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よくばりオウガと宝石の町

#アリスラビリンス


●よくばりオウガと宝石の町
 むかしむかし――いいえ、これは今から少しだけ未来のおはなし。
 あるところに、町中のあらゆるものが宝石でできた「不思議の国」がありました。
 道路も、家屋も、動物も、草花も、そして住人も――なにもかもが色とりどりの美しい宝石でできているのです。

 宝石の町の愉快な仲間たちは、長いあいだ争いもなく、歌ったり踊ったり平和に暮らしていました。
 ところがある日、ウサギ穴からとてもよくばりな怪物が宝石の町にやってきました。
 怪物はたくさんの兵隊をつれてきて、愉快な仲間たちに言いました。

「この町は今日からわたくしのもの。町中の宝石という宝石を全てさしだしなさい」

 もちろん、愉快な仲間たちは怪物の言いなりになんてなりたくありません。
 けれど言うことを聞かない住人は、怪物の連れてきた兵隊に襲われて、みんな壊されてしまいました。

 こうしてよくばりな怪物は、宝石の町の女王様になったのでした。
 めでたし、めでたし。


「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
 グリモアベースに招かれた猟兵たちの前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(人間の精霊術士・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「アリスラビリンスにて、まだオウガの支配を受けていない『不思議の国』が、オウガの大軍勢に侵略される事件を予知しました」
 アリスラビリンスは『不思議の国』と呼ばれる無数の小世界が繋がってできた複合世界だ。その多くは『オウガ』と呼ばれる怪物――オブリビオンの支配下にあるが、まだ侵略されていない不思議の国もある。今回の事件の舞台となったのも、そんな平和"だった"不思議の国のひとつだ。

「その『不思議の国』は、住人を含めたあらゆるものが宝石で出来ている大きな町です。それに目をつけたとある強欲なオウガが、町中の宝石を我が物にしようと侵略を始めました」
 住人たちは心情としてはオウガに反抗的だが、なにしろ長い間平和に暮らしてきたために、オウガの引き連れてきた軍勢にはとてもではないが敵わない。このままでは多くの犠牲を出した上で、宝石の町はオウガの支配下となってしまうだろう。

「皆様には宝石の町の援軍として、住人たちと共にオウガの軍勢を退けてほしいのです」
 オウガの軍勢は凄まじい大軍であり、猟兵たちでも全てを倒しきることはできない。だが、軍勢を率いるオウガのボスを倒せば、敵の統率は失われ侵略を阻止できるはずだ。
「今から現地に転移すれば、オウガの軍勢が侵略を開始するタイミングに間に合うはずです。まずは住人たちと共に軍勢と戦い、ボスに至る活路を切り開き。その後は住人たちが残りの軍勢を足止めしているうちに、ボスを撃破するのが最終目標になります」
 宝石の町の住人は戦いに慣れてこそいないが、ユーベルコードも使用可能でそれなりの戦闘力はある。ボスとの戦いに参加できるレベルではないが、下級のオウガが相手なら十分戦力になるはずだ。

「この作戦の成功には、住人との協力が必要不可欠です。自分たちの町の平和を守るためとあらば、彼らも協力を惜しまないでしょう」
 宝石の町の住人はみな平和を愛する心優しい人々だ。人肉を喰らい暴虐を振るうオウガの存在を快く思ってはおらず、その支配に命がけで反抗する勇気もある。
 無事に戦いが終わったら、改めて彼らと親睦を深めてみるのも良いかもしれない。きっと町を挙げて歓待してくれることだろう。

「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」
 依頼の説明を終えたリミティアは、手のひらにグリモアを浮かべると、猟兵たちをアリスラビリンスに送り出すのだった。



 こんにちは、戌です。
 今回の依頼はアリスラビリンスにて、侵略を受ける『不思議の国』のひとつ、宝石の町をオウガの魔の手から守るのが目的となります。

 第一章では宝石の町の住人たちと共にオウガの大軍勢と戦います。
 戦場となるのは宝石でできた市街地です。戦いで町が破壊されても住人たちがあとで頑張って修復するので、遠慮する必要はありません。
 住人たちは「ピカピカ光って眼をくらませる」「硬いボディで攻撃を跳ね返す」といった愉快なユーベルコードで猟兵と一緒に戦ってくれます。
 無事に活路を切り開くことができれば、第二章でオウガのボスとの決戦になります。

 無事にボスを倒して侵略を阻止できれば、第三章では平和になった宝石の町で日常を楽しむ時間となります。住人たちは町を救ってくれた猟兵を盛大に歓迎してくれることでしょう。
 リミティアは基本的に登場しませんが、何かさせたいことがあればプレイングでお申し付けください。

 新世界での初依頼。不慣れではありますが精一杯頑張らせていただきます。
 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『トランプの巨人』

POW   :    巨人の剣
単純で重い【剣】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    トランプ兵団
レベル×1体の、【胴体になっているトランプのカード】に1と刻印された戦闘用【トランプ兵】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ   :    バインドカード
【召喚した巨大なトランプのカード】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
阿井・黎守
【アドリブ・連携歓迎】
アリスじゃなくてもこんなヒデー事するのかよ…ほんっと、ロクでなしばっかだなヤツら!!

最初は【ランスチャージ】で先制攻撃を狙うぜ、出来るならヤツらを纏めて串刺しだっ!

オレは基本的には【トランプ兵団】で出てきたヤツらを狙うぜ、でかい数字になる前に減らしてやる!

離れたヤツにはランスで刺して近くにいるのは剣でぶった斬る。
ヤツらの剣の攻撃は避けて、でっかいカード攻撃は頑張って切る、味方に飛んでくのも切って防ぐぜ!

もしピンチな所があったらそこにユーベルコードでテレポートだ、馬はヤツらのいるとこに走らせて踏んづけさせてそこに追い打ちだ!


ヴィヴィアン・ランナーウェイ
アドリブ・連携歓迎

宝石、ですか。
確かに私も宝石は好きですが、それを独占しようだなんて笑止千万。
ましてや、今を生きる民たちから搾取するなんてもってのほかですわ!
お仕置きが必要ですわね!

と、申したものの、生憎今の私に戦闘手段はこの槍くらいしかないのも事実。

で、あれば●鼓舞!士気をあげるのは重要ですわね!
UCを使用しつつ、民たちを鼓舞して回りますわ!
貴方達だって指をくわえて搾取されるのもを待つのは嫌なはず!さあ、立ち上がりなさい!
この私、ヴィヴィアン・ランナーウェイがその手助けをしますわ!!

まあ、半分くらいハッタリですが。それを感じ取らせないよう敵に槍を振るいます!
こう見えて槍捌きは中々でしてよ!



「ガハハ、逃ゲロ逃ゲロ!」
「コノ町ハモウ、俺様タチノ物ダ!」
 きらびやかな輝きに満ちた宝石の町に、我が物顔で進撃するオウガ――『トランプの巨人』の大軍。
 歪な鎧に包まれた巨体で、大剣を振り回し町を破壊する。その振る舞いに美しいものを愛する心はなく、ただ所有欲と支配欲を満たそうという衝動ばかり。
「く、くそう、お前たちなんかに……!」
 必死の覚悟でそれに抵抗するのは、この町の愉快な仲間たち。だが、常人の倍はあろうかという巨大な怪物の群れに対して、彼らの姿はあまりに儚く、非力。
 嗜虐的な笑みを浮かべながら、トランプの巨人は彼らに剣を振り下ろす――。

 ――その時、まるで一陣の風のように駆け抜けた小柄な影が、人々を襲うトランプの巨兵を纏めて貫いた。
「ギエエエエエエエエエッ!?」
 どてっ腹に風穴を開けられ、断末魔の悲鳴と共に消滅していく巨兵。「何者ダ!?」と乱入者の影を追うオウガたち。
 そこに立っていたのは、美しい白銀のランスと剣を携え、可憐なエプロンドレスに身を包んだ少女――否、少年。その名を阿井・黎守(エプロンドレスからはのがれられない!・f19337)と言った。
「アリスじゃなくてもこんなヒデー事するのかよ……ほんっと、ロクでなしばっかだなヤツら!!」
 この世界の迷い人、アリス適合者の一人としてオウガの脅威を身に沁みて理解している彼は、義憤と共にランスを構えなおす。この町の人々を、理不尽な悪意と暴力から守るために。

「あ、あの子はいったい……?」
 絶体絶命の状況下で、現れた援軍。宝石の町の住人たちはぽかんと目と口を丸くしてその背中を見つめる。
 しかし、この町を救うために駆けつけたのは、黎守一人だけではなかった。
「おーっほっほっほ!」
 高笑いと共に颯爽と出現したのはヴィヴィアン・ランナーウェイ(光速の悪役令嬢・f19488)。
 自慢の健脚を活かしたユーベルコード【悪役令嬢は神速を尊ぶ】でピンチの人々の元に駆けつけた彼女は、自信に満ちた態度で宝石の町の人々に呼びかける。
「貴方達だって指をくわえて搾取されるのもを待つのは嫌なはず! さあ、立ち上がりなさい! この私、ヴィヴィアン・ランナーウェイがその手助けをしますわ!!」
 そう言って自らも槍を手に、オウガの大軍に立ち向かう。その勇ましい姿と言葉は、一度は打ちのめされかけた人々を鼓舞し、その心に火を灯した。
「そうだ、くじけるのはまだ早い!」
「ぼくたちの町を守るんだ!」
 士気の高まった宝石の人々は、ピカピカと身体を輝かせながら再びオウガへの抵抗を開始した。

「旨ソウナ『アリス』ノ匂イダ!」
「邪魔ヲスルナラ喰ッテヤルゾ!」
 仲間を倒された怒りと、アリスに対する食欲に駆られたオウガたちは、トランプのカードで出来た【トランプ兵団】を召喚する。
 体に「1」の刻印を持つ兵士1体1体の強さは大したことはないが、彼らには合体することで強くなる特性がある。仮に最上位の「K(13)」まで成長されれば、猟兵にとっても厄介な敵となるだろう。
「だったら、でかい数字になる前に減らしてやる!」
 黎守はランスから剣に得物を持ち替えると、近くにいるトランプ兵から手当たり次第にぶった斬っていく。両断されたトランプ兵はただのカードとなり、紙吹雪のように彼の周囲を舞う。
 そしてヴィヴィアンは黎守がトランプ兵を相手取っている間に、兵団を召喚しているトランプの巨人に突撃する。
「宝石、ですか。確かに私も宝石は好きですが、それを独占しようだなんて笑止千万。ましてや、今を生きる民たちから搾取するなんてもってのほかですわ!」
 異世界に迷い込んでもなお、公爵家令嬢としての誇りを胸に抱く彼女は、オウガの横暴を決して許さない。
 民のために守り戦うことこそ、高貴なる者の義務。そしてただ欲望に駆られるだけの怪物に、かける情けなどありはしない。
「お仕置きが必要ですわね!」
 女豹と仇名された神速の踏み込みから放たれる刺突は、白銀の閃光を描きながら巨人の心臓を貫いた。

「コ、コイツラ強イゾ!?」
「クソッ、覚エテロヨ!!」
 トランプの兵団を蹴散らされ、次々と仲間を倒された巨人たちは泡を食って逃げていく。
 だが、これはあくまで敵の一部を撤退させたに過ぎない。オウガの軍勢は町のあちこちから侵略を行っているのだ。
「きゃぁぁぁぁっ、助けてぇぇぇっ!!」
 敵を退却させたばかりの黎守とヴィヴィアンは、彼方から助けを求める人々の声を聞きつける。
 言葉もなく頷きあった二人はそれぞれのユーベルコードを発動し、新たな戦場に飛んだ。

「待たせたな、もう大丈夫だぜ!」
 光り輝く白馬と共に【白馬の王子様】でテレポートした黎守は、今まさに宝石の住人に襲いかからんとしていたオウガに挑む。
 蹄の音を高らかに奏でながら、白馬が巨人を踏みつけて体勢を崩させ。そこに馬上から黎守がランスによる追い討ちをかけ、確実に仕留めていく。
「グググ、邪魔スルナ!」
 怒ったオウガたちが振り下ろす剣は、白馬による機動力を活かして躱し。放たれる巨大トランプは住人たちに向かって飛んでいくものも含めて、全て剣で切り払う。
「これ以上やらせるかよ!」
「ええ、その通りですわ!」
 【悪役令嬢は神速を尊ぶ】で駆けつけたヴィヴィアンもそこに加わると、傷ついた住人を励ましながら敵に槍を振るう。
「この程度の相手、わたくしにかかれば楽勝ですわ。何も心配いりませんわよ!」
 その言葉の半分くらいはハッタリだが、それを感じ取らせないのも令嬢の嗜み。その槍捌きも中々のものだ。

「カッコいい……」
「よし! ぼくたちも一緒に戦うぞ!」
 二人の『アリス』の戦いぶりに勇気を貰った人々の抵抗は、少しずつオウガの侵略を食い止めていく。
 戦いはまだ始まったばかり。敵の数は圧倒的。だが、希望は確かにそこにあった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

月藤・紫衣
【morgen】
宝石、ですか…貴金属というのは案外旅向きなので昔は資金代わりに持ち歩くこともありましたが…そういえばザッフィーロさんはヤドリガミさんでしたね
宝石で出来た愉快な仲間達さんとは親戚のような感覚なのでしょうか?

さて私も…【怪力】を用いて【海雫】で敵同士をぶつけ【なぎ払い】移動して戦場に少しでも場所を作りましょう
その賭け面白そうですね、乗ります
では【歌唱・誘惑】し敵を【おびき寄せ・敵を盾にする】ように攻撃を【見切り】つつ【海雫】で近場の敵を掴んでぶつけてさらに【2回攻撃】といたしましょう

彩花さんの華奢な見た目からああも力強い行動や攻撃を見ると…その、ちょっと…いえ、かなり驚きませんか?


彩花・涼
【morgen】
宝石か…神秘的な国だな
此処の住人たちは確かにヤドリガミに似たような感じか
ザッフィーロが親近感を湧くのも分かる

ふむ、2人とも暴れる気満々といった感じだな
後衛から黒鳥で【スナイパー】【クイックドロウ】で
2人の【援護射撃】をしよう
【部位破壊】で敵の足を狙い
体勢が崩れたところを2人に任せる

敵がこちらに集まったなら
【ダッシュ】で敵の一体を【踏みつけ】
【怪力】でUCを使用し地面へ叩きつけよう
さて…では此処からは私も賭けに参戦だな
【見切り】で敵の剣を躱した所を【カウンター】で投げ飛ばすぞ

そうだな、私に勝ったならデザートも奢ってやろうと
2人を【鼓舞】しようか
まぁ負ける気はないがな?


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
【morgen】

宝石の街か
元は同じ様な物ゆえ何故か落ち着くな…と
住人たちはその、余り無理はせんようにな?
後で治すが…やはり同族が傷つくのを見るのは嫌なのでな

戦闘と共に敵へ間合いを詰め『先制攻撃』
【鍛錬の賜物】にて敵を掴み障害物等に叩きつけ道を開く様行動をして行こう
その際は頭から落とし『気絶攻撃』にもなれば幸いだ
攻撃を受けそうな場合は『盾受け』後【鍛錬の賜物】にて『カウンター』を
確かに彩花の細身であの攻撃は驚くが…月藤の細腕でのそれも俺には同じ様な感覚だぞと声を

途中一番投げた個体が少ない物は帰りに飯を奢るというのはどうだ?と声を投げつつも甘味もと聞けば投げる力に熱が入る
…絶対に彩花には勝たんとな



「宝石の街か。元は同じ様な物ゆえ何故か落ち着くな……と」
 旅団『―morgen―』の仲間と共に戦場と化した市街地に現れたザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)は、オウガに襲われている町の住人を見るや勢いよく駆け出した。
 今まさに剣を振り下ろさんとする巨人の腕をがしりと掴み、そのまま持ち上げる。ヒトよりも大きく、重厚な鎧に覆われたオウガの体が、ハリボテのように軽々と宙に浮く。
「ゴアッ!? ゴアアアアアアッ!!?」
 そのまま無造作に放り投げられた巨人は、頭から街路に叩きつけられ、ピクリとも動かなくなった。
 それを尻目にザッフィーロは襲われていた住人を助け起こし、ケガの確認をする。
「その、余り無理はせんようにな? 後で治すが……やはり同族が傷つくのを見るのは嫌なのでな」
「んっ、わかったよ! 助けてくれてありがとう!」
 根は陽気らしいこの町の住人は、お礼を言うとすぐさま仲間たちを集めてオウガに立ち向かっていく。
 無理はしないとは言っても、やはり自分たちの町の危機に何もせずにはいられないのだろう。

「宝石か……神秘的な国だな」
「宝石、ですか……貴金属というのは案外旅向きなので昔は資金代わりに持ち歩くこともありましたが……」
 ザッフィーロの後から姿を現したのは、真っ黒な狙撃銃「黒鳥」を担いだ彩花・涼(黒蝶・f01922)と、藤花模様の着物を纏う月藤・紫衣(悠々自適な花旅人・f03940)。
 きらびやかな町並みと、ピカピカ光りながらオウガと戦う人々の姿を見回しながら涼は言う。
「此処の住人たちは確かにヤドリガミに似たような感じか。ザッフィーロが親近感を湧くのも分かる」
「そういえばザッフィーロさんはヤドリガミさんでしたね。宝石で出来た愉快な仲間達さんとは親戚のような感覚なのでしょうか?」
 紫衣からの問いに、ザッフィーロは「まあ、そんなところだ」と軽く頷く。彼の本体は中世の時代、聖職者たちの手元で救いと赦しを与えるとされたサファイアの指輪。擬似生物である愉快な仲間とは種族を異にすれども、同じ宝石を起源とする者として親近感を覚えるのだろう。

 そんな話をしている間にも、オウガの軍勢は後から後から押し寄せてくる。
「アイツラ『アリス』ジャ無イ?」
「デモ旨ソウダ!」
 喰える肉があるなら何でも良いのか、彼らは猟兵たちも標的として容赦なく牙を剥く。だが容赦しないのは此方も同じこと。
「さて私も……」
 紫衣は襲い掛かってきた巨人の剣をひらりと見切り、相手の巨体を他の敵に対する盾にして懐に潜り込む。そしてまごつく敵の身体をひょいと掴んで持ち上げ、後ろの敵目掛けて投げつけた。
「グオォォォォォォッ!?」
 羅刹の怪力とユーベルコード【海雫】の力を受けた巨人は、まるで砲弾のように仲間と激突。グワッシャァン!! と派手な音を立てて仲良く吹っ飛ばされていく。
 そして紫衣が敵を吹き飛ばして戦場に開いたスペースに、すかさずザッフィーロが飛び込み、先程のように【鍛錬の賜物】を駆使して敵を次々と投げ飛ばす。
「一番投げた個体が少ない物は帰りに飯を奢るというのはどうだ?」
「その賭け面白そうですね、乗ります」
 戦いの最中、ザッフィーロがふと投げかけた提案に、紫衣はすぐさま承諾の意を込めて楽しげに頷き。
 二人は互いの背中を守るように連携を取りながら、押し寄せるオウガの大軍をちぎっては投げていく。

「ふむ、二人とも暴れる気満々といった感じだな」
 前線で大立ち回りを繰り広げる仲間を見守る涼は冷静に、後方より「黒鳥」を構えて彼らの援護射撃を行う。
 標的は大量。この距離で彼女の腕ならば外す道理はない。ぐっとトリガーを引き絞れば、放たれた銃弾は狙い過たず、進撃中の巨人たちの足を撃ち抜いた。
「グアッ!?」
 バランスを崩し、バタバタと前のめりに倒れこむ巨人たち。体勢の崩れた敵を見逃さなかったザッフィーロと紫衣は、ソレをむんずと掴んで振り回しては叩きつける。
 もはやどちらが鬼(オウガ)なのか、一瞬分からなくなるような光景であった。

「コイツラ強イ!」
「アッチカラ先ニ喰ウ!」
 散々投げ飛ばされればさすがに彼らも嫌気がさすのか、オウガたちはザッフィーロと紫衣の周りをなるべく避け、その後ろにいる涼にも襲い掛かるようになる。
 こうなると狙撃を続けるには敵との距離が近すぎる。しかし涼の表情にまるで焦りはなく、銃を納めると集まってくる敵を見回しながらぽきぽきと指を鳴らし。
「さて……では此処からは私も賭けに参戦だな」
 たん、と駆け出すと戦闘にいた巨人の体を踏みつけ、ユーベルコード【黒蝶の狂詩曲】を発動。前線で暴れている二人に負けずとも劣らぬ怪力を以て、トランプの巨人を地面に叩きつける。
「ゴガァッ!?」
「コ、コイツモ強イ!?」
 泡を食ったオウガたちが闇雲に振り回す剣をひょいひょいと見切り、躱し、懐に飛び込むと首を鷲掴みにして――。
「狙撃手だと思って甘く見たな」
 ぽーん、と高々と投げ飛ばされたオウガの巨体は、そのまま戦場の彼方へと消えていった。

 その光景を前線から見ていた仲間の二人は、思わず唖然としていた。
「彩花さんの華奢な見た目からああも力強い行動や攻撃を見ると……その、ちょっと……いえ、かなり驚きませんか?」
「確かに彩花の細身であの攻撃は驚くが……月藤の細腕でのそれも俺には同じ様な感覚だぞ」
 紫衣の問いに応じるザッフィーロの声は、後半部分はやや小さく。
 小柄な少年か少女のような容貌の涼や、上背はあるが筋肉質というほどでもない紫衣が、巨大な鎧の怪物を投げ飛ばす光景は、猟兵が常識に囚われない存在だということを改めて感じさせる。
 一方、自らの周りにやって来た敵を次々と投げまくる涼は、得意げな表情を浮かべて自信たっぷりに二人に言う。
「そうだな、私に勝ったならデザートも奢ってやろう。まぁ負ける気はないがな?」
 二人の士気を鼓舞するのも兼ねたその挑発は、果たして効果は覿面だった。
 甘味と聞いたザッフィーロの表情はきりりと引き締まり、敵を投げる力にも熱が入る。
「……絶対に彩花には勝たんとな」
 スコアを稼ぐためにもやや強引にでも間合いに踏み込み、手袋から発するエネルギーの盾で巨人の剣を受け流すと、間髪入れず投げ飛ばす。
「私も負けられませんね……では一曲披露させてもらいましょう」
 対する紫衣は効率的に敵を倒すため、得意の歌でオウガたちを誘惑する。
 戦場を流れる穏やかな歌声に、ついついおびき寄せられてきたオウガを引っ掴むと、その巨体をまるでハンマーのように振り回し、近場の敵に叩きつける。
「「「グワアァァァァァァッ!?!?」」」
 三者三様、それぞれの食事と意地を賭けた巨人投げ飛ばし祭りによって、みるみる駆逐されていくオウガの軍勢。
「すっごーい……!」
 その光景を、宝石の住人たちはキラキラと尊敬の眼差しで見つめていたのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
新世界でもやることは変わりません。騎士として人々を護っていきましょう
それにしても宝石の町とは……このような特異な性質もアリスラビリンスの内包する一面に過ぎないとは驚きです。今後の依頼でもその国ごとの特色に順応していかなければ
(宝石に関してはレアメタル、魔術の触媒という位しか価値を見出してないある意味女性の敵な機械)

住人達の住居が破壊されるのも防ぎたいですね
●怪力●盾受け●武器受け、UCで住人や街を●かばいます

攻撃は住人の方々の眩く美しい●目潰しで援護を貰い、ワイヤーアンカーでの●ロープワークで引き倒して倒していきます

光で目が潰れないか?
私の目は特別なのです(センサーによる●見切り●情報収集)



「ククク、追イ詰メタゾ」
「ズイブン梃子摺ラセテクレタナ。ブチ壊シテヤル――!!」
 各地で激しい戦闘が繰り広げられている宝石の町。その一角で、一組の愉快な仲間たちが、オウガの部隊に包囲されていた。
 彼らは町を脅かす敵に果敢に抵抗を試みたものの、オウガとただの住人との間には大きな力の差があり、数の上でも劣勢であった。
 勇戦虚しく敗退し、傷ついた彼らの瞳からは、宝石の涙がポロポロと零れ落ちる。
「うう、ちくしょうっ!」
「誰か……誰か助けて……っ!」
 町を守れない悔しさを滲ませる者、救いの手を求める者。
 人々の悲痛な叫びはどこにも届かず、オウガの剣は無慈悲に振り下ろされる――。

 ――否。
 彼らの嘆きと涙は、確かに届いていた。
 白き装甲を纏いし鋼の騎士、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)の元に。

「御伽噺に謳われる騎士たちよ。鋼のこの身、災禍を防ぐ守護の盾とならんことをここに誓わん!」
 高らかなる騎士の誓いを謳い上げながら、スラスターを噴射して戦場に飛び込んだトリテレイアは、今まさに住人の命を奪わんとしていた剣の前にその身を晒す。
 ズシン、と重く鈍い衝撃がボディに叩きつけられる――だが、この程度の一撃では彼はビクともしない。
「遅くなって申し訳ありません。ですがもう安全です」
 大盾と儀礼剣を構えながら、トリテレイアは住人たちをその背にかばい、巨人たちの前に立ちはだかる。

「何ダオ前、ナイト様ノツモリカ?」
「マズハオ前カラブチ壊シテヤル!」
 横槍を入れられたトランプの巨人たちは憤怒のままにトリテレイアに襲い掛かると、無骨な巨人の剣を振り下ろす。
「住人達の住居が破壊されるのも防ぎたいですね」
 重く乱暴なその斬撃は、下手に躱せば町を破壊してしまうだろう。そう考えたトリテレイアは剣と盾で敵の攻撃をすべて受け止め、住人にも町にも被害が及ばないよう誘導する。
 騎士の誓い、【機械人形は守護騎士たらんと希う】によって増大した彼の剛力は、巨人の膂力さえも軽く凌ぐほどで、幾度となく振り下ろされる剣はその度に弾き返されていく。

「――わ、私たちも援護するよ!」
 トリテレイアの勇姿に、一度は挫けかけた住人たちの心も再び奮い立つ。直接戦闘は苦手だが、彼らは決して無力なわけではない。
 宝石でできた美しい体を一斉にピカピカと輝かせれば、閃光が巨人の眼を灼いた。
「グゥッッ!?」
「コイツラ、ヨクモッ」
 視力を失いよろめくオウガたち。すかさずトリテレイアは躯体に搭載したワイヤーアンカーを射出すると、標的の巨体をワイヤーでぐるぐる巻きにする。
「ナンデコイツハ平気ナンダ…!?」
「私の目は特別なのです」
 閃光にも耐えうる高性能のセンサーを搭載したトリテレイアは、そのまま捕らえた巨人を引き倒しては、心臓に剣を突き立てていく。

「それにしても宝石の町とは……このような特異な性質もアリスラビリンスの内包する一面に過ぎないとは驚きです。今後の依頼でもその国ごとの特色に順応していかなければ」
 防衛戦を繰り広げながら、トリテレイアはふとこの世界の特異性に思いを馳せる。
 アリスラビリンスは猟兵たちに発見されたばかりの今だ謎多き世界。この戦いも通して、学習すべき事柄は多いだろう。
「ですが新世界でもやることは変わりません。騎士として人々を護っていきましょう」
 どのような世界を訪れようとも、その胸の誓いは揺るぎなく。機械騎士はオウガの魔の手から人々を守るために剣を振るう。

 ――余談ではあるが彼は宝石に関してはレアメタル、魔術の触媒という位しか価値を見出していない。
 宝飾品を愛でる女性的な機微にはちょっぴり疎い騎士様であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

駆爛・由貴
宝石の町ねぇ…まぁ確かに宝石は良いもんだけどな
弱い奴を苛めてまで手に入れるってのはいただけねぇよな!

オンモラキとバサンを展開しミストルティンも構え
遠距離から敵をぶっ叩く
バインドカードを喰らわねぇように矢弾や砲撃でカードを撃ち落としつつ敵を倒すぜ

ハッハー!どうしたどうしたデカブツが!
コイツでフルハウスだ!

徒党を組んで敵がやってきたらUCのチャンスだ
操って互いに同士討ちをさせて敵陣を崩すぜ

よっしゃ!
頼むぜマイフレンド!

敵陣が混乱したら愉快な仲間達にも目くらましで手伝ってもらうか
けどあんまり前に出るなよ、こいつ等をぶっ潰すのは俺らの仕事だからな!

そーらどうした!
最後はロイヤルストレートフラッシュだ!



「宝石の町ねぇ……まぁ確かに宝石は良いもんだけどな。弱い奴を苛めてまで手に入れるってのはいただけねぇよな!」
 漆黒のコンパウンドボウ「ミストルティン」の弦を引き絞りながら、迫り来るオウガの群れに一喝するのは駆爛・由貴(ストリート系エルフ・f14107)。
 元ストリートチルドレンの彼の眼には、理不尽なオウガの暴力に晒される宝石の町の住人たちの姿が、かつての自分や弟分や妹分たちと重なったのかもしれない。

「五月蝿イガキダ、喰ッテヤル!」
 剣を振り回し、牙を剥き出しにして襲ってくるトランプの巨人。その白兵戦の間合いに入る前に、由貴はミストルティンの矢を放つ。
 同時に展開済みの自律ポッド「オンモラキ」「バサン」の二機に搭載されたビームランチャーと対装甲ライフルが砲撃を開始し、巨人の心臓に風穴を開ける。
「殴り合いの強そうな敵は、遠距離からぶっ叩くのが当然だよな?」
「グヌヌ!」
 ならばと巨人たちは標的を捕縛しユーベルコードを封じる【バインドカード】を召喚すると一斉に投げつけるが、由貴の技量と自律ポッドの照準システムを以てすれば、飛んでくるカードを空中で撃ち落とすなど容易いことだ。
「ハッハー! どうしたどうしたデカブツが! コイツでフルハウスだ!」
 攻撃するどころか近寄ることすらできない敵を挑発しながら、由貴は矢と砲弾で次々と敵を仕留めていく。

「調子ニ乗ルナヨ!」
「コッチニハ、マダマダ仲間ガ居ルンダカラナ!」
 巨人たちのセリフは負け惜しみじみているが、言っていることは事実だ。この町を襲うオウガは大軍であり、由貴の眼の前にも新たな増援がわんさかとやって来る。
 しかし由貴はむしろ「チャンスだ!」と言わんばかりの笑みを浮かべて赤い電脳ゴーグルを装着すると、徒党を組んでやってきた敵に特殊な電気信号を放つ。
「そら、踊れお前ら!」
「グガッ!? ナンダッ!?」
「体ガ勝手ニッ!?」
 ナマモノから機械に至るまで何でもハッキングして操る【ハッピー・フレンド】。それはオウガにも例外なく有効だったようで、操られた巨人たちは自陣内で同士討ちを始めた。

 敵陣が混乱するのを見た由貴はすかさず、戦いを見守っていた愉快な仲間たちに号令する。
「よっしゃ! 頼むぜマイフレンド!」
「はーい!」
「頑張る!」
 ピカピカと一斉に光りはじめた宝石の輝きが、巨人の眼を眩ませて混乱に拍車をかける。そこをすかさず射抜く由貴。
「その調子だ! けどあんまり前に出るなよ、こいつ等をぶっ潰すのは俺らの仕事だからな!」
「わかったー!」
「援護するよ!」
 元気よく叫ぶ愉快な仲間たちの応援と支援を背にして、由貴は楽しげな笑みを浮かべながらまた矢を弓につがえ。
「そーらどうした! 最後はロイヤルストレートフラッシュだ!」
 少年とポッドの同時射撃が、崩壊する敵陣をまとめて吹き飛ばしていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

仁上・獅郎
町を守ろうとするその意気や良し……なんて偉そうですかね?
ともあれ、御助力に参りましたよ。
そういう人々の為の猟兵ですからね。

さてまあ、僕のような非力な人間がまともに巨人とぶつかるのは分が悪い。
向こうの攻撃の対処は住人の方と連携しつつ。
基本は[見切り・聞き耳・第六感]を駆使して回避。
あるいは鋼糸の[早業・武器防御]で軌道を逸らして直撃を避けましょう。

……さて。
正直なところ、ぞろぞろやってくる巨人に興味はないのですよ。
そういうわけで、相手はこいつらにさせますか。
来い、不浄な猟犬ども。
剣に、鎧に、宝石の町に……出てくる「角」には困らないだろう?
好きに食い散らかせ、ただし宝石は汚さないように。なんてね。



「町を守ろうとするその意気や良し……なんて偉そうですかね?」
 柔和な雰囲気を纏いながら、オウガの軍勢と戦う愉快な仲間たちの前に姿を現したのは仁上・獅郎(片青眼の小夜啼鳥・f03866)。
「ともあれ、御助力に参りましたよ。そういう人々の為の猟兵ですからね」
「ありがとう、助かるよ!」
 強靭なオウガを相手に苦戦を強いられていた宝石の町の住人は、ぱっと表情を明るくして彼の助力を歓迎した。

「新シイ獲物ダ!」
「殺セ!」
 獰猛な雄叫びを上げながら、ズシンズシンと地響きを立てて押し寄せてくるトランプの巨人の大軍。自分のような非力な人間がまともに巨人とぶつかるのは分が悪いかと考えた獅郎は、住人たちと連携して敵の攻撃に対処してい
「コイツデ動キヲ止メテ!」
「コレデ斬リ刻ンデヤル!」
 放たれる【バインドカード】に対しては、瞬時に見切って回避。振り下ろされる剣には、黒塗りの鋼糸を刀身に巻き付け、軌道を逸らして受け流す。
 鮮やかに攻撃を捌く獅郎の表情は涼やかで、その目線は相手のことをろくに見てすらいない。聴覚と第六感のみでほとんどの攻撃を察知しているのだ。

「さあ、今です」
「「おおーっ、くらえーっ!!」」
 獅郎が敵の攻撃を引き付ける間に、一箇所に集まってきた住人たちが一斉にピカピカと光り輝く。その閃光は町中の宝石に乱反射して、オウガの軍勢の眼を灼いた。
「「ウギャァァァァァッ、眩シイィィィィィィッ!?」」
 巨人たちは鎧の上から目を押さえながら、地べたをごろごろと転げ回る。

「……さて。正直なところ、ぞろぞろやってくる巨人に興味はないのですよ」
 無様な敵軍の様子を見下ろしながら、獅郎はふぅ、と息を吐く。ここにいるのは所詮は雑兵。何処かにいるはずの敵のリーダーを仕留めない限り戦いは終わらないのだから、その発見を優先するべきだ。
「そういうわけで、相手はこいつらにさせますか。来い、不浄な猟犬ども」
 獅郎の呼びかけに応えて、剣から、鎧から、宝石の町のあちこちから――"鋭角"から滲み出るように姿を現したのは、異形なる四つ足の獣。
 【不浄猟犬】と彼は呼ぶが、汚れた青い膿を滴らせ、鋭い爪と牙に針の如き舌を備えたその外見はまるで犬には似ていない。"猟犬"の由来はその行動にこそある。
「好きに食い散らかせ、ただし宝石は汚さないように。なんてね」
 召喚者が命を下せば、不浄なる猟犬どもはおぞましき咆哮を上げて、今だ前後不覚のままのオウガたちに襲い掛かる。
 その役目は獅郎が関心を示さなかった標的の露払い。一度定めた獲物をどこまでも追跡し捕食する、その様はまさに"猟犬"。

「ヒィッ、何ダコイツラ!?」
「イデデッ、噛ムナ、喰ウナァッ!?」
 悲鳴を上げる巨人たちの鎧を爪で引き裂き、肉に牙を突き立て、命を舌で啜る猟犬たち。命令通り宝石の町やその住人には傷一つつけてはいないが、その様はオウガよりもよほど怪物らしい。
 ここはもう大丈夫だろうと判断した獅郎は後始末を猟犬に任せ、自らは次の戦場へと向かうのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

フレミア・レイブラッド
住人は攻撃系能力は無いので無理をせず、敵と遭遇したら目晦ましとボディで身を守る事優先にする様に伝えるわ。

自身は【ブラッディ・フォール】で「黒竜を駆る者」の「ドラゴンテイマー」の姿(フレミアがテイマーの黒衣と剣を装備し、翼が生えた姿)へ変化。【ギガンティックダイウルゴス】や宝石の建物や物を対象とした【文明侵略】で大群を生み出し、住人の護衛につけたり、敵を蹂躙させたりするわ。
わたし自身【ダッシュ、残像】で街中を高速で駆けまわりつつ、【クリムゾンキャリバー】で仕掛け、更に大群をけしかけていくわ

品の無いトランプの兵隊ね…行きなさい、一体残らず蹂躙してあげる♪宝石でできたドラゴンなんて贅沢よね♪



「品の無いトランプの兵隊ね……」
 宝石の町を侵略するオウガの大軍を眼にして、思わずそう呟いたのはフレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)。
 美しいものを愛でる美意識もなく、ただ所有欲と支配欲を満たさんと暴れ回るその様は、確かに品性の欠片もない。
「これはお仕置きが必要なようね」
 そう言ったフレミアの姿が変化していく。紅いドレスと魔槍から、漆黒の衣と魔剣、そして翼を備えた姿へと――。

「骸の海で眠るその異形、その能力……我が肉体にてその力を顕現せよ!」
 過去に倒したオブリビオンの力をその身に宿す【ブラッディ・フォール】。
 かつてキマイラフューチャーでの戦争時に交戦したオブリビオン『ドラゴンテイマー』を模した姿となったフレミアは、彼の者のユーベルコード【文明侵略(フロンティア・ライン)】を発動する。
 彼女の周囲の無機物が――宝石で作られた建物が、街路樹が、石畳が、すべて黒竜ダイウルゴスの群れに変換される。
「ナナッ、ドラゴン!?」
「町ガドラゴンニナッチマッタ!?」
 突如として出現した竜の群れを前にして動揺を隠せないオウガたちへ向けて、フレミアは魔剣を掲げ号令を発する。
「行きなさい、一体残らず蹂躙してあげる♪」
 咆哮を上げるダイウルゴス軍団。黒き翼を広げ舞い上がった魔竜の群れは、その爪牙を以てトランプの巨人に襲い掛かる。

「来ルナッ、来ルナッ!?」
「ギャァァァァァァッ!?」
 一体一体が"竜"に相応しき戦闘力を有するダイウルゴスによって、蹂躙されていくオウガの群れ。中には幸運に恵まれ善戦する者もいるにはいるが、何体かの黒竜を撃破しようとも、フレミアはすぐに新手を生み出す。
「宝石でできたドラゴンなんて贅沢よね♪」
 あらゆるものが宝石でできたこの町なら、ダイウルゴス化させる無機物には困らない。戦闘が終わった後でユーベルコードを解除すれば、町もすぐに元通りだ。

 さらにフレミアは合体能力を持つ大型の【ギガンティックダイウルゴス】も召喚すると、町の住人たちの護衛にそれらを向かわせる。
「あなた達は無理をせず、敵と遭遇したら目眩ましとボディで身を守る事を優先なさい」
「う、うん。にしてもすごいねお姉さん……!」
 攻撃系の能力を持たない住人たちにそう呼びかけつつ。返ってきたキラキラとした尊敬の眼差しには優しい微笑みで応じ。
 そして自らもその手で敵を屠るべく、赤い剣を構えて疾風のように町を駆ける。
「滅びなさい……!」
 振り下ろされた【クリムゾンキャリバー】の一撃はトランプの巨人の鎧を両断し。そこに召喚されたさらなるダイウルゴスの大軍が、敵陣を文字通りに粉砕していく。
 竜を従える吸血姫は、そのまま町の各地を転戦しながらオウガの侵略を押し返していくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

雛菊・璃奈
ラン達とミア達、メイド人形6人を連れて参加…。

ラン達は【居合】【暗殺】で戦って貰いつつ、住人の護衛をお願い…。
みんなよろしくね…。

「不思議の国!」
「絵本みたい!」
「でも物騒!」

「宝石!」
「キラキラです!」
「ご飯も宝石?」

わたしは【unlimited】を展開し、【呪詛】で強化…。
敵集団を【unlimited】の一斉掃射で殲滅…。
黒桜の呪力解放【呪詛、衝撃波、なぎ払い】で集団を吹き飛ばしながら、追撃で【unlimited】の掃射を叩き込んだり、【呪詛と衝撃波】を纏ったバルムンクによる【鎧砕き、鎧無視、力溜め、早業】の剛剣の一撃で敵の鎧や剣の防御ごと真っ二つに叩き斬ったりして排除していくよ…。



「不思議の国!」
「絵本みたい!」
「でも物騒!」
 アリスラビリンスの幻想的な光景と、それを侵略するオウガの軍勢を目にして、率直な感想を口にするラン、リン、レン。
「宝石!」
「キラキラです!」
「ご飯も宝石?」
 どちらを向いてもまばゆい輝きが目に入る宝石の町を見回して、キラキラと目を輝かせるミア、シア、ニア。
 雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)と共に町にやって来た六人のメイド人形は、初めて訪れる新世界にちょっぴりワクワクしていた。

「ラン達は戦いつつ、住人の護衛をお願い……。みんなよろしくね……」
「「「はーい!」」」
 主である璃奈が指示を出せば、メイドたちはすぐさま行動を開始する。
 二組に別れて町を駆けまわり、住人を襲っているオウガを見つければ、仕込み箒から抜き放った刃の居合抜きや、エプロンドレスに仕込んだ暗器の一撃で、迅速に敵を仕留めていく。
「もう大丈夫!」
「こっちこっち!」
「お守りする!」
 一組が敵を引きつけその間にもう一組が住人を避難させる。同じアルダワの迷宮で生まれたからだろうか、彼女たちの連携は息ぴったりであった。

 住人の護衛をメイド人形たちに任せた璃奈は、迫りくるオウガの大軍を押し返すべく力を行使する。
「呪われし剣達……わたしに、力を……『unlimited curse blades』……!!」
 魔剣の巫女たる彼女の魔力から生まれた、呪力を帯びた無数の魔剣・妖刀の現身が一斉掃射され、一区画にいた敵集団を纏めて殲滅する。
「ギャァァァァァァッ?!」
「ナナッ、何ガ起キタンダァ!?」
 降り注ぐ魔剣の嵐によって甚大な被害を受け、敵陣が混乱したところにすかさず璃奈は飛び込む。その手に構えるのは呪槍・黒桜。
「呪力解放……」
 槍の穂先から吹き荒れる黒桜の花吹雪。妖しくも美しい呪力の衝撃波が、オウガの群れを薙ぎ払っていく。

「グググ、ヨクモヤッテクレタナ!」
「『アリス』ジャ無クテモ喰ッチマウゾ!」
 魔剣の掃射と黒桜で一気に戦力を失ったオウガは、激高して璃奈に襲い掛かる。
 これだけ倒してもまだ底をつかない敵の兵力は驚異的ですらある――だが、その一個体としての戦闘力は、猟兵たちに及ぶものではない。
 放たれる剣の一撃や巨大トランプを、無駄のない身のこなしでするりと躱しながら、璃奈は魔剣バルムンクへと得物を持ち替え。
「この町を、あなた達の好きにはさせない……」
 力を溜めて繰り出される、呪詛と衝撃波を纏った剛剣の一撃が、目の前のトランプの巨人を真っ二つに叩き斬る。
 剣による防御も、分厚い鎧も、魔剣の鋭さの前には何の意味も為さない。その威力に思わず敵が立ちすくんだ隙を突いて、璃奈は【unlimited】の魔剣を再び掃射した。
「「グワァァァァァァァァァッ!!?」」
 魔剣の嵐を叩き込まれ、吹き飛ばされていく巨人たち。
 そのまま璃奈は無数の魔剣を引き連れて、押し寄せる敵を排除していくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴィサラ・ヴァイン
宝石の国…綺麗
だけどこの国を乗っ取ろうとする無粋な輩が居るらしいね
二度とそんな事を考え付かないよう【最悪の恐怖】を与えてあげますよ
《石の書庫『リトス』》で周りの宝石から力を引き出し魔力を強化
周りが全て宝石…つまりは石だからね
周囲の石の量が多い程力を増す【目覚めし恐怖】の独壇場だよ
《魔眼『コラリオ』》も使ってトランプの巨人達に[範囲攻撃]でまとめて[恐怖を与える]と共に石化させるよ
敵のUCは[第六感]で予兆を感じ取り、巨大な石像と化したトランプの巨人を盾にして回避す
敵より身体が小さい分、小回りを効くからね
それにしても周りの宝石全てが力になるなんて、ちょっとした女王様気分…ってこれじゃ敵と同じか



「宝石の国……綺麗」
 目につくすべてが色とりどりの宝石で形作られた町並みを目にして、ヴィサラ・ヴァイン(魔女噛みのゴルゴン・f00702)は感動の言葉を口にした。
 単にきらびやかなだけではなく、愉快な仲間たちの手によって丁寧に整えられた町並みは、まるで町全体がひとつの宝物のようですらある。
「だけどこの国を乗っ取ろうとする無粋な輩が居るらしいね」
 欲望のままに略奪と破壊を繰り広げる異形の怪物、オウガ。その所業をこれ以上、許すわけにはいかないだろう。

「二度とそんな事を考え付かないよう、最悪の恐怖を与えてあげますよ」
「ウガッ? 何ダオ前?」
 進撃するトランプの巨人の大軍の前に立ちはだかったヴィサラは、ゴルゴンが持つ異能の一つ"石の書庫『リトス』"を使って、周囲の石や鉱物から力を引き出す。
 ここはあらゆるものが宝石でできた不思議の国。つまりは町全体が彼女のパワーソースに等しい。
 みるみるうちに魔力を増大させたヴィサラは、その力でユーベルコード【目覚めし恐怖】を発動し、恐怖と石化をもたらす瘴毒でその身を覆う。
「ナ……ンダ、コノ感ジ……?」
「ヤバイ……ヤバイヤバイヤバイ……?!」
 彼女の姿を見た者は、あるいは彼女の赤い瞳に見つめられた者は、本能から湧き上がる恐怖に心を支配される。
 狩る側から狩られる側へと転じたオウガたちは、たちまち恐慌状態に陥った。

「恐怖を理解したみたいですね。それでは、さようなら」
 周囲の宝石に加えて恐怖の感情からも力を引き出したヴィサラは、瘴毒と魔眼『コラリオ』の力で視界に入った敵をまとめて石化させていく。
 赤い視線に射すくめられ、恐怖に歪んだ表情のまま固まっていくトランプの巨人。その光景はさらなる恐怖を彼らに与えた。

「ヒッ、ヒィィィィィッ!!」
 巨人たちはとにかく相手の動きを止めようと、召喚した巨大な【バインドカード】をヴィサラに投げつける。
 しかし攻撃の予兆を直感的に察知したヴィサラは、たった今作ったばかりの巨大な石像を盾にして、トランプを回避する。
 ヴィサラの背丈は巨人の半分もないが、その分小回りが効く。すばしっこい身のこなしで石像に隠れながら、物陰から恐怖と石化の毒を放ち続ける。その戦いぶりは相手からすれば厄介この上なく、そして恐ろしい。
「バ、バケモノ……!!」
「あなた達に言われたくないです」
 人喰いの怪物であるオウガにそう言われて憤慨、あるいは少し傷ついたような表情を浮かべながらも、ヴィサラの攻め手が緩むことはない。
 あっという間に彼女の周囲は、物言わぬトランプの巨人の石像で埋め尽くされた。

「それにしても周りの宝石全てが力になるなんて、ちょっとした女王様気分……ってこれじゃ敵と同じか」
 宝石の町から無尽蔵に与えられる力に高揚感を覚えていたヴィサラは、ふと我に返って己を戒める。
 この環境が自分の独壇場であることは確かだが、だからといって力に溺れてしまわないよう――冷静さを保ちながら、ヴィサラは戦いを続けるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『よくばりさま』

POW   :    味見をしてあげましょう。光栄に思いなさい
自身の身体部位ひとつを【巨大な蟻】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
SPD   :    美しきわたくしの庭で迷いなさい!価値なき者共が!
戦場全体に、【悪趣味な金銀財宝】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
WIZ   :    わたくしは女王でしてよ無礼者が!かみ殺されよ!
自身が【見下された屈辱感】を感じると、レベル×1体の【金貨を背負った手下蟻】が召喚される。金貨を背負った手下蟻は見下された屈辱感を与えた対象を追跡し、攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

 宝石の町を巡るオウガと愉快な仲間たちの戦いは、町の住人の優勢に傾いていた。
 それは言うまでもなく、彼らに加勢した猟兵たちの尽力の賜物だ。次から次へと押し寄せるオウガの大軍にも怯まず、獅子奮迅の活躍を見せる猟兵の後押しを受けて、奮起した人々も勇敢に戦い、オウガの侵略を押し返していく。

「――まったく、何をやっているのかしら。情けない」

 その時、割れたオウガの軍勢の向こうから、これまでとは違うオウガが姿を現す。
 蝦蟇口となった腹部に、大量の金銀財宝を抱えた巨大な女王蟻。その身に纏う威圧的なオーラと邪悪な気配は、トランプの巨人とは比べ物にならない。

「このわたくしに歯向かう無礼者がこんなに大勢。早く始末できないのかしら?」
「モ、申シ訳アリマセン――」

 居丈高な口調と、平伏する周囲のオウガの様子からも、彼女が敵の親玉であることは間違いないだろう。
 彼女さえ討つことができれば、オウガの軍勢は統率を失い、侵略は阻止される。

「ここはぼくたちに任せて!」
「みんなは、あの『よくばりさま』をやっつけて!」

 宝石の町の住人たちがピカピカと光り輝いて、残存するオウガの軍勢を引きつけ、猟兵たちのために道を開いてくれる。
 実力的に見て、あのオウガの親玉とまともに戦えるのは猟兵だけだろう。人々の想いを無駄にしないためにも、猟兵たちは一気に敵陣の中心へと向かって駆け出す。

「あら――虫ケラが何匹かこっちに来ていますわね。仕方がないわ、相手をしてあげましょう」

 カチカチと不快そうに顎を鳴らしながらも、臨戦態勢を取る『よくばりさま』。
 戦いはいよいよ正念場を迎えようとしていた。
ヴィヴィアン・ランナーウェイ
アドリブ・連携歓迎

悪趣味ですわね、そして愚かですわ。
金銀財宝を見せびらかして着飾って、それでは己の価値が金銀財宝以下であると誇っているようなもの。

過去の記憶はありませんが、貴女のことが心底気にいらない。容赦は致しません。

迷路でもなんでも作り出せばよろしい。
​───踏破致しますので!
●逃げ足をこの時だけは敵へ向かう前進に!そして、敵へとたどり着くまで決してこの脚を止めることはしないという●覚悟を持って!
己を●鼓舞し、迷宮を走り抜けます!

敵が視界に入ればUCを使用しますわ!
大きく振りかぶって、投げます!
我が覚悟の槍!その身に受けなさい!!


駆爛・由貴
おー今度はピカピカのアリさんか
メルヘンだなーマジで

でけぇ迷路が出来たら即座にこっちもUCを発動
電脳ゴーグルで迷路の弱点、出口に続く道を解析する
出口に吹き抜ける風を魔法で感知したりソナーで構造をスキャンしたりで出口への正確なルートをゴーグルに表示するぜ

あんまり急いでごっつんこ…
なんかこんな歌あったなー

金銀財宝の迷路ってことは罠もそれなりにあるだろうから警戒だな
黄金のギロチンとか宝石の刃を持つ電動ノコギリとか…
怪しいものには手を触れないようにして出口を目指すぜ

おつかいから帰ったぜ!
なんてなー!

ダッシュとジャンプを駆使して罠をかわして出口に着いたら
油断してる目の前のアリさんに一斉射撃だ!

アドリブOK



「おー今度はピカピカのアリさんか。メルヘンだなーマジで」
 電脳ゴーグル越しの視界からまじまじと敵の親玉を観察しながら、由貴は率直な感想を口にする。ここが童話の中ならばまだ可愛げのある相手だったかもしれないが、その正体が支配欲と所有欲に駆られた暴君とあらば見過ごすことはできない。
「悪趣味ですわね、そして愚かですわ。金銀財宝を見せびらかして着飾って、それでは己の価値が金銀財宝以下であると誇っているようなもの」
 一方のヴィヴィアンははっきりと嫌悪の情を込めて、宝石の町を襲ったオウガの首魁を睨みつける。これ見よがしに財宝を抱えて得意げなその姿を見ていると、言いようのない苛立ちが彼女の胸の奥で渦巻いた。
「過去の記憶はありませんが、貴女のことが心底気にいらない。容赦は致しません」
 アリスランス・烈火を構え、令嬢は凛とした態度で穂先を突きつける。

「ふん、きいきいとやかましいこと。わたくしと戦おうと言うのなら、まずはその価値がある者か示してみせなさい」
 不快げに目を細めた女王蟻のオウガ『よくばりさま』は、腹の中の金銀財宝を煌めかせながらユーベルコードを発動する。
 またたく間に戦場の地形は激変し、悪趣味な金銀財宝で出来た巨大な迷路へと変化する。
「そこから出られたら相手をしてさしあげますわ。まあ、イェーガー風情には不可能でしょうけれど!」
 相手を見下した女王蟻の高笑いが、迷路の外から猟兵たちの神経を逆撫でする。

「ずいぶんナメられたもんだなー」
 迷路に囚われた由貴は、しかし慌てず騒がす電脳ゴーグルを起動して【スィート・スポット】を発動。対象を走査して敵の弱点を発見するこのユーベルコードは、応用すれば建造物等の解析を行う事もできる。
 出口へと吹き抜ける風の流れを魔法で読み取り、端末から発するソナー音の反響で迷路の構造をスキャン。集めた情報を元に迷路内のマップを作成する。
 彼のゴーグルに出口までの正確なルートが表示されるまで、数分とかからなかった。

「よし、マッピング完了! この迷路の出口は――」
「あちらですのね!」
 由貴が方角を指さした瞬間、弾けるように駆け出したのはヴィヴィアン。それはさながら放たれた矢のごとく、あるいは獲物を追う女豹のごとく。
「迷路でもなんでも作り出せばよろしい。――踏破致しますので!」
 時には逃げ足にも使われるその健脚は、今はただ敵へと向かう前進にのみ費やされ。その胸にはこの迷路を踏破して敵へとたどり着くまで、何があろうと脚を止めなることはしないという覚悟が燃え盛っている。
 迷いなく疾走する令嬢は、猟兵たちを先導する嚆矢となって、財宝の迷路を駆け抜けていく。

「金銀財宝の迷路ってことは罠もそれなりにあるだろうから警戒……したほうが良いと思うんだけどなー」
 あっという間に遠くなっていくヴィヴィアンの背に呼びかけつつ、由貴もまた俊敏な身のこなしで迷路を駆ける。
 シーフとしての知識と経験上、怪しいものには鼻の効く彼は、罠のありそうな場所には決して手を触れないよう他の猟兵にも注意を促しつつ進む。
「あんまり急いでごっつんこ……なんかこんな歌あったなー」
 巣へと帰るお使い蟻の気分を想像しながら、電脳ゴーグルが示す出口へと向かって進む。時折襲いかかってくる罠をひょいひょいと、風のように身軽なジャンプやダッシュでくぐり抜けながら。

 一方のヴィヴィアンは走るのは得意でも迷路探索の心得はない。由貴のアドバイスがあっても引っかかる罠はどうしてもある。
 頭上から突如として落下してくる黄金のギロチンに、壁から飛び出す宝石の刃を持つカッター。様々な凶器のトラップが彼女に襲いかかる。
 されど、その程度のことで令嬢の足は止まらない。
「こんなもの、大したことは無いですわ!」
 猛ダッシュで罠を振り切り、あるいは強引に突破して――強い言葉で己自身を鼓舞しながら、出口へ向かってひた走る。
 その一途なまでの全速前進を止められるものは、何もない。

 かくして猟兵たちは女王蟻の作りし迷路を踏破する。
 真っ先に出口から飛び出してきたヴィヴィアン、それに続く由貴を見た『よくばりさま』は、驚愕に目を丸くして。
「まさか、もう出てきましたの!?」
「おつかいから帰ったぜ! なんてなー!」
 にやりと笑う由貴。敵の情報は最初に見た時にスキャン済み。その弱点はもう既に解析を完了している。
「あのピカピカした腹をブチ抜いてやれ!」
「承知しましたわ!」
 自律ポッドと共に射撃体勢に入る由貴にならい、ヴィヴィアンも視界に入った標的に向かって大きく槍を振りかぶる。【悪役令嬢は狙った獲物は逃さない】――それは急所を穿つ必中の一撃。彼女のありったけの力と信念を込めた一投。
「我が覚悟の槍! その身に受けなさい!!」
「いくぜオンモラキ! バサン! 一斉射撃だ!」
 放たれた烈火の槍と、砲撃と弓矢の同時攻撃は、油断しきっていた『よくばりさま』の弱点――財宝をたっぷりと詰め込んだ腹部を一斉に撃ち抜いた。

「きゃぁぁァッ?!?! わ、わたくしの体と宝に、傷がッ!?」
 耳をつんざくような悲鳴を上げてのたうちまわる『よくばりさま』。
 猟兵たちの力と価値を見くびった、その代価は高くついたようだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
なるほど、確かに「女王」ですね
欲しい物を手中に収めんと邁進するその姿勢、人の上に立つ者にはある意味必須ではあります
ですが貴女のそれは貯め込むだけで発展性がありませんね

地面の振動をセンサーで拾い●情報収集し、迷宮の女王の位置を把握
UCと●怪力で振るう大盾や捕まえた手下蟻で、迷宮を破壊しながら接敵
UC製ですし女王の性格上財宝が残るとも思えません
遠慮呵責なく破壊していきましょう

牙の噛みつき攻撃はスラスターを吹かしての●スライディングで躱しつつ、ワイヤーアンカーの●ロープワークで王冠を奪うように見せかけ、それを嫌って動いた隙にUCの●シールドバッシュをお見舞い

欲張りは吝嗇の反転……それが貴女の弱点です


阿井・黎守
【連携・アドリブ歓迎】
やっと出てきやがった!
…なんかお前、女王にしちゃあ…
…いや、何でもねぇ、今からお前をブッとばすから覚悟しとけ!

最初っからUC発動して手堅く攻めてくぜ!

基本は味方の援護だ、味方の攻撃に合わせて同じところを攻めていく、もし攻撃を受けそうなら庇いに行く。
敵の攻撃は鎧で受け止めて、それから槍や剣でカウンターを狙うぜ!

迷路に閉じ込められたら、挑発して敢えて手下蟻を呼び出させるぜ、
入口が1つなら手下蟻が来る方向も1つのはずだ!

「思った通り、オマエって女王って割には全然威厳が全然ねぇなぁ、鎧に傷1つつきやしねぇ、
しまいには勝てないから迷路に閉じ込めるとか、少し情け無さ過ぎじゃねーの?」



「よくもやってくれましたわね……女王たるこのわたくしを傷つけた代償は、その生命で支払って貰いますわ……ッ!!」
 格下と侮っていた相手から受けた思わぬダメージに、怒り心頭の『よくばりさま』は、ガチガチと顎牙を鳴らして威嚇する。
 その威圧的なオーラと凄まじい邪気は、さすがに軍勢を指揮する高位のオブリビオンと言ったところ。されど、その程度のプレッシャーに臆する猟兵たちではない。

「なるほど、確かに『女王』ですね。欲しい物を手中に収めんと邁進するその姿勢、人の上に立つ者にはある意味必須ではあります」
 ですが――と、剣と盾を手にオウガの女王蟻と対峙するのはトリテレイア。 
「貴女のそれは貯め込むだけで発展性がありませんね」
 奪った金品を使うことすらせずに、ただ見せびらかすばかり。そんな無為な虚栄を満たすだけの行為は、ここで止めなければならない。

「やっと出てきやがった!」
 と、オウガの軍勢を突破して親玉の前に立った黎守は、ふと怪訝そうに首を傾げ。
「……なんかお前、女王にしちゃあ……いや、何でもねぇ、今からお前をブッとばすから覚悟しとけ!」
 口から出かかった感想を一旦飲み込んだ彼は、すぐに気を取り直すとアリスランスを突きつけ、堂々と宣戦を布告した。

「減らず口を……すぐに後悔させてあげますわ!」
 怒りにブルブルと身を震わせながら、『よくばりさま』は自らの肉体の一部を変化させ、新しい大蟻の頭部を形成する。
 双頭と化した女王蟻は、その巨体に反した素早さで地を駆けると、二人の猟兵に同時に噛みつき攻撃を仕掛けた。
「わたくしのキバは、どんな硬い宝石だって砕くのですのよッ!」
 襲い掛かる女王の牙。トリテレイアは咄嗟にスラスターを逆噴射し、黎守はその身を【アリスナイト・イマジネイション】によって創造した戦闘鎧で鎧う。
 結果――機械騎士を狙った牙は獲物を捉えることなく空振り、少年アリスを襲った牙は無敵の鎧によって弾き返される。
「お返しだ!」
 敵の攻撃直後に生じた隙を黎守は見逃さず、反撃のアリスランスが女王蟻の腹部を穿つ。
「ッ……また、わたくしに傷をッ!」
 鋭い痛みと、それを上回る激しい屈辱と怒りが『よくばりさま』を襲った。

「もう許せませんわ……あなたたちなど、永久にわたくしの庭で迷っていれば良いのですわッ!!」
 『よくばりさま』は憤激のままに新たな迷路を創造し、トリテレイアと黎守を閉じ込める。どちらを見回しても悪趣味な金銀財宝で埋め尽くされた彼女の庭は、まさしく蟻の巣のように複雑に入り組んでいる。
 正攻法でこれを攻略するのは、その道の専門家でもなければ骨が折れるだろう――だが、彼らにはこの迷路を突破するための策があった。

「思った通り、オマエって女王って割には全然威厳が全然ねぇなぁ、鎧に傷1つつきやしねぇ、しまいには勝てないから迷路に閉じ込めるとか、少し情け無さ過ぎじゃねーの?」
 迷路の外まで届くように声を張り上げて、黎守は『よくばりさま』を挑発する。
 肥大したプライドの権化のような『よくばりさま』は、他者からの侮辱を決して無視できない。特に、誰かから見下された屈辱感においては非常に敏感だった。
「な……なんですってェッ!?」
 わなわなと震える女王蟻の影から、金貨を背負った無数の手下蟻が召喚され、一斉に迷路へと突入していく。女王を侮辱した不届き者を八つ裂きにするために。
 ――しかし、それは猟兵たちの予想した通りの行動だった。

「見事な挑発でした、黎守様」
 そう言ってトリテレイアは接近する手下蟻の足音の振動をセンサーで感知し、迷路の構造と敵の位置を把握する。この迷路に入り口が一つしか無いのなら、手下蟻が来る方向も一つ。それを逆に辿っていけば、外まで脱出するのは容易い。
「一気に突破しましょう」
「おう、援護するぜ!」
 トリテレイアは襲い掛かってきた手下蟻を大盾で殴り倒すと、気絶した敵をがしりと捕まえ、まるで鈍器のようにぶぉんと迷路の壁に叩き付ける。
 ズシンと重い衝撃音と共に、壁に大きなヒビが入る。そこに黎守がアリスランスの刺突を放つと、脆くなった箇所を正確に貫かれた壁には人が通れるほどの大きな穴が開いた。
 正攻法で迷路を攻略するような手間はかけない。狙うは最短距離の一点突破。立ち塞がる障害を全て破壊しながら、二人は一直線に女王蟻の元へ突き進む。

 ガッシャァァァァァンッ!!!!

 財宝の砕ける甲高い音を響かせて、迷路から脱出を果たしたトリテレイアと黎守。
「わ、わたくしの庭が……!?」
 自慢の宝物をメチャクチャにされた『よくばりさま』が、怒りを通り越して思わず唖然とする。ショックのあまり思考は凍りつき、次の行動に移るまでに数秒のラグが生まれる。
 その間を逃さずに、トリテレイアは搭載したワイヤーアンカーを射出。女王蟻の頭部ででかでかと輝く立派な王冠を狙う。
「ッ?! これはダメですわよッ?!」
 はっと我に返った『よくばりさま』は、これだけは死守せんと慌てて身をよじる。だが、咄嗟の反応からの無理な体勢でワイヤーを躱そうとした結果、彼女はさらなる隙を猟兵たちに晒すこととなる。
 トリテレイアの本命の一撃は、まさにその瞬間を狙って放たれた、大盾による全体重を乗せたシールドバッシュだった。
「しまっ……ぐはぁぁぁぁぁァァァッ?!?!」
 ズドンッ!! と、重戦車が衝突したような音が戦場を揺るがし、女王蟻の巨体が高々と宙を舞う。
 そこにすかさず黎守がアリスランスを投擲。銀の軌跡を描いて空に舞い上がった槍は、仲間が女王蟻に刻みつけた傷を、さらに深く鋭く穿ってみせる。

「欲張りは吝嗇の反転……それが貴女の弱点です」
「その体たらくじゃ、やっぱり女王失格だな!」
 悲鳴を上げながらくるくると宙を舞って、無様にどさりと地に墜ちた『よくばりさま』を見下ろしながら、トリテレイアと黎守は告げる。
 虚飾の女王と猟兵たちの戦いの行方は、早くも猟兵たちの優勢に傾きつつあった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

仁上・獅郎
アドリブ・連携可

流石、女王らしく威圧感は相応ですが……
ここはあえて飄々とした態度で臨みましょう。

女王よ、御前で僕が二言三言発する事をお許しください。
虫けらとは、もしかしてご自身の事では?
あるいは、鏡をご覧になった事がない?

さて、標的として手下蟻を[おびき寄せ]るには十分でしょう。
基本は鋼糸で手下蟻の関節を狙って切断しましょう。
タイミングを[見切り]、直前で[敵を盾にする]ことで同士討ち狙い。

さて、女王が焦れて攻撃してくるか、別の行動を起こそうとするなら。
[高速詠唱]、【白熱縛鎖】。
何処に居ようと、アフォーゴモンの鎖は逃しませんよ。
存分に苦痛を味わってください――そして、隙だらけの体に銃撃を。



「ぐぬぬぬぬ……! イェーガーとはまったく下賤な連中ですわね!」
 自慢の財宝の庭を荒らされ、自らも深手を負わされたことで『よくばりさま』の怒りはさらに深いものとなる。ギリギリギリ、と顎牙を鳴らす様は、人間なら歯ぎしりしていたに違いない。
 そして怒れば怒るほど、彼女の放つ邪悪なる気配も強まるのであった。

(流石、女王らしく威圧感は相応ですが……)
 傲慢なれど敵が今だに侮りがたい力を持っていると悟った獅郎は、あえてあえて飄々とした態度で臨むことで、敵の弱点を――その傲慢な虚栄心を突く。
「女王よ、御前で僕が二言三言発する事をお許しください」
「……あら? 何かしら……?」
 女王、と恭しく呼びかけられたことに気をよくしたのか、話を聞こうという態度を見せる『よくばりさま』。どんな賛辞を送られるのかと、都合のいい期待に胸を膨らませ。
 しかし獅郎の狙いはむしろその逆。敵の逆鱗に触れることにあった。
「虫けらとは、もしかしてご自身の事では? あるいは、鏡をご覧になった事がない?」
「な―――ッ」
 一瞬、絶句する『よくばりさま』。
 石像のように固まった彼女は、その次の瞬間、爆竹が爆ぜるように怒りを噴出させ。
「誰が虫ケラですってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえッ!!!!!」
 ――その言葉はどうやら彼女にとって禁句だったらしい。
 怒り狂う女王蟻の影から大量の手下蟻が召喚され、獅郎目掛けて一斉に襲い掛かった。

(さて、標的として手下蟻をおびき寄せるには十分でしょう)
 敵の狙いを完全に自らに誘導させることに成功した獅郎は、押し寄せる黒い津波のような手下蟻の大群に向かって黒塗りの鋼糸を振るう。
 関節を狙って放たれたそれは数匹の手下蟻の脚をまとめてスパッと切断するが、それだけで蟻の行進を止められないのは百も承知。
 数の力を活かして標的の肉を噛み千切らんとする手下蟻に対し、獅郎はたった今倒したばかりの蟻の体を糸で引き寄せ、即席の盾とする。
『ギィィッ!?』
 仲間にガジガジと噛み付かれ、悲鳴を上げる手下蟻。蟻たちにも多少の知能や仲間意識はあるようで、同士討ちを狙われていると理解すれば攻撃にも躊躇が生まれる。
 その隙を突いて獅郎は再び鋼糸を振るい、新しい"盾"を適時調達しながら、蟻の群れを引き裂いていく。

