●ゴブリンハウス
人里離れた草原に、最下位種のモンスター、ミニゴブリンが居た。
一匹や二匹ではない。優に百匹を超えるミニゴブリンが……。その力はゴブリンよりも遥かに弱く、人間の間では地上最弱のモンスターとも言われている。例え百匹いようとも強い冒険者数人に倒される、取るに足らない雑魚……なのだが、一つ問題があった。
草原にある縦穴から次々とミニゴブリンが現れている。
縦穴の先は地下ダンジョンとなっており、ミニゴブリンの住居となっていた。強いと言えるゴブリンの上位種も『殆ど』おらず、多くがミニゴブリンで埋め尽くされている。
……この『殆ど』と言うのが問題だ。一匹だけ上位種のゴブリンが存在する。
その上位種こそが、最も危険な『ゴブリンキング』だった。
●グリモアベース
「数が多いだけならば、別に冒険者だけでもどうにかなるんですがねぇ……」
魔本を読みながら、ウィルバー・グリーズマン(ウィザードもどき・f18719)は渋い表情をして、猟兵達へと語り掛ける。
「ゴブリンキングって知ってますかね? 響きの通り、ゴブリンの王の事を指すんですが……ええ、まあ、とある草原にある地下ダンジョンにそいつが居座りまして……」
キングが存在するゴブリンの群れは、極めて厄介な事に、急激に規模を拡大して行くパターンが多い。自身を守る精鋭を除けば、他の部下は全てミニゴブリン……しかし、数だけは多い上にキングが居るせいで能力が若干高い。
「とにかく、こいつが居るゴブリンの群れは脅威以外の何物でも無いんですよ、例えそれがミニゴブリンであろうとね。……ですので、早急に倒して頂けると助かります」
ちなみにキング自体は非常に弱い。上位種ではないが精鋭の部下達がかなりの強さを持ち、それらとミニゴブリンが彼を護っているのだ。
特にゴブリンナイトとゴブリンメイジが厄介で、そこにキングの指揮が合わさると酷い事になる。それをどうにかして突破するのが鍵だと、ウィルバーは語る。
「そうそう。ダンジョンは冒険者に探索されていない新しい物なので、マッピングはされていません。ただ、宝箱とかもあるかも知れませんね。好きに持っていっていいですよ……では、どうぞよろしくお願い致します」
道中にあるかも知れないし、ゴブリンキングの近くにあるかも知れない。運が良ければレアアイテムやお金も……手に入る可能性はあるだろう。
小強欲
こんにちは、小強欲と申します。
詳しい内容はOPの通りです。
一章では複数の縦穴に飛び込んでから、ダンジョン探索。
二章では引き続きダンジョン探索。
三章ではゴブリンキング軍団との戦闘。
探索は好きな様にやって下さい。
ミニゴブリン相手に暴れるも良し、宝探しに夢中になるのも良し、ダンジョンのマッピングをするのも良し、トラップに掛かるのも良し、物思いに耽るのも良しです。
ではでは、楽しいプレイングをお待ちしております。
第1章 冒険
『謎の縦穴の調査』
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POW : 地形を無視してガンガン下に降りる。
SPD : 外周を回りながら降りれる道を降りる。
WIZ : ロープや梯子を使って安全に降りる。
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紅狼・ノア
今回は、ゴブリン達の巣洞窟(ダンジョン)に行くんだよねぇ
暴れながら宝探しをしよう~
ミニゴブリンなら余裕だねぇ、メイジとナイトは面倒なんだよなぁ
もしも鉢合わせしたら攻撃される前に瞬殺してやろう
見つかる前に【暗殺】してもいいねぇ
まずは、周りの安全確認でもしながら降りますか
もしも足場が悪い所で踏み外したり崩れたりしたら危ないよね
【第六感】と【野生の勘】を働かせながら降りるよ
無事、降りることが出来たら第一やることは…宝探しだよねぇ!
レアモノ…金…大量にゲットするぞー!
念のため【目立たない】ように【忍び足】で探索(敵とか会いたくないしね)
人里より遠く離れた草原にある、大量の縦穴。その一つを、紅狼・ノア(捨て子だった人狼・f18562)は楽しそうな表情で眺めている。まだ誰にも発見されていないダンジョンだ……さぞかし素晴らしい宝があるのだろう。ノアはその期待に胸を膨らませていた。
周囲にはミニゴブリンは見当たらない、今がチャンスだと考えて。
「レアモノ……金……大量にゲットするぞー!」
そう意気込むと、ノアは一気に縦穴を降りて行く。
身軽な身体を活かして、器用に出っ張りに足を掛けたり、土壁をダガーで刺してバランスを取ったりして、素早くも安全に。
スタッ、と地面に着地すると、そこは堅い黒レンガ造りの人跡未踏ダンジョン。そこへ最初に足を踏み入れたノアは、音を立てないように、静かに侵入して行く。
「おっと、早速おでましだねぇ」
少し進むと、恐らくは警備のゴブリンだろう、三体のミニゴブリンが木の棒などの簡易装備を持って巡回していた。此方に向かって来るのが見える。
ノアは壁の裏に隠れながら、次の行動を考える。
「……放置すると後で邪魔になりそうだし、瞬殺してやろう」
二本のダガーを両手に持つと、目の前を通り過ぎようとする瞬間に飛び出て、まずは二体のミニゴブリンを仕留める。奇襲に混乱するもう一匹のゴブリンは武器を構えようとするが、それよりも速く、投擲したダガーが頭を貫いていた。
まさしく瞬殺。ミニゴブリン相手とは言え、見事な手腕である。
更に先に進むと、そこは分かれ道となっていた。
「んー、どっちにしたものかねぇ……」
右、左と頭を動かして、どちらが良い道なのかを考える。とは言え、ダンジョンの専門家でもないので、判断は難しく……。
「僕の勘なら……多分、右かな?」
ここは自分の勘を信じて、右の道へと向かって行った。
……その判断は正解だったのだろう。何故なら、左の道には二体のゴブリンナイト。ミニゴブリンと比べ物にはならない強さを持つ敵が、巡回していたのだから。
そうして、驚異的な勘で突き進むノア。すると、一つの宝箱を発見して。
「見付けたっ! 中身は
……!!」
すぐに宝箱に手を付けるノア。念の為、宝箱にトラップが掛けられていないかを確認するが、特に問題はなし。
それを開けると、中には……ミニゴブリンが集めたであろう、ガラクタが入っていた。
「……ハズレェッ!!」
バシンッ! と宝箱の蓋を締めると、ノアは再度、探索に取り掛かる。
果たして、ノアの宝探しは上手く行くのだろうか……頑張って探そう。
大成功
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尾崎・ナオ
ナオちゃんの戦い方。それは「いのちをだいじに」!ということで、竪穴に縦横無尽に飛び込むのはナオちゃんのやり方じゃないんだにゃ~。地図も無ければ未開拓、弱っちぃけど敵も居る。マッピングしながら敵さん倒して進もうかな~。
UDCアースのスマホ持ち込んでメモしながら進もう。外見はいつものヒール靴だけど、滑り止めのついたものなのさー。【指定UC】でナイフ先行させて蔦を切ったり、水たまりの深さを確認したり。ああ、迷子にならないように壁にバッテン作っていこう。映画で見た!
