。
(アドリブ、共闘歓迎)



「さあ、あの子ら送り出すために、最後の一舞いこうか、サイギョウ」
 切れ長の双眸を細めて、白手袋を嵌めた手で糸をたぐる。
 透けるような無数の銀糸がうごめき、くゆらせた紫煙のように揺らめいた。

 狐人の人形が舞うは、魂鎮めの舞。

「……まだ。まだです、こんなところで死んでたまるものか!」
 深手を負ったアズサは半狂乱となって喚いていた。
 過去の亡霊でありながら、その姿は生への執着に溢れているようであった。
 人の命を奪ってきた所業を思えば、それはあまりにも身勝手だ。

「ここまで祭りを興ざめさせるのも逆に笑えるけどなあ」
 糸の上を這う蜘蛛のように足音もなくアズサとの距離を詰めた杼糸・絡新婦(繰るモノ・f01494)は、冷ややかにうそ笑む。
「退きなさい! 人ごときが私を脅かすなんてあってはならない事です!」
「自分ら前に、随分大口叩くやないの――祭りは終いやろ」

「その通りよ、あなたはもう御仕舞い」
 絡新婦の横にもう一人。金色の髪の少女が、なぎなたを持って立っている。
「大人しく首を差し出しなさい」
「ほざくな小娘!」
 身を返し、アズサは退路を探して逃げに掛かった。
 臆病で用心深い化け狐のすることだ、すでに動きを読んでいた二人は回り込んで打ち掛かる。

 サイギョウが舞う。それは子供達を喜ばせるために踊ったようなものではなく、鋭い動きで敵を翻弄する戦いの舞だ。
 戦闘用人形たる本領を最大限に引き出された動きで、アズサを追い立て痛撃をあたえる。
「この……! 鬱陶しいんですよぉ!」
 ギリギリと歯ぎしりする程、口を噛み締めてまたもや怨霊を呼び寄せたアズサは上空へ浮かび上がった。
「こっちで誘い受ける……隙ができたらお願いな」
「……わかったわ」
 絡新婦の短い囁きに少女は頷き、後ろへ下がった。
 
「人形は厄介ですが、あなたを倒せば無力化できる。蓄え続けた怨みで増大した私の力をくらいなさい!」
 上空から落下する勢いを利用して、アズサが襲いかかる。
 絡新婦は身を躱すことも庇うこともせずだらりと腕を下げて、その攻撃を受けた。
 食い込むような一撃を受けて、絡新婦の体が崩れ落ちた。
 しかし、その顔から笑みは消えない。最初から、策に嵌っていたのはアズサの方なのだ。この瞬間も化け狐は猟兵の手のひらで踊らされているに過ぎない。
「……今度はその体で味わいな、怨みてやつをな」
 絡新婦は喉を鳴らすように笑い声を立てた。
 腕がアズサを掴んでいる。怨霊の腕だ。
攻撃をあえて受けることで敵の攻撃を跳ね返す。それが絡新婦の持つユーベルコードの力。
 次々と数を増す無数の腕が、アズサを押さえつけるように手を掴み、足を掴む。
 血がにじむほどに食い込んだ指が、その無念の深さを物語るようで。
「ヒィッ、離せ! 離せええぇぇ!!」

 甲高い悲鳴を上げて藻掻くアズサの前に影が降りた。
 そこには少女がいた。
「お主は自分を『巫女様』と名乗っておったようじゃのう」
 凛として高みから見おろすような眼差しで、問いかける。
「神は祀っておるのか? その人を食い物としか見ておらぬ所業、祀っていたとしてもろくな神ではあらぬのじゃろうが」
「は、は……神? ここに神があらば、この怨霊達も救われたかもしれませんねぇ!」

 ふう。と少女は息を吐いた。
 するとその頭に狐の耳と、豊かな毛並みを持つ尾が現れた。見る見る内にその姿が変じ、大崎・玉恵(白面金毛・艶美空狐・f18343)が化けの皮を脱いでみせる。
 アズサはほうけた表情で、その変化を見た。

「祭りに祭神がおらぬなどもってのほかじゃ」
 玉恵が再び口を開く。
 滑らかな口調には威厳が籠もり、口答えをゆるさぬ響きがあった。
 金色に輝くような神々しい姿、そうそれはまるで――。
 アズサの体が、がくがくと震えだした。頭で認める前に身体が悟ったのだ。目の前に居るのは、自分に裁きを与えるために顕現した存在であることを。
 
「そこに直り、頭を垂れよ。我が前は神前であるぞ」
「…………うそ。……うそだ。そんなの、いるはずない」
 ただただ恐ろしくて。
 アズサは血の気の引いた表情で、呆然と呟く。
 玉恵はその様子を一瞥し、アズサを掴む腕に手を置いた。
「怨霊となり果てて苦しかったじゃろう……もう怨まずともよい。良いのじゃ。そなたらの無念はわし等が引き受けた」
 語りかける声は泣きたくなるような優しさがあった。
 やがて怨霊の腕が、溶けるように消えていく。
 がっくりと地面に膝をついてアズサは倒れ伏した。自分を恨む怨霊達の力を失い、もはや抵抗する力も無くしたのだろう。
 背を向けて歩き出した玉恵の背後で、狐火がアズサの周りを取り囲み、一斉に燃え盛った。火柱が轟と燃え上がり、辺りを明るく照らした。
 光は広がり猟兵達の視界を白く染める。
「夜とて、昼と染めようぞ」

 ようやく、常夜の祭りが終わる。

●祭り囃子はもう聞こえない
 気がつくと、猟兵達は山道の外れに佇んでいた。
 屋敷はすっかり消え失せ、跡形もない。
 時刻は夜明け頃らしく、向こうから朝日が昇っているのが見える。
 近くには祭りに迷い込んだ人々が、眠りから覚めて不思議そうな顔をしていた。

 遠くから、子供の笑い声がする。

 声のする方へ目を向けたなら、星々のような白い光が見えるだろう。
 大きな光と小さな光が、解き放たれた小鳥のように空より高い場所へ昇っていく。
 その正体を知るのは、猟兵達だけなのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年07月23日


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#サムライエンパイア


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はニィ・ハンブルビーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト