第六天囲~ガラシャ、入城~
●十二将軍議
街道が整備され、徳川幕府の威光が遍く世に行き渡っていて、なお。その光届かぬ場所は確かに存在する。
「――勅命が下った」
そのような闇に覆われた場所に集うのは12の影。
「あのお方のため、我らはここに集った」
闇に浮かぶ顔――それは細川ガラシャと呼ばれる女武将だ。
ここに集う彼らの姿形は千差万別だが、その共通点は彼らが皆、過去の残滓たるオブリビオンであること。
歴戦の風格漂わせる将から百鬼夜行の妖までが、ガラシャの元に集まっていた。
「この城を落とすため汝らの命、頂戴したい」
ガラシャが示した地図を囲い、それぞれの役割を告げる。
その声がやんだ後、一瞬の静寂を挟んで影たちは一斉に動き出す。
ここに産声を上げるはオブリビオンの大軍勢。過ぎ去ったはずの戦国が、今の世に蘇る。
●天を守れ、猟兵
グリモアベースの光景は、サムライエンパイアのそれに染まっていた――映し出されているのは平野城、しかも海辺に面することにより敷地内に港湾部を持つという非常に珍しい形の城だ。城壁に囲われた城下町も決して小さくない規模であり、陸路か海路かを問わず人の出入りも激しい徳川幕府の交通・商業の要所である。
「さて、お集り頂いたのはほかでもないわ――この城がオブリビオン『たち』に狙われているの。皆には現地に突入して、オブリビオン軍……信長軍と戦ってもらうわ」
ニコラがグリモアを操作すると、映し出されるのは合計24体のオブリビオン。2体ごとに1くくりにされたその映像には、他のグリモア猟兵の名前も記されていた――どうやら、多数のグリモア猟兵が同時に関連する事件を予知したようだ。ニコラの言によるとその「軍」はサムライエンパイアのオブリビオン・フォーミュラ、織田信長の命により動いているらしい。
「ニコラが送り込むのは――このオブリビオンの元よ」
ニコラの元に集った猟兵たちに提示されるのは、大太刀を構えた男と無数の女鎧武者を従えた女武将。刀の男の名は知れないようだが、女武将には「細川ガラシャ」というキャプションが付いていた。
「――戦闘場所は、城の天守。他のオブリビオンたちが起こす騒ぎに乗じて電撃的に城の中枢部を狙ってくる彼らを迎撃するのがあなたたちの役割よ」
城の守りが盤石であれば、あるいは城付きの侍たちでも防げたかもしれない――しかし、同時多発的に信長軍が仕掛ける「戦争」は猟兵抜きにはその未来を許しはしない。
「ニコラが転移ゲートをつなげるのは、天守の第1層になるわ……押し込まれることは大前提、けれども天守の最上部をガラシャに獲られることだけは許してはダメよ」
仮にガラシャが天守最上部――全5層の頂きにある城の主にしか入場を許されないその場所まで押し入ることとなれば、それは実質的な落城を意味する。つまり、猟兵たちは第4層までにガラシャ率いるオブリビオンの軍勢を討伐しなければならない。
「まずは天守の入り口を壊して刀の男が単騎で仕掛けてくるわ。それを凌いだらガラシャ率いる女武者たち、そして最後に大名『細川ガラシャ』ね」
オブリビオンの勢力を改めて示すとともに、ニコラが映像に出力するのは猟兵が突入する時点で城に詰めている侍たち――侍女と思われる女薙刀武者や城主の身辺警護を主な任務とする忍者を中心としたその戦力は、特にガラシャ率いる女武者との戦闘では猟兵との連携で高い防衛能力を示すだろう、と注釈がある。
「――世界の命運を左右するようなものではないけれど、これは信長軍との戦争よ。みんな、気を引き締めてかかってちょうだい」
説明は以上、と締めくくり、ニコラは城の守りに出陣する猟兵を募った。
Reyo
はじめましての方ははじめまして、そうでない方はいつもありがとうございます。今回は連携シナリオとして総勢12名のマスターで大攻城戦「第六天囲」をお送りします。
Reyoの担当箇所は天守閣、オブリビオンの軍勢たちが最終目標としているところです。
また、隣接・関連する戦場としましてはねこですMS(天守裏市街門)、ぷっさんMS(屋根伝いの天守狙い)があります。他の連動シナリオを覗かなくても問題なくお楽しみいただけますが、余裕のある方は見ていただければ、より一層シナリオをお楽しみいただけるかと思います。
では、シナリオを通じての注意点など。
●オブリビオンの進軍について
本シナリオでは猟兵の獲得する赤丸の数に応じてオブリビオンが天守を制圧します。オブリビオンが各階層を制圧するのに必要な猟兵の赤丸数は「6こ」となり、赤丸数は章を跨いで累積します。なお、章クリアに必要な青丸が満たされた後の赤丸は含みません。
●第1章:大太刀の剣聖
天守正門をその剣技でぶち割って突入してきます。猟兵のほうがわずかに早く現場に到着しますので待ち構えることが可能です。
●第2章:切支丹女武者
ガラシャの指揮で突入してきます。このオブリビオンに対しては天守内にいる侍女や忍者との連携が重要となります。猟兵の指示に従ってくれますので有効活用してください。
●第3章:細川ガラシャ
第3章突入までの累積赤丸数によってガラシャの主目的が「猟兵を倒すこと」と「猟兵をスルーして天守を制圧すること」のどちらかとなります。第3章開始時にどちらを目的としているかの断章が入りますので、それに従い戦術を構築してください。
以上です。それでは信長軍との戦争を開始しましょう。
第1章 ボス戦
『『大太刀の剣聖』無名』
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POW : 斬空の型・烈天
【薙いだ大太刀から迸る嵐の如き暴風】が命中した対象を切断する。
SPD : 斬燕の型・無刃
【光を凌駕する斬撃を空間に刻むこと】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【割れた空間から溢れる無数の斬撃波】で攻撃する。
WIZ : 仁王の型・止水
全身を【対象を追尾する斬撃波を放つオーラ】で覆い、自身が敵から受けた【負傷および、その場から動かない時間】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
イラスト:抹茶もち
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠レイ・アイオライト」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
黒川・闇慈
「なんとも大規模な攻勢ですねえ。さて、槍働きならぬ術働きでもしましょうか。クックック」
【行動】
wizで対抗です。
さて、相手はその場から動かない時間が増えるほど戦闘力が増すのでしたか。では、一定地点に留まらせないようにしましょう。
属性攻撃、高速詠唱、全力魔法の技能を活用し、炎獄砲軍を使用します。炎を相手の左右、前後から一発ずつランダムに突入させ、爆破します。爆風で翻弄し相手を強制的に動かしてしまいましょうか。
「生憎と私は魔術師ですので。遠距離戦に徹させていただきますよ。クックック」
【連携・組み合わせ・アドリブ歓迎】
花盛・乙女
エンパイアの危機に解決を待つ訳にはいかない。
叩くなら首魁…細川ガラシャ殿を討たせてもらう。
花盛乙女、推して参る。
先んじて到着し天守閣正門の内側で待ち受ける。
【黒椿】と【乙女】の二振りを構え、相対すれば名乗るとしよう。
オブリビオンとはいえ剣の高みにあった御身と剣を交える事に先ず礼をしよう。
その上で、悪辣な計画に堕ちたその性根、断ち払ってくれる。
天守閣の中で暴風を撒き散らされては敵わん。
その大太刀を振るうより先に距離を詰め二振りにて「武器受け」。
「怪力」「勇気」で受け切れば「カウンター」の【雀蜂】を放つ。
つまらん芸で遊んでくれるな。
この羅刹女と剣戟を楽しもうじゃないか、剣聖。
■アドリブ共闘歓迎です
白斑・物九郎
●SPD
俺めの【開門】は空間と空間を繋ぐコード
空間をブった斬るテメエの技とは差し詰め真逆ですわな
上等
空間使い同士、首を狩り合うとしましょっかや
・敵に間合いを挟んで相対、遠距離攻撃を誘う
・敵が空間に斬撃を刻んだら(光超えの剣が仕掛けられる位置は目に頼らず【野生の勘】で察知)、割れ往く空間に【開門】の入口&出口をセット、空間を接合し「割れさせない」
・ひたすら敵SPDの相殺を狙い、味方が攻勢を掛ける一助とならん
●反撃(だまし討ち)
・対処の緩急に余裕が得られたら、敵攻撃に対し空間接合相殺が遅れた素振りで斬撃波発射を許す
・と見せ掛けその斬撃波を「入口」で飲み「出口」を敵の背面にセット、斬撃波で自爆させる
荒谷・つかさ
◎
まずは大太刀担いだ剣士が相手?
……良いじゃない。血が滾るわ。
折角だし、直接切り結び合いたい所ね。
まずは【五行同期・精霊降臨術】を発動。
風の五行における属性は木行。
故にこれに克つ金行精霊を身体に降ろし、敵のコードへ耐性をつけるわ(防御力強化)。
この状態で、大剣「零式・改三」のみ担いで真っ向から突撃。
迎撃で放たれるであろうコードを大剣での切り払い(見切り・武器受け・なぎ払い)と裂帛の気合(オーラ防御・衝撃波・吹き飛ばし)及び身に着けた耐性で凌ぎ、近距離での直接の剣戟戦闘に持ち込むわ。
華奢な見た目に似合わぬ怪力と守りを打ち砕く技(鎧砕き)を以て、一気に打撃を与えるわよ。
月山・カムイ
剣聖を名乗るものが相手とは、少しこう……ワクワクしますね?
その大太刀と斬撃には、真っ向から立ち向かわせていただきましょうか
いざ、尋常に……勝負!
その姿を視認した瞬間に、一気に駆け出し間合いを詰める
大太刀と小太刀、戦いを制するにはまず間合いを制する必要がある
なんなら……ニコラさんに頼んで、敵の上空に転移させてもらうのも手でしょうか?
至近距離から切り結び、相手の大太刀を剣刃一閃にて断ち切る事を目標に
こちらも無数の斬撃で迎撃すべきか、という問題はありますが
ここは手数よりも、一撃の鋭さを重視して戦うとしましょう
秋津洲・瑞穂
ふうん。大太刀遣いの剣聖なの?
神代より伝わる霊験の太刀を授かり、剣豪の二つ名を持つ身としては、
どれほどのものか試してみたいわね。
「新当流太刀術、秋津洲瑞穂。参ります」
秋津洲の新当流は妖狐の流派。守りに狐火を使うため受けは存在せず、
斬撃は鎬で弾く。そもそも、よほど速い剣でなければ全て躱して、
弾くこともしない。
ま、剣筋を解説しても仕方ないね。新当流は変転する剣。
腰を落として地を走り、袈裟懸けを主にするとだけ。
断続的な[ダッシュ20]で量産される[残像30]を見てしまえば目が遅れる。
[鎧無視攻撃30・2回攻撃30]による一刀二斬は受けも躱しも難しい、
当たらず防げずの敵を、その大太刀で斬れるかしらね?
●吹き荒れる剣嵐
猟兵たちが天守閣第一層に突入するのと、天守の入り口である門扉が破られるのはほぼ同時であった。
「――なるほど、城の備えがあるとガラシャ殿が断言しておったが。貴様らか」
居並ぶ猟兵たちを見回し、大太刀を持った男――オブリビオン、名無しの剣聖が口を開いた。
「刀持つ者として、こうして相対すれば名乗るのが礼儀と思うが」
「然り――されど俺は既に名を持たぬ身。刀にて返礼させていただく」
二刀――黒椿と乙女の銘刀を構え誰何する花盛・乙女(羅刹女・f00399)への返答は簡素。剣聖はゆっくりとした動作で大太刀を肩へ担ぎ構える。
「――そう、なら一方的に名乗らせてもらうわ」
乙女の影からするりと抜け出し、1人の猟兵が不意打ちを仕掛ける。低く構えた姿勢から放つは居合じみた動きで刻まれる袈裟と逆袈裟の一刀二斬。
「新当流太刀術、秋津洲瑞穂――参ります!」
緩急自在の踏み込みと素早い連撃。それに剣聖がどう応えるのか。相手の実力を図るような先制攻撃は、されど相手が対応しきれなければそのまま仕留められるだけの殺意が内包されていたが――
「……児戯とは言わぬ」
袈裟に一刀、逆袈裟に動きを妨げる剣風が。瑞穂の持つ刀より数倍のサイズを持つ大太刀を軽々と扱って容易くその連撃を迎撃してみせる剣聖。片脚を軸に軽い踏み替えだけで為されたその動作には一切の無駄が存在しない。
「だが、俺には届かぬ」
「どれほどのものかと思ったけれど、剣聖の名は伊達ではないっていうことね!」
自在な踏み込みによる変幻自在な瑞穂の立ち回りを軽々と対処してみせた剣聖。その実力に舌を巻きながら瑞穂がバックステップを踏み――入れ替わるようにして乙女を先鋒に都合3人の猟兵が剣聖へと斬り込んだ。
「花盛乙女、推してまいる!」
真正面から二刀を構え斬り込むのは乙女。
「金よく木を制す――私にその嵐は効きませんっ!」
剣聖のそれと遜色ないサイズの大剣「零式・改三」を華奢な体躯に見合わぬ力強さで横合いから叩き込むのは荒谷・つかさ(風剣と炎拳の羅刹巫女・f02032)。
「いざ、尋常に……!」
そしてこの瞬間を待ち構え、位置の微調整された転移ゲートから剣聖の頭上へと飛び掛かるのは月山・カムイ(絶影・f01363)。
「その意気やよし――!」
鍔迫り合いの剣戟音は一瞬にて三重を――数えない。響く二重、正面から斬り込んだ乙女の刀を大太刀で受け止めた甲高い音に追随するのは、相反して低く重い粘る音。つかさとカムイの一刀を受け止めたのは剣聖の身体にまとわりついた鈍色のオーラだ。
「が、俺が剣聖と呼ばれる所以は、名を捨て我が身そのものを剣と化したが故……!」
即ち、かのオブリビオンはその全身が刃――ユーベルコードによる能力が添えられているとはいえ、猟兵の一斉攻撃と容易く拮抗してみせるその技量はまさしく剣のひじり。
「――しかし、その能力には制限がある。違いますか?」
「だとすれば、どうする?」
腕の一振り、剣の一振りで3人の猟兵を下がらせた剣聖の周囲に咲くのは炎の花。アトランダムな位置に花開いて剣聖の足元や背中目掛けて爆炎がブチかまされる。それらを操るのは黒川・闇慈(魔術の探求者・f00672)――圧縮された詠唱は吐息と変わらず、次々と繰り出される術の展開速度は熟練の技を伺わせた。
「生憎と私は魔術師ですので、こうやって術働きをさせてもらうだけですよ」
くつくつと喉奥を鳴らし笑う闇慈。意図的に、かつ無作為に放たれ続ける炎の花は近接戦を狙う猟兵たちに一息いれる時間を提供するとともに、剣聖に位置替えを強制するもの。
「一箇所に留まり続けなければ、その全身を刃とするユーベルコードは使えない……であれば、動いてもらうまで」
「なるほど、道理よな――それをやり続けられるのであれば」
しかし剣聖も伊達ではない。ギリギリのところで闇慈の爆発魔法を回避し、そのうえで天守外へ退くのではなくじわじわと天守の内側へと踏み込み続ける。それに加え、ゆらりと一刀を構え――何もない空間を薙げばわずかな遅れもなく闇慈の頬に赤い筋が刻まれた。
「――さて、次は首を頂くが」
「……クッ!」
空間を薙いだ斬撃――明らかに当たる筈のない距離にいる闇慈への一撃。いかな理屈か、距離という絶対の物理法則を無視して差し込まれたその一撃に猟兵たちの警戒心が跳ね上がる。
そしてその言葉を剣聖が実行した、その瞬間。
「俺めの前で技を見せ、そこで命を獲らなんだのは悪手ですわな」
ガキン、という音はまるで錠が落ちるそれ。猟兵の血飛沫の代わりとでもいうように、瞬間的に「世界の解像度が落ち」た。その様は世界にかけられたモザイクの如く。
「ワイルドハント、白斑・物九郎――てめぇの技は封じさせていただきますぜ」
「一撃で見切られたのは久々だ、イェーガー。なるほど、小手先の技は見世物にしかならんわけだな」
空間斬撃――光速を超えた斬撃により次元を超越して放つ剣聖の絶技をカウンターしてみせたのは、剣聖とよく似た、けれど全く逆の理のユーベルコードを操る白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)だ。剣聖の仕掛けた空間断裂を物九郎は「斬撃が放たれるより早く繋ぎ合わせておく」ことにより無効化したのである。世界に生じたモザイクは迎撃成功の証だ。
「――で、あれば」
ス、と。歩みを摺り足に切り替え、剣聖は猟兵たちに改めて向き直る。4人の剣士と2人の術士によって構成されたこの第一層の守護者を乗り越えるために。
「抜かせるとでも思うか? ――さぁ、純粋な剣戟を楽しもうじゃないか、剣聖!」
仕切り直し。仕掛けるは乙女。闇慈の爆炎を隠れ蓑に、物九郎の防御を信頼し吶喊するその姿は羅刹の2文字がよく似合う。
受けるは一刀、剣聖の大太刀が器用に乙女の二刀と鎬を削り。
「――奮ッ!」
受けられた刀の接点を軸とし、そこを回り込み抉るようにして放つ乙女の「拳」が剣聖のみぞおちへと刺さった。そのユーベルコードの名は雀蜂――刀の一撃はあくまでも布石に過ぎず、刀を受けた者へと放たれる拳を主体とした技。
「ヌッ――!?」
乙女の手に返る感触は深くもなく浅くもなく。致命に遠くとも、しかし隙を生み出すには十分な重さの伴ったソレに剣聖の動きが瞬に満たぬ僅かながらも鈍る。そして剣聖の動きがほんの僅かでも鈍れば。
「――その隙は見逃しません!」
差し込まれるのは、平常であれば手数を増やすことに費やす速度、その全てをひたすらに一撃の鋭さへと注ぎ込んだカムイの刃。取り回しに優れる小太刀ならではのコンパクトな立ち回りから繰り出される一撃が狙うは剣聖の持つ大太刀。切断という概念へ昇華されたそれは、受けねば命を、受ければ得物を獲る致命の一撃。
「なるほど、天守の守りを任されるだけのことは――!」
ある、の2文字は言葉にならず。小さくない苦悶を表情に浮かべつつ、剣聖は強引に大太刀を振るうことで乙女を弾き飛ばし、カムイの刃へは己の腕をあてがうことにより対処――刀を失うより片腕を失うことを選ぶその動作は、猟兵相手に片手で十分という驕りか。あるいは、身を削ってでも己の役目を果たすという覚悟の表れか。
「であれば、この命と引き換えにでも――貴様らは抜かせていただこう」
「――その物言い、自信……血が滾るわ!」
間髪入れず剣聖へと接近するつかさ。つかさが両手で構える大剣と、剣聖が片手で操る大太刀とが激突し――そのあまりの勢いに激突地点を中心として天守が揺れた。
「女だてらに正面から俺の刀を受けるかっ!」
「そちらが両腕なら吹き飛ばされていたでしょうけどね――!」
一度食らい付けば離さないとでもいうように――防御はユーベルコードで得た金行精霊に任せ、超至近距離で大剣をブン回し続けるつかさの姿も、また羅刹のそれ。
戦場は一進一退――片腕切断というダメージを与えつつも、戦況は予断を許さずにいた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
音羽・浄雲
※アドリブ、連携歓迎です。
「秀林院。また懐かしい名を聞きましたね」
旧知とまではいかないが聞き覚えのある明智の姫君の名。まさかオブリビオンに堕ちていようとはと目を細める。
「ともあれ、織田に着くというのならば滅するまで」
眼前にいる敵将を見やり、だらりと垂らした腕の袖口から糸を零す。
「音羽忍法【絡新婦】。いかな剣聖と言えども振らざればその刀もただの棒切れと変わりません」
浄雲の手から放たれた糸が敵将を絡め取らんと広がる。その狙いは足止め。
そしてその本命は絡新婦に混じえて垂らした【詭り久秀】。絡新婦を囮として目を奪い、詭り久秀で絡めて刻む騙し討ち。
「織田の尖兵よ、我等が怨みを思い知れ!」
遠呂智・景明
芦屋・晴久と連携
久しぶりの大戦、血が滾るねぇ。
とりあえず、敵の妨害は芦屋に任せるとするか。
俺のやることは単純明快、近づいて斬る。
刀だった頃から何一つ変わりゃしねぇ。
芦屋が敵の動きを遅らせてる間に一気に決めるぞ。
UCを使って斬撃の雨霰。
てめぇが暴風を起こそうが、その状態でこの量の斬撃は凌げねぇだろうよ。
悪いが、負ける気がしねぇわ。
とっとと大将首を出すんだな。
芦屋・晴久
遠呂智・景明と連携
アドリブ歓迎
おやおや、正門を割って入るとは随分と乱暴ですねぇ。
ともあれあの接近能力は厄介だ、妨害させていただきましょう。
御魂、貴女の出番です。相手は負傷した分だけ、そして身動きが取れない間、その身体能力を上げていく……
動きを止めてはいけないのならば……御魂と合わせて麻酔術式を奴の足元に展開、局所的に動きを制限させる事により敵のUCの発動を遅滞、妨害を狙います。
【医術】少々嗜んでおりまして、人体の構造には少しばかり知識もあります。効率良く四肢に麻酔を掛けて行くとしましょう。さぁその大太刀、防がせて頂きます。
鳴北・誉人
饗(f00169)と一緒
階段前で防衛
刀構え、敵の攻撃を見切れるよう覚悟決めて気合い入れる
ずいぶんナメられてンな、単騎だとよ
いこォぜ、饗!
この先は通行止めだぜ
出し惜しみはナシだ
暴風に負けないようUCの花弁はオーラを纏わせて防御
花弁ならいくらでも切断しろ
饗の邪魔ンなってねえ?
