ダークセイヴァー。暗雲の下。村に悲鳴が響く。
闇色の鎧を着た女騎士が細身の剣を手に、畑と畑に挟まれた荒れた道を走り回っていた。
女騎士の前方には、悲鳴をあげる村人が五人。
女騎士は村人達を追いかけている。速度を調整し、すぐに追いつかないように、けれど、決して逃がさぬように、執拗に追う。
「きゃあっ」
逃げる村人の一人――若い村娘が足を縺れさせ転んだ。
村娘に女騎士は近づく。
「や、や、やめてぇ…」
涙する少女に、女騎士は、
「心苦しいですが、それはできませんの。うふふふふふ!」
満面の笑みで答えた。
「主様は仰いましたわ。猟兵は人を救うと。でも、それは偽善であると。偽善者は許せないと。偽善者を誘き寄せなさいと」
女騎士は嬉しそうに声を弾ませ、ゆっくりゆっくり村娘に近づく。
「なので、猟兵を誘き寄せるために、貴方達を虐めなければなりませんの。肌に幾つも傷をつけたっぷりの血を流させて、時々骨を折って――ああ♪」
剣の切っ先を泣きそうな少女に向け、
「ああ、ああ! 主の命とはいえ、とても悲しいこと。うっふっふっふっふっふっふっ!」
女騎士は笑い声を響かせる。
グリモアベースで。
「はろー。大変、ダークセイヴァーのオブリビオンが、猟兵の皆を誘き寄せるために――村の人々に酷いことをしている」
グリモア猟兵ベッキー・ウッドは、やや早口気味に猟兵に話を切り出した。
「このままじゃ、村の人たちが傷けられ、殺されちゃう。村に急いで! 村の人達を守り、オブリビオンを倒して!」
おねがい、ベッキーは必死に言葉を紡ぐ。
「今すぐ行けば、オブリビオンの女騎士が村の中の道で村人を追いかけているところに、辿りつけるよ。
その段階ではまだ犠牲者は出ていない。村人達を守りながら、女騎士を倒してほしい」
女騎士は剣技や暗黒のオーラを利用した攻撃を得意とする。
決して侮れる相手ではない。気を引き締め、戦わねばならないだろう。
ベッキーは補足する。
「女騎士を倒せても気は抜かないで。女騎士に虐殺を命じた、別のオブリビオンがいる。女騎士を倒せば、そのオブリビオンもきっと動き出す。
でも、まずは、女騎士との戦闘と村人の保護に全力を注いでほしい。皆ならきっとできるから。武運を祈ってるよ!」
ベッキーは猟兵達の目を見、転移の準備を始めた。
支倉みかん
支倉みかんです。ご閲覧ありがとうございます。
猟兵達を狙い、ダークセイヴァーのオブリビオン達が動きました。
今回は第一章、第二章、第三章、全て戦闘シナリオです。
第一章では、『暗黒騎士ヴィスダ』との戦闘です。
猟兵の皆さんが辿り着く時点は、冒頭のシーンの直前、ヴィスダが村人達を追いかけているところです。
放置しておけば、冒頭シーンと同じく村娘が転び、ヴィスダに暴行を加えられます。
村人達の安全を確保し、ヴィスダを退治するのが一章の目的となります。
第二章では、集団戦。第三章では、ヴィスダ達の主であるオブリビオンとの戦いになります。
皆さんの力と知恵を存分に発揮し、敵を倒してください。
よろしくお願いします。
第1章 ボス戦
『暗黒騎士ヴィスダ』
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POW : 止まらぬ嗜虐の一閃
【目にも留まらぬスピードの突進突き】が命中した対象に対し、高威力高命中の【追撃の踏みにじり】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : 黒き翼の飛翔
自身に【暗黒のオーラで作り上げた翼】をまとい、高速移動と【翼から放たれる漆黒の矢】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : 解き放たれし暗黒の領域
【周囲全体に放射される暗黒のオーラ】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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阿紫花・スミコ
目の前で繰り広げられる光景に眉をひそめるスミコ。スミコはダークセイヴァ―の出身だ。オブリビオンの残虐さは見慣れている。だからといって、許されるものではないが。
「偽善・・・?いったい誰に嘘を言っているというんだ?・・・ボクはボクの信じる道を行く・・・ただ、それだけさ。」
巨大なスーツケースを開け放つと、中から出てきたのはからくり人形。名を「ダグザ」。
リーチを活かし、敵を懐に入れさせないように戦闘を進める。敵の遠距離攻撃はスーツケースを使って防ぎ、敵の隙を伺う。
「ここだ!」
からくり糸を両手で強く引き上げると、棍棒を持った上半身が回転し、敵を巻き込む!
「悪いけど・・・修羅場の数なら負けないよ!」
●
阿紫花・スミコは畑と畑の間の道に辿りついた。前方に、必死に逃げる村人と、それを追う闇色の鎧の女騎士。
スミコは眉を顰めた。走る。村人と女騎士の間に割り込んだ。
女騎士はスミコに笑いかける。
「よくおこしを。偽善者様」
「偽善……? いったい誰に嘘を言っているというんだ?」
スミコはスーツケースを己の前へ。開く。
「……ボクはボクの信じる道を行く……ただ、それだけさ」
中にいた、からくり人形「ダグザ」を操り、女騎士に打ちかからせた。
が、女騎士の背に生える黒い翼。女騎士は上に飛び、一撃を回避。
「なら、道の半ばで穴だらけになりなさいっ!」
宙に漆黒の矢が発生、スミコへ降り注ぐ。
スミコは素早くスーツケースに身を隠した。矢を防ぐ。
「飛び道具を使うのは予想済みさ。悪いけど……潜った修羅場の数なら負けないよ!」
女騎士はならばと空から急降下。スミコを串刺しにと剣を突き出す。
スミコは咄嗟に横に跳びのく。地に刺さる女騎士の剣。
スミコは地に倒れつつ、
「ここだ!」
糸を両手で強く引き上げた。
ダグザの上半身が回転する。回転の勢いを乗せ、棍棒を敵に叩きつける。【スピニング・スイープ】。高速の連撃で女騎士の体勢を崩す!