ミニゴブリンもUCナイフでザクザク刺して進みましょ。敵が多くいる方向に進んでみようかね。ボスやお宝がある気がするぅ。第六感の働く方へ~♪
「まずは、どうやって降りようかな」
縦穴を見て、尾崎・ナオ(ウザイは褒め言葉・f14041)はどの様にして進むかを考えていた。まず、飛び込むのはナオのやり方ではない。
上手い具合に斜めになった縦穴はないか……と調べるも、それも見当たらず。
「いのちをだいじに! って感じで行きたいからなぁ……あっ、そうだ」
ピコーンッ、と音が鳴ったかの様に、突如としてナオはひらめいた。
まずは黒いナイフを複製する……ナオが最も好んでいるとも言える技術だ。それを念力で操作すると、縦穴の中へ、横向きで螺旋状に突き刺していく。
「行けるか? いや、大丈夫ッ!」
滑り止めのついたヒール靴で、複製ナイフの柄を踏み付けると、バランスを取りながら下っていく。ナイフの強度は普段使っているので理解している。ナオ自身の体重では壊れる事はない、と確信していた。
渡り終わったナイフは念力で操って、歩く先へと繋げて行く。
「わ、割と行けるじゃん……!」
土壁がやや脆いので歩き難いものの、一歩ずつ確実に進んで行く。
そろそろ縦穴も終わりに近付いているのだろう、少し下に黒レンガの地面が見える。
「あれがダンジョンか、結構しっかりした作りなんだなー」
感心しつつも下に降りようとするが、突然、周囲が暗くなる。恐らくは何かが地上からの光を遮ったのだろう。
すぐに上を見ると、ミニゴブリンが落ちて来るのが見えた。
「ひえっ」
背中を土壁に付けて、それを躱すナオ。ミニゴブリンはそのまま落ちて行って、グシャッ! となった。
お子様にはとてもお見せできない惨状だ。
「こっわ……ッ!」
心臓がドキドキと鼓動しているが、無事ダンジョン内へと到達した。
「えーと、メモメモっと……」
スマホを取り出して、それをメモ代わりにしてダンジョンの先へと歩き出す。緑化がかなり進んでおり、蔦や苔が結構生えているのが見える。
ナオはナイフを先行させると、蔦を切って道を作って行った。時折、ナイフで黒レンガにバッテンの迷子防止用印を付けながら。
「うん、滑り止め付けといて正解だったな」
ヒール靴で地面を軽く踏んで、その性能の良さを確認して。
更に先に進むと、分かれた道の一つに広い水溜まりがあり、先に道があるのが見えた。
「あの先に何かありそうだけど、深さは……」
ナイフを操作して、水深を調査する。しかし全く地面につく気配がない。相当深いのだろう。わざわざ無理をしてここを通る必要もない、と考えて、別の道に向かう。
暫く歩いていると、ミニゴブリンの集団が居るのが見える。
「ナイトとメイジは……」
見当たらない。であれば、適当にナイフを動かしていれば余裕で倒せる。
放たれる大量のナイフは、ザクザクとミニゴブリンを斬り刻んで行き、ナオはスマホ片手に、悠々と進んでいった。
自分の第六感を信じて、敵の多い方向へと。果たして、その先には何があるのだろう。
大成功
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ガルナ・グリル
【行動】
さーて、あたしが食ってばっかじゃねーって所を少しは見せてやっか♪
POWで力任せに突き進んでやんよ
とりあえずこーゆー洞窟ってのは簡単に奥に辿り着けねーよーに出来てんだよな
つまりは壁をぶっ壊してショートカットしながら進んだ方が早いってこった!
スプーンのグラウンドクラッシャーで、縦穴が階段になるよーにぶっ壊しながら進んでやんぜ。隣の縦穴に横穴が繋がるように、飛びながらぶっ壊してく感じだな!
下に土砂が溜まるかも知れねーが、今度はそれをぶっ飛ばしてやりゃー問題ねーだろ♪
ゴブリンも見つけたら挽肉にして食ってやっけど、やっぱ宝とか欲しいよな
トラップ?
そんなもん宝箱ごとぶっ壊しちまえばいーだろ?
「さーて、あたしが食ってばっかじゃねーって所を少しは見せてやっか♪」
ガルナ・グリル(暴淫暴食・f09962)が巨大なスプーンを持って、縦穴を見下ろしていた。大量の縦穴の中で、一番広いであろう場所を見付け出すと、スプーンを構える。
「こーゆー洞窟ってのは簡単に奥に辿り着けねーよーに出来てんだよな」
地形もそうだが、なによりもミニゴブリンの多さが踏破を難しくしているのだろう。弱いのは間違いないが、数で疲労させて来るのは厄介な事この上ない。
ならば、ダンジョンに降り立つ前に一気に進むべきだと、ガルナは考えて。
「つまりは壁をぶっ壊してショートカットしながら進んだ方が早いってこった!」
縦穴に飛び込むと、スプーンの丸み掛かった部分を土壁にブチ当てて、それを抉り取ってしまう。これならば、普通に抉り取るよりもずっと早い。
そのまま隣の縦穴に繋げると、階段の様になって。
「本来の使い道とはなんかちげぇ気もするが……ま、いいや」
そうやってガツンガツンッと横穴を掘って、突き進んでいく。
暫くしてダンジョン内に降り立つと、大分ショートカットして、黒造りのレンガから黒曜石の壁に変わっている地点に辿り着いた。
黒レンガはともかく、黒曜石を砕くのは容易くはないだろう。
「なんだぁ? 随分と仰々しい所に出たな……」
かなりの規模のダンジョンで様で、区画が分けられている。ここからは、恐らくは深層。必然的にゴブリンの警備も強くなっている筈だ。
縦穴から落ちた土砂を、壁に向けて軽く吹き飛ばして掃除をすると、ガルナは進み始めた。
すぐにミニゴブリンを見付ける。やはり警備は厳重なのだろう……しかし、相手は一体のみ。ちょっと小突くだけでも倒せるだろう。
「ちょっと小腹も空いたしな……」
後ろの道を見ていたミニゴブリンにそっと近寄って、グシャ、と叩き潰す。緑色の挽肉になったミニゴブリンを手にすると、まずは一口。
もぐもぐとそれを噛み締めるが、渋い表情をするガルナ。
「うわ、かってぇな……そこまで不味い訳じゃねえけど、うん」
食べれはするが実に微妙な味だ。まともに食べるには、何らかの工夫が必要か。
それでもしっかりと食べ尽くして、また歩き始めて行く。
「折角ダンジョンに来たんだし……やっぱ宝とか欲しいよな」
そう言った直後に、通路の奥に大きな宝箱を発見する。実にタイミングが良い。良過ぎて逆に怖いほどだ。
「……せ、折角だし開けるか。何かすげぇ怪しいけど」
トラップは宝箱をぶっ壊してしまえば何の問題もない。宝の中身だけ取れればいい、とガルナは考えていた。
通路にもトラップは見当たらない。すぐに宝箱の元へと辿り着く。
「どらぁっ!」
ガルナは宝箱をスプーンでぶん殴る……直後、宝箱が爆発した。
「なあぁっ!!?」
衝撃を受けると爆発するトラップだったのだろう。爆発の規模自体は非常に小さかった物の、床が崩れてしまい、ガルナもそのまま落ちてしまう。
そこまで長い距離は落ちず、爆発も直撃していない。無事に着地するが……。
「くっそー、あの中身なんだったんだよーッ!!」
実に悔しそうな表情だった。
お宝への道はまだまだ遠いようだ。
次こそは宝を見付け出してみせる、と意気込んで、ガルナは先へ進んで行く。
大成功
🔵🔵🔵
ネムネ・ロムネ
【鳥王】
麦穂さんと法月さんじゃねーですか
ん。冒険ですね?
今日はどちらにです?
ゴブリンハウス?
わかりました
ネムも動向するのですよ
ウィルバーさんから話は聞きました
沢山ある逃げ道からゴブリンを取り逃すと面倒ですね
麦穂さんに手榴弾を提供して罠に使って貰うのですよ
沢山持ってきてるのです
基本的には麦穂さんの支援として動くのですよ
哨戒中のゴブリンは【忍び足】と【暗殺】で法月さんと共に対処ですね
来たるべきゴブリンキングとの交渉に向けて今は出来るだけ気配を気取られない様に心掛けるのですよ
もしもの時の為にメガホンのレーダーで座標をセットです
あくまで今後の不測の事態に備えて近くの上空に飛空艇を待機させるだけです
津久根・麦穂
【鳥王】で参加
ネムネさん(f04456)、志蓮さん(f02407)との三人組
麦穂はこれが初の任務である
不安を押し殺し外周を回る
出入り可能な通路を複数割り出していくが
すぐに侵入はしない
ゴブリンの退路を断つことが目的だった
人間の侵入が難しい竪穴ならば
当然ゴブリンが脱出できるルートも限られるだろう
目星を付けた通路のうち
ゴブリンの足跡を発見した場所に
目標を絞り行動を開始した
見張りについては仲間に任せればいいだろう
麦穂は戦闘が苦手であった
敵に気取られぬようワイヤーを仕掛けていく
つまずく程度の簡単な罠だ
だが土壇場では侮れない効果を発揮する
強力な罠が必要なら、仲間に爆弾でも分けてもらえばいい
【アドリブOK】
法月・志蓮
【鳥王】で麦穂とネムネと共に参加。
光源になるライト類と無線機などの連絡手段を準備しておく。
ダンジョン探索の前に、まずは下準備といこう。
草原なら見晴らしも悪くないはずだ。すぐには縦穴に潜らず【視力】を活かしてゴブリンの出入りを遠目から観察して出入り口部分を把握。そこに麦穂に罠を張ってもらう。
罠を仕掛ける際の邪魔にならないように、その周辺のゴブリンを【スナイパー】らしく狙撃で排除しておくか。ネムネとの連携も意識して動こう。
準備が済んだらダンジョンに突入だ。
ゴブリン用の通路が使えそうなら使った方が降りるのが楽そうだけど、難しそうな場合はアンカーワイヤーを利用して降りるかな。
※会話アドリブOKです。
見晴らしの良い草原の縦穴より、数匹のミニゴブリンが這い出ている。食糧などを確保する為に、ダンジョンより送り出された者達なのだろう。
ミニゴブリン同士で会話をしている所に、タンッ! と稲妻の如き何かが放たれて、その頭を吹き飛ばしてしまう。
「よし……クリア」
身を伏せて狙撃仕様のアサルトウェポン『ThunderBolt』を構えている法月・志蓮(スナイプ・シューター・f02407)は、手に持った無線機に向けて、静かに声を発した。
先ほど、ウィルバーから話は聞いてある。大量の縦穴があり、そこからミニゴブリンが湧き出ているのだと。
「さ、さて。始めましょうか」
津久根・麦穂(ストレイシーフ・f19253)はこれが初の任務である。ゴブリンキングを倒した後、逃げるミニゴブリン達の退路を断つトラップを仕掛ける計画だ。
麦穂は不安に思いながらもそれを押し殺し、慎重に外周を回ろうとして。
「あ。麦穂さん、麦穂さん。手榴弾を忘れているのですよ」
それをネムネ・ロムネ(ホワイトワンダラー・f04456)が呼び止めると、袋に入った大量の手榴弾を渡そうとしていた。
「おっと、そうでした……」
麦穂はすぐにそれをネムネから受け取ると、縦穴の調査に向かう。
調査中も、ミニゴブリンが湧いて出てきている。
「これで十八、まだ十分も経ってないのにな……ネムネ、頼む」
距離的に撃ち難いミニゴブリンはネムネに任せようと、志蓮は無線機に声を掛けると、ミニゴブリンの背後からネムネの『シースナイフ』が迫り、静かに首を切り裂いた。
「次から次へと、面倒ですね」
ネムネは上空に、『電子メガホン』の機能でレーダーを張っており、ミニゴブリンの位置が分かっている。それでも数が多過ぎる為、処理が中々に大変な様子で。
「あと少しで終わる筈だぜ、もうひと踏ん張りだ」
「ん。了解ですよ」
志蓮の言葉にそう返すと、ネムネは身を伏せて次の標的を待つ。
可能な限り体力を温存しながらも、二人はミニゴブリンを連携で仕留めて行く。
調査を終えて、ある程度の目星を付けて、縦穴にトラップを張っている麦穂。
「四つ目……残りの穴は、八つか。結構大変ですね……」
麦穂のトラップ……それは、志蓮から貰ったワイヤーを縦穴の出口に張り巡らせて、登って来たミニゴブリンを叩き落とす物だ。
非常に単純だが、知能の低いミニゴブリン相手ならば実に効果的。
「あとは、手榴弾っと」
無理に通った場合、仕掛けた手榴弾が爆発して縦穴ごと潰してしまう仕組みだ。
直後に、すぐ後ろから声がすると思えば、すぐに静寂が訪れて。
「ゴ、ゴブリンが落ちたのかな……」
麦穂の推測は正しく、ワイヤーに引っ掛かったミニゴブリンは外に出られずに、バランスを崩して、そのまま下に落ちてしまったのだ。
言うまでもなく即死だろう。途中に別の個体が居れば、それも巻き添えにして。
「ええと、次の場所は……」
次のトラップを仕掛けようと、ここから近い縦穴まで歩いて行った。
暫くして罠を仕掛け終わると、ミニゴブリンが登って来れないのを確認。後はゴブリンキングを倒せば手榴弾が炸裂し、殆どのゴブリンを殲滅する事が可能だろう。
三人は集合して、最もミニゴブリンが出入りしていないであろう縦穴に集まった。
「ここです。ここが一番足跡が少ない場所でした」
麦穂は指で示すと、志蓮はライトで中を照らしてみる。しかし、相当深い様子。
「他に道はあったですか?」
ネムネの言葉に麦穂は首を横に振って、他の道はない事を示す。
それならば仕方ないと、志蓮はアンカーワイヤーを近くの地面に深く打ち込むと、縦穴の中へと投げて。
「俺が先行するぜ。大丈夫だったらワイヤーを揺らすから、一人ずつ降りて来てくれ」
その言葉に二人は頷くと、志蓮は縦穴の中へ侵入して行く。
そうして、しっかりとゴブリン殲滅の準備をしてから、三人はダンジョン内へと侵入するのだった。
大成功
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第2章 冒険
『地下迷宮の探索』
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POW : 壊せそうな壁等を破壊しつつ進む。
SPD : 捜査の基本は足。とにかく踏破を目指し進む。
WIZ : マッピングをしつつ最短ルートを推測して進む。
👑11
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探索を進めて行く猟兵達だが、まだまだダンジョンは終わりそうにない……。
このまま探索を続けて、ダンジョン踏破を目指すのだ!
紅狼・ノア
まだ、ボスの元に辿り着かないのかぁ
はぁ、お宝も雑魚ともが集めたガラクターばっかり(ガックシ)
このイライラをモンスターともにぶつけよう
もう期待してない宝探ししながら親玉の所まで歩いていく
拗ねてでも【第六感・忍び足・目立たない】は怠らないよ
奥まで来たらさすがに警備固くなってくるだろうから【暗殺】だね
あっそうだこのまんま行ってもつまらないから、到着するまで何匹狩れるがゲームをしよう! 楽しくなってきたなぁ♪
(この狩りでこの後の戦いに影響があるかも、数とか種類?メイジが少ないみたいな)
さぁ、楽しい“狩りの時間”だ(ニヤ)
黒曜石で周りが覆われた、ダンジョン深層にて発見した大きな黄金の宝箱。
ノアはその中身を見詰めていた……とても不満な表情で。
「まーた、ハズレかぁぁッ!!」
先程と同じく中身はガラクタだった様で、ノアは宝箱を思い切り蹴り付ける。これで見付けた宝箱の数は四つ目……しかし、その全てはミニゴブリンのガラクタだ。
宝箱を開ければガッカリして、それを何度も繰り返せばイライラが募る。
「ムカつく! ムカつくーッッ!!」
黄金の宝箱は大きく頑丈、持ち帰る事もできない……ノアのイライラは限界にまで達しそうだった。
それでもノアは宝探しを続けて、ダンジョンを進んで行く。暫く進んでいると、ミニゴブリンを見付けて。
「……よし、モンスターを倒してスッキリしよう」
イライラの矛先はミニゴブリンへ。ダガーを持って、忍び足でそれに近付こうとするが……そこには、ゴブリンナイトも存在した。
それを見たノアは、すぐに物陰に隠れると、そっと様子を確認する。
「正面からは……止めといた方がいいかなぁ」
ナイトはミニゴブリンとは体格も装備も全く違う……明らかに強そうな見た目だ。
ダンジョンで振るのに適したショートソードに、とても頑丈そうなプレートメイル。広い空間ならまだしも、狭い通路では数的にも不利だ。
「んー、さすがに警備固いなー、……おっと?」
ナイトとミニゴブリンが別れると、此方にミニゴブリンがやって来る。
壁の裏で静かに待つと、目の前に来たミニゴブリンの首を掴んで、それを壁に叩き付けると同時に、ダガーで刺殺した。
「一匹……いや、さっき三匹倒したから四匹か。ついでにナイトも……」
ノアは気付かれない様に、ナイトへと近寄って行く。
「グルルルルッ」
獣の唸り声の様な音を出して、ゴブリンナイトは巡回している。
プレートメイルが全身をしっかりと防御しており、露出しているのは首と脚の二箇所くらいの物だ。
「首、かな。不意を付けば……」
そっとナイトに近付いて、背中に飛び掛かると、そのままダガーで首を刎ねようとするノア。ナイトはすぐに暴れ出すが、スパッとダガーで首を斬り裂いて。
「よし! やった……うわっ!?」
首を斬っても動き回り、背中ごと壁に叩き付けてしまおうと後ろに跳ぶナイト。
すぐにノアは背中から離れて、それを回避。ダガーを構えて迎撃しようとするが、ナイトは剣を振り上げたまま倒れてしまった。
「危ない危ない……はは、楽しくなってきたなぁ♪」
少々危なかったものの、特には問題ない様子。
戦闘のスリルを楽しんでおり、ノアはいつの間にか上機嫌になっていた。
「っと、これは」
ナイトの腰に吊り下げられた革袋。
中を見てみると、幾らかの宝石の原石が入っていた。磨けば良い宝石になるだろう。
「ラッキー♪ これは、他に持ってる奴が居るかもなぁ」
パーカーのポケットにそれをしまうと、ノアはそろそろ親玉の元に向かおうと考えて。
加えて、親玉の元に着くまでに何匹のゴブリンを狩れるかのゲームを始めよう、とも考えていた。
「さぁ、楽しい“狩りの時間”だ」
ニヤッと嗤うと、ノアはダンジョンを静かに駆け出した。
この狩りによって、ノアは二体のナイトと一体のメイジを倒した。
恐らくは、今後の戦いが有利を生むだろう……。
大成功
🔵🔵🔵
尾崎・ナオ
第1章と同じくスマホで地図作成して、壁に傷を付けて。身の安全を第一にマッピングしまーす。
宝箱は放置。トレジャーハントってナオちゃんのタイプじゃないの。ナオちゃんは、簡易地図作って、それをトレジャーハンターに売る方。宝って鑑定するのが面倒だったり、ハズレだったり。ミミックだったり、重さがあったり。トータル色々考えて、儲かる方法を取りまぁす。
【指定UC】で索敵。装備の黒い銃、今回サイレンサー付けてるんだぁ。ミニゴブリンは【クイックドロウ132】で高速早撃ちで仕留めるよ。ナイトとメイジは、先にメイジを。遠隔操作の毒付きナイフで首元を狙うよ。場所を特定されないよう、常に隠れて。細心の注意を払う!
黒レンガと黒曜石が重なり合う中間地点、ナオはスマホを見てマッピングを続けていた。既に前半部分のマッピングは済ませており、残るは深層のみ。
「おっ、宝箱。いいねぇ~、かなり儲かりそうっ」
通路の先にある宝箱を見ると、気分良さげにナイフで、罠があるかどうかを確かめる。
ナイフを床を滑らせていると、少し沈む事に気が付いて。
「ふむふむ、ここを踏んだらトラップが発動するな。メモメモっと」
スマホに宝箱と罠の情報を書いている……ただし、宝箱には手を付けなかった。ナオは宝箱よりも、情報を記す事を優先していたのだ。
宝の鑑定にも金は掛かるし、ミミックの可能性もあれば、重くて持ち上げられない物もあるだろう。このダンジョンに限って言えば、中身がミニゴブリンのガラクタの可能性も高い。
「確実に儲けるなら、やっぱ情報を売るのが一番だよねぇ~」
なんせ未発見のダンジョン。その地図ともなれば冒険者達には高く売れるだろう。
情報を売れば金は入るし、それで冒険者が儲けられれば信用も得られる。いい事尽くめだ。
ナイフを先行させていると、それを一旦止めて。
「おっと、いるねぇ。敵は……」
ナオは壁に近付いて様子を確認する。
敵はゴブリンメイジ三体と、ミニゴブリンが十数体。何かの集会だろうか。
「うっわ、面倒だなぁ」
メイジが何の魔法を使うのかも分からないし、その数も多い。そこまで耐久力は高くはないと思いたいが、確証がない。
身の安全を第一に考えるナオは迂闊に攻撃するのは危険だと、攻撃できずにいた。
「んー」
スマホで地図を調べると、ゴブリンがいる地点は、ナオの歩いていた道とも繋がっている三叉路の様だ。それならば……。
「……ナイフで取り囲んでみるかな?」
すぐにナイフを操作して、ゴブリン達がいる道に繋がる通路に待機させる。
そして、息を整えて集中して。
「よしっ!」
意を決して、ナオは戦闘を仕掛ける。
まずはナイフを二方向からゴブリン達の元へと発射。
ナオが操作できる最高のスピードだが、道はそこそこ長い。それにすぐにメイジが気付くと、詠唱を始めて。
残る道より、ナオが壁に少し身を現すと、サイレンサー付きの拳銃で高速射撃。それはミニゴブリン数体とメイジ二体に命中。
ミニゴブリンは即死するが、メイジは詠唱を止めて銃弾に苦しんでいた。
「まだ駄目かっ、ナイフは間に合うか……?」
凄まじいスピードでゴブリン達に迫るが、メイジの一人が魔法を唱える。
前方を守るバリアだろうか、一方向のナイフの動きを止めてしまう。
「止められた……いや、押し切れるな」
一体のバリアならば押し切れる。これが二体なら厳しかったかも知れないが、生憎と他のメイジは銃弾に悶え苦しんでいる。
それに、後ろからのナイフもある。勝利は確定した。
「ふぅ、銃があって良かった~」
メイジは喉元を刺し貫かれ、魔法を使えなくなった所にナイフが動き回ると、ゴブリン達を無慈悲に引き裂いて行く。
ナオはそんなゴブリンには目を向けずに、ナイフ操作の汎用性も、拳銃早撃ちの速度も、どちらも素晴らしい物だ……と改めて感じていた。
戦いが終わると、ナオは更にマッピングを進めていく。
マッピングが終われば、さぞかし高く売れるだろう。
大成功
🔵🔵🔵
ネムネ・ロムネ
【鳥王】
いよいよ迷宮内部探索ですね
初めての任務に少し緊張気味の麦穂さんの【手をつなぐ】事で【鼓舞】するのです
だいじょーぶです
法月さんもついてるのです
いつも通り熟せばうまく行くのですよ
落ち着いて行くのです
探索ではネムは挟み撃ちに警戒して殿をつとめるのですよ
極力ナイフによる【暗殺】を努めるのですけど、やむを得ない時は拳銃での【援護射撃】をしましょー
麦穂さんから地図を受け取ったら念の為経路と退路は頭に入れておくのです
もし彼が動転してしまっても良いように
ん。宝箱は開けなくていーんです?
んぇ?以前(冗談で)言ってたネムの解錠魔法の出番です?
残念でした
MPが足りねーです(そんな物はない)
津久根・麦穂
【鳥王】ネムネさん、志蓮さんと三人
突然繋がれた手に別の意味で緊張するが
おかげで調子を取り戻し始める
地下迷宮こそ彼のホームグラウンドだ
背負った宝箱を降ろして羊皮紙を取り出し
地図製作に取り掛かる
地図は退路確保、追跡いずれにも役立つだろう
先行する仲間からの合図により罠を見つけるが
ゴブリンの罠など彼には児戯に等しい
仕掛けに改造を施し敵への攻撃に転ずる【罠使い】の能力だ
地図の情報とゴブリンの習性から
隠された宝の位置も見当は付くが
どうするかは仲間次第
目的地と思しき場所が近付くと
地図に退路、罠と宝の位置を書き込み素早く複写した
出来上がった2枚の地図を仲間に渡す
自分はもう覚えたので不要である
【アドリブOK】
法月・志蓮
【鳥王】で参加。
さて、迷宮探索の時間だ。
【暗視】や【第六感】に優れた俺が先頭で歩くとするか。マッピングと罠の対処は麦穂に、殿はネムネに任せる。
……麦穂が緊張してるようだし少し気にかけておくか。ただ緊張が解れたら心配はいらないだろう。
迷宮内では狙撃銃は取り回しが難しいし、黒剣と拳銃を主武装として探索。敵と罠の両方に警戒しながら進むぞ。
敵が少数なら銃を使うより白兵戦で済ませた方が増援の心配も減って安心だ。【忍び歩き】で近づき【暗殺】して手早く片付ける。
状況次第では銃で【先制攻撃】して速攻を仕掛けてもいい。臨機応変にいこう。
……そういえばお宝もあるらしい。見つかると嬉しいな。
※会話アドリブOKです。
ワイヤーを下り、降りた先に広がるのは、黒レンガ造りのダンジョン。
「さて、迷宮探索の時間だ……じゃ、俺は先頭を歩くぜ」
志蓮はそう言って、ナイフと拳銃を取り出すと、前に出る。
ダンジョン内には所々に篝火が立てられているが、それでもやや暗め。その為、眼と勘に優れている志蓮が先陣を切るのが、ベストな配置なのだ。
(「後は……」)
ある事を気に掛けていた志蓮は、そっと後ろを向いた。
志蓮の後ろにはサポート役の麦穂。彼は戦闘が苦手なので、他の二人に戦闘を任せて、自分は探索をサポートする役目を担っていた。
しかし、初めての任務にまだ緊張状態が取れないのか、手を震わせている。
「麦穂さん。だいじょーぶですよ、いつも通り熟せばうまく行くのですよ」
震える麦穂の手を握りしめるのは、ネムネの手。
不意に握られた為か、麦穂は任務の緊張は少し薄らいだ代わりに、その気恥ずかしさで、別の意味での緊張をしてしまう。
「え、ええ。落ち着きました。ホントですよ」
気取られないように余裕そうな表情を見せる麦穂。若干顔が赤いが。
そもそも、地下迷宮こそが麦穂のホームグラウンド。何も緊張する事はないのだ。
「それに法月さんもついてるのです」
ネムネが志蓮に目を移すと、麦穂もそれに釣られて見て。
そこには志蓮が親指を立てており、戦闘は任せろ、とでも言いたげな表情だった。
「はい。いつも通り、いつも通り……」
少しずつ落ち着いて行って、麦穂は冷静さを取り戻す。
麦穂はネムネから手を離して、背負った宝箱を降ろすと、羊皮紙を取り出した。
「よしっ、オーケーです、マッピングは任せて下さい」
宝箱を背負い直すと、既に緊張は完全に取れた様子だ。
(「もう大丈夫そうだな」)
志蓮もそれを見て安心すると、前に向き直る。
ネムネも麦穂の後ろに位置して、殿を務めると、探索開始の号令を行った。
「それじゃあ、落ち着いて行くのです。安全第一ですよ」
そうして、三人のダンジョン探索が始まる。
歩き始めて十数秒後、志蓮が横の通路の先に宝箱があるのを確認。
「幾ら何でも早過ぎやしないか。……罠か?」
嬉しさよりも先に、怪しさが勝ったのか、周囲を観察している。見た所、特に敵やトラップがある様には見えないが……。
「取り敢えず、場所は記しておきましょう」
羊皮紙に宝箱の位置を書き記すと、麦穂は先へ進もうと合図を出して。
「ん。宝箱は開けなくていーんです?」
ネムネの言葉に二人は渋い表情をして、開けるのは危ないのでは、と考えている。
そもそもの話、こんなすぐに宝箱があるのは、怪しいにも程がある。宝箱に罠や鍵が掛けられている可能性もあるだろう。
「……そうだ、アレ使えば良いんじゃないか?」
「ああアレですか。それじゃあネムネさん、どうぞ」
二人はそう言うと、指で宝箱を示した。
「んぇ?」
以前、ネムネが冗談で言っていた解錠魔法……しかし残念、そんな物はない。
全力で誤魔化そうと、ネムネは思考を加速させて。
「……ネムのMPが足りねーです」
目を逸らしながら、ネムネはそう言った。これが最大限の誤魔化しなのだ。
「そ、そうか。それなら仕方ないな」
「ええ、MPなら仕方ないですよね……!」
二人の目はとても優しかったが、その優しさがネムネへ地味にダメージを与えていた。
「おっと、罠があるな」
志蓮は、枯れ木で隠されている質の悪い落とし穴を見付ける。ゴブリンが仕掛けた物に間違いないだろう。
「落とし穴ですか……志蓮さん、少しワイヤー使ってもいいですか?」
その言葉に志蓮は頷き、ワイヤーを麦穂に渡すと、麦穂はそれを使ってゴブリンの罠に改造を施して行く。
「大物が掛かってくれるとラッキーですね。……ん。足音です?」
改造している様子を見ていたネムネが、後方から微かに足音がしたのに気付くと、後ろを向いて。
二人もそれに目を向けると、結構遠くの通路からゴブリンナイトが二体現れて、すぐに此方に気付くと走って来た。
「わっ、敵襲ですか。タイミングが悪いのですよ」
「距離があるな……よし、撃つぞ」
基本的にナイフで暗殺するつもりだったのだが、 この場合は仕方がない。すぐに二人は拳銃を構えると、ナイトが来る前に先制攻撃を仕掛けた。
ダンッ! ダンッ! と響き渡る強烈な発砲音。二丁のリボルバーによる連続射撃は、ナイトをすぐに仕留めてしまった。
「おお、流石ですね……」
その戦闘時間、十秒にも満たず。
どうやら、ナイト二体程度では、二人の相手にはならない様だ。
黒レンガから黒曜石の壁に変わり、深層に足を踏み入れる。だが、やる事は変わらない。敵を倒したり、罠を改造したり、宝を見付けて解錠に悩んだりと。
暫く歩き続けて、大体のマッピングを終えた麦穂。この先が終着点なのだろう。
麦穂はもう一枚、羊皮紙を取り出すと、作り終わった地図を複写。すぐにもう一枚の地図を作り終えると、それと元の地図を二人に差し出して。
「退路も書いておきました。利用して下さい」
こういった作業は慣れているのか、麦穂自身は地図を頭の中に記憶している。
二人は地図をしっかりと確認して、経路と退路を頭の中に叩き込む。この後に何が起こるのかも分からないので、覚えて置くに越した事はない。
そうして三人は、すぐ先に居るであろう、ゴブリンの親玉の元へと向かって行く。
仕掛けられた改造罠によって、増援も防げる事だろう。
大成功
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第3章 ボス戦
『ゴブリンキング』
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POW : ゴブリン親衛隊の召喚
戦闘用の、自身と同じ強さの【杖を持ち、炎の魔法を放つ、ゴブリンメイジ】と【剣、盾、鎧で武装した、ゴブリンナイト】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
SPD : 王の激励
【王による、配下を鼓舞する言葉】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
WIZ : ゴブリン戦奴の召喚
レベル×5体の、小型の戦闘用【奴隷ゴブリン】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑11
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大量のミニゴブリンが蔓延るダンジョン最終フロア。
その最奥に、ゴブリンの王……ゴブリンキングが寝そべっていた。
猟兵に気付いても、脅威ではないかの様な態度で、全く起きる気配はない。
横になりながらも手を軽く振って、配下に指示を出す。
……実に豪胆なゴブリンだ。それとも、ただ愚かなだけなのか?
ここからはミニゴブリンや精鋭達を蹴散らして、ゴブリンキングを仕留めよう。
紅狼・ノア
結局この宝石以外いいの無かったなぁまぁいっか
ん?もしかしあれがキング?…(舐めてやがるな)
おっとゴブリン・メイジ・ナイトを召喚しようとしてるなぁ
数で押そうという魂胆かな
此処は結構広いね『派手に暴れ』でも大丈夫そうだ…ということで僕の半径mにいる仲間達逃げたほうがいいよ?
まとめで狩るからさ【人狼咆哮】
キングにも当たったかな?あら怒ってらしゃる(笑)
これ以上ゴブリンは出せないじゃない?
此処に来るまでの間…結構狩っちゃだから、何匹やったかな~(黒笑)
【オーラ防御・第六感・カウンター】を駆使し【殺気】で怯ませたり【挑発】したり【部位破壊】しちゃうよ
もちろん宝も頂くよ【盗み攻撃】
ゴブリンキングが存在する、巨大なダンジョン最奥のフロア。小さな町が丸々一つ入ってしまいそうな場所に、見渡す限りのミニゴブリン、ゴブリンナイト、ゴブリンメイジ……。
ミニゴブリンよりも若干大きな奴隷ゴブリンに玉座の脚を持たせて、ゴブリンキングは眠たそうに玉座の上で寝っ転がっている。
「あれがキングだな。……」
見るからに此方を舐めている。
先程まで、ダンジョン内では宝石しか取れなかった事に、ノアは微妙に悔しがっていた。しかしゴブリンキングのあの態度を見ると、悔しさなどは戦闘意欲によって上書きされてしまう。
「ナイトとメイジは……キングを守ってるのが殆どか」
猟兵達が道中に仕留めたせいか、数が大分減っている。ノア自身も幾らかを倒しているので、上手く戦力を減らせた事に笑みを抑え切れない様だ。
とは言え、キングに近付けば交戦の機会が出て来るだろうが……。
「じゃ、やるかねぇ」
ノアはそう言うと、ダガーを両手に持って先陣を切った。
ゴブリンキングは面倒臭そうな表情でノアを見ると、骨の杖を軽く振り回して、ミニゴブリン達を突っ込ませる。
「数で押そうという魂胆かな。分っかり易い……」
大量のミニゴブリンがあっと言う間にノアを囲み、棍棒や短剣で襲い掛かる。
幾ら弱いとは言え、キングに指揮されたゴブリン達の質は全く違う。そのどれもが素早く動き、連携攻撃を仕掛けようとしている。
「さーて……派手に暴れるとするかなッ!」
大きく息を吸うと、ミニゴブリンがすぐ近くにまで来るのを待つ。
そうして、それらが武器を振りかざした瞬間、溜めた空気を一気に解放した。
「ワオオオォォンッッッ!!!」
空気が振動する様な、凄まじい咆哮が辺りへと響き渡る
その咆哮は周囲のミニゴブリンを即死させる程の超音量で、更にはミニゴブリンは大きく吹き飛んだ。その一匹がキングの元へと飛んで行き、玉座の脚へと当たると、奴隷ゴブリンがバランスを崩して、ぐらぐらと揺れ動く。
キングが顔を顰めると、玉座の上へと立ち上がって、ノアを見た。
「あら怒ってらしゃる」
キングが杖を掲げると、大きく周囲へ号令を出す。
「グギャギャ、ギャギャ、グルルラァァッ!!」
それを聞いたミニゴブリン達は、一斉に弓を構えて、ノアに向けて構える。
「頭が良くなってるなぁ……仕方ない、ここは一気に近付くしかないか」
ノアは駆け出すと同時に目を大きく見開くと、強烈な殺気を放って、恐怖でミニゴブリンの手元を狂わせる。
それでも幾らかの弓矢が自らの元に飛んで来るが、それを勘で避けて、オーラによって若干軽減した。それでもダメージはあるが、我慢をして走り続ける。
「このぉッ!!」
目の前のミニゴブリンを踏み付けると、その勢いでゴブリンの頭を道にして、キングの元へと駆け寄る。
メイジやナイトすらも無視して、すぐに玉座に立つキングまで辿り着く。
「グギャアッ!!」
ノアは玉座に足を掛けつつ、ダガーを突き付ける。杖を振ってそれを迎撃するキング。
二振りのダガーは、杖を半分に斬り裂いてしまうが、キングの身体には届かず。すぐに二撃目を叩き込もうとするが、横からナイトの剣が迫って来るのが見えて。
「ちっ、惜しいっ! だけどせめて、その宝は頂くよッ!!」
剣による叩き付けを、前に飛び込んで躱すノア。
そのついでとばかりに、キングの銀の王冠を掴んで、盗み取ってしまった。
「グギャギャギャッッ!!?」
王冠を盗まれた事に対して、憤怒するキング。
周囲の精鋭やミニゴブリン達に、ノアを仕留める様に指示をするが、先ほどと同じ様にミニゴブリンを足場にして、逃げ去ってしまう。
キングから離れた場所の地面に飛び降りると、手に入れた王冠を邪魔にならないように頭に被って、ダガーを構えると、戦闘を続行する。
「さあ、続きを始めようかッ!」
ノアは、まだまだやる気は十分の様子だった。
杖を叩き折った事で、ゴブリンキングの防御性能と指揮精度が大きく下がった。
これで、後続の猟兵達の行動がかなり楽になるだろう。
今が好機だ、一気に仕留めるのだ。
大成功
🔵🔵🔵
尾崎・ナオ
腹筋バッキバキじゃないですかやだー。召喚だけ?ホントに?前出て打撃攻撃とかしない?大丈夫??
敵SPDは鼓舞か。ナオちゃんも共感したら能力アップしない?しないか、だよね。
ナオちゃん抜かりないよ。だって可愛いもの!
【指定UC】で自画自賛しながら【クイックドロウ132】で黒い拳銃で数を減らす。回避して撃って回避して撃って撃って撃って!
敵がPOWで来たら迷う事なくボス狙い!爆発的に上げたスピードで突っ込み、眉間近距離で【零距離射撃】で狙いに行くぜ!
ま、ナオちゃんだけでは倒せんだろうな。少しでも敵を疲弊させられたら御の字~♪皆に見せ場を残すこの気配り。さすがナオちゃん、ほんと可愛い。サイコー。
先陣した猟兵の撹乱によって、ゴブリン軍団は大混乱に陥っている。
「グギャギャギャギャッ!!」
玉座よりゴブリンキングが怒声を上げると、徐々に冷静さを取り戻すゴブリン達。
王冠を失ってもキングである事には変わりはない。その威風堂々たる態度は、まさしく王が如し。
そんなゴブリンキングを見て、フロアの入口に立つナオは実に面倒そうな表情だ。
「召喚だけ? ホントに?」
ミニゴブリンは勿論、ゴブリンナイトと比べても、勝るとも劣らない体躯。マントの隙間からは、実に見事な鍛えられた腹筋が見える。
「前出て打撃攻撃とかしない? 大丈夫??」
前線に出てきそうなタイプにも見えるが、武器は破壊され、防具も貧弱と言う他ない。ゴブリンメイジの様な魔法攻撃も出来ず、個の実力ならばナイトにも劣る。
統率に特化した個体、それがゴブリンキング。当然だがミニゴブリンよりは強い。
「ま、多分イケるイケる! だってナオちゃん……強いし、可愛いもの!」
ナオの十八番、全力の自画自賛。これによって調子が上がると同時に、戦闘能力……特に速度が跳ね上がるのだ。
凄まじく高いテンションのまま、ナオは敵陣へと駆け出した。
「それそれそれ! 遅い遅ぉいっ!!」
手に持った二丁の黒い拳銃から放たれる、連続射撃。
ミニゴブリンは反応すら出来ずに命を散らし、ナイトも反応はする物の避ける事までは出来ない。銃弾は盾と鎧を容易に貫通し、痛みで動きを止めてしまう。すかさずナイトの眉間に銃弾が放たれると、すぐに動かなくなった。
遠方のメイジは苦し紛れの炎魔法をナオに放つが、それを掠らせる事すら出来ずに、射線上に立つ味方を燃やしてしまう。
「下手だねぇ! 遠距離攻撃ってのは、こうやって当てるんだよッ!!」
お返しとばかりにメイジへ銃弾を放って倒す。有言実行したのは、流石の腕前だ。
銃弾を撃ち尽くせば、別の拳銃で銃撃を続けて。周囲に敵がいなくなれば、即座にリロードする。超人的なスピードでそれらを行い、隙が全くない。
まるで黒い竜巻の様に、近くにいるゴブリンを、その命と共に吹き飛ばして行く。
いつの間にか、ナオはキングの近くへと迫っていた。
「ギャギャギャッッ!!」
必死に部下に倒すように命じるが、圧倒的なスピードと破壊力には為す術もない。
そうこうしている内に、ナオは直ぐ側にまで来ており、銃撃で玉座を支える奴隷ゴブリンを撃ち抜いた。
「グギャッ!?」
バランスを崩して玉座が倒れると、キングも地面へと倒れて。
ナオはすかさずキングに近付いて、銃を突き付けて零距離射撃をしようとするが……直前に、前方から剣や棍棒、杖や盾までが大量に飛んで来た。
「んなぁッ!! そこまでやるかッ!?」
自らの武器を捨ててまでキングを護ろうとするゴブリン達。しかもナイトとメイジは、武器を失うと戦闘力が激減すると言うのに。
流石にこのまま進む事は出来ない。ナオは距離を取りながらキングに射撃を行う。
「グギャアッ!」
急所には当たらなかった物の、その弾丸はキングの耳を撃ち抜いた。
先ほどの威風堂々とした態度から一変。焦った表情で、ナオから逃げ去るキング。
「あ! 王の癖に逃げんのか~っ!? ……ちょっと、おーいッ!!」
ナオは追い掛けようとしたが、武器を失ったナイトに阻まれてしまう。
「……ま、まあ別にいいか。かなり疲弊させたし」
元々ナオの目的はボスの撃破よりも、敵の数を減らすのに重点を置いていた。
敵の中核を崩して、キングの指揮を更にやり難くしたナオの手腕は、見事と言う他にないだろう。
「さぁて、サイコーに可愛いナオちゃんの勇姿、最期まで見届けなよっ!」
まだまだナオの戦いは終わっていない。
拳銃をリロードが終わると、更にゴブリン達を殲滅して行った。
大成功
🔵🔵🔵
法月・志蓮
【鳥王】で参加。
大量のゴブリンが射線を遮っているだろうが、ネムネが片付けてくれる筈だ。射線が通ったと見たら【スナイパー】らしく狙撃しよう。最終フロアが広くて良かった。
狙いは精鋭。特にメイジを優先して狙う。もしキングが僅かでも見えれば傷を負わせるのを狙ってみてもいい。臨機応変に、だ。
使用UCは【崩壊を招く一射】。一々急所を狙うのは手間だし、鎧や防御ごと強引に破壊する弾丸で胴体を撃ち抜いていくぞ。雑に狙える分【早業】で撃てる。
ネムネの願いには任せろ、とだけ返して。オーダーを達成したら不敵に笑ってやろう。
戦闘後はお宝取りに行きたいな。今回使った弾、結構高いんだ……。解錠は任せたぜ麦穂!
ネムネ・ロムネ
【鳥王】
後はキングを倒せば攻略完了ですね
なのにキングのこの余裕
気に入らねーですね
自分の状況がわかってるです?
或いは何か策が…?