花弁は目眩しになるか?
花舞う中脇差抜いて、返す刀で二回攻撃
苦無で生じた隙は見逃さねえ
衝撃波が饗を狙えばオーラ纏う刀で受け庇う
「俺の相棒になんの用だ
間に合わなければ敵との間に立ち守る
「これ以上はさせねえ…!
「俺、縮こまってたァ?(自覚なし
装備の二刀で連撃、攻撃は刀で受け弾き、UCと脇差の乱舞で斬る
「コレで、どォだよ!文句は?饗!
香神乃・饗
鳴北・誉人(荒寥の刃・f02030)と
「威勢が良いにも程があるっす
誉人が燃える奴じゃないっすか?
「っす!行くっす!
香神写しで武器増やし準備万端
階段に剛糸張り巡らせ地形を利用し罠はり封鎖
階段前で防衛
階段以外に穴あけられない様波動先も警戒
「誉人俺を気にして縮こまらなくて良いっす
存分にやるっす!
誉人が戦い易い様フェイントかけ援護
敵を苛立たせる様死角や崩せる方位から打込み続け挑発
暗殺されない様警戒
暴風や衝撃派は苦無を防御対象周囲に旋回させ庇い竜巻で相殺狙う
通す訳無いっす
(今度こそ護ると決めたっす、二度と…をなくさない為に
視界から逃れれば勝機がある
花弁と苦無を隠れ蓑に暗殺を狙うっす!
「ある訳ないっす
笑顔
●タッチダウン
「おうおう、単騎とはずいぶんナメたことしてんじゃねぇか? ――交代の時間だぜ。ここからは俺たちに任せなぁ!」
天守を揺らした剣戟の押収が収まると同時。剣聖の片腕を落とした猟兵たちを慮るような声と共に新たな猟兵たちが到着した。
「誉人が燃える奴じゃないっすか? ――実際、威勢が良いにも程があるっすからね」
軽口をたたきつつ、第二層へ至る階段前から構えるのは鳴北・誉人(荒寥の刃・f02030)と香神乃・饗(東風・f00169)の2人。誉人が構えるは刀、饗が仕込むはいくつもの苦無とそれにつながる鋼の剛糸。
「相手は私たちの負傷をも力にする様子……それにまだ後もあります。ここは効率よく行こうとしましょうよ」
ちらりと剣聖の身体を見やりつつ、紫煙をくゆらせるのは芦屋・晴久(謎に包まれた怪しき医師・f00321)である。効率よく――相手が1人であるのならば、猟兵側は数を生かした波状攻撃を。彼の提案するのはそういうことだ。
「だとして、どうするつもりだ、イェーガー」
「――いえなに……私はほんの少し、時間を稼がせてもらうだけですとも」
晴久の言葉にさすがにカチンと来たのか、剣聖が口角を歪めながら声を挙げる。その間にもじりじりと先陣を務めていた猟兵が退き――転移ゲートを利用した陣容のスイッチングはごく短時間で完遂された。
「相変わらず煙に巻くのが得意なこってな、晴久? ――ちょっと相手が変わるだけだ。てめぇの首が落ちるっていう結果は変わらねぇから安心するんだな、オッサン」
入れ替わるように最前線に出るのは遠呂智・景明(いつか明けの景色を望むために・f00220)――晴久と同様に剣聖を煽るような言葉を口に上らせるのは、果たして作戦かそれとも素か。
「……どうあれ、織田に着いている者は滅するまで。まさか、片腕を獲られた程度で退くような覚悟でもないでしょう?」
それをさらに加速させるのは猟兵たちの中でも最後衛に陣取った音羽・浄雲(怨讐の忍狐・f02651)――織田に与する者たちの大攻勢と聞いて駆け付けた彼女の目には、この天守攻めを主導する者への僅かな想起。
「……首を落とすだの、片腕程度で退くだの。好き勝手言ってくれるな」
応じる剣聖の言葉にも苦笑が混じる。片手で器用に大太刀を構えなおすその姿に滲むのは不退転の文字。
「――首や命で道が開けるのなら、安いものよ」
トッ、という踏み込みの足音は軽く。達人域のソレで剣聖は一気に景明へと詰め寄る。
「わざわざそっちから寄ってくれんのかよ!」
景明の反応は熾烈の2文字。突っ込む剣聖を中心とした数mの範囲に刻まれるのは無数の斬撃。一瞬にして百を超えたその斬撃はあくまでも剣聖の身体を捉え損ねたいわばハズレであり――それ以外の数百発は剣聖の全身へと降り注いでいる。
「どうした? ――急に寄られて焦ったか? どれも……浅いぞ?」
が、それらを物ともせず、無数の手傷を負いながらも大太刀を振りかぶり剣聖は景明の首を狙っていた。生存を目的に含めていない剣聖の動きはまさに修羅。
「仲間はやらせねぇよ!」
そこをインターセプトするのは誉人の花嵐。ユーベルコード「千華一花」によって刀から変じた白い花吹雪が剣聖の動きを横合いから妨害し――その一瞬を利用して景明は大太刀の圏内からどうにか逃れた。
「こっちも、行くっす!」
そこに抜群の呼吸で合わせる饗。ユーベルコードで複製した苦無に剛糸を結わえ、放ち構築するのは触れれば切れる鋼の結界。剣聖の動きを牽制するとともに、その行動範囲をじわじわと絞り込んでいく算段だ。
「片腕だと、どうしても無茶になるようですねぇ。剣筋がぶれてますよ?」
飄々とした言葉で剣聖を挑発しつつ、されど晴久は「嗜んでいる」と嘯く医の知識を以てその動きを冷静に解析。式符を選び召喚陣を描けば、この戦場に最適な式神を選び呼び出す。
「……なので御魂、貴女の出番です。私たちは物理的に、ではなく医学的にその動きを封じさせていただきましょう」
クイ、とサングラスの位置を直し晴久は式神御魂を剣聖へと突っ込ませる。御魂の権能は術式麻酔――動きを鈍らせ感覚を奪うそれは、確かに今この状況で剣聖にとって最も「嫌な」攻撃。直感的にその式神の危険性を理解してか、剣聖が巧みな刀捌きを見せるが――
「その刀も、振らざればただの棒切れと変わるまい?」
ここにきてようやく動きを見せたのは浄雲。一瞬の好機を狙い彼女の掌から放たれたのは忍法【絡新婦】の粘る糸。饗の用意した剛糸結界を利用し絡ませることで直線ではなく剣聖を回り込むような射線を通ったその糸が狙うのは、いままさに剣聖が振った大太刀そのもの。
「たかが蜘蛛糸ごときが――!」
技量と剛力、その2つを以て剣聖が選択するのは力尽くの突破。実際、いかに柔軟かつ丈夫とはいえ、剣聖の極剣を受けて捕らえられるほどの頑強さは絡新婦になく。しかし、晴久の御魂を通すことに成功し――
「……ええ、織田に与する貴様であれば。そうやると思っていました」
加えて、力尽くで絡新婦を破られることは浄雲の計算通り――その本命は絡新婦に紛れて放った別種の糸、詭り久秀。床に垂らしていたその糸を指先ひとつで引っ張り上げ、剣聖の動いた先へと張れば即席にして致命のトラップの出来上がり。
「織田の尖兵よ、我等が怨みを思い知れ!」
水風船の割れるような音と共に浄雲のワイヤートラップが奪ったのは剣聖の足。刀を奪うことを目的と欺瞞し、その実狙ったのは剣聖の動きを完全に止めるための一手。そこに晴久の術式麻酔がかみ合って、一瞬とはいえ剣聖に「足が斬られた」という感覚を悟らせず。刀を振り抜く動作で足腰に力を入れた剣聖が、まるで滑るようにつるりと転けた。
「なっ!?」
「動きを鈍らせるつもりでしたが――予想以上に効きましたね」
完全に猟兵たちの術中に嵌った形となる剣聖が呻く。己の術式麻酔と浄雲の罠とが奇跡的に噛み合った結果を見て、晴久は戦況がほぼ確定したとでもいうように息を吐く。
「……なるほど、確かに俺はここまでのようだが」
床に膝を付く形となった剣聖が苦し紛れのような言葉を漏らし――目にも止まらぬ速度で刀を投げた。つい先程まで何よりも重要視していた武器を投じるというその動作に誰もの反応が遅れる。投じられた刀の射線上にいるのは饗……第二層へ上る階段前を封じる最終関門。
「ッ! 俺の相棒に、何の用だてめぇ!」
僅かに遅れつつも反射的にそこへ割って入るのは誉人。投じられた刀は勢いを完全に殺すのは困難、故に選ぶのは抜いた脇差による払い。寸でのところで饗への直撃という最悪の結果を避けた誉人は安堵の吐息を漏らすが。
「――甘いな、甘すぎるな、イェーガー! 俺は負けたが……勝負には『勝った』ぞ!」
誉人に弾かれた刀の向かった先は、階段後方の壁……そこに突き刺さった瞬間、剣聖のユーベルコードが発動。天守第二層へと続く階段付近の壁を悉く切り刻んで後続への道を開く。
それとほぼ同時。刀とすれ違う形で剣聖に接近していた景明の一刀が最初の宣言通り、その首を叩き落としていた。
「なんて顔しやがる。たかが一層、抜いた程度でいい気になりやがって……悪いが、俺たちは負けねぇぜ」
いっそ清々しい様相の剣聖の死に顔を見て景明の一言。剣聖最期の一撃は猟兵の命と剣聖の作戦目的とを秤にかけさせた形であり、そういう意味で「仲間の命選び、その代償として第一層を失った」態の猟兵は甘いのかもしれない。
「――俺は甘いか、なァ、饗?」
「んな訳ないっす……守ってくれてありがとっすよ、誉人」
僅かに肩を落とす友の背を力強く叩いて、饗は笑顔を浮かべる。
「――確かに、天守に誰も入れないっていう完全勝利は消えたっすけど……まだ、俺たちは負けてないっす」
むしろ、都合11人もの猟兵を相手にあれだけの大立ち回りをした剣聖を第一層だけで食い止めたと前向きに考えようと語る饗。誉人だけでなく他の猟兵もその言葉に頷き、そう時間を置かずに敵兵たちが侵入してくるであろう第一層から第二層へと戦場を移すのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
第2章 集団戦
『切支丹女武者』
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POW : 鉄砲三段
【鉄砲の一斉発射】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 部位狙撃
【鉄砲】から【トリモチ弾】を放ち、【手や足を狙う事】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : 聖母の慈悲
【聖母に捧げる祈り】を聞いて共感した対象全てを治療する。
イラスト:森乃ゴリラ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●天守第二層にて
剣聖がその命と引き換えに穿ったのは天守第二層へと続く階段付近の大穴。都合2箇所の入り口がある形となった第一層を放棄し、猟兵たちは第二層での防衛戦へと移る。
剣聖に続いてこの天守に攻め入るのは、総大将細川ガラシャに率いられた多数の女武者……ガラシャの薫陶を受けた彼女らはその実力こそ猟兵に遠く及ばないが、その数が問題となる。
故に。
「先の剣士との戦いでは役に立てませんでしたが――相手が数を頼みとする兵であれば、我々にもできることがあります」
第二層へ退いた猟兵たちに協力を申し出るのは薙刀を携えた侍女兵と短刀で武装した忍者。
「――各々方に数名付けるだけの人数は居ります。どうぞ、なんなりと申しつけください」
猟兵の指揮下に入る旨を告げる侍女兵長らしき者が頭を下げるのとほぼ同時。
――階下、第一層へとどかどかと踏み込んでくるオブリビオンたちの足音が響いた。
※第2章プレイングは7/15午前9時から受け付けます※
荒谷・つかさ
力量差のある人たちと足並み揃えてっていうのは、得意じゃないんだけれど。
ま、やれないことはないわ。
あなたたち、死なない程度に無茶しなさい。
大丈夫、私の術で底上げしてあげるわ。
事前にコードの副作用による空腹対策はさせておく(携帯糧食を多めに持ち込む等)
【五行相生・精霊砦】を発動。
第二階層を「砦」へと変質させ、攻めるに難く守るに易い地形へと変える。
具体的には身を隠せるような頑丈な障害物を大量に出し、敵の鉄砲の利点を封じるわ。
戦闘では私が正面から目立つように斬り込んで暴れ、私に気を取られてるうちに侍女兵と忍者たちを側面や背後に回り込ませて奇襲させるわ。
散ったなら一体ずつ包囲して各個撃破よ。
月山・カムイ
◎
私は将ではなく兵ですので、誰かを率いるのには向いてませんが
そうですね、では少し撹乱する方向でお手伝いいただけますでしょうか?
忍者を数人借りて、私を盾に敵陣へ突撃する
私が敵の目をひきつけ、撃ってくる鉄砲の一斉発射をユーベルコードで叩き落とします
連続発射が出来る性質のものでも無いでしょうから、一斉発射の合間で弾込めもしくは三段撃ちの入れ替えの合間に、煙玉等を敵陣内部へ投擲してもらい
敵の三段撃ちの連携を崩してもらう
隙を一瞬だけ作っていただければそれで構いません
そのまま敵陣の只中へ突撃していって、煙が晴れた時には真っ只中に居て
そこから一気に周囲半径47mを斬り刻んでみせますので
●精霊天守
どかどかと階段を力強く踏みつけ、切支丹女武者たちは足早に第二層へと駆け上がる。上下差のある階段という位置は守るに易く攻めるに難い。敵――猟兵たちが待ち受けているとすれば其処だろうと踏んでの動き。
「――何だこれはっ!?」
その拙速な突撃は待ち受ける敵が居なかったという意味では正しく、そして……そもそも猟兵の仕掛けてくる戦術が異なったという意味では間違いであった。オブリビオンの眼前に広がるのはまるで迷路のような形状へと変質した天守第二層。猟兵、荒谷・つかさがユーベルコードにより仕込んだ「天守内要塞」の姿である。想定とあまりにも違い過ぎる戦場の様子に、女武者たちの歩みが鈍った。
「まぁ、普通はそうやって驚きますよね」
そして、その一瞬があればカムイにとっては十分。身を隠していた曲がり角から階段方向へと突進し、そのまま女武者の一番槍を切り捨てるまでの時間は秒という単位ですら長い。
「……てぇっ!」
先陣が切り伏せられたところで、女武者たちも揺るぐような精神はしていない。2番手、3番手の者たちが次々と鉄砲を構え、誰となく叫んだ号令に従って一斉に銃撃を放つ。
「そうやって数を頼りにするのも――予想通りです!」
鉄が木にめり込む音は多数、されどそれに伴う血飛沫は皆無。女武者を切り捨て、返す刀で放たれたカムイの斬撃波が銃弾の大半を叩き落とすか斬り弾くかしたのだ。
「先陣、下がれ! 三段撃ちを――」
「やらせません! 今ですっ!」
その瞬間、戦場の最前線に奇妙に空隙が出来上がった。カムイのバックステップと女武者たちの陣替えが重なったが故であり――そこへ投げ込まれるのはカムイの指揮下に入っていた忍者たちによる煙玉。カムイの前に1つ、女武者の陣中目掛けて1つ、そしてその中間に1つの計3つ。忍び故、投擲の寸前までその存在を悟らせない動きは流石のもの。つかさが要塞を組み上げるのに用いた「五行相生・精霊砦」による能力強化もあって、本来の実力以上に引き出された忍者たちの技能が作り出した煙幕の道はカムイにとって絶好の好機を生み出す。
「……敵の初動はこれで崩します!」
煙幕が晴れるまでの時間は数秒。先の寸秒で踏み込むことのできるカムイにとってその時間は階段周辺を射程内に収めるのに十分すぎる時間。
「絶影――音も無く刻め!」
煙玉の中でロクな連携もできない女武者たちの真っただ中へと踏み入ったカムイによる縦横無尽の斬撃が数人の女武者をまとめて撫で斬る――が、斬られた女武者の遺体を盾に数名の女武者たちが一斉にカムイへと銃撃を放った。
「チッ、本当に数だけは多い……!」
「あまり孤立はしないようにね、カムイさん――援護、左右から! 無茶は死なない程度にね!」
応、と答える侍女兵の声を引き連れカムイの突撃で乱れたところへ踊り込むのはこの要塞の作り主でもあるつかさ。片手は無手、鬼瓦の銘を刺した手甲による格闘戦を仕掛けるためだろうが……もう片手、というか脇に抱えているのは室内で振り回すのに邪魔にならない程度の絶妙なサイズの丸太。
「弾込めの終わっている者から、撃て! 撃てぇ!!!」
カムイへの一撃で再装填が必要となった鉄砲を持つ女武者たちが下がり、また次の
「――残念だけど、私のコレのほうが、早いのよ!」
侍女兵や忍者の援護を受けてカムイが一時的に後退したのを横目に、つかさは三々五々に鉄砲を構える女武者目掛けて抱えていた丸太を勢いよく投擲。応射される弾丸もその大半が丸太に受け止められ、その上で質量差には勝てず。丸太が数人の女武者をなぎ倒して階下へと転がる。
「もう、1本ッ!」
精霊砦の効果で生み出されていた壁、その中でも被弾の多い1枚を力尽くでひっぺがして更にもう一投。その投擲で女武者たちの注意がつかさへと向けば――カムイの離脱援護のために前にでていた侍女兵たちも撤退。
「これで、隙が出来たでしょう!」
それでも、と突進してきた1人の女武者に対してカウンター気味の当身をぶちかまし――最後の一発はその女武者。このやり取りの間にもじわじわと階段から第二層へと侵入してくるオブリビオンたちの足止めになるような位置へと投げつけて、つかさもまた迷路化した通路の中へと飛び退いた。
「……やっぱり、お腹が空くのはどうにもならないわね」
そこで待機していた忍者から塩むすびを受け取り、つかさはユーベルコードのためにカロリーを補給。先陣が終われば次の役目はこの精霊砦を維持することだと意識を切り替えるのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
※途中「カムイへの一撃で再装填が必要となった鉄砲を持つ女武者たちが下がり、また次の」で途切れている文章が入ってしまいました。こちらは「また次の女武者たちが構えるが――」と続きますので適宜補完してください。※
エル・クーゴー
●SPD
・戦闘
使用武装は拳銃を採用します
屋内射撃戦に於いては取り回しが重要です
両手、プラス【メカニック】で拳銃運用に最適化させたマニピュレーター複数本からも敵陣に対しての射撃を敢行(クイックドロウ・一斉発射・範囲攻撃)
ミドルレンジ未満への接近を見た敵個体には【零距離射撃】を敢行します
敵軍の運用火器、分類:マッチロック式と類推
拳銃射撃に並行し本命の【L95式4Dプリンター】を発動
敵所有武装の内、火縄周辺に対しピンポイントで噴霧ないし放水を行うマシンを創造し運用、敵攻勢を阻害します
・侍女兵&忍者へ依頼
貴方方の武装は薙刀及び短刀
当機のマシンによる阻害工作の対象外です
白兵戦にて敵性を無力化して下さい
パウル・ブラフマン
◎【SPD】
持ち前の【コミュ力】を活かして
同行の忍者の皆を【鼓舞】、連携を試みるよ♪
侍女兵さん達もよっ…ヨロシクオナシャス!!(赤面)
協力体制をとることで
事前に入手しておいた隠し通路を含む城内の見取り図を基に
忍者さんに天井裏
侍女兵さんに通路の両脇の襖の奥にスタンバってて貰いたいな。
オレも天井に潜んでおいて
女武者さんが下を通過したら…UC発動!
行くよGlanz、【踏みつけ】ちゃお!!
トリモチ弾を【見切り】して避けつつ
潰し損なった個体をKrakeで根こそぎ近場から狙撃。
罠を張った通路へ追い込みたいな。
「であえー!!」
大声で合図したら
両脇勢は薙刀で串刺し
天井勢は天井落とすか目潰しをお願いしたいです!
●油断と水気は厳禁につき
戦闘が始まって暫く。要塞化した天守第二層は切支丹女武者たちの侵攻を最低限に抑えていたが、それでも数を頼みに仲間の遺体すら塁壁代わりに攻め込む攻勢は緩む様子を見せていない。
「――この通路は猟兵が居ないぞ! 者共、進めェ!」
そして、そうやって侵攻が難しい場所にぽっかりと防御の手の薄い場所があれば――女武者たちがそこに殺到するのも道理である。例えそれが猟兵の仕掛けた罠であろうとも、それを理解したうえで数で圧し潰せばよいと。
屍で道を作る決意をした女武者たちがその通路へ身を踊り込ませたその瞬間……その頭上からヒィン、という甲高い吸気音と共に駆けだす二輪鉄騎が1台。
「ノーブレーキ、フルスロットル! 行くよGlanz!!!」
「なっ――!?」
通路へ突入した女武者たちの背中目掛け、天井裏の隠し通路から愛車「Glanz」と共に躍り出るのはパウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)の姿。隠密の都合上暖気はなし、されど搭載された戦闘機級のエンジンは快調。初速それすなわちトップスピード。女武者の最後衛をそのタイヤで容赦なく轢き潰し、その勢いのまま通路に入った女武者の背中へと突撃をかけるパウル。
「捕縛弾、用意ィ――!」
「それくらいでGlanzが止まるわけねぇじゃん!」
通路の奥を走る者の壁となるべく立ち止まった数名の女武者が鉄砲を構える――が、女武者たちの構えが終わるころにはパウルはGlanzと共にその目前だ。いかな瞬発力があろうとも、パウルがビークルチャージをぶち当てる方が早い。
「それでも――我らはただでは死なぬぞっ!」
銃が折れ、鎧が砕ける――それでもなお、肉体さえあれば出来ることがあるとでもいうように死に体の女武者たちがパウル駆るGlanzの車体にしがみつく。
「てめぇらは忘れてるかもしれないけど、ここに居るのはオレだけじゃねえんだぜ? ……であえー!!」
一方、そうやって足止めされたパウルは落ち着き払って大声を張り上げる。キマイラとしての触手を体のあちこちから伸ばし、その先に装着した砲台「Krake」による砲撃は声と共にその通路に伏した仲間への合図。
「――リアルタイムクラフト、既に完了しております」
バンッ、と。通路を塞ぐように隠し扉が開く。それも、その数は1つではなく複数。パウルの提案により複数の兵を率いて通路脇に隠れていたエル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)が、全員で一斉に身を乗り出したのだ。侍女兵は槍衾ならぬ薙刀衾を展開し、忍者たちは目潰しの礫を投擲。その最前線に位置したエルは両手に構えた拳銃を連射。
「罠があるなど先刻承知――押し通らせてもらう!」
前後どちらにも屍の山、仲間の返り血を浴びながらも女武者たちは止まらない――いや、ここまで踏み込んでしまっては毒食わば皿までなのだろう。銃は1発こっきりの撃ちきりとして構え――
「マッチロック式の携行火器、それに対する対策は既に万全です」
鉄砲が火を噴く寸前に、ジャッ、という鋭い音と共にエルのエクストラ・マニピュレーターの構えた長銃が女武者たちの構えた鉄砲目掛けて発砲された。カチン、という火縄の落ちる音がして、けれども女武者たちの鉄砲はすべて沈黙したまま。
「――平たく言えば水鉄砲ですが。戦力は削がせていただきました」
そう、放たれていたのは水。高圧で放たれたそれは鉄を断つウォーターカッターのような威力こそないが、ある程度の精度で鉄砲の火縄を湿らせる程度造作もないことだ。想定外の方法で武器の1つを潰され、さらには攻撃動作そのものを1つ無効化された形となった女武者たちに文字通り致命的な隙が生じる。
「ここより、この戦場にて原始的な火砲類は一切使わせません――どうぞ、お覚悟を」
刀を抜いた女武者たちに拳銃と水銃の銃口を向けつつエルはこの通路における規定を告げ、本格的な殲滅戦を開始するのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
遠呂智・景明
アドリブ歓迎
芦屋・晴久と連携。
さて、戦場だし女だろうと容赦はしねぇよ。
芦屋が強化した兵士と忍者に協力してもらうとするか。
悪いが、敵の動きを少しでも止めてくれ。
俺も●殺気を放って敵の動きを牽制する。
それに合わせてUCを使う。
呼び出した7体の精霊、それぞれから雷属性の精霊術を放つ。
さあ、敵の動きは封じた。
その首、取っちまいな。
寿命?ヤドリガミだし今更よ。
折れる時は折れるとも。刀だしな。
さて、縛り終えたら俺も前に出るとしよう。
二刀流の●2回攻撃、連撃で敵陣を切り裂くぞ。
さあ、戦らしくなってきたぜぇ!
楽しんでいこうか!
芦屋・晴久
遠呂智・景明と連携
アドリブ歓迎
おやまぁ、団体様が来ておりますねぇ。では防衛戦といきましょう。
今回の戦闘……忍者や兵の方々が協力して頂けるとの事。それでは折角なので足止めをお願いするとしますか。
四神創奏、この地に眠る地霊と龍脈から力を汲み取り彼等と猟兵達の体内、気の流れを活発化させて身体能力を強化します。又、遠呂智君の扱うUCは精霊の力を扱う物、彼の精霊も共に活性化させて支援しましょう。
兵の方々の足止め、遠呂智君のUCが発動した後は光輪杖で牽制しながら冥天導符に呪詛を籠めて光弾として相手に撃ち出して攻撃、妨害となります。
●精霊使いと刀使い
天守第二層、中央付近。圧倒的な数で屍で道を作るようなオブリビオン側の戦略に、猟兵たちは局所あるいは戦術的勝利を収めつつも次第に押し込まれつつあった。第二層はおそらく落ちる――総大将との決戦は第三層での戦いとなるだろうと覚悟を決めつつ、されど。
「ふぅ、団体様が来ておりまして……城の方々の協力がなければと思うと背筋が寒いですねぇ」
煙草の吸殻はきちんと携帯灰皿へ。晴久は滔々と語り続ける。
「皆様も、城がこのような形で急襲されたとあっては肝が冷えたことでしょう? そんな中、こうやって私たちと共に戦ってくださること、本当にありがとうございます」
語る声は低く抑え、淡々としたペースで繰られるソレは呪詛ならぬ祝詞を乗せた精霊への語り掛けでもあり――他の猟兵の構築したこの精霊砦においては相乗効果を生み、仲間の力を晴久の実力以上に補強する。
「――というわけで、次の来客です。防衛戦といきましょう」
コン、と床を鳴らすのは光輪杖。手品のような動作でコートの裾から転がり出たそれは一瞬で伸び、それを中心として数枚の呪符が宙を舞う。
「ってぇ訳だ――俺と晴久で戦場は支える。お前らはお前らで、やっちまえばいい」
「……開いた場所でべらべらと! 数で圧させてもらうっ!」
トントンと軽い動作で二刀を構え、侍女兵たちを率いて景明が前へ出る。それとタイミングを同じくして、精霊砦の中でもやや開けたスペースである此処に幾名かの女武者が走り込んで来た。
「さぁ……首を獲りにいくぜ!」
姿勢を低く、刀を構えて景明は「本体」に念を込める。放たれるのは俗に「気当たり」と呼ばれる高等技術。一般人にでもわかる程に濃縮された殺意であり、なだれ込んできた女武者たちがその殺気に当てられ無意識のうちに全身を強張らせた。
「殺ッ!」
蛇の威嚇音に似た景明の鋭い呼気。合わせて女武者たちの元へと斬り込むのは身軽さに由来する機動力がウリの忍者たち。女武者たちの一瞬の硬直にねじ込まれるのは、そんな忍者たちの投擲する鎖分銅による足止め攻撃。からりからりと、鎖が宙を飛び一部の女武者たちの脚を縫い留め――幸運にも景明の殺気当てから素早く復帰した数名が果敢に刀を抜いて突進した。
「――風林火陰山雷番外、精霊陣!」
その突進した女武者たちにニヤリと口角を上げ、景明が呼び出すは雷の精霊。殺気当てから抜け出した女武者と等しい数だけ呼び出された精霊たちは、景明の寿命を糧として殺気当てよりはるかに強烈な雷撃による拘束を仕掛けた。
「ここは戦場だ、女だろうと容赦はしねぇ」
雷撃に痺れ、女武者たちのうちある者は崩れ落ちある者は筋硬直し立ち尽くす。そうやって完全に動きが止まってしまえば、城仕えの兵たちでもオブリビオンの相手は容易い。
「皆さん、くれぐれも私と景昭君の間から外れないように――動きの止まった者を優先して、確実に」
被雷した女武者たちの対処を数人がかりで確実に済ましていく兵たちの援護は晴久が。
「まだ動ける奴は俺がやるからなぁ! 楽しんでいこうか、オブリビオンッ!」
そしてその言葉通り、鎖分銅で一時的に動きを止められていただけの女武者に対しては景明が。
呪術か剣術か、その違いはあれど的確な役割分担の元にそれぞれがやるべきことを阿吽の呼吸でこなしていく2人。
「さぁて、これで、最後だっ!」
最後の一撃は華麗に。左右それぞれの手で操った刀で2人の女武者を同時に切り伏せる景明。
「――チッ、ここもこの様子じゃ限界か」
刀を鞘に納めつつ、しかし景明が零すのは悪態。その理由はオブリビオンの遺体が骸の海へ還らずその場に残存しているからだ。遺体により物理的に狭まる戦場で戦闘を継続するのは困難この上ない。
「それをこの階層でどうにか食い止めるのが、今の仕事ですよ」
「……ああ、そうだな」
ポンと晴久に肩を叩かれ、それでも景明は少々悔し気に頷いて第三層に向けて移動を開始するのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
音羽・浄雲
※アドリブ、連携歓迎です。
浄雲が所望したのは幾人かの忍び衆。忍びを従え、己自身も忍びであった浄雲としては侍女兵を借り受けるよりは勝手が分かる相手だ。
「我等が役割は陽動です。身を削ぎ、意気を挫き、気力を奪うのです」
浄雲の伝えた作戦は一撃離脱、ただそれだけだった。他の猟兵たちの戦いに紛れて一撃見舞っては退く、忍びの本領。
「存分に戦働出来るようわたくしも動きましょう。さあ、戦果をあげていらしてください」
忍び達を放つと浄雲は欺き光秀と貫き秀次を敵軍へと投擲し、印を結ぶ。
「音羽忍法【付喪神】」
敵目掛けて飛ぶ手裏剣は数を増し刃の奔流となる。浄雲の繰るそれは、敵を刻む刃であり味方を守る盾となった。
花盛・乙女
一層を突破されたか…敵ながら天晴れな執念だな。
覆水盆に帰らず、次なる敵を崩すとしよう。
侍女兵の方々も、己が責務を負うているならば手を借りよう。
さて、先ほどは攻め入った故に敵の進行を許してしまった。
なれば次は守りの剣。花盛流の不可侵の剣舞をお見せしよう。
侍女兵と上層へ上がる階段を背にして敵と相対する。
【黒椿】と【乙女】を両手に【鬼櫓】の構えを取る。
種子島の礫程度、全て切り落としてくれよう。
装填の間を狙い斬り込み、首を獲る。
侍女兵も引き連れ、守護の戦功を上げてもらおう。
無論、侍女兵の警護と上層への侵入・破壊を許さないのが前提だ。
さぁ切支丹武者共よ。上を目指すなら、この羅刹女の守りを砕いてみせよ!