「がっ……やりますのね。でもっ」
ふらつきつつも、女騎士は地に刺さる剣を引き抜いた。
大成功
🔵🔵🔵
アウレリア・ウィスタリア
偽善ですか?
別にボクは自分の行いを善と思ったことはありません
ボクはボクがしたいから動いているだけ
ボクの行動が善か偽善か、それとも悪か
それは第三者が勝手に判断することです
【空想音盤:希望】を発動して
敵の死角から一気に接近し鞭剣で切り裂く
そのまま敵の横を駆け抜け、敵の攻撃範囲から逃れます
隙があれば魔銃を放ち敵を攻撃していきましょう
範囲外に逃れる前に攻撃を受けそうなら
オーラ防御を全開にして攻撃の勢いも利用して距離を離します
ボクはただ弱者を傷つけるお前のような存在が許せないだけ
ボクの復讐は強者に向けたボクの怖れ
ただそれだけのものです
善でも悪でもないボクの我儘です
アドリブ歓迎
薬師神・悟郎
…不快だ
派手に流される血の匂いは下品で興奮するどころか気分が悪い
弓を手に地形の利用、クライミングで屋根等高所をダッシュで駆ける
状況を耳で聞き取り周囲を把握しながら、状態異常力強化
ヴィスダ発見後、奴が村娘や先に接触した猟兵に意識を向けていれば
気付かれる前に医術、戦闘知識、野生の勘で敵の防御が薄い箇所を特定
マヒ攻撃、毒使い、先制攻撃で一つ目の矢を放てば、すぐに二つ目を早業、2回攻撃、部位破壊で放つ
俺に注意が向けば、一気に距離を詰めて目潰し、串刺し、生命力吸収
虐めてやるって?
それなら、お前は俺が虐めてやろう
慣れない挑発を覚られないよう殺気で隠し
村人たちの避難の時間稼ぎ、同時に味方との連携に繋げるぞ
●
薬師神・悟郎は先行した仲間を追い、村内を駆けた。屋根から屋根へ、樹へ、そして道に着地。
道の先にオブリビオンの女騎士ヴィスダを発見。少し離れた場所に、疲れ切った顔で逃げ続ける村人の姿。
女騎士は猟兵から村人に視線を移した。村人に攻撃をするつもりか。
「……不快だ。お前のやり方で流される血は、下品で気分が悪くなる。……さあ始めようか」
悟郎は影縫のスコープに目を寄せ、射撃。
敵の鎧の、仲間の打撃で脆くなった部分を正確に射抜く!
「新手? ですが矢の一本で……っ?!」
悟郎の矢は女騎士に痺れと激痛を与える。悟郎は『強化【壱】』で攻撃を強化していたのだ。
悟郎は村人達が敵から距離をとったのを目の端で確認。
「お前は虐めるのが好きらしいな。それなら、お前は俺が虐めてやろう」
悟郎は殺気を醸しつつ、敵を休ませまいと二射目を放つ!
アウレリア・ウィスタリアも現場に着いていた。女騎士の注意が悟郎にすっかり向いたのを見、【空想音盤:希望】!
花嫁姿の天騎士に変身、裾をはためかせ駆ける。アウレリアは敵の死角から距離を詰め、腕を振る。ソード・グレイプニルの鞭剣状の刀身がしなる。敵の首を裂く。
「なああ?!」
声をあげる女騎士。女騎士は反撃のオーラを放ってくるが、アウレリアは翼と破魔の光で加速。敵のオーラの届かぬ位置へ。
「キミの主はボク達を偽善者と言ったとか。ボクは自分の行いを善と思ったことはありません。ボクはボクがしたいから動いているだけ」
アウレリアは振り向き、魔銃ヴィスカムの銃口を持ち上げ、
「ボクはただ弱者を傷つけるお前のような存在が許せないだけ。ボクの復讐は強者に向けたボクの怖れ。ただそれだけのものです。善でも悪でもないボクの我儘です」
射撃。
女騎士は剣を振り、弾丸を弾き飛ばした。猟兵達へ突進してくる。標的は、悟郎。
「なら私も、私の意に従い貴方達を虐め……」
「させない」
悟郎は金の瞳の目を見開く。直進してくる相手の眼へ苦無を投げる。体を捻る女騎士。
「避けたか。が、ここからだ」
回避はされたが、敵の動きは止まる。悟郎は拷問具を女騎士へ。先端で足を串刺し! 女騎士の悲鳴。
「行けるか、アウレリア!?」
「お任せください」
アウレリアは腕を伸ばし、神経を集中。引き金を引く。威力を増強させたヴィスカムの弾丸が女騎士へ。
女騎士は再度剣で弾丸を払おうとする。が、動きが鈍い。今までの攻撃が効いているのだ。アウレリアの弾丸が、女騎士の左胸に命中!
「強いですね、猟兵。強い方の肌を裂けると思うと、ぞくぞくします」
笑む女騎士。が、体から大量の出血。
彼女を倒すまで後少し、と猟兵達は視線をかわす。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ドゥルール・ブラッドティアーズ
【連携不可・POW】
人を救うのは偽善……一理ありますね。
オブリビオンだけが悪ではない
(人間から迫害を受けた過去を思い返し)
でも、私の戦いは人類ではなく
貴女達を救う為のもの。
さあ、愛し合いましょう?