部屋は十二分に広いですね
敵の数も多いです
ネムがガトリングガンの掃射で先陣を切りましょー
【掃除】で数を減らし
【援護射撃】で法月さんの射線をアシスト
討ち漏らした有力敵は法月さんがなんとかしてくれる筈
法月さん
ネム達を守って
麦穂さん
今一番戦況を客観的に見れているのは麦穂さんです
ネムは貴方の指示を信頼し従うのです
大丈夫
これまでの道中でネムは確信してる
ネム達はとても良いパーティですよ
もしもキングが逃げ出しそーならトドメは任せたのですよ
念の為罠の無い出口には飛行船を待機させてるのです
津久根・麦穂
【鳥王】ネムネさん、志蓮さんと三人
群れに遭遇すると、ホルスターから
小型の片手斧【マスターキー】を引き抜いた
無いよりマシな程度のちっぽけな武器
だが狭い場所を行き来する迷宮戦特化の武器でもある
ちなみに解錠の際もこれで鍵を叩き割る
鍵開けに関してはやや雑な麦穂だった
メイジの射線を警戒しつつ
味方の射線を邪魔することなく
敵を誘導するように動く
無理に切り込むことはしない
後方のキングから全ての護衛が離れる
あるいはキングが1人で逃走する
チャンスはその時だ
【携帯仕掛け罠】を使えば並み居る護衛を無視して
瞬時にキングのもとに辿り着けるだろう
最弱の盗賊は仲間を信じてその機会を待つ
【アドリブOK】【UC詠唱不要】
猟兵達の活躍によって、ゴブリン軍団の半数近くが撃破された。
ゴブリンキングは周囲の部下に指示を出しながら、慌ただしく戦場を駆けている。
敵陣とぶつかり合うほんの少し前の地点で、ネムネは敵陣の様子を観察していた。
「後はキングを倒せば攻略完了ですね」
つい先ほどまでは余裕の態度だったが、今のキングは指揮もままならない状況。
集団を同時に指揮する骨の杖。自身に部下の視線を注目させる銀の王冠。戦場の見渡しを良くする玉座。
その全てが猟兵によって破壊されてしまい、統率能力が大きく落ちている為である。
「随分と忙しないな。持ち直される前に、急いで倒そうか」
「了解です。それじゃあ、ネムが先陣を切るですよ」
あの状態で策などを考えている余裕はないだろう……そう考えた志蓮は、アサルトウェポンを構えて。
ほぼ同時にネムネもガトリングガンを構えると、ゴブリンの群れに発射した。
戦いを始めた二人より少し後方に、麦穂は片手斧『マスターキー』を手に持って、二人の元に増援が行かない様にミニゴブリンを叩いていた。
「ふむ。やはり集団戦闘は厳しいですね」
マスターキーは、狭い場所で振り回すのに便利な迷宮戦特化の武器。故に、この様に広いフロアでは中々使い難い。
それでもあると無いとでは、やはり違う物がある。
「出入り口は……二つ。私達が入ってきた入口と、あの奥にある通路……」
キングを撃破する為の情報整理をしつつも、ミニゴブリンを倒して行く。
麦穂は二人を信じて、機会を待ち続けている。
タタタタタッ、とルーンによって強化されたネムネのガトリングがゴブリンの群れに放たれると、次々と吹き飛んで行ってしまう。
範囲は広いものの、全てをカバーできる訳ではない。撃っている地点とは別の場所から、ゴブリンナイトが走って来る。
「法月さん!」
ネムネの言葉を聞いた志蓮のアサルトウェポンから放たれるのは、徹甲炸裂焼夷弾。
ナイトに着弾すると同時に、その周囲のゴブリンごと凄まじい熱量の炎で、一瞬にして焼き尽くしてしまった。
「どうだ、虎の子の弾丸の味は」
範囲外のゴブリンも、そのあまりにも高い威力に驚いて、混乱している程だ。
ネムネもまた、その威力に驚いていた。
「すごいです……でもそれ、結構お高いんですよね?」
戦闘後の宝をアテにする程に、馬鹿げた製造コストがかかる代物。
志蓮は無言のまま、若干……いや、かなり哀しそうな眼をしていた。
「あっ、法月さんッ! 麦穂さんを守ってッ!!」
ネムネは周囲を見回しながらゴブリンの群れを撃っていると、麦穂がゴブリンメイジに攻撃されているのを見た。
今、ガトリングの標的を移してしまえば、今度は自分達が窮地に陥る可能性がある。ならば、志蓮に任せるべきだと考えて。
「任せろ」
一言だけ告げると、アサルトウェポンを構え直した。
「くっ、二匹はキツい……」
メイジ二匹……群れから逸れた一匹と、入口から現れた増援。
ミニゴブリンは確実に仕留めていた為、もう殆ど存在しないが、この二匹に麦穂は苦戦を強いられている。一匹が詠唱している間に、もう一匹が炎魔法。それを繰り返して、麦穂に攻撃する機会を与えない。
「どうにかして隙を……!」
一体のメイジに飛来する、一筋の稲妻。志蓮が放った銃弾の一撃は、見事にメイジの頭を貫き、絶命させる。メイジはその方向に目を向けて、隙を見せてしまい……。
「そこですッ!!」
メイジに飛び掛かり、マスターキーを振り下ろして、その頭を叩き割ってしまった。
麦穂はマスターキーを掲げて、二人に感謝の意を示した。
「お見事ですよ、法月さん!」
ネムネはガトリングを撃ちながらも、志蓮の狙撃を褒めて。
志蓮がそれに不敵に笑っていると、視界の端にキングの姿を捉えた。
「キングだッ! 追い詰めろ、ネムネ!」
「任せるのです!」
移動するキングの前方にガトリングを撃つと、すぐにキングは引き返して行く。
「食らいな……!」
徹甲炸裂焼夷弾を装填すると、それをキングに向けて放とうとして。
それに気付いたキングは、すぐ側にいるミニゴブリンを掴むと、弾丸の射線に投げ付けた。爆発と共にミニゴブリンは消し飛び、周囲に炎が撒かれる。
「ぐっ……! 一発無駄にしたか……」
「いえ! キングも燃えているのですよ!」
マントに燃え移り、慌てふためくキング。
すぐにマントを外すと、キングは凄まじい声量で言葉を発する。
「グ……グガガア! グルルララガガガァ!! グギャガギャギャガッッ!!!」
人間では翻訳し切れないであろうその言葉は、周囲のゴブリン達の目を惹き付ける。
言い終わると、すぐに走り出して逃げようとするキング。
「逃さないのですよッ!」
キングに向けてガトリングを放とうとするネムネだが、立っていたナイトを射線上に無理矢理引き摺り込んで、それを盾にして逃げ切ってしまう。
そうして、キングは奥にある通路へと潜り込むと、仕掛けで通路を塞いでしまった。
「逃げたですね……でも、後は」
「ああ、そうだな」
二人は目を合わせて、ゴブリン達へと向き直る。
ゴブリン達はキングが逃げてしまったので、統率が取れていない。連携も、質も、行動も……何もかもがバラバラだ。
一人が逃げると、それに釣られて逃げる者も増えて行き……次々と入口に向けて走り去ってしまう。
「……後は麦穂に任せよう」
ネムネは志蓮の言葉に頷いて、二人は麦穂の無事を祈るのだった。
王は逃げていた。軍を捨ててでも、自らが生き延びる為に。
恥も外聞もない、自分さえ残っていれば軍は作り直せるのだ……。
「そうは行きませんよ」
キングの通路を先には、麦穂が立っていた。
最初から今まで、この時の為に、ずっとキングの動きを観察し続けていた。
キングを確実に仕留める為に、二人に追い込んで貰うよう事前に指示をしていた。
「これが無かったら逃がす所でしたね……」
携帯仕掛け罠。本来ランダム転移であるテレポーターの罠を、任意に操作したユーベルコード。これでこの通路まで飛んで来たのだ。
そうして、麦穂はマスターキーを構える。対するキングの武器はない。
「グルルルル……!」
前にも後ろにも逃げ場はない。キングは拳を握ると、麦穂を睨み付ける。
拳で殴り掛かるゴブリンの王。斧を振り下ろす最弱の盗賊……猟兵対ゴブリンの最終決戦は、ただの数秒で終わった。その結末は……。
「私達の勝利ですっ!」
高らかに通路に響き渡るのは、麦穂の声だった。
一足先に通路を進むと、大きな宝箱と、出口に繋がるであろう縦穴を見付けて。
「これは……凄いですね。このダンジョンの秘宝でしょうか……」
マスターキーを振り上げて、宝箱の鍵に叩き付けて破壊する。
盗賊としては雑な開け方だが、これが麦穂流。宝箱に手を付けると、そっと開いて中身を見る。
「おおっ!? これは……ッ!!」
果たして、その中身はなんだったのだろう。
その答えは、今は麦穂のみが知っている。
●ゴブリン軍団、殲滅
逃げるゴブリン達はトラップに掛かって全滅。
一つだけ逃げる事が可能な穴の上には、ネムネの仕掛けた飛行船が設置されており、穴から出て来たゴブリンを砲撃で消し飛ばしてしまう。
ゴブリンの逃げ場はなく、完全に殲滅された。
こうしてゴブリンは滅びて、猟兵達は各々、幾らかの結果を手に入れて帰って行く。
それは情報か、財宝か、経験か……人によって違うだろうが、何かしらは掴めた筈だ。
大成功
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