「キィィィッ、何をやっているんですのッ!? 相手は一人ですわよッ?!」
 そのたった一人の無礼者を、いつまでたっても仕留めることができない部下たちに、地団駄を踏んで怒りを露わにする『よくばりさま』。
「もういいですわッ、こうなったらわたくし自らの牙で――!」
 業を煮やした彼女が顎牙を鳴らして前に出ようとした瞬間。そのタイミングを狙っていた獅郎は素早く詠唱を紡ぐ。
「時空の外神よ。その憤激を、深淵よりの光と鋼鉄の束縛と化し、我に貸し与え給え」
 獅郎と『よくばりさま』の周囲の空間が歪みはじめ、その奥からさっと放たれたのは【白熱縛鎖(アフォーゴモン)】。外なる邪神の怒りを体現したユーベルコードが、女王蟻の肉体に絡みついた。

「な、なんですのこれは――ッ痛ギィィィィィィィッ!?」
 邪神の怒り、それは魂すらも焼き焦がす絶え間ない激痛。たまらず鎖を振りほどき、縛めから逃れようとしても、歪んだ空間のあちこちから新たな白熱する鎖が飛んでくる。
「何処に居ようと、アフォーゴモンの鎖は逃しませんよ。存分に苦痛を味わってください――」
 無数の縛鎖によって完全に敵の動きが止まったのを見ると、獅郎は腰から引き抜いた回転式拳銃のトリガーを引く。
 その銃身に刻まれた文言は「Memento mori」――死を想え。重い銃声を響かせながら放たれた銃弾は、死した過去であるオブリビオンの外殻を撃ち抜く。
「ギィィィィィャアァァァァァァァァァァッ?!」
 金切り声を上げて苦悶にのたうち回る『よくばりさま』に、もはや女王としての威厳は微塵も感じられなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

月藤・紫衣
【morgen】 醜悪、ですね…
蟻といえば勤勉の象徴だった気がしますが
あれでは勤勉というよりもただの強欲でしかありません…

ザッフィーロさんが引き付けてくださっている間に【歌唱】による【高速詠唱】で風【属性攻撃】魔法の【衝撃波・範囲攻撃】の準備をしつつ敵の攻撃を【残像・見切り】で回避
彩花さんが敵の足を潰してくださったところで先ほどの衝撃波を解放して
敵が動きを鈍らせるようなら【全力魔法】の【散花風棘】を展開
彩花さんに手下蟻が近づかないようにUCによる【援護射撃】を行います

過ぎた欲、ですか…
人の生きる活力として欲望は必要ではあると思いますが…過ぎたるは猶及ばざるが如し、ということもありますからね


彩花・涼
【morgen】
なかなかの欲望を体現した敵だな
この国を襲うのも納得だ
だからと言って暴挙を許すわけがないがな

私は【目立たない】で気配を潜ませ
ザッフィーロがおびき寄せた所を
黒鳥で【スナイパー】【クイックドロウ】【2回攻撃】【部位破壊】で敵の足を潰そう
敵の攻撃には【見切り】つつ黒鳥で【武器受け】し
懐の黒爪で【カウンター】して【毒使い】で動きを鈍らせよう

ある程度ダメージを食らったなら
真の姿を開放、UCで更に強化して黒蝶で覆い姿を撹乱させるよう
【ダッシュ】で動き【残像】を見せ
黒爪で頭部を撃ち抜きに行くぞ

深すぎる欲か…欲が悪いものとは思わんが
それでも人に害をなすなら、相応の覚悟をするべきだな


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
【morgen】

財を溜め込む蟻か…
虫の姿をしているがなんとも人らしい性質をしているな
…勿論此の侭にはしておけぬ故、倒させて貰おう

戦闘と同時に『高速詠唱』にて【蝕みの黄金】を唱え
全身に煌びやかなハイジュエリーを召喚し、敵の興味を引き付け『おびき寄せ』を試みよう
財を好むのならば手に入れたがるのではないかと思って、な
所有の欲求が敵に与えられたならば「俺達猟兵に対する敵意に対する疑念や思考」を喰らう触手にて攻撃、混乱させ動きを止めようと試みてみよう
混乱し油断したならば彩花と月藤をサポートするかの様にメイスで『2回攻撃』を仕掛けよう
過ぎた欲は身を亡ぼすと聞いた事があるが…本当かもしれん、な



「ギィィィィッ……この、女王たるわたくしが、このような屈辱を……ッ!」
 白熱する縛鎖からようやく逃れた『よくばりさま』は、よろめきながらも両目をギラギラと輝かせ、再び臨戦態勢を取る。
 度重なる猟兵の攻撃によって受けた傷は深く。しかしそれを上回るほどの怒りと屈辱感が、今の彼女を衝き動かしていた。
「この世の全ての財宝はわたくしのもの……それを邪魔するあなたたちは、万死に値しますわッ!!!」
 飽くなき欲望と虚栄の女王は、再び大量の手下蟻を召喚し、猟兵たちを蹂躙せんとする。

「財を溜め込む蟻か……虫の姿をしているがなんとも人らしい性質をしているな」
 怒り狂う『よくばりさま』と手下蟻と対峙しながら、ザッフィーロはそう言った。
 強欲、傲慢、虚栄――巨大な昆虫そのものの外見とは裏腹に極めて感情的な敵の精神構造は、確かに虫よりもヒトの負の側面を凝縮したものに近いだろう。

「……勿論此の侭にはしておけぬ故、倒させて貰おう」
 ザッフィーロは対峙と同時に魔導書「Jesus,joy of man's desiring」を開き、蟻の群れに接近される前に素早く詠唱を紡ぐ。
 発動するのは【蝕みの黄金】――指輪のヤドリガミたる彼の歴代の所有者たちが所蔵していた豪華な宝飾品が召喚され、彼の全身を煌びやかに飾り立てる。
「!!!!!」
 それを目にした敵の反応は――まさしく砂糖の塊を見つけた蟻のようだった。
 怒りに燃えていた女王蟻の目の色が変わる。目が眩む、とはまさに今の彼女にこそある慣用表現だろう。
「それを寄越しなさいッ! 一つ残らずッ!!」
 涎を垂らさんばかりの形相でガチガチと顎を鳴らす『よくばりさま』の号令に応じて、手下蟻がザッフィーロに殺到する。

「醜悪、ですね……蟻といえば勤勉の象徴だった気がしますが、あれでは勤勉というよりもただの強欲でしかありません……」
 あまりにも浅ましいその様を眺めて、思わずふぅとため息を漏らしたのは紫衣。
 敵が財を好むのならば、それを目の前で召喚されれば手に入れたがるのではないか、というのが彼ら【morgen】の作戦の要だったが、あまりにも食いつきが良すぎて逆に呆れてしまいそうになる。
 ともあれこれは好機である。ザッフィーロが敵を引き付けたのを確認した紫衣は、その後方で歌唱による詠唱を紡ぎ、風を束ねて強大な魔法の準備を整えていく。
 解き放つタイミングはもう暫く。そのためのチャンスは仲間が作りだす手筈だ。

「ギィィッ! ヨコセッ!」
「タカラモノ! ヨコセッ!」
 きいきいと耳障りな叫びを上げながら、ザッフィーロに襲い掛かる手下蟻の大群。だが、その牙が触れるよりも速く、彼の全身を彩る宝飾品が妖しい輝きを放ったかと思うと――無数の純金の触手が飛び出した。
「「ギィィィィィッ!?」」
 思わぬ反撃に面食らいながら、触手に絡め取られる手下蟻たち。ザッフィーロの【蝕みの黄金】は宝物に目の眩んだ標的から思考能力を喰らう、トラップ式のユーベルコードだったのだ。
 彼が今回、敵から奪ったのは「自分達猟兵に対する敵意に対する疑念や思考」。目の前の相手を突然"敵"と思えなくなった手下蟻たちは、振りかざした牙の向ける先を見失い、大混乱に陥った。

「いい的だな」
 その瞬間、構えていた狙撃銃のトリガーを引き絞ったのは、それまで見つからないように気配を殺しながら好機を舞っていた涼。
 矢継ぎ早の連射から放たれる銃弾の雨は、統制を失った蟻たちの足を正確に撃ち抜き、身動きを封じていく。
「紫衣、今だ」
「はい!」
 敵群の動きが完全に止まったタイミングを見計らって、紫衣が準備していた風の魔法を解き放つ。凄まじい暴風と衝撃波が戦場に吹き荒れ、手下蟻の群れを纏めて彼方まで吹き飛ばしていく。
「仕えた相手が悪かったな」
 飛ばされずに済んだ僅かな生き残りも、混乱から脱する前にザッフィーロが振るうメイス「stella della sera」によって頭蓋を粉砕され、息の根を止められていった。

「ッ……また全滅ですの?! 本当に使えない手下どもですわねッ!」
 配下を一掃された『よくばりさま』はわなわなと怒りに身を震わせながらも、ならば自らの手で猟兵の生命と宝を奪い取らんと牙を剥く。
 財宝の詰まった腹部を巨大な蟻の頭部に変形させ、双頭の顎を振りかざしながら、彼女がまず獲物と狙い定めたのは涼。
「なかなかの欲望を体現した敵だな。この国を襲うのも納得だ。だからと言って暴挙を許すわけがないがな」
「ほざきなさいッ! あなたたちこそ、わたくしへの狼藉と侮辱の数々、許されるものではなくってよ!」
 襲い掛かる大蟻の顎牙を、涼は狙撃銃「黒鳥」の銃身を使って受け流す。しかし間髪入れずに襲ってきたもう一つの顎が、彼女の肩に喰らいつく。
 傷口から血肉を啜られ、生命力を奪われる感覚。顔をしかめた涼は懐からサブウェポンの「黒爪」を引き抜くと、銃口を相手の頭部に押し付けるようにしてトリガーを引いた。
「チィッ!!」
 発砲の直前、牙を抜いて飛び退く女王蟻。銃弾はわずかに蟻の額を掠めたのみ。
「惜しかったですわね――っ?」
 ほくそ笑もうとした蟻の動きが、がくりと鈍くなる。次に笑みを浮かべたのは涼。
 掠めるだけでも十分だった。こんな時に備えて、彼女の銃弾には予め毒が仕込まれていたのだから。

「くっ……この……女王たるわたくしに毒など……!」
 思うように体を動かせない『よくばりさま』は、新たな手下蟻を召喚して己の身を護らせる。
 手下蟻たちは主の周囲を固めながら、主に傷を負わせた涼に襲い掛かる。しかしその時、紫衣が彼女を援護するためにユーベルコードを発動する。
「花を散らすは風の棘」
 放たれるのは【散花風棘】。風を束ねて編んだ無数の長く鋭い棘が、涼に近付く手下蟻を次々と撃ち抜く。彼に続いてザッフィーロも「stella della sera」の柄から鎖を伸ばすと、鞭のようにしならせて手下蟻を薙ぎ払った。

「ええいっ、役立たず……なぜ、なぜこのわたくしが、このような目にッ!?」
「過ぎた欲は身を亡ぼすと聞いた事があるが……本当かもしれん、な」
 自身が追い詰められつつあるという事実を受け入れられない『よくばりさま』に、冷たい視線を向けながらザッフィーロが呟く。
 オウガの有り余る欲望が今回の事件を引き起こし、その結果として猟兵の介入という破滅を招いたのだとすれば――その発言も一概に否とは言えないだろう。
「過ぎた欲、ですか……人の生きる活力として欲望は必要ではあると思いますが…過ぎたるは猶及ばざるが如し、ということもありますからね」
「深すぎる欲か……欲が悪いものとは思わんが、それでも人に害をなすなら、相応の覚悟をするべきだな」
 散花風棘によって手下蟻を再び一掃した紫衣も、ザッフィーロに頷き。
 肩の傷の応急処置を終えた涼は、その周囲に漆黒の蝶の群れを舞わせながら「黒爪」の銃把を握りしめた。

「さあ、お前の覚悟を見せてみろ」
 たんっ、と地を蹴った涼の姿が変わっていく。普段の軽装から黒き鎧を纏った真の姿へ。
 ユーベルコード【黒蝶の鎮魂歌】によって解放したポテンシャルを更に引き上げた彼女は、まるで漆黒の風のように戦場を駆ける。
「くっ、来るなッ!」
 怯えたように振るわれた女王蟻の牙が捉えたのは、彼女の身を覆う漆黒の蝶のみ。
 蝶の群れを撹乱に利用して死角に回り込んだ涼は、「黒爪」の銃口をごり、と女王蟻の頭部に押し付け。
「今度は外さないぞ」
 冥府の気配を帯びた銃弾が、強欲なる女王蟻の頭部の半分を吹き飛ばした。

「ギ、ガァァァァァァァァッ?!?! わたクしの、ワたくシノ顔がァァァァァァッ!!!!」
 その絶叫はもはや、ヒトの言葉よりも虫の鳴き声に近い。
 地をもがく大蟻のオウガの頭上から、黄金の王冠がからん、と転がり落ちた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ヴィサラ・ヴァイン
あれが女王様気取りの…?
思った以上に美人じゃなかったね
そもそも蟻だから美人の基準が分からないんだけど
引き続き《石の書庫『リトス』》で周りの宝石…ついでに先の戦いで石化させたトランプの巨人達から力を引き出して応戦
「女王様を名乗るなら、それなりの実力を見せてもらいたいところだね」
噛みつき攻撃をあえて受け、体内に流れる猛毒の《ゴルゴンの血》を[毒使い]で吸収させるよ
「で、お味は?」
猛毒に身体を侵される[恐怖を与える]事で、生まれた恐怖の感情を【頂点捕食者】で捕食
噛みつかれた肉体を再生するよ
女の子一人も食べられずに女王様気取りだなんて…人食い鬼が聞いて呆れるよね



「あれが女王様気取りの……? 思った以上に美人じゃなかったね」
 そもそも蟻だから美人の基準が分からないんだけど――と呟きながら、ヴィサラは傷ついた『よくばりさま』を見やる。
 しかし恐らく今の『よくばりさま』は、どのような基準であっても"美"とは程遠い存在であろう。その外見においても、内面においても。

「グ、ウゥゥ、あアァァァ……あリえなイ……高貴なルわたクしが、こんナ……」
 猟兵たちとの戦いで負った無数の傷。頭部の半分は無惨に吹き飛び、頭上で輝いていた王冠は脱げ落ち。腹部に大事に抱えていた財宝もほとんど零れてしまっている。
 それでもまだ戦闘を続けるだけの生命力を残しているのは、流石に大軍を率いるオウガの親玉と言わざるを得ないが――この戦いが終わりに近付いているのは、誰の目にも明らかだった。

「女王様を名乗るなら、それなりの実力を見せてもらいたいところだね」
 満身創痍の大蟻に対して、ヴィサラはあえて挑発を仕掛ける。
 今の彼女は"石の書庫『リトス』"を介して引き続き町中の宝石から力を引き出している状態。さらに石化させたトランプの巨人からも力を得たことで、先の戦闘時以上にその力は高まっている。
 正常な判断力があれば、今の状態で正面からぶつかるのは得策ではないとすぐに察せられただろう――だがしかし、膨れ上がった虚栄心の塊である『よくばりさま』は、いかなる状態であっても敵の挑発を無視できなかった。
「わ、たくシは、女王……そう、女王です! ワたくしの傷ヲ癒やすたメ、あナたの血を献上シなさいッ!!」
 半壊した本来の頭部にかわって、ボロボロの腹部が新たな大蟻の頭部に変わる。
 目の前の不届き者の血肉を喰らい尽くし、その生命力によって傷を癒やすために。

「ガアアァアァァァァァァァァッ!!!」
 もはや獣そのものの雄叫びを上げて、ヴィサラに襲い掛かる大蟻のオウガ。
 しかしヴィサラはその攻撃を避けようとせず――大蟻の牙にあえてその身を晒す。
「っ……!」
 顎牙が肉を貫いた瞬間に走る鋭い激痛。生命力を奪われていく感覚に一瞬表情を歪めた少女は、痛みを堪えて笑みを浮かべながら、問いかける。
「で、お味は?」
 彼女の体内を流れるゴルゴンの血は、神々さえも蝕みオブリビオンをも殺す猛毒。
 それを直接、彼女以外の者が体内に取り込んでしまえば、一体どうなるか。
「……ッ、ガ、アガガガガガッ?! な、なンでスの、こノ血は……ぐげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!!?」
 ――その答えは、火を見るよりも明らかだった。

「わ、わたクしの喉が、胃が、肺ガ、肉が、焼ケてッ、溶けテっ……?!」
 地べたをのたうち回りながら、げえげえと飲んでしまった血を吐き出そうとする『よくばりさま』。だが時既に遅く、ヴィサラの猛毒は彼女の全身に回っていた。
 『リトス』によって強化されたゴルゴンの血は、平常時を遥かに上回る毒性を発揮して、大蟻の内蔵や神経に至るまで侵蝕し、体内からオブリビオンを滅ぼしていく。
「そんなに美味しかった? まだまだ沢山ありますよ?」
「ひ、ひぃぃっ……?!」
 傷口から血をしたたさせながらヴィサラが近付くと、その分だけ大蟻が這いずりながら後退する。
 この瞬間『よくばりさま』の心を支配していたのは、猛毒に身体を侵されながら"死"に近付いていく恐怖。【頂点捕食者】たるヴィサラはその止め処なく溢れてくる恐怖の感情を喰らうことで、齧りつかれた肉体を再生させた。

「女の子一人も食べられずに女王様気取りだなんて……人食い鬼が聞いて呆れるよね」
 ぴくぴくと四肢を痙攣させてのたうつ大蟻を、冷たい眼差しで見下ろす無傷のヴィサラ。
 今の『よくばりさま』からは女王としての風格も、オウガとしての威厳も、完全に失われていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

フレミア・レイブラッド
成金の虫ケラは貴女でしょうに
しかし、体に財宝を蓄える虫ね…。性格は悪いけどペットとしてなら生かしてあげても、と思ったけど…身の程知らずにはお仕置きね。

【ブラッディ・フォール】で「終焉を呼ぶ黒皇竜」の「黒皇竜ディオバルス」の力を使用(フレミアに黒皇竜の角や翼、尻尾等が付いた人派ドラゴニアンの様な竜人の姿に変化)。
手下蟻の群れを【インフェルノ】で焼き払い、迷路は【インフェルノ】で溶解させたり、【黒皇竜の一撃】で粉砕して悠々と近づき、その力を魅せつけるわ。
噛みつきを【残像】で高速回避し【黒皇竜の一撃】を叩き込み、【カタストロフィ・ノヴァ】で手下諸共全て消し飛ばしてあげる!