相手の攻撃をわざと喰らうわ。
【見切り】で急所は外すけどね
ふぁぁんっ❤❤
もっと踏んで下さい、ヴィスダ様ぁっ❤❤
与えられる苦痛は【激痛耐性】で快楽に。
攻撃されるほど私の愛欲が高まる。
『欲望解放』で愛欲に比例して戦闘力増強!
ヴィスダ様ぁ……もっと貴女を感じさせて……❤
強化された力でヴィスダ様を抱きしめて
スカートの中に手を入れ、敏感な所に
【属性攻撃】で微弱な電気を流して快楽攻撃❤
濃厚なキスで【生命力吸収】よ❤
●
ドゥルール・ブラッドティアーズは、傷ついた女騎士ヴィスダの前に立つ。
「人を救うのは偽善……一理ありますね。オブリビオンだけが悪ではない」
遠い目をするドゥルール。が、すぐに女騎士に微笑を向けた。
「でも、私の戦いは人類ではなく、貴女達を救う為のもの。さあ、愛し合いましょう?」
「愛? それは我が主が嫌うもの。お断りですわっ」
女騎士は高速で走る。ドゥルールの腹へ突き。
敵の攻撃は命中。ドゥルールは血を流し、うつ伏せに倒れた。
が、「ふぁぁんっ❤❤」と嬌声。
「何を喜んで……?」女騎士は戸惑いつつ、ドゥルールの背を渾身の力で踏んでくる!
軋む背骨。
が、「もっと踏んでください、ヴィスダ様ぁっ❤❤」ドゥルールはなお甘く叫ぶ。
痛みを快楽に変え、【欲望解放】! ドゥルールの身につけていた物が消え、花弁が身を覆った。
消耗の大きいドゥルールは、それでも女騎士の足を掴む。
愛欲の分だけ強化した力でヴィスダを引き摺り倒す!
「ヴィスダ様ぁ……もっと貴女を感じさせて……❤」
ドゥルールは電撃を流し、敵の動きを止めた。肌に唇を押し付け、生命力を吸い取る。
「こ、このっ」
ヴィスダはドゥルールを引きはがし立ち上がった。が、息が荒く、目が虚ろ。消耗している。とどめを刺す好機!
成功
🔵🔵🔴
メルティア・サーゲイト
VANGUARDを使って上空から接近、空中で切り離して腕を突き出す。
「ブチ抜けぇーッ!」
新技のRAMPAGEで強襲だ。捕まえたらワイヤーを巻き取る勢いでそのまま空中にブン投げ、スーパーヒーロー着地をキメるぜ。
「ドーモォ、サチュレイターです。お前らをブチのめしに来ました」
ばちん、と腕を戻してアイサツだ。
「あん、偽善だと? 言っておくが私はただの一度も誰かを助ける為に戦った事なんか無いぜ。私が戦うのはなァ」
背部バインダーからガトリングカノン二挺を取り出して構え、
「楽しいからだよォッ! お前らはブチのめしても誰も文句を言わないからなァ!」
GENOCIDEで追撃だぜ!
アンナ・フランツウェイ
村人がいくら死のうが関係は無いけど、あの騎士の物言いが気に入らない。私が戦う理由はそれで充分だ。
村人とヴィスタの間に割り込み、村人を逃がしてからヴィスタと向き合う。
彼女から何故守るのかと聞かれたら【再臨式・花蘇芳】を発動。…怨念としてその問いに応えるわ。…私がこの手で世界と人を滅ぼしたいからよ!
ヴィスダの突進突きの軌道を【見切り】、【残像】が残る程のスピードで回避しつつヴィスタの死角へ回り込もうかしら。
死角に回り込んだら【武器改造】で禍々しい鋸刃状へ変えた終焉剣を鎧の隙間目がけ突き立て(【鎧無視攻撃】)、【傷口をえぐる】【生命力吸収】で追撃しつつ生命を腐敗させる【呪詛】を流し込んでやるわよ!
●
アンナ・フランツウェイは周囲を観察。
すぐそばに、出血し息を荒くする女騎士。かなり離れた場所に、逃げる村人達の背中が見えた。
アンナは女騎士と村人達の間に立つ。
「なぜ……彼らのことを守ろうと……?」
問うてくる女騎士。
アンナは胸に手を当てる。体内に存在する呪詛天使の残滓を強く感じた。アンナは【再臨式・花蘇芳】を実行。呪詛天使の姿へ。黒い翼を広げ。
「……怨念として問いに答えるわ。……私がこの手で世界と人を滅ぼしたいからよっ」
「皆、違う答えを……面白いですわ、猟兵ッ」
駆け突きを放ってくる女騎士。女騎士の刃がアンナの肌を掠る。さらに女騎士は足をあげ、蹴ろうとしてくるが、
「動きは見切ったわ!」
アンナは残像が出る程の速度で蹴りをよけ、相手の側面をとる。終焉剣・ラストテスタメントの黒き刃を鋸刃状に変え、敵の鎧の隙間へ!
「がああッ」獣じみた敵の悲鳴。アンナは首を空に向け、仲間に呼びかけた。
「今よっ!」
「応ッ!」
メルティア・サーゲイトはハードポイントに搭載したブースターで宙を駆けていた。
アンナの声に応じ、メルティアは上空から地上の女騎士めがけ突っ込む。
ブーストを切り離し、腕を突き出す。【CODE RAMPAGE】で強襲!
「ブチ抜けぇーッ!」
激痛に襲われている女騎士はそれでも腕を交差させ、メルティアの一撃を防ごうとする。その腕をメルティアはワイヤードアームで掴んだ。
着地と同時、敵を真上に投げる!
「ドーモォ、サチュレイターです。お前らをブチのめしに来ました」
不敵に言い、メルティアは中距離支援ガトリングガン二挺を構えた。
「言っておくが私はただの一度ども誰かを助ける為に戦ったことなんか無いぜ。私が戦うのはなァ」
傷だらけの女騎士は黒い翼を広げ、姿勢を整えようとしている。
メルティアは引き金に懸けた指を動かし、
「楽しいからだよォッ! お前らはブチのめしても誰も文句を言わないからなァ!」
発砲、発砲、発砲! 敵の両の翼を撃ち抜く!
女騎士は地面に墜落。立ち上がり、猟兵へ最後にして決死の突撃をを試みるが、
「合わせろォッ!」「ええ、いけるわっ」
メルティアは相手の足を狙撃! 銃弾で足に穴をあけた。
アンナは動きを停止した女騎士に――斬、終焉剣を一閃!
アンナとメルティアの猛攻に騎士はうつ伏せに倒れ、
「お見事、ですが我が主は……」
最期まで言い切らず、絶命。
猟兵達は女騎士を倒し、村人達を救うことが出来た。
が、メルティア達が勝利の余韻に浸る時間はなかった。道の先から、異形のナニカがこちらへ歩いているのが見えたからだ。
猟兵達は連戦するべく、各々の武器を構えなおした。
大成功
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第2章 集団戦
『失敗作の少女達』
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POW : ひとのからだとさようなら
自身が戦闘で瀕死になると【埋め込まれた外なる神の部品】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD : かみさまのちから
【埋め込まれた外なる神の部位】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ : ひとのきもち
【人間部分の肉をちぎって投げたもの】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に呪いをばらまき】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
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|
村内の畑と畑の間の道で。
敵を倒したばかりの猟兵達へ、道の先から近づいてくる『それら』。
「ア、ア、ア、ア……」
「アー」
知性の感じ取れない声をあげるそれら。それらは人間の少女に似た姿をしていた。
だが――人間ではありえない。背中から異形の手を生やし、口や目や皮膚のところどころから体液を零している。
それらは『失敗作の少女達』。人の体にむりやり人外の体を植え付けられたもの――。
それらは猟兵を見ながら、口々に声を出す。
「アルジサマ、イウノ」「……イウノ」
「『アイ』ッテ、イウノ」
「……ア……イ」
「ソレ、ナァニ
?」「……ナァニ?」
「オシエテ」「……エテ」
「エテー」「テー」「エー」「アー」
後は言葉にならない声をあげながら、壊れた笑みを浮かべながら、のたのた、のたのた、失敗作の少女達は近づいてくる。
阿紫花・スミコ
ダークセイヴァ―に生を受けた者は、時に人としての尊厳まで奪われ、死ぬよりも残酷な運命にさらされることは珍しくない。
そんな光景を、スミコは何度となく見てきたし、スミコ自身も経験してきた。
「すべての命を救いたいなんて綺麗ごと、この世界では寝言にもなりやしないんだ。」
自分に言い聞かせるように、つぶやく。
そして、からくり人形「ダグザ」を操り、少女たちへの攻撃を始める。
スピニングスイープ・・・
操り糸を両手をあげるように強く引くと、からくり人形の腰部の歯車が軋みをあげて回転。その手に持つ、超重量の棍棒が少女たちを無慈悲に打ち付ける。
「悪いがここで立ち止まるわけにはいかないんだ
・・・!」」
●
阿紫花・スミコは近づいてくる失敗作の少女達から黒い瞳の目をそらさない。
「すべての命を救いたいなんて綺麗ごと、この世界では寝言にもなりやしないんだ」
呟く。己の中に向けるように。
少女達が間合いに入るや、スミコは両手を動かす。糸を強く引く。
からくり人形「ダグザ」の中の歯車が、ギギギ……ィ、軋みをあげる。ダグザは上半身を回転させた。荒れ狂う風の如く。
【スピニング・スイープ】! ぼうとした瞳で近づく少女達に、超重量の棍棒を叩きつける!
少女二体が吹きとばされ、地面に激突。
「アー」「アー」同類が倒されても、少女達は変わらず無機質な声をあげている。
不意に。三体が大きく跳んだ。共に異常な脚力で、ダグザを跳び越えスミコの前に着地。
三体はスミコの顔を大きく開いた目で見つめ、
「コレガ、アイ、ナノ?」「ナノー」「ナノー」
二体は背中から生えた異形の手をスミコへ伸ばす。体液に塗れたその手の爪は鋭い。
スミコは答えない。ただ手を動かす。ダグザを移動させ、スミコに触れようとしていた少女達の背を、棍棒で打ち据えた。少女達は地面に伏せ、それきり動かなくなる。
未だ多く存在する失敗作の少女達の前で、スミコはダグザを動かし続ける。意志を籠め言葉を口にした。
「悪いがここで立ち止まるわけにはいかないんだ……!」
大成功
🔵🔵🔵
薬師神・悟郎
…これが主様って奴のやり方なのか
苦手な相手とはいえ、少女達の痛々しい姿を見て動揺を隠すのは難しいかもな…
少女達と接触前に早業、防具改造、呪詛耐性、激痛耐性を施す
戦闘中は戦闘知識、地形の利用、逃げ足で距離を取り、有利な立ち回りを意識しよう
少女達が俺の攻撃範囲に入ったのを目視後、UC、範囲攻撃、先制攻撃
医術、第六感、野生の勘で少女達の隙もしくは致命傷になる箇所を特定、早業、範囲攻撃、暗殺
するべきことが決まっている以上、此処で止めるわけにはいかないんだ
主様とやらにこちらからも会いに行く理由ができたからな
せめて…苦しまずに逝かせてやろう
俺の技術と知識、武器を使い、気付く間も与えることなく終わらせてやる
メルティア・サーゲイト
「愛ってのは好きって事だぜ」
こっちも外付け腕を2本追加。二挺のガトリングカノンと二挺レールカノンで吹っ飛ばせるだけ吹っ飛ばす。手数なら負けないぜ?
距離を詰められたら外付け腕ごと武器をパージ。新たに生成した二挺ガトリングショットガンをガンカタ乱射!
「銃への愛は誰にも負けないぜ!」
ショットガンもぽいして火炎放射器に持ち替えて両手でローリングバスター放射で一気に薙ぎ払うぜ。
「感じるかい? 私の愛を」
ただ撃つだけじゃあ駄目なんだ。状況に応じて適切な銃を、適切な使い方で撃つ。これが愛だ。
「まァ、結局私は撃てれば何でもいいんだけどなァ!」
●
「……これが主様って奴のやり方なのか」
薬師神・悟郎は少女達を見、奥歯を強く噛み締めしめた。拳を強く握る。
悟郎の視線の先で、少女達が不意に走り出す。先程までのたのた歩いていた彼女らが、肉食獣めいたスピードで悟郎に迫って来る。
「ネェ」「ネェネェ」「オシエテ」「エテー」
悟郎がユーベルコードを使うより早く、数体が悟郎の前へ。
「ネー」「アイ、オシエテ」「エテー」
少女達は背から生えた、爪が異常に発達した手を伸ばしてくる。
悟郎は身を翻す。呪詛耐性を施したマントで少女達の腕を弾いた。そして即座に軽やかなバックステップで距離をとる。
「アイッテ、ナニ?」「ナァニー」少女達はなお悟郎に接近を試みていた。
メルティア・サーゲイトはナノクラフトバインダーを使い、新たな腕二本を作成。獰猛に笑む。
「愛ってのは好きって事だぜ」
メルティアはそれぞれの手で、計四挺の銃器を操った。
ガトリングカノンが音をたて、無数の弾丸が少女の全身に刺さる。レールガンの超音速の一撃が別の少女の腹を貫通。
倒れていく少女達。だが、その幾らかがむっくと起き上がる。穴だらけの体の少女達は、一様にメルティアを見つめ、駆けよって来る。
「コレガアイ?」「アイ」「アー」
メルティアは銃撃するが、少女達は動き続ける。少女達の背から。にょき。にょきり。新たな手が無数に生えた。手がメルティアへ伸びた。
その時、悟郎が拘束ロープを少女達に飛ばした。メルティアを攻撃しようとする少女達を縛り、三種の拘束具を駆使し動きを封じる。【咎力封じ】!
「するべきことが決まっている以上、ここで止めるわけにはいかないんだ。主様とやらにこちらからも会いに行く理由が出来たからな」
影縫の弦を引き絞る。射撃!
「せめて……苦しまずに行かせてやろう」
矢が少女の首に刺さり――少女は何も言わずに倒れる。悟郎は無表情を作ったまま、次々に矢を射かけた。
一方、メルティアの瞳には銃撃への衝動と愉悦。
「銃への愛は誰にも負けないぜ!」
外付けの腕と武器を落とし、【MODE ACCELERATOR】で強化された足で疾走。生成した二挺のガトリングショットガンを乱射、拘束された少女達を打ち抜いた。ショットガンも捨て、
「感じるかい? 私の愛を……まァ、私は撃てれば何でもいいんだけどなァ!」
大型火炎放射器で、弾丸で穴だらけの少女達を終わらせる!
ある者は圧倒的な銃撃と炎に命を落とし、ある者は何をされているか分からない間に息絶えた。
数を減らした少女達はそれでも、「ネー?」「ネエネエ」、無機質に笑み猟兵に近づいてくる。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ドゥルール・ブラッドティアーズ
【連携不可・WIZ】
愛を知らない可哀想な子達……
ええ、私が教えてあげる
真の姿で背中に黒炎の翼。
『リザレクト・オブリビオン』で死霊騎士と蛇竜を召喚。
彼らは私と同じ強さ。技能も使える。
2体がかりの【催眠術】で少女達を眠らせるわ
その後は 召喚を解除し、自分で行動。
包帯の【ロープワーク】【早業】で
少女達の人外の腕を縛り
人間部分の肉をちぎれなくするわ。
エロは大好きだけど、グロは大ッ嫌いなのよ……
さあ、たっぷり愛してあげる。
彼女達の口や目から零れる体液を舐め取り
髪や体を愛撫しつつ【生命力吸収】のキス
【呪詛耐性】で呪いは受けないし
抵抗されても【オーラ防御】【激痛耐性】で平気。
温もりを感じながら、お眠りなさい
●
ドゥルール・ブラッドティアーズは少女達を見、
「愛を知らない可哀想な子達……」
小さく漏らす。声に少女の数体が反応。
「アイ、オシエテ」「コレ、アゲル、カラ」
自分の体を爪で抉り、肉をドゥルールに投げようとする。
ドゥルールは首を左右した。
「それはしなくていいの。愛は私が教えてあげる」
真の姿になり黒い炎の翼を広げる。【リザレクト・オブリビオン】で死霊騎士と死霊蛇竜を召喚!
