血宴ブルーメンブラット
#ダークセイヴァー
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――とぷり、グラスの中で濃厚な紅が揺れる。
「綺麗ね」
宵闇に浮かぶ月を従えるようにして、浮かび上がるのは艶やかな白肌。生者のものとは到底思えぬ、人外の美を際立たせた女は、紅を引いた唇を蠱惑的に吊り上げて微笑んだ。
「紅は、好きよ。……紅を流す、若い娘が泣き叫ぶのは、もっと好きだけれど」
豪奢なシャンデリアが灯す僅かな光が、女の君臨する玉座を仄かに照らし出し――それは闇の中に隠された、凄惨な宴の跡をも暴き立てようと、尚も揺らめく。
「ねえ、私、新しい子と遊びたいわ」
――未だ屋敷に漂う、濃厚な血のにおいを愛おしむように女は目を細めると。傍らに侍る従僕の青年に、いばらの如く腕を絡めて囁いた。
「……連れてきて、くれるわよね」
絞り出した生き血を唇で舐め取って、ゆっくりと女主人の喉が嚥下するのを横目に――青年の虚ろな瞳は屋敷の裏手、彼岸花の咲く墓地の方に向けられていて。
「ああ……墓ね。貴方の好きにすると良いわ。例え其処に眠るものが無くても、否、だからこそ……領民たちの絶望は、より深いものになるでしょうから」
忠実な操り人形を思わせる足取りで、広間を出ていく従僕を見送りながら、女はこれから繰り広げられる血の宴を想い、熱い吐息を空へ零した。
――彼女の名はアミラ。若い娘を殺し、その血を啜ることを生き甲斐とする、呪われた伯爵夫人。
其処は、絶望の夜が永遠に続く世界――ダークセイヴァーの、或る村で起きている悲劇のひとつだった。
「まるで、伝承に語られるヴァンパイアの暴虐……そのものと言えるだろう」
苦悶の表情で予知を語る、シーヴァルド・リンドブロム(廻蛇の瞳・f01209)の声音にも、苦いものが混じっていて――彼が語る所によると、その村を支配しているヴァンパイアの女領主が、近々大規模な領民狩りを行うのだと言う。
「オブリビオンである、領主の名はアミラ。『血に濡れた伯爵夫人』の二つ名通り、若い娘の生き血を何より好むらしい」
――それも残虐な方法で殺し、娘たちの泣き叫ぶ様子をたっぷり愉しみつつ、だ。しかし、普段は大勢の配下が蠢く領主の屋敷も、村の娘を攫ってくる間は警備が手薄になる。皆にはこの隙を突いて、ヴァンパイアの討伐に向かって欲しいのだとシーヴァルドは告げた。
「丁度、彼女が寵愛している従僕の男も、屋敷から離れている為に時間も稼げるだろう。……が、それでもそれなりの数の配下が領主を守っている」
先ずは、其方の対処からお願いすることになる――そう続けた彼は、アミラが侍らせている従僕についても「参考になれば」と、その出自を語る。
「……その男は元々領地の村人であった所、アミラの目に留まり、眷属に変えられたようだ」
――そうして今は、意思を持たぬ人形のようになって、女主人の手足となって動く日々だ。もしかしたら、生贄となった村娘とも面識があったのかも知れないが、それを確かめる術は無い。
「が、僅かに残った贖罪の気持ちが存在するのか……彼は屋敷の裏手に、名も無き墓を作り続けている、と言う」
ひととしての尊厳を奪われ、無残に嬲り殺され――墓に納めるべき亡骸が、もはや存在しないのだとしても。何時しかその墓地には、無念の血潮が溢れたような、情念の炎が燃え上がったような――鮮やかな彼岸花が咲き誇っている。
「アミラの討伐と同時、使役される彼も消滅するだろうが……出来ればどうか、この墓地の最後も見届けて欲しいのだ」
――さあ、覚悟が出来たのならば、いざ常夜の世界へ。其処では血と狂気に彩られた宴が、猟兵たちを待っている。
柚烏
柚烏と申します。いよいよ、夏到来と言った時期ですね。今回は夏らしく、納涼・怪奇風味なダークセイヴァーを舞台に、華麗な戦いを繰り広げられたらと思っています。
●シナリオの流れ
村の娘を攫おうと配下が屋敷を出払っている間に、ヴァンパイアの領主を討ち取るべく、警備が手薄の屋敷へ突入します。フラグメントは以下の通りとなります。
第1章:集団戦『首無しヴァンパイア』
第2章:ボス戦『血に濡れた伯爵夫人・アミラ』
第3章:日常 『忘れ去られた墓で』
●補足など
アミラに仕える従僕は、意思を奪われており会話は出来ません。また、彼女を倒すと一緒に消滅します。
第3章の日常のみ、呼ばれればシーヴァルドが顔を出させていただきます。誰かと一緒に過ごしたいけど、相手がいないなあ、と言う時になどどうぞ(呼ばれない限りは出てきません)
●プレイング受付につきまして
お手数かけますが、マスターページやツイッターで告知を行いますので、そちらを一度ご確認の上、送って頂けますと助かります。此方のスケジュールの都合などで、新しい章に進んだ場合でも、プレイング受付までにお時間を頂く場合があります。
第1章のプレイングは『7月10日 朝8:30~』から受け付けたいと思います。
ちょっぴり耽美でダークな雰囲気を醸し出しつつ、皆様の戦闘シーンを格好良く演出出来たら、と思っています。難しく考えず殴っても大丈夫ですが、心情などありましたら併せて描写させて頂きますね。それではよろしくお願いします。
第1章 集団戦
『首無しヴァンパイア』
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POW : 影移動
【血肉を求め、相手の影から自らの身体】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
SPD : 影蝙蝠
自身が装備する【再生能力を有する蝙蝠】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ : 復元再生
自身の装備武器に【驚異的な再生力】を搭載し、破壊力を増加する。
イラスト:猫背
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
冴木・蜜
…ああ
嫌なにおいがしますね
生き物が踏み躙られたにおいだ
毒を極限まで濃縮しつつ
体内から取り出した医療器具で
適度に捌いてやりましょう
あまり力仕事は得意ではありませんが
医師の端くれのようなものですから
人型をしたものの急所は心得ているつもりです
関節、動脈、…所謂急所を狙い
刃を滑らせましょう
まぁ結局は人外ですから
あまりアテにはならないでしょうが
吸血鬼が影移動をしたら
すかさず体を液状化
影ごと吸血鬼の身体をこの毒蜜で包み込み
攻撃力重視の『毒血』
刻んだ傷口に毒を塗り込み
命を融かして差し上げましょう
――掛かりましたね
私は死に到る毒
故にただ触れるだけで良いのです
さあ 私の毒に溺れて下さい
ノワール・コルネイユ
吸血鬼の下僕へ堕ちて、自らの意志を失って
それでも、ただ身体の赴くままに墓を建てるか
…嗚呼、空虚なものだな
領主様は今宵も生贄漁りに勤しむか
お陰で此方の仕事は捗るというものだ
文字通り、聞く耳を持たぬのだろうよ
なら、斬り捨てて押して通るまでだ
UCを発動、敵が集団で来るなら複数が纏まっているところを狙い
【範囲攻撃】で纏めて仕留める
1匹ずつとは言うまい
この剣が触れる全てを斬り伏せてくれる
攻撃には【第六感】で対応
乱戦で攻撃を避けられなければ【敵を盾にする】か、足場にして飛び越えて凌ぐ
未だ、この程度じゃ足りんな
…娘達が流した血にはまるで程遠い
無念の血を雪げるのは悪逆の血だけ
さぁ、首を洗って待っているがいい
深海・揺瑚
他人様の趣味に口出しするつもりはないけど
他人の若さで生きながらえる人ってどんな悪趣味な顔をしてるのかしらね
ちょっと顔を拝ませてもらいたいものだわ
まぁ、よくもこれだけうようよと
ちょっと壮観、感激しちゃう
最前線で闘う人たちがいれば、少し後ろに下がって
影から出てくるのと、蝙蝠をよく見ておきましょう
自分の方はちゃんと自分で気を付けるわよ
近くに猟兵仲間がいれば積極的に協力していくわ
あなたたちには似合いじゃない?
宙空に生み出した海水にルビーを放てば無数の真っ赤な剣に
蝙蝠も本体も、まとめて片付けるわ
道を開けてちょうだい、あなたたちのご主人さまの顔を見たいのよ
目指す屋敷は、血に濡れた伯爵夫人の住処に相応しく――一歩足を踏み入れると、這い出た濃密な闇が客人たちを出迎えた。肌をまさぐるようにして絡み付くそれは、甘く貪欲に、此方の感覚を揺さぶってくる。
(「……ああ、嫌なにおいがしますね」)
その闇に染み込んだ、拭い去ることの出来ないにおいにむせたのか、冴木・蜜(天賦の薬・f15222)の唇からはごぼりと黒液が零れ落ちて。
(「生き物が踏み躙られた、においだ」)
罪の記憶は、生命の欠片が零れ落ちていく瞬間を鮮やかに蘇らせ――蜜の身体を構成する死毒の存在を、否応なく彼に突き付けてくる。
「他人様の趣味に、口出しするつもりはないけど」
一方で、むせ返る闇に酔うことも無く、深海・揺瑚(深海ルビー・f14910)の滑らかな声が、靴音と共に夜気を震わせると――幾つもの影が蠢き、それは次々に呪われし眷属の姿を模って、彼女たち侵入者に襲い掛かってきた。
「他人の若さで生きながらえる人って、どんな悪趣味な顔をしてるのかしらね……?」
ちょっと顔を拝ませてもらいたいものだわ、と紅玉の瞳が挑むように細められる中、首無しヴァンパイアは血肉を貪るべく鉤爪を振るう。
「って……まぁ、よくもこれだけうようよと」
「文字通り、聞く耳を持たぬのだろうよ」
肩を竦めつつも、影から這い出る瞬間を見逃さぬ揺瑚へ、皮肉気に返したのはノワール・コルネイユ(Le Chasseur・f11323)。首を刎ねられても尚、生命を啜ろうと蠢く異形を睨みつけると、四振りの銀剣を構えた少女が闇夜に舞った。
「なら、斬り捨てて押して通るまでだ――」
黒衣が翻るや否や、鮮やかな銀の軌跡が戦場に煌めいて――放たれた無数の剣閃は、ノワール目掛けて飛来した影蝙蝠ごと、吸血鬼の群れを纏めて斬り刻む。
(「領主様は今宵も、生贄漁りに勤しむか」)
――こうして自分たちが館に攻め入っている間にも、女主人は若い娘の生き血をどう絞り取ろうかと、愉悦に浸っているに違いない。それは、この絶望の世界でごく当たり前に繰り広げられている、光景のひとつではあったけれど。
(「……お陰で、此方の仕事は捗るというものだ」)
しぶとく食らい付いてくる相手へ蹴りを加え、顔色ひとつ変えずに銀の刃を埋めるノワール。そんな彼女を援護するように、後方からは揺瑚の呼んだ数多の珠玉の剣が、海水を纏って一気に襲い掛かった。
「ちょっと壮観、感激しちゃう。……そんなあなたたちには、これが似合いじゃない?」
宙に漂う海の水――其処へ美しい指先がルビーを放てば、忽ち新たな深紅の剣が生み出されて、再生の追いつかぬままにヴァンパイア達が塵と化す。
「まぁ、これでも医師の端くれのようなものですから……」
そして――あまり力仕事は得意ではないと呟きつつも、錆びついた医療器具を手にした蜜は、人体の急所を的確に狙って刃を滑らせていった。
しかし相手は、首無しのまま彷徨う人外――けれど蜜もまた、液状の肉体を持つ人外だ。彼の毒手から逃れるべく、影に潜って移動をしようとしたヴァンパイアを標的に捉えると、すかさず蜜も体を液状化し、本来のブラックタールそのものの姿に変わった。
「――掛かりましたね」
自らの影に潜んだ、吸血鬼の身体――それに覆いかぶさるようにして、注ぎ込まれていくのは黒血の蜜毒。刻んだ傷口から、じわりじわりと染み込んでいくそれは、命を融かす蜜からの贈り物だった。
「私は死に到る毒……故に、ただ触れるだけで良いのです」
――さあ 私の毒に溺れて下さい。声なき悲鳴が屋敷に木霊する中で、ノワールの方も乱戦を制しつつあるようだ。己の剣が触れる全てを斬り伏せようと、瀕死の骸を足場に跳躍し――役目を終えたそれには、速やかに揺瑚の剣が生命の幕引きを与えていく。
「道を開けてちょうだい、あなたたちのご主人さまの顔を見たいのよ」
「未だ、この程度じゃ足りんな。……娘達が流した血には、まるで程遠い」
呼吸をするように吸血鬼の群れを狩り尽くした一行は、辺りの闇が薄れていったことを感じながら、領主の間を目指して歩みを再開する。――と、其処で。夜空に浮かぶ月に照らされて、窓越しに屋敷の墓地の様子が見て取れた。
(「吸血鬼の下僕へ堕ちて、自らの意志を失って。それでも、ただ身体の赴くままに墓を建てるか」)
女主人に仕える従僕の男が造ったと言う、名も無き墓地――風に揺れる彼岸花を無意識に目で追いながら、空虚なものだとノワールは溜息を吐く。
「……無念の血を雪げるのは悪逆の血だけ。さぁ、首を洗って待っているがいい」
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
天星・暁音
天星・零と参加
気に入らないな誰かの意思を奪って、無理矢理使うなんて…そのくせそれすら不完全なんて…気の毒だけどそんな気持ちも失くしてしまっていたほうがきっと楽だったろうに…でもそれでも誰かを想う君に敬意を…必ずぶちのめして解放してみせるから…
共苦により感じる殺された女性や眷属の男性の痛みに耐えつつ使える技能を全て組み込んで全力で撃ちます。
時間との勝負でもあるのである程度の怪我は本番に治せばいいと考え何時もより癒しは頻度が少なくなるとおもいます。
基本的に自分たちに近付かれる前に敵の苦手属性での迎撃を意識します。
「援護射撃」「誘導弾」で零達の援護も忘れません。、
天星・零
暁音と連携
第六感】も働かせて警戒
【暗殺】の技能で気配を消しつつ
近接ならØ、遠距離ならグレイヴ・ロウで攻撃
グレイヴ・ロウは防御にも使用
星天の書-零-で自分または暁音を【オーラ防御】で防御
『(暁音は優しいな…無理しないように…)ふふ…警備も手薄とはいえなかなか侮れませんね…。ルー、おいで…』
指定UC(今回は人型)を出し、一緒に吹雪や剣で戦ってもらい。暁音と三人で戦う。
自身もその間、グレイブロウなどで敵を遠距離から攻撃
暁音が全力攻撃できるようにUCで凍らせたり、自身が敵の前でØで攻撃することによりなるべく暁音にターゲットがいかないようにする
UC口調秘密の設定
キャラステシ参照
UCの絡み、喋りお任せ
――気に入らないな、と。揺らめく燭台の灯を受けた天星・暁音(貫く想い・f02508)の瞳が、陽光無き世界に希望を齎すように、鮮やかに燃え上がる。
「誰かの意思を奪って、無理矢理使うなんて……」
暁音が想うのは、オブリビオンの領主に使役されている、従僕の青年のこと――そのくせそれすらも不完全で、青年は犠牲になった娘たちの為、黙々と墓を作っているのだと言う。
「……気の毒だけど、そんな気持ちも失くしてしまっていたほうが、きっと楽だったろうに」
誰かの痛みや悲しみを、自分のことのように感じてしまう暁音。しかし、それでも彼は笑顔を失うこと無く――だからこそ、聖者たりえる存在であったのか。
(「暁音は優しいな……無理しないように……」)
そんな家族のように大切な暁音を、天星・零(多重人格の霊園の管理人・f02413)は優しいまなざしで見守りつつ、一方で周囲の気配を探ることも忘れていない。
「ふふ……警備も手薄とはいえ、なかなか侮れませんね……」
――やがて、闇に溶けるように潜んでいる眷属を捉えた零は、絡繰仕掛けの十字架を操り、一気に壁へと叩きつけようと腕を振るった。
「ルー、おいで――」
同時に現世へと呼び出すのは、命凍らせる氷霧の銀狼――人狼の姿を取ったオブリビオンだ。そんな彼の放つ、絶対零度の吹雪が辺りを氷獄に変えていく中で、零は吸血鬼の懐へ飛び込むと、その心臓目掛けて虚空の刃を突き立てる。
(「そう、これで……暁音への注意が少しでも逸れれば……」)
吹き荒れる氷霧によって、首無しヴァンパイアの動きが鈍り、再生の力も上手く働かない――その好機を見逃すまいと、暁音が動いた。この戦いは時間との勝負であり、故に癒しよりも裁きを与えようと、少年の掲げる星杖が極彩色の光を呼ぶ。
「遥か彼方より全ての境を越えて、神威を此処に天翔けて来たれ――」
オブリビオン共に殺された、若い娘たち。そして、支配され続ける従僕の青年――彼らの抱えた痛みを共有し、それに耐えつつも、暁音は全力で虹の制裁を解き放った。
「……誰かを想う君に、敬意を」
――荒れ狂う無数の光芒が、首無しヴァンパイアを纏めて塵に変えていく中で。僅かに生き残ったものへはルーの氷剣が止めを刺し、悔し紛れに敵が放った一撃さえも、星天の書が生んだ霊壁によって無効化される。
「どうやら、無事に終わったみたいですね」
そうして、今迄の激闘が幻想であったかのように、零が優美な笑みを浮かべると――彼に守られていた暁音は小さく頷いて、未だ闇が蠢く屋敷の奥へ歩を進めていった。
「行こう、零。必ずぶちのめして、君たちを解放してみせるから……」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
仁科・恭介
【KHR】
POW
【携帯食料】を食みUC対象を吸血鬼へ
依頼を受けた段階からイライラし爪を噛むが、今回は顔見知りの二人をサポートするため【覚悟】を決める
「冷静にならないと流石にね」
【学習力】で過去の戦闘経験から影を移動手段にしていた事を思い出す
【吸血】本能とUCにより嗅覚細胞を活性化させ、二人の血の匂い以外を感じたら反応できるように準備
移動する音が【目立たない】ように注意しながら死角から近づき急襲
騒ぎに気付かれ影などから別の匂いを感じた時は、【ダッシュ】と【残像】を使用して、一体ずつ丁寧に仕留めていく
戦闘の合間に二人を見て、死角があれば補うように動く
「傷は大丈夫!もう少し周りを見てみようか。」
ランドルフ・リードル
【KHR】
「嫌な伯爵夫人だ」
今日この日で悲劇を最後としたい
「とは言え、首がないヴァンパイアって初めて見るけど何か凄い」
こう、エグイよな
敵の数が多いので、周囲にいた顔見知りのキョウスケ、ハルトと共闘へ
「不慣れな身だが」
自身の立ち位置に注意しつつ、ラピドゥス・ラーミナへ毒とマヒを上手くいくよう祈りを込めて盛り込み、範囲攻撃になるよう撃つ
基本的に敵攻撃直後を狙うが、虫の息だったり、僕達を攻撃しようとする場合はその敵を優先
(確実に仕留めること、ダメージを負わないようにすること)
あと、即興の連係だから周囲の動きも良く見て互いにフォローし合えるように
攻撃は回避できるのが一番だが、厳しい場合はオーラ防御
日埜・晴翔
【KHR】
適当に受けた依頼で知人と会い、一緒に行動する。
「まあ数撃ちゃ当たるだろってな」
UCで騙し討ち。
先行29体を突撃、復元再生中に残り20体を突撃させ再生効果を足止め。
切り込み隊、捨て駒のような役割を行う。
追撃がなければ後がないことをわかっていて、ゲーム感覚でスリルを楽しむ。
「ゲージの色が変わってから(HPピンチ)が、本番じゃん?」
UCは不意の攻撃を防御するため、1体だけ温存している。
「弾切れだってー」とヘラヘラしながら、めっちゃいい笑顔。
自分の防御に使うか、味方の防御に使うか、脆いのを利用し敵の一瞬の足止めに使うかは戦況次第。
「こーいうのは、面白くやらねぇともったいねぇぜ?」
吸血鬼の住処である豪奢な屋敷は、煌びやかな装飾に彩られながらも――その裡に、隠し切れない闇と死の気配を孕んで、生あるものを圧倒する。
「……嫌な伯爵夫人だ」
ぽつり呟いた、ランドルフ・リードル(心優しきヘタレ・f19446)の柔和な表情に翳りが見えるのは、残酷に歪められた童話の世界を思い起こしたからか。しかし、今日この日で悲劇を最後にしようと、勇敢な王子は革命剣を手に光を纏う。
「っと、大丈夫か、キョウスケ?」
その一方で、共に屋敷に挑む仁科・恭介(観察する人・f14065)はと言えば、苛立ちを抑えられない様子で爪を噛んでいるようだった。そう言えば、彼は半魔のダンピールであった筈――ヴァンパイアと同じ血が流れる故、衝動に突き動かされそうになるのも無理はない。
「ああ、今は……冷静にならないと流石にね」
しかし覚悟を決めた恭介は、携帯していた干し肉を齧ると、顔見知りの仲間をサポートするべく全身に力を漲らせた。
「まぁ、難しく考える必要はないし、適当に行こうぜ」
へらりと口元に笑みを浮かべるのは、見知った相手である日埜・晴翔(嘘つき×快楽主義の軟弱メンタル・f19194)で。ゲームのクエストに挑むように、悠然とした足取りで屋敷を進む晴翔は、曲がり角に覗いた敵影を認めると、小型機械兵器の群れを一気に突撃させた。
「……まあ、数撃ちゃ当たるだろってな」
例えそれが一撃で破壊される、儚い存在だったとしても――先手を打って切り込めば、敵の出鼻を挫くことが出来る。捨て駒として使うことを躊躇しない晴翔は、復元再生を行おうとしている敵たちへ、そのまま残り半分の兵器を突撃させて足止めを行おうとしたのだが――。
「ちっ、向こうの再生が早いか。面白ぇ」
破壊力を増した吸血鬼の一薙ぎで、瞬く間に機械兵器たちが全滅させられる。しかしそんな状況でも、晴翔は戦いのスリルを楽しむことを忘れずにいた。
「とは言え、首がないヴァンパイアって初めて見るけど何か凄い……こう、エグイよな」
そんな彼の様子に緊張が解れた様子で、ランドルフは銀の光刃を生み出して祈りを捧げる。此方の血肉を奪おうと群がって来る、不浄なる存在を纏めて貫こうと――放たれた刃は、瞬きの間に銀の雨と化して辺りに降り注いでいった。
「不慣れな身だが、このまま行けそうか?」
「助かるよ。こいつらは、影を移動手段にしているから――」
即席の連携を難なくこなしたランドルフに頷いて、恭介はすぐさま、影から姿を現したヴァンパイアに狙いを定める。活性化した全身の細胞と、己に宿る吸血本能――鋭敏になった嗅覚は穢れた血の匂いを嗅ぎ当てて、流れるように振り下ろされた狩猟刀が、首無しの肉体に牙を埋めた。
「さて、次だ」
そうして影に潜む獲物を何処までも追いかけようと、残像を纏う恭介が死角から迫る一方で、残機が尽きた晴翔は苦境に立たされているかに見える。
「でもさ、ゲージの色が変わってからが、本番じゃん?」
――それでも晴れやかな笑顔を絶やさぬ彼は、勝利を確信して迫るヴァンパイアへ、一体だけ温存していた機械兵器を不意打ちで食らわせた。
「全く……ひやひやしたぞ」
「こーいうのは、面白くやらねぇともったいねぇぜ?」
尚も虫の息で蠢いている敵へ、速やかに止めを刺したランドルフが溜息を吐くと――自信に満ちた表情で晴翔が応じる。そんなふたりの様子を見つめる恭介は、問題ないようだと頷き、物陰に潜んでいたヴァンパイアを一気に仕留めてから声を掛けた。
「傷は大丈夫! もう少し周りを見てみようか」
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
ニコ・ベルクシュタイン
…此の世界は、何時来ても変わらず此の調子なのだな
何時か、何時の日か救いの時が訪れん事を願うばかりだ
今はただ、我が手が届く範囲で尽力しよう
時刻みの双剣を抜き放ち、先ずは正攻法で斬りかかる
【時計の針は無慈悲に刻む】、さて手応えは如何なものか
再生され反撃される事を見越して、返す刀で「2回攻撃」
剣に「オーラ防御」の力を通して凌ぎながら
隙を突いて最初の攻撃で付けた「傷口をえぐる」行動に出よう
更に言うなら俺の戦闘行動自体が
他の猟兵達が存分に力を振るう為の「時間稼ぎ」になれば良い
最終的に屠り尽くした側が勝つのだ、俺個人の戦果には然程意味は無いよ
…しかし、配下の趣味の悪い事よ
親玉の悪辣さが知れるというものだな
マリス・ステラ
【WIZ】他の猟兵と協力する
「主よ、憐みたまえ」
『祈り』を捧げると星辰の片目に光が灯る
全身から放つ光の『存在感』で敵を『おびき寄せ』る
光は『オーラ防御』の星の輝きと星が煌めく『カウンター』
「灰は灰に、塵は塵に」
オブリビオンは骸の海に還します
弓で『援護射撃』放つ矢は流星の如く
響く弦音は『破魔』の力を宿して影蝙蝠の動きを鈍らせる
「揺蕩えども沈まず」
負傷した味方を『かばう』と同時に【不思議な星】
緊急時は複数同時に使用
たとえ荒波に揉まれようと決して沈まぬ船のように
自身が傷ついても、味方を支えて立ち続けましょう
影移動する為の影を星の輝きを迸らせて消滅させる
『第六感』を駆使して星の『属性攻撃』で浄化します
有栖川・夏介
※アドリブ歓迎
村人を眷属に変えるとは、ダークセイヴァーの領主は相変わらず趣味が悪いらしい……。
従僕となった彼を救う術がないのだとしたら、せめて……この手で終わらせましょう。
【覚悟】と共に、屋敷へ突入。
【聞き耳】で周囲の音を探り、敵の出現を警戒。
もし不意討ちをくらったら、こちらも反応し【咄嗟の一撃】で応じる。
「はねる首はないのですね……」
首のない敵の姿を見て呟く。
「お茶会セット」から針を取り出しUC【何でもない今日に】を発動。
周囲の敵を針で【投擲】し攻撃。
再生しないように【呪詛】をかけた武器で【傷口をえぐる】
「……これで終わりにしましょう」
手加減はしません。ここで倒れるわけにはいかない。
――針が時を刻むように、規則正しい足音を響かせて。闇が纏う瘴気にさえ眉一つ動かさぬ、ニコ・ベルクシュタイン(虹の未来視・f00324)の手の中で、時刻みの双剣が揺れる。
「……此の世界は、何時来ても変わらず此の調子なのだな」
その行く先から漂ってくるのは、粘り気を帯びた鉄錆の匂い。もはや嗅ぎ慣れてすらいるそれに、深紅の瞳を細めた有栖川・夏介(白兎の夢はみない・f06470)は、敵の気配を探るべく聞き耳を立てる。
「村人を眷属に変えるとは、ダークセイヴァーの領主は相変わらず趣味が悪いらしい……」
自分たちがこうして、領主館に突入している最中――従僕の青年は、村の娘たちを攫う手はずを整えているのだろうか。
――彼を救う術が無いのだとしたら、せめてこの手で終わらせよう、と。覚悟を決めた夏介が処刑人の剣を構えたその時、影蝙蝠を従えた首無しヴァンパイアの群れが、闇から滲み出るように姿を現した。
「……主よ、憐みたまえ」
その姿を認めると同時、マリス・ステラ(星を宿す者・f03202)の瞳に光が灯り、煌めく星辰の加護が彼女を包み込んでいって。聖なる存在としての力を如何なく発揮したマリスは、邪悪なるものを誘き寄せようと、星の輝きを散らして矢を番えた。
「灰は灰に、塵は塵に……オブリビオンは骸の海に還します」
「ああ、今はただ、我が手が届く範囲で尽力するとしよう」
何時か、何時の日か――この世界に救いの時が訪れん事を願いつつ、双剣を抜き放ったニコが、ヴァンパイアの群れを纏めて斬り裂いていく。その切っ先が生み出す鋭い連撃は、さながら時計の針が無慈悲に時を刻むが如く、正確に標的を貫いた。
(「さて、手応えは如何なものか」)
見れば、相手は復元再生を行おうと、破壊力を増した一撃で此方に狙いを定めていたが――それもニコの予想の内だ。反撃を見越し、そのまま返す刀で吸血鬼に斬りかかった彼は、最初に生み出した傷口を抉るように剣先を突き立て、再生の暇を与えない。
「おや、はねる首はないのですね……」
一方で、首の無い敵の姿を見て、ぽつり呟いた夏介の相貌に感情のいろは無く。『何か』を葬ることに慣れ過ぎた青年は、お茶会の道具から針を取り出すと――周囲を取り巻く眷属の群れに、呪詛を纏う暗器の雨を降らせていった。
「何でもない今日の記念日に、お茶会を始めましょうか」
――ああ、もしも相手に首があったら、苦悶の悲鳴が辺りに木霊していただろう。再生を阻むように滲み出る呪詛が、更に吸血鬼の傷口を広げていく中で、マリスの弾く弦音は破魔の調べとなって標的を追い詰めていく。
「揺蕩えども沈まず。そう……荒波に揉まれようとも、決して沈まぬ船のように」
その、美しきヤドリガミが放つ星の輝きは、己のためではなく、誰かひとりのためでもなく――自分たちのために輝き続けるもの。自身が傷ついても、味方を支えて立ち続けることを誓った乙女の隣では、精悍なヤドリガミの青年もまた仲間の時間稼ぎになれればと、双剣を翳して障壁を生み出していた。
「最終的に屠り尽くした側が勝つのだ、俺個人の戦果には然程意味は無いよ」
「……ならば、これで。終わりにしましょう」
手加減はしない。ここで倒れるわけにはいかない――私情を捨て、処刑人としての使命を全うすべく、夏介の振るった剣が首無しヴァンパイアの肉体を両断して。その手で生命を刈り取ったことを、確かに感じた彼が顔を上げると、辺りの吸血鬼たちは既に塵と化し消滅していく所だった。
「……しかし、配下の趣味の悪い事よ」
指先で眼鏡を押し上げながら、生真面目な様子でニコが告げる――これは、親玉の悪辣さが知れるというものだな、と。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
白斑・物九郎
●POW
おう、吸血鬼共
ワイルドハントが狩りに来てやりましたでよ
ココの留守居共がどれくらいヤるのか、せいぜい見せて貰おうじゃニャーですか
・戦闘
まずは輩を相手に回避主体で様子見ですわ
俺めの影から仕掛けて来るっていう出端・ラグ・緩急を程度体得出来たら反撃開始っスよ
出て来る瞬間と位置方角とを【野生の勘】で察知
そっちから俺めの近場に湧いて出て来るってんなら射程の心配もナシ
出の速い【灰燼拳】で、ブン殴るなり踏み潰すなり、即ブチ込んでやりまさァ
・搦め手
サーチドローン「茶斑の三毛」を己の傍らに配置
影移動の瞬間に併せ右目の光を強く焚かせ、己の影の位置を「己の目の前」へ動かし、敵の出現箇所を恣意的に操作しブン殴る
アルカ・キルジャッジ
※アドリブ・連携可
うん、こいつ可愛くないねぇ。それなら重畳、心が1つも痛まない
一度言って見たかったんだけどね、「その首もらったー!」って。
いいさ、代わりにその体を裁いてやる
うぁっと、武器が復元再生するだなんて面倒だねぇ
いやらしい能力だ、友達いないだろキミら?
【ゴッド・クリエイション】で三分の一アルカちゃん人形に生命付与。筋力に全振りして首無しどもにけしかける。
他の猟兵さんのご迷惑にならないよう暴れるんだよー。
自身は愛刀『雑刀』で剣舞。
厄介な再生系能力には、それ以上の速度と威力で損傷を叩き込むってのがマナーだものねぇ。
さあ、刀の錆になるがいいよ?
もっとも『雑刀』は木刀の類だから錆びないけどねぇ
レガルタ・シャトーモーグ
従僕が帰ってくる前に事を完了する必要があるなら、急いだほうがいいな…
ヴァンパイアも眷属も、全て無に返すのが俺の仕事だ
正面から屋敷に突入して囲まれるのもアレだからな
ひと目につかなさそうな裏口か、壁を超えて敷地内に潜入しよう
できるだけ障害物に隠れつつ、眷属が1体だけなら、ひそかに近づき背後から【暗殺】
首がないなら、心臓を突けばいいのか?
眷属が複数いるなら、一番近い個体を奇襲した後は、翼で飛んで回避したり痺れ毒を乗せた飛針を飛ばして機動力を下げたり
囲まれないようにだけは注意しながら立ち回る
程よく削れたら「鈴蘭の嵐」で纏めて倒してやろうか
墓、か
自分の意志は消えても、罪悪感だけは残っているんだろうか…
「おう、吸血鬼共。ワイルドハントが、狩りに来てやりましたでよ」
屋敷に巣食う、首無しヴァンパイアの群れ――生命あるものを貪り尽くそうとする、亡者めいたその姿を金の瞳に捉えながら、白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)の口元が不敵な笑みを形作る。
「さて、ココの留守居共がどれくらいヤるのか、せいぜい見せて貰おうじゃニャーですか」
挑発じみた言葉を吐き捨てつつも、物九郎は油断なく周囲の気配を探っており。先ずは、影移動を駆使して迫る敵の動きを見極めようと、黒猫の耳をぴくりと揺らした。
(「出端、ラグ、緩急――」)
――燭台の灯に揺れる、自身の影。それが不意に質量を伴って蠢いた所で、物九郎の勘が今だと告げる。
「そっちから、俺めの傍に湧いて出て来るってんなら、好都合っス。……ブチ込んでやりまさァ」
その中性的な相貌が、狂暴に歪められたと思った直後――左腕を取り巻く刻印が起動し、超高速の拳撃が唸りをあげた。その一撃は、影から現れたヴァンパイアを、文字通り灰燼へと変えていったのだ。
「うん、こいつ可愛くないねぇ。でもそれなら重畳、心がひとつも痛まない」
と、戦場に満ちた殺気をものともせず、何処か気怠げな声を響かせたのは、アルカ・キルジャッジ(ジャージ神・f19752)。まるで、我が家で寛いでいる最中のようなジャージ姿は彼女の普段着であり、こう見えて異界の神様だったりもする。
「一度言って見たかったんだけどね、『その首もらったー!』って」
そう言って、わらわらと群れる首無しヴァンパイアを、残念そうに見渡したアルカだったが、直ぐに気持ちを切り替えたようだ――ならば代わりに、その体を裁いてやろうと、創造の力を四方に巡らせる。
「さ、他の猟兵さんのご迷惑にならないよう暴れるんだよー」
――忽ち生命を宿したのは、自身を模ったアルカちゃん人形(三分の一サイズ)。それを首無しの群れにけしかける一方で、アルカは雑刀を手に、狙いを定めた一体に剣舞を叩き込んでいく。
「うぁっと、武器が復元再生するだなんて面倒だねぇ」
しかし、相手も驚異的な再生能力を発揮し、しぶとく食らい付いており――いやらしい能力だとぼやいたアルカは、それを上回る損傷を与えようと、愛刀を握る手に力を込めた。
「……さては、友達いないだろキミら?」
――そうしてアルカや物九郎が、正面から首無しヴァンパイアの群れに挑んでいる最中。別行動を取っていたレガルタ・シャトーモーグ(屍魂の亡影・f04534)は、屋敷の壁を乗り越えて密かに潜入を果たすと、物陰に隠れつつ内部を進んでいた。
(「従僕が帰ってくる前に、事を完了する必要があるなら。急いだほうがいいな……」)
漆黒の翼が音も無く翻り、あどけない相貌には不似合いな程に、凍てついた紅玉の瞳が獲物を捉える。派手に暴れる仲間たちの方へ向かったのか、屋敷の裏手に居る配下は数えるほどだ。
(「ヴァンパイアも眷属も、全て無に返すのが俺の仕事だ」)
――ふわり。幼き暗殺者の影が踊り、一気に首無しの背後を取って。美しき鳥兜の花が、月光を受けて鮮やかに浮かび上がった時にはもう、ヴァンパイアの胸元に杭の如く短刀が突き立てられていた。
(「首がないなら、心臓を突けばいいのか……」)
さらさらと、己の手の中で灰と化していく骸を見届けると、レガルタは未だ侵入者に気付かぬ配下たちへ向けて、暗器の飛針を飛ばして動きを封じる。直後、辺りに吹き荒れたのは、暗器が姿を変えた鈴蘭の嵐だった。
「さあ、刀の錆になるがいいよ?」
残りの吸血鬼たちも仕留めて、レガルタがそっと呼吸を整えていると――屋敷の正面からは、アルカのものらしき勇敢な声が、風に乗って聞こえてくる。ふと遠くに見えた茶斑の三毛は、物九郎が操るドローンだろう。
(「墓、か」)
――ふとレガルタが想うのは、此処へ来るまでに駆け抜けて来た、彼岸花が咲き誇る寂しい墓地のこと。
(「自分の意志は消えても、罪悪感だけは残っているんだろうか……」)
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
黒蛇・宵蔭
シノアさん(f10214)と
ふふ、こっそり忍び込むというのはいくつになっても楽しいものです。
ましてや危険が伴うとなれば、心躍りませんか?
まずは首の無い彼らと遊びましょうか。
鉄錆を繰り、蝙蝠を散らす。
こちらは千々に破壊したいところですが、キリがないですね?
羽根を落とす。なるほど仰る通り。
道を拓くために、苦痛の雨を注ぎ、縫い止めます。
死なないなら結構。永遠にそこらで苦しんでいれば良い。
シノアさんの足元へ現れた吸血鬼へは聖釘を投擲。
淑女を誘ったのですから。最後まで応えるのが紳士というものでしょう?
よき死の舞踏を。
惜しいですね。
首があれば、貴婦人へ贈れたのですが。
不作法ですが、手ぶらで参りましょうか?
シノア・プサルトゥイーリ
宵蔭(f02394)と
まるで、秘密の小道を辿っていくようね
えぇ。どうしたって忍んで狩に向かうのは心が躍ってしまう
首の無い方々が相手なのね
あら、飛ぶ羽を落として仕舞えばきっと十分よ
赫鴉を使い近接で斬り込みましょう
影に潜むようだけれど、外れてもこの地は結界を描く
宵蔭への攻撃は庇い。
あら、駄目よ。雨に踊るのは私と貴方よ?
前に出る分、存分に振るいましょう
影に潜む…面白いけれど、厄介ね
刀に血を這わせ足元の影に誘えないかしら
縫い止めてくれた宵蔭に微笑み
えぇ、美しき舞踏を
さぁ、私と最後まで踊りましょう
灰となるまで
血を這わせた刀で吸血鬼を貫き、斬る
本当に、お土産ができないのは残念ね
驚いてはくれると良いのだけど
――まるで、秘密の小道を辿っていくようね、と。夜に羽ばたき、闇を隣人とするシノア・プサルトゥイーリ(ミルワの詩篇・f10214)は、優雅な足取りで血濡れた館を進んでいく。
「……ふふ。こっそり忍び込むというのは、いくつになっても楽しいものです」
そんな彼女を、穏やかな物腰でエスコートするのは――烏羽の如き黒を纏った、黒蛇・宵蔭(聖釘・f02394)。ただ暗闇の中、微かに浮かび上がる白皙の美貌に、妖しく瞬く瞳だけが紅い。
「ましてや危険が伴うとなれば、心躍りませんか?」
「えぇ。どうしたって――」
軽やかに言葉を交わすふたりの様子は、悪戯を楽しむ子供のように無邪気なもので。しかし、その遊びたるや――刃を交え血華散らす、命賭けの戦遊びだ。
「忍んで狩に向かうのは、心が躍ってしまう」
眼帯越しに細められた、シノアの瞳に靜かな焔が灯ると、館を護る首無しヴァンパイアの群れが、幽鬼の如く蠢いているのが見えた。
「まずは、首の無い彼らと遊びましょうか」
言うが早いか、宵蔭の手にした鉄錆の鞭が唸りを上げて、辺りを飛び回る影蝙蝠を散らしていく。しかし、再生能力に長けた相手ゆえか――直ぐに新たな影が形を成して、主の周りで羽ばたきを繰り返していた。
「……こちらは千々に破壊したいところですが、キリがないですね?」
あら――其処で悠然と、黒鞘の太刀に手を滑らせたシノアが品良く笑う。
「飛ぶ羽を落として仕舞えば、きっと十分よ」
そうして零れ落ちる血を這わせれば、呪われた黒剣が赫鴉と化して首無しに喰らい付いた。貪欲に異端の血を啜る中、その切っ先は地面に呪血の結界を描き、影を阻むべく力を行使して。其処で、宵蔭の呼んだ苦痛の雨が道を拓こうと、眷属の群れを次々に縫い止めていった。
「羽根を落とす。……なるほど仰る通り」
真っ赤に熱せられた鉄串によって、標本のように磔となった首無しのヴァンパイア――尚もしぶとく藻掻いている彼らを、冷ややかなまなざしで見つめた宵蔭は、温度の無い声できっぱりと告げる。
「死なないなら結構。永遠にそこらで苦しんでいれば良い」
一方で、苦痛の雨を逃れたものが復元再生を行おうと襲い掛かれば、直ぐにシノアが太刀で応戦して。雨に踊るのは、私と貴方――そんな囁きと共に刃を振るうと、滴る血に誘われたヴァンパイアが、今まさに彼女の影から姿を現す所だった。
「……おっと、失礼」
――すかさず投擲された聖釘は、宵蔭のもの。淑女を誘ったのだから、最後まで応えるのが紳士というものだと頷く彼に笑みを返し、半魔の狩人たちは夜に踊る。
「よき死の舞踏を」
「えぇ、美しき舞踏を」
最後まで、私と。灰になるまで踊りましょうと、囀るのはシノア。辺りに満ちる血の匂いは、余りに甘美で狂おしく――何よりも、その手に伝わる刃の感触が、彼女の魂を揺さぶった。
――そうして狩りを終えて辺りを見回せば、首無しの骸は残らず塵に変わっていて。惜しいですね、と呟く宵蔭の吐息が闇に溶ける。
「首があれば、貴婦人へ贈れたのですが。不作法ですが、手ぶらで参りましょうか?」
「ええ、本当に……お土産ができないのは残念ね」
驚いてはくれると良いのだけど――そんな囁きを交わしながら、ふたりは屋敷の奥へ向けて歩を進めていった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
浮世・綾華
鼻をつく血の匂いに眉根を寄せた
いくつもの命が、此処で奪われてきたのだろうか
考えるだけでやり場のない想いがこみ上げる
恐れに震え、泣き叫ぶしかない気持ちは知っている
今すぐに、消えてなくなりたいと思うのだ
自分の意味を問い
死んでしまいたいと
首のない男達
その個体にきっと意思はない
「悪いがお前ら、倒させてもらうぜ」
繰り出される蝙蝠
相殺するように絡繰ル指で複製し操る鍵刀
紅を靡かせながら駆け出し
先程の攻撃を掻い潜るようにして
早業、範囲攻撃に炎の属性を纏わせで繰り出す斬撃
「――構ってやってる暇はねーから」
倒さなければならない奴が先にいる
この手で守れるものがあるなら
細やかな日常を、もうこれ以上、奪わせたりしない
薄荷・千夜子
チェルソ君と(f15797)
許せない所業の数々ですね…新たな被害を出さぬよう気を引き締めて参りましょう
「チェルソ君、援護は任せてくださいね!」
[操花術具:藤巡華簪]を首無しヴァンパイアの足元に投げ込みUC『操花術式:藤巡呪楔』を使用
【破魔】の力も込めた藤の枝花で動きを阻害しますね
攻撃はチェルソ君に任せて援護に専念します
「そう簡単には攻撃は通させませんよ」
基本は行動阻害、自身やチェルソ君に攻撃を仕掛けてくる際には[etolie montre]を使って【オーラ防御】【盾受け】
戦闘後の回復をありがたく受けます。得意分野でお互い補えるのは良いですよね!
おや?チェルソ君、何か考え事ですかね?
チェルソ・ベルルーティ
薄荷・千夜子様(f17474)と
……非効率的。理解不能。そして不浄。そうですね、早急に浄化致しましょう。
「作業分担ですね、千夜子様。理解しました」
千夜子様が行動を阻害してくださるそうなので、その隙に【破魔】の力を込めた[大きな鋸]でぎこぎこしてしまいましょう。首が無くとも動けるとはいえ、胴体から切り離せば少しは大人しくなるのでは?僕はそう思考します。
千夜子様には言ってませんが、僕だけなら傷を受けてもいいと思考します。今回の敵は少年に興味がないようなので。UC『生まれながらの光』を戦闘終了後、僕と千夜子様に使用します。
それにしても、何故僕は千夜子様にその旨を伝えなかったのでしょう?
ノエマ・アーベント
自身の愉悦の為だけに、若い娘の命を玩具のように弄ぶ
犯した罪の大きさは、到底赦せるべきものではないわよね
だからせいぜい償ってもらうわよ、私はその為に来たのだから
まずは邪魔者から片付けるとするわ
影蝙蝠はちょっと目障りだから
こちらも錬成カミヤドリでギロチン刃を複製し、影蝙蝠に対抗するわ
武器にオーラを纏わせ、防ぎつつ
蝙蝠たちの動きに合わせるように、ギロチン刃で斬り刻んで始末して
その隙に、本体を狙って全ての刃を投げ飛ばす
刎ねるだけの首はもう残ってないみたいだけど
だったら代わりに身体ごと、真っ二つに斬り裂いてあげる
悪いけど、ここから先は通させてもらうわよ
後で貴方のご主人様も、一緒のところへ送ってあげるから
足を踏み入れて直ぐに感じたのは、鼻をつくような血のにおいだった。既に屋敷のそこら中に染み着いて、決して拭い去れないであろうそれに、浮世・綾華(千日紅・f01194)は眉根を寄せて想いを巡らせる。
(「いくつもの命が、此処で奪われてきたのだろうか」)
それを考えるだけで、やり場のない想いがこみ上げてくるのが分かったから――彼は努めて飄々とした態度で居ようと、深呼吸をしたけれど。
(「……恐れに震え、泣き叫ぶしかない気持ちは知っている」)
――数多の血を流した少女たちの絶望と、死と言う名の救いを乞う姿が、血のにおいと共に鮮やかに蘇ってしまう。きっと、今すぐに消えてなくなりたいと、彼女たちは思った筈なのだ。
(「そう、自分の意味を問い。……死んでしまいたいと」)
そんな綾華の、死者に寄せる想いを汲み取ったのか――鎖の音を鳴らし、振り子のように揺れるギロチンを相棒に、隣を歩くノエマ・アーベント(黄昏刻のカーネリア・f00927)が、ぽつりと呟く。
「自身の愉悦の為だけに、若い娘の命を玩具のように弄ぶ……」
この世界で目にすることのない、黄昏の色に染まる瞳が瞬く様は、陽炎のように儚げでいて――しかし、罪を断じるノエマの口ぶりは、余りにも苛烈だった。
「その犯した罪の大きさは、到底赦せるべきものではないわよね」
「ええ、許せない所業の数々ですね……」
狩人として世界を旅する、薄荷・千夜子(鷹匠・f17474)にとっても、オブリビオン達の暴虐は看過出来ないものであり。新たな被害を出さぬよう、気を引き締めて参りましょうと凛々しく告げる千夜子に、チェルソ・ベルルーティ(清らかな使われるモノ・f15797)も整った笑みを浮かべて頷いていた。
「……非効率的。理解不能。そして不浄」
しかし――その唇から紡がれる言葉は、非常に事務的で容赦が無い。人形のように愛らしい、ではなく機械人形そのものであるチェルソは、切れ味鋭い大鋸を手に取ると、姿を現した首無しヴァンパイアの群れに向き直る。
「そうですね、早急に浄化致しましょう」
「チェルソ君、援護は任せてくださいね!」
直後、術具を操る千夜子が、この地の龍脈を操作しようと鎖を生んだ。標的の足元から伸びゆく、藤の枝花は五芒を描き――呪詛を纏ったそれは、次第に拘束を強めて一切の身動きを封じていく。
「五芒の藤が巡るは、呪いの楔……チェルソ君、今のうちに」
「作業分担ですね、千夜子様。理解しました」
千夜子の作ってくれた隙を上手く利用して、チェルソの鋸が狙いを定めたのは、首無しヴァンパイアの胴だった。復元再生の力が封じられた瞬間を突いて、破魔の力を込めた拷問具がぎこぎこと――まるで獲物を解体するように動いて、辺りに血飛沫を散らしていく。
(「首が無くとも動けるとはいえ、胴体から切り離せば少しは大人しくなるのでは?」)
己の生んだ凄惨な光景にも顔色ひとつ変えず、冷静に思考しつつ鋸を引くチェルソ。恐らく、正気を失うほどの痛みがヴァンパイアを襲っているのだろうが、首が無い所為で悲鳴は聞こえないのが幸いか――否、その個体にきっと意思はないのだろうと、綾華は思う。
「……悪いがお前ら、倒させてもらうぜ」
――決意を唇から零し、赤の瞳が捉えたのは辺りを飛び回る影蝙蝠の群れ。見れば、ノエマも目障りなそれを片付けようと思ったのだろう――黄昏色の瞳が合図を送ると同時に、咎人殺しのヤドリガミ達は一気に動きだしていた。
「せいぜい償ってもらうわよ、私はその為に来たのだから」
囁きに重なるように、ノエマの本体である断罪の振り子が錬成されて、宙は忽ち処刑場と化す。断頭台に送られた影蝙蝠たちが塵となって消えていく中で、綾華も絡繰ル指で鍵刀を複製し、更に相殺――そのまま紅を靡かせながら駆け出していった。
「――構ってやってる暇はねーから」
しぶとく再生を行う影蝙蝠を払い、繰り出される攻撃を掻い潜って、道を切り開く黒鍵が炎を纏う。倒さなければならない奴が先にいて、この手で守れるものがあるのならば、迷う暇など綾華には無かった。
「細やかな日常を、もうこれ以上……奪わせたりしない」
「そう簡単に、攻撃は通させませんよ」
一方で、数で押してくる敵へは、時計仕掛けの盾を翳した千夜子が立ち塞がり、護りを固めて。庇い切れずに負った傷は、チェルソの放つ聖なる光が直ぐに癒していった。
「刎ねるだけの首は、もう残ってないみたいだけど」
やがて光纏うノエマの刃が、再生の追いつかなくなった影蝙蝠を纏めて斬り刻むと――彼女はそのまま、本体の首無し目掛けて、錬成した全ての刃を叩きつける。
「だったら代わりに身体ごと、真っ二つに斬り裂いてあげる――」
――最早、復元を行う肉体は残されておらず、どさりと地面に崩れ落ちたヴァンパイアの亡骸も、直ぐに塵と化して闇に溶けていって。辺りの配下を狩り尽くしたことを確認したチェルソは、千夜子の傷を癒しつつも己の胸に生じた不可解な感情に首を傾げていた。
(「僕だけなら、傷を受けてもいいと思考した筈が……何故僕はそれを、千夜子様に伝えなかったのでしょう?」)
「おや? チェルソ君、何か考え事ですかね?」
此方を見つめる千夜子の明るい貌に、哀しみが差すのが厭だったから――そんな想いが生じていたかどうかは、チェルソ自身にすら分からないこと。
「悪いけど、ここから先は通させてもらうわよ」
――そして。感傷に浸る時間は、ノエマ達に残されてはいないのだ。
「……後で貴方のご主人様も、一緒のところへ送ってあげるから」
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
ディフ・クライン
友人のマレーク(f09171)と
…濃い、血の匂いがする
こんなのはダメだ、早めに終わらせよう
後衛に位置取り
マレークの背は守るよ
背後を気にする必要はないから、存分に
オーラを全身に張り巡らせ、オレの防御も整えつつ
【neige】を灰の杖として手に
敵とマレークを注視し動きを学習し、必要なら躊躇なく庇い
徹底的にマレークの援護を
影に敵が移動すると判断した時点でミレナリオ・リフレクションで移動の相殺し、マレークの攻撃の隙を作ろう
あまりその首で、動き回らないでほしい
貴方の姿は、あまりに血の匂いが濃い…
無意識に口元を片手で抑え
マレークが使う程度は大丈夫
ただ、噎せ返るような血の海の匂いは少し…苦手かな
※表情変化なし
マレーク・グランシャール
ディフ(f05200)と共に
俺には記憶がない
だがそれでも身体が覚えていることや、どこか懐かしさを覚えるものはある
例え眷属に変えられようが同じだ
従僕となった男の行動がそれを示している
人の心の全てまで支配しきれると思うなよ、ヴァンパイア
首なしは俺の影から現れて追跡攻撃してくる
これでは【流星蒼槍】の初撃が命中しても追撃を阻まれてしまう
しつこく厄介相手だがディフが追跡攻撃を相殺してくれると信じている
俺は構わず槍を遠投し【流星蒼槍】を成就する
確実に仕留めていこう
初撃を命中させるため【金月藤門】の特殊効果で一芝居打って攪乱もしよう
ディフは血の臭いが嫌か?
血を代償にする技が多いので気になったのだが‥‥
「……濃い、血の匂いがする」
淀んだ闇が支配する、絢爛の館――虚飾に彩られたその世界にふわりと舞い落ちたのは、穏やかな雪を思わせるディフ・クライン(灰色の雪・f05200)の囁き。
「こんなのはダメだ、早めに終わらせよう」
酷く淡い表情ながらも、友人の抱えた想いの強さを、マレーク・グランシャール(黒曜飢竜・f09171)は確りと受け止めて。直後、碧血竜槍を構えた彼は、行く手を阻む首無しヴァンパイアの群れを睨みつけ一歩を踏み出した。
「……下がっていろ」
「わかった、マレークの背は守るよ」
――背後を気にする必要はないから、どうか存分に。武運を祈るディフに頷くと、マレークは得物を振るうべく標的と向き合い――ほんの僅か、思考する。
(「首無しは、俺の影から現れるか」)
流星の如く放たれるマレークの一撃は、すさまじい威力を誇るものの、その全ては初撃に掛かっているのだ。しかし相手が影に潜んで追跡してくるのなら、初撃を当てたとしても、追撃を阻まれる可能性があった。
(「しつこく、厄介な相手だが……」)
それでも――自分はひとりで戦う訳ではなく、ディフが居る。彼が相手の能力を相殺してくれると信じながら、マレークは竜槍に蒼き稲妻を纏わせ、一気に投擲した。
「確実に仕留めていこう、ディフ――」
「ああ、任せて」
光輝くヴェールに包まれたディフの掌、雪の精霊が一振りの杖へと姿を変える。その先端は、今まさに影移動を行おうとしている吸血鬼を捉えており――正確に放たれた秘術が相殺を行うと、影を渡る術を無くした標的の身体を、マレークの蒼槍が真っ直ぐに貫いていた。
(「俺には記憶がない」)
――碧眼の双頭竜が猛追撃を行う中で彼が想うのは、強い喪失感が齎す飢えのこと。満たされたいと言う願いが、喰らいたいと言う欲求に繋がったのは、きっと首を無くした吸血鬼どもも同じなのだろう。
(「……だが、それでも。身体が覚えていることや、どこか懐かしさを覚えるものはある」)
――そしてそれは、例え眷属に変えられようが同じことだ。従僕となった男の行動――ただ黙々と墓を作り続けている彼の様子が、それを示している。
「人の心の全てまで支配しきれると思うなよ、ヴァンパイア」
影移動を封じられ、復元再生の力もディフによって相殺された配下たち。其処へ、マレークの静かな咆哮が鋭い槍撃と化して、星を穿つように降り注いだ。
「あまりその首で、動き回らないでほしい。貴方の姿は、あまりに血の匂いが濃い……」
ひとつ、ふたつ――魂が燃え尽きていく首無しから、目を逸らさずに。その最期を見届けていたディフであったが、無意識の内に口元を手で押さえてしまっていたようだ。
「ディフは、血の臭いが嫌か?」
己の血を代償に戦う技が多いマレークが、真面目な様子で問いかけると。「マレークが使う程度は大丈夫」とディフは返し――ややあってから、静寂を取り戻した屋敷を見渡して、ぽつりと零した。
「ただ、噎せ返るような血の海の匂いは少し……苦手かな」
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
華折・黒羽
──っ、
漂う濃い血のにおいに眉を寄せる
獣の特性を宿す鼻には強すぎるにおいに
込み上げる胃液を無理矢理抑え込んで
身に絡み纏う屠は剣へと形を成して
迫り来る蝙蝠を斬り捨てる
首無しの間合いへと入ろうとしたところで
斬り捨てたはずの蝙蝠がまた襲い掛かってきたのを
野生の勘により避ければ
カウンターで蹴りを
その動きの流れで間合いを取って
短い詠唱を唱え縹の符を屠に纏わせる
帯びた冷気が
再び一閃し裂いた蝙蝠の切り口から氷花を咲かせるだろう
蝙蝠の動きを抑えたなら
両翼を広げ首無しへと攻める
縹の魔力帯びたままの屠をふるい
咲く花で血を舞わせることすらも厭うように
氷で覆ってしまおうと
…もう、血は流さなくていい
※アドリブ、連携歓迎
東雲・咲夜
🌸アレンジ可
幾度も渡った常闇の世界
慣れる事もあらへん、否、慣れへんように在りたいの
命は尊ぶもんやとうちは信じとるから
今までもぎょうさん霊や妖を目にしとりますけど
ここまでくっきりお顔のあらへん方は初めてや
…風貌からして吸血鬼さんかしら
せやけど、血は吸えそうにあらしまへんな
明けぬ夜に震わせるささやかな灯火のような歌
破魔を絡めた旋律は《響蝶》の宿す輝石と同調し
蛍の様な淡い光を周辺へ舞い躍らせる
隙を逃さず光明の弓弦に指を掛け
されど土色の肌を見失う事も
――そんなら、
一か八か、うちを狙って仕掛けてきはるなら
オーラを桜色のヴェールと成し纏い
番う煌矢は頭上の天へ穿つ
降り注ぐ浄化の雨で、骸は穹へ還しましょう
「──っ、」
漂う濃い血のにおいに、眉を寄せた華折・黒羽(掬折・f10471)は、込み上げてくる胃液ごと呻く声を抑え込んだ。
(「これ程までに、血が染み付いているとは」)
獣の特性を宿す、キマイラであるこの身の嗅覚の鋭さが、今はただ恨めしい――無理矢理呼吸を落ち着けて、蒼のまなこで闇を見通せば、そこかしこから首無しヴァンパイアが姿を現し、従う影蝙蝠が羽音を立てる。
(「幾度も渡った、常闇の世界……うちには、慣れる事もあらへん、否」)
苦悶の表情を浮かべている、黒羽の背をそっとさすろうと、東雲・咲夜(詠沫の桜巫女・f00865)の伸ばした指先からは、桜色の光が舞って。
「慣れへんように、在りたいの」
水守の姫巫女は、滲む涙をそっと拭いながら、生者を喰らおうとする亡者をきっ、と睨めつけた。そう、命は尊ぶものだ。例えこの身が半魔の存在であろうとも、決して血に酔うことはするまい。
「けど、今までもぎょうさん霊や妖を目にしとりますけど……ここまでくっきり、お顔のあらへん方は初めてや」
「このような姿になっても、尚、動くとすれば。……最早呪いか」
しげしげと敵の様子を観察する咲夜へ、言葉少なに黒羽が返せば――何処かおっとりとした仕草で、咲夜の桜銀糸の髪がさらさらと闇夜に煌めく。
「……風貌からして吸血鬼さんかしら。せやけど、血は吸えそうにあらしまへんな」
影に潜り、再生の力を纏って襲い掛かるヴァンパイア達――其処で咲夜が紡いだのは、明けぬ夜に震わせる、ささやかな灯火のような歌だった。
(「喩え朔月の世と在りしも――」)
破魔の祈りを絡めた旋律は、機械仕掛けの蝶が宿す輝石と同調し、さながら蛍を思わせる淡い光を周辺へ舞い踊らせていく。
(「儚き倖せの、燈火を抱いて――」)
――そうして、瞬く間に清浄な気配で満たされた回廊を、漆黒の毛並みを揺らして黒羽が駆けた。その身に絡み纏う屠は、宿主と共生する黒の剣。迫り来る影蝙蝠を一瞬で斬り捨てた彼は、首無しを間合いに捉え――其処で再生を終えた蝙蝠が襲い掛かって来たのを、野生の勘で察知して咄嗟に避ける。
「――っ」
烏の羽翼が闇夜を斬り裂き、鮮やかな蹴りが影を散らして。そのまま間合いを取った黒羽は、短い詠唱を口ずさんだ後で、縹の符を取り出すと屠の刀身に纏わせた。
「花が枯れ堕ちるまで、──動くな」
――氷点下の冷気が辺りに吹き荒れる中、刃が一閃した切り口から咲き誇るのは、うつくしき氷花の群れ。漆黒の翼を広げて戦場を駆け抜ける黒羽は、魔力を帯びた剣をそのまま、首無し目掛けて振り下ろす。
「……もう、血は流さなくていい」
咲く花で血を舞わせることすらも厭うように、その身を氷で覆ってしまおうと――六華が煌めく其処へ、光明の弓弦に指を掛けた咲夜が、神をも射抜く天羽々矢を放つべく空を睨んだ。
(「一か八か、うちらを狙って仕掛けてきはるなら」)
――隙は逃さず、そして土色の肌をした標的を見失うことも無い。影から自らの身体を召喚する、その瞬間を狙って、咲夜の番う煌矢は頭上の天へ――そのまま一気に辺りに降り注ぐ浄化の雨が、ふたりに襲い掛かろうとしていた首無しヴァンパイアを、瞬く間に塵へと変えていった。
「骸は穹へ還しましょう……もう二度と、こんな悲劇が繰り返されたりせんように」
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ルフィーノ・ファルネティ
由良(f06168)と
あはは――こと彼奴らに関しては血も涙もない君なら、さぞ面白い遊び相手になるだろう
さてその為にも、まずは邪魔者達にご退場頂かないとね
由良と死角防ぎ合いつつUC使用
自分達が傷受けぬよう、死霊達を前衛とし壁となるよう展開
攻めは由良側に任せ、此方は守りを優先
騎士にオーラ防御、蛇竜に生命力吸収の力を与え耐久力強化
私自身も第六感まで駆使し敵陣の動向警戒
此方狙う気配があれば死霊達でガード
それでも解除受ければ再生阻害の呪詛込め呪殺弾で攻撃移行
オーラ防御も自らへ変更
皮肉な事だねぇ
生者を傀儡とした吸血鬼に、死霊を傀儡とした半魔二人で臨むなんて
――だけど手段は選ばない
狂える宴を潰す為なら
月永・由良
ルフィーノ(f10784)と
さて僭越ながら、遊び相手を努めに行こうか――お望みの乙女とは程遠いがな
狂宴に添える花としては、無辜の娘達より私の様な者が良い
ルフィーノと互いに死角補いつつUC使用
解除防ぐ為、自分達を守る形で前衛に死霊達を配置
守りは基本ルフィーノ任せ、私は攻めを担う
騎士の剣を再生疎む呪詛と部位破壊の力で
蛇竜の牙を傷口えぐりマヒもたらす力で
其々強化し攻撃
自身も周囲の気配に注意し、危険迫れば一時死霊を守りに回す
解除されれば騎士に回した呪詛を自らに戻し、高速詠唱の呪殺弾で攻撃に変更
皮肉?