黒皇竜の力にひれ伏しなさい…


雛菊・璃奈
「金ぴか!」
「財宝!」
「でも趣味悪い!」

「害虫!」
「蟻は迅速に駆除とメイドは思案します」
「蟻退治!」

みんなは引き続き手下蟻の駆除をお願い…。
…わたしは本体を狙うよ…。

ラン達を引き連れつつ本体狙い…。
迷路を展開されたら、【呪詛、情報収集、高速詠唱】による探知術式で迷路を突破…。バルムンクとかで力づくでも壊せそうだけど、面倒だしね…。

凶太刀と神太刀の二刀流により高速戦闘…。
敵の攻撃を【見切り、第六感】と速度で回避し、【呪詛】を纏った【早業】斬撃を的確に急所に叩き込むよ…。

最後は【UnlimitedΩ】を展開し、「終焉」の魔剣の一斉斉射で終わらせる…。
侵略者は必ず報いを受ける…ここが貴女の終焉だよ…



「ぐ、うぅぅゥゥ……なぜ、なゼ女王のわたくシが、こんな虫ケラごときに……!」
「成金の虫ケラは貴女でしょうに」
 満身創痍と成り果てながらも、今だに敗北を受け入れられない『よくばりさま』に、フレミアは冷たく告げる。他者から奪った財宝で虚飾の栄華にひたる者など、彼女からすれば身の程知らずに過ぎない。
「しかし、体に財宝を蓄える虫ね……。性格は悪いけどペットとしてなら生かしてあげても、と思ったけど……身の程知らずにはお仕置きね」
 彼我の格の違いを思い知らせるかのように、魔槍を携えた吸血姫は悠々とした態度で大蟻に近付いていく。

「く、来ルな……ッ!!」
 いよいよもって追い詰められた『よくばりさま』は、ここに来て苦渋の決断を下す。ボロボロの身体を奮い立たせながらユーベルコードを発動し、戦場をまたもや財宝に満ちた迷路へと作り変える。
「こ、ここは一時退却……退却ですわ! 逃げるわけではありません、ええ決して! お前たち、殿をつとめなさい!!」
 猟兵たちを迷路に閉じ込め、かさかさと這いずるように離れていく『よくばりさま』。その腹からこぼれ落ちた財宝からは、金貨を背負った手下蟻が召喚される。

「金ぴか!」
「財宝!」
「でも趣味悪い!」
 迷路を構成する数多の財宝を見回しながら叫んだのは、璃奈に仕えるメイド人形たち。作り手の心象が反映されているかのようなこの"庭"は、金銀の輝きやごてごてした装飾ばかりが目立ち、芸術性のカケラもない。
 そこに押し寄せてくるのは、何十匹という手下蟻の群れ。逃走のための捨て駒とされた彼らは、されど命令に疑問を抱くこともなく猟兵たちに襲い掛かる。
「みんなは手下蟻の駆除をお願い……」
「「「はーい!!」」」
 璃奈からの指示に、声を揃えて応える6人のメイド人形。彼女たちを連れて駆け出す璃奈は、呪力を用いた探知術式を発動し、迷路内の構造と出口の把握に努める。

「まったく往生際が悪いわね……」
 一方、同じように迷路に捕らわれたフレミアはふうと嘆息しながら、ユーベルコード【ブラッディ・フォール】を発動する。
 かつて彼女と戦い、今は骸の海に眠る数多のオブリビオンの中から、その異形と能力を自らの肉体に顕現させる。今回フレミアが選んだのは、アックス&ウィザーズにて戦った強大なる魔竜の一頭――『黒皇竜ディオバルス』の力。
 漆黒の角と翼と尾を獲得し、まるで人派のドラゴニアンのような竜人の姿へと変化したフレミアは、押し寄せる手下蟻の大群に向かってふっと息を吐く。
 次の瞬間、彼女の吐息は煌々と燃え盛る紅蓮の炎と化し、非力な虫ケラの群れを一瞬のうちに蒸発させた。

「害虫!」
「蟻は迅速に駆除とメイドは思案します」
「蟻退治!」
 璃奈たちの方に再び目を向ければ、ミア、シア、ニアの3人のメイド人形が、主の露払いのために手下蟻と戦っている。
 さっと抜き放った仕込み箒の刃は、硬い蟻の外殻を避けて、脆い関節部を正確に切断し。脚をもがれて動きが鈍ったところを確実に仕留めていく。
「蟻だらけ!」
「いっぱい!」
「でも強くない!」
 さらにラン、リン、レンの3人組も、ミアたちと敵を挟み撃ちにするように回り込んで、衣装から取り出した暗器で死角から蟻の急所を貫いていく。

 地獄の炎【インフェルノ】を操るフレミアと、巧みな連携を見せる璃奈のメイド人形。
 彼女たちの活躍によって、『よくばりさま』の逃走を幇助する手下は消滅した。
「探査完了……本体がどっちに逃げたかも分かるよ……」
 その間に探知術式の制御に集中できていた璃奈は、迷路の壁越しにある方角を指し示す。最短ルートで向かうとしても、多少の回り道にはなりそうだ。
「バルムンクとかで力づくでも壊せそうだけど、面倒だしね……」
「あら、そうかしら?」
 それを聞いたフレミアは、璃奈が指さした正面の壁に【黒皇竜の一撃】を叩きつける。竜人化したフレミアの尾が財宝と激突した瞬間、迷路全体がズシンと揺れ、壁には大きな亀裂が走る。
「2人でやれば早いんじゃないかしら」
「……そうかも……」
 それを見た璃奈もこくりと頷くと、祀りし魔剣の中でも特に凄まじい切れ味を誇る「魔剣バルムンク」を構え。大きく振りかぶって放つ剛剣の一撃を叩き込めば、今度こそ迷路の壁はコナゴナに粉砕され、ゆうに人が通れるサイズの大穴が開く。
 破壊可能と分かればあとは一直線。少女たちは嵐のように迷路を破壊しながら、逃げる『よくばりさま』の後を追う。

「げぇッ!? もウ脱出してきタんですのッ?!」
 ズガン! と迷路の外縁の壁が砕ける音を聞いて振り返った『よくばりさま』は、財宝の破片を散らして現れたフレミアと璃奈の姿に驚愕する。
 もはや恥も外聞もない。とにかく生き延びることを優先する大蟻は、手下蟻を生み出し続けながら遁走を続ける。
「お、お行きナさい、手下ども! わたくシはこンナ所で死ンでいい身分ジャありませンことよッ!!」
 それでもこの期に及んでなお女王たらんとするその虚栄心は、いっそ哀れか天晴かもしれない。

「みんなは引き続き手下蟻の駆除をお願い……。……わたしは本体を狙うよ……」
 バルムンクから凶太刀と神太刀の二刀流へと装備を持ち替えた璃奈は、メイド人形たちが手下蟻を食い止めている隙を突いて一気に本体に接近する。
 同時にフレミアも正面に立ち塞がる蟻を【インフェルノ】で焼き払い、黒皇竜の翼を広げ、悠々と力を魅せつけながら『よくばりさま』に近付いていく。
「黒皇竜の力にひれ伏しなさい……」
「く……ッ、女王が、誰かにひれ伏すものですかァッ!!」
 足止めをする迷路も配下も全て失った『よくばりさま』は、破れかぶれで自らの頭部を増殖させ、二人の猟兵に同時に齧りつく。
 だが、大蟻の顎牙が捉えたものはタダの残像。はっと彼女が気がついた時には、二人は既にその背後に回り込んでいた。

「侵略者は必ず報いを受ける……ここが貴女の終焉だよ……」
 隙だらけとなった大蟻のオウガに繰り出される、璃奈の高速斬撃。使い手を加速させる凶太刀と再生を阻害する神太刀という、強力な呪詛を帯びた二刀の連撃が、標的の急所を的確に斬り裂き『よくばりさま』から逃げるための脚を奪い去る。
「せめて最期は華々しく散らせてあげるわ」
 身動きの取れなくなった大蟻に、フレミアの【黒皇竜の一撃】が叩き込まれ、その巨体が高々と宙を舞う。
「―――!!!」
 衝撃に息を詰まらせた『よくばりさま』はその時、自らの目前に迫る"死"の予感を、はっきりと感じ取った。

「全ての呪われし剣達……わたしに、力を……立ち塞がる全ての敵に終焉を齎せ……!」
 璃奈が放つ最大規模のユーベルコード。受けたもの全てに終わりを齎す『終焉』の力を宿す魔剣・妖刀の数々が『よくばりさま』に狙いを定める。
 それと同時にフレミアが発動するのは、かつての黒皇竜が使用した極大規模の奥義。上空へと舞い上がった吸血姫の肉体に、凄まじいエネルギーが集束していく。
「手下諸共全て消し飛ばしてあげる!」
「『unlimited curse blades 』……!!」
 一斉斉射された魔剣と妖刀が『よくばりさま』と手下蟻たちを尽く貫き。
 そして解き放たれた【カタストロフィ・ノヴァ】が、全てを飲み込んでいく。

「い、いやああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――!!!!!」

 断末魔の悲鳴も、財宝も、肉体も。全てが終焉の刃と爆発によって消えていき。
 その後には、彼女の存在を示すものは何一つ残されてはいなかった。

 ――宝石の町を脅かしたオウガ『よくばりさま』は、こうして最期を迎えたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『Shall we dance?』

POW   :    体力を生かした勇壮な踊り。/パートナーを力強くリード。

SPD   :    心はずむ軽快で華麗なステップ。/パートナーをスマートにエスコート。

WIZ   :    周囲を魅了する繊細で優美な舞。/パートナーと協調し息を合わせる。

👑5
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 宝石の町の上空で起こった巨大な爆発。
 それは、この世界を襲ったオウガの軍勢を率いる総大将『よくばりさま』の死を告げていた。

「女王様ガ死ンダ?!」
「馬鹿ナ!?」

 最初、さざ波のようにオウガの全軍へと伝わった動揺は、たちまち嵐の海のような大きなうねりになり。もはや彼らは軍としての統率を為さなくなる。

「今だ、行けー!!」
「やっつけろー!!」

 そこに宝石の町の住人たちが総攻撃を仕掛ければ、浮き足立ったオウガ軍は完全に崩壊し、退却の体も為さずにバラバラに逃走を始める。
 ――それから先のことは、もはや単なる掃討戦であった。『よくばりさま』を討伐して戻ってきた猟兵たちも追撃に加わったことで、ほとんどのオウガはこの世界から脱出することも叶わずに討ち果たされた。

「ぼくたちの、勝ちだ!」
「宝石の町、ばんざい!」
「イェーガー、ばんざい!!」

 勝利を喜ぶ人々の鬨の声は、いつまでもいつまでも、戦場に響き渡っていた――。



 ――それから少々の時間が過ぎて。
 戦いの後始末を終えた猟兵たちは、改めて宝石の町の住人から大歓迎を受けていた。

「イェーガーのみんな、助けに来てくれてほんとうにありがとう!」
「この町が、わたしたちが無事でいられたのは、みんなのおかげだよ!」

 戦場となった宝石の町は、住人たちの手によってあっという間に修復され、元通りの美しく煌びやかな町並みを取り戻している。
 そして今、町のあちこちからは美しい音楽や歌声が。そして美味しそうな料理やデザートの香りで満ち溢れ、町全体が巨大なパーティ会場と化していた。

「今日はお祝いだよ! いっぱい食べて、飲んで、歌って、踊ろう!」
「イェーガーのみんなのための料理もあるから、安心してね!」

 宝石の町の住人たちはやはり宝石を食料とするようだが、別の世界から来た客人をもてなすために、普通の料理もちゃんと用意されているようだ。
 そして、この祝宴のメインとなるのは、町の中心にある広場をステージとしたダンスパーティ。
 色とりどりの宝石の人々が音楽に合わせて舞い踊る様子は、ただ眺めているだけでも心を奪われそうになるほど幻想的な光景である。

「イェーガーのみんなも、良かったら踊っていってね!」
「みんなはこの町の救世主! ダンスパートナーになりたいっていう子もたくさんいるよ!」

 満面の笑顔と、暖かな真心で、猟兵たちを歓待する宝石の町の住人たち。
 彼らの誘いに乗って一緒に踊るのも、それを眺めるのも、あるいは飲み食いや音楽を楽しむのも、すべて猟兵たちの自由。
 ――平和を取り戻した不思議の国の宴は、まだ始まったばかりだ。
ヴィヴィアン・ランナーウェイ
アドリブ・連携歓迎

さて、無事戦いも終わりました。
……ダンスは不得手なので、のんびり眺めつつお茶会でもさせてもらいましょうか。

さて、持ち込んだテーブルと椅子でお茶会の用意は出来ましたし、美味しそうなお菓子や料理を頂きつつ、お茶を味わいます。

宝石さん達や他の方々も歓迎しますわ。
こういうものは、誰かと一緒の方が楽しいと、今はない記憶が訴えかけてきますもの。

……ええ、少し頭が痛みますが。
きっと、元の世界の私もこうしていたのでしょうね。
とりあえず今は過去ではなく、守れた現在を楽しみましょう。



「さて、無事戦いも終わりました。……ダンスは不得手なので、のんびり眺めつつお茶会でもさせてもらいましょうか」
 平和を取り戻した町の光景を見渡しながら、ヴィヴィアンはどこからか持ち込んだテーブルと椅子を並べて、ティータイムの準備を整える。
 ダンス会場となっている広場のよく見える位置で茶器を並べていると、それに気付いた町の住人たちがワイワイとやってきた。

「お茶会するの?」
「わたしたちも混ぜて!」
「お菓子持ってきたよ!」
 まだ頼んでもいないうちに、テーブルの上には宝石のようなキャンディや、焼きたてのクッキーが次々と並ぶ。
 瞳をキラキラと輝かせながら見つめてくる愉快な仲間たちに、ヴィヴィアンはにっこりと微笑んで。
「ええ、歓迎しますわ」
「「「わーい!!」」」
 こういうものは、誰かと一緒の方が楽しい――それは、今はない記憶からの訴え。『アリス』として異世界に迷い込んだ時に零れ落ちてしまった過去の残照。
 はしゃぎながら椅子に座る愉快な仲間たちを見つめながら、ヴィヴィアンは淹れたての紅茶のカップにそっと口をつけた。
 深く上品な甘みと、懐かしい香りを味わい――ズキリ、と頭の奥で何かが疼く。

「おねえさん、大丈夫?」
「……ええ、少し頭が痛みますが」
 それほど強い痛みではなかったが、顔に出てしまっていたらしい。すぐに微笑み返したヴィヴィアンに、心配そうな宝石の子供はクッキーを差し出す。
「これどうぞ! 食べたらきっと元気になるよ!」
「あら、ではいただきますわね」
 受け取ったお菓子を口に運び、さくさくとした食感と甘さを味わいながら、同席する愉快な仲間たちをもう一度見回す。皆、誰もが楽しそうで、笑顔だった。

(きっと、元の世界の私もこうしていたのでしょうね)
 お茶会を楽しみながら、ヴィヴィアンは誰にも聞かれないようふと独りごちる。
 失った過去がまったく気にならないと言えば、嘘になるかもしれない。しかし彼女の心にそれを悲観する気持ちはない。
(とりあえず今は過去ではなく、守れた現在を楽しみましょう)
 町中にあふれる音楽と、住人たちの美しき舞い。笑顔と、紅茶と、お菓子と、笑い声。それは全て、彼女たちがその手で守り抜いたもの。
 それを味わううちに、ヴィヴィアンの頭から痛みはいつの間にか消えていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

駆爛・由貴
おー!いいじゃんか!
こういうの大好きだぜ俺!

まずはUCを発動
戦闘以外にも使えるポッド達にノリノリのサウンドを流すスピーカーやキラキラのレーザーライトを装備させてダンスフロアを派手に彩るぜ!

ダンスは俺も上手くねーけど
騒ぐのなら得意だぜ!