騎士と蛇竜は共に眼を光らせ、催眠術で少女達数体の動きを鈍らせ、別の数体の意識を奪う。
ドゥルールは召喚を解除し、少女達の間を駆けた。少女達の異形の腕を、魔力を注いだ包帯で縛る。
縛られたまま寝息を立てる少女を、ドゥルールは抱擁。
「さあ、たっぷり愛しあげる。温もりを感じながら、お眠りなさい」
背を撫でる。肌の上で指を緩やかに動かす。
催眠術と拘束から逃れた数体が、ドゥルールの背に体をぶつけてきた。
ドゥルールは耐性でダメージを軽減しつつ、抱擁を続ける。
あやすように少女を撫で、零れる体液を舐めた。目元へ命を吸い取るキス。
キスが、少女に痛み無き終焉を与えた。
猟兵達の活躍で、少女達は大幅に数を減らしいく。
少女達の体液に塗れながら、ドゥルールはまた一人の少女を抱きしめる。彼女に愛と安らかな眠りを教えるために。
大成功
🔵🔵🔵
アンナ・フランツウェイ
愛…それは私が呪詛天使と呼ばれる切欠になったモノ。でもその愛のせいであなた達がこんな形で苦しめられるのは忍びない。だからこそ呪詛天使なりの愛であなた達を救ってあげましょう。
飛翔能力を活かして少女達に接近。飛んでくる肉の軌道を【見切り】、大鎌を回転させ弾いていく(【武器受け】)。
呪いを撒かれても【呪詛耐性】で耐え、その呪いを阻害する【呪詛】をばらまいて上書き。戦闘力上昇を阻止するわよ。
接近出来たら大鎌で【なぎ払い】【範囲攻撃】。周囲の少女達の首を刎ねていくわ。
死に行く少女達に愛とはその人を守り大切にしたいという想いだと伝える。
…そして来世で彼女達を想い愛してくれる人に出会える事を祈りましょう。
●
アンナ・フランツウェイは【再臨式・鬱金香】により呪詛天使に変身していた。
「愛……それは私が呪詛天使と呼ばれる切欠になったモノ。でもその愛のせいで、あなた達が苦しめられるのは忍びない」
黒い両翼ではばたき、残った少女達に近づく。
少女達は虚ろな瞳をアンナに向けた。
「アー、アイ?」「シノビナーイ?」
声をあげながら、自分の肌を爪で抉り己の肉をアンナへ投げつけてくる。
アンナは緑の瞳で肉の軌道を見切る。飛びながら断罪者の大鎌を回転させ、肉を弾いた。
「ええ。だからこそ呪詛天使なりの愛であなた達を救ってあげましょう」
地に落下した肉から強力な呪いが発生し、少女達の体を包み強化していく。
アンナは少女達の真上に移動、両翼を大きく広げる。
翼が纏った無数の呪詛を地上にばらまく。呪詛で肉の呪いを打ち消した。
アンナは少女達の群れの中に着地。大鎌を一閃。
少女達は刃を掴もうとするが、鋸状の刃はその手を切断。
「アー……」斬られた手を見る少女達の首を、アンナの大鎌が刎ねる。血が噴出、複数の首が地面に落ちた。
アンナは鎌を振るい続けながら、告げる。
「愛とは、その人を守り大切にしたいという想いよ」
そして、ごく微かな声で祈る。
「……どうか、来世であなた達を愛してくれる人に出会えますように」
やがて少女達はすべて死を迎えた。
アンナは少女達の骸を見降ろしていたが、不意に顔をあげ、仲間に呼びかける。
「皆、構えて」
アンナはこちらに近づく存在に気づいたのだ。
少女達が来た方角から飛んでくるそれ――。それは黒い翼を持つ女の姿をしていた。
大成功
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第3章 ボス戦
『籠の世界の堕天使『アネモネ・ブランシュ』』
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POW : 死か愛か
【黒き羽根】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD : 不浄の疾駆
自身の身長の2倍の【漆黒のバイコーン】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ : 籠の世界の童話
戦闘用の、自身と同じ強さの【清らかな白き守護騎士】と【英知に満ちた魔法使い】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
👑11
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空を飛んでやってきた漆黒の翼を持つ女。その女は猟兵達の前方に着地する。
「だれかがだれかをすくえる、なんてうそ」
女は発する声には、成熟した外見とは異なり、幼子を思わせるたどたどしさ。
「だから、わたしがひろったあのこたちは、すくわれないまま、こわされてた。だから、わたしは、すくわれずに、しんだ」
女は青い瞳で猟兵達を睨む。その瞳にじわっと涙が浮かぶ。
「愛なんてないから。愛なんて嘘だから。すくわれるなんて嘘だから。だからあなたたちは、嘘つきでゆるせなくて死ななきゃいけなくて……なのにどうして生きてるの?」
女――籠の世界の堕天使『アネモネ・ブランシュ』の体から明確にして強大な殺意。
「『愛なんて嘘』『じぶんには誰もたすけられない』ってみとめて。みとめてから死んで。みとめないなら殺しちゃうもの」
地上に降りた彼女は、猟兵達に一歩二歩と近づいてくる。
阿紫花・スミコ
「たしかにボクはあの娘達を救えなかった、そこは君が正しい。」
「でもね、誰も救えないというのは違う。ボクはこの手で掬える人々を助けたいんだ。」
「ボクは君を倒す、そして、これ以上の被害を止める。それがボクの信じる正義さ。」
からくり人形ダグザを操り、敵の隙を伺う。
「ここだ!」
両手を引き上げるように強く引くと、人形の上半身が軋みを上げて回転を始める。
スピニング・スイープ!
回転する人形が超重量の棍棒に遠心力を与え、敵に連撃を放つ!
「ボクの正義と君の正義、どちらが正しいなんて議論は無意味だよ・・・結局は自分の信じる道を進むしかないんだ。」
●
阿紫花・スミコは黒翼の女をしっかり見据えた。
「たしかにボクはあの娘達を救えなかった、そこは君が正しい」
それを聞き女は喚く。
「ただしい? なら、誰もすくえないんだ。わたしもすくわれない。皆、死ぬ……あなたも死んじゃえ」
女の前に、角を生やした黒馬が出現。女は黒馬に跳び乗る。黒馬はスミコへ突進。
「誰も救えないというのは違う。ボクはこの手で掬える人々を助けたいんだ。
ボクは君を倒す、そして、これ以上の被害を止める。それがボクの信じる正義さ」
スミコはからくり人形「ダグザ」を黒馬の前に。
突進する黒馬の体を、ダグザは棍棒と体で受けた。敵の勢いに揺れるダグザ。スミコは額に汗を浮かべ、必死にダグザを制御。
「死んじゃえ」
女が叫ぶ。黒馬はダグザを踏もうと前足をあげた。
「ここだ!」スミコは両手を引き上げ【スピニング・スイープ】。ダグザの上半身が軋み、回転。黒馬の脚を、超重量の棍棒で強打! ダグザは回転を続け、黒馬の体へ連撃!
「きゃっ」女は己が殴られたように悲鳴をあげ、落馬。
女は立ち上がる。息が荒い。スミコの技で消耗したのだ。が、目に今まで以上の殺意。
スミコは敵の視線を冷静に受け止めた。
「ボクの正義と君の正義……結局は自分の信じる道を進むしかないんだ」
声に、決して己の道を譲らないという意志。
大成功
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薬師神・悟郎
存在する者がいるだけ、望まれてるものも違う
誰かが判断し決めつけるべきことじゃない
狂気耐性、呪詛耐性、激痛耐性で心乱されることなく冷静に行動
やるべきことは俺の中ではっきりしている
アネモネ・ブランシュ、お前が俺たちに求めているものが初めから決まっているように
他の猟兵に注意が向いた隙をつき迷彩、忍び足で存在感を消し近づき、暗殺、先制攻撃
敵の傷口をえぐると同時に毒使い、マヒ攻撃で状態異常を狙う
以降もしくは先の隠密が失敗すれば体勢を整えられる前に早業でUC発動
見切り、フェイント、だまし討ちからの串刺し、生命力吸収
致命傷を与えられなかったとしても、せめて部位破壊を狙いこれから続く猟兵たちへと繋げたい
●
仲間が奮戦している間に、薬師神・悟郎は気配を消し、黒翼の女の隙を伺っていた。その視線の先で、
「『じぶんには誰もすくえない』って言って!」
女が翼を広げ多量の羽を飛ばす。周囲全体に放った魔力持つ羽。うち数本が悟郎がいる場へも飛んだ。
悟郎はマントをかざし、羽を防ぐ。
(望まれてるものも違う。何が救いかなど、誰かが決めつけるべきことじゃない)
声に出さず呟く。
(兎も角。やるべきことは俺の中ではっきりしている。お前が俺達に求めるものが初めから決まっているように)
女はまだ悟郎に気づいていない。悟郎は移動、気配を消したまま敵の背後へ。
敵の背中を、拷問具【帷】で攻撃。落馬の際に地面にぶつけた部位を抉る。悟郎が与えた毒と痺れに、女は呻いた。
「ぅ……っ」
女は振り向く。攻撃した悟郎の腕を握った。強い力。悟郎の腕に食い込む爪。
悟郎は【血統覚醒】を実行、逆の手で苦無【飛雷】を握る。腕を掴む女の手の甲を、苦無で突く!
「いた……い」女の手が離れた。悟郎は即座に拷問具【帷】を振る。寿命と引き換えに得たヴァンパイアの力で、敵の肩を串刺し!
女は後ろに跳び、悟郎から距離をとる。
女が放つ殺気は今までと同じ。が、肩の傷から多量の血。
悟郎は仲間に要請する。
「これで敵の動きも鈍る筈。皆、畳みかけを頼む!」
大成功
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阿紫花・スミコ
(そうか・・・この子は誰かに「救ってほしい」んだ。)
「ボクが助けてあげる」・・・そんな言葉をぐっと飲みこむ。
ダークセイヴァ―・・・この残酷な世界では、気休めほど人を絶望させるものはない。
「ボクは君を倒す・・・そのためにここに来たんだ
・・・!」
ダグザの棍棒による強烈な一撃を加える・・・外れてもいい。彼女の気が人形に注がれれば。
「今だ!」
瞬時に腰に付けたガンハイダー(光学迷彩付きのガンベルト)の迷彩解けば、すばやく黄金に輝く精霊銃「アヴェンジングフレイム」を引き抜く。(早業)
腰だめに銃を構え、引き金を引けば、左手ですばやく撃鉄をはじく!(UC)
人形とは別角度から放たれた6発の弾丸が敵に放たれる!
●
阿紫花・スミコは敵の言葉を思い返す。
(『わたしもすくわれない』……そうか……この子は誰かに『救ってほしい』んだ)
スミコは口を開いた。何かを言いかけたが、口を閉じる。そして、
「ボクは君を倒す……そのためにここに来たんだ……!」
先程言いかけたのとは別の言葉を、感情を押し殺し告げた。
傷ついた女は、角を持つ黒馬を再び召喚し騎乗。
スミコはからくり人形「ダグザ」を前進させた。ダグザは、馬めがけ棍棒を振り回す。強烈で荒い打撃。
馬は跳びのき棍棒を回避。が、態勢が微妙に崩れた。
「今だ!」
スミコは戦場を走りつつ、ガン・ハイダーの迷彩を解除。黄金に輝くアヴェンジング・フレイムを手にとる。
次の瞬間。スミコは銃口を女に向け、引き金を引き左手で撃鉄を弾く。およそ0.02秒間に弾丸六発を放つ【ファニングショット】!
炎を纏う弾丸が、馬の胴を抉り、角を砕き、さらに全身を炎上させる!
スミコの銃撃が、馬を消滅させた。
女は地面に這いつくばる。馬と生命力を共有していた故に、全身に傷。
「……だれも、すくわれない……すくうなんて、あいなんて、うそなの……」
足元に血溜まりを作るほど流血しつつ、女はまた立ち上がる。声と瞳に、悲しみと狂気。
スミコは銃を構えなおす。女から目をそらさずに。
大成功
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メルティア・サーゲイト
「そりゃ違うな。誰かが誰かを一方的に助けるなんてのは元から無理なんだよ」
ドールユニット単独でその問いに答えるぜ。
「人は誰かを助けたりなんかできない。精々、そいつが勝手に助かるのを少し手伝うだけだ」
ユニット結合確認、補助動力稼働開始。駆動シークエンスオールクリア! CRUDE起動!
「ま、お前を助ける理由は無い」
CRUDEの脚力を生かした大跳躍からのエントリーだ。CRUDEに特別な機能は無い。単純にデカくて重いだけだ。あと、超硬い。装甲と駆動力に全振りだからな。だが、サイズ相応の機動力はある。デカいって事は歩幅も広いし、重いからって遅いとは言ってないんだぜ。
「粗野に行くぜ!」
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流血した女は「うあああああっ」吼えた。翼から飛んでくる、魔力を持つ黒い羽。
一本が、メルティア・サーゲイトのドールユニットに命中。
「『だれもたすけられない』って言って!」
言葉に逆らう者を傷つけるのが羽の魔力。が、
「ああ。人は誰かを助けたりなんかできない」
メルティアは平然と答え、羽の魔力を無効化。
「誰かが誰かを一方的に助けるなんてのは、元から無理なんだよ。精々、そいつが勝手に助かるのを少し手伝うだけだ」
「かってにたすかる? で、でも」
戸惑う女にそれ以上構わず、メルティアはナノクラフトバインダーでパーツを生成。結合。補助動力を稼働……そして【CODE CRUDE】を起動!
「ま、お前を助ける理由は無い。さあ、粗野に行くぜ!」
巨大なロボに変形したメルティアは、跳躍。女の前に着地。
メルティアの重量に地が震えた。女の足がふらつく。メルティアはその女の腹を、容赦なく蹴る。重さと硬度を持つ足の爪先で、一撃!
女は体をくの字に曲げながらも、翼を広げ再び技を使おうとする。が、
「遅い!」
メルティアは腕を振り落とす。ロボの拳を女の頭部に叩きつけた!
女はうつ伏せに倒れた。起き上がれないほどのダメージ。が、未だ女の殺気は消えない。
「後少し。最後までガンガン行こうぜェ!」陽気に声を張るメルティア。
大成功
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アンナ・フランツウェイ
そうね、確かにアンナと私の妹分の事を誰も救ってはくれなかった。
でも…少なくともアンナと猟兵達は別個体のあなたを救ったわ。それに愛が存在しないならば、私は…怨念は少なくとも呪詛天使と呼ばれる事は無かったでしょうね。
黒い羽根を飛ばして来たら【断罪者の大鎌】を振るい【呪詛】を纏わせた【衝撃波】を発生させ、黒い羽を吹き飛ばす。
羽根を吹き飛ばされ怯んでいる隙にアネモネへ接近。終焉剣を胸元目がけ突き立て、苦痛が少なくなる様調整した【呪詛】を流し込みながら【傷口をえぐる】【生命力吸収】で追撃するわよ。
呪詛天使である私にはこういう救い方しか出来ない。…せめて安らかな眠りを。今度こそ愛で苦しむ事がないように。
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「すくい……なんて、ない……ああっ」
女は地に伏したまま喚く。猟兵を睨み、黒い羽を大量に飛ばしてくる。
アンナ・フランツウェイは断罪者の大鎌を閃かせた。
【再臨式・花蘇芳】で呪詛天使に変化したアンナの一振りは、衝撃波を生む。全ての羽を吹き飛ばす。
「そうね。確かにアンナと私の妹分のことを誰も救ってはくれなかった。でも」
アンナは言葉を紡ぎつつ、女に接近。
「少なくともアンナと猟兵達は別個体のあなたを救ったわ」
言葉を口にしつつアンナは加速。
一気に距離を詰め、終焉剣・ラストテスタメントの柄を強く握る。
剣先を倒れた女の背に突きたてた!
もはや致命傷を負った女に、アンナは剣先から呪詛を流しこむ。痛みを和らげる呪詛を。
「い、たく、ない……?」不思議そうに瞬きする女。
「呪詛天使である私にはこういう救い方しか出来ない………せめて安らかな眠りを。今度こそ愛で苦しむ事がないように」
アンナは敵の痛みを和らげたまま、死を与えるべく剣を持つ手に力を籠めた。
死にかけの女は微かな声で問いかけてきた。
「……あいは、あるの?」
「あるわ。愛が存在しないならば、私は……怨念は少なくとも呪詛天使と呼ばれる事は無かったでしょうから」
淡々と答えるアンナ。その答えをどう聞いたか、女はゆっくり目を閉じ――息絶えた。
愛と救いを憎み、故に人や猟兵に害をなそうとしたオブリビオン。
そのオブリビオンを、アンナ達猟兵は倒した。
オブリビオンの体は徐々に消滅していく。
猟兵のうちある者は背を向け帰路に就き、ある者は村人の安否を確認しに移動する。ある者は彼女が完全に消えるまで見つめていた。
大成功
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