否、いっそ愉快だろう
これ以上はくれてやらぬ――
憐れな働き者が早く休めるよう、終わらせに行こう
首の無いヴァンパイア達が四方から迫り、絶望の影がすべてを呑み込むかに思えた時――宵闇色の髪をふわりと躍らせる月永・由良(氷輪・f06168)は、夜会へ赴くような優雅さでさらりと告げた。
「さて僭越ながら、遊び相手を努めに行こうか――お望みの乙女とは程遠いがな」
悠然と微笑む彼女の佇まいは、男装の麗人と呼ぶに相応しいもので。あはは、とそんな相棒の口ぶりに無邪気な笑声を響かせたルフィーノ・ファルネティ(マスカレイド・f10784)は、仮面に覆われた銀の瞳を心底面白そうに細める。
「こと、彼奴らに関しては血も涙もない君なら、さぞ面白い遊び相手になるだろうね」
ほんの僅か、隙を見せれば吸血鬼どもの爪が、彼らを引き裂き血を啜るであろう状況で――けれど、ふたりはそれを楽しむかのように言葉を交わし、禁術を行使して死霊を喚んだ。
「ああ――狂宴に添える花としては、無辜の娘達より私の様な者が良い」
――忌むべき存在すら、己の手足のように操る由良に「おお、恐ろしい」とルフィーノが大仰に肩を竦めると。次の瞬間には彼もまた、涼しげな顔で死霊を前衛に配置し、此方の盾と成して死角を塞いでいた。
「……ならばその為にも、まずは邪魔者達にご退場頂かないとね」
攻守それぞれを担うふたりの呼吸が、ぴたりと重なるや否や――死霊の軍団は指揮者が命じるまま、統率の取れた動きで吸血鬼たちを迎え撃つ。
「攻めは任せたよ、由良」
そうしてルフィーノの使役する死霊騎士が、光を纏って守りを固める中で、一方の死霊蛇竜は生命力を啜る牙を得て、しぶとく戦場に立ち続けようとしていた。
「了解、任された」
自身が傷を受ければ消滅してしまう術を維持する為、敵陣の動向を警戒することを忘れずに――それさえも楽しそうに気配を探りつつ、由良は死霊騎士に呪詛を与えて、首無しの胴を一息に薙ぎ払っていく。
「皮肉な事だねぇ。生者を傀儡とした吸血鬼に、死霊を傀儡とした半魔二人で臨むなんて」
――此方を狙った吸血鬼の一撃を、阻むと同時に消滅していく騎士。その様子を見てもなお、薄い微笑みを絶やさないルフィーノに向けて、くつくつと由良が猫のように瞳を輝かせて笑った。
「皮肉? 否、いっそ愉快だろう」
神も魔も恐れること無く、ただ殺して――死霊と化した彼らを操り、また殺す。手段は選ばないのだと呟くルフィーノは、数を減らしたヴァンパイア目掛けて、呪殺弾を放ちその息の根を止める。
「そう、狂える宴を潰す為なら、何だって」
――そうして、空を泳ぐ由良の蛇竜が、息も絶え絶えな首無しの傷口を深く抉ると。全ての眷属が塵と化し、幻のように消滅して、辺りには静寂が戻って来た。
「これ以上はくれてやらぬ――憐れな働き者が早く休めるよう、終わらせに行こう」
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 ボス戦
『『血に濡れた伯爵夫人・アミラ』』
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POW : 血霧と踊りて
全身を【物理攻撃を無効化する深紅の霧】で覆い、自身が敵から受けた【負傷】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
SPD : 鮮血の荊棘
技能名「【串刺し、傷口をえぐる、生命力吸収、吸血】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
WIZ : たった一人の私の味方
自身が戦闘で瀕死になると【逃走時間を稼ぐために従属吸血鬼】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
イラスト:銀治
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「エミリィ・ジゼル」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
――やがて夜は深まり、血に魅せられた伯爵夫人が、気怠そうな吐息と共に褥から身を起こす。
「そろそろかしらね、遊び相手がやって来るのは」
胸元に散った紅を指でなぞり、彼女が想うのはめくるめく血の宴。あの紅が欲しい、熱い生命の溶けだした紅が、肌を滑り落ちていく様を見たい――この牙を埋めて舌を這わせて、その全てを味わい尽くしたい。
「好きよ。だから……一晩中、たっぷりと愛してあげる」
そうだ、冷たい墓になど眠ること無く、自分とひとつに溶けあって熱く燃え上がればいい――あの墓地に咲く彼岸花のように紅くあかく花開いて、花弁を舞わせて散ればいい。
「ねぇ、お願いね、たった一人の私の味方」
ああ、血の宴を、早く――伸ばした指先が切なげに宙を掻く中で、女主人たるアミラは従僕を求めて、ゆっくりと立ち上がった。
嘗て、己の傍に居た誰かの面影を重ね、戯れに従属させた彼の名を、アミラは憶えてなどいなかったが。ただ静かに墓穴を掘る、その実直さは好ましく――故に身を挺して、自身の危機に駆けつけてくれるだろうと言う確信があった。
「ふふ、楽しみね。早くおいでなさいな、屋敷の首無しばかりじゃ、退屈でしょう……?」
――かくして血宴の幕は上がる。
溢れる血潮は華のように狂おしく、その欠片は花弁となって、鮮やかに散ろうとしているのだ――。
深海・揺瑚
随分と派手な歓迎、ありがとね
若い娘じゃなくて悪いけど、顔を拝みに来たのよ
あらやだ、思った通りの悪趣味な顔してるわ
強欲が人の皮を被った感じじゃない?
直接相対するよりも、少し距離を置いた所で
様子を窺いつつ、気を散らし、牽制するように行動
直接的な攻撃は他の猟兵たちに任せるわ
従僕がいればそちらの相手に注力
あら、噂の男前の登場ね
あなたも楽しんでるのか、それとも辛いのか
私にはわからないけど、従うだけなんてつまらないでしょ?
もうすぐ終わるわ、あなたのご主人さまもね
あんなのに捕まったのが運の尽き
諦めて、ゆっくり休んでちょうだい
マリス・ステラ
【WIZ】他の猟兵と協力する
「主よ、憐みたまえ」
『祈り』を捧げると星辰の片目に光が灯る
全身から放つ光は『オーラ防御』の星の輝きと星が煌めく『カウンター』
「奪う者は、奪われる覚悟をしなくてはなりません」
弓で『援護射撃』放つ矢は流星の如く
負傷した味方を『かばう』と同時に【不思議な星】
緊急時は複数同時に使用
「あなたが求めるならば私も全てを尽くしましょう
真の姿を解放
刹那、世界が花霞に染まる
頭に白桜の花冠
纏うは聖者の衣
背から聚楽第の白い翼がぎこちなく広がる
「魂の救済を」
『破魔』の力宿る星の転がるような声で告げる
星枢と聚楽第が周囲と星々から力を集める
手を翳せば光が瞬き、星の『属性攻撃』で伯爵夫人を浄化する
冴木・蜜
遊び、ですか
随分と悪辣な趣味ですね
ですが これも今宵で終わりです
身体を液状化し
影に紛れる形で潜伏
目立たなさを活かして背後に回り
機を待ちます
彼女が瀕死になり
僕の彼が現れてから仕掛けましょう
彼女と僕の注意が他の猟兵に向いている間に
注射器でそっと『耽溺』
これ以上貴方が手を汚す必要は無い
少しばかり
微睡むようなゆめうつつに溺れれば宜しい
麻酔で二人の動きを封じている間に
体内の毒を濃縮
アミラの脚に毒を塗り込み融かし落とし
逃げ足すら奪って差し上げます
私は死に到る毒
故に――ただ触れるだけで良い
貴女の墓標はない
今度は貴女が紅い花を咲かせる番です
蒼褪めた月の光に祝福されるようにして、その女吸血鬼は悠然と広間に佇んでいた。頭上の燈火は儚く、辺りの闇を更に際立たせることになっていたが――ありもしない幻に怯え、揺らぐ心など深海・揺瑚(深海ルビー・f14910)はとうに制している。
「随分と派手な歓迎、ありがとね」
――優雅なヒールの靴音は、彼女の自信と余裕の表れで。まるで深海をすいと泳ぐように、伯爵夫人――アミラの元へ辿り着いた揺瑚は、紅玉色の瞳を煌めかせて鷹揚に微笑んだ。
「若い娘じゃなくて悪いけど、顔を拝みに来たのよ。……あらやだ」
思った通りの、悪趣味な顔してるわ――傲慢とも言える態度で接する美女へ、上辺だけの笑みを貼りつけて応対するアミラもまた、くすくすとその威勢の良さを嘲笑うように喉を鳴らす。
「強欲が、人の皮を被った感じじゃない?」
「あらあら、随分下品な物言いだこと。……貴女には、一度じっくり鏡を見てみることをお薦めするわ」
迫力ある美女同士の応酬はまるで、静かに燃え上がる青い炎のよう。ぴりぴりと肌を刺す緊張感に、居心地の悪さを感じた冴木・蜜(天賦の薬・f15222)は、タールを吐き出し軽くむせていたが――そっと寄り添ったマリス・ステラ(星を宿す者・f03202)が、輪郭を失いかけた蜜の身体をどうにか支える。
「遊び、ですか……随分と悪辣な趣味ですね」
「ええ、それが彼女たちにとって、ごく当たり前のことだったとしても」
――主よ、憐みたまえ。聖句を紡いで祈りを捧げれば、星辰の瞳に光が灯った。そうして、生まれながらに宿す光を星の輝きに変えたマリスは、己の身をヴェールで纏いつつ星屑の弓を構える。
「奪う者は、奪われる覚悟をしなくてはなりません」
闇を切り裂く流星の矢が、アミラの出足を挫く中で――蜜の身体がとぷりと液状化して、瞬く間に影に紛れた。
(「そう……血の宴も、今宵で終わりです」)
やがてするすると、敵の背後に回っていく蜜の目的を察した揺瑚は、当初の予定通り牽制を行うことにしたらしい。間合いを取りつつも様子を窺い、紅珊瑚の杖が白波を呼ぶと、珠玉の剣群は月光を弾いて宙を舞う。
「あなたが、求めるならば――」
アミラの操る鮮血の荊棘が、刃を掻い潜り此方に牙を剥こうとも、マリスが盾となり星の輝きを生んだ。
「私も、全てを尽くしましょう」
――刹那、真の姿を解放したマリスの傷が一瞬で塞がっていき、世界は花霞に染まる。その頭には白桜の花冠、纏うのは聖者の衣。空へ向けて手を伸ばすように、ぎこちなく白翼が広がっていくと、星の転がる声が闇夜に瞬いた。
「魂の救済を」
伸ばされた鎖へと、吸い込まれていく星々の力――手を翳したマリスが一気にそれを放てば、忽ち浄化の光が呪われた伯爵夫人を灼く。そうして醜く焼け爛れた彼女の肌を、揺瑚の剣が更に貫こうとした時、闇の中から従僕の青年が姿を現した。
「あら、噂の男前の登場ね」
アミラを庇うように立ち塞がった彼へ、直ぐに注意を向けた揺瑚が剣先を滑らせるが、その表情は人形の如く固まったままだ。
「あなたも楽しんでるのか、それとも辛いのか……私にはわからないけど、従うだけなんてつまらないでしょ?」
――キィン、と打ち鳴らされる刃の音。其処で、機を窺っていた蜜が動いた。マリスと揺瑚に注意が向いている隙を突いて、蜜の注射器が吸血鬼たちに耽溺の毒を注ぐ。
「……これ以上、貴方が手を汚す必要は無い」
微睡むような幻覚に囚われ、身動きを封じられていく従僕の元へ、優しく降り注いでいくのは蜜の声。
「少しばかり、微睡むようなゆめうつつに溺れれば宜しい」
「そうね。もうすぐ終わるわ、あなたのご主人さまもね」
頼りの味方を無力化されたアミラに向かって、揺瑚のヒールがかつりと鳴らされれば、珠玉の剣が逃げ場を塞ぐように包囲を狭めていって。
「こんなのに捕まったのが運の尽き。……諦めて、ゆっくり休んでちょうだい」
直後、体内の毒を凝縮させた蜜がアミラの脚を狙い、逃げ足を奪ってやろうと融かし、落としていく。ああ、彼の肉体は死に到る毒――故に、彼はただ触れるだけで良いのだ。
「貴女の墓標はない……今度は、貴女が紅い花を咲かせる番です」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ディフ・クライン
マレーク(f09171)と
オレのすべきことは変わらない
ミレナリオ・リフレクションで血霧の相殺
それを以てマレークの攻撃を通すよ
マレークが発生させてくれた血霧を【学習力】で記憶し
一度見たなら十分だ
血の海も、濃い血の匂いも苦手だけれど
怪我を厭わず活路を作った友人に応えなくちゃ
思い出すから嫌なだけじゃない
もう、誰もあんな風にさせたくないんだ
その為なら、酷い吐き気に襲われたって、血霧を纏ってアミラの血霧を相殺し続けてみせるよ
【激痛耐性】で我慢できるから
理由を聞かれないから、オレも言わないけど
…いいんだ、マレークが無事なら
貴方が不要な怪我をせずに済むのなら、それでいい
オレのことを気にする必要は、ないよ
マレーク・グランシャール
ディフ(f05200)と共に
【金月藤門】の効果を用いて槍で攻撃する
最初のそれは敵の血霧を発生させるための演技
ディフに敵の技を見せることで、彼がUCでそれ相殺してくれよう
その為なら血霧の中を飛び込み、物理攻撃が効かぬ中で生命力を吸われ続けて戦うことも厭わない
待っていたぞ、この時を
血霧が無効化した瞬間を見逃さず【黒華軍靴】で突破、一気に攻め込む
槍を当てたらすかさず【流星蒼槍】を発動して双頭竜を召喚して片を付ける
ディフが血を怖れる理由は聞かない
対価として教えられる過去を持たない俺にはその資格がない
たが好まぬ血を身に纏わねばならなかった彼に、侘びの言葉を零すのだろう
嫌なことさせてすまなかった、と──
左手の甲に刻んだ、月と藤の意匠紋――白手袋に隠された聖痕に意識を向けながら、マレーク・グランシャール(黒曜飢竜・f09171)は黒槍を手に、血塗られた伯爵夫人の元へと斬り込んでいく。
(「今だ、喰らい付いてくるがいい――」)
必殺の一撃を放つと見せかけたその動きは、相手の技を誘発する為の演技であり。深紅の霧を纏い、己に迫る切っ先を無効化したアミラは、直後マレークの抱く殺意に違和感を覚え――それでも、飛び込んで来た獲物を屠ることを、止めたりはしなかった。
「わざと、懐に飛び込んで来るなんて……何を考えているつもり?」
――血霧が辺りに漂っていく中、生命力を吸われつつも戦い続けるマレーク。無謀とも思える彼の様子に眉を顰めながらも、アミラは愚直さ故のことだと結論づけたらしい。その傲慢さが仇となったことにも、気付かぬままに。
「何、こうして戦い続けることを、厭わないだけだ」
表情を変えず、淡々と。己が傷つくことを受け入れているのか、それが当たり前なのだと思っているのか――闇の中で、紫の瞳が鋭い輝きを発している。
(「オレのすべきことは、変わらない」)
その一方で、マレークの誘った血霧をつぶさに観察していたディフ・クライン(灰色の雪・f05200)は、その手順を記憶し、正確に再現するべく秘術を行使していた。
(「一度見たなら、もう十分だ」)
――血の海も、濃い血の匂いも苦手だけれど。それでも、怪我を厭わず活路を作ってくれた友人に応えたい一心で、ディフの指先から六花が舞う。
(「……そう、思い出すから嫌なだけじゃない」)
全く同じ技を放ち、相殺する――ミレナリオ・リフレクション。首無しヴァンパイアの能力を封じたディフの術が、今度はアミラの血霧を相殺し無効化していく。
「もう誰も、あんな風にさせたくないんだ」
絞り出すようなディフの呟きに、小さく頷くと同時、マレークが動いた。
「……待っていたぞ、この時を」
霧が無効化され、無防備な身体をアミラが晒した其処へ、高らかな軍靴の音が迫る。咄嗟に跳び退ろうとした獲物に追い縋り、跳躍と同時に突き出された槍は、蒼き稲妻を纏って双頭の竜を呼んだ。
「星を、穿て」
怒涛の追撃でアミラを追い詰めていくマレークの後ろでは、集中するディフが尚も能力の相殺を続けている。相手が霧を纏おうとするたびにそれを阻止し、度重なる術の行使で、酷い吐き気に苛まれても――模倣する血霧が肌に染み込んで、二度と拭い去れないような錯覚に陥ろうとも。
(「……いいんだ、マレークが無事なら」)
――何故これ程までに、ディフが血を怖れるのか。その理由は聞くまい、とマレークは思った。対価として教えられる過去を持たない自分には、その資格がないと思ったから。
(「貴方が不要な怪我をせずに済むのなら、それでいい」)
――理由を聞かれないから、自分からも言わないでおこうと、ディフは思う。そう、自分のことを気にする必要など、彼にはないのだから。
ただ、血霧が花のように咲いては散っていく中で――吸血鬼と戦う為に、好まぬ血を纏わねばならなかったディフへ向けて、マレークはそっと詫びの言葉を零した。
「嫌なことをさせて、すまなかった──」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
白斑・物九郎
●POW
心を抉る鍵(真)にゃブチかまして扱う物理攻撃モードと魔鍵本来の物理透過・【精神攻撃】モードの二通りがある
この仕様を駆使して【だまし討ち】してやりますわ
敵の攻撃の出端を【野生の勘】で察知しながら、回避主体で立ち回り
間隙を縫って【怪力】でブン回す魔鍵で打ち掛かる!
が、こいつは深紅の霧に阻まれましょうわな
しかし俺めは重ねて打ち掛かる
さもその霧が展開される隙を突こうとでもしてるかっポく打ち掛かる
俺めの演じる無為に敵が慢心の素振りでも見せたら狩り時ですわ
物理透過ON
同じモーションで繰り出す、満を持しての【串刺し】一閃【ドリームイーター】!
敵の精神力をゴッソリ削りざま眷族を作成
一気に畳み掛けまさァ
有栖川・夏介
※アドリブ歓迎
「……初めまして、そして…さようなら」
「処刑人の剣」を構えて敵をじっと見据える。
「処刑の時間です」
敵が防御をするよりも早く動いて、剣による【先制攻撃】
敵が怯めば攻撃の手は休めず、応戦してくるようであれば一度距離をとる。
【第六感】や【野生の勘】を頼りに攻撃を回避します。
敵との距離が離れたら、トランプを掲げ【執行者たるトランプ兵】を発動させる。
【戦闘知識】によって、敵がなんらかの技を使用しようとする動きはなんとなく読めます。
剣による【咄嗟の一撃】をお見舞いして、完全な状態で技の発動ができないようにします。
もし、従僕がこの場に戻り、彼女を護ろうとするなら…
俺はすべての首をはねるだけだ。
ニコ・ベルクシュタイン
お前好みの若い娘では無く済まないが、少しばかりお相手を願おうか
…願わくば、斃させて貰えると尚良いのだが
人の身体を持つというのは、便利でもあり不便でもあり
此の身を動かす血潮を、好き好んで欲するというのも業が深い
ヴァンパイアという種族が「そういうもの」という事は承知の上だが
「何が愉しいのか」を敢えて問うてみよう
そうした上で当然だが理解は示さず「挑発」を試みる
此方に狙いが向いたならば【時計の針は無慈悲に刻む】で
正面から勝負を挑もう、初撃でつけた傷を「2回攻撃」の返す刀で
「傷口をえぐる」、狙い違わずやってみせよう
従属を喚ぶようならば「念動力」で手近な破片か何かを
アミラ本体目がけて飛ばし、逃走を妨げよう
血を求め、纏い、それを力に変える呪われた伯爵夫人――伝承で語られる、邪悪な吸血鬼そのものであるアミラと向き合う、ニコ・ベルクシュタイン(虹の未来視・f00324)の表情は険しい。
「お前好みの、若い娘では無く済まないが」
――少しばかり、お相手を願おうか。時計の長針と短針、二振りの剣を構えると同時にニコは距離を詰めて。円舞曲を踊るように繰り出された刃の猛攻を、アミラは華麗なステップで躱して微笑む。
「……願わくば、斃させて貰えると尚良いのだが」
あら、と緋色の瞳が細められるや、突き出した鮮血の荊棘がふたりを隔てた。獲物を串刺しにして、血を啜ろうと蠢く荊棘から目を逸らさぬまま、ニコは異形のオブリビオンについて考えを巡らせる。
(「人の身体を持つというのは、便利でもあり不便でもあるもの」)
器物が魂を宿したヤドリガミたる彼にとって、あくまでそれは仮初めのものであるが――此の身を動かす血潮を、好き好んで欲するというのは業が深いと思わざるを得ない。
「ヴァンパイアという種族が『そういうもの』という事は承知の上だが、……何が愉しいのだ」
「そうね……本能と言えば、はしたないでしょうけれど。極上の食事を味わうことと嗜好を満たすこと、」
理解など、最初から示すことなどない問いかけを気まぐれに交わす中で、ニコの携えた時計の針がゆっくりと動いた。
「……それを同時に愉しめるなんて、素敵じゃなくて?」
――アミラの唇が蠱惑的な弧を描くと、突き出された双剣の切っ先が触れる寸前に、その姿は血霧へと変わる。そうして無慈悲な時計の針の連撃をやり過ごした彼女であったが、退いた先に待ち受けていた処刑人の存在にまでは、気付けなかったようだ。
「……初めまして、そして……さようなら」
切れ味鋭い刃が、冷たい月の光を受けて冴え冴えと輝く中で、鮮血を思わせる瞳がうつくしかった。ただ、じっと咎人を見据える有栖川・夏介(白兎の夢はみない・f06470)は、相手が血霧を纏うよりも先に剣を振るい、そのまま一気に責め立てていく。
「処刑の時間です」
透き通るような白い肌も相まって、淡々とアミラを追い詰める夏介の姿はまるで、殺戮を命じられた人形のよう。そして――伯爵夫人に狙いを定める猟兵は、未だ存在しているのだ。
「ヴァンパイアの血なんざ、不味くて飲めたもんじゃないでしょうがね」
不意に飛び出し、心を抉る鍵を取り出した白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)の瞳が、凶悪な光を宿すや否や――彼は放たれた荊棘を驚異的な野生の勘で躱し、攻撃の合間を縫って魔鍵を叩きつけた。
「……深紅の霧、それも予想してまさァ」
と、物理を無効化する霧を纏ったアミラにも、物九郎は怯んだりなどしない。重ねて打ち掛かる追撃も躱したアミラは、彼が血霧の切れ間を突こうとしているのだと読んだのだが――その所為で、僅かな慢心が生まれたのだろう。
「さて、狩り時ですわ」
――全く同じモーションで繰り出された魔鍵の一撃は、肉体を傷つけるものでは無く心を貫くもの。非物質化した物九郎の鍵がアミラの精神を一気に削り取り、彼の傍には眷属たるモザイク状の異形が現れる。
「俺めのモザイクは晴れませんでしたけども、まあまあ上等な願いっスね……なぁんて」
「……っ、この……っ!」
追い詰められたアミラは、従僕を召喚し時間を稼ごうとしたものの、其処でニコ達が阻止に動いた。念動力で手近な破片を飛ばした彼に続いて、夏介の掲げたスペードのエースが、執行者たるトランプ兵の力を引き出して光を放つ。
「もし、お前が彼女を護ろうとするのなら……」
天からの光に怯む従僕の姿を見据えたまま、冷然とした態度で夏介は告げた。
「俺はすべての首をはねるだけだ」
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
ランドルフ・リードル
【KHR】
「あ、はい」
アミラの言い分は流そう
僕はあまり理解したい類ではなさそうだ
キョウスケのフォローへ入る
アミラを攪乱してくれている間、彼の目的が露見しないよう毒とマヒの力を込めたラピドゥス・ラーミナで顔を狙っていく
「本性によく合う毒とマヒだと思うぞ、おばさま?」
本人に絞った攻撃と当たれば御の字の範囲攻撃を使い分け、敵との間合いに特に注意して戦おう
目と耳、己の勘で間合い詰められるタイミングに注意を払って対処していくが狙いが露見しそうな時やハルトが狙われそうな時は回避せず、オーラ防御でダメージ軽減図りつつ耐えようか
キョウスケの目論見が成功した場合、忍び足で死角へ移動し、ラピドゥス・ラーミナを撃つ
仁科・恭介
【KHR】
「好きか。そういう感情は嫌いではないが…」
瞳を真紅に変え【吸血】本能を解放し攻撃力を底上げする
「生憎、想い人は一人でね」
WIZ
【学習力】で部屋の間取り、調度品、照明の位置を確認
火を使ってる照明(燭台など)に目星をつける
UCでアミラ付近の空気から酸素と水素を奪いナイフに変え【目立たない】ように隠す
二人の援護と気圧の変化を悟られないよう【ダッシュ】と【残像】を使用して攪乱する
二人が作った隙を利用しながら照明に【目立たない】よう近づく
近づけたら二人に注意喚起して照明をブラフで【投擲】
足掻きと思わせ、ハルトが落とす照明に酸素と水素のナイフを一度に【投擲】し、直前でナイフ化を解除して爆発させる
日埜・晴翔
【KHR】
アミラがいる付近の燭台(シャンデリア含む)をUC20機程で偵察、恭介と共有。折を見て、偵察機で全ての光源を落とす。
部屋が薄暗くなるため、2人の近くにUC5機ずつ配置(敵の接近などを知らせるため)
「さぁて、御馳走をくれてやる」
躊躇いなく、左腕にナイフを滑らせ、反応を窺うように血を流す。
「女の血しかいらない? 食わず嫌いはよくねぇぜ」
視覚はそんなに誤魔化せないだろうから、匂いに釣られるかどうかの賭け。
つられても、つられなくても、それはゲームだからどっちでもいい。(ニヤリ)
光源を落とした先行隊で誘導させ、地から這うように向かわせた後続隊55機で一気に攻撃。
保険は、自身の背後に残した15機。
――好きよ、と。まるで愛を囁くように告げたアミラに対し、ランドルフ・リードル(心優しきヘタレ・f19446)はやんわりと距離を取りつつ、己の首筋に手を当てた。
「あ、その……はい」
ちょっぴり情けない顔つきになるも、彼女の言い分を流そうと決意するランドルフ。あまり理解したい類の感情ではなさそうだったし、がっつく肉食系のマダムはご遠慮したい――文字通りの意味で、喰われてしまうだろうから。
「好きか。そういう感情は嫌いではないが……」
一方の仁科・恭介(観察する人・f14065)は、大して動揺する素振りも見せず、いつものように穏やかな笑みを浮かべていたけれど。直後、その瞳の色が赤みを増し、吸血本能を解き放ったのが感じられた。
「生憎、想い人は一人でね」
彼が想いを寄せる相手のことを、日埜・晴翔(嘘つき×快楽主義の軟弱メンタル・f19194)は知ってか知らずか、口元を綻ばせて頷いてみせる。そんな何気ないやり取りを交わす中で、晴翔は密かに小型機械兵器の群れ――エレクトロレギオンの幾つかを偵察に回し、広間に設えられた燭台の位置を確認していたのだ。
(「随分と薄暗いな……やっぱ夜目が効くのか?」)
笑みの消えたまなざしで合図をおくると、部屋の間取りの確認を終えたらしい恭介からは、大丈夫との答えが返ってきた。調度品、照明――は、頭上で揺れるシャンデリアと、壁にある僅かな燭台のみか。
(「よし、始めよう――」)
ランドルフの方も、いつでも動けると合図があった所で、恭介が動いた。アミラの周囲に漂う空気、その中に含まれる無機物をナイフに変えて忍ばせると、そのまま異変を悟られぬように撹乱を行う。
(「……キョウスケの方は、上手くいっているか」)
残像で惑わし、仄かな灯の下を駆け抜ける彼のフォローを行おうと飛び出したランドルフは、毒と麻痺を乗せた銀の光刃でアミラの顔に狙いを定めた。
「……本性によく合う毒と麻痺だと思うぞ、おばさま?」
――慎重に間合いを計り、範囲を纏めて薙ぎ払う時は、当たれば御の字だと割り切って。高速で放たれる刃と鮮血の荊棘がせめぎ合う中で、やはりランドルフの方が押されつつある。
(「耐えてみせる……キョウスケやハルトに、注意を向けさせる訳にはいかないから」)
守りを固めた彼が、決意と共にアミラを睨みつけると――気配を消して燭台に近づいた恭介が、ふたりに合図を送った。そのまま燭台を力任せに投げつけると、それを悪足掻きだと思ったアミラが鬱陶しそうに跳ね除ける。
「さぁて、御馳走をくれてやる」
其処で、素早く向かわせた偵察機によって、晴翔がシャンデリアを薙ぎ払い――瞬く間に炎が失われていくその最中、予め恭介が創り出していたナイフが煌めいた。
「今、だ……!」
輝石の鼓動を解除すると同時、混ざり合う無機物が爆発を起こし、それにアミラが巻き込まれていく。それでも尚、血を求めて此方に向かって来る彼女へは、晴翔が血に濡れた左腕を躊躇なく突き出して。
「女の血しかいらない? 食わず嫌いはよくねぇぜ」
――匂いに釣られるかどうかの賭けは、あくまでもゲームだ。どちらでもいい、と口角を上げた晴翔の瞳に映ったのは、アミラの背後から地を這うように襲い掛かる、後続隊のレギオンだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
黒蛇・宵蔭
シノアさん(f10214)と
舞踏会ならば主催の方に挨拶をせねば。
お目にかかれて光栄です。今宵は楽しい時間にいたしましょう。
血界刺鞭で鉄錆を強化。
形状を九尾ほどに増やし攻撃。
シノアさんのリードを受け、多段と仕掛けましょう。
偶には私も良いところを見せませんと。
さあ、お手をどうぞ、ミセス。
鉄錆にて血霞を食い破り、守りを奪い。
傷があればそれを深め、壊すのが我が本領。
私の力は届かずとも、次にシノアさんがいる。
立ち位置を変えつつ、主役の場をお譲りしましょう。
素敵なパートナーですね。
さぞかし美しく踊ってくれるのでしょうね?
負けていられませんね?
天より刺す光に目を細めつつ。
夜は長い。最後まで楽しみましょう。
シノア・プサルトゥイーリ
宵蔭(f02394)と
まるで舞踏会にでも招かれたよう
お招きいただきありがとう。
素敵な夜にいたしましょう?
刀を使い、近接での戦闘を
あちらの攻撃は刀で受けカウンターから仕掛けましょう
宵蔭を狙うようなら割って入って、隙を作り
ーーどうぞお兄様
鉄錆に血霧が食い破られれば、迷いなく踏み込み
それでは、相応しい踊りを
艶やかに踊る鉄錆に笑みを零し、お兄様より受けた舞台に相応しい剣舞を
あら、パートナーがお出でなの?
ふふ、素敵ね
ーーえぇ、存分に踊りましょう
刀で届かなければ第七の詩篇を。
喉が焼ききれようとも、この舞台に捧げましょう
この光は、貴方を逃しはしないわ
朝日を望むその時まで。この宴を楽しみましょう?
まるで舞踏会にでも、招かれたよう――喘ぐような焔に照らされた、豪奢な領主の間に辿り着いたシノア・プサルトゥイーリ(ミルワの詩篇・f10214)は、囁きと同時に花宵の衣を翻した。
「ああ、舞踏会ならば、主催の方に挨拶をせねば」
――しゃらり。鉄錆の鞭を弄びつつ、慇懃に微笑む黒蛇・宵蔭(聖釘・f02394)の姿は、気品ある紳士そのものだったのだけれど。
「お招きいただきありがとう」
「お目にかかれて光栄です、ミセス」
恭しく一礼する半魔の狩人たちは、広間に漂う血のにおいにも、嵐が吹き荒れたような戦いの痕跡にも、臆することなく歩を進め――生々しい傷を負ったままの伯爵夫人へ、優雅に手を差し出して宴に加わっていく。
「今宵は楽しい時間にいたしましょう」
「ええ……素敵な夜に、いたしましょう?」
――白花咲き綻ぶドレスを靡かせながら、すらりと抜いた太刀と共に舞ったのはシノア。血霧を纏うアミラの、増強された力も刀で受け流した彼女は、したたかに反撃を狙っていて。一方で、宵蔭は己の血を鉄錆に吸わせ、その封印を解こうとしていた。
「……どうぞ、お兄様?」
「呪われた血、その真を少しだけ――」
深紅へと色を変えた、鉄棘――触れたもの全てを裂く無数の刺鞭が、九の尾となって多段攻撃を仕掛ける。鉄錆に食い破られた血霧が瞬く間に散り、護るものを失ったアミラの元へ、シノアが迷いなく踏み込んでいった。
「偶には、私も良いところを見せませんと」
お手をどうぞ、と振るわれる宵蔭の鞭は、艶やかに踊って伯爵夫人の肌を抉り、紅を散らし、更に壊す。それにうっとりと笑みを零すシノアもまた、彼より受けた舞台に相応しい剣舞を披露しようと、月光を浴びて軽やかに広間を駆けた。
(「私の力は届かずとも、次に彼女がいる」)
立ち位置を変えて、宵蔭が主役の場を譲ったのと同時――アミラも従僕を召喚し、己の身を護らせようと動いたようだ。虚ろな貌で、ただ女主人に近づくものを排除しようとする彼へ「素敵なパートナーですね」と呟いた宵蔭は、此方も負けていられないとばかりに血界刺鞭を振るう。
「これはさぞかし、美しく踊ってくれるのでしょうね?」
「ふふ、素敵ね。――えぇ、存分に踊りましょう」
――土は土に、灰は灰に、塵は塵に。シノアが謳う第七の詩篇は、天空の門より降り注ぐ破魔の光槍を呼んで。従属の召喚を封じる為、例え己の喉が焼き切れようとも――渡り鳥の紋章を戴く乙女は、この詩篇を血宴の舞台に捧げようと誓った。
「……夜は長い」
天より射す光に目を細めつつ、宵蔭が囁けば。彼に頷くシノアもまた、眼帯越しの瞳を輝かせて凛と告げる。
「逃しはしないわ。……朝日を望むその時まで。この宴を、楽しみましょう?」
大成功
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チェルソ・ベルルーティ
薄荷・千夜子様(f17474)と
理解しました。この不浄なる魂を、せめて速やかに過去に還して差し上げましょう。それが僕らの最優先事項ですから。
アミラ様と眷属様に【精神攻撃】いたします。僕からの福音を聞くのです……おや、[言語回路]にバグが。
彼女は若い女性を甚振ることを好むと聞きました。千夜子様を狙ったときに僕が【かば】ったら更に反感の感情を引き出せるでしょう。僕には【激痛耐性】があるので支障はありません。
そして千夜子様とタイミングを合わせてUC【神罰】を使用。眷属ごと、浄化処理いたしまょう。
何かあれば【学習力】【第六感】で気付きたいです。
「祓い、浄化する。成る程、確かに専売特許です」
薄荷・千夜子
チェルソ君と(f15797)
彼が眷属となる前に助けられたならとも思いますが、儘なりませんね。
これ以上の被害を出さないためにも、終わらせましょう。
「彗、お願いしますね」
笛を吹きならし、相棒の鷹には[飛星流克]を使用した【援護射撃】でサポートを。
庇うチェルソ君には驚いた様子で
「合理的でも無茶はダメですよ!?」
心配ですが、この機を逃しませんよ!
チェルソ君に視線で合図を投げ、彼の光に合わせUC【操花術式:花神鈴嵐】に【全力魔法】【破魔】【マヒ攻撃】【毒使い】を乗せてアミラ、眷属を巻き込むように使用
逃げると言うのなら、逃さぬようにするだけです!
「我々は、魔を祓うのは得意分野ですよ?」
天星・暁音
零と連携
時間との勝負とはいえここまで来たら俺のやることは皆を癒すこと…仲間達に癒しの加護を…そして彼を解放する
「業腹だから出来れば自分でもふっ飛ばしたいところなんだけど、自分の役目を忘れる気はないからね」
戦闘知識等で戦況を把握しながらある程度は銃や銀の糸での攻撃にも参加します。
主に零の側での行動を心がけます
仲間の援護に【UC・勇気の祝福】で鼓舞し【UC・祈りの抱擁】で祈りと全力魔法で仲間達を癒します
癒しに全力注ぐので疲労度は高くなるのでうっかり近づかれて危なくなる場面もあるかも
危ない場面でも覚悟で目を閉じたり怯えたりはしません
「貴女の悪趣味で弄んだ人たちの為に…貴女を永遠の闇へと放逐する!」
天星・零
暁音と連携
『悪趣味な事だ。ふふ…遊びにお付き合いしますよ。』
序盤は零と暁音
中盤以降は装備enigmaの効果を使い暁音と3人で連携
終盤、相手がどの様な気持ちで男性といるか確かめる為男性を集中攻撃
A グレイヴ・ロウ
B 星天の書-零-
C Punishment Blaster
【第六感、情報収集、世界知識、戦闘知識】で戦況把握しつつ、暁音(味方)の動きを把握しAとBでの【オーラ防御】などで守る
両人格も近接はØで対抗
零はA、夕夜はAとCで敵を狙い遠距離、可能なら【ゼロ距離射撃】
夕夜は指定UCで敵を攻撃範囲上に移動させたり叩きつけたり試みる
『どんな理由があれ、貴方は人殺しですよ(だぜ)』
口調はステシ参照
「彼が眷属となる前に……助けられたなら、とも思いますが」
闇を見通すように細められた、薄荷・千夜子(鷹匠・f17474)の瞳の先――其処には、伯爵夫人アミラの召喚した従僕が、荊棘を纏って立ちはだかっていた。
――彼の名前や、今までにあった出来事など、詳しいことは何も分からなかったけれど。儘なりませんねと呟いた千夜子は、気持ちを切り替えるように長い髪をさらりと揺らすと、決然とした態度で顔を上げる。
「これ以上の被害を出さないためにも、終わらせましょう」
「千夜子様……はい、理解しました」
彼女の側で、恭しく頷いたチェルソ・ベルルーティ(清濁併鈍・f15797)は、ヴァンパイアの首魁を前にしても優美な笑みを湛えていて。自身の下した『神託』も同じ結論に至ったのか――彼は、何処か客観的な様子で為すべきことを告げた。
「この不浄なる魂を、せめて速やかに過去に還して差し上げましょう。……それが、僕らの最優先事項ですから」
――しかし、少しでも不利だと感じたら、アミラは躊躇なく従僕を盾にして逃走を図る筈だ。時間との勝負になるだろう、と天星・暁音(貫く想い・f02508)は星杖を握りしめて強く祈る。
「とは言え、ここまで来たら、俺のやることは皆を癒すことと――」
逸る心を落ち着けて、祝福を口ずさむ暁音が齎すのは闇祓う光の加護。その勇気を奮い立たせる祈りに、微笑みを返した天星・零(多重人格の霊園の管理人・f02413)は、虚空の刃を取り出して従僕の青年と向き合った。
「仲間達に、癒しの加護を……そして、彼を解放する」
「しかし、たった一人の味方とやらを時間稼ぎに使うとは、悪趣味な事ですね」
それでも、遊びに付き合うのはやぶさかではないと言うように、零が十字架の墓石を突き立てれば――甲高い笛の音で鷹を操る千夜子は、仲間の援護を行おうと飛星流克の矢を放つ。
「彗、お願いしますね」
そうして、相棒に一声かけた後で友人を見遣ると、チェルソは精神攻撃をアミラ達に行っているらしく、何やらぶつぶつと呟いていた。
「僕からの福音を聞くのです……おや」
――と、言語回路にバグが生じたのか、無自覚でとんでもないことを口にしていたのはさておき。そんな中で、戦況の把握をしつつ戦いを進めようとしていた暁音と零は、今一つ決め手に欠けているようだ。
「業腹だから、出来れば自分でもふっ飛ばしたいところなんだけど」
そう言って聖なる銀糸を構える暁音だったが、自身の役目を忘れるつもりはないらしい。攻め立てる従僕によって仲間たちが負った傷を、神聖なる光で瞬く間に治療していくと――其処でチェルソが、膠着した状態をどうにかしようと意見を述べる。
「彼女……アミラ様は、若い女性を甚振ることを好むと聞きました。ならば、千夜子様を狙ったときに僕が庇ったのなら、更に反感の感情を引き出せるでしょう」
「って、合理的でも無茶はダメですよ!?」
咄嗟に千夜子が待ったをかけたが、痛みには耐性があるので支障はないと頷くチェルソ。そう――彼の操る神罰は、反感を得たものに対して威力を発揮するのだ。
「……うう。心配ですが、この機を逃す訳にはいきません」
――そっと視線で合図を送り、アミラの前に千夜子がその身を晒せば。寸前で彼女を庇ったチェルソが鮮血の荊棘を阻み、直後に聖痕から放たれた光が、邪なるものを燃やし尽くそうと牙を剥いた。
「逃げると言うのなら、逃さぬようにするだけです!」
チェルソの聖なる光に合わせて、全力で千夜子が行使するのは、退魔の血脈が織り成す操花術式――花神鈴嵐。
「我々は、魔を祓うのは得意分野ですよ?」
「……祓い、浄化する。成る程、確かに専売特許です」
うつくしき鈴蘭の花びらが吹き荒れる中で、別人格と意識を共有した零は、従僕を狙い攻撃を繰り返す。アミラがどのような気持ちで彼と居るのか――それを確かめたかったのだが、彼女が取り乱す様子は見られなかった。
「しかし、どんな理由があれ……お前は人殺しだぜ」
――零の別人格、夕夜がそう吐き捨てると、零距離での砲撃が眷属を巻き込み、一気にアミラを貫いていって。疲労の蓄積した暁音は、立っているのもやっとの状態だったが、それでも目を閉じ怯えたりはしないと誓っていた。
「貴女の悪趣味で弄んだ人たちの為に……今、俺たちは貴女を永遠の闇へと放逐する!」
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
アルカ・キルジャッジ
この女性が首魁、と。
綺麗な身なり、雑な自分とは大違いだねぇ。
ジャージの色は血と同類なんだけど。
【ゴッド・クリエイション】でアルカ人形を錬成、身長は二倍。
(口調を改めて)
アミラとやら。今この時が、そなたに与えられた最後の時間だ。
そなたを討つのに、神に救いを求める必要はない。わたしが神だ。裁きを受けるがいい。
ものぐさゆえ、木刀による物理であるが、な。
アルカ人形との同時連携攻撃を仕掛ける。
もしも従僕が健在で、それを呼ぶならば、そちらとの戦いを優先しよう。
哀しいか、従僕。数多の村娘を葬送しながら自分だけが空しく動いているという事実が恨めしいか。
わたし達がその軛から解き放ってやろうぞ。
レガルタ・シャトーモーグ
従僕に横槍を入れられると面倒だ
先にそっちをどうにかしないとな
既に従僕が参戦してるなら、まずは従僕を倒す事に専念
まだ従僕を召喚していないなら、召喚したくなるように追い詰める
正面から戦うより、絡め手で攻める
ワイヤー付き飛針を顔面目掛けて飛ばして牽制
気を取られている間に一気に側面から距離を詰め「背面強襲」を行う
攻撃の可否に関わらず、一撃離脱し再度の隙を伺う
従僕も基本的には動きは同じだが、麻痺毒を塗ったの飛針で四肢を攻撃し、アミラの元へ行けないように機動を奪い【暗殺】
おそらく従僕を亡くしても、アミラは気にも留めないだろうが
その楔を砕くのも、仕事の内だろう
墓くらいは掘ってやる
華折・黒羽
ぱきり
屠を纏っていた氷花の欠片が舞う
欠片はそのまま詠唱の声に導かれ
喚び出された黒の獅子へと化粧を施していく
王の身支度が整う前に
自身は地を蹴って駆け出そう
立ちはだかる者は誰であろうと斬り捨てる
剥き出しの刀身で敵の攻撃を受け、なぎ払い
その命を吸いながら戦場に立ち続け
激痛すらも歯を食い縛って
命を賭して誰かを、何かを守るのは紛れも無い美徳
彼が俺達の守るべきものに襲い来る脅威だというのなら倒すまで
俺も、命を賭して
けれど…
─あなたが本当に守りたかったものは、何だったんですか
問い掛けずにはいられなかった
来る前に、墓の話を聞いていたから
剣戟により拓いた道は王の道
戴冠した黒帝が
目の前の敵へと喰らい付くだろう
「……この女性が首魁、と」
ふらりと戦場に舞い降りた流浪の神、アルカ・キルジャッジ(ジャージ神・f19752)は、異世界に君臨する暴君――伯爵夫人アミラを、静かに見つめて呟いた。
(「綺麗な身なり、雑な自分とは大違いだねぇ」)
――ジャージの色は、血と同類なんだけど。すっかり普段着として定着した赤ジャージを摘まみつつ、彼女が零した吐息は、神として過ごした長い時を思い起こしていたからか。
「アミラとやら。今この時が、そなたに与えられた最後の時間だ」
やがて――アルカは重々しくも冷徹に、目の前のオブリビオンへ審判を下す。神話を再現するかのように、ひとを模した創造物へと生命を吹き込み、傍に置いて。
「そなたを討つのに、神に救いを求める必要はない。……わたしが神だ」
――創造することと、支配することは別だ。そんな意思を言外に滲ませながら、アルカは手に馴染んだ雑刀をひゅんと一振りさせて、アミラへ突き付けた。
「裁きを受けるがいい――」
しかし、向こうも後がないらしく、アミラは従僕の青年――たった一人の味方と呼ぶ彼を盾に、この場を凌ごうと算段を巡らせているらしい。
(「従僕に横槍を入れられると面倒だな」)
先に、そっちをどうにかするべきか――冷静に暗殺の手順を確認する、レガルタ・シャトーモーグ(屍魂の亡影・f04534)が、瞬時にそう判断を下すと。闇夜に羽ばたく漆黒の翼が不吉な音色を奏でると同時、レガルタの裾口に潜ませた暗器が、音も無く放たれた。
(「……アルカに気を取られているなら、搦め手で行く」)
ワイヤーに導かれた飛針が狙いを定めたのは、従僕の顔面で。牽制にしては余りに鋭い一撃が、彼の注意を引き付けた所で、華折・黒羽(掬折・f10471)が動いた。
――ぱきり。
宿主に纏わりつく屠が震え、剥がれ落ちた氷花の欠片が月光を浴びて舞い踊る。
(「……此度白姫より賜る誉、縹を冠し冬の王となる」)
厳かな黒羽の詠唱によって導かれたそれは、喚び出された黒の獅子へと戦化粧を施していき――彼の獅子王が身支度を整えるその前に、黒羽は地を蹴って一気に駆け出していた。
(「立ちはだかる者は、誰であろうと斬り捨てる」)
――剥き出しの刀身が、従僕の操る荊棘を受け止め、そのままなぎ払い、生命を啜る。躱しきれなかった荊棘が、己の肌を抉る痛みに歯を食いしばり、それでも戦場に立ち続けるのだと誓いながら。
「遅い……!」
と、黒羽と対峙する従僕の側面から、一気にレガルタが距離を詰めた。暗殺用のナイフが翻り、内臓を抉ろうと強襲を仕掛け――鳥兜の花が視界に過ぎったと思った時には既に、小さな暗殺者は手の届かない場所まで跳び退っている。
「哀しいか、従僕。数多の村娘を葬送しながら、自分だけが空しく動いているという事実が、恨めしいか」
レガルタの塗りこめた麻痺毒によって、徐々に動きが鈍くなっていく従僕へ向けて、淡々と投げかけられるアルカの問い。生命を与えた人形と共に、木刀によるシンプルな攻撃を叩きつける彼女のまなざしは――正に神の如く、慈悲と無慈悲を併せ持っていた。
「わたし達が、その軛から解き放ってやろうぞ」
――おそらく従僕を亡くしても、高慢なアミラは気にも留めないだろう。が、その楔を砕くのも、仕事の内だと、レガルタは暗殺の業を行使し続ける。
「……墓くらいは掘ってやる」
命を賭して誰かを、何かを守るのは紛れも無い美徳だ。だから――彼が、自分達の守るべきものに襲い来る脅威だというのなら、倒すまで。
「俺も、命を賭して。けれど……」
其処まで想いを巡らせた黒羽であったが、その青の双眸が揺らめき――乾いた唇からは、掠れた問いが零れ落ちた。
「―─あなたが本当に守りたかったものは、何だったんですか」
そう問い掛けずには、いられなかった。来る前に、墓の話を聞いていたから。それでも。
「──此の命、王と供に」
想いを断ち切るような剣戟が拓いた道は、王の道となって。刹那、白姫の縹により戴冠した黒帝が、目の前の従僕へと一気に喰らい付いた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ノエマ・アーベント
そんな悪趣味な戯れで、どれだけの娘が血を流し、命を落としていったのかしら
遊び相手がほしいなら、私が代わりに付き合うわ
そして欲望塗れの貴女の罪を、この手で裁いて終わらせてあげる
囁くように口遊むのは、【赤と黒のカデンツァ】
殺された娘達の魂を、この身に取り込み、真の力を解き放ち
同時に受ける苦しみは、『彼女』に与える罰の痛み
纏った闇のオーラで身を防ぎ、荊棘の軌道を見切って受け止め
禍々しい姿に変わった振り子ギロチンで、彼女の生を断ち斬るわ
宴の時間はもうお終いよ
今更赦しを乞うつもりなら、骸の海に還って悔いなさい
奪った命の代償は、貴女の命と、引き換えに――
最期に咲かせる手向けの花は、自分自身の血になったわね
ノワール・コルネイユ
貴様の為に流れた血は余りに多すぎる
失われた何もかもが還らず、刻まれた痛みは消えやしない
嗚呼、全てが手遅れだと言ってもいいだろうよ
積極的に距離を詰め、近接戦闘を挑む
【殺気】を込め、こちらに気を惹きながら食いつけば
他の猟兵が刺す隙も作れるだろう
生憎、性悪にくれてやる血は持ち合わせちゃいない
血が欲しけりゃ奪うことだ
野蛮な吸血鬼らしくな
攻防の最中、隙を捉えられたなら
【串刺し】を突き入れ、赤雷を奔らせながら【傷口をえぐる】
此処が血の宴、血を集める器だというのなら
貴様の血で満たして、それで最後
全て終わりにしてやる
喩え全てが手遅れなのだとして
それでも…貴様がいる明日より、貴様がいない明日のほうが遥かにマシだ
――其が呼び起こすのは、刑具としての血の記憶と、断罪されし咎人達の霊と、解き放たれし虚無の闇。
「こんな悪趣味な戯れで、どれだけの娘が血を流し、命を落としていったのかしら」
囁くように口遊む、赤と黒のカデンツァが血の宴に彩を添え――狩るものと狩られるもの、宴の主と餐の立場は、ゆっくりと入れ替わっていく。
「遊び相手がほしいなら、私が代わりに付き合うわ」
殺された娘達の魂を取り込み、その代償に受ける苦しみすらも、己の力と化して。秘めたる力の一端を解放した、ノエマ・アーベント(黄昏刻のカーネリア・f00927)の灰色の髪がざわりと揺れるや、依り代であるギロチーヌが禍々しくも神々しい姿へと変化した。
「……そして。欲望塗れの貴女の罪を、この手で裁いて終わらせてあげる」
――自身を苛む苦痛は、『彼女』に与える罰の痛みだ。故に、簡単には死なせない。死の間際まで苦しみと絶望を味わい続けた、死者達の無念をその魂のすべてに刻みつけるまでは。
「そうだ、貴様の為に流れた血は余りに多すぎる」
宵闇よりもなお深い、深淵を窺わせる声音で罪過を告げるノワール・コルネイユ(Le Chasseur・f11323)も、一切の慈悲を捨てて銀の剣を構えていた。
「失われた何もかもが還らず、刻まれた痛みは消えやしない。……嗚呼、」
全てが手遅れで、それがこの世界を支配する理なのだとしても――ノワールは滅びに抗い、その身を怪物に変えることも厭わないのだろう。
「生憎、性悪にくれてやる血は持ち合わせちゃいない。血が欲しけりゃ奪うことだ」
――闇を切り裂く銀の輝きに、たっぷりの殺気をまぶして気を惹いて、喰らい付けとばかりに一閃させる。
「……野蛮な吸血鬼らしくな」
そうして、ノワールが囮となって作り出した隙を突いて――振り子のように揺れるノエマの刃が、呪われた伯爵夫人の生を断ち切ろうと襲い掛かった。
「宴の時間はもうお終いよ――」
咄嗟に動いたアミラが、苦し紛れに突き出した荊棘の軌道すらも見切って、纏う闇が更にそれを受け止めて。黄昏色に染まるノエマの瞳は、おびただしい血を流して崩れ落ちたアミラへと迫る、ノワールの剣先をひたと見据えていた。
「それでも此処が、血の宴――血を集める器だというのなら。貴様の血で満たして、それで最後」
――銀剣が纏うのは、彼女の生命力の発現である破邪の雷。全て終わりにしてやるのだと呟き、ノワールは迸る赤雷を串刺しと同時に突き入れ、そのまま一気に傷口を抉った。
「……今更赦しを乞うつもりなら、骸の海に還って悔いなさい」
直後、吸血鬼の館に響き渡る、アミラの絶叫を悠然と受け止めて、ノエマのギロチンが再度振り下ろされる。
「奪った命の代償は、貴女の命と、引き換えに――最期に咲かせる手向けの花は、自分自身の血になったわね」
喩え、全てが手遅れなのだとしても――むせ返るほどの血臭に包まれたノワールは、頬に飛び散った紅を無造作に拭って、冷たく吐き捨てた。
「それでも……貴様がいる明日より、貴様がいない明日のほうが、遥かにマシだ」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
東雲・咲夜
うちに出来ることを…
出逢い頭は敵も味方もあらへんと
艶やかな風貌に思わず見惚れてしまいます
うちも齢を重ねたら、あそこまでとは言わへんけど
嬌艶に近づけるやろか…
常世の月煌も美しい思いますけど
月夜見様の冴え冴えしい輝夜も如何です?
奏でるは、此の世の者では聴き取れへん神の謡
同じ滾りに焦がれる血族として
理解出来へん訳やあらしまへんけど
必要以上に他人の安寧を脅かすんはいただけまへんな
周辺に飛び散らはった眷属や夫人の紅血
指先を宙に撫ぜれば
其の血を呼び集め創造する、幾十たる鋭き赫針
さぁ、其の身へお返し致しまひょ
そちらの従僕さんも、そろそろ自由になってええ頃合いや
天で待ってはる皆さんの処へ…おはようおかえりやす
ルフィーノ・ファルネティ
【花守】
さて、こんばんは
起き抜け早々に悪いけど――夜更かしはお肌の敵だよ、ご夫人?
――眠れぬのなら、眠らせてあげようじゃないか
夫人の遊び相手はじゃじゃ馬様に譲り、私は従属君のお相手を
再びリザレクト・オブリビオンの2体を前衛とし牽制役に――時間稼ぎを許さぬよう、従属君を挟み撃ち、夫人との間を断つよう攻撃
剣と牙には氷属性攻撃と縁断つ呪詛纏わせ、足鈍るよう阻害
自身は敵の狙いに注視しつつ、2体の影に紛れ隠れて立回りを
周囲に溶ける色のオーラ防御纏い撹乱し、極力負傷を回避
されど無傷で終わるとも思わない――いざとなれば自ら従属君に迫り、この手と刃で抑え、断つ心算で
お休み
悪い夢は、もう終わりだよ
出逢い頭は、ただ敵も味方もなく――魔性の美が形づくる、夫人の艶やかな風貌に思わず見惚れてしまっていた。
(「うちも齢を重ねたら、あそこまでとは言わへんけど……。嬌艶に近づけるやろか……?」)
雪色の肌に仄かな朱を浮かべ、東雲・咲夜(詠沫の桜巫女・f00865)はとくりと高鳴る胸元に、そっと手を当ててみたけれど。自分に出来ることを、と確り己へ言い聞かせ、彼女は穢れに染まらぬ歌声で祝詞を紡ぐ。
「さて、こんばんは。起き抜け早々に悪いけど――夜更かしはお肌の敵だよ、ご夫人?」
咲夜の謡によって、現世と幽世の門がゆっくりと開いていく中、死霊の騎士と蛇竜を従えるのはルフィーノ・ファルネティ(マスカレイド・f10784)。たった一人の彼女の味方である従僕の青年は、度重なる酷使によって既に満足には動けない様子であったが――それでも、彼の時間稼ぎを許す訳にはいかない。
「――眠れぬのなら、眠らせてあげようじゃないか」
品良く整った唇が、うっとりとした笑みを刻んで。芝居がかった仕草で礼をするルフィーノは、果たして道化か死者の王か。操る禁術の僕たちは、夫人と従僕の繋がりを断つように剣と牙を振るって、纏う呪詛と六花の呪縛が、彼らの足取りを鈍らせていく。
「常世の月煌も美しい思いますけど……月夜見様の、冴え冴えしい輝夜も如何です?」
此の世の者では聴き取れぬ、月読命へと捧げる咲夜の謡はまるで――鏡のように透き通った水底へ、うつくしく溺れていくかのよう。
(「……同じ滾りに焦がれる血族として、理解出来へん訳やあらしまへんけど」)
――月光の毒を注ぐ彼女の姿は、陽の許とは趣を異にした吸血妃。けれど、必要以上に他人の安寧を脅かすのはいただけないと、その儚き指先が辺りに飛び散った紅血を示し、宙を撫でた。
「さぁ――其の身へお返し致しまひょ」
其の血を核に生み出された、幾多の鋭き赫針が幽玄なる月夜に、雨となって舞う中で。死の舞踏を踊る、騎士と蛇竜の影に紛れたルフィーノは、闇色のヴェールに包まれたまま、従僕目掛けて黒き剣を振り下ろした。
「……お休み。悪い夢は、もう終わりだよ」
自らの手と刃で抑え、その命を絶つ決意を秘めたルフィーノの囁きと同時――胸元から血の花びらを散らせた従僕の姿は、輪郭を失って夜のしじまに溶けていく。
「そう、そろそろ自由になってええ頃合いや」
――そうして最後の頼みの綱を失い、死霊に貪られるがままになっていたアミラは。骸の海へと引き摺られていく己を、世界から排出された過去の存在に戻っていく己を――ただ呆然と見つめることしか出来ずにいた。
「天で待ってはる、皆さんの処へ……おはようおかえりやす」
手向けの言葉は、望まざる不死を与えられた従僕の青年へ。咲夜がふと見上げた夜空の彼方には、墓標を彩る鮮やかな彼岸の花が、火の粉のように涙の切れ端のように――風に乗って舞い上がっていくのが見えていたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『忘れ去られた墓で』
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
――かくして血に濡れた伯爵夫人の、悪夢のような宴は終わりを告げた。
村の娘たちが、これ以上犠牲になることは無く――眷属となり仕え続けていた青年も、その永遠の呪縛から解放されたのだ。
亡骸が存在せぬ墓を、作り続けていた彼が消滅したことで、屋敷に広がる墓地もやがては忘れ去られていくのだろう。
名も知らぬ青年と名も無き幾多の墓は、ひっそりと過去に埋もれていく――きっと、それで良いのだろう。この絶望の世界では、過去の悲劇を語り継いでいくよりも未来への希望を見いだす方が、ひとびとにとっては大切なことなのだから。
(「……けれど、どうか」)
――血の宴を終わらせてくれた、勇敢なる猟兵たちよ。せめて貴方たちだけでも、この墓地の終わりを見届けて、別れを告げて欲しいのだ。
無念の血潮か、或いは情念を宿した炎の如く――鮮やかに咲き誇る彼岸花も、やがては枯れゆくだろう。
(「死を、思え」)
巡り巡るいのちが、土に還り海へと辿り着く。その涯をどうか、祈って欲しい――。
黒蛇・宵蔭
シノアさん(f10214)と
墓があるだけ僥倖というのは如何にも人らしい。
吸血鬼の虜とされた、彼の拠り所だったのかもしれませんね。
悲しいほどに美しい彼岸花ですね。
ふふ、私には墓参りする故郷はありませんからね。
あったとして死者の誰も喜びませんから。
シノアさんは?
なるほど、勝ち逃げは卑怯だ。
若くして慧眼すぎたのかもしれませんね。
忘れて先を生きて欲しいという願いも。
忘れないで待っていてほしい、というのも。
どちらも死者の願いなのかもしれません。
灰になるときには、共に逝きたいと想う相手が。
きっといざという時には、生きて欲しい人なのでしょうねぇ。
血濡れた決闘場でも舞踏会でも。
貴方は何時でも華やかですよ。
シノア・プサルトゥイーリ
宵蔭(f02394)と
全てに終わりは訪れる
この墓が埋もれることは、彼に漸く終焉が訪れた証でもあるのでしょうね
弔いはあっても墓参りは久しぶりね
ーー…、宵蔭、貴方は?
私は…そうね、ずっと待ち続けている人はいるの
私を負かせて勝ち逃げした相手で
夜明けまでには戻ると言って結局、ね
此処に眠る人々も、誰かに待たれていたのかしら
死者の願い…、今を生きる私達には難しいことね
けれど、そうね。その願いは少しだけ理解できる
私が灰となる時は…ふふ、いいえ。
共に逝きたいと言うよりは…そうね、本当に生きていて欲しい人たちよ
私には墓場より血濡れの舞台が似合うもの
ーーありがとう、宵蔭
貴方も血濡れの宴でも舞踏会でもとても素敵よ
陽の射さぬ常夜に咲く、彼岸の花――闇のなか浮かび上がる、その鮮やかな紅は悲しいほどに美しく。立ち並ぶ墓石の群れに目を向けた黒蛇・宵蔭(聖釘・f02394)はやがて、靜かな死が横たわるその世界を、ゆっくりと歩き出した。
(「墓があるだけ僥倖というのは、如何にも人らしい」)
――死した後、埋葬を行い生きた証を遺す。それは死者と生者、双方の為でもあるのだろう。死者を偲び忘れずにいること、死後の安寧を祈ること――それは吸血鬼の虜とされた、彼の青年の拠り所だったのかもしれない。
(「……そう、全てに終わりは訪れる」)
そして闇の世界に訪れる、新しい一日のはじまりも間もなくであると、シノア・プサルトゥイーリ(ミルワの詩篇・f10214)は微睡みかけた瞳を、そっと瞬かせて。
(「この墓が埋もれることは、彼に漸く終焉が訪れた証でもあるのでしょうね」)
だから、この終わりを見届けることは、彼を看取ることにも繋がるのだと――墓碑銘が刻まれぬ、からっぽの墓を前に、シノアは傍らの友人へと声を掛けた。
「弔いはあっても、墓参りは久しぶりね。――……、宵蔭、貴方は?」
「ふふ……私には、墓参りする故郷はありませんからね」
――常と変わらぬ、穏やかな声音。しかし言外に、あったとしても死者の誰も喜ばないだろう、と自嘲のいろを滲ませて、宵蔭が微笑む。
「シノアさんは?」
「私は……そうね、ずっと待ち続けている人はいるの。私を負かせて、勝ち逃げした相手で」
夜明けまでには戻ると言って結局、ね――そう続けたシノアがいつも、日の出を確認してから眠りにつくのも、既に当たり前のことになっていて。
「なるほど、勝ち逃げは卑怯だ。……若くして慧眼すぎたのかもしれませんね」
ああ、此処に眠る人々も、誰かに待たれていたのだろうか。知らず問いを重ねるシノアに、穏やかな笑みを浮かべたまま、宵蔭が告げる。
「忘れて先を生きて欲しいという願いも。忘れないで待っていてほしい、というのも。……どちらも、死者の願いなのかもしれません」
「死者の願い……、今を生きる私達には難しいことね」
――ざぁ、と風が吹いて、彼岸の花びらが闇夜に舞って。絡まる桜色の髪を押さえながら、俯いたシノアの睫毛が微かに震えるも、顔を上げた彼女はいつもの凛々しさを取り戻していた。
「……けれど、そうね。その願いは少しだけ理解できる」
それでも、この身が灰になるときには、共に逝きたいと想う相手が――きっといざという時には、生きて欲しい人なのだろうと、宵蔭は思う。その想いはシノアも同じで、大切に思うからこそ生きていて欲しいのだと、呟いて彼女は知らず笑みを零した。
「私が灰となる時は……ふふ、いいえ。私には墓場より、血濡れの舞台が似合うもの」
「……血濡れた決闘場でも舞踏会でも。貴方は何時でも華やかですよ」
――そうして彼岸花の群れに抱かれたふたりは、顔を見合わせて、悪戯を楽しむようにくすくすと笑い合う。
「――ありがとう、宵蔭。貴方も……とても素敵よ」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ディフ・クライン
マレーク(f09171)と
…墓を前に、少し戸惑う
オレには感情がない
だから、心から悲しんだり悼んだりは出来ていない
慰霊碑……わかった。花を供えて、祈ればいいんだね
マレークに倣い祈りを捧げ
形だけの祈りかもしれない
でも、安らかにと思う気持ちは嘘じゃないんだ
マレークの気遣いに首を横に振り
大丈夫。思うところがないわけじゃないけど、花は花だ
マレークは、前に自分は優しくないと言っていたけど
人形のオレを、貴方は幾度も気遣ってくれる
オレは、マレークの方が少し心配だ
…マレークは、そんなに傷つかなくてもいいんじゃないかって、思うんだ
墓標だという盾を見て
どうかそこに行くのが、目一杯生きた先でありますようにと、心の中で
マレーク・グランシャール
ディフ(f05200)と
ディフを誘い、彼岸花を摘んで墓に手向け、墓石に死者の魂の安寧を祈る言葉を刻む
たとえそこに遺体がなくとも、犠牲者と墓を建てた者を悼む気持ちに変わりないから
墓というより供養碑だと思えばいい
ディフの過去に何があったか詮索する気はない
ただ血のような赤い花にも思い出してしまうかもしれない
付き合わせてすまない
そして俺のような男のことを案じてくれてありがとう
せめて優しい彼のこれから見る赤が、美しい花や愛らしい乙女の、希望と幸福に満ちた色であることを祈ろう
いずれ想いは記憶から忘れられ、生きた証に刻んだ名も風化して消えゆく
だが視線を移せば向こうに銘を刻んだ友の盾が見える
あれが俺の墓標だ
墓地と言う、死者を祀る土地ゆえのことか――物言わぬ墓石の群れは、降り積もる雪に覆われた、極寒の地の景色をディフ・クライン(灰色の雪・f05200)に思い起こさせた。
――しぃんと静まり返って、すべての音が大地に吸い込まれていくかのような、静謐なる光景。永遠に時を留めることを願い、死者の為に作られた墓を前に、ディフの瞳は戸惑いに揺れる。
(「オレには感情がない。だから、」)
心から悲しんだり悼んだりは出来ていないのだ、と所在無さげに佇むディフに――彼を墓参りへと誘った、マレーク・グランシャール(黒曜飢竜・f09171)は、彼岸花を墓に手向けつつ声を掛けた。
「たとえそこに遺体がなくとも、犠牲者と墓を建てた者を悼む気持ちに変わりない。だから……墓というより、供養碑だと思えばいい」
そうしてナイフを手に、墓石にマレークが刻むのは、死者の魂の安寧を祈る言葉。弔鐘のように訥々と、乾いた刃の音色が墓地へと響き渡る中で――わかったと頷いたディフは、彼に倣って花を供え、祈りを捧げる。
(「……形だけの祈りかもしれない、でも」)
――安らかにと思う自分の気持ちは、嘘ではないのだと。見えないものと語る術を持つ、うつくしき機械人形の姿をただ黙って見守りながら、マレークは館での一件を思い起こしていた。
ディフの過去に何があったか、詮索する気はないけれど――彼は血のにおいを忌避し、ひどく苦しんでいたのだ。だとすれば、ただ血のように赤い花を見ても、何かを思い出してしまうのかもしれない。
「付き合わせてすまない。そして……俺のような男のことを案じてくれて、ありがとう」
――やがて、マレークの口から零れたのは、ディフに対する謝罪と感謝の言葉。そんな飾らぬ彼の、真っ直ぐな気持ちと気遣いに、ゆっくり首を振ったディフは「大丈夫」と呟いて彼岸花の園を見渡す。
「思うところがないわけじゃないけど、花は花だ。それに、マレークは、前に自分は優しくないと言っていたけど――」
ディフのまなざしが次に捉えたのは、名も無き墓に刻まれた祈りの言葉で。
「人形のオレを、貴方は幾度も気遣ってくれる」
そう言いつつも、マレークの方が心配なのだと告げるディフには、血を流し命を削って戦う彼の姿が焼き付いているのだろう。
「……マレークは、そんなに傷つかなくてもいいんじゃないかって、思うんだ」
その言葉に何かを返すよりも先に、マレークは――優しいディフのこれから見る赤が、美しい花や愛らしい乙女の、希望と幸福に満ちた色であるようにと、ただ祈っていた。
(「いずれ想いは記憶から忘れられ、生きた証に刻んだ名も風化して、消えゆくのだ」)
それは、今こうして自分が刻んだ祈りさえも例外では無く――しかしマレークが視線を移せば、其処には銘を刻んだ友の盾が、彼岸花の咲き誇る中で鈍い輝きを放っている。
「あれが、俺の墓標だ」
墓標、と告げられたそれを見つめるディフもまた、彼のことを想い、ただ無心に祈りを捧げていた。
(「ならば、どうかそこに行くのが、貴方が目一杯生きた先でありますように……」)
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ランドルフ・リードル
【KHR】
(いつか様子を見に来る誰かがいるかもしれない)
その時のことを考え、お墓の周囲を清掃
この墓自体に意味があるかと言えば、僕は楔に思う
その無念がオブリビオンとなってしまわないよう、誰に知られずとも捧げられた鎮魂と解放の祈りの証
(当人達や遺族がどう思うかは僕には判らないが…彼らの無念が別の悲劇を招かないよう)
弔うのは生きてる者の為に行われるものだが、僕なりに彼らへ祈ろう
キョウスケの彼岸花の手入れを見つつ
「赤は色々だよな
血や炎は強い赤だが…朝焼けの赤は優しい」
そういう赤も戻ってくればいいな
ハルトの毒抜きを見、
「僕は肉食べたい」
お腹溜まるもの希望
「あと、墓石は村人だけが壊していいものだと思うぞ」
仁科・恭介
【KHR】
アミラを無事に倒し二人が無事なのを見てほっとしつつ、彼岸花の咲く墓に向かう。
見渡す限りに広がる赤を見て胸が痛み墓地の端に移動する
墓石を綺麗に直し、墓の周りの彼岸花を刈り別の華の種を植えていく
「今までは血のような赤一色だった。これからは違う色で覆われるといいね」
村人が墓参りに来るかは分からない
だから、せめて赤一色のところに別の色が映えるように
そう願いつつ作業を進める
ふと見るとハルトが彼岸花を毒ぬきし始めたのをみて注意する
「いつかはこの墓も土に帰るとはとはいえ、今食べるのはどうかと思うぞ」
「ランディみたいに故人を思うとか…ほら、ランディも突っ込み入れてるし…!」
日埜・晴翔
【KHR】
掃除ねぇ……辛気臭い彼岸花をUCで刈り取るか。
他の花を植えたほうが、見た目も良くなるだろ。
そういや、彼岸花って水で毒抜きしたら食えるんだよな。
この戦いの慰労会で食える物も館にないし、コイツでなんか……あ、肉も狩ってくる? 止められたら、素直に従っとこう。
生きてる奴の都合で、こんな物(墓石)に縛られるなんざ理解できねぇな。
コイツらは望んだのか? 縛られることを。この地にとどまることを。
骨の代わりに墓石を砕いて、空葬でもすれば、コイツらは自由になるんじゃねぇの……?
それもまぁ、オレの勝手な妄想だけどな、と思いつつUCを向かわせる。
これも止められたら自粛はするけど、理解はまだ、難しい。
血に濡れた伯爵夫人を無事に倒し、館を後にして、彼岸花の咲く墓地へ――其処で仁科・恭介(観察する人・f14065)が目にしたのは、見渡す限りに広がる赤だった。
(「……これ、は」)
徐々に恭介の瞳にも混ざりつつある、その色合いは鮮やかな血を思わせて。胸の痛みを覚えた彼は、墓地の端の方へと向かい、墓石の整備と清掃を行うことにした。
「いつか、様子を見に来る誰かが……いるかもしれないしな」
周囲の清掃に加わるランドルフ・リードル(心優しきヘタレ・f19446)は、その時のことをきちんと考えてくれていたらしい。今は、辛い記憶ばかりが思い出されるだろうが――領主の支配から解放されたひとびとが、犠牲になった娘たちや青年のことを悼んで、彼らと向き合う日が来るかも知れない、と。
「掃除ねぇ……取り敢えず、辛気臭い花を刈り取るか?」
一方で日埜・晴翔(嘘つき×快楽主義の軟弱メンタル・f19194)は、血を思い起こさせる彼岸花をどうにかしようと考えたようだ。すっかり操るのも手慣れてきた、小型機械兵器を召喚して、墓石を呑み込むように群生する彼岸花を一気に刈っていく。
「他の花を植えたほうが、見た目も良くなるだろ」
「ああ、今までは血のような赤一色だった。……これからは、違う色で覆われるといいね」
そうして、墓の周りに別の花の種を植えていく恭介は、改めて――ランドルフと晴翔、ふたりの無事を確認してほっと息を吐いた。
(「村人が、墓参りに来るかは分からない。それでも……せめて赤一色のところに、別の色が映えるように」)
――実直な様子で、作業を進めていく恭介を見守るのはランドルフ。赤と一口に言っても色々な赤があるもので、例えば血や炎は、強い赤色と言えるだろう。
「……けれど、朝焼けの赤は優しい。そういう赤も、戻ってくればいいな」
「そういや、彼岸花って水で毒抜きしたら食えるんだよな」
と、花より何とやら。晴翔が想いを馳せているのは、刈り取った後の彼岸花についてだった。この戦いの慰労会をするに当たって、食べられるものは館に無いだろうし、だとするならこの花を使って一品――。
「僕は肉食べたい」
「……あ、肉も狩ってくる?」
其処で、ぽつりとランドルフが希望を口にすると、さっそく晴翔はレギオンを引き連れ、近くの森に足を延ばそうとしたのだが。
「……いつかはこの墓も土に帰るとはとはいえ、今食べるのはどうかと思うぞ」
――やんわりと注意をした恭介に頷き、晴翔は素直に彼岸花の毒抜きを中止することにしたのだった。
「しっかし、生きてる奴の都合で、こんな物に縛られるなんざ理解できねぇな」
それでも晴翔にとって、この墓地の在り方は納得出来ないものがあるらしく――果たして、死者はこんなことを望んだのかと、藍色の瞳が墓石を睨みつける。
「コイツらは本当に望んだのか? 縛られることを。この地にとどまることを。……骨の代わりに墓石を砕いて、空葬でもすれば、コイツらは自由になるんじゃねぇの……?」
それが自分の勝手な妄想なのだとしても、こうして墓石の群れを目にすれば、生者の都合で縛り付けられているように、晴翔には思えたのだ。
「……この墓自体に意味があるかと言えば、僕は楔に思う」
一方で、人の良さを滲ませ優しく微笑むランドルフは、憤りを見せる晴翔へゆっくりと告げる。死者の無念が、オブリビオンとなってしまわないよう――誰に知られずとも捧げられた、鎮魂と解放の祈りの証なのだろう、と。
(「当人達や遺族がどう思うかは、僕には判らないが……けれど、彼らの無念が別の悲劇を招かないよう」)
――自分たちなりに、彼らに祈ろうとランドルフは言った。弔うのは、生きている者の為に行われるものだから。
「あと、墓石は村人だけが壊していいものだと思うぞ」
「ほら、ランディみたいに故人を思うとか……ってほら、ランディも突っ込み入れてるし……!」
あたふたと止めに入る恭介に、もうしないと両手を上げた晴翔であったが、やはり胸に燻る想いはなかなか消えてくれなかった。
――ああ、理解はまだ、難しい。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
天星・暁音
【天星】で参加
解放された貴方達が少しでも苦しみから解き放たれますように…俺がしてあげられるのは共苦で痛みと悲しみを受け止めてあげることと、送ってあげるくらい…だから貴方たちにこの舞を捧げます。
ほんの少しでも貴方達の魂に安らぎを…
亡くなった者たちへ光と共に一心不乱に鎮魂の舞を捧げます。
場所があるならアイテム「ドリームコンツェル」で舞台も作ります
指定UCはちょっとした拡大解釈で癒しを願ってです。
終わった後は零の側へと行き
『そうだね。せめて次は幸せであれるように…』
祈りを捧げて
『さて、帰ろうか、おやつでも作ろう』
気持ちを切り替えるように態とらしく明るく言い。
零と共にお墓を後にします。
天星・零
【天星】
暁音と二人きりの場合真の姿
周りに第三者がいる場合は普段の姿で行動
(台詞は真の姿時を想定普段は丁寧な喋り方になります)
『悲しいな、悲しいね。誰かの幸せの為に、誰かが犠牲になるなんて』
暁音が舞をして祈祷をしている間、花を添えつつ、星天の書-零-に今日あった事を書き連ねます。(真の姿の場合は終始詰まらなそうな表情で)
暁音が来たら少し会話した後、墓に向かって
『君達はどんな絶望を味わったのかな。どんな苦しみを味わったのかなぁ。けど、その苦しみが時を巡って輪廻した後でもまた君たちに向かわないように。』
報われない最期に花束を送りつつ、せめて、彼女達が過去に囚われない事を祈り、そのまま墓を後にします
――光なき世界に彼岸の花が揺れるなか、死者たちの眠る地に降り注いでいくのは聖なる祈り。
(「解放された貴方達が、少しでも苦しみから解き放たれますように……」)
幼い身でありながらも、彼らの為に無心で祈りを捧げる天星・暁音(貫く想い・f02508)は、ただ其処に居るだけで救いと癒しをもたらし――溢れ出る苦しみを分かち合う。
(「俺がしてあげられるのは、これくらいだから」)
深紅の花園にきらきら揺れる暁音の髪は、陽光を思わせるように儚く輝いて。神気を纏う衣装を翻し、共苦によって死者の痛みと悲しみを受け止めながら、暁音は彼らを送ろうと鎮魂の舞を踊っていた。
(「貴方達にこの舞を捧げます。ほんの少しでも、貴方達の魂に安らぎを……」)
蛍火の如く光が舞う墓地で、一心不乱に舞う暁音は更に光を呼んでいく。やがて合間に口ずさむ癒しの歌が、優しく辺りに響いていく様子を、天星・零(多重人格の霊園の管理人・f02413)はただ静かに見守っていた。
「――悲しいな、悲しいね。誰かの幸せの為に、誰かが犠牲になるなんて」
辺りに居るのは、暁音と零のふたりだけ――故に零は、真の姿を取り戻していて。飄々としつつも、全てを見通すが故にひどく詰まらなそうな表情を浮かべながら、零は摘んできた花を墓前に添える。
「君達はどんな絶望を味わったのかな。どんな苦しみを味わったのかなぁ」
――骸無き墓石に囲まれて踊る暁音を、ちらと一瞥してから、零が星天の書に今日あったことを書き連ねていると。やがて祈りを終えた暁音が戻って来て、ふたりは他愛もない普段のやり取りを交わし始める。
「無事に事件も解決したから、俺たちが関わるのはここ迄……だね」
「そうだね、だから最後に祈るとしよう。……苦しみが時を巡って、輪廻した後でもまた君たちに向かわないように」
そう墓に向かって語り掛ける零に頷き、彼の傍で暁音も最後に祈るのだ――せめて、次は幸せであれるようにと。
「……さて、帰ろうか、おやつでも作ろう」
そうして気持ちを切り替えるように、暁音が務めて明るく振る舞えば。零も彼の気持ちを汲み取って、共に墓地を後にするべく手招きをした。
(「せめて、彼女達の魂が、過去に囚われないよう――」)
報われない最期に捧げた花束が、彼岸花の波間に揺れる中で、共にいることを誓ったふたりは――自分たちの帰るべき場所へと、歩いていく。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アルカ・キルジャッジ
【WIZ】
悪夢の元凶を討ち取ったってのに、なんだかこう……妙に寂しくなったもんだねぇ。
けど自分は所詮通りすがりの神様、猟兵。これ以上首を突っ込むってのは野暮ってもんだよ。
なんて言っても、立つ鳥跡を濁さず、だ。お墓の周りを片づけていくとしようかねぇ。
掃除道具を用意してせっせと綺麗にする。雑草も抜く。
ふう、ジャージでよかった。ジャージはやっぱり最強だよ。(他の猟兵さんも一緒だったらジャージを布教しておく)
お疲れ様みんな。お疲れ様自分。
娘さん達、今はここで静かにおやすみ。いずれ輪廻の刻が来たなら、次は幸せな世界が待っているのさ。あの墓守くんにも、ね。
何せ神様が綺麗にしたんだ。きっと加護があるはずさ。
出水宮・カガリ
※アドリブ可
盾を手に、墓地に立つ
ひっそりと、誰に悼まれる事もなく、存在さえ忘れられていく
…覚えがあるのだ、そのような命に
カガリが守っていた都は…そこの命も、都ごと失われた。
その存在を知るものも、それらがあったことも、
今はカガリの他に知るものは無く
彼らは、ここの娘と違って。希望と共にあの都へ来たのにな。
…ああ、でも。
都があったことを知っているのは、それを話したカガリの友も、そうだ。
実際にはもはや跡形もなくとも、無かった事にはならない。
いつか、この墓地もそうなる日が来ても――
この世界のひとでなく、外の世界のものであるカガリが。
彼岸花の墓地がここにあったと、静かにこの胸に覚えておこう
マリス・ステラ
【WIZ】死を忘れないで
「主よ、憐れみたまえ」
『祈り』を捧げると光が組んだ両手に灯り、滴が零れるように紅い花に落ちる
「かつて白い慰霊塔と花咲く場所に、ちいさな希望が生まれました」
その地も吸血鬼の脅威に晒される夜と闇に覆われた世界
言いながら白い花束をシーヴァルトに差し出す
それは白い鈴花
「弔いの花と呼ばれています」
名も知れない墓所はいずれ朽ちていく
彼岸花もまた枯れるのだとしても
白い鈴花は、死者が空に還り、海に還り、次の生に幸せが得られるように巡り廻る祈りの形
【親愛なる世界へ】を使用
「私たちが覚えています」
どうか安らかな眠りを
死した"すべての人たち"に健やかなる輪廻がもたらされることを『祈り』ます
ざわざわと揺れる深紅の花に混じり、赤色のジャージが見え隠れする。闇に閉ざされた世界に、燦々と輝く太陽は望むべくもないけれど――彼岸花を揺らす湿った風は、確かに夏の気配を孕んでいた。
「悪夢の元凶を討ち取ったってのに、なんだかこう……妙に寂しくなったもんだねぇ」
そう思うのは、もうこの墓を守るものは居ないのだと、アルカ・キルジャッジ(ジャージ神・f19752)が知っていたからか――それでも、自分は所詮通りすがりの神様であり、ひとりの猟兵なのだ。
「……これ以上、首を突っ込むってのは野暮ってもんだよ」
――必要以上に介入せず、後はこの世界のひとびとに任せる。流浪神としての流儀を忘れず、しかし立つ鳥跡を濁さずの精神を心掛け、アルカは墓地の掃除を始めることにした。
「よいしょ、……っと、ふう、ジャージで良かった」
掃除用具を手にせっせと墓石を磨いて、伸び放題の雑草はしっかり抜いて綺麗にする。こうした作業を行う際は、動き易く少々の汚れも気にならないジャージが、最も適しているなあと、しみじみ思うアルカであった。
「うんうん、ジャージはやっぱり最強だよ。キミもひとつ仕立ててみないかい?」
「……む?」
――と、さりげないジャージの布教を受けた出水宮・カガリ(荒城の城門・f04556)は、鉄門扉の盾を地面に置いて、真面目な表情で考え込む。嘗て、己が守護していた都市では、このような衣装があっただろうか――追憶に揺れるカガリの様子に、何かあったのかとアルカが問えば。
「ひっそりと、誰に悼まれる事もなく、存在さえ忘れられていく。……覚えがあるのだ、そのような命に」
やがてカガリは喪われたもの達の記憶を、ゆっくりと語り始めた。未だ城門の一部として、ひとの姿を得る前のカガリが守っていた都――其処に住んでいたひとびとの命は、都ごと失われてしまったのだと。その都の存在を知るものも、それらがあったことも、今はカガリの他に知るものは無いのだと。
「……彼らは、ここの娘と違って。希望と共にあの都へ来たのにな」
だからこそ、守り切れなかったことが悔やまれる――そう言ったカガリは「でも」と、紫の瞳をゆっくり瞬きさせる。
「……都があったことを知っているのは、それを話したカガリの友も、そうだ」
「そして、自分も今、知る事が出来た」
にっこり笑って伸びをするアルカは、お疲れ様と周りの皆に声を掛けて、墓地に眠る娘たちに静かな眠りがあることを祈っていた。
(「実際にはもはや跡形もなくとも、無かった事にはならない。いつか、この墓地もそうなる日が来ても――」)
――誰かが覚えてさえいてくれたら。その死を、忘れずにいてくれたのなら。やがてカガリの耳に聞こえてきたのは、星の転がるようなマリス・ステラ(星を宿す者・f03202)の声だった。
「主よ、憐れみたまえ」
静かに祈りを捧げるマリスの両手に、あたたかな光が灯ると同時――透明な滴がぽつりと、彼岸花の紅に落ちて弾ける。
「かつて白い慰霊塔と花咲く場所に、ちいさな希望が生まれました」
光が瞬くように、きらきらと零れ落ちていく言の葉が紡ぐのは、この地で語られる最後のお話。吸血鬼の脅威に晒される、夜と闇に覆われた世界に――ふわりと舞い降りた、白い鈴花の物語。
「それは、弔いの花と呼ばれています」
そうして白い花束を、マリスから受け取ったシーヴァルドは、終わりを見届ける役目を担うように、それを墓地へと供えて。親愛なる世界への祈りを胸に、白の鈴花へ祝福を与えるマリスは、巡り廻るそれが幸せを運ぶようにと星辰の瞳を瞬きさせた。
(「名も知れない墓所は、いずれ朽ちていく。そして、彼岸花もまた枯れるのだとしても」)
――この白い鈴花は、死者が空に還り、海に還り、次の生に幸せが得られるように。巡り廻る、祈りへと変わるから。
「……私たちが覚えています」
そう、この世界のひとでなく、外の世界のものであるカガリが。アルカが。マリスが。
「……彼岸花の墓地がここにあったと、静かにこの胸に覚えておこう」
「ああ、いずれ輪廻の刻が来たなら、次は幸せな世界が待っているのさ。……あの墓守くんにも、ね」
何せ神様が綺麗にしたんだ、きっと加護があるはずさ――そう言って、茶目っ気たっぷりにウインクをするアルカに頷いて、どうか安らかな眠りがあるようにとマリスは祈り続ける。
「死した『すべての人たち』に、健やかなる輪廻がもたらされることを……私は、私達は『祈り』ます」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
冴木・蜜
…折角彼が守り続けた墓地です
犠牲になった方々の為の供花を探しましょう
彼岸花も鮮やかで大変美しい花ですが
最後くらい他の色合いがあってもいいでしょう
眷属の彼も
犠牲になった方々も
せめて安らかに眠れますよう
墓標の1つを綺麗に整えてから
花束を手向けましょう
…血の宴は終わりました
それでもこの世界は
あまりにも残酷で 絶望的で
それが普通になり過ぎている
命は必ず終わるもの
その終わりを弄ぶ権利なんて
誰にもない
だから私は
この世界の理不尽を終わらせましょう
それが彼らの弔いになるかは分かりませんが
絶望の後にはきっと
柔らかな希望が訪れるべきでしょうから
深海・揺瑚
墓石にひとり、もたれ掛かるように腰掛けて
ひと粒の真珠を手で弄ぶように転がしながら少しだけお喋りしていきましょうか
ついてなかったわね、あなたたちも
もう全部、終わったみたいよ
墓石を作ってもらったところで、こんなところにいつまでもしがみついてても仕方ないでしょ
時間の無駄よ、無駄
私、無駄なことは嫌いなの
でも私、綺麗なものを覚えておくのは割と得意なのよ
だから、こんなきれいな彼岸花の景色ぐらいは覚えててあげる
あの不細工な女の顔は忘れちゃったけどね
弄んでいた真珠をピンと指で弾いて飛ばし
じゃあね、さっさと次へ行きなさい
ニコ・ベルクシュタイン
此れだけ丁寧に手入れされた墓地だ、ただ朽ち行くのみというのも惜しいが
…流石に墓が意志を持つという話ばかりは聞いた事がなくてな
確かに、此のまま過去は過去に還るのが正しい在りようなのだろう
幾多有る世界の中でも、一際陰鬱なる此の世界で
死した後弔われるだけでもマシな方なのかも知れない
悲劇は悲劇、比べるような物でも無いが、そう思わずには居られない
人間には「生まれ変わる」という概念があるのだな
無機物に生命が宿るのだから、それもまた可能性としては充分にて
若しも「次」が有るのならば、幸福な人生を歩めるように
誰も何も害さぬように【花冠の幻】を発動させて
虹色の花弁を以て送ろうか
…花言葉は『奇跡』、其れを信じよう
彼岸花が咲く名も無き墓地を、ニコ・ベルクシュタイン(虹の未来視・f00324)は最後にゆっくりと見て回り、彼らに別れを告げることにした。
――従僕の青年の、元来の性格が反映されたのか。整然と立ち並ぶ墓石は、思っていたよりも手入れがされており――だからこそ、このままただ朽ち行くのみというのも惜しい気がして。
「……しかし流石に、墓が意志を持つという話ばかりは聞いた事がなくてな」
掌の古びた懐中時計を転がしつつ、ぽつりとニコが零したのは、器物に魂が宿ったヤドリガミの謂れなのだろう。百年と言う時間は、短いようで長いもの――ならば、此のまま過去は過去に還るのが、正しい在りようなのだろうと頷きながら。
(「死した後、弔われるだけでもマシな方なのかも知れない」)
――それが幾多有る世界の中でも、一際陰鬱なる此の世界のことならば、尚のこと。あくまでも悲劇は悲劇であり、比べられるような物でも無いが、ニコはそう思わずには居られなかった。
「……折角、彼が守り続けた墓地です」
ならば最後に、犠牲となったひとびとの為に供花を探しましょう、と――赤の景色に白衣の白を過ぎらせつつ、冴木・蜜(天賦の薬・f15222)はゆらり、夜の墓地を歩いていく。
彼岸花も鮮やかで、大変美しい花ではあるけれど、最後くらいは他の色合いがあってもいい。白、黄、橙――可憐で愛らしい色を集めて花束にして、墓標の一つに跪くと、蜜は辺りを綺麗に整えてからそっとそれを手向けていった。
「眷属の彼も、犠牲になった方々も、せめて安らかに眠れますよう……」
――そう、血の宴は終わりを告げたのだ。それでもこの世界は、あまりにも残酷で、絶望的で――それが普通になり過ぎていて。
「命は必ず終わるもの。ですが、その終わりを弄ぶ権利なんて……誰にもない」
だから自分は、この世界の理不尽を終わらせよう。それが、彼らの弔いになるかは分からないけれど――誰かを救いたいと言う願いは、紛れもない蜜自身のものだから。
「絶望の後には、きっと……柔らかな希望が訪れるべきでしょうから」
そうして或る者が静かな決意を宿す一方で、深海・揺瑚(深海ルビー・f14910)はひとり、墓石にもたれ掛かるようにしてゆっくりと腰掛けていた。
「ついてなかったわね、あなたたちも」
掌で弄ぶように、ひと粒の真珠を転がして――死者と交わすお喋りは、深い海の底で浮かんでは消えていく泡沫のよう。
「……もう全部、終わったみたいよ。墓石を作ってもらったところで、こんなところにいつまでもしがみついてても仕方ないでしょ」
――墓石から立ち上がり、白波のヒールを高らかに響かせて。自信に満ちた珊瑚の瞳は、既に過去ではなく、これから行く先を見据えている。
「時間の無駄よ、無駄。……私、無駄なことは嫌いなの」
でも、綺麗なものを覚えておくのは割と得意なのよ、と揺瑚は艶やかに微笑んで。深紅の海にふわりと、深海色の豊かな髪が広がると、遠い波の音が何処からか聞こえてくるような気がした。
「だから、こんなきれいな彼岸花の景色ぐらいは覚えててあげる」
――あの、不細工な女の顔は忘れちゃったけどね。血の宴の主催者のことを、そう言って笑い飛ばしてから、揺瑚は弄んでいた真珠をピンと指で弾いて、夜空を見上げる。
「じゃあね、さっさと次へ行きなさい」
そう――彼女の言葉通り、人間には『生まれ変わる』と言う概念があるのだろう。無機物に生命が宿るのだから、それもまた可能性としては充分にありそうだ、とニコは思う。
「……若しも『次』が有るのならば、幸福な人生を歩めるように」
そっと花冠の幻を生んで、辺りへ舞わせる虹色の花弁は、死者を送るささやかなニコの祝福だ。
(「……花言葉は『奇跡』、其れを信じよう」)
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
薄荷・千夜子
チェルソ君と(f15797)
これ以上の被害がなくなったのは良いことですが、彼が作り続けたお墓が物悲しいですね
少しでも、手向けになれば
[操花術具:神楽鈴蘭]を鳴らし、祈りを捧げます
「どうか、その魂がまた巡り、再び幸せが訪れますよう」
UC『操花術式:花神鈴嵐』を応用して鈴蘭の花弁を手向けの花代わりに
「そういえば」
思い出したように、祈りを終えたあとチェルソ君に向き合って
「あまり無茶な戦い方はしないでくださいね?」
自身が人形という自覚が強いのでしょうが、心配する友人がいることも忘れないでくださいね
「お友達には命令でなくお願いになりますね」
優しく頭を撫でて、ふわりと笑います
チェルソ・ベルルーティ
薄荷・千夜子様(f17474)と
土の中に何もいないのに墓石があるから祈ると言うのも不可解な話ですが、そういうものなのでしょう。僕の名の下に、皆様の魂が救われますように。そう【祈り】、周囲を[生まれながらの光]で照らします。
「その魂に光あれ」
千夜子様と方式は違いますが根本的には同じなのかもしれません。
千夜子様の言葉はよくわかりません。僕は最適行動をしたはずですから。ですが……。
「ならば、僕に命令をください」
本来ならば、所有者以外の命令には従えない仕様なのですが、千夜子様の“お願い”がインプットされてしまいました。
頭部パーツに千夜子様の手……脈拍の上昇を確認。不具合ですね。後で直さなくては。
元凶であるオブリビオンを倒したことで、この地に被害がもたらされることは無くなった――それはつまり、此処の墓地も役目を終える、と言うこと。
「喜ばしいことですが……彼が作り続けたお墓が、物悲しいですね」
彼岸花の咲く路をゆっくりと歩きながら、薄荷・千夜子(鷹匠・f17474)が思うのは、従属を強いられていた青年の最期だった。
これ以上、増えることの無い墓はただ忘れ去られていくのみだろうが――何も埋葬されぬ虚ろな墓石を、じっと見つめるチェルソ・ベルルーティ(清濁併鈍・f15797)は、その存在意義について淡々と考えを巡らせる。
(「土の中に何もいないのに、墓石があるから祈ると言うのも……不可解な話ですが」)
しかし、それでもひとは其処に救いを見出し、祈り続ける――そういうものなのだろう、とチェルソは結論づけた。手向けになればと千夜子が鳴らす、神楽鈴蘭の澄んだ音色を聞いていると、祈りを捧げることがこの場所には相応しく思えたから。
「僕の名の下に、皆様の魂が救われますように……その魂に光あれ」
生まれながらにその身に宿す、チェルソの聖なる光が墓地をあたたかく照らしていく中で、千夜子も操花術式――花神鈴嵐を操り、清浄な鈴蘭の花弁を辺りに振りまいていった。
「……どうか、その魂がまた巡り、再び幸せが訪れますよう」
祈りのかたちは違えども、巫女の少女と聖者の少年が想うことは、根本的に同じなのだろう。そうして祈りを終えたあと、思い出したように千夜子はチェルソに向き合って「そういえば」と指を立てる。
「あまり無茶な戦い方は、しないでくださいね?」
「……千夜子、様」
チェルソ自身が人形である、と言う自覚が強いのだろうが、心配する友人がいることも忘れないで欲しい――そう続けた千夜子の考えが、チェルソにはよくわからずにいた。
「千夜子様の言葉は、よくわかりません。僕は最適行動をしたはずですから」
それでも――自分に何かを望むなら、命令をくださいとチェルソは告げたのだけど。
「うーん、お友達には命令でなく……お願いになりますね」
そう言った千夜子は、優しくチェルソの頭を撫でて、ふわりと笑う。さらさらと揺れる金の髪――頭部パーツに彼女の手が触れた時、脈拍の上昇を確認したチェルソであったが、これは不具合だろうと判断を下した。
(「後で直さなくては。……それと、本来ならば所有者以外の命令には、従えない仕様なのですが」)
――千夜子様の『お願い』がインプットされてしまいました。そんなチェルソの様子は心なしか嬉しそうに、千夜子には思えたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
レガルタ・シャトーモーグ
此処が例の墓地か…
この下に亡骸は無いのだという
ならば、ただの標か
もしくは、悼む事で自らの心に赦しを得る為の装置
死とはなんだろうと、たまに思う
普段は暗殺者として死に近すぎた故に、死については深く考えないようにしていた
考え始めたら、自分のやっている事に迷いが生まれる
迷うと自分が死ぬ
単純な理由だ
だが、この埋もれゆく記憶の道標を前にすると
浮かばれぬ魂たちに安かれと思わなくもない
祈り方は知らない
彼岸花を一輪手向け
静かに立ち去ろう
死は俺にとって最も近い存在だ
今までも、きっと、これからも
ノワール・コルネイユ
誰のものとも知れず、亡骸も無い墓だ
朽ちたところで誰も構いはしないだろうさ
…そう、誰も
近場の水源か屋敷の井戸か
水を汲んで来て墓を清めてやろう
何れは雨に打たれ、風に吹かれ
誰に知られることもなく土へ還って行くか、森に飲まれるか
きっとそれは、そう遠くもない何時かだろう
名も知れぬ者の墓であれ、作った者の想いはどうであれ
此処で多くの血が流れ、多くの者が死んだのは確かだ
誰にも看取られず、誰にも見送られることもなく…な
此処を訪れることはもう無いだろう
だからこれが最初で最後の施し
安寧の眠りに就けることだけを祈らせてくれ、名も知らぬ誰か達
嗚呼、だがせめて…
もう少し早く此の地に辿り着くことが出来ていたのなら、或いは
有栖川・夏介
※アドリブ歓迎
墓石の一つ一つに手をあわせる。
数多の墓石を前に、嘆息。
……これだけの墓石を、あの青年はたった独りで作っていたのでしょうか。
いったいどんな気持ちで……。
……なんて、考えてたところで答えを得られるわけでもない、か。
いのちを奪うばかりの私には、きっとわかるわけもないでしょうね。
それでも、いまこの時だけは死者のいのちを思おう。
いずれ忘れ去られる場所だとしても。
奪われたいのちと、この場所を作った青年のことを思いながら【祈り】ます。
「此処が例の墓地か……」
屋敷の裏手に広がる、彼岸花の咲く墓地――たったひとりの青年によって造られてきたそれを、レガルタ・シャトーモーグ(屍魂の亡影・f04534)は、ただ静かに見つめていた。
(「この下に亡骸は無いのだという。……ならば、ただの標か」)
――もしくは、悼む事で自らの心に赦しを得る為の装置。幾多の死と向き合い、数多の死を与え続けてきたレガルタにとって、死とはあまりに身近な――近すぎた故に、深く考えないようにしてきたものだ。
(「……考え始めたら、自分のやっている事に迷いが生まれる」)
そして、迷うと自分が死ぬ――単純な理由だった。それでも彼は、たまに思ってしまうのだ。
(「そう、死とはなんだろう、と」)
白く細い指先が触れる、黒々とした墓石は、夏の夜だと言うのにひんやりとしていて。そうしてレガルタが物思いに耽っていると、遠くから水桶を持ってきたノワール・コルネイユ(Le Chasseur・f11323)が、汲んだ水を墓に掛けて清めを始めた。
「誰のものとも知れず、亡骸も無い墓だ。……朽ちたところで、誰も構いはしないだろうさ」
清浄な水飛沫が上がる中、ノワールが淡々と紡ぐ言葉は――彼女自身に言い聞かせているようにも思えて。
「……そう、誰も」
何れはこの墓たちも雨に打たれ、風に吹かれ。誰に知られることもなく土へ還って行くか、森に飲まれるか――きっとそれは、そう遠くもない何時かだろうと、ノワールは悟りつつもそれを忘れずにいるのだろう。
「だが、名も知れぬ者の墓であれ、作った者の想いはどうであれ……此処で多くの血が流れ、多くの者が死んだのは確かだ」
――誰にも看取られず、誰にも見送られることもなく、な。そうして淡々と現実を受け止めるノワールの姿に、自分と近しいものを感じたからか。レガルタは墓石から手を離すとそのまま跪いて、此処に埋葬されることを願われた、死者たちのことを想う。
「……俺は。この埋もれゆく記憶の道標を前にすると、浮かばれぬ魂たちに安かれと思わなくもない」
そうか、と彼に返したノワールもまた、同じ気持ちなのだろう――安寧の眠りに就けることだけを祈らせてくれと、名も知らぬ誰か達に語りかけ、彼女は静かに目を閉じていた。
「此処を訪れることはもう無いだろう。だからこれが、最初で最後の施しだ」
――それでも、レガルタは祈り方を知らなくて。彷徨う深紅の瞳が墓地の一角を捉えた時、其処には墓石の一つ一つに手を合わせる、有栖川・夏介(白兎の夢はみない・f06470)の姿があった。
(「……これだけの墓石を、あの青年はたった独りで作っていたのでしょうか」)
一体それは、どんな気持ちであったのか――嘆息する夏介は、考えたところで答えを得られるわけでもないと知りながらも、祈りを止めたりはせずに。
(「いのちを奪うばかりの私には、きっとわかるわけもないでしょうね」)
――殺すことに慣れ過ぎ、自分を抑えることにも慣れ過ぎた。それでも、いまこの時だけは死者のいのちを思おうと、夏介は決めていた。
(「……いずれ、忘れ去られる場所だとしても」)
この地で奪われたいのちと、この風景を作った青年のことを思い、夏介が祈り続ける中で――レガルタは一輪の彼岸花を手向けた後、そっとその場を立ち去ることにした。
(「死は俺にとって最も近い存在だ。今までも、きっと、これからも」)
嗚呼、だがせめて――祈りを終えたノワールは、闇に輝く銀の剣を伴に、こう思わずにはいられない。
「……もう少し早く、此の地に辿り着くことが出来ていたのなら、或いは」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ノエマ・アーベント
咎人の、罪を裁いて生を断つ
ただその為だけに造られた刑具(モノ)
伯爵夫人を倒した以上、ここに留まる理由も意味も、もはやない
でもこの結末を、墓地の終わりを見届けてからでも、別に遅くはないかしら
鮮やかに赤く咲き誇っている彼岸花
それは闇の中、唯一灯った命の色のようでいて
まるで犠牲になった村娘の情念が、花に乗り移っているみたい
そんな風にも感じたけれど……シーヴァルド、貴方は一体どうかしら
元は処刑具だった私でも、死を悼む心くらいは持っている
だから祈りを捧げて行こうと思うけど、貴方も一緒にして行かない?
瞑目し、失くした命の死を想い
せめてあの世で安らかなれと、最期に捧げる鎮魂歌
貴女達のこと、私は決して忘れない
華折・黒羽
弔い人の埋まらない墓地を眺める
従僕の男の“守りたかったもの”の答えがそこにある様な気がして
けれど見えるのは赤く咲き乱れる彼岸花ばかり
鼻を掠めるのは花のかおり
そこに人のにおいは混じっていない
強すぎる屋敷からの血のにおいだけが微かに
確かにそこに人が居たのだという事実を残していて
あまりにも呆気なく溢れていく人の命
なぜ、どうして、問うた所で答えなど返ってくるはずもない
過去の記憶を思い返しては唇を噛み締めることしか出来ないんだ
今回の依頼主、シーヴァルドさんの姿を見つければその傍へと歩み
昇華し切れぬ思いを零す様な色のせた一言だけを
─無事依頼完了です
…これで、いいんですよね…
静かな墓地に、あてどない祈りを
東雲・咲夜
🌸アレンジ可
亡骸があらへんお墓やのに
不思議…まるで何かが此の地に宿っとるよう
操られ意思があらへんいうても
あのひとの魂はどないな想いと共に夫人とおったんやろ
無念?同情?憤怒…?
きっと色んな感情が人間として大切なもんを繋いではったんやろな
さぁ、白雪ちゃん
気合い入れてお掃除しましょ
バケツにお水を汲んで
手拭いで優しく、時に力強く丹念に墓石を磨きます
〜♪〜〜♬
…あや、自然に歌っとりましたね……ふふ
…これで全部かしら
おおきになぁ、白雪ちゃん
きっと悦んでくれとりますね
尤も、誰も留まっとらんのが一番やけど
目映い程鮮やかな赫に抱かれ
去り往く過去と伴に総てが還るように
今度は確り謡いましょう
鎮魂と導きの奏を……
――咎人の、罪を裁いて生を断つ。ただその為だけに造られた刑具(モノ)が、ノエマ・アーベント(黄昏刻のカーネリア・f00927)の本体だった。
だとすれば――血に濡れた伯爵夫人を倒した以上、己がここに留まる理由も意味も、もはやないのかも知れないけれど。
(「……でも。この結末を、墓地の終わりを見届けてからでも、別に遅くはないかしら」)
人の容を成したことで、自由に歩ける足を得て。魂を得て生まれた心は、生と死の狭間――黄昏色の世界を彷徨うように、今も揺れている。
――ああ、ノエマの視界を満たすのは、鮮やかに赤く咲き誇る彼岸花。それは闇の中、唯一灯った命の色のようでいて。
「まるで犠牲になった村娘の情念が、花に乗り移っているみたい――」
そんな風にも感じたと、風に揺れる灰色の髪をそっと抑えたノエマは、墓地の傍らに佇むシーヴァルド・リンドブロム(廻蛇の瞳・f01209)の方を振り向いて問う。
「……貴方は、一体どうかしら」
「俺は……この墓を造った従僕の、流せぬ血の涙の代わりに、花が咲いたのかも知れない、とも」
――あくまでも想像だし、伯爵夫人らと直接相対したノエマ達の方が、感じるものがあるだろうと彼は続けたが。
「元は処刑具だった私でも、死を悼む心くらいは持っている。だから」
祈りを捧げて行こうと思う――そうノエマは言って、夕陽に蕩けるような瞳が、闇に舞う深紅の花弁を追いかけて瞬く。
「……貴方も、一緒にして行かない?」
静寂に満たされた、死者の眠る場所――弔い人の埋まらぬ墓地を眺める、華折・黒羽(掬折・f10471)は、赤く咲き乱れる彼岸花を前にひとり立ち尽くしていた。
――従僕の男の『守りたかったもの』の答えが、此処にあるような気がして。最後の問いは、剣戟の彼方へと吸い込まれていったけれど、或いは彼が守りたかったものとは、死者を悼む――ひととしての心だったのかも知れない。
(「……花、のかおり」)
鼻を掠めるそれに、人のにおいは混じっておらず――けれども、屋敷から漂う強すぎる血のにおいだけが微かに、確かにそこに人が居たのだという事実を、黒羽に訴えかけていた。
(「あまりにも、呆気なく溢れていく人の命」)
それに、なぜ、どうしてと――問うた所で、答えなど返ってくるはずもないと、痛いほど彼は理解していたと言うのに。漆黒の獣の手をきつく握りしめながら、青の双眸は誰かを探すように、あてどなく四方を彷徨う。
(「それでも……過去の記憶を思い返しては、唇を噛み締めることしか出来ないんだ」)
――其処で、ふと。苦悶に満ちた黒羽の元に、優しい歌声が響いてきて。何処か子守歌を思わせるその旋律は、墓地の掃除を行う東雲・咲夜(詠沫の桜巫女・f00865)のもののようだった。
「……あや、自然に歌っとりましたね……ふふ」
ちゃぷん、と水を汲んだ桶が軽やかな音を立てて、手拭いを絞った咲夜は、白狐の神使と一緒に墓石を磨き始める。優しく、時に丹念に――気合を入れて掃除をする傍ら、彼女は墓のひとつひとつを見遣り、語り掛けるように呟いていた。
「亡骸があらへんお墓やのに、不思議……まるで何かが、此の地に宿っとるよう」
例え操られ、意思が無かったのだと言っても、従僕の青年の魂は、どんな想いと共に夫人とあったのか。
(「無念? 同情? 憤怒……?」)
――それはきっと、ひとつでは言い表せない。色んな感情が、人間として大切なものを繋いでいたのだろう。そんな想いを巡らせている内に、墓石の掃除も一段落ついたようだ。
「……これで全部かしら。おおきになぁ、白雪ちゃん」
狐耳をひょこっと揺らす、神使の童女の頭を優しく撫でた咲夜は、きっと死者たちも悦んでいる筈だと優しく微笑んで。
「尤も……誰も留まっとらんのが、一番やけど」
やがて、目映い程鮮やかな赫に抱かれた桜巫女は、去り往く過去と伴に総てが還るように――鎮魂と導きの奏を、確りと謡おうと声を震わせた。
(「貴女達のこと、私は決して忘れない」)
――瞑目し、失くした命の死を想うノエマもまた、せめてあの世で安らかなれと、最期の鎮魂歌を捧げていく中で。
「――─無事、依頼完了です。……これで、いいんですよね……」
此の地へ導いたシーヴァルドの傍へと、歩を進めた黒羽は、昇華し切れぬ思いを零す様な色をのせた一言だけを、ぽつりと零し。
「……ああ、お疲れ様。最後まで見届けてくれて、有難う」
静かな墓地にあてどない祈りを捧げて、絶望の世界の夜明けを願っていた。
――忘れ去られていく墓が、本当に忘れ去られる、その時に。巡り巡る時の果てに、彼らを見送った者たちが居たことを、ほんの僅かでも思い出すことも、あるのかもしれない。
大成功
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