この町の音楽を聴いて踊るのもいいけど
「土曜日の夜にフィーバー」する曲とか「土と風、そして炎」みたいな名前のバンドの曲を流して踊るのもいいな!
シンセサイザーのキラキラした音楽は宝石の町にピッタリだろ

ステップが下手でもリズムがグダグダでもいいぜ!
楽しむのが一番だからな!

お互いのダンスを見て腹抱えて大笑いしたり
足を踏んでずっこけたりしても良い思い出になるよな

アドリブOK



「おー! いいじゃんか! こういうの大好きだぜ俺!」
 ひっくり返ったような賑わいを見せる宝石の町を、イキイキとした表情で見回すのは由貴。広場で踊っていた愉快な仲間たちが、そんな彼に声を掛ける。
「キミも一緒に踊ろうよ!」
「一緒に歌って騒ぐのって楽しいよ!」
「おう!!」
 満面の笑みで応えた少年は、眩いほどの輝きにあふれた祭りを全力で楽しむために、喧騒の中に飛び込んでいく。

「仕事だぞ! 働けお前ら!」
 由貴が号令を発すると、演出のために召喚された【万能機械】の自律ポッド群が、搭載した色とりどりのレーザーライトを輝かせ、スピーカーからノリのいいサウンドを流し始める。
「なにこれ、初めて聞く曲……」
「でもイイね! とっても素敵!」
「体が勝手に動いちゃう!」
 不思議の国の外から由貴が持ち込んだ異世界の楽曲――「土曜日の夜にフィーバー」する曲とか「土と風、そして炎」みたいな名前のバンドの曲とか――は、アリスラビリンスの愉快な住人たちにも好評のようだ。
 町中の宝石に乱反射するレーザー光、そしてシンセサイザーの音楽は、宝石の町にふさわしく、ダンスフロアをキラキラと派手に彩っていく。

「すごいすごい! いつもより町が輝いてる!」
 大はしゃぎの住人たちを見て由貴は満足そうに笑いながら「さあ踊ろうぜ!」と号令をかける。
「ステップが下手でもリズムがグダグダでもいいぜ! 楽しむのが一番だからな!」
 初めて聞く音楽にあわせて完璧に踊れるわけがないし、振り付けが決まっているわけでもない。誰もがただ、湧き上がるパッションのままに思い思いに体を動かす。
 華麗さからは程遠いが、音と光の洪水の中で飛び跳ねる愉快な仲間たちは、皆心からそれを楽しんでいた。

「ダンスは俺も上手くねーけど、騒ぐのなら得意だぜ!」
 彼らに負けじと由貴もフロアの中心に飛び込む。身軽な身のこなしでアクロバティックな動きを披露してみたり、華麗なバック宙を見せたり。サマになっているかなんて考えず、とにかく全身で今の気持ちを表現する。
「あはは、面白い!」
「ボクもやる!」
 それを見てお腹を抱えて笑い転げる者もいれば、マネをしようとする者もいる。
 えいっ、と勢いをつけてバック宙。しかし勢い余ってつんのめり、たまたまその先にいた由貴と衝突。
「いってぇ! やったな!」
「あははは! ごめーん!」
 二人そろってズッコケて、会場からは大きな笑いが。怒ったように腕を振り上げる由貴も、謝りながら逃げていく宝石の子も、やっぱりどちらも笑顔。
 笑いにあふれたドタバタのダンスパーティーは、まだまだ終わらない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フレミア・レイブラッド
宝石を食べるのね、貴方達…。この宝石って何処で採れるのかしら?
眷属の子達へのお土産とかにも良さそうなのだけど…。
後はお酒や料理とか、何か特産品みたいなのがあるのかと思ったけど、この分だと無さそうかしらね?

お酒や料理を軽く頂いた後、町の可愛らしい女の子等を【礼儀作法】で優雅にリードし、華麗なステップでダンスを踊るわ♪
こういった事は嗜みとして覚えさせられたけど…最近はこういう機会が無かったけど、体が覚えてるものね♪

それにしても、宝石の子達にも可愛い子達がいるわね♪
楽しそうに輝いてる…やっぱりこういう平和な光景が一番よね♪



「楽しそうに輝いてる……やっぱりこういう平和な光景が一番よね♪」
 お祭り騒ぎの宝石の町と、はしゃぎまわる住人たちを微笑ましく眺めながら、フレミアは酒の注がれたグラスを優雅に傾ける。
 彼女が座る席のテーブルには、ずらりと並んだ料理の皿が。それは彼女が注文したものではなく――。
「これも食べて!」
「こっちも美味しいよ!」
 と、愉快な仲間たちが次から次へと並べていったもの。それは普通の肉や魚や野菜で出来ているが、彼ら自身が口にするのは宝石で出来た食事だ。

「宝石を食べるのね、貴方達……。この宝石って何処で採れるのかしら? 眷属の子達へのお土産とかにも良さそうなのだけど……」
「ふつうに畑で採れたり、そのへんに実っていたりするよ? ほら!」
 質問された宝石の住人が指さしたのは、街路樹として植えられた立派なリンゴの樹。幹も枝も葉ももちろん宝石でできたそれには、ルビーのように真っ赤なリンゴが――いや、ルビーそのものが実っていた。
「欲しいならいくらでも持っていって! けんぞく? さんたちも喜んでくれるといいな!」
「ありがとう。きっと喜ぶと思うわ」
 はい! と枝からもいで差し出されたルビーのリンゴを、微笑みながら受け取るフレミア。
 ――コレがこの国では普通のリンゴ並みにありふれた物だと言うなら、あの『よくばりさま』の目が眩むのも少しは理解できるかもしれない。
 ちなみに、フレミアたち猟兵に提供されている普通の食事は「お客さん」が来た時のために調達されていたもので、美味だが特産品というわけではないそうだ。

 そんな一幕もありつつ、軽めに食事を終えたフレミアは、次はダンスパーティーが行われている広場の方へと向かう。
「それにしても、宝石の子達にも可愛い子達がいるわね♪」
 体が宝石でできていることを除けば、彼らの外見は人間とほとんど変わらないが、容姿の整った者が多い気がする。
 町の救世主であるフレミアが広場に姿を見せると、彼らの中からはパートナーに名乗り出る者が男女問わず続出した。
「あ、あのっ。私と一緒に踊ってくれませんか?」
「ええ、良いわよ♪」
 恥じらいながら声をかけてきた可愛らしい少女の手を取り、腰に腕を回しながら、フレミアはステージへ。流れる音楽に合わせて華麗なステップを踏み、パートナーを優雅にリードしながらダンスを踊る。
(こういった事は嗜みとして覚えさせられたけど……最近はこういう機会が無かったけど、体が覚えてるものね♪)
 元名家の令嬢として非の打ち所のない踊りを披露するフレミアに、周りの観客たちはうっとりと見惚れ、パートナーの少女も蕩けるように彼女を見つめている。

 ――やがて音楽が終わると、フレミアはスカートの端をつまんで優雅に一礼。
 途端に湧き上がるのは万雷の拍手と、次のパートナーに名乗りを上げる声。
「次は私と踊って!」
「あたしともお願い!」
「ふふ、落ち着いて、順番にね♪」
 すっかりダンスパーティーの華となったフレミアは、その後もたくさんの住人たちを魅了していくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雛菊・璃奈
リミティアさんもお疲れ様…。
リミティアさんも呼んでパーティでゆっくりするよ…。

「キラキラ!」
「素敵!」
「平和!」

「ご飯も宝石!」
「流石に宝石は調理できません。メイドは悩みます」
「普通のご飯もあるみたい」

凄いね…宝石のご飯まであるんだ…流石にわたし達は食べれないけど…。やっぱりなんでもかんでも宝石なんだね…。

「宝石の箒!」
「宝石のお箸!」
「宝石の布団!」

…使えるのかな、それ…。凄く使い難そう…。

「ご主人!踊ろう!」
「踊ろう!」
「リミティアさんも!」

わたし、ダンスとかした事ないんだけど…リミティアさんはある…?あぁぁ~…(メイド達に引っ張って連れて行かれて、満更でもなさそうに口元に笑みを浮かべる)



「キラキラ!」
「素敵!」
「平和!」
「うん……素敵だね……」
 元通りの美しさを取り戻した宝石の町で、楽しそうにはしゃぐメイド人形たち。
 オウガとの戦いを終えた璃奈は、彼女らと共に平和になった町を見て回っていた。
「お疲れ様です、璃奈さん。それに皆さんも」
 そんな彼女たちに声をかけたのは、グリモア猟兵のリミティア。帰還準備の前に璃奈に誘われた彼女も、初めて訪れる不思議の国の光景に目を輝かせている。
「リミティアさんもお疲れ様……それじゃあ、ゆっくりしよう……」
「はい。お誘いくださりありがとうございます」
 合流を果たした少女たちは、心躍らせながらパーティと町の観光に向かう。

 まずは軽く腹ごしらえを。そう考えてやって来た食事処では、同じように多くの宝石の住人たちがご馳走を楽しんでいた。
 彼らが食べているものを見て、メイド人形たちが口々に声を上げる。
「ご飯も宝石!」
「流石に宝石は調理できません。メイドは悩みます」
「普通のご飯もあるみたい」
 一体どうやって調理しているのか甚だ不思議だが、ここは不思議の国。彼らにとってはこれが人間にとっての肉や野菜や穀物と同じ、当たり前の主食のようだ。
「凄いね……宝石のご飯まであるんだ……流石にわたし達は食べれないけど……。やっぱりなんでもかんでも宝石なんだね……」
 驚きと感心を口にしながら、璃奈は運ばれてきた料理を口に運ぶ。「お客さん」が食べられるよう用意されたものは璃奈にも見慣れた食品だが、それを盛り付ける器や、並べられた食器は当然のように宝石製。
「たくさん食べてね!」
 コックコートに身を包んだ宝石の住人の笑顔。真心込めて作られたご馳走は、戦いで疲れた璃奈の体に優しい活力を与えてくれた。

 食事を終えて再び町を歩く璃奈たちは、それからも多くの驚きを目にする。
 住人たちにとっては何気ない日常生活でも、異世界の人間にとっては不思議の宝庫。何しろ日用品すら宝石製なのだから。
「宝石の箒!」
「宝石のお箸!」
「宝石の布団!」
「……使えるのかな、それ……。凄く使い難そう……」
 首を傾げながら璃奈が宝石の布団を触ってみると、意外にも柔らかい。羽毛などとは違う、どちらかと言えばウォーターベッドに手を押し付けたような感触だ。
 その傍らではメイド人形たちが「なにこれ!」「使いやすい!」と、意外なほど軽く良くゴミを掃ける宝石の箒の使い心地にびっくりしていた。
「このお箸、一膳持って帰れないでしょうか……」
 和食や和菓子が好物のリミティアは、宝石の箸に興味を惹かれている。
 この町の"宝石"は、それ自体が他の世界とは少々性質の異なる、不思議の産物のようだ。

 そんな具合にふらりと町を散策していた璃奈たちは、やがてダンスパーティの広場にたどり着く。
 音楽に合わせて楽しそうに踊る宝石の人々の様子を見るや、メイド人形たちがぱっと表情を輝かせた。
「ご主人! 踊ろう!」
「踊ろう!」
「リミティアさんも!」
 宝石に負けないくらいキラキラした瞳で熱いまなざしを送られると、璃奈もリミティアも嫌とは言いづらい。
「わたし、ダンスとかした事ないんだけど……リミティアさんはある……?」
「少しなら心得はあります。こんなに大勢の前で踊った経験はありませんが」
「そうなんだ……あぁぁ~……」
 話の途中でメイドたちに手を引っ張られ、ダンス広場に連れて行かれる璃奈。しかしその口元には満更でもなさそうな笑みが浮かんでいる。
「お相手の方のリードに合わせれば大丈夫です。せっかくのパーティですし、楽しみましょう」
 リミティアも淡く微笑みながらダンスパーティに加わり。広場にいた人々は満面の笑顔で少女たちを歓迎する。

 奏でられる愉快な音楽に合わせて、メイドたちと一緒に璃奈は踊る。
 初めてのことで上手く踊れたかは分からないが、心には確かな充実感がある。
 不思議の国での夢のような時間は、あっという間に過ぎていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
さて、ダンスパーティーですか……
ダンスに自信は無い上、一緒に踊る相手は(体格的に)いませんし、(食事機能はあれど、食事の必要はないので)勧められた料理を控えめに口元に運びながら、宝石の方々を眺めていましょう

SSWの希少種族クリスタリアンに似た姿の方々がこんなに集まっている光景は壮観ですね。光に照らされて、踊る皆様の輝きがとても美しい…

(小さな住人達に囲まれ踊らないの?と無邪気に尋ねられ)

…リミティア様、一人でも見栄えの良い【ダンス】のコツ、教えていただけますか…

(礼儀作法、世界知識の社交ダンスの知識とアドバイスのお陰でなんとか場を盛り上げられるダンスというか演武を披露出来た)



「さて、ダンスパーティーですか……」
 賑やかな宝石の町で繰り広げられる華やかなダンスを眺めながら、トリテレイアは呟く。
 ダンスにはあまり自信が無い上、ウォーマシンの彼のパートナーをつとめられそうな体格のある者は、さすがに街の住人の中にもいない。
 戦いを終えた騎士は、自分たちが守り通したこの平和な世界を、賑わいの中心から少し離れて穏やかに見守っていた。

「クリスタリアンに似た姿の方々がこんなに集まっている光景は壮観ですね」
 勧められた料理を控えめに口に運びながら、踊りまわる宝石の人々を眺める。全身が宝石でできた彼らの容姿は、確かにトリテレイアの故郷スペースシップワールドの希少種族によく似ている。
 町中に反射する太陽の光に照らされて、キラキラと輝きながら舞う彼らのダンスは、陽気な情熱を表現しながらも、繊細かつ華麗。
「美しい……」
 思わず漏れた感嘆の言葉。それを聞きつけたのか、背格好からしてまだ子供らしい小さな住人たちが、大柄な騎士のもとにてこてこと近寄ってくる。
「イェーガーさん、イェーガーさん。お祭りは楽しんでる?」
「ごはん、あんまり食べてないね?」
「お腹すいてないの?」
「いえ、私にはこの量で十分なので」
 無邪気な問いかけにトリテレイアは問題ないと答える。機械である彼は食事を摂る機能は搭載されていても、人間のような栄養を摂取する必要はない。
「そうなんだー」
「おもしろーい」
「ふしぎだねー(もぐもぐ)」
 感心しながら子どもたちがオヤツのように口に運んでいるのは、キラキラ光る飴玉――のような形をした宝石。トリテレイアからすればそちらのほうが物珍しい光景なのだが、世界によって"不思議"の基準は違うようだ。

「そういえばイェーガーさんは踊らないの?」
「いえ、私は……」
 理由を説明して断ろうとするトリテレイアだったが、宝石の子供たちはウキウキした表情を浮かべて彼の周りをくるくると回る。
「イェーガーさんのダンス、見たい見たい!」
「どんなふうに踊るんだろう。きっとカッコいいよね!」
「わくわく!」
 ――ものすごく期待されている。そしてハードルも上げられている。
 無邪気な子供たちに囲まれて、進退極まるトリテレイア。ある意味でこれはオウガや『よくばりさま』との戦いよりも難敵かもしれない。

「お疲れ様です、トリテレイアさん……どうかしましたか?」
 そこに通りがかったのは、グリモア猟兵のリミティア。
 偶然にも知己の相手と出会ったトリテレイアは、彼女だけに聞こえるよう声量を落として尋ねる。
「……リミティア様、一人でも見栄えの良いダンスのコツ、教えていただけますか……」
「……なるほど、状況はだいたい理解しました」
 トリテレイアとその周りの子供たちを見てなりゆきを察したらしいリミティアは、一人でも踊れるダンスの振り付けやステップについて簡単にアドバイスする。
「格式張った会場でもありませんし、リズムや振り付けの正確さを気にする必要はないでしょう。恥ずかしがらず堂々と振る舞えば、自然と様になるものです」
「わかりました」
 アドバイスを受けたトリテレイアは意を決して、子供たちに引っ張られるようにしてダンスの広場へと向かった。

 流れる音楽に合わせて機械の騎士が披露するのは、舞踊というよりは演武に近い。
 メモリーにインプットされた社交ダンスの知識やリミティアからのアドバイス、それに騎士としての武技も組み合わせ、勇ましくも鮮やかに舞う。
 やがて、音楽の終わりと同時にピタリと見栄を切ると、周囲からは万感の拍手が鳴り響いた。
「すごいすごい!」
「ちょーカッコいい!」
 拍手を送る観客の中に先程の子供たちがいるのを見つけたトリテレイアは、どうにか場を盛り上げられた安堵と、あたたかい達成感に包まれていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

仁上・獅郎
するり、するりと人の間を抜けながら、
パーティの様子を見守りましょう。
彼らの営みを守れたのは、僕にとっても僥倖です。
こちらの心も穏やかになるのを感じますね。

ああ……失礼、町の方。一つお聞きしても?
宝石が欲しい、と言ったら驚かれるでしょうか。
沢山は要りません、ただ一粒で良いのです。

実は、知人の少女に贈る物を探しておりまして。
この町でならそれが叶うのではないかな、と。
僕が求めるのは、藍色の宝石。
その子の瞳の色なのですよ。

……タンザナイト、移り変わる空の色を映す宝石。
うん。全く以て素敵で、心が躍るような……。
教えていただき、ありがとうございます。
どうか、町の皆様にも幸多からんことを。