●勇猛なる退き口
剣戟の音。銃撃の音。風を切り壁に突き刺さるのは手裏剣の響き。
「――一層を突破するだけでなく、ここまで押し込む。その執念、敵ながら天晴!」
斬、と小気味の良い音を立てて女武者の放った銃弾を切り伏せる乙女。跳弾、流れ弾といった直接防御の難しい被弾で小さな手傷は数あれど、第三層への階段が近いこの戦場で猟兵たちの殿軍を務めていることを考えればその姿は無傷に近い。
「だが……私のこの鬼櫓、不可侵の剣舞は抜かせん!」
その裂帛の気合と声で女武者たちが僅かに怯む。
「――第三層は目の前だというのに!」
「ああ、そうだとも! この距離、決して詰めさせん!」
侍女兵と共に堅固な陣形を組んだ乙女は、決して自分から攻め込まずひたすらに守りを固める。痺れを切らしてか、あるいは持ち込んだ銃弾が無くなってか、無謀にも刀を抜いて突撃する女武者に対しては冷静に対処し首を獲るが――退きも進みもしないその姿はまさに鉄壁。
それは第一層で剣豪に対して攻め入りすぎたことの反省でもあるが、それと同時にある報せを待っているが故の戦術。
「そちらから攻めて来ぬのなら……首を洗って待っていろ、じきに我らの仲間が――」
「残念ですが、ここにおられる貴女方で天守内に突入した者は全員です」
「なっ!?」
ドサリ、と。女武者たちの中でも最後衛に位置していた者が倒れ伏す。その寸前に戦場に響いたのは忍びの猟兵の声――乙女の視界に映るのは、第二層の内部を忍者と共に検分しに出ていた浄雲がこの場へと帰参したその姿。
「我らが役割は陽動……各々の猟兵の元へ、適正な人数が攻め込むように。おかしいとは思いませんでしたか?」
浄雲が例として挙げるのは、進軍するに際して都合の良い場所にあった通路や、不自然に止んだ追撃。戦場の死角に紛れ、一撃離脱と攪乱を続けることによって錯覚を引き起こすのは忍びの本領……その能力を余すことなく発揮したのだと。
「だからこそ、私はここでしっかりと構えることが出来た。浄雲殿が、そして皆が、此処さえ守れば大丈夫だと確信させてくれたから!」
そして――最後の関門として第三層前の階段に立ちはだかっていた乙女も、浄雲の帰還により戦術を切り替える。目の前にいる兵力を叩き潰せば、第二層で決着をつけるという目的が達成できるのだから。
「――仕掛けるぞ、浄雲殿!」
「是非もなく……!」
動きは同時。自分たちが最後の生き残りであると告げられて動揺した女武者たちに、2人の猟兵と彼女らに率いられた城仕えの兵たちが吶喊する。
「貫き秀次、欺き光秀――命宿すとすら称される音羽の術を示しなさい!」
遠距離から仕掛け、機先を制するは浄雲。左右それぞれの手から放った貫通と奇襲それぞれに特化した手裏剣が倍々にその姿を増し、それだけに限らず浄雲の忍術により千差万別の軌道を描いて女武者たちへと降り注ぐ。
「もはやその銃、使えるとは思わないことだ!」
そして手裏剣による縦横無尽な攪乱戦法に乗じ、乙女が力強く女武者たちの陣中へと踏み込み――間髪入れずに両の刀を振るう。まずは階段前を固める侍女兵たちへと届く鉄砲を切り捨て、返す刀で女武者の鎧を剣圧でもって割り砕く剛剣。
忍びの攪乱術と剣豪の剛剣、それらが噛み合うだけでその殲滅力は底知れず。さらには浄雲の言い放った言葉に動揺を隠しきれなかった女武者たちに、その暴威に抗えるだけの力は残っていなかった。
「――乙女殿、一刻も早く第三層へ。秀林院は既にこの層の半ばまで来ております」
「想像よりは早い、が……それでも、なんとか間に合ったのだな。他の者は既に上だ、私たちも合流するとしよう」
女武者たちを蹴散らし、最後の情報交換はシンプルに。城仕えの兵たちに解散を言い渡しつつ、2人は仲間と合流するべく階段を上がった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第3章 ボス戦
『細川ガラシャ』
|
POW : 花も花なれ、人も人なれ
【自らの周囲に吹き荒れる白百合の花びら】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD : 怒れる慈愛
自身の装備武器に【ガトリング砲】を搭載し、破壊力を増加する。
WIZ : 鬼の女房に相応しい蛇の女
自身が【困難に立ち向かう心の強さ】を感じると、レベル×1体の【自身と共に殉死した侍女の霊】が召喚される。自身と共に殉死した侍女の霊は困難に立ち向かう心の強さを与えた対象を追跡し、攻撃する。
イラスト:梅キチ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「鍋島・小百合子」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●総大将、細川ガラシャ
己の指揮下にあった女武者たちの屍を踏み越えて、ガラシャが征く。
「……想定の半分、ですか」
はぁ、というため息をひとつ零しつつ、手馴れた所作で示すのは十字。過去に取り残され、この場で死んだ兵たちがガラシャの信ずる神の御許へ召されるかは判らずとも、祈りを捧げることは許されているはずだと。
「――であれば、猟兵共を蹴散らさねばなりませんね」
祈りの回数は最小限、戦場故に略式に留めつつもロザリオの珠を手繰ってしまうのはガラシャというオブリビオンの元となった人物の癖なのだろう。
「――でうすと、あの御方の加護ぞあらん」
第三層へと続く階段へ足を掛けつつ、ガラシャは最後に短い祈りを捧げた。
※第3章プレイングは7/19午前9時から受け付けます※
黒川・闇慈
「細川ガラシャですか。私の世界の歴史に存在した人物とはまた別人なのでしょうが……なんとも奇妙な気分ですねえ。クックック」
【行動】
wizで対抗です。
ガラシャ本人だけでなく、侍女の霊も迎撃しなくてはなりませんねえ。こちらも手数を用意しておきましょうか。
属性攻撃、高速詠唱、全力魔法、範囲攻撃の技能を活用し氷獄槍軍を使用します。まずは侍女の霊に向けて槍を掃射し、迎撃します。侍女が片付いたなら残りの槍をガラシャへ向けて一斉に発射しましょうか。
「信心深いのは結構なことですが、亡くなった侍女まで戦わせるとは……素敵な教義をしていらっしゃる。クックック」
【連携・組み合わせ・アドリブ歓迎】
白斑・物九郎
●POW
「ザ・レフトハンド――【属性攻撃・炎】ON」
・炎を操る左腕で真っ向勝負
・「花びら」と「それを吹き荒れさせる風」が肝と類推
風の流れを【野生の勘】で読むと共、屋内空間を活かし襖等の遮蔽を伝い機動(地形の利用+ダッシュ)、花びらを回避
・時に風向きを己の火力を煽るように利し炎を放ち、マグマ地形も配置し敵行動範囲を絞りつつ、攻め立てる
・焼いて対処出来ぬ程に花びらに囲まれた際は敢えて狭所へ退避、炎で壁をブチ抜きバックドラフトを誘発、風向きを作り出し花びらをうっちゃる
・敵にメンタルの揺れが見えたら、ロザリオへ手を伸ばす瞬間があるまいか注視
・ロザリオに触れる瞬間は得物が「片手持ち」になると踏み、攻める
月山・カムイ
戦場で神の加護を語るなど、扇動者に相応しい所業だな、女
死したる者達に与えられるべきは、安寧の眠りであり神とやらの元へ行く事ではない
お前もここで倒れて、骸の海で静かに眠るといい
捕縛を行う白百合の花びらを、絶影の一撃で絶つ
それが如何なる呪詛であろうと、この刃を止める事は叶わず
例えガトリング砲から放たれる銃弾の嵐が身を苛もうとも、その痛みで戦意も命も削ぐ事はさせない
ギリギリのところで見切って致命傷を避け、狙いを違わずガラシャへ向かって斬りかかる
まるで意志をもった弾丸の如く、鋭く
お前のいうあの御方とは、誰を指している?
まさかとは思うが、神とやらと同一視でもしているのか、このエセ聖職者め
●戦国十字軍
一歩、その数は1つ。二歩、その数は3つ。さらに歩めば5つ、9つ、17つ。歩むたびに増えていくその数は、激戦の第二層にて死した切支丹女武者の魂と過去のガラシャと共に死に殉じた侍女の霊を合わせた幽世の軍。単身、天守第三層へ踏み込んだガラシャの周囲を瞬く間にこの世ならざる者たちを従える十字軍と化した。
「死してなお付き従ってくれる部下とは……信心深い部下をお持ちになって、さぞや将冥利に尽きるのでしょうねぇ?」
「――何奴」
第三層に踏み込んで早々投げ込まれた猟兵の声にガラシャは鷹揚に、彼女を囲む幽世の者たちは各々の武器を構えて反応した。
「いえいえ、死人に鞭打って働かせてもいいとは……素敵な教義をしていらっしゃると思いまして」
「――これもまた、神の御許へ至るための善行なればこそ。神の奇跡、その一端と弁えなさい」
くつくつと喉を鳴らし笑いガラシャの前に姿を現すのは黒川・闇慈だ。その挑発じみた言葉に幽世の者たちが激発しかけるが、ガラシャの一言で何とか踏みとどまる。
わざわざ姿を見せた猟兵にガラシャが警戒を強めたからでもあるが……この場において、そして闇慈を相手にしてその判断は悪手。襖で区切られた一室に身を隠していた闇慈がガラシャの前に姿を顕したのは多数の氷槍を詠唱召喚し終え、攻撃用意が完了したからに他ならない。
「ですから、そちらの方々に戦働きの場を準備させていただきました――主君の盾になれる、絶好の場を」
虚をつく話術、さらに言葉を発するころには既に放たれる数多の氷槍。見えているのに対応が遅れざるをえない、という極悪なタイミングで闇慈の用意した攻撃がガラシャたちへと突き刺さった。
「ほらほら――避けると主君に当たりますよ? 死にどころです、あなた方の信じる神とやらの元へどうぞ行かれてください」
連続投射される槍の数、およそ200超。僅かな時間差をつけて多方面から一斉射されたそれらが、ガラシャを囲うように防御陣を敷いていた幽世の者たちを悉く串刺しにした。
「さて――周囲の防御は剥がしました。直接対決はお任せしましたよ」
「おう、お疲れさんでさァ――悪霊狩りはこっちの領分ですしな」
一撃離脱。用意した氷槍を全発射すると共に伏せていた別の猟兵と入れ替わる闇慈。スムーズなバトンタッチを受けてまずガラシャの元へと疾駆するは白斑・物九郎。
襖一枚を蹴倒して吹き飛ばし、その陰に隠れて構えるは燃える左腕。狙うは格闘距離の超接近戦。
「下郎が――!」
「過去にしがみ付くオブリビオンに、下郎呼ばわりされる謂れはありませんわな」
床に突き立った氷槍を長槍で薙ぎ払いつつ、ガラシャが纏うは白百合の嵐。物九郎の炎拳をその花弁嵐で迎撃しようという魂胆だろうが。
「――死したる者に与えられるべき安寧を奪っておいて、どの口で神を語るッ!」
ここまで、ガラシャの動きは織り込み済み。闇慈と物九郎という二重のフェイントを用意して、愛刀・絶影により壁を切り開いて不意打ちをかけるはカムイ。正面からは炎を携えた物九郎が、そしてその横合いからは刃を構えたカムイが弾丸の如き疾駆で仕掛ける十字突撃だ。
「くっ――神よッ!」
ガラシャが選んだのはカムイの迎撃であり――直後に響くは鋼の断ち切られる甲高い音。壁を切り裂く威力に脅威を感じてガラシャが合わせた槍の刃先を、カムイの一撃はその刃でもって両断したのだ。
「危なくなると神頼み、信仰もそこまで行くと哀れなこって」
「何をッ! ――ッ!?」
そして白百合の嵐を当てられた物九郎の方も――白百合を燃やし尽くす炎という相性差とそもそもの突進の勢いで強引に花弁嵐を突破。振りかぶった炎拳で強かにガラシャの胴を殴り抜いた。
響く重い激突音。その姿は女性といえど、身に纏うは鋼鉄の武者甲冑だ。第二層と繋がる階段方面へと吹き飛ばされ後退る形となったガラシャの立てる音は、見た目以上に重い。カムイの斬り飛ばした槍の刃先は対照的に軽い音を立ててその傍へと突き立った。
「……なるほど、これが神の与えたもうた試練、という事ですか」
どうにか階下へと転げ落ちずに踏みとどまり、ガラシャは未だ折れぬ闘志を瞳に宿して猟兵たちを睨む。手に持った槍はその穂先を半分に割られ、武器としての機能は半減。物九郎の一撃を受け止めた胴丸も、その中心には焼け爛れた殴打痕。
「――ひとつ、尋ねるが」
そうやって間合いの離れたガラシャとの距離を測りつつ、カムイは油断なく構えて言葉を投げる。
「お前の言うあの御方とは、いったい誰を指している?」
「何を、今更――この城があの御方のものとなれば、遍く者がそれを理解することでしょう!」
少しでも情報を引き出そうという狙いで放たれた問いに、しかし応じるガラシャの返答は実質的に語らいを拒絶するもの。
「……聞くだけ無駄とは理解した。まさかとは思うが、そいつを神とやらとでも同一視したか? このエセ聖職者め」
「貴様ッ……! 私だけでなく、あの御方をも愚弄するか!」
返すカムイの言葉も自然と吐き捨てる形となり、その言葉にガラシャが咆えて立ち上がる。本人の気炎を反映するかのように、纏う白百合の嵐が勢いを増した。
「マトモに話をするだけ無駄でさぁ、カムイ――こいつァ、神とやらに頼らんとなァんもできない臆病者みたいですからな」
カムイの横に並び、ガラシャの精神性を断定するは物九郎――先の攻防の中で神の名を唱えたのがその根拠。
「――その言葉、我が信仰のためにも取り消してもらうぞ、猟兵ィ!」
物九郎の言葉に堪えきれなくなったガラシャが、再び猟兵目掛けて疾駆。
天守第三層を舞台としたガラシャとの決戦は、新たな局面を迎えようとしていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
パウル・ブラフマン
◎【SPD】
ついに大将自ら昇ってきやがったっぽい?
上等じゃんね、返り討ちにしてやんよ!
UC発動―もうひと暴れしようぜ、Glanz!
機動力が欲しい方は良ければ後部座席へどうぞ♪
日頃鍛えた【運転】テクを活かし
限られた屋内空間を逆手にとって
Glanzに【騎乗】したまま壁面を疾走する等
ヒット&アウェイの
トリッキーな動きでガラシャさんを翻弄したいな。
Krakeを用いて主に【援護射撃】を担当。
死んでも神様の元には行けなかったみたいだけど
もう一回チャレンジしてみる?
煽り【パフォーマンス】を仕掛けて
ガラシャさんに隙が生じたら
ガトリング砲の撃ち落としを試みるよ。
※宿敵主が参戦していた場合は、積極的に支援するね!
荒谷・つかさ
◎
元が何者であれ、オブリビオンはオブリビオン。
躯の海へとお還り願おうかしら。
近寄れば捕縛される、か。
剣士としてお相手したかったけれど、仕方ないわよね。
主に敵の放つ花弁の範囲外から、機関砲と鬼大筒による射撃・砲撃で攻撃する
花弁を展開するようなら【轟烈鬼神熱破】で花弁を焼き払い相殺
あまり前には出ず、敵の動向を把握し、前衛で動く仲間を援護するように努める
特に仲間へ侍女の霊を召喚してきた場合、優先して機関砲で一掃する(なぎ払い・範囲攻撃・クイックドロウ)
もし後衛専門と見て私へ迫ってくるのなら、大質量の鬼大筒を鈍器として扱い迎撃しつつ零距離射撃の速射をぶちかますわ
寄ればどうにかなる程甘くないわよ、私。
●激突する機炎
天守の床がみしりと軋む。手傷を負い武器は欠け、されど猟兵の言葉を信仰への挑発と捉えたガラシャの動きはむしろ先刻と比べて遜色ないどころか勝るほど。
「速さでの勝負を仕掛けるなら、負けないよ! もうひと暴れしようぜ、Glanz!」
だが、その速さもあくまで人間を基準とした際のもの。甲高いエンジン音も高らかに、ガラシャ以上の速度で真っ向から吶喊するのは愛車Glanzを操るパウルだ。
「邪魔を、するなァ!」
その車輪を横合いから狙って突き出されるガラシャの槍。屋内戦であるが故に、本来ならばそれは必中ともいえる的確な一撃だ。パウルの運転テクニックが並のものであれば、という但し書きが付くが。
「Glanzとオレにとって、この場所は全てが道なんだぜぇ?」
槍が車輪を掠めるその寸前、大胆にハンドルを切ってパウルは壁目掛けて突進。常識に従えば壁に激突して終わるだけのところを、超絶的としか評しようのない技術で壁走りへと切り替えるパウル。槍の一撃を見事に回避し――その先に待つのはガラシャの纏った白百合の嵐。
「飛んで火に入るがいい!」
轟、と空気を揺るがす裂帛の怒声。ガラシャのそれに応じて激しさを増す嵐に対応するのはパウルではない。
「ええ、お望み通り火で相手をしてあげるわ、オブリビオン!」
パウル操るGlanzの後部座席。威容を誇るGlanzにその小柄な体躯を隠していたのはつかさ、そして先行した旅団の長に倣って彼女が放つは魂の焔だ。
「いくら無尽蔵な嵐とはいえ、こうやって焼き払われた瞬間には必ず隙が出来る! 突っ込んで、パウルさん!」
「アイ、マム! オレにお任せじゃん?」
壁から天井へ。速度にモノを言わせて実現するのは天地無用の大爆走。つかさの一撃が切り開いた嵐の途切れ目へ、パウルはGlanzとの一心同体なマニューバで迷うことなく走り込む。
「白百合だけが、私の守りと思いましたか!」
白百合の嵐を突っ切るパウルとつかさにガラシャが向けるは左腕。オブリビオンとしてのユーベルコード、前腕を覆う籠手が展開し6連装の銃口を顕わとする。放たれるはこの時代に生きていた者が扱うにはあり得ざるガトリング式の連続銃撃。
「てめぇにとっては最新式かもしれないけどさァ!」
サムライエンパイアの者が見れば確かに脅威。しかしより優れた火器を知り、扱う猟兵たちにとってそれは既知の武器だ。パウルはその連続弾に臆することなくGlanzのタイヤを盾とする。高速回転するタイヤは簡易的な傾斜装甲となり銃弾の大半を弾き飛ばした。
「玩具に振り回されてるようにしか見えねぇぜ!」
パウルからの返礼は、虎の子のガトリングを無傷で凌がれ茫然とするガラシャの腕を狙った応射。触腕に装着された砲台Krakeにとって、無理な姿勢からの射撃はお手の物。狙い違わずガラシャの腕に着弾した弾丸が腕の向きを強制的に変えた。
「できれば剣士としてお相手したかったけど、ごめんなさいね?」
そしてその連撃のトリを務めるは、つかさの構えた大口径かつ超重量の大砲、鬼大筒。質量兵器として棍棒に見立てて振りかぶったそれをガラシャ目掛けて勢いよく突き出し――
「銃弾には砲弾で応えさせてもらうわ」
ゴンッ、と鈍い音を響かせて鬼大筒がガラシャの胴に直撃。反動で火縄が落ちて鳴り響くのは大筒に込められた砲弾が放たれる爆裂音。
猟兵のもとへ走り込んだ分だけ、砲弾と共に吹き飛ばされることとなったガラシャ。パウルがGlanzにブレーキをかけるとほぼ同時に壁に「着弾」し、それでもなおヒトの形を保っていることこそガラシャがオブリビオンであるという証だろう。
「……ェ」
ぱらり。瓦礫が落ちる。同時に落ちたガラシャが、床に膝を付く。その姿は巡礼者が祈る姿にも似て。
「――エリ、エリ、レマ、サバクタニ」
唱えるは神の子の言葉。細川ガラシャは己に課された信仰の試練……猟兵との戦闘を続けるべく幽鬼のように聖句を唱えながら立ち上がる。
神を、そして「あの御方」を狂信するオブリビオンとの戦いはようやく佳境を迎えようとしていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
遠呂智・景明
芦屋晴久と連携
親父と旦那が地獄で泣いてるぜ?
魔王に媚びた神の奴隷がよ。
さて、まずは敵の動きを見に徹する。
芦屋との契約に同意。
式神を呼び出し、かつ視界を防いだ段階で●殺気を消しつつ●迷彩を用いて潜むとするか。
敵の動きを見ることが出来りゃ、林の如くで敵の攻撃は回避出来る。
芦屋の妨害も合わせりゃ、あとは独壇場よ。
式神の消滅に合わせて●早業で刀を抜きつつ接近、居合の要領で敵の身体をぶった斬る。
勿論一撃じゃ終わらねぇさ、返す刀の●2回攻撃。狙うのはその首。
女の首なぞ刀の恥だが、オブリビオンなら話は別だ。
死ね。
芦屋・晴久
【遠呂智・景明と連携】
本命が来ましたねぇ、本腰入れないといけませんか。
おや、遠呂智君へガトリング砲の銃撃が行きそうですね、なれば私の式神である辰子鏡姫を使うと致しましょう。
轟天の符にて砂を舞わせて視界を防ぎ、遠呂智君の同意を頂き次第、鏡姫で遠呂智君の姿を模倣式神を喚び出します。
式神に出来るだけ惑わす様に接近してもらい弾丸を消費して貰います。回避は捨てて捨て身の一撃を仕掛けるようにね。さぁ遠呂智君、妨害は果たしました……お行きなさい。
さて、一手呪わせて頂きましょう。感情を感じ取る隙間に呪詛を込めた祈りを貴女に潜り込ませます。揺さぶられ、呪を混ぜられた思念で貴女は喚べるのですかね?従者とやらを……
●神を試みてはならぬ
壁に深々と刻まれた弾痕というには大きすぎる亀裂。猟兵の放った砲弾と天守の壁に挟まれ甚大なダメージを負ったはずのガラシャは、されど健在。異常なまでの信仰心を支えに聖句を唱え立ち上がるその姿は、オブリビオンが過去の産物であることを加味しても脅威の2文字。
「これでもまだ、倒れませんか……本腰を入れないといけませんね」
フラグを立てるヒマもありません、などと嘯きながら式符を引き抜くのは晴久。激しい攻防を繰り広げた猟兵たちに代わりガラシャの前に立つ彼の横には、どこかうんざりした表情の景明も並び立っている。
「まったく、アレでくたばっとけばいいものを」
ため息をひとつ。信仰の力、といえば聞こえはいいものの単に生き汚いだけのガラシャの様子に景明は心底呆れているらしい。それに加え、景明がそんな表情をするにはもう1つ理由がある。
「親父や旦那も、それを見ちゃ地獄で泣くか怒るか……娘が魔王に媚びる神の奴隷とはな」
魔王に媚びる、かつ神の奴隷。景明の中でその2つは無理なく並立する。魔王が誰かまでは口に上らせないが、その推察はほぼ確信に近く。そして神の奴隷とは今のガラシャの様子を的確に表した言葉だろう。
「まぁ、それくらいにしておいてあげましょう、遠呂智君……とっくに堪忍袋の緒は在庫切れのようですから。カンカンみたいですよ、彼女」
「おう、そうみたいだな芦屋」
晴久が止めに入るのも当然。ガラシャは生前の「蛇」との呼び名にふさわしい剣呑なオーラを纏い2人をねめつけていた。
「神を、信仰を侮辱するに飽き足らず――貴様らは私の夫まで侮辱するか?」
「勘違いするな、俺がバカにしたのはてめぇだぜ?」
怒髪天を衝くという言葉は、まさに今のガラシャを表現するためにあると断言できる。
「おお、怖い怖い――それじゃあ、芦屋。任せたぞ」
「ええ、その言葉確かに受け取りました」
鬼気迫る形相で一歩一歩距離を詰めるガラシャに対し、景明は刀を構えてちらりと晴久を見る。応じて晴久がばら撒くのは先んじて引き抜いていた式符の束。
「写せや映せやその面……!」
投じた式符が巻き起こすは轟天。砂礫の嵐がガラシャの纏う白百合の嵐とぶつかり合い相殺し合う。
「水面見つめるは龍の顎。さぁ、交代ですよ遠呂智君!」
詠唱完了と共に、吹き荒れる砂礫と白百合の嵐の最中を突っ切って景明が突撃した。その瞬発に応じてガラシャは左腕のガトリングガンを向け弾幕で迎え撃つ。
突撃を敢行した景明はまるで回避する様子を見せず、一発の弾丸が致命となる箇所だけを刀で守りながら確実に間合いを詰める。
「捨て身がお望みか、猟兵!」
そして数ループ分の弾丸を叩き込んでも景明が退かぬ様子を見てか、ガラシャはガトリングを下げ槍で迎え撃つことを選んだ。捨て身の覚悟を良しとするのはガラシャが死に際に殉教を選んだ過去がある故か。
一閃。槍と刀が交錯し……覆しようのないリーチの差からガラシャの突きが景明の身体へ深々と穿つ。それでもなお、と踏み込む景明の身体は槍に食い止められ、刃は僅かに届かずたたらを踏んだ。
「ふん、その心意気だけは買うがッ!」
槍に突き刺さった景明の身体を拭い捨てるように大きく横へ振るガラシャ。再び左腕を構え、狙うは晴久。術には術で返そうというのだろう、左手で宙に描く十字で召喚するのは侍女や切支丹女武者たちの魂だ。
「失礼、私の呪のほうが一手、早いようでして」
だが、本来ならば続々と呼び集められる筈の者は1人として居ない。
「……何故だ、何故私の呼びかけに応じない!」
サングラスの位置を直す晴久。そう、先の式符の真の狙いは召喚封じ。思念を捻じ曲げる呪詛と祈りの込められた式符たちが、ガラシャに幽世の者を呼ぶことを許さず。
「ま、ここにきて部下に頼る心意気は……いや、買いたくねぇわ」
砂礫と白百合の嵐、その横合いからぬるりと姿を現した景明の一刀がガラシャの右腕をその付け根から斬り飛ばした。
「なっ、貴様――!?」
「なぜ生きてる、とは言わせねぇぜ? すり替えておいたのさ、晴久の術とな」
先の突撃を敢行したのは晴久の術で生み出された影法師。真の景明は砂礫に隠れてガラシャの死角から距離を詰め、今の一撃を敢行したのだ。
腕を切り飛ばされ得物を失い、このような時こそ輝く幽世の者も晴久の妨害で呼び出せず。
「おお、神よ。乗り越えられる試練しか与えぬという貴方が、なぜ私にこのように過酷な仕打ちを!」
傷口から迸る血飛沫を目隠しに、大きく飛び退り猟兵たちとの距離を取るガラシャ。
「ハン、都合のいいときにだけ神頼み。そういう所はなんとも日本人らしいもんだなぁ、ガラシャ!」
景明の言葉に、しかしガラシャはこれまでのように威勢よく返すことはできない。武装の大半だけでなく四肢の1本まで失い、その瞳は神を試みるかのように信仰が揺れていた。
――決着の時は、近い。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
花盛・乙女
来たな、細川ガラシャ。
何ゆえ此度の騒乱を引き起こしたのか。
貴様らの黒幕は何某か。
猟兵の、花盛乙女の刃にてその真意を問いただすとしよう。
二振りの刀を構えて相対する。
得物も警戒に値するが、白百合の花弁。あれは危険だ。
私の「第六感」がそう言っている。
白百合の花弁はかわし、剣閃にて払う。
白百合の吹雪は皆にも影響があるだろう。
なればそれを払うのは鬼の吹雪に任せてもらうぞ。
両の刀を構え「怪力」から放つ剣風で白百合の花弁を散らしてくれる。
ガラシャ、貴様にもなにやら背負うものがあるのだろう。
だがしかし戦乱の世は既にない。
世は泰平、その安寧を崩す貴様らの策謀。
我ら猟兵が必ず打ち滅ぼしてくれる。
音羽・浄雲
※アドリブ、連携歓迎です。
腰に差した脇差【謀り長慶】を抜く。見据える先はただ一つ、細川珠の命。
「見目形は同じでも今や中身を違えた影法師に過ぎません。その首級、我が復讐の狼煙とあげさせていただきます」
ガトリングを搭載された槍を携えるガラシャに向けて、脇差を構えた浄雲は駆け出した。
「音羽忍法【天狗風】。我等音羽に飛び道具など届かぬものと知りなさい」
忍術によって天すらも地の様に跳ね、天と地とを自在に駈けてガトリングを掻い潜ってガラシャへと肉薄していく。その狙いは真正面からの一閃。
「……馬鹿正直に真正面から切り結ぶと思いましたか?」
ではなく、地を蹴り空を蹴って背後に回ってのだまし討ち。
●決着、天守攻防
白百合の嵐が吹き荒れる。天守第三層全体を埋め尽くさんばかりの勢いのそれは、ガラシャの荒れた心中を映したかのように疎密入り混じる不均衡なもの。
その只中を、乙女は乙女・黒椿の二刀を振るって真っすぐにガラシャを目指した。
「細川ガラシャ、貴様が何ゆえ此度の騒乱を引き起こしたのか。いったい誰の指示で動いているのか」
嵐の密度を見極め、細見に似合わぬ羅刹の剛力によって繰り出される剣風で道を切り開きつつ、乙女はほぼ死に体で床に膝を突くガラシャを呼ばわる。
「言葉は不要、それは仲間が明らかにした。故に、私の。花盛乙女の刃にて、その真意を図らせていただく」
「……わかる、ものか! 図れるものなら図ってみるがいい、小娘が!」
吐き捨てるように咆えるガラシャ。既に乙女はそのすぐ傍までの道を切り開き、大小一揃いの愛刀を突き付けられる距離に居た。
「ああ、貴様が生きていた戦乱の世は既に無く。私が生きるは太平の世。判る筈がないし、貴様らが私たちの安寧を崩そうとするその心根など理解してたまるものか!」
肉薄距離。突き付けるは黒椿。ガラシャの顎先に切っ先を宛がい、乙女は強い意志を込めてオブリビオンを睨んだ。
「言ったはずだ。私は図ると! 貴様が背負うその策謀、その狙い。刀を通せば一片程度には触れることができるだろう」
そう言い切る乙女は、1人の剣士としてどこまでも純粋な構え。事実、乙女ほどの使い手となれば戦いを通し、相手との間に刀を挟むからこそ読み取ることのできることが数多く存在する。
「それが――戦乱を知らぬ者の戯言と理解しての物言いかッ!」
しかし、その在り様は戦国の世を生きたガラシャの――信仰の自由すら制限され、戦の繰り返しで他者と分かり合う余裕のなかったガラシャの逆鱗を悉く撫でた。激発でも激高でもなく、ただただ己と正反対の存在として立ちはだかる乙女に対し、ガラシャという1人の女は絶対に許容し得ぬ価値観の違いを火種として左腕を振り上げた。その腕に備えられたのはガトリング。いかな戦国期の代物とはいえ、この超至近距離においては絶大な殺傷力を誇るガラシャの切り札。
「――所詮、影法師に過ぎませんね」
しかし、その腕はガラシャの想像以上に軽い、軽すぎた。ガラシャの耳にその呟き……浄雲の声が届いたのは、浄雲の謀り長慶がガトリングごとその左腕を落としてからだった。
その身捌きはまさに忍者の面目躍如。乙女の切り開く進路に合わせ、床ではなく天井をするすると駈けていた浄雲。天井に伏せていた彼女は、ガラシャが乙女に対して左腕を振り上げたその瞬間にガラシャの背後へ飛び降り、その勢いでもってして先の鮮やかな斬撃をこなしたのだ。
「馬鹿正直に真正面からオブリビオンに向かう……まったく、わたくしならば決して選ばぬ戦法ですよ、乙女殿」
「無理を通させてもらってすまない、浄雲殿。だが……お陰でほんの少しだがガラシャの意に触れることはできたよ」
両腕を失い、ガラシャはもはや歯ぎしりすることしか出来ない。何より彼女にとって屈辱的なのは、目の前に立った「小娘」が判ったような口を利くことだろう。
浄雲からガラシャへと向きなおった乙女が、刀を鞘に納めながら言葉を続ける。
「ガラシャ。再び相まみえても貴様は覚えていないだろうが――」
もしも見ているならば聞くが良い、と。乙女はここに居ない誰か目掛けて声を張り上げた。
「どのようなことを企もうとも、我ら猟兵が必ずそれを打ち砕き、滅ぼしてみせるとも!」
その宣言は高らかに。天守内どころか城内にまで響きそうな大音声。それは一種の勝利宣言であり、そして「あの御方」への猟兵からの宣戦布告。
「珠、貴殿の命はわたくしが頂きます。オブリビオンに堕したが故とはいえ、織田に与したその首級……我が一族の復讐の狼煙とするに十分でしょう」
布告を終えて、最早ガラシャに興味はないとでもいうように踵を返した乙女に代わりその前に立つのは織田にその全てを奪われた忍、音羽衆の浄雲。
「好きにするがいい。私の魂は、きっと神が――」
スパン、という斬首の音はこれまでの激闘と比べればずいぶんと軽く。末期の言葉を聞き届けるつもりなど元よりない浄雲は、容赦なくその首を落とした。
「わたくしの仲間は、そのような泣き言は漏らしませんでした。感謝しますよ……その無様な最後に、ほんの少しですが溜飲が下がりました」
床に転がったガラシャの首を拾い上げ、浄雲は心の底からの蔑みと言葉をオブリビオンの遺骸へと贈った。
●第六天囲~ガラシャ、死す~
程なくして、この城攻めを主導した細川ガラシャが討たれたとの報が城内を駆け巡った。
天守へと詰めていた兵たちは胸をなでおろすとともに未だ続く城攻めに兜の緒を締めなおすこととなる。
天守の守りを完遂した猟兵たちもまた、それぞれの思惑をもって散会。その後、彼らがどのように動いたのかは別の機会に筆を譲ることとする。
大成功
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最終結果:成功
完成日:2019年07月23日
宿敵
『『大太刀の剣聖』無名』
を撃破!
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