「実に賑やかな町ですね」
 するり、するりと人の間を抜けながら、獅郎はパーティの様子を見守っていた。
 元通りの美しさを取り戻した宝石の町は、今やどこを通っても愉快な音楽と笑い声であふれている。人々は返ってきた平和な日常を喜び、笑顔で生を謳歌する。彼らの営みを守れたのは、獅郎にとっても僥倖だった。
「こちらの心も穏やかになるのを感じますね」
 胸を吹き抜けていく暖かな風を楽しみながら、青年はひとつ、あることを思い出す。

「ああ……失礼、町の方。一つお聞きしても?」
「うん? なになに、何でも聞いてよ!」
 通りがかった住人に声を掛けると、相手は満面の笑みを浮かべて応じてくる。
 とかく外からの「お客さん」にフレンドリーな彼らに、獅郎は尋ねる。
「宝石が欲しい、と言ったら驚かれるでしょうか。沢山は要りません、ただ一粒で良いのです」
「宝石を?」
 それはこの町では一番ありふれている品物。あえてそれを畏まって求める理由をこの町の住人はすぐには飲み込めなかったのか、首をかしげる。
「実は、知人の少女に贈る物を探しておりまして。この町でならそれが叶うのではないかな、と」
 獅郎はその相手のことを思い浮かべる。愛らしい笑顔に、透き通るような歌声。そして吸い込まれるようなその眼差しを。
「僕が求めるのは、藍色の宝石。その子の瞳の色なのですよ」
「藍色……うん、分かった。ちょっとだけ待っててね!」
 獅郎の要望を聞いたその住人は、他の住人にも声をかけながら、ぱたぱたとどこかへ駆けていく。

 ――それから少しすると、住人は小さな箱を大事そうに抱えて戻ってきた。
「お待たせ! これならどうかな?」
 差し出されたそれをぱかりと開けてみると、中に入っていたのはペンダントに加工された一粒の宝石。太陽の光の下で、美しい青紫の輝きを放つその石の名は――。
「……タンザナイト、移り変わる空の色を映す宝石」
「そう! それはね、この町でいちばん空のよく見える所で実った石なんだ」
 石が実るというのは、生きた宝石の暮らす町ならではの表現だろうか。この世界ではその場所の環境によって様々な宝石が自然に発生するらしい。
 多色性という特徴を持つタンザナイトは、当てる光や見る角度によってその色合いを変化させる。時には鮮やかな青色にも、深みのある紫色にも。それはまさしく変わりゆく空の景色を映し出すように。
「うん。全く以て素敵で、心が躍るような……」
「気に入ってくれた? 良かった!」
 獅郎の表情を見た宝石の住人は、喜びを現すようにピカピカと輝きながら、満足そうに微笑んだ。

「その石はちょっと脆いから、割れないよう大事にしてあげてね。強くぶつけたりしたら欠けちゃうかも!」
「教えていただき、ありがとうございます」
 石の取扱についても説明する住人に礼を言って、獅郎は宝石を丁寧にしまい込む。
 目的のものは見つかった。後はこれを見て果たして少女が喜んでくれるかどうか。
「きっと、大切な人への贈り物なんだよね。その人にもあなたにも、その石が幸せを運んでくれるといいね!」
「ええ。どうか、町の皆様にも幸多からんことを」
 最後まで笑顔で手を振っている住人と別れ、獅郎は再び町を見てまわる。
 その目に映る人々の表情は、みな心からの幸せに溢れている。それは獅郎たち猟兵の戦いが守り抜いた幸福だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィサラ・ヴァイン
ん、宝石の国の愉快な仲間達は私達猟兵に感謝してくれてる
けど、真っ先に感謝されるべきなのは今回の事件を予知した、グリモア猟兵のリムだと思うんだ
そんな訳でリムをパーティに誘うよ
もちろん私が一緒に居たい、って言うのが一番の理由だけど
リムを宝石の国のみんなに紹介しながら周るよ
町はちょうどダンスパーティ中で華やかな雰囲気だけど、私は踊り、てんでダメなんだよね
…リムはそれなりに踊れるって言ってたかな?
教えてもらいながらなら、何とかなるかも
「…私と一緒に踊ってくれる?」
憧れの人と一緒に、煌びやかな町で踊って、気分は女王様。…少しの間くらいなら、そんな夢を見たっていいよね
最後はお揃いの宝石でも貰って帰ろうかな



「イェーガーさんだ!」
「今日はほんとうにありがとう!」
「パーティ楽しんでいってね!」
「ありがとう」
 すれ違う人々から口々に感謝や歓迎の言葉を浴びせられ、手を振り返しながら、お祭り騒ぎの町を歩いていくヴィサラ。
 その隣には、グリモア猟兵であり彼女の想い人であるリミティアがいた。
「ん、宝石の国の愉快な仲間達は私達猟兵に感謝してくれてる。けど、真っ先に感謝されるべきなのは今回の事件を予知した、グリモア猟兵のリムだと思うんだ」
「そんなに大それた者ではないですよ。リムは自分の使命を果たしただけです」
 パーティに誘われた理由をヴィサラに説明され、リミティアはそれを否定しつつも無表情のままほんのりと頬を染める。
「……ですが、リムもヴィサラと一緒に居たかったので、誘ってくれて嬉しいです」
 そっと手を握ってくる魔女の少女に、蛇髪の少女はにっこりと微笑む。
 その気持ちは自分も同じ。むしろ一番の理由だったから。

「あれ、新しいお客さん?」
「うん、そうだよ。今回の事件を予知してくれた人」
「はじめまして、魔女のリミティアと申します」
 パーティの様子を見て回りながら、町の住人たちにリミティアを紹介していくヴィサラ。「お客さん」が増えたのを喜ぶ愉快な仲間たちは、リミティアのことも他の猟兵同様に歓待する。
「オウガでなければ誰でも大歓迎だよ! 二人とも楽しんでいってね!」
 たくさんの笑顔に囲まれながら、少女たちがやって来たのは町の中心にある大きな広場。そこでは住人たちによる華やかなダンスパーティの真っ最中だった。

(私は踊り、てんでダメなんだよね……リムはそれなりに踊れるって言ってたかな?)
 以前、そんな話を聞いた覚えのあったヴィサラは(教えてもらいながらなら、何とかなるかも)と考えて、リミティアにそっと手を差し出す。
「……私と一緒に踊ってくれる?」
「はい。パートナーに選んでもらえて光栄です、お姫様」
 リミティアは淡い微笑みを浮かべながらその手を取ると、そっと腰に手を当てながらヴィサラを広場の中心へと誘う。
 簡単なステップや振り付けを教えられ、魔女のリードを受けながら舞うヴィサラ。
 ダンスに不慣れなゆえの一生懸命さがまた微笑ましく。見ていた町の住人たちからも温かい拍手が湧き上がる。
 ――憧れの人と一緒に、煌びやかな町で踊って、気分は女王様。
「……少しの間くらいなら、そんな夢を見たっていいよね」
「ええ、もちろん」
 ここは不思議の国。オウガによって歪められてさえいなければ、おとぎ話のような幸せな夢にあふれた世界なのだから。

 幸せに満ちた一時はあっという間に過ぎ去り、ダンスを終えたヴィサラとリミティアには割れんばかりの喝采が送られる。
「とっても素敵だったよ! そんなおふたりさんに、はい、プレゼント!」
「これは……?」
 住人が2人に差し出したのは、2つでお揃いになった宝石のペンダント。
 当てる光によって青と赤にその輝きを変化させる、その石の名はアレキサンドライト。
「ふたりの瞳の色に似ているのを探してきたんだ! 今日の思い出にどうぞ!」
 満面の笑顔を浮かべる宝石の住人に、少女たちも「ありがとう」と笑顔で応え。
 想い合う2人の思い出に、新しい幸せの一ページが綴られたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月藤・紫衣
【morgen】
こんなにも賑やかな町なのですね
心なしか住民の方々の輝きも増しているようです

お誘いしていただけたことですし、洋装ではありせんが彩花さんのお相手をつとめさせていただけるなら、ぜひ
ザッフィーロさん、踊り終わったら私も甘い物をいただきたいので、おすすめ、後で教えてくださいね

ドレスとてもお似合いですよ、彩花さん
…おや、ザッフィーロさんにはそのような方が?

私は簡単なものでしたらなんとか、という程度です
彩花さんこそとてもお上手なんですね、昔少し、なんてお手前ではありませんよ

写真ありがとうございます、あとでいただいてもいいですか?
それと…出来れば三人でも記念に撮りたいのですが、いかがでしょう?


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
【morgen】
本当に賑やかだな…街も人々も楽しそうで何よりだ
街の住人が喜んでくれている様を見られるのはなんだ、嬉しい物だな
俺はダンスは遠慮しておくが彩花と月藤は踊りに行くのか?
ならばその雄姿をすまあとふぉん、にて撮影して置こう

好物の甘味を皿に山盛り口に運びながら踊る彩花と月藤を眺めつつ
時折近くに回って来た二人を見れば軽く笑みと共に手を振りながらブレぬ様気を付けつつ写真を撮って置こう
このチーズケーキは美味いな…!甘味好きの月藤に後で教えねば
合流後は写真を送る旨を伝えつつ…も
3人で、と言われれば勿論だと伝えながら近くの者に頼んで3人で写る写真を撮って貰おうと思う
ああ、きっと良い記念になるだろう


彩花・涼
【morgen】
ほう、ダンスパーティか
キラキラと舞う姿はとても美しいな
せっかくだ、私も1つドレスに着替え踊ってみようか
月藤、共に踊ってもらえるか?
ザッフィーロは甘味に夢中だし
愛しいパートナー以外とは踊らんだろうしな

月藤はダンスの心得はあるのか?
なかなかに様になっていると思うが
不安なら私がリードさせてもらおう
私は昔少しな…まぁまぁ良く踊れているだろう?

踊り終わったらザッフィーロと合流しよう
なんだ、写真を撮っていたのか
……あとで私にも送ってくれ
あまり思い出を手元に置いておきたくはないが…
まぁこのくらいならいいだろう



「こんなにも賑やかな町なのですね。心なしか住民の方々の輝きも増しているようです」
 平和を取り戻した宝石の町のパーティを、紫衣、ザッフィーロ、涼の3人は連れ立って歩いて回っていた。
 紫衣の言葉通り、オウガの脅威から救われた宝石の人々は、その喜びにあふれた表情もあいまって戦いの時よりもキラキラしているように見える。
「本当に賑やかだな……街も人々も楽しそうで何よりだ」
 その光景を見つめながら、ザッフィーロは口元を緩め、湧き上がる感情を噛みしめるように呟く。
「街の住人が喜んでくれている様を見られるのはなんだ、嬉しい物だな」
 目の前に広がっているこの平和は、紛れもなく彼らの――猟兵の戦いが掴み取った成果。その実感と達成感こそが、何よりも大きな報酬かもしれない。

「ほう、ダンスパーティか」
 町の賑わいに導かれるようにして広場にやってきた3人は、そこで流れる音楽に合わせて舞い踊る人々を目にする。
 キラキラと舞うその姿に「とても美しいな」と感嘆の声を漏らしたのは涼。
「せっかくだ、私も1つ踊ってみようか。月藤、共に踊ってもらえるか?」
「私ですか?」
「ザッフィーロは甘味に夢中だし、愛しいパートナー以外とは踊らんだろうしな」
 誘いに目を丸くした紫衣に、涼は頷きつつちらりとザッフィーロを見る。甘い物に目のないヤドリガミの青年は、既に住人たちから貰ったスイーツを皿に山盛りにして席についていた。
「……おや、ザッフィーロさんにはそのような方が?」
 彼に想い人がいるというのは初耳だったらしく、紫衣は少し興味を引かれたが、今は詳しく尋ねられる様子ではなさそうだと思い。
 洋装ではありませんが、と着物の袖を軽く振りながら涼ににこやかに微笑む。
「お誘いしていただけたことですし、彩花さんのお相手をつとめさせていただけるなら、ぜひ」
「なら良かった」
 快諾の言葉に、涼もまた口元を緩め微笑むのだった。

「俺は遠慮しておくが彩花と月藤は踊りに行くのか? ならばその雄姿を撮影して置こう。確か"かめら"は、ここをこう……だったな」
 ポケットから板状の機械端末を取り出した彼は、不慣れな手付きでとんとんと画面を操作する。機械音痴な彼にとっては扱いの難しい「高機能すまぁとふぉん」だが、カメラ機能の起動は上手くいったようだ。
「ザッフィーロさん、踊り終わったら私も甘い物をいただきたいので、おすすめ、後で教えてくださいね」
「ああ、任せておけ」
 同じ甘味好きの仲間からの頼みを快く引き受けつつ、ザッフィーロはダンスパーティに向かう二人の背中を見送るのだった。

「ドレスとてもお似合いですよ、彩花さん」
 広場の中央で向き合いながら、紫衣は着替えてきた彼女を見て微笑みをひとつ。
 華麗なドレスを纏った涼の立ち姿には、戦いの中での勇ましさや凛々しさとはまた異なった美しさがあった。
「ありがとう。月藤はダンスの心得はあるのか?」
「簡単なものでしたらなんとか、という程度です」
 互いに手を取り合って、流れだした音楽に合わせてステップを踏む。かなり身長差のある二人だが、その呼吸はぴったりと合っていて、動きに齟齬もない。
「なかなかに様になっていると思うが」
 そう言いながら小柄な身体でパートナーをリードするのは涼。リズムにぴったりと合わせて迷いのない凛とした振る舞いで踊るその様は、観客たちの視線を自然に惹きつけている。
「彩花さんこそとてもお上手なんですね」
「私は昔少しな……まぁまぁ良く踊れているだろう?」
「昔少し、なんてお手前ではありませんよ」
 すっかり導かれる側になっていた紫衣は、心からの賛辞を贈りながらリードに合わせて舞い踊り。藤花の模様の入った着物の裾が優雅に揺れる。
 蝶と華が互いに戯れるような二人のダンスは、宝石の町の住人たちが思わず見惚れるほどの美しさであった。

「彩花も月藤も見事なものだな」
 山盛りの甘味を口に運びながら、ダンスパーティを眺め感嘆を口にするのはザッフィーロ。
 踊っている紫衣と涼が時折近くに回ってくれば、軽く笑みと共に手を振りながら、ブレぬ様気を付けつつスマートフォンの撮影ボタンを押す。ぱしゃりと音と光が放たれ、綺麗に画面に写った二人の姿に満足すると、また甘味を一口。
「このチーズケーキは美味いな……! 月藤に後で教えねば」
 頭の中でイチオシの品をリストアップしながら、次々と平らげていく。
 しかし彼の目の前にある皿から甘味がなくなる気配は一向にない。なぜなら――。
「こっちのクッキーも美味しいよ!」
「このゼリーもオススメ!」
「ねえねえ、シュークリームも食べてみて!」
 近くにいた町の住人たちが、次から次へと新しい甘味を持ってくるから。
 自分たちの料理や甘味を美味しそうに食べて貰えるのは、彼らにとっても何よりの喜びだったようだ。

 ――甘く美しい時間はあっという間に過ぎてゆき、音楽の終わりと共に踊り手たちは万雷の拍手に包まれる。
「とってもキレイだったよ!」
「すごいね、ふたりとも!」
 喝采する住人に軽く手を振って応えつつ、紫衣と涼はザッフィーロと合流する。
「お疲れ様だ、二人とも」
「ザッフィーロさんも写真ありがとうございます、あとでいただいてもいいですか?」
「なんだ、写真を撮っていたのか……あとで私にも送ってくれ」
「ああ、勿論だ」
 ザッフィーロはスマートフォンで撮影した画像を二人に見せながら、快く頷く。
 ありがとうございます、と喜んだ紫衣は、それと……と何かを思いついたように。
「出来れば三人でも記念に撮りたいのですが、いかがでしょう?」
「ああ、きっと良い記念になるだろう」
 今日という日の思い出の一ページを、三人で。それを聞いて勿論だとすぐさま頷いたのはザッフィーロ。一方の涼は少し考える素振りを見せていたが、やがて口元に小さく笑みを浮かべ。
「あまり思い出を手元に置いておきたくはないが……まぁこのくらいならいいだろう」
「決まりだな」
 ザッフィーロは近くを通りがかった宝石の住人にスマートフォンを差し出し、三人の写真を撮ってくれないかと頼む。もちろん返事はOKだった。

「ここを押せばいいんだね? じゃあ並んで並んでー!」
 背丈のバランスを考えて涼が真ん中に立ち、ザッフィーロと紫衣がその左右に。煌びやかな宝石の町を背景に、穏やかな表情で並ぶ三人の猟兵がフレームに収まり。
「撮るよー!」
 平和に彩られた町に、パシャリ、とシャッターの音が鳴った。



 ――かくして、猟兵たちはパーティの思い出を胸いっぱいに抱え、住人たちに見送られながら不思議の国を後にする。
 彼らが強欲なオウガから守り抜いたこの町は、これからも輝き続けることだろう。
 人々が笑って暮らせる"平和"こそが、この町を輝かせる一番の"宝石"なのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年07月08日


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#アリスラビリンス


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠アンバー・スペッサルティンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト